JP2015057444A - 医薬組成物における使用のためのナノ粒子 - Google Patents

医薬組成物における使用のためのナノ粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】医薬組成物における使用のためのナノ粒子の提供。【解決手段】本発明の様々な態様においては、(a)少なくとも1種類の生分解性ポリマーを含むナノ粒子と、(b)前記ナノ粒子と会合させられた少なくとも1種類の医薬品とを含むナノ粒子組成物が提供される。本発明の他の態様においては、ナノ粒子組成物を形成させる方法が提供される。この方法には、第1の溶媒の中に溶解させられた1種類または複数の種類の生分解性ポリマーを含む第1の液体を、前記第1の溶媒と混和性であるが、前記1種類または複数の種類の生分解性ポリマーについては非溶媒である第2の溶媒を含む第2の液体と接触させ、その結果、ナノ粒子が形成される工程が含まれる。【選択図】図1

Description

(背景)
粒子状の担体は、薬学の分野で一般的に使用されている。例えば、粒子状の担体は、適切な免疫応答を誘発させる試みにおいて、吸着させられた抗原または捕捉された抗原とともに使用されている。そのような担体は、免疫系に対して選択された抗原の複数のコピーを提示し、そして局所リンパ節の中での抗原の捕捉と保持とを促進すると考えられる。これらの粒子はマクロファージによる食作用を受け得、そしてサイトカインの放出を通じて抗原提示を増強させることができる。
例えば、共有にかかる特許文献1および、同時係属中の特許文献2には、細胞媒介性免疫応答を含む免疫応答を刺激するための、抗原が吸着させられた微粒子および抗原がカプセルに封入された微粒子の使用、ならびにこれらの微粒子を作製する方法が記載されている。微粒子を形成させるために使用されるポリマーとしては、ポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)が挙げられる。
共有にかかる特許文献3と特許文献4、および特許文献5には、巨大分子(ポリヌクレオチドおよびポリペプチド抗原が含まれる)が吸着させられている微粒子を作製する方法が開示されている。微粒子には、例えば、生分解性ポリマーが含まれ、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤を使用して形成させられる。陰イオン性界面活性剤を含む微粒子は、正電荷を持つ巨大分子(例えば、ポリペプチド)とともに使用され得る。陽イオン性界面活性剤を含む微粒子は、負電荷を持つ巨大分子(例えば、DNA)とともに使用され得る。細胞媒介性免疫応答を含む免疫応答を刺激するためのそのような微粒子の使用もまた開示されている。
共有にかかる国際特許出願番号PCT/US06/46212には、少なくとも1種類の生分解性ポリマー、少なくとも1種類の界面活性剤、少なくとも1種類の細胞保護薬、および少なくとも1種類の抗原を含む、滅菌濾過され凍結乾燥されたナノ粒子組成物が記載されている。そのような組成物を作製し、使用する方法、およびそのような組成物を供給するキットもまた開示されている。ナノ粒子は、ナノ沈殿法(nanoprecipitation method)を使用して作製される。
国際公開第98/33487号 米国特許出願公開第2003/0049298号明細書 国際公開第00/06123号 国際公開第01/36599号 米国特許第6,884,435号明細書
(発明の要旨)
本発明の様々な態様においては、(a)1種類または複数の種類の生分解性ポリマーを含むナノ粒子と、(b)前記ナノ粒子と結合させられた1種類または複数の種類の医薬品とを含むナノ粒子組成物が提供される。
特定の実施形態においては、ナノ粒子組成物は滅菌濾過されたナノ粒子組成物であり、これは、凍結乾燥される場合も、また凍結乾燥されない場合もある。
特定の実施形態においては、本発明の組成物中のナノ粒子は、典型的には、Z平均および/またはD(v,0.5)値が200nm未満、より典型的には、150nm未満であり、そしてD(v,0.9)が250nm未満、より典型的には200nm未満であるサイズ分布を有する。
特定の実施形態においては、ナノ粒子中の生分解性ポリマーは、例えば、中でもポリ(α−ヒドロキシ酸)とポリカプロラクトンを含むポリエステル類、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、合成の生分解性ポリマーである。
本発明のいくつかの態様においては、医薬品は免疫原性の種であり得る。
特定の実施形態においては、免疫原性の種は、適応免疫応答を刺激する種である。例えば、これらの実施形態における免疫原性の種には、1種類または複数の種類の抗原が含まれ得る。抗原の例としては、中でもポリペプチドを含む抗原、多糖を含む抗原、およびポリヌクレオチドを含む抗原が挙げられる。抗原は、例えば、数あるソースの中でも腫瘍細胞に由来し得、そしてウイルス、細菌、真菌、および寄生生物のような病原性生物に由来し得る。
特定の実施形態においては、免疫原性の種は、先天性免疫応答を刺激する種である。例えば、免疫原性の種は、特に以下の受容体の1種類または複数の種類の活性化因子であり得る:Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン(nucleotide−binding oligomerization domain)(NOD)タンパク質、および食作用を誘導する受容体(例えば、スカべンジャー受容体、マンノース受容体、およびβ−グルカン受容体)。
特定の実施形態においては、免疫原性の種は、例えば、中でも以下の免疫アジュバントの1種類または複数の種類から選択され得る:細菌のリポ多糖、ペプチドグリカン、細菌のリポタンパク質、細菌のフラジェリン、イミダゾキノリン化合物、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、一本鎖RNA、サポニン、リポテイコ酸、ADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体、ポリホスファゼン、ムラミルペプチド、チオセミカルバゾン化合物、トリプタントリン化合物、ならびにリピドA誘導体。
特定の実施形態においては、免疫原性の種は、例えば、1種類または複数の種類の低分子免疫賦活剤から選択され得る。例えば、免疫原性の種は、中でもレジミクオド(resimiquod)、イミキモド(imiquimod)、およびイミダゾキノリン090などのようなイミダゾキノリン化合物から選択され得る。
特定の実施形態においては、本発明の組成物には、状況に応じて、少なくとも1種類の界面活性剤が含まれる。いくつかの実施形態においては、本発明の組成物には、状況に応じて、少なくとも1種類の細胞保護薬が含まれる。いくつかの実施形態においては、本発明の組成物には、状況に応じて、少なくとも1種類の界面活性剤と少なくとも1種類の細胞保護薬とが含まれる。細胞保護薬の例としては、中でもポリオール類、炭水化物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤の例としては、中でも非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、および両性イオン性面活性剤が挙げられる。界面活性剤および/または細胞保護薬は、例えば、凍結乾燥されたナノ粒子を許容されないほどにサイズを大きくすることなく(例えば、有意な凝集を伴わずに)確実に再懸濁させることができるように、添加され得る。
本発明の他の態様は、少なくとも1種類の生分解性ポリマーを含むナノ粒子組成物の生産方法に関する。
例えば、本発明のいくつかの実施形態においては、ナノ粒子組成物は、第1の溶媒の中に溶解させられた1種類または複数の種類の生分解性ポリマーを含む第1の液体を、前記第1の溶媒と混和性であるが、前記1種類または複数の種類の生分解性ポリマーについては非溶媒である第2の溶媒を含む第2の液体と接触させ、その結果、ナノ粒子が形成される工程を含む方法によって生産される。第1の液体と第2の液体は、好ましくはほとんどあるいはまったく撹拌することなく、穏やかな振盪条件下で接触させられる。例えば、穏やかな振盪は、いくつかの可能性がある中においても特に旋回振盪機(gyrotory
shaker)を使用して実施される。
本発明のいくつかの実施形態においては、ナノ粒子組成物は、第1の溶媒の中に溶解させられた1種類または複数の種類の生分解性ポリマーを含む第1の液体を、緩衝液と、前記第1の溶媒と混和性であるが、前記1種類または複数の種類の生分解性ポリマーについては非溶媒である第2の溶媒とを含む第2の液体と接触させ、その結果、ナノ粒子が形成される工程を含む方法によって生産される。
第1の溶媒には、例えば、1種類または複数の種類の親水性の有機溶媒の種が含まれ得、この有機溶媒の種は、例えば、中でもアセトンおよびエタノールから選択され得る。第2の溶媒には、例えば、いくつかの可能性がある中においても特に水が含まれ得る。
上記実施形態のうちの特定のものにおいては、第1の液体が、添加の仕方にいくつかの可能性がある中においても特に一滴ずつの様式で(in a dropwise fashion)第2の液体に添加される。
特定の実施形態においては、ナノ粒子は、状況に応じて形成後に回収される。
特定の実施形態においては、ナノ粒子は、状況に応じて形成後に凍結乾燥される。
特定の実施形態においては、第1の溶媒は第2の溶媒よりも揮発性が高く、蒸発させられる。
特定の実施形態においては、第1の液体の中での生分解性ポリマーの濃度は、0.25%w/v〜5%w/vの範囲(例えば、0.25%w/v〜0.5%w/v〜1%w/v〜2%w/v〜3%w/v〜5%w/vの範囲)にあり、より典型的には、0.5%w/v〜3%w/vの範囲にある。
上記のような方法は、例えば、ナノ粒子の形態で回収される、溶液中の生分解性ポリマーの量に基づくナノ粒子の収率が高くなり得る(例えば、90%〜95%の範囲、またはそれ以上)点で有利である。
いくつかの実施形態においては、1種類または複数の種類の医薬品が、ナノ粒子の形成の間または形成後のいずれかに添加される。例えば、1種類または複数の種類の免疫原性の種(例えば、免疫応答を刺激する種、例えば、先天性免疫応答、適応免疫応答、または先天性応答と適応性応答の組み合わせを刺激する種)が、ナノ粒子の形成の間または形成後のいずれかに添加され得る。
例えば、特定の実施形態においては、1種類または複数の種類の医薬品が、ナノ粒子に対してそれらの形成後に添加され得る。例えば、1種類または複数の種類の医薬品がナノ粒子に付着させられ得(例えば、ナノ粒子の表面に吸着させられるか、または結合させられる)、そして/または液体組成物もしくは固体組成物の中でナノ粒子と混合され得る(例えば、溶液の中で、水性懸濁液として、ナノ粒子と一緒に凍結乾燥されるなど)か、あるいは別の方法でナノ粒子と会合させられ得る。
特定の実施形態においては、1種類または複数の種類の医薬品が、ナノ粒子に対してそれらの形成の間に添加され得る。例えば、上記の方法においては、第1の液体にはさらに、(第1の溶媒の中に溶解させられた1種類または複数の種類の生分解性ポリマーに加えて)、1種類または複数の種類の医薬品(これは、例えば、第1の液体の中に溶解させられ得るか、または懸濁させられ得る)が含まれ得る。結果として、1種類または複数の種類の医薬品は、ナノ粒子が形成されると同時にナノ粒子の中に捕捉されるようになる。
第1の液体に医薬品が含まれ、そして第2の液体に緩衝液が含まれる実施形態においては、第2の液体のpHを医薬品の大部分が電荷を持たない点に維持するように上記緩衝液が選択され得る。
第1の液体に医薬品が含まれ、第2の液体に緩衝液が含まれ、そして上記医薬品がプロトン受容性の医薬品である実施形態においては、医薬品のpKaより高いpHを維持するように上記緩衝液が選択され得る。
第1の液体に医薬品が含まれ、第2の液体に緩衝液が含まれ、そして上記医薬品がプロトン供与性の医薬品である実施形態においては、医薬品のpKaより低いpHを維持するように上記緩衝液が選択され得る。
2種類の医薬品が使用される場合は、これらは、例えば、いくつかの可能性がある中においても特に、ナノ粒子の同じ集団の中に付着させるかもしくは捕捉させることができ、またナノ粒子の別の集団の中に付着させるかもしくは捕捉させることもできる。
特定の実施形態においては、提供される医薬品の量は、(生分解性ポリマーの量に対して)0.25%w/w〜5%w/wの範囲である(例えば、0.25%w/w〜0.5%w/w〜1%w/w〜2%w/w〜3%w/w〜5%w/wの範囲である)。
上記のような方法は、例えば、医薬品についてのカプセル化効率が極めて高くなり得る(例えば、50%〜60%〜70%〜80%〜90%の範囲、またはそれ以上)点で有利である。
本発明のなおその他の態様は、(例えば、治療目的、予防目的、または診断目的のために)本発明のナノ粒子組成物を宿主動物に送達する方法に関する。上記ナノ粒子組成物は、例えば、先天性免疫応答、適応免疫応答、またはこれらの両方を宿主動物の中で刺激するために使用され得る。宿主動物は好ましくは脊椎動物である。本発明のナノ粒子組成物の送達は、任意の公知の方法によって行うことができる。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
有機溶媒中に溶解させられた生分解性ポリマーを含む第1の液体を、ナノ粒子が形成されるように、前記有機溶媒と混和性であるが、前記生分解性ポリマーについては非溶媒であるさらなる溶媒を含む第2の液体と、穏やかな振盪の条件下で接触させる工程を含む、ナノ粒子を形成する方法。
(項目2)
前記生分解性ポリマーがポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記生分解性ポリマーが、ポリラクチド、ポリグリコリド、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリマーから選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記第1の液体の中での前記生分解性ポリマーの濃度が0.5%w/v〜3%w/vの範囲である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記ナノ粒子についてのポリマー収率が>90%である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記ナノ粒子についてのD(v,0.5)値が200nm未満である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記振盪が、旋回振盪機を使用して行われる、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記第1の液体が前記第2の液体に一滴ずつの様式で添加される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記有機溶媒を蒸発させる工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記有機溶媒が親水性有機溶媒である、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記有機溶媒がアセトンである、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記さらなる溶媒が水性溶媒である、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記第1の液体にさらに医薬品が含まれる、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記医薬品が免疫原性の種である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記免疫原性の種が抗原である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記免疫原性の種が先天性免疫応答を刺激する、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記免疫原性の種が、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、イミダゾキノリン化合物、ロキソリビン、ブロピリミン、細菌のリポ多糖、ペプチドグリカン、細菌のリポタンパク質、細菌のフラジェリン、一本鎖RNA、二本鎖RNA、サポニン、リポテイコ酸、ADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体、ポリホスファゼン、ムラミルペプチド、チオセミカルバゾン化合物、トリプタントリン化合物、ならびにリピドA誘導体から選択される、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記免疫原性の種がToll様受容体(TLR)の活性化因子である、項目14に記載の方法。
(項目19)
前記免疫原性の種が、Toll様受容体7(TLR7)、Toll様受容体8(TLR8)、またはそれらの組み合わせから選択されるToll様受容体(TLR)の活性化因子である、項目14に記載の方法。
(項目20)
前記免疫原性の種がイミダゾキノリン化合物である、項目14に記載の方法。
(項目21)
前記免疫原性の種が、レジミクオド、イミキモド、イミダゾキノリン090、およびそれらの組み合わせから選択される、項目14に記載の方法。
(項目22)
前記方法が、前記免疫原性の種について50%またはそれを越えるカプセル化効率を有する、項目14に記載の方法。
(項目23)
前記方法において使用される前記生分解性ポリマーに対する免疫原性の種の量が、0.5%〜2%の範囲である、項目14に記載の方法。
(項目24)
項目1に記載の方法にしたがって生成されたナノ粒子を含む、滅菌濾過され、凍結乾燥されたナノ粒子組成物。
(項目25)
有機溶媒中に溶解させられた生分解性ポリマーを含む第1の液体を、ナノ粒子が形成されるように、前記有機溶媒と混和性であるが、前記生分解性ポリマーについては非溶媒である緩衝液を含む水性溶媒を含む第2の液体と接触させる工程を含む、ナノ粒子を形成する方法。
(項目26)
前記生分解性ポリマーがポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記生分解性ポリマーが、ポリラクチド、ポリグリコリド、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリマーから選択される、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記第1の液体の中での前記生分解性ポリマーの濃度が0.5%w/v〜3%w/vの範囲である、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記ナノ粒子についてのポリマー収率が>90%である、項目25に記載の方法。
(項目30)
前記ナノ粒子についてのD(v,0.5)値が200nm未満である、項目25に記載の方法。
(項目31)
前記有機溶媒を蒸発させる工程をさらに含む、項目25に記載の方法。
(項目32)
前記有機溶媒が親水性有機溶媒である、項目25に記載の方法。
(項目33)
前記有機溶媒がアセトンである、項目25に記載の方法。
(項目34)
前記第1の液体にさらに医薬品が含まれる、項目1に記載の方法。
(項目35)
前記医薬品が免疫原性の種である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記免疫原性の種が抗原である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記免疫原性の種が先天性免疫応答を刺激する、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記免疫原性の種が、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、イミダゾキノリン化合物、ロキソリビン、ブロピリミン、細菌のリポ多糖、ペプチドグリカン、細菌のリポタンパク質、細菌のフラジェリン、一本鎖RNA、二本鎖RNA、サポニン、リポテイコ酸、ADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体、ポリホスファゼン、ムラミルペプチド、チオセミカルバゾン化合物、トリプタントリン化合物、ならびにリピドA誘導体から選択される、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記免疫原性の種がToll様受容体(TLR)の活性化因子である、項目35に記載の方法。
(項目40)
前記免疫原性の種が、Toll様受容体7(TLR7)、Toll様受容体8(TLR8)、またはそれらの組み合わせから選択されるToll様受容体(TLR)の活性化因子である、項目35に記載の方法。
(項目41)
前記免疫原性の種がイミダゾキノリン化合物である、項目35に記載の方法。
(項目42)
前記免疫原性の種が、レジミクオド、イミキモド、イミダゾキノリン090、およびそれらの組み合わせから選択される、項目35に記載の方法。
(項目43)
前記免疫原性の種がプロトン受容性の免疫原性の種であり、前記緩衝液が、前記免疫原性の種のpKaより高いpHが維持されるように選択される、項目35に記載の方法。
(項目44)
前記免疫原性の種がイミダゾキノリン化合物であり、前記緩衝液が、7.5〜8.5の範囲にpHが維持されるように選択される、項目35に記載の方法。
(項目45)
前記免疫原性の種がプロトン供与性の免疫原性の種であり、前記緩衝液が、前記免疫原性の種のpKaより低いpHが維持されるように選択される、項目35に記載の方法。
(項目46)
前記方法が、前記免疫原性の種について80%またはそれを越えるカプセル化効率を有する、項目35に記載の方法。
(項目47)
前記方法で使用される前記生分解性ポリマーに対する免疫原性の種の量が0.5%〜3%の範囲である、項目35に記載の方法。
(項目48)
