しかしながら、特許文献1に開示された発明による警報に従って速度超過するのを未然に防止することにより、車両の走行速度を法定速度以下に保つようにした場合であっても、前車両等への追突事故が発生する場合がある。実際に交通人身事故の多くは、追突によるものとなっている。その原因としては、速度超過や前方不注意とともに車間距離の不保持があげられる。
本発明は、従来よりも適切に安全運転を支援することのできる車両用警報装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明に係る車両用警報装置は、(1)自車両の前方物との距離を検出する距離検出手段と、速度測定装置への接近警報を報知する速度測定装置接近警報報知機能を備えた警報手段と、を備え、前記警報手段は、前記距離検出手段によって検出された自車両の前方物との距離に基づき車間警報を報知する車間警報報知機能を有し、前記速度測定装置接近警報報知機能による報知と前記車間警報報知機能による報知を異なる態様で行うようにした。
速度測定装置への接近の有無の検知は、例えば、検出対象である速度測定装置の位置情報を記憶する記憶部と、GPS検出器等の現在位置を検出する位置検出手段を設け、車両の現在位置と、記憶部に格納した速度測定装置の位置が所定の関係(一定距離以下に接近)にあるか否かにより判断するようにしたり、速度測定装置がマイクロ波を出射するタイプのものでは、マイクロ波検出手段を設け受信した所定の周波数帯のマイクロ波に基づいて速度測定装置の接近を検出したりするなど、各種のものが適用できる。
警報手段は、速度測定装置接近警報機能により速度測定装置の接近を検知した場合にそれに基づく警報を行うと共に、距離検出手段によって検出された自車両の前方物との距離に基づく車間警報を報知する。よって、従来よりも適切に安全運転を支援することができる。また報知の態様の違いにより、速度測定装置接近警報であるか車間警報であるかが分かり、それぞれの警報に応じてすぐに適切な対処をすることが可能となる。なお、実施形態では、距離検出手段による検出対象となる前方の目標物は、前方を走行する車両としたが、本発明はこれに限ることはなく、路上に設置等される各種の物体や、人その他の動物も含む。
報知は、例えば音や光で行うことができ、音声出力や表示画面への表示などで行うと特によい。また、速度測定装置接近警報報知機能による報知と車間警報報知機能による報知とを異なる態様で行うとは、例えば、音や光の出力内容や方法を両機能で異なるものとするものを含む。例えば、単純なビープ音で報知する場合には、速度測定装置接近警報報知機能による報知は「ピッピッピッピッ」という短い音の繰り返しで行う一方、車間警報報知機能による報知は「ピーピーピーピー」という長い音の繰り返しで行う。また例えば光の点滅で行う場合も音の場合と同様に点灯の長さを両機能で異なる長さとするとよい。また、表示で行う場合には、両機能で異なる図柄を表示するとよい。
なお、自車両の速度を検出する速度検出手段を更に備え、警報手段は、車間警報機能による報知は、例えば、距離検出手段によって検出された距離に応じて異なる態様で報知するようにするとよい。例えば距離が近くなるにつれ大きな音や目立つ表示等で報知するようにするとよい。
また、自車両の前方物との距離と自車両の速度とに基づき車間警報を報知するようにしてもよい。なお、自車両の前方物との距離と自車両の速度とに基づき車間警報を報知するとは、例えば、自車両の前方物との距離が所定の距離(例えば10m)以下であり、速度が所定速度以上(例えば10km/h)の場合に車間警報を報知する。また、例えば、速度が遅い時は告知せず、速度が上がるにつれ、告知を開始する車間距離を延ばすようにするとよい。
(2)前記警報手段は、前記速度測定装置接近警報と前記車間警報との双方が必要な場合には、前記車間警報を優先して報知する機能を備えるとよい。車間警報を速度測定装置接近警報よりも優先して報知することで、適切に車間警報を行うことができる。なお、速度測定装置接近警報と前記車間警報との双方が必要な場合には、このように車間警報を優先して報知した後に速度測定装置接近警報を報知するようにするとよい。この場合、例えば速度検出手段を設け、速度測定装置接近警報は、例えば速度検出手段によって所定の速度(例えば時速60km以上)が検出された場合に行ったり、例えば加速度検出手段を備えて、加速度検出手段によって所定の加速が検出された場合にのみ行ったりするようにしてもよい。このようにすれば、車間警報とマイクロ波検出警報の双方が連続して報知されることによって、ユーザが報知を煩わしく感じてしまうことを抑制できる。また、例えば車間警報を聞いて減速しているにもかかわらず、速度測定装置接近警報がなされて煩わしく感じてしまうことを抑制できる。
