JP2015131867A - Pc/abs系樹脂の伸び及び耐衝撃性向上用の共重合体、この共重合体とpc/abs系樹脂と樹脂組成物 - Google Patents

Pc/abs系樹脂の伸び及び耐衝撃性向上用の共重合体、この共重合体とpc/abs系樹脂と樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性を向上させることができる共重合体、及びこの共重合体とPC/ABS系樹脂を含む樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明によれば、スチレン単量体単位と無水マレイン酸単量体単位を必須とするスチレン−無水マレイン酸系共重合体であって、無水マレイン酸単量体単位5〜25質量%、重量平均分子量(Mw)5万〜30万である、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂からなる樹脂組成物の伸び及び耐衝撃性向上用の共重合体が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂からなる樹脂組成物(以下、「PC/ABS系樹脂」と称する)の伸び及び耐衝撃性向上用の共重合体、及びこの共重合体とPC/ABS系樹脂を含む樹脂組成物に関する。
PC/ABS系樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に優れることから、車輌用部品、家庭電化製品、事務機器部品をはじめとする多様な用途に使用されている。
特許文献1には、PC/ABS系樹脂の耐衝撃性や成形品の外観を向上させるために、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマーを配合する技術が開示されている。
特開平11−60851号公報
PC/ABS系樹脂は、耐衝撃性や成形品の外観が優れていること以外にも、伸びが優れていることも要求されるが、特許文献1では、伸びについて考慮されていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性を向上させることができる共重合体、及びこの共重合体とPC/ABS系樹脂を含む樹脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、スチレン単量体単位と無水マレイン酸単量体単位を必須とするスチレン−無水マレイン酸系共重合体であって、無水マレイン酸単量体単位5〜25質量%、重量平均分子量(Mw)5万〜30万である、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂からなる樹脂組成物の伸び及び耐衝撃性向上用の共重合体が提供される。
本発明者らは、無水マレイン酸単量体単位を5〜25質量%含有し且つMwが5万〜30万であるスチレン−無水マレイン酸系共重合体をPC/ABS系樹脂に添加したところ、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性が大幅に向上するという現象を発見した。
このような現象がどのような場合には生じるのかを検証すべく、ポリカーボネート樹脂に上記共重合体を添加した樹脂組成物や、ABS樹脂に上記共重合体を転化した樹脂組成物の伸びと耐衝撃性を測定したところ、何れの場合においても、伸びと耐衝撃性の両方が悪化してしまうという結果が得られた。この結果から、伸びと耐衝撃性の両方が向上するという現象は、PC/ABS系樹脂に特有の現象であることが分かった。
さらに、無水マレイン酸単量体単位の含有量を5%未満又は25%超にしたり重量平均分子量を5万未満又は30万超にした共重合体をPC/ABS系樹脂に添加した場合の伸びと耐衝撃性の変化を調べたところ、伸びと耐衝撃性の少なくとも一方の向上が不十分であった。
以上より、無水マレイン酸単量体単位を5〜25質量%含有し且つMwが5万〜30万であるスチレン−無水マレイン酸系共重合体をPC/ABS系樹脂に添加した場合に限って、伸び及び耐衝撃性の両方が大幅に向上するという現象が生じることが分かり、本発明の完成に到った。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
本発明では、スチレン単量体単位45〜85質量%、無水マレイン酸単量体単位10〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%である共重合体が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、ポリカーボネート樹脂(A)5〜95質量部、ABS樹脂(B)95〜5質量部、上記記載の共重合体(C)1〜30質量部を含む樹脂組成物(但しポリカーボネート樹脂とABS樹脂の合計を100質量部とする)が提供される。
本発明によれば、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性を向上させることができる共重合体、及びこの共重合体とPC/ABS系樹脂を含む樹脂組成物が提供される。
<用語の説明>
本願明細書において、「〜」という記号は「以上」及び「以下」を意味し、例えば、「A〜B」なる記載は、A以上でありB以下であることを意味する。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本発明のPC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性向上用の共重合体は、スチレン単量体単位と無水マレイン酸単量体単位を必須とするスチレン−無水マレイン酸系共重合体であって、無水マレイン酸単量体単位5〜25質量%、重量平均分子量(Mw)5万〜30万である。
この共重合体のスチレン単量体単位としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどの各スチレン系単量体に由来する単位が挙げられる。これらスチレン単量体単位は、1種類でもよく、2種類以上の併用であってもよい。共重合体中のスチレン単量体単位の含有量は、好ましくは45〜85質量%であり、さらに好ましくは52〜78質量%である。共重合体中のスチレン単量体単位の含有量がこのような範囲である場合に、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性の向上効果が特に大きいからである。
