以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
図1は、電動自動車用モータ駆動システム1の全体構成の一例を示す図である。モータ駆動システム1は、バッテリ10の電力を用いて走行用モータ40を駆動することにより車両を駆動させるシステムである。尚、電動自動車は、電力を用いて走行用モータ40を駆動して走行するものであれば、その方式や構成の詳細は任意である。電動自動車は、典型的には、動力源がエンジンと走行用モータ40であるハイブリッド自動車(HV)や、動力源が走行用モータ40のみである電気自動車を含む。
モータ駆動システム1は、図1に示すように、バッテリ10、DC/DCコンバータ20、インバータ30、走行用モータ40、及び、半導体駆動装置50を備える。
バッテリ10は、電力を蓄積して直流電圧を出力する任意の蓄電装置であり、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリや電気2重層キャパシタ等の容量性素子から構成されてもよい。
DC/DCコンバータ20は、双方向のDC/DCコンバータ(可逆チョッパ方式の昇圧DC/DCコンバータ)であってよい。DC/DCコンバータ20は、例えば200Vから650Vへの昇圧変換、及び、650Vから200Vへの降圧変換が可能であってよい。DC/DCコンバータ20のリアクトル(コイル)L1の入力側と負極ラインとの間には平滑用コンデンサC1が接続されてよい。
図示の例では、DC/DCコンバータ20は、2つのスイッチング素子Q22,Q24と、リアクトルL1とを有する。2つのスイッチング素子Q22,Q24は、インバータ30の正極ラインと負極ラインとの間に互いに直列に接続される。リアクトルL1は、バッテリ10の正極側に直列に接続される。リアクトルL1は、出力側が2つのスイッチング素子Q22,Q24の接続部に接続される。
図示の例では、DC/DCコンバータ20の2つのスイッチング素子Q22,Q24は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。尚、スイッチング素子Q22,Q24は、ダイオード(例えばフリーホイールダイオード)D22,D24を外付け素子と用いる通常のIGBTであってもよいし、ダイオードD22,D24を内蔵した逆導通IGBT(RC(Reverse Conducting)−IGBT)であってもよい。いずれの場合も、上アームのスイッチング素子Q22のコレクタはインバータ30の正極ラインに接続されており、上アームのスイッチング素子Q22のエミッタは下アームのスイッチング素子Q24のコレクタに接続されている。また、下アームのスイッチング素子Q24のエミッタは、インバータ30の負極ライン及びバッテリ10の負極に接続されている。尚、スイッチング素子Q22、Q24は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)のような、IGBT以外の他のスイッチング素子であってもよい。
インバータ30は、正極ラインと負極ラインとの間に互いに並列に配置されるU相、V相、W相の各アームから構成される。U相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q1,Q2の直列接続からなり、V相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q3,Q4の直列接続からなり、W相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q5,Q6の直列接続からなる。また、各スイッチング素子Q1〜Q6のコレクタ−エミッタ間には、それぞれ、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すようにダイオードD1〜D6が配置される。尚、スイッチング素子Q1〜Q6は、MOSFETのような、IGBT以外の他のスイッチング素子であってもよい。
走行用モータ40は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点で共通接続されている。U相コイルの他端は、スイッチング素子Q1,Q2の中点M1に接続され、V相コイルの他端は、スイッチング素子Q3,Q4の中点M2に接続され、W相コイルの他端は、スイッチング素子Q5,Q6の中点M3に接続される。スイッチング素子Q1のコレクタと負極ラインとの間には、平滑用コンデンサC2が接続される。尚、U,V,W相の3つのコイルの結線方法は、Δ結線であってもよい。また、走行用モータ40は、電磁石と永久磁石とを組み合わせたハイブリッド型の3相モータであってもよい。
尚、走行用モータ40に加えて、第2の走行用モータ又は発電機が並列で追加されてもよい。この場合、対応するインバータも並列に追加されればよい。
半導体駆動装置50は、DC/DCコンバータ20及びインバータ30を制御する。半導体駆動装置50は、マイコンを含むECU(電子制御ユニット)として具現化されてもよい。尚、半導体駆動装置50の各種機能(以下で説明する機能を含む)は、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせにより実現されてもよい。例えば、半導体駆動装置50の各種機能は、特定用途向けASIC(application-specific integrated circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されてもよい。また、半導体駆動装置50の各種機能は、複数のECUにより協動して実現されてもよい。
