JP2015055385A - 廃棄物焼却炉及び廃棄物焼却方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)第一発明
第一発明に係る火格子式廃棄物焼却炉は、火格子式廃棄物焼却炉であって、火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段とを備え、前段の高温ガス吹込口が、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込む位置に配設され、後段の高温ガス吹込口が、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込む位置に配設され、上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。ここで、「燃え切り点」とは、火炎を伴う燃焼が終了する箇所のことである。
第二発明に係る火格子式廃棄物焼却炉は、火格子式廃棄物焼却炉であって、火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段とを備え、前段の高温ガス吹込口が、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込む位置に配設され、後段の高温ガス吹込口が、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込む位置に配設され、上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。
第三発明に係る火格子式廃棄物焼却炉は、火格子式廃棄物焼却炉であって、火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段とを備え、前段の高温ガス吹込口が乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子の後部までの上記天井に設けられ、後段の高温ガス吹込口が燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に設けられ、上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。
第四発明に係る火格子式廃棄物焼却炉は、火格子式廃棄物焼却炉であって、火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段とを備え、前段の高温ガス吹込口が乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子の後部までの上記天井に設けられ、後段の高温ガス吹込口が燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に設けられ、上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。
0.0069X−1. 3≦ Y ≦0.0153X−0.6 … (1)
0.018X−1.0≦ Y ≦0.022X−0.4 … (2)
ここで、X:燃焼室高さ(mm)
Y:高温ガスの吹込み流速(m/sec)
(5)第五発明
第五発明に係る廃棄物焼却方法は、燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、前段の高温ガス吹込口から、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込み、後段の高温ガス吹込口から、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。
第六発明に係る廃棄物焼却方法は、燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、前段の高温ガス吹込口から、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込み、後段の高温ガス吹込口から、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。
第七発明に係る廃棄物焼却方法は、燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子までの上記天井に配設した前段の高温ガス吹込口から下向きに、前段高温ガスを吹き込み、燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に配設した後段の高温ガス吹込口から下向きに後段高温ガスを吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。
第八発明に係る廃棄物焼却方法は、燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子までの上記天井に配設した前段の高温ガス吹込口から下向きに、前段高温ガスを吹き込み、燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に配設した後段の高温ガス吹込口から下向きに後段高温ガスを吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴としている。
0.0069X−1. 3≦ Y ≦0.0153X−0.6 … (3)
0.018X−1.0≦ Y ≦0.022X−0.4 … (4)
ここで、X:燃焼室高さ(mm)
Y:高温ガスの吹込み流速(m/sec)