この共重合体の無水マレイン酸単量体単位としては、マレイン酸無水物に由来する単位が挙げられる。共重合体中の無水マレイン酸単量体単位の含有量は、5〜25質量%であり、好ましくは10〜20質量%であり、さらに好ましくは12〜18質量%である。共重合体中の無水マレイン酸単量体単位の含有量がこのような範囲である場合に、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性の向上効果が特に大きいからである。
この共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位をさらに含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの各メタクリル酸エステル単量体、およびメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレートなどの各アクリル酸エステル単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも好ましくはメチルメタクリレート単位である。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、1種類でもよく、2種類以上の併用であってもよい。共重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは5〜45質量%であり、さらに好ましくは10〜35質量%である。共重合体中のメタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量がこのような範囲である場合に、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性の向上効果が特に大きいからである。
本発明の共重合体の特に好ましい構成単位は、スチレン単量体単位45〜85質量%、無水マレイン酸単量体単位10〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位5〜45質量%であり、好ましくはスチレン単量体単位52〜78質量%、無水マレイン酸単量体単位12〜18質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位10〜35質量%である。
本発明の共重合体は、スチレン単量体単位、無水マレイン酸単量体単位、及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位以外の、共重合可能なビニル単量体の単位を共重合体中に発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよく、好ましくは5質量%以下である。共重合可能なビニル単量体の単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸単量体、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド単量体、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド単量体などの各単量体に由来する単位が挙げられる。共重合可能なビニル単量体の単位は、2種類以上の併用であってもよい。
本発明の共重合体は、重量平均分子量(Mw)が5〜30万であり、好ましくは10万〜20万であり、より好ましくは12万〜18万である。Mwが上記範囲である場合に、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性の向上効果が特に大きいからである。なお、重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値であり、下記記載の測定条件における測定値である。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製した。
次に、本発明の共重合体の製造方法について説明する。
重合様式においては特に限定はなく、溶液重合、塊状重合等公知の方法で製造できるが、溶液重合がより好ましい。溶液重合で用いる溶剤は、副生成物が出来難く、悪影響が少ないという観点から非重合性であることが好ましい。溶剤の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等のエーテル類、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素などが挙げられるが、単量体や共重合体の溶解度、溶剤回収のし易さの観点から、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。溶剤の添加量は、得られる共重合体量100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、さらに好ましくは30〜80質量部である。10質量部以上であれば、反応速度および重合液粘度を制御する上で好適であり、100質量部以下であれば、所望の重量平均分子量(Mw)を得る上で好適である。
重合プロセスは回分式重合法、半回分式重合法、連続重合法のいずれの方式であっても差し支えないが、所望の分子量範囲と透明性を得る上で回分式重合法が好適である。
重合方法は特に限定されないが、簡潔プロセスによって生産性良く製造することが可能であるという観点から、好ましくはラジカル重合法である。重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例えばジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスメチルプロピオニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル等の公知のアゾ化合物を用いることができる。これらの重合開始剤は2種以上を併用することも出来る。これらの中でも10時間半減期温度が、70〜110℃である有機過酸化物を用いるのが好ましい。
好ましい重量平均分子量(Mw)の範囲である10万〜20万である共重合体は、重合温度、重合時間、および重合開始剤添加量の調整に加えて、溶剤添加量および連鎖移動剤添加量を調整することで得ることが出来る。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンや2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。