(3)車間距離の変化量を検出する車間距離変化量検出手段を備え、前記警報手段は、前記車間距離変化量検出手段によって検出された変化量が所定のレベル以下の場合には、前記車間警報を抑制するようにするとよい。このようにすれば、車両が前方物に急激に接近した場合や、車両の前方に急激に前方物が現れた場合にのみ警報が報知されることとなる。よって、自車が徐々に対象物に近づいた場合のように変化量が少ない場合には報知しないので、例えば信号待ちの車両の後ろに付く場合などに報知が頻繁になされてしまうといった問題がなくなる。なお、「車間警報を抑制する」とは、実施形態のように、完全に報知を行わないことはもちろんのこと、報知を目立たなくすることを含む。
(4)上記の(3)の発明を前提とし、前記警報手段は、前記車間距離変化量検出手段によって検出された変化量が所定のレベル以下の場合であっても、前記距離検出手段によって検出された自車両の前方物との距離が所定の距離以下になった場合には、警報を報知する機能を付加するとなお良い。上記の所定の距離は、前方物との衝突が予測される最大距離と衝突の可能性がない最小距離との中間の距離とするとよい。このようにすれば、車間距離の変化量が小さい場合、すなわち、徐々に前方物へ接近している場合などでも、前方物との衝突の危険性が生じた場合に、その旨をドライバー等に知らせることができる。
(5)前記車両の走行中の道路種別を識別する道路種別識別手段を備え、前記警報手段は、前記道路種別識別手段によって識別された道路種別が高速道路である場合には、前記車間警報を前記自車両の前方物との距離が所定の安全車間距離でない場合に行い、前記道路種別が一般道路である場合には、前記車間警報を、前記自車両の前方物との距離が所定の追突危険距離である場合に行うようにするとよい。ここで、安全車間距離は、例えば100mなどのように、高速道路を法定速度で走行している場合に設定される一般的な距離を用いることができる。このようにすると、法定速度以下で走行している場合には、十分に安全な距離が確保できることになるので、問題がない。また、例えば、時速100kmで100m、時速80kmで80mとすることもできる。この場合には、速度検出手段を設け、現在速度を認識し、その速度に応じて安全距離を切り替えることになる。これにより、より現在の走行状態に合わせた制御が行える。もちろん、他の設定も可能である。道路種別が高速道路であると識別された場合には、少なくとも安全車間距離でない場合に車間警報を行う。一方道路種別が一般道路であると識別された場合には、追突危険距離(例えば、10m)である場合に車間警報を行う。このようにすることで、高速道路を走行している際の追突の危険性を低減させるとともに、一般道路で車間警報が頻繁に報知される煩わしさを防止することができる。なお、道路種別が高速道路であると識別された場合には、安全車間距離でない場合の車間警報と追突危険距離である場合の車間警報の双方を行うようにしてもよい。この場合、双方の車間警報の態様を異なるものとするとよい。
(6)交通事故の発生箇所に関する情報を記憶する交通事故情報記憶手段を備え、前記警報手段は、前記交通事故情報記憶手段に記憶された交通事故の発生箇所に関する情報と、車両の位置を検出する位置検出手段によって検出された位置情報と、に基づいて前記車間警報の態様を変更するようにするとよい。例えば、交通事故の発生箇所に関する情報として、事故多発地点の座標(例えば緯度経度)を記憶しておき、GPS受信機等の位置検出手段によって検出された位置情報が事故多発地点の座標と近接している場合には車間警報を発すべき車間距離を相対的に長くする一方、近接していない場合には相対的に短くする。このように、事故多発地点であるか否かに基づいて車間警報を発するべき車間距離を変えることで、走行地点の特性に応じた適切な車間警報を行うことができ、事故を未然に防止することに貢献する。つまり、本発明によれば、交通事故の発生箇所に関連して車間警報の態様が変わるため、ドライバーに交通事故の発生箇所の付近であることを意識させたり、あるいは、このような場所で、より車間距離をとるような注意を促したりすることができる。
