JP2015058396A - 塗装方法および加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉体塗装と同様に機械的強度・耐薬品性・耐食性・耐候性を備えた塗膜が、現場においても簡便に形成できるようにする。
【解決手段】まず、工程S101で、鋼材表面に形成されている塗装の損傷部に塗布層を形成する(塗布層形成工程)。塗布層は、熱可塑性樹脂からなる粉体(粉末)がバインダに分散した混合物を、塗布することで形成する。次に、工程S102で、鋼材を誘導加熱することで、上述したことにより形成した塗布層を加熱して塗布層に分散している粉体を溶融し、損傷部に熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する(塗膜形成工程)。
【選択図】 図1
【解決手段】まず、工程S101で、鋼材表面に形成されている塗装の損傷部に塗布層を形成する(塗布層形成工程)。塗布層は、熱可塑性樹脂からなる粉体(粉末)がバインダに分散した混合物を、塗布することで形成する。次に、工程S102で、鋼材を誘導加熱することで、上述したことにより形成した塗布層を加熱して塗布層に分散している粉体を溶融し、損傷部に熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する(塗膜形成工程)。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鋼材表面を保護するために形成されている塗装の損傷部を補修する塗装方法および塗装方法を実施するための加熱装置に関する。
重防食塗装・有機ライニングといった技術によって、鋼材から酸素・水・その他の腐食促進因子を遮断し、鋼材を腐食から守ることができる。例えば、重防食塗装においては、液体状の塗料を鋼材に塗布し、これを化学反応により硬化させて樹脂膜として鋼材を腐食から保護している。また、有機ライニングにおいては、樹脂製やFRP製のシートを鋼材に接着して鋼材を腐食から保護している。また、塗装の中でも粉体塗装では、熱可塑性樹脂の粉末を鋼材表面で溶融させて付着させ、鋼材表面に樹脂膜を形成して鋼材を腐食から保護している。
しかしながら、重防食塗装や有機ライニングの場合には、亜鉛めっき鋼材などの長期的に安定した塗装・接着が難しい素材に対しては、経年劣化ともに付着力が低下し、長期的には塗膜・ライニングが剥離することが多いという問題がある。また、重防食塗装の場合には、下塗り・中塗り・上塗りなど複数回の塗装工程が必要となり、作業コストが高くなることも多い。また、塗膜の寿命も数年〜十数年であることが多く、定期的な塗り替えが必要となり、塗り替えの都度コストが必要になる。
粉体塗装は、用いる樹脂や添加剤の種類にもよるが、一般的に機械的強度・耐薬品性・耐食性・耐候性に優れている(非特許文献1参照)。このため、通常のポリウレタン樹脂塗料やエポキシ樹脂塗料などを用いた塗装と比較して、亜鉛めっき鋼材などに施しても長期間安定して強い付着力を得ることができ、腐食性の高い環境でも長寿命を得られることが多い。例えば、タールエポキシ樹脂塗装であった鋼管柱をPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂粉体塗装の鋼管柱に変更し、長寿命化を図った例がある(非特許文献2参照)。
しかしながら、粉体塗装は、高温で樹脂を溶融して塗装する必要があるため、粉体塗装のための設備が必要になり、現場での施工が難しいという問題がある(非特許文献1参照)。また、大型の鋼構造物に用いる鋼材などの非常に大きな鋼材には、粉体塗装が難しいという問題もある。
また、粉体塗装物の塗膜に損傷が生じても、現場の修繕には粉体塗装を用いることは困難なため、エポキシ樹脂塗料やポリウレタン樹脂塗料などの通常の塗装で補修されるのが一般的である。このような通常塗装で補修された粉体塗装の修繕部の長期防食性・耐候性は、周辺の健全な粉体塗装部と比較して劣るものとなってしまうという問題がある。非特許文献3では、粉体塗装の寿命が35年であるのに対し、粉体塗装損傷部を補修した部分の寿命は10〜15年と見積もられている。
大西 和彦 著、「環境対応塗料技術」―粉体塗料―、塗料の研究、No.136、17−16頁、2001年。
http://www.ntt-east.co.jp/ecology/contents/corp_zeroemission.html
http://keytech.ntt-at.co.jp/environ/faq_sapoe5000.html
