JP2015189739A - アスコルビン酸含有液剤 - Google Patents

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忠隆 村上
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忠隆 村上
綾歌 加藤
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Abstract

【課題】アスコルビン酸注射剤を用いた大量投与療法に使用でき、且つ変色しやすいアスコルビン酸の性質に対して、薬液の変色を許容できるまで抑制することができるアスコルビン酸注射剤を提供すること。【解決手段】10w/v%以上のアスコルビン酸またはその塩、0.015w/v%以下の亜硫酸塩および0.015w/v%以下のL−システインもしくはその塩またはチオグリコール酸もしくはその塩から選択される安定化剤を含有する注射剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、アスコルビン酸含有液剤に関する。
製剤の経時的な色の変化は服用する者に心理的に大きな不安感を与える要因にもなるため、その外観または薬液の変色を抑えることは、医薬品やサプリメントなどの開発において重要な課題の一つである。特に、アスコルビン酸を含有する液体製剤は、アスコルビン酸自身が酸化防止剤として酸化を受けやすい性質のため、その酸化に伴う変性で時間の経過と共に製剤が黄色ないし黄褐色に変色し、その商品価値を著しく低下させることになる。
現在、日本において上市されているアスコルビン酸液体製剤である注射剤では、還元作用のあるピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩、そして、それら還元剤の作用を補助するL−システインまたはその塩、チオグリコール酸などの安定化剤を添加して、薬液の変色を抑制している(特許文献1)。通常、10%アスコルビン酸注射液では約0.05%のピロ亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムが添加され、25%アスコルビン酸注射液では約0.1%のピロ亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムが添加されている。
一方で、還元剤として用いられるピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩は、その安全性の観点から日本医薬品添加剤協会の評価により、1日許容摂取量(ADI)が(SOとして)0〜0.7mg/kg、静脈内注射における最大使用量が40mgと定められている。一般に、亜硫酸塩を過敏症の患者が摂取すると、喘息、蕁麻疹、皮膚掻痒、血管運動性浮腫、咽頭浮腫、アナフィラキシーショックなどを誘発することも知られている(非特許文献1)。
そのため、安全面を考慮すると亜硫酸塩をより低量に抑えたアスコルビン酸注射剤が存在していてもよいと考えられるが、現時点ではピロ亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムの添加量を0.05%未満に抑えた注射剤は存在していない。
アスコルビン酸の医薬用途として、ビタミンC欠乏症(壊血病、メルレル・バロー病)の予防および治療、ビタミンCの体内需要が増大し食事からの摂取が不十分な際の補給、疾患(毛細管出血、薬物中毒、副腎皮質機能障害、骨折時の骨基質形成・骨癒合促進、肝斑・雀卵斑・炎症後の色素沈着、光線過敏性皮膚炎)のうちビタミンCの欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合には、1日50〜2000mgの用量でアスコルビン酸を投与することが知られている。また、近年注目を集めているアスコルビン酸の大量投与による癌治療やアンチエージングにおいては、高用量のアスコルビン酸、例えば15〜100gの量のアスコルビン酸を投与する必要があると考えられている。
そのため、所定の割合でピロ亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩を含むアスコルビン酸注射剤を、癌治療などに大量投与で用いようとしても、ピロ亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩の1日最大摂取量を超えてしまうことから、現行の還元剤として亜硫酸塩を使用したアスコルビン酸注射剤による大量投与療法は現実的に無理であった。また、点滴用の高濃度アスコルビン酸注射剤も流通しているが、ここで安定化剤として添加されているエデト酸ナトリウムは、薬液の変色の抑制には効果がなく、性状の品質面において課題があった。
特許第0927995号明細書
メタ重亜硫酸ナトリウム「改訂 医薬品添加物ハンドブック 2007」(薬事日報社発行)、967〜970頁
