JP2015064439A - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Atsushi Uematsu
敦 植松
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Tomohito Taniguchi
智士 谷口
博志 黛
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博志 黛
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Yusuke Yagisawa
勇介 八木沢
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Abstract

【課題】周方向の電気抵抗ムラが小さく、且つ、多種多様な環境、特に、高温高湿環境放置後の抵抗ムラ、及び、それ起因の画像ムラを抑制した帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】導電性基体と、表面層とを有する帯電部材であって、該表面層は、明細書中に定義される式(1)及び式(2)にそれぞれ示すユニットをいずれも有する有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーと、バインダーとを含み、該導電性フィラーは、カーボンブラックおよび金属酸化物の少なくとも一方である帯電部材。それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真方式を採用した電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と称する)は、主に、電子写真感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及び定着装置で構成されている。帯電装置は、通常、電子写真感光体の表面に接触又は近接配置された帯電部材に電圧(直流電圧のみの電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加することによって電子写真感光体の表面を帯電する方式が採用されている。
帯電部材は、オゾンの発生を低減するという観点から、接触式の帯電方式が好んで用いられている。接触式の帯電方式の場合、ローラ形状の帯電部材(以下、「帯電ローラ」と称する)が好んで用いられている。
帯電ローラの電気抵抗は、電子写真感光体の帯電を良好なものとするため、通常、23℃、50%RH(相対湿度)環境中において、半導電領域内(1×102Ω以上1×1010Ω以下)であることが望まれる。このため、通常、帯電ローラ中にカーボンブラック及び導電性金属酸化物等の導電剤を含有させることで所望の電気抵抗を得ている。
しかしながら、導電剤(導電性粒子)自体の導電率が高いため、上記半導電領域において、導電剤のパーコレーションによる急激な低電気抵抗化が起こることがあり、帯電ローラ表面において電気抵抗のムラが発生し易い傾向があった。特に、帯電ローラの周方向の抵抗ムラが大きくなる傾向があり、それ起因の画像ムラが生じる場合があった。
特許文献1及び特許文献2には、カーボンブラック及び導電性金属酸化物等の導電剤を樹脂により被覆した樹脂コーティング導電剤を用いることで、導電剤の分散性を向上させ、電気抵抗のばらつきを抑制した帯電ローラが開示されている。
特許第3925021号公報 特開2003−223811号公報
本願発明者らは、上記樹脂コーティング導電剤を含有した帯電ローラが装着されたプロセスカートリッジを、包装によって密閉された状態で高温高湿(例えば40℃、95%RH)環境に放置し、その後、電子写真装置本体に装着して画像形成を行った。その結果、帯電部材表面の抵抗値が部分的に低下する場合があり、それによって電子写真画像に画像ムラが生じる場合があった。そして、この現象は、帯電部材に直流電圧のみを印加して帯電を行なう方式を採用した電子写真装置において特に顕著であった。
電子写真装置やそれに用いられるプロセスカートリッジは、それらが使用される多様な環境下であっても等しく優れた性能を発揮することが望まれている。
本発明の目的は、周方向の電気抵抗ムラが小さく、且つ、多種多様な環境、特に、高温高湿環境放置後の抵抗ムラ、及び、それ起因の画像ムラを抑制した帯電部材を提供することである。また、本発明の目的は、この帯電部材を使用したプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明は、導電性基体と、表面層とを有する帯電部材であって、該表面層は、下記式(1)および下記式(2)にそれぞれ示すユニットをいずれも有する有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーと、バインダーとを含み、該導電性フィラーは、カーボンブラックおよび金属酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする帯電部材である。
Figure 2015064439
(R1〜R4は、各々独立して水素原子、またはフッ素原子を表し、ただし、R1〜R4のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す)、
Figure 2015064439
(R5〜R7は、各々独立して水素原子、またはフッ素原子を表し、R8は、下記式(3)、下記式(4)、下記式(5)または下記式(6)に示す基を表し、ただし、R8が式(4)に示す基を表す場合、式(2)中のR8と結合する炭素原子は、式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、Q1及びQ2は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニル基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェノキシ基と、下記式(7)、下記式(8)、下記式(9)および下記式(10)にそれぞれ示す基と、炭素数1以上5以下のアルキル基と、炭素数1以上5以下のアルコキシル基と、ビニル基と、アリル基とからなる群から選ばれる基を表し、M1〜M4は、各々独立してケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表し、x1及びx2は、各々独立して0または1を表し、ただし、x1とx2との合計は1であり、y1及びy2は、各々独立して0または1を表し、ただし、y1とy2との合計は1であり、Lは、ケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子およびハフニウム原子から選ばれる金属原子と酸素原子との結合を含む連結基であり、*は、該カーボンブラック表面または該金属酸化物表面との結合部位を表す)、
Figure 2015064439
(a及びbは、各々独立して0または1を表し、Eは、酸素原子、硫黄原子、または下記式(5)に示す基を表し、
R9及びR10は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、下記式(4)および下記式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R9及びR10の少なくとも一方が式(4)に示す基を表す場合、式(3)中のEは、この式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い)、
Figure 2015064439
(c、d及びeは、各々独立して0または1を表し、R11及びR13は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、下記式(5)および下記式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表し、R12は、酸素原子、または下記式(5)に示す基を表す)、
Figure 2015064439
(f及びgは、各々独立して0以上3以下の整数を表し、ただし、fおよびgの少なくとも一方は、1以上の整数を表す)、
Figure 2015064439
(h及びiは、各々独立して0または1を表し、
L1及びL2は、各々独立して酸素原子または硫黄原子を表し、
R15、R19、R23およびR27は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、前記式(4)、前記式(5)および前記式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R15が式(4)に示す基を表す場合は、式(7)中のR15と結合する窒素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、R19が式(4)に示す基を表す場合は、式(8)中のR19と結合する炭素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、R23が式(4)に示す基を表す場合は、式(9)中のR23と結合する炭素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、R27が式(4)に示す基を表す場合は、式(10)中のR27と結合する炭素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、
R14、R16〜R18、R20〜R22、およびR24〜R26は、各々独立して、水素原子、または炭素数1以上5以下のアルキル基を表し、jは、3以上8以下の整数を表す)。
また、本発明は、上記帯電部材が少なくとも電子写真感光体と一体化され、電子写真装置に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジである。さらに、本発明は、少なくとも、このプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有することを特徴とする電子写真装置である。
本発明によれば、周方向の電気抵抗ムラが小さく、且つ、多種多様な環境、特に、高温高湿環境放置後の抵抗ムラ、及び、それ起因の画像ムラを抑制した帯電部材、この帯電部材を使用したプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供できる。
本発明の帯電ローラ(ローラ形状の帯電部材)の4つの例の断面図である。 本発明の帯電ローラの電気抵抗値測定に用いる機器を説明するための概略図である。 本発明の電子写真装置の一例の概略断面図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例の概略断面図である。
<帯電部材>
本発明の帯電部材は、少なくとも導電性基体と、この導電性基体上に設けられた表面層とを有するものである。この帯電部材は、被帯電体(例えば、電子写真感光体)を帯電するのに用いられる。
図1に、本発明の帯電ローラの4つの例の断面図(導電性基体の軸方向に対して垂直に切断した際の断面図)を示す。図1(a)は、導電性基体1と、その外周に設けられた表面層3とを有する帯電ローラである。図1(b)は、導電性基体1と表面層3との間に、弾性層2を有する帯電ローラである。図1(c)は、図1(b)の帯電ローラの弾性層2と表面層3との間に、さらに中間層21を有する帯電ローラである。図1(d)は、図1(b)の帯電ローラの弾性層2と表面層3との間に、第1の中間層21及び第2の中間層22を有する帯電ローラである。
