JP2015185509A - リチウムイオン二次電池用負極の製造方法及び製造装置並びにリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バインダとしてポリイミド、ポリアミドイミド及びポリアミドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有するリチウムイオン二次電池用負極の製造に際し、バインダを含む負極合剤スラリーを塗工した負極集電体の温度が200〜400℃となるように、負極合剤スラリーを含む負極集電体に、熱硬化及びプレスを同時に行うために加熱した熱プレスローラによるプレス処理を施す。
【選択図】図3
Description
図5は、リチウムイオン二次電池の積層電極群の一例を示す模式分解斜視図である。
(1)負極活物質
負極活物質としては、特に限定はないが、シリコン(Si)を含む負極活物質(Si系負極活物質)を用いることが好ましい。Si系負極活物質は、前述したように、高エネルギー密度が得られることが期待できる。また、充放電に伴う体積変化は、後述する結着剤を用いることで抑制できる。
結着剤としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)及びポリアミド(PA)よりなる群から選択される少なくとも1種を用いる。このような結着剤を用いることで、負極活物質の膨張・収縮を抑制することができる。上記結着剤は、単独で使用することもできるが、これらを混合したものであってもよい。さらに、これらとポリフッ化ビニリデン(PVDF)やスチレンブタジエンゴム(SBR)など、他の結着剤とを混合したものであってもよい。
正極は、正極集電体及び正極合剤層を含む。正極合剤層は、正極活物質及び結着剤(バインダー)を含む。正極を構成するこれらのものに特に限定はなく、公知のものを用いることができる。
セパレータとしては、正極と負極との短絡を防止する材料であれば、特に限定は無い。例えば、ポリオレフィンなどが好適に用いられる。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどであり、これらを混合したものを用いてもよい。ポリオレフィンにポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリアクリロニトリルなどの耐熱性樹脂を混合したものを用いてもよい。
電解液は、非水溶媒と支持塩とを含む。非水溶媒及び支持塩には特に限定は無い。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の製造方法においては、負極を製造する工程は、前述したように、トリミング工程及びスリット工程を除外すると、次の3つに分けられる。
負極スラリーは、上述した本発明に係る負極合剤層を形成するスラリーである。負極活物質、結着剤及び溶媒の混合には、プラネタリミキサーを好ましく用いることができる。
負極合剤層形成用スラリーの粘度は、3000mPa以上10000mPa以下の範囲が望ましい。ここで、粘度の測定条件は、0.5rpmで600秒経過後の値である。
スラリーの塗工は、合剤層形成用スラリーを、集電体の上に塗工し、乾燥する工程である。このような塗工をすることができる装置としては、コンマコーターやダイコーターがある。
上記のようにスラリーを塗工した集電体を圧縮成形(プレス)することにより、負極を得る。本発明においては、前述のように、図4A又は図4Bの装置を用いて、200℃〜400℃の範囲で熱プレスローラの温度制御が可能な熱ロールプレス機を用いた。熱ロールプレス工程における負極合剤の温度は、150℃以上300℃以下であることが望ましい。プレス速度が速い場合、外気温が低い場合等、熱プレスローラの温度と同等の高温とならない場合のため、熱プレスローラの上限温度は+100℃としている。
(1−1)実施例1の負極スラリーの作製
負極活物質と、導電剤と、結着剤と、溶媒とを混合し、負極スラリーを調製した。
組成を変更し、実施例2〜6の負極スラリーを調整した。実施例2及び3は、負極活物質のSiOに代えて、Si合金(Si‐鉄(Fe)合金)又はSn合金(Si‐ニッケル(Ni)合金)を用いたものである。実施例4〜6はそれぞれ、結着剤のPAIに代えて、PI若しくはPA、又はPAIとPVDFとの混合物を用いたものである。
実施例1〜6の負極は、負極集電体として銅箔を用い、上記の負極スラリーを負極集電体の上に塗工し、乾燥させた後、窒素雰囲気下、熱ロールプレス機で圧縮成形することにより作製した。
実施例1と同様の負極スラリーを使用し、製造条件等を変えて実施例7〜13の負極を作製した。実施例7は、実施例1の負極集電体の銅箔に代えてSUS箔を用いた例である。実施例8は、実施例1の負極合剤の塗工量を120g/m2とした例である。実施例9、10は、熱プレスローラの温度を200℃及び400℃に変えた例である。実施例11は、熱ロールプレスの雰囲気を大気中とした例である。実施例12は、実施例11の負極集電体をSUS箔に変更した例である。実施例13は、プレス速度を50m/分に変えた例である。
比較例1は、図2に記載された作製方法で負極をロール状に巻き取った状態で熱硬化したものである。実施例1と同じ負極スラリーを作製し、銅箔よりなる負極集電体上に塗布、乾燥させた後、120℃で熱ロールプレスを行った。プレス後、巻き取ってロール状とし、300℃の真空乾燥機で1時間乾燥させた。
正極は、正極集電体としてアルミニウム箔を用意し、該アルミニウム箔に、正極活物質、結着剤及び溶媒を含む正極合剤層形成用スラリーを塗工して乾燥し、圧縮成形することにより作製した。
上述のとおり作製した正極及び負極を用いて、図5及び図6に示すリチウムイオン二次電池の試験セルを作製した。
上記で作製した実施例1〜12、比較例1〜4のリチウムイオン二次電池について、下記の評価を行った。
作製後の負極において、負極集電体と負極合剤層との剥離の有無を目視で確認した。
負極合剤層の幅方向の厚み差を、段差計(明産社製、型式:ロータリーキャリパー計RC−1)を用いて測定した。結果を表2に併記する。
作製したラミネートセルを用いて、電圧4.2V、電流1/3CAの定電流充電後、2時間定電圧充電した。放電は、電圧2.5V、電流1/3CAで定電流放電した。その後、前述の充電を行い、DCRを測定した。DCRは、電圧4.2Vから電流5CAで10秒間放電し、この際の電圧変化と電流5CAとの商から算出した。結果を表2に併記する。
作製したラミネートセルを用いて、電圧4.2V、電流1/3CAの定電流充電後、2時間定電圧充電した。放電は、電圧2.5V、電流1/3CAで定電流放電した。これらを100サイクル繰り返し、100サイクル目の放電容量と1サイクル目の放電容量との商から容量維持率を算出した。結果を表2に併記する。
