以下、遊技機の一種であるスロットマシンに本発明を適用した場合の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図であり、図2はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図である。
図2に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、複数の木製パネルが固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。
筐体11の前面側には、前面扉12が取り付けられている。前面扉12はその左側部を回動軸として、筐体11の内部空間を開閉可能とするように筐体11に支持されている。なお、前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置13によって開放不能に施錠状態とされており、この施錠状態は、キーシリンダ14に対する所定のキーによる解錠操作により解除される。
前面扉12の中央部上寄りには、図1に示すように、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル20が設けられている。遊技パネル20には、縦長の3つの表示窓部21L,21M,21Rが横並びとなるように形成されている。表示窓部21L,21M,21Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓部21L,21M,21Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。
図2に示すように、筐体11は仕切り板によりその内部が上下2分割されており、仕切り板の上部にはリールユニット31が取り付けられている。リールユニット31は、円筒状にそれぞれ形成された左リール32L,中リール32M,右リール32Rを備えている。各リール32L,32M,32Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール32L,32M,32Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール32L,32M,32Rが各表示窓部21L,21M,21Rと1対1で対応している。したがって、各リール32L,32M,32Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓部21L,21M,21Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール32L,32M,32Rが正回転すると、各表示窓部21L,21M,21Rを通じてリール32L,32M,32Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
これら各リール32L,32M,32Rは、それぞれが図示しないステッピングモータに連結されており、各ステッピングモータの駆動により各リール32L,32M,32Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
図1に示すように、遊技パネル20の下方左側には、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー41が設けられている。メダルが投入されているときにこのスタートレバー41が操作されると、各リール32L,32M,32Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー41の右側には、回転している各リール32L,32M,32Rを個別に停止させるために操作されるストップボタン42,43,44が設けられている。各ストップボタン42,43,44は停止対象となるリール32L,32M,32Rに対応する表示窓部21L,21M,21Rの直下にそれぞれ配置されている。各ストップボタン42,43,44は、左リール32Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となる。
なお、スタートレバー41の操作に基づき各リール32L,32M,32Rの回転が開始され、各ストップボタン42,43,44の操作に基づき各リール32L,32M,32Rが回転を停止して、メダル付与及び遊技状態の管理といった各種処理の実行が完了するまでが、1回のゲームに相当する。
表示窓部21L,21M,21Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口45が設けられている。メダル投入口45から投入されたメダルは、図2に示すように、前面扉12の背面に設けられたセレクタ52によって、投入可能時であればホッパ装置53へ導かれ、投入不可時であれば前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口58からメダル受け皿59へと導かれる。なお、ホッパ装置53は、上記有効ライン上にメダルの付与に対応した入賞が成立した場合に、貯留タンクに貯留されたメダルを、メダル排出口58を通じてメダル受け皿59に払い出す機能を有している。
メダル投入口45の下方には、図1に示すように、メダル投入口45に投入されたメダルがセレクタ52内に詰まった際に押される返却ボタン46が設けられている。また、表示窓部21L,21M,21Rの下方左側には、クレジットされた仮想メダルを一度にベット可能な最大分投入するための第1クレジット投入ボタン47と、仮想メダルを一度に2枚投入するための第2クレジット投入ボタン48と、仮想メダルを一度に1枚投入するための第3クレジット投入ボタン49とが設けられている。
スタートレバー41の左側には、精算ボタン51が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の貯留上限数(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の払出メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状況下で精算ボタン51を操作された場合、仮想メダルが現実のメダルとしてメダル排出口58から払い出されるようになっている。
筐体11の内部においてホッパ装置53の左方には、図2に示すように、電源装置54が設けられている。電源装置54には、電源投入時や電源遮断時に操作される電源ボタン55と、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのリセットボタン56と、スロットマシン10の設定状態を「設定1」から「設定6」の範囲で変更するために操作される設定キー挿入孔57と、を備えている。
<各リール32L,32M,32Rに付されている図柄>
次に、各リール32L,32M,32Rに付されている図柄について説明する。
図3には、左リール32L,中リール32M,右リール32Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール32L,32M,32Rにはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。また、各リール32L,32M,32Rに対応して番号が0〜20まで付されているが、これら番号は主制御装置70が表示窓部21L,21M,21Rから視認可能な状態となっている図柄を認識するための番号であり、リール32L,32M,32Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
図柄としては、「スイカ」図柄(例えば、左ベルト20番目)、「赤7」図柄(例えば、左ベルト19番目)、「リプレイ」図柄(例えば、左ベルト18番目)、「ベル」図柄(例えば、左ベルト17番目)、「チェリー」図柄(例えば、左ベルト16番目)、「BAR」図柄(例えば、左ベルト15番目)、「白7」図柄(例えば、左ベルト8番目)、「LUCKY1」図柄(例えば、左ベルト5番目)、及び「LUCKY2」図柄(例えば、左ベルト1番目)の9種類がある。そして、図3に示すように、各リール32L,32M,32Rに巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
各表示窓部21L,21M,21Rは、図4の説明図に示すように、対応するリールに付された21個の図柄のうち図柄全体を視認可能な図柄数が3個となるように形成されている。このため、各リール32L,32M,32Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が表示窓部21L,21M,21Rを介して視認可能な状態となる。
本スロットマシン10では、各リール32L,32M,32Rの図柄が視認可能となる位置を結ぶようにして、計5本の組合せラインが設定されている。より詳しくは、左リール32Lの上段図柄、中リール32Mの中段図柄、及び右リール32Rの下段図柄を結んだ第1ラインML1と、左リール32Lの上段図柄、中リール32Mの上段図柄、及び右リール32Rの上段図柄を結んだ第2ラインML2と、左リール32Lの中段図柄、中リール32Mの中段図柄、及び右リール32Rの中段図柄を結んだ第3ラインML3と、左リール32Lの下段図柄、中リール32Mの下段図柄、及び右リール32Rの下段図柄を結んだ第4ラインML4と、左リール32Lの下段図柄、中リール32Mの中段図柄、及び右リール32Rの上段図柄を結んだ第5ラインML5と、が設定されている。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合には、入賞成立として、遊技媒体たるメダルが所定数払い出される特典が付与されたり、遊技状態の移行が発生する特典が付与されたりするようになっている。
図5には、入賞となる前記所定の図柄及び前記所定の図柄の組合せと、入賞となった場合に付与される特典の内容とが示されている。
メダル払出が行われる小役入賞としては、第1スイカ入賞、第2スイカ入賞、ベル入賞、チェリー入賞、第1特殊入賞、第2特殊入賞及び第3特殊入賞がある。
各リール32L,32M,32Rの「スイカ」図柄が有効ライン上に停止した場合には、第1スイカ入賞として7枚のメダル払出が行われる。左リール32Lの「BAR」図柄と中リール32M及び右リール32Rの「スイカ」図柄とが有効ライン上に停止した場合には、第2スイカ入賞として7枚のメダル払出が行われる。各リール32L,32M,32Rの「ベル」図柄が有効ライン上に停止した場合には、ベル入賞として7枚のメダル払出が行われる。左リール32Lの「白7」図柄と中リール32Mの「リプレイ」図柄と右リール32Rの「スイカ」図柄とが有効ライン上に停止した場合には、第1特殊入賞として1枚のメダル払出が行われる。左リール32Lの「LUCKY1」図柄と中リール32Mの「ベル」図柄と右リール32Rの「リプレイ」図柄とが有効ライン上に停止した場合には、第2特殊入賞として1枚のメダル払出が行われる。左リール32Lの「LUCKY2」図柄と中リール32M及び右リール32Rの「BAR」図柄とが有効ライン上に停止した場合には、第3特殊入賞として1枚のメダル払出が行われる。
左リール32Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には、チェリー入賞として1枚のメダル払出が行われる。すなわち、チェリー入賞の場合には、中リール32M及び右リール32Rについて、有効ライン上に停止する図柄がどのような図柄であっても良い。左リール32Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、各有効ライン上にてチェリー入賞が成立し、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われる。具体的には2枚のメダル払出が行われる。一方、左リール32Lにおいて一の有効ラインのみが存在する位置(具体的には中段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、チェリー入賞として設定されている分のメダル払出が行われる。具体的には1枚のメダル払出が行われる。
なお、メダルの払出枚数は上記のものに限定されることはなく、例えば第1特殊入賞、第2特殊入賞及び第3特殊入賞の払出枚数をゲーム開始に必要なメダルの枚数である3枚よりも少ない1枚とする構成に代えて、当該ゲーム開始に必要なメダルの枚数である3枚としてもよく、それよりも多い枚数としてもよい。
遊技状態の移行のみが行われる状態移行入賞としては、第1BB入賞及び第2BB入賞がある。各リール32L,32M,32Rの「赤7」図柄が有効ライン上に停止した場合には第1BB入賞となり、各リール32L,32M,32Rの「白7」図柄が有効ライン上に停止した場合には第2BB入賞となる。これらBB入賞が成立した場合には、遊技状態がBB状態に移行する。
メダルを投入することなく次ゲームの遊技を行うことが可能な再遊技の特典が付与される入賞としては、第1再遊技入賞及び第2再遊技入賞がある。各リール32L,32M,32Rの「リプレイ」図柄が有効ライン上に停止した場合には第1再遊技入賞となり、左リール32L及び中リール32Mの「リプレイ」図柄と右リール32Rの「スイカ」図柄とが有効ライン上に停止した場合には第2再遊技入賞となる。第1再遊技入賞又は第2再遊技入賞が成立すると、メダル払出や状態移行は行われないものの、遊技者は所有するメダルを減らすことなく且つメダルを投入することなく次ゲームの遊技を行うことが可能となる。
ここで、各リール32L,32M,32Rの図柄配列を簡単に説明すると、「リプレイ」図柄は、リールの最大スベリ数(すなわち4図柄)の範囲内で各リール32L,32M,32Rに配置されている。また、「スイカ」図柄についても少なくとも右リール32Rについてはリールの最大スベリ数(すなわち4図柄)の範囲内で配置されている。したがって、第1再遊技役又は第2再遊技役に当選となった場合には、ストップボタン42〜44の操作順序及び操作タイミングに関わらず、第1再遊技入賞又は第2再遊技入賞を成立させることが可能である。一方、他の役と対応する図柄は、少なくとも1つのリールにおいて5図柄分以上離れた区間が形成されるようにして配置されている。このため、ストップボタン42〜44の操作順序又は操作タイミングによって取りこぼしの発生する可能性が生じる。ところが、本スロットマシン10では、例えば通常遊技状態において、第1スイカ役に当選となる場合には必ず第2スイカ役にも当選となる(図10参照)。「スイカ」図柄は、リールの最大スベリ数(すなわち4図柄)の範囲内で中リール32M及び右リール32Rに配置されている。また、左リール32Lにおいては、一の「スイカ」図柄と、「スイカ」図柄又は「BAR」図柄との間隔がリールの最大スベリ数以下となるようにして配置されている。このため、第1スイカ役及び第2スイカ役の両方に当選となった場合には、ストップボタン42〜44の操作順序及び操作タイミングに関わらず第1スイカ入賞又は第2スイカ入賞が成立する。
前面扉12の説明に戻り、前面扉12の上部には図1に示すように上部ランプ64が設けられているとともにスピーカ65が設けられており、さらに画像表示装置66が設けられている。上部ランプ64は、スロットマシン10において異常が発生した場合に当該異常に対応した態様で発光制御されるとともに、入賞結果に応じた態様で発光制御される。また、上部ランプ64は、画像表示装置66における表示演出に対応した発光演出が行われるように発光制御される。スピーカ65は左右一対として設けられており、スロットマシン10において異常が発生した場合に当該異常に対応した音又は音声が出力されるように音出力制御されるとともに、入賞結果に対応した音又は音声が出力されるように音出力制御される。また、スピーカ65は、画像表示装置66における表示演出に対応した音出力演出が行われるように音出力制御される。画像表示装置66は、スロットマシン10において異常が発生した場合には当該異常に対応した画像が表示されるように表示制御される。また、画像表示装置66は、役の抽選結果及び各ゲームにおける入賞結果に対応した画像が表示されるように表示制御される。
<各種制御装置>
スロットマシン10には、各種制御装置が設けられている。具体的には、図2に示すように、リールユニット31の上方には、主制御装置70が設けられている。当該主制御装置70は、筐体11の背板に取り付けられている。主制御装置70は、主基板が基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスを開放する場合には、締結状態を解除する必要があり、当該締結状態の解除に際して破壊箇所が生じることとなる。当該破壊箇所の有無を確認することで、基板ボックスが開放されたか否かを簡易的に確認することが可能となる。
スロットマシン10には、主制御装置70以外にもサブ制御装置80が設けられている。サブ制御装置80は、前面扉12において画像表示装置66の後方に重ねて配置されている。サブ制御装置80は、主制御装置70から受信したコマンドに基づき、上部ランプ64、スピーカ65及び画像表示装置66の制御を実行する。なお、サブ制御装置80は、主制御装置70と同様に、基板ボックス内に制御基板が収容されてなる。
<スロットマシン10の電気的構成>
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図6のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置70は、遊技の主たる制御を司る主制御基板71を具備している。主制御基板71には、MPU72が搭載されている。MPU72には、当該MPU72により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM73と、そのROM73内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM74と、が内蔵されている。なお、MPU72に対してROM73及びRAM74が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。
MPU72には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU72の入力側には、リールユニット31(より詳しくは各リール32L,32M,32Rが1回転したことを個別に検知するリールインデックスセンサ)、スタートレバー41の操作を検知するスタート検知センサ41a、各ストップボタン42,43,44の操作を個別に検知するストップ検知センサ42a,43a,44a、メダル投入口45から投入されたメダルを検知する投入検知センサ116、各クレジット投入ボタン47,48,49の操作を個別に検知するクレジット投入検知センサ47a,48a,49a、精算ボタン51の操作を検知する精算検知センサ51a、ホッパ装置53の払出検知センサ、リセットボタン56の操作を検知するリセット検知センサ56a、及び設定キー挿入孔57に設定キーが挿入されたことを検知する設定キー検知センサ57a等の各種センサが接続されており、これら各センサからの信号はMPU72に入力される。
MPU72の出力側には、リールユニット31(より詳しくは各リール32L,32M,32Rを回転させるためのステッピングモータ)、ホッパ装置53の払出モータ、及びサブ制御装置80等が接続されている。各ゲームにおいてはリールユニット31の各リール32L,32M,32Rの回転駆動制御がMPU72により行われるとともに、小役入賞が成立してメダルの払い出しを実行する場合にはホッパ装置53の駆動制御がMPU72により行われる。サブ制御装置80には、各ゲームの各タイミングでMPU72からコマンドが送信される。
MPU72の入力側には、電源装置54に設けられた停電監視回路が接続されている(図示略)。電源装置54には、主制御装置70をはじめとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部及び停電監視回路が搭載されており、停電監視回路は、外部電源から電源部に印加されている電圧を監視し、当該電圧が基準電圧以下となった場合にMPU72に停電信号を出力する。MPU72は、停電信号を受信することにより停電時処理を実行し、復電後において停電前の処理状態への復帰を可能とする。また、電源装置54には、外部電源からの動作電力の供給が遮断されている状況において電断中電力としてバックアップ電力をRAM74に供給するための電断中電源部が設けられている。これにより、外部電源からの動作電力の供給が遮断されている状況であっても、電断中電源部においてバックアップ電力を供給可能な状況(例えば1日や2日)ではRAM74においてデータが記憶保持される。但し、電源装置54に設けられたリセットボタン56を押圧操作した状態でスロットマシン10の電源のON操作を行うことで、RAM74に記憶保持されているデータは初期化される。
サブ制御装置80には、上部ランプ64、スピーカ65及び画像表示装置66が接続されている。サブ制御装置80は、主制御装置70のMPU72から受信したコマンドに基づき、上部ランプ64の発光制御、スピーカ65の音出力制御、及び画像表示装置66の表示制御を実行することで、各種報知や各種演出が行われるようにする。
<主制御装置70のMPU72により実行される処理>
次に、主制御装置70のMPU72により実行される処理について説明する。かかるMPU72の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されたメイン処理の実行後に繰り返し実行される通常処理と、当該通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理を説明し、その後、通常処理を説明する。
<タイマ割込み処理>
図7は、タイマ割込み処理を示すフローチャートである。当該タイマ割込み処理は、例えば1.49msecごとに起動される。
ステップS101に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているMPU72内の全レジスタの値をRAM74に退避させる。ステップS102では停電フラグに「1」がセットされているか否かを確認し、停電フラグに「1」がセットされているときにはステップS103に進み、停電時処理を実行する。停電フラグには、電源装置54から停電信号が出力されることにより「1」がセットされる。停電時処理では、コマンドの送信が終了しているか否かを判定し、送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンドの送信を終了させる。コマンドの送信が終了している場合には、MPU72のスタックポインタの値をRAM74に保存する。その後、出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。そして、停電解消時にRAM74のデータが正常か否かを判定するためのRAM判定値を算出してRAM74に保存することにより、それ以後のRAMアクセスを禁止する。以上の処理を行った後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
タイマ割込み処理の説明に戻り、ステップS102にて停電フラグに「1」がセットされていない場合には、ステップS104以降の各種処理を行う。ステップS104では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS105では、MPU72自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。ステップS106では、各リール32L,32M,32Rを回転させるために、それぞれのステッピングモータを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS107では、スタート検知センサ41a、ストップ検知センサ42a〜44a及び投入検知センサ45a等の各種センサ(図6参照)の状態を読み込むとともに、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。ステップS108では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ演算処理を行う。ステップS109では、メダルのベット数や、払出枚数をカウントした結果を外部出力するカウンタ処理を行う。
ステップS110では、各種コマンドをサブ制御装置80へ出力するコマンド出力処理を行う。ステップS111では、出力ポートからI/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS112では、先のステップS101にてRAM74に退避させた各レジスタの値をそれぞれMPU72内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS113にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
<通常処理>
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について図8のフローチャートに基づき説明する。
ステップS201では、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行う。ステップS202では、遊技を可能とするための開始前処理を行う。開始前処理では、サブ制御装置80等が初期化を終了するまで待機する。サブ制御装置80等の初期化が終了した場合には、ステップS203〜ステップS213に示す遊技管理処理を行う。
遊技管理処理として、ステップS203では、RAM74に格納された各種遊技情報等のデータ(例えば前回の遊技で用いた乱数値等)をクリアする。その後、ステップS204では開始待ち処理を行う。
開始待ち処理では、前回の遊技で第1再遊技入賞又は第2再遊技入賞が成立したか否かを判定する。いずれかの再遊技入賞が成立している場合には、前回のベット数と同数の仮想メダルを自動投入する自動投入処理を行うとともに、投入完了コマンドをセットして開始待ち処理を終了する。ここで、投入完了コマンドとは、自動投入の完了を把握させるべくサブ制御装置80に対して送信されるコマンドである。なお、自動投入処理では、クレジット表示部60に表示された仮想メダル数を減じることなく仮想メダルの投入を行う。つまり、前回の遊技で再遊技入賞が成立した場合には、遊技者は所有するメダルを減らすことなく且つメダルを投入することなく今回の遊技を行うことができる。再遊技入賞が成立していなかった場合には、精算ボタン51が操作されたか否かを判定し、精算ボタン51が操作された場合には、クレジットされた仮想メダルと同数のメダルを払い出すメダル返却処理を行うとともに精算コマンドをセットする。ここで、精算コマンドとは、クレジットされた仮想メダルの返却を行っていることを把握させるべくサブ制御装置80に対して送信されるコマンドである。精算ボタン51が操作されていない場合には、前回の開始待ち処理から今回の開始待ち処理までの間にメダルの投入又はクレジット投入ボタン47〜49の操作がなされたか否かを判定し、いずれかが行われた場合には有効ラインの設定等を行うメダル投入処理を行った後に開始待ち処理を終了する。また、前回の開始待ち処理から今回の開始待ち処理までの間にメダルの投入及びクレジット投入ボタン47〜49の操作のいずれもなされていない場合には、そのまま開始待ち処理を終了する。
ステップS205では、メダルのベット数が規定数(本実施形態では3枚)に達しているか否かを判定し、ベット数が規定数に達していない場合には、ステップS204の開始待ち処理に戻る。ベット数が規定数に達している場合には、ステップS206に進み、スタートレバー41が操作されたか否かを判定する。スタートレバー41が操作されていない場合には、ステップS204の開始待ち処理に戻る。
一方、規定数のメダルがベットされている状況下でスタートレバー41が操作された場合(ステップS205及びステップS206が共にYESの場合)には、遊技を開始させるべく開始指令が発生したことを意味する。かかる場合にはステップS207に進み、上述した第1ラインML1〜第5ラインML5の全ての組合せラインを有効ラインに設定する有効ライン設定処理を行うとともに、ステップS208にてセレクタ52を制御することによりベット受付を禁止する。その後、ステップS209では役の当否判定を実行する抽選処理を実行し、ステップS210では各リール32L,32M,32Rの回転を開始させるリール回転処理を実行し、ステップS211ではストップボタン42〜44が操作されて停止指令が発生した場合に対応するリールを停止させるリール停止処理を行う。