(7)緊急車両を検知する緊急車両検知手段を備え、前記警報手段は、前記緊急車両検知手段によって緊急車両が検知された場合には、前記車間警報の態様を変更するようにするとよい。このようにすれば、緊急車両が検知された場合には、車間報知の態様が変わるので、ドライバーは適切な対応をとることができる。
(8)前記距離検出手段によって検出された自車両の前方物との距離に基づき当該距離検出手段の距離検出頻度を調整する調整手段を備えるとなお良い。調整手段は、例えば、距離検出手段によって検出された自車両の前方物との距離が短い場合には、距離検出手段の距離検出頻度を多くし、自車両の前方物との距離が長くなるにつれ距離検出頻度を少なくするようにする。このようにすれば、距離検出手段における消費電力を小さくすることができるので、たとえば、車両用警報装置の電源としてバッテリーや太陽電池等を利用した場合に、電池等の消耗を抑えることができ、効果が大きい。
(9)上記の(1)から(8)のいずれかに記載の車両用警報装置における各手段のうち少なくとも1つの手段の出力状態をその出力時間とともに記録する記録手段を備えるとよい。例えば、記憶手段は、距離検出手段によって検出された自車両の前方物との距離と、速度検出手段によって検出された自車両の速度と、警報手段によって警報された車間警報の内容とを、時間(例えば時刻)とともに所定の記憶媒体に記憶することで、いつどのような車間距離と速度で走行し、どのような警告がなされたかを、後から分析したり、検証したりすることが可能となる。
本発明では、車間距離の情報も加味して警報がなされるので、従来よりも適切に安全運転を支援することのできる車両用警報装置を構成することができる。
図1,図2は、本発明の車両用警報装置の好適な一実施形態を示している。図1に示すように、ケース本体1の上面にソーラーパネル2並びにスイッチ部3を配置し、ケース本体1の前面側内部にマイクロ波受信器4及び車間距離測定器22を配置し、ケース本体1の後面に表示部5と警報ランプ6と赤外線通信機7とを配置している。また、ケース本体1の上面側内部には、GPS受信機8を配置する。さらに、ケース本体1の一方の側面には、アダプタージャック9を配置し、他方の側面には電源スイッチ10並びにDCジャック11を配置する。また、ケース本体1内には、スピーカ20も内蔵されている。
図2に示すように、赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線送受信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行う。アダプタージャック9は、メモリカードリーダ13を接続する端子である。アダプタージャック9にメモリカードリーダ13を接続することで、そのメモリカードリーダ13に装着されたメモリカード14に格納されたデータを内部に取り込むことができる。より具体的には、メモリカード14に格納されたデータは、新規な目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などの更新情報があり、その更新情報が制御部18経由で車両用警報装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)され、データ更新がされる。データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。なお、データベース19には、出荷時に一定の目標物に関する情報が登録されており、その後に追加された目標物についてのデータ等が上記のようにしてデータ更新される。また、データ更新は、赤外線通信機7を介して行うこともできる。目標物の情報には、検出対象の速度測定装置の設置位置や、事故多発地点の情報が含まれる。
マイクロ波受信器4は、所定周波数帯のマイクロ波を受信するもので、その設定された周波数帯のマイクロ波を受信した場合に、その受信したマイクロ波の信号レベルを検出する。具体的には、その信号レベルであり電界強度に対応するRSSI電圧を利用する。
DCジャック11は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。更に、本実施形態の車両用警報装置は、無線受信機15とリモコン受信機16を備えている。無線受信機15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信機16は、リモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、車両用警報装置に対する各種の設定を行う。また、スイッチ部3も制御部18に接続され(図示省略)、リモコン17と同様の設定を行えるようになっている。