前記第1の液体と前記第2の液体とが穏やかな振盪の条件下で接触させられる、項目25に記載の方法。
(項目49)
前記第1の液体が前記第2の液体に対して一滴ずつの様式で添加される、項目25に記載の方法。
(項目50)
項目25に記載の方法にしたがって生成されたナノ粒子を含む、滅菌濾過され、凍結乾燥されたナノ粒子組成物。
本発明のこれらおよび他の態様、実施形態、ならびに利点は、本明細書中の開示を参照すれば当業者にはより容易に明らかとなるであろう。
図1は、ポリマーに対してのSMIP濃度1%w/wおよび2%w/wでの非凍結乾燥懸濁液のインビトロでの放出プロフィールのプロットである。 図2は、ポリマーに対してのSMIP濃度1%w/wおよび2%w/wでの凍結乾燥懸濁液のインビトロでの放出プロフィールのプロットである。
(発明の詳細な説明)
本発明の実施では、他に明記されない限りは、当業者の能力の範囲内である化学、ポリマー化学、生化学、分子生物学、免疫学、および薬理学の従来法が使用されるであろう。そのような技術は文献の中で完全に説明されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan編,Academic Press,Inc.);Weir,D.M.,Handbook of Experimental Immunology,第I巻〜第IV巻、第5版(Blackwell Publishers,1996);Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001);Ausubel,F.M.ら、Short Protocols In Molecular Biology,第5版(Current Protocols,2002);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi,K.S.編,CRC Press,2003)、およびSeymour/Carraher’s Polymer Chemistry,第7版(CRC Press,2007)を参照のこと。
本明細書中で引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、上記で引用されているか以下で引用されるかにはかかわらず、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
本明細書中および任意の添付される特許請求の範囲において使用される場合は、単数形「a」、「an」、および「the」には、状況によって明らかに示されない限りは、複数形についての言及が含まれる。したがって、例えば、用語「ナノ粒子」は、1つまたは複数のナノ粒子をいうなどである。
他に明記されないか、または状況によって明確に示されない限りは、本明細書中の全ての割合(%)および比は、重量に基づいて提供される。
(A.定義)
本発明の記載においては、以下の用語は、以下に示されるように定義されると意図される。
用語「ナノ粒子」は、本明細書中で使用される場合は、直径1,000nm未満の粒子をいう。
粒子の大きさは、当該分野で利用できる方法を使用して決定(測定)することができる。例えば、粒子の大きさは、光子相関分光法、動的光散乱法、または準弾性光散乱法を使用して決定することができる。これらの方法は、ブラウン運動の測定によって得られる粒子の拡散特性との粒子のサイズの相関関係に基づく。ブラウン運動は、粒子を取り囲む溶媒分子による衝突が原因である粒子の無作為な運動である。粒子が大きければ大きいほど、ブラウン運動はよりゆっくりとなる。速度は並進拡散係数によって定義される。測定される値は、粒子が液体の中をどのように移動するか(流体力学的直径)に関係する。得られる直径は、その粒子と同じ並進拡散係数を有している球の直径である。
粒子のサイズはまた、静的光散乱法を使用して決定することもできる。静的光散乱法では、単回で(at a single time)溶液中の粒子によって散乱させられた光の強度が測定される。静的光散乱法では、散乱角と溶質濃度の関数として光の強度が測定される。光源(例えば、レーザー光)を通り抜ける粒子は、それらのサイズに反比例する角度で光を散乱させる。大きい粒子は、低い散乱角での回折パターンを強い強度で生じるが、小さい粒子は、角度が広く強度の低いシグナルを生じる。粒子のサイズ分布は、試料から散乱させられた光の強度が角度の関数として測定される場合に計算することができる。角度についての情報は、サイズ分布を計算するために散乱モデル(例えば、Mie理論)と比較される。
一般的には、粒子のサイズは室温で決定され、当試料の多重分析(例えば、同じ試料についての少なくとも3回の反復測定)を行って粒子の直径の平均値を得る。
光子相関分光について、Z平均(キュムラント平均または流体力学的直径とも呼ばれる)は、典型的には、キュムラント(モノモダル(monomodal))分析によって計算される。
静的光散乱法での測定については(いくつかの実施形態においては、光子相関分光法についても)、容積に基づくサイズパラメーターが測定され得る。例えば、D(v,0.5)(ここでは、vは容積を意味する)は、一つのサイズパラメーターであって、その値は組成物中の粒子の50%(容積基準)が測定した時にD(v,0.5)値に満たないサイズを有し、そしてその組成物中の粒子の50%がD(v,0.5)値より大きいサイズを有する点と定義される。同様に、D(v,0.9)は、組成物中の粒子の90%(容積基準)がD(v,0.9)値に満たないサイズを有し、そしてその組成物中の粒子の10%がD(v,0.9)値より大きいサイズを有する点と定義される値を持つサイズパラメーターである。
本発明の組成物中のナノ粒子は、典型的には、Z平均および/またはD(v,0.5)値が200nm未満、より典型的には150nm未満であり、そしてD(v,0.9)が250nm未満、より典型的には200nm未満であるサイズ分布を有する。
本明細書中で定義される場合は、「有機溶媒の種」は、少なくとも1つの炭素原子を含む溶媒の種である。
本明細書中で定義される場合は、「水性」の液体は水を含む液体であり、典型的には、50wt%より多くを水が占めている(例えば、50wt%〜75wt%〜90wt%〜95wt%、またはそれ以上を水が占めている)液体である。
本明細書中で定義される場合は、「水性」溶媒は水を含む溶媒であり、典型的には、50wt%より多くを水が占めている(例えば、50wt%〜75wt%〜90wt%〜95wt%、またはそれ以上を水が占めている)溶媒である。
本明細書中で定義される場合は、「ナノ粒子懸濁液」は、ナノ粒子を含む液相である。
「水性のナノ粒子懸濁液」は、ナノ粒子をさらに含む、水を含む液体である。本発明の水性のナノ粒子懸濁液には、典型的には、50wt%より多くの水、例えば、50wt%〜75wt%〜90wt%〜95wt%、またはそれ以上の水が含まれる。
本発明のナノ粒子は、典型的には、実質的に非毒性であり、生分解性であるポリマーから形成される。そのような物質としては、中でもポリ(α−ヒドロキシ酸)およびポリラクトン(例えば、ポリカプロラクトン)のようなポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ならびにポリシアノアクリレート(例えば、ポリアルキルシアノアクリレート、すなわち「PACA」)が挙げられる。より典型的には、本発明とともに使用されるナノ粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)由来の(例えば、ポリ(ラクチド)(「PLA」)(例えば、ポリ(D,L−ラクチド))、ラクチドとグリコリドのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)またはポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)(いずれも「PLG」と呼ばれる))、あるいはD,L−ラクチドとカプロラクトンのコポリマー由来の)ポリマーナノ粒子である。ポリマーナノ粒子は、様々な分子量を有するポリマーから形成され得、そしてコポリマー(例えば、PLG)の場合には、様々なモノマー(例えば、ラクチド:グリコリド)比で形成され得る。様々な末端基のポリマーもまた利用することができる。これらのパラメーターは以下でさらに議論される。
用語「界面活性剤」は、「表面活性剤(surface active agent)」の句からきている。界面活性剤は、界面(例えば、液体−液体界面、液体−固体界面、および/または液体−気体界面)に集積し、そしてその界面の特性を変化させる。本明細書中で使用される場合は、界面活性剤には、界面活性剤、分散剤、懸濁化剤、乳化安定剤などが含まれる。
本明細書中で定義される場合は、「炭水化物」には、単糖類、オリゴ糖類、および多糖類、ならびに、単糖類、オリゴ糖類、および多糖類に由来する物質(例えば、還元による物質(例えば、アルジトール類)、カルボン酸への1つもしくは複数の末端基の酸化による物質(例えば、グルクロン酸)、または1つ以上のヒドロキシ基(単数または複数)の水素原子もしくはアミノ基による置換による物質(例えば、ベータ−D−グルコサミンおよびベータ−D−ガラクトサミン)が含まれる。
本明細書中で定義される場合は、「単糖」は、多価アルコール、すなわち、アルデヒド基(この場合、単糖はアルドースである)またはケト基(この場合、単糖はケトースである)のいずれかをさらに含むアルコールである。単糖類には、典型的には、3個〜10個の炭素が含まれる。さらに、単糖類は共通して、実験式(CHO)を有する。式中、nは3またはそれより大きい整数であり、典型的には3〜10である。3個〜6個の炭素のアルドースの例としては、グリセルアルデヒド、エリスロース、トレオース、リボース、2−デオキシリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、およびタロースが挙げられる。3個〜6個の炭素のケトースの例としては、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、およびタガトースが挙げられる。自然界に存在している単糖類は、通常は、L−型に対応するものとしてのD−異性体形態で見られる。
本明細書中で使用される場合は、「オリゴ糖」は、比較的短い単糖のポリマー、すなわち、2個〜30個の単糖単位を含むものをいう。本明細書中で定義される場合は、「多糖」は、オリゴ糖の長さよりも長い単糖のポリマー(すなわち、30を超える単糖単位を含むもの)である。さらに、本明細書中で使用される場合は、用語「多糖」もまた、2つまたはそれ以上の連結された単糖類を含む単糖ポリマーをいう。曖昧さを避けるために、それとは反対のことがはっきりと示されていない限りは、常に第2の定義が適用される。用語「多糖」にはまた、多糖誘導体、例えば、数ある中でもアミノ官能化多糖誘導体およびカルボキシル官能化多糖誘導体などが含まれる。単糖類は、典型的には、グリコシド結合によって連結される。特別な例としては、二糖類(例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース、ゲンチオビオース、およびセロビオース)、三糖類(例えば、ラフィノース)、四糖類(例えば、スタキオース)、および五糖類(例えば、ベルバスコース)が挙げられる。
本明細書中で使用される場合は、用語「糖」には、単糖類、オリゴ糖類、および多糖類が含まれる。「糖を含む種」は、その少なくとも一部分が糖である分子である。例としては、糖細胞保護薬、糖抗原、担体ペプチドに結合された糖を含む抗原などが挙げられる。
本明細書中で使用される場合は、「細胞保護薬」は、組成物が凍結および融解の際に悪影響を受けることから保護する物質である。例えば、本発明においては、細胞保護薬は、凍結乾燥された本発明の組成物が再懸濁される場合に、実質的なナノ粒子の凝集が起こることを防ぐために添加され得る。
「ポリヌクレオチド」は核酸ポリマーである。本明細書中で使用される場合は、「ポリヌクレオチド」には、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、または8ヌクレオチドのような少ない数のヌクレオチドが含まれ得る。さらに、「ポリヌクレオチド」には、二本鎖の配列と一本鎖の配列の両方が含まれ得、そして「ポリヌクレオチド」は、ウイルスに由来するcDNA、原核生物もしくは真核生物のmRNA、ウイルスに由来するゲノムRNAおよびDNA配列(例えば、RNAウイルスおよびDNAウイルス、ならびにレトロウイルス)、または原核生物のDNA、ならびに合成のDNA配列をいうが、これらに限定されない。この用語にはまた、DNAおよびRNAについての任意の公知の塩基アナログを含む配列も含まれる。この用語にはさらに、例えば、核酸分子が抗原性タンパク質をコードする場合には、天然の配列に対する修飾(例えば、欠失、付加、および置換(自然界においては一般的には保存的)がさらに含まれる。これらの修飾は部位特異的突然変異誘発による場合には意図的であり得、また、抗原を生産する宿主の突然変異による場合には偶発的であり得る。
本明細書中で定義される場合には、「オリゴヌクレオチド」は、5ヌクレオチド〜100ヌクレオチド、より典型的には5ヌクレオチド〜30ヌクレオチドのサイズの範囲を有しているポリヌクレオチドである。
本明細書中で定義される場合は、「ポリヌクレオチドを含む種」は、少なくともその一部分がポリヌクレオチドである分子である。
用語「ポリペプチド」はアミノ酸残基のポリマーをいい、そしてこれは最も短い長さの産物に限定されない。したがって、タンパク質、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などがこの定義に含まれる。本明細書中で使用されるタンパク質には、全長のタンパク質とタンパク質の断片が含まれる。特定の実施形態においては、天然の配列に対する修飾(例えば、欠失、付加、および置換(自然界においては一般的には保存的))が使用される。
「ポリペプチドを含む種」は、その少なくとも一部分がポリペプチドである分子である。例としては、ポリペプチド、糖タンパク質、金属タンパク質、リポタンパク質、担体タンパク質に結合された糖抗原などが挙げられる。
用語「医薬品」は、抗生物質、抗ウイルス薬、成長因子、ホルモン、抗原、免疫アジュバントなどのような生体活性のある化合物をいう。
用語「アジュバント」は、医薬品の作用を助けるかまたは変更する任意の物質をいい、これには、抗原に対する免疫応答を増大させるおよび/または多様化させる免疫アジュバントが含まれるが、これらに限定されない。したがって、免疫アジュバントは、抗原に対する免疫応答を強化することができる化合物である。免疫アジュバントは、体液性免疫および/または細胞性免疫を強化することができる。いくつかの実施形態においては、免疫アジュバントは先天性免疫応答を刺激する。免疫アジュバントは、本明細書中では「免疫賦活剤」と呼ばれる場合もある。
本明細書中で使用される場合は、「抗原」は、免疫学的応答を誘発する1つ以上のエピトープ(例えば、直鎖状エピトープ、立体構造エピトープ、またはこれらの両方)を含む分子をいう。この用語は、用語「免疫原」と互換的に使用され得る。
本明細書中で使用される場合は、「エピトープ」は、その免疫学的特異性を決定する、所定の種(例えば、抗原性分子または抗原性複合体)の部分である。エピトープは、本発明の抗原の定義の範囲に含まれる。一般的には、エピトープは、自然界に存在している抗原においてはポリペプチドまたは多糖である。人工の抗原においては、エピトープは低分子量の物質(例えば、アルサニル酸誘導体)であり得る。通常は、B細胞エピトープには、少なくとも約5個のアミノ酸が含まれるであろうが、3アミノ酸〜4アミノ酸のような少ない数のアミノ酸が含まれることも可能である。T細胞エピトープ(例えば、CTLエピトープ)には、典型的には、少なくとも約7個〜9個のアミノ酸が含まれるであろう。そしてヘルパーT細胞エピトープには、典型的には、少なくとも約12個〜20個のアミノ酸が含まれるであろう。
用語「抗原」は、本明細書中で使用される場合は、サブユニット抗原(すなわち、自然界においてその抗原が付随する生命体全体から分離された、別個の抗原)、ならびに死滅させられた、弱められた、または不活化された細菌、ウイルス、寄生生物、あるいは、他の病原体または腫瘍細胞)の両方を意味する。抗体(例えば、抗イディタイプ抗体)またはその断片、および合成のペプチドミモトープ(peptide mimotopes)(これは、抗原または抗原決定基を模倣し得る)もまた、本明細書中で使用される場合は、抗原の定義に含まれる。同様に、例えば、核酸免疫(nucleic acid immunization)の用途において、インビボで免疫原性タンパク質または抗原決定基を発現するオリゴヌクレオチドあるいはポリヌクレオチドもまた、本明細書中の抗原の定義に含まれる。
抗原もしくは組成物に対する「免疫学的応答」または「免疫応答」は、目的の組成物中に存在する分子に対する体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答の被検体における発生である。
免疫応答には、先天性免疫応答と適応免疫応答とが含まれる。先天性免疫応答は、免疫系の防御の最前線となる即効性の応答である。対照的に、適応免疫では、所定の病原体または障害(例えば、腫瘍)に由来する抗原を認識する、体細胞的に再編成された受容体遺伝子(例えば、T細胞受容体およびB細胞受容体)を有している免疫細胞の選択およびクローン性増殖が使用され、それによって特異性と免疫記憶が提供される。先天性免疫応答は、それらの多くの作用の中でも、炎症性サイトカインの迅速な破裂と、抗原提示細胞(APC)(例えば、マクロファージおよび樹状細胞)の活性化を導く。病原体を自己成分と区別するためには、先天性免疫系では、病原体特異的分子パターン(pathogen−associated molecular patterns)、すなわちPAMPとして知られている病原体に由来する特徴を検出する様々な比較的不変の受容体が使用される。実験ワクチンへの微生物性の成分の添加は、強固で永続的な適応免疫応答の発生を導くことが知られている。この免疫応答の強化の裏側にある機構には、様々な免疫細胞(好中球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、および一部の非免疫細胞(例えば、上皮細胞および内皮細胞)を含む)上でディファレンシャルに発現されるパターン認識受容体(PRR)が関係していることが報告されている。PRRの関与により、これらの細胞のいくつかの活性化と、それらによるサイトカインおよびケモカインの分泌、ならびに他の細胞の成熟および移動が導かれる。並行して、これによっては、適応免疫応答の確立を導く炎症の環境が作られる。PRRには、非食作用性の受容体(例えば、Toll様受容体(TLR)およびヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン(NOD)タンパク質)、および食作用を誘導する受容体(例えば、スカべンジャー受容体、マンノース受容体、およびβ−グルカン受容体)が含まれる。報告されているTLR(いくつかの報告されているリガンドの例とともに、これは、本発明の様々な実施形態において免疫原性の種として使用され得る)としては以下が挙げられる:TLR1(Mycobacteria、Neisseriaに由来する細菌のリポタンパク質)、TLR2(ザイモサン酵母粒子(zymosan yeast particle)、ペプチドグリカン、リポタンパク質、糖脂質類、リポ多糖)、TLR3(ウイルスの二本鎖RNA、poly:IC)、TLR4(細菌のリポ多糖、植物生成物タキソール)、TLR5(細菌のフラジェリン)、TLR6(酵母ザイモサン粒子、リポテイコ酸、マイコプラズマ由来のリポペプチド)、TLR7(一本鎖RNA、イミキモド、レジミクオド、および他の合成の化合物(例えば、ロキソリビンおよびブロピリミン))、TLR8(一本鎖RNA、レジミクオド)、ならびにTLR9(CpGオリゴヌクレオチド)など。樹状細胞は、ナイーブCD4ヘルパーT(T)細胞の感作を開始させるため、およびキラー細胞へのCD8T細胞の分化を誘導するために最も重要な細胞のタイプのうちのいくつかであると認識されている。TLRシグナル伝達は、これらのヘルパーT細胞応答の性質(例えば、観察されるT応答(例えば、T1対T2応答(T1 versus T2 response))の特別なタイプを決定するTLRシグナルの性質を持つ)を決定することにおいて重要な役割を果たすことが報告されている。抗体(体液性)免疫と細胞性免疫との組み合わせは、T1型応答の一部として生じるが、T2型応答は、抗体応答を優先的に生じる。様々なTLRリガンド(例えば、CpG DNA(TLR9))およびイミダゾキノリン(TLR7、TLR8))は、インビトロで免疫細胞からのサイトカインの産生を刺激することが報告されている。イミダゾキノリンは、TLRアゴニストであることが示されている、初めての小さい薬物様化合物である。さらなる情報については、例えば、A.Pashine,N.M.Valiante and J.B.Ulmer,Nature Medicine 11,S63−S68(2005),K.S.Rosenthal and D.H.Zimmerman,Clinical and Vaccine Immunology,13(8),821−829(2006)、およびそこで引用される参考文献を参照のこと。
本発明の目的については、「体液性免疫応答」は、抗体分子によって媒介される免疫応答をいい、一方、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/または他の白血球によって媒介される免疫応答である。細胞性免疫の1つの重要な局面には、細胞溶解性T細胞(「CTL」)による抗原特異的応答が関与している。CTLは、主要組織適合性複合体(MHC)によってコードされ、そして細胞の表面上で発現されるタンパク質と結合した状態で提示されるペプチド抗原に対して特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊、またはそのような微生物に感染した細胞の溶解の誘導および促進を助ける。細胞性免疫の別の局面には、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答が関係している。ヘルパーT細胞は、MHC分子と結合した状態でペプチド抗原を細胞表面に提示している細胞に対する非特異的エフェクター細胞の機能を刺激し、そしてその活性を集中させることを助けるように作用する。「細胞性免疫応答」はまた、サイトカイン、ケモカイン、および活性化されたT細胞および/または他の白血球によって生産される他のそのような分子(CD4細胞およびCD8T細胞に由来するものを含む)の産生もいう。