このように、本発明の帯電部材は、導電性基体と表面層との間に他の層を有することができる。なお、帯電部材は、通常、電子写真感光体と接触して用いられるので、導電性基体と表面層との間に弾性層を有していることが好ましい。特に耐久性が要望される場合は、図1(b)、(c)及び(d)のように、弾性層2を設けて、導電性基体1上に2層以上の層を有することが好ましい。
また、導電性基体1とその外周面に形成される層(例えば、弾性層2や表面層3)との間や、導電性基体1上に順次積層される層の間(例えば、図1(b)に示す弾性層2と表面層3との間)は、接着剤を介して接着されていても良い。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。なお、接着剤に導電性を付与するための導電剤には、電子写真装置の分野で公知の導電剤を用いることができ、例えば、後に詳述する導電剤(カーボンブラック等)から適宜選択することができる。これらの導電剤は、単独で、また2種類以上組み合わせて用いることができる。
また、接着剤にはバインダーを含むことができ、このバインダーとしては、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系樹脂等の公知のものを用いることができる。
本発明の帯電部材は、電子写真装置に用いる帯電部材(電子写真装置用帯電部材)として使用することができる。また、本発明の帯電部材の形状は適宜選択することができ、例えば、ローラ形状やベルト形状とすることができる。以下、ローラ形状の帯電部材、すなわち帯電ローラに特に着目して説明する。
まず、本発明の帯電部材を構成する基体及び層について詳しく説明する。
[導電性基体]
本発明の帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる表面層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やそれらの合金を挙げることができる。また、導電性基体は、表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理等を施しても良い。さらに、導電性基体として、樹脂製の基材の表面を金属等で被覆して表面導電性を付与したものや、導電性樹脂組成物から製造されたものも使用可能である。なお、導電性基体の形状は、作製する帯電部材の形状に応じて選択することができ、例えば、中空円筒状や、中実円柱状、ベルト形状とすることができる。
[表面層]
本発明の帯電部材に用いられる表面層は、上記式(1)及び式(2)にそれぞれ示すユニット(構造)をいずれも有する有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーと、バインダーとを含む。この導電性フィラーは、カーボンブラックおよび金属酸化物のいずれか一方、または両方である。
なお、表面層は、上記有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーと、バインダーとからなることもでき、この他に後述する絶縁性微粒子を含むことができる。また、本発明の帯電部材では、上記バインダー及び有機無機複合ポリマーはそれぞれ架橋された状態で表面層に含まれることができる。
従来、式(1)のユニットを含有するフッ素樹脂を、カーボンブラック等の導電性フィラーに均一に被覆することは、フッ素樹脂と導電性フィラー表面とが結合を形成しない為、困難であった。そのため、上述したように、特許文献2に記載の帯電ローラが装着されたプロセスカートリッジを、高温高湿環境放置後、電子写真装置本体に装着して画像形成を行うと、電子写真画像に画像ムラが生じる場合があった。これは、プロセスカートリッジ内で帯電ローラ表面の水への暴露のされ方が異なるため、水の吸着に差が生じ、帯電ローラ表面に抵抗ムラが生じるためと推察される。
一方、本発明に用いる有機無機複合ポリマーは、前記式(1)に示す構造と、前記式(2)に示す構造とを有する。この式(2)に示す構造中の金属原子を含む無機構造部は、導電性フィラー(カーボンブラック及び金属酸化物の少なくとも一方)の表面官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基)を介して導電性フィラーと結合を形成する。このため、上記有機無機複合ポリマーを導電性フィラー表面に均一に被覆することが可能となり、前述した高温高湿環境に放置した際の帯電ローラ表面の抵抗ムラ、及び、それ起因の画像ムラを抑制することができる。
また、導電性フィラーが、式(1)及び式(2)中のフッ素原子を有する有機構造部により被覆されることで、導電剤の分散性が向上し、帯電ローラの周方向における抵抗ムラを抑制することができる。加えて、式(2)中の無機構造部が適度な導電性を持つため、一般の樹脂で被覆した場合と比較し、高抵抗化し難く、所望の電気抵抗値の帯電部材を得ることができる。
(バインダー)
本発明の帯電部材に用いられる表面層バインダーとしては、電子写真装置の分野で公知の樹脂及びエラストマーから適宜選択して用いることができる。
樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)、オレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。
また、エラストマーとしては、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーが挙げられる。
合成ゴムとしては、例えば、天然ゴム(加硫処理をされていても良い)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
これらの材料は、単独または二種類以上を混合してもよく、共重合体であってもよい。帯電部材の表面層は、被帯電体である電子写真感光体と接触するため、表面層には、電子写真感光体を汚染しない材料を用いることが好ましく、表面離型性のよいものが好ましい。従って、表面層材料(バインダー)としては、樹脂を用いるのが好ましい。
なお、表面層中のバインダーの含有量は、成膜性の観点から5質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。
(有機無機複合ポリマーに被覆された導電性フィラー)
本発明では、カーボンブラック及び金属酸化物から選ばれる導電性フィラーの表面を、有機無機複合ポリマーで被覆し、表面層中に含有させる。このポリマー被覆された導電性フィラーは、バインダー中に分散された状態で表面層に含まれることができる。
表面層中のこのポリマー被覆された導電性フィラーの含有量は、導電性の観点から20質量%以上80質量%以下とすることが好ましい。
また、このポリマー被覆された導電性フィラーの体積抵抗率は、導電性の観点から1.0×102Ω・cm以上9.9×1010Ω・cm以下とすることが好ましい。
・導電性フィラー(導電性微粒子)
本発明において、有機無機複合ポリマーにより被覆される導電性フィラーは、導電性の観点から、1×1010Ω・cm未満の体積抵抗率を有することが好ましい。かかる導電性フィラーとしては、カーボンブラックや金属酸化物系の導電性粒子が挙げられる。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
金属酸化物系導電性微粒子としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄等が挙げられる。これらの金属酸化物は単独で所望の導電性を示すものもあるがそうでないものも存在する。金属酸化物微粒子の導電性を所望なものとするため、即ち、金属酸化物微粒子の体積抵抗率を1×1010Ω・cm未満にするため、これらの金属酸化物微粒子に、ドーパントを添加しても良い。
一般的に金属酸化物微粒子は格子欠陥の存在により余剰電子が生成し、導電性を示すと考えられ、ドーパント添加によって格子欠陥の形成が促進され、所望の導電性を容易に得ることができる。例えば、酸化亜鉛のドーパントとしてはアルミニウム、酸化錫のドーパントとしてはアンチモン、酸化インジウムのドーパントとしては錫などが使用される。また、酸化チタンに所望の導電性を付与したものとしては、例えば、酸化チタンに導電性酸化錫を被覆したものなどを挙げることができる。
これらの導電性フィラーは、一種類または、二種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの導電性フィラーと、金属系導電性微粒子、及びカーボン系導電性微粒子等の導電性フィラーを併用することもできる。これらの微粒子も本発明に用いる有機無機複合ポリマーで被覆させた状態で、表面層中に含有されることが望ましい。
金属系導電性微粒子としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛等の微粒子が挙げられる。カーボン系導電性微粒子としては、グラファイト、カーボンファイバー、活性炭、木炭等を挙げることができる。
なお、この中でも、有機無機複合ポリマーにより被覆する導電性フィラーとしては、被覆後の導電性の点から、特にカーボンブラックを用いることが好ましい。
また、導電性フィラー(導電性微粒子)の体積平均粒径は、好ましくは0.001μm以上2μm以下、より好ましくは、0.005μm以上0.5μm以下である。この範囲内の導電性微粒子を用いることによって、所望の抵抗値を有し、且つ、抵抗ムラの少ない被覆層(表面層)を容易に得ることができる。尚、この体積平均粒径は、後に記載する有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーの粒子径測定方法を用いて測定することができる。
・有機無機複合ポリマー
本発明に係る有機無機複合ポリマーは、以下の式(1)及び式(2)にそれぞれ示すユニットをいずれも有し、式(2)中の無機構造部を介して、式(1)及び式(2)中の有機構造部が、導電性フィラーの表面、より具体的には、導電性フィラーの表面官能基と結合している。
Figure 2015064439
式(1)における、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して水素原子、またはフッ素原子を表し、ただし、R1〜R4のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す。なお、R1〜R4において、フッ素原子数は多ければ多い程、導電性フィラーへの水分子の吸着抑制効果が高くなり、好ましい。このため、R1〜R4は、いずれもフッ素原子であることが特に好ましい。
Figure 2015064439
式(2)における、M1、M2、M3及びM4は、各々独立してケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子を表す。この中でも、ケイ素は、前記有機無機複合ポリマーを作製する際、反応を制御するうえで非常に有用であるため、M1〜M4のうちの少なくとも1つはケイ素であることが好ましく、M1〜M4全てがケイ素であることが特に好ましい。
1及びx2は、各々独立して0または1を表し、ただし、x1とx2との合計は1である。また、y1及びy2は、各々独立して0または1を表し、ただし、y1とy2との合計は1である。
なお、(M1−O2/2)は、1個の酸素原子を2つのM1によって共有してなる構造を表す。
