JP2015042272A - 塞栓摘出用カテーテルおよび取扱い方法 - Google Patents

塞栓摘出用カテーテルおよび取扱い方法 Download PDF

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Abstract

【課題】血管から血餅又は閉塞物を除去するための塞栓摘出用カテーテル、迅速交換マイクロカテーテル、システム及び方法を提供する。
【解決手段】塞栓摘出用カテーテルは、予め血餅872を挿し通すか又は血餅の近くに挿入しておいたガイドワイヤ878と共に又はその上を伝って進めることができ、塞栓摘出用カテーテルは、カテーテルを少なくとも部分的に血餅に通して進めた後でカテーテルから広げて配置し得る血餅除去装置を備えている。血餅除去装置は、血餅の通過を阻止するように設計され広げて配置し得るワイヤネストを備え、デリバリーカテーテルは、伸縮自在の内管と外管を備え、血餅除去装置は外管によって半径方向に拘束されている。外管を引っ込めて血餅除去装置上の拘束を外すと、血餅除去装置は拡張配置形状に広がる。注入ガイドワイヤは、塞栓摘出用カテーテルと組合わせると有用で、血餅より先端側への薬剤又は視覚化流体の注入を可能にする。
【選択図】図24B

Description

本発明は、血餅又は他の物質を血管又は他の解剖学的導管の内腔から除去するための医学的方法及び装置一般に関する。より詳細には、塞栓摘出用カテーテル及びそのようなカテーテルの使用法に関する。
人間などの哺乳動物に、種々のタイプの血栓塞栓症、例えば、卒中、肺塞栓症、末梢血栓症、アテローム性動脈硬化症などが発症することは公知である。そのような血栓塞栓症は、通常、血管内の特定の場所に滞留している血栓塞栓(すなわち、血小板、フィブリノーゲンなどの凝固タンパク質からなる粘弾性血餅)の存在を特徴とする。
血栓塞栓症が静脈内に位置する場合、血栓塞栓によって形成された閉塞物は、静脈内に、血栓性静脈炎として知られている症状の発症を伴う鬱血状態を生じさせ得る。さらに、末梢静脈塞栓症は身体の他の領域に移行し、そこでは、さらにもっと重大な有害作用が生じることがある。例えば、大部分の肺塞栓症は、末梢静脈系で発症し、次いで、静脈系を介して移行して、肺に滞留するようになった塞栓子によって引き起こされる。
血栓塞栓が動脈内に位置する場合、正常な動脈血流が遮断又は分断され、組織虚血(組織が必要とする利用可能な酸素及び栄養素の欠乏)が生じ得る。そのような場合、血栓塞栓症が緩和されなければ、虚血組織は梗塞(すなわち、壊死)状態になり得る。そのような組織梗塞は、動脈血栓塞栓のタイプ及び位置によって、死及び四肢の切断を招いたり、心筋梗塞又は卒中を引き起こしたりし得る。脳の小血管に滞留している血栓塞栓に起因する卒中は、世界中の死や身体障害の主因であり続けている。
現代の臨床医学において、血栓塞栓症は、通常、以下の治療法の1つ以上を用いて治療されている。
(a) 薬物療法 血餅を溶解し、血餅のさらなる増大を阻止するために、血栓溶解剤〔例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ(TPA)〕及び/又は抗凝血剤(例えば、ヘパリン、ワルファリン)を投与する。
(b) 開胸開腹術(例えば、外科的塞栓摘出又は血餅除去) 血餅が滞留している血管を切開し、そのような切開を介して、場合により、切開を介して血管内腔までカテーテルを通過させ、そこでバルーンを膨脹させて切開から血餅を引き出すバルーンカテーテル(例えば、「フォガ−ティーカテーテル」)を用いて、血餅を除去する。
(c) 経管的カテーテルベース介入法 血餅除去/破壊カテーテル〔例えば、吸引チップを備えた吸引型カテーテル、血餅捕獲容器(例えば、バスケット、コイル、フックなど)を備えた血餅捕獲型カテーテル、又は血餅破壊装置(例えば、超音波プローブもしくはレーザー)を備えた血餅破壊カテーテル〕を経皮挿入し、患者の脈管構造を通って血餅に隣接する位置まで進める。吸引チップ、血餅捕獲容器又は血餅破壊装置を用いて閉塞の原因となっている血餅を、吸引、捕獲かつ除去、破壊、又は切除する。
上記した治療法はそれぞれ固有の利点及び不利点を有している。例えば、薬物療法は、非侵襲性であり、多くの場合、血餅の溶解又は分解に有効であるという利点を有している。しかし、これらの薬物療法に用いられる血栓溶解剤及び/又は抗凝血剤は、出血又は大出血などの有害な副作用を引き起こすことがある。また、時間が重要な場合、例えば、動脈血栓塞栓症が重度の組織虚血を引き起こしている場合(例えば、進展中の卒中又は進展中の心筋梗塞の場合)には、血栓溶解剤が血餅を十分に分解又は溶解して動脈血流を回復させるのに必要な時間が長過ぎて、今にも起こりそうな梗塞を回避又は最小限にすること
はできないであろう。
多くの場合、開腹開胸術を用いて血管の内腔から血餅を迅速に除去することは可能だが、そのような開腹開胸術が侵襲性であることは周知であり、全身麻酔を必要とすることが多く、一般に、そのような開腹開胸術の使用は、外科的にアクセス可能な身体領域に位置する血管に限定される。例えば、多くの患者は、血餅が外科的にアクセス不能な脳領域に位置する小動脈に滞留しているために卒中を起こしており、したがって、開腹開胸処置は適していない。
経管的カテーテルベース介入法は最も侵襲性が低く、多くの場合、全身麻酔せずに実施することができ、場合によっては、血管の内腔から血餅を迅速に除去することができる。しかし、そのようなカテーテルベース介入法は、操作者の技能に大きく依存し、小血管又は蛇行血管での実施が困難又は不可能な可能性がある。したがって、脳の蛇行小血管内に血餅が存在するために卒中を起こした患者は、血餅がある動脈が小さくかつ湾曲しているために、現在のところ、カテーテルを用いた血餅の経管的な除去方法には適さない。
概念としては、経管的に配置し得る血餅捕獲型カテーテルを虚血性卒中に使用することは可能であろう。というのは、そのようなカテーテルは、吸引するとか、通常、脳の傷つき易い小血管に損傷を与え得るエネルギー(例えば、レーザー、超音波)を加えたりする必要なく、閉塞の原因となっている血餅を除去し得るからである。しかし、経管的に広げて配置し得る先行技術の血餅捕獲型カテーテルは、いずれも脳の小血管で用いるのに最適には設計されていないと考えられる。何故なら、そのようなカテーテルは、(a)予め挿入しておいた小直径〔例えば、約0.01524〜0.04572センチメートル(0.006〜0.018インチ)〕のガイドワイヤの上を伝って送るのに適したガイドワイヤ通過管腔を有しておらず、(b)標準長のガイドワイヤ(例えば、カテーテルの長さの2倍に満たないガイドワイヤ)上で迅速交換するようには適合されておらず、かつ(c)これらのカテーテルの血餅捕獲容器は、通常、脳に見られるような微細な血管から血餅を除去するのに最適には構成又は設計されていないからである。
経管的に広げて配置し得る先行技術の血餅捕獲型塞栓摘出用カテーテルの例としては、米国特許第4,706,671号〔ワインリブ(Weinrib)〕、同第4,873,978号〔ギンズバーグ(Ginsburg)〕、同第5,001,488号(ギンズバーグ)、及び同第5,895,398号〔ウエンセルら(Wensel,et al)〕に記載されているものが挙げられる。ウエッツェルら(Wetzel,et al)の’390特許は、先ず、小カテーテルを粘弾性血餅に通して先端方向に送る血餅捕獲装置を開示している。次いで、このカテーテルを介して剛性挿入マンドレルに取り付けられた血餅捕獲コイルを進め、血餅の先端側で広げて配置する。血餅捕獲コイルは、挿入マンドレルを引っ込めたときに、血餅を除去するためにわなにかける半径方向に多様な形状に広がる形状記憶を有する複数のワイヤであってよい。この分野における広範囲に及ぶ開発にもかかわらず、上述の理由及び/又は他の理由のために、先行技術の塞栓摘出用カテーテルはいずれも虚血性卒中の治療に最適に設計されているとは考えられない。
特開平11−57012号公報
したがって、進展中の卒中などの血栓塞栓症を効果的に治療するために、予め挿入しておいた小直径ガイドワイヤの上を伝って進めたり、そのようなガイドワイヤ上で交換した
りすることができ、かつ脳の傷つき易い小血管から血餅又は他の物質を迅速かつ選択的に除去するように構成された、経管挿入可能な新規血餅捕獲型塞栓摘出用カテーテルの開発が求められている。
本発明は、一般的には、哺乳動物の身体の血管又は他の解剖学的導管の内腔から血餅又は他の物質を除去するための塞栓摘出用カテーテル装置及び方法を包含する。本発明の塞栓摘出用カテーテル及び方法は、卒中の重症化を予防又は最小限にするために哺乳動物の脳の小動脈から血餅又は血栓塞栓を除去ために用いるのに特に適している。
A. 本発明の塞栓摘出用カテーテル
本発明の1つの態様において、血管から血餅又は他のそのような閉塞物を除去するための塞栓摘出用カテーテルが提供される。塞栓摘出用カテーテルは、基端と、先端と、内管と、一部が内管を通って縦方向に伸びるガイドワイヤ管腔とを有する長尺弾性カテーテル本体を備えている。内管上の血餅除去装置は、第1状態では、半径方向拡張形状に広げて配置し得る。ガイドワイヤは内管を通過するようなサイズであり、カテーテル本体の先端から先端方向に突き出る。
本発明のカテーテルは、第1状態に広げて配置する前の第2状態では、血餅除去装置を内管の周りに取り囲んで拘束するように配置される外管を有しているのが望ましい。カテーテル本体も血餅除去装置も第2状態で血餅を通過することができる。さらに、カテーテルはハンドルを備えていてよく、ハンドルから先端方向にカテーテル本体の挿入部が伸びている。挿入部は内管と外管を有し、内管も外管も実質的にカテーテル本体の先端まで伸びている。内管と外管は好適には、血餅除去装置を第1状態と第2状態との間で転移させるために軸方向に相対移動可能である。
好適な実施形態において、血餅除去装置は基端と先端を有し、先端は内管に取り付けられており、基端は内管上を軸方向に自由に摺動することができる。血餅除去装置の基端は、血餅除去装置を第1状態に広げて配置する前の第2状態で縦方向に延伸させて半径方向に拘束するために、外管内で軸方向に先端部から離れた方向に移される。血餅除去装置は多様な形態であってもよいが好適には、先端は内管に取り付けられ、基端は内管の周囲にらせん状に巻回されるか或いはループを形成する別個の複数のワイヤである。第1の拡張配備状態では、複数のらせん巻きワイヤは、径方向に広がって血餅の捕獲に適した絡み合ったネストを形成する。好適には操作者に拡張配備状態を知らせるために血餅除去装置の基端と共に縦方向に摺動するマーカーバンドを配置する。内管と外管の両方にマーカーバンドを配置すれば、相対位置の指示も得られる。
本発明のさらなる態様によれば、血管から血餅又は他のそのような閉塞物を除去するための塞栓摘出用カテーテルは、基端と、先端と、基端から先端まで伸びるシャフトと、内管と、外管とを有する長尺弾性カテーテル本体を備えており、外管は、カテーテル本体の先端の一寸手前で終端している。内管上の血餅除去装置は、初期にはつぶされており、外管の一部によって真直ぐな形状で拘束されている。カテーテル本体の内管上に位置する先端チップは、除去すべき血餅を通過するように適合されている。外管は、血餅除去装置をその拘束から外して、広げて配置された形状に半径方向に広がるように軸方向に引っ込めることができる。
外管は好適には、引き込み前には先端チップの基端口内で先端方向に延伸する。内管は好適には、その全長に沿って強化されていてよく、先端の方が基端より弾性が高い。さらに、内管も外管も、基端から先端にかけて弾性が高くなる離散セグメントを有し得る。1つの実施形態において、カテーテル本体は、先端部のサイズが、約1〜5フレンチ、好ましくは約3フレンチである。
