JP2015156840A - 粉粒状混合調味料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱水中への溶解性に優れ、包装容器への安定した自動充填が可能であり、長期保存性にも優れ、調理後のソースのコクや食感に関しても優れている粉粒状混合調味料および粉粒状混合調味料を容易に製造できる製造方法の提供。
【解決手段】常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分とし、前記常温で固形の油脂が融解する温度以上で加熱混合した後に冷却固化する工程を含む方法により製造される固形ルウを、特定の条件を満たす香辛料などの動植物の乾燥粉砕加工物、ビーフエキスパウダー、醤油パウダーなどの各種液体原料の乾燥粉末化物、塩や砂糖などの調味料粉末、香料、増粘多糖類、色素などの食品原料からなる混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕する。粉粒状混合調味料1は、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が70質量%以上であり、混合・粉砕用粉体4−1がその表面3に付着ないし4−2が表面近傍に分散して存在している。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶解性と生産性に優れる粉粒状混合調味料およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、熱水または、料理に用いられる具材が煮込まれた熱水中に添加しても容易に溶解する優れた溶解性を有する上、包装容器へ安定して容易に自動充填できるなど生産性にも優れており、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどの調理に用いることができる粉粒状混合調味料およびその製造方法に関するものである。
一般に、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどのソース類などの調理に用いる固形ルウなどの調味料は、常温で固形の油脂またはバターなどと小麦粉などの澱粉を100℃以上に加熱混合して小麦粉ルウを製造した後に、香辛料、砂糖、食塩、その他調味料などを加え、混合後、容器に充填し、冷却固化して製造されている(例えば、特許文献1参照)。
固形ルウは、熱水または、料理に用いられる具材が煮込まれた熱水中に添加して、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどのソース類などの調理に用いる調味料であることから、調理後のソースには所定の、とろみ、すなわち粘性が求められている。
そのため、調理後の粘性を出すために、小麦粉などの澱粉が用いられる。
小麦粉などの澱粉は、水の存在下で加熱されると約60℃以上で澱粉粒が膨張し、粘度が増加するという、いわゆる澱粉のα化(糊化)現象が発生することが知られており、それにより粘性を付与することが可能となる。
しかし、固形ルウを、調理の際に約90℃以上の熱湯中に入れると、固形ルウの表面あるいは表面近傍に存在する澱粉に糊化現象が発生し、糊化した澱粉膜ができ、水が固形ルウの内部に接しにくくなり、溶解性が損なわれ、溶解に時間を要したり、あるいは最後まで溶解しない、所謂ダマが残存したりするという問題があった。
そこで、固形ルウに形成された分割用の凹状の溝に沿って割って小型化することができる固形ルウや、事前に細かく裁断してフレーク状や粒子状にしたものが提案されている。
小型化、もしくは細かく裁断することにより、溶解性が向上することもあるが、熱湯中に入れると、それらの小型化した固形ルウやフレーク状、もしくは粒子状のルウも、表面にできた糊化した澱粉膜により、互いが接着して再び大きな塊になってしまい、結果的に、同じように溶解性が損なわれ、溶解に時間を要したり、あるいは最後まで溶解しないダマが残存したりするという問題があった。
また、細かく裁断したフレーク状や粒子状のルウは、固形ルウ表面に存在する油脂による粘着性のため、所定以下の大きさにしようとすると、フレーク状や粒子状のルウ同士が結着してしまうという問題もあり、その細かさには限界もあった。
そのため、機械による包装容器への自動充填などが難しく、充填量のバラつきが大きくなるなど生産性に問題があった。
あるいは、商品の流通や保存の際に、高温にさらされた場合にも、フレーク状や粒子状のルウ同士の結着が起き、包装容器の中で、塊になったりする場合もあり、問題があった。
また、従来、油脂と小麦粉、および調味料などを含む加水した食品原料を押し出し型の造粒機により造粒し乾燥して粒状物とする方法(湿式造粒法)(例えば、特許文献2参照)や、加水することなく特定の上昇融点の油脂と小麦粉、および調味料などを混合し押し出し造粒して粒状物とする方法(乾式造粒法)(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
また、澱粉原料に極少量の油脂を加え、加水することなく押し出し造粒し、澱粉以外の原料は加水することなく加圧成形した後、粉砕整粒し、得られた両顆粒物を混合するローファットの顆粒状食品およびその製造方法(特許文献4参照)、澱粉に油脂を0〜6質量%、水分4〜12質量%含む食品原料を所定の硬度になるように加圧成形し、それを粉砕整粒するローファットあるいはノンファットの顆粒状食品およびその製造方法(特許文献5参照)、油脂および澱粉などを必須原料とした原材料を加熱混合し冷却固化したルウに、必須成分としてアルファー化したヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉などの化工澱粉などを混合してフレーク状あるいは顆粒状とした溶解性に優れたルウおよびその製造方法(特許文献6参照)、澱粉質原料、油脂および調味料を含み、かつ、油脂含量が10〜25質量%である原料を加熱混合して低油脂ルウを調製し、それを粉粒とし、成形型に充填し、そして加圧成形する低カロリーの低油脂固形ルウの製造方法(特許文献7参照)なども提案されている。
しかしながら、いずれも前記各種問題をすべて解決するものはなく、食味を損なう問題があったり、生産性が劣りコスト高になったりするなどの問題があった。
また、常温で液状またはペースト状の油脂を用いることで、ペースト状のルウとすることも提案されている(特許文献8参照)が、ペースト状のルウの場合では、任意の量の使用が困難であったり、使用後の残ったルウの保存がし難かったり、包装容器から全てのペーストを絞り出すことが難しいなどの問題があった。
特開平11−332526号公報 特公昭53−45380号公報 特開平6−125717号公報 特開2000−125784号公報 特開2000−125783号公報 特開2006−81462号公報 特開2006−345856号公報 特公昭63−3583号公報
本発明の第1の目的は、従来からの問題を解決し、熱水または、料理に用いられる具材が煮込まれた熱水中に添加しても溶解性に優れ、また、包装容器への安定した自動充填が可能となり、保存面の機能も優れていて、調理後のソースのコクや食感に関しても優れているカレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどの提供を可能とする粉粒状混合調味料を提供することである。
本発明の第2の目的は、本発明の粉粒状混合調味料を容易に製造することができる製造方法を提供することである。
本発明の発明者は、鋭意研究の結果、固形ルウを所定の条件にて調製した後、この固形ルウを食品原料からなる所定の混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕することにより、前記混合・粉砕用粉体が前記固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在している粉粒状混合調味料であって、粒度が所定の寸法に小さく揃い、調理時の熱水中での溶解性や生産性の優れており、包装容器への安定した自動充填が可能であり、保存性にも優れていて、調理後のソースのコクや食感に関しても優れている粉粒状混合調味料を得ることができることを発見し、本発明を成すに至った。
前記課題を解決するための請求項1記載の発明は、常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分とし、前記常温で固形の油脂が融解する温度以上で加熱混合した後に冷却固化する工程を含む方法により製造される固形ルウを、下記1)および2)を満たす食品原料からなる混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕して製造する粉粒状混合調味料であって、
前記粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が70質量%以上であり、前記混合・粉砕用粉体が前記固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在していることを特徴とする粉粒状混合調味料である。
1)前記混合・粉砕用粉体中に含まれる加水加熱によりα化する澱粉の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して30質量%以下であり、且つ、前記粉粒状混合調味料に対して20質量%以下である。
2)前記混合・粉砕用粉体中に含まれる油脂の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して20質量%以下であり、且つ、前記粉粒状混合調味料に対して7質量%以下である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の粉粒状混合調味料において、前記粉粒状混合調味料中の前記常温で固形の油脂の全含量が12〜25質量%であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の粉粒状混合調味料において、前記粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の含量が10〜55質量%であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体の70質量%以上が、目開き0.35mmの篩をパスする粉体であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、加水加熱によりα化する澱粉を実質的に含まないことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、油脂を実質的に含まないことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記食品原料からなる混合・粉砕用粉体が、香辛料、野菜パウダー、果物パウダー、鰹節パウダーなどの動植物の乾燥粉砕加工物、ビーフエキスパウダー、野菜エキスパウダー、ミルクパウダー、醤油パウダーなどの各種液体原料の乾燥粉末化物、塩や砂糖、アミノ酸などの調味料粉末、その他粉体香料、粉体増粘多糖類、粉体色素から選ばれる少なくとも1つであること、を特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料の製造方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする粉粒状混合調味料の製造方法である。
(1)常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分として準備する。
(2)前記油脂の融解する温度以上で前記油脂および前記澱粉を加熱混合する時および/または加熱混合した後に、必要に応じて調味料を混合し、冷却固化して固形ルウを調製する。
(3)冷却固化した固形ルウを必要に応じて予備粉砕した後、前記動植物の乾燥粉砕加工物、各種液体原料の乾燥粉末化物や調味料粉末などからなる、加水加熱によりα化しない粉体を含む混合・粉砕用粉体を、粉砕機を用いて混合しながら粉砕して、本発明の粉粒状混合調味料を調製する。
(4)調製した本発明の粉粒状混合調味料を充填機を用いて容器に充填し、密封包装する。
本発明の請求項1記載の発明は、常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分とし、前記常温で固形の油脂が融解する温度以上で加熱混合した後に冷却固化する工程を含む方法により製造される固形ルウを、前記1)および2)を満たす食品原料からなる混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕して製造する粉粒状混合調味料であって、
前記粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が70質量%以上であり、前記混合・粉砕用粉体が前記固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在していることを特徴とする粉粒状混合調味料であり、
所定の条件にて、固形ルウを混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕することにより、前記混合・粉砕用粉体が、粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に、速やかに付着ないし表面近傍に分散して存在することになり、混合・粉砕中の固形ルウが粉砕された粉粒物の粉砕機への付着や固形ルウが粉砕された粉粒物同士の結着を防止し、混合・粉砕用粉体が存在しない場合に比較して、より均一で小さな粉粒状にすることが可能となるという顕著な効果を奏する。
また、前記混合・粉砕用粉体は所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、本発明の粉粒状混合調味料を調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粉粒同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止することができ、また、本発明の粉粒状混合調味料の粒度が、所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粒に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上するという顕著な効果を奏する。
また、固形ルウは元来、油脂の存在により粘着性を有するが、本発明においては前記混合・粉砕用粉体が粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在するため、また、前記混合・粉砕用粉体が所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウの粉粒同士の結着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性が向上するという顕著な効果を奏する。
さらに、商品の流通や保存の際に、高温にさらされた場合にも、混合・粉砕用粉体が固形ルウが粉砕された粉粒物同士の接着を防止できるため、包装容器の中で、塊になることを防止するという顕著な効果を奏する。
