JP2015185452A - 固体酸化物形燃料電池用電極、その製造方法及び固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸化物形燃料電池用電極は、固体電解質層に接して配設される電極層と、電極層の固体電解質層が配設される側と電極層を挟んで反対側に接して配設される集電体を具備し、電極層の集電体が配設される側の少なくとも一部の表面に配設される導電パス層と、電極層と導電パス層との間に配設される中間層を備える。導電パス層は、電極層の導電性より高い導電性を有する導電パス層材料などからなる複数の導電パス層材料粒子からなり、導電パス層材料粒子同士が接合された構造を有する。中間層は、電極層を形成する電極層材料と導電パス層材料とからなり、中間層の厚み方向において導電パス層との距離が近づくにしたがって導電パス層材料の含有割合が増加する組成傾斜構造を有する。
【選択図】図3
Description
そして、この固体酸化物形燃料電池は、外部から水素や炭化水素などの燃料ガスを燃料極に供給すると共に、空気などの酸化剤ガスを空気極に供給することによって、電気を発生させることができる。
また、燃料極及び空気極には、これら電極表面に集電体が配設されている。また、燃料極又は空気極と集電体との導電性を向上させるために、燃料極や空気極に導電性粒子を混合し、導電パスを形成するものが知られているが、導電パスの形成が難しかった。
この固体酸化物形燃料電池は、電解質を介して、一方面に燃料極、他方面に空気極を配置した構造を持つ電池構造を有し、燃料極上及び空気極上の少なくとも一方に、各々の燃料極及び空気極が露出する露出領域を残しつつ集電体を印刷形成したものである。
そして、導電パス層は、電極層の導電性と同等の導電性を有する材料及び電極層の導電性より高い導電性を有する材料の少なくとも一方の導電パス層材料からなる複数の導電パス層材料粒子からなり、導電パス層材料粒子同士が接合された構造を有する。
また、中間層は、電極層を形成する電極層材料と導電パス層材料とからなり、中間層の厚み方向において導電パス層との距離が近づくにしたがって導電パス層材料の含有割合が増加する組成傾斜構造を有する。
そのため、剥離し難い導電パス層を備え、優れた導電性を有する固体酸化物形燃料電池用電極、その製造方法及び固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
まず、第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用電極について詳細に説明する。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用電極は、電極層と、集電体とを具備し、導電パス層と所定の中間層とを備えるものである。
そして、電極層は、固体電解質層に接して配設され、集電体は、電極層の固体電解質層が配設される側と電極層を挟んで反対側に接して配設される。
また、導電パス層は、電極層の集電体が配設される側の少なくとも一部の表面に配設され、電極層の導電性と同等の導電性を有する材料及び電極層の導電性より高い導電性を有する材料の少なくとも一方の導電パス層材料からなる複数の導電パス層材料粒子からなり、導電パス層材料粒子同士が接合された構造を有する。
更に、中間層は、電極層と導電パス層との間に配設され、電極層を形成する電極層材料と導電パス層材料とからなり、中間層の厚み方向において導電パス層との距離が近づくにしたがって導電パス層材料の含有割合が増加する組成傾斜構造を有する。
また、電極層の導電性と同等の導電性を有する材料及び電極層の導電性より高い導電性を有する材料の少なくとも一方の導電パス層材料からなる複数の導電パス層材料粒子からなり、導電パス層材料粒子同士が接合された構造を有する導電パス層を備えることによって、十分な導電パスが形成され、導電性が向上する。
つまり、このような構成とすることにより、剥離し難い導電パス層を備え、優れた導電性を有する固体酸化物形燃料電池用電極となる。また、このような固体酸化物形燃料電池用電極を固体酸化物形燃料電池に適用すると、セル出力を向上することができる。
次に、第2の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池について詳細に説明する。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、固体電解質層と、上述した第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用電極とを有するものである。なお、本発明の固体酸化物形燃料電池においては、空気極及び燃料極のいずれか一方が、上述した第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用電極であればよく、空気極及び燃料極の双方が上述した第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用電極であってもよい。
このような構成とすると、固体酸化物形燃料電池は出力が向上したものとなる。特に、高温条件下においても高い出力を安定して得ることができる。
次に、第3の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法について詳細に説明する。なお、本実施形態の固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法は、上述した第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法の一実施形態である。したがって、本発明の固体酸化物形燃料電池用電極は、このような製造方法によって製造されたものに必ずしも限定されるものではない。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法は、上述した第1の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池用電極を製造するに当たり、電極層の少なくとも一部の表面に、電極層の導電性と同等の導電性を有する材料及び電極層の導電性より高い導電性を有する材料の少なくとも一方の導電パス層材料からなる導電パス層材料粒子を衝突させることにより中間層と導電パス層とを形成する製造方法である。
まず、固体電解質層としての酸化イットリウムで安定化した酸化ジルコニウム(YSZ)板と、燃料極層材料としてのニッケル(Ni)及びYSZと、集電体としてのステンレスワイヤとを用意した。