本発明のさらなる態様は、カテーテル本体挿入部の基端に取り付けられたハンドルを有する。ハンドル上には、血餅除去装置を広げて配置するために外管を内管に関して基端方向に移動させるためのアクチュエータが備えられている。1つの実施形態において、アクチュエータは、外管に取り付けられ、ハンドルに沿って移動可能な滑り台を備えており、滑り台は、内管の延長部を受容するための貫通穴を有する。滑り台上の注入口から内管と外管の間の環状空間に流体を注入することができる。
本発明のさらなる塞栓摘出用カテーテル装置は、一般に、(a)最初に、除去すべき血餅又は他の閉塞物(例えば、血栓、血栓塞栓、剥離したアテローム硬化性プラークの破片、異物など)を通過して進ませ得る細長い柔軟な血餅貫通カテーテルと、(b)閉塞物を捕獲したり、除去しやすくするために、閉塞物を通過して進めた後でカテーテルの先端から広げて配置し得る物質捕獲容器とを備えている。物質捕獲容器は、初期には、第1すなわち積込み形状で配置されているが、この容器は、半径方向につぶれた状態でカテーテル上もしくはカテーテル内に拘束されているか、又は、血餅もしくは他の閉塞物を通過できるほどコンパクトである。その後で、物質捕獲容器は、カテーテルと同調して血餅又は他の閉塞物を摘出して除去し易くするために、血餅もしくは他の閉塞物の先端側を受容して、少なくとも部分的に取り囲み得る第2すなわち拡張形状をとるようにカテーテルから広げて配置し得る(例えば、前進させ得る、突出させ得るか、かつ/又は拡張させ得る)。
ガイドワイヤ管腔は、カテーテルの全長を通って(すなわち、「オーバー・ザ・ワイヤ」実施形態)又はカテーテルの先端部のみを通って(すなわち、「迅速交換」実施形態)縦方向に伸び得る。カテーテルのこれらの実施形態のいずれにおいても、ガイドワイヤ管腔は、カテーテルが(つぶれた形状すなわち積込み形状の物質捕獲容器と共に)予め血管閉塞血餅又は他の閉塞物に通しておいたガイドワイヤの上を伝って進み得るように閉塞物捕獲容器を通って伸び得る。そのようなガイドワイヤ管腔配置により、さらに、必要又は所望であれば、塞栓摘出用カテーテルを交換する(例えば、塞栓摘出用カテーテルを取り出して、別の塞栓摘出用カテーテル又は別タイプのカテーテルに交換する)ことができる。このようにガイドワイヤを閉塞の原因となっている血餅又は他の閉塞物を通過して配置した状態に維持し得るこの能力は、再びカテーテル又はその代替物を血餅又は他の閉塞物に通して確実にその所望位置に進めるのに役立ち得る。
カテーテルの物質捕獲容器は、1つ以上の基端支柱〔例えば、コネクタ部材(例えば、複数の細いワイヤ又は支柱)〕によってカテーテルに取り付けられた多孔性構造(例えば、ワイヤ、繊維又は布製の網、コイル又はメッシュ構造)の先端閉塞物係合部(例えば、コイル、バスケット又は凹面部材)を有し得る。先ず、第1(例えば、つぶれた又は積込み)形状で配置された物質捕獲容器と共に、カテーテルの先端を血餅又は他の閉塞物に通して進める。カテーテルを血餅又は他の閉塞物に通して進めた後、物質捕獲容器をその第2(例えば、拡張又は操作可能)形状に移行させると、容器の先端閉塞物係合部は血餅又は他の閉塞物の先端側に接触するか、かつ/又は先端側を少なくとも部分的に取り囲むであろう。容器の先端閉塞物係合部は好適には、そこを通って血液を流動させ得る透過性構造であるが、血餅又は他の閉塞物は通過させないほど密である(すなわち、十分に不透過性である)。このように、物質捕獲容器の先端閉塞物係合部は、血餅又は他の閉塞物を、そのときに存在する位置から基端方向に引っ込めるか又は引き抜くために使用し得る。容器とカテーテルとの間に延伸する基端支柱は好適には、典型的には径方向に広がり、又は外側へと湾曲した形状を有し、血餅などの閉塞物より先端側の部位では拡張して配備され、次いで、基端方向に引き込むと、血餅などの閉塞物をスライス、切断又は通過するように設計、配向、配置されている。そのような基端支柱が血餅などの閉塞物を貫通しやすくなるように、血餅などの閉塞物を通って基端支柱を基端方向に引き込むときに、基端支柱にエネルギー(例えば、高周波エネルギー、振動、熱など)を加え得る。
ガイドワイヤがガイドワイヤ管腔内に配置されている間にカテーテルを介してX線撮影造影剤(例えば、染料)を注入し得るように、塞栓摘出用カテーテルの基端部に造影剤注入口を形成し得る。
B. 本発明の塞栓摘出用カテーテルと併せて使用し得る迅速交換マイクロカテーテル
さらに、本発明により、神経放射線学法で一般に用いられているタイプの小直径弾性マイクロカテーテル〔例えば、ProwlerTM マイクロカテーテル、コルディスエンドバスキュラーシステムズ社、米国フロリダ州マイアミレークス所在(Cordis Endovascular Systems,Miami Lakes,Florida)〕を包含する迅速交換マイクロカテーテルが提供され、このマイクロカテーテルは、その基端又は基端近くより先端又は先端近くの方が弾性が高く、本発明に基いて、カテーテルの先端チップから間隔(例えば、0.5〜35センチメートル)が置かれたカテーテルの側壁にさらにガイドワイヤ通過口が形成されている。カテーテルの主管腔内のガイドワイヤ通過口に隣接して、ガイドワイヤの上を伝ってカテーテルを進めるときにガイドワイヤの基端をガイドワイヤ通過口から偏向させるガイドワイヤ偏向装置を形成し得る。そのようなガイドワイヤ通過口及びガイドワイヤ偏向装置を形成することによって、ガイドワイヤがカテーテル管腔の先端部のみを通過するようにすることができる。この管腔配置により、標準長ガイドワイヤ(すなわち、「交換長」ガイドワイヤではない)を用いる場合でも、操作者がガイドワイヤの体外に露出された基端を握ってガイドワイヤを適切な位置に保持しながら、マイクロカテーテルを交換する(すなわち、取り出して、別のマイクロカテーテル又は先に略述した設計の塞栓摘出用カテーテルに交換する)ことができる。
C. 本発明の血管から血餅又は他の物質を除去する方法
本発明は、さらに、血管から血餅又は他の閉塞物を除去する方法を企図している。1つの方法は、先ず、除去すべき血餅の少なくとも一部を貫通して横切るガイドワイヤを利用することを含む。このガイドワイヤと共に又はこのガイドワイヤの上を伝って、血餅を通過して本発明の塞栓摘出用カテーテルを進める。次いで、カテーテル上に備えられている血餅除去装置を半径方向外側に広げて配置し、血餅除去装置に血餅をからませるようにしてカテーテルを引っ込める。場合によりカテーテルを吸引と組合わせてさらに引っ込めて血餅を除去する。
本発明のさらなる方法において、ガイドワイヤは注入管腔を有する。ガイドワイヤを血餅に挿し通した後、血餅より先端側に薬剤又は血餅分解液を投与し得る。あるいは、血餅より先端側から血餅のより明瞭な画像を得るために造影液を注入し得る。
さらに本発明により、脳の小血管(すなわち、脳内、脳上又は脳周囲に位置する血管)に滞留している血栓塞栓により引き起こされる虚血性卒中の治療法が提供される。本発明の方法は、本発明の迅速交換マイクロカテーテル及び塞栓摘出用カテーテルを用いて実施し得る。典型的な方法は、一般に、以下の工程を有する。
A. セルディンガー法又は他の適当な経皮的ガイドワイヤ配置法を用いて、ガイドワイヤ(単独又はガイドカテーテルと組合わせて)を梗塞血管内に経皮挿入する工程、
B. ガイドワイヤの上を伝うか又はガイドワイヤとは別個に、脈管構造を通って、血餅又は他の閉塞物が位置する部位近くまでマイクロカテーテルを進める工程、
C. 放射線透過写真による視覚化下にマイクロカテーテルを介してX線撮影造影剤(例えば、染料)を流して、閉塞物の正確な位置を確認するか、かつ/又は、閉塞領域の血管構造をマップする工程、
D. ガイドワイヤ(又は別個の小ガイドワイヤ)が閉塞物に関して所望の操作可能位置に配置されるまで(例えば、ガイドワイヤの先端が血栓塞栓又は他の閉塞物を完全もしくは部分的に横切るか又は通過するように)、マイクロカテーテルを介してガイドワイヤを進める工程、
E. 小ガイドワイヤをその操作位置に実質的に維持しながら(例えば、小ガイドワイヤ
の存在によって提供される閉塞物へのアクセスを失うほど小ガイドワイヤを移動させずに)、マイクロカテーテルを引き込み、抜出する工程、
F. 操作可能に配置されたガイドワイヤの上を伝って、広げて配置し得る閉塞物捕獲容器を備えた物質捕獲型塞栓摘出用カテーテル(例えば、本発明の塞栓摘出用カテーテル)を、その先端が閉塞物を完全又は少なくとも部分的に通過する(例えば、閉塞性血栓塞栓を貫通する)まで推進する工程、
G. 場合により、塞栓摘出用カテーテルの管腔を介してX線撮影造影剤を注入して、滞留している血餅又は他の閉塞物に対する塞栓摘出用カテーテルの配置をガイド又は確認する工程、
H. 塞栓摘出用カテーテルの閉塞物捕獲容器が滞留している血餅又は他の閉塞物より先端側(すなわち、下流)の部位でその第2すなわち拡張形状をとるように、閉塞物捕獲容器を広げて配置する工程、
I. 閉塞物捕獲容器の基端部(すなわち、基端支柱)が血栓塞栓を通過し、血餅又は他の閉塞物の少なくとも一部が閉塞物捕獲容器の閉塞物受容部内に入った状態になるように閉塞物捕獲容器を引き込む工程、
J. 場合により、塞栓摘出用カテーテルの管腔を介してX線撮影造影剤を注入して、前に血餅又は他の閉塞物の存在により血流が失われていた血管領域で血流が回復したか否かを判断する工程、
K. 塞栓摘出用カテーテルを抜出し、身体から血餅又は他の閉塞物を除去する(例えば、先に塞栓摘出用カテーテルを挿入した経皮挿入路を通って塞栓摘出用カテーテル及び摘出した血餅又は他の閉塞物を抜き出す)工程。
このように、上記に要約した本発明の方法により、虚血性(すなわち、血栓性又は塞栓性)卒中の原因となっている血餅又は他の閉塞物が除去され、血管内の原因血餅又は他の閉塞物の滞留により虚血性となった脳領域への動脈血流が回復する。
D. 注入ガイドワイヤ
本発明の注入ガイドワイヤは好適には、内部ワイヤとその上を摺動し得る外部シースとを有する。先ず、ワイヤとシースとを一緒に血餅に通して進め、次いで、内部ワイヤを引き込み、外部シースの内腔を空ける。有利なことには、外部シース又は外部シースと内部ワイヤの組合わせが血餅を通過した適切な位置に留まっている間にその上で異なるカテーテルを交換することができる。
本発明の一実施形態によると、外部シースと、前記外部シースの管腔を貫通して摺動可能な注入カテーテルとを備えるカテーテルにおいて、前記注入カテーテルは、ガイドワイヤの管腔と、注入口と、拡張可能な要素とを備える、カテーテルを要旨とする。
ここで、前記外部シースは拡張可能容器を有するものであってもよい。前記拡張可能な要素はバルーン、複数のスプリング部材、複数の傘状ストラット、または複数の湾曲したスプリングワイヤからなるものであってもよい。また、前記注入カテーテルは前記ガイドワイヤの管腔とは別個の注入用管腔を有するものであってもよい。前記注入カテーテルは複数の注入用管腔を有する、または前記注入カテーテルは複数の注入口を有することもある。前記複数の注入口は前記注入カテーテルの長さ方向に沿って様々な間隔をおいて設けられるものであってもよい。前記注入カテーテルは前記拡張可能な要素を倒壊するためにカラーを備えていることもできる。前記カテーテルを貫通して先端側に引き込む吸引をさらに備えることもある。
本発明のさらなる実施形態において、ガイドワイヤの上を越えて送達されるための注入カテーテルと、前記注入カテーテルの長さ方向に離間して配置される複数の注入口と、前記注入カテーテルの先端に取り付けられる、拡張可能な要素とを備える、血餅除去装置を要旨とする。前記注入口を通る注入液の注入は、血餅を前記血餅除去装置の先端に向かっ
て押し出す圧力勾配を生じることもある。前記カテーテルを貫通して先端側に引き込む吸引をさらに備えるものであってもよい。前記注入カテーテルを摺動させることが可能な管腔を有した外部シースをさらに備えていてもよい。前記外部シースは拡張可能容器を有することもある。前記拡張可能な要素はバルーン、複数のスプリング部材、複数の傘状ストラット、または複数の湾曲したスプリングワイヤからなることもある。前記注入カテーテルは前記ガイドワイヤの管腔とは別個の注入用管腔を有するものであってもよい。前記注入カテーテルは複数の注入用管腔を有することもある。前記複数の注入口は前記注入カテーテルの長さ方向に沿って様々な間隔をおいて設けられるものであってもよい。前記注入カテーテルは前記拡張可能な要素を倒壊するためにカラーを備えていることが可能である。
