JP2015125982A - 燃料電池用の触媒層の品質検査方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池用の触媒層の品質検査装置、および燃料電池用の触媒層の仕分けシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池用の触媒層の品質検査方法であって、載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置し、前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
燃料電池には、電解質の種類や電極の種類により種々のタイプに分類され、代表的なものとしては、アルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型がある。中でも、有望な燃料電池として、低温(−40℃程度)から120℃程度で作動可能な固体高分子型燃料電池が注目を集めており、その心臓部とも言えるデバイスが膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)である。
(1)
燃料電池用の触媒層の品質検査方法であって、
載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置し、
前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、
前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査方法。
前記検査ヘッドに対向して配置した変位センサによって前記検査ヘッドの上下方向への変化量を検出することを特徴とする(1)に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。
前記静電容量センサで得られた前記触媒層の電気的特性の変化に関する情報と、前記変位センサで得られた前記検査ヘッドの上下方向への変位情報に基いて、前記触媒層の内部品質のみの情報を得るようにしたことを特徴とする(2)に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。
前記触媒層と前記検査ヘッドとの間に生じる静電容量の変化を色調の変化としてマッピングすることにより、前記触媒層の内部構造ならびに形状分布を識別することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の品質検査方法により触媒層を検査し、検査された触媒層の良品と、高分子電解質膜と、電極とを接合して製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の品質検査方法により燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の触媒層と高分子電解質膜と電極(拡散層)とを接合して、良品の積層体を構成し、この良品の積層体を複数具備させて製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
燃料電池用の触媒層と高分子電解質膜と電極(拡散層)とを接合して接合体を構成し、この接合体を(1)〜(4)のいずれかに記載の品質検査方法により、前記燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の接合体を複数具備させて製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
燃料電池用の触媒層の品質検査装置であって、
載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置するとともに、前記検査ヘッドに対向させて当該検査ヘッドの上下方向への変化量を検出する変位センサを配置し、
前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、
前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査装置。
上記(8)に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査装置と、前記品質検査装置で検査された触媒層を内部品質の検査結果に基いてグレード分けを行うグレード分け装置とをインラインで接続し、前記触媒層の品質検査と前記触媒層の品質検査に基くグレード分けとを連続的に行うことを特徴とする燃料電池用の触媒層の仕分けシステム。
また、本発明によれば、透過X線を用いる品質検査方法および品質検査装置のように、検査対象となる触媒層の厚さ方向全体を含んでの情報ではなく、静電容量センサで検査する片側のみの情報を得ることができるので、検査対象のどの部分に欠陥があるのかを明確に判別することができる。さらには、その判別結果を、色調の変化として白色あるいは黒色のように異なる色でマッピングすることにより、様々な種類の内部欠陥を、視覚により容易に識別することが可能となる。
この膜電極接合体(MEA)2では、高分子電解質膜4の両面にカソード触媒層6とアノード触媒層8とが形成され、さらに、カソード触媒層6とアノード触媒層8の両側に、ガス拡散層10、ガス拡散(燃料拡散)層12がそれぞれ形成されている。
なお、カソード触媒層6とアノード触媒層8は、図4に示したように、触媒粉31を有し、好ましくはイオン導電材32を有している。
図2に示したように、本実施の形態に係る品質検査装置20は、検査対象を載置する載置台22の上に、検査対象に対向するように配置された静電容量センサ24と、静電容量センサ24の上方に配置される変位センサ26とを備えている。変位センサ26としては、レーザー変位センサを例示することができる。またこれらセンサは複数単位を備える(マルチヘッド化)事も可能であり、これにより走査時間・測定時間の短縮等の効果が得られる。
以下に、静電容量センサ24について簡単に説明する。
このように可動式測定アーム27が介在されることにより、検査ヘッド24aが、検査対象であるカソード触媒層6の触媒層10の表面高さに応じて上下に変位させることが可能にされている。
なお、以下では、膜電極接合体2よりガス拡散層10、ガス拡散(燃料拡散)層12を除いた物を固定した状態で、静電容量センサ24の検査ヘッド24aをアノード触媒層8に対して平面移動させた場合について説明する。
(2)の位置ではアノード触媒層8の表面が凸となっており、触媒層10の厚さが大きくなっている。(3)の位置では、触媒層10表面が凹となっており、触媒層10の厚さが小さくなっている。(4)の位置では、アノード触媒層8の内部にボイドが形成され密度が小さい。(5)の位置では、イオン導電材(イオノマー)が存在していない。