したがって、細胞性免疫応答を誘発する組成物(例えば、免疫原性組成物またはワクチン)は、細胞表面でMHC分子と結合した状態の抗原を提示することにより、脊椎動物被検体を感作させるように作用し得る。細胞媒介性免疫応答は、表面に抗原を提示する細胞に、またはその付近に向けられる。加えて、抗原特異的Tリンパ球は、免疫された宿主の将来の防御を可能にするために発生され得る。細胞媒介性免疫学的応答を刺激する特定の抗原または組成物の能力は、当該分野で公知の多数のアッセイによって(例えば、リンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイによる、CTL細胞傷害性細胞アッセイによる、感作された被検体において抗原に特異的なTリンパ球をアッセイすることによる、または抗原での再刺激に応答したT細胞によるサイトカイン産生の測定による)決定され得る。そのようなアッセイは当該分野で周知である。例えば、Ericksonら(1993)J.Immunol.151:4189−4199;Doeら(1994)Eur.J.Immunol.24:2369−2376を参照のこと。したがって、免疫学的応答は、本明細書中で使用される場合は、CTLの生成、および/またはヘルパーT細胞の生成もしくは活性化を刺激する免疫応答であり得る。目的の抗原はまた、抗体媒介性免疫応答も誘発することができる。したがって、免疫学的応答には、例えば、中でも以下の作用の1つまたは複数が含まれ得る:(例えば、B細胞による)抗体の産生;ならびに/あるいは、目的の組成物またはワクチンの中に存在する抗原(単数または複数)に対して特異的に向けられたサプレッサーT細胞および/またはγδT細胞の活性化。これらの応答は、感染力を中和するように、ならびに/または抗体−補体による細胞傷害性、もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介するように働いて免疫された宿主に防御を提供する。そのような応答は、当該分野で周知の標準的な免疫アッセイおよび中和アッセイを使用して測定され得る。
本発明の免疫原性組成物は、これらがある抗原に対して、異なる組成物中の同当量の抗原(例えば、ここでは抗原は可溶性タンパク質として投与される)によって誘発される免疫応答に比べて、免疫応答を誘発するより強い能力を有する場合には、その抗原に対して「増強された免疫原性」を示す。したがって、組成物は、例えば、組成物がより強力な免疫応答を生じるので、または投与される被験体において免疫応答を達成するために、より少ない用量またはより少ない回数の抗原の投与が必要とされるので、「増強された免疫原性」を示し得る。このような増強された免疫原性は、例えば、本発明の組成物、および抗原対照を動物に投与し、そしてこれらの2つのアッセイ結果を比較することによって測定され得る。
本明細書中で使用される場合は、「処置」(そのバリエーション、例えば、「処置する」または「処置された」を含む)は、(i)問題となっている病原体または障害(例えば、ガンまたは、伝統的なワクチンの場合のような病原体感染)の予防、(ii)問題となっている病原体もしくは障害と関係がある症状の軽減または排除、および(iii)問題となっている病原体もしくは障害の実質的または完全な排除のいずれかをいう。したがって、処置は、予防的に行われ得(問題となっている病原体または障害の発生(arrival)の前に)、また、治療的にも行われ得る(発生後)。
本発明の医薬品組成物の「有効量」または「薬学的有効量」との用語は、本明細書中では、目的の症状を処置するかまたは診断するための免疫原性組成物の十分な量をいう。正確な必要量は、個々の被検体ごとに、例えば、被検体の種、年齢、および全身状態;処置される症状の重篤度;免疫学的応答の場合には、抗体を合成する被検体の免疫系の能力、例えば、所望される防御の程度;ならびに投与の態様などに応じて変わるであろう。任意の個々の症例に適切な「有効」量は、当業者によって決定され得る。したがって、「治療有効量」は、典型的には、日常的に行われている試験によって決定することができる比較的広い範囲の中にあるであろう。
「脊椎動物被検体」または「脊椎動物」は、cordata亜門の任意のメンバーを意味し、これには以下が含まれるがこれらに限定されない:哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、およびヒト);飼育動物(例えば、イヌおよびネコ);ならびに、鳥類(飼育されている鳥類、野生の鳥類、および狩猟鳥類を含む)(例えば、ニワトリ、七面鳥、および他のキジ類のトリを含む、雄鳥および雌鳥)。この用語は特定の年齢を示すものではない。したがって、成体および新生の動物の両方が含まれる。
「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」は、生物学的にまたはその他において望ましくないことはない物質を意味する。例えば、この物質は、個体において任意の望ましくない生物学的影響を過度に引き起こすことなく、またはそれが含まれる組成物の成分のいずれとも過度に有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。
用語「賦形剤」は、最終的な投与形態の中に存在し得る任意の本質的に補助的な物質(accessory substance)をいう。例えば、用語「賦形剤」には、ビヒクル、結合剤、崩壊剤、増量剤(希釈剤)、潤滑剤、懸濁化剤/分散剤などが含まれる。
「生理学的pH」または「生理学的範囲にあるpH」は、両端を含むおよそ7.2〜8.0の範囲内のpHを意味し、より典型的には両端を含むおよそ7.2〜7.6の範囲内のpHである。
本明細書中で使用される場合は、「ベクター構築物」の用語は、一般的には、目的の核酸配列(単数または複数)または遺伝子(単数または複数)を発現させることができる任意のアセンブリをいう。「DNAベクター構築物」は、目的の核酸配列(単数または複数)または遺伝子(単数または複数)を発現させることができるDNA分子をいう。DNAベクター構築物の1つの特別なタイプがプラスミドであり、プラスミドは、宿主細胞の中で自律複製することができる環状のエピソームDNA分子である。典型的には、プラスミドは、その中にさらなるDNAセグメントを連結させることができる環状の二本鎖DNAのループである。pCMVは、当該分野で周知の1つの特異的なプラスミドである。RNAウイルスをベースとする他のDNAベクター構築物が公知である。これらのDNAベクター構築物には、典型的には、真核生物細胞中で機能するプロモーター、転写産物がRNAベクター構築物(例えば、アルファウイルスRNAベクターのレプリコン)であるcDNA配列の5’、および3’末端領域が含まれる。ベクター構築物の他の例としては、RNAベクター構築物(例えば、アルファウイルスベクター構築物)などが挙げられる。本明細書中で使用される場合は、「RNAベクター構築物」、「RNAベクターレプリコン」、および「レプリコン」は、インビボでの(典型的には、標的細胞の中での)それ自身の増幅または自律複製を起こさせることができるRNA分子をいう。RNAベクター構築物は、細胞へのDNAの導入および転写が行われる核への輸送の必要なく、直接使用される。宿主細胞の細胞質への直接の送達のためにRNAベクターを使用することにより、異種核酸配列の自律複製と翻訳が効率よく起こる。
(B.一般的方法)
上記で示されたように、本発明の様々な態様においては、(a)少なくとも1種類の生分解性ポリマーを含むナノ粒子と、(b)ナノ粒子と結合された少なくとも1種類の医薬品を含むナノ粒子組成物が提供される。以下の議論の多くは、例示的な医薬品としての免疫原性の種に関する。しかし、本発明はそのように限定されることはない。
本発明の他の態様は、少なくとも1種類の生分解性ポリマーを含むナノ粒子組成物を生産する方法に関する。
(1.ナノ粒子組成物)
本発明のナノ粒子組成物を形成させるために有用なポリマーとしては、ホモポリマー、コポリマー、およびポリマー混合物、天然のポリマーおよび合成のポリマーの両方が挙げられる。そのようなポリマーは、例えば、以下のホモポリマーおよびコポリマーに由来し得る:ポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)(ポリグリコール酸(PGA)(ポリグリコリドとしても知られている)、ポリ乳酸(PLA)(ポリラクチドとしても知られている)、およびポリヒドロキシ酪酸(ポリヒドロキシブチレート(polyhydroxybutyrate)としても知られている)を含む);ポリジオキサノン;ポリカプロラクトン;ポリオルトエステル;ポリシアノアクリレート、ポリ無水物;およびこれらの組み合わせ。より典型的なものは、ポリ(α−ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)(本明細書中では両方が「PLA」と呼ばれる)、ラクチドとグリコリドのコポリマー(例えば、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(本明細書中では両方が「PLG」と呼ばれる)である。
上記ポリマーは、様々な分子量で利用することができ、所定の用途に適している分子量は、当業者によって容易に決定される。したがって、例えば、PLAに適している分子量は、およそ2000〜5000であり得る。PLGに適している分子量は、約5,000〜約200,000の範囲であり得る。
コポリマーが使用される場合は、様々なモノマー比を持つコポリマーが利用され得る。例えば、PLGがナノ粒子を形成させるために使用される場合は、ラクチド:グリコリドの様々なモル比について本明細書中で利用法が見出されるであろう。そしてこれらの比は、任意の同時に投与される種(例えば、ナノ粒子に吸着させられた、ナノ粒子に捕捉された、または別の方法でナノ粒子と結合された種)、および所望される分解速度に一部依存して、ほとんどが選択できる事項である。例えば、50%のラクチドと50%のグリコリドとを含む50:50のPLGポリマーは、より速く吸収するコポリマーを提供するであろう。一方、75:25のPLGはよりゆっくりと分解し、そして85:15および90:10は、ラクチド成分がさらに多いことが原因で、さらにゆっくりと分解する。様々なラクチド:グリコリド比を持つナノ粒子の混合物についてもまた、所望される放出動態を得るための利用法が本明細書中で見出され得る。本発明のナノ粒子の分解速度はまた、ポリマーの分子量およびポリマーの結晶性のような要素によっても制御することができる。
PLGコポリマーが使用される場合は、典型的には、例えば、10:90〜20:80〜25:75〜40:60〜45:55〜55:45〜60:40〜75:25〜80:20〜90:10の範囲のラクチド/グリコリドのモル比を有しており、そして、例えば、5,000〜10,000〜20,000〜40,000〜50,000〜70,000〜100,000〜200,00ダルトンの範囲の分子量を有しているPLGコポリマーなどである。
酸末端基およびエステル末端基を含む様々な末端基を持つPLGコポリマーもまた利用することができる。
様々なラクチド:グリコリド比、分子量、および末端基を持つPLGコポリマーは、Boehringer Ingelheim,Germany,Birmingham Polymers,Inc.,Birmingham,AL,USAおよびLakeshore Biomaterials,Birmingham,AL,USAを含む多数の供給業者から商業的に容易に入手することができる。Boehringer Ingelheimから入手することができるいくつかの例示的なPLGコポリマーとしては以下が挙げられる:(a)RG502、鎖の末端の一方にアルキルエステル末端基を主に有しており、50:50のラクチド/グリコリドのモル比と12,000Daの分子量を有しているPLG、(b)RG503、鎖の末端の一方に主にアルキルエステル末端基を有しており、50:50のラクチド/グリコリドのモル比と34,000Daの分子量を有しているPLG、(c)RG504、鎖の末端の一方に主にアルキルエステル末端基を有しており、50:50のラクチド/グリコリドのモル比と48,000Daの分子量を有しているPLG、(d)RG752、鎖の末端の一方に主にアルキルエステル末端基を有しており、75:25のラクチド/グリコリドのモル比と22,000Daの分子量を有しているPLG、(e)RG755、鎖の末端の一方に主にアルキルエステル末端基を有しており、75:25のラクチド/グリコリドのモル比と68,000Daの分子量を有しているPLG、(f)RG502H、50:50のラクチド/グリコリドのモル比を有しており、鎖の末端の一方に主に遊離のカルボキシル末端基を有しているPLG、および(g)RG503H、50:50のラクチド/グリコリドのモル比を有しており、鎖の末端の一方に主に遊離のカルボキシル末端基を有しているPLG。
本発明のナノ粒子は、様々な適している方法を使用して調製することができる。
本発明の特定の実施形態においては、第1の溶媒の中に溶解させられた1種類または複数の種類の生分解性ポリマーを含む第1の液体が、第1の溶媒と混和性であるが、1種類または複数の種類の生分解性ポリマーについては非溶媒である第2の溶媒を含む第2の液体と接触させられ、その結果、ナノ粒子が形成させられる。
これらの実施形態のあるものにおいては、第2の溶媒は水性溶媒である。
特定の実施形態においては、第2の液体には緩衝液が含まれる。
特定の実施形態においては、第1の液体は第2の液体と、様々な適切な技術によって接触させられ得るが、一般的な観念として2つの液体は最小限の混合によって1つに合わせられる。例えば、いくつかの可能性がある中でも特に、第1の液体は第2の液体上に注意深く注がれ得るか、または第1の液体は第2の液体中または第2の液体上に静かに注入され得る。1つの実施形態においては、第1の液体は一滴ずつの様式で第2の液体の表面上に添加される。
特定の実施形態においては、第1の液体と第2の液体が接触させられる間または接触後に、これらの液体は、穏やかな撹拌(例えば、穏やかな振盪、好ましくは、ほとんどまたはまったく振盪させずに)の条件下で、あるいはまったく撹拌しない条件下で、互いに相互作用させられ、ナノ粒子が得られる。穏やかな振盪は、例えば、いくつかの可能性がある中でも特に、旋回振盪機を使用して行われ得る。
穏やかに振盪させながらこれらの液体を合わせて1つにすることにより、撹拌によって得られるよりも高い収率で、均一なサイズ分布を持つ粒子が生じ得ることが明らかにされている。例えば、ナノ粒子の形態で回収される生分解性ポリマーの量に基づく収率は、これらの液体が振盪させながら合わせて1つにされる方法が用いられる場合(例えば、90%またはそれ以上の範囲)には、これらの液体が撹拌されながら合わせて1つにされる方法が用いられる場合の収率(例えば、60%またはそれ未満)よりも高い。
第1の液体と第2の液体は、任意の適切な相対的な容量で合わせて1つにされ得る。例えば、第1の液体と第2の液体は、1:10〜1:5〜1:2〜1:1〜2:1〜5:1〜10:1から選択される、より典型的には、1:2〜2:1から選択される、なおさらに典型的には約1:1の相対的な容量で合わせて1つにされ得る。
第1の液体の中での生分解性ポリマーの濃度は任意の適切なレベルに設定され得るが、典型的には、0.25%w/v〜5%w/vの範囲(例えば、0.25%w/v〜0.5%w/v〜1%w/v〜2%w/v〜3%w/v〜4%w/v〜5%w/v)、より典型的には0.5%w/v〜3%w/vの範囲である。一般的には、ポリマーの濃度は粒子のサイズに影響を与え、濃度が低い方が粒子のサイズはより小さくなるであろう。ポリマーの濃度はまた、ナノ粒子の形成プロセスの間に導入される任意の医薬品のカプセル化効率にも影響を与え得る。
第1の溶媒には、例えば、1種類または複数の種類の有機溶媒の種(例えば、中でもアセトンおよびエタノールから選択され得る1種類または複数の種類の親水性の有機溶媒の種)が含まれ得る。
第2の溶媒には、例えば、いくつかの可能性がある中でも特に、水および/または1種類または複数の種類の親水性の有機溶媒の種が含まれ得る。例えば、第2の液体は、脱イオン水、生理食塩水、および緩衝化溶液から選択され得る。後者の溶液は、(a)浸透圧、すなわち、モル浸透圧濃度(これは、本質的に正常な生理的体液と同じである)を提供することができ、そして(b)正常な生理的条件と適合するpHを維持することができる。他の実施形態においては、本発明の組成物の浸透圧および/またはpHの特性は、ナノ粒子の形成後に調整され得る。
第2の液体にはまた、例えば、カプセル化効率を高めるために、緩衝液が含まれ得る。第1の液体と第2の液体が互いに接触させられる際に、所望されるpH範囲内に第2の液体のpHを維持することができる緩衝液を利用することができる。例えば、2またはそれ未満〜3〜4〜5〜6〜7〜8〜9〜10〜11〜12またはそれ以上の範囲にpH値を維持するように設計されている緩衝液を、商業的に入手することができる。以下は、商業的に入手することができる緩衝液(Sigma−Aldrichおよび/またはPolysciences Inc.から入手することができる)のいくつかの例である:クエン酸緩衝溶液(pH約4.8)、酢酸ナトリウム緩衝液(pH約5.2,pH約7.0)、リン酸クエン酸緩衝液(pH約5.0)、SSC緩衝液(pH約7.0)、PBS(pH約7.2〜7.5)、SSPE緩衝液(pH約7.4)、Tris緩衝化生理食塩水(pH約7.4)、Tris−リン酸−EDTA(pH約8.0)、トリエチルアンモニウム重炭酸塩緩衝液(pH約8.0)、Tris−EDTA(pH約8.0)、Tris−ホウ酸−EDTA(pH約8.3)、Tris−グリシン(pH約8.3)、Tris酢酸塩−EDTA(pH約8.3)、トリエチルアンモニウム重炭酸塩緩衝液(pH約8.5)、Tris−グリシン−SDS緩衝液(pH約8.6)、グリシン緩衝溶液(pH約9.2)、および重炭酸ナトリウム−炭酸ナトリウム緩衝液(pH約9.6)など。
特定の実施形態においては、第1の溶媒は第2の溶媒よりも揮発性が高い。これらの実施形態においては、第1の溶媒は、例えば、周囲条件(ambient conditions)下での蒸発によって、または減圧および/もしくは高温下での蒸発によって除去され得る。
いくつかの実施形態においては、1種類または複数の種類のさらなる種が、ナノ粒子の形成の間または形成後に添加される。そのようなさらなる種としては、例えば、免疫原性の種(例えば、先天性免疫応答を刺激する種、適応免疫応答を刺激する種、または両方を刺激する種であって、これらとしては、免疫アジュバント、免疫賦活剤、および抗原が挙げられる)のような医薬品、界面活性剤、細胞保護薬、ならびに他の補助成分(例えば、浸透圧調整剤、pH調整剤など)などが挙げられる。
これらの実施形態においては、1種類または複数の種類のさらなる種は、ナノ粒子の中に捕捉され得、ナノ粒子の表面と会合させられ得(例えば、ナノ粒子の表面に吸着されるかもしくは結合される)、液体組成物もしくは固体組成物の中でナノ粒子と混合され得(例えば、溶液として、水性懸濁液として、ナノ粒子と一緒に凍結乾燥させられた状態などで提供される)、そして/またはナノ粒子と別の方法で会合させられ得る。
本発明のいくつかの実施形態においては、1種類または複数の種類のさらなる種が、上記のナノ粒子の形成方法の間に添加される。例えば、第1の液体、第2の液体、またはこれらの両方に、所望される場合には、さらなる種が含まれ得る。
特別な例として、有機溶媒中に溶解させられた1種類または複数の種類の生分解性ポリマーに加えて、第1の液体にはさらに、1種類または複数の種類の医薬品が含まれ得る(これは、例えば、第1の液体の中に溶解させられ得るか、または懸濁させられ得る)。結果として、1種類または複数の種類の医薬品がナノ粒子の中に捕捉されるようになる。
これらの実施形態の特定のものにおいては、第2の液体に緩衝液が含まれ得る。この緩衝液は、例えば、医薬品の大部分が電荷を持たない点に第2の液体のpHが維持されるように選択され得る。医薬品がプロトン受容性の医薬品である実施形態においては、緩衝液は、例えば、医薬品のpKaより高いpHが維持されるように選択され得る。医薬品がプロトン供与性の医薬品である実施形態においては、緩衝液は、医薬品のpKaより低いpHが維持されるように選択され得る。
特定の実施形態においては、提供される医薬品(例えば、免疫原性の種など)の量は、このプロセスで使用される生分解性ポリマーの量に対して0.25%w/w〜5%w/wの範囲(例えば、0.25%w/w〜0.5%w/w〜1%w/w〜2%w/w〜3%w/w〜4%w/w〜5%w/wの範囲)である。
医薬品が第1の液体に添加される場合は、第1の液体中での0.5%w/v〜3%w/v(5g/ml〜30g/ml)の範囲のポリマー濃度について、ポリマーの量に対する医薬品についての0.5%w/w〜3%w/wの範囲は、0.0025%w/v〜0.09%w/v(すなわち、1mLあたり25マイクログラム〜900マイクログラム、より典型的には1mLあたり100マイクログラム〜600マイクログラム)の範囲の第1の液体中での全体濃度に相当する。
上記のような方法は、例えば、医薬品のカプセル化効率が極めて高くなり得る(例えば、50%〜60%〜70%〜80%〜90%の範囲、またはそれ以上)点で有利である。
第2の液体中に緩衝液が含まれない条件で第1の液体と第2の液体とを合わせて1つにする際の激しい撹拌(例えば、マグネチック撹拌棒(magnetic stir bar))での撹拌)によっては、はるかに低いカプセル化効率となる。
