JP2015110989A - 移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度センサの検出値に基づいて適切に温度送信値を決定することにより、過充填や過昇温を防止できる燃料電池車両を提供すること。【解決手段】燃料電池車両Vaは、外部のステーション9から供給された水素ガスを貯蔵する1つ以上の水素タンク31aと、水素タンク31a内の水素ガスの温度を検出する温度センサ41a,42aと、複数の加算暫定値のうち最も大きな値が所定の閾値に達するまでは、複数の減算暫定値のうち最も小さな値(min(T1−α,T2−α))を温度送信値TIRとして決定し、複数の加算暫定値のうち最も大きな値が閾値を超えた後は、複数の加算暫定値のうち最も大きな値(max(T1+α,T2+α))を温度送信値TIRとして決定する車両側制御装置6aと、決定された温度送信値TIRに基づいて生成されたデータ信号をステーションへ送信する通信機5と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、移動体に関する。より詳しくは、外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する貯蔵容器と、温度センサの検出値に応じて生成されたデータ信号をステーションへ送信する通信機と、を備えた移動体に関する。
燃料電池車両は、含酸素の空気と水素を燃料電池に供給し、これによって発電した電力を利用して電動機を駆動することにより走行する。近年、このような燃料電池を、動力を発生するためのエネルギー源として利用した燃料電池車両の実用化が進められている。燃料電池で発電するには水素が必要となるが、近年の燃料電池車両では、高圧タンクや吸蔵合金を備えた水素タンク内に予め十分な量の水素を貯蔵しておき、走行にはタンク内の水素を利用するものが主流となっている。また、これに合わせ、タンク内に必要な量の水素を速やかに充填するための、所謂通信充填と呼称される技術についても盛んに研究が進められている。
通信充填とは、車両では温度センサや圧力センサによって取得した水素タンクの温度や圧力に関するデータ信号をステーションへ送信し、ステーションでは受信したデータ信号に基づいて水素タンクの状態を把握し、これに応じて充填態様を決定したり変更したりする技術である。より具体的には、ステーションは車両から送信されたデータ信号に基づいて水素タンク内の水素の充填率(以下、「水素SOC」ともいう)を把握し、水素SOCが所定値に達した場合には、水素の充填を終了する。また、ステーションは、車両から送信されたデータ信号に基づいて水素タンク内の水素ガスの温度を把握し、この温度が所定の上限値を超えた場合には、水素タンクの温度の過剰な上昇を防止するため、水素の充填を中断する。なお以下では、規定の充填率を超える水素ガスがステーションから車両に供給されることを、過充填という。また充填中に水素タンク内の水素ガスの温度が規定の温度を超えることを過昇温という。
特許文献1には、通信充填に用いられる温度センサの故障を判定する技術が記載されている。特許文献1の判定技術では、充填開始直後の所定時間の間だけ通常よりも小さな流量で水素ガスを供給した後、ステーションに設けられた温度センサによって取得した供給ガスの温度と、水素タンクに設けられた温度センサによって取得したタンク内のガス温度とを比較することによって、水素タンクに設けられた温度センサの故障を判定する。すなわち、充填初期時に十分に小さな流量で水素ガスを供給すれば、供給ガスの温度とタンク内のガス温度とはほぼ等しくなると考えられることから、上述のようにして取得した供給ガスの温度とタンク内のガス温度とが大きく異なれば、水素タンクの温度センサは故障したと判定できる。
特開2011−149533号公報
ところが特許文献1の判定技術では、水素タンク内の急激な温度上昇を抑制するように小流量で水素を供給する必要があることから、その分だけ充填時間が長くなってしまうおそれがある。
また、温度センサの故障には、全ての温度領域において検出値が真値からずれるオフセット故障だけでなく、高温領域においてずれが顕著となるゲイン故障もある。しかしながら充填初期であって水素タンク内のガスが比較的低温となる時に故障判定を行う特許文献1の判定技術では、オフセット故障を検知できてもゲイン故障を検知するのは困難である。このため、特許文献1の技術を利用してもセンサのゲイン故障に起因した過充填を防止することは困難であると考えられる。
本発明は、充填時間を長くすることなくかつ移動体に設けられたセンサのゲイン故障に起因した過充填を防止できる移動体を提供することを目的とする。
(1)本発明の移動体(例えば、後述の燃料電池車両Va,Vb等)は、外部のステーション(例えば、後述のステーション9)から供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器(例えば、後述の水素タンク31a,31b,32b等)と、1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの温度を検出する2つ以上の温度センサ(例えば、後述の温度センサ41a,42a等)と、前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、所定の温度送信値(TIR)に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機(例えば、後述の赤外線通信機5)と、前記温度センサの検出値(T1,T2等)に当該温度センサの誤差値(α,β等)を加算した加算暫定値を前記温度センサごとに算出する加算暫定値算出手段(例えば、後述の車両側制御装置6a,6b等)と、前記温度センサの検出値(T1,T2等)に当該温度センサの誤差値(α,β等)を減算した減算暫定値を前記温度センサごとに算出する減算暫定値算出手段(例えば、後述の車両側制御装置6a,6b等)と、前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値が所定の閾値に達するまでは、前記複数の減算暫定値のうち最も小さな値を温度送信値として決定し、前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値が前記閾値を超えた後は、前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値を温度送信値として決定する送信値決定手段(例えば、後述の車両側制御装置6a,6b等)と、を備えることを特徴とする。
(2)本発明の移動体は、外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器と、1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの温度を検出する2つ以上の温度センサと、前記複数の温度センサの検出値に基づいて温度送信値を決定する送信値決定手段と、前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、前記温度送信値に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機と、前記温度センサの検出値から当該温度センサの誤差値を減算した減算暫定値を前記温度センサごとに算出する減算暫定値算出手段と、前記複数の減算暫定値のうち最も小さな値を用いて、前記移動体に設けられた貯蔵容器の燃料ガスの充填率に相当する充填率パラメータの値を算出する充填率パラメータ値算出手段と、を備え、前記通信機は、前記充填率パラメータの値が所定の閾値を超えた場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することを特徴とする。
(3)この場合、前記移動体は、同一の貯蔵容器又は同種の貯蔵容器に設けられた複数の温度センサのうち検出値が最も大きな温度センサと検出値が最も小さな温度センサとを選択し、最も大きな検出値と最も小さな検出値との差分値を算出する差分値算出手段(例えば、後述の車両側制御装置6a,6b等)をさらに備え、前記通信機は、前記差分値が、前記検出値が最も小さな温度センサの誤差値と前記検出値が最も大きな温度センサの誤差値とを合算して得られる故障判定値以上となった場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は前記温度センサが異常であることを示す所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することが好ましい。
(4)この場合、前記複数の温度センサは、検出特性が異なる2種以上を含むことが好ましい。
(5)この場合、前記貯蔵容器の数は2以上であり、前記複数の貯蔵容器のうち少なくとも2つは、燃料ガスの充填時における温度挙動が同じであり、これら同種の貯蔵容器には1つずつ温度センサが設けられることが好ましい。
(6)本発明の移動体は、外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器と、1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの圧力を検出する2つの圧力センサと、前記2つの圧力センサの検出値に基づいて圧力送信値を決定する送信値決定手段と、前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、前記圧力送信値に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機と、前記圧力センサの検出値に当該圧力センサの誤差値を加算した加算暫定値を前記圧力センサごとに算出する加算暫定値算出手段と、前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値を用いて、前記移動体に設けられた貯蔵容器の燃料ガスの充填率に相当する充填率パラメータの値を算出する充填率パラメータ値算出手段と、を備え、前記通信機は、前記充填率パラメータの値が所定の閾値を超えた場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することを特徴とする。
(7)本発明の移動体は、外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器と、1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの圧力を検出する2つの圧力センサと、前記2つの圧力センサの検出値に基づいて圧力送信値を決定する送信値決定手段と、前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、前記圧力送信値に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機と、前記2つの圧力センサの検出値の差分値を算出する差分値算出手段を備え、前記通信機は、前記差分値が、前記2つの圧力センサのそれぞれの誤差値を合算して得られる故障判定値以上となった場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することを特徴とする。
