照明光学系10と受光光学系30の光軸は、例えば、被検眼上において交わるような関係を持つ。例えば、本装置は、一般的なスペキュラマイクロスコープ(角膜内皮細胞撮影装置)のように角膜に対して斜め方向から光を照射して、角膜での正反射方向から反射光を受光する光学系を有する。照明光学系10及び受光光学系30は、ある中心軸に対して対称に配置されると有利である。なお、代表的な角膜内皮細胞撮影装置は、照明光源12からの照明光を角膜に向けて斜めから照射する照明光学系10と、角膜内皮細胞を含む角膜からの反射光を撮像素子44により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系30、とを備える。
駆動部6は、装置本体と眼との相対的な位置を調整するために設けられる。駆動部6としては、例えば、眼に対して撮影部をXYZ方向に移動する周知のアライメント駆動機構が用いられ、例えば、モータとスライド機構とにより構成される。
固視光学系70、75は、例えば、光軸と直交する面上に複数配置された固視灯(可視光源(固視光源)71a〜71i)を持ち、眼の視線方向を変更する。他の構成として、固視光学系は、例えば、単一の固視灯を光軸と直交する方向に移動する構成を持ち、眼の視線方向を変更する。固視灯としては、視認可能な光(可視光)を発するLEDが設けられる。また、他の構成としては、固視光学系は、液晶ディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)などの表示パネルを持ち、発光位置を制御することにより、眼の視線方向を変更する。
内部固視光学系70は、例えば、被検眼の視線方向を変更させ、角膜上の撮影位置を角膜中心部及び角膜中心近傍の数箇所に設定するために設けられる。角膜中心部の内皮画像を得るための中心固視灯(例えば、可視光源71a)は、眼Eを正面方向に誘導する。このような固視灯は、光軸近傍に配置される(中心部の内皮画像が得られる程度の位置であり、配置位置は、実験又はシミュレーションにより設定される)。
角膜中心近傍の内皮画像(例えば、角膜中心を中心とする直径1〜2mm(例えば、1.3mm)の円周上における内皮画像)を得るための複数の近傍固視灯(例えば、可視光源71b〜71i)は、中心固視灯(光軸)に対して眼Eの視軸が3〜10度(好ましくは、4〜6度)傾斜した関係となるように配置されている。本実施形態では、光軸に対して眼Eの視軸が5度傾斜した関係となるように配置されている。
複数の固視灯は、例えば、光軸を中心とする同一円周上に配置され、被検者から見て、所定角度(例えば、45度)毎に配置されている。装置内部に配置された近傍固視灯は、正面方向に対して眼Eを一定量傾斜させる。
XY方向のアライメント検出センサとしては、例えば、眼Eの前眼部像を撮像素子(84)により撮像する前眼部撮像光学系(80)が用いられ、制御部90は、撮像素子(84)から出力される撮像画像に基づいて眼Eに対する撮影部のアライメント状態を検出する。制御部90は、撮像画像を処理し、前眼部上に形成された角膜輝点像又は前眼部の特徴部位(瞳孔、虹彩等)の検出位置とアライメント適正位置とのずれを検出することによりXY方向のアライメント状態を検出する。また、XY方向のアライメント検出センサとしては、例えば、ポジションセンサー(PSD)が用いられ、制御部90は、ポジションセンサから出力されるX方向位置情報とY方向位置情報をそれぞれ検出して眼Eに対する撮影部のアライメント状態を検出する。
Z方向のアライメント検出センサ(80、85)としては、例えば、角膜に向けて斜め方向から検出用光束を投光する投光光学系(85a)と、投光光学系による角膜反射光束を受光素子により受光する受光光学系(85b)と、を有するZ検出光学系が用いられる。受光素子としてラインセンサを用いた場合、制御部90は、ラインセンサ上におけるアライメント光の受光位置とアライメント適正位置とのずれを検出することによりZ方向のアライメントずれを検出する。また、Z方向のアライメント検出センサとしては、例えば、眼Eの前眼部像を撮像素子(84)により撮像する前眼部撮像光学系(80)が用いられ、制御部90は、撮像素子(84)から出力される撮像画像に基づいて眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。制御部90は、撮像画像を処理し、前眼部上に形成された少なくとも2つの角膜輝点像間の距離が適正距離に対応するか否かによりZ方向のアライメント状態を検出する。
メモリ92は、記憶部であり、内皮画像、連続撮影モードにおける複数の固視位置情報などを記憶する。メモリ92としては、例えば、半導体メモリ、磁気記憶装置、光学記憶装置などが用いられる。
操作入力部96は、検者によって操作される入力装置である。操作入力部96としては、スイッチ、キーボード、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイスなどが用いられる。
制御部90は、アライメント検出センサ(80、85)の検出結果がアライメント許容範囲を満たしたとき、照明光源12を発光させ、撮像素子44により少なくとも1つの内皮画像を取得し、取得された内皮画像をメモリ92に記憶する(オートショット)。複数の内皮画像を取得する場合、制御部90は、駆動部6の駆動を制御して、撮影部4を所定方向に移動させ、撮影部4の移動中に照明光源12を連続発光させて撮像素子44により複数の内皮画像を取得してもよい。
例えば、制御部90は、角膜中心部で撮影された内皮画像610aと、角膜中心部の近傍領域における複数の位置にて撮影された複数の内皮画像610b〜610iと、をモニタ95上に同時に表示する(図14、図15参照)。
選択的又は追加的には、例えば、制御部90は、角膜中心部で撮影された内皮画像と、角膜の周辺領域における複数の位置にて撮影された複数の内皮画像と、をモニタ95上に同時に表示する。
制御部90は、例えば、モニタ95上に表示された各内皮画像をそれぞれ離間してモニタ95に並べるようにしてもよい(図14参照)。また、これに限定されず、制御部90は、モニタ95上に表示された各内皮画像の一部が重なるようにモニタ95に並べてもよい。
なお、制御部90は、操作入力部96から入力される操作信号に基づいてモニタ95上の複数の内皮画像の少なくともいずれかから選択された内皮画像を、他の内皮画像に対して拡大して表示する(図14の拡大画像640Z参照)と共に、拡大表示された内皮画像に関する解析結果630aを表示するようにしてもよい。
なお、制御部90は、例えば、各内皮画像の位置を示すための位置表示620a〜620i(又は図16のシンボル表示700)を、各内皮画像610a〜610iにそれぞれ付与するようにしてもよい。位置表示620a〜620iは、シンボル表示であってもよいし、アルファベット等の文字であってもよい。なお、各内皮画像の位置を示す場合、例えば、固視位置、又は角膜上の撮影位置を示すような手法が用いられる。
ここで、被検眼角膜上の異なる位置での内皮画像を得る場合、角膜上における内皮細胞の撮影位置を上下左右方向に関して変更するための撮影位置変更手段が用いられる。撮影位置変更手段としては、例えば、複数の固視灯を持ち、被検眼の視線方向を変更するための固視光学系(例えば、固視光学系70、固視光学系75参照)が用いられる。また、照明光学系及び受光光学系を被検者眼に対して上下左右方向に移動させる駆動部(例えば、駆動部6参照)が用いられる。ここでの駆動部は、照明光学系及び受光光学系を被検眼に対して上下左右方向に回旋移動させる構成であってもよい。また、このような固視光学系と駆動部の併用により撮影位置を変更してもよい。なお、図2のように照明光学系10と受光光学系30の光軸が観察光軸L1に関して対称に配置されている場合、例えば、照明光学系10の光軸と受光光学系30の光軸が交差する位置が、角膜上の撮影位置となる。
また、撮影された内皮画像を処理して被検眼の内皮細胞に関する解析結果を取得する画像処理手段(画像処理器)が用いられる。画像処理手段としては、例えば、制御部90が用いられるが、これに限定されず、他の画像処理器が用いられてもよい。