本発明のいくつかの実施形態においては、1種類または複数の種類のさらなる種が、ナノ粒子の形成に続いて(そして、典型的には、有機溶媒の除去に続いて、さらには、必要に応じた洗浄工程に続いて)添加される。例えば、医薬品(例えば、免疫原性の種(例えば、抗原、免疫アジュバント、免疫賦活剤など)、浸透圧および/またはpHを調節するための薬剤、界面活性剤、細胞保護薬など)が、ナノ粒子の形成に続いて添加され得る。多くの場合は、これらのさらなる種は、水溶液または水性分散液としてナノ粒子に添加される。得られる混合物は、いくつかの実施形態においては凍結乾燥され得る。
上記のように、さらなる種は、いくつかの可能性がある中でも特に、ナノ粒子の表面と会合させられ得(例えば、ナノ粒子の表面に吸着されるかまたは結合される)、そして/または別の方法で、様々な程度にナノ粒子と会合させられる場合もまた会合させられない場合もある(例えば、液体分散液中や、固体組成物中でナノ粒子と混合されるなど)。
2種類の医薬品(例えば、免疫原性の種など)が使用される場合は、これらは、いくつかの可能背がある中で、例えば、ナノ粒子の同じ集団に付着させられ得るか(例えば、吸着されるかもしくは結合される)または同じ集団の中に捕捉され得るか、あるいは、ナノ粒子の別の集団に付着させられ得るかまたは別の集団の中に捕捉され得る。
本発明のいくつかの実施形態に従う組成物は、ナノ粒子の形成後の任意のタイミング(例えば、ナノ粒子の形成後の任意のさらなる種の添加の前、ナノ粒子の形成後で任意のさらなる種の添加後など)で、(例えば、200ミクロンのフィルターを使用して)滅菌濾過され得る。
本発明の組成物中のナノ粒子(再懸濁させられた凍結乾燥された組成物を含む)は、典型的には、Z平均および/またはD(v,0.5)値が200nm未満であり、より典型的には150nm未満であり、そしてD(v,0.9)が250nm未満であり、より典型的には200nm未満であるサイズ分布を有する。
PLGを使用して形成されたナノ粒子を例とすると、本発明の技術には、水中油型の乳化および水中油中水型の乳化に基づく微粒子形成技術と比較して、いくつかの利点がある。第1の利点は、調製が容易であることである。本発明ナノ粒子の方法(the nanoparticle method)は1工程の技術であり、これには微粒子の方法で行われるような高剪断ホモジナイゼーション(high−shear homogenization)は必要なく、穏やかに振盪させるだけでよい。加えて、エマルジョンをベースとする微粒子の調製プロセス全体が典型的には無菌状態で行われるのに対して、ナノ粒子はそのサイズが小さいために、粒子の調製後に滅菌濾過することができ、これによって厳格な生産要件が緩和される。
さらに、この2つの方法で使用される有機溶媒のタイプは異なる。ナノ粒子の方法はアセトンを使用して行われ得るが、微粒子の方法では典型的には、溶媒としてのジクロロメタン(DCM)の使用が含まれる。米国食品医薬品局(FDA)は、DCMをクラス2溶媒と分類し、医薬品製品中に存在し得る残留溶媒の許容量の限度を制定しているが、アセトンはクラス3溶媒であって、FDAはクラス3溶媒に対してより高い許容量の限度を制定している。
(2.免疫アジュバント)
上記で示されたように、1種類または複数の種類の免疫アジュバントが、状況に応じて、本発明の組成物の中に提供され得る。これらは、いくつかの可能性がある中で、例えば、ナノ粒子の中に捕捉され得、ナノ粒子の表面と会合させられ得(例えば、ナノ粒子の表面に吸着されるかもしくは結合される)、そして/または別の方法で様々な程度でナノ粒子と会合させられ得る(例えば、懸濁液中でナノ粒子と混合される、固体組成物中で、例えば、ナノ粒子と一緒に凍結乾燥されるなどして、ナノ粒子と混合される、など)。
本発明とともに使用される免疫アジュバントとしては、以下の1種類または複数の種類が挙げられるが、これらに限定されない:
(a.ミネラルを含む組成物)
アジュバントとしての使用に適しているミネラルを含む組成物としては、無機塩(例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩)が挙げられる。本発明には、無機塩(例えば、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など(例えば、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.and Newman,M.J.編)(New York:Plenum Press)1995,第8章および第9章を参照のこと)、または様々な無機化合物の混合物(例えば、リン酸塩アジュバントと水酸化物アジュバントの混合物(状況に応じて過剰量のリン酸塩が含まれる))が挙げられ、任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり、塩(単数または複数)に吸着させられた化合物が好ましい。ミネラルを含む組成物はまた、金属塩の粒子としても処方され得る(WO00/23105)。
アルミニウム塩は、Al3+の量が1用量あたり0.2mg〜1.0mgの間となるように、本発明のワクチンに含められ得る。
1つの実施形態においては、本発明で使用されるアルミニウム系アジュバントは、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO))またはミョウバン誘導体(例えば、リン酸塩緩衝液中の抗原をミョウバンと混合し、続いて水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムのような塩基で滴定し、そして沈殿させることによってインサイチュで形成させられるもの)である。
本発明のワクチン処方物において使用される別のアルミニウム系アジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH))または結晶状のオキシ水酸化物アルミニウム(AlOOH)(これは、優れた吸着剤(adsorbant)であり、およそ500m/gの表面積を有している)である。別の実施形態においては、アルミニウム系アジュバントは、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO)またはヒドロキシリン酸アルミニウム(これには、水酸化アルミニウムアジュバントのヒドロキシル基の一部または全ての代わりにリン酸基が含まれる)である。本明細書中で提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは非晶質であり、酸性媒体、塩基性媒体、および中性媒体に可溶性である。
別の実施形態においては、アジュバントには、リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの両方が含まれる。そのさらに具体的な実施形態においては、アジュバントには、水酸化アルミニウムより多量のリン酸アルミニウムが含まれ、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または9:1より大きい水酸化アルミニウムに対するリン酸アルミニウムの重量比で含まれる。別の実施形態においては、アルミニウム塩は、ワクチン中にワクチン1用量あたり0.4mg〜1.0mg、またはワクチン1用量あたり0.4mg〜0.8mg、またはワクチン1用量あたり0.5mg〜0.7mg、またはワクチン1用量あたり約0.6mgで存在する。
一般的には、好ましいアルミニウム系アジュバント(単数または複数)、または複数のアルミニウム系アジュバントの好ましい比(例えば、水酸化アルミニウムに対するリン酸アルミニウムの比)は、抗原が所望されるpHでアジュバントと反対の電荷を持つように、分子間での静電気引力の最適化によって選択される。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(iep=4)は、pH7.4でリゾチームを吸着するが、アルブミンは吸着しない。アルブミンが標的であるならば、水酸化アルミニウムアジュバントが選択されるであろう(iep 11.4)。あるいは、水酸化アルミニウムのリン酸塩での前処理によりその等電点が下がり、それによって、これがより塩基性の抗原についての好ましいアジュバントとなる。
(b.オイルエマルジョン(Oil−Emulsions))
アジュバントとしての使用に適しているオイルエマルジョン組成物および処方物(ムラミルペプチドもしくは細菌の細胞壁成分のような他の特異的な免疫賦活剤を含むかまたはそれらを含まないもの)としては、スクワレン−水エマルジョン(例えば、MF59(5%のスクワレン、0.5%のTween 80、および0.5%のSpan 85で、マイクロフルイダイザーを使用して1ミクロン未満の粒子になるように処方されたもの)が挙げられる。WO90/14837を参照のこと。Podda(2001)Vaccine 19:2673−2680;Freyら(2003)Vaccine 21:4234−4237もまた参照のこと。MF59は、FLUAD(商標)インフルエンザウイルス3価サブユニットワクチンにおいてアジュバントとして使用されている。
組成物中で使用される特に好ましいオイルエマルジョンアジュバントは、1ミクロン未満の水中油型エマルジョンである。本明細書中での使用に好ましい1ミクロン未満の水中油型エマルジョンは、状況に応じて様々な量のMTP−PEを含むスクワレン/水エマルジョンであり、例えば、4%w/v〜5%w/vのスクワレン、0.25%w/v〜1.0%w/vのTween 80(商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および/または0.25%〜1.0%のSpan 85(商標)(ソルビタントリオレエート)、および状況に応じてN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む1ミクロン未満の水中油型エマルジョン(例えば、「MF59」として知られている1ミクロン未満の水中油型エマルジョンである(WO90/14837;米国特許第6,299,884号;米国特許第6,451,325号;およびOttら、「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant
for Human Vaccines」,Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.and Newman,M.J.編)(New York:Plenum Press)1995,277−296頁)。MF59には、4%w/v〜5%w/vのスクワレン(例えば、4.3%)、0.25%w/v〜0.5%w/vのTween 80(商標)、および0.5%w/vのSpan 85(商標)が含まれており、そして状況に応じて、様々な量のMTP−PEも含まれ、マイクロフルイダイザー(例えば、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics,Newton,MA))を使用して1ミクロン未満の粒子に処方される。例えば、MTP−PEは、約0μg/用量〜500μg/用量、より好ましくは0μg/用量〜250μg/用量、そして最も好ましくは0μg/用量〜100μg/用量の量で存在し得る。本明細書中で使用される場合は、用語「MF59−0」は、MTP−PEを含まない上記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンをいい、一方、用語MF59−MTPは、MTP−PEを含む処方物を示す。例えば、「MF59−100」には、1用量あたり100μgのMTP−PEが含まれるなどである。本明細書中で使用される別の1ミクロン未満の水中油型エマルジョンであるMF69には、4.3%w/vのスクワレン、0.25%w/vのTween 80(商標)、および0.75%w/vのSpan 85(商標)、および状況に応じてMTP−PEが含まれている。なお別の1ミクロン未満の水中油型エマルジョンはMF75(SAFとしても知られている)であり、これには10%のスクワレン、0.4%のTween 80(商標)、5%のプルロニックブロックポリマー(pluronic−blocked polymer)L121、およびthr−MDPが含まれており、これもまた1ミクロン未満のエマルジョンにマイクロフルイダイズされている。MF75−MTPは、MTP(例えば、1用量あたり100μg〜400μgのMTP−PE)を含むMF75処方物を示す。
上記組成物において使用される1ミクロン未満の水中油型エマルジョン、この1ミクロン未満の水中油型エマルジョンを作製する方法および免疫賦活剤(例えば、ムラミルペプチド)については、WO90/14837;米国特許第6,299,884号;および米国特許第6,451,325号に詳細に記載されている。
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。
(c.サポニン処方物)
サポニン処方物もまた、本発明においてアジュバントとしての使用に適している。サポニンは、広い範囲の植物の種の樹皮、葉、茎、根、およびさらに花において見られる、ステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種(heterologous)グループである。Quillaia saponaria Molinaの樹の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広く研究されてきた。Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(ブライダルベール(brides veil))、およびSaponaria officianalis(サボンソウ)由来のサポニンもまた、商業的に入手することができる。サポニンアジュバント処方物としては、精製された処方物(例えば、QS21)、および脂質処方物(例えば、ISCOM)が挙げられる。サポニンアジュバント処方物としては、STIMULON(登録商標)アジュバント(Antigenics,Inc.,Lexington,MA)が挙げられる。サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を使用して精製されている。これらの技術を使用して精製される特異的な画分が同定されており、このような画分としては、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが挙げられる。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生産方法は米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン処方物にはまた、ステロール(例えば、コレステロール)も含まれ得る(WO96/33739を参照のこと)。
サポニンとコレステロールとの組合せは、免疫刺激複合体(ISCOM)とよばれる独特の粒子を形成させるために使用され得る。ISCOMにはまた、典型的には、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン)が含まれる。任意の公知のサポニンが、ISCOMの中で使用され得る。好ましくは、このISCOMには、Quil A、QHA、およびQHCのうちの一種以上が含まれる。ISCOMは、EP 0 109 942、WO96/11711、およびWO96/33739の中でさらに記載されている。状況に応じて、ISCOMSはさらなる界面活性剤(単数または複数)を含んでいなくても良い。WO00/07621を参照のこと。
サポニンをベースとするアジュバントの開発についての総説は、Barrら(1998)Adv.Drug Del.Rev.32:247−271に見ることができる。Sjolanderら(1998)Adv.Drug Del.Rev.32:321−338もまた参照のこと。
(d.ヴィロソームおよびウイルス様粒子(VLP))
ヴィロソームおよびウイルス様粒子(VLP)もまたアジュバントとして適している。これらの構造には、一般的には、状況に応じてリン脂質と組み合わされたかまたはリン脂質と一緒に処方された、ウイルスに由来する一種類または複数の種類のタンパク質が含まれる。これらの構造は、一般的には非病原性であり、複製せず、そしてこれには一般的には、いずれの天然のウイルスゲノムも含まれない。このウイルスタンパク質は組換えによって生産される場合があり、また、完全なウイルスから単離される場合もある。ヴィロソームまたはVLPにおける使用に適しているこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス由来のタンパク質(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス由来のタンパク質(例えば、コアタンパク質またはキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス由来のタンパク質、麻疹ウイルス由来のタンパク質、シンドビスウイルス由来のタンパク質、ロタウイルス由来のタンパク質、口蹄疫ウイルス由来のタンパク質、レトロウイルス由来のタンパク質、ノーウォークウイルス由来のタンパク質、ヒトパピローマウイルス由来のタンパク質、HIV由来のタンパク質、RNAファージ由来のタンパク質、Qβファージ由来のタンパク質(例えば、コートタンパク質)、GAファージ由来のタンパク質、frファージ由来のタンパク質、AP205ファージ由来のタンパク質、およびTy由来のタンパク質(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質pl)が挙げられる。VLPは、WO03/024480;WO03/024481;Niikuraら(2002)Virology 293:273−280;Lenzら(2001)J.Immunol.166(9):5346−5355;Pintoら(2003)J.Infect.Dis.188:327−338;およびGerberら(2001)J.Virol.75(10):4752−4760の中でさらに議論されている。ヴィロソームは、例えば、Gluckら(2002)Vaccine 20:B10−B16の中でさらに議論されている。免疫増強性の再構成されたインフルエンザヴィロソーム(Immunopotentiating reconstituted influenza virosome(IRIV))は、鼻腔内用で三価のINFLEXAL(商標)製品(Mischler and Metcalfe(2002)Vaccine 20 補遺5:B17−23)、およびINFLUVAC PLUS(商標)製品において、サブユニット抗原送達システムとして使用される。
(e.細菌性誘導体または微生物性誘導体)
本発明での使用に適しているアジュバントとしては、以下のような、細菌性誘導体または微生物性誘導が挙げられる。
(1)腸内細菌のリポ多糖(LPS)の非毒性誘導体:このような誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3脱−O−アシル化されたモノホスホリルリピドAと、4アシル化鎖、5アシル化鎖、または6アシル化鎖との混合物である。3脱−O−アシル化されたモノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」形態は、EP 0 689 454に開示されている。3dMPLのこのような「小粒子」は、0.22ミクロンのメンブレン(EP 0 689 454を参照のこと)を通して濾過滅菌されるほどに十分に小さい。他の非毒性LPS誘導体としては、モノホスホリルリピドA模倣物(mimic)(例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC−529))が挙げられる。Johnsonら、(1999)、Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2273−2278を参照のこと。
(2)リピドA誘導体:リピドA誘導体としては、Escherichia coli由来のリピドAの誘導体(例えば、OM−174)が挙げられる。OM−174は、例えば、Meraldiら(2003)Vaccine 21:2485−2491;およびPajakら(2003)Vaccine 21:836−842に記載されている。
(3)免疫賦活性オリゴヌクレオチド:本発明においてアジュバントとしての使用に適している免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはポリマー分子としては、CpGモチーフ(メチル化されていないシトシンと、それに続くグアノシンを含み、リン酸結合によって連結された配列)を含むヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム配列もしくはポリ(dG)配列を含む細菌の二本鎖RNA、またはパリンドローム配列もしくはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチドもまた、免疫賦活性があることが示されている。CpG’sには、ヌクレオチド修飾/ヌクレオチドアナログ(例えば、ホスホロチオエート修飾)が含まれ得、そしてCpG’sは二本鎖でも、また一本鎖でもあり得る。状況に応じて、上記グアノシンは、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンのようなアナログで置換され得る。可能なアナログでの置換の例については、Kandimallaら(2003)Nucl.Acids Res.31(9):2393−2400;WO02/26757;およびWO99/62923を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg(2003)Nat.Med.9(7):831−835;McCluskieら(2002)FEMS Immunol.Med.Microbiol.32:179−185;WO98/40100;米国特許第6,207,646号;米国特許第6,239,116号;および米国特許第6,429,199号の中でさらに議論されている。上記CpG配列は、TLR9に特異的であり得る(例えば、モチーフGTCGTTまたはモチーフTTCGTT)。Kandimallaら(2003)Biochem.Soc.Trans.31(第3部):654−658を参照のこと。上記CpG配列は、Th1免疫応答を誘導することについて特異的であり得る(例えば、CpG−A
