JP2015148086A - 構真柱施工方法 - Google Patents

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【課題】回転駆動装置の回転駆動力を、効率よく、且つ、精度よく構真柱を建て込みできるようにする、構真柱施工方法を提供する。【解決手段】既製杭2と構真柱1とを一体にした一体物Pを、ヤットコYを用いて軸芯X周りに回転させながら地盤G内に建て込む構真柱施工方法であって、ヤットコYは、構真柱1に連結して回転力を伝達する。【選択図】図3

Description

本発明は、既製杭(例えば、PC杭やPHC杭等)と構真柱(例えば、H形鋼等)とを一体にした一体物を、ヤットコを用いて軸芯周りに回転させながら地盤内に建て込む構真柱施工方法に関する。
逆打ち工法の実施に伴う構真柱の設置は、一般的には、地中に構真台柱を造成すると共に、その構真台柱のコンクリートが硬化する前に、構真柱の下端部を構真台柱の上端部に挿入して、一体的に硬化させることが実施されている。この方法によれば、構真台柱の造成は、大型掘削機によって安定液を使用した掘削によって杭穴を形成した後、杭穴に鉄筋カゴを下げ入れると共に、コンクリートの充填を行う等の工程が必要となり、手順が煩雑で工期が長く掛かるものであった。
このような問題点を解消できる方法として、従来の構真台柱に替えて既製杭を用い、既製杭と構真柱とを一体にした状態で地盤中に建て込む方法があった(例えば、特許文献1参照)。
この方法の詳しい手順は、予め、地盤に杭建て込み用穴を掘削すると共に根固め液を注入しておき、その穴に、既製杭と構真柱との一体物を軸芯周りに回転させながら押し込むことで実施されるものである。
前記一体物の回転駆動には、図9に示すように、回転駆動装置Mの駆動軸Maと、一体物Pとにわたって駆動力を伝達できる「ヤットコ」Zを使用する。ヤットコZの上端部は、回転駆動装置Mの駆動軸Maに取り付けられ、ヤットコZの下端部は、駆動軸Maより大径の一体物Pに外嵌できるように大径に形成してある。回転駆動装置Mから一体物Pへの回転駆動力の伝達は、前記一体物Pの外周部に設けた回転駆動力伝達用の突起2bに対して、ヤットコ下端部に設けた係合凹部Zaを係合させることで実施可能となる。
従来、この種の構真柱施工方法においては、使用する「ヤットコ」Zは、図に示すように、ほぼ全長が、前記一体物Pに外嵌できる大径部として形成してあり、下端部の係合凹部Zaは、一体物Pの長手方向中間部より下端側に位置する既製杭2に係合させるように長さ設定してあった。従って、一体物Pを回転させる時には、ヤットコZの大径部内に、一体物Pの長手方向中間部より上端側に位置する構真柱1を飲み込んだ状態で、ヤットコ下端部の係合凹部Zaを、既製杭2の突起2bに係合させ、回転駆動装置Mからの回転駆動力を、既製杭Pに直接的に伝達させて実施していた(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−49855号公報(図5)
上述した従来の構真柱施工方法によれば、回転駆動装置の回転駆動力を、一体物の内の既製杭に直接的に伝達して一体物の建て込みを行っているから、それに使用するヤットコが長大化し、取扱い性が悪いことから、施工効率の低下を招く結果となっていた。
また、ヤットコとしては、回転駆動力を伝達できるだけの強度を備えておく必要があることから、全長にわたって厚肉の筒部材を使用することになり、重量の増加によって、更に取扱い性が悪化し、施工効率の低下に結びついている。
また、ヤットコと既製杭とは、突起と係合凹部との係合による連結構造であるから、互いの軸芯が屈曲する虞もあり、建て込み時に目視確認によって直接測定できるヤットコの鉛直性測定を行っても、ヤットコの内空部に位置する一体物は傾斜している危険があり、一体物の鉛直精度が低くなり易い問題点もある。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、効率よく、且つ、精度よく構真柱を建て込みできる構真柱施工方法を提供するところにある。