(1)本発明の移動体は、貯蔵容器内の燃料ガスの温度を検出する温度センサを2つ以上備える。したがって本発明の移動体によれば、移動体に設けられた温度センサの故障を判定するために、外部のステーションの温度センサを利用する必要がないので、上述のように通信充填にかかる時間を長くすることなくかつ様々な故障態様にも対応できる。
また本発明では、複数の加算暫定値のうち最も大きな値が所定の閾値に達するまでは、複数の減算暫定値のうち最も小さな値を温度送信値として決定し、これに応じたデータ信号をステーションへ送信する。換言すれば、燃料ガスの充填を開始してから貯蔵容器内の燃料ガスの温度が閾値に応じた温度まで上昇する間は、誤差の範囲内で小さ目に見積もられた複数の減算暫定値のうち最も小さな値を温度送信値としてステーションへ送信する。これにより、ステーションは、貯蔵容器内のガスの温度を実際の温度よりも低めに把握し、ひいては貯蔵容器内のガスの充填率を実際の充填率よりも高めに把握することとなるので、過充填を防止できる。また、このように複数の減算暫定値のうち最も小さな値を温度送信値とすることにより、例えば複数の温度センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以下の値をステーションに送信できるので、より確実に過充填を防止できる。
また本発明では、複数の加算暫定値のうち最も大きな値が閾値を超えた後は、複数の加算暫定値のうち最も大きな値を温度送信値として決定し、これに応じたデータ信号をステーションへ送信する。換言すれば、充填を開始してから貯蔵容器内の燃料ガスの温度が閾値に応じた温度を超えた後は、誤差の範囲内で大きめに見積もられた複数の加算暫定値のうち最も大きな値を温度送信値としてステーションへ送信する。これにより、上述のように過充填を防止するあまり、真値以下の値をステーションへ送信し続けてしまい、ステーション側での把握に反して過昇温になってしまうのを防止することができる。また、このように複数の加算暫定値のうち最も大きな値を温度送信値とすることにより、例えば複数の温度センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以上の値をステーションに送信できるので、より確実に過昇温を防止できる。
(2)本発明の移動体は、貯蔵容器内の燃料ガスの温度を検出する温度センサを2つ以上備える。したがって本発明の移動体によれば、上述の(1)の発明と同様の理由により、通信充填にかかる時間を長くすることなくかつ様々な故障態様にも対応できる。
また本発明では、複数の減算暫定値のうち最も小さな値を用いて、貯蔵容器の充填率パラメータの値を算出し、この充填率パラメータの値が所定の閾値を超えた場合には、実行中のデータ信号を用いた充填を終了又は中断させるべく、通信機からのデータ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号をステーションへ送信する。すなわち移動体は、貯蔵容器内のガスの温度を実際よりも低めに把握し、ひいては貯蔵容器内のガスの充填率を実際の充填率よりも高めに把握する。そして移動体は、この高めに把握した充填率と所定の閾値とを比較することによって、実際よりも早めのタイミングでデータ信号を用いた充填を終了又は中断させることができるので、過充填を防止できる。また、このように複数の減算暫定値のうち最も小さな値を用いて充填率パラメータの値を算出することにより、例えば複数の温度センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以下の値で充填率パラメータの値を算出できるので、より確実に過充填を防止できる。
(3)同一の貯蔵容器又は同種の貯蔵容器に設けられた複数の温度センサは、実質的に同じ対象物の温度を検出すると考えられることから、各温度センサが正常であれば充填中における各検出値もほぼ同じになると考えられる。本発明では、このような検出値を比較できる温度センサの群を抽出し、この群の中での検出値を比較することによって、温度センサの故障を判定する。これにより、充填を開始してから終了するまでの間は、いつでも温度センサの故障を判定できる。またこれにより、ゲインずれ故障のように、高温領域において顕著となるような温度センサの故障も判定することができる。また、故障したと判定された場合には、データ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号を送信することにより、データ信号を用いた充填を停止させることができる。
(4)例えば、複数の温度センサとして検出特性が同じものを用いたとすると、誤差が生じる傾向も同じになってしまうので、誤差が生じやすい特定の状況(例えば、低温時や高温時等)では全ての温度センサが誤った値を出力してしまうおそれがある。本発明では、複数の温度センサを検出特性が異なる2種以上で構成することにより、誤差が生じる傾向も異なったものとできるので、複数の温度センサ全体での信頼性を確保することができる。
(5)本発明では、貯蔵容器の数を2つ以上とし、これら複数の貯蔵容器のうち少なくとも2つの燃料ガスの充填時における温度挙動を同じにし、さらにこれら同種の貯蔵容器に1つずつ温度センサを設ける。これにより、貯蔵容器1つ当りの温度センサの数を最小限にすることができる。また、温度挙動を同じにすることにより、異なる貯蔵容器に設けられた温度センサの検出値を比較し、これら温度センサの故障を判定することができる。
(6)本発明の移動体は、貯蔵容器内の燃料ガスの圧力を検出する圧力センサを2つ備える。したがって本発明の移動体によれば、移動体に設けられた圧力センサの故障を判定するために、外部のステーションの圧力センサを利用する必要がないので、上述のように通信充填にかかる時間を長くすることなくかつ様々な故障態様にも対応できる。
また本発明では、2つの加算暫定値のうち最も大きな値を用いて、貯蔵容器の充填率パラメータの値を算出し、この充填率パラメータの値が所定の閾値を超えた場合には、実行中のデータ信号を用いた充填を終了又は中断させるべく、通信機からのデータ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号をステーションへ送信する。すなわち移動体は、貯蔵容器内のガスの圧力を実際よりも高めに把握し、ひいては貯蔵容器内のガスの充填率を実際の充填率よりも高めに把握する。そして移動体は、この高めに把握した充填率と所定の閾値とを比較することによって、実際よりも早めのタイミングでデータ信号を用いた充填を終了又は中断させることができるので、過充填を防止できる。また、このように複数の加算暫定値のうち最も大きな値を用いて充填率パラメータの値を算出することにより、例えば2つの圧力センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以下の値で充填率パラメータの値を算出できるので、より確実に過充填を防止できる。
(7)本発明の移動体は、貯蔵容器内の燃料ガスの圧力を検出する圧力センサを2つ備える。したがって本発明の移動体によれば、上述の(6)の発明と同じ理由により、通信充填にかかる時間を長くすることなくかつ様々な故障態様にも対応できる。
また本発明では、2つの圧力センサの検出値の差分値を算出し、この差分値がそれぞれの誤差値を合算して得られる故障判定値以上となった場合には、実行中のデータ信号を用いた充填を終了又は中断させるべく、通信機からのデータ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号をステーションへ送信する。これにより、移動体が備える2つの圧力センサの故障が判明した場合には、この信頼性の低い圧力センサの検出値に基づいて充填が行われるのを防止できるので、過充填を防止できる。
本発明の第1実施形態に係る水素充填システムの構成を示す図である。 複数のセンサの検出値に基づいて送信値を決定し、さらに2つの温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。 複数の減算暫定値のうち最も小さな値を温度送信値として決定することによる効果を説明するための図である。 複数の加算暫定値のうち最も大きな値を温度送信値として決定することによる効果を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る水素充填システムの構成を示す図である。 複数のセンサの検出値に基づいて送信値を決定し、さらに4つの温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る水素充填システムの構成を示す図である。 複数のセンサの検出値に基づいて送信値を決定し、さらに2つの温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る水素充填システムの構成を示す図である。 複数のセンサの検出値に基づいて送信値を決定し、さらに5つの温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る水素充填システムの構成を示す図である。 複数のセンサの検出値に基づいて送信値を決定し、さらに6つの温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る水素充填システムの構成を示す図である。 充填中における温度センサの検出値及びこの温度センサの検出値に基づいて算出される水素SOCの変化を示す図である。 通信充填中に車両側制御装置において実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。 本発明の第7実施形態に係る水素充填システムの構成を示す図である。 充填中における圧力センサの検出値及びこの圧力センサの検出値に基づいて算出される水素SOCの変化を示す図である。 通信充填中に車両側制御装置において実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。 複数の加算暫定値のうち最も大きな圧力値を用いて水素SOCを算出することによる効果を説明するための図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る水素充填システムSaの構成を示す図である。水素充填システムSaは、水素を燃料ガスとして走行する燃料電池車両Vaと、この車両Vaの水素タンク31に水素ガスを供給する水素ステーション9と、を組み合わせて構成される。以下では、始めに水素ステーション9側の構成について説明し、次に燃料電池車両Va側の構成について説明する。
水素ステーション9は、図示しない水素貯蔵タンクとディスペンサ92とを備える。水素貯蔵タンクには、車両Vaに供給するための水素ガスが高圧で貯蔵されている。ディスペンサ92は、水素貯蔵タンクから供給された水素ガスを排出する水素充填ノズル93と、水素充填ノズル93から排出される水素ガスの流量を制御する制御装置94と、を備える。