廃棄物焼却炉燃焼室の天井に設けた吹込口から高温ガスを下向きに吹き込み、高温ガスの顕熱と輻射により廃棄物の熱分解を促進することができ、廃棄物の熱分解により発生した可燃性ガスの燃焼を促進することができ、さらに、高温ガスの下向きの流れと、廃棄物層から発生する可燃性ガスと燃焼ガスとの上向きの流れとを衝突させ、廃棄物層直上でガス流れが緩やかなよどみ領域又は上下方向に循環する循環領域を燃焼室の幅方向と長さ方向の広い範囲に亘って形成することができるので、安定した燃焼が行われ、平面状燃焼領域(火炎)を定在させることができる。また、定在する平面状火炎の輻射などにより廃棄物の熱分解をさらに促進することができる。このように高温ガス吹き込みにより、焼却炉の大きさに関わらず、空気比が1.5以下の低空気比燃焼においても廃棄物と、発生する可燃性ガスを安定して燃焼することができる。そして、燃焼が安定するため、廃棄物焼却炉から排出される排ガス中のCO、NOxなど有害物の発生量を抑制することができる。
燃焼室の天井から吹き込まれる高温ガスは、前段と後段の二つに別け個々にて制御されて吹き込まれるようにし、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御するようにしたので、燃焼空間を燃焼用一次空気と相俟って、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域(前段の領域)で比較的低酸素雰囲気とし、そして後燃焼領域(後段の領域)で比較的酸素過剰雰囲気とすることができ、その結果、低酸素雰囲気の前段の領域で廃棄物を熱分解・部分酸化させて、ガス分として可燃性ガスと還元ガスとを得、酸素過剰雰囲気の後段の領域で、発生したNOxを前段の領域で得られた還元ガスにより分解することで、NOxの量を抑制することができる。
図1に示す廃棄物焼却炉1は、廃棄物を燃焼する燃焼室2の高さが1〜3mであり、廃棄物焼却量100ton/日程度の規模の従来型焼却炉の燃焼室高さが5〜6m程度であることに比べて、1/2以下の高さである。また、この廃棄物焼却炉1の一例の容積は、90m3であり、従来型焼却炉の190m3の1/2程度以下となる。このように、燃焼室2の高さが3m以下であることと、後述する高温ガスを天井から下向きに吹き込むことにより低空気比燃焼を安定して行うことによって、火格子式廃棄物焼却炉設備をコンパクトにすることができ、設備費用、運転費用を大幅に低減できる。
本実施形態では、廃棄物焼却炉1は、燃焼用空気となる一次空気の一次空気供給系を備えている。一次空気供給系は、空気供給源からの一次空気Aを管路9を経て、乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cのそれぞれの風箱7a,7b,7c,7dに分岐供給管から送り込むようになっており、上記管路9には、ブロワ8そして流量調整機構としてのダンパ11が設けられている。
本実施形態では、廃棄物焼却炉1は、高温ガスを前記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段を備えている。高温ガス吹込み手段により、前段の高温ガス吹込口から高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込み、後段の高温ガス吹込口から高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込む。
また、本実施形態の廃棄物焼却炉1は、二次燃焼用ガスをボイラ4の入口近傍に相当する二次燃焼領域10に吹き込む二次燃焼用ガス供給系を備えている。二次燃焼用ガス供給系は、二次燃焼用ガス供給源からの二次燃焼用ガスCを管路12を経て、二次燃焼領域10に設けられた二次燃焼用ガス吹込口17に送り込むようになっており、上記管路12には、ブロワ18そして流量調整機構としてのダンパ19が設けられている。二次燃焼用ガス吹込口17は、ボイラ4の入口近傍にある二次燃焼領域10に二次燃焼用ガスCを吹き込むように、ボイラ4の周壁に設けられている。 燃焼室2内で発生した可燃性ガスはそのほとんどが燃焼室2内で燃焼され、残存する未燃ガスは、後燃焼火格子5cの上方に連接されるボイラ4の入口近傍に相当する二次燃焼領域10に流入して、ここで二次燃焼用ガスが供給され、二次燃焼される。
先ず、廃棄物投入口3へ廃棄物を投入すると、落下した廃棄物は図示しない廃棄物供給装置により燃焼室内に供給され、乾燥火格子5a上に堆積され、各火格子の動作により、燃焼火格子5b上そして後燃焼火格子5c上へと移動し、各火格子上に廃棄物の層を形成する。各火格子は、風箱7a,7b,7c,7dを経て、燃焼用の一次空気を受けており、これにより各火格子の廃棄物は乾燥そして燃焼される。
燃焼用一次空気Aは、ブロワ8から燃焼用一次空気供給管9を通って乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cのそれぞれの下部に設けられた風箱7a,7b,7c,7dに供給された後、各火格子5a,5b,5cを通って燃焼室2内に供給される。燃焼室2内に供給される燃焼用一次空気Aの流量は、燃焼用一次空気供給管9に設けられた流量調節ダンパ11により調整され、さらに、各風箱7a,7b,7c,7dに供給される流量は、各風箱に分岐して設けられたそれぞれの供給管に備える流量調節ダンパ(図示省略)により調節される。また、風箱7a,7b,7c,7d及び燃焼用一次空気Aを供給するための燃焼用一次空気供給管9等の構成は図示したものに限定されず、焼却炉の規模、形状、用途等により適宜選択され得る。