DC/DCコンバータ20の制御方法の概要は任意であってよい。典型的には、半導体駆動装置50は、インバータ30の動作(力行又は回生)に応じて、DC/DCコンバータ20を制御する。例えば、半導体駆動装置50は、力行時は、DC/DCコンバータ20の下アームのスイッチング素子Q24のみをオン/オフ切換し(下アームによる片アーム駆動)、バッテリ10の電圧を昇圧してインバータ30側に出力する。この際、下アームのスイッチング素子Q24は、PWM(Pulse Width Modulation)制御されてもよい。また、回生時は、DC/DCコンバータ20の上アームのスイッチング素子Q22のみをオン/オフ切換し(上アームによる片アーム駆動)、インバータ30側の電圧を降圧してバッテリ10側に出力する。この際、上アームのスイッチング素子Q22は、PWM制御されてよい。また、リアクトルL1を流れる電流が0を跨ぐ際(ゼロクロス時)、半導体駆動装置50は、2つのスイッチング素子Q22,Q24を逆相でオン/オフ駆動してもよい(両アーム駆動)。
インバータ30の制御方法の概要は任意であってよい。典型的には、半導体駆動装置50は、各相のコイルを流れる相電流が例えば120度ずつ位相がずれた関係の正弦波波形となるように、U相に係る2つのスイッチング素子Q1,Q2をオン/オフ駆動し、V相に係る2つのスイッチング素子Q3,Q4をオン/オフ駆動し、W相に係る2つのスイッチング素子Q5,Q6をオン/オフ駆動する。
図2は、半導体駆動装置50におけるDC/DCコンバータ20の制御部600の一例を示す図である。
DC/DCコンバータ20の制御部600は、マイコン510と、駆動IC(integrated circuit)部620とを含む。駆動IC部620は、スイッチング素子Q22、Q24に応じて2つの駆動IC622A、622Bを含む。尚、2つの駆動IC622は、1つの駆動ICとして具現化されてもよい。かかる場合も、1つの駆動IC内には、2つの駆動IC622A、622Bに対応した回路部分を含むことになる。
制御部600は、駆動信号用の通信線630と、フィードバック信号用の通信線640とを含む。駆動信号用の通信線630は、マイコン510と駆動IC部620との間に設けられる。駆動信号用の通信線630は、スイッチング素子Q22、Q24に応じて2つ設けられる。即ち、駆動信号用の通信線630は、2つの駆動IC622A、622Bのそれぞれに対して設けられる。図2に示す例では、駆動信号用の通信線630は、フォットカプラ632を含み、マイコン510は、駆動信号用の通信線630によりフォットカプラ632を介して駆動IC622A、622Bにそれぞれ接続される。
駆動信号用の通信線630は、DC/DCコンバータ20のスイッチング素子Q22、Q24のオン/オフ切換のための駆動信号が伝送される。駆動信号は、マイコン510から駆動信号用の通信線630及び駆動IC622A、622Bを介してスイッチング素子Q22、Q24のゲートに印加される。駆動信号の生成方法は任意であってよい。
フィードバック信号用の通信線640は、図2に示すように、2つの駆動IC622A、622Bに対して共通である。具体的には、フィードバック信号用の通信線640は、駆動IC622Bとマイコン510との間に設けられるマイコン−IC間通信線641と、2つの駆動IC622A、622B間に設けられるIC間通信線642とを含む。マイコン−IC間通信線641は、フォットカプラ650を含み、マイコン510は、マイコン−IC間通信線641によりフォットカプラ650を介して駆動IC622Bに接続される。また、IC間通信線642は、フォットカプラ652を含み、駆動IC622Aは、IC間通信線642によりフォットカプラ652を介して駆動IC622Bに接続される。
駆動IC622A、622Bは、フィードバック信号をフィードバック信号用の通信線640に出力する。フィードバック信号は、任意のタイミング(又は任意の周期)で出力されてよい。フィードバック信号は、任意の情報を含んでよい。例えば、フィードバック信号は、ID情報と、素子情報とを含んでよい。素子情報は、対応するスイッチング素子Q22、Q24に関する情報であってよい。例えば、素子情報は、スイッチング素子Q22、Q24のそれぞれに設けられてよい温度センサや電流センサ(センスエミッタ)に基づく温度情報や電流情報を含んでもよい。また、素子情報は、スイッチング素子Q22、Q24の現在の状態(オン/オフ状態)を表すオン/オフ情報を含んでよい。また、素子情報は、対応するスイッチング素子Q22、Q24又は対向アームのスイッチング素子Q24、Q22の異常の内容を表す異常情報を含んでよい。異常の内容は、検出可能(判定可能)な異常に応じて複数存在しうる。例えば、異常の内容は、駆動IC622A、622Bの持つ保護機能が働いたときに、その保護動作内容を表す情報であってもよい。保護機能は、例えば短絡保護、過電流保護、過熱保護、電圧異常保護、基板部品不良検出等を含んでよい。
フィードバック信号は、所定のオン/オフパターン(Hi/Loパターン)により生成されてもよい。以下では、区別のため、駆動IC622Aにより生成されるフィードバック信号を「フィードバック信号A」と称し、駆動IC622Bにより生成されるフィードバック信号を「フィードバック信号B」と称する。
駆動IC622Aは、フォットカプラ652を所定のオン/オフパターンでオン/オフさせることで、フィードバック信号AをIC間通信線642を介して駆動IC622Bに送信する。フィードバック信号Aは、上述の如く、駆動IC622Aに係るID情報及び素子情報を含んでよい。