制御装置94は、その水素充填ノズル93が車両Vaに設けられたレセプタクル38に接続されると、水素貯蔵タンクから供給された水素を減圧し、水素充填ノズル93から所定の流量で水素ガスを供給する。水素充填ノズル93から供給された水素ガスは、車両Vaの水素タンク31aに充填される。
またこの水素充填ノズル93には、車両Vaと通信するための赤外線通信機95が設けられている。赤外線通信機95は、水素充填ノズル93をレセプタクル38に接続することにより、車両Vaに設けられた後述の赤外線通信機5との間で赤外線によるデータ信号の送受信が可能となる。ディスペンサ92は、車両Vaへの水素ガスの充填にあたって、通信充填と呼称される充填方法と、非通信充填と呼称される充填方法との2つの充填方法を選択的に実行できる。
通信充填とは、車両Va及びステーション9間で通信を行いながら、車両Vaに水素ガスを充填する充填方法である。通信充填では、制御装置94は、車両Vaの水素タンク31aの状態を示すデータ信号(後述の圧力送信値PIR及び温度送信値TIR)を赤外線通信機95によって受信し、このデータ信号に基づいて定めた充填態様で水素タンク31aに水素ガスを充填する。制御装置94は、通信充填中に受信したデータ信号に基づいて、既知の方法によって水素SOCを逐次算出し、この水素SOCが所定の満充填閾値を超えた場合には、水素ガスの充填が完了したと判断し、水素ガスの充填を終了する。また制御装置94は、温度送信値TIRが所定の充填中断温度に達した場合、データ信号を受信できなくなった場合、又は通信充填中に後述のアボート信号を受信した場合には、水素SOCが満充填閾値に達していない場合であっても、データ信号を用いた水素ガスの充填を中断又は終了する。
非通信充填とは、車両Va及びステーション9間で通信を行うことなく車両Vaに水素を充填する充填方法である。非通信充填では、制御装置94は、予め定められた規定の充填態様で水素タンク31aに水素ガスを充填する。制御装置94は、非通信充填時には水素タンク31aの現在の状態を把握できないため、充填中に過充填や過昇温が発生しないように、通信充填と比較して低い圧力(すなわち、低充填率)で充填を終了する。したがって、通信充填と非通信充填とを比較すると、通信充填の方が水素タンク31aの状態を把握しながら充填するため、満充填又はその付近まで充填できる。
燃料電池車両Vaは、ステーション9から供給された水素ガスを貯蔵する水素タンク31aと、この水素タンク31aに貯蔵された水素ガスによって発電し、発電した電力を利用して走行する燃料電池システム(図示せず)と、通信充填時に水素タンク31aの状態を示すデータ信号をステーション9の赤外線通信機95へ送信する赤外線通信機5と、この赤外線通信機5から送信するデータ信号を生成する車両側制御装置6aと、を備える。
水素タンク31aは、水素導入管39によってレセプタクル38と接続されている。すなわち、レセプタクル38に接続された水素充填ノズル93から排出された水素ガスは、水素導入管39を介して水素タンク31aに充填される。
水素タンク31aには、水素ガスの充填時における水素タンク31a内の水素ガスの温度を検出する第1温度センサ41a及び第2温度センサ42aが設けられている。第1温度センサ41aは、水素タンク31a内の水素ガスの温度を検出し、検出値に略比例した信号を車両側制御装置6aに送信する。第2温度センサ42aは、水素タンク31a内の水素ガスの温度を検出し、検出値に略比例した信号を車両側制御装置6aに送信する。なお以下では、この第1温度センサ41aの検出値を“T1”と表記し、第2温度センサ42aの検出値を“T2”と表記する。
これら温度センサ41a,42aは、例えばNTCサーミスタ式のものや、PCTサーミスタ式のものなど既知の温度センサが用いられる。なお本実施形態では、これら温度センサ41a,42aとして検出特性が同じものを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限るものではない。後に第3及び第5実施形態において説明するように、複数の温度センサは、検出特性の異なる2種以上としてもよい。以下の説明では、これら温度センサ41a,42aの誤差は±α(αは正の値)とする。
また水素タンク31aには、水素ガスの充填時における水素タンク31a内の水素ガスの圧力を検出する圧力センサ(図示せず)が設けられている。この圧力センサは、水素タンク31a内の圧力を検出し、検出値に略比例した信号を車両側制御装置6aに送信する。以下では、この圧力センサの検出値を“P”と表記する。
車両側制御装置6aは、上記センサの検出値P,T1,T2に基づいて、その時の水素タンク31a内の水素ガスの圧力値及び温度値としてステーション9の制御装置94に把握させるための値である圧力送信値PIR及び温度送信値TIRを決定し、これら送信値PIR,TIRに応じたデータ信号を生成する。なお、これら送信値PIR,TIRを決定する具体的な手順については、後に図2を参照しながら説明する。また、車両側制御装置6aは、センサの検出値T1,T2に基づいて温度センサ41a,42aの故障を判定し、故障したと判定した場合には、データ信号の送信を停止するか、又は温度センサが異常であり、したがって通信充填の中断が要求された状態であることを示すアボート信号を生成する。
赤外線通信機5は、例えば赤外線LEDとそのドライバ等で構成される。ドライバは、車両側制御装置6aによって生成されたデータ信号及びアボート信号に応じた態様で赤外線LEDを点滅させる。これにより、水素タンク31の状態を示すデータ信号は、車両Vaからステーション9に送信される。以下では、このような赤外線通信機5,95を利用した車両Vaとステーション9との間の赤外線通信をIR通信という。
図2は、複数のセンサの検出値P,T1,T2に基づいて送信値PIR,TIRを決定し、さらに第1及び第2温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。図2に示す処理は、通信充填を行っている時に車両側制御装置において、所定の周期で実行される。
S1では、圧力センサの検出値P、及び温度センサの検出値T1,T2を取得し、S2に移る。S2では、圧力センサの検出値Pを圧力送信値PIRとして決定し、S3に移る。
S3では、温度センサの検出値T1,T2に基づいて、温度センサが故障しているか否かを判別する。より具体的には、第1温度センサの検出値T1と第2温度センサの検出値T2との差分の絶対値|T1−T2|を算出し、この絶対値|T1−T2|が各温度センサの誤差値αを合算して得られる故障判定値2α以上であるか否かを判別する(|T1−T2|≧2α?)。S3の判別がYESであり第1及び第2温度センサのうち少なくとも何れかが故障したと判断できる場合には、S4に移り、通信充填を中断させるべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図2に示す処理を終了する。S4において生成されたアボート信号は、赤外線通信機によってステーションへ送信される。S3の判別がNOであり、第1及び第2温度センサが何れも正常であると判断できる場合には、S5に移る。
S5では、温度センサの検出値にその誤差値を加算した加算暫定値を、温度センサごとに算出し、S6に移る。すなわち、第1〜第2温度センサの加算暫定値はそれぞれT1+α,T2+αである。S6では、温度センサの検出値からその誤差値を減算した減算暫定値を、温度センサごとに算出し、S7に移る。すなわち、第1〜第2温度センサの減算暫定値はT1−α,T2−αである。
S7では、S5で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,T2+α)が所定の閾値(例えば、85℃)より小さいか否かを判別する。S7の判別がYESである場合には、S8に移り、S6で算出した各温度センサの減算暫定値のうち、最も小さな値min(T1−α,T2−α)を温度送信値TIRとして決定し(TIR=min(T1−α,T2−α))、この処理を終了する。
図3は、図2のS8のように複数の減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,T2−α)を温度送信値TIRとして決定することによる効果を説明するための図である。図3には、上段から順に、第1及び第2温度センサが正常である場合、第1温度センサがプラス方向にドリフト故障した場合、第1温度センサがマイナス方向にドリフト故障した場合を示す。
図3の上段に示すように、第1及び第2温度センサが正常である場合、これら温度センサの検出値T1,T2は、未知の真値を中心として各温度センサの誤差±αの範囲内に含まれると考えられる。このため、各温度センサの減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,T2−α)を温度送信値TIRとすることにより、温度センサが正常である限りは、真値よりも小さな値をステーションへ送信することができ、これにより過充填を防止できる。
図3の中段及び下段に示すように、第1温度センサがプラス方向にドリフト故障すると、第1温度センサの検出値T1はプラス側へずれ、第1温度センサがマイナス方向にドリフト故障すると、第1温度センサの検出値T1はマイナス側へずれる。また図3の中段には、第1温度センサがプラス方向にドリフト故障することにより、その検出値T1が真値を中心とした誤差±αの範囲内から外れた場合を示す。なお、温度センサがドリフト故障した場合であっても、2つの検出値T1,T2の差分値が2αを超えない限り、温度センサは故障したと判定することはできない。これに対し、上述のように各温度センサの減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,T2−α)を温度送信値TIRとすることにより、温度センサがドリフト故障した場合であっても、真値よりも小さな値をステーションへ送信することができる。すなわち、温度センサがドリフト故障することによって、誤って真値よりも大きな値をステーションへ送信してしまい、過充填になるのを防止することができる。
図2に戻って、S7の判別がNOである場合には、S9に移り、S5で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,T2+α)を温度送信値TIRとして決定し(TIR=max(T1+α,T2+α))、この処理を終了する。
図4は、図2のS9のように複数の加算暫定値のうち最も大きな値max(T1+α,T2+α)を温度送信値TIRとして決定することによる効果を説明するための図である。図4には、第1温度センサの加算暫定値が85℃以上(T1+α≧85℃)であり、第2温度センサの加算暫定値が85℃より小さい場合(T2+α<85℃)における、第1温度センサの検出値T1と温度送信値TIRとの関係を示す図である。