本発明は、アスコルビン酸注射剤を用いた大量投与療法に使用でき、且つ変色しやすいアスコルビン酸の性質に対して、薬液の変色を許容できるまで抑制することができるアスコルビン酸注射剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、最終滅菌法を加熱滅菌法から熱のかからない濾過滅菌法に変更することにより、アスコルビン酸の安定性を向上させ、アスコルビン酸含有注射剤中のピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩や他の添加剤の添加量を減量しても薬液の変色を許容できるまで抑制することができることを見出し、さらに、癌治療やアンチエージングなどに用いられる高用量のアスコルビン酸注射剤において、ピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩を1日許容摂取量を超えない量に調整できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様の発明を提供するものである。
[1]10w/v%以上のアスコルビン酸またはその塩、0.015w/v%以下の亜硫酸塩および0.015w/v%以下のL−システインもしくはその塩またはチオグリコール酸もしくはその塩から選択される安定化剤を含有する注射剤。
[2]亜硫酸塩が、ピロ亜硫酸ナトリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウムである、[1]記載の注射剤。
[3]安定化剤が、L−システインまたはL−システイン塩酸塩である、[1]または[2]記載の注射剤。
[4]pH調整剤をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の注射剤。
[5]アスコルビン酸またはその塩が10〜50w/v%含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の注射剤。
[6]アスコルビン酸またはその塩が10〜25w/v%含有する、[5]記載の注射剤。
[7]ピロ亜硫酸ナトリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウムが0.005〜0.015w/v%含有する、[2]〜[6]のいずれかに記載の注射剤。
[8]L−システインまたはL−システイン塩酸塩が0.005〜0.015w/v%含有する、[3]〜[7]のいずれかに記載の注射剤。
[9]更に濾過滅菌法にて滅菌した[1]〜[8]のいずれかに記載の注射剤。
本発明によれば、癌治療やアンチエージングなどにおけるアスコルビン酸注射剤を用いた大量投与療法に関し、安全な使用が期待できる。また、変色しやすいアスコルビン酸の性質に対して、薬液の変色を許容できるまで抑制することができるより安全なアスコルビン酸注射剤を提供することが期待できる。
本明細書において使用する「アスコルビン酸」は、天然型のL−アスコルビン酸、いわゆるビタミンC(Vitamin C、VC)を意味する。ビタミンCは、水溶性ビタミンの1種であるが、種々の塩または誘導体も含む幅広い意味を有する。
また、本発明において使用するアスコルビン酸は、塩の形態であってもよい。該アスコルビン酸の塩としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸マグネシウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において使用するアスコルビン酸またはその塩の量は、注射剤全量に対して10w/v%以上であり、好ましくは10〜90w/v%であり、より好ましくは10〜75w/v%であり、さらに好ましくは10〜50w/v%であり、またさらに好ましくは10〜30w/v%であり、最も好ましくは10〜25w/v%である。
本発明において使用する「亜硫酸塩」としては、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記に挙げたような亜硫酸塩は、単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。本発明の亜硫酸塩としては、ピロ亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
本発明において使用する亜硫酸塩の量は、注射剤全量に対して0.05w/v%未満であり、好ましくは0.015w/v%以下または0.005〜0.015w/v%であり、より好ましくは0.005〜0.01w/v%であり、最も好ましくは0.01w/v%である。
本明細書において使用する「安定化剤」は、還元剤である亜硫酸塩の作用を補助する物質を意味する。本発明の注射剤に用いられる安定化剤は、L−システインもしくはその塩またはチオグリコール酸もしくはその塩、パラオキシ安息香酸エステル類、塩酸シスチンである。該L−システインおよびチオグリコール酸の塩としては、L−システイン塩酸塩、L−システインメチルエステル塩酸塩、L−システインエチルエステル塩酸塩、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、パラオキシ安息香酸エステル類としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラ安息香酸エチル、パラ安息香酸プロピル、パラ安息香酸ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の安定化剤としては、L−システインまたはL−システイン塩酸塩が好ましい。
本発明において使用する安定化剤の量は、注射剤全量に対して0.05w/v%未満であり、好ましくは0.015w/v%以下または0.005〜0.015w/v%であり、より好ましくは0.005〜0.01w/v%であり、最も好ましくは0.01w/v%である。