表面が凸となっている(2)の位置では、基準値に対し発振周波数は低く測定される。また、このとき、静電容量は基準値より高く測定される。
内部にボイドがある(4)の位置では、発振周波数が基準値より低く測定される。また、このとき、静電容量は基準値より高く測定される。
イオノマーが存在しない(5)の位置では、発振周波数が基準値より低く測定される。また、このとき、静電容量は基準値より高く測定される。
この変位センサ26は、例えば、レーザー変位計である。このような変位センサ26は、図2に示したように、静電容量センサ24の検査ヘッド24aに対向して配置される。そして、この変位センサ26は、走査中の検査ヘッド24aの上下方向への変化量を検出し、その変化量を演算処理装置34で処理すれば、アノード触媒層8の外部の形状を検出することができる。すなわち、変位センサ26により、(1)の位置における測定値を基準値とした場合に、(2)の位置では、変位量が大きくなり、(3)の位置、(4)の位置、(5)の位置では再び基準値となる。このようにして、検査ヘッド24aの高さ方向の変位量を取得することにより、アノード触媒層8の外部の形状を得ることができる。
また、凸部(2)に内部ボイド(4)や導電助剤無し(5)のような不良箇所が混在している場合にも、その寸法と静電容量から、内部欠陥の存在の可能性を知る事も可能である。
・灰色領域(コントラスト平坦面)…正常部
・白点…小さな凸部、イオノマー少、内部ボイド部
・黒点…小さな凹部、メタルリッチ相
・白線…高分子電解質膜上の凸の皺
・黒線…高分子電解質膜上の凹の皺
・黒リング…大きなメタルリッチ相
・白リング…カーボン偏析部
すなわち、本発明では、カソード触媒層6あるいはアノード触媒層8の検査を、膜電極接合体2を製造する工程のどの段階で行っても良い。
さらに、良品の膜電極接合体(MEA)2を複数束ねることで、スタック化した燃料電池を形成することができる。
またこれら内部検査結果による良品判定の他、合わせて得られた形状情報も外部検査結果として取り入れ、この良品判定のレベルをより向上させる事も可能である。
イオノマーが少なくボイドとなった場合は、「白点」としてボイドが表れた。
メタルリッチ相が小さい部分は「黒点」として表れた。
メタルリッチ相が大きい部分が「黒リング」状に表れた。
さらに、本発明では、インライン上に品質検査装置とグレード分け装置とを配置することにより、検査が完了した後の触媒層を、直ちに最終ユーザーの仕様に適合した燃料電池用の触媒層あるいは膜電極接合体を出荷することが可能になる。
4 高分子電解質膜
6 カソード触媒層
8 アノード触媒層
10 ガス拡散層
12 ガス拡散(燃料拡散)層
14、16 拡散層付きの触媒層
20 品質検査装置
22 載置台
24 静電容量センサ
24a 検査ヘッド
26 変位センサ
27 可動式測定アーム
30 高さ調整機構
31 触媒粉
32 イオン導電材(イオノマー)
34 演算処理装置
43 コイル
50 発振器
51 スイッチ
Claims (9)
- 燃料電池用の触媒層の品質検査方法であって、
載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置し、
前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、
前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査方法。 - 前記検査ヘッドに対向して配置した変位センサによって前記検査ヘッドの上下方向への変化量を検出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。
- 前記静電容量センサで得られた前記触媒層の電気的特性の変化に関する情報と、前記変位センサで得られた前記検査ヘッドの上下方向への変位情報に基いて、前記触媒層の内部品質のみの情報を得るようにしたことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。
- 前記触媒層と前記検査ヘッドとの間に生じる静電容量の変化を色調の変化としてマッピングすることにより、前記触媒層の内部構造ならびに形状分布を識別することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用の触媒層の品質検査方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の品質検査方法により触媒層を検査し、検査された触媒層の良品と、高分子電解質膜と、電極とを接合して製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の品質検査方法により燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の触媒層と高分子電解質膜と電極とを接合して、良品の積層体を構成し、この良品の積層体を複数具備させてスタックを製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
- 燃料電池用の触媒層と高分子電解質膜と電極とを接合して接合体を構成し、この接合体を請求項1〜4のいずれかに記載の品質検査方法により、前記燃料電池用の触媒層を検査し、検査された良品の接合体を複数具備させて製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
- 燃料電池用の触媒層の品質検査装置であって、
載置台上に載置された燃料電池用の触媒層に対向するように静電容量センサの検査ヘッドを上下動自在に配置するとともに、前記検査ヘッドに対向させて当該検査ヘッドの上下方向への変化量を検出する変位センサを配置し、
前記触媒層または前記静電容量センサの前記検査ヘッドのいずれか一方をいずれか他方に対し相対的に平面移動するように走査し、
前記触媒層の形状を、前記静電容量センサの検出結果に基いて検出するとともに、前記触媒層の内部および外部の品質を、前記触媒層の電気的特性の変化として検出するようにしたことを特徴とする燃料電池用の触媒層の品質検査装置。 - 請求項8に記載の燃料電池用の触媒層の品質検査装置と、前記品質検査装置で検査された触媒層を内部品質の検査結果に基いてグレード分けを行うグレード分け装置とをインラインで接続し、前記触媒層の品質検査と前記触媒層の品質検査に基くグレード分けとを連続的に行うことを特徴とする燃料電池用の触媒層の仕分けシステム。
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