第1温度センサの加算暫定値が85℃を超えた場合、第1温度センサが正常であったとしても誤差を考慮すれば水素タンク内の水素ガスの温度が85℃を超えた可能性がある。この場合、図4に示すように、第1温度センサの検出値T1にその誤差値αを加えた値を温度送信値TIRとして決定し、ステーションへ送信する。これにより、過昇温を防止することができる。
また、第1及び第2温度センサの加算暫定値がともに85℃を超えた場合(T1+α≧85℃、T2+α<85℃)には、図3を参照して説明したのと同じ理由により、温度センサが正常である限りは、真値よりも大きな値をステーションへ送信することができる。また温度センサがドリフト故障することによって、誤って真値よりも小さな値をステーションへ送信してしまい、過昇温になるのを防止することができる。
本実施形態の燃料電池車両Vaによれば、以下の効果を奏する。
(1)車両Vaは、水素タンク31a内の水素ガスの温度を検出する温度センサを2つ備える。これにより、車両Vaに設けられた温度センサの故障を判定するために、ステーション9の温度センサを利用する必要がないので、通信充填にかかる時間を長くすることなくかつ様々な故障態様にも対応できる。
また通信充填中における車両は、2つの加算暫定値のうち最も大きな値max(T1+α,T2+α)が所定の閾値に達するまでは、2つの減算暫定値のうち最も小さな値を温度送信値TIRとして決定し、これに応じて生成したデータ信号をステーションへ送信する(図2のS8参照)。これによりステーションは、水素タンク内の水素ガスの温度を実際の温度よりも低めに把握し、ひいては水素タンク内の水素ガスの充填率を実際の充填率よりも高めに把握することとなるので、過充填を防止できる。また、図3を参照して説明したように、2つの温度センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以下の値をステーションに送信できるので、より確実に過充填を防止できる。
また通信充填中における車両は、2つの加算暫定値のうち最も大きな値max(T1+α,T2+α)が所定の閾値を超えた後は、2つの加算暫定値のうち最も大きな値max(T1+α,T2+α)を温度送信値TIRとして決定し、これに応じて生成したデータ信号をステーションへ送信する(図2のS9参照)。これにより、上述のように過充填を防止するあまり、真値以下の値をステーションへ送信し続けてしまい、ステーション側での把握に反して過昇温になってしまうのを防止できる。また、上述のように、例えば2つの温度センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以上の値をステーションに送信できるので、より確実に過昇温を防止できる。
(2)同一の水素タンク内の水素ガスの温度を2つの温度センサで検出し、さらにこれら2つの温度センサの検出値を比較することによって、温度センサの故障を判定する。これにより、充填を開始してから終了するまでの間は、いつでも温度センサの故障を判定できる。またこれにより、ゲインずれ故障のように、高温領域において顕著となるような温度センサの故障も判定できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお以下では、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図5は、本実施形態に係る水素充填システムSbの構成を示す図である。図5に示す水素充填システムSbは、燃料電池車両Vbの構成が図1の水素充填システムSaと異なる。より具体的には、車両Vbが備える水素タンク及びその温度センサの数が異なる。
燃料電池車両Vbは、ステーション9から供給された水素ガスを貯蔵する貯蔵容器として第1水素タンク31bと第2水素タンク32bとを備える。これら水素タンク31b,32bは、水素導入管39によって並列にレセプタクル38に接続されている。すなわち、水素充填ノズル93から排出された水素ガスは、水素導入管39を介して、同時に水素タンク31b,32bに充填される。なおこれら第1水素タンク31b及び第2水素タンク32bは、形状及び材質等のうち少なくとも何れかが異なる。したがって、水素ガスの充填時におけるこれら水素タンク31b,32bの内部の水素ガスの温度挙動は異なる。
第1水素タンク31bには、水素ガスの充填時におけるタンク内の水素ガスの温度を検出する第1温度センサ41b及び第2温度センサ42bが設けられている。第2水素タンク32bには、水素ガスの充填時におけるタンク内の水素ガスの温度を検出する第3温度センサ43b及び第4温度センサ44bが設けられている。以下では、温度センサ41b,42b,43b,44bの検出値をそれぞれ“T1”,“T2”,“T3”,“T4”と表記する。これら温度センサ41b〜44bは、例えばNTCサーミスタ式のものや、PCTサーミスタ式のものなど既知の温度センサが用いられる。なお本実施形態ではこれら温度センサ41b〜44bとして検出特性が同じものを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限るものではない。以下の説明では、これら温度センサ41b〜44bの誤差は何れも±α(αは正の値)であるとする。
図6は、センサの検出値P,T1〜T4に基づいて送信値PIR,TIRを決定し、さらに第1〜第4温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。
S11では、センサの検出値P,T1〜T4を取得し、S12に移る。S12では、圧力センサの検出値Pを圧力送信値PIRとして決定し、S13に移る。
S13では、検出値T1〜T4に基づいて、温度センサが故障しているか否かを判別する。上述のように、第1水素タンクと第2水素タンクは、形状が異なるため、水素充填時におけるタンク内の温度は異なる。このため、第1水素タンクに設けられた温度センサの検出値T1,T2と第2水素タンクに設けられた温度センサの検出値T3,T4とを比較することによって、これら温度センサの故障を判定することはできない。そこでS13では、同一のタンクに設けられた温度センサの検出値を比較することによって、温度センサの故障を判定する。より具体的には、検出値T1とT2の差分の絶対値|T1−T2|と、検出値T3とT4の差分の絶対値|T3−T4|とを算出し、これら絶対値|T1−T2|及び|T3−T4|のうちの何れかが、各温度センサの誤差値αを合算して得られる故障判定値2α以上であるか否かを判別する(|T1−T2|≧2α?又は|T3−T4|≧2α?)。S13の判別がYESであり第1及び第2温度センサの何れか又は第3及び第4温度センサの何れかが故障したと判断できる場合には、S14に移り、通信充填を中断させるべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図6に示す処理を終了する。S13の判別がNOであり、第1〜第4温度センサが何れも正常であると判断できる場合には、S15に移る。
S15では、温度センサの検出値にその誤差値を加算した加算暫定値を、温度センサごとに算出し、S16に移る。すなわち、第1〜第4温度センサの加算暫定値は、それぞれ、T1+α,T2+α,T3+α,T4+αである。
S16では、温度センサの検出値からその誤差値を減算した減算暫定値を、温度センサごとに算出し、S17に移る。すなわち、第1〜第4温度センサの減算暫定値は、それぞれ、T1−α,T2−α,T3−α,T4−αである。
S17では、S15で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,…,T4+α)が所定の閾値(例えば、85℃)より小さいか否かを判別する。S17の判別がYESである場合には、S18に移り、S16で算出した各温度センサの減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,…,T4−α)を温度送信値TIRとして決定し(TIR=min(T1−α,…,T4−α))、この処理を終了する。S17の判別がNOである場合には、S19に移り、S15で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,…,T4+α)を温度送信値TIRとして決定し(TIR=max(T1+α,…,T4+α))、この処理を終了する。
本実施形態の燃料電池車両Vbによれば、上述の第1実施形態の燃料電池車両Vaと同じ効果(1)及び(2)を奏する。すなわち、本発明は、水素タンクの数を2つにしても同様の効果を奏する。また、水素タンクの数を3つ以上に増やす場合も容易に一般化できる。また、これら水素タンクの水素ガスの充填時における温度挙動は、全て同じにせずとも同様の効果を奏する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお以下では、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7は、本実施形態に係る水素充填システムScの構成を示す図である。図7に示す水素充填システムScは、燃料電池車両Vcの構成が水素充填システムSaと異なる。より具体的には、車両Vcが備える複数の温度センサの構成が異なる。
水素タンク31aには、水素ガスの充填時におけるタンク内の水素ガスの温度を検出する第1温度センサ41c及び第2温度センサ42cが設けられている。以下では、第1温度センサ41bの検出値を“T1”と表記し、第2温度センサ42bの検出値を“T2”と表記する。また、これら2つの温度センサ41c,42cは、検出特性が異なる2種の温度センサで構成される。より具体的には、第1温度センサ41cには例えばNTCサーミスタ式のものが用いられ、第2温度センサ42cには例えばPCTサーミスタ式のものが用いられる。以下の説明では、第1温度センサ41cの誤差は±α(αは正の値)であり、第2温度センサ42cの誤差は±β(βは正であり、かつαと異なる値)であるとする。
図8は、複数のセンサの検出値P,T1,T2に基づいて送信値PIR,TIRを決定し、さらにこれら第1〜第2温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。
S21では、複数のセンサの検出値P,T1〜T2を取得し、S22に移る。S22では、圧力センサの検出値Pを圧力送信値PIRとして決定し、S23に移る。
S23では、検出値T1〜T2に基づいて、温度センサが故障しているか否かを判別する。より具体的には、検出値T1とT2の差分の絶対値|T1−T2|を算出し、この絶対値|T1−T2|がこれら温度センサの誤差値α及びβを合算して得られる故障判定値α+β以上であるか否かを判別する(|T1−T2|≧α+β?)。S23の判別がYESであり第1及び第2温度センサのうち少なくとも何れかが故障したと判断できる場合には、S24に移り、通信充填を中断させるべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図8に示す処理を終了する。S24において生成されたアボート信号は、赤外線通信機によってステーションへ送信される。S23の判別がNOであり、第1及び第2温度センサが何れも正常であると判断できる場合には、S25に移る。
