JP2015187258A - 熱硬化性樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、封止材として好適な熱硬化性樹脂組成物と、これを使用して半導体素子を封止した樹脂封止型半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 (A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして、化学式(I)または化学式(II)で示されるアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体と、(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、化学式(III)または化学式(IV)で示されるイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体と、(C)硬化促進剤を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置に関する。
半導体装置は、金型を用いたトランスファーモールド、液状の封止用樹脂によるポッティングあるいはスクリーン印刷などにより樹脂封止が行われている。近年、電子機器の小型化、薄型化の要求に伴い、半導体素子が微細化されると共に、封止樹脂を含む厚さが500μm厚以下で、且つシリコンダイをスタックした薄型パッケージを樹脂封止する材料が求められている。
ところで、封止材料に使用されるシリコン樹脂の原料として、イソシアヌレート化合物の利用が種々検討されている。
例えば、トリアリルイソシアヌレートとSi-H基を有するポリシロキサンとの付加硬化型組成物(例えば、特許文献1参照)、Si-H基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する有機化合物と、1分子中に少なくとも2個のSi-H基を有する化合物を含有する硬化性樹脂組成物(例えば、特許文献2〜4参照)、Si-H基を有するポリシロキサンにジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを付加反応させたポリシロキサンのエポキシ基開環重合物含有組成物(例えば、特許文献5参照)、イソシアヌレート環含有ポリシロキサンとSi-H基を有するポリシロキサンの重合物含有組成物(例えば、特許文献6参照)が知られている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載されたイソシアヌレート環含有重合体組成物は、架橋密度が高く、剛直で柔軟性に欠けるという問題があった。
また、特許文献5、6に記載されたイソシアヌレート環含有重合体組成物は、主剤にシロキサン結合を有するため、硬化物の柔軟性はあるが架橋剤との相溶性が悪く、また、アルケニル基の存在位置が不確定であるため、付加反応による硬化が困難であり、ヒドロシリル化(付加反応)の特徴(速やかな硬化反応)が活かされていなかった。
イソシアヌレート環を有するポリシロキサンとSi-H基を有するポリシロキサンとの付加反応による硬化物で、柔軟性、硬化特性、相溶性に優れ、耐水蒸気透過性に優れるものは未だ得られていない。
特開平9−291214号公報 特開2003−268239号公報 特開2006−291044号公報 特開2007−9041号公報 特開2008−143954号公報 特開2008−150506号公報
本発明は、封止材として好適な熱硬化性樹脂組成物と、これを使用して半導体素子を封止した樹脂封止型半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、主剤となるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして、分子鎖末端がアリル基を有するイソシアヌレート環で封鎖されたアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体と、硬化剤となるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、シロキサン鎖の末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を少なくとも2個有するイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体と、硬化促進剤を含有した熱硬化性樹脂組成物が、半導体装置を封止した場合に、所期の目的を達成しうることを見出し、本発明を完遂させるに至ったものである。
即ち、第1の発明は、(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして、化学式(I)または化学式(II)で示されるアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体と、(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、化学式(III)または化学式(IV)で示されるイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体と、(C)硬化促進剤を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。
Figure 2015187258
(式中、Rは互いに独立して水素原子またはヒドロキシル基を表し、Rは互いに独立してアルキル基またはフェニル基を表し、mは0〜16の整数を表し、nは1〜50の整数を表し、pは1〜30の整数を表す。)
Figure 2015187258
(式中、R、nおよびpは、前記と同様である。qは互いに独立して0または1の整数を表す。)
Figure 2015187258
(式中、Rは水素原子またはヒドロキシル基を表し、rは0〜5の整数を表す。R、mおよびnは、前記と同様である。式中の各シロキサン繰り返し単位は、ランダムに結合されていてもよい。)
Figure 2015187258
(式中、R、nおよびrは、前記と同様である。qは0または1の整数を表す。式中の各シロキサン繰り返し単位は、ランダムに結合されていてもよい。)
第2の発明は、(D)無機充填剤を含有することを特徴とする第1の発明の熱硬化性樹脂組成物である。
第3の発明は、(A)成分中のアリル基1当量に対する(B)成分中のSi-H基が0.8〜4.0当量であることを特徴とする第1の発明または第2の発明の熱硬化性樹脂組成物である。
第4の発明は、第1の発明〜第3の発明の何れかの熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して半導体素子を封止したことを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