車間距離測定器22は、前方車両までの車間距離を測定するものである。この車間距離測定装置22は、レーザ発光部と、レーザ受光部と、車間距離算出部と、を備える。レーザ発光部は、レーザビームを前方に向けて出射するものである。この前方に向けて照射されたレーザビームは、前方車両に至り、そこにおいて反射される。そして、その反射光(レーザビーム)が、レーザ受光部にて受光される。車間距離算出部は、レーザ発光部からレーザビームが出射されたときから、反射光がレーザ受光部で受光されるまでに要する時間を求め、その求めた時間と、光速とに基づいて、前方車両までの車間距離を算出する。算出した車間距離は、制御部18に与えられる。なお、レーザ発光部から出射するレーザビームの出射方向は、常に一定としても良いし、所定の振り幅で変えるようにしても良い。また、レーザビームに変えて、ミリ波などを用いることもできる。
制御部18は、上記の各種の入力機器(受信機・測定器等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5,警報ランプ6,スピーカ20等)を制御して所定の警報・メッセージを出力する。
第1実施形態における制御部18は、割り込みコントローラを有するマイコンを備え、マイクロ波受信器4から与えられる“受信されたマイクロ波のレベル”、すなわち、RSSI電圧の値が予め定めた基準値を超えた場合にマイクロ波受信割り込みがかかる構成である。また、車間距離測定器22によって測定された車間距離が基準距離(たとえば10m以下)になった場合に、車間距離測定器22から車間距離接近割り込みがかかる構成としている。そして、マイクロ波受信割り込みよりも車間距離接近割り込みの優先度を高く割り込みコントローラに設定している。
制御部18は、マイクロ波受信割り込みが発生した場合に、図3(a)に示すマイクロ波受信割り込み処理を行う。すなわち、制御部18は、マイクロ波受信器4の出力を取得し、信号レベルが基準値を超えるか否かを判定する(S1,S2)。そして、基準値を超える場合、制御部18は、所定のマイクロ波警報動作を行う(S3)。所定のマイクロ波警報動作の一例としては、スピーカ20から「ピッピッピッピッ」という短い音の繰り返しで警報音を発するとともに、マイクロ波発信源を模式的に示す図と「マイクロ波受信中 スピード注意」といった文字とを表示部5に表示させる第一の処理を行う。なお、この基準値は従来のマイクロ波検出器と同様の値とすればよい。
また、制御部18は、車間距離接近割り込みが発生した場合に、図3(b)に示すマイクロ波受信割り込み処理を行う。すなわち、車間距離測定器22によって測定された車間距離が基準距離(たとえば10m以下)になった場合に、車間距離測定器22からの割り込みを受け、当該割り込みによる優先処理(第二の処理という)を行う。車間距離測定器22は、車間距離を求める機能に加え、その求めた車間距離と基準距離とを比較し、当該車間距離が基準距離以下の場合に制御部18に対して車間距離接近割り込み信号を与える機能を有する。制御部18の割り込みコントローラには、マイクロ波受信割り込みよりも車間距離接近割り込みの優先度を高く設定しているので、マイクロ波受信割り込みの処理である図3(a)に示すフローチャートの処理(第一の処理)中に、車間距離測定器22からの車間距離接近割り込みがあった場合には、制御部18は、第一の処理より優先度の高い第二の処理である車間警報を実行する(S6)。これにより、この第二の処理は、第一の処理に優先して行われることとなる。第二の処理は、スピーカ20から「ピーピーピーピー」という長い音の繰り返しで警報音を発するとともに、車両と車両とが衝突する様子を模式的に示す図と「車間10m以下 車間注意」といった文字とを表示部5に表示させる処理である。このように、車間警報をマイクロ波検出警報よりも優先して報知することで、適切に車間警報を行うことができる。また、上述したように、本実施形態では、マイクロ波警報報知機能による報知(第一の処理)と車間警報報知機能による報知(第二の処理)とを異なる態様で行っている。
なお、第一の処理中に車間距離接近割り込みが発生した場合、優先順位の高い第二の処理を行った後、割り込み時の第一の処理へ処理に復帰する。つまり、車間距離測定器22は、車間距離が基準距離以下の場合には、割り込み信号を発生し続け、基準距離よりも離れると割り込み信号を停止するように設定されている。すると、車間距離が基準距離以下の状態が続くと、処理ステップS6を繰り返し実行し続け、第二の処理が継続して行われることになる。