上述したように、粉体塗装物の塗膜に損傷が発生した場合、現場では粉体塗装を施すことが困難である。このため、粉体塗装物の塗膜の損傷は、一般塗料を用いて補修している。しかしながら、一般塗料で補修した部分は、粉体塗装の健全部に比べて付着力の長期安定性や防食性が劣る。また、未塗装の鋼材についても現場で粉体塗装を施すのは困難である。このように、粉体塗装は、優れた性能を有しているが、現場での塗装が困難であるという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、粉体塗装と同様に機械的強度・耐薬品性・耐食性・耐候性を備えた塗膜が、現場においても簡便に形成できるようにすることを目的とする。
本発明に係る塗装方法は、磁性金属からなる構造体の表面に形成されている塗装の損傷部に、熱可塑性樹脂からなる粉体とバインダとを混合した混合物を塗布して塗布層を形成する塗布層形成工程と、構造体を誘導加熱することで、塗布層を加熱して塗布層に混合されている粉体を溶融し、損傷部に熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する塗膜形成工程とを備える。
本発明に係る塗装方法は、磁性金属からなる構造体の表面に形成されている塗装の損傷部に、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを接触して配置する樹脂シート配置工程と、構造体を誘導加熱することで、樹脂シートを加熱して樹脂シートを溶融し、損傷部に熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する塗膜形成工程とを備える。
また、本発明に係る加熱装置は、上記塗装方法で用いるものであり、高周波交流電流を出力するインバータと、インバータより出力された高周波交流電流を入力し、加熱対象部分に作用する磁場を発生する磁場発生手段と、加熱対象部分の温度を測定する温度測定手段と、温度に基づいてインバータの出力を制御する制御手段と、インバータおよび磁場発生手段を冷却する冷却手段と、インバータおよび冷却手段に電力を供給する電源とを備え、磁場発生手段および測定手段は、他の部分と分離されている。
以上説明したことにより、本発明によれば、粉体塗装と同様に機械的強度・耐薬品性・耐食性・耐候性を備えた塗膜が、現場においても簡便に形成できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における塗装方法を説明するフローチャートである。
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における塗装方法を説明するフローチャートである。
まず、工程S101で、鋼材(構造体)表面に形成されている塗装の損傷部に塗布層を形成する(塗布層形成工程)。塗布層は、熱可塑性樹脂からなる粉体(粉末)とバインダとを混合した混合物を、塗布することで形成する。混合物は、粉体とバインダとを混合して練ることで形成すればよい。例えば、図2に示すように、鋼材101の表面に、粉体102がバインダ103に混合している混合物よりなる塗布層104を形成する。バインダ103を用いることで、鋼材101の垂直面など、粉体102だけでは鋼材101に担持されない場合に、後述する加熱処理までの間、粉体102を鋼材101に定着させておくことが可能となる。
次に、工程S102で、鋼材を誘導加熱することで、上述したことにより形成した塗布層を加熱して塗布層に混合している粉体を溶融し、損傷部に熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する(塗膜形成工程)。例えば、図2に示すように、コイルなどから構成された磁場発生部111に高周波電流112を供給することで、強度の変化する磁場113を発生させ、鋼材101の表面において渦電流を発生させて鋼材101の表面を誘導加熱する。
これにより、塗布層104は加熱され、塗布層104に混合している粉体102が溶融して一体となり、鋼材101の表面に塗膜(不図示)を形成するようになる。この工程では、溶融させることで、粉体の各粒子を損傷部の鋼材表面に付着させ、また、バインダに混合している粉体の各粒子同士を接触させることが重要となる。
以上のことにより、塗装の損傷部が、熱可塑性樹脂からなる塗装で補修される。このように、実施の形態1によれば、熱可塑性樹脂の粉体にバインダを加えた混合物を鋼材表面に塗布し、鋼材を誘導加熱して熱可塑性樹脂を溶融させて塗膜としているので、粉体塗装と同様に機械的強度・耐薬品性・耐食性・耐候性を備えた塗膜が、現場においても簡便に形成できる。