図1に見られるように、高温ガスが、前段の高温ガス吹込口13(13a、13b、13c)から、燃焼開始領域A2から主燃焼領域A3までの領域に向かって吹き込まれ、後段の高温ガス吹込口15からは、後燃焼領域A4の前部の領域に向かって吹き込まれ、全体で、高温ガスが、燃焼室2内の燃焼開始領域A2から後燃焼領域A4の前部までの領域において、廃棄物層Wに向かって下向きに吹き込まれる。火炎が存在し可燃性ガスが多く存在する領域に、高温ガスを吹き込むことが燃焼を安定させる上で好ましいため、可燃性ガスが多く存在する領域である燃焼開始領域A2から後燃焼領域A4の前部までの領域に高温ガスを吹き込む。
廃棄物焼却炉では、廃棄物に含まれる窒素分や空気中の窒素が高温下で反応してNOxが発生する。焼却炉から排出される排ガスを煙突から大気中に排出する際に、NOx濃度を規制値以下にしなければならないため、排ガス処理系でNOxを除去しているが、焼却炉内で発生するNOx量を抑制することが根本的な対策であり、これが要望されている。本実施形態では、高温ガスを前段と後段の二段の高温ガス吹込口から吹き込むこととし、前段の高温ガス吹込口13から高温ガスを吹き込む際に低酸素雰囲気を形成して還元ガスを生成するようにし、この還元ガスによりNOxを分解するようにしたので、NOx発生量を抑制することができる。
高温ガス吹込口13,15から吹き込まれる高温ガスの温度は、100〜400℃の範囲とすることが好ましく、150〜200℃程度とすることがより好ましい。100℃未満の温度のガスを吹き込むと炉内温度が低下し、燃焼が不安定となりCO発生量が増加する。400℃を超えるガスを吹き込むと燃焼室内における火炎温度が著しく高温になり、クリンカの生成が助長されるなど問題が生じる。高温ガスの温度を150〜200℃程度とすることにより、前記の問題の発生を抑制するとともに空気を加熱するエネルギーを適切な範囲とすることができるので、より好ましい。
前段の高温ガス吹込口13は、燃焼室2の天井の、乾燥火格子5aの廃棄物の移動方向下流側(後部)から燃焼火格子5bの移動方向下流側(後部)までの範囲内での火格子直上の位置に設けられている。
次に述べるように、燃焼室高さに対応した高温ガス吹込み流速の適切な範囲の上限と下限を明らかにし、好ましい範囲を定めた。
上限: Y=0.0153X−0.6 …(5)
下限: Y=0.0069X−1.3 …(6)
[後段高温ガス]
上限: Y=0.022X−0.4 …(7)
下限: Y=0.018X−1.0 …(8)
ここで、Y:高温ガスの吹込み流速(m/sec)
X:燃焼室高さ(mm)
0.0069X−1. 3≦ Y ≦0.0153X−0.6 …(9)
[後段高温ガス]
0.018X−1.0≦ Y ≦0.022X−0.4 …(10)
ここで、Y:高温ガスの吹込み流速(m/sec)
X:燃焼室高さ(mm)
焼却炉に投入する廃棄物量及び廃棄物が燃焼して発生する発熱量に対応した、高温ガス吹込み流量の適切な範囲の上限と下限を明らかにし、好ましい範囲を定めた。焼却炉に投入する廃棄物量が多いと、又廃棄物が燃焼して発生する発熱量が多いと、廃棄物から発生する可燃ガス及び燃焼ガスの量が多くなる。廃棄物から発生する可燃ガス及び燃焼ガスの上昇流に対向して、燃焼室天井から下向きに高温ガスを吹き込むことにより、廃棄物層の直上に適切によどみ領域又は循環領域を形成して平面状燃焼領域を定在させるためには、吹込み高温ガスを廃棄物層からの上昇流に適切に衝突させる必要があり、可燃ガス及び燃焼ガスの発生量が多くなれば高温ガス吹込み流量を多くする必要がある。ただし、流量を多くし過ぎてしまうと廃棄物層に直接吹込み高温ガスが衝突してしまい、廃棄物を冷却してしまったり、廃棄物を飛び散らかせてしまったりして、燃焼の不安定化、飛灰の増加等がおこり好ましくない。そこで、廃棄物層に悪影響を与えない流量を求め高温ガスの流速の上限を定める。また、よどみ領域又は循環領域を形成することができる限界の流量から高温ガスの流量の下限を定める。このようにして廃棄物量及び廃棄物発熱量に合わせて高温ガス流量の適切な範囲を定める。
二次燃焼用ガスが二次燃焼領域10に吹き込まれ、燃焼室2からの未燃ガスが二次燃焼される。二次燃焼用ガスとして、温度は常温〜200℃の範囲であり、酸素濃度は15〜21体積%の範囲のガスを用いることが好ましい。二次燃焼用ガスとして、空気、酸素を含有するガス、返送排ガスを用いてよいし、これらの混合ガスを用いてもよい。
次に、本実施形態の廃棄物焼却炉において低空気比燃焼を実現するための吹き込むガスの酸素量比配分について説明する。
1.0≦Q1+Q2+Q3≦1.5 …………………………………………(12)
Q1:Q2:Q3=0.80〜1.0:0.10〜0.30:0.10〜0.30…………(13)
1.1≦Q1+Q2+Q3≦1.3 ……………………………………… (14)
ここで、上記廃棄物の燃焼に必要な単位時間当りの理論酸素量(X)は、主燃焼室内に投入される廃棄物の性状及び成分等から決定される廃棄物の単位質量当りの燃焼に必要な酸素量(Nm3/kg)と、焼却炉における廃棄物の焼却処理速度(kg/hr)との積(Nm3/hr)により決定される。
廃棄物の燃え残りや有害物質の発生を抑制して安定した低空気比燃焼を達成させることができるより好ましい配分比としては、Q1:Q2:Q3=0.90:0.15:015、λ=1.20を基準とし、焼却炉内に投入される廃棄物の組成や性状等に基づきλを1.1〜1.3の範囲でQ1,Q2,Q3を上記の範囲内で調整する。
2 燃焼室
5a 乾燥火格子
5b 燃焼火格子
5c 後燃焼火格子
13,15 高温ガス吹込み手段
24 前段高温ガス供給装置
25 後段高温ガス供給装置
Claims (16)
- 火格子式廃棄物焼却炉であって、