S25では、温度センサの検出値にその誤差値を加算した加算暫定値を、温度センサごとに算出し、S26に移る。すなわち、第1〜第2温度センサの加算暫定値は、それぞれ、T1+α,T2+βである。S26では、温度センサの検出値からその誤差値を減算した減算暫定値を、温度センサごとに算出し、S27に移る。すなわち、第1〜第2温度センサの減算暫定値は、それぞれ、T1−α,T2−βである。
S27では、各温度センサの加算暫定値のうち最も大きな値max(T1+α,T2+β)が所定の閾値(例えば、85℃)より小さいか否かを判別する。S27の判別がYESである場合には、S28に移り、各温度センサの減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,T2−β)を温度送信値TIRとして決定し、この処理を終了する。S27の判別がNOである場合には、S29に移り、各温度センサの加算暫定値のうち最も大きな値max(T1+α,T2+β)を温度送信値TIRとして決定し、この処理を終了する。
本実施形態の燃料電池車両Vcによれば、上述の第1実施形態の燃料電池車両Vcと同じ効果(1)及び(2)を奏する。すなわち、本発明は、複数の温度センサを、検出特性が異なる2種で構成しても同様の効果を奏する。また、上記実施形態では、複数の温度センサを2種で構成した場合について説明したが、3種以上への一般化も容易であり、詳細な説明を省略する。また、複数の温度センサを、検出特性が異なる2種以上で構成することにより、上記(1)及び(2)に加えて、以下の効果を奏する。
(3)本実施形態の燃料電池車両Vcによれば、複数の温度センサを検出特性が異なる2種以上で構成することにより、誤差が生じる傾向も異なったものとできるので、複数の温度センサ全体での信頼性を確保することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお以下では、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は、本実施形態に係る水素充填システムSdの構成を示す図である。図9に示す水素充填システムSdは、燃料電池車両Vdの構成が水素充填システムSaと異なる。より具体的には、水素タンクの数、及び1つの水素タンクに設けられる温度センサの数が異なる。
燃料電池車両Vdは、ステーション9から供給された水素ガスを貯蔵する貯蔵容器として、第1水素タンク31dと、第2水素タンク32dと、第3水素タンク33dと、第4水素タンク34dとを備える。これら水素タンク31d〜34dは、水素導入管39によって並列にレセプタクル38に接続されている。すなわち、水素充填ノズル93から排出された水素ガスは、水素導入管39を介して、同時に水素タンク31d〜34dに充填される。
4つのタンクのうち水素タンク31d〜33dの形状及び材質は同じであり、したがって水素ガスの充填時におけるこれら水素タンク31d〜33d内の水素ガスの温度挙動は同じである。また、これら水素タンク31d〜33dと第4水素タンク34dとは、形状及び材質の少なくとも何れかが異なる。したがって水素ガスの充填時における第4水素タンク34d内の水素ガスの温度挙動は水素タンク31d〜33dと異なる。以下では、4つの水素タンク31d〜34dを、その温度挙動によって第1〜第3水素タンク31d〜33dが属する第1タンク群と第4水素タンク34dのみが属する第2タンク群とに分ける。
第1タンク群の第1〜第3水素タンク31d〜33dには、それぞれ第1温度センサ41d、第2温度センサ42d、第3温度センサ43dが設けられている。すなわち、複数の水素タンクで構成された第1タンク群の水素タンクには、1つの水素タンクに対し1つずつ温度センサが設けられている。これは、同じ群に属する水素タンク内の水素ガスの温度は水素充填中もほぼ同じであるとみなすことができ、したがって異なるタンクに設けられた温度センサの検出値を比較し、温度センサの故障を判定できるからである。
また、第2タンク群に属する第4水素タンク34dには、第4温度センサ44dと第5温度センサ45dとが設けられている。すなわち、1つの水素タンクのみで構成された第2タンク群の水素タンクには、1つの水素タンクに対し2つの温度センサが設けられている。
これら温度センサ41d〜45dは、例えばNTCサーミスタ式のものや、PCTサーミスタ式のものなど既知の温度センサが用いられる。なお本実施形態では、これら温度センサ41d〜45dとして検出特性が同じものを用いた場合について説明する。以下では、温度センサ41b〜45bの検出値をそれぞれ“T1”,“T2”,“T3”,“T4”,“T5”と表記する。以下の説明では、これら温度センサ41d〜45dの誤差は±α(αは正の値)とする。
図10は、複数のセンサの検出値P,T1〜T5に基づいて送信値PIR,TIRを決定し、さらにこれら第1〜第5温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。
S31では、複数のセンサの検出値P,T1〜T5を取得し、S32に移る。S32では、圧力センサの検出値Pを圧力送信値PIRとして決定し、S33に移る。
S33では、検出値T1〜T5に基づいて、温度センサが故障しているか否かを判別する。上述のように、第1タンク群に属する水素タンクと第2タンク群に属する水素タンクは、水素ガス充填時における温度挙動が異なる。このため、第1〜第3温度センサの検出値T1〜T3と第4〜第5温度センサの検出値T4,T5とを比較することによって、これら温度センサの故障を判定することはできない。そこでS33では、同じタンク群に属する温度センサの検出値を比較することによって、温度センサの故障を判定する。より具体的には、検出値T1とT2の差分の絶対値|T1−T2|と、検出値T2とT3の差分の絶対値|T2−T3|と、検出値T3とT1の差分の絶対値|T3−T1|と、検出値T4とT5の差分の絶対値|T4−T5|とを算出し、これら4つの絶対値のうちの何れかが、各温度センサの誤差値αを合算して得られる故障判定値2α以上であるか否かを判別する(|T1−T2|≧2α?、|T2−T3|≧2α?、|T3−T1|≧2α?、|T4−T5|≧2α?)。S33の判別がYESであり第1〜第3温度センサの何れか又は第4及び第5温度センサの何れかが故障したと判断できる場合には、S34に移り、通信充填を中断させるべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図10に示す処理を終了する。S33の判別がNOであり、第1〜第5温度センサが何れも正常であると判断できる場合には、S35に移る。
S35では、温度センサの検出値にその誤差値を加算した加算暫定値を、温度センサごとに算出し、S36に移る。すなわち、第1〜第5温度センサの加算暫定値は、それぞれ、T1+α,T2+α,T3+α,T4+α,T5+αである。
S36では、温度センサの検出値からその誤差値を減算した減算暫定値を、温度センサごとに算出し、S37に移る。すなわち、第1〜第5温度センサの減算暫定値は、それぞれ、T1−α,T2−α,T3−α,T4−α,T5−αである。
S37では、S35で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,…,T5+α)が所定の閾値(例えば、85℃)より小さいか否かを判別する。S37の判別がYESである場合には、S38に移り、S36で算出した各温度センサの減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,…,T5−α)を温度送信値TIRとして決定し、この処理を終了する。S37の判別がNOである場合には、S39に移り、S35で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,…,T5+α)を温度送信値TIRとして決定し、この処理を終了する。
本実施形態の燃料電池車両Vdによれば、上述の第1実施形態の燃料電池車両Vaと同じ効果(1)及び(2)を奏する。すなわち、本発明は、1つの水素タンクに設けられる温度センサの数を1つにしても同様の効果を奏する。また、1つの水素タンクに設けられる温度センサの数を1つにすることにより、上記(1)及び(2)に加えて、以下の効果を奏する。
(4)本実施形態の車両Vdでは、水素タンクの数を2つ以上とし、さらにこれら複数の水素タンクのうち少なくとも2つの水素ガス充填時における温度挙動を同じにし、さらにこれら同種の水素タンクに1つずつ温度センサを設ける。これにより、水素タンク1つ当りの温度センサの数を最小限にすることができる。また、温度挙動を同じにすることにより、異なる水素タンクに設けられた温度センサの検出値を比較し、これらの故障を判定できる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお以下では、上記第4実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図11は、本実施形態に係る水素充填システムSeの構成を示す図である。図11に示す水素充填システムSeは、燃料電池車両Veの構成が水素充填システムSdと異なる。より具体的には、複数の温度センサを検出特性が異なる2種以上で構成した点が異なり、水素タンク31d〜34dの構成は同じである。
第1タンク群の水素タンク31d〜33dには、4つの温度センサ41e,42e,43e,44eが設けられている。より具体的には、第1水素タンク31dには第1温度センサ41e及び第2温度センサ42eが設けられ、第2水素タンク32dには第3温度センサ43eが設けられ、第3水素タンク33dには第4温度センサ44eが設けられている。第2タンク群の第4水素タンク34dには、第5温度センサ45e及び第6温度センサ46eが設けられている。なお以下では、第1〜第6温度センサの検出値を、それぞれ、“T1”,“T2”,“T3”,“T4”,“T5”,“T6”と表記する。
これら6つの温度センサ41e〜46eは、検出特性が異なる2種の温度センサで構成される。より具体的には、2つの温度センサ42e,46eには例えばNTCサーミスタ式のものが用いられ、他の4つの温度センサ41e,43e,44e,45eには例えばPCTサーミスタ式のものが用いられる。以下の説明では、温度センサ41e,43e,44e,45eの誤差は±α(αは正の値)であり、温度センサ42e,46eの誤差は±β(βは正であり、かつαと異なる値)であるとする。
図12は、複数のセンサの検出値P,T1〜T6に基づいて送信値PIR,TIRを決定し、さらに第1〜第6温度センサの故障を判定する手順を示すフローチャートである。
S41では、複数のセンサの検出値P,T1〜T6を取得し、S42に移る。S42では、圧力センサの検出値Pを圧力送信値PIRとして決定し、S43に移る。