駆動IC622Bは、フォットカプラ650を所定のオン/オフパターンでオン/オフさせることで、フィードバック信号Bをマイコン−IC間通信線641を介してマイコン510に送信する。フィードバック信号Bは、上述の如く、駆動IC622Bに係るID情報及び素子情報を含んでよい。但し、駆動IC622Bは、駆動IC622Aからフィードバック信号AをIC間通信線642を介して受信した場合、そのフィードバック信号Aに応じたフィードバック信号Bを生成して、マイコン510に送信する。この場合、フィードバック信号Bは、フィードバック信号Aと実質的に同一であってもよい。この場合、駆動IC622Bは、フィードバック信号Aをマイコン510に転送するだけである。或いは、フィードバック信号Bは、フィードバック信号Aの情報に加えて、駆動IC622Bで取得した情報(駆動IC622Bに係るID情報及び素子情報)を含んでよい。このとき、フィードバック信号Bは、駆動IC622A、622Bのそれぞれの素子情報がそれぞれのID情報に対応付けられる態様で生成されてよい。これにより、駆動IC622A、622Bの双方の情報を含むフィードバック信号Bをマイコン510が受信した場合でも、マイコン510側において、いずれの素子情報がいずれの駆動ICに係る情報であるかを特定することができる。
マイコン510は、駆動IC622Bからマイコン−IC間通信線641を介してフィードバック信号Bを受信する。これにより、マイコン510は、1本のフィードバック信号用の通信線640を介して、2つの駆動IC622A、622Bからの情報を(混信せずに)取得することができる。例えば、フィードバック信号Bが、上述の如く、フィードバック信号Aの情報、及び、駆動IC622Bで取得した情報(駆動IC622Bに係るID情報及び素子情報)を含む場合は、マイコン510は、駆動IC622A、622Bの双方からの情報を取得することができる。このように、図2に示す例によれば、マイコン510の端子数を増加することなく、各駆動IC622A、622Bからの情報をマイコン510に効率的に伝達することができる。
尚、図2に示す例では、マイコン−IC間通信線641は、駆動IC622Bとマイコン510との間に設けられているが、それに代えて、駆動IC622Aとマイコン510との間に設けられてもよい。この場合は、各駆動IC622A、622Bの役割が逆になるだけである。即ち、駆動IC622Bは、フィードバック信号BをIC間通信線642を介して駆動IC622Aに送信し、駆動IC622Aは、フィードバック信号Aをマイコン−IC間通信線を介してマイコン510に送信する。このとき、フィードバック信号Aは、各駆動IC622A、622Bに係る情報を含んでよい。
図3は、半導体駆動装置50におけるインバータ30の制御部500の構成の一例を示す図である。
インバータ30の制御部500は、マイコン510と、駆動IC522A〜522Fとを含む。駆動IC522A〜522Fは、スイッチング素子Q1〜Q6に応じて6つ設けられる。尚、図2において、6つの駆動IC522A〜522Fに付されたuu,uv等の符合は、対応するアームを示す。例えば、uuは、アッパアームのU相に係るスイッチング素子Q1に対応して設けられる駆動IC522Aを表す。尚、6つの駆動IC522A〜522Fは、1つ又はそれ以外の数の駆動ICとして具現化されてもよい。例えば6つの駆動IC522A〜522Fは、1つの駆動ICとして具現化されてもよい。かかる場合も、1つの駆動IC内には、6つの駆動IC522A〜522Fに対応した回路部分を含むことになる。
制御部500は、駆動信号用の通信線530と、フィードバック信号用の通信線540とを含む。駆動信号用の通信線530は、マイコン510と駆動IC522A〜522Fとの間に設けられる。駆動信号用の通信線530は、スイッチング素子Q1〜Q6に応じて6つ設けられる。即ち、駆動信号用の通信線530は、6つの駆動IC522A〜522Fのそれぞれに対して設けられる。
駆動信号用の通信線530は、インバータ30のスイッチング素子Q1〜Q6のオン/オフ切換のための駆動信号が伝送される。駆動信号は、マイコン510から駆動信号用の通信線530及び駆動IC522を介してスイッチング素子Q1〜Q6のゲートに印加される。駆動信号の生成方法は任意であってよい。例えば、マイコン510は、アクセル開度と車速とに基づいて、モータトルク指令値(目標駆動トルク)を決定し、決定したモータトルク指令値及び各種センサ値等(例えば、電流センサによる各相電流の検出値やレゾルバによるモータ回転数の検出値)に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q6のオン/オフ切換のためのデューティを算出してよい。そして、算出したデューティと、キャリア信号とに基づいて、駆動信号を生成してよい。
フィードバック信号用の通信線540は、図3に示すように、6つの駆動IC522A〜522Fに対して共通である。具体的には、フィードバック信号用の通信線540は、駆動IC522Fとマイコン510との間に設けられるマイコン−IC間通信線541と、駆動IC522A〜522Fのうちの隣接する各2つの駆動IC間に設けられるIC間通信線542とを含む。マイコン−IC間通信線541は、フォットカプラ550を含み、マイコン510は、マイコン−IC間通信線541によりフォットカプラ550を介して駆動IC522Fに接続される。また、各IC間通信線542は、フォットカプラ552A〜552Eを含み、駆動IC522A〜522Fのうちの隣接する各2つの駆動ICは、その間のIC間通信線542により、対応するフォットカプラ552A〜552Eを介して接続される。
駆動IC522A〜522Fのそれぞれは、対応するフォットカップラ552A〜552E、550をオン/オフさせてフィードバック信号用の通信線540のレベルをHiとLo間で変化させることで、フィードバック信号を生成する。フィードバック信号は、上述の如く、駆動IC522A〜522Fのそれぞれに係るID情報と素子情報とを含んでよい。以下では、区別のため、駆動IC522A〜522Fにより生成されるフィードバック信号をそれぞれ「フィードバック信号A〜F」と称する。
駆動IC522Aは、フォットカプラ552Aを所定のオン/オフパターンでオン/オフさせることで、フィードバック信号Aを生成し、生成したフィードバック信号AをIC間通信線542を介して駆動IC522Bに送信する。フィードバック信号Aは、上述の如く、駆動IC522Aに係るID情報及び素子情報を含んでよい。