本発明によれば、低反り性、耐熱性および耐湿性に優れた硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物と、該樹脂組成物により半導体素子を封止した樹脂封止型半導体装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)主剤となるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして、前記の化学式(I)または化学式(II)で示される、分子鎖末端がアリル基を有するイソシアヌレート環で封鎖されたアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体と、(B)硬化剤となるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、前記の化学式(III)または化学式(IV)で示される、シロキサン鎖の末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を少なくとも2個有するイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体と、(C)硬化促進剤を含有する。そして、このような組成とすることによって、ヒドロシリル化(付加反応)の特性を活かした硬化物を与えることができる。
(A)成分は、前記の化学式(I)または化学式(II)で示されるように、分子鎖末端にアリルイソシアヌレート環構造を有するアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分は、主剤となるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして使用される。
前記の化学式(I)において、Rは、互いに独立して水素原子またはヒドロキシ基である。
は、互いに独立してメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基であり、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化特性、該組成物の硬化物の柔軟性および当該アリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体の合成の容易さの観点よりメチル基であることが好ましく、全Rの50モル%以上(50〜100モル%)がメチル基であることが好ましい。
mは、0〜16の整数であり、好ましくは1〜8の整数である。
nは、1〜50の整数である。
また、pは、1〜30の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜8の整数である。
前記の化学式(II)において、R、nおよびpは、前記と同様である。
qは、互いに独立して0または1の整数である。
前記のアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体の重量平均分子量は、通常、500〜10,000であり、好ましくは600〜5,000である。重量平均分子量は、例えば、テトラヒドロフランなどを展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析で求めることができる。
また、アリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体の25℃における粘度は、通常、0.5〜1,000Pa・sであり、好ましくは1〜100Pa・sである。粘度は、例えば、回転粘度計(BL型、コーンプレート型など)により測定することができる(以下、同様)。
(A)成分のアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体は、例えば、化学式(V)または化学式(VI)で示されるイソシアヌレート化合物と、化学式(VII)で示される末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサン(以下、「第1の末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサン」と云う)とを、従来公知の方法でヒドロシリル化(付加反応)させることにより調製することができる。
前記の反応温度は、室温(25℃)〜250℃とすることが好ましく、50〜180℃とすることがより好ましい。また、反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜決定されるが、0.1〜120時間の範囲が好ましく、1〜10時間の範囲がより好ましい。
Figure 2015187258
(式中、Rは水素原子またはヒドロキシル基を表し、mは前記と同様である。)
Figure 2015187258
(式中、qは0または1の整数を表す。)
Figure 2015187258
(式中、Rおよびnは、前記と同様である。)
化学式(V)または化学式(VI)で示されるイソシアヌレート化合物と、化学式(VII)で示される第1の末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサンは、該イソシアヌレート化合物の分子中のアリル基1当量に対して、第1の末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサンの分子中のSi-H基が0.1〜0.9当量の割合となるように反応させることが好ましく、0.4〜0.7当量(アリル基過剰系)の割合となるように反応させることがより好ましい。これにより、両末端にアリルイソシアヌレート環を有する、アリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体を調製することができる。
前記の反応に使用する触媒としては、白金を含む化合物が好ましく、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、白金カルボニルビニルメチル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド/オクタノール錯体、あるいは活性炭に担持された白金を使用することができる。白金の他には、ロジウム、パラジウムを含む遷移金属化合物を使用することができる。
触媒の配合量(金属質量換算)は、化学式(V)または化学式(VI)で示されるイソシアヌレート化合物(質量)に対して、0.01〜10,000ppmの割合であることが好ましく、0.1〜100ppmの割合であることがより好ましい。
また、前記の反応には、必要に応じて溶剤を使用することができる。溶剤としては、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテルなどを使用することができる。
(B)成分は、前記の化学式(III)または化学式(IV)で示されるように、シロキサン鎖の末端に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を少なくとも2個有するイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、(B)成分は、硬化剤として使用される。