本発明の第1の特徴構成は、既製杭と構真柱とを一体にした一体物を、ヤットコを用いて軸芯周りに回転させながら地盤内に建て込む構真柱施工方法であって、前記ヤットコは、前記構真柱に連結して回転力を伝達するところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、ヤットコは、構真柱に連結して回転力を伝達するから、従来のように長大化したヤットコを用いることなく、最小長さのヤットコによって一体物の回転建て込みを実施することができる。
従って、ヤットコの最小化と軽量化とにより、取扱い性がよくなり、施工効率の向上、及び、それらに伴う工期短縮やコストダウンを叶えることができる。
更には、一体物の建て込み時に、構真柱部分を目視確認によって鉛直性の測定を行うことができ、一体物を高い鉛直精度で建て込むことができる。
本発明の第2の特徴構成は、前記構真柱は、本設柱の完成後に撤去される撤去対象部を備え、前記撤去対象部の長手方向の少なくとも一部には、分離自在な短尺形鋼が組み込んであるところにある。
逆打ち工法において、構真柱とは別に本設柱が設置される場合、本設柱が完成すると、構真柱の撤去対象部は除去されることになるが、その時点においては、構真柱には軸力が残留しており、この軸力が撤去対象部を横に抜き取る時の障害となりやすい。
本発明の第2の特徴構成によれば、構真柱の撤去対象部の長手方向の少なくとも一部に、分離自在な短尺形鋼が組み込んであるから、短尺形鋼に絞って抜き取り力を作用させればよく、地下の狭い作業空間であっても、周囲に干渉することなく短尺形鋼を簡単に抜き取って、前記軸力の解除を行うことができる。
従って、一本ものの長尺形鋼で構成してある構真柱を抜き取るのに比べて、効率よく、且つ、周囲へ悪影響を及ぼさない状態で構真柱の撤去を行える。
本発明の第3の特徴構成は、前記短尺形鋼は、予め、所定間隔で複数のボルト穴が形成された仮設用汎用品で構成してあるところにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、現場状況に応じた短尺材の組み合わせができ、連結や解体をより簡単に実施できる。また、短尺形鋼の転用によってコストダウンを図ることも可能となる。
構真柱施工方法を示す説明図 構真柱施工方法を示す説明図 構真柱施工方法を示す説明図 構真柱施工方法を示す説明図 構真柱と既製杭との連結状況を示す斜視図 ヤットコの設置状況を示す斜視図 構真柱の撤去状況を示す説明図 構真柱の撤去状況を示す説明図 従来の構真柱施工方法を示す説明図
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
図7、図4は、本発明の構真柱施工方法の一実施形態を示すもので、逆打ち工法によって形成される建物Bにおいて、地下部B0の建設に併行して地上部B1の建設をも進めるために、初期の建設段階で地下に支持柱となる構真柱1を設置して、地上部B1の荷重をこの構真柱1で支持できるようにするものである。
構真柱1は、地盤G内に建て込む際には、図1〜4に示すように、構真柱1を支持する構真台柱となる既製杭2を、構真柱1の下端部に一体に連結した一体物Pの状態で設置される。
構真柱1は、H形鋼によって構成してある。また、ここで説明する構真柱1は、図7、図8に示すように、地下部B0の本設柱B0aとしては使用せず、別途形成する本設柱B0aによって上部からの荷重を受けるまでの仮設柱として設置される。従って、本設柱B0aが完成の後に、基礎梁B0bより上方に露出している構真柱部分は撤去される。よって、構真柱1は、撤去時の分割を効率よく実施するために、基礎梁B0bに埋設される埋設対象部1Aと、撤去される撤去対象部1Bとを分割自在に備えて構成してある。
埋設対象部1Aは、基礎梁B0b内に埋設されることから、強度低下防止策として、ウェブやフランジにボルト穴を備えていないH形鋼が用いられている。