ODN)か、または上記CpG配列は、B細胞応答を誘導することについて、より特異的であり得る(例えば、CpG−B ODN)。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、Blackwellら(2003)J.Immunol.170(8):4061−4068;Krieg(2002)TRENDS Immunol.23(2):64−65;およびWO01/95935の中で議論されている。好ましくは、CpGは、CpG−A ODNである。
好ましくは、上記CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識に利用しやすいように構築される。状況に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列が、「イムノマー(immunomer)」が形成されるようにそれらの3’末端に結合させられ得る。例えば、Kandimallaら(2003)BBRC 306:948−953;Kandimallaら(2003)Biochem.Soc.Trans.31(第3部):664−658;Bhagatら(2003)BBRC 300:853−861;およびWO03/035836を参照のこと。
免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびポリマー分子にはまた、別のポリマー骨格構造(例えば、ポリビニル骨格(Pithaら(1970)Biochem.Biophys.Acta 204(1):39−48;Pithaら(1970)Biopolymers 9(8):965−977)およびモルホリノ骨格(米国特許第5,142,047号;米国特許第5,185,444号)であるが、これらに限定されない)が含まれる。様々な他の電荷を持つポリヌクレオチドアナログおよび電荷を持たないポリヌクレオチドアナログが当該分野で公知である。多数の骨格修飾が当該分野で公知であり、これには、電荷を持たない結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、およびカルバメート)、ならびに電荷を持つ結合(例えば、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエート)が含まれるが、これらに限定されない。
(4)ADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体:細菌のADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体が、本発明においてアジュバントとして使用され得る。好ましくは、このタンパク質は、E.coliに由来する(すなわち、E.coliの熱不安定性のエンテロトキシン(「LT」))か、コレラに由来する(「CT」)か、または百日咳(「PT」)に由来する。粘膜アジュバントとしての無毒化されたADPリボシル化毒素の使用は、WO95/17211に記載されており、そしてWO98/42375には非経口アジュバントとして記載されている。好ましくは、このアジュバントは、無毒化LT突然変異体(例えば、LT−K63、LT−R72、およびLTR192G)である。アジュバントとしてのADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体(特に、LT−K63およびLT−R72)の使用は、以下の参考文献の中に見ることができる:Beignonら(2002)Infect.Immun.70(6):3012−3019;Pizzaら(2001)Vaccine 19:2534−2541;Pizzaら(2000)Int.J.Med.Microbiol.290(4−5):455−461;Scharton−Kerstenら(2000)Infect.Immun.68(9):5306−5313;Ryanら(1999)Infect.Immun.67(12):6270−6280;Partidosら(1999)Immunol.Lett.67(3):209−216;Peppoloniら(2003)Vaccines 2(2):285−293;およびPineら(2002)J.Control Release 85(1−3):263−270。アミノ酸置換についての数字の参照記号は、好ましくは、Domenighiniら(1995)Mol.Microbiol.15(6):1165−1167の中に示されているADPリボシル化毒素のAサブユニットとBサブユニットのアラインメントに基づく。
(f.生体接着因子および粘膜接着因子)
生体接着因子および粘膜接着因子もまたアジュバントとして使用され得る。適している生体接着因子としては、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア(Singhら、(2001)J.Cont.Release 70:267−276)、または粘膜接着因子(例えば、ポリアクリル酸の架橋型誘導体、ポリビニルアルコールの架橋型誘導体、ポリビニルピロリドンの架橋型誘導体、多糖類の架橋型誘導体、およびカルボキシメチルセルロースの架橋型誘導体)が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る(WO99/27960を参照のこと)。
(g.リポソーム)
アジュバントとしての使用に適しているリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、米国特許第5,916,588号、および欧州特許公開番号EP 0 626 169に記載されている。
(h.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明での使用に適しているアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる(例えば、WO99/52549を参照のこと)。このような処方物としてはさらに、オクトキシノールと組み合わされたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(WO01/21207)、ならびに、少なくとも1種のさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトキシノール)と組み合わされたポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤またはポリオキシエチレンアルキルエステル界面活性剤(WO01/21152)が挙げられる。
好ましいポリオキシエチレンエーテルは以下の群より選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル(polyoxytheylene−8−steoryl ether)、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
(i.ポリホスファゼン(PCPP))
アジュバントとしての使用に適しているPCPP処方物は、例えば、Andrianovら(1998)Biomaterials 19(1−3):109−115;およびPayneら(1998)Adv.Drug Del.Rev.31(3):185−196に記載されている。
(j.ムラミルペプチド)
アジュバントとしての使用に適しているムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(ノル−MDP)、およびN−アセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホルホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)が挙げられる。
(k.イミダゾキノリン化合物)
アジュバントとしての使用に適しているイミダゾキノリン化合物の例としては、イミキモドおよびそのアナログが挙げられる。これらは、Stanley(2002)Clin.Exp.Dermatol.27(7):571−577;Jones(2003)Curr.Opin.Investig.Drugs 4(2):214−218;ならびに米国特許第4,689,338号;同第5,389,640号;同第5,268,376号;同第4,929,624号;同第5,266,575号;同第5,352,784号;同第5,494,916号;同第5,482,936号;同第5,346,905号;同第5,395,937号;同第5,238,944号;および同第5,525,612号の中でさらに記載されている。
好ましいイミダゾキノリンは、式
のイミダゾキノリン{式中、RとRは、独立して、水素、1個〜10個の炭素原子のアルキル、1個〜10個の炭素原子のヒドロキシアルキル、1個〜10個の炭素原子のアルコキシアルキル、アシルオキシアルキル(ここで、アシルオキシ部分は1個〜5個の炭素原子のアルカノイルオキシまたはベンジルオキシであり、アルキル部分は1個〜6個の炭素原子を含む)、
(式中、RとRは、独立して、水素、および1個〜10個の炭素原子のアルキルからなる群より選択される)、ベンジル、(フェニル)エチルおよびフェニルからなる群より選択される(ここで、ベンジル、(フェニル)エチル、またはフェニル置換基が、状況に応じて、1個〜4個の炭素原子のアルキル、1個〜4個の炭素原子のアルコキシ、およびハロゲンからなる群より独立して選択される1つまたは2つの部分によってベンゼン環上で置換される)}である。上記のアルキル基は、直鎖状、分岐状、および/または環状であり得る。本発明の実施に特に好ましいイミダゾキノリンとしては、イミキモド、レシキモド、および
が挙げられ、これらのうちの後者のものは、本明細書中では「イミダゾキノリン090」とも呼ばれる。例えば、Valianteらの国際特許公開番号WO2006/031878およびSuttonらの国際特許公開番号WO2007/109810を参照のこと。
(l.チオセミカルバゾン化合物)
アジュバントとしての使用に適しているチオセミカルバゾン化合物の例、ならびにそのような化合物についての処方、製造、およびスクリーニング方法の例としては、WO04/60308に記載されるものが挙げられる。上記チオセミカルバゾンは、サイトカイン(例えば、TNF−α)の産生ためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
(m.トリプタントリン化合物)
アジュバントとしての使用に適しているトリプタントリン化合物の例、ならびにそのような化合物についての処方、製造、およびスクリーニング方法の例としては、WO04/64759に記載されるものが挙げられる。上記トリプタントリン化合物は、サイトカイン(例えば、TNF−α)の産生ためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
(n.ヒト免疫調節因子)
アジュバントとしての使用に適しているヒト免疫調節因子としては、サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、および腫瘍壊死因子(TNF))が挙げられる。
本発明にはまた、上記で特定された1種類または複数の種類のアジュバントの複数の局面の組み合わせも含まれ得る。例えば、以下のアジュバント組成物が、本発明において使用され得る:
(1)サポニンおよび水中油型エマルション(WO99/11241);
(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(WO94/00153を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(状況に応じて、+ステロール)(WO98/57659);
(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルションとの組み合わせ(EP 0 835 318、EP 0 735 898、およびEP 0 761
231を参照のこと);
(6)SAF(10%のスクワレン、0.4%のTween 80、5%のプルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含み、サブミクロンエマルション中にマイクロフルイダイズされるか、またはボルテックスされるかのいずれかによってより大きい粒径のエマルションを生じる);
(7)Ribi(商標)アジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem,Hamilton,MT)(2%のスクワレン、0.2%のTween 80、ならびにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくは、MPL+CWS(Detox(商標))からなる群から1種類または複数の種類の細菌細胞壁成分を含む);
(8)1種類または複数の種類の無機塩類(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dPML);
(9)1種類または複数の種類の無機塩類(例えば、アルミニウム塩)+免疫賦活性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
(3.抗原)
上記で示されたように、1種類または複数の種類の抗原が、状況に応じて本発明の組成物中に提供され得る。抗原は、いくつかの可能性がある中で、ナノ粒子の中に捕捉され得、ナノ粒子の表面と会合させられ得(例えば、ナノ粒子の表面に吸着されるか、もしくは表面に結合される)、そして/または別の方法で様々な程度でナノ粒子と会合させられ得る(例えば、懸濁液の中でナノ粒子と混合される、固体組成物の中で、例えば、ナノ粒子と一緒に凍結乾燥されるなどして、ナノ粒子と混合される、など)。
個々の抗原は、有効量(例えば、本発明の治療方法、予防方法、または診断方法での使用についての有効量)で提供され得る。例えば、本発明の組成物は、以下に列挙される任意の病原体によって引き起こされる感染を処置または予防するために使用され得る。
本発明で使用される抗原としては、以下に示される以下の抗原の1種類または複数の種類、あるいは以下に示される病原体の1種類または複数の種類に由来する抗原が挙げられるが、これらに限定されない:
(a.細菌抗原)
本発明での使用に適している細菌抗原としては、細菌から単離され得るか、細菌から精製され得るか、または細菌に由来し得る、タンパク質、多糖類、リポ多糖、および外膜小胞が挙げられる。さらに、細菌抗原としては、細菌溶解物および不活化された細菌の処方物が挙げられ得る。細菌抗原は、組換え発現によって生産され得る。細菌抗原には、好ましくは、その生活環の少なくとも1つの段階の間にその細菌の表面上に露出されるエピトープが含まれる。細菌抗原は、好ましくは、複数の血清型にわたって保存される。細菌抗原としては、以下に示される細菌の1種類または複数の種類に由来する抗原、ならびに以下に特定される特定の抗原の例が挙げられる。
Neisseria meningitides:髄膜炎抗原としては、A、C、W135、Y、および/もしくはBのような血清群のN.meningitidesから精製されたか、またはそのような血清群のN.meningitidesに由来するタンパク質(例えば、WO99/24578;WO99/36544;WO99/57280;WO00/22430;Tettelinら(2000)Science 287:1809−1815;WO96/29412;およびPizzaら(2000)Science 287:1816−1820に同定されているもの)、糖(多糖、オリゴ糖、またはリポ多糖を含む)、あるいは外膜小胞(WO01/52885;Bjuneら(1991)Lancet 338(8775):1093−1096;Fuskasawaら(1999)Vaccine 17:2951−2958;およびRosenqistら(1998)Dev.Biol.Strand 92:323−333)が挙げられる。髄膜炎タンパク質抗原は、接着因子(adhesion)、自己輸送体(autotransporter)、毒素、Fe捕捉タンパク質、および膜結合タンパク質(好ましくは、外膜内在性タンパク質)から選択され得る。
Streptococcus pneumoniae:Streptococcus pneumoniae抗原としては、Streptococcus pneumoniae由来の糖(多糖またはオリゴ糖を含む)および/またはタンパク質が挙げられる。糖抗原は、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、および33Fから選択され得る。タンパク質抗原は、WO98/18931;WO98/18930;米国特許第6,699,703号;米国特許第6,800,744号;WO97/43303;およびWO97/37026の中で同定されているタンパク質から選択され得る。Streptococcus pneumoniaeタンパク質は、ポリヒスチジン三連構造(Poly Histidine Triad)ファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpX短縮型(truncate)、LytXファミリー、LytX短縮型、CbpX短縮型−LytX短縮型キメラタンパク質、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125、またはSp133から選択され得る。
Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌):A群連鎖球菌抗原としては、WO02/34771およびWO2005/032582の中で同定されているタンパク質(GAS 40を含む)、GAS Mタンパク質の断片の融合体(WO02/094851、およびDale(1999)Vaccine 17:193−200、およびDale(1996)Vaccine 14(10):944−948に記載されているものを含む)、フィブロネクチン結合タンパク質(Sfb1)、連鎖球菌のヘム関連タンパク質(Shp)、およびストレプトリシンS(SagA)が挙げられ得る。
Moraxella catarrhalis:モラクセラ属抗原としては、WO02/18595およびWO99/58562の中で同定された抗原、外膜タンパク質抗原(HMW−OMP)、C抗原、ならびに/またはLPSが挙げられる。
Bordetella pertussis:百日咳抗原としては、B.pertussis由来の百日咳(petussis)ホロ毒素(PT)および線維状赤血球凝集素(FHA)が挙げられ、これらは、状況に応じてペルタクチンならびに/または凝集原2抗原および凝集原3抗原との組み合わせでもある。
Staphylococcus aureus:Staph aureus抗原としては、状況に応じて非毒性の組換体Pseudomonas aeruginosa菌体外毒素Aと結合体化されたS.aureusの5型および8型の莢膜多糖類(例えば、StaphVAX(商標))、および表面タンパク質に由来する抗原、インベーシン(ロイコシジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、食作用の飲み込みを阻害する表面因子(莢膜、プロテインA)、カロテノイド、カタラーゼ産生、プロテインA、コアグラーゼ、凝固因子、ならびに真核生物の細胞膜を溶解させる膜障害性毒素(状況に応じて無毒化される)(ヘモリシン、ロイコトキシン、ロイコシジン)が挙げられる。
Staphylococcus epidermis:S.epidermidis抗原としては、粘液関連抗原(SAA)が挙げられる。
Clostridium tetani(破傷風):破傷風抗原としては、破傷風トキソイド(TT)が挙げられ、これは、好ましくは、本発明の組成物と組み合わせて/本発明の組成物と結合された担体タンパク質として使用される。
Cornynebacterium diphtheriae(ジフテリア):ジフテリア抗原としては、ジフテリア毒素(好ましくは、無毒化される)(例えば、CRM197)が挙げられる。さらに、ADPリボシル化を調節できるか、ADPリボシル化を阻害できるか、またはADPリボシル化に関係し得る抗原が、本発明の組成物との組み合わせ/同時投与/結合体化について企図される。ジフテリアトキソイドは、担体タンパク質として使用され得る。
Haemophilus influenzae B(Hib):Hib抗原としては、Hib糖抗原が挙げられる。
Pseudomonas aeruginosa:シュードモナス属抗原としては、内毒素A、Wzzタンパク質、P.aeruginosa LPS(より具体的には、PAO1(O5血清型)から単離されたLPS)、および外膜タンパク質(外膜タンパク質F(OprF)(Priceら(2001)Infect Immun.69(5):3510−3515)を含む)が挙げられる。
Legionella pneumophila:細菌抗原は、Legionella pneumophilaに由来し得る。
Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌):B群連鎖球菌抗原としては、タンパク質および糖抗原(例えば、WO02/34771、WO03/093306、WO04/041157、およびWO2005/002619の中で同定されたタンパク質または糖抗原(タンパク質GBS80、GBS104、GBS276およびGBS322を含み、さらに、血清型Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIIIに由来する糖抗原を含む))が挙げられる。
Neiserria gonorrhoeae:gonorrhoeae抗原としては、Por(すなわち、ポーリン)タンパク質(例えば、PorB(例えば、Zhuら(2004)Vaccine 22:660−669を参照のこと)、トランスフェリン結合タンパク質(transferring binding protein)(例えば、TbpAおよびTbpB(例えば、Priceら(2004)Infect.Immu.