さらに、短時間で溶解するので、溶解中にお湯の温度が下がりにくく、すべての澱粉原料がより高温のお湯にさらされるため、溶解と同時に全体が均一にα化し、十分な粘度が発現されるため、必ずしも溶解後に改めて加熱して澱粉原料をα化する必要がないという顕著な効果を奏する。
またさらに、混合・粉砕用粉体を混合しながら粉砕し、粉粒状混合調味料を調整するので、本発明の混合・粉砕用粉体に用いられる粉体を含めた原料全てを油脂で全体として固める必要のある従来からある通常の固形ルウに比べ、混合・粉砕用粉体を除く粉体を含めた原料のみを油脂で固めるのみで良いことから、油脂の使用量を減らすことが可能となるという効果も発揮し、減らした場合には、より低カロリーでヘルシーな調理品とすることができるという顕著な効果を奏する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の粉粒状混合調味料において、前記粉粒状混合調味料中の前記常温で固形の油脂の全含量が12〜25質量%であることを特徴とするものであり、
前記粉粒状混合調味料中の油脂含量を所定の範囲とすることにより、固形ルウを調整しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、さらには、固形ルウ同士の結着、および結着した塊の表面のα化によるダマの発生もさらに防止し、より溶解性その他の効果が向上する上、適度にコクがあり、より低カロリーでヘルシーな調理品とすることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の粉粒状混合調味料において、前記粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の全含量が10〜55質量%であることを特徴とするものであり、
前記粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の割合を所定の範囲とすることにより、前記混合・粉砕用粉体が粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体の70質量%以上が、目開き0.35mmの篩をパスする粉体であることを特徴とするものであり、
混合・粉砕用粉体を細かくすることにより、粉体の粒子数が増え表面積も増すため、粉砕された固形ルウの表面や周囲により広く分散して存在することになり、固形ルウが粉砕された粉粒物の結着をより防止し、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、加水加熱によりα化する澱粉を実質的に含まないことを特徴とするものであり、
前記混合・粉砕用粉体が、加水加熱によりα化する澱粉原料を実質的に含まないことにより、調理の際に熱水中に入れても、混合・粉砕用粉体がα化して結着することを防止し、そのため固形ルウが粉砕された粉粒物の結着をより防止し、結着によるダマの発生をさらに防止し、溶解性がさらに向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、油脂を実質的に含まないことを特徴とするものであり、
前記混合・粉砕用粉体が、油脂を実質的に含まないことにより、粉粒状混合調味料の粘着性がさらに低くなり、機械上での滑り性などがさらに向上し、また、商品が流通や保存された際に塊になることを、より防止するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、
前記食品原料からなる混合・粉砕用粉体が、香辛料、野菜パウダー、果物パウダー、鰹節パウダーなどの動植物の乾燥粉砕加工物、ビーフエキスパウダー、野菜エキスパウダー、ミルクパウダー、醤油パウダーなどの各種液体原料の乾燥粉末化物、塩や砂糖、アミノ酸などの調味料粉末、その他粉体香料、粉体増粘多糖類、粉体色素から選ばれる少なくとも1つであること、を特徴とするものであり、
前記食品原料からなる混合・粉砕用粉体が前記食品原料から選ばれる少なくとも1つであるので、市販品も多く、入手が容易であり、混合・粉砕用粉体としての作用効果を確実に挙げることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料の製造方法であって、前記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする粉粒状混合調味料の製造方法であり、
本発明の粉粒状混合調味料を容易に製造することができるという顕著な効果を奏する。
図1は本発明の粉粒状混合調味料の粒子の一例の断面を模式的に説明する断面説明図である。 図2は本発明の粉粒状混合調味料の製造工程の一例を説明する説明図である。
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は本発明の粉粒状混合調味料の粒子の一例の断面を模式的に説明する断面説明図であり、1は、本発明の粉粒状混合調味料の粒子、2は固形ルウが粉砕された粉粒物、3は固形ルウが粉砕された粉粒物の表面、4−1は固形ルウが粉砕された粉粒物2の表面3に付着して存在している混合・粉砕用粉体、4−2は固形ルウが粉砕された粉粒物2の表面3の近傍に分散して存在しているに混合・粉砕用粉体をそれぞれ示す。
本発明においての混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着しているとは、混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に接触して固定されている状態、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に混合・粉砕用粉体の一部が出ている状態で一体化している状態、および固形ルウが粉砕された粉粒物の表面付近に入り込んだ状態およびこれらの組み合わせをいう。
さらに、本発明においての混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面近傍に分散しているとは、混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着している混合・粉砕用粉体の表面に付着していたり、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着もしくは接触した後に剥がれ、他の粉粒混合調味料の粒子に触れる状態であったりすることをいう。
そして、本発明の粉粒混合調味料は、各種包装容器を密封するまでに必要に応じて、混合・粉砕用粉体が付着していない粉粒物を追加して充填することができ、容器入りの粉粒混合調味料として使用することができる。固形ルウが粉砕された粉粒物の表面近傍に分散する混合・粉砕用粉体や、混合・粉砕用粉体が付着していない粉粒物の割合が低いと、より少量ずつ使用する調理において、品質の均一性が保てることから、容器入り粉粒混合調味料は、調味料の50質量%以上が混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着しているものであることが好ましく、さらに、80質量%以上が混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着しているものであるとことがより好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。
本発明においては混合・粉砕用粉体4-1、4−2が粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物2の表面3に付着ないし表面近傍に分散して存在するため、また、混合・粉砕用粉体4-1、4−2が所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、本発明の粉粒状混合調味料1を調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粉粒2同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止することができ、また、本発明の粉粒状混合調味料の粒度が、所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粉粒2に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上し、
また混合・粉砕用粉体4-1、4−2が所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウの粉粒同士の結着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性を向上することができる。
本発明における、常温で固形の油脂とは、20℃で、自重によって変形しない油脂であり、荷重が加わったときの変形は許容される。常温で液体状や、流動性のある半固体状の油脂を含まない。
なお本発明における、常温とは、特筆していない限り、JIS Z 8703で定義される常温、即ち20℃±15℃である。
特に限定されないが、本発明で使用する常温で固形の油脂は、流通・保存などで高温下に晒されるリスクを考慮すると、上昇融点が30〜60℃で、かつ35℃のSFC(固体脂含量)が10〜45質量%の油脂であることが望ましい。
上昇融点が30℃未満、あるいは35℃のSFC(固体脂含量)が10質量%未満である場合には、常温で流動性のない固形状態を保つことが難しく、商品の流通や保存条件において、物性を維持できずに本発明の効果を発揮することが難しい。
上昇融点が60℃超、あるいは35℃のSFC(固体脂含量)が45質量%超である場合には、喫食中に調理品の温度が低下した場合に、油脂の結晶化により調理品の物性が変化し、食感などを損なう恐れがある。
上昇融点が30〜60℃で、かつ35℃のSFC(固体脂含量)が10〜45質量%の油脂であれば、商品の流通や保存条件においても、物性を維持しやすく本発明の効果を保つことができ、また、喫食中に調理品の温度が低下した場合でも、食感を損なう恐れがない。
本発明で使用する油脂は、具体的には、例えば菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、イリッペ脂、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油などの植物性油脂、並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの動物性油脂、これらの油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換などを施した加工油脂などを挙げることができる。
本発明の粉粒状混合調味料中の油脂含量は、特に限定されないが、12〜25質量%であると好ましく、15〜22%であるとより好ましい。
前記粉粒状混合調味料中の常温で固形の油脂の含量が、粉粒状混合調味料中の12〜25質量%であれば、固形ルウを調整しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、さらには、固形ルウ同士の結着、および結着した塊の表面のα化によるダマの発生もさらに防止し、より溶解性その他の効果が向上する。また、適度にコクがあり、より低カロリーでヘルシーな調理品とすることができる。
油脂が12質量%未満では、調味料としてのコクがやや不足し、固形ルウを固めづらく、溶解性も向上しにくく、25質量%より多いと、混合・粉砕用粉体の存在による固形ルウ同士の結着防止効果が発揮しづらく、目的の粒度にも調整しにくい場合がある。
本発明で使用する加水加熱によりα化する澱粉とは、各種澱粉原料であって、水を加えて加熱することによりα化する性質をもつ澱粉であり、具体的には、調理場面での加熱を目的としていることから、加水においては、50〜100℃のいずれかの温度で接触すると粘性を発現する澱粉を指す。
本発明で使用する加水加熱によりα化する澱粉は、特に限定されないが、例えば、小麦、とうもろこし、じゃがいも、米などを原料として製造されたものを用いることができる。
事前に加熱・乾燥し、低水分化した澱粉原料を使用することもできる。
デキストリンや加工澱粉など、加工によって澱粉特有のα化が発現しなくなったものについては、本発明の澱粉原料には該当しないが、必要に応じて、その他の加水加熱によりα化しない原料として使用することができ、動植物の乾燥粉砕加工物、各種液体原料の乾燥粉末化物や調味料粉末などからなる、加水加熱によりα化しない粉体として使用することもできる。
本発明における、加熱混合の加熱とは、特に限定されないが、油脂の融点〜140℃などが好ましく利用できる。混合することが目的であれば、油脂の融点を上回る温度であればよく、澱粉原料の水分蒸発や焙煎感の付与などが目的であれば、100〜140℃の加熱が好ましい。
また、香辛料を原料として加える場合には、香辛料中に含まれるリパーゼなどの酵素活性を生じない状態とする(失活させる)条件として、例えば90℃にて10分以上加熱する処理を施すなどの方法が適用できる。
本発明における、加熱混合の方法は、撹拌装置を有する容器にて、蒸気などの熱源を使用して間接加熱するなど、各種公知の方法を適用することが可能である。
本発明における、冷却固化についても、容器などに充填した固形ルウを冷蔵庫で冷却・固化したり、冷却可能なベルトや回転ドラム上に固形ルウを広げ冷却・固化したりするなど、各種公知の方法を適用することが可能である。
本発明における、固形ルウとは、熱水や具材などを適宜加えられ加熱調理されるスープやソースなどに、調理、または仕上げの段階において添加し、分散、溶解することで、でき上がるスープやソースに適度な粘性、風味などを付与する、少なくとも、常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を含んでいる、常温保存時において固形状態の調味料である。
特に限定されないが、必要に応じて、香辛料、ビーフエキス、野菜エキス、砂糖、食塩、アミノ酸などの調味原料の他、香料、増粘多糖類、色素など、種々の食品原料を含むことができる。
なお、固形ルウが粉砕された粉粒物とは、固形ルウの粉砕により生じる粒状または粉状の粉砕物のことである。
本発明で使用する食品原料からなる混合・粉砕用粉体は、混合・粉砕用粉体中に含まれる加水加熱によりα化する澱粉の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、且つ、前記混合・粉砕用粉体中に含まれる前記澱粉が、前記粉粒状混合調味料に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、かつ本発明で使用する食品原料からなる混合・粉砕用粉体は、混合・粉砕用粉体中に含まれる前記油脂の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、且つ、前記混合・粉砕用粉体中に含まれる前記油脂が、前記粉粒状混合調味料に対して7質量%以下、好ましくは3質量%以下である。
いずれも所定の含量以下であるものであればよく、特に限定されない。