また、埋設対象部1Aの下端部は、既製杭2の中空部Vに上端側から挿入して一体化が図られている。具体的には、埋設対象部1Aを構成しているH形鋼の両フランジ外面に、図5に示すように、各別に溝形鋼3を溶接によって一体化しておき、その溝形鋼3を、既製杭2の上端面に備えた環状金属部2aに溶接することで、構真柱1と既製杭2とが一体化されている。
撤去対象部1Bは、図2〜4に示すように、長手方向に2分割された短尺H形鋼(短尺形鋼の一例)1Ba,1Bbで構成してある。これら短尺H形鋼1Ba,1Bbは、ウェブやフランジに所定間隔で配置したボルト穴が形成された仮設用汎用品で構成してある。仮設用汎用品は、例えば、山留め支保工等に使用される。
また、撤去対象部1Bの上端部には、後述するヤットコYを係合自在な被係合治具4が取り付けてある。
被係合治具4は、短尺H形鋼4aと、その上端にボルト連結された円形形状の治具本体4bと、その治具本体4bの外周部に、径方向に突出する状態に一体的に設けれた係合突部4cとを備えて構成してある。
ヤットコYの係合凹部Y2aを、図3に示すように、構真柱1の上端部に取り付けられた被係合治具4の係合突部4cに係合させた状態で、回転駆動装置Mからの回転力をヤットコY、被係合治具4を介して構真柱1に伝達することで、構真柱1と既製杭2とを軸芯X周りに一体回転させることができる。
尚、埋設対象部1Aや、撤去対象部1Bや、被係合治具4に用いられている各H形鋼は、それぞれ端面プレートEが設けてあり(図5参照)、H形鋼どうしの連結は、端面プレートEどうしを重ねた状態でボルト連結してある。従って、構真柱1の組立や解体撤去時には、ボルトの着脱操作によって簡単に実施することができる。
既製杭2は、当該実施形態においては、プレテンション方式遠心力高強度プレストレスコンクリート杭を例に挙げて説明している。外形は、円形横断面の中央部が中空部Vとなる円筒形として構成してあり、中空部Vは、長手方向の両端面に開口している。
既製杭2の両端面には、環状金属部2aがコンクリートと共に一体的に設けられている。また、図には示さないが、コンクリート内には、PC鋼材や螺旋鉄筋が埋設されている。
ヤットコYは、図6に示すように、回転駆動装置Mの駆動軸Maと、被係合治具4との間に設置されて、回転駆動装置Mの回転駆動力を、一体物Pに伝達できるように構成されている。
ヤットコYの上端部は、回転駆動装置Mの駆動軸Maに着脱自在な小径部Y1として構成され、ヤットコYの下端部は、被係合治具4の治具本体4bに係合自在な大径部Y2として構成してある。
また、大径部Y2の下縁部には、治具本体4bに形成された係合突部4cと係合自在な「カギ形」の係合凹部Y2aが形成されている。
従って、一体物Pの上端に取り付けた被係合治具4に、ヤットコYを上方から被せ、係合凹部Y2aに係合突部4cが進入するように下降させて「カギ形」の奥の部分に係合突部4cが当接するまでヤットコYを回転させることで、ヤットコYを構真柱1に係合連結することができ、回転駆動装置Mの回転駆動力を、一体物Pに伝達できるようになる。
また、回転駆動装置Mを、図には示さない杭打ち装置によって下降させることで、一体物Pを回転させながら地盤G中に建て込むことができる。
次に、構真柱1の施工方法について説明する。
[1]図1に示すように、一体物Pの設置予定位置に、例えば、オーガーマシン等を使用して建て込み用穴5を掘削し、根固め用のセメント液を注入する。
[2]建て込み用穴5内に、一体物Pの既製杭2の大半部分を建て込んだ状態で、図2に示すように、構真柱1の下端部を既製杭2の中空部Vに挿入して、溝形鋼3を介して、構真柱1と既製杭2とを溶接によって一体連結する。
[3]構真柱1の上端に取り付けられた被係合治具4に、ヤットコYを係合させ、回転駆動装置Mによる回転駆動を併用しながら、一体物Pを建て込み用穴5内に押し込む(図3参照)。