また、固視灯の点灯位置、点灯順が設定された固視灯グループが予めメモリ92に記憶され、連続撮影モードにおいて用いられる。例えば、複数のグループを選択できるように複数の固視灯グループがメモリ92に記憶される。固視灯グループとしては、角膜中心部に加えて角膜の上部/下部/左部/右部の内皮画像を撮影するために設定された固視標グループ、角膜中心部に加えて角膜の右上部/右下部/左下部/左上部の内皮画像を撮影するために設定された固視標グループ、などが考えられる。固視標グループが選択された場合、固視灯の点灯手順としては、例えば、光源71aが点灯され、その後、周辺部の内皮画像を撮影するための光源(光源71b〜71iのいずれか)が順次点灯される。例えば、隣接する固視位置が順次点灯される(例えば、時計回り、反時計回り)。なお、点灯手順は、上記のような順番に限定されない。また、ある固視灯グループにおける固視灯の点灯順が任意に設定できるような構成であってもよい。
例えば、制御部90は、予め設定された第1の固視位置に対応する固視灯を呈示し、照明光学系10及び受光光学系30を制御して第1の固視位置にて内皮画像を取得する。制御部90は、第1の固視位置で取得された内皮画像をモニタ95に表示する。
第1の固視位置での内皮画像が検者によって確認された後、モニタ95に内皮画像が表示された状態で、予め設定された次の固視位置での撮影位置に移行するための操作信号が操作入力部96より入力されると、予め設定された第2の固視位置に対応する固視灯を呈示する。制御部90は、第2の固視位置での画像取得を許可し、照明光学系10及び受光光学系30を制御して第2の固視位置にて内皮画像を取得する。制御部90は、第2の固視位置で取得された内皮画像をモニタに表示する。
上記のようにして、制御部90は、メモリ92に記憶された複数の固視灯の点灯位置、点灯順に基づき、予め設定された次の固視位置での撮影に移行するための操作信号をトリガとして固視灯の点灯位置を次の位置へと切換える。固視位置が切換えられると、制御部90は、次の固視位置での画像取得を許可し、次の固視位置での内皮画像を取得する。このようにして各固視位置(第1の固視位置、第2の固視位置、第3の固視位置、・・・の順)での内皮画像を順次取得することにより、検者は、取得された内皮画像の確認後、次の撮影位置での内皮画像の取得にスムーズに移行できる。
制御部90は、アライメント検出センサ(80、85)の検出結果がアライメント許容範囲から外れたとき、アライメント適正位置へ撮影部4を復帰させるように駆動部6を制御するようにしてもよい(自動トラッキング)。次の固視位置での画像取得が許可され、アライメント検出センサ(80、85)の検出結果がアライメント許容範囲を満たしているとき、制御部90は、照明光源12を点灯し、次の固視位置で内皮画像の取得を開始する。これにより、次の固視位置での撮影をよりスムーズに取得できる。
より好ましくは、制御部90は、予め設定された次の固視位置での撮影に移行するための操作信号が入力される前段階から自動トラッキングを作動することにより、次の固視位置に切換えられ、撮影が許可された際、次の内皮画像の取得に短時間で移行できる。
なお、制御部90は、取得された内皮画像の適否を判定処理し、適正と判定された場合、次の固視位置に対応する固視灯を点灯するようにしてもよい。制御部90は、例えば、内皮画像の適否を、内皮画像の画質、内皮画像を取得したときのアライメントずれ量等によって判定する。
制御部90は、現在の撮影位置と、予め設定された複数の撮影位置と、設定されない撮影位置とを判別するための撮影位置表示(例えば、固視位置表示500)をモニタ95上に表示するようにしてもよい。
以下、図面に沿って、本実施形態の装置における実施例を説明する。図1は、本実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置の外観側方構成図である。
装置100は、いわゆる据え置き型の装置であって、基台1と、基台1に取り付けられた顔支持ユニット2と、図示なき摺動機構により基台1上で移動可能に設けられた移動台3と、移動台3に対して移動可能に設けられ、後述する撮影系及び光学系を収納する撮影部(装置本体)4と、を備える。
撮影部4は、移動台3に設けられたXYZ駆動部6により、被検眼Eに対して左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)及び前後方向(Z方向)に移動される。移動台3は、ジョイスティック5の操作により、基台1上をXZ方向に移動される。また、検者が回転ノブ5aを回転操作することにより、撮影部4はXYZ駆動部6のY駆動によりY方向に移動される。ジョイスティック5の頂部には、スタートスイッチ5bが設けられている。表示モニタ95は、撮影部4の検者側に設けられている。なお、本実施形態では、図示なき摺動機構又はXYZ駆動部6により撮影部4が眼Eに対して相対的に移動される。
なお、撮影部4を移動させる構成としては、メカニカルな摺動機構を設けず、駆動部6のモータの駆動によって撮影部4を左右眼に対して移動させる構成であってもよい。また、本装置は、ジョイスティック5のような手動用操作部材としてタッチパネルを有する構成であってもよい。
図2は、撮影部4に収納された光学系を上方から見たときの光学配置と,制御系の構成の一例を示す概略構成図である。図3は第1投影光学系、第2投影光学系を被検者側からみたときの図である。光学系の全体構成は、照明光学系10、撮像光学系(受光光学系)30、正面投影光学系50、第1投影光学系60a,60b、第2投影光学系65a〜65d(図3参照)、内部固視光学系70(70a〜70g)、外部固視光学系75(75a〜75f)、前眼部観察光学系80、Zアライメント検出光学系85、を有する。
照明光学系10は、照明光源12からの照明光を角膜Ecに向けて斜めから照射する。照明光学系10は、内皮撮影用の可視光を発する照明光源(例えば、可視LED、フラッシュランプ)12、集光レンズ14、スリット板16、可視光反射・赤外透過のダイクロイックミラー18、投光レンズ20、を有する。照明光源12から発せられた光は、集光レンズ14を介してスリット板16を照明する。そして、スリット板16を通過したスリット光は、ダイクロイックミラー18を介して投光レンズ20によって収束され、角膜に照射される。ここで、スリット板16と角膜Ecは、対物レンズ20に関して略共役な位置に配置されている。
撮像光学系30は、内皮細胞を含む角膜Ecからの反射光を撮像素子により受光することにより内皮細胞画像を取得する。撮像光学系30は、光軸L1に関して照明光学系10と左右対称であり、対物レンズ32、可視光反射・赤外透過のダイクロイックミラー34、マスク35、第1結像レンズ36、全反射ミラー38、第2結像レンズ42、内皮細胞像を取得するための専用の第1の二次元撮像素子(例えば、二次元CCDイメージセンサ(Charge coupled device image sensor)、二次元CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)、等)44を有する。マスク35は、対物レンズ32に関して角膜Ecと略共役な位置に配置されている。第1結像レンズ36、及び第2結像レンズ42は、内皮像を撮像素子44上に結像させる結像光学系を形成する。撮像素子44は、撮像光学系30のレンズ系に関して角膜Ecと略共役な位置に配置されている。
照明光学系10による角膜反射光は、光軸L3方向(斜め方向)に向かい、対物レンズ32によって収束された後、ダイクロイックミラー34によって反射され、マスク35にて一旦結像され、内皮細胞像を取得する際にノイズとなる光が遮光される。そして、マスク35を通過した光は、第1結像レンズ36、全反射ミラー38、第2結像レンズ42を介して二次元撮像素子44に結像される。これにより、高倍率の角膜内皮細胞像が取得される。なお、撮像素子44の出力は、制御部90に接続され、取得された細胞像は、メモリ92に記憶される。また、細胞像はモニタ95に表示される。