混合・粉砕用粉体中に所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粒同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止する。
混合・粉砕用粉体は、熱水溶解時にダマになりやすいα化する澱粉を実質的に含まないことがさらにより好ましいが、混合・粉砕用粉体中および粉粒状混合調味料中の割合が所定割合以下であれば、その影響を低く抑えることができきる。
また、混合・粉砕用粉体中に所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウが粉砕された粉粒物同士の粘着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性が向上する。
混合・粉砕用粉体は、温度によって硬さや粘着力に差が生じやすい油脂を実質的に含まないことがさらにより好ましいが、混合・粉砕用粉体中および粉粒状混合調味料中の割合が所定割合以下であれば、その影響を低く抑えることができる。
混合・粉砕用粉体は、粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在することが肝要であるため、その大きさは、最終的に得られる粉粒状混合調味料中の固形ルウが粉砕された粉粒物の大きさと比較して、平均粒径の小さな粉状もしくは粒状の原料を用いることが好ましい。
具体的には、0を超え2mm以下の粒径を有する、球状、各面体、および定形されていない立体形状の粒または粉体などがあげられるが、混合・粉砕用粉体の70質量%以上が、目開き0.35mmの篩をパスする微粒な粉体であるとより好ましい。
混合・粉砕用粉体をより細かくすることにより、粉体の粒子数が増え、表面積も増すため、粉砕された固形ルウの表面や周囲により密に、より広く分散して存在することになり、固形ルウの粒同士の結着をより防止し、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上する。
本発明で使用する混合・粉砕用粉体は、粉状もしくは粒状であれば、種々の原料を使用することが可能である。
例えば、コショウ、トウガラシ、バジルなどの香辛料、キャベツ、ホウレンソウ、人参、大根、ジャガイモ、サツマイモなどの野菜パウダー、リンゴ、アボガドなどの果物パウダー、牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉のパウダー、マグロ、カツオ、イワシ、タコ、貝などの魚介類のパウダーなどの動植物の乾燥粉砕加工物、ビーフエキスパウダーやポークエキスパウダー、野菜エキスパウダー、ミルクパウダー、醤油パウダー、ソースパウダー、食酢パウダー、粉末味噌、粉末油脂などの各種液体原料の乾燥粉末化物、塩や砂糖、アミノ酸などの調味料粉末、その他粉体香料、粉体増粘多糖類、粉体色素から選択される少なくとも1つを挙げることができる。すなわち、単体でもよく、複数の組み合わせでも使用できる。さらに、混合・粉砕用粉体に用いる種々の粉状もしくは粒状の原料は、必要に応じて、単体でも、複数の組み合わせた後でも、さらに粉砕した粉体にすることができる。
なお、本発明で使用する混合・粉砕用粉体は、アミラーゼ活性、リパーゼ活性などの酵素活性を生じない状態になっている(失活している)ことが望ましい。
混合・粉砕用粉体のリパーゼ活性が失活していれば、保存中に原料油脂が分解され、異臭の発生などの品質劣化を防止するという効果を得ることができる。
あるいは、混合・粉砕用粉体のアミラーゼ活性が失活してれば、調理時にα化した澱粉を分解し、粘性が低下してしまうことを防止するという効果を得ることができる。
本発明における、固形ルウと混合・粉砕用粉体を混合しながら粉砕する方法は特に限定されるものではないが、粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が、粉粒状混合調味料中の70質量%以上となるように粉砕することが肝要である。さらに、粉粒状混合調味料が溶けないで残る可能性を著しく減らすために、目開き5mmをパスしない部分を用いないことが好ましい。
粉粒状混合調味料の粒度が、前記のように所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粒に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上する。
目開き5mmの篩をパスする部分の割合が、粉粒状混合調味料中の70質量%未満であると、粒度が小さく揃わず、調理時の熱水中での溶解性が悪くなったり、充填量がばらつくなど、生産性に悪影響を及ぼしたりする。
具体的には、粉砕物中に生じた大きな塊を除去し、目的の粒度の粉粒状混合調味料を得てもよいし、大きな塊を繰り返し粉砕することにより目的の粒度の粉粒状混合調味料を得てもよい。
固形ルウを所定の大きさに予備裁断した後に、混合・粉砕用粉体を添加し、必要に応じて予備混合し、その後に粉砕してもよいし、混合・粉砕用粉体を複数回に分けて添加しながら粉砕するなどの方法でもよい。
粉砕には、裁断、切断、切削など各種公知の方法を用いることができ、工程はバッチ式、連続式など自由に組み合わせることも可能である。
混合しながら粉砕することにより得られる70質量%以上が目開き5mmの篩をパスする粉粒状混合調味料の粒度は、基本的にはより細かい粉粒の方が、熱水中での溶解性がよく、そのため目開き2mmの篩をパスする部分の割合が、全粉粒状混合調味料中の50質量%以上であればより熱水中での溶解性が高くなることから好ましく、70質量%以上であれば、充填容積が小さくなったり、溶解時間が均一になったりすることからさらに好ましく、100質量%であればもっとも好ましい。
より細かくすることで溶解性は向上するが、細かくし過ぎて粉砕物の表面や周囲に付着もしくは分散して存在する混合・粉砕用粉体の量が足りなくなると、効果を発揮しづらい場合もあるので、適宜条件を調整することが望ましい。
粉粒状混合調味料中の混合・粉砕用粉体の質量割合は、特に限定されないが、10〜55質量%の範囲であれば好ましく、23〜42質量%の範囲であれば、粉砕物の表面や周囲に混合・粉砕用粉体が付着もしくは分散して存在しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上し、より好ましい。
55質量%より多いと、粉粒状混合調味料中の固形ルウが均一に存在しにくくなり、10質量%より少ないと、粉砕物の表面や周囲に付着もしくは分散して存在する混合・粉砕用粉体の量が足りず、効果が発揮しづらい。
混合しながら粉砕する際の固形ルウの混合・粉砕前の品温は、特に限定されないが、―20〜25℃であることが好ましく、混合・粉砕用粉体の混合・粉砕前の品温は、5〜35℃であることが好ましい。また、混合しながら粉砕した直後の粉粒状混合調味料の品温は、5〜30℃であることが好ましい。
固形ルウの品温は、低すぎると、油脂が硬くなり粉砕しづらかったり、処理後に結露が生じやすかったり、固形ルウが粉砕された粉粒物の粘着性が低下し混合・粉砕用粉体が付着しにくかったりするなどの問題があり、高すぎると、固形ルウが粉砕された粉粒物の粘着性が増し、粉砕機に付着しやすくなったり、粉砕中に固形ルウが粉砕された粉粒物同士が結着しやすく混合・粉砕用粉体が十分に表面に付着できなかったり、あるいは、混合・粉砕用粉体が、融解して軟らかくなった固形ルウが粉砕された粉粒物の表面内部に入り込んで表面に存在出来ず、固形ルウが粉砕された粉粒物同士の結着を防止できなかったりするなどの問題がある。
混合・粉砕用粉体の品温は、固形ルウの品温に影響を与えるため、間接的に同様の問題を引き起こす可能性があり、適切な温度で利用することが好ましい。
固形ルウと混合・粉砕用粉体それぞれの温度を適宜調整することで、混合しながら粉砕した直後の粉粒状混合調味料の品温を適切にすることができる。
粉砕における摩擦熱の影響も考慮するとよい。
なお、品温を出来るだけ低くした上で、結露を防止しながら製品とする方法もあるが、この場合には、温調設備の負荷が大きくなるという問題がある。
本発明における、澱粉を実質的に含まないとは、澱粉を豊富に含み糊化の性質を発揮することを主目的とした澱粉原料を含まないことを意味し、例えば調味料などの製造過程で、糊化とは別の目的で加えられる少量の澱粉原料や、デキストリンなどの澱粉由来原料など、糊化の効果を実質的に発揮しないものまで全て排除するものではないことを示す。
本発明における、油脂を実質的に含まないとは、油脂の性質を発揮することを主目的とした油脂原料を含まないことを意味し、例えば香辛料や、穀物、肉類中の脂質分など、起源原料が元々有する油脂分や、調味料などの製造過程で、基材などの目的で加えられる油脂や調味油などまで全て排除するものではないことを示す。
図2は本発明の粉粒状混合調味料の製造工程の一例を説明する説明図である。
先ず、上昇融点45℃、35℃のSFC(固体脂含量)が25質量%の常温で固形のパーム油脂200kgを加熱溶解し、そこに水分を12質量%含有する小麦粉250kgを入れ、混合容器内にて撹拌し十分に分散した後、さらに加熱混合して120℃まで加熱する。
加熱停止後に、順次、砂糖、アミノ酸などの調味料170kg、および香辛料10kgを添加し混合撹拌し、次いで、品温が約60℃になるまで冷却したルウを小分け容器に充填し、さらに品温が10℃になるまで冷却して固化し、固形ルウを調整する。
そして、容器より固化した固形ルウを取り出し予備粉砕し、外寸が約5〜30mm程度の大きさにする。
次いで、予備粉砕した固形ルウと、混合・粉砕用粉体として、香辛料、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料を含む粉体305kgを予備混合した後に、粉砕機を用いて混合しながら粉砕し、本発明の粉粒状混合調味料を調製する。
本発明の粉粒状混合調味料を調製した後、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たり35g±1gを充填し、密封包装する。
本発明で使用する製品容器は、プラスチック容器、ガラス瓶、袋包装体など公知の包装容器を使用することができる。
容器としては、バリヤー性容器が好ましく、例えば、袋状容器では、アルミナ蒸着PETフィルム/ポリアミド/ポリプロピレンフィルムを、ポリプロピレンフィルム面ではりあわせた袋や、トレー容器と蓋材の組み合わせ容器では、トレー容器は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を中間層とし、上下層には、ポリプロピレンを積層しこれをトレー状に成形したものとトレー容器上蓋フィルム(ガラス蒸着PET/ポリアミド/ポリプロピレン系シーラント)などが使用できる。
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例および比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
上昇融点45℃、35℃のSFC(固体脂含量)が25質量%の、常温で固形のパーム油脂200kgを、品温約70℃になるまで加熱溶解し、そこに水分を12質量%含有する小麦粉350kgを入れ、混合容器内にて撹拌し十分に分散した後(品温60℃)、さらに加熱混合して120℃まで加熱する。
加熱停止後に、順次、砂糖100kgを含む調味料170kg、および香辛料10kgを加え混合撹拌し、品温が約60℃になるまで冷却したルウを小分け容器に充填し、さらに品温10℃になるまで冷却して固化し、固形ルウを調整した。
容器より固化した固形ルウを取り出し予備粉砕し、外寸が約5〜30mm程度の大きさにした。
次いで、予備粉砕した固形ルウ(品温15℃)と、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどを含むその他の調味料235kg、香辛料70kg、合計305kg(品温25℃)を、粉体混合機を用いて予備混合した後に、粉砕機(株式会社ヤナギヤ製:サイレントカッター)を用いて、3分間混合しながら粉砕し、本発明の粉粒状混合調味料(品温20℃)を調製した。
なお、得られた前記粉粒状混合調味料の一部分を抜き取り検査すると、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、前記粉粒状混合調味料中の95質量%であった。
また、使用した混合・粉砕用粉体の一部分を混合・粉砕前に抜き取り検査すると、目開き0.35mmの篩をパスする部分の割合は、混合・粉砕用粉体中の55質量%であった。
また、混合・粉砕用粉体に澱粉や油脂は使用しなかった。
調製した粉粒状混合調味料は、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに2食分35gを充填し、密封包装したが、所定の速度で問題なく連続充填が可能であった。
また、鍋に、水300gと約3cm程度の大きさにカットした玉ねぎ200gを入れ、強火で加熱し沸騰したら火を止め、直後に、製造した粉粒状混合調味料2食分35gを入れ、スプーンでゆっくり撹拌し、溶解するまで(全体に分散して塊がなくなるまで)の時間を測定した結果、約40秒で容易に溶解することができた。
また、本発明の粉粒状混合調味料を40℃の恒温槽に1か月保存した後に、容器から本発明の粉粒状混合調味料を取り出し、その状態を観察した結果、保存前と比較して、わずかな粒同士の結着は見られるものの、溶解性などに影響を及ぼす特段の差は見られなかった。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
表1−1における固形ルウの欄の左から、
油脂は、固形ルウ中の油脂(kg)、
油脂/粉粒状混合調味料中は、固形ルウ中の油脂の粉粒状混合調味料中の割合(質量%)、
小麦粉は、固形ルウ中の小麦粉(kg)、
調味料は、固形ルウ中の調味料(kg)、
香辛料は、固形ルウ中の香辛料(kg)、をそれぞれ示す。
表1−2における混合・粉砕用粉体の欄の左から(なお、表中の粉体は、混合・粉砕用粉体の略である)、
粉体は、混合・粉砕用粉体の使用量(kg)、
粉体/粉粒状混合調味料中は、混合・粉砕用粉体の粉粒状混合調味料に対する割合(質量%)、
0.4mmパス/粉体中は、目開き0.35mmの篩をパスする部分の混合・粉砕用粉体に対する割合(質量%)
澱粉含量/粉粒状混合調味料中は、混合・粉砕用粉体に含まれる澱粉の粉粒状混合調味料に対する割合(質量%)、
澱粉含量/粉体中は、混合・粉砕用粉体に含まれる澱粉の混合・粉砕用粉体に対する割合(質量%)、
油脂含量/粉粒状混合調味料中は、混合・粉砕用粉体に含まれる油脂の粉粒状混合調味料に対する割合(質量%)、
油脂含量/粉体中は、混合・粉砕用粉体に含まれる油脂の混合・粉砕用粉体に対する割合(質量%)、をそれぞれ示す。
表1−2における右端部欄の、
5mmパス/粉粒状混合調味料中は、粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合(質量%)、を示す。
表2に記載の溶解性(秒数と評価)は、次のようにして測定し、評価したものである。
(溶解性の試験法)
鍋に、水300gと約3cm程度の大きさにカットした玉ねぎ200gを入れ、強火で加熱し沸騰したら火を止め、直後に、製造した粉粒状混合調味料を所定量入れ、スプーンでゆっくり撹拌し、溶解するまで(全体に分散して塊がなくなるまで)の時間(秒数)を測定する。