また、車間警報機能による報知は、例えば、車間距離測定器22から与えられる車間距離に応じて異なる態様で報知するようにする機能を付加すると良い。例えば処理ステップS6の車間警報処理において、車間距離測定器22から取得した車間距離が小さく(近く)なるにつれて大きな音や目立つ表示等で報知するようにするとよい。
なお、マイクロ波検出に基づく警報報知機能によるマイクロ波検出警報と、車間距離に基づく警報報知機能による車間警報との双方が必要な場合には、このように車間警報を優先して報知した後にマイクロ波検出警報を報知するようにするとよい。この場合、マイクロ波検出警報は、例えば車両の走行速度を検出する速度検出手段によって所定の速度(例えば時速60km以上)が検出された場合に行ったり、例えば加速度検出手段を備えて、加速度検出手段によって所定の加速度が検出された場合にのみ行ったりするようにしてもよい。このようにすれば、車間距離に基づく警報(第二の処理)とマイクロ波検出に基づく警報(第一の処理)の双方が連続して報知されることによって、ユーザが報知を煩わしく感じてしまうことを抑制できる。
また、速度検出手段を設け、車間距離と自車両の速度とに基づき車間警報を報知する(第二の処理)を実行する機能を設けても良い。例えば、車間距離が基準距離(例えば10m)以下であり、速度が所定速度以上(例えば10km/h以上)の場合に車間警報を報知するようにすることができる。このようにすると、たとえば、渋滞発生時には、前方車両との車間距離が基準距離以下に接近することが多々あり、そのような場合に第二の処理が頻繁に実行され、車間距離に基づく警報が頻繁に発生されるのを抑制できる。
また、速度検出手段を設け、さらに、車間距離測定器22から車間距離情報を取得するようにした場合に、制御部18は、速度が上がるにつれ、告知を開始する車間距離を延ばすようにすることもできる。この場合において、速度が遅い時(例えば10km/h以下)は報知しないようにしてもよい。
なお、速度検出手段は、具体的な走行速度を検出するものに限ることはなく、車速に応じた値を検出し、出力できるものでもよい。たとえば、振動センサを用いることができる。走行条件が同じ場合、一般的に、走行速度が速くなるほど、振動も大きくなる傾向にある。従って、所定の車速に対応する振動センサの出力値を基準値として設定しておき、振動センサの出力値が基準値以上の場合には報知を抑制し、基準値未満の場合には報知をするように構成できる。また、速度検出手段は、具体的なセンサ・測定装置を別途設けるものに限ることはなく、たとえば、GPS受信器8による車両の位置情報と、経過時間情報を利用して車速を算出するようにしてもよい。
さらにまた、制御部18は、GPS受信器8で認識した現在の自車両の位置と、データベース19に格納した目標物の位置情報等から、たとえば進行方向前方の所定範囲内に検出対象の目標物があるか否かを判断し、警報・報知条件に合致する目標物がある場合には、その目標物の種類に応じた警報をする機能を備える。この位置情報に基づく目標物の警報は、上記の第一の処理並びに第二の処理と別に独立して行うようにしてもよいし、第一の処理の一種ととらえ、位置情報に基づく警報よりも第二の処理を優先して行うようにしても良い。
図4は、本発明の第2実施形態の要部を示している。本実施形態では、車間距離の変化量に基づいて警報を制御する機能を付加している。図4に示すように、制御部18は、警報制御部18aと、車間距離変化量検出部18bとを備える。そして、車間距離測定器22が求めた車間距離情報は、警報制御部18aと車間距離変化量検出部18bに与えられる。
車間距離変化量検出部18bは、車間距離測定器22から入力される車間距離を所定のサンプリング間隔で取得(全てを取得しても可)し、前回取得した車間距離X1から今回取得した車間距離X2を減算し、その算出値と基準値とを比較し、基準値(所定レベル)以下の場合に抑制信号を出力する。この抑制信号は、警報制御部18aに与えられる。警報制御部18aは、マイクロ波受信器4や車間距離測定器22さらにはGPS受信器8から与えられる情報に基づき、警報の必要性の有無を判断し、所定の報知器(表示部2,ランプ6,スピーカ20)を用いて警報を発するようにする。そして、本実施形態では、警報制御部18aは、車間距離変化量検出部18bから上記の抑制信号を受けた場合、車間距離に基づく警報(第二の処理)をしないように動作する。