また、(Q1−M2−O1/2)は、(Q1−M2−O−M2−Q1)とも記載することができる。また、(M3−O2/2)及び(Q2−M4−O1/2)も同様である。このように、導電性フィラーは、架橋された有機無機複合ポリマーによって被覆されることができる。
なお、導電性フィラーを被覆する有機無機複合ポリマー全体におけるx1とx2の比率(x1/x2)は0.8以上、1.2以下とすることが好ましい。また、導電性フィラーを被覆する有機無機複合ポリマー全体におけるy1とy2の比率(y1/y2)は、0.8以上1.2以下とすることが好ましい。
Lは、ケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子およびハフニウム原子から選ばれる金属原子と酸素原子との結合を含む連結基である。この金属原子がケイ素原子の場合、Lは、少なくともケイ素原子と酸素原子との結合(−Si−O−)を含めば良く、例えば、シロキサン結合(Si−O−Si)が連なった構造(シロキサン構造)であることができる。このシロキサン構造中のケイ素原子数は適宜設定することができる。上記金属原子がケイ素原子以外の金属種の場合、Lは、例えば、上記シロキサン結合中のケイ素原子をチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子に置換した構造であることができる。また、L中の金属原子は、後述するQ1及びQ2等の基と結合していても良く、L中に、(M1−O2/2)、(Q1−M2−O1/2)、(M3−O2/2)及び(Q2−M4−O1/2)等の構造を含むこともできる。
*は、導電性フィラー表面(カーボンブラック表面または金属酸化物表面)との結合部位を表す。より具体的には、導電性フィラーが有する表面官能基が例えば水酸基の場合、導電性フィラー表面の炭素または金属元素と、式(2)中の*部分とが、酸素原子を介して結合することになる。
R5、R6及びR7は、各々独立して水素原子、またはフッ素原子を表す。なお、R5〜R7においても、フッ素原子数が多い程、導電性フィラーへの水分子の吸着抑制効果が高くなり、好ましい。このため、R5〜R7はいずれもフッ素原子であることが特に好ましい。
R8は、下記式(3)、式(4)、式(5)及び式(6)にそれぞれ示す基のいずれかを表す。ただし、R8が式(4)に示す基を表す場合、式(2)中のR8と結合する炭素原子は、この式(4)に示す基のいずれの末端(例えば、R11やR13)と結合しても良い。また、R8が式(3)、式(5)または式(6)に示す基を表す場合、式(2)中のR8と結合する炭素原子は、当然ながらこれらの式に示す基のいずれの末端とも結合することができる。
Figure 2015064439
式(3)において、a及びbは、各々独立して0または1を表す。Eは、酸素原子、硫黄原子、または式(5)に示す基を表す。R9、及びR10は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、式(4)および式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表す。ただし、R9及びR10の少なくとも一方が式(4)に示す基を表す場合、式(3)中のEは、この式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い。
なお、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基とは、側鎖にメチル基またはエチル基が導入されていてもよい、主鎖の炭素数が1以上10以下のアルキレン基を意味する。
Figure 2015064439
式(4)において、c、d及びeは、各々独立して0または1を表す。R11及びR13は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、式(5)および式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表す。R12は、酸素原子、または、式(5)に示す基を表す。
Figure 2015064439
式(6)において、f及びgは、各々独立して0以上3以下の整数を表し、ただし、fおよびgの少なくとも一方は、1以上の整数を表す。
式(2)中のQ1及びQ2は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニル基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェノキシ基と、下記式(7)、式(8)、式(9)および式(10)にそれぞれ示す基と、炭素数1以上5以下のアルキル基と、炭素数1以上5以下のアルコキシル基と、ビニル基と、アリル基とからなる群から選ばれる基を表す。
Figure 2015064439
式(7)、式(8)、式(9)及び式(10)において、h及びiは、各々独立して0または1を表す。また、L1及びL2は、各々独立して酸素原子または硫黄原子を表す。R15、R19、R23及びR27は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、前記式(4)、前記式(5)および前記式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表す。ただし、R15が式(4)に示す基を表す場合は、式(7)中のR15と結合する窒素原子が、この式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い。また、R19が式(4)に示す基を表す場合は、式(8)中のR19と結合する炭素原子が、この式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い。また、R23が式(4)に示す基を表す場合は、式(9)中のR23と結合する炭素原子が、この式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い。さらに、R27が式(4)に示す基を表す場合は、式(10)中のR27と結合する炭素原子が、この式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い。
R14、R16〜R18、R20〜R22、およびR24〜R26は、各々独立して、水素原子、または炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。jは、3以上8以下の整数を表す。
(有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーの作製方法)
前記有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーの作製方法の一例を下記に示す。下記工程1から工程3を経ることで、ポリマー被覆された導電性フィラーを得ることができる。
工程1:
アミノ基、ビニル基、またはエポキシ基を含有するカップリング剤と、式(1)に示すユニットを有するフッ素樹脂とを反応させる工程。
工程2:
工程1より得られたポリマーと、中心金属が、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択される金属アルコキシドとを混合及び攪拌により反応させ、式(1)及び式(2)のユニットを有する有機無機複合ポリマーを含む溶液(複合ポリマー溶液)を作製する工程。
工程3:
工程2にて作製した上記複合ポリマー溶液によって、金属酸化物及びカーボンブラックから選ばれる導電性フィラーを被覆処理する工程。
なお、工程1及び2の反応は、溶媒(例えば、後述する溶剤)中で行うことができる。なお、式(2)に示すユニットにおける、R8からM1に至る構造部分は、反応が室温にて進行することから、アミノ基を含有するカップリング剤を用いて形成することが好ましい。また、反応性の点から、アルコキシシラン(シランカップリング剤)を用いて形成することが好ましい。
このため、以下、シランカップリング剤に着目した説明を行う。しかしながら、本発明では、シランカップリング剤の代わりに、または併用して、中心金属がケイ素以外の他の元素(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)のカップリング剤(例えばチタンカップリング剤)を用いることができる。また、工程1の前に、予め金属アルコキシド(例えば、後述する式(13)に示す金属アルコキシド)に、アミノ基、ビニル基、またはエポキシ基を導入し、これらの基を有するカップリング剤を得る工程を行うこともできる。
・工程1について
工程1に用いるフッ素樹脂は、式(1)に示すユニットを有していれば、電子写真装置の分野で公知のフッ素樹脂が使用可能である。具体的には、ポリフッ化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を用いることができる。
この中でも、溶剤への溶解性の点から、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いるのが好ましい。このポリフッ化ビニリデン系樹脂は、例えば、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等により得られるフッ化ビニリデンホモポリマーであっても良いし、不飽和二重結合を有しかつフッ化ビニリデンと共重合可能な他の単量体とフッ化ビニリデンとの共重合体(以下、「フッ化ビニリデン系共重合体」と称する)であっても良い。同様に、ポリフッ化ビニル系樹脂やポリテトラフルオロエチレン系樹脂は、フッ化ビニルやテトラフルオロエチレンの単独重合体であっても良いし、フッ化ビニルやテトラフルオロエチレンと、他の単量体との共重合体であっても良い。
フッ化ビニリデンと共重合可能な他の単量体としては、例えば、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系単量体、及び、エチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸等の非フッ素系単量体が挙げられる。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、溶剤への溶解性及びカップリング剤(特にシランカップリング剤)との反応性の点から、体積平均粒径が1000μm以下の粒子状のものを用いるのが好ましい。より好ましくは、50μm以上350μm以下である。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。また、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランを併用することもできる。
ビニル基含有シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が例示できる。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示できる。
上記アミノ基、ビニル基またはエポキシ基含有シランカップリング剤は、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂)100質量部に対し、2質量部以上15質量部以下で使用することが好ましい。より好ましくは、5質量部以上10質量部以下である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いても良く、2種を併用しても良い。