(溶解性の評価)
溶解性の評価については、以下の基準で行なった。
◎:30秒以内(とてもすばやく溶けてよい)
○:31〜50秒(すばやく溶けてよい)
△:51秒〜80秒(やや時間を要するが問題なく溶ける)
×:81秒以上(なかなか溶けず、固まりが残るなど問題あり)
表2に記載の充填適正などは、次のようにして測定し、評価したものである。
(充填適正などの試験法)
自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに所定量を充填し密封包装した際の充填量バラツキを測定するとともに状況を観察した。
(充填適正などの評価)
○:充填量バラツキがなく充填適正良好である。
△:充填量バラツキがややあるが充填適正良好である。
×:充填量バラツキがひどく均一充填困難である。
表2に記載の保存性は、次のようにして観察し、評価したものである。
(保存性の試験法)
容器に包装した本発明の粉粒状混合調味料を40℃の恒温槽に1か月保存した後に、容器から粉粒状混合調味料を取り出し、結着しているかどうかなど状態を観察した。
(保存性の評価)
○:結着していないか、結着はわずかであり、保存性が特に良好である。
△:結着がややあるが、保存性が良好である。
×:結着が多く、保存性が劣っている。
Figure 2015156840
Figure 2015156840
Figure 2015156840
(比較例1)
実施例1において混合・粉砕用粉体として加えた305kgを、比較例1においてはすべて固形ルウ製造工程において、調味料170kgおよび香辛料10kgと共に加えた。
得られた固形ルウ(品温約15℃)を、混合・粉砕用粉体を加えずに粉砕機を用いて粉砕しルウフレーク(品温約20℃)を得たが、ルウフレーク同士が結着しやすく(結着性×)、ルウフレークの粒度は、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が60質量%と低いものであった。
なお、粉砕機における粉砕時間については、溶解性や充填適正、保存性などを考慮し最適な状態となるように調整した。以降の実施例、比較例(比較例7を除く)においても同様にそれぞれ調整した。
得られたルウフレークを、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに2食分35gを充填し、密封包装したが、装置への付着を原因とした充填バラつきがひどく、充填が困難であった(充填適正など×)。
実施例1と同様に溶解性試験を実施したが、なかなか溶けず溶解に140秒を要した(溶解性×)。
実施例1と同様に保存試験を実施したが、保存前と比較して、ルウフレーク同士の結着が多く見られ、溶解性にも影響を及ぼすものであった(保存性×)。
特記しないその他の条件は、実施例1と同じである。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
実施例1と比較して、固形ルウの製造物性が硬く、その他結果もそれぞれ問題があった。
(実施例2)
実施例1で混合・粉砕用粉体として加えた原料305Kgの内の一部(調味料220kg、香辛料30kg)を、実施例2においては固形ルウ製造において、調味料170kgおよび香辛料10kgと共に加えた。
そして、予備粉砕した固形ルウと、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料15kg、香辛料40kg、合計55kgを、粉体混合機を用いて予備混合した後に、粉砕機を用いて混合しながら粉砕した以外は実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。
なお、得られた前記粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、前記粉粒状混合調味料中の80質量%であった。
また、使用した混合・粉砕用粉体中の、目開き0.35mmの篩をパスする部分の割合は、混合・粉砕用粉体中の60質量%であった。
調製した粉粒状混合調味料は、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに2食分35gを充填し、密封包装したが、所定の速度で連続充填が可能であったが、装置への付着を原因とした充填バラつきがややあった(充填適正など△)。
実施例1と同様に溶解試験を実施したが、溶解に80秒を要したが問題なく溶解した(溶解性△)。
また、実施例1と同様に保存試験を実施したが、保存前と比較して、ルウフレーク同士の結着がやや見られ(保存性△)、溶解性にも少し影響を及ぼすものであった。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
実施例1と比較して、固形ルウの製造物性がやや硬く、溶解性その他も実施例1にやや劣るが、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(実施例3)
実施例1において固形ルウに加えた調味料170kgを、実施例3においては混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料235kg、香辛料70kgと共に加えた以外は実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、98質量%であった。
表2から、実施例1とほぼ同等の良好な結果が得られたことが判る。
(実施例4)
実施例1で固形ルウに加えた調味料170kgと、小麦粉350Kgの内の150kgを、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料235kg、香辛料70kg、と共に加えた以外は実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解時間が実施例1に劣る(溶解性△)が、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例2)
実施例1で固形ルウに加えた調味料170kgと、小麦粉350Kgの内の250kgを、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料235kg、香辛料70kg、と共に加えた以外は実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
表2から、溶解性が悪く(溶解性×)問題があるものであることが判る。
(実施例5)
固形ルウの製造物性が硬くならないように表1に示すように油脂を増やし、他は実施例2と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、75質量%であった。
溶解性(△)その他が実施例1にやや劣るが、固形ルウの製造物性は改善され、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例3)
固形ルウの製造物性が硬くならないように表1に示すように油脂を増やし、他は比較例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、50質量%であった。
固形ルウの製造物性はやや改善されたが、溶解性(×)その他に問題があった。
(実施例6)
表1に示すように油脂を減らし、他は実施例3と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(実施例7)
表1に示すように油脂を減らし、他は実施例4と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解時間が実施例1に劣る(溶解性(△))が、油脂量が減量でき、充填適性もより向上し、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例4)
表1に示すように油脂を減らし、他は比較例2と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
油脂量が節約でき、充填適性など(○)もより向上したが、溶解性(×)が悪く問題があった。
(実施例8)
表1に示したように、実施例1の油脂量200Kgを350Kgに増やした以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、80質量%であった。
溶解性その他が実施例1にはやや劣る(△)が、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(実施例9)
表1に示したように、実施例1の油脂量200Kgを80Kgに減らした以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
固形ルウの製造物性がやや硬く、溶解時間が実施例1に劣る(△)が、油脂量が節約でき、充填適性もより向上し、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(実施例10)
実施例1における油脂量200Kgを150Kgに減らし、その分の油脂50Kgを混合・粉砕用粉体中に、粉末化した固形油脂として入れた以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、80質量%であった。
溶解性その他が実施例1にはやや劣る(△)が、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例5)
実施例1における油脂量200Kgを100Kgに減らし、その分の油脂100Kgを混合・粉砕用粉体中に、粉末化した固形油脂として入れた以外は、実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、65質量%であった。
固形ルウの製造物性が硬く、溶解性その他(×)に問題があった。
(実施例11)
粉砕前の固形ルウの品温を0℃に調整したことによって、粉砕後の本発明の粉粒状混合調味料の品温が13℃となった以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
結露の発生に注意が必要であったが、溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
(比較例6)
粉砕前の固形ルウの品温を35℃に調整したことによって、比較のための粉粒状混合調味料の品温が32℃となった以外は、実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、60質量%であった。
比較のための粉粒状混合調味料は、溶解性(×)、充填適性など(×)、保存性(△)など問題があるものであった。
(比較例7)
実施例1における粉砕時の粉砕時間(3分間)を短縮(1分間)した以外は、実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、60質量%であった。
比較のための粉粒状混合調味料は、溶解性(×)、充填適性など(×)、保存性(△)など問題があるものであった。
(実施例12)
混合・粉砕用粉体中の調味料の一部を微粒粉砕機(株式会社ダルトン:アトマイザー)にて事前に粉砕し、混合・粉砕用粉体中の、目開き0.35mmの篩をパスする部分の割合が、混合・粉砕用粉体中の80質量%となるよう調整した以外は、実施例11と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
(実施例13)
実施例12における固形ルウ調整時に使用した砂糖100kgを高甘味度甘味料のアセスルファムカリウムとスクラロースを含む混合調味料0.5kgに変更した以外は、実施例12と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、98質量%であった。
溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
(実施例14)
実施例12における固形ルウ調整時に使用した油脂200kgを160Kgに減らし、かつ実施例12における固形ルウ調整時に使用した砂糖100kgを高甘味度甘味料のアセスルファムカリウムとスクラロースを含む混合調味料0.5kgに変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
本発明の粉粒状混合調味料は、所定の条件にて、固形ルウを混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕することにより、前記混合・粉砕用粉体が粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在することになり、また、前記混合・粉砕用粉体は所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、本発明の粉粒状混合調味料を調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粉粒同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止することができ、また、本発明の粉粒状混合調味料の粒度が、所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粒に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上するととともに、前記混合・粉砕用粉体が所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウの粉粒同士の結着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性が向上するという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
1 粉粒状混合調味料の粒子
2 粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物
3 固形ルウが粉砕された粉粒物の表面
4−1 固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着して存在しているに混合・粉砕用粉体
4−2 固形ルウが粉砕された粉粒物の表面の近傍に分散して存在しているに混合・粉砕用粉体
本発明は、溶解性と生産性に優れる粉粒状混合調味料およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、熱水または、料理に用いられる具材が煮込まれた熱水中に添加しても容易に溶解する優れた溶解性を有する上、包装容器へ安定して容易に自動充填できるなど生産性にも優れており、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどの調理に用いることができる粉粒状混合調味料およびその製造方法に関するものである。
一般に、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどのソース類などの調理に用いる固形ルウなどの調味料は、常温で固形の油脂またはバターなどと小麦粉などの澱粉を100℃以上に加熱混合して小麦粉ルウを製造した後に、香辛料、砂糖、食塩、その他調味料などを加え、混合後、容器に充填し、冷却固化して製造されている(例えば、特許文献1参照)。