このようにすると、車間距離の変化量が急激な場合にのみ車間距離に基づく警報が報知されることとなる。よって、自車が徐々に前方車両等の対象物に近づいた場合のように変化量が少ない場合には報知しないので、例えば信号待ちの車両の後ろに付く場合などに報知が頻繁になされてしまうといった問題がなくなる。また、たとえば前方の車両が高速に走行したり、自車両が減速したりすることにより車間距離が急激に長くなる(離れる)場合も“車間距離の変化量が急激”に該当することはあるが、上記のように“X1−X2が基準値以下”という条件式とした場合には、前方車両が相対的に離れていき、車間距離が長くなるような変化の場合には、X1−X2の値は負となり、基準値以下となるので、警報は抑制されるように制御できる。つまり、車間距離が長くなる方向の変化の場合には、前方に追突するおそれは回避される方向への変化であり、安全であるので、車間距離に基づく警報は不要となる。また、仮に、変化量をX1とX2の差(絶対値)として求めた場合に、前方車両が離反する方向での急激な変化があると、変化量(絶対値)は所定レベル以上となるが、この場合でも、車間距離が基準距離以上になると元々車間距離に基づく警報条件に合致せずに第二の処理が実行されないので問題がない。
そして、上記の処理を行うための具体的な警報制御部18aの機能は、図3の処理ステップS6の処理において、車間距離の変化量が所定レベル以上か否か、すなわち、車間距離変化量検出部18bから抑制信号を受けたか否かを判断し、抑制信号を受けている場合には、車間警報を行わず、抑制信号を受けていない場合には車間警報を行うようにする。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記の第1実施形態並びにその変形例と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
また、上記の第2実施形態では、車間距離の変化量が小さい場合には車間距離に基づく警報を行わないようにしたが、係る実施形態を前提とし、前方車両に対して非常に接近した場合には告知する機能を備えても良い(例えば、処理ステップS6の判断条件に付加する)。すなわち、警報制御部18aは、車間距離変化量検出部18bから抑制信号を受け取っている(検出された変化量が所定のレベル以下の)場合であっても、車間距離測定器22によって検出された車間距離が所定の距離(第2基準距離:第二の処理を実行する基準距離(例えば10m)よりも短い距離)以下になった場合には、警報を報知するような機能を備える。この第2基準距離は、前方車両との衝突が予測される最大距離と、衝突の可能性がない最小距離との中間の距離とするとよい。このようにすれば、車間距離の変化量が小さい場合、すなわち、徐々に前方車両へ接近している場合などでも、前方物(前方車両)への衝突の危険性をドライバー等に知らせることができる。
図5は、第3実施形態の要部を示している。本実施形態では、制御部18に道路識別部18cを備えている。道路識別部18cは、車両の走行中の道路を識別するもので、より具体的には、走行中の道路が、“高速道路”か“一般道路”か、を識別するようにしている。この識別アルゴリズムは、例えば、高速道路の場合には一般道路よりも高速度で走行することから、車速が一定速度(例えば、80km/h)以上の場合には高速道路を走行していると判断するようにすることができる。ここで、車速の検出は、第1実施形態で示した速度検出手段により求めることができる。また、データベース19に高速道路の位置情報を記録しておき、道路識別部18cをGPS受信器8から取得した現在の位置情報と、当該高速道路の位置情報とを比較することで、高速道路上か否かを判断することができる。
そして、警報制御部18aは、道路識別部18cによって識別された道路種別が“高速道路”である場合には、車間距離に基づく警報を少なくとも安全車間距離でない場合に行い、道路種別が“一般道路”である場合には、車間距離に基づく警報を追突危険距離である場合に行うようにする。つまり、車間距離に基づく警報を行うか否かの基準距離を、走行中の道路種別により変更するようにした。
ここで、安全車間距離は、走行中に前方車両が急停止したような場合等においても衝突することなく停車することができる安全な車間距離であり、例えば時速100kmで100m、時速80kmで80mに設定する。一方、衝突危険距離は、走行速度と関係なく衝突のおそれがある距離で、例えば、10mとする。この衝突危険距離は、上記の各実施形態における基準距離と同等に設定することができる。