脳の小血管から血餅又は他の閉塞物を除去するために操作可能に挿入された本発明の塞栓摘出用カテーテルの第1実施形態(「オーバー・ザ・ワイヤ」実施形態)を有するヒト患者の透視図。 ガイドワイヤ上に操作可能に配置され、拡張形状で配置された閉塞物捕獲容器を有する、図1の塞栓摘出用カテーテル装置の斜視図。 閉塞物捕獲容器が第1すなわち積込み形状で配置されている、図1のオーバー・ザ・ワイヤ塞栓摘出用カテーテルの先端の拡大縦断面図。 閉塞物回収部材が先端方向に進められた位置にあり、閉塞物捕獲容器が完全拡張形状で配置された状態の、図1のオーバー・ザ・ワイヤ塞栓摘出用カテーテルの先端の拡大切欠き縦断面図。 図2Aの線2C−2Cを通る断面図。 図2Aの線2D−2Dを通る断面図。 閉塞物捕獲容器を形成するワイヤが伸びる先端チップ部材内のガイド穴の代替構成モードを示すように改変された、図2Aの線2D−2Dを通る断面図。 先行技術のオーバー・ザ・ワイヤマイクロカテーテルの先端の拡大切欠き縦断面図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第2実施形態(すなわち、別のオーバー・ザ・ワイヤ実施形態)の先端の拡大切欠き縦断面図。 図3Bの線3B’−3B’を通る断面図。 本発明の迅速交換マイクロカテーテルの先端の拡大切欠き縦断面図。 図3Cの線3C’−3C’を通る断面図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第3実施形態(すなわち、迅速交換実施形態)の先端の拡大切欠き縦断面図。 図3Dの線3D’−3D’を通る断面図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第4実施形態(すなわち、別の迅速交換実施形態)の先端の拡大切欠き縦断面図。 図3Eの線3E’−3E’を通る断面図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第5実施形態(すなわち、別の迅速交換実施形態)の先端の拡大切欠き縦断面図。 図3Fの線3F’−3F’を通る断面図。 ガイドワイヤ管腔内に操作可能に挿入されたガイドワイヤと、拡張配置され、半径方向に拡張された状態の閉塞物捕獲容器とを有する、図3Dの塞栓摘出用カテーテルの第3実施形態(すなわち、迅速交換実施形態)の斜視図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルのいずれにも組み込み得る第1代替閉塞物捕獲容器の斜視図。 図5の部分5’の拡大図。 図5の部分5’の代替構成を示す図。 図5の先端の図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルのいずれにも組み込み得る第2代替閉塞物捕獲容器の斜視図。 内部に捕獲した血餅を有し、支柱が部分的にカテーテル内に引っ込められた状態の、図5Bの第2代替閉塞物捕獲容器の斜視図。 内部に捕獲した血餅を有し、捕獲した血餅の周りに部分的に引き上げられるように支柱がさらにカテーテル内に引っ込められた状態の、図5Bの第2代替閉塞物捕獲容器の斜視図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルのいずれにも組み込み得る第3代替閉塞物捕獲容器の斜視図。 操作可能に広げて配置された基端閉塞物収容装置と、操作可能に挿入された本発明の塞栓摘出用カテーテルとを有する、本発明の任意選択ガイドカテーテルの斜視図。 ワイヤでなく金属リボンでできている、図1,2B,4に示されているカテーテルの変異形らせんバスケット型閉塞物捕獲容器の立面図。 閉塞物捕獲容器基端支柱部分の血栓塞栓物通過能力を高めるために金属リボンのねじり方を例示する、図7の線7A−7Aを通る断面図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第1実施形態(すなわち、オーバー・ザ・ワイヤ実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第1実施形態(すなわち、オーバー・ザ・ワイヤ実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第1実施形態(すなわち、オーバー・ザ・ワイヤ実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第1実施形態(すなわち、オーバー・ザ・ワイヤ実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第1実施形態(すなわち、オーバー・ザ・ワイヤ実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第1実施形態(すなわち、オーバー・ザ・ワイヤ実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第3実施形態(すなわち、迅速交換実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第3実施形態(すなわち、迅速交換実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第3実施形態(すなわち、迅速交換実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの第3実施形態(すなわち、迅速交換実施形態)を用いて哺乳動物の身体の小血管から血餅を除去する手順を段階的に示す図。 典型的な操作ハンドルと収納形状コイルとを備えた本発明のオーバー・ザ・ガイドワイヤ塞栓摘出用カテーテルの典型的な実施形態の立面図。 破線で内部構造を示す、図10の操作ハンドルの立面図。 操作ハンドルの滑り注入ポートの分離図。 図11Bの端面図。 先端部に塞栓摘出用カテーテルの外管が取り付けられた状態の滑り注入ポートの分離図。 滑り注入ポートとカテーテル外管との接続部の詳細を示す図。 滑り注入ポートの基端に挿入するネジ山付きプラグの端面図。 図12Bのネジ山付きプラグの側面図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの外管の概略を示す図。 本発明の塞栓摘出用カテーテルの内管の概略を示す図。 基端ガイドワイヤ挿入装置、内側ハイプチューブ及び滑り注入ポートが取り付けられている、カテーテル内管の基端の立面図。 内側ハイポチューブとカテーテル内管の基端との接続部の詳細断面図。 カテーテル内管の構造及び作製手順を示す断面図。 カテーテル内管の構造及び作製手順を示す断面図。 カテーテル内管の構造及び作製手順を示す断面図。 カテーテル内管の構造及び作製手順を示す断面図。 カテーテル内管の構造及び作製手順を示す断面図。 カテーテル内管の先端と、放射線不透過性バンドが取り付けられている先端チップチューブの長さの立面図。 血餅除去ワイヤと第2放射線不透過性バンドの取り付けを示す、図17Aと類似の立面図。 塞栓摘出用カテーテルの先端チップを形成する前のテーパーチューブの立面図。 取り付けられた先端チップを示す、図17Bと酷似したカテーテル内管先端部の立面図。 内部構造を破線で示す、完全に組み立てられた塞栓摘出用カテーテル先端の立面図。 完全に組み立てられた塞栓摘出用カテーテル先端の断面図。 図19Aと類似ではあるが、血餅除去ネスト形状を形成するように広げて配置された血餅除去ワイヤを示す断面図。 カテーテル内管内で血餅除去ワイヤを真直ぐにするための作製手段の立面図。 図20Aの作製手段の平面図。 血餅を通過している本発明のガイドワイヤを例示する図。 予め部分的又は完全に血餅を通って進められた図21Aのガイドワイヤの上を伝って進む本発明のカテーテルを例示する図。 血餅を除去するための本発明の注入カテーテルの操作を示す血管の断面図。 血餅を除去するための本発明の吸引カテーテルの操作を示す血管の縦断面図。 図23Aの吸引カテーテルの横断面図。 閉塞バルーン及び基端血餅捕獲装置と組合わせた本発明の注入カテーテルの操作を示す血管の断面図。 種々の先端血餅捕獲装置と組み合わせた本発明の注入カテーテルの操作を示す血管の断面図。 種々の先端血餅捕獲装置と組み合わせた本発明の注入カテーテルの操作を示す血管の断面図。 種々の先端血餅捕獲装置と組み合わせた本発明の注入カテーテルの操作を示す血管の断面図。 カテーテルの先端部とそこを通過する本発明の注入ガイドワイヤの断面図。 注入ガイドワイヤから引っ込められている内側ワイヤを示す、図25Aと類似の断面図。 本発明の注入ガイドワイヤの使用法を示す血管の縦断面図。 本発明の注入ガイドワイヤの使用法を示す血管の縦断面図。 本発明の注入ガイドワイヤの使用法を示す血管の縦断面図。 本発明の注入ガイドワイヤの使用法を示す血管の縦断面図。 本発明の注入ガイドワイヤ上の血餅除去装置の拡張配置を示す血管の縦断面図。 本発明の注入ガイドワイヤ上の血餅除去装置の拡張配置を示す血管の縦断面図。 本発明の注入ガイドワイヤ上の血餅除去装置の拡張配置を示す血管の縦断面図。 本発明の注入ガイドワイヤ上の血餅除去装置の拡張配置を示す血管の縦断面図。
本発明のさらなる要素、目的及び利点は、以下の好適な実施形態の詳細な説明を読んで理解し、添付図面を考慮すれば、当業者には明らかになるであろう。
添付図面に示されている特定の実施形態及び本発明の追加の実施形態は、特に図面に説明又は示されている構造及び工程を参照した以下の詳細な説明を読んで理解すれば、さらによく分るであろう。
A. 塞栓摘出用カテーテル装置のオーバー・ザ・ワイヤ実施形態:
本発明の範囲を限定するためでなく、本発明の典型的な実施形態を説明、例示するために示されている図面を参照すると、図1は、ヒト患者の脳に位置する小動脈から血栓塞栓又は血餅を除去するために本発明の塞栓摘出用カテーテル装置10のオーバー・ザ・ワイヤ実施形態が挿入されているヒト患者を示している。カテーテル装置10を導入する前に、血管造影又は他のイメージング手段により、閉塞の原因となっている血餅の位置を確認し、小ガイドワイヤGW〔例えば、約0.0254センチメートル(0.010インチ)のTransendワイヤ、ターゲット/ボストンサイエンティフィック社(Target/Boston Scientific)カタログ#46−802〕を患者の大腿動脈に挿入し、血餅が位置する脳動脈内に進め、血餅を通過させた。その後で、先に挿入しておいたガイドワイヤGWの上を伝い、カテーテル装置10を、その先端が血餅の近くにくる位置まで進めた。あるいは、ガイドワイヤは、患者に挿入する前に、先ず、カテーテル内に配置し、カテーテルとガイドワイヤを一緒にユニットとして血餅まで進めて通過させる。
第1実施形態
図1〜図2Dに示されているように、オーバー・ザ・ワイヤカテーテル装置10の第1実施形態は、示されているように、先端DEから広げて配置し得る血餅捕獲容器14を有する細長い柔軟カテーテル11を有する。閉塞物捕獲容器14は、初期には、カテーテル11内で、実質的に真直ぐな形状及び第1(すなわち、積込み)状態に納められる複数(例えば、2本以上の)ワイヤ部材20で形成されている(図2A参照)。閉塞物捕獲容器14を広げて配置するのが望ましい場合、カテーテル11を引っ込めながら成形ワイヤ部材20を定置状態に保持するか、又は、カテーテル11を定置状態に保持しながらワイヤ部材20を先端方向に進めると、ワイヤがカテーテル11の拘束から外れ、ワイヤ部材の先端部が、図2Bに示されているように、弾性的に開放基端口又はリム17を有するらせんバスケット16を形成する第2(すなわち、操作可能)形状になる。上記のような操作可能形状のとき(図2B)、らせんバスケット16は、血液を流動させ得るほど多孔性であるが、血栓塞栓を係合し、基端方向に引き出し得るほど密である。ワイヤ部材18の先端上にはノーズコーン30が配置されている。細長いワイヤ部材20の基端部18は、らせんバスケット16とカテーテル11の間の接続部材としての機能を果たす。ワイヤ部材20のこれらの基端部18は、血栓塞栓を実質的に破壊又は分割せずに血栓塞栓を通過して引っ込められるほど小さい直径を有しているか、引っ込められるように設計されている。実施形態によっては、血栓塞栓を実質的に破壊又は分割せずに血栓塞栓物を通過してワ