工程1の反応は、使用するポリフッ化ビニリデン系樹脂が可溶な溶剤を用いて行うことができる。例えば、フッ化ビニリデンホモポリマーが可溶な溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が例示できる。フッ化ビニリデン系共重合体が可溶な溶剤としては、エステル系やケトン系有機溶剤あるいはそれらを含む混合有機溶剤が用いられ、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチエウ、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸第2ブチル、酢酸アミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸ブチル、炭酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、燐酸トリエチル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブリルケトン、ジメチルオキシド、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等が例示できる。これらを一種類、または二種以上組み合わせて用いることができる。
例えば、式(1)のユニットを有するポリフッ化ビニリデン系樹脂と、アミノ基含有シランカップリング剤とを反応させる場合は、室温にて反応が進行する。このため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を上記溶剤に溶解させた後、アミノ基含有シランカップリング剤を添加し、室温にて攪拌することで、例えば、式(1)及び下記式(11)のユニットを有するポリマーを得ることが可能である。また、必要に応じて加熱を行ってもよい。
Figure 2015064439
R27、R28及びR29は、各々独立して水素原子、またはフッ素原子を表す。R30は、下記式(12)に示す基を表す。M5は、ケイ素原子を表す。
Figure 2015064439
k及びlは、各々独立して0または1を表す。R31及びR32は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換してもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換してもよいフェニレン基と、式(4)および式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表す。ただし、R31及びR32の少なくとも一方が式(4)に示す基を表す場合、式(12)中の窒素原子は、式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い。
・工程2について
工程2では、例えば、下記式(13)に示す金属アルコキシドを使用することができる。
Figure 2015064439
R33は、メチル基もしくはエチル基で置換されていてもよいフェニル基と、前記式(7)〜(10)にそれぞれ示す基と、炭素数1以上5以下のアルキル基と、ビニル基と、アリル基とからなる群から選ばれる基を表す。
R34は、水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、メチル基もしくはエチル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。なお、この炭素数1以上6以下のアルキル基は、水酸基、メチル基、またはエチル基で置換されていてもよく、置換基の位置は特に限定されない。
M6は、ケイ素、チタン、ジルコニウム、または、ハフニウムを示す。mは、0または1を表す。前記M6が、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる金属元素である金属アルコキシドは、一般的に、それぞれアルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム、及び、アルコキシハフニウムと称される。
アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及び、ジアルコキシシランが例示できる。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が例示できる。トリアルコキシシランとしては、例えば以下のものが挙げられる。メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及び、フェニルトリエトキシシラン等。ジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、及び、ジエチルジエトキシシラン等が例示できる。
アルコキシチタンとしては、例えば以下のものが挙げられる。テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ(n−プロポキシ)チタン、テトラ(i−プロポキシ)チタン、テトラ(n−ブトキシ)チタン、テトラ(t−ブトキシ)チタン、テトラペントキシチタン、テトラヘキソキシチタン、テトラキス(2−メチルヘキソキシチタン)、ジプロポキシビス(トリメタノールアミナト)チタン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン等。
アルコキシジルコニウムとしては、例えば以下のものが挙げられる。テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム、テトラ−2−エチルヘキサノアートジルコニウム、及び、テトラ−2−メチル−2−ブトキシジルコニウム等。
アルコシキハフニウムとしては、例えば以下のものが挙げられる。テトラエトキシハフニウム、テトラ−i−プロポキシハフニウム、テトラ−n−ブトキシハフニウム、テトラ−t−ブトキシハフニウム、2−エチルヘキソキシハフニウム、2−メトキシメチル−2−プロポキシハフニウム等。
なお、これらの金属アルコキシドは、一種類または、二種以上組み合わせて用いることができる。また、例えば、上記式(13)に示す金属アルコキシドと、式(13)中のmが2である金属アルコキシドとを併用することもできる。
反応させる金属アルコキシドの量は、工程1で用いるフッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂)100質量部に対し、2質量部以上20質量部以下が好ましい。より好ましくは、5質量部以上10質量部以下である。金属アルコキシドの量が2〜20質量部であれば、有機無機複合ポリマー内の無機構造部の凝集を容易に制御することができる。
工程2では、下記の金属アルコキシドを溶解可能な溶剤を用いることができ、さらに工程1に使用した溶剤と、この金属アルコキシドを溶解可能な溶剤とを併用することができる。金属アルコキシドを溶解可能な溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等が例示できる。
工程2では、シランカップリング剤が加水分解することで生じるOH構造部と、金属アルコキシドが加水分解することで生じるOH構造部との脱水重縮合反応が起こる。なお、金属アルコキシドとして、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム、及びアルコキシハフニウムのいずれかを用いる場合は、可能な限り無水状態で加熱還流させて反応を行うことが好ましい。これにより、金属アルコキシドの加水分解が非常に多く起こることを容易に抑制することができ、後述する工程3において導電性フィラーの表面官能基との十分な反応を容易に起こすことが可能となる。工程2での反応温度は、室温(23℃)〜150℃が好ましい。反応時間は、6〜48時間が好ましい。
以上より、有機無機複合ポリマーを得ることができる。なお、工程1と工程2は同時に行うことも可能であるが、構造制御の点から別々に行うことが好ましい。
より具体的には、上記工程1において、ポリフッ化ビニリデン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランとの間では、ポリフッ化ビニリデンのフッ素原子とアミノ基の水素原子との脱フッ化水素を伴う付加反応が生じ、下記式(14)で示される構造を有するフッ化ビニリデンが得られる。
Figure 2015064439
次いで、このポリフッ化ビニリデンとテトラエトキシシランとを反応させることにより、ポリシロキサン構造が導入された、ポリシロキサン変性フッ化ビニリデンが得られる。
・工程3について
有機無機複合ポリマーによる導電性フィラーの被覆は、例えば、以下の方法を用いて行うことができる。上記複合ポリマー溶液中に導電性フィラーを分散させ、ゾルゲル反応後、ろ過、乾燥することで被覆する方法;上記複合ポリマー溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液をスプレードライ法等により、導電性フィラーに噴霧、乾燥する方法等により行うことができる。
この工程によって、ポリシロキサン変性ポリフッ化ビニリデンと導電性フィラーの表面の水酸基とが加水分解・縮合反応を生じ、表面にポリシロキサン変性ポリフッ化ビニリデンが導入された導電性フィラーを得ることができる。
なお、工程3に用いる複合ポリマー溶液は、工程2より得られる複合ポリマー溶液の溶媒を一旦除去した後、有機無機複合ポリマーが溶解可能な別の溶剤へ溶解させたものを用いてもよい。
なお、複合ポリマー溶液中で、即ち前者の方法で被覆する場合、前述の導電性フィラーを複合ポリマー溶液中に分散した後、得られた分散液を室温にて6〜24時間攪拌することで、導電性フィラーの表面官能基と複合ポリマー溶液中のOH構造部が脱水重縮合することで、均一に被覆することができる。反応を促進させるため、必要に応じて水、塩酸、NH4Cl等を添加してもよく、加熱処理を行ってもよい。攪拌後、遠心分離により、導電性フィラーを沈殿させ、沈殿物をエタノール等で洗浄した後、真空乾燥機により乾燥させることで、有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーを得ることができる。
上記分散液をスプレードライにより噴霧する、即ち後者の方法の場合、複合ポリマー溶液に導電性フィラーを分散させ、分散液をスプレーにて噴霧する。噴霧は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、または減圧下で乾燥容器内に噴霧する方法が好ましい。スプレーのノズル径は、通常、100μm以下のものが用いられる。乾燥容器内の温度は、複合ポリマー溶液に用いている溶媒の沸点より十分に高い温度に設定するため、複合ポリマー溶液に用いる溶媒は沸点が低いものが好ましい。
導電性フィラーに対する複合ポリマー溶液の量は、複合ポリマーにより均一に被覆処理を行う観点から、その固形分が導電性フィラー100質量部に対して、5質量以上20質量部以下であることが好ましい。
なお、これらの方法を用いて得られた、有機無機複合ポリマーに被覆された導電性フィラーは、粉砕機により凝集粒子を解砕し、所望の粒径とすることができる。粉砕機としては、コーヒーミル、ハンマーミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル、バイブレーションミル、ジェットミルなどを用いることができる。
ポリマー被覆された導電性フィラーの体積平均粒径は、導電性の観点から0.01μm以上2μm以下が好ましく、より好ましくは、0.1μm以上0.5μm以下である。
(絶縁性微粒子)