全リール32L,32M,32Rが停止した場合には、ステップS212にてメダル払出処理を行う。メダル払出処理では、今回のゲームで第1再遊技入賞又は第2再遊技入賞が成立したか否かを判定し、いずれかの再遊技入賞が成立している場合には次回のゲームにおいて自動投入処理が実行されるようにするための再遊技設定処理を行う。いずれの再遊技入賞も成立していない場合には、今回のゲームで小役入賞が成立したか否かを判定する。小役入賞が成立している場合には、RAM74の払出情報格納エリアにその小役入賞に対応した払出数をセットする。そして、クレジットカウンタのカウント値が上限(貯留されているメダル数が50枚)に達していない場合、クレジットカウンタのカウント値に払出数を加算する。また、クレジットカウンタのカウント値が上限に達している場合、又は払出数の加算途中でカウント値が上限に達した場合には、メダル払出用回転板を駆動し、メダルをホッパ装置53からメダル受け皿59へ払い出す。なお、現在の遊技状態がBB状態である場合には、後述する残払出数データの値から払出数を減算する処理を行う。
ステップS213のBB状態処理では、第1BBに当選していることを示す第1BB当選フラグ及び第2BBに当選していることを示す第2BB当選フラグのいずれかに「1」がセットされている状況で、その当選フラグに対応した入賞が成立しているか否かを判定する。いずれかのBB入賞が成立した場合には、RAM74のBB設定フラグに「1」をセットすることで遊技状態をBB状態に移行させる。また、RAM74に、BB状態中に払出可能な残りのメダル数を示す残払出数データとして「442」をセットする。
遊技状態がBB状態となることで、後述する抽選処理ではBB状態用抽選テーブルを選択する。また、BB状態においては、リール32L,32M,32Rの回転が停止され入賞が発生する毎に、その入賞分の数がRAM74の残払出数データから減算される。そして、残払出数データが「0」となった場合に、BB設定フラグが「0」クリアされて、BB状態が終了する。BB状態処理が終了した場合には、1回のゲームが終了したことを意味するため、ステップS203に戻る。
<抽選処理>
次に、ステップS209の抽選処理を、図9のフローチャートに基づき説明する。
ステップS301では、役の当否判定を行う際に用いる乱数を取得する。本スロットマシン10では、スタートレバー41が操作されると、ハード回路がその時点におけるフリーランカウンタの値をラッチする構成となっている。フリーランカウンタは0〜65535の乱数を生成しており、MPU72は、スタートレバー41の操作を確認した後、ハード回路がラッチした値をRAM74に格納する。かかる構成とすることにより、スタートレバー41が操作されたタイミングで速やかに乱数を取得することが可能となり、同期等の問題が発生することを回避することが可能となる。本スロットマシン10のハード回路は、スタートレバー41が操作される毎にその都度のフリーランカウンタの値をラッチする構成となっている。
乱数を取得した後、ステップS302では、現在の遊技状態等に基づいて、役の当否判定を行うための抽選テーブルを選択する。本スロットマシン10では、「設定1」から「設定6」まで6段階の当選確率が予め用意されており、電源投入時に設定キー挿入孔57に設定キーを挿入してON操作するとともに所定の操作を行うことにより、いずれの当選確率に基づいて内部処理を実行させるのかを設定することができる。ステップS302では、設定状態が「設定1」のときにメダル払出の期待値が最も低い抽選テーブルを選択し、「設定6」のときにメダル払出の期待値が最も高い抽選テーブルを選択する。
抽選テーブルについて、簡単に説明する。図10は、「設定1」の通常遊技状態で選択される通常遊技状態用抽選テーブルである。抽選テーブルには、判定対象としてのインデックス値IVが設定されており、インデックス値IVには、当選となる役がそれぞれ一義的に対応付けられるとともにポイント値PVが設定されている。
抽選テーブルを選択した後、ステップS303ではインデックス値IVを1とし、続くステップS304では役の当否を判定する際に用いる判定値DVを設定する。かかる判定値設定処理では、現在の判定値DVに、現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVを設定する。なお、初回の判定値設定処理では、ステップS301にて取得した乱数値を現在の判定値DVとし、この乱数値に現在のインデックス値IVである1と対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとする。
その後、ステップS305ではインデックス値IVと対応する役の当否判定を行う。役の当否判定では判定値DVが65535を超えたか否かを判定する。65535を超えた場合には、ステップS306に進み、そのときのインデックス値IVと対応する役の当選情報をRAM74に格納した後に本処理を終了する。例えばIV=1のときに判定値DVが65535を超えた場合には第1再遊技当選情報をRAM74に格納し、IV=5のときに判定値DVが65535を超えた場合には第1特殊当選情報、第2特殊当選情報及び第3特殊当選情報をRAM74に格納し、IV=13のときに判定値DVが65535を超えた場合には第1BB当選情報及びベル当選情報をRAM74に格納する。
ちなみに、当選情報が第1BB当選情報及び第2BB当選情報以外の当選情報である場合、これら当選情報は、この当選情報が格納されたゲームの終了時に「0」クリアされる(通常処理のS203参照)。一方、当選情報が第1BB当選情報又は第2BB当選情報である場合、このBB当選情報は対応するBB図柄の組合せが有効ライン上に停止したことを条件の1つとして「0」クリアされる。すなわち、第1BB当選情報及び第2BB当選情報は、複数回のゲームにわたって有効とされる場合がある。なお、第1BB当選情報又は第2BB当選情報を持ち越した次ゲーム以降における役の当否判定では、第1BB及び第2BB以外の役に当選となった場合、対応する当選情報をRAM74に格納し、第1BB又は第2BBに当選となった場合、対応する当選情報の新たな格納は行わない。例えば、RAM74に第2BB当選情報が格納されている状況でIV=9の際に当選となった場合には、チェリー当選情報のみをRAM74に格納し、第1BB当選情報をRAM74に格納しない。この結果、かかるゲームは、第1BB、第2BB及びチェリーに当選しているゲームとなるのではなく、第2BB及びチェリーに当選しているゲームとなる。
ステップS305にて判定値DVが65535を超えなかった場合には、インデックス値IVと対応する役に外れたことを意味する。かかる場合にはステップS307にてインデックス値IVを1加算し、続くステップS308ではインデックス値IVと対応する役があるか否か、すなわち当否判定すべき判定対象があるか否かを判定する。具体的には、1加算されたインデックス値IVが抽選テーブルに設定されたインデックス値IVの最大値を超えたか否かを判定する。当否判定すべき判定対象がない場合には、本抽選処理を終了し、当否判定すべき判定対象がある場合には、ステップS304に戻って役の当否判定を継続する。このとき、ステップS304では、先の役の当否判定に用いた判定値DV(すなわち現在の判定値DV)に現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとし、ステップS305では、当該判定値DVに基づいて役の当否判定を行う。
<リール回転処理>
次に、通常処理(図8)におけるステップS210のリール回転処理を、図11のフローチャートに基づき説明する。
ステップS401では、RAM74に記憶されている今回のゲームの当選情報を参照し、今回のゲームにおける抽選処理(図9)の結果と対応するオフセット指定テーブルの種類を特定する。オフセット指定テーブルは、ROM73の指定テーブル記憶エリア141に予め記憶されており、ステップS401では、特定した種類のオフセット指定テーブルのROM73におけるアドレスをRAM74のオフセット指定テーブル用エリア151に読み出す。オフセット指定テーブルとは、回転中のリールを停止させる場合に用いる停止情報を設定するための各種設定情報が定められたテーブルである。オフセット指定テーブルの詳細については後に説明する。
続くステップS402では、基礎情報を設定する。具体的には、オフセット指定テーブルの基本設定情報に設定されたグループ番号情報をRAM74のグループ番号用エリア152にセットするとともに、仮想払出上限値情報をRAM74の上限値情報用エリア153にセットする。これらグループ番号及び仮想払出上限値情報の詳細については後に説明する。
続くステップS403では、始動用割込み処理を許可する。始動用割込み処理は、タイマ割込み処理(図7参照)におけるステップS106のステッピングモータ制御処理に含まれており、リール回転処理においてステップS403の処理が行われることにより、ステッピングモータ制御処理における一連の処理の一部として始動用割込み処理が起動される。上述したように、タイマ割込み処理は、1.49msec周期で起動されるため、始動用割込み処理が許可されている間は当該始動用割込み処理も約1.49msec周期で起動される。
始動用割込み処理では、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過していることを条件として、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させる。そして、所定の加速態様で各リール32L,32M,32Rの加速処理を行い、加速処理が終了して各リール32L,32M,32Rが定速回転となった場合には定速回転情報をRAM74にセットする。
ステップS403にて始動用割込み処理を許可した場合には、ステップS404にて回転中のリールの停止情報を設定する停止準備処理を行う。その後、ステップS405にて、RAM74に定速回転情報がセットされているか否かを判定し、定速回転情報がセットされるまでステップS405にて待機する。定速回転情報がセットされている場合には、ステップS406にて、始動用割込み処理の実行を禁止するとともに、RAM74の定速回転情報をクリアする。その後、本リール回転処理を終了する。
<停止準備処理>
次に、停止準備処理について説明する。停止準備処理は、既に説明したとおりリール回転処理(図11)におけるステップS404にて実行される。また、それ以外にも、後述するリール停止処理(図26)においていずれかのリール32L,32M,32Rに対して停止指令が発生したことに基づきその停止指令対象のリールを停止させるための処理を実行している状況であるステップS1304にて実行される。つまり、停止準備処理は、新たなゲームが開始されて各リール32L,32M,32Rの回転速度が定速となるまでに要する期間を利用して実行されるとともに、回転中のリール32L,32M,32Rに対して停止指令が発生したことに基づき当該停止指令に対応するリールを停止させるための期間を利用して実行される。
図12は、停止準備処理を示すフローチャートである。
ステップS501では、RAM74に対象リール情報として右リール32Rを示す情報を格納する。ステップS502では、RAM74のスベリ数テーブル番号用エリア154にセットされた情報を「0」クリアする。ステップS503では、対象リール情報の示すリール(以下、「対象リール」と言う)に対して既に停止指令が発生しているか否かを判定する。停止指令が発生していない場合には、ステップS504に進み、RAM74の引込ビットテーブル番号用エリア155にセットされた情報を「0」クリアする。
続くステップS505では、現状の対象リールについて基点位置に停止させる図柄を決定するための情報を設定する停止情報設定処理を実行する。その後、ステップS506にて、現状の対象リールが左リール32Lであるか否かを判定する。対象リールが左リール32Lではない場合には、ステップS507に進み、対象リール情報の更新を行う。具体的には、右リール32Rが対象リールである場合には対象リールを中リール32Mに更新し、中リール32Mが対象リールである場合には対象リールを左リール32Lに更新する。対象リール情報を更新した場合には、対象リールの停止情報を設定すべくステップS503に戻る。
つまり、停止準備処理では、右リール32R→中リール32M→左リール32Lの順に停止情報を設定するための処理を行う。一方、ステップS506にて対象リールが左リール32Lであると判定した場合には、全リール32L,32M,32Rの停止情報を設定したことを意味するため、停止準備処理を終了する。ここで、既に説明したとおり停止準備処理は、各リール32L,32M,32Rの加速期間中、及び各リール32L,32M,32Rの停止制御を行っている期間中に実行される。この場合、加速期間中であれば全てのリール32L,32M,32Rに対してステップS504及びステップS505の処理が実行されるとともに、停止制御を行っている期間中であれば未だ停止指令が発生していない1個又は2個のリールに対してステップS504及びステップS505の処理が実行される。
<オフセット指定テーブル>
停止準備処理におけるステップS505の停止情報設定処理の説明に先立ち、オフセット指定テーブルについて具体例を挙げて説明する。図13(a−1)及び図13(a−2)は、27バイトで構成されたオフセット指定テーブルの一例であり、図13(b)は、7バイトで構成されたオフセット指定テーブルの一例である。
オフセット指定テーブルには、図13(a−1)及び図13(b)に示すように、基本設定情報と、最初にリールを停止させる場合に用いる停止情報を設定するための第1停止用設定情報と、1つのリールを停止させた後に用いる停止情報を設定するための第1停止後用設定情報と、が設定されている。
基本設定情報として、当選役のグループ番号を示すグループ番号情報と、仮想払出上限値を示す仮想払出上限値情報とが設定されている。基本設定情報を記憶する領域は、2バイトで構成されている。仮想払出上限値の内容については後に説明するとして、グループ番号について詳細に説明する。
グループ番号は、いずれかのリールの回転が停止した後において回転中のリールの停止制御を行うために使用する停止情報として、抽選処理(図9)の結果に応じて取得したオフセット指定テーブルにて指定されている停止情報とは異なる停止情報を利用するか否かの判定、及び所謂リーチ目といった図柄の組合せを停止表示させることが可能か否かの判定を行う場合に利用される。
グループ番号は、役の当選状況に対応させて複数設定されている。具体的には、図14の説明図に示すように、「0」〜「9」の10個が設定されており、グループ番号「0」は今回の抽選処理にていずれの役にも当選していない外れ結果が対応付けられており、グループ番号「1」は今回の抽選処理にて第1再遊技又は第2再遊技に当選している状況が対応付けられており、グループ番号「2」は今回の抽選処理にて第1スイカ又は第2スイカに当選している状況が対応付けられており、グループ番号「3」は今回の抽選処理にてチェリーに当選している状況が対応付けられており、グループ番号「4」は今回の抽選処理にて第1特殊に当選している状況が対応付けられており、グループ番号「5」は今回の抽選処理にて第2特殊に当選している状況が対応付けられており、グループ番号「6」は今回の抽選処理にて第3特殊に当選している状況が対応付けられており、グループ番号「7」は今回の抽選処理にてベルに当選している状況が対応付けられており、グループ番号「8」は今回の抽選処理にて第1BBに当選している状況が対応付けられており、グループ番号「9」は今回の抽選処理にて第2BBに当選している状況が対応付けられている。
上述したとおり、グループ番号を示すグループ番号情報はオフセット指定テーブルの基本設定情報に設定されており、リール回転処理(図11参照)のステップS401にて、抽選処理の結果に対応するオフセット指定テーブルを選択する。そして、一のオフセット指定テーブルにはグループ番号が1個のみ設定されている。例えばチェリーにのみ当選している状況で選択されるオフセット指定テーブルにはグループ番号として「3」が設定されている。また、複数の役に同時に当選している状況で選択されるオフセット指定テーブルには、当選役と対応する各グループ番号のうちいずれか1つが設定されている。例えば、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に当選している状況(IV=5の際に当選となった状況)で選択されるオフセット指定テーブルには、グループ番号として第1特殊のグループ番号に対応した「4」が設定されている。
また、例えば、第1BB及びベルに当選している状況(IV=13の際に当選となった状況)で選択されるオフセット指定テーブルには、グループ番号としてベルのグループ番号に対応した「7」が設定されている。また、第1BB当選情報がRAM74に格納されている状況で抽選処理にてIV=6の際に当選となった場合に選択されるオフセット指定テーブルにも、グループ番号としてベルのグループ番号に対応した「7」が設定されている。これらのグループ番号の設定態様は、第2BBに同時に当選している状況又は第2BB当選情報がRAM74に格納されている状況においても同様である。今回の抽選処理にて第1BB若しくは第2BBに同時に当選している状況又は第1BB当選情報若しくは第2BB当選情報がRAM74に格納されている状況では上記のように第1BB及び第2BBとは異なる側のグループ番号が最初に設定されるものの、必要に応じて第1BB又は第2BBに対応したグループ番号に変更され、第1BB又は第2BBに当選していることに対応した停止制御が実行されることとなる。かかるグループ番号の変更に関する処理内容については後に詳細に説明する。
第1停止用設定情報は、図13(a−1)及び図13(b)に示すように、左リール32Lの停止情報を設定するための左第1停止情報と、中リール32Mの停止情報を設定するための中第1停止情報と、右リール32Rの停止情報を設定するための右第1停止情報とが設定されている。これら第1停止情報を記憶する領域はそれぞれ1バイトであり、第1停止用設定情報を記憶する領域は3バイトとなっている。各第1停止情報は、スベリ数テーブルと引込ビットテーブルのいずれを参照するかを示すテーブル種別情報と、参照すべきテーブル番号を示す番号情報とを有している。なお、図13(a−1)及び図13(b)において「S」はスベリ数テーブルが設定されていることを示し、「B」は引込ビットテーブルが設定されていることを示す。
スベリ数テーブルはROM73に予め複数記憶されており、具体的には、図15に示すように33個のスベリ数テーブルが予め記憶されている。スベリ数テーブルとは、ストップボタン42〜44が操作されたタイミングからリールをどれだけ滑らせた(回転させた)上で停止させるかが定められたテーブルであり、当該スベリ数テーブルには、0番から20番までの21個の各図柄番号に1対1で対応させてスベリ数が設定されている。
すなわち、スベリ数テーブルには、リール32L,32M,32Rを停止させるまでに基点位置(本実施の形態では下段)を通過させる図柄数が各図柄番号に対して設定されている。さらにいうと、スベリ数テーブルには、リール32L,32M,32Rの停止態様が定められており、ストップボタン42〜44が操作された際に基点位置に到達している図柄番号(以下、「到達図柄番号」と言う。)と、前記基点位置に実際に停止させる図柄番号(以下、「停止図柄番号」と言う。)との関係が定められている。
本スロットマシン10では、ストップボタン42〜44が操作された場合に到達図柄をそのまま停止させる場合(図15における「0」)と、到達図柄をそのまま停止させる場合よりも1図柄分滑らせた後に停止させる場合(図15における「1」)と、到達図柄をそのまま停止させる場合よりも2図柄分滑らせた後に停止させる場合(図15における「2」)と、到達図柄をそのまま停止させる場合よりも3図柄分滑らせた後に停止させる場合(図15における「3」)と、到達図柄をそのまま停止させる場合よりも4図柄分滑らせた後に停止させる場合(図15における「4」)と、の5パターンがリールの停止態様として用意されている。これは、遊技者がストップボタン42〜44を操作するタイミングと、表示窓部21L,21M,21Rから視認可能な範囲に停止する図柄配列(以下、「停止出目」と言う)とを密接に関連付けるための工夫である。つまり、ストップボタン42〜44が操作されたタイミングから規定時間(190msec)が経過するまでに対応するリール32L,32M,32Rを停止させることにより、遊技者の操作によってあたかも停止出目が決定されたかのような印象を遊技者に抱かせることが可能となる。また、到達図柄をそのまま停止させる場合よりも4図柄分までは滑らせることが可能な構成とすることにより、当選した役と対応する図柄又は図柄の組合せが有効ライン上に停止しない所謂取りこぼしの発生頻度を低減させることが可能となるとともに、役の抽選に当選していないにも関わらず入賞図柄の組合せが有効ライン上に停止する不具合を回避することが可能となる。
スベリ数が「0」の図柄は、下段に実際に停止する図柄である。例えば4番のスベリ数テーブルを用いて左リール32Lを停止させる場合には、1番,2番,8番,9番,16番のいずれかの図柄が下段に到達している際に左ストップボタン42が操作された場合、左リール32Lを滑らせること無くそのまま停止させる。また、スベリ数が「0」でない番号の図柄は、到達図柄をそのまま停止させる場合よりも設定された図柄数分だけリールが滑ることを意味する。例えば4番のスベリ数テーブルを用いて左リール32Lを停止させる場合であって、3番の図柄が下段に到達している際に左ストップボタン42が操作された場合には、スベリ数として「4」が設定されているため、左リール32Lを4図柄分だけ滑らせて7番の図柄を下段に停止させる。
上記のようにスベリ数テーブルは、ストップボタン42〜44が操作されたタイミングで基点位置に到達している図柄を基準として、当該図柄をリール32L,32M,32Rの回転方向にどれだけ滑らせた後に対象となるリール32L,32M,32Rを停止させるのかを定めるテーブルである。これに対して、引込ビットテーブルは、対象となるリール32L,32M,32Rに付された21個の図柄について、基点位置に停止させるか否かの優先度を定めるテーブルである。当該優先度は2段階又は3段階で設定されている。但し、当該優先度は図柄のスベリ数そのものを表すものではなく、優先順位情報を導出するための一部の情報を表すものである。なお、優先順位情報については後に詳細に説明するが、スベリ数テーブルを利用しない状況において、ストップボタン42〜44が停止されたタイミングで基点位置に停止させることが可能な図柄のうちいずれの図柄を基点位置に停止させるのかを決定するために利用される。
第1停止後用設定情報は、図13(a−1)、図13(a−2)及び図13(b)に示すように、第1停止として左リール32Lを停止させた場合に中リール32M及び右リール32Rの停止情報を設定するための左第1停止後情報と、第1停止として中リール32Mを停止させた場合に左リール32L及び右リール32Rの停止情報を設定するための中第1停止後情報と、第1停止として右リール32Rを停止させた場合に左リール32L及び中リール32Mの停止情報を設定するための右第1停止後情報とが設定されている。各第1停止後情報は、参照すべき組合せテーブルの種別を示すテーブル種別情報と、参照すべきテーブル番号を示す番号情報とを有している。中第1停止後情報を記憶する領域と右第1停止後情報を記憶する領域は、それぞれ1バイトで構成されている。
左第1停止後情報を記憶する領域は、27バイト構成のオフセット指定テーブルにおいては図13(a−2)に示すように21バイトで構成されており、7バイト構成のオフセット指定テーブルにおいては図13(b)に示すように1バイトで構成されている。左第1停止後情報についてより詳しく説明すると、7バイト構成のオフセット指定テーブルにおいては、左第1停止後情報が1つのみ設定されている。これに対して、27バイト構成のオフセット指定テーブルにおいては、0番から20番までの21個の各図柄番号に対してそれぞれ左第1停止後情報が設定されている。27バイト構成のオフセット指定テーブルから左第1停止後情報が選択される場合、21個存在しているテーブル種別及びテーブル番号の組合せのうち、基点位置に実際に停止した図柄の図柄番号に対応する組合せではなく、左リール32Lに対応したストップボタン42が操作されたタイミングで基点位置に存在していた図柄の図柄番号に対応する組合せが選択される。これにより、左第1停止後情報の選択態様の多様化が図られる。
第1停止後用設定情報は、参照すべき組合せテーブルの種別を示すテーブル種別情報と、参照すべきテーブル番号を示す番号情報とを有している。組合せテーブルはROM73に記憶されており、組合せテーブルとして具体的には図16に示すようにノーマルタイプテーブル(図13において「N」)とマルチタイプテーブル(図13において「M」)とが記憶されている。
ノーマルタイプテーブルは、図16(a)に示すように、複数個(本実施の形態では44個)の共通データを有している。共通データは、第1データ及び第2データにより構成されている。第1データ及び第2データは、スベリ数テーブルと引込ビットテーブルのいずれを参照するかを示すテーブル種別情報と、参照すべきテーブル番号を示す番号情報とを有している。第1停止指令が発生した後において当該停止指令対象外のリール(すなわち停止指令が発生していない2個のリール)のうち一方のリールの停止情報を設定する場合に第1データが使用され、他方のリールの停止情報を設定する場合に第2データが使用される。具体的には、第1停止リールが左リール32Lである場合には、第1データが中リール32Mの停止情報を設定する際に使用され、第2データが右リール32Rの停止情報を設定する際に使用される。第1停止リールが中リール32Mである場合には、第1データが左リール32Lの停止情報を設定する際に使用され、第2データが右リール32Rの停止情報を設定する際に使用される。第1停止リールが右リール32Rである場合には、第1データが左リール32Lの停止情報を設定する際に使用され、第2データが中リール32Mの停止情報を設定する際に使用される。ノーマルタイプテーブルの場合、第1停止指令が発生した後における第1データ及び第2データと各リールとの対応関係が、第2停止指令の発生後(すなわち2個のリールが回転中に新たな停止指令が発生した後)であっても同一のノーマルタイプテーブルを使用する限りは変更されない。
マルチタイプテーブルは、図16(b)に示すように、複数個(本実施の形態では32個)の第2停止用データ及び第3停止用データを有している。これら第2停止用データ及び第3停止用データは、ノーマルタイプテーブルにおける共通データと同様、第1データ及び第2データにより構成されている。この場合、第2停止用データは、第1停止指令後において当該停止指令対象外のリール(すなわち停止指令が発生していない2個のリール)の停止情報を設定するために利用される。第2停止用データにおける第1データ及び第2データと各リールとの対応関係は、ノーマルタイプテーブルにおける共通データと同様である。一方、第3停止用データは、第2停止指令後において回転中のリールであって当該停止指令対象外のリール(すなわち停止指令が発生していない1個のリール)の停止情報を設定するために利用される。この場合、当該停止指令対象外のリールに対して第2停止用データにて第1データが対応付けられている場合には第3停止用データにおいても第1データが使用対象となり、第2停止用データにて第2データが対応付けられている場合には第3停止用データにおいても第2データが使用対象となる。
<停止情報設定処理>
次に、停止準備処理におけるステップS505の停止情報設定処理を、図17のフローチャートに基づき説明する。
ステップS601では各リール32L,32M,32Rのうち回転中の1個のリールに対して停止指令が発生し回転中の残りの2個のリールには停止指令が発生していない状況であるか否かを判定し、ステップS602では各リール32L,32M,32Rのうち回転中の2個のリールに対して停止指令が発生し回転中の残りの1個のリールには停止指令が発生していない状況であるか否かを判定する。ステップS601にて肯定判定をした場合にはステップS603にて第1停止後用処理を実行し、ステップS602にて肯定判定をした場合にはステップS604にて第2停止後用処理を実行する。これら第1停止後用処理及び第2停止後用処理では、詳細は後述するが、既に停止指令が発生しているリール(停止中のリール及び回転中であって停止指令が発生しているリール)の停止結果に応じて、その後に使用対象となるスベリ数テーブル又は引込ビットテーブルといった停止制御用のテーブルを変更するための処理を実行する。