71(1):277−283を参照のこと)、混濁タンパク質(例えば、Opa)、還元−改変可能タンパク質(Rmp)、および外膜小胞(OMV)調製物(例えば、Planteら(2000)J.Infect.Dis.182:848−855;WO99/24578、WO99/36544、WO99/57280、およびWO02/079243を参照のこと)が挙げられる。
Chlamydia trachomatis:Chlamydia trachomatis抗原としては、血清型A、B、Ba、およびC(トラコーマ(失明の原因)の因子である)に由来する抗原、血清型L、L、およびL(鼠径リンパ肉芽腫に関連する)に由来する抗原、ならびに血清型D〜Kに由来する抗原が挙げられる。Chlamydia trachomas抗原としてはまた、WO00/37494、WO03/049762、WO03/068811、およびWO05/002619の中で同定された抗原(PepA(CT045)、LcrE(CT089)、ArtJ(CT381)、DnaK(CT396)、CT398、OmpH様(CT242)、L7/L12(CT316)、OmcA(CT444)、AtosS(CT467)、CT547、Eno(CT587)、HrtA(CT823)、およびMurG(CT761)を含む)が挙げられる。
Treponema pallidum(梅毒):梅毒抗原としてはTmpA抗原が挙げられる。
Haemophilus ducreyi(軟性下疳を引き起こす):ducreyi抗原としては外膜タンパク質(DsrA)が挙げられる。
Enterococcus faecalisまたはEnterococcus faecium:抗原としては、三糖の繰り返しの抗原、または米国特許第6,756,361号の中で提供された他のエンテロコッカス属由来の抗原が挙げられる。
Helicobacter pylori:H pylori抗原としては、Cag抗原、Vac抗原、Nap抗原、HopX抗原、HopY抗原、およびウレアーゼ抗原が挙げられる。
Staphylococcus saprophyticus:抗原としては、S.saprophyticus抗原の160kDaのヘマグルチニンが挙げられる。
Yersinia enterocolitica:抗原としては、LPS(Xuら(2002)Infect.Immun.70(8):4414−4423)が挙げられる。
E.coli:E.coli抗原は、腸毒性E.coli(ETEC)、腸管凝集性E.coli(EAggEC)、均一付着性E.coli(DAEC)、腸病原性E.coli(EPEC)、または腸出血性E.coli(EHEC)に由来し得る。
Bacillus anthracis(炭疽):B.anthracis抗原は、状況に応じて無毒化され、そしてA成分(致死因子(LF)および浮腫因子(EF)(これらはいずれも、保護抗原(PA)として公知である共通のB成分を共通して有し得る))から選択され得る。特定の実施形態においては、本発明の組成物には、炭疽抗原は含まれない。
Yersinia pestis(ペスト):ペスト抗原としては、F1莢膜抗原(Gosfeldら(2003)Infect.Immun.71(1):374−383)、LPS(Fieldsら(1999)Infect.Immun.67(10):5395−5408)、Yersinia pestis V抗原(Hillら(1997)Infect.Immun.65(11):4476−4482)が挙げられる。
Mycobacterium tuberculosis:結核抗原としては、リポタンパク質抗原、LPS抗原、BCG抗原、状況に応じて陽イオン性脂質小胞に処方される、抗原85B(Ag85B)とESAT−6との融合タンパク質(Olsenら(2004)Infect.Immun.72(10):6148−6150)、Mycobacterium tuberculosis(Mtb)のイソクエン酸デヒドロゲナーゼ結合抗原(Banerjeeら(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12652−12657)、およびMPT51抗原(Suzukiら(2004)Infect.Immun.72(7):3829−3837)が挙げられる。
Rickettsia:抗原としては、外膜タンパク質(外膜タンパク質Aおよび/または外膜タンパク質B(OmpB)(Chaoら(2004)Biochim.Biophys.Acta.1702(2):145−152)を含む)、LPS、ならびに表面タンパク質抗原(SPA)(Carlら(1989)J.Autoimmun.第2補遺:81−91)が挙げられる。
Listeria monocytogenes:細菌抗原は、Listeria monocytogenesに由来し得る。
Chlamydia pneumoniae:抗原としては、WO02/02606の中で同定された抗原が挙げられる。
Vibrio cholerae:抗原としては、プロテイナーゼ抗原、LPS(特に、Vibrio cholerae IIのリポ多糖)、O1 Inaba O特異的多糖、V.cholera O139、IEM108ワクチンの抗原(Liangら(2003)Infect.Immun.71(10):5498−5504)、および閉鎖帯毒素(Zot)が挙げられる。
Salmonella typhi(腸チフス):抗原としては、莢膜多糖類(好ましくは、結合体(Vi、すなわち、vax−TyVi)が挙げられる。
Borrelia burgdorferi(ライム病):抗原としては、リポタンパク質(例えば、OspA、OspB、OspC、およびOspD)、他の表面タンパク質(例えば、OspE関連タンパク質(Erps))、デコリン結合タンパク質(例えば、DbpA)、および抗原性可変VIタンパク質(例えば、P39およびP13(膜内在性タンパク質、Noppaら(2001)Infect.Immun.69(5):3323−3334)に関連した抗原)、VlsE抗原バリエーションタンパク質(Lawrenzら(1999)J.Clin.Microbiol.37(12):3997−4004))が挙げられる。
Porphyromonas gingivalis:抗原としては、P.gingivalis外膜タンパク質(OMP)が挙げられる。
クレブシエラ属:抗原としては、OMP(OMP Aを含む)、および状況に応じて破傷風トキソイドに結合体化させられた多糖類が挙げられる。
他の細菌抗原としては、上記のうちの任意のものの莢膜抗原、多糖抗原、またはタンパク質抗原が挙げられる。さらなる細菌抗原としてはまた、外膜小胞(OMV)調製物が挙げられ得る。さらに、抗原としては、上記の細菌のうちの任意のものの生きたバージョン、弱毒化されたバージョン、および/または精製されたバージョンが挙げられる。抗原は、グラム陰性細菌に由来し得るか、またはグラム陽性細菌に由来し得る。抗原は、好気性細菌に由来し得るか、または嫌気性細菌に由来し得る。
さらに、上記の細菌由来の糖類のうちの任意のもの(多糖類、LPS、LOS、またはオリゴ糖)を、別の物質または別の抗原(例えば、担体タンパク質(例えば、CRM197))に結合させることができる。このような結合は、米国特許第5,360,897号およびRoyら(1984)Can.J.Biochem.Cell Biol.62(5):270−275の中で提供されているような、タンパク質上のアミノ基への糖上のカルボニル部分の還元的アミノ化によって行われる直接的な結合であり得る。別の実施形態においては、これらの糖類は、例えば、サクシンアミド結合、またはHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques、第1版,Academic Press(1996)およびWong,S.S.,CRC、Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking、第1版,CRC−Press(1991)の中で提供されている他の結合を用いて、リンカーを介して結合体化させられ得る。
(b.ウイルス抗原)
本発明での使用に適しているウイルス抗原としては、不活化(または死滅)ウイルス処方物、弱毒化ウイルス処方物、スプリットウイルス(split virus)処方物、精製されたサブユニット処方物、ウイルスタンパク質(これは、ウイルスから単離され得るか、ウイルスから精製され得るか、またはウイルスに由来し得るウイルスタンパク質)、およびウイルス様粒子(VLP)が挙げられる。ウイルス抗原は、細胞培養または他の培養基で増殖されたウイルスに由来し得るか、あるいは、ウイルス抗原は組換え発現され得る。ウイルス抗原は、好ましくは、その生活環の少なくとも1つの段階の間にそのウイルスの表面に露出されるエピトープを含む。ウイルス抗原は、好ましくは、複数の血清型または複数の単離物にまたがって保存される。ウイルス抗原としては、以下に示されるウイルスの1つ以上に由来する抗原、および以下で同定される特定の抗原の例が挙げられる。
オルトミクソウイルス:ウイルス抗原は、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびインフルエンザC型)に由来し得る。オルトミクソウイルス抗原は、1種類または複数の種類のウイルスタンパク質(ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、マトリックスタンパク質(M1)、膜タンパク質(M2)、1種類または複数の種類の転写酵素成分(PB1、PB2、およびPA)を含む)から選択され得る。好ましい抗原としては、HAおよびNAが挙げられる。
インフルエンザ抗原は、前流行期にある(interpandemic)(年次(annual))のflu株に由来し得る。インフルエンザ抗原は、感染の世界的大流行を引き起こす可能性がある株(すなわち、現在流行している株のヘマグルチニンと比較して新しいヘマグルチニンを持つインフルエンザ株、または鳥類において病原性であり、かつヒト集団にも水平伝染する可能性があるインフルエンザ株、またはヒトに対して病原性であるインフルエンザ株)に由来し得る。インフルエンザ抗原は、卵または細胞培養物の中で増殖させられたウイルスに由来し得る。
パラミクソウイルス科ウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス科のウイルス(例えば、肺炎ウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、および麻疹ウイルス(麻疹)に由来し得る。
肺炎ウイルス:ウイルス抗原は、肺炎ウイルス(例えば、RSウイルス(RSV)、ウシRSウイルス、マウスの肺炎ウイルス、およびシチメンチョウの鼻気管炎ウイルス)に由来し得る。好ましくは、肺炎ウイルスはRSVである。肺炎ウイルス抗原は、以下のタンパク質のうちの1種類または複数の種類から選択され得る:これには、表面タンパク質融合体(F)、糖タンパク質(G)および低分子疎水性タンパク質(SH)、マトリックスタンパク質MおよびM2、ヌクレオキャプシドタンパク質N、P、およびL、ならびに非構造タンパク質NS1およびNS2が含まれる。好ましい肺炎ウイルス抗原としては、F、G、およびMが挙げられる。例えば、Johnstoneら(2004)J.Gen.Virol.85(Pt 11):3229−3238を参照のこと。肺炎ウイルス抗原はまた、キメラウイルスの形に処方される場合があり、また、キメラウイルスに由来する場合もある。例えば、キメラRSV/PIVウイルスには、RSVおよびPIVの両方の成分が含まえ得る。
パラミクソウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス1型〜4型(PIV)、おたふく風邪(Mumps)、センダイウイルス、シミアンウイルス5、ウシパラインフルエンザウイルス、およびニューカッスル病ウイルス)に由来し得る。好ましくは、パラミクソウイルスは、PIVまたはおたふく風邪である。パラミクソウイルス抗原は、以下のタンパク質の1種類または複数の種類から選択され得る:ヘマグルチニンノイラミニダーゼ(HN)、融合タンパク質F1およびF2、核タンパク質(NP)、リンタンパク質(P)、大(large)タンパク質(L)、ならびにマトリックスタンパク質(M)。好ましいパラミクソウイルスタンパク質としては、HN、F1、およびF2が挙げられる。パラミクソウイルス抗原はまた、キメラウイルスの形に処方される場合があり、またキメラウイルスに由来する場合もある。例えば、キメラRSV/PIVウイルスには、RSVとPIVの両方の成分が含まれ得る。市販されているおたふく風邪ワクチンとしては、一価の形態、または麻疹・風疹ワクチン(MMR)との組み合わせのいずれかにおける、生きた弱毒化されたおたふく風邪ウイルスが挙げられる。
麻疹ウイルス(Morbillivirus):ウイルス抗原は、麻疹ウイルス(例えば、麻疹(Measles))に由来し得る。麻疹ウイルス抗原は、以下のタンパク質の1種類または複数の種類から選択され得る:ヘマグルチニン(H)、糖タンパク質(G)、融合因子(F)、大タンパク質(L)、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼリンタンパク質(P)、およびマトリックス(M)。市販されている麻疹ワクチンとしては、典型的には、おたふく風邪・風疹(MMR)との組み合わせにおける、生きた弱毒化された麻疹ウイルスが挙げられる。
ピコルナウイルス:ウイルス抗原は、ピコルナウイルス(例えば、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス(Heparnavirus)、カルジオウイルスおよびアフトウイルス)に由来し得る。エンテロウイルス(例えば、ポリオウイルス)に由来する抗原が好ましい。
エンテロウイルス:ウイルス抗原は、エンテロウイルス(例えば、ポリオウイルス1型、2型、または3型、コクサッキーAウイルス1型〜22型および24型、コクサッキーBウイルス1型〜6型、エコーウイルス(ECHOウイルス)1型〜9型、エコーウイルス11型〜27型、およびエコーウイルス29型〜34型、ならびにエンテロウイルス68〜71型)に由来し得る。好ましくは、上記エンテロウイルスはポリオウイルスである。エンテロウイルス抗原は、好ましくは、カプシドタンパク質VP1、VP2、VP3、およびVP4の1種類または複数の種類から選択される。市販されているポリオワクチンとしては、不活化ポリオワクチン(IPV)および経口ポリオウイルスワクチン(OPV)が挙げられる。
ヘパルナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパルナウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス(HAV))に由来し得る。市販されているHAVワクチンとしては不活化HAVワクチンが挙げられる。
トガウイルス:ウイルス抗原は、トガウイルス(例えば、ルビウイルス、アルファウイルス、またはアルテリウイルス)に由来し得る。ルビウイルス(例えば、風疹ウイルス)に由来する抗原が好ましい。トガウイルス抗原は、E1、E2、E3、C、NSP−1、NSPO−2、NSP−3、およびNSP−4から選択され得る。トガウイルス抗原は、好ましくは、E1、E2、およびE3から選択される。市販されている風疹ワクチンとしては、典型的には、おたふく風邪・麻疹ワクチン(MMR)との組み合わせにおける、生きた低温順応性ウイルスが挙げられる。
フラビウイルス:ウイルス抗原は、フラビウイルス(例えば、ダニ媒介脳炎(TBE)ウイルス、デング熱ウイルス(1型、2型、3型、または4型)、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイル脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ポーワッサン脳炎ウイルス)に由来し得る。フラビウイルス抗原は、PrM、M、C、E、NS−1、NS−2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b、およびNS5から選択され得る。フラビウイルス抗原は、好ましくは、PrM、M、およびEから選択される。市販されているTBEワクチンとしては、不活化ウイルスワクチンが挙げられる。
ペスチウイルス:ウイルス抗原は、ペスチウイルス(例えば、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、古典的な豚コレラウイルス(CSFV)、またはボーダー病ウイルス(BDV))に由来し得る。
ヘパドナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)に由来し得る。ヘパドナウイルス抗原は、表面抗原(L、M、およびS)、コア抗原(HBc、HBe)から選択され得る。市販されているHBVワクチンとしては、表面抗原Sタンパク質を含むサブユニットワクチンが挙げられる。
C型肝炎ウイルス:ウイルス抗原は、C型肝炎ウイルス(HCV)に由来し得る。HCV抗原は、E1、E2、E1/E2、NS345ポリタンパク質、NS345−コアポリタンパク質、コア、および/または非構造領域由来のペプチド(Houghtonら(1991)Hepatology 14:381−388)のうちの1種類あるいは複数の種類から選択され得る。
ラブドウイルス:ウイルス抗原は、ラブドウイルス(例えば、リッサウイルス(狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV))に由来し得る。ラブドウイルス抗原は、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、大タンパク質(L)、および非構造タンパク質(NS)から選択され得る。市販されている狂犬病ウイルスワクチンには、ヒト二倍体細胞または胎仔アカゲザル肺細胞上で増殖させられた死滅ウイルスが含まれる。
カリシウイルス科;ウイルス抗原は、カリシウイルス科(例えば、ノーウォークウイルス、およびノーウォーク様ウイルス(例えば、ハワイウイルスおよびスノーマウンテンウイルス))に由来し得る。
コロナウイルス:ウイルス抗原は、コロナウイルス、SARS、ヒト呼吸器コロナウイルス、トリ感染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)に由来し得る。コロナウイルス抗原は、スパイク(S)、エンベロープ(E)、マトリックス(M)、ヌクレオキャプシド(N)、およびヘマグルチニン−エステラーゼ糖タンパク質(HE)から選択され得る。好ましくは、コロナウイルス抗原はSARSウイルスに由来する。SARSウイルス抗原は、WO04/92360に記載されている。
レトロウイルス:ウイルス抗原は、レトロウイルス(例えば、オンコウイルス、レンチウイルス、またはスプマウイルス)に由来し得る。オンコウイルス抗原は、HTLV−1、HTLV−2、またはHTLV−5に由来し得る。レンチウイルス抗原は、HIV−1またはHIV−2に由来し得る。レトロウイルス抗原は、gag、pol、env、tax、tat、rex、rev、nef、vif、vpu、およびvprから選択され得る。HIV抗原は、gag(p24gagおよびp55gag)、env(gp160およびgp41)、pol、tat、nef、rev、vpu、小型タンパク質(好ましくは、p55gag欠失およびgp140v欠失)から選択され得る。HIV抗原は、以下の株のうちの1種類または複数の種類に由来し得る:HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−1US4
レオウイルス:ウイルス抗原は、レオウイルス(例えば、オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、またはコルチウイル)に由来し得る。レオウイルス抗原は、構造タンパク質λ1、λ2、λ3、μ1、μ2、σ1、σ2、もしくはσ3、または非構造タンパク質σNS、μNS、もしくはσ1sから選択され得る。好ましいレオウイルス抗原はロタウイルスに由来し得る。ロタウイルス抗原は、VP1、VP2、VP3、VP4(または分解産物VP5およびVP8)、NSP1、VP6、NSP3、NSP2、VP7、NSP4、またはNSP5から選択され得る。好ましいロタウイルス抗原としては、VP4(または分解産物VP5およびVP8)、ならびにVP7が挙げられる。
パルボウイルス:ウイルス抗原は、パルボウイルス(例えば、パルボウイルスB19)に由来し得る。パルボウイルス抗原は、VP−1、VP−2、VP−3、NS−1、およびNS−2から選択され得る。好ましくは、パルボウイルス抗原はキャプシドタンパク質VP−2である。
D型肝炎ウイルス(HDV):ウイルス抗原は、HDVに由来し得る(特に、HDV由来のδ−抗原)(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)。
E型肝炎ウイルス(HEV):ウイルス抗原は、HEVに由来し得る。
G型肝炎ウイルス(HGV):ウイルス抗原は、HGVに由来し得る。
ヒトヘルペスウイルス:ウイルス抗原は、ヒトヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8))に由来し得る。ヒトヘルペスウイルス抗原は、最初期タンパク質(α)、初期タンパク質(β)、および後期タンパク質(γ)から選択され得る。HSV抗原は、HSV−1株またはHSV−2株に由来し得る。HSV抗原は、糖タンパク質gB、gC、gD、およびgH、融合タンパク質(gB)、または免疫回避タンパク質(gC、gE、またはgI)から選択され得る。VZV抗原は、コアタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質、外被タンパク質、またはエンベロープタンパク質から選択され得る。弱毒化された生のVZVワクチンが市販されている。EBV抗原は、初期抗原(EA)タンパク質、ウイルスキャプシド抗原(VCA)、および膜抗原(MA)の糖タンパク質から選択され得る。CMV抗原は、キャプシドタンパク質、エンベロープ糖タンパク質(例えば、gBおよびgH)、ならびに外被タンパク質から選択され得る。