固形ルウは、熱水または、料理に用いられる具材が煮込まれた熱水中に添加して、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどのソース類などの調理に用いる調味料であることから、調理後のソースには所定の、とろみ、すなわち粘性が求められている。
そのため、調理後の粘性を出すために、小麦粉などの澱粉が用いられる。
小麦粉などの澱粉は、水の存在下で加熱されると約60℃以上で澱粉粒が膨張し、粘度が増加するという、いわゆる澱粉のα化(糊化)現象が発生することが知られており、それにより粘性を付与することが可能となる。
しかし、固形ルウを、調理の際に約90℃以上の熱湯中に入れると、固形ルウの表面あるいは表面近傍に存在する澱粉に糊化現象が発生し、糊化した澱粉膜ができ、水が固形ルウの内部に接しにくくなり、溶解性が損なわれ、溶解に時間を要したり、あるいは最後まで溶解しない、所謂ダマが残存したりするという問題があった。
そこで、固形ルウに形成された分割用の凹状の溝に沿って割って小型化することができる固形ルウや、事前に細かく裁断してフレーク状や粒子状にしたものが提案されている。
小型化、もしくは細かく裁断することにより、溶解性が向上することもあるが、熱湯中に入れると、それらの小型化した固形ルウやフレーク状、もしくは粒子状のルウも、表面にできた糊化した澱粉膜により、互いが接着して再び大きな塊になってしまい、結果的に、同じように溶解性が損なわれ、溶解に時間を要したり、あるいは最後まで溶解しないダマが残存したりするという問題があった。
また、細かく裁断したフレーク状や粒子状のルウは、固形ルウ表面に存在する油脂による粘着性のため、所定以下の大きさにしようとすると、フレーク状や粒子状のルウ同士が結着してしまうという問題もあり、その細かさには限界もあった。
そのため、機械による包装容器への自動充填などが難しく、充填量のバラつきが大きくなるなど生産性に問題があった。
あるいは、商品の流通や保存の際に、高温にさらされた場合にも、フレーク状や粒子状のルウ同士の結着が起き、包装容器の中で、塊になったりする場合もあり、問題があった。
また、従来、油脂と小麦粉、および調味料などを含む加水した食品原料を押し出し型の造粒機により造粒し乾燥して粒状物とする方法(湿式造粒法)(例えば、特許文献2参照)や、加水することなく特定の上昇融点の油脂と小麦粉、および調味料などを混合し押し出し造粒して粒状物とする方法(乾式造粒法)(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
また、澱粉原料に極少量の油脂を加え、加水することなく押し出し造粒し、澱粉以外の原料は加水することなく加圧成形した後、粉砕整粒し、得られた両顆粒物を混合するローファットの顆粒状食品およびその製造方法(特許文献4参照)、澱粉に油脂を0〜6質量%、水分4〜12質量%含む食品原料を所定の硬度になるように加圧成形し、それを粉砕整粒するローファットあるいはノンファットの顆粒状食品およびその製造方法(特許文献5参照)、油脂および澱粉などを必須原料とした原材料を加熱混合し冷却固化したルウに、必須成分としてアルファー化したヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉などの化工澱粉などを混合してフレーク状あるいは顆粒状とした溶解性に優れたルウおよびその製造方法(特許文献6参照)、澱粉質原料、油脂および調味料を含み、かつ、油脂含量が10〜25質量%である原料を加熱混合して低油脂ルウを調製し、それを粉粒とし、成形型に充填し、そして加圧成形する低カロリーの低油脂固形ルウの製造方法(特許文献7参照)なども提案されている。
しかしながら、いずれも前記各種問題をすべて解決するものはなく、食味を損なう問題があったり、生産性が劣りコスト高になったりするなどの問題があった。
また、常温で液状またはペースト状の油脂を用いることで、ペースト状のルウとすることも提案されている(特許文献8参照)が、ペースト状のルウの場合では、任意の量の使用が困難であったり、使用後の残ったルウの保存がし難かったり、包装容器から全てのペーストを絞り出すことが難しいなどの問題があった。
特開平11−332526号公報 特公昭53−45380号公報 特開平6−125717号公報 特開2000−125784号公報 特開2000−125783号公報 特開2006−81462号公報 特開2006−345856号公報 特公昭63−3583号公報
本発明の第1の目的は、従来からの問題を解決し、熱水または、料理に用いられる具材が煮込まれた熱水中に添加しても溶解性に優れ、また、包装容器への安定した自動充填が可能となり、保存面の機能も優れていて、調理後のソースのコクや食感に関しても優れているカレー、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソースなどの提供を可能とする粉粒状混合調味料を提供することである。
本発明の第2の目的は、本発明の粉粒状混合調味料を容易に製造することができる製造方法を提供することである。
本発明の発明者は、鋭意研究の結果、固形ルウを所定の条件にて調製した後、この固形ルウを食品原料からなる所定の混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕することにより、前記混合・粉砕用粉体が前記固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在している粉粒状混合調味料であって、粒度が所定の寸法に小さく揃い、調理時の熱水中での溶解性や生産性の優れており、包装容器への安定した自動充填が可能であり、保存性にも優れていて、調理後のソースのコクや食感に関しても優れている粉粒状混合調味料を得ることができることを発見し、本発明を成すに至った。
前記課題を解決するための請求項1記載の発明は、常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分とし、前記常温で固形の油脂が融解する温度以上で加熱混合した後に冷却固化する工程を含む方法により製造される固形ルウを、下記1)および2)を満たす食品原料からなる混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕して製造する粉粒状混合調味料であって、
前記粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の含量が10〜55質量%であり、
前記粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が70質量%以上であり、前記混合・粉砕用粉体が前記固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在していることを特徴とする粉粒状混合調味料である。
1)前記混合・粉砕用粉体中に含まれる加水加熱によりα化する澱粉の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して30質量%以下であり、且つ、前記粉粒状混合調味料に対して20質量%以下である。
2)前記混合・粉砕用粉体中に含まれる前記油脂の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して20質量%以下であり、且つ、前記粉粒状混合調味料に対して7質量%以下である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の粉粒状混合調味料において、前記粉粒状混合調味料中の前記常温で固形の油脂の全含量が12〜25質量%であることを特徴とする。
(削除)
請求項記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体の70質量%以上が、目開き0.35mmの篩をパスする粉体であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、加水加熱によりα化する澱粉を実質的に含まないことを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、油脂を実質的に含まないことを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記食品原料からなる混合・粉砕用粉体が、動植物の乾燥粉砕加工物、各種液体原料の乾燥粉末化物、調味料粉末、その他粉体香料、粉体増粘多糖類、粉体色素から選ばれる少なくとも1つであること、を特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料の製造方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする粉粒状混合調味料の製造方法である。
(1)常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分として準備する。
(2)前記油脂の融解する温度以上で前記油脂および前記加水加熱によりα化する澱粉を加熱混合する時および/または加熱混合した後に、必要に応じて調味料を混合し、冷却固化して固形ルウを調製する。
(3)冷却固化した固形ルウを必要に応じて予備粉砕した後、加水加熱によりα化しない粉体を含む混合・粉砕用粉体を、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の含量が10〜55質量%となるように、粉砕機を用いて混合しながら粉砕して、前記粉粒状混合調味料を調製する。
(4)調製した前記粉粒状混合調味料を、充填機を用いて容器に充填し、密封包装する。
本発明の請求項1記載の発明は、常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分とし、前記常温で固形の油脂が融解する温度以上で加熱混合した後に冷却固化する工程を含む方法により製造される固形ルウを、前記1)および2)を満たす食品原料からなる混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕して製造する粉粒状混合調味料であって、
前記粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の含量が10〜55質量%であり、
前記粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が70質量%以上であり、前記混合・粉砕用粉体が前記固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在していることを特徴とする粉粒状混合調味料であり、
所定の条件にて、固形ルウを混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕することにより、前記混合・粉砕用粉体が、形ルウが粉砕された粉粒物の表面に、速やかに付着ないし表面近傍に分散して存在することになり、混合・粉砕中の固形ルウが粉砕された粉粒物の粉砕機への付着や固形ルウが粉砕された粉粒物同士の結着を防止し、混合・粉砕用粉体が存在しない場合に比較して、より均一で小さな粉粒状にすることが可能となるという顕著な効果を奏する。
また、前記混合・粉砕用粉体は所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、本発明の粉粒状混合調味料を調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粉粒同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止することができ、また、本発明の粉粒状混合調味料の粒度が、所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粒に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上するという顕著な効果を奏する。
また、固形ルウは元来、油脂の存在により粘着性を有するが、本発明においては前記混合・粉砕用粉体が形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在するため、また、前記混合・粉砕用粉体が所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウの粉粒同士の結着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性が向上するという顕著な効果を奏する。
さらに、商品の流通や保存の際に、高温にさらされた場合にも、混合・粉砕用粉体が固形ルウが粉砕された粉粒物同士の接着を防止できるため、包装容器の中で、塊になることを防止するという顕著な効果を奏する。
さらに、短時間で溶解するので、溶解中にお湯の温度が下がりにくく、すべての澱粉原料がより高温のお湯にさらされるため、溶解と同時に全体が均一にα化し、十分な粘度が発現されるため、必ずしも溶解後に改めて加熱して澱粉原料をα化する必要がないという顕著な効果を奏する。
またさらに、混合・粉砕用粉体を混合しながら粉砕し、粉粒状混合調味料を調整するので、本発明の混合・粉砕用粉体に用いられる粉体を含めた原料全てを油脂で全体として固める必要のある従来からある通常の固形ルウに比べ、混合・粉砕用粉体を除く粉体を含めた原料のみを油脂で固めるのみで良いことから、油脂の使用量を減らすことが可能となるという効果も発揮し、減らした場合には、より低カロリーでヘルシーな調理品とすることができるという顕著な効果を奏する。
前記粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の割合を所定の範囲とすることにより、前記混合・粉砕用粉体が固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の粉粒状混合調味料において、前記粉粒状混合調味料中の前記常温で固形の油脂の全含量が12〜25質量%であることを特徴とするものであり、
前記粉粒状混合調味料中の油脂含量を所定の範囲とすることにより、固形ルウを調整しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、さらには、固形ルウ同士の結着、および結着した塊の表面のα化によるダマの発生もさらに防止し、より溶解性その他の効果が向上する上、適度にコクがあり、より低カロリーでヘルシーな調理品とすることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
(削除)
請求項記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体の70質量%以上が、目開き0.35mmの篩をパスする粉体であることを特徴とするものであり、
混合・粉砕用粉体を細かくすることにより、粉体の粒子数が増え表面積も増すため、粉砕された固形ルウの表面や周囲により広く分散して存在することになり、固形ルウが粉砕された粉粒物の結着をより防止し、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、加水加熱によりα化する澱粉を実質的に含まないことを特徴とするものであり、