ステップS603の処理を実行した場合、ステップS604の処理を実行した場合、又はステップS601及びステップS602の両方にて否定判定をした場合には、ステップS605に進む。ステップS605では、今回の停止情報の設定に際して使用するテーブルがスベリ数テーブルであるか否かを判定する。この判定に際しては、ステップS603及びステップS604の処理を実行していない場合には今回のゲームの開始時に取得したオフセット指定テーブルを参照し、ステップS603又はステップS604の処理を実行している場合にはそれらのいずれかの処理にて変更されたテーブルを参照する。
スベリ数テーブルである場合には、ステップS606に進み、RAM74のスベリ数テーブル番号用エリア154に今回使用するスベリ数テーブルのテーブル番号を格納する。スベリ数テーブルではない場合には、今回使用するテーブルが引込ビットテーブルであることを意味するため、ステップS607に進み、RAM74の引込ビットテーブル番号用エリア155に今回使用する引込ビットテーブルのテーブル番号を格納する。ステップS606又はステップS607の処理を実行した場合には、ステップS608にて優先順位情報作成処理を実行した後に、本停止情報設定処理を終了する。
<優先順位情報作成処理>
次に、停止情報設定処理(図17)のステップS608にて実行される優先順位情報作成処理について説明する。優先順位情報作成処理では、停止指令の発生したリールの停止位置、役の当選状況等に基づいて、優先順位情報を作成する。この優先順位情報の作成に際しては、RAM74に設けられた優先順位情報用エリア156を使用する。
図19(a)及び図19(b)は、優先順位情報用エリア156を説明するための説明図である。
優先順位情報用エリア156は、図19(a)に示すように、多数の判定情報用バッファBを備えている。判定情報用バッファBは、各リール32L,32M,32Rの各図柄番号と1対1で対応させて設けられている。また、各リール32L,32M,32Rの各図柄番号にはそれぞれ図柄が設定されているため、判定情報用バッファBは各図柄と1対1で対応させて設けられているとも言える。判定情報用バッファBは各リール32L,32M,32Rにそれぞれ21個ずつ割り当てられているため、優先順位情報用エリア156は合計で63個の判定情報用バッファBを有する。各判定情報用バッファBはそれぞれ1バイトで構成されており、優先順位情報用エリア156は合計63バイトのデータ容量を有している。
判定情報用バッファBの各ビットは、個別に又は所定の組合せで、特有の判定用情報を格納するための機能を有する。詳細には、図19(b)に示すように、最上位の第7ビットは、不当入賞情報を格納するための不当入賞判定ビットとしての機能を有し、第6〜第3ビットは、再遊技情報を格納するための再遊技ビット、及び獲得枚数情報を格納するための獲得枚数ビットとしての機能を有し、第2ビットは、再遊技情報を格納するための再遊技ビット、及び役物情報を格納するための役物ビットとしての機能を有し、第1〜第0ビットは、引込ビット情報を格納するための引込ビットとしての機能を有する。後述する比較判定処理では、判定情報用バッファBの各ビットの値によって形成される優先順位情報の大小を比較判定し、最も大きな優先順位情報に基づいて停止図柄番号を導出する。このため、優先順位情報が図柄を停止させる場合の優先順位となるとともに、優先順位情報が大きい図柄番号ほど基点位置に停止する優先順位が高く、優先順位情報が小さい図柄番号ほど基点位置に停止する優先順位が低くなる。
図18は、優先順位情報作成処理を示すフローチャートである。
まずステップS701にて対象リールの判定情報用バッファアドレスを取得する。すなわち、停止準備処理(図12)にて今回設定されている対象リールが各リール32L,32M,32Rのうちいずれであるのかを特定し、そのリールと対応した図柄数分(21個)の判定情報用バッファBのアドレスを取得する。続くステップS702では、それらアドレスに対応する各判定情報用バッファBのデータを初期化するための初期化処理を実行する。初期化処理では、基本的に、不当入賞判定ビットである第7ビット及び引込ビットの下位側である第0ビットに「1」がセットされ、その他のビットは「0」となっているようにする。
その後、ステップS703にて、今回の対象図柄番号が「21」となるようにRAM74のデータ書き込みを行う。ステップS704では、当該RAMに書き込んだ対象図柄番号の値を1減算し、ステップS705では、検索ライン数を取得する。本スロットマシン10では5本の組合せラインを有するため検索ライン数のデータとして「5」をRAM74に書き込む。
続くステップS706では入賞判定処理を実行する。これにより、現状の対象リールであって現状の対象図柄番号について優先順位情報を作成する。詳細は後述するが、優先順位情報の作成に際しては、対象リールの対象図柄番号が基点位置に停止した場合を想定し、対象図柄番号と対応した判定情報用バッファBの各ビットに対して、種々の状況を考慮して「0」又は「1」の情報を格納する処理を行う。
その後、ステップS707にて、RAM74に書き込まれている対象図柄番号が「0」となっているか否かを判定する。「0」でない場合には、ステップS704に戻りRAM74の対象図柄番号を1減算するとともに、その対象図柄番号について優先順位情報を作成する。つまり、優先順位情報作成処理では、20番から0番までの各図柄番号が基点位置に停止した場合を想定し、これら図柄番号に対して順番に優先順位情報を作成する。そして、ステップS707にてRAM74の対象図柄番号の値が「0」であると判定した場合には、対象リールの全図柄番号に対して優先順位情報を作成したことを意味するため、優先順位情報作成処理を終了する。
<入賞判定処理>
次に、図20のフローチャートを参照しながら入賞判定処理について説明する。
ステップS801では、RAM74に検索ライン数のデータとして記憶された値を1減算する。既に説明したとおり、優先順位情報作成処理(図18)ではステップS706の入賞判定処理の実行に先立ち、ステップS705にて検索ライン数のデータとして「5」をRAM74に書き込む。したがって、入賞判定処理が起動された直後では検索ライン数が「4」となり、検索ラインが右下がりの第1ラインML1となる。なお、検索ライン数「3」が上段の第2ラインML2に相当し、検索ライン数「2」が中段の第3ラインML3に相当し、検索ライン数「1」が下段の第4ラインML4に相当し、検索ライン数「0」が右上がりの第5ラインML5に相当する。
続くステップS802ではライン判定処理を実行する。ライン判定処理では、既に停止指令が発生している場合には既に停止指令が発生しているリールについて検索ライン上の図柄番号を特定する。また、今回の対象リールについて検索ライン上の図柄番号を特定する。そして、それら特定した図柄番号に基づき現状の検索ライン上に存在している図柄又は図柄の組合せの種類を特定する。
既に停止指令が発生しているリールが0個である場合には、今回の対象リールで今回の対象図柄番号が基点位置に停止した場合を想定して、当該対象リールにおいて今回の検索ライン上に存在する図柄番号に対応する図柄が入賞役に対応する図柄であるか否か又は入賞役に対応する図柄の組合せを成立させる可能性があるか否かを特定する。このように既に停止指令が発生しているリールが0個である場合というのは、リール回転処理(図11)におけるステップS404の停止準備処理が実行される場合に発生する。
既に停止指令が発生しているリールが1個である場合には、今回の対象リールで今回の対象図柄番号が基点位置に停止した場合を想定して、既に停止指令が発生しているリール及び今回の対象リールのそれぞれにおいて今回の検索ライン上に存在する各図柄番号に対応する図柄が入賞役に対応する図柄であるか否か又は入賞役に対応する図柄の組合せを成立させる可能性があるか否かを特定する。このように既に停止指令が発生しているリールが1個である場合というのは1個のリールに停止指令が発生している状況でリール停止処理(図26)におけるステップS1304の停止準備処理が実行される場合に発生する。
既に停止指令が発生しているリールが2個である場合には、今回の対象リールで今回の対象図柄番号が基点位置に停止した場合を想定して、既に停止指令が発生している2個のリール及び今回の対象リールのそれぞれにおいて今回の検索ライン上に存在する各図柄番号に対応する図柄が入賞役に対応する図柄であるか否か又は入賞役に対応する図柄の組合せを成立させる可能性があるか否かを特定する。このように既に停止指令が発生しているリールが2個である場合にライン判定処理が実行される場合というのは、1個のリールが既に停止し他の1個のリールに停止指令が発生している状況でリール停止処理(図26)におけるステップS1304の停止準備処理が実行される場合に発生する。
その後、ステップS803にて不当入賞判定処理を実行する。ここで、不当入賞とは、抽選の対象となっている役を構成する図柄の組合せが、その役に当選していないにも関わらず有効ライン上に停止してしまうことを言う。そして、不当入賞判定処理では、不当入賞が発生してしまう図柄番号について、不当入賞が発生しない図柄番号よりも確実に優先順位情報が小さくなるように当該優先順位情報を作成する。
図21は不当入賞判定処理を示すフローチャートである。ステップS901では2個のリールに対して既に停止指令が発生しているか否かを判定する。2個のリールに対して停止指令が発生している状況では、今回の入賞判定処理が3個のリール32L,32M,32Rのうち最後に停止されるリールについての優先順位情報を作成するための処理回であることを意味する。この場合、ステップS902にて、入賞判定処理(図20)におけるライン判定処理(ステップS802)の結果が不当入賞の発生に対応しているか否かを判定する。不当入賞の発生に対応している場合(ステップS902:YES)には、ステップS903にて、今回の対象図柄番号に対応する判定情報用バッファBの全ビットを「0」クリアする。その後、本不当入賞判定処理だけでなく今回の対象図柄番号についての入賞判定処理を終了する。つまり、不当入賞が発生する場合には、入賞判定処理(図20)のステップS804以降の処理を実行しない。
なお、ステップS903の処理を実行する場合には不当入賞発生フラグに「1」をセットするとともに、ステップS903の処理を実行した場合であっても入賞判定処理(図20)のステップS803の後であってステップS804の前の処理アドレスに戻る構成としてもよい。この場合、その復帰したアドレスの処理にて不当入賞発生フラグに「1」がセットされているか否かを判定し、「1」がセットされていない場合にはステップS804以降の処理を実行し、「1」がセットされている場合にはステップS804以降の処理を実行することなく入賞判定処理(図20)を終了する構成としてもよい。かかる処理構成は、後述する0枚役回避用処理(図22)にてステップS1005の処理を実行した場合に対して適用してもよい。
ここで、上述したように、判定情報用バッファBにおける不当入賞判定ビットは、初期値で「1」が格納されている。これに対して、不当入賞が発生すると判定した場合、判定情報用バッファBには、不当入賞判定ビットを含めた全ビットが「0」クリアされる。この結果、不当入賞が発生しない対象図柄番号の優先順位情報に対して不当入賞が発生する対象図柄番号の優先順位情報を小さくすることができる。したがって、対象リールにおいて不当入賞の発生する図柄番号が基点位置に停止することを防止でき、不当入賞の発生を防止することができる。また、不当入賞判定ビットを含めた全ビットを「0」クリアすることにより、停止制御を行う場合における優先順位情報の比較判定に際して数値の比較が容易となる。
なお、不当入賞が発生する場合に不当入賞判定ビットを含めた全ビットを「0」クリアする構成に限定されることはなく、例えば不当入賞判定ビットのみを「0」クリアする構成としてもよい。不当入賞判定ビットは初期値として「1」が設定されているため、不当入賞が発生する図柄番号の不当入賞判定ビットを「0」クリアすることにより、不当入賞が発生しない図柄番号よりも優先順位情報を小さな値とすることが可能となる。
一方、今回が2個のリールに対して停止指令が発生していない状況である場合(ステップS901:NO)には、ステップS904にて、今回の対象リールが左リール32Lであるか否かを判定する。対象リールが左リール32Lである場合には、さらにステップS905にて検索ライン上に左リール32Lの「チェリー」図柄が存在しているか否かを判定する。対象リールが左リール32Lであって検索ライン上に「チェリー」図柄が存在している場合には、ステップS902にて、今回のゲームにおいてチェリー役に当選しているか否かを判定することで、不当入賞の発生に対応しているか否かを判定する。
不当入賞の発生に対応している場合(ステップS902:YES)には、ステップS903にて、今回の対象図柄番号に対応する判定情報用バッファBの全ビットを「0」クリアする。その後、本不当入賞判定処理だけでなく今回の対象図柄番号についての入賞判定処理を終了する。上記のように、第2停止指令が発生していない場合であっても、対象リールが左リール32Lであって、検索ライン上に左リール32Lの「チェリー」図柄が存在している場合に不当入賞判定処理を行うのは、有効ライン上に左リール32Lの「チェリー」図柄が停止するだけでチェリー入賞が成立し、他のリール32M,32Rの停止出目と無関係だからである。
なお、左リール32Lと中リール32Mとの組合せ、左リール32Lと右リール32Rとの組合せ、又は中リール32Mと右リール32Rとの組合せといったように、3個のリール32L,32M,32Rのうち2個のリールの停止態様によって入賞の有無が決定される構成においては、その対象となる2個のリールのうち一方に対する停止制御が既に完了し、他方に対して優先順位情報を作成する場合に、対応する役についての不当入賞判定処理を実行する必要がある。
入賞判定処理(図20)の説明に戻り、不当入賞判定処理(ステップS803)を実行した後は、ステップS804にて、2個のリールに対して既に停止指令が発生しているか否かを判定する。2個のリールに対して停止指令が発生している状況では、今回の入賞判定処理が3個のリール32L,32M,32Rのうち最後に停止されるリールについての優先順位情報を作成するための処理回であることを意味する。この場合、ステップS805にて0枚役回避用処理を実行する。
本スロットマシン10において0枚役とは、抽選処理(図9)にて選択される役ではなく、第1BB又は第2BBに当選している状況で各ストップボタン42〜44の停止タイミングとの関係でその当選役に対応したBB入賞を成立させることができない場合にその代わりにBB役に当選していることを明示するための図柄の組合せ(所謂リーチ目)を表示させる停止態様のことをいう。
図22は0枚役回避用処理を示すフローチャートである。ステップS1001では、RAM74のグループ番号用エリア152に格納されている値を読み出すことで、現状設定されているグループ番号を参照する。続くステップS1002では、ステップS1001にて読み出したグループ番号が第1BBに対応した「8」及び第2BBに対応した「9」以外であるか否かを判定することで、0枚役回避指定がなされているか否かを判定する。
0枚役回避指定がなされている場合(ステップS1002:YES)には、ステップS1003にて、入賞判定処理(図20)のライン判定処理(ステップS802)にて今回の検索ライン上に存在していると特定された各図柄番号に対応する回避用ビットをROM73から読み出す。そして、その読み出した各回避用ビットをAND処理する。
ここで、回避用ビットについて図23の説明図を参照しながら説明する。回避用ビットは、各リール32L,32M,32Rの各図柄番号に1対1で対応させてスロットマシン10の設計段階において予めROM73に設定されている。各回避用ビットは1ビットのデータ容量となっており「0」及び「1」のいずれかの値を取る。本スロットマシン10では、0枚役として設定されている図柄の組合せを構成する各図柄番号について回避用ビットの値をAND処理した結果が「1」となるように、各図柄番号の各回避用ビットが設定されている。なお、図23においては回避用ビットの「0」の記載を省略している。
具体的には、本スロットマシン10では、「赤7」図柄及び「青7」図柄のそれぞれに対応する図柄番号の回避用ビットに「1」が設定されているのに対して、それ以外の図柄に対応する図柄番号の回避用ビットに「0」が設定されている。したがって、一の検索ライン上に存在している図柄の組合せを構成する図柄のそれぞれが「赤7」図柄及び「青7」図柄のいずれかである場合には回避用ビットのAND処理の結果が「1」となる。但し、一の検索ライン上に存在している図柄の全てが「赤7」図柄である場合及び一の検索ライン上に存在している図柄の全てが「青7」図柄である場合には、それら図柄の組合せは第1BB入賞となる図柄の組合せ及び第2BB入賞となる図柄の組合せに該当する。いずれのBB役にも当選していない状況で一の検索ライン上にいずれかのBB入賞に対応する図柄の組合せが存在する場合、それは不当入賞に該当し、不当入賞判定処理(図21)にて対処されるため、0枚役回避の対象外となる。このように0枚役回避の対象外とすることにより、BB入賞となる図柄の組合せの種類を増加させる必要が生じたとしても、回避用ビットのデータ調整を必要としないようにすることが可能となる。
ステップS1004では、ステップS1003のAND処理の結果が「1」であるか否かを判定する。AND処理の結果が「1」である場合には、ステップS1005にて、今回の対象図柄番号に対応する判定情報用バッファBの全ビットを「0」クリアする。その後、本不当入賞判定処理だけでなく今回の対象図柄番号についての入賞判定処理を終了する。これにより、いずれかのBB役に当選していない状況で所謂リーチ目を出現させてしまう優先順位情報を、不当入賞及びBB役非当選時における所謂リーチ目の両方を出現させない優先順位情報よりも小さくすることができる。したがって、対象リールにおいてBB役非当選時に所謂リーチ目を出現させる図柄番号が基点位置に停止することを防止でき、BB役非当選時における所謂リーチ目の発生を防止することができる。
なお、判定情報用バッファBに不当入賞判定ビットよりも下位側となるようにして0枚役用のビットを設定するとともに判定情報用バッファBの初期化に際しては不当入賞判定ビットと同様に0枚役用のビットに「1」をセットし、ステップS1004にて肯定判定をした場合には0枚役用のビットを「0」クリアした後に入賞判定処理におけるステップS806以降の処理を実行する構成としてもよい。この場合、小役や再遊技に入賞した際に他の有効ライン上で0枚役の停止出目が発生し得るとともに、不当入賞を回避させるために0枚役の停止出目が発生し得ることとなる。
入賞判定処理(図20)の説明に戻り、ステップS804にて否定判定をした場合又はステップS805の処理を実行した場合には、ステップS806にてRAM74を参照することで、今回のゲームにおいていずれかの役に当選しているか否かを判定する。いずれかの役に当選している場合(ステップS806:YES)には、ステップS807にて当選時処理を実行する。
当選時処理では図24のフローチャートに示すように、ステップS1101にて当選図柄成立判定処理を行う。当選図柄成立判定処理では、入賞判定処理(図20)のライン判定処理(ステップS802)にて今回の検索ライン上に存在していると特定された図柄番号が今回のゲームにおける抽選処理(図9)の当選役と一致しているか否かを判定する。
ステップS1101における当選図柄成立判定処理の結果、いずれかの再遊技入賞を可能とするように「リプレイ」図柄又は「スイカ」図柄が検索ライン上に存在していると判定した場合(ステップS1102:YES)には、ステップS1103にて、今回の対象図柄番号の判定情報用バッファBにおける再遊技ビットに「1」をセットする。上述したとおり、本スロットマシン10における判定情報用バッファBは、第6〜第3ビットが再遊技ビット及び獲得枚数ビットとしての機能を有し、第2ビットが再遊技ビット及び役物ビットとしての機能を有する(図19参照)。そこで、ステップS1103では、判定情報用バッファBの第6ビット〜第2ビットに「1」を格納する。但し、これに限定されることはなく、第6〜第3ビットのうちのいずれか一のビットと第2ビットとが再遊技ビットとしての機能を有する構成としてもよい。
ステップS1101における当選図柄成立判定処理の結果、いずれかのBB入賞を可能とするように「赤7」図柄又は「白7」図柄が検索ライン上に存在していると判定した場合(ステップS1104:YES)には、ステップS1105にて、今回の対象図柄番号の判定情報用バッファBにおける役物ビットに「1」をセットする。上述したとおり、本スロットマシン10における判定情報用バッファBは、第2ビットが再遊技ビット及び役物ビットとしての機能を有する(図19参照)。そこで、ステップS1105では、判定情報用バッファBの第2ビットに「1」を格納する。
ステップS1101における当選図柄成立判定処理の結果、いずれかの小役入賞を可能とするように小役対応の図柄が検索ライン上に存在していると判定した場合(ステップS1106:YES)には、ステップS1107にて、対応する小役入賞が成立した際のメダル払出枚数をROM73から読み出し、その読み出したメダル払出枚数をRAM74に設けられた獲得枚数エリアに加算する。
入賞判定処理(図20)の説明に戻り、ステップS806にて否定判定をした場合、又はステップS807の処理を実行した場合には、ステップS808にて、RAM74に検索ライン数のデータとして記憶された値が「0」となっているか否かを判定する。既に説明したとおり、入賞判定処理では、一の対象リールにおける一の対象図柄番号について検索ライン数が「4」、「3」、「2」、「1」、「0」のそれぞれについてステップS802〜ステップS807の処理を実行する。したがって、検索ライン数が「0」である場合とは最後の検索ラインに対してステップS802〜ステップS807の処理が完了したことを意味する。
検索ライン数が「0」ではない場合にはステップS801に戻ることで、次の検索ラインについてステップS802〜ステップS807の処理を実行する。一方、検索ライン数が「0」である場合には、ステップS809にて獲得枚数設定処理を実行する。
獲得枚数設定処理では、図25のフローチャートに示すように、ステップS1201において、RAM74の獲得枚数エリアに格納されている払出枚数情報と、RAM74の上限値情報用エリア153に格納されている仮想払出上限値情報とを比較し、払出枚数情報が仮想払出上限値情報と等しい又はそれより大きいか否かを判定する。払出枚数情報が仮想払出上限値情報よりも小さい場合には、ステップS1202にて、払出枚数情報を判定情報用バッファBの獲得枚数ビット(第6ビット〜第3ビット)に格納する。また、払出枚数情報が仮想払出上限値情報と等しい又はそれより大きい場合には、ステップS1203にて、仮想払出上限値情報を判定情報用バッファBの獲得枚数ビット(第6ビット〜第3ビット)に格納する。
例えば、チェリー役に当選した場合、「チェリー」図柄が左リール32Lにおいて中段に停止すると1枚のメダル払出が行われるのに対して、「チェリー」図柄が左リール32Lにおいて上段又は下段に停止すると2枚のメダル払出が行われる。この場合、仮想払出上限値情報が設定されていない場合を想定すると、チェリー役に当選している状況では、一の対象図柄番号において検索ライン上に「チェリー」図柄が存在していると特定される回数が多いほど判定情報用バッファBの獲得枚数ビット(第6ビット〜第3ビット)にチェリー入賞に対応するメダルの払出枚数が加算されることとなる。そうすると、左リール32Lにおいて「チェリー」図柄が中段に停止することとなる対象図柄番号の獲得枚数ビットには「1」が格納され、左リール32Lにおいて「チェリー」図柄が上段又は下段に停止することとなる対象図柄番号の獲得枚数ビットには「2」が格納されることとなるため、後者の対象図柄番号の方が前者の対象図柄番号よりも優先順位情報が大きな値となり、停止に際して後者の対象図柄番号が常に優先されることとなってしまう。
これに対して、例えばIV=9又はIV=16(図10参照)といったようにいずれかのBB役とチェリー役とが同時に当選する抽選結果においては仮想払出上限値情報が「1」に設定されたオフセット指定テーブルが選択されるようにし、チェリー役が単独で当選する抽選結果においては仮想払出上限値情報が設定されていない又は2以上に設定されたオフセット指定テーブルが選択されるようにする。これにより、チェリー役の単独当選時には「チェリー」図柄が上段又は下段に停止する停止態様を優先させ、BB役とチェリー役との同時当選時には「チェリー」図柄が中段に停止する停止態様を優先させることが可能となる。
入賞判定処理(図20)の説明に戻り、ステップS809にて獲得枚数設定処理を実行した後は、ステップS810にて引込ビット設定処理を実行した後に、本入賞判定処理を終了する。引込ビット設定処理では、引込ビットテーブルを利用して判定情報用バッファBの引込ビット(第1ビット〜第0ビット)を設定するための処理を実行する。これにより、所謂取りこぼしが発生する状況、いずれの役にも当選していない状況、及び同一のメダル払出枚数となる複数種の小役に同時に当選している状況において、所定の停止態様を他の停止態様よりも優先順位情報において大きな値とすることが可能となる。引込ビット設定処理の処理内容については後に説明する。
<リール停止処理>
次に、通常処理(図8)のステップS211にて実行されるリール停止処理について、図26のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1301では、ストップボタン42〜44のいずれかが操作されて回転中のいずれかのリール32L,32M,32Rに停止指令が発生したか否かを判定する。なお、本スロットマシン10では、各リール32L,32M,32Rが回転を開始してから所定の速度で定常回転するまでの期間を無効期間として設定しており、この無効期間内にストップボタン42〜44が操作されても、ストップ検知センサ42a〜44aからのON信号を無効化する。停止指令が発生した場合には、ステップS1302に進み、停止指令が発生したリールの停止図柄番号を決定する停止位置決定処理を実行する。その後、ステップS1303にて停止用割込み処理を許可する。
停止用割込み処理は、リール停止処理においてステップS1303の処理が行われることにより、タイマ割込み処理(図7参照)におけるステップS106のステッピングモータ制御処理における一連の処理の一部として行われる。上述したように、タイマ割込み処理は、1.49msec周期で起動されるため、停止用割込み処理が許可されている間は当該停止用割込み処理も約1.49msec周期で起動される。停止用割込み処理では、基点位置に到達している図柄番号が先の停止位置決定処理にて決定した停止図柄番号と一致するか否かを判定し、一致する場合には減速処理を開始する。これにより、停止位置決定処理にて決定した停止図柄番号の図柄が基点位置に停止する。そして、今回の停止指令に対して停止対象となるリールの停止が完了した場合には、RAM74に停止完了情報をセットする。
停止用割込み処理を許可した後は、ステップS1304にて停止準備処理を実行する。停止準備処理の処理内容は既に説明したとおりである。その後、ステップS1305にてRAM74に停止完了情報がセットされているか否かを判定することで、今回停止指令が発生した停止対象リールの停止が完了しているか否かを判定し、停止完了情報がセットされていない場合にはステップS1305の処理を繰り返し実行する。停止完了情報がセットされている場合には、ステップS1306にて、停止用割込み処理を禁止するとともに、RAM74の停止完了情報をクリアする。
ステップS1301にて否定判定をした場合、又はステップS1306の処理を実行した場合には、ステップS1307にて、全リール32L,32M,32Rの回転が停止したか否かを判定する。全リール32L,32M,32Rの回転が停止していない場合にはステップS1301に戻り、全リール32L,32M,32Rの回転が停止している場合にはステップS1308にて払出判定処理を実行した後に本リール停止処理を終了する。払出判定処理では、入賞図柄の組合せが有効ライン上に並んでいることを条件の1つとしてメダルの払出枚数を設定する。当該払出判定処理の判定結果に基づいて、通常処理(図8)のメダル払出処理(ステップS212)にて、成立した入賞と対応する枚数のメダルを払い出す処理を行う。
<停止位置決定処理>
次に、リール停止処理(図26)のステップS1302にて実行される停止位置決定処理について、図27のフローチャートを参照しながら説明する。
まずステップS1401にてMPU72に設けられた暫定情報レジスタを初期化する。暫定情報レジスタは1バイトで構成されており、暫定情報レジスタを初期化することにより、全てのビットの値が0となる。続くステップS1402では、MPU72に設けられた暫定スベリ数レジスタを初期化し、暫定スベリ数を0とする。