図2に示すように、電極前駆体1’の電極層2やその一部であるリブ2aの表面に、超音速成膜ノズルNから導電パス層材料粒子の一例であるNi粒子pを衝突させることにより、電極前駆体1’の表面に中間層6と導電パス層8とを形成して、図3に示すような、本例の電極1を得た。なお、図2及び図3中の10は固体電解質層であり、YSZ板からなる。
図4に示すように、本例の電極には、その表面に導電パス層材料粒子であるNi粒子からなり、複数のNi粒子同士が接合された構造を有する導電パス層8が形成されていることが分かる。また、図5に示すように、本例の電極においては、電極層2内に導電パス層材料粒子であるNi粒子が殆ど侵入しておらず、電極層2の表面に導電パス層8が形成されていることが分かる。更に、図6に示すように、本例の電極には、電極層の構成材料の一例である電極層材料粒子(YSZ粒子)2Aの表面上に導電パス層8が形成されていることが分かる。
図7に示すように、本例の電極においては、その表面に電極層2の構成材料の一例である電極層材料粒子(YSZ粒子)2Aの表面に導電パス層材料粒子であるNi粒子からなり、複数のNi粒子同士が接合された構造を有する導電パス層8が形成されており、電極層2と導電パス層8との間に電極層材料粒子の一例であるYSZ粒子2Aと導電パス層材料粒子であるNi粒子8Aとからなる中間層6が形成されている。
(剥離抑制性能試験)
本例の電極について、剥離抑制性能試験を行った。具体的には、950℃で10時間焼成したときの焼成前後の導電パス層の状態を走査型電子顕微鏡(EDX)で観察した。図10(A)及び(B)は、それぞれ焼成前及び焼成後のYSZ粒子の表面に形成された導電パス層の状態を示す走査型電子顕微鏡(EDX)写真である。
本例の電極について、750℃の還元雰囲気下で、集電体と固体電解質層側の電極層下端とに電流及び電圧を与える導電性能試験を行った。具体的には、電圧差を4V一定とし、一定電圧負荷における電流変化に対しての抵抗変化を測定した。得られた抵抗値から接触抵抗(ASR)を算出した。
本例の電極における抵抗値は、2.82×10−4Ωcm2であった。
超音速成膜ノズルから最も遠い電極面にNi粒子が成膜できないように、Ni粒子を、乗せるガス流れ速度を半減させてガス溜まりを設けたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、中間層及び導電パス層が電極層のリブの表面のみに形成して、本例の電極を得た。図11は、本例の電極を模式的に示す説明図である。図11に示すように、本例の電極1Aは、電極層2と集電体4とを備え、中間層6及び導電パス層8が電極層2のリブ2aの表面のみに形成されたものである。なお、成膜後、セルの重量増加分を測定し、Ni成膜重量を算出した結果、単位電極面積当たりのNi粒子成膜量は、実施例1と概ね同じであった。そのため、導電パス層の成膜部位違いの比較が可能であった。
(導電性能試験)
本例の電極について、実施例1と同様の操作を繰り返して、接触抵抗(ASR)を算出した。
本例の電極における抵抗値は、3.05×10−4Ωcm2であった。
まず、固体電解質層としての酸化イットリウムで安定化した酸化ジルコニウム(YSZ)板と、燃料極層材料としてのニッケル(Ni)及びYSZとを含む燃料極層材料スラリーと、導電パス層材料としてのニッケル(Ni)を含む導電パス層材料スラリーと、集電体としてのステンレスワイヤとを用意した。
(剥離抑制性能試験)
本例の電極について、実施例1と同様の操作を繰り返して、剥離抑制性能試験を行った。図13(A)及び(B)は、それぞれ焼成前及び焼成後のYSZ粒子の表面に形成された導電パス層の状態を示す走査型電子顕微鏡(EDX)写真である。
まず、固体電解質層としての酸化イットリウムで安定化した酸化ジルコニウム(YSZ)板と、燃料極層材料としてのニッケル(Ni)及びYSZとを含む燃料極層材料スラリーと、導電パス層材料としてのニッケル(Ni)及びYSZとを含む導電パス層材料スラリーと、集電体としてのステンレスワイヤとを用意した。
(導電性能試験)
本例の電極について、実施例1と同様の操作を繰り返して、接触抵抗(ASR)を算出した。
本例の電極における抵抗値は、3.38×10−4Ωcm2であった。
1’ 電極前駆体
2 電極層
2A 電極層材料粒子
2a リブ
4 集電体
6 中間層
8 導電パス層
8A 導電パス層材料粒子
10 固体電解質層
N 超音速製膜ノズル
p 導電パス層材料粒子
Claims (5)
- 固体電解質層に接して配設される電極層と、
上記電極層の上記固体電解質層が配設される側と該電極層を挟んで反対側に接して配設される集電体と、を具備し、
上記電極層の上記集電体が配設される側の少なくとも一部の表面に配設され、該電極層の導電性と同等の導電性を有する材料及び該電極層の導電性より高い導電性を有する材料の少なくとも一方の導電パス層材料からなる複数の導電パス層材料粒子からなり、該導電パス層材料粒子同士が接合された構造を有する導電パス層と、
上記電極層と上記導電パス層との間に配設され、該電極層を形成する電極層材料と上記導電パス層材料とからなる中間層と、を備え、
上記中間層が、該中間層の厚み方向において上記導電パス層との距離が近づくにしたがって上記導電パス層材料の含有割合が増加する組成傾斜構造を有する
ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電極。 - 上記中間層が、上記電極層材料を構成する少なくとも1種の成分元素と上記導電パス層材料を構成する少なくとも1種の成分元素とを含有する複合材料を含まないことを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 上記中間層の厚みが、0.1〜2μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極と、固体電解質層とを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極を製造するに当たり、
電極層の少なくとも一部の表面に、該電極層の導電性と同等の導電性を有する材料及び該電極層の導電性より高い導電性を有する材料の少なくとも一方の導電パス層材料からなる導電パス層材料粒子を衝突させることにより中間層と導電パス層とを形成する
ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法。
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