イヤ部材20の基端部18を引っ込めやすくするように、ワイヤ部材20の基端部18にエネルギー(例えば、熱、振動など)を加え得る。
捕獲容器14を形成するワイヤ部材20は、弾性、超弾性又は形状記憶合金ワイヤなどの任意の適当な材料で形成し得る。これらのワイヤ部材の先端部は、らせんバスケット形状に予備成形されているが、ガイド穴26を通ってカテーテル11内に引っ込められ、少量の基端方向圧力下にピンと張った状態に維持されているときには実質的に真直ぐな形状をとり得るほど弾性である(図2A参照)。しかし、これらの成形ワイヤ部材は、ガイド穴26を通ってカテーテル11の先端DEから伸ばされるか又は進められて、カテーテル11の包囲抑制及び基端方向張力から解放されると、弾性により、自動的に巻いて、略円錐台形のらせんバスケット16になるであろう。
これらの成形ワイヤ部材20を所望のように進めたり、引っ込めたりし易くするために、これらの部材20の基端を、カテーテル本体12の管腔22内に配置されている縦方向に摺動可能なアクチュエータ24の先端に取り付ける。アクチュエータ24を通って中空のアクチュエータ管腔22aが伸びており、カテーテル本体12の管腔22と軸方向に整列している。アクチュエータ24のシャフト内には、剛性及び強度を与えるためにワイヤブレード25が形成されている。カテーテル本体12の先端DE上には先端チップ部材28が形成されており、そのような先端チップ部材28は、その中心を通って縦方向に伸びる中空チップ部材内腔22TMと、これも、半径方向に離れた位置(すなわち、3時、6時、9時及び12時位置)で縦方向に伸びる4つのワイヤ通過穴26とを有する。先端チップ部材28は、カテーテル本体12より高い剛性を有する材料で形成されていてよく、図2A、図2B及び図2Dに示されているように、カテーテル本体管腔22の先端DEに挿入される小直径の基端部40を有し得る。閉塞物捕獲容器14を形成する4本の成形セグメント20は、それぞれ、カテーテルから進められるときには、カテーテルチップ部材28内に形成されたそれぞれのワイヤ通過穴26を通過しなければならない。図2DDは、先端チップ部材の代替構造を示しており、この構造では、3時、6時、9時及び12時位置に、ワイヤ通過穴26の代わりに、個々のワイヤセグメント20用の離散ガイドワイヤ通路としての役割を果たす4つのカットアウトノッチ26altが形成されている。
図1に示されているように、アクチュエータ24に取り付けられている基端アクチュエータシャフト24’は、カテーテルの基端上に形成されたハウジング13まで伸びている。基端アクチュエータシャフト24’は、閉塞物捕獲容器14を広げて配置したり、縮めたりするのを制御するために手動で進めたり引っ込めたりし得る。基端ハウジング13上にはさらに、カテーテル11の管腔22を通って先端DEからX線撮影造影剤を注入するための造影剤注入口15が形成されている。これに関して、ガイドワイヤGWがカテーテル11の管腔22内に配置されているときでも、管腔22を通ってカテーテルの先端からX線撮影造影剤をいくらか送出し得るようにガイドワイヤの外径は好適には少なくとも管腔22の内径よりわずかに小さい。また、ガイドワイヤGWが内部に配置されているときにX線撮影造影剤の管腔22通過能力を高めるように、最低粘度のX線撮影造影剤(例えば、染料)を選択し得る。
アクチュエータは、基端方向に引っ込められると、ワイヤセグメント20を基端方向にワイヤ通過穴26を通ってカテーテルの管腔22内に引き込むであろう。図2Aに示されているように、アクチュエータ24が完全に引っ込められると、セグメント20はワイヤ通過穴26を通って完全に引っ張られて実質的に真直ぐな形状になり、閉塞物捕獲容器の先端上に取り付けられているノーズコーン30は、中空ノーズコーン管腔22NCが先端チップ管腔22DT及びカテーテル本体12の管腔22と軸方向に整列するように、カテーテルチップ部材28と直に接するであろう。
第2実施形態
図3B,3BBは、いくつかの点で第1実施形態10と異なるオーバー・ザ・ワイヤカテーテル装置の第2実施形態10’を示している。例えば、第2実施形態の閉塞物捕獲容器(図示せず)は、第1実施形態10のような4本のワイヤ部材ではなく2本のワイヤ部材20’だけで形成されている。さらに、この第2実施形態のカテーテル11’は、図3Aに例が示され、一般に、管腔Lを有する基端部PPと、基端部PPの管腔Lにつながる管腔271を有する先端セグメント270とを備えた、市販のマイクロカテーテル(例えば、ProwlerTM マイクロカテーテル、コルディスエンドバスキュラーシステムズ社、米国フロリダ州マイアミレークス所在)に似た直径が小さく柔軟性がさらに高い細長い先端セグメント270を有する。
特に図3B,3BBを参照すると、オーバー・ザ・ワイヤ塞栓摘出用カテーテル装置10’のこの第2実施形態は、第1実施形態のものと類似ではあるが、2本のワイヤセグメントのみで形成されたらせんバスケット型閉塞物捕獲容器(図示せず)を備えた細長い柔軟なカテーテル11’を有する。上述の第1実施形態と同様に、この第2実施形態10’の閉塞物捕獲容器(図示せず)は、初期には、第1(すなわち、積込み)形状に引っ込めることができ、その後、第1実施形態10に関して上述したものと実質的に同じ第2(すなわち、操作可能)形状に進めることができる。
この第2実施形態において、弾性カテーテル11’は、第1直径及び第1弾性を有する基端部12’と、第2(すなわち、第1より小さい)直径及び第2(すなわち、第1より高い)弾性を有する先端部270とを有する。カテーテル11’の先端部270の管腔271’内に縦方向に伸びる4つのガイド穴26’を有し、先端部270と同一の広がりを有する挿入部材28’が配置されている。この挿入部材28’は、図3BBに示されているように、内部に伸びる4つの縦穴20’を有する略円筒部材である。しかし、この実施形態の閉塞物捕獲容器(図示せず)は、2本だけの細長い部材20’で形成されているので、残りの2つのガイド穴26’は空いたままになっており、X線撮影造影剤(例えば、染料)、薬剤、潅流溶液又は他の流体が流動し得る通路としての役割を果たし得る。
B. 塞栓摘出用カテーテル装置の迅速交換実施形態
図3D,3DD,3E,3EE,3F,3FF,4は、塞栓摘出用カテーテル装置10”,10”’,10””の迅速交換実施形態の説明に役立つ。これらの迅速交換塞栓摘出用カテーテル装置10”,10”’,10””は、交換長ガイドワイヤ(すなわち、ガイドワイヤを実質的に固定位置に保持しながらカテーテルを引っ込めたり、取り出したり、交換したりし得るように、ガイドワイヤの体外露出部分をカテーテルより長くできるほど長いガイドワイヤ)を用いる必要なく、カテーテル11”,11”’,11””を交換できるように、カテーテル11”,11”’,11””の先端部のみを通って伸びるガイドワイヤ管腔を有する。これらの迅速交換実施形態は、脳の小血管(すなわち、脳上、脳内又は脳周囲に位置する血管)から血栓塞栓を除去して卒中を治療するのに特に適しており、そのような細心の注意を要する神経放射線学法には交換長ガイドワイヤの使用は望ましくないことがある。モリス ピー(Morris,P.)、Practical Neuroradiology、第2章、41ページ(Williams & Wilkins
1997年)参照。
第3実施形態
図3D,3DDは、構造は上記第2実施形態10’に類似しているが、カテーテル11”の側壁の基端部12’の先端近くに形成されたガイドワイヤ通過口267’と、ガイドワイヤ通過口267’から管腔22’まで伸びるガイドワイヤ偏向管260’とを有する塞栓摘出用カテーテル装置10”の第3実施形態(すなわち、迅速交換型実施形態)を示している。ガイドワイヤ偏向管260’は、複数のラジアル支持部材264’によって管腔内の中心位置に保持されているフレア先端を有する。ラジアル支持部材264’間には
、管腔22’を通り、ガイドワイヤ偏向管260’のフレア先端部を越えてX線撮影造影剤又は他の流体を流す縦通路266、266(alt)が形成されている。縦通路のうち選択されたもの266(alt)は、示されているように、閉塞物捕獲容器を構成する細長い部材20’を通過させ得るように他の通路(266)より大きくなっている。ガイドワイヤPEGの基端をカテーテル11”の先端開口DEOに挿入し、その後で、カテーテル11”を先端方向に進めると、ガイドワイヤPEGの基端は、ガイドワイヤ偏向管260’のフレア先端に入り、その結果、示されているように、横のガイドワイヤ通過口267’から偏向されるであろう。
第4実施形態
図3E,3EEに示されている第4実施形態(すなわち、別の迅速交換実施形態)において、カテーテル11”’は、第1直径D1の基端部302と、第2直径D2の先端部304とを有する主管300を備えている。主管300の先端部304の一方の側面に側管308が取り付けられており、側管308の管腔309に向かってガイドワイヤ通過口310が形成されており、そのために、側管の管腔309はガイドワイヤ管腔として利用することができ、その結果、側管管腔309から出てくるガイドワイヤGWの先端部は、閉塞物捕獲容器22(図3Eには示されていない)の別個のガイドワイヤ管腔及び/又は上記に詳細に説明したような任意のノーズコーン管腔22NC(図3Eには示されていない)を通過し得る。
第5実施形態
塞栓摘出用カテーテル装置10””の第5実施形態(すなわち、別の迅速交換実施形態)は、上記第4実施形態10”’と同じ構造を有し、同じように作動するが、但し、この第5実施形態10””の主管300’は、示されているように、密ならせんコイル状に巻かれた連続ワイヤ316で形成されている。この主管300’の構造は、他の構造形態に比べて高い弾性を与え得る。
C. 塞栓摘出用カテーテル装置の任意の実施形態に組み込み得る代替部品及び任意の要素:
1. 代替タイプの閉塞物捕獲容器:
本発明の塞栓摘出用カテーテル装置10,10’,10”,10”’,10””には、図1A,2B,4に示されているらせんワイヤバスケット型容器14,14’の代替物として種々のタイプの閉塞物捕獲容器を組み込み得る。特に、いくつかの代替閉塞物捕獲容器が図5〜図7に示されている。
図5〜図5Aは、1つの代替閉塞物捕獲容器400を示しており、この容器400は、示されているように、半径方向に外側に広がった形状に予備成形されており、傘様構造を形成するように上に膜質又は布カバー404が配置された複数の弾性又は超弾性ワイヤスポーク402を備えている。膜質又は布カバー404は、非多孔性形状でも多孔性形状でもよいが、好適にはポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル又はシリコーンなどの材料から形成される。図5,5Aに示されているように、スポーク402の中心には中央ハブが形成されており、ガイドワイヤが容器400の中心を通過するように上記中央ハブを通ってガイドワイヤ管腔が延伸する。スポーク302の端は、図5−1に示されているように、周囲血管壁への外傷を最小限にするように形成された球状体408を有し得る。あるいは、そのような球状体408に代わるものとして、血管の外傷を防止するためにスポーク402の先端で非外傷性ループ410を形成してもよい。スポーク402は血栓塞栓を実質的に破壊又は分断せずに血栓塞栓を通って引っ込め得るほど小さい直径を有する。