駆動IC522Bは、フォットカプラ552Bを所定のオン/オフパターンでオン/オフさせることで、フィードバック信号Bを生成し、生成したフィードバック信号BをIC間通信線542を介して駆動IC522Cに送信する。フィードバック信号Bは、上述の如く、駆動IC522Bに係るID情報及び素子情報を含んでよい。但し、駆動IC522Bは、駆動IC522Aからフィードバック信号Aを受信した場合、そのフィードバック信号Aに応じたフィードバック信号Bを生成して、駆動IC522Cに送信する。この場合、フィードバック信号Bは、フィードバック信号Aと実質的に同一であってもよい。或いは、フィードバック信号Bは、フィードバック信号Aの情報に加えて、駆動IC522Bで取得した情報(駆動IC522Bに係るID情報及び素子情報)を含んでよい。
駆動IC522Cは、フォットカプラ552Cを所定のオン/オフパターンでオン/オフさせることで、フィードバック信号Cを生成し、生成したフィードバック信号CをIC間通信線542を介して駆動IC522Dに送信する。フィードバック信号Cは、上述の如く、駆動IC522Cに係るID情報及び素子情報を含んでよい。但し、駆動IC522Cは、駆動IC522Bからフィードバック信号Bを受信した場合、そのフィードバック信号Bに応じたフィードバック信号Cを生成して、駆動IC522Dに送信する。この場合、フィードバック信号Cは、フィードバック信号Bと実質的に同一であってもよい。或いは、フィードバック信号Cは、フィードバック信号Bの情報に加えて、駆動IC522Cで取得した情報(駆動IC522Cに係るID情報及び素子情報)を含んでよい。
駆動IC522D及び駆動IC522Eについても、駆動IC522Bや駆動IC522Cと実質的に同様の態様で、それぞれ、対応するフォットカプラ552D及び552Eを駆動して、フィードバック信号D及びフィードバック信号Eを生成し、IC間通信線542を介して送信する。
駆動IC522Fは、フォットカプラ550を所定のオン/オフパターンでオン/オフさせることで、フィードバック信号Fを生成し、生成したフィードバック信号Fをマイコン−IC間通信線541を介してマイコン510に送信する。フィードバック信号Fは、上述の如く、駆動IC522Fに係るID情報及び素子情報を含んでよい。但し、駆動IC522Fは、駆動IC522Eからフィードバック信号Eを受信した場合、そのフィードバック信号Eに応じたフィードバック信号Fを生成して、マイコン510に送信する。この場合、フィードバック信号Fは、フィードバック信号Eと実質的に同一であってもよい。或いは、フィードバック信号Fは、フィードバック信号Eの情報に加えて、駆動IC522Fで取得した情報(駆動IC522Fに係るID情報及び素子情報)を含んでよい。
マイコン510は、駆動IC522Fからマイコン−IC間通信線541を介してフィードバック信号Fを受信する。これにより、マイコン510は、1本のフィードバック信号用の通信線540を介して、複数の駆動IC522A〜522Fの情報を(混信せずに)取得することができる。このように、図3に示す例によれば、マイコン510の端子数を増加することなく、複数の駆動IC522A〜522Fからの情報をマイコン510に効率的に伝達することができる。
尚、フィードバック信号Fは、上述の如く、フィードバック信号Eの情報を含むことができ、フィードバック信号Eは、フィードバック信号Dの情報を含むことができ、フィードバック信号Dは、フィードバック信号Cの情報を含むことができ、以下同様である。従って、例えば、フィードバック信号Fは、フィードバック信号A〜Eの情報と、駆動IC522Fで取得した情報とを含むことができる。このとき、フィードバック信号Fは、駆動IC522A〜522Fのそれぞれの素子情報がそれぞれのID情報に対応付けられる態様で生成されてよい。これにより、複数の駆動IC522A〜522Fの情報を含むフィードバック信号Fをマイコン510が受信した場合でも、マイコン510側において、いずれの素子情報がいずれの駆動ICに係る情報であるかを特定することができる。
尚、図3に示す例では、マイコン−IC間通信線541は、駆動IC522Fに接続されているが、駆動IC522A〜522Fのうちの任意の1つに接続されてよい。或いは、複数の駆動IC522A〜522Fを2つ以上6個未満の任意のグループに分け、各グループ内の駆動ICの1つだけが、同様のマイコン−IC間通信線を介してマイコン510に接続されてもよい。この場合、グループ毎に独立してマイコン510への情報伝達が実行される。この場合も、グループ数に応じた数の端子がマイコン510に必要となるが、各駆動IC522A〜522Fがそれぞれマイコン510にマイコン−IC間通信線を介して接続される場合に比べて、マイコン510の端子数を低減することが可能である。
ここで、図3に示す構成に関して、短絡異常検知時の動作例について説明する。ここでは、一例として、上アームのU相(uu)に係るスイッチング素子Q1がショート故障した場合を想定する。この場合、下アームのU相(lu)に係る駆動IC522Dが異常を検知する。下アームのU相(lu)に係る駆動IC522Dは、例えば、電流値の異常に基づいて、スイッチング素子Q1のショート故障(短絡異常)を検知してよい。この場合、下アームのU相(lu)に係る駆動IC522Dは、保護動作によりスイッチング素子Q2を保護すると共に、上述のフィードバック信号をフィードバック信号用の通信線540を介してマイコン510に送信する。この際、下アームのU相(lu)に係る駆動IC522Dは、対応するスイッチング素子Q2のID情報と、検出した短絡異常に応じた異常情報とを含むフィードバック信号Dを、IC間通信線542を介して駆動IC522Eに送信する。フィードバック信号Dの情報は、最終的には、上述の如く、駆動IC522Fからマイコン510に伝達される。マイコン510は、受信したID情報と異常情報とに基づいて、下アームのU相(lu)のスイッチング素子Q2に対向する上アームのU相(uu)のスイッチング素子Q1が短絡異常であると判定する。この際、マイコン510は、応急動作を行ってもよい。具体的には、上アームのスイッチング素子Q1をオンさせると共に、下アームのスイッチング素子Q2をオフさせ、他のスイッチング素子Q3〜Q6をオン/オフ切換して応急動作を行うことで、退避走行を可能とする。