続くステップS1403では、RAM74に設けられたスベリ数カウンタに、リール32L,32M,32Rの最大スベリ数と対応する値をセットする。本スロットマシン10では、リール32L,32M,32Rの最大スベリ数を遊技状態に関わらず4図柄と設定しているため、ステップS1403にてスベリ数カウンタに「4」をセットする。なお、例えば遊技状態によってリール32L,32M,32Rの最大スベリ数が変化する構成においては、ステップS1403にてそのときの遊技状態と対応する最大スベリ数をセットすれば良い。
続くステップS1404では、今回停止指令が発生しているリール(以下、「停止対象リール」ともいう)を特定する。ステップS1405では、停止対象リールにおいて停止指令が発生したタイミングで基点位置に到達している図柄の番号(すなわち到達図柄番号)を特定する。その後、ステップS1406〜ステップS1412に示す第1比較判定処理を実行する。
第1比較判定処理ではステップS1406において、到達図柄番号にスベリ数カウンタの値を加算することにより、判定用図柄番号を導出する。なお、スベリ数カウンタの値が「0」である場合、判定用図柄番号は到達図柄番号となる。続くステップS1407では、判定用図柄番号と対応する判定情報用バッファBを参照し、優先順位情報を取得する。
ステップS1408では、優先順位情報が暫定情報レジスタに格納された暫定情報と等しい又はそれより大きいか否かを判定する。かかる判定処理では、判定情報用バッファBの各ビットを上位側から並べて8桁の2進数として仮定した数値を16進数に変換した値と、暫定情報レジスタの各ビットを上位側から並べて8桁の2進数として仮定した数値を16進数に変換した値と、を比較する。優先順位情報が暫定情報と等しい又はそれより大きい場合には、ステップS1409にて暫定情報レジスタに現在の優先順位情報を格納するとともに、ステップS1410にて暫定スベリ数レジスタに現在のスベリ数カウンタの値を格納する。その後、ステップS1411に進む。優先順位情報が暫定情報より小さい場合には、上記ステップS1409及びステップS1410の処理を行うことなくステップS1411に進む。
ステップS1411では、スベリ数カウンタの値が「0」であるか否かを判定する。スベリ数カウンタの値が「0」でない場合には、ステップS1412にてスベリ数カウンタの値を1減算した後にステップS1406に戻る。一方、スベリ数カウンタの値が「0」である場合には、第1比較判定処理を終了するとともにステップS1413にて第2比較判定処理を実行する。
このように、第1比較判定処理では、到達図柄番号に最大スベリ数を加算した図柄番号から到達図柄番号までの各優先順位情報を比較する。このため、第1比較判定処理が終了した場合、暫定情報レジスタには各優先順位情報のうち最も大きな優先順位情報が格納され、暫定スベリ数レジスタには暫定情報レジスタに格納された優先順位情報と対応するスベリ数が格納されることとなる。
次に、停止位置決定処理(図27)のステップS1413にて実行される第2比較判定処理について、図28のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1501では、RAM74のスベリ数テーブル番号用エリア154に、今回の停止対象リールと対応するスベリ数テーブルの番号情報がセットされているか否かを判定する。スベリ数テーブルの番号情報がセットされている場合には、ステップS1502にて、そのスベリ数テーブル番号と対応するスベリ数テーブルをROM73から読み出し、その読み出したスベリ数テーブルから今回の到達図柄番号に対応させて設定されたスベリ数を取得し、当該スベリ数をRAM74のスベリ数カウンタにセットする。なお、第1比較判定処理はスベリ数カウンタの値が0となった場合に終了するため、ステップS1502の処理を行った場合には、スベリ数テーブルから取得したスベリ数がスベリ数カウンタにセットされることとなる。続くステップS1503では、到達図柄番号にスベリ数カウンタの値を加算することにより判定用図柄番号を導出する。ステップS1504では、判定用図柄番号と対応する判定情報用バッファBを参照して優先順位情報を取得する。
ステップS1505では、優先順位情報が暫定情報と等しい又はそれより大きいか否かを判定する。かかる処理では、第1比較判定処理におけるステップS1408と同一の処理を行う。このとき、暫定情報レジスタには、第1比較判定処理において比較した各優先順位情報のうち最も大きな優先順位情報がセットされている。つまり、ステップS1505では、第1比較判定処理において最も大きいと判定した優先順位情報と、スベリ数テーブルによって指定されたスベリ数と対応する図柄番号の優先順位情報とを比較する。そして、優先順位情報が暫定情報と等しい又はそれより大きい場合には、ステップS1506にて現状のスベリ数カウンタの値をスベリ数として取得し、優先順位情報が暫定情報より小さい場合には、ステップS1507にて暫定スベリ数レジスタの値をスベリ数として取得する。また、スベリ数テーブルの番号情報がセットされていない場合(ステップS1501:NO)には、ステップS1505において比較する対象が存在しないため、ステップS1507にて暫定スベリ数レジスタの値をスベリ数として取得する。
その後、ステップS1508にて、取得したスベリ数を到達図柄番号に加算し、停止対象リールの基点位置に実際に停止させる停止図柄番号を導出する。これにより、停止用割込み処理では、当該停止図柄番号に対応する図柄が基点位置に到達したタイミングで停止対象リールを停止させる。
以上のように停止位置決定処理では、まず第1比較判定処理において、到達図柄番号に最大スベリ数を加算した図柄番号から到達図柄番号までの各優先順位情報を比較し、最も大きな優先順位情報と当該優先順位情報に対応するスベリ数とを特定する。そして、その停止対象リールについてスベリ数テーブルの番号情報ではなく引込ビットテーブルの番号情報を取得している場合には、第1比較判定処理にて特定したスベリ数を実際のスベリ数として停止図柄番号を導出する。一方、引込ビットテーブルの番号情報ではなくスベリ数テーブルの番号情報を取得している場合には、第1比較判定処理において特定した優先順位情報と、スベリ数テーブルによって指定されたスベリ数と対応する図柄番号の優先順位情報と、を比較する。そして、後者の優先順位情報が前者の優先順位情報と等しい又はそれより大きい場合には、スベリ数テーブルによって指定されたスベリ数を実際のスベリ数として停止図柄番号を導出し、後者の優先順位情報が前者の優先順位情報より小さい場合には、第1比較判定処理にて特定したスベリ数を実際のスベリ数として停止図柄番号を導出する。
ここで、停止位置決定処理及び判定情報用バッファBにおける各ビットの機能の理解を容易なものとするため、第1停止指令発生に基づく停止準備処理において引込ビットテーブルの番号情報を取得した場合を図29の説明図を参照しながら説明する。
第1BBと第2再遊技に当選している状況において、左リール32Lの12番の「赤7」図柄が下段に停止した場合を説明する。この場合には、図29(a)に示すように、左リール32Lにおいて「赤7」図柄が下段に停止するとともに「リプレイ」図柄が上段に停止している。このため、第1BB入賞及び第2再遊技入賞のいずれも成立する可能性がある。
第1停止指令発生に基づく優先順位情報作成処理では、中リール32Mの10番の入賞判定処理において、図29(b)に示すように右上がりの第5ラインML5上に「赤7」図柄が並んで停止する状況となるため、検索ラインが右上がりの第5ラインL5の際に判定情報用バッファBの役物ビット(第2ビット)に「1」をセットする。この結果、中リール32Mの10番の判定情報用バッファBは「100001A」となる。なお、「A」は引込ビットテーブルによって定まる値であって「01」、「10」又は「11」である。中リール32Mの11番の入賞判定処理では、図29(c)に示すように上段の第2ラインML2上で「リプレイ」図柄が並んで停止する状況となるため、検索ラインが上段の第2ラインML2の際に判定情報用バッファBの再遊技ビット(第6ビット〜第2ビット)に「1」をセットする。また、下段の第4ラインML4上で「赤7」図柄が並んで停止する状況となるため、検索ラインが下段の第4ラインML4の際に判定情報用バッファBの役物ビット(第2ビット)に「1」をセットする。
なお、検索ラインが上段の第2ラインML2の際に第2ビットに既に「1」をセットしているため、検索ラインが下段の第4ラインML4の際には第2ビットに「1」を再度セットすることとなる。この結果、中リール32Mの11番の判定情報用バッファBは「111111A」となる。同様にして、中リール32Mの12番の判定情報用バッファBは「111111A」となり、中リール32Mの13番の判定情報用バッファBは「100000A」となり、中リール32Mの14番の判定情報用バッファBは「111111A」となる(図29(d)参照)。
ここで、中リール32Mの10番の「チェリー」図柄が下段に到達している際に中ストップボタン43が操作されて第2停止指令が発生した場合には、中リール32Mの停止結果は以下のとおりとなる。判定情報用バッファBの引込ビットの値が全て同じ場合(すなわちAが全て「01」、全て「10」又は全て「11」である場合)には、11番、12番、14番の優先順位情報が最も大きくなる。第1比較判定処理では、到達図柄番号に最大スベリ数を加算した図柄番号の優先順位情報から到達図柄番号の優先順位情報までを順に暫定情報と比較し、優先順位情報と暫定情報が等しい場合には暫定情報レジスタ及び暫定スベリ数レジスタの値を変更する。このため、判定情報用バッファBの引込ビットの値が全て同じ場合には、図29(c)に示すように、11番の「赤7」図柄が下段に停止することとなる。かかる場合には、下段の第3ラインML3上に「赤7」図柄が並んで停止するとともに上段の第2ラインML2上に「リプレイ」図柄が並んで停止するため、第1BB入賞と第2再遊技入賞のいずれも成立する余地が残る。一方、判定情報用バッファBの引込ビットの値が異なる場合には、11番、12番、14番のうち、引込ビットの値が「11」である図柄番号の優先順位情報が最も大きくなる。12番の優先順位情報が最も大きい場合には、図29(e)に示すように、右下がりの第1ラインML1上に「リプレイ」図柄が並んで停止するため、第2再遊技入賞のみ成立する余地が残る。14番の優先順位情報が最も大きい場合には、図29(f)に示すように、上段の第2ラインML2上に「リプレイ」図柄が並んで停止するため、第2再遊技入賞のみ成立する余地が残る。
このように、中リール32Mの停止出目は、判定情報用バッファBの引込ビットの値によって変化する。また、左リール32Lの12番の「赤7」図柄が下段に停止する停止出目は、例えば左リール32Lの8番〜12番の図柄が下段に到達している際に停止指令が発生すると出現させることができる。この場合に、これら図柄番号に対して異なる引込ビットテーブル番号を設定することにより、左リール32Lの12番の「赤7」図柄が下段に停止するという1の停止出目に対して、中リール32Mの11番、12番、14番のいずれかが下段に停止する停止出目を出現させることが可能となり、停止出目の多様化を図ることが可能となる。
また、中リール32Mの10番の「チェリー」図柄が下段に到達している際に中ストップボタン43が操作されて第2停止指令が発生した場合には、当該10番の「チェリー」図柄が下段に停止して「赤7」図柄が右上がりの第5ラインML5上に並ぶ停止出目は出現しない。つまり、優先順位情報作成処理では、第1BB入賞よりも第2再遊技入賞が優先して成立するように優先順位情報が作成される。これは判定情報用バッファBの各ビットの機能によるものである。すなわち、第2ビットが再遊技ビットとしての機能を有するとともに役物ビットとしての機能を有し、第6ビット〜第3ビットが再遊技ビットとしての機能を有するため、「リプレイ」図柄が並んで停止することとなる図柄番号の優先順位情報の方が、「赤7」図柄が並んで停止することとなる図柄番号の優先順位情報よりも大きくなるからである。
次に、第1BB、第1スイカ及び第2スイカに当選している状況において、左リール32Lの12番の「赤7」図柄が下段に停止した場合を図30の説明図を参照しながら説明する。
この場合には、図30(a)に示すように、左リール32Lにおいて「赤7」図柄が下段に停止するとともに「スイカ」図柄が中段に停止している。このため、第1BB入賞及び第1スイカ入賞のいずれについても成立する可能性がある。第1停止指令発生に基づく優先順位情報作成処理では、中リール32Mの10番の入賞判定処理において上述した処理を行う。この結果、中リール32Mの10番の判定情報用バッファBは「100001A」となる。中リール32Mの11番の入賞判定処理では、図30(a)に示すように下段の第4ラインML4上で「赤7」図柄が並んで停止する状況となるため、検索ラインが下段の第4ラインML4の際に判定情報用バッファBの役物ビットたる第2ビットに「1」をセットする。この結果、中リール32Mの11番の判定情報用バッファBは「100001A」となる。中リール32Mの12番の入賞判定処理では、図30(b)に示すように当選図柄が並んで停止する状況とならないため、再遊技ビット等に「1」をセットする処理を行わない。この結果、中リール32Mの11番の判定情報用バッファBは「100000A」となる。中リール32Mの14番の入賞判定処理においても同様であり、中リール32Mの14番の判定情報用バッファBは「100000A」となる。中リール32Mの13番の入賞判定処理では、図30(c)に示すように中段の第3ラインML3上で「スイカ」図柄が並んで停止する状況となるため、検索ラインが中段の第3ラインML3の際に判定情報用バッファBの獲得枚数ビットたる第6ビット〜第3ビットに「7」すなわち「0111」を格納する。この結果、中リール32Mの13番の判定情報用バッファBは「101110A」となる。つまり、第1BB、第1スイカ及び第2スイカに当選している状況において、中リール32Mの10番〜14番の優先順位情報は図30(d)に示すとおりとなる。
中リール32Mの10番の「チェリー」図柄が下段に到達している際に中ストップボタン43が操作されて第2停止指令が発生した場合には、判定情報用バッファBの引込ビットの値に関わらず、13番の優先順位情報が最も大きくなる。このため、図30(c)に示すように、13番の「リプレイ」図柄が下段に停止することとなる。この場合には、中段の第3ラインML3上に「スイカ」図柄が並んで停止するため、第1スイカ入賞のみ成立する余地が残る。つまり、優先順位情報作成処理では、第1BB入賞よりも第1スイカ入賞(すなわち小役入賞)が優先して成立するように優先順位情報が作成される。これは判定情報用バッファBの各ビットの機能によるものである。すなわち、第2ビットが役物ビットとしての機能を有し、第6〜第3ビットが獲得枚数ビットとしての機能を有するため、「スイカ」図柄が並んで停止することとなる図柄番号の優先順位情報の方が、「赤7」図柄が並んで停止することとなる図柄番号の優先順位情報よりも大きくなるからである。
以上のとおり、優先順位情報は判定情報用バッファBに「1」が多くセットされているほどその値が大きくなり、上位ビットに「1」がセットされているほどその値が大きくなる。
次に、図31の説明図を参照しながら第1比較判定処理だけでなく第2比較判定処理が実行されることによる作用について説明する。
第2BBにのみ当選している状況で選択されるオフセット指定テーブルには、左第1停止用情報として「白7」図柄が上段に停止するスベリ数テーブルの番号情報が設定されており、中第1停止後情報として「白7」図柄が中段に停止するスベリ数テーブルの番号情報が選択される組合せテーブル番号が設定されており、右第1停止後情報として「白7」図柄が下段に停止する引込ビットテーブルの番号情報が選択される組合せテーブル番号が設定されている。各リール32L,32M,32Rの停止図柄番号を上述した各テーブルに基づいて導出した場合には、「白7」図柄を上述した各位置に停止させることが可能なタイミングで各ストップボタン42〜44が操作されれば図31(a)に示す停止出目が出現することとなる。このように引込ビットテーブルだけでなくスベリ数テーブルを利用することにより、第2BB入賞が成立するラインとして右下がりの第1ラインML1を積極的に優先することが可能となる。
一方、左リール32Lと右リール32Rの「白7」図柄を上述した各位置に停止させることが可能なタイミングで左ストップボタン42及び右ストップボタン44が操作されるとともに、中リール32Mの「白7」図柄を上段,中段,下段のいずれにも停止させることができないタイミングで中ストップボタン43が操作された場合には、図31(b)に示す停止出目が出現する。
このような構成において仮に第2比較判定処理が実行されない構成で、左リール32Lの「白7」図柄を上段に停止させることが可能なタイミングで左ストップボタン42が操作されて第1停止指令が発生し、右リール32Rの「白7」図柄を下段ではなく上段に停止させることが可能なタイミングで右ストップボタン44が操作されて第2停止指令が発生した場合を考える。この場合には、右リール32Rの「白7」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報が最も大きくなるため、図31(c)に示すように右リール32Rの「白7」図柄が上段に停止する。
図31(c)に示す状況において、中リール32Mの「白7」図柄を上段,中段,下段のいずれにも停止させることができないタイミングで中ストップボタン43が操作されて第3停止指令が発生した場合、中リール32Mの停止図柄番号をスベリ数テーブルに基づいて導出すると、図31(d)に示す停止出目が出現することとなる。上述したとおり、有効ライン上に「リプレイ」図柄、「リプレイ」図柄、「リプレイ」図柄が並んで停止した場合には第1再遊技入賞成立である。このため、中リール32Mの停止図柄番号をスベリ数テーブルに基づいて導出した場合には、中段の第3ラインML3上で不当入賞が発生してしまう。また、図31(c)に示す状況において、例えば中リール32Mの「白7」図柄が上段に到達しているタイミングで中ストップボタン43が操作されて第3停止指令が発生した場合、中リール32Mの停止図柄番号をスベリ数テーブルに基づいて導出すると、図31(e)に示す停止出目が出現することとなる。つまり、上段の第2ラインML2上で第2BB入賞を成立させることが可能なタイミングで中ストップボタン43が操作されたにも関わらず第2BB入賞が成立しない事象が発生する。
これに対して第2比較判定処理が実行される場合には、図31(c)に示す状況において、中リール32Mの「白7」図柄を上段,中段,下段のいずれにも停止させることができないタイミングで中ストップボタン43が操作されて第3停止指令が発生した場合には、中第1停止後情報としてスベリ数テーブルの番号情報が特定される組合せテーブル番号が設定されているため、第1比較判定処理に加えて第2比較判定処理が行われる。ここで、図31(d)に示す中リール32Mの停止出目と対応する図柄番号の判定情報用バッファBには、不当入賞判定処理において全ビットに「0」が格納される。このため、第2比較判定処理では、第1比較判定処理において特定した優先順位情報の方が、図31(d)に示す中リール32Mの停止出目と対応する図柄番号の優先順位情報よりも大きいという判定を行う。この結果、第2比較判定処理を行う構成においては、スベリ数テーブルに設定されたスベリ数ではなく第1比較判定処理において特定されたスベリ数によって停止図柄番号が導出され、図31(d)に示す停止出目が出現することはない。
また、図31(c)に示す状況において、中リール32Mの「白7」図柄が上段に到達しているタイミングで中ストップボタン43が操作されて第3停止指令が発生した場合についても、中第1停止後情報としてスベリ数テーブルの番号情報が特定される組合せテーブル番号が設定されているため、第1比較判定処理に加えて第2比較判定処理が行われる。ここで、図31(e)に示す中リール32Mの停止出目と対応する図柄番号の判定情報用バッファBは、「白7」図柄が並んで停止しないため、役物ビットに「0」が格納されたままとなる(すなわち「100000A」となる)。一方、中リール32Mの「白7」図柄が上段に停止する図柄番号の判定情報用バッファBは、「白7」図柄が並んで停止するため、役物ビットに「1」が格納される(すなわち「100001A」となる)。このため、第2比較判定処理では、第1比較判定処理において特定した優先順位情報、すなわち中リール32Mの「白7」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報の方が、図31(e)に示す中リール32Mの停止出目と対応する図柄番号の優先順位情報よりも大きいという判定を行う。この結果、第2比較判定処理を行う構成においては、スベリ数テーブルに設定されたスベリ数ではなく第1比較判定処理において特定されたスベリ数によって停止図柄番号が導出され、図31(e)に示す停止出目が出現するのではなく図31(f)に示す停止出目が出現し、上段の第2ラインML2上で第2BB入賞が成立する。
このように、第2比較判定処理を行うことにより、不当入賞が発生することを回避したり、当選役と対応する入賞を成立させることが可能なタイミングで停止指令が発生したにも関わらず入賞を成立させない停止制御を行う事象が発生することを回避したりすることが可能となる。確かに、第2比較判定処理を行うのではなく、2つのリールの停止図柄番号に基づいてスベリ数テーブルの番号情報を変更する構成とすることも可能である。しかしながら、かかる構成とした場合には、役の当選状況やリールの停止結果等を考慮したスベリ数テーブルを予め用意しておく必要が生じ、予め記憶させておくデータ量が増大化することとなる。一方、第2比較判定処理を行う構成においては、上記各事象が発生した場合であってもスベリ数テーブルではなく優先順位情報に基づいて停止図柄番号を導出することができるため、予め用意しておくスベリ数テーブルを少なくすることができ、予め記憶させておくデータ量の削減を図ることが可能となる。
<引込ビット設定処理>
次に、入賞判定処理(図20)のステップS810にて実行される引込ビット設定処理について説明する。当該引込ビット設定処理の説明に先立ち、引込ビットテーブルのデータ構成について図32の説明図を参照しながら説明する。
引込ビットテーブルBTは、ROM73の引込ビットテーブル記憶エリア142に予め記憶されている。当該引込ビットテーブル記憶エリア142には、複数(具体的には112個)の引込ビットテーブルBTが記憶されている。各引込ビットテーブルBTはそれぞれ3バイトのデータ容量となっており、一のリールに付された0番から20番までの各図柄番号に1対1で対応させて1ビット分のデータが割り当てられており、対応する図柄番号に対して「0」及び「1」の2値からなる値のいずれかの値が設定されている。
各引込ビットテーブルBTは、第1バイトテーブル、第2バイトテーブル及び第3バイトテーブルを備えており、これら第1〜第3バイトテーブルは引込ビットテーブル記憶エリア142において割り当てられたアドレスの順序が第1バイトテーブル→第2バイトテーブル→第3バイトテーブルとなるように記憶されている。第3バイトテーブルにおける8ビットの各エリアは0番〜7番の各図柄番号が対応付けられており、第2バイトテーブルにおける8ビットの各エリアは8番〜15番の各図柄番号が対応付けられており、第1バイトテーブルにおける8ビットの各エリアのうち0番目〜4番目の各エリアは16番〜20番の各図柄番号が対応付けられている。これら各バイトテーブルの各ビットエリアと各図柄番号との関係は、全ての引込ビットテーブルBTにおいて共通している。
ここで、本スロットマシン10では引込ビット情報は基本的に「0」及び「1」の2値として扱われる。これにより、判定情報用バッファBの引込ビット(第1ビット及び第0ビット)以外が同値であれば引込ビットテーブルにおいて「1」の引込ビット情報が設定されている図柄番号の方が「0」の引込ビット情報が設定されている図柄番号よりも優先順位情報は大きな値となり、停止に際して優先されることとなる。このように2段階の引込ビット情報が存在していることにより、いずれかのBB役に当選している状況においてBB入賞が成立しない場合に所謂リーチ目を出現させる図柄番号の方が当該リーチ目を出現させない図柄番号よりも大きな値の優先順位情報となるようにすることが可能となる。
但し、所定の状況においては引込ビット情報が「0」及び「1」の2段階ではなく、2進数で表した場合に「0」、「1」及び「10」の3段階となるように調整が行われる。この所定の状況として本スロットマシン10では、いずれも入賞時におけるメダルの払出枚数が「1」である第1特殊役、第2特殊役及び第3特殊役に同時に当選した状況(図10においてIV=5で当選となった場合)が該当する。
既に説明したとおり、第1特殊入賞には左リール32Lの「白7」図柄と中リール32Mの「リプレイ」図柄と右リール32Rの「スイカ」図柄とが有効ライン上に停止した場合に成立する。この場合、左リール32Lに「白7」図柄はリールの最大スベリ数(すなわち4図柄)の範囲内で付されていない。これに対して、中リール32Mにおいて「リプレイ」図柄はリールの最大スベリ数の範囲内で付されているとともに、右リール32Rにおいて「スイカ」図柄はリールの最大スベリ数の範囲内で付されている。したがって、第1特殊に当選している状況では、「白7」図柄が有効ライン上に停止するタイミングで左ストップボタン42を操作することができれば、中リール32M及び右リール32Rの停止タイミングに関係なく第1特殊入賞を成立させることができる。
第2特殊入賞には左リール32Lの「LUCKY1」図柄と中リール32Mの「ベル」図柄と右リール32Rの「リプレイ」図柄とが有効ライン上に停止した場合に成立する。この場合、左リール32Lに「LUCKY1」図柄はリールの最大スベリ数の範囲内で付されておらず、さらに中リール32Mに「ベル」図柄はリールの最大スベリ数の範囲内で付されていない。これに対して、右リール32Rにおいて「リプレイ」図柄はリールの最大スベリ数の範囲内で付されている。したがって、第2特殊に当選している状況では、一の有効ライン上に「LUCKY1」図柄及び「ベル」図柄が停止するタイミングで左ストップボタン42及び中ストップボタン43を操作することができれば、右リール32Rの停止タイミングに関係なく第2特殊入賞を成立させることができる。
第3特殊入賞には左リール32Lの「LUCKY2」図柄と中リール32M及び右リール32Rの「BAR」図柄とが有効ライン上に停止した場合に成立する。この場合、左リール32Lに「LUCKY2」図柄はリールの最大スベリ数の範囲内で付されておらず、さらに中リール32M及び右リール32Rに「BAR」図柄はリールの最大スベリ数の範囲内で付されていない。したがって、第3特殊に当選している状況では、一の有効ライン上に「LUCKY2」図柄、「BAR」図柄及び「BAR」図柄が停止するタイミングで各ストップボタン42〜44を操作しないと、第3特殊入賞を成立させることができない。
つまり、第1特殊入賞を成立させるためには左リール32Lのみについて所謂目押しを行う必要が生じ、第2特殊入賞を成立させるためには左リール32L及び中リール32Mのみについて所謂目押しを行う必要が生じ、第3特殊入賞を成立させるためには左リール32L、中リール32M及び右リール32Rの全てについて所謂目押しを行う必要が生じる。したがって、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選となった状況で例えば左リール32Lが最初に停止操作される場合を想定すると、第1特殊入賞を成立させることを可能とする「白7」図柄が有効ライン上に停止した方が「LUCKY1」図柄及び「LUCKY2」図柄のいずれかが有効ライン上に停止する場合よりも1枚のメダル払出が発生し易く、第2特殊入賞を成立させることを可能とする「LUCKY1」図柄が有効ライン上に停止した方が「LUCKY2」図柄が有効ライン上に停止する場合よりも1枚のメダル払出が発生し易い。なお、左リール32Lにおいて「白7」図柄、「LUCKY1」図柄及び「LUCKY2」図柄は、それらの各図柄が左リール32Lの上段、中段及び下段に同時に停止することがないように付されている。
以上のような状況において既に説明したとおり第1特殊、第2特殊及び第3特殊はいずれもメダルの払出枚数が1枚であるため、左リール32Lにおいて第1特殊入賞を成立させることを可能とする図柄番号、第2特殊入賞を成立させることを可能とする図柄番号、及び第3特殊入賞を成立させることを可能とする図柄番号の各判定情報用バッファBは「100010A」となる。なお、「A」は引込ビットテーブルによって定まる値であって「01」、「10」又は「11」である。すなわち、それら各図柄番号の引込ビットの値が同一であると仮定した場合、それら各図柄番号の優先順位情報は同じ値となる。そして、停止位置決定処理(図27)では優先順位情報の値が同じである場合、停止指令が発生したタイミングで基点位置に到達している到達図柄番号に対して停止対象リールが停止するまでのスベリ数が少なくなるように停止図柄番号が決定される。