火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、
燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、
高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、
上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段とを備え、
前段の高温ガス吹込口が、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込む位置に配設され、後段の高温ガス吹込口が、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込む位置に配設され、
上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。 - 火格子式廃棄物焼却炉であって、
火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、
燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、
高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、
上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段と
を備え、前段の高温ガス吹込口が、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込む位置に配設され、後段の高温ガス吹込口が、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込む位置に配設され、
上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。 - 火格子式廃棄物焼却炉であって、
火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、
燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、
高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、
上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段とを備え、前段の高温ガス吹込口が乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子の後部までの上記天井に設けられ、後段の高温ガス吹込口が燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に設けられ、
上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。 - 火格子式廃棄物焼却炉であって、
火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、
燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、
高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを具備し、
上記高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に前段と後段の二段の高温ガス吹込口と、前段の高温ガス吹込口へ前段高温ガスを供給する前段高温ガス供給手段と、後段の高温ガス吹込口へ後段高温ガスを供給する後段高温ガス供給手段とを備え、前段の高温ガス吹込口が乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子の後部までの上記天井に設けられ、後段の高温ガス吹込口が燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に設けられ、
上記前段高温ガス供給手段と上記後段高温ガス供給手段が、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。 - 前段高温ガス供給手段が、焼却炉から排出された排ガスの一部が返送された返送排ガスと高温空気との混合ガス又は高温空気を前段高温ガスとして供給し、
後段高温ガス供給手段が、返送排ガス又は返送排ガスと高温空気との混合ガスを後段高温ガスとして供給することとする請求項1ないし請求項4のうちいずれかに記載の火格子式廃棄物焼却炉。 - 前段高温ガス供給手段が、前段高温ガスの酸素濃度を12〜21dry体積%に制御し、
後段高温ガス供給手段が、後段高温ガスの酸素濃度を1〜12dry体積%に制御することとする請求項1ないし請求項5のうちいずれかに記載の火格子式廃棄物焼却炉。 - 燃焼室から排出されるガスを二次燃焼する二次燃焼室を備え、
前段高温ガス供給手段は、前段高温ガスの流量を二次燃焼室から排出される排ガス量の6〜18%に制御し、
後段高温ガス供給手段は、後段高温ガスの流量を二次燃焼室から排出される排ガス量の15〜30%に制御することとする請求項1ないし請求項6のうちいずれかに記載の火格子式廃棄物焼却炉。 - 前段高温ガス供給手段は、高温ガスの吹込み流速を、燃焼室高さとの関係において次の(1)式で表される範囲とするように制御し、後段高温ガス供給手段は、高温ガスの吹込み流速を、燃焼室高さとの関係において次の(2)式で表される範囲とするように調整することとする請求項1ないし請求項7のうちいずれかに記載の火格子式廃棄物焼却炉。