図4は、半導体駆動装置50におけるインバータ30の制御部500の構成の他の一例を示す図である。
図4に示す例は、図3に示した例に対して、第2マイコン−IC間通信線544が追加された点が主に異なる。具体的には、第2マイコン−IC間通信線544は、フォットカプラ554を含み、マイコン510は、第2マイコン−IC間通信線544によりフォットカプラ554を介して駆動IC522Aに接続される。
マイコン510は、フォットカプラ554を所定のオン/オフパターンでオン/オフさせることで、マイコン信号を第2マイコン−IC間通信線544を介して駆動IC522Aに送信する。マイコン信号は、任意の情報を含んでよい。例えば、マイコン信号は、駆動IC522Aよりも下位(フィードバック信号用の通信線540の信号の流れ方向で下流)の駆動IC522B〜522Fに係る素子情報を含んでよい。かかる素子情報は、上述のフィードバック信号Fに基づいて生成されてよい。この場合、駆動IC522Aは、自身よりも下流の駆動IC522B〜522Fに係る素子情報を得ることができる。
各駆動IC522A〜522Fにおけるフィードバック信号の生成態様は、図3に示した例と同様であってよい。但し、駆動IC522Aは、マイコン510からマイコン信号を第2マイコン−IC間通信線544を介して受信した場合、そのマイコン信号に応じたフィードバック信号Aを生成して、駆動IC522Bに送信してよい。この場合、フィードバック信号Aは、マイコン信号と実質的に同一であってもよい。或いは、フィードバック信号Aは、マイコン信号の情報に加えて、駆動IC522Aで取得した情報(駆動IC522Aに係るID情報及び素子情報)を含んでよい。また、同様に、駆動IC522B〜522Eは、マイコン信号の情報のうち、自身よりも1つだけ下位の駆動ICに係る素子情報については、破棄してフィードバック信号B〜Eを生成してもよい。例えば、駆動IC522Cは、マイコン信号の情報のうち、駆動IC522Dに係る素子情報については、自身のフィードバック信号Cには含めないようにしてよい。これは、かかる情報は、自身よりも1つだけ下位の駆動ICにとっては不要であるためである。このとき、駆動IC522B〜522Fは、自身で取得した最新の素子情報を付加してフィードバック信号B〜Fを生成してよい。
図4に示す例によれば、図3に示す例と同様、マイコン510の端子数を増加することなく、複数の駆動IC522A〜522Fからの情報をマイコン510に効率的に伝達することができる。また、図4に示す例によれば、第2マイコン−IC間通信線544を設けることで、マイコン510側から駆動IC522A〜522Fに情報を与えることが可能となる。尚、図4に示す例では、第2マイコン−IC間通信線544をマイコン510に接続するための端子が新たに必要であり、その分だけ、図3に示す例よりもマイコン510の端子数は増加する。
尚、図4に示す例では、好ましい実施例として、第2マイコン−IC間通信線544は、最も上位(フィードバック信号用の通信線540の信号の流れ方向で最も上流)にある駆動IC522Aに接続されているが、駆動IC522Aよりも下位の他の駆動ICに接続されてもよい。また、図3に示した例と同様、マイコン−IC間通信線541は、駆動IC522Fに接続されているが、駆動IC522A〜522Fのうちの任意の1つに接続されてよい。或いは、複数の駆動IC522A〜522Fを2つ以上6個未満の任意のグループに分け、各グループ内の駆動ICの1つだけが、同様のマイコン−IC間通信線を介してマイコン510に接続されてもよい。この場合、グループ毎に、独立してマイコン510への情報伝達が実行される。この場合も、第2マイコン−IC間通信線544は、各グループ内の任意の1つの駆動ICに接続されてよい。
次に、フィードバック信号の送信態様の具体例について幾つか説明する。以下では、インバータ30の制御部500に関して説明するが、DC/DCコンバータ20の制御部600においても適用可能である。
図5は、図3に示す例において実行されてよいフィードバック信号の送信態様の一例を示す図である。図5では、上から順に、駆動IC522A〜522Fの電源の状態、駆動IC522Aの出力(駆動IC522Bの入力)、駆動IC522Bの出力(駆動IC522Cの入力)、駆動IC522Cの出力(駆動IC522Dの入力)、駆動IC522Dの出力(駆動IC522Eの入力)、駆動IC522Eの出力(駆動IC522Fの入力)、及び、駆動IC522Fの出力(マイコン510の入力)について、時系列に模式的に示されている。また、図5において、1つのブロック(70〜75)は、ある送信周期のフィードバック信号の全体(1つ)を模式的に表し、ブロック内の数字1〜6は、ID情報を表し、"正常"は、正常である旨を示す異常情報を表す。
図5に示す例では、駆動IC522A〜522Fのそれぞれは、上位(上流側)の駆動IC522A〜522EからのID情報に係る値(1〜5)に"1"を足して、自身のID情報を生成する。