パポバウイルス:抗原は、パポバウイルス(例えば、パピローマウイルスおよびポリオーマウイルス)に由来し得る。パピローマウイルスとしては、HPV血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63、および65が挙げられる。好ましくは、HPV抗原は、血清型6、11、16、または18に由来する。HPV抗原は、キャプシドタンパク質(L1)および(L2)、もしくはキャプシドタンパク質E1〜E7、またはそれらの融合体から選択され得る。HPV抗原は、好ましくは、ウイルス様粒子(VLP)の形に処方される。ポリオーマウイルス(Polyomyavirus virus)としては、BKウイルスおよびJKウイルスが挙げられる。ポリオーマウイルス抗原は、VP1、VP2、またはVP3から選択され得る。
本発明で使用される他の抗原、組成物、方法、および微生物は以下に記載されている:Plotkin,S.A.ら、Vaccines,第4版,W.B.Saunders Co.(2004);Murray,P.R.ら、Medical Microbiology 第5版,Mosby Elsevier(2005);Joklik,W.K.(編),Virology,第3版,Appleton & Lange(1988);Howley,P.M.ら(編),Fundamental Virology,第4版,Lippincott Williams & Wilkins(1991);およびFields,B.N.ら(編),Fields Virology,第4版,Lippincott Williams & Wilkins(2001)。
(c.真菌抗原)
本発明で使用される真菌抗原は、以下に示される真菌のうちの1種類または複数の種類に由来し得る。
真菌抗原は皮膚糸状菌に由来し得、皮膚糸状菌としては以下が挙げられる:Epidermophyton floccusum、Microsporum audouini、Microsporum canis、Microsporum distortum、Microsporum equinum、Microsporum gypsum、Microsporum nanum、Trichophyton concentricum、Trichophyton equinum、Trichophyton gallinae、Trichophyton gypseum、Trichophyton
megnini、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton quinckeanum、Trichophyton rubrum、Trichophyton schoenleini、Trichophyton tonsurans、Trichophyton verrucosum、T.verrucosum var.album、var.discoides、var.ochraceum、Trichophyton violaceum、および/またはTrichophyton faviforme。
真菌病原体は、以下に由来し得る:Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、Aspergillus terreus、Aspergillus sydowi、Aspergillus flavatus、Aspergillus glaucus、Blastoschizomyces capitatus、Candida albicans、Candida enolase、Candida tropicalis、Candida glabrata、Candida krusei、Candida parapsilosis、Candida stellatoidea、Candida kusei、Candida parakwsei、Candida lusitaniae、Candida pseudotropicalis、Candida guilliermondi、Cladosporium carrionii、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatidis、Cryptococcus neoformans、Geotrichum clavatum、Histoplasma capsulatum、Klebsiella pneumoniae、Paracoccidioides brasiliensis、Pneumocystis carinii、Pythiumn insidiosum、Pityrosporum ovale、Saccharomyces cerevisae、Saccharomyces boulardii、Saccharomyces pombe、Scedosporium apiosperum、Sporothrix schenckii、Trichosporon
beigelii、Toxoplasma gondii、Penicillium marneffei、Malassezia種、Fonsecaea種、Wangiella種、Sporothrix種、Basidiobolus種、Conidiobolus種、Rhizopus種、Mucor種、Absidia種、Mortierella種、Cunninghamella種、Saksenaea種、Alternaria種、Curvularia種、Helminthosporium種、Fusarium種、Aspergillus種、Penicillium種、Monolinia種、Rhizoctonia種、Paecilomyces種、Pithomyces種、およびCladosporium種。
真菌抗原を産生するための方法は当該分野で周知である(米国特許第6,333,164号を参照のこと)。好ましい方法においては、細胞壁が実質的に除去されたか、または少なくとも部分的に除去された真菌細胞から得られる不溶性画分から、可溶性画分が抽出され、分離され、そしてその方法が以下の工程を含む点において特徴付けられる:生きている真菌細胞を得る工程;細胞壁が実質的に除去されたか、または少なくとも部分的に除去された真菌細胞を得る工程;細胞壁が実質的に除去されたか、または少なくとも部分的に除去された真菌細胞を破裂させる工程;不溶性画分を得る工程;およびこの不溶性画分から可溶性画分を抽出し、そして分離する工程。
(d.STD抗原)
本発明の組成物は、性感染症(STD)に由来する1種類または複数の種類の抗原を含むことができる。このような抗原は、STD(例えば、クラミジア、陰部ヘルペス、肝炎(例えば、HCV)、性器いぼ、淋病、梅毒および/または軟性下疳(WO00/15255を参照のこと))の予防あるいは治療をもたらし得る。抗原は、1種類または複数の種類のウイルス性STDあるいは1種類または複数の種類の細菌性STDに由来し得る。本発明で使用されるウイルス性STD抗原は、例えば、HIV、単純ヘルペスウイルス(HSV−1およびHSV−2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、および肝炎(HCV)に由来し得る。本発明で使用される細菌性STD抗原は、例えば、Neiserria gonorrhoeae、Chlamydia trachomatis、Treponema pallidum、Haemophilus ducreyi、E.coli、およびStreptococcus agalactiaeに由来し得る。これらの病原体に由来する特異的抗原の例は、上記に記載されている。
(e.呼吸器性抗原)
本発明の組成物には、呼吸器疾患を引き起こす病原体に由来する1種類または複数の種類の抗原が含まれ得る。例えば、呼吸器性抗原は、呼吸器のウイルス(例えば、オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、肺炎ウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、VZV、およびコロナウイルス(SARS))に由来し得る。呼吸器性抗原は、呼吸器疾患を引き起こす細菌(例えば、Streptococcus pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Bordetella pertussis、Mycobacterium tuberculosis、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Bacillus anthracis、およびMoraxella catarrhalis)に由来し得る。これらの病原体に由来する特異的抗原の例は、上記に記載されている。
(f.小児用ワクチン抗原)
本発明の組成物には、小児患者での使用に適している1種類または複数の種類の抗原が含まれ得る。小児患者は、典型的には、約3歳未満であるか、または約2歳未満であるか、または約1歳未満である。小児用抗原は、6ヶ月間、1年間、2年間、または3年間の過程にわたって、複数回投与され得る。小児用抗原は、小児集団を標的とし得るウイルスおよび/または小児集団がその感染に対して感受性があるウイルスに由来し得る。小児用ウイルス抗原としては、オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、肺炎ウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびおたふく風邪)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、および水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)のうちの1種類または複数の種類に由来する抗原が挙げられる。小児用細菌抗原としては、Streptococcus pneumoniae、Neisseria meningitides、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Moraxella catarrhalis、Bordetella pertussis、Staphylococcus aureus、Clostridium tetani(破傷風)、Cornynebacterium diphtheriae(ジフテリア)、Haemophilus influenzae B(Hib)、Pseudomonas aeruginosa、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、およびE.coliのうちの1種類または複数の種類に由来する抗原が挙げられる。これらの病原体に由来する特異的抗原の例は、上記に記載されている。
(g.高齢者または免疫無防備状態の個体での使用に適している抗原)
本発明の組成物には、高齢者または免疫無防備状態の個体での使用に適している1種類または複数の種類の抗原が含まれ得る。このような個体は、より頻繁に、より高い用量で、または標的抗原に対する個体の免疫応答を改善するアジュバント型処方物を用いて、予防接種される必要があり得る。高齢者または免疫無防備状態の個体での使用のために標的化され得る抗原としては、以下の病原体のうちの1種類または複数の種類に由来する抗原が挙げられる:Neisseria meningitides、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Moraxella catarrhalis、Bordetella pertussis、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermis、Clostridium tetani(破傷風)、Cornynebacterium diphtheriae(ジフテリア)、Haemophilus influenzae B(Hib)、Pseudomonas aeruginosa、Legionella pneumophila、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、Enterococcus faecalis、Helicobacter pylori、Clamydia pneumoniae、オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、肺炎ウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびおたふく風邪)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)。これらの病原体に由来する特異的抗原の例は、上記に記載されている。
(h.思春期用ワクチンでの使用に適している抗原)
本発明の組成物には、思春期の患者での使用に適している1種類または複数の種類の抗原が含まれ得る。思春期には、先に投与された小児用抗原のブーストが必要であり得る。思春期での使用に適し得る小児用抗原は、上記に記載されている。加えて、思春期は、性的活動が始まる前に防御免疫または治療免疫を確実にするために、STD病原体に由来する抗原が投与されるように目的を定められ得る。思春期での使用に適しているSTD抗原は、上記に記載されている。
(i.腫瘍抗原)
本発明の組成物には、1種類もしくは複数の種類の腫瘍抗原またはガン抗原が含まれ得る。腫瘍抗原は、例えば、ペプチドを含む腫瘍抗原(例えば、ポリペプチド腫瘍抗原または糖タンパク質腫瘍抗原)であり得る。腫瘍抗原はまた、例えば、糖を含む腫瘍抗原(例えば、糖脂質腫瘍抗原またはガングリオシド腫瘍抗原)であり得る。腫瘍抗原はさらに、例えば、ポリペプチドを含む腫瘍抗原を発現するポリヌクレオチドを含む腫瘍抗原であり得、例えば、RNAベクター構築物またはDNAベクター構築物(例えば、プラスミドDNA)であり得る。
腫瘍抗原には、(a)ポリペプチド(例えば、8〜20アミノ酸の長さの範囲であり得るが、この範囲を超える長さもまた一般的である)、リポポリペプチド、および糖タンパク質を含む、ポリペプチド含有腫瘍抗原、(b)多糖類、ムチン、ガングリオシド、糖脂質、および糖タンパク質を含む、糖含有腫瘍抗原、ならびに(c)抗原性ポリペプチドを発現するポリヌクレオチドが含まれる。
腫瘍抗原は、例えば、(a)ガン細胞と関係がある全長の分子、(b)欠失、付加、および/または置換された部分を持つ分子を含む、そのホモログおよび修飾された形態、ならびに、(c)その断片であり得る。腫瘍抗原は、組換え体の形で提供され得る。腫瘍抗原としては、例えば、CD8+リンパ球によって認識されるクラスI拘束性抗原、またはCD4+リンパ球によって認識されるクラスII拘束性抗原が挙げられる。
多数の腫瘍抗原が当該分野で公知であり、これには、以下が含まれる:(a)ガン−精巣(cancer−testis)抗原、例えば、NY−ESO−1、SSX2、SCP1、ならびに、RAGE,BAGE、GAGE、およびMAGEファミリーのポリペプチド、例えば、GAGE−1、GAGE−2、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、およびGAGE−12(これらは、例えば、黒色腫、肺ガン、頭頸部ガン、NSCLC、乳ガン、消化管ガン、および膀胱ガンを処置するために使用することができる)、(b)突然変異した抗原、例えば、p53(様々な固形腫瘍(例えば、結腸直腸ガン、肺ガン、頭頸部ガン)と関係がある)、P21/Ras(例えば、黒色腫、膵臓ガン、および結腸直腸ガンと関係がある)、CDK4(例えば、黒色腫と関係がある)、MUM1(例えば、黒色腫と関係がある)、カスパーゼ−8(例えば、頭頸部ガンと関係がある)、CIA0205(例えば、膀胱ガンと関係がある)、HLA−A2−R1701、β−カテニン(例えば、黒色腫と関係がある)、TCR(例えば、T細胞非ホジキンリンパ腫と関係がある)、BCR−abl(例えば、慢性骨髄性白血病と関係がある)、トリオースリン酸イソメラーゼ、KIA0205、CDC−27、およびLDLR−FUT、(c)過剰発現された抗原、例えば、ガレクチン4(例えば、結腸直腸ガンと関係がある)、ガレクチン9(例えば、ホジキン病と関係がある)、プロテイナーゼ3(例えば、慢性骨髄性白血病と関係がある)、WT1(例えば、様々な白血病と関係がある)、カルボン酸無水物(例えば、腎臓ガンと関係がある)、アルドラーゼA(例えば、肺ガンと関係がある)、PRAME(例えば、黒色腫と関係がある)、HER−2/neu(例えば、乳ガン、結腸ガン、肺ガン、および卵巣ガンと関係がある)、α−フェトタンパク質(例えば、肝ガンと関係がある)、KSA(例えば、結腸直腸ガンと関係がある)、ガストリン(例えば、膵臓ガンおよび胃ガンと関係がある)、テロメラーゼ触媒タンパク質、MUC−1(例えば、乳ガンおよび卵巣ガンと関係がある)、G−250(例えば、腎細胞ガンと関係がある)、p53(例えば、乳ガン、結腸ガンと関係がある)、ならびに、癌胎児性抗原(例えば、乳ガン、肺ガン、および消化管のガン(例えば、結腸直腸ガン)と関係がある)、(d)共通抗原、例えば、黒色腫−メラニン形成細胞分化抗原、例えば、MART−1/Melan A、gp100、MC1R、メラニン形成細胞刺激ホルモン受容体、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質−1/TRP1、およびチロシナーゼ関連タンパク質−2/TRP2(例えば、黒色腫と関係がある)、(e)前立腺関連抗原、例えば、PAP、PSA、PSMA、PSH−P1、PSM−P1、PSM−P2(例えば、前立腺ガンと関係がある)、(f)免疫グロブリンイディオタイプ(例えば、黒色腫およびB細胞リンパ腫と関係がある)、ならびに、(g)他の腫瘍抗原、例えば、以下を含むポリペプチド含有抗原および糖含有抗原:(i)シアリルTnおよびシアリルLeのような糖タンパク質(例えば、乳ガンおよび結腸直腸ガンと関係がある)、ならびに様々なムチン;糖タンパク質は担体タンパク質にカップリングさせることができる(例えば、MUC−1はKLHにカップリングさせることができる);(ii)リポポリペプチド(例えば、脂質部分に結合されたMUC−1);(iii)多糖類(例えば、Globo H合成六糖)(これは、担体タンパク質に(例えば、KLHに)カップリングさせることができる)、(iv)ガングリオシド、例えば、GM2、GM12、GD2、GD3(例えば、脳腫瘍、肺ガン、黒色腫と関係がある)(これらもまた、担体タンパク質(例えば、KLH)にカップリングさせることができる)。
他の腫瘍抗原としては、p15、Hom/Mel−40、H−Ras、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、エプスタインバーウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原(E6およびE7を含む)、B型肝炎およびC型肝炎ウイルス抗原、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス抗原、TSP−180、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、mn−23H1、TAG−72−4、CA19−9、CA72−4、CAM17.1、NuMa、K−ras、p16、TAGE、PSCA、CT7、43−9F、5T4、791Tgp72、β−HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA15−3(CA27.29/BCAA)、CA195、CA242、CA−50、CAM43、CD68/KP1、CO−029、FGF−5、Ga733(EpCAM)、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90(Mac−2結合タンパク質/シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPSなどが挙げられる。これら、ならびに他の細胞成分は、例えば、米国特許公開番号2002/0007173と、その中で引用されている参考文献に記載されている。
本発明のポリヌクレオチドを含む抗原には、典型的には、上記に列挙されたもののようなポリペプチドガン抗原をコードするポリヌクレオチドが含まれる。好ましいポリヌクレオチドを含む抗原としては、DNAまたはRNAベクター構築物、例えば、プラスミドベクター(例えば、pCMV)が挙げられる。これは、インビボでポリペプチドガン抗原を発現することができる。
腫瘍抗原は、例えば、突然変異した細胞成分または変化した細胞成分に由来し得る。変化の後は、細胞成分は、もはやそれらの調節機能を果たすことができず、したがって、細胞は、制御されない増殖を経験し得る。変化した細胞成分の代表的な例としては、ras、p53、Rb、ウィルムス腫瘍遺伝子によってコードされる変化したタンパク質、ユビキチン、ムチン、DCC,APC、およびMCC遺伝子によってコードされるタンパク質、ならびに受容体または受容体様構造、例えば、neu、甲状腺ホルモン受容体、血小板由来成長因子(PDGF)受容体、インシュリン受容体、上皮成長因子(EGF)受容体、およびコロニー刺激因子(CSF)受容体が挙げられる。これら、ならびに他の細胞成分は、例えば、米国特許第5,693,522号と、その中で引用されている参考文献に記載されている。
細菌抗原およびウイルス抗原を、ガンの処置のために本発明の組成物と組み合わせて使用することができる。具体的には、担体タンパク質(例えば、CRM197,破傷風トキソイド、またはSalmonella typhimurium抗原)を、ガンの処置のために本発明の化合物と併せて/組み合わせて使用することができる。ガン抗原の併用療法は、既存の治療法と比較して高い効力と生体利用効率を示すであろう。