道路種別が高速道路であると識別された場合には、少なくとも安全車間距離でない場合に車間距離に基づく警報を行うようにし、道路種別が一般道路であると識別された場合には、追突危険距離である場合に車間距離に基づく警報を行うようにすることで、高速道路を走行している際の追突の危険性を低減させるとともに、一般道路で車間警報が頻繁に報知される煩わしさを防止することができる。なお、道路種別が高速道路であると識別された場合には、安全車間距離でない場合の車間警報と追突危険距離である場合の車間警報の双方を行うようにしてもよい。このようにすると、特に、渋滞中の高速道路を走行している場合、前方車両との車間距離は安全距離に比べて非常に狭く、常時接近した状態となる。そこで、位置情報に基づいて高速道路を走行中と判別した場合であっても、追突危険距離に基づく車間警報を行うことで、渋滞等により車間距離が常時接近しているような場合にも追突防止のための適切な警報を行うことができる。もちろん、渋滞していない通常の走行の場合に対応すべく、安全車間距離に基づく警報も行う。この場合、安全車間距離に基づく車間警報と、追突危険距離に基づく車間警報の態様を異なるものとするとよい。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記の各実施形態並びにその変形例と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態では、上述した各実施形態並びに変形例を基本とし、車間距離に基づく警報の態様を変更するようにしている。まず、本実施形態では、図2に示す無線受信器15が、特定周波数帯域の電波を受信して目標電波の信号レベルが所定以上のときに報知信号を出力するようになっている。これは180MHzから400MHz等の帯域における電波を受信するように構成し、これらの周波数はカーロケーターシステム,所轄系デジタル無線などに割り当てられている。そして、無線受信器15は、受信した特定周波数帯域の電波の信号レベルが所定以上のときに報知信号を出力するようになっている。
すなわち、カーロケーターシステム(カーロケ無線と呼ぶことにする)は、緊急車両の現在位置を動的に把握するためのシステムであり、これは移動する緊急車両から位置情報を特定周波数帯域(例えば、407.725MHz)の周波数によりデータ伝送し、それら位置情報データを受信した通信指令本部において地図画面上にリアルタイムで位置表示するようになっている。そこで、本実施形態の無線受信器15によれば、カーロケ無線の搬送波(407.725MHz)をモニタ(検出)するので、そうした緊急車両が近辺に存在するか否かを検知することができる。また、所轄系デジタル無線を受信することができるようにした場合には、係る無線を使用する緊急車両の存在を検出することができる。つまり、本実施形態では、無線受信器15が、緊急車両検知手段を構成する。
そして、制御部18(警報制御部18a)は、第二の処理を実行する際に無線受信器15から報知信号(緊急車両を検知)を受け取った場合、車間距離に基づく警報の態様を変更するようにした。つまり、緊急車両が検知された場合には、車間距離に基づく警報の報知の態様を通常時(緊急車両非検知時)のものと変更する。これにより、ドライバーは適切な対応(緊急車両の通過のじゃまをせず、速度を落としたり、道路脇に寄せたりする等)をとることができる。
なお、本実施形態では、緊急車両検知手段は、緊急車両の発する電波を検知する無線受信器15により構成したが、本発明はこれに限ることはなく、一部の機能(例えば、信号レベルの判断や、より高精度な判定)を無線受信器15から分けて制御部18に組み込むようにしても良いし、さらには、電波を検知するのではなく、例えば、緊急車両の発する音を検知する等の他、各種の態様をとれる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記の各実施形態並びにその変形例と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