前記混合・粉砕用粉体が、加水加熱によりα化する澱粉原料を実質的に含まないことにより、調理の際に熱水中に入れても、混合・粉砕用粉体がα化して結着することを防止し、そのため固形ルウが粉砕された粉粒物の結着をより防止し、結着によるダマの発生をさらに防止し、溶解性がさらに向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、前記混合・粉砕用粉体が、油脂を実質的に含まないことを特徴とするものであり、
前記混合・粉砕用粉体が、油脂を実質的に含まないことにより、粉粒状混合調味料の粘着性がさらに低くなり、機械上での滑り性などがさらに向上し、また、商品が流通や保存された際に塊になることを、より防止するというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料において、
前記食品原料からなる混合・粉砕用粉体が、動植物の乾燥粉砕加工物、各種液体原料の乾燥粉末化物、調味料粉末、その他粉体香料、粉体増粘多糖類、粉体色素から選ばれる少なくとも1つであること、を特徴とするものであり、
前記食品原料からなる混合・粉砕用粉体が前記食品原料から選ばれる少なくとも1つであるので、市販品も多く、入手が容易であり、混合・粉砕用粉体としての作用効果を確実に挙げることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料の製造方法であって、前記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする粉粒状混合調味料の製造方法であり、
本発明の粉粒状混合調味料を容易に製造することができるという顕著な効果を奏する。
図1は本発明の粉粒状混合調味料の粒子の一例の断面を模式的に説明する断面説明図である。 図2は本発明の粉粒状混合調味料の製造工程の一例を説明する説明図である。
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は本発明の粉粒状混合調味料の粒子の一例の断面を模式的に説明する断面説明図であり、1は、本発明の粉粒状混合調味料の粒子、2は固形ルウが粉砕された粉粒物、3は固形ルウが粉砕された粉粒物の表面、4−1は固形ルウが粉砕された粉粒物2の表面3に付着して存在している混合・粉砕用粉体、4−2は固形ルウが粉砕された粉粒物2の表面3の近傍に分散して存在しているに混合・粉砕用粉体をそれぞれ示す。
本発明においての混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着しているとは、混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に接触して固定されている状態、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に混合・粉砕用粉体の一部が出ている状態で一体化している状態、および固形ルウが粉砕された粉粒物の表面付近に入り込んだ状態およびこれらの組み合わせをいう。
さらに、本発明においての混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面近傍に分散しているとは、混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着している混合・粉砕用粉体の表面に付着していたり、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着もしくは接触した後に剥がれ、他の粉粒混合調味料の粒子に触れる状態であったりすることをいう。
そして、本発明の粉粒混合調味料は、各種包装容器を密封するまでに必要に応じて、混合・粉砕用粉体が付着していない粉粒物を追加して充填することができ、容器入りの粉粒混合調味料として使用することができる。固形ルウが粉砕された粉粒物の表面近傍に分散する混合・粉砕用粉体や、混合・粉砕用粉体が付着していない粉粒物の割合が低いと、より少量ずつ使用する調理において、品質の均一性が保てることから、容器入り粉粒混合調味料は、調味料の50質量%以上が混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着しているものであることが好ましく、さらに、80質量%以上が混合・粉砕用粉体が、固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着しているものであるとことがより好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。
本発明においては混合・粉砕用粉体4-1、4−2が粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物2の表面3に付着ないし表面近傍に分散して存在するため、また、混合・粉砕用粉体4-1、4−2が所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、本発明の粉粒状混合調味料1を調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粉粒2同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止することができ、また、本発明の粉粒状混合調味料の粒度が、所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粉粒2に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上し、
また混合・粉砕用粉体4-1、4−2が所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウの粉粒同士の結着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性を向上することができる。
本発明における、常温で固形の油脂とは、20℃で、自重によって変形しない油脂であり、荷重が加わったときの変形は許容される。常温で液体状や、流動性のある半固体状の油脂を含まない。
なお本発明における、常温とは、特筆していない限り、JIS Z 8703で定義される常温、即ち20℃±15℃である。
特に限定されないが、本発明で使用する常温で固形の油脂は、流通・保存などで高温下に晒されるリスクを考慮すると、上昇融点が30〜60℃で、かつ35℃のSFC(固体脂含量)が10〜45質量%の油脂であることが望ましい。
上昇融点が30℃未満、あるいは35℃のSFC(固体脂含量)が10質量%未満である場合には、常温で流動性のない固形状態を保つことが難しく、商品の流通や保存条件において、物性を維持できずに本発明の効果を発揮することが難しい。
上昇融点が60℃超、あるいは35℃のSFC(固体脂含量)が45質量%超である場合には、喫食中に調理品の温度が低下した場合に、油脂の結晶化により調理品の物性が変化し、食感などを損なう恐れがある。
上昇融点が30〜60℃で、かつ35℃のSFC(固体脂含量)が10〜45質量%の油脂であれば、商品の流通や保存条件においても、物性を維持しやすく本発明の効果を保つことができ、また、喫食中に調理品の温度が低下した場合でも、食感を損なう恐れがない。
本発明で使用する油脂は、具体的には、例えば菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、イリッペ脂、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油などの植物性油脂、並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの動物性油脂、これらの油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換などを施した加工油脂などを挙げることができる。
本発明の粉粒状混合調味料中の油脂含量は、特に限定されないが、12〜25質量%であると好ましく、15〜22%であるとより好ましい。
前記粉粒状混合調味料中の常温で固形の油脂の含量が、粉粒状混合調味料中の12〜25質量%であれば、固形ルウを調整しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、さらには、固形ルウ同士の結着、および結着した塊の表面のα化によるダマの発生もさらに防止し、より溶解性その他の効果が向上する。また、適度にコクがあり、より低カロリーでヘルシーな調理品とすることができる。
油脂が12質量%未満では、調味料としてのコクがやや不足し、固形ルウを固めづらく、溶解性も向上しにくく、25質量%より多いと、混合・粉砕用粉体の存在による固形ルウ同士の結着防止効果が発揮しづらく、目的の粒度にも調整しにくい場合がある。
本発明で使用する加水加熱によりα化する澱粉とは、各種澱粉原料であって、水を加えて加熱することによりα化する性質をもつ澱粉であり、具体的には、調理場面での加熱を目的としていることから、加水においては、50〜100℃のいずれかの温度で接触すると粘性を発現する澱粉を指す。
本発明で使用する加水加熱によりα化する澱粉は、特に限定されないが、例えば、小麦、とうもろこし、じゃがいも、米などを原料として製造されたものを用いることができる。
事前に加熱・乾燥し、低水分化した澱粉原料を使用することもできる。
デキストリンや加工澱粉など、加工によって澱粉特有のα化が発現しなくなったものについては、本発明の澱粉原料には該当しないが、必要に応じて、その他の加水加熱によりα化しない原料として使用することができ、動植物の乾燥粉砕加工物、各種液体原料の乾燥粉末化物や調味料粉末などからなる、加水加熱によりα化しない粉体として使用することもできる。
本発明における、加熱混合の加熱とは、特に限定されないが、油脂の融点〜140℃などが好ましく利用できる。混合することが目的であれば、油脂の融点を上回る温度であればよく、澱粉原料の水分蒸発や焙煎感の付与などが目的であれば、100〜140℃の加熱が好ましい。
また、香辛料を原料として加える場合には、香辛料中に含まれるリパーゼなどの酵素活性を生じない状態とする(失活させる)条件として、例えば90℃にて10分以上加熱する処理を施すなどの方法が適用できる。
本発明における、加熱混合の方法は、撹拌装置を有する容器にて、蒸気などの熱源を使用して間接加熱するなど、各種公知の方法を適用することが可能である。
本発明における、冷却固化についても、容器などに充填した固形ルウを冷蔵庫で冷却・固化したり、冷却可能なベルトや回転ドラム上に固形ルウを広げ冷却・固化したりするなど、各種公知の方法を適用することが可能である。
本発明における、固形ルウとは、熱水や具材などを適宜加えられ加熱調理されるスープやソースなどに、調理、または仕上げの段階において添加し、分散、溶解することで、でき上がるスープやソースに適度な粘性、風味などを付与する、少なくとも、常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を含んでいる、常温保存時において固形状態の調味料である。
特に限定されないが、必要に応じて、香辛料、ビーフエキス、野菜エキス、砂糖、食塩、アミノ酸などの調味原料の他、香料、増粘多糖類、色素など、種々の食品原料を含むことができる。
なお、固形ルウが粉砕された粉粒物とは、固形ルウの粉砕により生じる粒状または粉状の粉砕物のことである。
本発明で使用する食品原料からなる混合・粉砕用粉体は、混合・粉砕用粉体中に含まれる加水加熱によりα化する澱粉の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、且つ、前記混合・粉砕用粉体中に含まれる前記澱粉が、前記粉粒状混合調味料に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、かつ本発明で使用する食品原料からなる混合・粉砕用粉体は、混合・粉砕用粉体中に含まれる前記油脂の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、且つ、前記混合・粉砕用粉体中に含まれる前記油脂が、前記粉粒状混合調味料に対して7質量%以下、好ましくは3質量%以下である。
いずれも所定の含量以下であるものであればよく、特に限定されない。
混合・粉砕用粉体中に所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粒同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止する。
混合・粉砕用粉体は、熱水溶解時にダマになりやすいα化する澱粉を実質的に含まないことがさらにより好ましいが、混合・粉砕用粉体中および粉粒状混合調味料中の割合が所定割合以下であれば、その影響を低く抑えることができきる。
また、混合・粉砕用粉体中に所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウが粉砕された粉粒物同士の粘着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性が向上する。
混合・粉砕用粉体は、温度によって硬さや粘着力に差が生じやすい油脂を実質的に含まないことがさらにより好ましいが、混合・粉砕用粉体中および粉粒状混合調味料中の割合が所定割合以下であれば、その影響を低く抑えることができる。
混合・粉砕用粉体は、粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在することが肝要であるため、その大きさは、最終的に得られる粉粒状混合調味料中の固形ルウが粉砕された粉粒物の大きさと比較して、平均粒径の小さな粉状もしくは粒状の原料を用いることが好ましい。
具体的には、0を超え2mm以下の粒径を有する、球状、各面体、および定形されていない立体形状の粒または粉体などがあげられるが、混合・粉砕用粉体の70質量%以上が、目開き0.35mmの篩をパスする微粒な粉体であるとより好ましい。
混合・粉砕用粉体をより細かくすることにより、粉体の粒子数が増え、表面積も増すため、粉砕された固形ルウの表面や周囲により密に、より広く分散して存在することになり、固形ルウの粒同士の結着をより防止し、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上する。
本発明で使用する混合・粉砕用粉体は、粉状もしくは粒状であれば、種々の原料を使用することが可能である。
例えば、コショウ、トウガラシ、バジルなどの香辛料、キャベツ、ホウレンソウ、人参、大根、ジャガイモ、サツマイモなどの野菜パウダー、リンゴ、アボガドなどの果物パウダー、牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉のパウダー、マグロ、カツオ、イワシ、タコ、貝などの魚介類のパウダーなどの動植物の乾燥粉砕加工物、ビーフエキスパウダーやポークエキスパウダー、野菜エキスパウダー、ミルクパウダー、醤油パウダー、ソースパウダー、食酢パウダー、粉末味噌、粉末油脂などの各種液体原料の乾燥粉末化物、塩や砂糖、アミノ酸などの調味料粉末、その他粉体香料、粉体増粘多糖類、粉体色素から選択される少なくとも1つを挙げることができる。すなわち、単体でもよく、複数の組み合わせでも使用できる。さらに、混合・粉砕用粉体に用いる種々の粉状もしくは粒状の原料は、必要に応じて、単体でも、複数の組み合わせた後でも、さらに粉砕した粉体にすることができる。