上記の実施例のようにプレス工程と熱硬化とを同時に行った場合と、プレス工程と熱硬化とを分けて行った場合とについて、ピール強度を比較した。ここで、ピール強度試験は、JIS K5600−5−6(クロスカット法)に準拠し、電極面積2cm2で実施した。
(b)300℃の熱プレスローラでプレス及び熱硬化を同時に行った場合:1N〜3N
以上説明したように、本発明によれば、温度のばらつきによるバインダの密着性の低下及び付着状態の不均一化を抑制することができる。これにより、リチウムイオン二次電池の直流抵抗(DCR)を低減し、かつ、サイクル寿命を向上することができる。
Claims (21)
- 負極活物質と、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリアミドよりなる群から選択される少なくとも1種のバインダとを含む負極合剤層と、負極集電体とを備えたリチウムイオン二次電池用負極を製造する方法であって、
前記バインダと前記負極活物質とを含む負極合剤スラリーを前記負極集電体の表面に塗工する工程と、
前記負極合剤スラリーを塗工した前記負極集電体の温度が150〜300℃となるように、加熱した熱プレスローラによりプレス処理を施す熱ロールプレス工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記熱ロールプレス工程は、前記負極合剤スラリーを塗工した前記負極集電体の温度が200〜300℃となるように前記プレス処理を施すことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記熱ロールプレス工程は、前記熱プレスローラの温度を200〜400℃とすることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記熱ロールプレス工程は、大気中又は非酸素雰囲気下で行われることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記熱ロールプレス工程の後に、前記負極集電体を冷却する冷却工程を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項5記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記冷却工程は、前記負極集電体の温度を150℃以下とする工程であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項6記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記熱ロールプレス工程、及び前記冷却工程は、非酸素雰囲気下で行われることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項4又は7に記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記非酸素雰囲気は、窒素雰囲気又は真空中であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記負極集電体は、銅又はステンレス鋼で形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記熱ロールプレス工程におけるプレス圧は、1〜50kg/cm2であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記熱ロールプレス工程における負極集電体の処理速度は、50m/分以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記負極合剤スラリーは、N‐メチル‐2‐ピロリドンを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記負極合剤スラリーの塗工量は、前記負極集電体の片面に10〜120g/m2であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法であって、
前記負極合剤スラリーを塗工する工程の後、前記熱ロールプレス工程の前に80〜120℃で前記負極合剤スラリーを乾燥させる乾燥工程を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 負極活物質並びにポリイミド、ポリアミドイミド及びポリアミドよりなる群から選択される少なくとも1種のバインダを含む負極合剤層と、負極集電体とを備えたリチウムイオン二次電池用負極であって、
請求項1〜14のいずれか一項に記載されたリチウムイオン二次電池用負極の製造方法により製造されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。 - 請求項15記載のリチウムイオン二次電池用負極であって、
前記負極活物質は、Si又はSnを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。 - 請求項15記載のリチウムイオン二次電池用負極であって、
前記負極合剤層の空隙率は、20〜40%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。 - 正極と、負極と、セパレータと、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池であって、
前記負極は、請求項15〜17のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 負極合剤層と、負極集電体とを備えたリチウムイオン二次電池用負極を製造する装置であって、
前記負極合剤層を備えた前記負極集電体に、前記負極集電体の温度が150〜300℃となるように熱ロールプレス処理を施す熱プレスローラを備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造装置。 - 請求項19記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造装置であって、
前記熱プレスローラを非酸素雰囲気に配置するための非酸素ガス置換室を備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造装置。 - 請求項19又は20に記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造装置であって、
前記熱ロールプレス処理を施された前記負極集電体を冷却する冷却ローラを備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造装置。
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