正面投影光学系50は、正面から角膜Ecに向けてアライメント指標を投影する。正面投影光学系50は、赤外光源51、投光レンズ53、ハーフミラー55、を有し、XYアライメント検出用の赤外光を観察光軸L1方向から角膜Ecに投影する。光源51から発せられた赤外光は、投光レンズ53により平行光束に変換された後、ハーフミラー55により反射され、角膜Ecの中心部に投影され、指標i10が形成される(図4参照)。
第1投影光学系60a,60bは、斜めから角膜Ecに向けて無限遠のアライメント指標を投影する。第1投影光学系60a,60bは、光軸L1に対して所定の角度でそれぞれ傾斜して配置されている。第1投影光学系60a,60bは、赤外光源61a、61bと、コリメータレンズ63a、63bと、をそれぞれ有し、光軸L1を挟んで左右対称に配置され、眼Eに対して無限遠の指標を投影する(図2参照)。なお、第1投影光学系60a,60bは、光軸L1を通る水平方向と略同一経線上に配置されている(図3参照)。
光源61a、61bから出射された光は、コリメータレンズ63a、63bによりそれぞれコリメートされた後、角膜Ecに投影され、指標i20、i30が形成される(図4参照)。
第2投影光学系65a〜65dは、複数の斜め方向から角膜Ecに向けて有限遠のアライメント指標をそれぞれ投影する。第2投影光学系65a〜65dは、光軸L1に対しそれぞれ傾斜して配置されている。第2投影光学系65a〜65dは、赤外光源66a〜66dをそれぞれ有し、光軸L1を挟んで左右対称に配置され、眼Eに対して有限遠の指標を投影する。なお、第2投影光学系65a、65bは、光軸L1に対して上方に配置され、Y方向に関して互いに同じ高さに配置されている。また、第2投影光学系65c、65dは、光軸L1に対して下方に配置され、Y方向に関して互いに同じ高さに配置されている。また、第2投影光学系65a、65bと、第2投影光学系65c、65dは、光軸L1を挟んで上下対称な関係で配置されている。
ここで、光源66a、66bからの光は角膜Ecの上部に向けて斜め上方向から照射され、光源66a、66bの虚像である指標i40、i50が形成される。また、光源66c、66dからの光は角膜Ecの下部に向けて斜め下方向から照射され、光源66c、66dの虚像である指標i60、i70が形成される(図4参照)。
上記のような指標投影光学系によれば、指標i10は、眼Eの角膜頂点に形成される(図4参照)。また、第1投影光学系60a、60bによる指標i20、i30は、指標i10と同じ水平位置において、指標i10に関し左右対称に形成される。さらに、第2投影光学系65a、65bによる指標i40、i50は、指標i10より上方において、指標i10に関し左右対称に形成される。第2投影光学系65c、65dによる指標i60、i70は、指標i10より下方において、指標i10に関し左右対称に形成される。
内部固視光学系70a〜70iは、眼Eに対して内部から固視標を投影する。内部固視光学系70a〜70iは、可視光源(固視灯)71a〜71i、投光レンズ73、可視反射・赤外透過のダイクロイックミラー74、を有する。光源71から発せられた可視光は、投光レンズ73により平行光束に変換された後、ダイクロイックミラー74により反射され、眼Eの眼底に投影される。また、外部固視光学系が前述の第1投影光学系及び第2投影光学系の近傍に配置される。
内部固視光学系70a〜70iは、光軸L4に対して直交する方向に関して異なる位置に配置される複数の固視標を有し、眼Eの固視方向を各方向に誘導する。内部固視光学系70a〜70iは、撮影部4の内部に設けられる。例えば、可視光源71aは、光軸L4近傍に配置され、眼Eを正面方向に誘導することにより角膜の中心部の内皮画像を得るために用いられる。また、複数の可視光源71b〜71iは、光軸L4を中心とする同一円周上に配置され、被検者から見て、所定角度毎に配置されている。図2では、0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の各位置に45度ずつ配置されている。可視光源71b〜71iは、眼Eの視線方向を周辺方向に誘導することにより角膜中心部の周辺における内皮画像を得るために用いられる。
外部固視光学系75a〜75fは、外部から固視標を投影する。外部固視光学系75a〜75fは、XY方向に関して異なる位置に配置される複数の固視標を有し、被検眼の固視方向を内部固視光学系70より大きく振らせる。外部固視光学系75a〜75fは、撮影部3の外側であって、眼E側に設けられる。例えば、外部固視光学系75a〜75fは、可視光源(固視灯)76a〜76fを有し、光軸L1を中心とする同一円周上で、被検者から見て、2時、4時、6時、8時、10、12時の各位置に配置されている。可視光源76a〜76fは、眼Eの視線方向を周辺方向に誘導することにより角膜の周辺部における内皮画像を得るために用いられる。この場合、可視光源71b〜71gによって取得される画像よりさらに外側の内皮細胞像が取得される。
例えば、角膜下部を撮影する場合、固視灯(固視標)の位置が上方に設定され、眼Eの固視が上方向に誘導される。また、角膜上部を撮影する場合、固視灯(固視標)の位置が下方に設定され、眼Eの固視が下方向に誘導される。
図2に戻る。前眼部観察光学系80は、前眼部像を正面から観察する。前眼部観察光学系80は、対物レンズ82、前眼部正面像を取得するための二次元撮像素子84、を有し、第1の撮像素子44とは異なる第2の撮像素子84を有し、前眼部像及びアライメント指標を第2撮像素子84により撮像する。二次元撮像素子84としては、例えば、2次元CCDイメージセンサ、二次元CMOSが用いられる。
図示なき前眼部照明光源により照明された前眼部は、ダイクロイックミラー75、ハーフミラー55、対物レンズ82を介して二次元撮像素子84に撮像される。また、同様に、正面投影光学系50、第1投影光学系60a,60bと、第2投影光学系65a〜65d、による角膜反射像は二次元撮像素子84に受光される。
撮像素子84の出力は制御部90に接続され、図4に示すように、モニタ95には、撮像素子84によって撮像された前眼部像が表示される。なお、モニタ95上に電子的に表示されるレチクルLTは、XYアライメントの基準を示している。なお、観察光学系80は、眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出するための検出光学系を兼用する。
Zアライメント検出光学系85は、眼Eに対する撮影部4のZ方向におけるアライメント状態を検出する。Zアライメント検出光学系85は、角膜Ecに向けて斜め方向から検出用光束を投光する投光光学系85aと、投光光学系85aによる角膜反射光束を受光する受光光学系85bと、を有する。そして、投光光学系85aの光軸L2と受光光学系85bの光軸L3は、観察光軸L1に関して左右対称な位置に配置される。
投光光学系85aは、例えば、赤外光を発する照明光源86、集光レンズ87、ピンホール板88、レンズ20からなる。ここで、ピンホール板88と角膜Ecは、レンズ20に関して略共役な位置に配置される。受光光学系85bは、例えば、レンズ32、一次元受光素子(ラインセンサ)89からなる。ここで、一次元受光素子89と角膜Ecは、レンズ32に関して略共役な位置に配置される。
光源86から出射された赤外光は、集光レンズ87を介してピンホール板88を照明する。そして、ピンホール板88の開口を通過した光は、レンズ20を介して角膜Ecに投光される。そして、その角膜反射光は、レンズ32、ダイクロイックミラー34を介して受光素子89にて受光される。
受光素子89の出力は制御部90に接続され、眼Eに対するZアライメント検出に利用される。ここで、受光素子89上に受光されるアライメント光束は、Z方向における撮影部4と眼Eとの位置関係によって受光位置が変化される。例えば、制御部90は、受光素子89からの検出信号において角膜反射光の位置を検出し、Z方向のアライメント状態を検出する。なお、受光素子89を用いたアライメント検出は、眼Eに対する精密なアライメントのために利用される。