(B)成分としては、シロキサン鎖の末端(即ち、単官能性シロキシ単位中)に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を少なくとも2個有する、イソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体を使用することを特徴とするものである。反応性の高いシロキサン鎖の末端のケイ素原子に結合した水素原子((H)(R)2SiO1/2単位中のSi-H基)を少なくとも2個、好ましくは2〜50個有することによって、(A)成分の分子中の分子鎖末端のアリル基との速やかなヒドロシリル化(付加反応)が可能となる。
前記の化学式(III)または化学式(IV)において、Rは、互いに独立して、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基であり、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化特性、該組成物の硬化物の柔軟性および当該イソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体の合成の容易さの観点よりメチル基であることが好ましく、全Rの50モル%以上(50〜100モル%)がメチル基であることが好ましい。
前記のイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体の重量平均分子量は、通常、500〜10,000であり、好ましくは600〜5,000である。
また、イソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体の25℃における粘度は、通常、0.1〜100Pa・sであり、好ましくは0.5〜10Pa・sである。
(B)成分のイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体は、例えば、前記の化学式(V)または化学式(VI)で示されるイソシアヌレート化合物と、化学式(VIII)で示される末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサン(以下、「第2の末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサン」と云う)とを、従来公知の方法でヒドロシリル化(付加反応)させることにより調製することができる。
前記の反応温度は、室温(25℃)〜250℃とすることが好ましく、50〜180℃とすることがより好ましい。また、反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜決定されるが、0.1〜120時間の範囲が好ましく、1〜10時間の範囲がより好ましい。
Figure 2015187258
(式中、R、nおよびrは、前記と同様である。また、シロキサン繰り返し単位は、ランダムに結合されていてもよい。)
化学式(V)または化学式(VI)で示されるイソシアヌレート化合物と、化学式(VIII)で示される第2の末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサンは、該イソシアヌレート化合物の分子中のアリル基1当量に対して、第2の末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサンの分子中のSi-H基が1.1〜5.0当量の割合となるように反応させることが好ましく、1.1〜3.5当量(Si-H基過剰系)の割合となるように反応させることがより好ましい。
これによりシロキサン鎖の末端に少なくとも2個のSi-H基を有する、イソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体を調製することができる。
第2の末端ハイドロジェンシロキシ基封鎖オルガノポリシロキサンとしては、化学式(IX)〜(XI)で示されるものが挙げられる。
Figure 2015187258
Figure 2015187258
Figure 2015187258
前記の反応に使用する触媒としては、白金を含む化合物が好ましく、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、白金カルボニルビニルメチル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド/オクタノール錯体、あるいは活性炭に担持された白金を使用することができる。白金の他には、ロジウム、パラジウムを含む遷移金属化合物を使用することができる。
触媒の配合量(金属質量換算)は、化学式(V)または化学式(VI)で示されるイソシアヌレート化合物(質量)に対して、0.01〜10,000ppmの割合であることが好ましく、0.1〜100ppmの割合であることがより好ましい。
また、前記の反応には、必要に応じて溶剤を使用することができる。溶剤としては、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル等を使用することができる。
本発明の実施において、(B)成分のイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体の含有量は、(A)成分のアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体の分子中のアリル基1当量に対して、(B)成分中のSi-H基が、0.8〜4.0当量であることが好ましく、1.0〜3.0当量であることがより好ましい。
0.8当量未満または4.0当量を超える場合、硬化不良が発生したり、圧縮成型後の樹脂表面に斑模様が発生する虞がある。
(A)成分と(B)成分の反応により、低弾性、機械的特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、耐水性および気体透過性に優れた硬化物を得ることができる。
なお、主剤である(A)成分のアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体と、硬化剤である(B)成分のイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体は、半導体素子の封止に用いるため、塩素などのハロゲンイオンや、ナトリウムなどのアルカリイオンの含有量を少なくすべきである。これらのイオンは、通常、120℃での抽出により、10ppm以下であることが好ましい。