本発明に用いる表面層は、電子写真分野で公知の絶縁性粒子を含有してもよい。
絶縁性粒子としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、珪藻土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、中空ガラス球、有機金属化合物及び有機金属塩等の粒子を挙げることができる。
また、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の酸化鉄類や活性炭等も使用することができる。更には、高分子化合物からなる粒子が挙げられる。この高分子化合物としては、例えば、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、これらの共重合体や変性物、誘導体等の樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
なお、絶縁性微粒子の体積平均粒径は、5μm以上40μm以下とすることが好ましい。また、表面層中の絶縁性微粒子の含有量は、5質量%以上80質量%以下とすることが好ましい。
[弾性層]
本発明の帯電部材は、上述したように、導電性基体と表面層との間に、弾性層を形成することができる。この弾性層は、以下のバインダーを用いて形成することができ、必要に応じてバインダーの他に導電性フィラーやイオン導電剤を用いることができる。
弾性層に使用するバインダーは、電子写真装置の分野でバインダーとして用いられる公知のゴムや樹脂を使用することができる。この中でも、帯電部材と電子写真感光体との間で十分なニップを確保するという観点から、比較的低い弾性を有することが好ましく、ゴムを使用することがより好ましい。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したものや、合成ゴムを挙げることができる。
合成ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴムが使用できる。
弾性層の体積抵抗率は、温度23℃、湿度50%RHの環境下で、1.0×102Ωcm以上、9.9×1010Ωcm以下であることが好ましい。
弾性層の体積抵抗率は、バインダー中に、導電性フィラーやイオン導電剤を適宜添加することで調整できる。なお、導電性フィラーとしては、表面層に用いることができる上述の導電性フィラーを同様に使用することができる。
イオン導電剤としては、例えば、以下のものを使用することができる。過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質。ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート等の陽イオン性界面活性剤。ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ジメチルアルキルラウリルベタイン等の両性イオン界面活性剤。過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩、及び、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩。これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。なお、バインダーとして極性ゴムを用いた場合は、導電性の観点から、特に、アンモニウム塩を用いることが好ましい。
また、弾性層には、これらの他に硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤や、上述の絶縁性粒子を含有させてもよい。上述したように、弾性層と導電性基体との間や、弾性層と導電性樹脂層(例えば、表面層や中間層)との間は、接着剤を用いて接着させることもできる。接着剤としては、導電性のものを用いることが好ましい。
また、上述した第1及び第2の中間層は、上述した弾性層を形成するための材料から適宜選択した材料を用いて形成することができる。即ち、本発明の帯電部材は、導電性基体と、表面層との間に、上記弾性層を1層または2層以上設けることができる。
(表面層の形成方法)
表面層は、例えば、以下の方法を用いて導電性基体上(弾性層等の他の層を有する場合は、この他の層上)に形成することができる。表面層バインダー溶液を用いた静電スプレー塗布やディッピング塗布等の塗布法;予め所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の表面層を導電性基体上に接着または被覆する方法;型の中に、導電性基体及び表面層形成用材料等を入れて、所定の形状に材料を硬化して成形する方法。この中でも、生産性の観点から、塗布法によって塗布液(表面層バインダー溶液)を塗工し、塗膜を形成する方法が好ましい。
なお、表面層バインダー溶液は、表面層形成用材料(バインダー、有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラー、及び必要に応じて絶縁性微粒子等)と、以下の希釈溶剤とからなることができる。
希釈溶剤としては、表面層形成用材料(特にバインダー)を均一に希釈できる溶剤であればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物を挙げることができる。
表面層を形成するための塗布液中に、前述した有機無機複合ポリマーにより被覆処理された導電性フィラーを分散させる際には、電子写真装置の分野で公知の分散手段を用いることができる。この分散手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルを挙げることができる。
(帯電部材の物性及び形状)
本発明の帯電ローラの電気抵抗は、電子写真感光体の帯電を良好なものとする観点から、23℃、50%RH環境中において、1×102Ω以上1×1010Ω以下であることが好ましい。
図2を用いて、帯電部材(帯電ローラ)5の電気抵抗値の測定法の一例を説明する。まず、導電性基体1の両端を、荷重のかかった軸受け33により、電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属32に対して平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属32を回転させて、当接した帯電ローラ5を従動回転させながら安定化電源34から帯電ローラ5に直流電圧−200Vを印加し、このときに流れる電流を電流計(A)31で測定し、帯電ローラ5の電気抵抗値を計算する。この際、後述する実施例では、導電性基体1の端にかかる荷重は、各端につき4.9Nとし、円柱形金属32の直径は30mm、回転速度は周速45mm/secとした。
本発明の帯電ローラは、電子写真感光体に対して、長手のニップ幅を均一にするという観点から、長手方向中央部の外径が一番太く、長手方向両端部の方向に沿って外径が細くなる形状、いわゆるクラウン形状が好ましい。クラウン量は、中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差が、30μm以上200μm以下であることが好ましい。
本発明の帯電部材は、表面の十点平均粗さRzjis(μm)が3μm以上30μm以下であることが好ましく、表面の凹凸平均間隔Sm(μm)が15μm以上150μm以下であることが好ましい。帯電部材の表面の十点平均粗さRzjis、及び凹凸平均間隔Smをこの範囲とすることにより、帯電部材と電子写真感光体との接触状態をより安定にすることができる。これにより、帯電部材は電子写真感光体を均一に帯電することが容易になる。
帯電部材の表面の十点平均粗さRzjis及び表面の凹凸平均間隔Smの測定法は、以下の測定法によって特定することができる。
具体的には、JIS B0601−2001による表面粗さの規格に準じて、表面粗さ測定器「SE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて測定を行う。十点平均粗さRzjisは、帯電部材を無作為に6箇所測定した値の平均値である。また、凹凸平均間隔Smは、以下のように特定できる。まず、帯電部材の測定箇所を無作為に6箇所選び、各測定箇所において10点の凹凸の間隔を測定し、その10点の測定値から各測定箇所における平均値を算出する。その後、この平均値から全測定箇所(6箇所)における平均値を算出し、Smとする。
帯電部材表面の硬度は、マイクロ硬度(MD−1型)で90°以下が好ましく、より好ましくは、40°以上80°以下である。90°以下とすることにより、電子写真感光体との当接を容易に安定化させることができ、より安定した帯電を行うことができる。
なお、「マイクロ硬度(MD−1型)」とは、アスカー マイクロゴム硬度計MD−1型(商品名、高分子計器株式会社製)を用いて測定した帯電部材の硬度である。具体的には、常温常湿(温度23℃、湿度55%RH)の環境中に12時間以上放置した帯電部材に対して、この硬度計を10Nのピークホールドモードで測定した値である。
<電子写真装置>
本発明の帯電部材を備える電子写真装置の一例の概略構成を図3に示す。
この電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、電子写真感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。
電子写真感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、電子写真感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ5を有する。帯電ローラ5は、電子写真感光体の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源13から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体を所定の電位に帯電する。
電子写真感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置(不図示)は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体に、例えばレーザー光11を用いて画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体4に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ6を有する。電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像を現像してトナー像を形成する。
転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。電子写真感光体からトナー像を普通紙などの転写材7(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器14を有し、転写した後、電子写真感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。
ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
定着装置9は、加熱されたロール等で構成され、転写されたトナー像を転写材7に定着し、機外に排出する。
<プロセスカートリッジ>