制御部90は、装置全体の制御を行う。そして、制御部90には、回転ノブ5a、スタートスイッチ5b、XYZ駆動部6、二次元撮像素子44、84、各光源、記憶装置であるメモリ92、モニタ95、操作部(操作入力部)96、が接続されている。本実施例のモニタ95は、検者による入力操作が可能なタッチパネルであり、操作入力部96の少なくとも一部を兼用する。
なお、本実施例の装置は、内皮画像が撮影される毎に検者が固視位置を設定する第1撮影モード(各位置撮影モード)と、予め設定された複数の固視位置での撮影を連続的に行う第2撮影モード(以下、連続撮影モード)と、が切換え可能な構成となっている。モード切換は、例えば、所定のモード切換スイッチ、又はパラメータ設定において行われる。もちろん、なお、必ずしも2つのモードが搭載された装置でなくてもよい。第2撮影モードのみが搭載された装置であってもよい。
例えば、制御部90は、モニタ95の表示を制御する。また、制御部90は、アライメント指標の受光結果に基づいてXYZ方向における眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。そして、制御部90は、その検出結果に基づいて撮影部4の移動を指令する信号を出力する。また、制御部90は、受光素子89の受光結果に基づいて眼Eに対する撮影部4のZ方向のアライメント状態を検出する。
以上のような構成を備える装置において、そのアライメント動作について説明する。図4は角膜中心部の内皮を撮影する場合の前眼部観察画面の一例を示す図であり、図4(a)はアライメントずれがある場合の表示例であり、図4(b)はアライメントが適正な状態における表示例である。
この場合、光源71が点灯され、眼Eの固視方向が正面に誘導される。まず、検者は、被検者に固視標を注視させる。また、モニタ95に表示された前眼部像を観察しながら、眼Eに対する撮影部4のアライメントを行う。
上記のようにしてラフなアライメントが行われると、図4(a)に示すように、拡散光による角膜指標像が撮像素子64の受光面に検出される。制御部90は、画像の左上の座標位置から、画面の右下に向かって輝点を探索する。そして、指標i40、i50、i60、i70が検出されるようになると、制御部90は、検出された輝点の位置を検出する。
そして、制御部90は、指標i40、i50、i60、i70からなる矩形の中心位置を略角膜頂点として検出し、XY方向におけるアライメントずれ方向/偏位量を検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。これにより、広範囲での自動アライメントが可能となる。
以上のようにして撮影部4が移動され、指標像i10が検出されると、制御部90は、上記指標像i40〜i70によるアライメントを終了し、指標像i10を用いたアライメントを行う。ここで、制御部90は、指標像i10と、指標像i40〜i70とをその位置関係から判別する。
そして、制御部90は、指標像i10の座標位置を略角膜頂点として検出し、XY方向におけるアライメントずれ方向/偏位量を検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲内に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。
また、上記のようにして指標像i10が検出されるようになると、同様に、無限遠の指標像i20、i30が検出される。そこで、制御部90は、前述のように検出される無限遠の指標像i20、i30の間隔と有限遠の指標像i60、i70の間隔とを比較することによりZ方向のアライメントずれ方向/偏位量を求める(第1のアライメント検出)。そして、制御部90は、Z方向のアライメントずれが所定のアライメント許容範囲に入るように撮影部4をZ方向に移動させる(第1自動アライメント)。
この場合、制御部90は、測定部3が作動距離方向にずれた場合に、前述の無限遠指標i20、i30の間隔がほとんど変化しないのに対して、有限遠の指標像i60、i70の像間隔が変化するという特性を利用して、Z方向のアライメントずれを求める(詳しくは、特開平6−46999号参照)。なお、指標像i60、i70の代わりに、指標像i40、i50が利用されてもよい。また、光軸L1からの指標の距離(指標高さ)に基づいてZアライメントが検出されてもよい。
そして、制御部90は、第1のZアライメント検出においてアライメント状態が適正と判定されると、第1自動アライメントの作動を停止し、検出光学系85を用いた第2のZアライメント検出及びその検出結果に基づく第2の自動アライメントを作動させる。
制御部90は、光源86を点灯させアライメント光束を角膜Ecに投光する(光源86を予め点灯させていてもよい)と共に、その角膜反射光束を受光素子89にて検出する。そして、制御部90は、受光素子89からの受光結果に基づいて駆動部6の駆動を制御し、撮影部4をZ方向に移動させる。
例えば、制御部90は、受光素子89から出力される受光信号に基づいて角膜上皮からの反射光束に対応するピークPを検出し、受光素子89上における上皮ピークの位置Pzを検出する(図5参照)。そして、制御部90は、上皮からの反射光束による受光信号のピークが受光素子89上の所定位置(例えば、中心位置)にくるように駆動部6を駆動させる。
前述したアライメント動作によって、XYZ方向のアライメント状態がアライメント完了の条件を満たしたら、制御部90は、XYZ方向のアライメントが合致したと判定し、トリガ信号を発する。
<内皮細胞の撮影>
制御部90は、トリガ信号が発せられると、照明光源12を連続的に点灯させ、可視照明光による角膜内皮細胞像を二次元撮像素子44にて取得する。このとき、制御部90は、上皮反射光が検出され、内皮反射光が検出されない程度の光量にて光源12を発光させるのが好ましい。その後、制御部90は、光源12を点灯させると共に、駆動部6の駆動を制御して、撮影部4を眼Eに向かって前進させていく。この撮影部4のZ方向への移動中において、制御部90は、XY方向における自動アライメントの作動(撮像素子84を用いた追尾制御)を継続する。
制御部90は、撮像素子44からの出力画像を検出し、検出結果に基づいて光源12及び駆動部6を制御する。図6は撮像素子44からの出力画像に基づいて角膜画像の受光状態を判定する際の一例を示す図である。図6において、中央の白い矩形領域は、撮像素子44より前方に配置されたマスク35の開口部に対応し、左右の黒いハッチングは、マスク35の遮光部に対応する。
例えば、制御部90は、角膜画像の受光状態を検出するため、角膜の厚み方向(図6のZ方向)に対して直交方向に延びる第1検出領域Lc1と、第2検出領域Lc2を設定する。第1検出領域Lc1は上皮反射光の受光状態を検出するために設定され、第2検出領域Lc2は内皮反射光の受光状態を検出するために設定されている。制御部90は、第1検出領域Lc1内の各画素の輝度の合計値SLC1を算出する。また、第2検出領域Lc2内の各画素の輝度の合計値SLC2を算出する。
図7A〜Cは、撮撮部4が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、図8A,Bは、撮影部4が前進されるときの合計値SLC1とSLC2の変化を時系列で表すグラフである。図8Aは合計値SLC1、図8Bは合計値SLC2に対応する。
図7Aは、XYZ方向のアライメントが完了されたときの図である。このとき、第1領域Lc1上に上皮反射光Epが受光された状態となる。このため、第1の合計値SLC1は、上皮反射に対応する高い値が算出される(図8A参照)。
そして、撮影部4が前進されると、上皮反射光Epは、図7A〜Cの紙面の右方向へと移動される。そして、上皮反射光Epが検出領域Lc1を過ぎると、合計値SLC1が大きく減少する(図7B、図8Aの傾斜A参照)。そして、制御部90は、所定の閾値S1より合計値SLC1が下回ったとき、撮像素子44からの出力画像において内皮画像が現出される程度まで光源12の光量を増加させる。これにより、内皮反射光Enが撮像素子44によって検出可能となる。