駆動IC522A〜522Fの電源が起動されると、駆動IC522A〜522Fは、それぞれ、所定の同期した周期T1で、フィードバック信号を出力する。周期T1よりも前は、駆動IC522B〜522Fは、フィードバック信号を上位の駆動IC522A〜522Eから受信していないので、駆動IC522A〜522FのID情報はすべて"1"となる。次の周期T2以降では、駆動IC522Aは、上位の駆動ICが存在しないことから、ID情報は"1"のままで、フィードバック信号を出力する。他方、駆動IC522B〜522Fは、周期T1にて上位の駆動ICA〜522EからID情報"1"のフィードバック信号を受信しているので、ID情報"2"のフィードバック信号を生成する。次の周期T3以降では、駆動IC522Aからのフィードバック信号のID情報が"1"で安定化しているので、駆動IC522Bからのフィードバック信号のID情報は"2"で安定化する。このようにして、周期T6以降では、駆動IC522A〜522FのID情報は、それぞれ、"1"〜"6"で安定化する。これにより、マイコン510は、ID情報に基づいて、どの異常情報がどの駆動ICに係るかを判断することができる。例えば、ID情報"5"に後続する異常情報は、駆動IC522Eに係る異常情報であると判断することができる。
図5に示す例によれば、予めID情報を駆動IC522A〜522Fに付与する必要がなく、所定のルールに従って生成されたID情報と紐付けられた異常情報をマイコン510に伝達することができる。尚、マイコン510は、ID情報"6"を含むフィードバック信号を受信した場合のみ、フィードバック信号の情報を利用することとしてよい。
図6は、図3に示す例において実行されてよいフィードバック信号の送信態様の他の一例を示す図である。図6では、上から順に、駆動IC522A〜522Fの電源の状態、駆動IC522Aの出力(駆動IC522Bの入力)、駆動IC522Bの出力(駆動IC522Cの入力)、駆動IC522Cの出力(駆動IC522Dの入力)、駆動IC522Dの出力(駆動IC522Eの入力)、駆動IC522Eの出力(駆動IC522Fの入力)、及び、駆動IC522Fの出力(マイコン510の入力)について、時系列に模式的に示されている。また、図6において、1つのブロック(70〜75)は、ある送信周期のフィードバック信号の全体(1つ)を模式的に表し、ブロック内の数字1〜6は、ID情報を表し、"正常"は、正常である旨を示す異常情報を表す。
図6に示す例では、駆動IC522A〜522Fのそれぞれは、ID情報"1"〜"6"が予め付与されている。尚、かかるID情報の値は、駆動IC522A〜522Fのフラッシュメモリ等のEEPROMに記憶されてよい。
駆動IC522A〜522Fの電源が起動されると、駆動IC522A〜522Fは、それぞれ、所定の同期した周期T1で、フィードバック信号を出力する。周期T1よりも前は、駆動IC522B〜522Fは、フィードバック信号を上位の駆動IC522A〜522Eから受信していないので、自身の素子情報のみを含むフィードバック信号をそれぞれ出力する。次の周期T2以降では、駆動IC522Aは、上位の駆動ICが存在しないことから、自身の素子情報のみを含むフィードバック信号を出力する。他方、駆動IC522B〜522Fは、周期T1にて上位の駆動ICA〜522Eからフィードバック信号を受信しているので、周期T1にて受信した情報と今回周期T2で取得した自身の素子情報とを含むフィードバック信号を生成する。このようにして、周期T6以降では、駆動IC522Fは、駆動IC522A〜522Fの全てに関する素子情報を含むフィードバック信号を生成して、マイコン510に送信することが可能となる。
図6に示す例によれば、予めID情報を駆動IC522A〜522Fに付与しておき、ID情報と紐付けられた異常情報をマイコン510に伝達することができる。尚、マイコン510は、ID情報"1"〜"6"の全てを含むフィードバック信号を受信した場合のみ、フィードバック信号の情報を利用することとしてよい。
図7は、図3に示す例において実行されてよいフィードバック信号の送信態様の他の一例を示す図である。図7では、上から順に、駆動IC522Aの出力(駆動IC522Bの入力)、駆動IC522Bの出力(駆動IC522Cの入力)、駆動IC522Cの出力(駆動IC522Dの入力)、駆動IC522Dの出力(駆動IC522Eの入力)、駆動IC522Eの出力(駆動IC522Fの入力)、及び、駆動IC522Fの出力(マイコン510の入力)について、時系列に模式的に示されている。また、図7において、1つのブロックは、ある送信周期のフィードバック信号を模式的に表し、ブロック内の数字1〜6は、ID情報を表し、"正常"は、正常である旨を示す異常情報を表し、"異常"は、異常である旨を示す異常情報を表す。尚、図7に示す例では、駆動IC522A〜522Fの電源は既にオン状態であり、駆動IC522Fは、駆動IC522A〜522Fの全てに関する素子情報を含むフィードバック信号を生成して、マイコン510に送信している。
図7に示す例では、各駆動IC522A〜522Fのフィードバック信号の送信タイミングが同期していない(同時ではない)点が、図5及び図6に示した例と異なる。このように、各駆動IC522A〜522Fのフィードバック信号の送信タイミングは、任意である。尚、各駆動IC522A〜522Fのフィードバック信号の送信タイミングは、上位の駆動IC522A〜522Eからのフィードバック信号の受信タイミングがトリガとされてもよい。即ち、各駆動IC522A〜522Fは、それぞれの対応する上位の駆動IC522A〜522Eからのフィードバック信号を受信した場合に、それに応じてフィードバック信号を生成・送信することとしてもよい。
図7に示す例では、駆動IC522Bが、ある周期(図7では左から2番目の周期)で異常を検出した場合が示されている。この場合、駆動IC522Bは、異常である旨を示す異常情報を含むフィードバック信号を生成・送信する。この異常情報は、駆動IC522C〜522Fを介してマイコン510へと伝達される。この場合、マイコン510は、この異常情報がID情報"2"に紐付けられていることに基づいて、駆動IC522Bに係る素子情報であると判断することができる。