[4]所定の深度に一体物Pを建て込んだ後、構真柱1からヤットコYを取り外すと共に、被係合治具4を撤去する(図4参照)。
以上の工程で、構真柱1を地盤中に設置することができる。
また、当該構真柱1によって地上部B1からの荷重を支持しながら、地下部B0での基礎梁B0bや本設柱B0aの構築を完成させると、構真柱1での荷重支持を、本設柱B0aに盛替えることになり、以下に、構真柱1の撤去対象部1Bの撤去について説明する。
[1]図7に示すように、撤去対象部1Bの上端側の短尺H形鋼1Baについて、上下端部のボルト連結を解除した状態で、その短尺H形鋼1Baのみを横方向にずらして撤去する。
続いて、撤去対象部1Bの下端側の短尺H形鋼1Bbについて、下端部のボルト連結を解除した状態で、その短尺H形鋼1Bbを撤去する。
[2]図8に示すように、基礎梁B0b内に、構真柱1の埋設対象部1Aを残した状態に構真柱1の撤去を行い、表面に露出している部分のカバーリングを行う。
以上の工程で、地下部B0における構真柱1の撤去を行うことができる。
本実施形態の構真柱施工方法によれば、従来に比べて、コンパクトで軽いヤットコYを使用して一体物Pの建て込みを実施できるようになり、取扱い性がよくなることから、施工効率の向上、及び、それらに伴う工期短縮やコストダウンを叶えることができる。
そして、一体物Pの建て込み時には、構真柱1部分を対象にして鉛直性の測定を直接的に行うことができ、一体物Pを高い鉛直精度で建て込むことができる。
また、構真柱1の撤去対象部1Bの撤去の際、短尺H形鋼1Baに絞って横向きの力を作用させれば簡単に軸力の解除と抜き取りとを実施でき、地下の狭い作業空間であっても、周囲に干渉することなく、効率よく構真柱1の撤去を行える。
更には、撤去対象部1BのH形鋼には仮設用汎用品を使用しているから、転用しての使用が簡単な上、コストダウンを図ることも可能となる。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 一体物Pを構成する構真柱1や既製杭2は、先の実施形態で説明したものに限るものではなく、例えば、構真柱1は、H形鋼に替えて、筒形鋼材(角筒や円筒)や、十字断面鋼材等であってもよい。また、既成杭2は、PHC杭に限るものではなく、PC杭やRC杭等であってもよい。
〈2〉 構真柱1は、先の実施形態で説明した撤去対象部1Bを備えたものに限らず、例えば、撤去せずに全長を本設柱に組み込まれるものであってもよい。
〈3〉 建て込み用穴5への一体物Pの建て込みは、先の実施形態で説明したように、予め、一部を建て込んだ状態の既製杭2に、構真柱1を連結して一体物Pを形成した後、それらに回転力を加えて下降させながら建て込む方法に限るものではなく、例えば、予め、地上で既製杭2と構真柱1とを一体連結して一体物Pを構成した状態で、建て込み用穴5にその一体物Pを回転させながら建て込むものであってもよい。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
1 構真柱
1B 撤去対象部
1Ba 短尺H形鋼(短尺形鋼の一例)
1Bb 短尺H形鋼(短尺形鋼の一例)
2 既製杭
B0a 本設柱
G 地盤
P 一体物
X 軸芯
Y ヤットコ

Claims (3)

  1. 既製杭と構真柱とを一体にした一体物を、ヤットコを用いて軸芯周りに回転させながら地盤内に建て込む構真柱施工方法であって、
    前記ヤットコは、前記構真柱に連結して回転力を伝達する構真柱施工方法。
  2. 前記構真柱は、本設柱の完成後に撤去される撤去対象部を備え、
    前記撤去対象部の長手方向の少なくとも一部には、分離自在な短尺形鋼が組み込んである請求項1に記載の構真柱施工方法。
  3. 前記短尺形鋼は、予め、所定間隔で複数のボルト穴が形成された仮設用汎用品で構成してある請求項2に記載の構真柱施工方法。
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