次に、第5の実施形態を説明する。本実施形態では、上述した各実施形態並びに変形例を基本とし、事故多発エリアの情報を利用して車間距離に基づく警報の態様等を変更するようにしている。すなわち、まずデータベース19に、交通事故の発生箇所に関する情報を格納する。これにより、データベース19は、交通事故情報記憶手段を構成する。交通事故の発生箇所に関する情報としては、交通事故の発生場所(例えば緯度経度等の座標)のみでも良いし、それに加えて発生件数と事故内容とを関連付けて記憶することで、交通事故の発生の頻度(危険度)情報も加味するようにしてもよい。特に、事故内容が追突事故である場合には、車間距離に基づく警報を注力して行うようにすることで、事故の発生を未然に防止できる。
そして、制御部18(警報制御部18a)は、第二の処理を実行する際にGPS受信器8にて検出された現在の位置情報と、交通事故の発生箇所に関する情報とに基づき、車間距離に基づく警報の態様・条件を変更するようにした。
態様・条件の変更は、例えば、交通事故の発生箇所に関する情報として、事故多発地点の座標(例えば緯度経度)を記憶しておき、現在位置が当該事故多発地点の座標と近接(両者の距離が一定距離以内)している場合には、車間距離に基づく警報を発すべき車間距離(基準距離)を相対的に長くして、比較的早めに警報(報知)がされるようにする一方、近接していない場合には相対的に短くする。このように、事故多発地点であるか否かに基づいて車間警報を発するべき車間距離を変えることで、走行地点の特性に応じた適切な車間距離に基づく警報を行うことができ、事故を未然に防止することに貢献する。更に、相対的に長くする基準距離も、事故の発生頻度に応じて、段階的に長くする(発生頻度が高いほど基準距離も長くする)ように設定するとよい。
これは、発生頻度と、基準距離を対応づけたテーブルを用意しておき、制御部18は、現在位置から一定の距離以内に交通事故の発生場所が存在する場合には、その発生場所の発生頻度を確認し、上記のテーブルを参照して基準距離を取得し、車間距離測定器22から取得した車間距離とその基準距離とを比較することで、第二の処理を実行するか否かを判断する。
また、態様の変え方としては、上記のように車間警報を発すべき基準距離を変えるだけでなく、例えば、事故多発地点の車間警報は他の地点の車間警報に比べ、目立つように(例えば大きな音量で)行うようにしてもよい。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記の各実施形態並びにその変形例と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、上述した各実施形態並びに変形例を基本とし、車間距離測定器22の検出頻度を調整する調整手段を設けている。すなわち、この調整手段は、車間距離測定器22によって検出された自車両の前方物との距離(車間距離)が短い場合には、車間距離測定器22の距離検出頻度を多くし、自車両の前方物との距離(車間距離)が長くなるにつれ距離検出頻度を少なくするように制御する。この調整手段は、車間距離測定器22に組み込むようにしても良いし、例えば車間距離測定器22は、制御部18からの計測指示に基づいてレーザビームを出射して車間距離を測定するようにした場合には調整手段は制御部18に組み込み、検出された車間距離に基づいて車間距離測定器22に対する計測指示の発行間隔を調整するようにしても良い。
このようにすれば、車間距離測定器22における消費電力を小さくすることができる。特に、本実施形態の車両用警報装置はバッテリーや太陽電池等で動作するものである場合に、電池等の消耗を抑えることができるので好ましい。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記の各実施形態並びにその変形例と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、上述した各実施形態並びに変形例を基本とし、各手段・機能の少なくとも1つについて、その動作状況を記録する機能を付加した。例えば、車間距離測定器22によって検出された車間距離と、速度検出手段によって検出された自車両の速度と、制御部18(警報制御部18a)によって警報された車間距離に基づく警報の内容とを、時間(例えば時刻)とともにメモリカード14等の記憶媒体に記憶する機能を制御部18に組み込む。このようにすれば、いつどのような車間距離と速度で走行し、どのような警告がなされたかを、後から分析したり、検証することが可能となる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記の各実施形態並びにその変形例と同様であるので、その詳細な説明を省略する。