かかる内容について、図33(a)及び図34(a)の説明図を参照しながら説明する。第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選している状況において、図33(a)に示すように20番の「スイカ」図柄が基点位置に到達しているタイミングで左ストップボタン42が操作された場合、上段には第3特殊入賞を成立させることを可能とする1番の「LUCKY2」図柄が存在しているとともに、当該上段に引込可能な範囲に第2特殊入賞を成立させることを可能とする5番の「LUCKY1」図柄が存在している。この場合に、5番の「LUCKY1」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報及び1番の「LUCKY2」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報が同じ値であると仮定すると、入賞を成立させ易い第2特殊入賞の成立機会を与えることが可能であるにも関わらず、第3特殊入賞に対応した1番の「LUCKY2」図柄のみが有効ライン上に停止することとなる。
また、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選している状況において、図34(a)に示すように5番の「LUCKY1」図柄が基点位置に到達しているタイミングで左ストップボタン42が操作された場合、下段には第2特殊入賞を成立させることを可能とする5番の「LUCKY1」図柄が存在しているとともに、上段、中段及び下段のいずれにも引込可能な範囲に第1特殊入賞を成立させることを可能とする8番の「白7」図柄が存在している。この場合に、5番の「LUCKY1」図柄が下段に停止する図柄番号の優先順位情報及び8番の「白7」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報が同じ値であると仮定すると、入賞を成立させ易い第1特殊入賞の成立機会を与えることが可能であるにも関わらず、第2特殊入賞に対応した5番の「LUCKY1」図柄のみが有効ライン上に停止することとなる。
これに対して、2値の優先ビット情報により2段階の優先度を「白7」図柄、「LUCKY1」図柄及び「LUCKY2」図柄に適用した場合、例えば第1特殊入賞の成立を第2特殊入賞の成立及び第3特殊入賞の成立よりも優先させることが可能となるものの、第2特殊入賞の成立を第3特殊入賞の成立よりも優先させることはできない。そこで、本スロットマシン10では、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選した状況においては左リール32Lの優先順位情報作成処理に際して、引込ビット情報が「0」及び「1」の2段階ではなく、2進数で表した場合に「0」、「1」及び「10」の3段階となるように調整が行われる。これにより、第1特殊入賞の成立を第2特殊入賞の成立よりも優先させることが可能となるとともに、第2特殊入賞の成立を第3特殊入賞の成立よりも優先させることが可能となる。
かかる内容について図33及び図34を再度参照しながら説明すると、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選している状況において、図33(a)に示すように20番の「スイカ」図柄が基点位置に到達しているタイミングで左ストップボタン42が操作された場合、引込ビット情報の大小により1番の「LUCKY2」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報よりも5番の「LUCKY1」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報の方が大きな値となる。したがって、図33(b)に示すように「LUCKY1」図柄が上段に停止することとなり、第2特殊入賞の成立が第3特殊入賞の成立よりも優先されることとなる。
第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選している状況において、図34(a)に示すように5番の「LUCKY1」図柄が基点位置に到達しているタイミングで左ストップボタン42が操作された場合、引込ビット情報の大小により5番の「LUCKY1」図柄が下段に停止する図柄番号の優先順位情報よりも8番の「白7」図柄が上段に停止する図柄番号の優先順位情報の方が大きな値となる。したがって、図34(b)に示すように「白7」図柄が上段に停止することとなり、第1特殊入賞の成立が第2特殊入賞の成立よりも優先されることとなる。
なお、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選している状況において最初に中リール32Mに対して停止指令が発生する場合を想定すると、左リール32Lについては第1特殊、第2特殊及び第3特殊のいずれにおいても所謂取りこぼしが発生し得るとともに、右リール32Rについては第1特殊及び第2特殊においては所謂取りこぼしが発生しないのに対して第3特殊においては所謂取りこぼしが発生し得る。そうすると、中リール32Mが最初に停止操作される場合においては第1特殊入賞及び第2特殊入賞の成立が第3特殊入賞の成立よりも優先されるようにすれば十分であり、引込ビット情報としては2段階の値で足りる。ちなみに、優先順位情報の作成に際しては一の図柄番号が基点位置に停止していることを想定した状態で、第1ラインML1〜第5ラインMLの各ラインを検索ラインとして入賞判定処理(図20)のステップS801〜ステップS807の処理が実行され、異なる検索ラインで小役入賞に関して当選時処理が実行された場合、各小役に対応した払出枚数が判定情報用バッファBの獲得枚数ビット(第6〜第3ビット)に加算される。したがって、引込ビット情報とは無関係に、入賞可能性を複数生じさせることとなる図柄番号は優先順位情報の値が大きくなる。例えば、中リール32Mの6番の「BAR」図柄が基点位置に停止した場合には、上段に8番の「リプレイ」図柄が停止し、中段に7番の「ベル」図柄が停止し、下段に6番の「BAR」図柄が停止することとなる。この場合、第1特殊、第2特殊及び第3特殊の全てについて入賞成立の可能性が生じることとなるため、各入賞に対応した払出枚数が獲得枚数ビットに加算されることとなり、それだけその図柄番号の優先順位情報は大きな値となる。
また、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選している状況において最初に右リール32Rに対して停止指令が発生する場合を想定すると、左リール32Lについては第1特殊、第2特殊及び第3特殊のいずれにおいても所謂取りこぼしが発生し得るとともに、中リール32Mについては第1特殊においては所謂取りこぼしが発生しないのに対して第2特殊及び第3特殊においては所謂取りこぼしが発生し得る。そうすると、右リール32Rが最初に停止操作される場合においては第1特殊入賞の成立が第2特殊入賞及び第3特殊入賞の成立よりも優先されるようにすれば十分であり、引込ビット情報としては2段階の値で足りる。
以下、3段階の引込ビット情報の導出を可能とするための引込ビット設定処理について、図35のフローチャートを参照しながら説明する。
RAM74の引込ビットテーブル番号用エリア155に引込ビットテーブルの番号情報がセットされている場合(ステップS1601:YES)には、ステップS1602に進む。ステップS1602では、現状の引込ビットテーブル番号用エリア155にセットされている引込ビットテーブルの番号情報を参照し、当該番号情報に対応した引込ビットテーブルをROM73の引込ビットテーブル記憶エリア142からRAM74に読み出す。そして、その読み出した引込ビットテーブルにおける重ね合わせビットに「1」がセットされているか否かを判定する。
重ね合わせビットとは、引込ビット情報の導出に際して2個の引込ビットテーブルを使用することにより3段階の引込ビット情報を使用可能とするか否かを定めるためのビットである。重ね合わせビットの値が「0」である場合には1個の引込ビットテーブルを使用することにより2段階の引込ビット情報を使用可能とし、重ね合わせビットの値が「1」である場合には2個の引込ビットテーブルを使用することにより3段階の引込ビット情報を使用可能とする。
重ね合わせビットは、3バイト構成の引込ビットテーブルにおいて第1バイトテーブルの第5ビットに設定されている(図32参照)。既に説明したとおり、3バイト構成の引込ビットテーブルには一のリールに付された0番から20番までの各図柄番号に1対1で対応させて1ビット分のデータが割り当てられているが、この場合、これら各図柄番号に対応する引込ビット情報として21ビット分のデータ容量があれば十分であり、3バイト構成の引込ビットテーブルにおいては3ビット分が余分となる。重ね合わせビットは当該余分の3ビットのうちの1ビットを利用して設定されている。
重ね合わせビットに「1」がセットされている場合、既に説明したとおり、2個の引込ビットテーブルが使用されることとなる。この場合、一方の引込ビットテーブルは引込ビットテーブル番号用エリア155にセットされている番号情報に対応した引込ビットテーブルであり、他方の引込ビットテーブルは引込ビットテーブル記憶エリア142において上記番号情報に対応した引込ビットテーブルに対してアドレス上、連続するように記憶されている引込ビットテーブルである。
つまり、本スロットマシン10の設計段階において第1特殊、第2特殊及び第3特殊が同時に成立する状況で左リール32Lの停止制御用としてオフセット指定テーブルに設定される引込ビットテーブルの重ね合わせビットには「1」がセットされている。また、当該引込ビットテーブルと、引込ビットテーブル記憶エリア142において当該引込ビットテーブルに連続するアドレスとして設定される引込ビットテーブルとは、これら2個の引込ビットテーブルを使用することによって第1特殊入賞>第2特殊入賞>第3特殊入賞となる優先度を生じさせる3段階の引込ビット情報を導出可能とするためのデータ設定がなされている。
重ね合わせビットに「1」がセットされていない場合には(ステップS1602:NO)、ステップS1603にてRAM74に設けられた引込ビット設定カウンタ157に「1」をセットし、重ね合わせビットに「1」がセットされている場合には(ステップS1602:YES)、ステップS1604にて引込ビット設定カウンタ157に「2」をセットする。引込ビット設定カウンタは、一の判定情報用バッファBに引込ビット情報を設定する場合において何個の引込ビットテーブルを使用するのかをMPU72にて特定するためのカウンタである。
ステップS1603又はステップS1604の処理を実行した場合には、ステップS1605にて引込ビット情報設定処理を実行する。引込ビット情報設定処理では、図36のフローチャートに示すように、ステップS1701では引込ビット情報展開前準備処理を行う。引込ビット情報展開前準備処理では、RAM74の引込ビット情報検索用エリア158を初期化する。
引込ビット情報検索用エリア158とは、引込ビット情報を取得するために用意されたエリアであり、図37(a)に示すように、左リール用エリア168、中リール用エリア169、及び右リール用エリア170を有し、さらに各リール用エリア168,169,170はそれぞれ上段用エリア168a,169a,170a、中段用エリア168b,169b,170b、及び下段用エリア168c,169c,170cを有する。つまり、引込ビット情報検索用エリア158は、9つのエリア168a〜168c,169a〜169c,170a〜170cから構成されている。そして、これら9つの各エリア168a〜168c,169a〜169c,170a〜170cはそれぞれ1ビット構成となっている。引込ビット情報検索用エリア158を初期化した状態では、図37(b)に示すように、各エリア168a〜168c,169a〜169c,170a〜170cに「1」がセットされている。
また、既に停止指令が発生しているリールが存在している場合には、そのリールの停止制御に際してスベリ数テーブルが使用された場合には当該スベリ数テーブルにおいて到達図柄番号との関係で定められていた優先位置(上段、中段及び下段のいずれかの位置)を読み出す。そして、既に停止指令が発生しているリールと対応するリール用エリア168,169,170においてその読み出した優先位置以外の位置については「0」クリアする。一方、既に停止指令が発生しているリールの停止制御に際して引込ビットテーブルが利用された場合には当該停止指令が発生しているリールの上段、中段及び下段に停止している又は停止する図柄の図柄番号に対応する引込ビット情報をその停止指令が発生しているリールの停止制御に際して利用した引込ビットテーブルから読み出し、その読み出した各引込ビット情報を既に停止指令が発生しているリールと対応するリール用エリアにセットする。なお、既に停止指令が発生しているリールについて2個の引込ビットテーブルを使用して3段階の引込ビット情報が利用された場合には1個目の引込ビットテーブルを参照して各引込ビット情報をセットする。
例えば、左リール32Lに既に停止指令が発生している場合において当該左リール32Lに対してスベリ数テーブルが使用された場合であり、さらに優先位置が下段である場合には、図37(c)に示すように、左リール用エリア168の上段用エリア168a及び中段用エリア168bを「0」クリアする。一方、左リール32Lに既に停止指令が発生している場合において当該左リール32Lに対して引込ビットテーブルが使用された場合であり、さらに上段の図柄番号及び中段の図柄番号の引込ビット情報が共に「0」であって下段の図柄番号の引込ビット情報が「1」である場合には左リール用エリア168の状態が図37(c)に示すような状態となる。
ステップS1701の処理を実行した後は、ステップS1702にて引込ビット情報取得処理を行った後に本引込ビット情報設定処理を終了する。引込ビット情報取得処理では、引込ビットテーブル番号用エリア155にセットされた番号情報に対応した引込ビットテーブルをROM73の引込ビットテーブル記憶エリア142からRAM74に読み出し、当該引込ビットテーブルから対象図柄番号の引込ビット情報(以下、下段用引込ビット情報)、対象図柄番号に対して図柄番号が1つ上の図柄番号の引込ビット情報(以下、中段用引込ビット情報)、及び対象図柄番号に対して図柄番号が2つ上の図柄番号の引込ビット情報(以下、上段用引込ビット情報)を取得する。
例えば、全てのリール32L,32M,32Rが回転している状況で左リール32Lについて優先順位情報作成処理を実行する場合には、今回のゲームにおける左リール32Lに対応した引込ビットテーブルから上記3個の図柄番号に対応した引込ビット情報を読み出し、その読み出した各引込ビット情報をそれぞれ左リール用エリア168における上段用エリア168a、中段用エリア168b及び下段用エリア168cのそれぞれにセットする。これにより、例えば図37(c)に示す状態となる。
また、例えば、左リール32Lにのみ既に停止指令が発生している状況で中リール32Mについて優先順位情報作成処理を実行する場合には、今回のゲームにおける中リール32Mに対応した引込ビットテーブルから上記3個の図柄番号に対応した引込ビット情報を読み出し、その読み出した各引込ビット情報をそれぞれ中リール用エリア169における上段用エリア169a、中段用エリア169b及び下段用エリア169cのそれぞれにセットする。これにより、例えば図37(d)に示す状態となる。
引込ビット設定処理(図35)の説明に戻り、ステップS1605の処理を実行した後は、ステップS1606にて検索ライン数を取得する。本スロットマシン10では5本の組合せラインを有するため、ステップS1606ではRAM74に検索ラインデータとして「5」をセットする。ステップS1607では、その検索ラインデータの値を1減算する。検索ラインデータとして「4」が右下がりの第1ラインML1に対応し、「3」が上段の第2ラインML2に対応し、「2」が中段の第3ラインML3に対応し、「1」が下段の第4ラインML4に対応し、「0」が右上がりの第5ラインML5に対応する。
続くステップS1608では、引込ビット情報検索用エリア158の合成処理を行う。この合成処理では、今回の検索ライン上にある各バッファの引込ビット情報をAND処理する。図37(e)を参照しながら具体的に説明すると、検索ラインが上段の第2ラインML2である場合には、左から「0」,「0」,「1」となる。したがって、これらをAND処理すると、引込ビット情報合成値は「0」となる。一方、検索ラインが下段の第4ラインML4である場合には、左から「1」,「1」,「1」となる。したがって、これらをAND処理すると、引込ビット情報合成値は「1」となる。
ステップS1609では、ステップS1608にて取得した引込ビット情報合成値が「1」であるか否かを判定する。引込ビット情報合成値が「1」ではない場合には、ステップS1610にてRAM74の検索ラインデータの値が「0」ではないか否かを判定する。「0」ではない場合には、ステップS1607にて検索ラインデータの値を1減算し、ステップS1608にて検索ラインと対応する引込ビット情報検索用エリア158の合成処理を行う。一方、ステップS1609にて引込ビット情報合成値が「1」であると判定した場合には、ステップS1611にて、判定情報用バッファBの引込ビット(第1ビット及び第0ビット)に「1」を加算する。この場合、引込ビットの状態は初期値が2進数で「01」となっているため、引込ビットに「1」が加算された場合には引込ビットの状態は2進数で「10」となる。また、引込ビット情報として2段階の値ではなく3段階の値が用いられる場合には、ステップS1611の処理を実行する前の時点で引込ビットが2進数で「10」となっている場合がある。この場合においてステップS1611の処理が実行された場合には、引込ビットが2進数で「11」となる。
ステップS1610にて否定判定をした場合、又はステップS1611の処理を実行した場合には、ステップS1612にてRAM74の引込ビット設定カウンタの値を1減算する。その後、ステップS1613にてその1減算後の引込ビット設定カウンタの値が「0」であるか否かを判定する。「0」である場合にはそのまま本引込ビット設定処理を終了し、「0」ではない場合には、引込ビット情報として3段階の値が用いられることを意味するため、ステップS1605の処理に戻る。これにより、引込ビットテーブル番号用エリア155にセットされた番号情報に対応した引込ビットテーブルに対して、引込ビットテーブル記憶エリア142においてアドレスが連続となる引込ビットテーブルを利用して引込ビット情報合成値の導出(ステップS1605〜ステップS1611の処理)が行われる。
例えば、第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選している状況においては、左リール32Lが第1停止されることを想定した優先順位情報作成処理にて、第1特殊の成立を可能とする図柄番号については判定情報用バッファBの引込ビットに最終的に「11」がセットされた状態となり、第2特殊の成立を可能とする図柄番号については判定情報用バッファBの引込ビットに最終的に「10」がセットされた状態となり、これら以外の図柄番号については判定情報用バッファBの引込ビットに最終的に「01」がセットされた状態となる。これにより、第1特殊入賞の成立を可能とする状態を最も発生し易くさせることが可能となり、次に第2特殊入賞の成立を可能とする状態を発生し易くさせることが可能となる。
以上のとおり、2段階の引込ビット情報を導出可能な引込ビットテーブルを2個使用して3段階の引込ビット情報を導出可能な構成であることにより、3バイトの引込ビットテーブルを基本的に利用しながら状況に応じて3段階の引込ビット情報を導出することが可能となる。例えば、全ての引込ビット情報を3段階で設定可能とすると、本来は2段階で十分な状況に対してまで6バイトの引込ビットテーブルを用意する必要が生じるが、本スロットマシン10の構成によればそれが3バイトの引込ビットテーブルで済むため、引込ビットテーブルを記憶するのに必要な記憶容量の削減が図られる。
また、3バイトの引込ビットテーブルを2個使用するとともに各引込ビットテーブルを利用して導出された引込ビット情報合成値を加算して3段階の引込ビット情報を導出する構成であるため、3段階の引込ビット情報を導出する場合であっても2段階の引込ビット情報を導出するための処理をそのまま利用することが可能となる。これにより、引込ビット情報を導出するためのプログラム容量が増大化してしまうことを抑制することが可能となる。
<初期化処理>
次に、優先順位情報作成処理(図18)のステップS702にて実行される初期化処理について説明する。
初期化処理では、既に説明したとおり、優先順位情報作成処理の実行対象となった対象リールの各図柄番号に対して優先順位情報を作成するのに先立ち、これら各図柄番号に対応する全ての判定情報用バッファBを初期化する。この場合に、所定の当選状況となっているか否かによって当該初期化の態様が異なっている。
詳細には、図38(a)のフローチャートに示すように、まずステップS1801にてRAM74に第1BBに当選していることを示す第1BB当選情報が記憶されている状況で抽選処理(図9)にて第1スイカ及び第2スイカの両方に当選したか否かを判定する(図10におけるIV=3)。ちなみに、第1スイカ及び第2スイカの両方に当選した場合、各リール32L,32M,32Rの停止順序及び各リール32L,32M,32Rの回転位置との関係での停止タイミングに関係なく、第1スイカ入賞及び第2スイカ入賞のいずれかが確実に成立することとなる。そうすると、ステップS1801では、複数種類存在しているBBのうち一部である所定のBBに当選している状況で所謂取りこぼしの発生しない小役に当選したか否かを判定していると言える。
ステップS1801にて否定判定をした場合、すなわちRAM74に第1BB当選情報が記憶されていない場合、又は第1スイカ及び第2スイカの両方に当選していない場合には、ステップS1802にて第1初期化処理を実行し、ステップS1801にて肯定判定をした場合にはステップS1803にて第2初期化処理を実行する。
ステップS1802の第1初期化処理が実行された場合、各判定情報用バッファBは図38(b)に示すように、不当入賞判定ビットである第7ビット及び引込ビットの下位側である第0ビットに「1」がセットされ、その他のビットは「0」となる。一方、ステップS1803の第2初期化処理が実行された場合、各判定情報用バッファBは図38(c)に示すように、不当入賞判定ビットである第7ビット及び役物ビットである第2ビットに「1」がセットされ、その他のビットは「0」となる。なお、第2初期化処理に際して第0ビットが「0」とされる構成に限定されることはなく、第1初期化処理の場合と同様に第0ビットに「1」がセットされる構成としてもよい。
ここで、判定情報用バッファBには小役入賞に際してメダルの払出枚数がセットされるビットとして獲得枚数ビット(第6ビット〜第3ビット)が設定されているとともに役物ビット(第2ビット)が設定されている。この場合に、獲得枚数ビットは役物ビットよりも上位側のビットに設定されているため、獲得枚数ビットに1以上の値が設定されている場合の方が役物ビットに「1」がセットされている場合よりも優先順位情報が大きな値となり停止制御に際して基点位置の停止対象として選択され易くなる。したがって、いずれかの小役といずれかのBBとに同時に当選している状況では小役入賞がBB入賞よりも優先されることとなる。但し、獲得枚数ビットに1以上の値が設定されている状況であっても、役物ビットの状態が優先順位情報に影響を与える。つまり、獲得枚数ビットに1以上の所定の値がセットされており、さらに役物ビット以外のビットの状態が同一である場合で比較した場合に、役物ビットに「1」がセットされている対象図柄番号の方が、役物ビットが「0」である対象図柄番号よりも優先順位情報が大きくなり停止に際して優先されることとなる。
このような事情において第1初期化処理が実行された場合には、初期値として役物ビットは「0」とされる。したがって、例えば第2BB当選情報がRAM74に記憶されている状況で各スイカに当選した場合には、スイカ入賞が第2BB入賞よりも優先されることとなるものの、所定のリールにおいて上段、中段及び下段のいずれかにスイカ入賞を生じさせる図柄及び第2BB入賞を生じさせる図柄が同時に停止する停止態様が生じやすくなる。
図39(a)及び図39(b)の説明図を参照しながら具体的に説明する。第2BB当選情報がRAM74に記憶されており且つ各スイカに当選した状況で、図39(a)に示すように、左リール32Lが最初に停止操作されるとともに4番の「リプレイ」図柄が基点位置に到達しているタイミングで左ストップボタン42が操作される。この場合、4番の「リプレイ」図柄が基点位置に停止した場合であっても上段に6番の「スイカ」図柄が停止するため、左リール32Lのスベリ数を「0」として停止させたとしても第1スイカ入賞が成立し得る。
しかしながら、6番の「スイカ」図柄が基点位置に到達することに対応する判定情報用バッファBの役物ビットには「1」がセットされており、4番の「リプレイ」図柄や5番の「LUCKY1」図柄が基点位置に到達することに対応する判定情報用バッファBの役物ビットは「0」である。つまり、6番の「スイカ」図柄の優先順位情報は「101111A」となるのに対して4番の「リプレイ」図柄及び5番の「LUCKY1」図柄の優先順位情報は「101110A」となる。なお、「A」は引込ビットであり4番〜6番の図柄番号において引込ビット情報は同一であるとする。優先順位情報がこのように導出されることにより、6番の「スイカ」図柄が基点位置に到達する場合の方が4番の「リプレイ」図柄や5番の「LUCKY1」図柄が基点位置に到達する場合よりも優先順位情報の値が大きくなる。よって、図39(b)に示すように、左リール32Lには第1スイカ入賞の成立を可能とさせる「スイカ」図柄が停止されるとともに第2BB入賞の成立を可能とさせる「白7」図柄が停止される。
一方、第2初期化処理が実行された場合には、初期値として役物ビットは「1」とされる。つまり、第1BB入賞を成立させることを可能とする図柄番号と第1BB入賞を成立させることが不可である図柄番号とは、判定情報用バッファBにおける役物ビット以外のビットの値が同一であれば優先順位情報は同一の値となる。したがって、例えば第1BB当選情報がRAM74に記憶されている状況で各スイカに当選した場合には、スイカ入賞が第1BB入賞よりも優先され、さらに所定のリールにおいて上段、中段及び下段のいずれかにスイカ入賞を生じさせる図柄及び第1BB入賞を生じさせる図柄が同時に停止する停止態様は優先されない。
図40(a)及び図40(b)の説明図を参照しながら具体的に説明する。第1BB当選情報がRAM74に記憶されており且つ各スイカに当選した状況で、図40(a)に示すように、左リール32Lが最初に停止操作されるとともに9番の「ベル」図柄が基点位置に到達しているタイミングで左ストップボタン42が操作される。この場合、9番の「ベル」図柄が基点位置に停止した場合には中段に10番の「スイカ」図柄が停止するとともに上段、中段及び下段のいずれにも「赤7」図柄は停止しない。一方、10番の「スイカ」図柄が基点位置に停止した場合には上段に「赤7」図柄が停止する。しかしながら、上記のとおり第2初期化処理が実行された場合には上段、中段及び下段のいずれかに「赤7」図柄が停止する図柄番号であるか否かに関係なく判定情報用バッファBの役物ビットに「1」がセットされる。つまり、9番の「ベル」図柄の優先順位情報及び10番の「スイカ」図柄の優先順位情報はいずれも「101111A」となる。なお、「A」は引込ビットであり4番〜6番の図柄番号において引込ビット情報は同一であるとする。この場合に、優先順位情報が同一である場合にはスベリ数が少ない図柄番号が基点位置に停止させる図柄番号として優先される。したがって、図40(b)に示すように、スベリ数は「0」となり9番の「ベル」図柄が基点位置に停止することとなるため、左リール32Lには第1スイカ入賞の成立を可能とさせる「スイカ」図柄が停止されるものの第1BB入賞の成立を可能とさせる「赤7」図柄は停止しない。