図8は、図4に示す例において実行されてよいマイコン信号及びフィードバック信号の送信態様の一例を示す図である。図8では、上から順に、駆動IC522A〜522Fの電源の状態、マイコン510の出力(駆動IC522Aの入力)、駆動IC522Aの出力(駆動IC522Bの入力)、駆動IC522Bの出力(駆動IC522Cの入力)、駆動IC522Cの出力(駆動IC522Dの入力)、駆動IC522Dの出力(駆動IC522Eの入力)、駆動IC522Eの出力(駆動IC522Fの入力)、及び、駆動IC522Fの出力(マイコン510の入力)について、時系列に模式的に示されている。また、図8において、1つのブロックは、ある送信周期のフィードバック信号を模式的に表し、ブロック内の数字1〜6は、ID情報を表し、"正常"は、正常である旨を示す異常情報を表す。ID情報の付与態様は、上述した図5に示した例と同様であるとする。また、マイコン510のマイコン信号80の送信タイミング及び各駆動IC522A〜522Fのフィードバック信号の送信タイミングが同期しておらず(同時ではなく)、それぞれ、例えば前回の送信終了タイミングから所定時間後であってよい。
図8に示すように、図5に示した例と同様、起動後の所定周期以降では、駆動IC522A〜522FのID情報は、それぞれ、"1"〜"6"で安定化し、マイコン信号80及び各フィードバック信号81〜86のすべてが安定化する。マイコン信号80は、直前の周期で受信したフィードバック信号86に基づいて生成される。マイコン信号80は、図8に示すように、最上位の駆動IC522Aを除く全ての駆動IC522B〜522Fに係る素子情報を含む。同様に、図8に示すように、駆動IC522B〜522Eは、マイコン信号80に係る情報のうち、自身よりも1つだけ下位の駆動ICに係る素子情報については、破棄してフィードバック信号82〜86を生成してもよい。例えば、駆動IC522Cは、マイコン信号80に係る情報のうち、駆動IC522Dに係る素子情報(ID情報"4"に係る素子情報)については、自身のフィードバック信号83には含めないようにしてよい。これは、かかる情報は、自身よりも1つだけ下位の駆動ICにとっては不要であるためである。このとき、駆動IC522A〜522Fは、自身で取得した最新の素子情報を付加してフィードバック信号81〜86を生成する。
図9は、図4に示す例において実行されてよいマイコン信号及びフィードバック信号の送信態様の他の一例を示す図である。図9では、上から順に、駆動IC522A〜522Fの電源の状態、マイコン510の出力(駆動IC522Aの入力)、駆動IC522Aの出力(駆動IC522Bの入力)、駆動IC522Bの出力(駆動IC522Cの入力)、駆動IC522Cの出力(駆動IC522Dの入力)、駆動IC522Dの出力(駆動IC522Eの入力)、駆動IC522Eの出力(駆動IC522Fの入力)、及び、駆動IC522Fの出力(マイコン510の入力)について、時系列に模式的に示されている。また、図9において、1つのブロックは、ある送信周期のフィードバック信号を模式的に表し、ブロック内の数字1〜6は、ID情報を表し、"正常"は、正常である旨を示す異常情報を表す。ID情報の付与態様は、上述した図6に示した例と同様であるとする。また、マイコン510のマイコン信号80の送信タイミング及び各駆動IC522A〜522Fのフィードバック信号の送信タイミングは同期しておらず(同時ではなく)、それぞれ、例えば前回の送信終了タイミングから所定時間後であってよい。
図9に示すように、図6に示した例と同様、起動後の所定周期以降では、駆動IC522Fのフィードバック信号86は、各駆動IC522A〜522Fに係る素子情報を全て含むようになる。図8に示した例と同様、マイコン信号80は、直前の周期で受信したフィードバック信号86に基づいて生成される。マイコン信号80は、図9に示すように、最上位の駆動IC522Aを除く全ての駆動IC522B〜522Fに係る素子情報を含む。同様に、図9に示すように、駆動IC522B〜522Eは、マイコン信号80に係る情報のうち、自身よりも1つだけ下位の駆動ICに係る素子情報については、破棄してフィードバック信号82〜86を生成してもよい。これは、かかる情報は、自身よりも1つだけ下位の駆動ICにとっては不要であるためである。このとき、駆動IC522A〜522Fは、自身で取得した最新の素子情報を付加してフィードバック信号81〜86を生成する。
次に、フィードバック信号に含まれる素子情報を利用したデッドタイム制御について説明する。尚、デッドタイムは、上下アームの2つのスイッチング素子のオン状態が同時に起こって上下アームが短絡するのを防止するために設けられる。
図10は、図3に示す例において実行されてよいデッドタイム制御におけるフィードバック信号の利用例を示す図である。本例では、マイコン510においてデッドタイム制御を行う場合を想定する。図10では、上から順に、駆動IC522Aの出力(駆動IC522Bの入力)、駆動IC522Bの出力(駆動IC522Cの入力)、駆動IC522Cの出力(駆動IC522Dの入力)、駆動IC522Dの出力(駆動IC522Eの入力)、駆動IC522Eの出力(駆動IC522Fの入力)、駆動IC522Fの出力(マイコン510の入力)、及び、駆動IC522Eに対する駆動信号(マイコン510からの駆動信号)について、時系列に模式的に示されている。
図10に示す例では、前提として、素子情報は、オン/オフ情報(対応するスイッチング素子Q1〜Q6のオン/オフ情報)を含む。ここでは、駆動IC522E(スイッチング素子Q4)に対する駆動信号について、着目するが、他の駆動信号についても同様であってよい。また、マイコン510のマイコン信号80の送信タイミング及び各駆動IC522A〜522Fのフィードバック信号の送信タイミングは同期しておらず(同時ではなく)、それぞれ、例えば前回の送信終了タイミングから所定時間後であってよい。