S43では、検出値T1〜T6に基づいて、温度センサが故障しているか否かを判別する。上述の第4実施形態と同様に、S43では、同じタンク群に属する温度センサの検出値を比較することによって、温度センサの故障を判定する。より具体的には、検出値T1とT2の差分の絶対値|T1−T2|と、検出値T1とT3の差分の絶対値|T1−T3|と、検出値T1とT4の差分の絶対値|T1−T4|と、検出値T2とT3の差分の絶対値|T2−T3|と、検出値T2とT4の差分の絶対値|T2−T4|と、検出値T3とT4の差分の絶対値|T3−T4|と、検出値T5とT6の差分の絶対値|T5−T6|とを算出し、これら7つの絶対値のうちの何れかが、各温度センサの誤差値α又はβを合算して得られる故障判定値2α又はα+β以上であるか否かを判別する(|T1−T2|≧α+β?、|T1−T3|≧2α?、|T1−T4|≧2α?、|T2−T3|≧α+β?、|T2−T4|≧α+β?、|T3−T4|≧2α?、|T5−T6|≧α+β?)。S43の判別がYESであり第1〜第4温度センサの何れか又は第5及び第6温度センサの何れかが故障したと判断できる場合には、S44に移り、通信充填を中断させるべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図12に示す処理を終了する。S43の判別がNOであり、第1〜第6温度センサの何れもが正常であると判断できる場合には、S45に移る。
S45では、温度センサの検出値にその誤差値を加算した加算暫定値を、温度センサごとに算出し、S46に移る。すなわち、第1〜第6温度センサの加算暫定値は、それぞれ、T1+α,T2+β,T3+α,T4+α,T5+α,T6+βである。
S46では、温度センサの検出値からその誤差値を減算した減算暫定値を、温度センサごとに算出し、S47に移る。すなわち、第1〜第6温度センサの減算暫定値は、それぞれ、T1−α,T2−β,T3−α,T4−α,T5−α,T6−βである。
S47では、S45で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,…,T6+β)が所定の閾値(例えば、85℃)より小さいか否かを判別する。S47の判別がYESである場合には、S48に移り、S46で算出した各温度センサの減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,…,T6−β)を温度送信値TIRとして決定し、この処理を終了する。S47の判別がNOである場合には、S49に移り、S45で算出した各温度センサの加算暫定値のうち、最も大きな値max(T1+α,…,T6+β)を温度送信値TIRとして決定し、この処理を終了する。
本実施形態の燃料電池車両Veによれば、上述の第3及び第4実施形態の燃料電池車両と同じ効果(1)、(2)、(3)、(4)を奏する。すなわち、本発明は、複数の温度センサを検出特性が異なる2種以上で構成し、さらに1つの水素タンクに設けられるセンサの数を1としても同様の効果を奏する。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお以下では、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図13は、本実施形態に係る水素充填システムSfの構成を示す図である。図13に示す水素充填システムSfは、燃料電池車両Vf及び水素ステーション9fの構成が図1の水素充填システムSaと異なる。
初めに、ステーション9f側の構成について説明する。水素貯蔵タンク91から水素充填ノズル93に至る水素供給管96には、タンク91側からノズル93側へ向かって順に、水素供給管96を流れる水素ガスの流量を制御する流量制御弁97と、水素ガスを冷却する冷却装置98と、水素供給管96内の水素ガスの圧力を検出する圧力センサ99と、が設けられている。図13に示すように、圧力センサ99は水素供給管96のうち水素充填ノズル93に近い位置に設けられていることから、充填中に圧力センサ99によって検出される圧力は、車両Vfの水素タンク31a内の圧力とほぼ等しい。
制御装置94fは、通信充填中に赤外線通信機95によって受信したデータ信号(圧力送信値PIR、温度送信値TIR)及び圧力センサ99の出力信号に基づいて水素タンク31aの水素SOCの値を算出するSOC算出機能と、算出された水素SOC及び通信充填中に赤外線通信機95によって受信したアボート信号に基づいて流量調整弁97を開度を調整することによって水素充填ノズル93から排出される水素ガスの流量を制御する充填流量制御機能との少なくとも2つの機能を備える。
制御装置94fの水素SOC算出機能について説明する。制御装置94fは、通信充填中は、温度送信値TIRと、圧力送信値PIRと、圧力センサ99の検出値PSTとを取得し、これらを引数として所定のアルゴリズムによって水素タンク31aの水素SOCの値を算出する。ところで、ステーション9fに搭載される圧力センサ99は、車両Vfに搭載される後述の圧力センサ51aよりも高い精度で圧力を検出することができる。したがって、制御装置94fは、水素SOCの値を算出する際には、車両Vfの圧力センサ51aに基づいて決定される圧力送信値PIRを、ステーション9fの圧力センサの検出値PSTの信頼性をチェックするための参考値として用いる。
制御装置94fの充填流量制御機能について説明する。制御装置94fは、通信充填中に上述のようにしてステーション9f側で算出した水素タンク31aの水素SOCの値と所定の満充填閾値とを比較し、水素SOCの値が満充填閾値を超えた場合には、水素ガスの充填が完了したと判断し、流量制御弁を閉じ、水素ガスの充填を終了する。また、制御装置94fは、通信充填中を行っている間に、温度送信値TIRが所定の充填中断温度に達した場合、圧力センサ99の検出値が所定の充填中断圧力に達した場合、赤外線通信機95を介してデータ信号を受信できなくなった場合、又は赤外線通信機95を介してアボート信号を受信した場合には、水素SOCの値が満充填閾値に達していない場合であっても、データ信号を用いた水素ガスの充填を中断又は終了し、過充填を防止するアボート機能を備える。
次に、車両Vf側の構成について説明する。車両Vfの水素タンク31aには、第1実施形態と同様に2つの温度センサ41a,42aと、1つの圧力センサ51aとが設けられている。充填中は、水素導入管39内の圧力と水素タンク31a内の圧力とはほぼ等しくなることから、圧力センサ51aの検出素子は、図13に示すように水素導入管39内に設けてもよいし、水素タンク31a内に設けてもよい。
車両側制御装置6fは、通信充填中に上記センサの検出値P,T1,T2に基づいて圧力送信値PIR及び温度送信値TIRを決定する送信値決定機能と、通信充填中に上記温度センサ41a,42aの故障を判定するセンサ故障判定機能と、通信充填中に上記センサの検出値P,T1,T2に基づいて水素タンク31aの水素SOCの値を算出する水素SOC算出機能と、通信充填中に適切なタイミングでアボート信号を生成することによって過充填の発生を防止する過充填防止機能との機能を備える。これら4つの機能のうち、送信値決定機能及びセンサ故障判定機能は、第1実施形態において図1〜図4を参照して説明した機能と同じであるので、詳細な説明は省略する。
車両側制御装置6fの過充填防止機能について説明する。上述のようにステーション9fの制御装置94fは、アボート信号を受信した場合やデータ信号を受信できなくなった場合にも通信充填を中断又は終了するアボート機能を有する。車両側制御装置6fの過充填防止機能は、このステーション9fのアボート機能を利用することによって、水素タンク31aの過充填を、車両Vf側から積極的に防止する機能である。より具体的には、車両側制御装置6fは、上述のセンサ故障機能によって温度センサ41a,42aが故障したと判定した場合、上述の車両Vf側の水素SOC算出機能によって算出した水素SOCの値が所定の過充填防止閾値を超えたと判定した場合には、アボート信号を送信するか又はデータ信号の送信を停止することにより、過充填を防止する。
車両側制御装置6fの水素SOC算出機能について説明する。車両側制御装置6fは、下記式(1)によって水素SOCの値を算出する。下記式(1)においてρは、水素タンク内の水素ガスの温度及び圧力を引数とした水素タンク31a内の水素密度を示す既知の関数である。また、下記式(1)において、Tmax及びPmaxはそれぞれ、満充填時における水素タンク内の水素ガスの温度(例えば、15℃)及び圧力(例えば、70MPa)であって既知の値である。また、下記式(1)においてTSOCは、充填中の温度であって、2つの温度センサの検出値T1,T2に基づいて後述の式(2)によって算出される。またPSOCは、充填中の圧力であって、圧力センサの検出値Pが用いられる。
水素SOC[%]=ρ(TSOC.PSOC)/ρ(Tmax,Pmax)×100 (1)
図14は、充填中における温度センサの検出値(左側)、及びこの温度センサの検出値に基づいて算出される水素SOC(右側)の変化を示す図である。図14において、実線は温度センサが正常である場合を示し、破線はプラス方向にドリフト故障した場合を示し、一点鎖線はマイナス方向にドリフト故障した場合を示す。この図14に示すように、温度センサの検出値がプラス方向にドリフトすると、これに基づいて算出される水素SOCは真値より小さくなるため、過充填が発生する可能性は低くなる。これに対し、温度センサの検出値がマイナス方向にドリフトすると、水素SOCは真値よりも大きくなるため、過充填が発生する可能性が高くなる。車両側制御装置6fは、できるだけ過充填が発生しないようにするため、下記式(2)に示すように、各温度センサの検出値T1,T2からそれぞれの誤差値αを減算して得られる値(すなわち、図2のS6で算出される減算暫定値)のうち、最も小さな値を水素SOCの算出に用いる温度TSOCとする。
SOC=min(T1−α,T2−α) (2)
図15は、通信充填中に車両側制御装置6fにおいて実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。図15に示す処理は、通信充填を行っている時に車両側制御装置6gにおいて、所定の周期で実行される。なお図15に示す処理において、S51〜S59は、それぞれ図2のS1〜S9と同じであるので、説明を省略する。
S60では、2つの温度センサの検出値T1,T2に基づいて上記式(2)によってSOCを算出するための温度値TSOCを算出し、S61に移る。S61では、上記式(1)によって水素SOCの値を算出し、S62に移る。S62では、算出した水素SOCの値が所定の満充填閾値(例えば、100[%])を超えたか否かを判別する。S62の判別がNOである場合には、データ信号を用いた充填を継続すべく、この処理を終了する。またS62の判別がYESである場合には、S54に移り、過充填を防止すべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図15に示す処理を終了する。これにより、ステーションは、データ信号を用いた充填を終了又は中断するので、過充填が確実に防止される。