(C)成分の硬化促進剤としては、ヒドロシリル化の触媒が使用でき、白金系触媒、パラジウム系触媒などの遷移金属触媒や酸化鉄等を使用することが好ましい。中でも遷移金属触媒が好ましく、白金系、パラジウム系、ロジウム系などのものがあるが、コストなどの見地から白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、H2PtCl6・xH2O、K2PtCl6、KHPtCl6・xH2O、K2PtCl4、K2PtCl4・xH2O、PtO2・xH2O(xは正の整数)などや、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコールやビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化促進剤の含有量は触媒量であり、(A)成分と(B)成分の合計に対して、遷移金属の質量換算で0.1〜500ppmの割合であることが好ましい。これ以外の範囲では、硬化不良が発生したり、硬化が速すぎたりして粘度が急上昇して作業性が低下する虞がある。
(D)成分の無機充填剤としては特に制限されず、シリカなどの公知のものを使用することができる。
本発明の実施において、(D)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対し、30〜900質量部の割合であることが好ましく、40〜600質量部の割合であることがより好ましい。樹脂成分((A)成分と(B)成分の合計)に対し、30質量部未満では、十分な強度が得られない虞があり、900質量部を超えると、増粘により流動性が低下し、充填性不良によりサブマウント上に配列された半導体素子の封止が困難になる虞がある。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、エポキシ基を有する有機ケイ素系の接着性向上剤、エチニルメチルデシルカルビノール、トリフェニルホスフィンなどの有機リン含有化合物や、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの有機窒素含有化合物を成分とする硬化抑制剤、アセチレンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラックを成分とする着色剤等が挙げられ、これらを本発明の効果を損なわない範囲で任意に配合することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記各成分を常法により均一に混合することにより調製することができる。
得られた熱硬化性樹脂組成物は、加熱により硬化する。硬化条件として、加熱温度は110〜200℃、好ましくは120〜180℃であり、加熱時間は1〜6時間、好ましくは2〜3時間である。
また、使用するポリシロキサンの種類やポリシロキサンの重合度により、最適の硬化条件が適宜設定されるが、トランスファ成型などの方法を採用することにより、前記の硬化条件にて、半導体素子を封止することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、低弾性、機械的特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、耐水性、気体透過性などに優れた硬化物を得ることができるため、半導体素子の封止材として好適な材料である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、半導体素子を封止した場合、反りの発生が抑えられ、且つ耐熱性および耐湿性に優れた半導体装置を与えることができる。
なお、半導体装置の製造方法に、特に制限はない。
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において使用した主原料は、以下のとおりである。
[主原料]
・アルケニル基含有オルガノポリシロキサン((A)成分/主剤):アリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体(合成例1参照)
・オルガノハイドロジェンポリシロキサン((B)成分/硬化剤):イソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体(合成例2参照)
・塩化白金酸((C)成分/硬化促進剤):塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度2質量%)
・エチニルメチルデシルカルビノール(硬化抑制剤):CAS 100912−15−0
・アセチレンブラック(着色剤):電気化学工業社製、デンカブラック
〔合成例1〕
<アリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体の合成>
テトラメチレンビス(ジアリルイソシアヌレート)846g(1.79モル)、トルエン400gおよび塩化白金酸トルエン溶液0.32g(白金として0.5質量%含有)を2Lのセパラブルフラスコに投入し、100℃に加熱した後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン120g(0.89モル)を滴下し、100℃で8時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去して、無色透明の液体を得た。
H−NMRにより、得られた液体については、テトラメチレンビス(ジアリルイソシアヌレート)のアリル基の一部が1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンと反応していることが確認された。
〔合成例2〕
<イソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体の合成>
トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン900g(2.73モル)、トルエン900gを3Lのセパラブルフラスコに投入し、100℃に加熱した後、塩化白金酸トルエン溶液0.71g(白金として0.5質量%含有)を滴下した。続いて、テトラメチレンビス(ジアリルイソシアヌレート)633g(1.34モル)、トルエン300gを滴下し、100℃で8時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去して、無色透明の液体を得た。
H−NMRにより、得られた液体については、テトラメチレンビス(ジアリルイソシアヌレート)が全て消費され、テトラメチレンビス(ジアリルイソシアヌレート)のアリル基が、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシランの末端のSi-H基と反応していることが確認された。
また、実施例および比較例において採用した評価試験は、以下のとおりである。
[粘度測定]
粘度計(ユービーエム社製、Rheosol-G5000)を使用して行った。
[ガラス転移温度測定]
DSC(SII社製、DSC6220)を使用して行った。
[引張り強度測定]
熱硬化性樹脂組成物を、1.0mm厚板状に成型(150℃×2時間加熱硬化)した後、2号ダンベルにて型を抜いて試験片とした。この試験片について、AUTOGRAPH(島津製作所社製、LoadcellタイプSBL-5KN(つかみ具間距離100.0mm、引張り速度2.0mm/分))を使用して行った。
〔実施例1〕