ちなみに、上記のように取りこぼしの発生しないスイカ入賞に対応した図柄が有効ライン上に停止する際にBB入賞に対応した図柄が同一のリールにおいて他の有効ライン上に停止する態様を優先させる制御が第1BB当選情報が記憶されている場合に行われずに第2BB当選情報が記憶されている場合に行われる事象は、左リール32Lが第1停止される場合だけでなく右リール32Rが第1停止される場合にも発生する。具体的には、図41(a)に示すように、右リール32Rが第1停止操作されるとともに右リール32Rの15番の「スイカ」図柄が基点位置に到達しているタイミングで右ストップボタン44が操作された場合、第2BB当選情報が記憶されている状況でスイカに当選した場合には右リール32Rにおける各図柄番号の判定情報用バッファBに対して第1初期化処理が実行されるため、スイカ入賞に対応した図柄だけでなく第2BB入賞に対応した図柄も同時に停止させることが可能な図柄番号の優先順位情報が他の図柄番号の優先順位情報よりも大きくなる。したがって、図41(b)に示すように、18番の「白7」図柄が基点位置に停止する図柄番号の停止が優先される。その一方、第1BB当選情報が記憶されている状況でスイカに当選した場合には右リール32Rにおける各図柄番号の判定情報用バッファBに対して第2初期化処理が実行されるため、そのような優先停止は行われない。したがって、図41(a)に示すように、15番の「スイカ」図柄が基点位置に停止することとなる。
以上のように、第2BB当選情報がRAM74に記憶されている状況でスイカに当選した場合には、一のリールにおいてスイカ入賞の成立を可能とする図柄だけでなく第2BB入賞の成立を可能とする図柄も有効ライン上に停止する態様が、スイカ入賞の成立を可能とする図柄は有効ライン上に停止するものの第2BB入賞の成立を可能とする図柄は有効ライン上に停止しない態様よりも優先される。したがって、第2BB入賞の成立を可能とする図柄がスイカ入賞の成立を可能とする図柄に対して対象となるリールの回転方向の後側であって最大スベリ数の範囲内に存在しており、さらにその第2BB入賞の成立を可能とする図柄を最大スベリ数の範囲内で全体表示位置(上段、中段及び下段のいずれか)に停止させた場合に有効ライン上にスイカ入賞の成立を可能とする図柄が存在するように対象となるリールの図柄配列が設定されている場合には、第2BB入賞の成立を可能とする図柄が全体表示位置に停止するように対象となるリールが滑った後に停止することとなる。その一方、第1BB当選情報がRAM74に記憶されている状況でスイカに当選した場合には、一のリールにおいてスイカ入賞の成立を可能とする図柄が有効ライン上に停止するのであれば、第1BB入賞の成立を可能とする図柄を全体表示位置に引き込むような停止制御は優先されない。これは、第1BB入賞の成立を可能とする図柄がスイカ入賞の成立を可能とする図柄に対して対象となるリールの回転方向の後側であって最大スベリ数の範囲内に存在しており、さらにその第1BB入賞の成立を可能とする図柄を最大スベリ数の範囲内で全体表示位置(上段、中段及び下段のいずれか)に停止させた場合に有効ライン上にスイカ入賞の成立を可能とする図柄が存在するように対象となるリールの図柄配列が設定されている場合であっても同様である。これにより、BB入賞よりも小役入賞が優先される構成において、所定の小役及びBBに同時当選した際にその所定の小役入賞を成立させることを可能とする図柄だけでなくBB入賞を成立させることを可能とする図柄も全体表示位置に表示されるようにリールを滑らせるか否かがBBの種類に応じて異なることとなる。よって、当該滑らせる停止制御が行われるか否かによって、当選しているBBの種類を判断することが可能となる。
また、上記のようなBBの種類に応じた停止制御は、判定情報用バッファBの初期化に際して役物ビットに「1」をセットするか否かによって振り分けられる。これにより、記憶容量の増大化及び処理負荷の増大化を抑制しながら上記のような停止制御を行うことが可能となる。
また、判定情報用バッファBの初期化に際して役物ビットに「1」がセットされる第2初期化処理は所謂取りこぼしの発生しない小役に同時当選した際に行われるとともに、BB入賞よりも小役入賞が優先されるため、BB入賞の成立の余地がない状況で第2初期化処理が実行されることとなり、第1BB入賞の成立に関して遊技者に不利益を及ぼさないようにしながら既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
<第1停止後用処理>
次に、停止情報設定処理(図17)のステップS603にて実行される第1停止後用処理について説明する。
第1停止後用処理は、既に説明したとおり、各リール32L,32M,32Rのうち回転中の1個のリールに対して停止指令が発生し回転中の残りの2個のリールには停止指令が発生していない状況において、それら回転中の2個のリールについての優先順位情報を作成するための処理が起動される前に実行される。当該第1停止後用処理では、既に停止指令が発生しているリールの停止態様に応じて、回転中の残りの2個のリールについて停止制御の態様を変更するために実行される。
詳細には、図42のフローチャートに示すように、まずステップS1901にてRAM74のグループ番号用エリア152に「0」及び「3」〜「7」のいずれかのグループ番号がセットされているか否かを判定する。グループ番号は、既に説明したとおり、抽選処理(図9)の抽選結果に応じて特定されたオフセット指定テーブルに設定されている。グループ番号は、いずれかのリールの回転が停止した後において回転中のリールの停止制御を行うために使用する停止情報として、オフセット指定テーブルにて指定されている停止情報とは異なる停止情報を利用するか否かの判定、及び所謂リーチ目といった図柄の組合せを停止表示させることが可能か否かの判定を行う場合に利用される。
ステップS1901にて肯定判定をした場合には、RAM74に第1BB当選情報が記憶されていることを条件として(ステップS1902:YES)、ステップS1903にて、グループ番号用エリア152にセットされているグループ番号を現状のものから第1BBに対応した「8」に変更する。一方、RAM74に第2BB当選情報が記憶されている場合には(ステップS1904:YES)、ステップS1905にて、グループ番号用エリア152にセットされているグループ番号を現状のものから第2BBに対応した「9」に変更する。
ここで、いずれかのBB当選情報がRAM74に記憶された場合、対応するBB入賞が発生するまでは基本的にそのBB当選情報が記憶保持されることとなるため、BB当選情報がRAM74に記憶保持された状態で新たな抽選処理(図9)が実行されることがある。これに対して、各抽選結果についてBB当選情報が記憶保持されている場合と記憶保持されていない場合とに区別してオフセット指定テーブルを用意しておく構成とすると、オフセット指定テーブルを記憶しておくために必要なROM73の記憶容量が極端に増大化してしまう。その一方、BB当選情報が記憶保持されている場合には、新たな抽選処理(図9)の結果に関係なく当初からBBに対応したオフセット指定テーブルを読み出す構成とすると、各抽選結果に対応した停止制御を行うことができなくなってしまう。例えば、いずれかのBB当選情報が記憶保持されている状況で第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選した場合にBBに対応したオフセット指定テーブルを読み出すと、既に説明したような3段階の引込ビット情報を利用した停止制御を実行することができなくなってしまう。さらにまた、オフセット指定テーブルの特定とグループ番号の特定とを独立して行う構成とすると、それぞれの特定を個別に行うことを可能とするための処理が必要となり、処理構成が複雑化してしまう。
これに対して、本スロットマシン10では、いずれかのBB当選情報がRAM74に記憶保持されているか否かに関係なく新たな抽選処理(図9)の結果に対応したオフセット指定テーブルを利用するようにし、1個のリールに対して停止指令が発生した後であって回転中である2個のリールの優先順位情報を作成する場合に、グループ番号をBB当選情報の設定状況に応じて変更する構成となっている。これにより、第1停止対象となるリールの停止制御に際しては新たな抽選処理(図9)の結果に対応した停止制御を行うことを可能としながら、第2停止対象及び第3停止対象となるリールの停止制御に際してはBB当選情報の設定状況に対応した停止制御を行うことが可能となる。BB当選情報の設定状況に対応した停止制御としては、例えば当初のグループ番号が維持された場合には0枚役回避処理(図22)にて所謂リーチ目の出現を回避するための処理が実行されることとなるが、設定されているBB当選情報に対応したグループ番号に変更されることにより所謂リーチ目の出現を回避するための処理が実行されなくなる。
第1停止後用処理では、ステップS1901〜ステップS1905に示すグループ番号を変更するための処理を実行した後に、ステップS1906以降に示す処理を実行する。具体的には、ステップS1906にて、今回の第1停止指令の対象となったリールが左リール32Lであるか否かを判定する。左リール32Lではない場合、すなわち中リール32M又は右リール32Rに対して第1停止指令が発生している場合にはステップS1907にて、グループ番号用エリア152にセットされているグループ番号を読み出す。
続くステップS1908では、グループ番号と対応する回避テーブルが記憶されているか否かを判定する。回避テーブルはROM73の回避テーブル記憶エリア143に予め記憶されており、回避テーブル記憶エリア143にはグループ番号「0」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」及び「9」と対応する回避テーブルが記憶されている。
図43(a)は、グループ番号「0」に対応する回避テーブルを説明するための説明図であり、図43(b)は、グループ番号「5」に対応する回避テーブルを説明するための説明図である。各グループ番号に対応した回避テーブルは、第1停止指令の対象となったリールが中リール32Mの場合と右リール32Rの場合とのそれぞれに対応させて用意されている。また、各回避テーブルには第1停止指令の対象となったリールにおいて基点位置に停止した図柄番号に応じてテーブル種別を示す情報とテーブル番号を示す情報との組合せが設定されている。この場合、当該組合せは一部の図柄番号に対して設定されている。回避テーブルにおいて設定されているテーブルは、第1停止指令後において当該第1停止指令の対象外となった残りの2個のリールについて停止制御を行うために参照される組合せテーブルである。
ステップS1908にてグループ番号と対応する回避テーブルが記憶されていると判定した場合には、ステップS1909にて、第1停止指令が発生しているリールの停止図柄番号を確認し、ステップS1910にて、停止図柄番号が今回の回避テーブルに規定されたいずれかの図柄番号と一致するか否かを判定する。一致する場合には、ステップS1911にて組合せテーブルの変更処理を実行する。組合せテーブルの変更処理では、今回の回避テーブルにおいて今回の停止図柄番号に対応させて設定されている組合せテーブルのテーブル番号をRAM74に書き込む。これにより、残りの2個のリールに対して優先順位情報を作成する場合には、当初設定されていた組合せテーブルではなく新たに設定された組合せテーブルが参照されることとなる。
上記のように組合せテーブルを変更するための処理を実行することにより、不当入賞の発生を回避できなくなる事象が発生することを回避できる。具体例を挙げて説明すると、外れの状況で中リール32Mの3番の「リプレイ」図柄を下段に停止させるとともに右リール32Rの17番の「リプレイ」図柄を下段に停止させた場合、左リール32Lの14番の「リプレイ」図柄が下段に到達しているタイミングで左ストップボタン42を操作されると不当入賞の発生を回避できなくなる。左リール32Lを滑らせることなくそのまま停止させた場合には、下段の第4ラインML4上に「リプレイ」図柄が並んで停止するとともに上段に「チェリー」図柄が停止するため不当入賞が発生し、左リール32Lを1図柄又は2図柄分滑らせた後に停止させた場合には、いずれかの有効ライン上に左リール32Lの「チェリー」図柄が停止するため不当入賞が発生し、左リール32Lを3図柄分滑らせた後に停止させた場合には、上段の第2ラインML2上に「赤7」図柄、「白7」図柄及び「赤7」図柄が並び0枚役が発生し、左リール32Lを4図柄分滑らせた後に停止させた場合には、下段の第4ラインML4上に「リプレイ」図柄が並んで停止するため不当入賞が発生するからである。そこで、第1停止後用処理では、中リール32M又は右リール32Rに第1停止指令が発生した場合、不当入賞の発生を回避できない停止態様が第2停止指令の対象となったリールにおいて生じなように組合せテーブルを変更する。この結果、第2停止指令が発生した際に上記のように不当入賞の発生を回避できない停止態様となることを回避することができる。
上記のように組合せテーブルを変更するための処理(ステップS1906〜ステップS1911)を実行した後は、ステップS1912にてオフセット指定テーブルに定められている組合せテーブル又はステップS1911にて新たに設定された組合せテーブルを参照する。そして、ステップS1913にて、現状の組合せテーブルから今回の対象リールに対応したテーブルの種類及びテーブルの番号情報を読み出す。
具体的には、今回の組合せテーブルを参照し、今回の対象リールに対してスベリ数テーブル及び引込ビットテーブルのいずれを用いるのかを特定するとともに、何番のスベリ数テーブル又は引込ビットテーブルを用いるのかを特定する。例えば、左ストップボタン42が操作されて第1停止指令が発生した場合には以下の処理を行う。左第1停止後情報がノーマルタイプテーブルを示す識別情報を有する場合には、対象リールが右リール32Rであれば、共通データの第2データから今回用いるテーブル種別及びテーブル番号を特定し、対象リールが中リール32Mであれば、共通データの第1データから今回用いるテーブル種別及びテーブル番号を特定する。左第1停止後情報がマルチタイプテーブルを示す識別情報を有する場合には、対象リールが右リール32Rであれば、第2停止用データの第2データから今回用いるテーブル種別及びテーブル番号を特定し、対象リールが中リール32Mであれば、第2停止用データの第1データから第1停止後処理において用いるテーブル種別及びテーブル番号を特定する。
<第2停止後用処理>
次に、停止情報設定処理(図17)のステップS604にて実行される第2停止後用処理について説明する。
第2停止後用処理は、既に説明したとおり、各リール32L,32M,32Rのうち2個のリールに対して停止指令が既に発生し回転中の残りの1個のリールには停止指令が発生していない状況において、当該回転中の1個のリールについての優先順位情報を作成するための処理が起動される前に実行される。当該第2停止後用処理では、既に停止指令が発生しているリールの停止態様に応じて、回転中の残りの1個のリールについて停止制御の態様を変更するために実行される。
詳細には、図44のフローチャートに示すように、まずステップS2001にて、RAM74のグループ番号用エリア152を参照することで現状設定されているグループ番号を特定する。続くステップS2002では、グループ番号と対応する変更テーブルが記憶されているか否かを判定する。
変更テーブルは、ROM73の変更テーブル記憶エリア144に予め記憶されている。変更テーブルは、図45(a)〜図45(c)に示すように、停止指令が未だ発生していない1個のリールに対して使用する引込ビットテーブルを変更する必要が生じているか否かを判定するための情報が、既に停止指令が発生している2個のリールの停止態様との関係で定められているとともに、変更する必要がある場合にはその変更先の引込ビットテーブルを特定可能な情報が定められている。具体的には、各変更テーブルには、既に停止指令が発生している2個のリールの停止図柄番号の組合せと、引込ビットテーブルの番号情報とが1対1で対応させて定められている。
変更テーブルを利用して引込ビットテーブルの変更を行うことにより、2個のリールの停止出目が所定の停止出目となった場合に、それまでに使用対象となっていた引込ビットテーブルに基づく優先順位情報と異なる優先順位情報を作成することが可能となる。この結果、2個のリールの停止図柄が所定の組合せとなった場合に、全リール32L,32M,32R停止時の停止出目を開発者等が優先的に表示したい停止出目としたり、所謂チャンス目等の停止出目の出現を回避したりすることが可能となる。例えば、いずれのBB役にも当選していない状況で一の有効ライン上に2個の「BAR」図柄が並ぶ停止出目となった場合には、最終的に3個の「BAR」図柄が並ぶ停止出目が選択されないようにするための引込ビットテーブルに変更される。また、例えば、ベル役に当選している状況で所謂取りこぼしが発生した際に一の有効ライン上に「BAR」図柄、「赤7」図柄及び「白7」図柄が所定の組合せで並ぶ停止出目が選択されないようにするための引込ビットテーブルに変更される。
ここで、変更テーブルには、複数種類のグループ番号において共通して参照される共通変更テーブルCT1と、当該共通変更テーブルCT1の参照対象であるグループ番号のうち一のグループ番号においてのみ参照される個別変更テーブルCT2,CT3とが設定されている。例えば図45(a)に示す変更テーブルCT1は、いずれのBB役にも当選していない状況において抽選外れとなった場合又は所謂取りこぼしの発生し得る役に当選した場合に対応するグループ番号(「0」、「3」〜「7」)に共通して参照される共通変更テーブルCT1である。かかる共通変更テーブルCT1が参照されることにより、左リール32L及び中リール32Mにおいて一の有効ライン上に「BAR」図柄が並んで停止した場合に当該有効ライン上に最終的に3個の「BAR」図柄が並ぶことを極力回避するための引込ビットテーブルへの変更が行われる。
図45(b)に示す変更テーブルCT2は、いずれのBBにも当選していない状況においてチェリーに当選した場合に対応するグループ番号(「3」)においてのみ参照される個別変更テーブルCT2である。当該個別変更テーブルCT2が参照されることにより、左リール32Lにおいていずれかの有効ライン上に「チェリー」図柄が停止しながらさらに左リール32L及び中リール32Mにおいて一の有効ライン上に「BAR」図柄が並んで停止した場合に当該有効ライン上に最終的に3個の「BAR」図柄が並ぶことを極力回避するための引込ビットテーブルへの変更が行われる。
図45(c)に示す変更テーブルCT3は、いずれのBBにも当選していない状況においてベルに当選した場合に対応するグループ番号(「7」)においてのみ参照される個別変更テーブルCT3である。当該個別変更テーブルCT3が参照されることにより、ベルに当選している状況で所謂取りこぼしが発生した際に一の有効ライン上に「BAR」図柄、「赤7」図柄及び「白7」図柄が所定の組合せで並ぶ停止出目が選択されないようにするための引込ビットテーブルに変更される。
第2停止後用処理(図44)の説明に戻り、グループ番号と対応する変更テーブルが記憶されていると判定した場合(ステップS2002:YES)には、ステップS2003にて参照対象として共通変更テーブルCT1が存在しているか否かを判定する。例えばグループ番号が「0」及び「3」〜「7」のいずれかであるとともに既に停止指令が発生しているリールが左リール32L及び中リール32Mである場合には、図45(a)に示す共通変更テーブルCT1が存在していると特定する。参照対象として共通変更テーブルCT1が存在している場合には、ステップS2004にて今回の参照対象となる共通変更テーブルCT1を変更テーブル記憶エリア144からRAM74に読み出す。参照対象として共通変更テーブルCT1が存在していない場合には、ステップS2005にて今回の参照対象となる個別変更テーブルCT2,CT3を変更テーブル記憶エリア144からRAM74に読み出す。この場合、既に共通変更テーブルCT1がRAM74に読み出されている場合には、その共通変更テーブルCT1が書き込まれたエリアの少なくとも一部に上書きするようにして個別変更テーブルCT2,CT3を読み出す。
共通変更テーブルCT1又は個別変更テーブルCT2,CT3を読み出した後は、ステップS2006にて、既に停止指令が発生している2つのリールの停止図柄番号を確認する。続くステップS2007では、既に停止指令が発生している2つのリールが今回読み出した変更テーブルに規定された2つのリールと一致するか否かを判定するとともに、これらリールの停止図柄番号の組合せが変更テーブルに規定された図柄番号の組合せと一致するか否かを判定する。共に一致する場合には、ステップS2008にてRAM74の引込ビットテーブル番号用エリア155に記憶されているテーブル番号を、今回の変更テーブルに規定されたテーブル番号に変更する。
ステップS2007にて否定判定をした場合であっても、直前の参照対象が共通変更テーブルCT1であって参照対象として当該共通変更テーブルCT1とは別に個別変更テーブルCT2,CT3が存在している場合(ステップS2009及びステップS2010:YES)には、ステップS2005にてその個別変更テーブルCT2,CT3をRAM74に読み出した後に、ステップS2006以降の処理を実行する。これにより、共通変更テーブルCT1とは別に個別変更テーブルCT2,CT3が設定されているグループ番号に対しては、共通変更テーブルCT1及び個別変更テーブルCT2,CT3の両方を参照して引込ビットテーブルの変更が必要であるか否かの判定が行われることとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
既に停止指令が発生している2個のリールの停止出目が変更テーブルに予め定められている所定の停止出目となった場合には、回転中の残りの1個のリールに対して使用する引込ビットテーブルが変更される。これにより、2個のリールの停止図柄が所定の組合せとなった場合に、全リール32L,32M,32R停止時の停止出目を開発者等が優先的に表示したい停止出目としたり、所謂チャンス目等の停止出目の出現を回避したりすることが可能となる。この場合に、いずれのBBにも当選していない状況において抽選外れとなった場合及びチェリーといった所謂取りこぼしの発生し得る役に当選した場合に共通して参照されることとなる共通変更テーブルCT1が設定されているとともに、チェリーやベルにおいてのみ参照されることとなる個別変更テーブルCT2,CT3が設定されている。かかる構成とすることにより、共通変更テーブルCT1を共通利用することが可能となるため、役の抽選結果のそれぞれで完全に異なる変更テーブルを持つ場合に比べて、変更テーブルを予め記憶しておくために必要な記憶容量の増大化が抑制される。また、共通変更テーブルCT1とは別に個別変更テーブルCT2,CT3が設けられているため、上記のように記憶容量の増大化を抑制した構成において、各抽選結果に応じた所定の停止態様の設定を行うことが可能となる。
共通変更テーブルCT1及び個別変更テーブルCT2,CT3はいずれも、既に停止指令が発生している2個のリールの停止出目の組合せの情報と、当該停止出目の組合せに対応させて設定され変更先となる引込ビットテーブルを特定するための情報と、が定められている。つまり、共通変更テーブルCT1と個別変更テーブルCT2,CT3とでデータの具体的な内容は異なるもののデータ種別は同一となっているため、いずれの変更データを参照する場合であっても同一の変更用処理(ステップS2006〜ステップS2008)を利用することが可能となる。
共通変更テーブルCT1及び個別変更テーブルCT2,CT3の両方を参照する必要がある場合であっても、各変更テーブルCT1〜CT3がまとめて読み出されるのではなく、共通変更テーブルCT1の利用が終了した後に個別変更テーブルCT2,CT3が読み出されるため、変更テーブルCT1〜CT3を読み出すために必要な記憶領域の容量を抑えることが可能となる。また、変更データが共通変更テーブルCT1と個別変更テーブルCT2,CT3とで複数種類存在している場合であっても、それら変更データの読み出しがまとめて行われないため、変更データの読み出しに要する時間が一時的に長くなるといった事象の発生が抑えられる。
第2BB当選情報がRAM74に記憶されている状況でスイカに当選した場合には、一のリールにおいてスイカ入賞の成立を可能とする図柄だけでなく第2BB入賞の成立を可能とする図柄も有効ライン上に停止する態様が、スイカ入賞の成立を可能とする図柄は有効ライン上に停止するものの第2BB入賞の成立を可能とする図柄は有効ライン上に停止しない態様よりも優先される。その一方、第1BB当選情報がRAM74に記憶されている状況でスイカに当選した場合には、一のリールにおいてスイカ入賞の成立を可能とする図柄が有効ライン上に停止するのであれば、第1BB入賞の成立を可能とする図柄を全体表示位置に引き込むような停止制御は優先されない。これにより、BB入賞よりも小役入賞が優先される構成において、所定の小役及びBBに同時当選した際にその所定の小役入賞を成立させることを可能とする図柄だけでなくBB入賞を成立させることを可能とする図柄も全体表示位置に表示されるようにリールを滑らせるか否かがBBの種類に応じて異なることとなる。よって、停止出目の出現態様を確認することを通じて、当選しているBBの種類を推測することが可能となる。
BBとスイカとに同時に当選している状況での停止制御の態様の相違によって上記のような推測を可能とする構成であるため、当該推測を行うことが可能な状況を他の抽選処理を利用しなくても不規則に発生させることが可能となる。また、上記推測を行わせるための停止制御の態様として、第2BBに関しては第2BBに対応した図柄とスイカに対応した図柄とが同時に停止表示される態様が発生し易く、第1BBに関しては第1BBに対応した図柄とスイカに対応した図柄とのうちスイカに対応した図柄のみが停止表示される態様が発生し易い。これにより、両方の図柄が同時に停止表示されるか否かを確認することでいずれのBBに当選しているのかを推測することが可能となり、当該推測を行い易くなる。さらにまた、第2BBに関しては第2BBに対応した図柄とスイカに対応した図柄とが同時に停止表示される停止態様の引込制御が行われ、第1BBに関しては第1BBに対応した図柄とスイカに対応した図柄とが同時に停止表示される停止態様の引込制御が行われない構成であるため、引込制御の有無を考慮に入れながら上記推測を行う必要が生じる。これにより、推測に際して注目する箇所が多岐に及ぶこととなり、推測を行うこと自体が単調化してしまわないようにすることが可能となる。
上記のようなBBの種類に応じた停止制御は、判定情報用バッファBの初期化に際して役物ビットに「1」をセットするか否かによって振り分けられる。これにより、記憶容量の増大化及び処理負荷の増大化を抑制しながら上記のような停止制御を行うことが可能となる。
判定情報用バッファBの初期化に際して役物ビットに「1」がセットされる第2初期化処理は所謂取りこぼしの発生しない小役に同時当選した際に行われるとともに、BB入賞よりも小役入賞が優先されるため、BB入賞の成立の余地がない状況で第2初期化処理が実行されることとなり、第1BB入賞の成立に関して遊技者に不利益を及ぼさないようにしながら既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
2段階の引込ビット情報を導出可能な引込ビットテーブルを2個使用して3段階の引込ビット情報を導出可能な構成であることにより、3バイトの引込ビットテーブルを基本的に利用しながら状況に応じて3段階の引込ビット情報を導出することが可能となる。例えば、全ての引込ビット情報を3段階で設定可能とすると、本来は2段階で十分な状況に対してまで6バイトの引込ビットテーブルを用意する必要が生じるが、本スロットマシン10の構成によればそれが3バイトの引込ビットテーブルで済むため、引込ビットテーブルを記憶するのに必要な記憶容量の削減が図られる。
3バイトの引込ビットテーブルを2個使用するとともに各引込ビットテーブルを利用して導出された引込ビット情報合成値を加算して3段階の引込ビット情報を導出する構成であるため、3段階の引込ビット情報を導出する場合であっても2段階の引込ビット情報を導出するための処理をそのまま利用することが可能となる。これにより、引込ビット情報を導出するためのプログラム容量が増大化してしまうことを抑制することが可能となる。
引込ビットテーブルにおいて引込ビット情報が設定されていない空きエリアを利用して重ね合わせビットが設定されており、当該重ね合わせビットに「1」が設定されている場合に2個の引込ビットテーブルが利用されて3段階の引込ビット情報が導出される。これにより、引込ビットテーブルの空きエリアを利用して3段階の引込ビット情報を導出するべきか否かの指定を行うことが可能となる。
3段階の引込ビット情報を導出するための2個の引込ビットテーブルは引込ビットテーブル記憶エリア142においてアドレス上、連続するようにして設定されている。そして、当該2個の引込ビットテーブルを使用すべき状況においては一方の引込ビットテーブルに対応した番号のみが指定され、他方の引込ビットテーブルは当該指定対象となった引込ビットテーブルのアドレスとの関係で読み出される。これにより、複数の引込ビットテーブルを読み出す場合であっても読み出すべき引込ビットテーブルの指定に際しては一の引込ビットテーブルのみを指定するだけでよく、読み出し用の情報を指定するための構成の簡素化が図られる。