ガン抗原または腫瘍抗原についてのさらなる情報は、例えば、以下の中に見ることができる:Moingeon(2001)Vaccine 19:1305−1326;Rosenberg(2001)Nature 411:380−384;Dermineら(2002)Brit.Med.Bull.62:149−162;Espinoza−Delgado(2002)The Oncologist 7(第3補遺):20−33;Davisら(2003)J.Leukocyte Biol.23:3−29;Van den Eyndeら(1995)Curr.Opin.Immunol.7:674−681;Rosenberg(1997)Immunol.Today 18:175−182;Offringaら(2000)Curr.Opin.Immunol.2:576−582;Rosenberg(1999)Immunity 10:281−287;Sahinら(1997)Curr.Opin.Immunol.9:709−716;Oldら(1998)J.Exp.Med.187:1163−1167;Chauxら(1999)J.Exp.Med.189:767−778;Goldら(1965)J.Exp.Med.122:467−468;Livingstonら(1997)Cancer Immunol.Immunother.45:1−6;Livingstonら(1997)Cancer Immunol.Immunother.45:10−19;Taylor−Papadimitriou(1997)Immunol.Today 18:105−107;Zhaoら(1995)J.Exp.Med.182:67−74;Theobaldら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:11993−11997;Gaudernack(1996)Immunotechnology 2:3−9;WO91/02062;米国特許第6,015,567号;WO01/08636;WO96/30514;米国特許第5,846,538号;および米国特許第5,869,445号。
さらなる抗原としてはまた、外膜小胞(OMV)調製物も挙げることができる。
さらなる処方方法および抗原(特に、腫瘍抗原)は、米国特許公開番号2004/0202680の中に提供されている。米国特許第6,884,435号もまた参照のこと。
(j.抗原の参考文献)
本発明の組成物には、以下の参考文献
のいずれかに記載されている抗原が含まれ得る。 全ての上記で引用された特許、特許出願、および学術論文の内容は、本明細書中に完全に示されているかのように引用により本明細書中に組み入れられる。
(4.さらなる医薬品)
上記のような免疫原性の種(例えば、免疫アジュバントおよび抗原)に加えて、ほぼ制限なく様々なさらなる医薬品が使用され得る。そのような医薬品の例としては、特に以下のものが挙げられる:抗生物質および抗ウイルス薬、非ステロイド系抗炎症剤、鎮痛剤、血管拡張剤、心臓血管剤、向精神薬、神経弛緩剤、抗欝剤、抗パーキンソン病薬、ベータブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、ブラジキニン阻害剤、ACE阻害剤、血管拡張剤、プロラクチン阻害剤、ステロイド、ホルモン拮抗剤、抗ヒスタミン剤、セロトニン拮抗剤、ヘパリン、化学療法剤、抗新生物剤および成長因子(PDGF、EGF、KGF、IGF−1、およびIGF−2、FGFを含むがこれらに限定されない)、ホルモン類(ペプチドホルモン、例えばインシュリン、プロインシュリン、成長因子、GHRH、LHRH、EGF、ソマトスタチン、SNX−111、BNP、インシュリノトロピン、ANP、FSH、LH、PSH、およびhCG、性腺ステロイドホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、およびプロゲステロン)、甲状腺刺激ホルモン、インヒビン、コレシストキニン、ACTH、CRF、ヂノルフィン、エンドルフィン、エンドセリン、フィブロネクチンフラグメント、ガラニン、ガストリン、インシュリノトロピン、グルカゴン、GTP結合タンパク質フラグメント、グアニリン、ロイコキニン、マガイニン、マストパラン、デルマセプチン、システミン、ニューロメジン、ニューロテンシン、パンクレアスタチン、膵臓ポリペプチド、サブスタンスP、セクレチン、チモシンなどを含む)、酵素、転写媒介因子または翻訳媒介因子、代謝経路の中間体、ならびに免疫調節因子、例えば、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、およびガンマ−インターフェロンを含む任意の様々なサイトカイン。
(5.界面活性剤および/または細胞保護薬)
上記のように、1種類または複数の種類の界面活性剤、および/あるいは1種類または複数の種類の細胞保護薬が、状況に応じて、例えば、凍結乾燥させられたナノ粒子を許容されないほどにサイズを大きくすることなく(例えば、有意な凝集を伴わずに)確実に再懸濁させることができるように、本発明の組成物に対して添加され得る。
界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、中でも例えば、臭化トリメチルアンモニウム、すなわち「CTAB」(例えばセトリマイド)、塩化ベンズアルコニウム、DDA(ジメチルジオクトデシル臭化アンモニウム)、およびDOTAP(ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン)が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、中でも例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、DSS(ジスルホスクシネート)、および硫酸化脂肪族アルコールが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、中でも例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、ポビドン(ポリビニルピロリドン、すなわちPVPとしても知られている)、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ポリオキシエチル化グリコールモノエーテル、ポリオキシエチル化アルキルフェノール、およびポロキサマーが挙げられる。
いくつかの実施形態においては、1種類または複数の種類の界面活性剤が、ナノ粒子の懸濁(および凍結乾燥後の再懸濁)を促進するための有効量で、本発明の組成物に添加される。生分解性ポリマーに対する界面活性剤の重量比は、例えば、0.001:1未満〜0.5:1、またはそれ以上の範囲であり得、中でも例えば、0.005:1〜0.1:1の範囲であり得る。一般的に、イオン性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤よりも小さい割合で使用される。
一般的な細胞保護薬としては、以下が挙げられる:(a)アミノ酸(中でも例えば、グルタミン酸およびアルギニン);(b)ポリオール類(エチレングリコールのようなジオール類、1,2−プロピレングリコールおよび1,3−プロピレングリコールのようなプロパンジオール類、ならびに中でも2,3−ブチレングリコールのようなブタンジオール、中でもグリセロールのようなトリオール類、ならびに他のさらに高級な(higher)ポリオール類を含む);ならびに、(c)炭水化物(例えば、(i)単糖類(中でも例えば、グルコース、ガラクトース、およびフルクトース)、(ii)多糖類(二糖類、(中でも例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース、ゲンチオビオース、およびセロビオース)、三糖類(中でも例えば、ラフィノース)、四糖類(中でも例えば、スタキオース)、五糖類(中でも例えば、ベルバスコース)、ならびに多数のさらに高級な多糖類を含む)、および(iii)アルジトール類(中でも例えば、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール(これに関しては、アルジトール類は炭水化物であるとともに高級なポリオール類であることに留意されたい)を含む)。
いくつかの実施形態においては、1種類または複数の種類の細胞保護薬が、ナノ粒子の懸濁(および凍結乾燥後の再懸濁)を促進するための有効量で、本発明の組成物に添加される。生分解性ポリマーに対する細胞保護薬の重量比は、例えば、0.01:1未満〜0.5:1、またはそれ以上の範囲であり得、中でも例えば、0.05:1〜0.1:1の範囲であり得る。
(6.補助成分)
本発明の医薬組成物には、状況に応じて、1種類または複数の種類の薬学的に許容される賦形剤を含む、1種類または複数の種類の多種多様な補助成分が含まれ得る。例えば、ビヒクル(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノールなど)が使用され得る。他の賦形剤(例えば、湿潤剤または乳化剤、浸透圧調整剤、生物学的緩衝物質など)が存在し得る。生物学的緩衝液は、薬理学的に許容され、かつ所望されるpH値、すなわち生理的範囲内のpH値を持つ処方物を提供する実質的に任意の種であり得る。緩衝系の例としては、リン酸緩衝化生理食塩水、Tris緩衝化生理食塩水、ハンクス緩衝化生理食塩水などが挙げられる。他の緩衝系としては、ナノ粒子の処方プロセスで使用される上記のものが挙げられる。
最終的な剤形に依存して、当該分野で知られている他の賦形剤もまた導入され得る。これには、結合剤、崩壊剤、増量剤(希釈剤)、潤滑剤、グリダント(流動促進物質)、圧縮助剤、甘味料、香料、防腐剤、懸濁化剤/分散剤、塗膜形成剤/コーティングなどが含まれる。
(7.投与)
本発明のナノ粒子組成物は、例えば注射(針なしの場合もある)によって非経口的に投与することができる。本発明の組成物は、例えば、皮下に、皮内に、筋肉内に、静脈内に、動脈内に、または腹腔内に注射することができる。他の投与様式としては、鼻投与、粘膜投与、眼内投与、直腸投与、膣投与、経口投与、および肺投与、ならびに経皮的(transdermal)塗布または皮膚を介する(transcutaneous)塗布などがある。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物を部位特異的な標的化された送達に使用することができる。例えば、組成物の静脈内投与は、肺、肝臓、脾臓、血液循環、または骨髄を標的とするために使用することができる。
治療は単回投与量スケジュールあるいは複数回投与スケジュールによって行うことができる。複数回投与スケジュールは、初回投与が、例えば、1回〜10回に分けられた投与によって行われ得、続いて、治療応答を維持および/または強化するために選択される、時間間隔をあけて(2回目の投与まえに1カ月〜4ヶ月間)他の回の投与が行われ、そして必要に応じて、数か月後にさらなる投与(単数または複数)が行われる投与スケジュールである。投与レジュメはまた、少なくとも部分的に、患者にとっての必要性によって決定され、また開業医の判断に依存するであろう。
その上さらに、疾患の予防が所望される場合には、組成物は、一般的には、対象とする感染または障害が最初に起こる前に投与される。他の形態の処置(例えば、症状の緩和もしくは排除、または再発の減少もしくは排除)が所望される場合は、組成物は、一般的には、対象とする感染または障害が最初に起こった後に投与される。
(C.実験)
以下は本発明を実行するための特定の実施形態の例である。これらの例は、例示の目的だけのために提供され、決して本発明の範囲を限定するようには意図されない。
使用される数字(例えば、量、温度など)に関して精度を確保するために努力がなされたが、しかしいくらかの実験誤差および偏差が、もちろん、許容されるべきである。
(材料)
50:50のコポリマー比を持つポリラクチド−コ−グリコリド(PLG)、RG502Hを、Boehringer Ingleheim(Ingelheim,Germany)から入手した。凍結乾燥のためのスクロースとマンニトールは、Sigma Chemicals(St Louis,MO)から入手した。ポリビニルアルコール(PVA)(MW=15000)はICN Biomedicals(現在は、MP Biomedicals,Irvine,CA)から入手した。アセトンは、EMD Chemicals(Gibbstown,NJ)から入手した。Novartis VaccinesによるEscherichia Coli由来の組み換え体髄膜炎菌ワクチン候補MB1は、本明細書中に記載したように単離し、そして精製した。M.Comanducciら、「NadA,a Novel Vaccine Candidate of Neisseria meningitides」,J.Exp.Med.195:1445−1454(2002)。Tris−EDTA緩衝液は、Novartis Vaccinesから入手した。SMIP(イミダゾキノリン090)の合成は、Valianteらの国際特許公開番号WO2006/031878、およびSuttonらのWO2007/109810に記載されている。
(実施例1.ナノ粒子の調製)
ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ナノ粒子を、溶媒置換(solvent displacement)法に基づいて調製した。アセトン中に溶解させたPLGを含む有機相を、120rpmの旋回振盪機−モデルG2(New Brunswick Scientific Co,Inc.,NJ,USA)上に置いたTris EDTA緩衝液に一滴ずつ添加し、一晩、アセトンを蒸発させた。SMIPをPLGと一緒に有機相の中に溶解させることによって、SMIPをカプセル化した。調製した粒子のサイズは、以下に示すようにPLG濃度に依存していた。界面活性剤は、水相または有機相のいずれの中にも存在しなかった。
粒子のサイズ分布[D(v,0.5)]を、Zetasizer 3000HsA(Malvern,Worcestershire,UK)を用いて、90°の散乱角で、25℃で決定した。それぞれのナノ粒子調製物を、水でナノ粒子を希釈後に、1つの試料あたり10回の読み取りによって分析した。測定は3連で行った。この機器は、動的光散乱に基づいて粒子のサイズを測定する。粒子は、凝集がなく、1つの単分散ピークが得られた場合に、ナノ粒子とみなした。ゼータ電位は、水の中での0.2mg/mlのPLGの典型的な希釈濃度を用いて、Zetasizerで測定した。
様々なサイズのナノ粒子(以下の表1を参照のこと)を、有機相の中での最初のPLG濃度を調整することによって処方した。
小さい粒子(約130nm)は、0.05%(w/v)のPLGアセトン溶液10mlを、10mlの水に1滴ずつ添加して調製した。中間サイズの粒子(約180nm)は、2%(w/v)のPLGアセトン溶液10mlを10mlの水に添加して作製した。大きな粒子(約240nm)は、3.0%PLG(w/v)アセトン溶液の10mlを10mlの水に添加して調製した。粒子についてのゼータ電位は約45mVであった。
ナノ粒子の形成プロセスではいずれの界面活性剤も使用しないので、容量が分かっているナノ粒子懸濁液を凍結乾燥させ、PLG含有量を決定した。さらに具体的には、この懸濁液のPLG含有量は、4つの予め秤量したバイアルの中に1mlの容量をアリコートすることによって決定した。これを凍結乾燥させ、再び秤量し、平均の正味の重量をPLG含有量として使用した。PLGの回収率は、10mg/ml〜25mg/mlの範囲のポリマー濃度については、一貫して90%を上回る高さであることが明らかになった。25mg/mlを上回る高い濃度を用いた場合には、粒子のサイズは225nmより大きく、これらの濃度はそれ以上研究しなかった。
最初に、このナノ粒子懸濁液を、マグネチックスターラーで撹拌した。しかし、これによっては、ポリマーが凝集してクランプを形成し、それによってナノ粒子の回収率は低くなった。この問題は、このナノ粒子懸濁液を旋回振盪機上に置くことによって、うまく対処でき、これによって粒子の凝集を阻止できた。
(実施例2.SMIPのカプセル化)
SMIPのカプセル化に使用した粒子は全て、ポリマーに対して1%w/wおよび2%w/wのSMIP濃度を用いて、RG502H 2%w/v(20mg/ml)を使用して形成させた。
2%w/wのPLGの理論的なSMIP負荷レベル(loading level)を持つナノ粒子を、SMIPカプセル化実験のために調製した。水(pH5.5〜pH6)とTris EDTA緩衝液(pH7〜pH8)の両方を、水相に使用した。水相のpHは、所定のアジュバントのイオン化に影響を与え、したがって、その溶解度に影響を与える。塩基性のSMIPが本明細書中で使用されているので、Tris EDTA緩衝液を水相に使用し、これが、懸濁液のpHを7〜8の間に維持した。
カプセル化効率を、処方に使用したSMIPの質量に対するナノ粒子中のSMIPの質量の比として計算した。さらに具体的には、このナノ粒子懸濁液を2つのバイアルにアリコートし(1ml)、そして16000RPMで30分間遠心分離した。上清中のSMIPの量を、超高速液体クロマトグラフィー(Waters Acquity UPLC,Milford,MA,USA)アッセイを使用して決定した。ペレットを3回洗浄し、ペレット中のSMIPの量を、水酸化ナトリウムでこのペレットを加水分解し、続いて、塩酸で中和した後に決定した。カプセル化効率は、この懸濁液の全SMIP含有量に対するペレット中のSMIPの比として計算した。マスバランスは、1mlのこの懸濁液を加水分解し、そして1mlのこの懸濁液中の全SMIP含有量を決定することによって行った。
カプセル化効率は、水を水相の中で使用した場合には40%〜50%の範囲であり、一方、Tris EDTA緩衝液を水相として用いた場合には、カプセル化効率は90%を上回った。高いカプセル化効率は、ほぼおそらく、イオン化の程度の違いが原因である。理論に束縛されることは望まないが、塩基形態のSMIPを使用したことが原因で、pHの上昇がSMIPの水相への移動を減らし得、ナノ粒子へのSMIPのカプセル化を促進したとの仮説が立てられる。
(実施例3.タンパク質の吸着)
MenBタンパク質を、これらをTris EDTA緩衝液(他の賦形剤を含まない)の中で、ラボロッカー(lab rocker)上で4℃で一晩インキュベートすることによって、実施例2のSMIPカプセル化粒子に吸着させた。タンパク質の吸着後、さらなる界面活性剤および糖賦形剤(ポリマーの10%w/wのPVA、ならびに再構成物の4%w/vのスクロースおよび3%w/vのマンニトール)を、凍結乾燥前に添加した。マイクロ粒子と比較したナノ粒子の利点は、利用できる表面積がより大きくなり、それによってより多くのタンパク質を負荷することが容易になることである。この増加したタンパク質負荷レベルは、より少ないPLGを使用し、凍結乾燥に用いられる界面活性剤もより少量を使用して、同じ量のタンパク質抗原を送達することを可能にする。
賦形剤を、凍結乾燥の直前にこのナノ粒子懸濁液に添加した。この懸濁液をガラスバイアルに入れ、−80℃で30分間凍結させた。凍結乾燥は、Labconce Freeze Dry System,Freezone 4.5(Kansas City,MO)の中で、−49℃で、133×10−3mBar未満の減圧下で、およそ24時間操作することによって行った。全ての試料を、1mlの注射用滅菌水を用いて再構成した。
再構成した試料を遠心分離し、そして上清をペレットから分離した。上清中のタンパク質の量を、ゲル濾過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、214nmでの紫外線(UV)検出を用いて測定し、SDS−PAGEゲルによって半定量的に確認した。UV検出器の検出限界は1μg/mlである。これによっては、吸着されたタンパク質の量について5%未満の典型的な誤差(typical error)が生じる。サイズ排除クロマトグラフィーアッセイによる結果は、上清の中にタンパク質−抗原が存在しないことを示し、これは、タンパク質の少なくとも95%が粒子と会合した(5%の誤差が容認される)ことを暗に意味している。
この処方物をまた、1mlの滅菌水中での再構成の後に、サイズ分布、pH、浸透圧、および凍結乾燥後の内毒素含有量について特性決定した。サイズ分布は、Zetasizer 3000HsA(Malvern,Worcestershire,UK)で決定し、結果を表2、
に示す。
pHを、pHインジケーターストリップ(pH−indicator strips)(colorpHast,EMD Chemicals,Gibbstown,NJ)を使用して測定した。凍結乾燥後のナノ粒子懸濁液のpHは、およそ5.5であることが明らかになった。
この処方物の浸透圧を、蒸気圧オスモメーター(vapor pressure osmometer)(Wescor Inc.,Logan,UT)を使用して決定した。この処方物の浸透圧は、260mOsm/L〜320mOsm/Lの範囲であった。
この処方物の内毒素含有量を、適切に希釈したPLGナノ粒子処方物をEndosafe PTSシステム(Charles River Laboratories,Wilmington,MA,USA)の中に入れることによって決定した。これは、試料中の内毒素レベルを決定するためにLALテストカートリッジを利用し、そして0.01EU/ml〜1.0EU/mlの感度を持つ、FDAによって承認されている内毒素検出システムである。Endosafe PTSシステムによって決定した内毒素レベルは、1.43EU/ml未満であった。
(実施例4.SMIPのインビトロでの放出)
タンパク質が吸着された凍結乾燥処方物およびタンパク質が吸着された非凍結乾燥処方物についてのインビトロでの放出実験を、ポリマーに対して1%w/wおよび2%w/wのSMIP濃度を持つナノ懸濁液(1ml)を使用して比較した。ナノ粒子を形成させるために使用したポリマーの濃度は2%w/vに維持した。インビトロでの放出プロフィールを、ナノ懸濁液の上清(容量1ml)中のSMIP含有量を決定することによって測定した。この処方物を滅菌水の中に再構成させて、120ug/mlの総SMIP濃度を得た。この懸濁液を、37℃で撹拌し続けた。この懸濁液を定期的に遠心分離し、そして上清を、超高速液体クロマトグラフィーアッセイを使用して分析して、上清中のSMIPの量を決定した。
図1に見るように、非凍結乾燥懸濁液は、SMIP含有量を2週間以内に完全に放出した。一方で、図2に見るように、凍結乾燥処方物は、全SMIP含有量のわずか約40%しか、2週間以内に放出しなかった。理論に束縛されることは望まないが、この原因はPVAのPLGAとの相互作用であり得、その結果、PVAはPLGAの周囲に保護層を形成するとの仮説が立てられた。
本発明の好ましい実施形態がいくらか詳細に記載されてきたが、明らかなバリエーションを本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることが理解される。

Claims (1)

  1. 明細書に記載された発明。
JP2014258339A 2008-04-28 2014-12-22 医薬組成物における使用のためのナノ粒子 Pending JP2015057444A (ja)

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