ここで、粉体を構成する熱可塑性樹脂について説明する。熱可塑性樹脂は、ポリエチレン(PE)・ポリエチレンテレフタレート(PET)・ポリアミド(PA)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)などであれば好適である。なお、熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有し、かつ、酸素や水(水蒸気を含む)や他の腐食促進因子の透過係数が低く、鋼材に強固に付着する樹脂であれば上述した材料に限るものではなく、他の樹脂を用いてもよい。熱可塑性樹脂は、用いられる環境により、耐候性や耐薬品性なども考慮して適宜に樹脂の種類を選択すればよい。
次に、バインダについて説明する。粉体に混合するバインダは、耐熱性が高く、液体から硬化する機能のある樹脂から構成することが望ましい。例えば、よく知られた2液硬化式のフッ素樹脂や、アルキルシリケートなどがバインダーとして好適である。液体状で塗布可能な樹脂は、熱可塑性ではないため、加熱により劣化しにくい(耐熱性が高い)ものを選択する。
耐熱性が低い樹脂であると、熱可塑性樹脂の融点を上回る高温になった場合、酸化・分解してガスなどを生じることがあり、鋼材と樹脂層の間に気泡が生じて付着力低下の原因となる。また、ガスの発生は、環境の劣化を招く場合もあり、作業の支障可能性もある。なお、樹脂粉末にバインダを加えた混合物を鋼材の損傷部に塗布する際は、粘性の調整のために、シンナー,ミネラルスピリットなどの溶剤を加えて塗布し、溶剤が乾燥(揮発)した後に加熱してもよい。
ところで、粉体に対するバインダの混合割合が高くなると、熱可塑性樹脂より構成された粉体の粒子同士が接触しない割合、および鋼材と粉体の粒子とが接触しない割合が高くなる。このため、バインダの混合割合は少なければ少ないほどよく、望ましくは、混合物の20体積%以下、特に望ましくは10体積%以下とすればよい。
次に、加熱について説明する。熱可塑性樹脂を溶融させて塗膜を形成する場合、加熱温度は熱可塑性樹脂の融点を上回る温度とし、かつ、バインダの耐熱温度や、鋼材表面に形成されているめっきの融点以下の温度が望ましい。
具体的に、亜鉛めっき鋼材に対し、ポリエチレンの粉体をフッ素樹脂からなるバインダに混合した混合物を塗布する場合について示す。この構成の場合、亜鉛の融点が約420℃、フッ素樹脂の耐熱温度が250〜300℃程度、ポリエチレンの融点が約100〜120℃であるため、加熱温度は150℃前後が好適である。この温度を超えてあまり高温にすると、ポリエチレンの酸化劣化が進行するため、亜鉛めっきやフッ素樹脂の耐熱温度以下であっても、200℃前後にまで加熱することは望ましくない。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における塗装方法を説明するフローチャートである。
次に、本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における塗装方法を説明するフローチャートである。
まず、工程S201で、鋼材(構造体)表面に形成されている塗装の損傷部に、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを接触して配置する(樹脂シート配置工程)。例えば、図4に示すように、鋼材201の表面に、樹脂シート202を配置する。樹脂シート202は、一方の面が鋼材201の表面に接触する状態に配置する。
次に、工程S202で、鋼材を誘導加熱することで、樹脂シートを加熱して樹脂シートを溶融し、鋼材の損傷部に熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する(塗膜形成工程)。例えば、図4に示すように、コイルなどから構成された磁場発生部111に高周波電流112を供給することで、強度の変化する磁場113を発生させ、鋼材201の表面において渦電流を発生させて鋼材201の表面を誘導加熱する。これにより、樹脂シート202は加熱され、溶融して鋼材101の表面に塗膜(不図示)を形成するようになる。
ここで、樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂について説明する。熱可塑性樹脂は、ポリエチレン(PE)・ポリエチレンテレフタレート(PET)・ポリアミド(PA)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)などであれば好適である。なお、熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有し、かつ、酸素や水(水蒸気を含む)や他の腐食促進因子の透過係数が低く、鋼材に強固に付着する樹脂であれば上述した材料に限るものではなく、他の樹脂を用いてもよい。熱可塑性樹脂は、用いられる環境により、耐候性や耐薬品性なども考慮して適宜に樹脂の種類を選択すればよい。また、樹脂シートは、熱可塑性樹脂を用いたFRP(Fiber Reinforced Plastics)から構成してもよい。