下記の(1)〜(6)に示す組成となるように、各原料を撹拌機(シンキー社製、あわとり錬太郎ARE-310)を使用して撹拌、混合した後、ピッチ80μmに設定した三本ロールにて3回混練りした。更に撹拌機で混合して、液状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。
なお、主剤と硬化剤の含有割合は、Si-H基/アリル基の当量比で1.0とした。
(1)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤) 58.0質量部
(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(硬化剤) 37.0質量部
(3)塩化白金酸(硬化促進剤) 0.5質量部
(4)シリカフィラー(無機充填剤) 157.8質量部
(5)エチニルメチルデシルカルビノール(硬化抑制剤) 0.5質量部
(6)アセチレンブラック(着色剤) 3.0質量部
得られた熱硬化性樹脂組成物について、評価試験を行ったところ、得られた試験結果は表1に示したとおりであった。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、下記に示す組成となるように、熱硬化性樹脂組成物を調製し、評価試験を行った。得られた試験結果は表1に示したとおりであった。
なお、主剤と硬化剤の含有割合は、Si-H基/アリル基の当量比で1.8とした。
(1)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤) 43.9質量部
(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(硬化剤) 51.1質量部
(3)塩化白金酸(硬化促進剤) 0.5質量部
(4)シリカフィラー(無機充填剤) 157.8質量部
(5)エチニルメチルデシルカルビノール(硬化抑制剤) 0.5質量部
(6)アセチレンブラック(着色剤) 3.0質量部
〔実施例3〕
実施例1と同様にして、下記に示す組成となるように、熱硬化性樹脂組成物を調製し、評価試験を行った。得られた試験結果は表1に示したとおりであった。
なお、主剤と硬化剤の含有割合は、Si-H基/アリル基の当量比で2.2とした。
(1)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤) 39.1質量部
(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(硬化剤) 55.9質量部
(3)塩化白金酸(硬化促進剤) 0.5質量部
(4)シリカフィラー(無機充填剤) 157.8質量部
(5)エチニルメチルデシルカルビノール(硬化抑制剤) 0.5質量部
(6)アセチレンブラック(着色剤) 3.0質量部
〔比較例1〕
主剤としてビニルポリシロキサン(ビニル基含有直鎖状ジメチルポリシロキサン)、硬化剤として分岐鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用して、実施例1と同様にして、下記に示す組成となるように、熱硬化性樹脂組成物を調製し、評価試験を行った。得られた試験結果は表1に示したとおりであった。
なお、主剤と硬化剤の含有割合は、Si-H基/Si-ビニル基の当量比で2.0とした。
(1)ビニル基含有直鎖状ジメチルポリシロキサン(主剤) 87.2質量部
(2)分岐鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(硬化剤) 2.8質量部
(3)塩化白金酸(硬化促進剤) 0.5質量部
(4)シリカフィラー(無機充填剤) 465.7質量部
(5)エチニルメチルデシルカルビノール(硬化抑制剤) 0.5質量部
(6)アセチレンブラック(着色剤) 3.0質量部
Figure 2015187258
表1に示した試験結果によれば、主剤のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしてアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体を使用し、硬化剤のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしてイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体を使用した熱硬化性樹脂組成物の硬化物(実施例1〜3)は、従来の熱硬化性樹脂組成物の硬化物(比較例1)に比べて、耐熱性に優れていることが認められる。

Claims (4)

  1. (A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして、化学式(I)または化学式(II)で示されるアリルイソシアヌレート環含有オルガノポリシロキサン重合体と、
    (B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、化学式(III)または化学式(IV)で示されるイソシアヌレート環含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン重合体と、
    (C)硬化促進剤を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2015187258
    (式中、Rは互いに独立して水素原子またはヒドロキシル基を表し、Rは互いに独立してアルキル基またはフェニル基を表し、mは0〜16の整数を表し、nは1〜50の整数を表し、pは1〜30の整数を表す。)
    Figure 2015187258
    (式中、R、nおよびpは、前記と同様である。qは互いに独立して0または1の整数を表す。)
    Figure 2015187258
    (式中、Rは水素原子またはヒドロキシル基を表し、rは0〜5の整数を表す。R、mおよびnは、前記と同様である。式中の各シロキサン繰り返し単位はランダムに結合されていてもよい。)
    Figure 2015187258
    (式中、R、nおよびrは、前記と同様である。qは0または1の整数を表す。式中の各シロキサン繰り返し単位はランダムに結合されていてもよい。)
  2. (D)無機充填剤を含有することを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. (A)成分中のアリル基1当量に対する(B)成分中のSi-H基が0.8〜4.0当量であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜請求項3の何れかに記載の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して半導体素子を封止したことを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
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