役の抽選結果に応じて読み出されたオフセット指定テーブルに従って各リール32L,32M,32Rの停止制御を行う構成であるため、役の抽選結果に応じた停止制御をスロットマシン10の設計段階で設定した態様で行うことが可能となる。また、一部のリールに対して停止指令が発生した場合、残りのリールにおける停止制御の態様が調整され得るため、オフセット指定テーブルのみで全ての停止態様に対応する必要がなくなり、オフセット指定テーブルの設計の容易化が図られる。また、この調整に際してはグループ番号が利用されるとともに、当該グループ番号は役の抽選結果に対応付けて設定されているため、役の抽選結果をその都度参照しなくてもグループ番号を参照するだけで調整を行うための処理を実行することが可能となる。
上記構成において、各抽選結果についてBB当選情報が記憶保持されている場合と記憶保持されていない場合とに区別してオフセット指定テーブルを用意しておく構成とすると、オフセット指定テーブルを記憶しておくために必要なROM73の記憶容量が極端に増大化してしまう。その一方、BB当選情報が記憶保持されている場合には、新たな抽選処理(図9)の結果に関係なく当初からBBに対応したオフセット指定テーブルを読み出す構成とすると、各抽選結果に対応した停止制御を行うことができなくなってしまう。例えば、いずれかのBB当選情報が記憶保持されている状況で第1特殊、第2特殊及び第3特殊に同時に当選した場合にBBに対応したオフセット指定テーブルを読み出すと、既に説明したような3段階の引込ビット情報を利用した停止制御を実行することができなくなってしまう。さらにまた、オフセット指定テーブルの特定とグループ番号の特定とを独立して行う構成とすると、それぞれの特定を個別に行うことを可能とするための処理が必要となり、処理構成が複雑化してしまう。
これに対して、本スロットマシン10では、いずれかのBB当選情報がRAM74に記憶保持されているか否かに関係なく新たな抽選処理(図9)の結果に対応したオフセット指定テーブルを利用するようにし、1個のリールに対して停止指令が発生した後であって回転中である2個のリールの優先順位情報を作成する場合に、グループ番号をBB当選情報の設定状況に応じて変更する構成となっている。これにより、第1停止対象となるリールの停止制御に際しては新たな抽選処理(図9)の結果に対応した停止制御を行うことを可能としながら、第2停止対象及び第3停止対象となるリールの停止制御に際してはBB当選情報の設定状況に対応した停止制御を行うことが可能となる。BB当選情報の設定状況に対応した停止制御としては、例えば当初のグループ番号が維持された場合には0枚役回避処理(図22)にて所謂リーチ目の出現を回避するための処理が実行されることとなるが、設定されているBB当選情報に対応したグループ番号に変更されることにより所謂リーチ目の出現を回避するための処理が実行されなくなる。
グループ番号の変更が行われる場合、オフセット指定テーブルにおいて設定されたグループ番号から他の抽選結果に対応するグループ番号に変更される。これにより、グループ番号の種類が極端に多くなってしまうことを抑制することが可能となる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組合せて適用してもよい。
(1)上記実施形態では第1BBに入賞した場合に発生するBB状態と第2BBに入賞した場合に発生するBB状態とで遊技者にとっての有利度が同一である構成としたが、両BB状態で遊技者にとっての有利度が異なるものの遊技者にとって同一であると認識される程度の差異しか存在していない構成としてもよく、両BB状態で遊技者にとっての有利度が遊技者に同一であると認識されない程度に相違している構成としてもよい。有利度に差異を与えるための手法としては、例えば、BB状態の終了条件となるメダルの払出上限枚数を異ならせる手法、BB状態における1ゲームの開始に必要なメダルの投入枚数を異ならせる手法、BB状態の1ゲームで発生するメダルの最大払出枚数を異ならせる手法、及びBB状態において当選確率が最も高い小役のメダルの払出枚数を異ならせる手法等が挙げられる。
(2)少なくとも所定のリールにおいて、第1BBに対応した図柄と、第2BBに対応した図柄と、スイカに対応した図柄とが、当該所定のリールが停止した場合に全体が視認可能となる図柄の数(具体的には3個)と最大スベリ数(具体的には4個)とを合計した図柄数の図柄配列の範囲内に配置されており、さらにその図柄配列の範囲内において上記3種類の図柄のうちスイカに対応した図柄のみが停止表示される第1範囲と、当該第1範囲がスベリ数「0」となるタイミングで停止指令が発生した場合に1以上のスベリ数が発生することで出現可能であって上記3種類の図柄のうち第1BBに対応した図柄及びスイカに対応した図柄が停止表示される第2範囲と、上記第1範囲がスベリ数「0」となるタイミングで停止指令が発生した場合に1以上のスベリ数が発生することで出現可能であって上記3種類の図柄のうち第2BBに対応した図柄及びスイカに対応した図柄が停止表示される第3範囲とが存在している構成としてもよい。これにより、例えば第1BB及び第2BBのうちいずれに当選しているのかは報知されないもののBBに当選していることが報知されている状況でスイカに当選したことが報知された場合、上記第1範囲において回転方向の先頭に存在している図柄番号が下段に到達しているタイミングで停止指令を発生させることで、第1範囲がそのまま停止表示されるか、それともリールのスベリが発生して第3範囲が停止表示されるかを確認することで、第1BB及び第2BBのうちいずれに当選しているのかを推測することが可能となる。
(3)第1BBに当選している状況でスイカに当選した場合には、少なくとも所定のリールについては、第1BBに対応した図柄とスイカに対応した図柄とが同時に停止表示されるタイミングで停止指令が発生したとしても、スイカに当選した図柄のみが停止表示されるようにスベリ数が決定される構成としてもよい。これにより、例えば第1BB及び第2BBのうちいずれに当選しているのかは報知されないもののBBに当選していることが報知されている状況でスイカに当選したことが報知された場合、第1BBに対応した図柄とスイカに対応した図柄とが同時に停止表示されるタイミングで停止指令を発生させたにも関わらず、第1BBに対応した図柄は停止表示されずにスイカに対応した図柄が停止表示されることを確認することで、第1BBに当選していることを把握することが可能となる。また、このように第1BBに対応した図柄が停止表示されない停止制御が積極的に行われたとしても、スイカは所謂取りこぼしが発生しない役であるため、遊技者に不利益を与えることはない。
また、第1BBに当選していない状況でスイカに当選した状況では第1BBに対応した図柄とスイカに対応した図柄とが同時に停止表示される所定のタイミングで所定のリールに対して停止指令が発生した場合にはその当該停止範囲がそのまま停止表示される構成において、上記構成を適用してもよい。この場合、上記所定のタイミングで停止指令を発生させてスイカの入賞が発生した場合に、所定のリールにおいて第1BBに対応した図柄が停止表示されているか否かを確認することで、第1BBに当選しているか否かを推測することが可能となる。
(4)第1BBに当選している状況でスイカに当選した場合には第1BBに対応した図柄及びスイカに対応した図柄のうち第1BBに対応した図柄のみが停止表示される停止態様が出現し易い構成としてもよい。この場合、第1BBに当選していない状況ではスイカは所謂取りこぼしが発生しない役であるのに対して、第1BBに当選している状況ではスイカは所謂取りこぼしが発生し得る役となるため、例えばスイカに当選していることが報知されている状況でスイカ入賞が発生しなかったことを確認することで第1BBに当選していることを推測することが可能となる。また、当該構成であれば、第1BB及びスイカに当選している状況で第1BBに対応した図柄を停止表示させることができないタイミングで停止指令が発生した場合にはスイカの入賞が発生するため、遊技者の停止操作の態様によってスイカ当選の利益を遊技者に与えることが可能となる。
(5)判定情報用バッファBにおいて第1BB入賞が可能である場合及び第2BB入賞が可能である場合のいずれであっても第2ビットに「1」がセットされる構成としたが、これに代えて、判定情報用バッファBには第1BBに対応したビットと第2BBに対応したビットとが個別に設定されており、第1BB入賞が可能である場合には第1BBに対応したビットに「1」がセットされ、第2BB入賞が可能である場合には第2BBに対応したビットに「1」がセットされる構成としてもよい。当該構成においては、第1初期化処理(ステップS1802)では第1BBに対応したビット及び第2BBに対応したビットの両方が「0」クリアされ、第2初期化処理(ステップS1803)では第2BBに対応したビットは「0」クリアされる一方、第1BBに対応したビットには「1」がセットされることとなる。
(6)第1BB及び第2BBのいずれかに当選となった場合にはいずれのBBに当選しているのかを報知しない態様でBBに当選していることが報知される構成としてもよい。また、いずれかのBBに当選している状況でスイカに当選した場合には、スイカに当選したことが報知される構成としてもよい。
(7)第2初期化処理(ステップS1803)は、第1BBに当選している状況でIV=3で当選となった場合に実行される構成に限定されることはなく、第1BBではなく第2BBに当選している状況でIV=3で当選となった場合に実行される構成としてもよく、第1BBに当選している状況で所謂取りこぼしが発生しない他の役(例えばリプレイ)に当選した場合に実行される構成としてもよく、第1BBに当選している状況で所謂取りこぼしが発生し得る他の役に当選した場合に実行される構成としてもよい。
(8)3段階の引込ビット情報を導出するために利用される引込ビットテーブルが、2段階の引込ビット情報を導出するための引込ビットテーブルとしては利用されない構成に代えて、2段階の引込ビット情報を導出するために利用され得る構成としてもよい。
(9)引込ビット情報は2段階の場合と3段階の場合とが存在している構成としたが、これに代えて、2段階の場合と4段階の場合とが存在している構成としてもよく、当該構成においては引込ビットテーブルを1個のみ用いる場合と引込ビットテーブルを3個用いる場合とが存在することとなる。また、引込ビット情報は3段階の場合と4段階又は5段階以上の場合とが存在している構成としてもよい。
(10)引込ビットテーブルから読み出された引込ビットが引込ビット情報としてそのまま判定情報用バッファBに加算される構成としてもよい。
(11)共通変更テーブルCT1といった共通参照用データと、個別変更テーブルCT2,CT3といった個別参照用データとを区別して用意することにより、参照用データを予め記憶しておくのに必要な記憶容量を抑えることが可能となるという効果に着目した場合、これら共通参照用データ及び個別参照用データの構成をスロットマシン10における停止制御以外の構成に適用してもよい。例えば、前面扉12が開いている状態と閉じている状態とで不正監視の種類が一部相違する構成においては、共通する不正監視の内容については共通参照用データに設定しておくとともに、共通しない不正監視の内容については前面扉12が開いている状態及び閉じている状態のそれぞれに対応させて個別参照用データに設定しておく。そして、前面扉12が開いている状態では共通参照用データに設定されている不正監視を実行した後に、開放時用の個別参照用データに設定されいてる不正監視を実行する一方、前面扉12が閉じている状態では共通参照用データに設定されている不正監視を実行した後に、閉鎖時用の個別参照用データに設定されている不正監視を実行する。また、このような構成をスロットマシン10ではなく、パチンコ機に適用してもよい。
(12)第2停止後用処理(図44)では、所定のグループ番号である場合、最初の他のグループ番号と共通の変更テーブルを参照してステップS2006〜ステップS2008の処理を実行し、次にさらに別のグループ番号と共通の変更テーブルを参照してステップS2006〜ステップS2008の処理を実行する構成としてもよい。
(13)第2停止後用処理(図44)では、個別変更テーブルを参照したステップS2006〜ステップS2008の処理を先に実行し、ステップS2007にて肯定判定をしなかった場合にはその後に共通変更テーブルを参照したステップS2006〜ステップS2008の処理を実行する構成としてもよい。この場合、変更テーブル記憶エリア144において共通変更テーブルが記憶されているアドレスの情報といった共通変更テーブルを特定可能とする情報が個別変更テーブルに設定されている構成とすることで、共通変更テーブルの読み出しを好適に行うことが可能となる。
(14)グループ番号がオフセット指定テーブルに設定されているものから変更される事象は、いずれかのBBに当選している状況で役の抽選処理が外れとなった場合、又は所謂取りこぼしが発生し得る役に当選した場合に限定されることはなく、例えば複数の小役に同時に当選している状況で当初は一方の小役に対応したグループ番号が設定されており、ストップボタンの操作タイミングとの関係でその小役の入賞が不可となったタイミングで他方の小役に対応したグループ番号に変更される構成としてもよい。
(15)グループ番号が変更されるタイミングは第1停止指令が発生した後のタイミングに限定されることはなく、オフセット指定テーブルが特定された後であって第1停止指令の発生が可能となるタイミングよりも前のタイミングであってもよく、第2停止指令が発生した後のタイミングであってもよい。
(16)0枚役回避用処理(図22)では、0枚役回避指定の対象となるグループ番号としてBBに対応したグループ番号のみが設定されている構成としたが、BB以外の所謂取りこぼしが発生し得る役に対応したグループ番号が0枚役回避指定の対象となるグループ番号として設定されている構成としてもよい。この場合、当該取りこぼし対応役のグループ番号である場合には、所謂リーチ目は0枚役回避指定の対象となる一方、取りこぼし発生時に積極的に生じさせる停止出目は0枚役回避指定の対象とならずに、BBに対応したグループ番号である場合には、上記取りこぼし対応役の取りこぼし発生時に積極的に生じさせる停止出目は0枚役回避指定の対象となる一方、所謂リーチ目は0枚役回避指定の対象とならない。つまり、グループ番号に応じて0枚役回避指定の対象が変動することとなり、それに伴って回避用ビットの設定態様もグループ番号に応じて変動することとなる。
(17)本発明を所謂Bタイプのスロットマシンに適用してもよく、またCタイプ、AタイプとCタイプの複合タイプ、BタイプとCタイプの複合タイプ、さらにはRTゲーム、CTゲーム又はARTゲームを備えたタイプなど、どのようなスロットマシンにこの発明を適用してもよい。
(18)各リール32L,32M,32Rの図柄としては、絵、数字、文字等に限らず、幾何学的な線や図形等であってもよい。また、光や色等によって図柄を構成することも可能であるし、立体的形状等によっても図柄を構成し得るし、これらを複合したものであっても図柄を構成し得る。即ち、図柄は識別性を有した情報としての機能を有するものであればよい。
(19)上記各実施形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、パチンコ機に対して適用してもよく、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.絵柄を変動表示する複数の変動表示部(リール32L,32M,32R)を有する絵柄表示手段(リールユニット31)と、
役の抽選処理を行う抽選手段(MPU72における抽選処理を実行する機能)と、
前記変動表示部における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42〜44)と、
前記抽選処理にて当選となった役に対応した絵柄又は絵柄の組合せが遊技機前方から視認可能な位置に停止することで当選役の入賞が発生した場合に、当該当選となった役に対応する特典を付与する特典付与手段(MPU72におけるメダル払出処理及びBB状態処理を実行する機能)と、
第1特別役(第2BBの役)及び他の役(IV=3で設定されている役)の両方に当選している第1状況において、所定の変動表示部に対する停止操作のタイミングが第1特別役の入賞を生じさせる第1絵柄及び他の役の入賞を生じさせる他の絵柄のうち一方のみが遊技機前方から視認可能な位置に存在しているタイミングであって前記第1絵柄及び前記他の絵柄の両方が遊技機前方から視認可能な位置にそれぞれ停止する停止態様の引込制御を可能とするタイミングであった場合、前記第1絵柄及び前記他の絵柄の両方がそれぞれ停止する停止態様の引込制御が行われるようにする第1停止制御手段(MPU72におけるステップS1802の処理を実行する機能)と、
第2特別役(第1BBの役)及び他の役(IV=3で設定されている役)の両方に当選している第2状況において、所定の変動表示部に対する停止操作のタイミングが前記第2特別役の入賞を生じさせる第2絵柄及び他の役の入賞を生じさせる他の絵柄のうち一方のみが遊技機前方から視認可能な位置に存在しているタイミングであって前記第2絵柄及び前記他の絵柄の両方が遊技機前方から視認可能な位置にそれぞれ停止する停止態様の引込制御を可能とするタイミングであった場合、前記第2絵柄及び前記他の絵柄の両方がそれぞれ停止する停止態様の引込制御が行われないようにする第2停止制御手段(MPU72におけるステップS1803の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、第1特別役に当選している場合と第2特別役に当選している場合とで、他の役に同時に当選している状況下で当該他の役に対応した他の絵柄とともに特別役に対応した絵柄が停止表示される停止態様の発生し易さが相違する。これにより、停止制御の態様からいずれの特別役に当選しているのかを遊技者に推測させることが可能となる。
また、特別役と他の役とに同時に当選している状況での停止制御の態様の相違によって上記のような推測を可能とする構成であるため、当該推測を行うことが可能な状況を他の抽選手段を利用しなくても不規則に発生させることが可能となる。
また、上記推測を行わせるための停止制御の態様として、第1特別役に関しては第1特別役に対応した第1絵柄と他の役に対応した他の絵柄とが同時に停止表示される態様が発生し易く、第2特別役に関しては第2特別役に対応した第2絵柄及び他の役に対応した他の絵柄のうち一方のみが停止表示される態様が発生し易い。これにより、両方の絵柄が同時に停止表示されるか否かを確認することでいずれの特別役に当選しているのかを推測することが可能となり、当該推測を行い易くなる。
さらにまた、第1状況では第1絵柄と他の絵柄とが同時に停止表示される停止態様の引込制御が行われ、第2状況では第2絵柄と他の絵柄とが同時に停止表示される停止態様の引込制御が行われない構成であるため、引込制御の有無を考慮に入れながら上記推測を行う必要が生じる。これにより、推測に際して注目する箇所が多岐に及ぶこととなり、推測を行うこと自体が単調化してしまわないようにすることが可能となる。
特徴A2.前記第1停止制御手段は、前記第1状況において、所定の変動表示部に対する停止操作のタイミングが第1特別役の入賞を生じさせる第1絵柄及び他の役の入賞を生じさせる他の絵柄のうち当該他の絵柄のみが有効位置に存在しているタイミングであって前記第1絵柄及び前記他の絵柄の両方が遊技機前方から視認可能な位置にそれぞれ停止する停止態様の引込制御を可能とするタイミングであった場合、前記第1絵柄及び前記他の絵柄の両方がそれぞれ停止する停止態様の引込制御が行われるようにするものであり、
前記第2停止制御手段は、前記第2状況において、所定の変動表示部に対する停止操作のタイミングが前記第2特別役の入賞を生じさせる第2絵柄及び他の役の入賞を生じさせる他の絵柄のうち当該他の絵柄のみが有効位置に存在しているタイミングであって前記第2絵柄及び前記他の絵柄の両方が遊技機前方から視認可能な位置にそれぞれ停止する停止態様の引込制御を可能とするタイミングであった場合、前記第2絵柄及び前記他の絵柄の両方がそれぞれ停止する停止態様の引込制御が行われないようにするものであることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、第1特別役に当選している状況で他の役に当選した場合と第2特別役に当選している状況で他の役に当選した場合とのいずれであっても、他の役に対応した他の絵柄が遊技機前方から視認可能な位置に停止する確率を変更しないようにすることが可能となる。これにより、他の役に対応した入賞の発生し易さに影響を与えないようにしながら既に説明したような作用効果を奏することが可能となる。
また、第1状況では第1特別役に対応した第1絵柄が他の役に対応した他の絵柄とともに停止表示され易く、第2状況では第2特別役に対応した第2絵柄についてそのような停止態様を表示させ易くするための設定が行われない。これにより、特別役に対応した絵柄の有無によっていずれの特別役に当選しているのかを推測することが可能となり、当該推測を行い易くなる。
特徴A3.前記第1状況において前記第1特別役とともに当選となる前記他の役と、前記第2状況において前記第2特別役とともに当選となる前記他の役とは、前記所定の変動表示部における絵柄の表示位置に対する前記停止操作手段の操作タイミングがいずれのタイミングであっても対応する絵柄が遊技機前方から視認可能な位置に停止する役であることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、他の役は所謂取りこぼしが発生しない役であるため、第1状況及び第2状況のいずれであっても最終的に他の役の入賞が発生することとなる。この場合に、当該他の役の入賞が発生した場合に引込制御を伴って第1特別役に対応した第1絵柄が所定の変動表示部にて停止表示されているのであれば遊技者は第1特別役に当選していることを推測することとなり、他の役の入賞が発生した場合に引込制御を伴わずに第2特別役に対応した第2絵柄が所定の変動表示部にて停止表示されていないのであれば遊技者は第2特別役に当選していることを推測することとなる。このように所謂取りこぼしの発生しない役に同時に当選した状況下で上記のような停止制御を行うようにすることで、いずれの特別役に当選しているのかを引込制御との関係で注目するタイミングを明確にすることが可能となる。
特徴A4.前記第1状況においては前記他の役の入賞が発生する一方、前記第1特別役の入賞は発生することがなく、
前記第2状況においては前記他の役の入賞が発生する一方、前記第2特別役の入賞は発生することがないことを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
特徴A4によれば、単に他の役の入賞が発生するゲームを利用して、上記のような停止制御を利用した推測を行わせることが可能となる。
特徴A5.前記第1状況において前記第1特別役とともに当選となる前記他の役と、前記第2状況において前記第2特別役とともに当選となる前記他の役とは同一の役であることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A5によれば、例えば特別役に当選していることを遊技者が認識している状況下で他の役に当選した場合には、停止制御の態様を利用していずれの特別役に当選しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
特徴A6.前記第1特別役及び前記第2特別役は、当選となっている状況であっても前記停止操作手段の操作態様に応じて入賞が成立しない可能性がある役であって、対応する当選情報が記憶手段に記憶された場合、対応する入賞が発生した場合にそれに対応する当選情報が消去される役であることを特徴とする特徴A1乃至A5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A6によれば、第1特別役又は第2特別役の当選情報が持ち越されている状況で他の役に当選した場合には、上記のような停止制御を利用した推測を行わせることが可能となる。
特徴A7.前記各変動表示部は、絵柄の変動表示方向にそれぞれ区画された複数の区画領域を備え、それら各区画領域のそれぞれには絵柄が対応付けられており、
当該遊技機は、
前記停止操作手段が操作されたことに基づいて、絵柄の変動表示を停止させる変動表示部の各区画領域のうち予め定められた基点位置に到達している到達区画領域を把握する到達区画領域把握手段(MPU72におけるステップS1405の処理を実行する機能)と、
当該到達区画領域把握手段の把握結果に基づいて、絵柄の変動表示を停止させる変動表示部の各区画領域のうち前記基点位置に停止させる停止区画領域を決定する停止区画領域決定手段(MPU72におけるステップS1508の処理を実行する機能)と、
前記停止区画領域が決定されていない変動表示部を停止させる場合に用いる停止情報(優先順位情報)を導出する停止情報導出手段(MPU72における優先順位情報作成処理を実行する機能)と、
前記停止情報を記憶する停止情報記憶手段(優先順位情報用エリア156)と、
を備え、
前記停止区画領域決定手段は、
前記停止操作手段が操作されたことに基づいて、予め定められた規定期間に前記基点位置に到達させることが可能な到達可能区画領域を把握する到達可能区画領域把握手段(MPU72におけるステップS1406の処理を実行する機能)と、
前記停止情報記憶手段に記憶された前記到達区画領域及び前記到達可能区画領域の停止情報を比較判定する比較判定手段(MPU72におけるステップS1408の処理を実行する機能)と、
当該比較判定に基づき停止対象として優先すべき停止情報に対応していると特定された区画領域を前記停止区画領域として導出する停止区画領域導出手段(MPU72におけるステップS1410の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記停止情報導出手段は、
前記区画領域が前記基点位置に到達した場合に遊技機前方から視認可能な位置に到達する到達絵柄を区画領域毎に把握する到達絵柄把握手段(MPU72におけるステップS802の処理を実行する機能)と、
当該到達絵柄把握手段の把握した到達絵柄と前記役の抽選結果に基づいて入賞成立の可能性を区画領域毎に判断する入賞可能性判断手段(MPU72における当選時処理を実行する機能)と、
を備え、
前記停止情報記憶手段は、少なくとも前記所定の変動表示部について前記各区画領域と1対1で対応する情報記憶手段(判定情報用バッファB)を備え、
当該情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて対応する区画領域の停止情報が導出される構成であり、
前記情報記憶手段には、前記第1特別役及び前記第2特別役に関する前記入賞可能性判断手段の判断結果を示す情報を記憶するための特別役情報記憶領域(第2ビット)を備え、
前記第1停止制御手段は、前記第1状況において前記第1絵柄が遊技機前方から視認可能な位置に停止することとなる区画領域と当該第1絵柄が停止しない区画領域とで前記特別役情報記憶領域に設定される情報の内容を相違させるものであり、
前記第2停止制御手段は、前記第2状況において前記第2絵柄が遊技機前方から視認可能な位置に停止することとなる区画領域と当該第2絵柄が停止しない区画領域とで前記特別役情報記憶領域に設定される情報の内容を一致させるものであることを特徴とする特徴A1乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A7によれば、特別役情報記憶領域への情報の設定態様を相違させるだけで、第1状況と第2状況とで停止制御の態様を既に説明したように相違させることが可能となる。
特徴A8.前記停止情報導出手段は、前記停止区画領域が決定されていない変動表示部を停止させる場合に用いる停止情報の導出を可能とするために当該変動表示部の各区画領域に対応する前記情報記憶手段への情報設定を開始する場合、当該変動表示部の各区画領域に対応した前記情報記憶手段に対して初期化処理を実行する構成であり、
前記第1停止制御手段は、前記第1状況において前記所定の変動表示部の各区画領域の情報記憶手段に対して前記初期化処理が実行される場合に、それら全ての区画領域に対応した前記情報記憶手段の前記特別役情報記憶領域には前記入賞可能性判断手段において入賞成立の可能性がないと判定されたことに対応する情報がセットされるようにし、