光源12の光量増加後、制御部90は、撮影部4の前進動作を継続させ、撮像素子44から連続的に出力される画像を随時メモリ92に記憶させていく。二次元撮像素子44は、そのフレームレートに合わせて撮像信号を随時制御部90に出力する。これにより、内皮の撮像画像が1〜2秒間に複数(例えば、30〜40枚程度)取得される。そして、制御部90は、出力画像の内、ある条件(例えば、内皮細胞像が適正に取得されている)を満たす画像を静止画としてメモリ92に記憶させる。これにより、内皮細胞像が撮影される。この場合、制御部90は、予め設定された所定枚数をメモリ92に記憶するようにしてもよい。そして、制御部90は、メモリ92に記憶された撮影画像をモニタ95に出力する。
撮影部4が前進されると、内皮反射光Enは、画像中の右方向へと移動される(図7A〜C参照)。そして、内皮反射光Enが第2検出領域Lc2に達すると、合計値SLC2が上昇する(図8Bの傾斜B参照)。そして、第2検出領域Lc2上で内皮反射光Enが受光されている間は、高い値が位置される。さらに、撮影部4が前進され、内皮反射光Enが検出領域Lc2を過ぎると、合計値SLC2は、大きく減少する(図7C、図8Bの傾斜C参照)。制御部90は、所定の閾値S2より合計値が下回ったとき、光源12を減光(消灯を含む)すると共に、駆動部6の駆動を停止させ、撮影部4の前進動作を停止させる。
なお、光源12を連続的に発光させる手法としては、光源12を常時点灯させる手法の他、光源12を連続的に点滅させる手法が含まれる。光源12を連続的に点滅させる場合、例えば、制御部90は、撮影部4の移動中に複数枚の内皮画像を取得できるように点滅される。また、光源12は、二次元撮像素子44のフレームレートに同期して連続的に点滅されてもよい。例えば、一枚の撮像時間が30msの場合、画像の取得開始から数msの間、光源12が点灯され、その後、消灯される。そして、次の画像の取得が開始されると、光源12が点灯される。すなわち、このような点滅動作が繰り返される。
なお、これらに限定されず、制御部90は、撮像素子44によって複数の内皮画像が得られるように、光源12を複数回発光させる制御(もちろん連続的発光も含む)であればよい。
<連続撮影モード>
以下、連続撮影モードにおいて、複数の固視灯を用いて各位置での内皮細胞を連続的に取得する際の流れについて説明する。
図9は、撮影画面の一例を示す図であり、前眼部画像が表示されている。図10は固視位置設定画面の一例を示す図である。モニタ95上の固視灯スイッチ96aが検者によって操作されると、制御部90は、固視位置設定画面(以下、設定画面)をモニタ95上に表示する。この画面は、固視光学系により呈示可能な固視位置をそれぞれ表示しており、各固視位置に対応する複数のボタン310a〜310i、320a〜320fが配置されている。ボタンが押されると、連続撮影を行う固視位置として設定される。なお、制御部90は、設定画面を撮影画面上に重畳して表示してもよい。
設定画面は、角膜中心及び角膜中心近傍に対応する第1角膜領域310(310a〜310i)と、角膜周辺領域に対応する第2角膜領域320(320a〜320f)に大別される。第1領域310は、内部固視光学系にて呈示可能な固視灯を選択可能である。第2領域320は、外部固視光学系にて呈示可能な固視灯を選択可能である。
制御部90は、設定画面でのモニタ(タッチパネル)95からの操作信号に基づいて内皮撮影を行う回数及び固視灯を点灯する順番を決定する。制御部90は、設定画面上に撮影順を表示する。制御部90は、設定された固視灯及び点灯順をメモリ92に記憶しておき、電源を落としても設定を保持する。
より具体的には、制御部90は、検者によってボタンが押された順番に、撮影順を設定し、ボタンが押される毎に、押されたボタン上又は近傍に撮影順序を示す表示(例えば、数字又はグラフィック等)を表示する。また、制御部90は、選択されたスイッチの表示に対し、固視位置として選択されたことを示す選択表示(例えば、チェック)を行う。図10は、角膜中心を含む中心近傍の9点を選択した例である。以上のようにして、固視灯の点灯位置及び点灯順が設定され、OKボタンが操作されると、制御部90は、固視位置設定画面を消去し、図9のような撮影画面に戻る。
制御部90は、設定画面にて設定された固視位置を示すための固視位置表示500をモニタ95上に表示する。固視位置表示500は、例えば、現在位置表示510、設定位置表示520、非設定位置表示530を有する。現在位置表示510は、現在点灯している固視灯の位置を示す。設定位置表示520は、設定画面で予め設定した固視灯の位置を示す。非設定位置表示530は、設定画面にて選択されなかった固視位置を示す。
制御部90は、現在位置表示510として、例えば、現在点灯している固視灯を第1の色(例えば、緑色)にて表示する。制御部90は、設定位置表示520として、例えば、設定された固視灯を第1の色とは異なる第2の色(例えば、赤色)にて表示する。制御部90は、撮影が終了した固視灯から色を消していく。これにより、検者は、現在の撮影位置、残りの撮影位置を視覚的に把握できる。図12は、各固視位置における固視位置表示500の例を示す図である。
制御部90は、上記のように設定された固視灯の点灯位置及び点灯順を用いて固視光学系(70a〜70i、外部固視光学系75a〜75f)を制御することにより、被検眼の固視位置を順次変更する。各固視位置において、制御部90は、照明光学系10及び撮像光学系30を制御して角膜上の複数位置での内皮細胞を順次取得する。
以下、図10のような順にて角膜中心を含む中心近傍の9点が選択された場合を例にとって説明する。撮影画面に移行されると、制御部90は、はじめに選択された固視灯(可視光源71a)を点灯し、眼Eの固視方向を正面方向に誘導する。検者は、被検者に固視標を注視させる。また、モニタ95に表示された前眼部像を観察しながら、眼Eに対する撮影部4のアライメントを行う。
ラフなアライメントが行われると、制御部90は、撮像素子64からの撮像信号に基づいてXY方向における眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。そして、制御部90は、その検出結果に基づいて駆動部6を制御し、検出されるXY方向のアライメント状態が所定のアライメント許容範囲を満たすように、撮影部4を眼Eに対してXY方向に移動する。
また、制御部90は、受光素子89の受光結果に基づいてZ方向における眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。そして、制御部90は、その検出結果に基づいて駆動部6を制御し、検出されるZ方向のアライメント状態が所定の許容範囲を満たすように、撮影部4をZ方向に移動する。
前述したアライメント動作によって、XYZ方向のアライメント状態がアライメント完了の条件を満たしたら、制御部90は、XYZ方向のアライメントが合致したと判定する。
アライメントが合致されたと判定されると、制御部90は、駆動部6の駆動を制御して、撮影部4を所定方向に移動させる。そして、制御部90は、撮影部4の移動中に照明光源12を連続発光させて撮像素子44により複数の内皮画像を取得し、取得された内皮画像をメモリ92に記憶する。
図11は撮影画面の確認画面の一例を示す図である。最初の固視位置における内皮画像が取得されると、制御部90は、撮影動作を終了し、撮影画像の確認画面に移行する。確認ボタン96bが押されると、制御部90は、選択された画像を解析する。確認画面では、制御部90は、内皮画像の撮影を禁止する。本実施例では、撮影画像の確認画面は、複数の内皮画像からの解析画像の選択画面を兼用する。そこで、確認画面において、検者が所望する内皮画像がタッチパネル(モニタ95)上で選択され、確認ボタン96bが押されると、制御部90は、選択された画像を解析する。
解析が終了すると、制御部90は、撮影画像の確認画面から撮影画面に移行する。制御部90は、撮影画面に戻ると同時に、点灯する固視灯を中心位置から次の固視位置(71b)へと切換える。
一方、再撮影ボタン96cが押されると、制御部90は、撮影画像の確認画面から撮影画面に移行する。制御部90は、固視灯の点灯位置を切り換えず、最初の固視灯(可視光源71a)のままで、第1の固視位置にて再撮影を行う。再撮影が終了すると、制御部90は、再度確認画面に移行する。