また、以上のように複数の減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,T2−α)を用いて水素SOCを算出することにより、温度センサがドリフト故障した場合であっても、真値よりも小さな値を用いて水素SOCを算出することができる。すなわち、温度センサがドリフト故障することによって誤って真値よりも大きな値を用いて水素SOCを算出してしまい、水素SOCを実際よりも少なく見積もってしまうことによってアボート信号を送信するタイミングが遅れてしまい、過充填が発生するのを防止することができる。なおこのような効果を奏する理由は、第1実施形態において図3を参照して説明した理由と同じであるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態の燃料電池車両Vfによれば、上述の第1実施形態の燃料電池車両と同じ効果(1)及び(2)に加え、以下の効果(5)を奏する。
(5)車両Vfは、複数の減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,T2−α)を用いて、水素SOCの値を算出し、これが所定の満充填閾値を超えた場合には、実行中のデータ信号を用いた充填を終了又は中断させるべく、通信機からのデータ信号の送信を停止するか又はアボート信号をステーションへ送信する(図15のS62参照)。これにより、実際よりも早めのタイミングでデータ信号を用いた充填を終了又は中断させることができるので、過充填を防止できる。また、このように複数の減算暫定値のうち最も小さな値min(T1−α,T2−α)を用いて水素SOCの値を算出することにより、例えば複数の温度センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以下の値で水素SOCの値を算出できるので、より確実に過充填を防止できる。
以上、本実施形態では、車両Vfに搭載される水素タンクは1つであり、かつ温度センサは検出特性が同じものを2つである場合について説明したが、本発明はこれに限らない。図15のS60〜S62に示す処理は、第2実施形態として説明した図5に示すような車両Vb、第3実施形態として説明した図7に示すような車両Vc、第4実施形態として説明した図9に示すような車両Vd、第5実施形態として説明した図11に示すような車両Veにも適用することができる。この場合、S60において水素SOCを算出するために用いられる温度TSOCには、第2実施形態の車両Vbでは図6のS16で算出される減算暫定値が用いられ、第3実施形態の車両Vcでは図8のS26で算出される減算暫定値が用いられ、第4実施形態の車両Vdでは図10のS36で算出される減算暫定値が用いられ、第5実施形態の車両Veでは図12のS46で算出される減算暫定値が用いられる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお以下では、上記第6実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図16は、本実施形態に係る水素充填システムSgの構成を示す図である。図16に示す水素充填システムSgは、燃料電池車両Vgの構成が図13の水素充填システムSfと異なる。より具体的には、圧力センサを2つ備える点と、車両側制御装置6gの送信値決定機能、センサ故障判定機能、及びSOC算出機能の内容が異なる。
車両Vgの水素タンク31aには、第1温度センサ41aと、第2温度センサ42aと、第1圧力センサ51aと、第2圧力センサ52aと、が設けられている。なお本実施形態では、これら圧力センサ51a,52aとして検出特性が同じものを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限るものではない。これら2つの圧力センサは、検出特性の異なる2種としてもよい。以下の説明では、これら圧力センサ51a,52aの誤差は±γ(γは正の値)とする。
車両側制御装置6gの送信値決定機能について説明する。車両側制御装置6gは、2つの温度センサ41a,42aの検出値T1,T2と、2つの圧力センサ51a,52aの検出値P1,P2と、に基づいて、温度送信値TIR及び圧力送信値PIRを決定する。温度送信値TIRを決定する具体的な手順は図2のS5〜S9を参照した手順と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。以下、図17を参照して圧力送信値PIRを決定する手順を説明する。
図17は、充填中における圧力センサの検出値(左側)、及びこの圧力センサの検出値に基づいて算出される水素SOC(右側)の変化を示す図である。図17において、実線は圧力センサが正常である場合を示し、破線はプラス方向にドリフト故障した場合を示し、一点鎖線はマイナス方向にドリフト故障した場合を示す。この図17に示すように、圧力センサの検出値がマイナス方向にドリフトすると、これに基づいて算出される水素SOCは真値よりも小さくなるため、過充填が発生する可能性は低くなる。これに対し、圧力センサの検出値がプラス方向にドリフトすると、水素SOCは真値よりも大きくなるため、過充填が発生する可能性が高くなる。これは、車両Vg側で水素SOCを算出する場合だけでなく、ステーション9f側で水素SOCを算出する場合も同様である。車両側制御装置6gは、できるだけ過充填が発生しないようにするため、下記式(3)に示すように、各圧力センサの検出値P1,P2のうち大きい方の値を圧力送信値PIRとして決定する。
IR=max(P1,P2) (3)
図16に戻って、車両制御装置6gのセンサ故障判定機能について説明する。車両側制御装置6gは、2つの温度センサ41a,42aの検出値T1,T2と、2つの圧力センサ51a,52aの検出値P1,P2と、に基づいて、温度センサ41a,42a及び圧力センサ51a,52aの故障を判定する。より具体的には、車両側制御装置6gは、温度センサの検出値T1,T2の差分の絶対値|T1−T2|が各温度センサの誤差値αを合算して得られる故障判定値2α以上である場合(|T1−T2|≧2α)には、温度センサ41a,42aは故障したと判断する(図2のS3と同様)。また、車両側制御装置6gは、圧力センサの検出値P1,P2の差分の絶対値|P1−P2|が各圧力センサの誤差値γを合算して得られる故障判定値2γ以上である場合(|P1−P2|≧2γ)には、圧力センサ51a,52aは故障したと判断する。
車両側制御装置6gのSOC算出機能について説明する。車両側制御装置6gは、第6実施形態の車両側制御装置6fで用いられる式(1)と同じ式を用いて、水素SOCの値を算出する。ただし、水素SOCの値を算出するために用いられる充填中の圧力PSOCを算出する手順が異なる。図17を参照して説明したように、圧力センサの検出値がプラス方向にドリフトすると、水素SOCは真値よりも大きくなるため、過充填が発生する可能性が高くなる。車両側制御装置6gは、できるだけ過充填が発生しないようにするため、下記式(4)に示すように、各圧力センサの検出値P1,P2からそれぞれの誤差値γを加算して得られる加算暫定値のうち、最も大きな値を水素SOCの算出に用いる圧力PSOCとする。
SOC=max(P1+γ,P2+γ) (4)
図18は、通信充填中に車両側制御装置6gにおいて実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。図18に示す処理は、通信充填を行っている時に車両側制御装置6gにおいて、所定の周期で実行される。なお図18に示す処理において、温度送信値TIRを決定するS75〜S79の処理は、それぞれ図15のS55〜S59と同じであるので、詳細な説明を省略する。
S71では、圧力センサの検出値P1、P2、及び温度センサの検出値T1,T2を取得し、S72に移る。S72では、圧力センサの検出値P1,P2のうち大きい方を圧力送信値PIRとして決定し(上記式(3)参照)、S73に移る。
S73では、2つの温度センサの何れか又は2つの圧力センサの何れかが故障しているか否かを判別する。より具体的には、第1温度センサの検出値T1と第2温度センサの検出値T2との差分の絶対値|T1−T2|が故障判定値2α以上であるか否か、又は第1圧力センサの検出値P1と第2圧力センサの検出値P2との差分の絶対値|P1−P2|が故障判定値2γ以上であるか否か、を判別する。S73の判別がYESでありこれらセンサの何れかが故障したと判断できる場合には、S74に移り、データ信号を用いた充填を終了又は中断させるべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図18に示す処理を終了する。
S80では、2つの温度センサの検出値T1,T2及び2つの圧力センサの検出値P1,P2に基づいて、上記式(2)及び(4)によって、水素SOCを算出するための温度値TSOC及び圧力値PSOCを算出し、S81に移る。S81では、上記式(1)によって水素SOCの値を算出し、S82に移る。S82では、算出した水素SOCの値が所定の満充填閾値(例えば、100[%])を超えたか否かを判別する。S82の判別がNOである場合にはデータ信号を用いた充填を継続すべく、この処理を終了する。またS82の判別がYESである場合には、S74に移り、過充填を防止すべくデータ信号の送信を停止するか、又はアボート信号を生成し、図17に示す処理を終了する。これにより、ステーションは、データ信号を用いた充填を終了又は中断するので、過充填が確実に防止される。
図19は、図18のS80のように2つの加算暫定値のうち最も大きな値max(P1+γ,P2+γ)を用いて水素SOCを算出することによる効果を説明するための図である。図19には、上段から順に、第1及び第2圧力センサが正常である場合、第1圧力センサがプラス方向にドリフト故障した場合、第1圧力センサがマイナス方向にドリフト故障した場合を示す。
図19の上段に示すように、第1及び第2圧力センサが正常である場合、これら圧力センサの検出値P1,P2は、未知の真値を中心として各圧力センサの誤差±γの範囲内に含まれると考えられる。このため、各圧力センサの加算暫定値のうち最も大きな値max(P1+γ,P2+γ)を用いて水素SOCを算出することにより、圧力センサが正常である限りは、真値よりも大きな圧力値で水素SOCを算出することができ、ひいては実際よりも少な目に水素SOCを見積もることができるので、結果として過充填を防止できる。
図19の中段及び下段に示すように、第1圧力センサがプラス方向にドリフト故障すると、第1圧力センサの検出値P1はプラス側へずれ、第1圧力センサがマイナス方向にドリフト故障すると、第1圧力センサの検出値P1はマイナス側へずれる。また図19の中段には、第1圧力センサがプラス方向にドリフト故障することにより、その検出値P1が真値を中心とした誤差±γの範囲内から外れた場合を示す。なお、圧力センサがドリフト故障した場合であっても、2つの検出値P1,P2の差分値が2γを超えない限り、圧力センサは故障したと判定することはできない。これに対し、上述のように各圧力センサの加算暫定値のうち最も大きな値max(P1+γ,P2+γ)を用いて水素SOCを算出することにより、圧力センサがドリフト故障した場合であっても、真値よりも大きな圧力値で水素SOCを算出することができる。すなわち、圧力センサがドリフト故障することによって、誤って真値よりも大きな圧力値で水素SOCを算出してしまい、水素SOCを実際よりも多めに見積もってしまい、結果として過充填になるのを防止することができる。