なお、本発明で使用する混合・粉砕用粉体は、アミラーゼ活性、リパーゼ活性などの酵素活性を生じない状態になっている(失活している)ことが望ましい。
混合・粉砕用粉体のリパーゼ活性が失活していれば、保存中に原料油脂が分解され、異臭の発生などの品質劣化を防止するという効果を得ることができる。
あるいは、混合・粉砕用粉体のアミラーゼ活性が失活してれば、調理時にα化した澱粉を分解し、粘性が低下してしまうことを防止するという効果を得ることができる。
本発明における、固形ルウと混合・粉砕用粉体を混合しながら粉砕する方法は特に限定されるものではないが、粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が、粉粒状混合調味料中の70質量%以上となるように粉砕することが肝要である。さらに、粉粒状混合調味料が溶けないで残る可能性を著しく減らすために、目開き5mmをパスしない部分を用いないことが好ましい。
粉粒状混合調味料の粒度が、前記のように所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粒に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上する。
目開き5mmの篩をパスする部分の割合が、粉粒状混合調味料中の70質量%未満であると、粒度が小さく揃わず、調理時の熱水中での溶解性が悪くなったり、充填量がばらつくなど、生産性に悪影響を及ぼしたりする。
具体的には、粉砕物中に生じた大きな塊を除去し、目的の粒度の粉粒状混合調味料を得てもよいし、大きな塊を繰り返し粉砕することにより目的の粒度の粉粒状混合調味料を得てもよい。
固形ルウを所定の大きさに予備裁断した後に、混合・粉砕用粉体を添加し、必要に応じて予備混合し、その後に粉砕してもよいし、混合・粉砕用粉体を複数回に分けて添加しながら粉砕するなどの方法でもよい。
粉砕には、裁断、切断、切削など各種公知の方法を用いることができ、工程はバッチ式、連続式など自由に組み合わせることも可能である。
混合しながら粉砕することにより得られる70質量%以上が目開き5mmの篩をパスする粉粒状混合調味料の粒度は、基本的にはより細かい粉粒の方が、熱水中での溶解性がよく、そのため目開き2mmの篩をパスする部分の割合が、全粉粒状混合調味料中の50質量%以上であればより熱水中での溶解性が高くなることから好ましく、70質量%以上であれば、充填容積が小さくなったり、溶解時間が均一になったりすることからさらに好ましく、100質量%であればもっとも好ましい。
より細かくすることで溶解性は向上するが、細かくし過ぎて粉砕物の表面や周囲に付着もしくは分散して存在する混合・粉砕用粉体の量が足りなくなると、効果を発揮しづらい場合もあるので、適宜条件を調整することが望ましい。
粉粒状混合調味料中の混合・粉砕用粉体の質量割合は、特に限定されないが、10〜55質量%の範囲であれば好ましく、23〜42質量%の範囲であれば、粉砕物の表面や周囲に混合・粉砕用粉体が付着もしくは分散して存在しやすく、また、粉粒状混合調味料を目的の粒度に調整しやすく、粉粒状混合調味料も均一になりやすく、より溶解性や生産性、その他の効果が向上し、より好ましい。
55質量%より多いと、粉粒状混合調味料中の固形ルウが均一に存在しにくくなり、10質量%より少ないと、粉砕物の表面や周囲に付着もしくは分散して存在する混合・粉砕用粉体の量が足りず、効果が発揮しづらい。
混合しながら粉砕する際の固形ルウの混合・粉砕前の品温は、特に限定されないが、―20〜25℃であることが好ましく、混合・粉砕用粉体の混合・粉砕前の品温は、5〜35℃であることが好ましい。また、混合しながら粉砕した直後の粉粒状混合調味料の品温は、5〜30℃であることが好ましい。
固形ルウの品温は、低すぎると、油脂が硬くなり粉砕しづらかったり、処理後に結露が生じやすかったり、固形ルウが粉砕された粉粒物の粘着性が低下し混合・粉砕用粉体が付着しにくかったりするなどの問題があり、高すぎると、固形ルウが粉砕された粉粒物の粘着性が増し、粉砕機に付着しやすくなったり、粉砕中に固形ルウが粉砕された粉粒物同士が結着しやすく混合・粉砕用粉体が十分に表面に付着できなかったり、あるいは、混合・粉砕用粉体が、融解して軟らかくなった固形ルウが粉砕された粉粒物の表面内部に入り込んで表面に存在出来ず、固形ルウが粉砕された粉粒物同士の結着を防止できなかったりするなどの問題がある。
混合・粉砕用粉体の品温は、固形ルウの品温に影響を与えるため、間接的に同様の問題を引き起こす可能性があり、適切な温度で利用することが好ましい。
固形ルウと混合・粉砕用粉体それぞれの温度を適宜調整することで、混合しながら粉砕した直後の粉粒状混合調味料の品温を適切にすることができる。
粉砕における摩擦熱の影響も考慮するとよい。
なお、品温を出来るだけ低くした上で、結露を防止しながら製品とする方法もあるが、この場合には、温調設備の負荷が大きくなるという問題がある。
本発明における、澱粉を実質的に含まないとは、澱粉を豊富に含み糊化の性質を発揮することを主目的とした澱粉原料を含まないことを意味し、例えば調味料などの製造過程で、糊化とは別の目的で加えられる少量の澱粉原料や、デキストリンなどの澱粉由来原料など、糊化の効果を実質的に発揮しないものまで全て排除するものではないことを示す。
本発明における、油脂を実質的に含まないとは、油脂の性質を発揮することを主目的とした油脂原料を含まないことを意味し、例えば香辛料や、穀物、肉類中の脂質分など、起源原料が元々有する油脂分や、調味料などの製造過程で、基材などの目的で加えられる油脂や調味油などまで全て排除するものではないことを示す。
図2は本発明の粉粒状混合調味料の製造工程の一例を説明する説明図である。
先ず、上昇融点45℃、35℃のSFC(固体脂含量)が25質量%の常温で固形のパーム油脂200kgを加熱溶解し、そこに水分を12質量%含有する小麦粉250kgを入れ、混合容器内にて撹拌し十分に分散した後、さらに加熱混合して120℃まで加熱する。
加熱停止後に、順次、砂糖、アミノ酸などの調味料170kg、および香辛料10kgを添加し混合撹拌し、次いで、品温が約60℃になるまで冷却したルウを小分け容器に充填し、さらに品温が10℃になるまで冷却して固化し、固形ルウを調整する。
そして、容器より固化した固形ルウを取り出し予備粉砕し、外寸が約5〜30mm程度の大きさにする。
次いで、予備粉砕した固形ルウと、混合・粉砕用粉体として、香辛料、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料を含む粉体305kgを予備混合した後に、粉砕機を用いて混合しながら粉砕し、本発明の粉粒状混合調味料を調製する。
本発明の粉粒状混合調味料を調製した後、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たり35g±1gを充填し、密封包装する。
本発明で使用する製品容器は、プラスチック容器、ガラス瓶、袋包装体など公知の包装容器を使用することができる。
容器としては、バリヤー性容器が好ましく、例えば、袋状容器では、アルミナ蒸着PETフィルム/ポリアミド/ポリプロピレンフィルムを、ポリプロピレンフィルム面ではりあわせた袋や、トレー容器と蓋材の組み合わせ容器では、トレー容器は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を中間層とし、上下層には、ポリプロピレンを積層しこれをトレー状に成形したものとトレー容器上蓋フィルム(ガラス蒸着PET/ポリアミド/ポリプロピレン系シーラント)などが使用できる。
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例および比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
上昇融点45℃、35℃のSFC(固体脂含量)が25質量%の、常温で固形のパーム油脂200kgを、品温約70℃になるまで加熱溶解し、そこに水分を12質量%含有する小麦粉350kgを入れ、混合容器内にて撹拌し十分に分散した後(品温60℃)、さらに加熱混合して120℃まで加熱する。
加熱停止後に、順次、砂糖100kgを含む調味料170kg、および香辛料10kgを加え混合撹拌し、品温が約60℃になるまで冷却したルウを小分け容器に充填し、さらに品温10℃になるまで冷却して固化し、固形ルウを調整した。
容器より固化した固形ルウを取り出し予備粉砕し、外寸が約5〜30mm程度の大きさにした。
次いで、予備粉砕した固形ルウ(品温15℃)と、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどを含むその他の調味料235kg、香辛料70kg、合計305kg(品温25℃)を、粉体混合機を用いて予備混合した後に、粉砕機(株式会社ヤナギヤ製:サイレントカッター)を用いて、3分間混合しながら粉砕し、本発明の粉粒状混合調味料(品温20℃)を調製した。
なお、得られた前記粉粒状混合調味料の一部分を抜き取り検査すると、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、前記粉粒状混合調味料中の95質量%であった。
また、使用した混合・粉砕用粉体の一部分を混合・粉砕前に抜き取り検査すると、目開き0.35mmの篩をパスする部分の割合は、混合・粉砕用粉体中の55質量%であった。
また、混合・粉砕用粉体に澱粉や油脂は使用しなかった。
調製した粉粒状混合調味料は、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに2食分35gを充填し、密封包装したが、所定の速度で問題なく連続充填が可能であった。
また、鍋に、水300gと約3cm程度の大きさにカットした玉ねぎ200gを入れ、強火で加熱し沸騰したら火を止め、直後に、製造した粉粒状混合調味料2食分35gを入れ、スプーンでゆっくり撹拌し、溶解するまで(全体に分散して塊がなくなるまで)の時間を測定した結果、約40秒で容易に溶解することができた。
また、本発明の粉粒状混合調味料を40℃の恒温槽に1か月保存した後に、容器から本発明の粉粒状混合調味料を取り出し、その状態を観察した結果、保存前と比較して、わずかな粒同士の結着は見られるものの、溶解性などに影響を及ぼす特段の差は見られなかった。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
表1−1における固形ルウの欄の左から、
油脂は、固形ルウ中の油脂(kg)、
油脂/粉粒状混合調味料中は、固形ルウ中の油脂の粉粒状混合調味料中の割合(質量%)、
小麦粉は、固形ルウ中の小麦粉(kg)、
調味料は、固形ルウ中の調味料(kg)、
香辛料は、固形ルウ中の香辛料(kg)、をそれぞれ示す。
表1−2における混合・粉砕用粉体の欄の左から(なお、表中の粉体は、混合・粉砕用粉体の略である)、
粉体は、混合・粉砕用粉体の使用量(kg)、
粉体/粉粒状混合調味料中は、混合・粉砕用粉体の粉粒状混合調味料に対する割合(質量%)、
0.4mmパス/粉体中は、目開き0.35mmの篩をパスする部分の混合・粉砕用粉体に対する割合(質量%)
澱粉含量/粉粒状混合調味料中は、混合・粉砕用粉体に含まれる澱粉の粉粒状混合調味料に対する割合(質量%)、
澱粉含量/粉体中は、混合・粉砕用粉体に含まれる澱粉の混合・粉砕用粉体に対する割合(質量%)、
油脂含量/粉粒状混合調味料中は、混合・粉砕用粉体に含まれる油脂の粉粒状混合調味料に対する割合(質量%)、
油脂含量/粉体中は、混合・粉砕用粉体に含まれる油脂の混合・粉砕用粉体に対する割合(質量%)、をそれぞれ示す。
表1−2における右端部欄の、
5mmパス/粉粒状混合調味料中は、粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合(質量%)、を示す。
表2に記載の溶解性(秒数と評価)は、次のようにして測定し、評価したものである。
(溶解性の試験法)
鍋に、水300gと約3cm程度の大きさにカットした玉ねぎ200gを入れ、強火で加熱し沸騰したら火を止め、直後に、製造した粉粒状混合調味料を所定量入れ、スプーンでゆっくり撹拌し、溶解するまで(全体に分散して塊がなくなるまで)の時間(秒数)を測定する。
(溶解性の評価)
溶解性の評価については、以下の基準で行なった。
◎:30秒以内(とてもすばやく溶けてよい)
○:31〜50秒(すばやく溶けてよい)
△:51秒〜80秒(やや時間を要するが問題なく溶ける)
×:81秒以上(なかなか溶けず、固まりが残るなど問題あり)
表2に記載の充填適正などは、次のようにして測定し、評価したものである。
(充填適正などの試験法)
自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに所定量を充填し密封包装した際の充填量バラツキを測定するとともに状況を観察した。
(充填適正などの評価)
○:充填量バラツキがなく充填適正良好である。
△:充填量バラツキがややあるが充填適正良好である。
×:充填量バラツキがひどく均一充填困難である。
表2に記載の保存性は、次のようにして観察し、評価したものである。
(保存性の試験法)
容器に包装した本発明の粉粒状混合調味料を40℃の恒温槽に1か月保存した後に、容器から粉粒状混合調味料を取り出し、結着しているかどうかなど状態を観察した。
(保存性の評価)
○:結着していないか、結着はわずかであり、保存性が特に良好である。
△:結着がややあるが、保存性が良好である。
×:結着が多く、保存性が劣っている。
Figure 2015156840
Figure 2015156840
Figure 2015156840
(比較例1)
実施例1において混合・粉砕用粉体として加えた305kgを、比較例1においてはすべて固形ルウ製造工程において、調味料170kgおよび香辛料10kgと共に加えた。
得られた固形ルウ(品温約15℃)を、混合・粉砕用粉体を加えずに粉砕機を用いて粉砕しルウフレーク(品温約20℃)を得たが、ルウフレーク同士が結着しやすく(結着性×)、ルウフレークの粒度は、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が60質量%と低いものであった。
なお、粉砕機における粉砕時間については、溶解性や充填適正、保存性などを考慮し最適な状態となるように調整した。以降の実施例、比較例(比較例7を除く)においても同様にそれぞれ調整した。
得られたルウフレークを、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに2食分35gを充填し、密封包装したが、装置への付着を原因とした充填バラつきがひどく、充填が困難であった(充填適正など×)。
実施例1と同様に溶解性試験を実施したが、なかなか溶けず溶解に140秒を要した(溶解性×)。