電子写真装置には、少なくとも電子写真感光体と、帯電部材を有する帯電装置とを一体化し、電子写真装置に着脱可能に設計されたプロセスカートリッジを用いることもできる。
すなわち、本発明のプロセスカートリッジは、帯電部材が少なくとも被帯電体と一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジであり、この帯電部材として、上述した本発明の帯電部材を用いる。本発明の帯電部材を備えるプロセスカートリッジの一例の概略構成を図4に示す。このように、プロセスカートリッジは、現像装置やクリーニング装置等を含むこともできる。
また、本発明の電子写真装置は、少なくとも、プロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有し、このプロセスカートリッジとして本発明のプロセスカートリッジを用いる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>[フッ化ビニリデン−エチレン共重合体の作製]
攪拌器を備えた1Lステンレス製重合器に1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン1270質量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート1.2質量部を入れた。そして、重合器内の脱気及び窒素置換を3回繰り返した後、重合器内にフッ化ビニリデン100質量部及びエチレン43.8質量部を添加した。攪拌しながら徐々に昇温し、40℃に達した後、21時間の重合を行った。
次いで、重合器を開放し、得られた重合体スラリーを濾過し、固形分をメタノールで洗浄し、50℃で真空乾燥することで、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体を得た。重合体のジメチルホルムアミド溶液の19F−NMR測定により求められた重合体中のフッ化ビニリデン/エチレンの単量体比(モル比)は50/50であった。
<製造例2>[フッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体の作製]
製造例1において、エチレン43.8質量部をフッ化ビニル71.9質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、フッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体を得た。重合体のジメチルホルムアミド溶液の19F−NMR測定により求められた重合体中のフッ化ビニリデン/フッ化ビニルの単量体比(モル比)は50/50であった。
<製造例3>[フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体の作製]
製造例1において、エチレン43.8質量部をトリフルオロエチレン128.1質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体を得た。重合体のジメチルホルムアミド溶液の19F−NMR測定により求められた重合体中のフッ化ビニリデン/トリフルオロエチレンの単量体比(モル比)は50/50であった。
<製造例4>[フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体の作製]
製造例1において、エチレン43.8質量部をテトラフルオロエチレン156.3質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体を得た。重合体のジメチルホルムアミド溶液の19F−NMR測定により求められた重合体中のフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンの単量体比(モル比)は50/50であった。
<製造例5>[複合ポリマー溶液1の作製]
懸濁重合により得られたポリフッ化ビニリデンホモポリマー(商品名:KF1000、呉羽化学製)100質量部を、N−メチル−2−ピロドリン900質量部に均一に溶解させ、溶液を調製した。この溶液中に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、室温にて攪拌することで、変性ポリフッ化ビニリデン樹脂を得た。続いて、テトラエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、加熱還流することで、複合ポリマー溶液1を得た。
<製造例6>[複合ポリマー溶液2の作製]
製造例5において、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を1質量部、テトラエトキシシランの配合量を9質量部に変更した以外は、製造例5と同様にして複合ポリマー溶液2を得た。
<製造例7>[複合ポリマー溶液3の作製]
製造例5において、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を2質量部、テトラエトキシシランの配合量を2質量部に変更した以外は、製造例5と同様にして複合ポリマー溶液3を得た。
<製造例8>[複合ポリマー溶液4の作製]
製造例5において、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を10質量部、テトラエトキシシランの配合量を20質量部に変更した以外は、製造例5と同様にして複合ポリマー溶液4を得た。
<製造例9>[複合ポリマー溶液5の作製]
製造例1にて作製したフッ化ビニリデン−エチレン共重合体100質量部をメチルイソブチルケトン900質量部に溶解させ、溶液を調製した。この溶液にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、室温にて攪拌することで、変性フッ化ビニリデン−エチレン共重合体を得た。続いて、この反応液中にテトラエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、加熱還流することで、複合ポリマー溶液5を得た。
<製造例10>[複合ポリマー溶液6の作製]
製造例9にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を2質量部、テトラエトキシシランの配合量を2質量部に変更した以外は、製造例9と同様にして複合ポリマー溶液6を得た。
<製造例11>[複合ポリマー溶液7の作製]
製造例9にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を10質量部、テトラエトキシシランの配合量を20質量部に変更した以外は、製造例9と同様にして複合ポリマー溶液7を得た。
<製造例12>[複合ポリマー溶液8の作製]
製造例2にて作製したフッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体100質量部をメチルイソブチルケトン900質量部に溶解させ、溶液を調製した。この溶液にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、室温にて攪拌することで、変性フッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体を得た。続いて、この反応液中にテトラエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、加熱還流することで、複合ポリマー溶液8を得た。
<製造例13>[複合ポリマー溶液9の作製]
製造例12にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を2質量部、テトラエトキシシランの配合量を2質量部に変更した以外は、製造例12と同様にして複合ポリマー溶液9を得た。
<製造例14>[複合ポリマー溶液10の作製]
製造例12にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を10質量部、テトラエトキシシランの配合量を20質量部に変更した以外は、製造例12と同様にして複合ポリマー溶液10を得た。
<製造例15>[複合ポリマー溶液11の作製]
製造例3にて作製したフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体100質量部をメチルイソブチルケトン900質量部に溶解させ、溶液を調製した。この溶液にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、室温にて攪拌することで、変性フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体を得た。続いて、この反応液中にテトラエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、加熱還流することで、複合ポリマー溶液11を得た。
<製造例16>[複合ポリマー溶液12の作製]
製造例15にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を2質量部、テトラエトキシシランの配合量を2質量部に変更した以外は、製造例15と同様にして複合ポリマー溶液12を得た。
<製造例17>[複合ポリマー溶液13の作製]
製造例15にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を10質量部、テトラエトキシシランの配合量を20質量部に変更した以外は、製造例15と同様にして複合ポリマー溶液13を得た。
<製造例18>[複合ポリマー溶液14の作製]
製造例4にて作製したフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体100質量部をメチルイソブチルケトン900質量部に溶解させ、溶液を調製した。この溶液にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、室温にて攪拌することで、変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体を得た。続いて、この反応液中にテトラエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、加熱還流することで、複合ポリマー溶液14を得た。
<製造例19>[複合ポリマー溶液15の作製]
製造例18にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を2質量部、テトラエトキシシランの配合量を2質量部に変更した以外は、製造例18と同様にして複合ポリマー溶液15を得た。
<製造例20>[複合ポリマー溶液16の作製]
製造例18にて、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの配合量を10質量部、テトラエトキシシランの配合量を20質量部に変更した以外は、製造例18と同様にして複合ポリマー溶液16を得た。
<製造例21>[複合ポリマー溶液17の作製]
懸濁重合により得られたポリフッ化ビニリデンホモポリマー(商品名:KF1000、呉羽化学製)100質量部を、N−メチル−2−ピロドリン900質量部に均一に溶解させ、溶液を調製した。この溶液にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン2.5質量部及びN−2−(アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン2.5質量部を添加し、24時間、室温にて攪拌することで、変性ポリフッ化ビニリデン樹脂を得た。続いて、この反応液中にテトラエトキシシラン5質量部を添加し、24時間、加熱還流することで、複合ポリマー溶液17を得た。