次に、加熱について説明する。樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂を溶融させて塗膜を形成する場合、加熱温度は熱可塑性樹脂の融点を上回る温度とし、かつ、鋼材表面に形成されているめっきの融点以下の温度が望ましい。具体的に、亜鉛めっき鋼材に対し、ポリエチレンからなる樹脂シートを用いて塗膜を形成する場合について示す。
この構成の場合、亜鉛の融点が約420℃、ポリエチレンの融点が約100〜120℃であるため、加熱温度は150℃前後が好適である。この温度を超えてあまり高温にすると、ポリエチレンの酸化劣化が進行するため、亜鉛めっき溶融温度以下であっても、200℃前後にまで加熱することは望ましくない。
以上のことにより、塗装の損傷部が、熱可塑性樹脂からなる塗装で補修される。このように、実施の形態2によれば、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを鋼材表面に配置し、鋼材を誘導加熱して熱可塑性樹脂を溶融させて塗膜としているので、粉体塗装と同様に機械的強度・耐薬品性・耐食性・耐候性を備えた塗膜が、現場においても簡便に形成できる。
次に、上述した塗装方法で用いる加熱装置について図5を用いて説明する。この加熱装置は、インバータ501,トランス502,磁場発生部503,温度測定部504,制御部505,冷却部506,冷却水循環・冷却装置507,および電源508を備える。この中で、重量の大半を占める、インバータ501,冷却水循環・冷却装置507,および電源508は、本体511に収容されている。また、トランス502、磁場発生部503、温度測定部504、制御部505、および冷却部506は、可搬部512に収容されている。このようにすることで、作業者が持ち運ぶ部分となる可搬部512を小型化・軽量化することができ、鉄塔や鋼橋での施工時においても足場の強度や広さなどの制約が少なくなる。
上記加熱装置において、インバータ501は、高周波交流電流を出力する。インバータ501より出力された高周波交流電流は、トランス502を介して磁場発生部503に供給される。磁場発生部503は、例えば、電磁誘導コイルであり、トランス502から出力される高周波交流電流を流して磁場を発生する。磁場発生部503が発生した磁場の影響を受けて鋼材301に渦電流が発生し、鋼材301の表面が加熱される。
誘導加熱に適した周波数は、望ましくは10kHz〜100kHz程度である。磁場発生部503を構成する電磁誘導コイルに流れる交流電流の周波数が高いほど、鋼材301に流れる電流の浸透深さは浅くなる。樹脂層302を、粉末とバインダとから構成した場合などのように厚い樹脂層302が必要な場合などでは、より低い周波数を用いることが最適な場合も考えられる。樹脂層302として樹脂シートを用いる場合は、樹脂シート全体が溶融する必要はなく、鋼材301と接している樹脂シート表面のみが溶融すればよいので、深さ方向に深く過熱し、熱容量をかせぐ必要はあまりない。
温度測定部504は、加熱対象となる鋼材301の樹脂層302形成面の温度を測定する。温度測定部504は、例えば、放射温度計から構成すればよい。制御部505は、温度測定部504より得られた温度測定データに基づいて、インバータ501の出力(設定値)を制御する。また、制御部505は、温度測定データおよびトランス502から出力される電流・電圧を監視し、これらのデータから計算される単位時間あたりの電力量が、上記出力設定値に対して異なる値が出力された場合には、インバータ501に制御信号を送信して出力を調整する。
なお、温度測定部504では、温度測定部504に近接している部分の温度が測定可能であり、実際の鋼材表面の温度は測定温度より高いものとなる。このため、予備実験により適切な加熱条件を予め求めておき、求めた加熱条件を適用し、測定温度を基に制御を行うことが望ましい。
冷却水循環・冷却装置507は、インバータ501および磁場発生部503を冷却するために冷媒を循環・冷却する。また、冷却水循環・冷却装置507は、インバータ501を冷却する他、冷媒を輸送する配管を通じて冷媒を冷却部506に移動させ、冷却部506により磁場発生部503を冷却可能としている。