なお、制御部90は、撮影画像の確認画面の表示中においても、撮像素子64及び受光素子89からの信号に基づいて駆動部6を制御し、眼Eに対して撮影部4を追尾するようにしてもよい(トラッキング制御)。制御部90は、確認画面において、アライメント許容範囲から眼Eが外れたとき、アライメント許容範囲に復帰するように駆動部6を制御する。これにより、眼Eと撮影部4との相対位置を適正位置に保持し、次の撮影への準備をしておく。
撮影画面に移行されると、制御部90は、アライメント完了を条件として、内皮画像の撮影を許可する。制御部90は、眼Eに対する撮影部4のトラッキング制御を継続する。アライメントが合致されたと判定されると、制御部90は、駆動部6の駆動を制御して、撮影部4を所定方向に移動させる。制御部90は、撮影部4の移動中に照明光源12を連続発光させて撮像素子44により複数の内皮画像を取得する。制御部90は、取得された内皮画像をメモリ92に記憶する。
以上のようにして、次の固視位置における内皮画像が取得されると、制御部90は、最初の内皮画像を取得したときと同様に、撮影画像の確認画面に移行する。制御部90は、確認ボタン96bが押されると、撮影された画像を解析する。解析が完了されると、制御部90は、確認画面から撮影画面に移行する。制御部90は、撮影画面に戻ると同時に、点灯する固視灯を中心位置から次の固視位置(45°位置)へと切換える。
一方、再撮影ボタン96cが押されると、制御部90は、撮影画像の確認画面から撮影画面に移行する。制御部90は、固視灯の点灯位置を切り換えない。制御部90は、第2の固視灯(可視光源71b)のままで、第2の固視位置にて再撮影を行う。再撮影が終了すると、制御部90は、再度確認画面に移行する。
以上のようにして、制御部90は、予め設定された複数の内皮画像を取得するべく、固視位置を順次変更し(中心→0°→45°→・・・→315°)、各固視位置において内皮画像を取得し、取得された内皮画像をメモリ92に記憶する。そして、設定された固視位置の全ての撮影が終了すると、制御部90は、最初の固視位置(中心)に対応する固視灯を点灯する。
以上のように、次の固視位置に対応する固視灯を点灯すると同時に、アライメント合致条件で照明光源12を発光させて内皮画像を撮影可能な撮影許可状態に移行することにより、次の固視位置での内皮画像をスムーズに取得できる。
上記においては、制御部90は、内皮画像の確認画面を表示する段階においても、オートトラッキングの作動を継続した。これにより、固視位置が切り換わる前段階において予め被検眼に対する位置合わせがほぼ完了した状態となる。そして、制御部90は、撮影画面への切換後、次の固視位置への切り換わりと同時に、オートショットによる撮影が可能な状態に移行することで、次の位置での内皮画像をさらにスムーズに取得できる。
なお、上記構成においては、固視位置表示500により撮影位置に関する情報を表示したが、これに限定されない。制御部90は、現在の撮影位置と、予め設定された複数の撮影位置と、設定されない撮影位置とを判別するための撮影位置表示をモニタ95上に表示すればよい。例えば、制御部90は、前眼部を模したグラフィックを表示した上で、前眼部上の撮影位置が表現されるようなグラフィック表示を用いるようにしてもよい。
<撮影画像の判定結果に基づく固視位置の切換>
以下に、撮影画像の判定結果に基づいて固視位置を切換える場合の例について説明する。制御部90は、取得された内皮画像の画質が所定範囲内か否かを画像処理により判定する。制御部90は、内皮画像の画質が所定範囲内であると判定された場合、固視光学系を制御し、固視灯の点灯位置を切換え、次の固視位置での内皮画像を取得する。一方、制御部90は、内皮画像の画質が所定範囲内でないと判定された場合、固視灯の点灯位置を切り換えず、内皮画像を再度取得する。制御部90は、例えば、内皮画像における輝度値の合計、内皮画像におけるエッジの数等を、内皮画像の画質を評価するための評価値として用いる。制御部90は、評価値が所定範囲内か否かを判定する。
各固視位置にて複数の内皮画像を得た場合について説明する。制御部90は、第1の固視位置での内皮画像の取得後、複数取得された各内皮画像の評価値を算出する。制御部90は、評価値が最も高い内皮画像に対し、その評価値が所定範囲内か否かを判定する。制御部90は、その評価値をモニタ95上に表示する。
制御部90は、評価値が所定の閾値以上であれば、点灯する固視灯を第1の固視位置から次の固視位置(第2の固視位置)へと切換える。制御部90は、アライメント完了を条件として、内皮画像の撮影を許可する。制御部90は、眼Eに対する撮影部4のトラッキング制御を継続する。アライメントが合致されたと判定されると、制御部90は、駆動部6の駆動を制御して、撮影部4を所定方向に移動させる。制御部90は、撮影部4の移動中に照明光源12を連続発光させて撮像素子44により複数の内皮画像を取得する。制御部90は、取得された内皮画像をメモリ92に記憶する。そして、制御部90は、第2の固視位置での内皮画像の取得後、複数取得された各内皮画像の評価値を算出する。制御部90は、評価値が最も高い内皮画像に対し、その評価値が所定範囲内か否かを判定する。このような動作の繰り返しにより、制御部90は、3つ以上の固視位置における内皮画像を取得できる。
制御部90は、評価値が閾値より低い場合、固視灯の点灯位置を切り換えず、第1の固視位置のままで、第1の固視位置にて再撮影を行う。そして、制御部90は、評価値が最も高い内皮画像に対し、その評価値が所定範囲内か否かを判定する。これにより、撮影ミスがあっても、スムーズに画像を取得できる。なお、自動再撮影を行うか否かを選択できるようにしてもよい。
なお、制御部90は、固視灯が移動すると共に、被検者に固視灯の位置が変わったことを報知するようにしてもよい(例えば、音声手段を制御してビープ音を鳴らす)。また、検者からの操作信号に基づいて固視位置を切り換えるモードと、内皮画像の適否判定結果に基づいて固視位置を切り換えるモードと、選択できるようにしてもよい。また、次の固視位置に切り換える閾値を検者が選択できる構成であってもよい。
図9の撮影画面において、撮影結果ボタン400は、撮影画面から内皮画像の撮影結果画面に移行するためのスイッチとして用いられる。すなわち、撮影結果ボタン400が押されると、撮影を終了して撮影結果画面(図13A、B参照)を表示する。
図13A、図13Bは撮影結果画面の一例を示す図である。撮影結果画面としては、左右眼各1回の撮影結果を示すためのシングル表示(図13A参照)と、左右眼においてそれぞれ複数の撮影結果を示すためのマルチ表示(図13B参照)の2種類が用意されている。
<シングル表示>
シングル表示の画面では、内皮画像500R、500L、撮影眼表示502R、502L、解析値504R、504L、削除ボタン506、印刷ボタン508、撮影ボタン510が表示される。
制御部90は、固視位置情報及び解析結果を表示する領域の左右両端に内皮画像の表示領域を設け、一方の領域に左眼の内皮画像を表示し、他方の領域に右眼の内皮画像を表示する。
シングル表示の画面において、左右眼の撮影結果(内皮画像500R,500L、撮影眼表示502R、502L、解析値504R,504L)は、左右に分割して表示される。すなわち、左右に分割された画面の一方には、右眼に関する撮影結果(500R、502R、504R)が表示され、画面の他方には、左眼に関する撮影結果(500L、502L、504L)が表示される。
内皮画像500R、500Lには、左右眼それぞれにおいて画像選択画面で選択された解析用の内皮画像が表示される。内皮画像500R、500Lは、左右の撮影眼表示502R、502Lを挟んで表示されている。
撮影眼表示502R、502Lには、表示された内皮画像の撮影眼情報(左右眼、固視灯点灯位置)を表示する。撮影眼表示502R、502Lは、互いに隣接して表示される。解析値504R、504Lには、表示された内皮画像の解析結果が表示される。