重合終了後、重合液には必要に応じて、ヒンダードフェノール系化合物、ラクトン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物などの耐熱安定剤、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の耐光安定剤、滑剤や可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油等の添加剤を加えても構わない。その添加量は全単量体単位100質量部に対して0.2質量部未満であることが好ましい。これらの添加剤は単独で用いても、2種類以上を併用しても構わない。
重合液から本発明の共重合体を回収する方法については、特に限定はなく、公知の脱揮技術を用いることが出来る。例えば、重合液を二軸脱揮押出機にギヤーポンプを用いて連続的にフィードし、重合溶剤や未反応モノマー等を脱揮処理する方法が挙げられる。なお、重合溶剤や未反応モノマー等を含む脱揮成分は、コンデンサー等を用いて凝縮させて回収し、凝縮液を蒸留塔にて精製することで、重合溶剤は再利用することが可能である。
このようにして得られる本発明の共重合体は、PC/ABS系樹脂の伸び及び耐衝撃性向上剤として用いることができる。本発明の共重合体とPC/ABS系樹脂とを混練混合して樹脂組成物を得る方法については、特に限定はなく、公知の溶融混練技術を用いることが出来る。好適に使用できる溶融混練装置としては、単軸押出機、噛合形同方向回転または噛合形異方向回転二軸押出機、非または不完全噛合形二軸押出機等のスクリュー押出機、バンバリーミキサー、コニーダー及び混合ロール等がある。
本発明の共重合体とPC/ABS系樹脂を含む樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)5〜95質量部、ABS樹脂(B)95〜5質量部、本発明の共重合体(C)1〜30質量部を含むことが好ましい。但しポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)の合計を100質量部とする。このような割合でポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)、及び共重合体(C)を配合することによって、共重合体(C)による伸び及び耐衝撃性向上効果が好適に発揮される。
この樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂(A)は、好ましくは10〜90質量部であり、さらに好ましくは20〜80質量部である。また、ABS樹脂(B)は、好ましくは90〜10質量部であり、さらに好ましくは80〜20質量部である。さらに、共重合体(C)は、好ましくは5〜27質量部であり、さらに好ましくは7〜25質量部である。このような配合量の場合に、共重合体(C)による伸び及び耐衝撃性向上効果が特に高くなるからである。
樹脂組成物には本発明の効果を阻害しない範囲で安定剤や可塑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤などを配合してもよい。
本発明の実施例及び比較例では、以下の製造例で示す方法で製造したABS樹脂(B)及び共重合体(C)を用いた。また、ポリカーボネート樹脂(A)は、三菱エンジアリングプラスチックス社製ユーピロンE−2000を使用した。
<ABS樹脂(B)の製造例>
攪拌機を備えた200L反応缶中にポリブタジエンラテックス143部(固形分35%、平均粒径350nm)、ステアリン酸ソーダ1部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、テトラソジウムエチレンジアミンテトラアセチックアシッド0.01部、硫酸第一鉄0.005部、及び純水150部を仕込み、温度を50℃に加熱し、これにスチレン75%及びアクリロニトリル25%よりなる単量体混合物45部、t−ドデシルメルカプタン1.0部、キュメンハイドロパーオキサイド0.15部、を6時間で連続添加し、更に添加後65℃に昇温し2時間重合した。得られたラテックスに酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル社製イルガノックス1076)0.3部を添加した後、5%塩化カルシウム水溶液300部と塩酸をpHが4となる様に添加して凝固させ、水洗、乾燥後白色粉末を得た。この粉末27部とAS樹脂(電気化学工業社製AS−XGS)73部を二軸押出機(東芝機械社製 TEM−35B)にて、シリンダー温度230℃で溶融混練してペレット化してABS樹脂を得た。
<スチレン−無水マレイン酸系共重合体(C)の製造例>
マレイン酸無水物が20質量%濃度となるようにメチルイソブチルケトンに溶解させた20%マレイン酸無水物溶液と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが2質量%となるようにメチルイソブチルケトンに希釈した2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液とを事前に調製し、重合に使用した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.6kg、スチレン25kg、メチルメタクレリレート10kg、t−ドデシルメルカプタン30gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後87℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を1.9kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液は、そのまま1.9kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で22.8kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(C−1)を得た。得られた共重合体(C−1)をC−13NMR法により組成分析を行った。さらにGPC装置にて分子量測定を行った。
同様に、組成はマレイン酸無水物、スチレン、メチルメタクレリレートの添加量を変えることで、また、分子量はt−ドデシルメルカプタンの添加量を変えることで、組成及び重量平均分子量が異なる種々の共重合体(C−2)〜(C−9)及び比較共重合体(CC−1)〜(CC−4)を得た。これらの共重合体の組成及び重量平均分子量の分析結果を表1に示す。
<実施例・比較例・参考例>