以上説明したように、本発明によれば、熱可塑性樹脂の粉体にバインダを加えた混合物を鋼材表面に塗布し、鋼材を誘導加熱して熱可塑性樹脂を溶融させるようにしたので、鋼材上に強固に密着した熱可塑性樹脂からなる塗装が形成できる。また、本発明によれば、熱可塑性樹脂のシートを鋼材上に設置し、鋼材を誘導加熱して熱可塑性樹脂を溶融させるようにしたので、鋼材上に強固に密着した熱可塑性樹脂からなる塗装が形成できる。
上述したことにより形成された塗装の亜鉛めっき鋼材への付着力について図6を用いて説明する。図6において、(a)は、亜鉛めっき鋼材に、厚さ300μmに形成されたPET粉体塗装の結果を示している。また、図6の(b)は、亜鉛めっき鋼材に、形成された通常塗装の結果を示している。通常塗装(重防食塗装)は、下塗りが、エポキシ樹脂塗料による厚さ40μmの下塗り塗装と、ポリウレタン樹脂塗料による厚さ40μmの上塗り塗装とから構成している。
また、図6の(c)は、前述した粉体塗装による損傷部を、上述した通常塗装で補修した部分の結果を示している。また、図6の(d)は、前述した粉体塗装による損傷部を、本発明の実施の形態2で説明した樹脂シートを用いて補修した部分の結果を示している。樹脂シートとしてPET製シート(厚さ300μm)を用いている。また、図6の(e)は、前述した粉体塗装による損傷部を、本発明の実施の形態1で説明した混合物を用いて補修した部分の結果を示している。混合物は、PET粉末に、2液硬化フッ素樹脂をバインダとして加えている。また、混合物による塗布層は、厚さ300μm程度に形成している。
図6には、初期の塗膜付着力および高温高湿度環境(70℃95%RH)に、50日および100日配置して乾燥させた後の塗膜付着力を測定した結果を示している。
まず、図6の(a)に示すように、PET粉体塗装は、高温高湿度環境に100日間配置した後も、十分な付着力を維持している。
まず、図6の(a)に示すように、PET粉体塗装は、高温高湿度環境に100日間配置した後も、十分な付着力を維持している。
一方、図6の(b)および(c)に示すように、通常塗装および損傷部を通常塗装で補修した部分は、高温高湿度環境に配置した場合、塗膜付着力の低下が著しい。これらに対し、図6の(d)および(e)に示すように、本発明によれば、通常塗装および粉体塗装の損傷部を前述の通常塗装で補修したものと比較し、高温高湿度環境に100日間配置した後も良好な付着力を維持している。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、本発明は鋼材に限るものではなく、磁性金属で構成されており、誘導過熱が可能な構造体であれば、適用可能である。
101…鋼材、102…粉体、103…バインダ、104…塗布層、111…磁場発生部、112…高周波電流、113…磁場、201…鋼材、202…樹脂シート。
Claims (3)
- 磁性金属からなる構造体の表面に形成されている塗装の損傷部に、熱可塑性樹脂からなる粉体とバインダとを混合した混合物を塗布して塗布層を形成する塗布層形成工程と、
前記構造体を誘導加熱することで、前記塗布層を加熱して前記塗布層に混合している粉体を溶融し、前記損傷部に前記熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する塗膜形成工程と
を備えることを特徴とする塗装方法。 - 磁性金属からなる構造体の表面に形成されている塗装の損傷部に、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを接触して配置する樹脂シート配置工程と、
前記構造体を誘導加熱することで、前記樹脂シートを加熱して前記樹脂シートを溶融し、前記損傷部に前記熱可塑性樹脂からなる塗膜を形成する塗膜形成工程と
を備えることを特徴とする塗装方法。 - 請求項1または2記載の塗装方法で用いる加熱装置であって、
高周波交流電流を出力するインバータと、
前記インバータより出力された高周波交流電流を入力し、加熱対象部分に作用する磁場を発生する磁場発生手段と、
前記加熱対象部分の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度に基づいて前記インバータの出力を制御する制御手段と、
前記インバータおよび前記磁場発生手段を冷却する冷却手段と、
前記インバータおよび前記冷却手段に電力を供給する電源と
を備え、
前記磁場発生手段および前記測定手段は、他の部分と分離されていることを特徴とする加熱装置。
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