本発明における「アスコルビン酸またはその塩」に対する「亜硫酸塩」の重量比は、これまでの約0.01より大きく減量することができ、0.005以下でも変色を含めた十分な品質が確保できる。その重量比は、好ましくは0.0025以下、より好ましくは0.0015以下、さらに好ましくは0.001以下、よりさらに好ましくは0.0005以下である。
また、「亜硫酸塩」と「安定化剤」の重量比は、1:0.001〜1:1であり、好ましくは1:0.01〜1:1、より好ましくは1:0.5〜1:1であり、最も好ましくは1:1である。
本発明の注射剤は、pHを調整するために通常使用されるpH調整剤を含んでいてもよい。pH調整剤としては、リン酸、乳酸、酢酸、炭酸およびそれらの塩、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のpH調整剤としては、水酸化ナトリウムが好ましい。
本発明の注射剤は、上記pH調整剤を用いて適当なpHに調整されうる。本発明の注射剤のpHは、生体への影響、安定性などの点から、約5.6〜約7.4の範囲が好ましい。
本発明の注射剤は、上記添加剤の他、注射剤における通常の添加剤を一種以上さらに含んでいてもよい。かかる添加剤の例としては、等張化剤、保存剤、無痛化剤などが挙げられる。
等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、ブドウ糖、マルトース、キシリトール、果糖、グリセリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。該等張化剤は、単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。
保存剤としては、フェノール、クレゾール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸エステル類(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。該保存剤は、単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。
無痛化剤としては、ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、塩酸キシロカインなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。該無痛化剤は、単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の注射剤に使用する容器としては、医療用であれば特に限定されないが、通常一般的に使用されるガラス製の容器(ガラス容器)、樹脂製の容器(例えば、プラスチック容器)などを使用してもよい。また、かかる容器は医療用途として許容されるいかなる処理が施されていてもよい。かかる処理としては、遮光、シリコート処理、サルファー処理、シリコンコーティングなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
容器の形態としては、アンプル、バイアル、シリンジ、バッグなどが挙げられる。樹脂製の容器の素材としては、軟質、硬質、低密度、高密度であってもよく、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネートおよびこれらの素材成分を複数組み合わせた共重合体または混合物であってもよい。
本発明の注射剤は、点滴投与、静脈注射、筋肉注射、皮下注射などに用いられ、患者の症状などに応じて、アスコルビン酸の投与量、投与回数、投与間隔などを変更することができる。例えば、癌治療やアンチエージングなどに使用する場合には、1日当たりのアスコルビン酸として、15g〜100g、好ましくは15g〜75g、より好ましくは15g〜60gの量を投与することができる。また、ビタミンC欠乏症の予防および/または治療の場合には、1日当たりのアスコルビン酸として、50mg〜2000mgの量を投与することができる。投与回数は、1日1回〜数回(例えば、2回、3回)に分けてもよい。投与間隔は、毎日、数日ごと、1週間〜数週間ごと、または1ヶ月〜数ヶ月ごとであってもよい。
本発明の注射剤は、自体公知の方法にしたがって調製することができる。例えば、安定化剤などを加えてアスコルビン酸溶液を調製し、そのアスコルビン酸溶液を濾過滅菌し、無菌的にプラスチックバッグに充填し、密封する方法等により製造することができる。
以下、本発明を実施例、試験例および参考例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例、試験例および参考例に限定されるものではない。
実施例1:処方1〜4の注射剤の調製
適量の水に水酸化ナトリウム11.79gを溶解した液に、窒素ガスを吹き込みながらアスコルビン酸52.0gを溶解した。次いで、活性炭シラサギA100mgを添加し、活性炭を濾紙で濾過した。該液に、再び窒素ガスを吹き込みながらエデト酸ナトリウム50mgを溶解し、適量の5mol/L水酸化ナトリウム液でpHを約6.3に調整し、適量の水で約200mLとして、薬液を調製した。薬液を孔径0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、ポリエチレン製プラスチックアンプルに薬液約20mLずつを充填し、口部を熱風で熔封し、脱酸素剤入りのバリアーフィルム袋に入れ、熔封し、処方1の注射剤を調製した。同様に、エデト酸ナトリウムの代わりにクエン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムを用いて、処方2〜4の注射剤を調製した。処方1〜4における添加剤の量は、それぞれ、いずれも0.025%である。