上記のポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)、及び共重合体(C)を表2〜表3に示す配合でヘンシェルミキサーを用いて混合した後、二軸押出機(東芝機械社製 TEM−35B)にて、シリンダー温度260℃で溶融混練してペレット化して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、以下の評価を行った。評価結果を表2〜表3に示す。
(伸び)
JIS K7161−1994及びJIS K7162−1994に準拠し、射出成形したダンベル形の成形片を用い、島津製作所オートグラフAG−Xplusを用い、引張速度50mm/minにて引張破壊時呼びひずみを測定し、伸びの特性値とした。
次に、共重合体(C)を含む実施例・比較例での伸びの値を、共重合体(C)を含まずポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)の配合量が同じである参考例での伸びの値で割ることによって、伸び変化率(%)を算出した。具体的には、実施例1〜11及び比較例1〜5については、各実施例・比較例での伸びの値を、参考例3での伸びの値で割ることによって、伸び変化率(%)を算出した。実施例12、比較例6,比較例7については、それぞれの伸びの値を、参考例2、参考例1、参考例4での伸びの値で割ることによって、伸び変化率(%)を算出した。
さらに、伸び変化率に基づいて、伸び向上の度合いを以下の基準に従って評価した。
A:伸び変化率が150%以上
B:伸び変化率が130%以上150%未満
C:伸び変化率が115%以上130%未満
D:伸び変化率が100%以上115%未満
E:伸び変化率が100%未満
(シャルピー衝撃強度)
シャルピー衝撃強度は、JIS K7111−1:2012に基づき、ノッチなし試験片を用い、打撃方向はエッジワイズを採用して測定した。なお、測定機は東洋精機製作所社製デジタル衝撃試験機を使用した。
次に、共重合体(C)を含む実施例・比較例でのシャルピー衝撃強度の値を、共重合体(C)を含まずポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)の配合量が同じである参考例でのシャルピー衝撃強度の値で割ることによって、シャルピー衝撃強度変化率(%)を算出した。具体的には、実施例1〜11及び比較例1〜5については、各実施例・比較例でのシャルピー衝撃強度の値を、参考例3でのシャルピー衝撃強度の値で割ることによって、シャルピー衝撃強度変化率(%)を算出した。実施例12、比較例6,比較例7については、それぞれのシャルピー衝撃強度の値を、参考例2、参考例1、参考例4でのシャルピー衝撃強度の値で割ることによって、シャルピー衝撃強度変化率(%)を算出した。
さらに、シャルピー衝撃強度変化率に基づいて、シャルピー衝撃強度向上の度合いを以下の基準に従って評価した。
A:シャルピー衝撃強度変化率が270%以上
B:シャルピー衝撃強度変化率が200%以上270%未満
C:シャルピー衝撃強度変化率が130%以上200%未満
D:シャルピー衝撃強度変化率が100%以上130%未満
E:シャルピー衝撃強度変化率が100%未満
(成形品の外観)
射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度40℃の成形条件で、直径30mm、高さ50mmの円柱状成形品のサンプルを50個作製し、目視にて、シルバー、フローマーク、ガス焼け、着色、気泡などの外観不良が発生したサンプル数を数えることによって、外観評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
A:外観不良のサンプル数が0個
B:外観不良のサンプル数が1〜2個
C:外観不良のサンプル数が3〜4個
D:外観不良のサンプル数が5〜6個
E:外観不良のサンプル数が7個以上
(考察)
比較例1は、共重合体(C)中の無水マレイン酸単量体単位の含有量が少なすぎたために、伸び向上と耐衝撃性向上がどちらも不十分であった。
比較例2は、共重合体(C)中の無水マレイン酸単量体単位の含有量が多すぎたために、伸び向上と耐衝撃性向上がどちらも不十分であった。また、成形品の外観も良好でなかった。
比較例3は、共重合体(C)のMwが小さすぎたために、伸び向上と耐衝撃性向上がどちらも不十分であった。
比較例4は、共重合体(C)のMwが大きすぎたために、伸び向上が不十分であった。
比較例5は、共重合体(C)の添加量が多すぎたために、伸び向上と耐衝撃性向上がどちらも不十分であった。
比較例6は、樹脂組成物がABS樹脂(B)を含まなかったために、伸び向上と耐衝撃性向上がどちらも不十分であった。
比較例7は、樹脂組成物がポリカーボネート樹脂(A)を含まなかったために、伸び向上と耐衝撃性向上がどちらも不十分であった。
実施例1〜12では、無水マレイン酸単量体単位の含有量が5〜25質量%であり且つMwが5万〜30万である共重合体(C)を1〜30質量部添加したので、伸び向上及び耐衝撃性向上がどちらも大きく、かつ成形品の外観も良好であった。
さらに、実施例1〜4では、組成がスチレン単量体単位45〜85質量%、無水マレイン酸単量体単位10〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%であり且つMwが10万〜20万である共重合体(C)を1〜30質量部添加したので、伸び向上及び耐衝撃性向上がどちらも非常に大きく、かつ成形品の外観も非常に良好であった。

Claims (3)

  1. スチレン単量体単位と無水マレイン酸単量体単位を必須とするスチレン−無水マレイン酸系共重合体であって、無水マレイン酸単量体単位5〜25質量%、重量平均分子量(Mw)5万〜30万である、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂からなる樹脂組成物の伸び及び耐衝撃性向上用の共重合体。
  2. スチレン単量体単位45〜85質量%、無水マレイン酸単量体単位10〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%からなる請求項1に記載の共重合体。
  3. ポリカーボネート樹脂(A)5〜95質量部、ABS樹脂(B)95〜5質量部、請求項1又は請求項2に記載の共重合体(C)1〜30質量部を含む樹脂組成物(但しポリカーボネート樹脂とABS樹脂の合計を100質量部とする)。
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