図5B〜図5BBは、別の閉塞物捕獲容器420を示しており、この容器420は、示されているように半径方向に外側に広がった形状に予備成形された複数の弾性又は超弾性
ワイヤスポーク402’と、示されているように、スポーク402’に取り付けられた傘様構造を形成する多孔質の布(例えば、織物、ニット、メッシュ又は網状布)袋422とを有している。この袋422の形成に用いられる材料は、図5に示されている実施形態の膜質又は布カバー404に関して上記に詳述されたものと同じ微孔質材料であってよい。袋22には中央開口426が形成されており、それによって、ガイドワイヤGWは、図5B及び図5BBに示されているように、スポーク402’間領域と、上記開口426を通過し得る。スポーク402’の自由端には引張りひも424が取り付けられ、カテーテル管腔を通って伸びている。これらの引張りひも424とスポーク402’は血栓塞栓を実質的に破壊又は分断せずに血栓塞栓を通って引っ込め得るほど小さい直径を有する。血栓塞栓を通して容器420を進めた後、容器420を広げて配置し(例えば、半径方向に広げ)、血栓塞栓を通って引張りひも424及びスポーク402’が引っ込んで、血栓塞栓より基端側に位置するようになるまで引っ込める。その後、引張りひも424は、図5BB及び図5BBBに示されているように、袋の基端口PMが捕獲した閉塞物の周囲に部分的に引き込まれるようにスポーク402’の先端を内側に引っ張るためにカテーテル内に引っ込めることができる。
図5Cは、別の代替閉塞物捕獲容器を示しており、この容器は、膜質又は布カバー444を半径方向に拡張/収縮させる略フットボール形状の弾性ケージを利用する。示されているように、このケージは、縦軸LAの周りに縦方向に配置され、先端部DP上に膜質又は布カバー444が配置された、弾性、超弾性又は形状記憶成形金属ワイヤからなる約6本の細長い部材442を有する。細長い部材442の先端DEは、縦方向に伸びるガイドワイヤ通過管腔を有するノーズコーン446に取り付けられている。部材442は、カテーテル管腔内に引っ込められると、カテーテル管腔内に受容される直径に半径方向に収縮するであろう。しかし、部材442は、カテーテルから進められると、示されている形状に弾性的に拡張するであろう。部材の基端部は、血栓塞栓又は血餅を破壊又は分断せずに血栓塞栓又は血餅をスライス、切断するか又は基端方向に通過できるほど直径が小さい。
図7及び図7Aは、代替らせんバスケット型閉塞物捕獲容器14”を示しており、この容器14”は、図1A及び図4に示されているらせんバスケット型容器14、14’と同じ全体形状を有し、かつ同じように作動するが、この容器14”は、ElgiloyTMコバルト−クロム−ニッケル合金〔エルギロイ社、米国イリノイ州エルジン所在(Elgiloy,Inc.,Elgin,Illinois)〕又は適当な弾性プラスチックなどの金属製の複数のフラットリボン500で形成されている。フラットリボン500の先端部は、らせんバスケット502を形成するようにらせん形状に予備成形されている。リボン500の基端部は、らせんバスケット502とカテーテル11の間のコネクタ部材504としての役を果たす。各リボン500は、第1及び第2フラット表面512と、第1及び第2端縁514とを有する。リボン500はそれぞれ、コネクタ部材504とらせんバスケット502の間の移行点で90°捻回されている。このようにリボンを捻回することにより、(a)らせんバスケット502内に収容された血栓塞栓がリボン500の平坦な表面に乗るように先端部がそれらの端縁514と並列状態に置かれ、かつ(b)血栓塞栓を通って血栓塞栓を実質的に分断又は破壊せずに先端コネクタ部材504を引き込みやすくするように基端部とそれらの端縁が基端方向に向いた状態に置かれる。
任意のガイドカテーテル/基端閉塞物保持部材:
図6に例示されているように、塞栓摘出用カテーテル装置10、10’、10”、10”’、10””を、塞栓摘出用カテーテル11を通って前進させ得るガイドカテーテル50と併せて用いるのが望ましいことがある。そのようなガイドカテーテル50を用いる場合、図5Aに示されているように半径方向に外側に広がり得るフレア先端を有するチューブラシースなどの基端閉塞物保持部材52を、血餅C又は他の閉塞物が容器14の先端閉塞物受容部16と基端閉塞物保持部材52のフレア先端との間に捕獲されるように、ガイドカテーテル50の先端DEから前進させ得る。この任意選択の基端閉塞物保持部材52
の使用は、血栓塞栓ができたばかりであるか、又は除去処置中に分解又は断片化される危険が生じるように不注意に切断又は分断された場合には特に有用であろう。
D. 塞栓摘出用カテーテルと併せて使用し得る迅速交換マイクロカテーテル:
本発明の塞栓摘出用カテーテルを用いて脳の小血管から血栓塞栓を除去する多くの処置においては、先ず、血栓塞栓が位置すると考えられる血管の血管造影を実施して、(a)血栓塞栓の正確な位置を確認し、(b)血栓塞栓周辺領域の血管構造をX線写真でマップし、(c)閉塞の原因となっている血栓塞栓を通過する小ガイドワイヤの通路をガイド、確認するのが望ましいであろう。本発明の塞栓摘出用カテーテル10、10’、10”、10”’、10””は、脳の微細血管を案内するために必ずしも極めて小さい直径〔例えば、約0.254〜0.508センチメートル(0.10〜0.20インチ)〕のものでなくても良いが、カテーテル11内に引っ込められる閉塞物捕獲容器14、14’、400、420又は440の存在によって、カテーテル11を介して注入し得るX線撮影造影剤の量が厳密に制限され得る。従って多くの場合には、図3Aに例が示されている、小型血管造影用カテーテル(例えば、ProwlerTM マイクロカテーテル、コルディスエンドバスキュラーシステムズ社、米国フロリダ州マイアミレークス所在)を閉塞血管内に挿入して、最初の血管造影を実施し、血栓塞栓を通過するガイドワイヤの正確な位置決めを行うことが好適である。最初の血管造影を実施し、ガイドワイヤを正確に位置決めした後、ガイドワイヤを適切な位置に残して、血管造影用カテーテルを引き込み、抜出する。その後で、本発明の塞栓摘出用カテーテル10、10’、10”、10”’、10””を予め配置しておいたガイドワイヤの上を伝って血栓塞栓の位置まで進める。
しかし、先行技術のマイクロカテーテルはこの新規手順に適当なようには設計されていない。そのようなマイクロカテーテルは、これまで、主として、カテーテルがその上を伝って挿入されるガイドワイヤと同時に引っ込めて取り出すという手順で用いられる「オーバー・ザ・ワイヤ」型のものである。したがって、先行技術の「オーバー・ザ・ワイヤ」型マイクロカテーテルは、定置ガイドワイヤが「交換長」ワイヤであるか、又はガイドワイヤの基端に交換を可能にする延長部が取り付けられている場合にのみ定置ガイドワイヤ上で交換し得ることが当業者には理解されよう。しかし、そのような「交換長」ガイドワイヤ又はガイドワイヤ延長部は、カテーテルを脳の傷つき易い微細血管に挿入したりそこから引っ込めたりする手順には使えないであろう。モリス ピー、Practical Neuroradiology、第2章、41ページ(Williams & Wilkins 1997年)参照。
先行技術のマイクロカテーテルのこの欠陥を考慮して、本出願人は、図3C及び図3CCに示されている迅速交換マイクロカテーテル265を発明した。この迅速交換マイクロカテーテル265は、第1直径及び第1弾性の基端部12”と、第2(第1より小さい)直径及び第2(すなわち、第1より低い)弾性の先端部270”とを有する細長い弾性カテーテルからなる。
カテーテルの基端部12”の先端近くの側壁にガイドワイヤ通過口267が形成されており、このガイドワイヤ通過口267から管腔271までガイドワイヤ偏向管260が伸びている。ガイドワイヤ偏向管260は、複数のラジアル支持部材264によって管腔内の中心位置に保持されているフレア先端を有する。ラジアル支持部材264間に、管腔271を通り、ガイドワイヤ偏向管260のフレア先端を越えてX線撮影造影剤又は他の流体を流動させる縦通路266が形成されている。図3Cに示されているように、ガイドワイヤPEGの基端をカテーテルの先端開口DEOに挿入し、その後でカテーテルを先端方向に進めると、ガイドワイヤPEGの基端は、ガイドワイヤ偏向管260のフレア先端に入り、その結果、横のガイドワイヤ通過口267から偏向されるであろう。
E. 血管から血餅又は他の閉塞物を除去するための本発明の使用法:
図8A〜図8Fは、血栓塞栓又は血餅などの閉塞物を除去するための本発明のオーバー
・ザ・ワイヤ型塞栓摘出用カテーテル10の典型的な使用法を例示しており、図9A〜図9Cは、上記閉塞物を除去するための本発明の迅速交換型塞栓摘出用カテーテル10”の典型的な使用法を例示している。
オーバー・ザ・ワイヤ塞栓摘出用カテーテルの典型的な使用法
図8A〜図8Fは、血餅Cの下流に位置する組織(例えば、酸素などの栄養素が欠乏している脳組織)の虚血ゾーンIZを形成するように動脈分岐部BEのすぐ下流に滞留している血栓塞栓又は血餅Cを除去するための図1〜図2Dに示されているオーバー・ザ・ワイヤ型塞栓摘出用カテーテル10の典型的な使用法を示している。これらの図面に描写されている典型的な手順を以下のパラグラフで説明する。
先ず、図3Cの迅速交換マイクロカテーテル265などのマイクロカテーテル(図8A〜8Fには示されていない)を閉塞物又は血餅C近くの位置まで進め、このマイクロカテーテルを介してX線撮影造影剤を注入して、血餅Cの正確な位置を血管造影により確認し、血餅領域の血管構造を視覚化又はマップする。その後、マイクロカテーテル265の管腔271から、直径が約0.0254〜0.03556センチメートル(0.01〜0.014インチ)で、長さがマイクロカテーテル265の長さの1.5倍(すなわち、「交換長」ガイドワイヤではない)のガイドワイヤを、その先端チップDTが図8Aに示されているように血餅Cを通過するまで推進する。
その後、操作者は、ガイドワイヤGWが縦方向に引き込まれないようにガイドワイヤGWの基端を保持しながら迅速交換マイクロカテーテル265を引き込み、抜出する。こうすることによって、ガイドワイヤGWは図8Aに示されているようなその操作位置に残される。
次いで、図8Bに示されているように、第1形状(図2A)に収縮された閉塞物捕獲容器を有する塞栓摘出用カテーテル11を、その先端開口DEOが血餅Cの下流に位置するが、まだガイドワイヤGWの先端チップDTより基端側(すなわち上流)に位置するように、ガイドワイヤGWの上を伝い、血餅Cを通して進める。
その後、図8C〜8Dに示されているように、アクチュエータ28を先端方向に進めて、ノーズコーン30がガイドワイヤGWの上に残るように、閉塞物捕獲容器14を構成する4本のワイヤセグメント20をカテーテルの先端から進める。このように、閉塞物捕獲容器14は、血餅Cより先端側(すなわち、下流)の位置で、その第2すなわち操作可能形状(図3D)に完全に広げて配置される。
次いで、図8Eに示されているように、塞栓摘出用カテーテル11を基端方向に引っ込めて、閉塞物捕獲容器14の基端コネクタ部材18が血餅を通過し、さらに、示されているように、血餅が容器14の先端閉塞物受容部16の凹面又は空洞内に受容されるようにする。
その後、図8Fに示されているように、血餅Cを引っ張った状態で塞栓摘出用カテーテル装置10全体を身体から抜出するか、又は、さらに確実に血餅を最終的に引き出して身体から除去するために血餅C及び完全に広げて配置された閉塞物捕獲容器14が大きい方のカテーテルの管腔内に受容される大血管(例えば、経静脈又は大静脈)内の位置まで引っ込める。
迅速交換塞栓摘出用カテーテルの典型的な使用法
本発明の迅速交換型塞栓摘出用カテーテル10”の典型的な使用法は図9A〜図9Dに示されている。