試験例1:各種添加剤の安定性
添加剤として、金属とのキレート作用のある、エデト酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム、さらに、還元作用のある、ピロ亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムを用いて、それらの添加剤を含有する注射剤の薬液について安定性の評価をし、薬液の色の変化等を観察した。
開始時の薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、続いて、30℃の恒温室に2月および4月保存した薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、安定性を試験した。その結果を表1に示す。
処方1〜4は、30℃2カ月保存で透過率が80%以下まで低下し、薬液は黄色に変化した。pHは5.6〜7.4の規格範囲であり、含量%の変化は認められなかった。
Figure 2015189739
実施例2:処方5〜7の注射剤の調製
適量の水に水酸化ナトリウム4.71gを溶解した液に、窒素ガスを吹き込みながらアスコルビン酸20.8gを溶解した。次いで、活性炭シラサギA100mgを添加し、活性炭を濾紙で濾過した。該液に、再び窒素ガスを吹き込みながらL−システイン塩酸塩50mgおよびピロ亜硫酸ナトリウム50mgを溶解し、適量の5mol/L水酸化ナトリウム液でpHを約6.3に調整し、適量の水で約200mLとして、薬液を調製した。薬液を孔径0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、ポリエチレン製プラスチックアンプルに薬液約20mLずつを充填し、口部を熱風で熔封し、脱酸素剤入りのバリアーフィルム袋に入れ、熔封し、処方5の注射剤を調製した。同様に、アスコルビン酸の量を表2に示すように変更して、処方6および7の注射剤を調製した。
試験例2:アスコルビン酸の各用量における安定性
アスコルビン酸含有注射剤の安定性は、アスコルビン酸濃度の影響を受ける。そこで、10%、20%および25%のアスコルビン酸量における安定性を試験した。添加剤は、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウム単独では変色抑制効果が得られなかったことから、一般に市販品で使用されているピロ亜硫酸ナトリウムおよびL−システイン塩酸塩の組み合わせ処方を用いた。
開始時の薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、また、30℃の恒温室に2月および4月保存した薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、安定性を試験した。その結果を表2に示す。
処方5〜7において優れた変色抑制効果が認められた。大量投与療法において使用されるアスコルビン酸の量を含有しているにも関わらず、低量の亜硫酸塩で変色抑制効果が得られた。pHは5.6〜7.4の規格範囲であり、含量%の変化は認められなかった。
Figure 2015189739
実施例3:処方8〜13の注射剤の調製
適量の水に水酸化ナトリウム11.83gを溶解した液に、窒素ガスを吹き込みながらアスコルビン酸52.0gを溶解した。次いで、活性炭シラサギA100mgを添加し、活性炭を濾紙で濾過した。該液に、再び窒素ガスを吹き込みながら表3に示す規定量のL−システイン塩酸塩およびピロ亜硫酸ナトリウムを溶解し、適量の5mol/L水酸化ナトリウム液でpHを約6.3に調整し、適量の水で約200mLとして、薬液を調製した。薬液を孔径0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、窒素ガスで置換したガラス製アンプルに薬液約10mLずつを充填し、口部を熱風で熔封し、処方9〜13の注射剤を調製した。対照として、組み合わせ処方を添加していない、処方8を調製した。
試験例3:組み合わせ処方の各用量における安定性
25%のアスコルビン酸量を用いて、組み合わせ処方の各用量における安定性を試験した。
開始時の薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、続いて、30℃の恒温室に2月および4月保存した薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、安定性を試験した。その結果を表3に示す。
組み合わせ処方の増大に伴い変色抑制効果も増大する傾向にあったが、0.01%〜0.02%付近の添加でプラトーに達した。pHは5.6〜7.4の規格範囲であり、含量%の変化は認められなかった。