0.0069X−1. 3≦ Y ≦0.0153X−0.6 … (1)
0.018X−1.0≦ Y ≦0.022X−0.4 … (2)
ここで、X:燃焼室高さ(mm)
Y:高温ガスの吹込み流速(m/sec) - 燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、
燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、
上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、
前段の高温ガス吹込口から、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込み、後段の高温ガス吹込口から、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする廃棄物焼却方法。 - 燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、
燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、
上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、
前段の高温ガス吹込口から、前段高温ガスを燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域に向かって吹き込み、後段の高温ガス吹込口から、後段高温ガスを後燃焼領域の前部又は燃え切り点の直後の領域に向かって吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする廃棄物焼却方法。 - 燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、
燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、
上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子までの上記天井に配設した前段の高温ガス吹込口から下向きに、前段高温ガスを吹き込み、燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に配設した後段の高温ガス吹込口から下向きに後段高温ガスを吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を、後燃焼領域の酸素濃度に比べて低くするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする廃棄物焼却方法。 - 燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、
燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、
上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で前段と後段の二段に設けた高温ガス吹込口のうち、乾燥段火格子の後部から燃焼段火格子までの上記天井に配設した前段の高温ガス吹込口から下向きに、前段高温ガスを吹き込み、燃焼段火格子の後部から後燃焼段火格子の前部までの上記天井に配設した後段の高温ガス吹込口から下向きに後段高温ガスを吹き込み、燃焼開始領域から主燃焼領域までの領域の酸素濃度を0〜2dry体積%とし、後燃焼領域の酸素濃度を5〜8dry体積%とするように、前段高温ガスと後段高温ガスのそれぞれの流量及び酸素濃度のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする廃棄物焼却方法。 - 焼却炉から排出された排ガスの一部が返送された返送排ガスと高温空気との混合ガス又は高温空気を前段高温ガスとして吹き込み、返送排ガスと高温空気との混合ガス又は返送排ガスを後段高温ガスとして吹き込むこととする請求項9ないし請求項12のうちいずれかに記載の廃棄物焼却方法。
- 前段高温ガスの酸素濃度を12〜21dry体積%に制御し、後段高温ガスの酸素濃度を1〜12dry体積%に制御することを特徴とする請求項9ないし請求項13のうちいずれかに記載の火格子式廃棄物焼却方法。
- 火格子式廃棄物焼却炉が、燃焼室から排出されるガスを二次燃焼する二次燃焼室を備え、
前段の高温ガス吹込口から吹き込む前段高温ガスの流量を二次燃焼室から排出される排ガス量の6〜18%に調整し、
後段の高温ガス吹込口から吹き込む後段高温ガスの流量を二次燃焼室から排出される排ガス量の15〜30%に調整することとする請求項9ないし請求項14のうちいずれかに記載の廃棄物焼却方法。 - 前段の高温ガス吹込口から吹き込む高温ガスの吹込み流速を、燃焼室高さとの関係において次の(3)式で表される範囲とするように調整し、後段の高温ガス吹込口から吹き込む高温ガスの吹込み流速を、燃焼室高さとの関係において次の(4)式で表される範囲とするように調整することとする請求項9ないし請求項15のうちいずれかに記載の廃棄物焼却方法。
0.0069X−1. 3≦ Y ≦0.0153X−0.6 … (3)
0.018X−1.0≦ Y ≦0.022X−0.4 … (4)
ここで、X:燃焼室高さ(mm)
Y:高温ガスの吹込み流速(m/sec)
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