<製造例22>[複合ポリマー溶液18の作製]
製造例5において、テトラエトキシシラン5質量部をテトラ(i−プロポキシ)チタン5質量部に変更した以外は、製造例5と同様にして複合ポリマー溶液18を得た。
<製造例23>[複合ポリマー溶液19の作製]
製造例5において、テトラエトキシシラン5質量部をテトラエトキシジルコニウム5質量部に変更した以外は、製造例5と同様にして複合ポリマー溶液19を得た。
<製造例24>[複合ポリマー溶液20の作製]
製造例5において、テトラエトキシシラン5質量部をテトラエトキシハフニウム5質量部に変更した以外は、製造例5と同様にして複合ポリマー溶液20を得た。
<製造例25>[エピクロルヒドリンゴムを用いた導電性ゴム組成物の調整]
エピクロルヒドリンゴム(EO(エチレンオキシド)−EP(エピクロロヒドリン)−AGC(アリルグリシジルエーテル)三元共化合物、EO/EP/AGE=73mol%/23mol%/4mol%)100質量部に対し、以下の表1に示す材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーで10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。
Figure 2015064439
この原料コンパウンドに、以下の表2に示す材料を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物を作製した。
Figure 2015064439
<実施例1>
[導電性基体]
直径6mm、長さ252.5mmの中実円柱状のステンレス製基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
[導電性弾性ローラの作製]
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、上記導電性基体を中心軸として、製造例25で作製した導電性ゴム組成物を円筒状に被覆した。被覆層の厚みは、1.5mmに調整した。そして、押出後のローラを、熱風炉にて170℃で1時間加熱したのち、弾性体層(硬化した被覆層)の端部を除去して、導電性基体の軸方向における長さを228mmとし、更に、160℃で1時間2次加熱を行った。
得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨し、導電性弾性ローラA−1を作製した。なお、このローラのクラウン量(中央部と中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
[導電性樹脂塗布液の作製]
まず、下記手順に従って、有機無機複合ポリマーにより被覆処理されたカーボンブラックを作製した。
(有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製)
内容積450mLのガラス瓶に、製造例5にて作製した複合ポリマー溶液1を100質量部入れ、塩酸を加え、pH値を2.5に調整した。その後、カーボンブラック(商品名:#52、三菱化学製)108.9質量部を入れ、ペイントシェーカー分散機により12時間分散した。なお、このカーボンブラックと複合ポリマー溶液1の配合量は、カーボンブラック100質量部に対して、複合ポリマー溶液の固形分量が10質量部に相当する量である。その後、遠心分離機によりカーボンブラックを沈殿させた後、エタノールで洗浄し、真空乾燥させ、コーヒーミルにより解砕することで、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラック1を得た。
(有機無機複合ポリマーの構造)
カーボンブラックを被覆する有機無機複合ポリマーの構造を同定した。
測定用試料の作製方法を下記に示す。製造例5にて作製した複合ポリマー溶液1に塩酸を加え、pH値を2.5に調整した。この溶液を、ケトンやアルコールで脱脂したアルミシート上に滴下し、スピンコート法により成膜した。回転数は、300rpm(min-1)、2秒間の回転条件とした。成膜後、真空乾燥を行った後、アルミシート上に得られた有機無機ポリマーを採取後粉砕し、測定用試料とした。
29Si−NMR、13C−NMR、及び、17O−NMR測定にて解析を行うことで、前記式(2)中の無機構造の詳細を同定した。実施例1の有機無機ポリマーは、前記式(2)中のx1、x2、y1及びy2に記載される構造を有していた。更に、各構造の存在比率(即ち、x1とx2の比率、及び、y1とy2の比率)についての解析を行った。
例えば、実施例1において、29Si−NMRの測定スペクトルを波形分離すると、x1の構造を示すピークは−64ppm〜−74ppm近辺に、x2の構造を示すピークは−53ppm〜−63ppm近辺に現れる。これらのピーク面積より各結合の割合を算出し、これを上記の存在比率とした。結果を表6に示す。
(塗布溶液の作製)
アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセル2016、ダイセル化学工業社製)にメチルイソブチルケトンを加え、アクリルポリオールの固形分が20質量%となるように調製した。そして、この溶液500質量部(前記アクリルポリオール溶液の固形分、即ちバインダー100質量部)に対して、以下の表3に示す化合物を添加して混合溶液を調製した。
Figure 2015064439
続いて、450mLのガラス瓶にこの混合溶液160gと、メディアとして体積平均粒径0.5mmのガラスビーズ200gを混合し、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。分散終了後、1時間、室温に放置して冷却し、その後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(商品名:TPA−B80E、旭化成ケミカルズ社製)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)(商品名:ベスタネートB1370、デグサジャパン社製)の各ブタノンオキシムブロック体の5:5(質量比)の混合物25質量部を添加し、さらに、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散して導電性樹脂塗布液1を得た。
[表面層の形成]
上記導電性樹脂塗布液1を用いて、上記導電性弾性ローラA−1に1回ディッピング塗布した。常温で30分間風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度80℃で30分間乾燥して、帯電ローラ1を得た。
ここで、ディッピング塗布は以下の条件で行った。浸漬時間9秒、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。
[有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーの体積抵抗率測定]
有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーの体積抵抗率測定を、抵抗測定装置「Loresta−GP」(商品名、三菱化学株式会社製)により行った。測定試料は、ポリマー被覆された導電性フィラーを10.1MPaの圧力をかけて圧縮することで作製した。測定は、温度23℃、相対湿度50%環境にて、試料に10Vを印加して行った。
[有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーの粒子径測定]
有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーの粒子径測定を、レーザー回折型粒度分布計であるコールターLS−230型粒度分布計(商品名:LS13320、コールター社製)により行った。水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤3滴を加え、更に測定試料を5mg加えた。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で3分間分散処理を行い、被験試料液を調製し、前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが50%になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒子径を算出した。
[帯電ローラ電気抵抗値測定]
図2に示す測定装置を用いて、上記帯電ローラ1の電気抵抗値を測定した。
そして、最大電気抵抗値及び最小電気抵抗値を算出し、最大電気抵抗値を最小電気抵抗値で除した値により帯電ローラの電気抵抗値ムラを評価した。
尚、帯電ローラの電気抵抗値ムラは、温度23℃、相対湿度50%環境に4時間放置した状態(条件1)、及び、温度40℃、相対湿度95%環境に1ヶ月放置後、温度23℃、湿度50%環境に4時間放置した状態(高温高湿放置後の抵抗ムラ:条件2)の2条件についてそれぞれ測定した。
[高温高湿下の画像ムラ(画像ランク)評価]
上記帯電ローラ1を用いて、画像ムラに対する評価を下記手順にて行った。
図3に示す構成を有する電子写真装置として、キヤノン株式会社製カラーレーザープリンタ(LBP5400(商品名))を記録メディアの出力スピードを200mm/sec(A4縦出力)に改造して用いた。画像の解像度は600dpi、1次帯電の出力は直流電圧−1100Vであった。
図4に示す構成を有するプロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のプロセスカートリッジ(ブラック用)を用いた。上記プロセスカートリッジに、帯電ローラ1をセットし、ビニール袋、更には、ダンボール箱で梱包した。このプロセスカートリッジを、温度40℃、相対湿度95%環境に1ヶ月放置した。その後、プロセスカートリッジを取り出し、温度23℃、相対湿度50%環境に4時間放置後、上記電子写真装置にこのプロセスカートリッジを組み込み、温度23℃、相対湿度50%環境において、一次帯電した電子写真感光体に露光を行なうことなしに現像してハーフトーン画像を出力して、画像濃度ムラを目視で評価した。
尚、表中の画像レベルは、下記の基準に従って4段階で評価した。
ランク1:画像ムラが全く認められない。
ランク2:軽微な画像ムラが認められるのみであり、帯電ローラのピッチ(周期)では確認できない。
ランク3:一部に画像ムラが帯電ローラのピッチで確認できるが、実用上問題ない画質である。
ランク4:画像ムラが目立ち、画質の低下が認められる。
<実施例2、3>
実施例1における有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、カーボンブラック配合量をそれぞれ544.6質量部及び27.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ2及び3を作製した。実施例2及び3では、カーボンブラック100質量部に対する複合ポリマー溶液の固形分の量がそれぞれ2質量部及び40質量部となる。
<実施例4>
実施例1における、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、複合ポリマー溶液1を複合ポリマー溶液2に変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ4を作製した。