実施例1と同様に保存試験を実施したが、保存前と比較して、ルウフレーク同士の結着が多く見られ、溶解性にも影響を及ぼすものであった(保存性×)。
特記しないその他の条件は、実施例1と同じである。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
実施例1と比較して、固形ルウの製造物性が硬く、その他結果もそれぞれ問題があった。
参考例1
実施例1で混合・粉砕用粉体として加えた原料305Kgの内の一部(調味料220kg、香辛料30kg)を、参考例1においては固形ルウ製造において、調味料170kgおよび香辛料10kgと共に加えた。
そして、予備粉砕した固形ルウと、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料15kg、香辛料40kg、合計55kgを、粉体混合機を用いて予備混合した後に、粉砕機を用いて混合しながら粉砕した以外は実施例1と同様にして、粉粒状混合調味料を調製した。
なお、得られた前記粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、前記粉粒状混合調味料中の80質量%であった。
また、使用した混合・粉砕用粉体中の、目開き0.35mmの篩をパスする部分の割合は、混合・粉砕用粉体中の60質量%であった。
調製した粉粒状混合調味料は、自動充填機を利用して製品容器に1容器当たりに2食分35gを充填し、密封包装したが、所定の速度で連続充填が可能であったが、装置への付着を原因とした充填バラつきがややあった(充填適正など△)。
実施例1と同様に溶解試験を実施したが、溶解に80秒を要したが問題なく溶解した(溶解性△)。
また、実施例1と同様に保存試験を実施したが、保存前と比較して、ルウフレーク同士の結着がやや見られ(保存性△)、溶解性にも少し影響を及ぼすものであった。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
実施例1と比較して、固形ルウの製造物性がやや硬く、溶解性その他も実施例1にやや劣るが、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(実施例
実施例1において固形ルウに加えた調味料170kgを、実施例2においては混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料235kg、香辛料70kgと共に加えた以外は実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、98質量%であった。
表2から、実施例1とほぼ同等の良好な結果が得られたことが判る。
参考例2
実施例1で固形ルウに加えた調味料170kgと、小麦粉350Kgの内の150kgを、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料235kg、香辛料70kg、と共に加えた以外は実施例1と同様にして、粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解時間が実施例1に劣る(溶解性△)が、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例2)
実施例1で固形ルウに加えた調味料170kgと、小麦粉350Kgの内の250kgを、混合・粉砕用粉体として、ビーフエキスパウダーなどのその他の調味料235kg、香辛料70kg、と共に加えた以外は実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
表2から、溶解性が悪く(溶解性×)問題があるものであることが判る。
参考例3
固形ルウの製造物性が硬くならないように表1に示すように油脂を増やし、他は参考例1と同様にして、粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、75質量%であった。
溶解性(△)その他が実施例1にやや劣るが、固形ルウの製造物性は改善され、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例3)
固形ルウの製造物性が硬くならないように表1に示すように油脂を増やし、他は比較例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、50質量%であった。
固形ルウの製造物性はやや改善されたが、溶解性(×)その他に問題があった。
(実施例
表1に示すように油脂を減らし、他は参考例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
参考例4
表1に示すように油脂を減らし、他は参考例2と同様にして、粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解時間が実施例1に劣る(溶解性(△))が、油脂量が減量でき、充填適性もより向上し、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例4)
表1に示すように油脂を減らし、他は比較例2と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
油脂量が節約でき、充填適性など(○)もより向上したが、溶解性(×)が悪く問題があった。
(実施例
表1に示したように、実施例1の油脂量200Kgを350Kgに増やした以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、80質量%であった。
溶解性その他が実施例1にはやや劣る(△)が、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(実施例
表1に示したように、実施例1の油脂量200Kgを80Kgに減らした以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
固形ルウの製造物性がやや硬く、溶解時間が実施例1に劣る(△)が、油脂量が節約でき、充填適性もより向上し、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(実施例
実施例1における油脂量200Kgを150Kgに減らし、その分の油脂50Kgを混合・粉砕用粉体中に、粉末化した固形油脂として入れた以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、80質量%であった。
溶解性その他が実施例1にはやや劣る(△)が、全体としては本発明の効果が発揮されたものであった。
(比較例5)
実施例1における油脂量200Kgを100Kgに減らし、その分の油脂100Kgを混合・粉砕用粉体中に、粉末化した固形油脂として入れた以外は、実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、65質量%であった。
固形ルウの製造物性が硬く、溶解性その他(×)に問題があった。
(実施例
粉砕前の固形ルウの品温を0℃に調整したことによって、粉砕後の本発明の粉粒状混合調味料の品温が13℃となった以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
結露の発生に注意が必要であったが、溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
(比較例6)
粉砕前の固形ルウの品温を35℃に調整したことによって、比較のための粉粒状混合調味料の品温が32℃となった以外は、実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、60質量%であった。
比較のための粉粒状混合調味料は、溶解性(×)、充填適性など(×)、保存性(△)など問題があるものであった。
(比較例7)
実施例1における粉砕時の粉砕時間(3分間)を短縮(1分間)した以外は、実施例1と同様にして、比較のための粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
比較のための粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、60質量%であった。
比較のための粉粒状混合調味料は、溶解性(×)、充填適性など(×)、保存性(△)など問題があるものであった。
(実施例
混合・粉砕用粉体中の調味料の一部を微粒粉砕機(株式会社ダルトン:アトマイザー)にて事前に粉砕し、混合・粉砕用粉体中の、目開き0.35mmの篩をパスする部分の割合が、混合・粉砕用粉体中の80質量%となるよう調整した以外は、実施例と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
(実施例9
実施例における固形ルウ調整時に使用した砂糖100kgを高甘味度甘味料のアセスルファムカリウムとスクラロースを含む混合調味料0.5kgに変更した以外は、実施例と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、98質量%であった。
溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
(実施例10
実施例における固形ルウ調整時に使用した油脂200kgを160Kgに減らし、かつ実施例における固形ルウ調整時に使用した砂糖100kgを高甘味度甘味料のアセスルファムカリウムとスクラロースを含む混合調味料0.5kgに変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の粉粒状混合調味料を調製した。実施例1と同様にして試験を実施し評価した。
諸条件を表1−1および表1−2に示し、結果を表2に示した。
本発明の粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合は、99質量%であった。
溶解性がさらによくなり(◎)良好な結果が得られた。
本発明の粉粒状混合調味料は、所定の条件にて、固形ルウを混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕することにより、前記混合・粉砕用粉体が粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在することになり、また、前記混合・粉砕用粉体は所定の割合以下しか加水加熱によりα化する澱粉を含まないため、本発明の粉粒状混合調味料を調理時に熱水中に入れても、固形ルウの粉粒同士の結着と、結着した塊の表面のα化によるダマの発生を防止することができ、また、本発明の粉粒状混合調味料の粒度が、所定の大きさ以下となっているため、熱と水分が固形ルウの個々の粒に素早く均一に行き渡りやすく、熱水中への溶解性が相乗的に向上するととともに、前記混合・粉砕用粉体が所定の割合以下しか油脂を含まないため、固形ルウの粉粒同士の結着が抑えられ、さらに、機械上での滑り性が向上するので、包装容器に自動充填し易く生産性が向上するという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
1 粉粒状混合調味料の粒子
2 粉砕された固形ルウが粉砕された粉粒物
3 固形ルウが粉砕された粉粒物の表面
4−1 固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着して存在しているに混合・粉砕用粉体
4−2 固形ルウが粉砕された粉粒物の表面の近傍に分散して存在しているに混合・粉砕
用粉体

Claims (8)

  1. 常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分とし、前記常温で固形の油脂が融解する温度以上で加熱混合した後に冷却固化する工程を含む方法により製造される固形ルウを、下記1)および2)を満たす食品原料からなる混合・粉砕用粉体と混合しながら粉砕して製造する粉粒状混合調味料であって、
    前記粉粒状混合調味料中の、目開き5mmの篩をパスする部分の割合が70質量%以上であり、前記混合・粉砕用粉体が、前記固形ルウが粉砕された粉粒物の表面に付着ないし表面近傍に分散して存在していることを特徴とする粉粒状混合調味料。
    1)前記混合・粉砕用粉体中に含まれる加水加熱によりα化する澱粉の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して30質量%以下であり、且つ、前記粉粒状混合調味料に対して20質量%以下である。
    2)前記混合・粉砕用粉体中に含まれる油脂の含量が、前記混合・粉砕用粉体に対して20質量%以下であり、且つ、前記粉粒状混合調味料に対して7質量%以下である。
  2. 前記粉粒状混合調味料中の前記常温で固形の油脂の全含量が12〜25質量%であることを特徴とする請求項1記載の粉粒状混合調味料。
  3. 前記粉粒状混合調味料中の前記混合・粉砕用粉体の含量が10〜55質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の粉粒状混合調味料。
  4. 前記混合・粉砕用粉体の70質量%以上が、目開き0.35mmの篩をパスする粉体であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料。
  5. 前記混合・粉砕用粉体が、加水加熱によりα化する澱粉を実質的に含まないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料。
  6. 前記混合・粉砕用粉体が、油脂を実質的に含まないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料。
  7. 前記食品原料からなる混合・粉砕用粉体が、香辛料、野菜パウダー、果物パウダー、鰹節パウダーなどの動植物の乾燥粉砕加工物、ビーフエキスパウダー、野菜エキスパウダー、ミルクパウダー、醤油パウダーなどの各種液体原料の乾燥粉末化物、塩や砂糖、アミノ酸などの調味料粉末、その他粉体香料、粉体増粘多糖類、粉体色素から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の粉粒状混合調味料の製造方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする粉粒状混合調味料の製造方法。
    (1)常温で固形の油脂および加水加熱によりα化する澱粉を必須成分として準備する。
    (2)前記油脂の融解する温度以上で前記油脂および前記加水加熱によりα化する澱粉を加熱混合する時および/または加熱混合した後に、必要に応じて調味料を混合し、冷却固化して固形ルウを調製する。
    (3)冷却固化した固形ルウを必要に応じて予備粉砕した後、前記動植物の乾燥粉砕加工物、各種液体原料の乾燥粉末化物や調味料粉末などからなる、加水加熱によりα化しない粉体を含む混合・粉砕用粉体を、粉砕機を用いて混合しながら粉砕して、本発明の粉粒状混合調味料を調製する。
    (4)調製した本発明の粉粒状混合調味料を、充填機を用いて容器に充填し、密封包装する。
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