前記第2停止制御手段は、前記第2状況において前記所定の変動表示部の各区画領域の情報記憶手段に対して前記初期化処理が実行される場合に、それら全ての区画領域に対応した前記情報記憶手段の前記特別役情報記憶領域には前記入賞可能性判断手段において入賞成立の可能性があると判定されたことに対応する情報がセットされるようにするものであることを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
特徴A8によれば、情報記憶手段の初期化処理の態様を相違させるだけで、第1状況と第2状況とで停止制御の態様を既に説明したように相違させることが可能となる。これにより、処理構成の簡素化を図りながら既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
なお、上記特徴A1〜A8のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A8、特徴B1〜B5、特徴C1〜C5、特徴D1〜D5のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
上記特徴A群の発明は、以下の課題を解決することが可能である。
遊技機の一種として、スロットマシンがある。スロットマシンは複数のリールを備えており、それら各リールの外周部に付与された複数の図柄のうちの一部が表示窓を通じて視認可能な構成となっている。そして遊技者がメダルなどの遊技媒体をベットしてスタートレバーを操作することで各リールが回転を開始し、各リールが回転を開始した後にストップボタンを操作したりすることで各リールが順次停止する。
また、スロットマシンの内部では遊技媒体のベットとスタートレバーの操作を条件として抽選を行っており、抽選の結果が当選であり且つ予め設定された有効ライン上に遊技者が当選となった図柄を停止させることを条件として所定枚数の遊技媒体が払い出されたりする。
ここで、上記例示等のような遊技機においては、遊技の興趣向上を図る必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
なお、以上の問題はスロットマシンに限らず、例えば遊技媒体として遊技球を用いる遊技機にも該当する問題である。
<特徴B群>
特徴B1.絵柄を変動表示する複数の変動表示部(リール32L,32M,32R)を有する絵柄表示手段(リールユニット31)と、
役の抽選処理を行う抽選手段(MPU72における抽選処理を実行する機能)と、
前記変動表示部における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42〜44)と、
前記抽選処理にて当選となった役に対応した絵柄又は絵柄の組合せが遊技機前方から視認可能な位置に停止することで当選役の入賞が発生した場合に、当該当選となった役に対応する特典を付与する特典付与手段(MPU72におけるメダル払出処理及びBB状態処理を実行する機能)と、
を備えた遊技機において、
前記各変動表示部は、絵柄の変動表示方向にそれぞれ区画された複数の区画領域を備え、それら各区画領域のそれぞれには絵柄が対応付けられており、
当該遊技機は、
前記停止操作手段が操作されたことに基づいて、絵柄の変動表示を停止させる変動表示部の各区画領域のうち予め定められた基点位置に到達している到達区画領域を把握する到達区画領域把握手段(MPU72におけるステップS1405の処理を実行する機能)と、
当該到達区画領域把握手段の把握結果に基づいて、絵柄の変動表示を停止させる変動表示部の各区画領域のうち前記基点位置に停止させる停止区画領域を決定する停止区画領域決定手段(MPU72におけるステップS1508の処理を実行する機能)と、
前記停止区画領域が決定されていない変動表示部を停止させる場合に用いる停止情報(優先順位情報)を導出する停止情報導出手段(MPU72における優先順位情報作成処理を実行する機能)と、
前記停止情報を記憶する停止情報記憶手段(優先順位情報用エリア156)と、
を備え、
前記停止区画領域決定手段は、
前記停止操作手段が操作されたことに基づいて、予め定められた規定期間に前記基点位置に到達させることが可能な到達可能区画領域を把握する到達可能区画領域把握手段(MPU72におけるステップS1406の処理を実行する機能)と、
前記停止情報記憶手段に記憶された前記到達区画領域及び前記到達可能区画領域の停止情報を比較判定する比較判定手段(MPU72におけるステップS1408の処理を実行する機能)と、
当該比較判定に基づき停止対象として優先すべき停止情報に対応していると特定された区画領域を前記停止区画領域として導出する停止区画領域導出手段(MPU72におけるステップS1410の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記停止情報導出手段は、前記区画領域毎に優先度情報を導出する優先度導出手段(MPU72における引込ビット設定処理を実行する機能)を備え、当該優先度導出手段により導出された優先度情報(引込ビット情報)が前記停止情報に反映される構成であり、
前記優先度導出手段は、
所定数段階データ(引込ビットテーブルBT)を用いることにより、所定数段階の範囲内で前記区画領域毎に優先度情報を導出する第1優先度導出手段(MPU72におけるステップS1603の処理を実行してステップS1605以降の処理を実行する機能)と、
前記所定数段階データを複数用いることにより、前記所定数段階よりも多い段階数の範囲内で前記区画領域毎に優先度情報を導出する第2優先度導出手段(MPU72におけるステップS1604の処理を実行してステップS1605以降の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、優先度情報が反映される停止情報を導出して、その停止情報を利用して絵柄の停止制御を実行する構成であるため、停止情報を遊技機設計段階で記憶させておく必要がなくなり、停止制御に利用される情報を事前に記憶しておくために必要な記憶容量の削減を図ることが可能となる。
この場合に、所定数段階データを用いることにより優先度情報が所定数段階の範囲内で定められる場合と、所定数段階データを複数用いることにより優先度情報が所定数段階よりも多い段階数の範囲内で定められる場合とが存在する。前者のみを利用する構成とすると停止制御を適切に行えない状況が想定され、後者のみを利用する構成とすると所定数段階で十分に対応できる状況においてもそれよりも多い段階を想定したデータを保持する必要が生じ記憶容量が無駄に多くなることが想定される。これに対して、データとしては所定数段階データとして持ち、複数の所定数段階データを利用することにより所定数段階よりも多い段階数の優先度情報を利用可能としているため、記憶容量の増大化を抑制しながら所定数段階よりも多い段階数の優先度情報も利用可能となる。
また、所定数段階の範囲内で優先度情報を導出する場合及び所定数段階よりも多い段階数の範囲内で優先度情報を導出する場合のいずれであっても、所定数段階データが利用される構成であるため、所定数段階データの利用に際して処理を共通化させることが可能となる。
特徴B2.前記所定数段階データに前記第1優先度導出手段及び前記第2優先度導出手段のいずれにより優先度情報を導出するのかを示す導出対象データ(重ね合わせビット)が設定されていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、所定数段階データ自体に導出対象データが設定されているため、所定数段階範囲内の優先度情報を導出する状況及び所定数段階よりも多い段階数の範囲内で優先度情報を導出する状況のいずれの状況であるかを指定する情報を別に用意する必要が生じない。
特徴B3.前記所定数段階データには、一の前記変動表示部に含まれる区画領域に1対1で対応させて優先度データ(引込ビット)が設定されており、
前記所定数段階データは、1バイト×n(nは1以上の整数)のデータ容量を有しており、
前記所定数段階データに設定されている前記優先度データの総データ容量は前記1バイト×nよりも少ないデータ容量であり、
前記所定数段階データにおいて前記優先度データが設定されていない空きエリアを利用して前記導出対象データが設定されていることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、所定数段階データの空きエリアを利用して導出対象データを設定することが可能となるため、導出対象データを別に設定する構成に比べて必要な記憶容量の削減が図られる。
特徴B4.前記停止情報記憶手段は、前記停止情報の導出対象となる各区画領域と1対1で対応する情報記憶手段(判定情報用バッファB)を備え、
当該情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて対応する区画領域の停止情報が導出される構成であり、
前記情報記憶手段は、前記優先度データ又はそれに対応したデータが加算される優先度記憶領域(第1〜第0ビット)を備えており、
前記第1優先度導出手段は、加算処理(MPU72におけるステップS1607〜ステップS1611の処理)を実行することにより、一の前記所定数段階データから導出した前記優先度データ又はそれに対応したデータを前記優先度記憶領域に加算するものであり、
前記第2優先度導出手段は、利用対象となっている複数の前記所定数段階データのそれぞれについて前記加算処理を実行するものであることを特徴とする特徴B1乃至B3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B4によれば、一の所定数段階データを利用して所定数段階の範囲内で優先度データが導出される場合及び複数の所定数段階データを利用して所定数段階よりも多い段階数の範囲内で優先度データが導出される場合のいずれであっても、同一の加算処理を実行すればよいため、プログラム容量の削減が図られる。
特徴B5.前記所定数段階データを予め複数記憶するデータ記憶手段(引込ビットテーブル記憶エリア142)と、
使用対象となる前記所定数段階データに対応した情報を指定する指定手段(オフセット指定テーブル)と、
を備え、
前記第1優先度導出手段は、前記指定手段により指定された情報を利用して一の前記所定数段階データを前記データ記憶手段から読み出すものであり、
前記第2優先度導出手段によりまとめて利用される複数の前記所定数段階データは前記データ記憶手段においてアドレス上で連続するように設定されており、前記第2優先度導出手段による優先度の導出が行われる場合、それら複数の所定数段階データのうち一の所定数段階データは前記指定手段により指定された情報を利用して読み出され、残りの所定数段階データはその一の所定数段階データに対して前記データ記憶手段におけるアドレスとの関係で読み出されることを特徴とする特徴B1乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B5によれば、所定数段階よりも多い段階数の優先度データを導出するために利用される複数の所定数段階データはデータ記憶手段のアドレスにおいて連続するように設定されているとともに、それら複数の所定数段階データの読み出しに際しては一の所定数段階データを読み出すための情報が指定されて残りの所定数段階データについてはアドレスとの関係で読み出される。これにより、複数の所定数段階データを読み出す場合であっても指定手段において指定するのは一の所定数段階データについての読み出し用の情報だけでよく、読み出し用の情報を指定するための構成の簡素化が図られる。
なお、上記特徴B1〜B5のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A8、特徴B1〜B5、特徴C1〜C5、特徴D1〜D5のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
上記特徴B群の発明は以下の課題を解決することが可能である。
遊技機の一種として、スロットマシンがある。スロットマシンは複数のリールを備えており、それら各リールの外周部に付与された複数の図柄のうちの一部が表示窓を通じて視認可能な構成となっている。そして遊技者がメダルなどの遊技媒体をベットしてスタートレバーを操作することで各リールが回転を開始し、各リールが回転を開始した後にストップボタンを操作したりすることで各リールが順次停止する。
また、スロットマシンの内部では遊技媒体のベットとスタートレバーの操作を条件として抽選を行っており、抽選の結果が当選であり且つ予め設定された有効ライン上に遊技者が当選となった図柄を停止させることを条件として所定枚数の遊技媒体が払い出されたりする。
ここで、上記例示等のような遊技機においては、上記図柄といった絵柄の停止制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
なお、以上の問題はスロットマシンに限らず、例えば遊技媒体として遊技球を用いる遊技機にも該当する問題である。
<特徴C群>
特徴C1.所定事象が定められた参照用データ(変更テーブルCT1〜CT3)を予め記憶する参照用記憶手段(変更テーブル記憶エリア144)と、
前記参照用データに定められている所定事象が発生することを特定した場合に、対応処理を実行する対応処理実行手段(MPU72におけるステップS2008の処理を実行する機能)と、
を備え、
第1所定状況における前記所定事象は複数種類存在しており、そのうちの一部の所定事象は第2所定状況における所定事象と一致しており、
前記第1所定状況において参照対象となる前記参照用データとして、前記第2所定状況と一致する所定事象が定められた共通参照用データ(共通変更テーブルCT1)と、前記第2所定状況と一致しない所定事象が定められた個別参照用データ(個別変更テーブルCT2,CT3)とが存在していることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、第1所定状況の場合と第2所定状況の場合とで共通参照用データを共通利用することが可能となるため、第1所定状況及び第2所定状況のそれぞれで完全に異なる参照用データを持つ場合に比べて、参照用データを予め記憶しておくのに必要な記憶容量の増大化が抑制される。また、共通参照用データとは別に個別参照用データが設けられているため、上記のように記憶容量の増大化を抑制した構成において、各所定状況に応じた所定事象の設定を行うことが可能となる。
特徴C2.前記共通参照用データ及び前記個別参照用データはいずれも、前記所定事象を定める情報と、当該所定事象に対応した情報であって前記対応処理において利用される情報と、が定められていることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、共通参照用データと個別参照用データとのデータ構成が同一となっているため、いずれの参照用データを参照する場合であっても同一の対応処理を利用することが可能となる。
特徴C3.絵柄を変動表示する複数の変動表示部(リール32L,32M,32R)を有する絵柄表示手段(リールユニット31)と、
役の抽選処理を行う抽選手段(MPU72における抽選処理を実行する機能)と、
前記変動表示部における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42〜44)と、
当該停止操作手段の操作に基づき、当該停止操作に対応した前記変動表示部において前記絵柄の変動表示が停止されるように前記絵柄表示手段を制御する停止制御手段(MPU72におけるリール停止処理を実行する機能)と、
前記抽選処理にて当選となった役に対応した絵柄又は絵柄の組合せが遊技機前方から視認可能な位置に停止することで当選役の入賞が発生した場合に、当該当選となった役に対応する特典を付与する特典付与手段(MPU72におけるメダル払出処理及びBB状態処理を実行する機能)と、
を備えた遊技機において、
前記複数の変動表示部のうち一部の変動表示部に対して停止指令が発生した場合における絵柄の停止態様が定められた参照用データ(変更テーブルCT1〜CT3)を予め記憶する参照用記憶手段(変更テーブル記憶エリア144)を備え、
前記停止制御手段は、前記一部の変動表示部に対する停止指令が発生した後において、前記参照用データに定められている所定の停止態様が発生することを特定した場合に、残りの変動表示部の停止制御に際して利用する停止制御用情報が予め定められた情報となるようにする対応実行手段(MPU72におけるステップS2008の処理を実行する機能)を備え、
前記役の抽選結果が第1抽選結果である場合における前記所定の停止態様は複数種類存在しており、そのうちの一部の所定の停止態様は前記役の抽選結果が第2抽選結果である場合における前記所定の停止態様と一致しており、
前記第1抽選結果において参照対象となる前記参照用データとして、前記第2抽選結果の場合と一致する所定の停止態様が定められた共通参照用データ(共通変更テーブルCT1)と、前記第2抽選結果の場合と一致しない所定の停止態様が定められた個別参照用データ(個別変更テーブルCT2,CT3)とが存在していることを特徴とする遊技機。
特徴C3によれば、既に停止指令が発生している変動表示部の停止態様に応じて残りの変動表示部の停止制御に際して利用する停止制御用情報が予め定められた情報とされる。これにより、既に停止指令が発生している変動表示部の停止態様に応じて残りの変動表示部の停止制御の態様を調整することが可能となり、例えば好ましくない停止態様の出現を回避するといったように停止制御を良好に行うことが可能となる。
この場合に、第1抽選結果の場合と第2抽選結果の場合とで共通参照用データを共通利用することが可能となるため、第1抽選結果及び第2抽選結果のそれぞれで完全に異なる参照用データを持つ場合に比べて、参照用データを予め記憶しておくのに必要な記憶容量の増大化が抑制される。また、共通参照用データとは別に個別参照用データが設けられているため、上記のように記憶容量の増大化を抑制した構成において、各抽選結果に応じた所定の停止態様の設定を行うことが可能となる。
特徴C4.前記共通参照用データ及び前記個別参照用データはいずれも、前記所定の停止態様を定める情報と、当該所定の停止態様に対応した情報であって前記予め定められた情報を特定するために必要な情報と、が定められていることを特徴とする特徴C3に記載の遊技機。
特徴C4によれば、共通参照用データと個別参照用データとのデータ構成が同一となっているため、いずれの参照用データを参照する場合であっても同一の対応処理を利用することが可能となる。
特徴C5.前記対応実行手段は、参照すべき参照用データとして前記共通参照用データ及び前記個別参照用データの両方が存在している場合、それら共通参照用データ及び個別参照用データのうち一方の参照用データを参照する処理が完了した後に他方の参照用データを読み出すものであることを特徴とする特徴C1乃至C4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C5によれば、共通参照用データ及び個別参照用データの両方を参照する必要がある場合であっても、各参照用データがまとめて読み出されるのではなく、一方の参照用データの利用が終了した後に他方の参照用データが読み出されるため、参照用データを読み出すために必要な記憶領域の容量を抑えることが可能となる。また、参照用データが共通参照用データと個別参照用データとで複数種類存在している場合であっても、それら参照用データの読み出しがまとめて行われないため、参照用データの読み出しに要する期間が一時的に長くなるといった事象の発生が抑えられる。
なお、上記特徴C1〜C5のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A8、特徴B1〜B5、特徴C1〜C5、特徴D1〜D5のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
上記特徴C群の発明は以下の課題を解決することが可能である。
遊技機の一種として、パチンコ機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、プログラムやデータを記憶した記憶手段を有しているとともに、当該記憶手段に記憶されたプログラムやデータを利用して各種処理を実行する制御手段を有しており、当該制御手段において各種処理が実行されることにより遊技の進行が制御される。
スロットマシンのように絵柄の変動表示の開始操作及び停止操作が遊技者により行われる遊技機では、メダルがベットされている状況でスタートレバーが操作されることにより制御手段にて抽選処理が実行される。この場合、例えばプログラムに従って抽選処理が実行されるとともに、その抽選処理に際して当選役を示すデータが参照される。また、抽選処理が実行された場合には制御手段にて回転開始制御が実行されることによりリールの回転が開始され、当該リールの回転中にストップボタンが操作された場合には制御手段にて回転停止制御が実行されることによりリールの回転が停止される。この場合、例えばプログラムに従って回転開始制御や回転停止制御が実行されるとともに、回転停止制御に際して当該停止制御用のデータが参照される。
パチンコ機では、所定の入球部に遊技球が入球することにより制御手段にて抽選処理が実行されるが、当該抽選処理に際してプログラム及びデータが用いられる。また、抽選処理が実行された場合には表示装置にて絵柄の変動表示が実行されるが、当該絵柄の変動表示を制御する際にプログラム及びデータが用いられる。
ここで、上記例示等のような遊技機においては、処理を実行するために扱うデータの容量は小さいことが好ましい。
<特徴D群>
特徴D1.絵柄を変動表示する複数の変動表示部(リール32L,32M,32R)を有する絵柄表示手段(リールユニット31)と、
役の抽選処理を行う抽選手段(MPU72における抽選処理を実行する機能)と、
前記変動表示部における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42〜44)と、
当該停止操作手段の操作に基づき、当該停止操作に対応した前記変動表示部において前記絵柄の変動表示が停止されるように前記絵柄表示手段を制御する停止制御手段(MPU72におけるリール停止処理を実行する機能)と、
前記抽選処理にて当選となった役に対応した絵柄又は絵柄の組合せが遊技機前方から視認可能な位置に停止することで当選役の入賞が発生した場合に、当該当選となった役に対応する特典を付与する特典付与手段(MPU72におけるメダル払出処理及びBB状態処理を実行する機能)と、
を備えた遊技機において、
前記役の抽選結果に応じた停止制御を可能とするための停止制御用データ(オフセット指定テーブル)を予め複数記憶する停止制御記憶手段(指定テーブル記憶エリア141)と、
前記役の抽選処理が実行されたことに基づいてその役の抽選結果に対応した前記停止制御用データの種類を特定する種類特定手段(MPU72におけるステップS401の処理を実行する機能)と、
当該種類特定手段により特定された種類の前記停止制御用データを利用して少なくとも最初に停止される前記変動表示部について絵柄の変動表示の停止制御を実行する手段(MPU72におけるリール回転処理の停止準備処理にて作成された優先順位情報を利用してリール停止処理を実行する機能)と、
前記複数の変動表示部のうち一部の変動表示部に対して停止指令が発生した後に、前記役の抽選結果に対応付けて設定されている識別用情報(グループ番号)を利用して、残りの変動表示部における絵柄の変動表示の停止制御の態様を調整する調整手段(MPU72における0枚役回避用処理、第1停止後用処理及び第2停止後用処理を実行する機能)と、
変更条件が成立した場合、前記役の抽選結果に対応付けて設定されている前記識別用情報とは異なる識別用情報に変更する識別変更手段(MPU72におけるステップS1903及びステップS1905の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、停止制御用データに従って各変動表示部の停止制御を行う構成であるため、役の抽選結果に応じた停止制御を遊技機の設計段階で設定した態様で行うことが可能となる。また、一部の変動表示部に対して停止指令が発生した場合、残りの変動表示部における停止制御の態様が調整され得るため、停止制御用データのみで全ての停止態様に対応する必要がなくなり、停止制御用データの設計の容易化が図られる。また、この調整に際しては識別用情報が利用されるとともに、当該識別用情報は役の抽選結果に対応付けて設定されているため、役の抽選結果をその都度参照しなくても識別用情報を参照するだけで調整を行うための処理を実行することが可能となる。
上記構成において、変更条件が成立した場合には、役の抽選結果に対応付けて設定されている識別用情報とは異なる識別用情報に変更される。これにより、必要に応じて識別用情報を変更することが可能となるため、当初に選択される識別用情報をあらゆる状況を想定して設定しておく必要がなくなる。よって、識別用情報の設計を好適に行うことが可能となる。
特徴D2.前記停止制御用データに前記識別用情報が含まれており、
前記識別変更手段は、前記変更条件が成立した場合に、前記停止制御用データに含まれている前記識別用情報とは異なる識別用情報に変更するものであることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
特徴D2によれば、停止制御用データに識別用情報が含まれているため、役の抽選結果に応じて停止制御用データを特定した場合には識別用情報が自ずと特定されることとなる。この場合に、変更条件が成立した場合には停止制御用データに含まれている識別用情報が異なる識別用情報に変更される構成であるため、停止制御用データに識別用情報を複数種類含ませておく必要が生じない。よって、停止制御用データのデータ容量を抑えることが可能となる。
特徴D3.前記識別変更手段は、前記変更条件が成立したことに基づいて前記識別用情報を変更する場合、変更前の識別用情報に対応した役の抽選結果とは異なる役の抽選結果に対応した識別用情報に変更するものであることを特徴とする特徴D1又はD2に記載の遊技機。
特徴D3によれば、識別用情報の種類が極端に多くなってしまうことを抑制することが可能となる。
特徴D4.前記識別変更手段は、複数の役に同時に当選している状況において一方の役に対応した前記識別用情報から他方の役に対応した前記識別用情報に変更するものであることを特徴とする特徴D1乃至D3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D4によれば、複数の役に同時に当選している状況では当初は一方の役に対応した停止制御を行うようにしながら、その後に他方の役に対応した停止制御が行われる。これにより、識別用情報を同時に複数特定するようにしなくても、各当選役に対応した停止制御を行うことが可能となる。
特徴D5.前記停止制御用データには、前記複数の変動表示部のそれぞれについて停止制御を行う場合における停止制御の態様を定めるための情報が設定されており、
前記調整手段は、既に停止指令が発生した変動表示部の停止態様の内容と前記識別用情報とに基づいて、残りの変動表示部における絵柄の変動表示の停止制御の態様を調整するものであることを特徴とする特徴D1乃至D4のいずれか1に記載の遊技機。
上記のような停止制御用データが利用されるとともに識別用情報を利用した調整が行われる構成において、既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
なお、上記特徴D1〜D5のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A8、特徴B1〜B5、特徴C1〜C5、特徴D1〜D5のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
上記特徴D群の発明は以下の課題を解決することが可能である。
遊技機の一種として、スロットマシンがある。スロットマシンは複数のリールを備えており、それら各リールの外周部に付与された複数の図柄のうちの一部が表示窓を通じて視認可能な構成となっている。そして遊技者がメダルなどの遊技媒体をベットしてスタートレバーを操作することで各リールが回転を開始し、各リールが回転を開始した後にストップボタンを操作したりすることで各リールが順次停止する。
また、スロットマシンの内部では遊技媒体のベットとスタートレバーの操作を条件として抽選を行っており、抽選の結果が当選であり且つ予め設定された有効ライン上に遊技者が当選となった図柄を停止させることを条件として所定枚数の遊技媒体が払い出されたりする。
ここで、上記例示等のような遊技機においては、上記図柄といった絵柄の停止制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
なお、以上の問題はスロットマシンに限らず、例えば遊技媒体として遊技球を用いる遊技機にも該当する問題である。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。