<実施例5、6>
実施例1における、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、複合ポリマー溶液1をそれぞれ複合ポリマー溶液3及び4に、カーボンブラック配合量をそれぞれ103.6質量部及び126.2質量部に変更した。それら以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ5及び6を作製した。実施例5及び6では、カーボンブラック100質量部に対する複合ポリマー溶液の固形分の量はいずれも10質量部となる。
<実施例7、8>
実施例1において、塗布溶液作製時の有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラック1の配合量をそれぞれ20質量部及び80質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ7及び8を作製した。
<実施例9、14、19、24、29〜32>
実施例1における、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、複合ポリマー溶液1をそれぞれ複合ポリマー溶液5、8、11、14及び17〜20に変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ9、14、19、24及び29〜32を作製した。
<実施例10、15、20、25>
実施例2における、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、複合ポリマー溶液1をそれぞれ複合ポリマー溶液5、8、11及び14に変更した以外は、実施例2と同様にして帯電ローラ10、15、20及び25を作製した。
<実施例11、16、21、26>
実施例3における、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、複合ポリマー溶液1をそれぞれ複合ポリマー溶液5、8、11及び14に変更した以外は、実施例3と同様にして帯電ローラ11、16、21及び26を作製した。
<実施例12、17、22、27>
実施例5における、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、複合ポリマー溶液1を、それぞれ複合ポリマー溶液6、9、12及び15に変更した以外は、実施例5と同様にして帯電ローラ12、17、22及び27を作製した。
<実施例13、18、23、28>
実施例6における、有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラックの作製において、複合ポリマー溶液1を、それぞれ複合ポリマー溶液7、10、13及び16に変更した以外は、実施例6と同様にして帯電ローラ13、18、23及び28を作製した。
<比較例1>
懸濁重合により得られたポリフッ化ビニリデンホモポリマー(商品名:KF1000、呉羽化学製)100質量部を、N−メチル−2−ピロドリン817.4質量部に均一に溶解させ、ポリフッ化ビニリデン溶液を調製した。内容積450mLのガラス瓶に、このポリフッ化ビニリデン溶液を100質量部入れた後、カーボンブラック(商品名:#52、三菱化学製)108.9質量部を入れ、ペイントシェーカー分散機により12時間分散した。その後、遠心分離機によりカーボンブラックを沈殿させ、エタノールで洗浄後、真空乾燥させた。その後、コーヒーミルにより解砕することで、カーボンブラック2を得た。
有機無機複合ポリマーにより被覆されたカーボンブラック1の代わりに、上記カーボンブラック2を用いて表面層を作製した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ33を作製した。
<比較例2>
比較例1において、ポリフッ化ビニリデン溶液の代わりに、製造例1にて作製したポリフッ化ビニリデン−エチレン共重合体100質量部を、メチルイソブチルケトン817.4質量部に均一に溶解させた溶液を用いた以外は、比較例1と同様にして帯電ローラ34を作製した。
<比較例3〜5>
比較例2において、ポリフッ化ビニリデン−エチレン共重合体を、それぞれ製造例2〜4にて作製した共重合体に変更した以外は、比較例2と同様にして帯電ローラ35〜37を作製した。
上記各例の有機無機複合ポリマー、及びこのポリマーにより被覆された導電性フィラーの組成を表4及び6に示し、上述した評価結果を表5に示す。なお、表4中、PVDF、VDF及びVFとは、それぞれポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン及びフッ化ビニルを意味する。
Figure 2015064439
Figure 2015064439
Figure 2015064439
以上より、本発明によれば、周方向の電気抵抗ムラを抑制し、且つ、プロセスカートリッジを密閉状態で高温高湿下に保管後、電子写真装置本体に装着して電子写真画像を形成した際に発生する、帯電部材由来の画像ムラを極めて有効に抑制できることが分かった。
1 導電性基体
2 弾性層
3 表面層
4 電子写真感光体
5 帯電部材(帯電ローラ)
6 現像ローラ
7 転写材
8 転写ローラ
9 定着装置
10 クリーニング部材
11 レーザー光
13 帯電用電源
14 回収容器
21 中間層(第1の中間層)
22 第2の中間層
31 電流計
32 円柱形金属
33 軸受け
34 安定化電源

Claims (3)

  1. 導電性基体と、表面層とを有する帯電部材であって、
    該表面層は、下記式(1)および下記式(2)にそれぞれ示すユニットをいずれも有する有機無機複合ポリマーにより被覆された導電性フィラーと、バインダーとを含み、
    該導電性フィラーは、カーボンブラックおよび金属酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする帯電部材:
    Figure 2015064439
    (R1〜R4は、各々独立して水素原子、またはフッ素原子を表し、ただし、R1〜R4のうちの少なくとも1つはフッ素原子を表す)、
    Figure 2015064439
    (R5〜R7は、各々独立して水素原子、またはフッ素原子を表し、
    R8は、下記式(3)、下記式(4)、下記式(5)または下記式(6)に示す基を表し、ただし、R8が式(4)に示す基を表す場合、式(2)中のR8と結合する炭素原子は、式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、
    Q1及びQ2は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニル基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェノキシ基と、下記式(7)、下記式(8)、下記式(9)および下記式(10)にそれぞれ示す基と、炭素数1以上5以下のアルキル基と、炭素数1以上5以下のアルコキシル基と、ビニル基と、アリル基とからなる群から選ばれる基を表し、
    M1〜M4は、各々独立してケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表し、
    1及びx2は、各々独立して0または1を表し、ただし、x1とx2との合計は1であり、
    1及びy2は、各々独立して0または1を表し、ただし、y1とy2との合計は1であり、
    Lは、ケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子およびハフニウム原子から選ばれる金属原子と酸素原子との結合を含む連結基であり、
    *は、該カーボンブラック表面または該金属酸化物表面との結合部位を表す)、
    Figure 2015064439
    (a及びbは、各々独立して0または1を表し、Eは、酸素原子、硫黄原子、または下記式(5)に示す基を表し、
    R9及びR10は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、下記式(4)および下記式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表し、ただし、R9及びR10の少なくとも一方が式(4)に示す基を表す場合、式(3)中のEは、この式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良い)、
    Figure 2015064439
    (c、d及びeは、各々独立して0または1を表し、R11及びR13は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、下記式(5)および下記式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表し、R12は、酸素原子、または下記式(5)に示す基を表す)、
    Figure 2015064439
    (f及びgは、各々独立して0以上3以下の整数を表し、ただし、fおよびgの少なくとも一方は、1以上の整数を表す)、
    Figure 2015064439
    (h及びiは、各々独立して0または1を表し、
    L1及びL2は、各々独立して酸素原子または硫黄原子を表し、
    R15、R19、R23およびR27は、各々独立して、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基と、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいフェニレン基と、前記式(4)、前記式(5)および前記式(6)にそれぞれ示す基とからなる群から選ばれる基を表し、
    ただし、R15が式(4)に示す基を表す場合は、式(7)中のR15と結合する窒素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、
    R19が式(4)に示す基を表す場合は、式(8)中のR19と結合する炭素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、
    R23が式(4)に示す基を表す場合は、式(9)中のR23と結合する炭素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、
    R27が式(4)に示す基を表す場合は、式(10)中のR27と結合する炭素原子がこの式(4)に示す基のいずれの末端と結合しても良く、
    R14、R16〜R18、R20〜R22、およびR24〜R26は、各々独立して、水素原子、または炭素数1以上5以下のアルキル基を表し、jは、3以上8以下の整数を表す)。
  2. 請求項1に記載の帯電部材が少なくとも電子写真感光体と一体化され、電子写真装置に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  3. 少なくとも、請求項2に記載のプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有することを特徴とする電子写真装置。
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