ここで、大量投与療法におけるアスコルビン酸の好ましい使用量60gにおいても、ピロ亜硫酸ナトリウムの最大使用量40mgの範囲に収める必要があることを考えると、アスコルビン酸25%液では亜硫酸塩の添加量を0.015%以下に抑える必要がある。そのため、アスコルビン酸含有注射剤への亜硫酸塩の添加量は、薬液の変色抑制効果および亜硫酸塩の一日摂取許容量を考慮すると、0.005〜0.015%、特に0.01%程度が至適であると考えられる。
Figure 2015189739
実施例4:処方14〜17の注射剤の調製
適量の水に水酸化ナトリウム11.83gを溶解した液に、窒素ガスを吹き込みながらアスコルビン酸52.0gを溶解した。次いで、活性炭シラサギA100mgを添加し、活性炭を濾紙で濾過した。該液に、再び窒素ガスを吹き込みながらL−システイン塩酸塩20mgおよびピロ亜硫酸ナトリウム20mgを溶解し、適量の5mol/L水酸化ナトリウム液でpHを約6.3に調整し、適量の水で約200mLとして、薬液を調製した。薬液を孔径0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、窒素ガスで置換したガラス製アンプルに薬液約10mLずつを充填し、口部を熱風で熔封し、処方14の注射剤を調製した。同様の方法にしたがって、L−システイン塩酸塩の代わりにL−システインを用いて処方15の注射剤を調製し、ピロ亜硫酸ナトリウムの代わりに亜硫酸水素ナトリウムを用いて処方16の注射剤を調製し、そして、ピロ亜硫酸ナトリウムおよびL−システイン塩酸塩の代わりに亜硫酸水素ナトリウムおよびL−システインを用いて処方17の注射剤を調製した。
試験例4:ピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの安定性
試験例3の結果を考慮して、ピロ亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムの用量を0.01%に設定し、還元剤をピロ亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムのいずれかとし、それを補助する添加剤をL−システイン塩酸塩またはL−システインのいずれかにして、それらの組み合わせにおける安定性を試験した。
開始時の薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、続いて、30℃の恒温室に2月および4月保存した薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、安定性を試験した。その結果を表4に示す。
処方14〜17はいずれも、透過率、pHおよび含量%においてほぼ差のない値を示した。すなわち、ピロ亜硫酸ナトリウムを亜硫酸水素ナトリウムに、そして、L−システイン塩酸塩をL−システインに変更しても同様の効果が認められる。
Figure 2015189739
参考例1:市販品の安定性
市販品について、試験例1〜4と同様に、開始時の薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、続いて、30℃の恒温室に2月および4月保存した薬液のpH、透過率およびアスコルビン酸含量を測定し、安定性を試験した。その結果を表5に示す。
Figure 2015189739
試験例1〜4および参考例1の結果より、本発明の注射剤は亜硫酸塩の添加量が大幅に少ないのもかかわらず、市販品と同程度またはそれ以上の変色抑制効果をもたらすものと認められる。
本発明によれば、癌治療やアンチエージングにおけるアスコルビン酸注射剤を用いた大量投与療法が使用でき、また、変色しやすいアスコルビン酸の性質に対して、薬液の変色を許容できるまで抑制可能なアスコルビン酸注射剤を提供することができる。

Claims (9)

  1. 10w/v%以上のアスコルビン酸またはその塩、0.015w/v%以下の亜硫酸塩および0.015w/v%以下のL−システインもしくはその塩またはチオグリコール酸もしくはその塩から選択される安定化剤を含有する注射剤。
  2. 亜硫酸塩が、ピロ亜硫酸ナトリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウムである、請求項1記載の注射剤。
  3. 安定化剤が、L−システインまたはL−システイン塩酸塩である、請求項1または2記載の注射剤。
  4. pH調整剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の注射剤。
  5. アスコルビン酸またはその塩が10〜50w/v%含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注射剤。
  6. アスコルビン酸またはその塩が10〜25w/v%含有する、請求項5記載の注射剤。
  7. ピロ亜硫酸ナトリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウムが0.005〜0.015w/v%含有する、請求項2〜6のいずれか1項に記載の注射剤。
  8. L−システインまたはL−システイン塩酸塩が0.005〜0.015w/v%含有する、請求項3〜7のいずれか1項に記載の注射剤。
  9. 更に濾過滅菌法にて滅菌した請求項1〜8のいずれか1項に記載の注射剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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