解析結果の内訳は、細胞数NUM、内皮細胞密度CD、平均内皮面積AVG、標準偏差SD、変動係数CV、最大面積MAX、最小面積MIN、六角形細胞出現率HEX、である。さらに、解析値504R、504Lの欄には、内皮画像と同時に測定された角膜厚CTが表示される。
削除ボタン506が押されると、撮影データが削除される。そして、削除後、観察画面に自動で切換えられる。印刷ボタン508が押されると、表示されている内皮画像と解析値が図示なき内蔵プリンタで印刷される。撮影ボタン510が押されると、観察画面に切換えられ、新規の撮影が開始される。
上記シングル表示によれば、左右眼各1回の撮影結果を容易に確認できるため、左右眼の内皮の状態を迅速に確認するのに有用である。ここで、各内皮画像に対応する固視灯表示が付されることにより、内皮の撮影部位を容易に把握できる。さらに、表示された内皮画像に対応する前眼部像によって撮影の適否を把握できる。また、解析値が表示されることにより表示された内皮画像に基づく解析結果を容易に把握できる。
<マルチ表示>
マルチ表示では、左右眼毎にそれぞれ複数の内皮画像が表示され、解析値を表示するデータが選択される。なお、特段の説明がない限り、上記シングル表示での装置構成と同様である。
制御部90は、複数の内皮画像から選択された内皮画像の固視位置情報と、内皮画像に基づく解析結果とをモニタ95の画面中央に左右眼毎に表示すると共に、固視位置情報及び解析結果の表示領域の左右両端に内皮画像の表示領域を設け、一方の領域に左眼の複数の内皮画像を表示し、他方の領域に右眼の複数の内皮画像を表示する。
マルチ表示の画面では、左右の各分割画面において、内皮画像500R、500Lが複数表示される。各内皮画像には、これに対応する固視灯表示(固視位置表示)501R、501Lがそれぞれ表示される。一画面において、片眼毎の内皮画像の表示枚数は、予め定められている(例えば、4枚)。片眼での内皮画像が所定枚数を超える場合(例えば、4枚)、ページボタン512が押されると、表示される画像が次の画像に切換えられる。
マルチ表示の画面では、撮影眼表示502R、502L、解析値504R、504Lは、選択された内皮画像に応じて更新される。ここで、撮影眼表示及び解析値が表示される内皮画像が左右各1画像選択され、撮影眼表示502R、502L、解析値504R、504Lには、選択された内皮画像に対応するデータが表示される。制御部90は、選択された画像が他の画像と区別できるように、選択された画像を強調して表示する(例えば、図番号に色を付ける、画像を枠で囲む、等)。
上記マルチ表示によれば、左右眼毎に複数回の撮影結果を容易に確認できるため、左右眼の内皮の状態を迅速に確認するのに有用である。ここで、複数の内皮画像において固視灯表示がそれぞれ付されることにより、複数の内皮画像に対応する撮影部位を容易に把握できる。さらに、選択された内皮画像に対応する前眼部像によって、選択された内皮画像の撮影の適否を把握できる。また、選択された内皮画像に対応する解析値が表示されることにより、選択された内皮画像に基づく解析結果を容易に把握できる。
なお、上記撮影結果画面を表示する際のパラメータ設定として、シングルモードとマルチモードとの間でモードが選択される。これは、所定のパラメータ設定画面において選択される。
シングルモードに選択された場合、制御部90は、撮影回数に関わりなく、シングル表示(図13A参照)で撮影結果画面を表示する。制御部90は、左右眼で各1回の撮影が完了すると、その完了をトリガとして撮影画面から撮影結果画面に切換える。これにより、検者は、左右眼の撮影結果をスムーズに確認できる。なお、シングルモードでは、撮影回数は左右各1回であり、これらを越えて撮影した場合、前回の画像データが消去され、最新の撮影データのみが表示される。
マルチモードに選択された場合、制御部90は、撮影回数によってシングル表示(図13A)とマルチ表示(図13B)とを切換えて表示する。マルチモードでは、撮影が左右眼で各1回までの場合、撮影結果ボタン310が押されると、シングル表示で撮影結果画面が表示される。一方、撮影が左右眼で各1回を超える場合、撮影結果ボタン310が押されると、マルチ表示で撮影結果画面が表示される。これにより、撮影回数に合わせて撮影結果の表示画面が変更されるため、検者は、撮影結果の確認が容易である。
なお、マルチモードでは、左右それぞれ所定の回数(例えば、10回)まで画像データがメモリ92に記憶される。撮影回数が上限を超えると、最も古いデータから順に削除される。なお、シングルモードでは、撮影回数は左右各1回であり、繰り返して撮影した場合、前回の画像データが消去される。
<統合表示>
図13Bの撮影結果画面において統合表示ボタン514が押されると、統合表示画面(図14参照)に移行される。統合表示画面には、統合画像表示領域610、解析結果表示領域630、拡大画像表示領域640が形成されている。統合表示画面には、左右眼のいずれかに関連する内皮画像及び解析結果が出力され、左右眼切換ボタン650によって出力データが切り換えられる。
<統合画像表示領域>
統合画像表示領域610には、角膜中心部での第1内皮画像610aが表示されている。角膜中心部とは異なる位置で撮影された複数の第2内皮画像610b〜610iが第1内皮画像610aを基準として配列されている。第2内皮画像610b〜610iは、例えば、角膜中心部の近傍領域における複数の位置にて撮影された第2内皮画像である。第1内皮画像610a、及び第2内皮画像610b〜610iは、例えば、図14に示すように、それぞれが離間されたレイアウトにてモニタ95上に表示される。これは、各内皮画像における細胞の状態を検者が把握しやするためである。なお、図15は、角膜中心部C、角膜中心部の近傍領域PAR、角膜周辺領域PERの角膜上の位置関係の一例を示す図であり、ハッチング部分が撮影領域に相当する。
第1内皮画像610a、第2内皮画像610b〜610iは、例えば、固視光学系における固視位置に対応してそれぞれ並べて表示される。例えば、第1内皮画像610aが中心に配列され、各第2内皮画像610b〜610iは、角膜中心部に対する固視位置に対応してそれぞれ配列される。例えば、固視灯71cによって取得された内皮画像610cの場合、可視光源71cは、中心固視灯として用いられる可視光源71aに対して上方に位置するため、第1内皮画像601aの上方に表示される。他の内皮画像についても、中心固視灯に対する固視灯の位置に応じて配列される。
第1内皮画像610a、第2内皮画像610b〜610iには、位置表示620a〜620iがそれぞれ付与されている。位置表示620a〜620iは、例えば、内皮画像が撮影されたときの固視位置を示すための表示である。位置表示620a〜620iは、図14のようなシンボル表示であってもよいし、アルファベット等の文字により固視位置を示すようにしてもよい。位置表示620a〜620iは、図14のように各内皮画像に重畳されていてもよいし、各内皮画像の近傍に表示されていてもよい。
統合画像表示領域610に表示される内皮画像は、角膜上の撮影位置に基づいて予め設定されている。すなわち、本実施例では、角膜中心部の位置と、角膜中心部の近傍において角膜中心部を中心とする円周上において所定角度(例えば、45°)毎に撮影された複数の位置とにおいて撮影された内皮画像が、統合画像表示領域610に出力されるように予め設定されている。なお、本実施形態では、固視光学系における固視位置に基づいて間接的に角膜上での撮影位置が特定される。なお、設定された撮影位置に対応する内皮画像が得られていない場合、その内皮画像の表示領域は、空白の状態で表示される。
<解析結果表示領域>
解析結果表示領域630には、モニタ95上に表示された内皮画像の解析結果が表示される。解析結果の内訳は、例えば、図14に示すように、細胞数NUM、内皮細胞密度CD、変動係数CV、六角形細胞出現率HEXである。もちろん上記に限定されるものではなく、角膜内皮解析に用いられるパラメータであってもよい。パラメータとしては、細胞数NUM、内皮細胞密度CD、平均内皮面積AVG、標準偏差SD、変動係数CV、最大面積MAX、最小面積MIN、六角形細胞出現率HEX、などが考えられる。