本実施形態の燃料電池車両Vgによれば、上述の第6実施形態の燃料電池車両と同じ効果(1)、(2)及び(5)に加え、以下の効果(6)及び(7)を奏する。
(6)車両Vgは、水素タンク31a内の水素ガスの圧力を検出する圧力センサを2つ備える。これにより、車両Vgに設けられた圧力センサの故障を判定するために、ステーション9fの圧力センサを利用する必要がないので、通信充填にかかる時間を長くすることなく様々な故障態様にも対応できる。
また車両は、2つの加算暫定値のうち最も大きな値max(P1+γ,P2+γ)を用いて、水素SOCの値を算出し、これが所定の満充填閾値を超えた場合には、実行中のデータ信号を用いた充填を終了又は中断させるべく、通信機からのデータ信号の送信を停止するか又はアボート信号をステーションへ送信する(図17のS82参照)。実際よりも早めのタイミングでデータ信号を用いた充填を終了又は中断させることができるので、過充填を防止できる。また、このように複数の加算暫定値のうち最も大きな値max(P1+γ,P2+γ)を用いて水素SOCの値を算出することにより、例えば2つの圧力センサのうちの1つがドリフト故障した場合であっても真値以下の値で水素SOCの値を算出できるので、より確実に過充填を防止できる。
(7)車両は、2つの圧力センサの検出値P1,P2の差分値を算出し、この差分値がそれぞれの誤差値γを合算して得られる故障判定値2γ以上となった場合には、実行中のデータ信号を用いた充填を終了又は中断させるべく、通信機からのデータ信号の送信を停止するか又はアボート信号をステーションへ送信する。これにより、車両が備える2つの圧力センサの故障が判明した場合には、この信頼性の低い圧力センサの検出値に基づいて充填が行われるのを防止できるので、過充填を防止できる。
以上、本実施形態では、車両Vgに搭載される水素タンクは1つであり、かつ温度センサは検出特性が同じものを2つである場合に付いて説明したが、本発明はこれに限らない。水素タンクの数を増やしたり、温度センサの数を変えたり、各温度センサの検出特性を変えたりする場合の変更点は、上述の第2〜第5実施形態と同じであるので、詳細な説明を省略する。
また、上記第6,7実施形態では、ステーションの制御装置は、車両側からのアボート信号を受信した場合や車両側から送信されるべきデータ信号を受信できなかった場合にはデータ信号を用いた水素ガスの充填を中断又は終了するアボート機能を備える場合について説明したが、本発明はこれに限らない。近年では、通信充填を実行している間に車両側からのデータ信号を受信できなくなった場合には、充填方法を通信充填から非通信充填に切り替えて充填を継続する充填方法切替機能を備えたステーションが提案されている。本発明は、このようなデータ信号の不受信に基づく充填切替機能を備えたステーションにも適用できる。ただしこのようなステーションを対象とする場合、車両側制御装置は、水素SOCの値が過充填防止閾値を超えたと判定した場合(図15のS62又は図18のS82がYESの場合)には、データ信号の送信を停止するだけでなく、少なくともアボート信号を送信することが好ましい。これにより、確実に過充填を防止できる。
以上、本発明の第1〜第7実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではない。上記実施形態では、水素をエネルギーとして利用し走行する燃料電池車両を例について説明したが、これに限らず、天然ガスをエネルギーとして利用し走行する天然ガス自動車にも適用できる。
Va,Vb,Vc,Vd,Ve,Vf,Vg…燃料電池車両(移動体)
31a,31b,32b,31c,31d,32d,33d,34d…水素タンク(貯蔵容器)
41a,42a,41b,42b,43b,44b,41c,42c,41d,42d,43d,44d,45d,41e,42e,43e,44e,45e,46e…温度センサ
51a,52a…圧力センサ
5…赤外線通信機(通信機)
6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g…車両側制御装置(加算暫定値算出手段、減算暫定値算出手段、送信値決定手段、差分値算出手段、充填パラメータ値算出手段)
9,9f…ステーション

Claims (7)

  1. 外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器と、
    1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの温度を検出する2つ以上の温度センサと、
    前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、所定の温度送信値に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機と、を備える移動体であって、
    前記温度センサの検出値に当該温度センサの誤差値を加算した加算暫定値を前記温度センサごとに算出する加算暫定値算出手段と、
    前記温度センサの検出値に当該温度センサの誤差値を減算した減算暫定値を前記温度センサごとに算出する減算暫定値算出手段と、
    前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値が所定の閾値に達するまでは、前記複数の減算暫定値のうち最も小さな値を温度送信値として決定し、前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値が前記閾値を超えた後は、前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値を温度送信値として決定する送信値決定手段と、を備えることを特徴とする移動体。
  2. 外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器と、
    1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの温度を検出する2つ以上の温度センサと、
    前記複数の温度センサの検出値に基づいて温度送信値を決定する送信値決定手段と、
    前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、前記温度送信値に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機と、を備える移動体であって、
    前記温度センサの検出値から当該温度センサの誤差値を減算した減算暫定値を前記温度センサごとに算出する減算暫定値算出手段と、
    前記複数の減算暫定値のうち最も小さな値を用いて、前記移動体に設けられた貯蔵容器の燃料ガスの充填率に相当する充填率パラメータの値を算出する充填率パラメータ値算出手段と、を備え、
    前記通信機は、前記充填率パラメータの値が所定の閾値を超えた場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することを特徴とする移動体。
  3. 同一の貯蔵容器又は同種の貯蔵容器に設けられた複数の温度センサのうち検出値が最も大きな温度センサと検出値が最も小さな温度センサとを選択し、最も大きな検出値と最も小さな検出値との差分値を算出する差分値算出手段をさらに備え、
    前記通信機は、前記差分値が、前記検出値が最も小さな温度センサの誤差値と前記検出値が最も大きな温度センサの誤差値とを合算して得られる故障判定値以上となった場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は前記温度センサが異常であることを示す所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体。
  4. 前記複数の温度センサは、検出特性が異なる2種以上を含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の移動体。
  5. 前記貯蔵容器の数は2以上であり、
    前記複数の貯蔵容器のうち少なくとも2つは、燃料ガスの充填時における温度挙動が同じであり、これら同種の貯蔵容器には1つずつ温度センサが設けられること特徴とする請求項1から4の何れかに記載の移動体。
  6. 外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器と、
    1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの圧力を検出する2つの圧力センサと、
    前記2つの圧力センサの検出値に基づいて圧力送信値を決定する送信値決定手段と、
    前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、前記圧力送信値に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機と、を備える移動体であって、
    前記圧力センサの検出値に当該圧力センサの誤差値を加算した加算暫定値を前記圧力センサごとに算出する加算暫定値算出手段と、
    前記複数の加算暫定値のうち最も大きな値を用いて、前記移動体に設けられた貯蔵容器の燃料ガスの充填率に相当する充填率パラメータの値を算出する充填率パラメータ値算出手段と、を備え、
    前記通信機は、前記充填率パラメータの値が所定の閾値を超えた場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することを特徴とする移動体。
  7. 外部のステーションから供給された燃料ガスを貯蔵する1つ以上の貯蔵容器と、
    1つの貯蔵容器に対し1つ以上設けられ、当該貯蔵容器内の燃料ガスの圧力を検出する2つの圧力センサと、
    前記2つの圧力センサの検出値に基づいて圧力送信値を決定する送信値決定手段と、
    前記貯蔵容器の状態に応じた態様で前記ステーションから燃料ガスを充填させるため、前記圧力送信値に基づいて生成されたデータ信号を前記ステーションへ送信する通信機と、を備える移動体であって、
    前記2つの圧力センサの検出値の差分値を算出する差分値算出手段を備え、
    前記通信機は、前記差分値が、前記2つの圧力センサのそれぞれの誤差値を合算して得られる故障判定値以上となった場合には、前記データ信号の送信を停止するか又は所定の動作要求信号を前記ステーションへ送信することを特徴とする移動体。
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