先ず、図3Cの迅速交換マイクロカテーテル265(図9A〜図9Dに図示せず)などのマイクロカテーテルを血餅C近傍の位置まで推進し、マイクロカテーテルを介してX線撮影造影剤を注入し、血管造影法によって血餅Cの正確な位置を確認して、血餅領域内の血管構造を視覚化又はマップする。その後、直径が約0.01524〜0.04572センチメートル(0.006〜0.018インチ)で、長さがマイクロカテーテル265の長さの1.5倍以下のガイドワイヤ(すなわち、「交換長」ガイドワイヤではない)を、マイクロカテーテル265の管腔271から、ガイドワイヤの先端チップDTが図9Aに示されているように血餅Cを通過してしまうまで進める。
その後、操作者は、ガイドワイヤGWの基端を保持して、ガイドワイヤGWが縦方向に引き込まれないようにしながら、迅速交換マイクロカテーテル265を引き込み、抜出する。こうすることによって、ガイドワイヤGWを図9Aに示されているようにその操作可能位置に留めることができる。
その後、図9Bに示されているように、ガイドワイヤの外在基端を、迅速交換塞栓摘出用カテーテル11”の先端開口DEO内に挿入するが、その間、カテーテル”の閉塞物捕獲容器はカテーテル11”の先端部内にその第1形状(図2A)に縮められている。ガイドワイヤGWの上を伝ってカテーテルを先端方向に進めると、ガイドワイヤはガイドワイヤ偏向管260’(図3D参照)により偏向され、ガイドワイヤの基端がカテーテル11”の横ガイドワイヤ通過口267’から出てくるであろう。図9Cに示されているように、カテーテル11”の先端開口DEOが血餅Cの下流ではあるが、まだガイドワイヤGWの先端チップDTより基端側(すなわち、上流)に位置するように、血餅Cを通ってカテーテル11”を進める。ガイドワイヤGWは、示されているように、迅速交換カテーテル11”の基端部分(すなわち、ガイドワイヤ通過口267’より基端側のカテーテル部分)の側面に沿って伸びる。
その後、図9Dに示されているように、アクチュエータ28を基端方向に進め、ノーズコーン30’がガイドワイヤGW上に留まるように閉塞物捕獲容器14’を形成する2本のワイヤ部材20’をカテーテル11’の先端から先端方向に進める。このように、閉塞物捕獲容器14’は、血餅Cより先端側(すなわち、下流)の位置でその第2すなわち操作可能形状に完全に広げて配置される(図9D)。
その後、迅速交換塞栓摘出用カテーテル11’を基端方向に引っ込めて、閉塞物捕獲容器14’の基端コネクタ部材18’に血餅を通過させ、さらに、血餅を容器14’のらせんバスケット16’の凹面又は空洞内に受容させる。次いで、上記に示しかつ説明し、図8E及び図8Fに示されているのと同じように、カテーテル11’を引っ込めて血餅Cを除去する。
典型的な塞栓摘出用カテーテル
図10〜図19は、ネストワイヤ型血餅捕獲装置を利用する本発明の典型的な「オーバー・ザ・ワイヤ」塞栓摘出用カテーテル600の種々の態様を例示している。図10において、塞栓摘出用カテーテル600は、輸送用パッケージ状態でその全容が示されている。塞栓摘出用カテーテル600は、操作ハンドル602と、ガイドワイヤ604と、収納コイル606で隠されている挿入部(図11Aでは608)とを備えている。収納コイル606は、挿入部608を保護するための伸縮自在な長さのチューブからなり、複数のブラケット610によってコイル形状に保持されている。
図11Aは、図10の収納コイル606から外された塞栓摘出用カテーテル600を示している。挿入部608は、その全長が判断できるように、右すなわち先端側に中断された線で示されている。より詳細には、挿入部608は例えば大腿動脈のアクセス切開を介して患者の脈管構造の遠隔到達範囲にアクセスできるように、約149.86センチメー
トル(59インチ)のハンドル60から先端611までの長さLを有する。
操作ハンドル602は、基端614とテーパー先端616とを有する剛性ハンドル本体612を有する。図11Aに示されているように、ハンドル本体612の実質的に全長を上方に開く細長い通路618が伸びている。通路618の両端の貫通穴は、塞栓摘出用カテーテル600の要素用通路となる。特に、基端614の貫通穴は、テーパー形状を有するガイドワイヤ挿入装置620を受容する。ガイドワイヤ挿入装置620の内腔621は、624で示されている内側ハイポチューブ622と密閉接続されている。ハイポチューブ622は、以下にさらに詳細に説明するように、先端方向に伸びて挿入部608の内管と接続している。ハンドル本体612のテーパー先端616には、ひずみ取りノーズ626及びひずみ取りチューブ628が取り付けられている。これら2つのひずみ取り要素626、628により、挿入部608が先端616の貫通穴から出るときの過剰な屈曲による損傷が防止される。
図11A〜図11Cを参照すると、通路618内で線形平行移動させるための滑り注入ポート630が取り付けられている。滑り注入ポート630は、図11Bに示されているように、通路618内に締り嵌めするために、幅W、高さhを有する滑り部632を有する。典型的な実施形態において、高さhは幅wより僅かに大きく、例えば、高さhは、約0.635センチメートル(0.25インチ)、幅wは約0.6096センチメートル(0.24インチ)であろう。同じ実施例で、滑り部632は、約2.7432センチメートル(1.08インチ)の長さlを有する。滑り部632の一端から他端まで貫通穴634が伸びている。滑り部632から約30°の角度で側管636が上方に突き出ており、側管636はウェブ638によって支持されている。側管636は注入口640で終端し、内部で規定されている側管腔642が滑り部632の先端近くで貫通穴634を遮断している。ウェブ638には円形のシャフトジャーナル644が備えられている。以下により詳細に説明するように、滑り注入ポート630は、挿入部608の外管に関して固定取り付けされており、外管を内管に関して平行移動させる。
再び図11Aを参照すると、滑り注入ポート630の移動制御機構は、シャフトジャーナル644内回転用に取り付けられたサムホイール式(thumb−wheel)締めボルト646と、キャリジ648とを有する。キャリジ648は、ハンドル本体612を取り囲んで、滑り注入ポート630を通路618内に保持する。詳細には示されていないが、サムホイール式締めボルト646は、滑り注入ポート630をハンドル本体612に締め付けて両者間の移動を阻止するように設計されている。このように、まずサムホイール式締めボルト646を緩め、次いで、滑り注入ポート630を手で通路618に沿って滑らせる。サムホイール式締めボルト646は、包装及び輸送時に、カテーテルを非拡張配置形状に維持するのに有用である。所望の位置で、サムホイール式締めボルト646を締めて、滑り注入ポート630を適切な位置にロックし得る。あるいは、サムホイール式締めボルト646は、実際に滑り注入ポート630及びキャリジ648をハンドル本体612に沿って線形移動させるように設計してもよい。例えば、作動ホイール646は、ハンドル本体612上に設けられたラックの歯とかみ合うギヤ歯を有していてもよい。あるいは、サムホイール式締めボルト646は、ハンドル本体612の表面を摩擦係合する高摩擦係数を有する材料でできたゴム弾性スリープを有していてもよい。サムホイール式締めボルト646とハンドル本体612との接触面がどうであれ、滑り注入ポート630を通路618内で移動させ、種々の位置に固定させるためには多様な機構を設け得ることが当業者には理解されよう。
図12及び図12A〜図12Cは、滑り注入ポート630とそこに接続された追加部品をさらに詳細に説明している。より詳細には、カテーテル外管650は、滑り部632の先端に取り付けられ、そこから先端方向に突出している。滑り部632とカテーテル外管
650との接触面の細部は図12Aに示されている。貫通穴634の先端には、剛性、好ましくは金属の管状スリーブ652が固定されており、管状スリーブ652から外側ハイポチューブ654が先端方向に伸びている。カテーテル外管650は、領域658で外側ハイポチューブ654とオーバーラップするように基端サイズがわずかに大きいフレア又は段付き管腔656を有する。カテーテル外管650は、滑り部632から最大約2.54センチメートル(0.1インチ)のギャップGだけ手前で終端している。このギャップG及び外側ハイポチューブ654とカテーテル外管650との間の環状空間には接着剤又は他の適当な接着化合物が適用されている。スリーブ652は、ハイポチューブ654の管腔及びカテーテル外管650の管腔656と同サイズの管腔662を有する。このために、以下の説明から明らかになるように、(ファントム画法で示されている)内側ハイポチューブ622は、段又は他のそのような狭窄部から摩擦干渉を受けることなくこれらの共線形管腔を容易に通過できる。
図12B,12Cは、貫通穴634のネジ山付き先端部内に嵌め込まれるネジ山付きプラグ664を例示している。ネジ山付きプラグ664は、貫通穴634内に1対のシール666を保持している。シール666は、内側ハイポチューブ622の周囲を滑りシールする内腔径を有する。シール666によって、注入口640、側管腔642を介して貫通穴634に導入された流体の貫通穴から基端方向への通過が防止される。その代わりに、流体は、スリーブ管腔662と内側ハイポチューブ622の間の環状ギャップを通過し、先端方向にカテーテル挿入部608まで流れる。
図13及び図14を参照して、カテーテル挿入部608の内側及び外側伸縮自在管を説明する。図13は、ひずみ取り管628から先端670まで伸びるカテーテル外管650を例示している。外管650は、強化基端セグメント672と、非強化中間セグメント674と、677で非強化セグメントに直列接続されて先端670まで伸びる先端シース676とを有する。これらのセグメントのさまざまな長さは、Lが外管650の長さ、Lopが基端セグメント672の長さ、Lomが中間セグメント674の長さ、Lodが先端シース676の長さとして示されている。典型的な実施形態において、Lは約149.86センチメートル(約59インチ)、Lopは約132.08センチメートル(約52インチ)、Lomは約12.7センチメートル(約5インチ)、Lodは約5.08センチメートル(約2インチ)である。
カテーテル外管650は、その基端ではより高い強度とより低い弾性を有し、先端方向に徐々に弾性が高くなり、その結果、強度が低くなるように構成されている。基端セグメント672は好適には、らせん巻きワイヤ、又は他の適切な手段で強化されたポリマーで形成されている。例えば、ポリマーは、商標PEBAXで販売されているポリエーテルブロックアミドであってよく、強化材は、らせん配列に配置された16本のステンレススチールワイヤであってよい。中間セグメント674は好適にはポリウレタンなどの非強化ポリマーである。最後に、先端シース676は比較的薄いポリマーチューブ、好適にはPEBAXである。
図14に強化カテーテル内管680の一部が示されている。内管680は、基端強化セグメント682と、先端非強化セグメント684とを有する。挿入部(図11A)に沿った強化内管680の長さは、カテーテル外管650の長さにほぼ等しい。基端強化セグメント682の長さLipは約81.28センチメートル(約32インチ)であり、先端非強化セグメント684の長さLidは約68.58センチメートル(約27インチ)である。
強化カテーテル内管680は、内管686と、内管686の基端セグメントを取り囲む強化スリーブ688と、移行領域692で内管から先端方向に伸びる先端セグメント69
0とを有する。内管686とこれに接続された先端セグメント690は、強化内管680の全長に沿って伸びるが、強化スリーブ688は強化内管680の中間点からわずかに先端よりのところで終端する。強化スリーブ688は好適には、内管686を締り嵌めするポリマー収縮チューブである。カテーテル外管650と同様に、強化内管680は、先端方向に向かうに従って、弾性が高くなり、強度が低くなる。内管686の長さLi12は好適には、約139.7センチメートル(約55インチ)であり、一方、先端セグメント690の長さLi4は、好適には約2.54〜15.24センチメートル(約1〜6インチ)、虚血性卒中治療用の特定の実施形態においては、約10.16センチメートル(約4インチ)である。