上記パラメータについて、細胞数NUMは、解析を行った内皮細胞の個数であり、内皮細胞密度CDは、単位面積当たりの内皮細胞の個数であり、平均内皮面積AVGは、解析を行った内皮細胞面積の平均面積であり、標準偏差SDは、解析を行った内皮細胞面積の標準偏差であり、変動係数CVは、標準偏差SDを平均内皮面積AVGで割った値であり、最大面積MAXは、解析を行った内皮細胞の最も大きな面積であり、最小面積MINは、解析を行った内皮細胞の最も小さな面積であり、六角形細胞出現率HEXは、解析を行った内皮細胞のうち、6角形細胞の特徴を有する細胞の割合を示す。
上記パラメータを求める場合、制御部90は、メモリ92に記憶された内皮画像を所定のアルゴリズムにて処理することによって求められる。例えば、制御部90は、内皮画像における輝度分布に基づいて画像処理により各内皮細胞を抽出し、抽出された内皮細胞の数、面積などにより上記パラメータを算出する。なお、内皮画像を処理してパラメータを求める手法については、周知の技術が採用できるため、詳しい説明を省略する。なお、上記パラメータの算出においては、画像処理の一部を検者のマニュアル操作によって補完するようにしてもよい。
解析結果表示領域630には、例えば、選択された内皮画像に対する解析結果630aと、モニタに表示された複数の内皮画像に対する解析結果630bと、が表示される。
解析結果630aには、モニタ95上に表示された複数の内皮画像の中から選択された内皮画像の解析結果が表示される。例えば、検者は、複数の内皮画像の中から少なくとも1つをタッチする。制御部90は、タッチ入力によって選択された内皮画像の解析結果をモニタ95上に表示する。また、制御部90は、選択された内皮画像の拡大画像640Zを拡大画像表示領域640に表示する。
これにより、検者は、検者が注目する内皮画像の拡大画像640Zとその解析結果を容易に確認できる。また、検者は、拡大画像及びその解析結果と、他の位置にて取得された内皮画像と、を比較できる。なお、選択された内皮画像の拡大画像640Zを表示する場合、統合表示画面のウインドウとは別のウィンドウにて拡大画像が表示されてもよい。
解析結果630bには、モニタ95上に表示された複数の内皮画像に関する統合解析の結果が表示される。統合解析の結果としては、例えば、図14に示すように、細胞数NUM、内皮細胞密度CD、変動係数CV、六角形細胞出現率HEXが考えられる。統合解析は、モニタ95に表示された少なくとも2つの内皮画像に基づく解析結果であればよく、例えば、図14に示すように、モニタ95上に表示された全ての内皮画像610a〜610i(拡大画像640Zは除く)に基づく解析結果が出力される。例えば、角膜中心部の近傍の内皮画像610b〜610iに基づく解析結果が出力されてもよい。また、角膜中心部の近傍の内皮画像610b〜610iにおいて、角膜中心部を境界として分類されてもよく、例えば、角膜中心部より上方の複数の内皮画像610c〜610eに基づく解析結果が出力されてもよい。
以下、モニタ95上に表示された全ての内皮画像610a〜610i(拡大画像640Zは除く)に基づく解析結果が出力される場合を例として説明する。
統合解析において、細胞数は、内皮画像610a〜610iにおいてそれぞれ解析された細胞数の結果を加算することによって求められる。また、内皮細胞密度CD、変動係数CV、六角形細胞出現率HEXにおける統合解析結果は、内皮画像610a〜610iでの解析結果の平均を求めることによって取得される。また、最大面積MAX、最小面積MINにおける統合解析結果は、内皮画像610a〜610iから該当する細胞(最大面積を持つ細胞、最小面積を持つ細胞)が特定され、特定された細胞の面積が表示される。なお、統合解析結果を得る場合、上記のように解析結果の数値から統合解析結果を求める手法に限定されず、制御部90は、複数の内皮画像をまとめて画像処理して各内皮細胞を抽出し、抽出された内皮細胞の数、面積などにより上記パラメータを算出するようにしてもよい。
上記のように複数の内皮画像における統合解析の結果が出力されることによって、細胞の検出数を多くできるため、角膜中心部及び近傍領域における解析の信頼度を向上させることができる。
すなわち、疾病眼(例えば、角膜内皮炎、液状角膜(グッタータ)、等)などのように内皮を観察し辛い眼に対して解析を行う場合、細胞の検出数が非常に少なくなる可能性がある。そこで、上記のように、各内皮画像の解析結果を統合することによって、疾病眼に対しても検出数を大幅に増やすことができ、解析の信頼度を向上できる。
なお、以上の説明においては、内皮画像610a〜610iが互いに離間したレイアウトを用いて説明したが、これに限定されない。例えば、制御部90は、実際の角膜上での撮影位置を考慮し、実際の撮影範囲が重複している部分については、内皮画像610a〜610iが重複して表示されるようなレイアウトであってもよい。また、内皮画像610a〜610iを統合表示する際のレイアウトを検者が任意に選択できるような構成であってもよい。
また、以上の説明においては、統合表示における内皮画像610a〜610iの表示位置について、固視灯の点灯位置に関連付けて、内皮画像610a〜610iを配列したが、これに限定されない。例えば、制御部90は、角膜中心部に対する角膜上の撮影位置に関連付けて内皮画像610a〜610iを配列するようにしてもよい。この場合、角膜中心部に対する方向に基づいて各内皮画像の表示位置が決定される。例えば、角膜中心部の上方にて取得された内皮画像は、内皮画像610aの上方に表示される。このような表示形式とすれば、検者は、角膜中心部に対する近傍内皮画像の位置関係を、内皮画像の配列位置によって直感的に把握できる。このため、検者は、疾患部位の特定とその位置関係を容易に把握できる。
また、以上の説明においては、内皮画像610a〜610iに付された位置表示620a〜620iは、固視位置を示す表示であったが、これに限定されず、取得された内皮画像の位置情報が確認できればよい。例えば、位置表示620a〜620iは、角膜上の撮影位置を示す表示であってもよく、例えば、図16のようなシンボル表示700が考えられる。図16のシンボル表示700は、被検眼の角膜を示す第1グラフィック画像710と、第1グラフィック画像において角膜上での撮影位置を示す第2グラフィック画像720と、からなる。このようなグラフィック表示によれば、検者は、内皮画像の撮影位置を容易に認識できる。もちろん、シンボル表示に限定されず、アルファベット等の文字により角膜上の撮影位置を示すようにしてもよい。
なお、以上の説明においては、統合画像表示領域610には、角膜中心部での内皮画像と、角膜中心部の近傍での内皮画像とが同時に表示されたが、これに限定されず、角膜上の異なる位置にて撮影された複数の内皮画像が同時に表示されたレイアウトであればよい。また、モニタ95上に表示された内皮画像に対応して、解析結果表示領域630の解析結果が出力される。
例えば、制御部90は、統合画像表示領域610において、角膜中心部の近傍での異なる位置にて撮影された複数の内皮画像を同時に表示するようにしてもよい。また、制御部90は、統合画像表示領域610において、角膜中心部での内皮画像と、角膜周辺の異なる位置にて撮影された複数の内皮画像とを同時に表示するようにしてもよい。また、制御部90は、角膜中心部での内皮画像と、角膜中心部の近傍での異なる位置にて撮影された複数の内皮画像と、角膜周辺での異なる位置にて撮影された複数の内皮画像と、を同時に表示するようにしてもよい。すなわち、統合画像表示領域610に表示される内皮画像について、角膜中心部での内皮画像、角膜中心部の近傍での内皮画像、角膜周辺での内皮画像において適宜組み合わせが可能である。
なお、角膜中心部及び角膜中心部近傍での複数の内皮画像と、角膜周辺で複数の内皮画像と、を同時に表示する場合、角膜中心部及び角膜中心部近傍での複数の内皮画像に基づく統合解析結果と、角膜周辺で複数の内皮画像に基づく統合解析の結果とがそれぞれ表示されてもよい。
本発明は、以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。