図10に示す例では、駆動IC522Bは、図10に示す情報90を含むフィードバック信号の出力タイミングで、対応するスイッチング素子Q3がオフしていることを示すオン/オフ情報を含むフィードバック信号を出力する。このとき、上述の如く、かかるオン/オフ情報は、図10にて矢印で模式的に示すように、マイコン510へと駆動IC522C〜522Fを介して伝達される。マイコン510は、かかるオン/オフ情報(スイッチング素子Q3のオフを示す情報)を受信すると、図10に示すように、上下アームの対向するスイッチング素子Q4をオンするための駆動信号を生成する。即ち、スイッチング素子Q4の駆動信号をオフからオンに切り替える。
このようにしてマイコン510は、各上下アームにおいて、上アームのスイッチング素子のオフ状態をフィードバック信号に基づいて検出したときに、下アームのスイッチング素子をオンさせる。また、マイコン510は、各上下アームにおいて、下アームのスイッチング素子のオフ状態をフィードバック信号に基づいて検出したときに、上アームのスイッチング素子をオンさせる。これにより、最適なタイミングでスイッチング素子Q1〜Q6をオン/オフさせることが可能となり、デットタイムの短縮(それに伴う損失の低減)が可能である。また、フィードバック信号に含まれるオン/オフ情報(実際のオン/オフ状態を表す情報)に基づくことで、精度の高いデットタイム制御を実現することができる。
尚、図10に示す例は、図3に示す例において実行されてよいデッドタイム制御に関するものであるが、図2に示す例において実行されてよいデッドタイム制御にも適用可能である。
図11は、図4に示す例において実行されてよいデッドタイム制御におけるマイコン信号及びフィードバック信号の利用例を示す図である。本例では、駆動IC522A〜522F側でデッドタイム制御を行う場合を想定する。図11では、上から順に、マイコン510の出力(駆動IC522Aの入力)、駆動IC522Aの出力(駆動IC522Bの入力)、駆動IC522Bの出力(駆動IC522Cの入力)、駆動IC522Cの出力(駆動IC522Dの入力)、駆動IC522Dの出力(駆動IC522Eの入力)、駆動IC522Eの出力(駆動IC522Fの入力)、駆動IC522Fの出力(マイコン510の入力)、駆動IC522Eに対する駆動信号(マイコン510からの駆動信号)、及び、駆動IC522Eの動作(駆動信号の補正態様)について、時系列に模式的に示されている。
図11に示す例では、前提として、素子情報は、オン/オフ情報(対応するスイッチング素子Q1〜Q6のオン/オフ情報)を含む。ここでは、駆動IC522E(スイッチング素子Q4)に対する駆動信号について、着目するが、他の駆動信号についても同様であってよい。
図11に示す例では、駆動IC522Bは、図11に示す情報90を含むフィードバック信号の出力タイミングで、対応するスイッチング素子Q3がオフしていることを示すオン/オフ情報を含むフィードバック信号を出力する。このとき、上述の如く、かかるオン/オフ情報は、図11にて矢印で模式的に示すように、駆動IC522Eへと駆動IC522C、522Dを介して伝達される。駆動IC522Eは、マイコン510からの駆動信号がオン状態であるときに、かかるフィードバック信号のオン/オフ情報(スイッチング素子Q3のオフを示す情報)を受信すると、図11に示すように、スイッチング素子Q4をオンするための駆動信号を生成する。即ち、スイッチング素子Q4の駆動信号をオフからオンに切り替える。
このようにして、駆動IC522Eは、マイコン510からのスイッチング素子Q4に対する駆動信号がオン状態であり、且つ、スイッチング素子Q4に対向するスイッチング素子Q3のオフ状態を示すフィードバック信号を受信したときに、マイコン510からの駆動信号(スイッチング素子Q4をオンするための駆動信号)をスイッチング素子Q4のゲートに印加する。尚、他の駆動IC522A−522D,522Fについても同様である。例えば、駆動IC522Aは、マイコン510からのスイッチング素子Q1に対する駆動信号がオン状態であり、且つ、スイッチング素子Q1に対向するスイッチング素子Q2のオフ状態を示すマイコン信号を受信したときに、マイコン510からの駆動信号(スイッチング素子Q1をオンするための駆動信号)をスイッチング素子Q1のゲートに印加する。また、駆動IC522Bは、マイコン510からのスイッチング素子Q3に対する駆動信号がオン状態であり、且つ、スイッチング素子Q3に対向するスイッチング素子Q4のオフ状態を示すフィードバック信号を受信したときに、マイコン510からの駆動信号(スイッチング素子Q3をオンするための駆動信号)をスイッチング素子Q3のゲートに印加する。これにより、最適なタイミングでスイッチング素子Q1〜Q6をオン/オフさせることが可能となり、デットタイムの短縮が可能である。また、フィードバック信号に含まれるオン/オフ情報(実際のオン/オフ状態を表す情報)に基づくことで、精度の高いデットタイム制御を実現することができる。
尚、図4に示す例において、図10に示したように、マイコン510においてデッドタイム制御を実行することも可能である。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、半導体駆動装置50は、インバータ30の制御部500とDC/DCコンバータ20の制御部600とを含むが、一方のみを含んでもよい。この場合、他方の制御部の構成は、任意の構成であってよい。
また、上述した実施例では、フィードバック信号用の通信線540(フィードバック信号用の通信線640についても同様)において、フォットカプラ550,552等が使用されている。しかしながら、フォットカップラ以外の絶縁素子等を用いて同様の機能を実現してもよい。例えば磁気カップラ等の磁気結合素子、容量結合素子、高耐圧素子等を用いて同様の機能を実現してもよい。