内管686は、らせん巻きワイヤなどで強化したポリマーチューブ製であるのが望ましい。例えば、内管686は、12本のステンレススチールワイヤで強化されたPEBAXチューブであってよい。最後に、先端セグメント690も、内管686ほどではないが強化するのが好適である。したがって、先端セグメント690は、例えば、4本のステンレススチールワイヤで強化したPEBAXチューブであってもよい。この構造は、図16A〜図16Dにさらに詳細に示されている。したがって、先端セグメント690は、何本かの強化ワイヤを取り除いて内管686を連続させたものであってよい。すなわち、例えば、内管686はその周りに12本のワイヤ群をらせん巻きして強化し得るが、先端セグメント690は、その領域で、ただ強化ワイヤを8本取り除いた、4本のらせん状に巻かれたワイヤのみを有する。
図15及び図15Aを参照すると、塞栓摘出用カテーテル600の内側管腔を構成する要素の基端が示されている。図15は、それぞれ先に説明した、ガイドワイヤ挿入装置620と、内側ハイポチューブ622と、滑り注入ポート630と、強化内管680との相互作用をより良く説明するために、操作ハンドル本体612をファントム画法で示している。図12及び図12Aに詳細に説明されているカテーテル外管650は、内側ハイポチューブ622と強化内管680との接続部を見ることができるように図15では省かれており、接続部は図15Aにさらに詳細に説明されている。
上述のように、滑り注入ポート630は、ハンドル本体612の通路618内で移動可能であり、内側ハイポチューブ622上に乗っている。これに関し、ネジ山付きプラグ664で保持されているシール666によって、滑り注入ポート630の貫通穴634と内側ハイポチューブ622との間で液密シールが維持される。この場合も、滑りシールによって、注入口640を介して導入された流体は確実にカテーテル外管650と強化内管680の間を先端方向に流れる。図15には示されていないが、滑り注入ポート630が移動すると、接続されているカテーテル外管650(図12参照)も伸縮自在に内側ハイポチューブ622上及び強化内管680上を移動することが読者には理解されよう。
図15Aに詳細に説明されているように、内側ハイポチューブ622は、接続スリーブ694及び接着剤696又は他の適当な接着化合物を用いて強化内管680に直列接続されている。すなわち、内側ハイポチューブ622は、段690で直径の減少を示すが、この減少は内側ハイポチューブをオーバーラップ領域700で内管686内に嵌め込むのに十分である。内管686の基端と段698の間に約0.127センチメートル(約0.05インチ)のギャップGが設けられている。接続スリーブ694は好適には、段698から若干基端側で内側ハイポチューブ622の周りを締嵌し、強化スリーブ688の基端の周りに延伸する収縮チューブである。スリーブ688及び694は収縮チューブであるのが好ましく、図中に示されているギャップは、例示のみを目的とし、実際のカテーテル600には多分存在しないであろうことに留意されたい。
接続スリーブ694は、内側ハイポチューブ622及び内管686の長さに沿って形成
されている連続内側管腔702との間の漏れを確実になくすのに役立つ。さらに、内側ハイポチューブ622と強化内管680の接続部は、ハンドル本体612のテーパー先端616内に設けるのが望ましく、したがって、さもなければ管状端縁の一方を引掛けたり、接続に干渉したりする可能性がある滑り注入ポート630の移動範囲から外して配置される。
内側管腔702は、内側ハイポチューブ622から、強化内管680全体を通り、図11Aに示されている挿入部608の先端611まで続いている。内側管腔702は、接続されているガイドワイヤ挿入装置620からカテーテル600の先端までのガイドワイヤ用通路604(図10)となる。さらに、内側管腔702は、以下に詳細に説明するように、本発明の注入ガイドワイヤ用通路ともなる。
図16A〜図16Dは、強化内管680の作製における種々のステップを説明している。図16Aは、内管686及び先端セグメント690の全長を示している。当業者には分るように、図16Aに示されている全長は好適には、先端セグメント690に沿って強化材の一部を除去した1本の強化チューブで形成する。特定の好適な実施例において、全長は、初期には、12本のらせん配列ワイヤ704を有するが、これらのワイヤは、先端セグメント690では、4本のらせん配列ワイヤ706を形成するように取り除かれている。また、図14に示されているように、虚血性卒中治療用の特定の実施形態の場合、先端セグメント690の長さLi4は約10.16センチメートル(約4インチ)である。
図16Bは、接続部710で先端セグメント690上に融着された先端チューブの長さLttを示している。この長さLttは約3.81センチメートル(約1.5インチ)であるのが望ましく、先端チューブ708は好適には、PEBAXなどの弾性ポリマーである。
図16Cは、図16Bのアセンブリーに加えられた強化スリーブ688を示している。強化内管680と先端チューブ708とを合わせた長さはLで示され、約165.1センチメートル(約65インチ)であるのが望ましい。したがって、合計約149.86センチメートル(約59インチ)になる図14に示されている強化内管680の長さは、先端チューブ708の長さを含まない、ひずみ取り管628(図13)から先端方向に突出する部分だけであることが理解されよう。さらに、上述のように、内管686と強化スリーブ688の間にはギャップが示されているが、強化スリーブは、内管の周りを締り嵌めする収縮チューブであるのが望ましく、強化スリーブの先端には平滑ノーズ部712が設けられている。
先端チューブ708は、図16Eの断面図に示されている5管腔構造であり、一方の側に4つの小さい管腔714が弧状に配置され、他方の側に1つの大きいガイドワイヤ管腔716が配置されている。図16Dは、先端チューブ708の表面の4つの小管腔714と連通する深さまで薄く剥がされた4つの短い縦スロット718を例示している。1つの特定の実施形態において、先端チューブ708の基端とスロット718の先頭との間の距離Aは約0.1905センチメートル(約0.075インチ)であり、スロット718の長さBは約0.0508〜0.127センチメートル(約0.02〜0.05インチ)である。図16Eに示されているように、スロット718は先端チューブ708の周りに180°未満の弧状に配置されている。
図17A及び図17Bは、塞栓摘出用カテーテル600の内管の先端に取り付けられた血餅除去部品を例示している。図17Aにおいて、先端チューブ708は、少なくとも約0.5842センチメートル(0.23インチ)の長さCに短縮されており、その先端には、先端チップ直径dttを約0.04826センチメートル(約0.019インチ)と
する僅かなテーパー720が付けられている。スロット718の先端から約0.0508〜0.1524センチメートル(約0.02〜0.06インチ)の距離Dのテーパー720が始まるところで先端チューブ708の周囲にマーカーバンド720が取り付けられている。マーカーバンド720は、この位置に、例えば接着剤でしっかり貼りつけられている。
図17Bは、先端726がスロット718内に貼りつけられた複数のらせん血餅除去ワイヤ724を示している。好適な実施形態において、血餅除去ワイヤ724は、Nitinolなどの超弾性合金製であり、適当な接着剤を用いて小管腔714及びスロット718内に接着されている。ワイヤ724の固定端726の固定を支援し、かつ接続部でより平滑な外面が得られるように、ファスナースリーブ728を設けてもよい。
血餅除去ワイヤ724は、基端方向にらせん状に伸び、それぞれ、強化内管680の先端セグメント690の周囲に巻回している。好適に実施形態において、先端側ワイヤペア730は先端側自由端732で終端するのに対し、基端側ワイヤペア734は基端側自由端736で終端する。自由端732及び736は滑りマーカーバンド738で分離されている。自由端732及び736と滑りマーカーバンド738は、先端セグメント690上を自由に摺動できる。
図18Aは、図18Bでは図17Bのアセンブリーに加えられている未仕上テーパーチップ740の立面図である。未仕上テーパーチップ740は、少なくとも約0.762センチメートル(0.30インチ)の長さLtuと、約0.1016センチメートル(約0.04インチ)の大きい方の末端内径dを有する。小さい方の末端内径は直径dttより小さくなるようにテーパーされており、それゆえ、未仕上テーパーチップ740は、図18Bに示されているように、テーパー720の周りを締り嵌めする。未仕上テーパーチップ740の長過ぎる部分は、仕上チップ742を形成するためにテーパー720の先端で切取られる。先端チップ742は基端口743を有する。
図18Cは、内管の先端を取り囲む外管先端シース676の最終アセンブリーを例示しており、らせん血餅除去ワイヤ724が延伸形状724’で示されている。外管先端シース676の先端670は、約0.0508〜0.1524センチメートル(約0.02〜0.06インチ)のオーバーラップEの範囲まで、テーパーチップ742の基端口743内にはまっている。さらに以下に説明するように、先端シース676はテーパーチップ742内に接着されているのではなく、テーパーチップ742に関して摺動可能である。
図18Cはさらに、先端シース676上に設けられている外管マーカーバンド744と、内管先端セグメント690の側壁に沿って形成されている複数の注入口746とを例示している。先に述べたように、カテーテル600の外管は、内管に関して摺動し、したがって、マーカーバンド744は固定マーカーバンド722に関して摺動する。注入口746は、造影剤、薬剤又は血餅分解用流体の注入に利用し得る。本発明の塞栓摘出用カテーテル600の種々の使用法を以下にさらに詳細に説明する。
図19Aは、図18Cと極めて類似しているが、接続部677で先端シース676に接続された外管650の中間セグメント674を例示している。さらに、内管先端セグメント690の図18Cに示されている側壁とは反対側の側壁に注入口746が形成されているのが分るように、種々の部品が断面で示されている。図22に示されている実施形態に関して以下に説明するように、注入口746の数及び間隔は様々であってよい。
典型的な血餅除去装置
塞栓摘出用カテーテル600の血餅除去機能の作動は、図19Aと図19Bを比較すれは最もよくわかる。より詳細には、血餅除去ワイヤ724’は図19Aでは、延伸されて
径方向に収縮した形状で、及び、図19Bでは、弛緩されて拡張ワイヤネスト750を形成する、径方向に拡張された形状で示されている。この変形は、矢印752で示されているように、外管を基端方向に移動させることにより生じる。血餅除去ワイヤ724は、通常、拘束されていない状態であれば、図19Bに示されている拡張形状をとるが、周囲の先端シース676の存在により延伸形状724’で保持される。先端シース676を基端方向752に滑らせると、ワイヤ724が緩み、その結果、ワイヤ724は半径方向に広がってそれらの自由端730及び736を先端方向に引っ張る。ワイヤ724ペアは滑りマーカーバンド738の両側で先端セグメント690の周りに巻き付いているので、滑りマーカーバンド73も先端方向に引っ張られる。固定マーカーバンド722と滑りマーカーバンド738の相対間隔によって、操作者は血餅除去ワイヤ724の形状を知ることができる。
塞栓摘出用カテーテル600の先端外径は、例えば、脳の微細血管内への挿入に合わせて極めて小さい。1つの特定の実施形態において、塞栓摘出用カテーテル600は約3フレンチ(1ミリメートル)の外径を有する。
拡張されたワイヤネスト750は、血餅を形成するか血餅が滞留している罹患血管内に丁度適合するサイズの直径を有する。すなわちワイヤ724は好適には、血管の内腔表面にわずかに外側に偏って接触する。本発明の塞栓摘出用カテーテル600の標的血管の内腔径は個的には、約2.5〜4.0ミリメートル(0.090〜0.110インチ)の範囲内であり、それゆえ、拡張ワイヤネスト750の直径も、約2.5〜4.0ミリメートル(0.090〜0.110インチ)の範囲内にある。したがって、拡張ワイヤネスト750は、典型的な3フレンチカテーテル600の先端外径の2.5〜4.0倍の外径を有する。
ワイヤ724はそれぞれ多様な断面を有し得るが、断面は好適には約0.00508センチメートル(約0.002インチ)の直径を有する円形断面である。上述のように、好適な材料は、ニチノール(商標)などの超弾性合金であり、ワイヤ724は、図19Bに示されているネスト形状750にヒートセットされているのが望ましい。ニチノール(商標)などの合金を利用することにより、ワイヤ724は、確実にオーステナイト状態に保たれ、図19Aの延伸形状724’のときに歪みがない。その結果、ワイヤ724は、それぞれ、半径方向に広がった形状にスプリングバイアスされるので、先端シース676を基端方向に移動させると直ぐワイヤネスト750が迅速に拡張配置される。
さらに、ワイヤ724は、それぞれ、図19Bに示されているネスト750形状の比較的密にもつれたワイヤを形成するらせん形状を有する。ワイヤ724の具体的な数は様々であってよいが、カテーテル600が小さくなるほど、収容し得るワイヤの数も少なくなる。3フレンチカテーテル600の好適な実施形態の場合、4〜6本のワイヤ、より好ましくは、示されているように4本のワイヤが存在する。
ワイヤプッシャー手段
図20A及び図20Bは、ハンドル762とプッシャー部764とを有する血餅除去ワイヤプッシャー760の2つの図である。プッシャー部764は、比較的長く、平坦で、薄く、約3.81センチメートル(約1.5インチ)の長さLswを有するシャフト766と、先端チップ上で浅いU字形を形成する1対の側壁768とを有する。シャフト766の先端は、内管の先端セグメント690と外管の先端シース676(図19A参照)の間の環状空間770内にはまるほど小さい幅wswと厚さtswを有する。このように、ワイヤプッシャー760は、血餅除去ワイヤ724の自由端730及び736と滑りマーカーバンド738とを基端方向に上記環状空間770内に押し込むのに用いられる。さらに、ワイヤプッシャーシャフト766は、先端チップ742でワイヤプッシャーを外側に曲らせるほどの薄さ及び弾性と、厚さtwpとを有する。ワイヤプッシャー760が血餅
除去ワイヤ724を延伸形状に保持している間に、外管の先端シース676を先端チップ742と近接して先端方向に進める。先端シース676が血餅除去ワイヤ724’を延伸形状に維持し得るほど進んだ時点で、ワイヤプッシャー760のシャフト766を環状空間770内に引っ込め得る。次いで、先端シース676を先端方向に先端チップ742内に移動させて、図18Cに示されているオーバーラップ領域Eを形成する。典型的な実施形態において、シャフト766は、約0.00762センチメートル(約0.003インチ)の厚さtwpを有し、側壁768は約0.03048センチメートル(約0.012インチ)の厚さtswと、約0.09144センチメートル(約0.036インチ)の幅wswとを有する。
好適な塞栓摘出用カテーテルの操作
塞栓摘出用カテーテル600を操作する際には、先ず、ガイドワイヤ604をカテーテル600内に挿入し、先端611から突出するように進める。次いで、カテーテル600とガイドワイヤ604のアセンブリーを、標的血管を通り、予め周知の視覚化手段を用いて位置確認しておいた血餅を通過して進める。先導ガイドワイヤ604とテーパー先端チップ742によって、カテーテル600の血餅通過が容易になる。さらに、外管の先端シース676の先端がテーパーチップ742の基端口743内に挿入されているために、カテーテル本体が血餅を通過するときの血餅の捕捉が防止される。固定マーカーバンド722の位置によって確認し得るように、適当な長さのカテーテル600を血餅に通して進めたら、血餅除去ネスト750を広げて配置する。
先に述べたように、滑り注入ポート630をハンドル本体612に関して基端方向に移動させると(図11A参照)、血餅除去ネスト750が拡張配置される。すなわち、図12及び図12Aで最もよくわかるように、滑り注入ポート630は外管650に関して軸方向に固定されている。操作者が滑り注入ポート630を通路618に沿って基端方向に移動させると、外管650は強化内管680に関して引っ張られる。注入口640を介した点滴注入により、外管650の内表面及び強化内管680の外表面上に装備された親水性コーティングが水和されて、潤滑になる。より相殺には、これらの対向表面で滑らかなコーティングが得られる。このように滑らかになると、外管650が強化内管680上を基端方向に摺動しやすくなる。
外管650が強化内管680上を移動すると、図19Aから図19Bへの変形が生じる。すなわち、外管の先端シース676が基端方向752に摺動すると、ワイヤ724が緩められ、拡張ワイヤネスト750を形成する。さらに操作者は、滑りマーカーバンド738の固定マーカーバンド722方向への移動によってワイヤネスト750の拡張配備が生じたことがわかる。血餅除去装置724を収縮形状に拘束する外管の先端シース676は、好適には強化内管680の血餅除去装置が取り付けられている部分よりもほぼ低い長手方向強度を有する。これは、カテーテル600の先端の弾性を増強するのに役立つと共に、伸縮自在な拡張配置を可能にする適切な縦強度を確実にする。所望なら、操作者は、血餅除去装置724が拡張配置形状に維持されるように、ボルト646を締めて、内管と外管の相対位置を維持し得る。
この時点で、カテーテル600全体をガイドワイヤ604の上を伝うか、又はガイドワイヤ604と共に基端方向に引っ込めて、拡張ワイヤネスト750を血餅に絡ませる。カテーテル600を回転させるか、強化内管680だけを回転させると、ワイヤネスト750を血餅に絡ませて取り込むのに役立つ。この手順のこの部分は、本発明の先に説明した実施形態に関連して図8D〜図8Fで示したものに類似している。
本発明の代替塞栓摘出用カテーテルの操作
図21〜図24は、本明細書に記載した1つ以上の特定のカテーテル実施形態を用いて実施し得る種々の血餅除去技術を例示している。バルーン閉塞及び吸引などのある種の技術は当業では周知であるが、本発明者らは、本発明のオーバー・ザ・ワイヤカテーテルが
先行技術より優れた有意な利点を提供する新規な組合わせを可能にすると考える。すなわち、先ず、血餅を通過してガイドワイヤを進めることは、多様な血餅除去装置を血餅の下流側に進め得る手段を提供する。血餅の両側への到達は、操作者に従来になかった柔軟性を与える。先行技術装置のなかには、血餅を通過して、例えば、血餅の下流側でバルーンを拡張させるカテーテルを示すものもあるが、これらの装置はいずれも、極めて微細な血管内の血餅の除去には適していない。したがって、本発明は、例えば、虚血性卒中治療において有意な進歩を有した、小血管の血餅除去装置及び方法を提供する。
図21A及び図21Bは、血餅802を通過してガイドワイヤ800を進める際の本発明の基本的進歩を例示している。示されているガイドワイヤ800は、テーパーチップ804を有し、例えば、鋭利なチップを備えている場合のように、血餅802を貫通するように特別に設計し得る。外側カテーテルシャフト806は血餅802に近接して進められた状態で示されており、その位置には、マーカーバンドを用いたり、X線写真で視覚化することにより、容易に到達することができる。
図21Bは、ガイドワイヤ800の上を伝って内側カテーテルシャフト808を進める方法を説明している。最初にガイドワイヤ800を血餅802に通すことの1つの有意な利点は、第1内側カテーテルシャフト808を導入して利用し、取り出してから、第2カテーテルシャフトを導入し得ることである。このように、適切な位置に保持されている単一のガイドワイヤ800を利用して、多様な処置及び/又は装置を適用して血餅802を除去することができる。これによって、時間が節約され、患者への外傷が少なくなる。
図22は、ガイドワイヤ824の上を伝い、血餅826を通過して進められた後の、先端部に膨脹バルーン822を有する注入カテーテル820を示す断面図である。図18及び図19に示されている注入口746に関して上述したように、注入カテーテル820は、その長さに沿って間隔が置かれた可変数の注入口を有し得る。より詳細には、注入カテーテル820は、注入口が少ないか又は全く無い基端領域830と、血餅826中に埋まり、注入口が中心部に集中している中間領域832と、注入口が密集している先端領域834とを有する。これらの注入口を通過する相対流体流は概略的に示されている。
好適な実施形態において、血餅826の分解に適した流体は、注入カテーテル820の注入口を介して導入される。バルーン822があるために、流体は、より効果的な血餅分解に適した血餅826領域に留まる。また、分解流体を血餅826の真中に注入することにより、血餅826の内部分解が容易になる。さらに、先端領域834からの多量の流体流は、血餅826をカテーテルシャフト836に向かって基端方向に押し流す圧力勾配を作り出すのに役立つ。
図23A及び図23Bは、中央のガイドワイヤ通過口844に加えて複数の吸引口842を有する多重管腔断面を持つカテーテルシャフト840を例示している。カテーテルシャフト840は、分解した血餅826を吸引するための図22に示されている装置に関連して利用し得る。
図24Aは、図22に示されているものと類似ではあるが、引っ込め可能なカテーテルシース852の先端から拡張された状態で示されている拡張可能容器850が付加された血餅除去装置を例示している。ガイドワイヤ858の上を伝って注入カテーテル854とバルーン856が進められている。基端方向に移動する分解血餅862を捕獲するために、拡張可能容器852に、矢印860で示されているような吸引力の使用を組合わせてもよい。
図24Bは、血餅872に隣接する外側カテーテルシャフト870と共に、ガイドワイ
ヤ878の上を伝って血餅を通過して進められた注入カテーテル874及び拡張可能血餅トラップ876を示している。拡張可能血餅トラップ876は、上述の実施形態のいずれであってもよく、両端が注入カテーテル874に取り付けられた個別スプリング部材として示されている。分解血餅物の小粒子を捕獲しやすくするために帯ひも880を付けてもよい。カテーテル874から血餅分解を促進する注入剤882が出ているのも示されている。この場合も、この装置と吸引を組合わせ得る。
図24Cは、図24Bの構造と類似ではあるが、間に帯ひも892が付いた複数の傘様支柱を有する拡張可能血餅トラップ890を備えている。血餅トラップ890をすぼめるためにカラー893を付けてもよい。この場合も、注入カテーテル894と血餅トラップ890は、予め血餅898に突き通しておいたガイドワイヤ896の上を伝って進められている。
最後に、図24Dは、図24B及び図24Cに示されているものと類似ではあるが、注入カテーテル904の先端から突き出ている複数の曲線スプリングワイヤ902からなる血餅除去トラップ900を備えた装置である。スプリングワイヤ902は好適には、注入カテーテル904内に形成された個別管腔を通過可能であり、血管穿孔を防止するように丸い先端を有する。この場合も、先ず、ガイドワイヤ906を血餅908に通して進める。
注入ガイドワイヤ
血餅の下流側への持続的アクセスを可能にするガイドワイヤによって得られる利点に加えて、本発明は、流体の注入に利用し得る特殊タイプのガイドワイヤの使用を考えている。小型注入カテーテルは当業では公知であるが、本発明は、脳血管などの微細血管内の血餅の下流側に流体を注入し得る最初の装置であると考えられる。この特徴は、血餅除去カテーテル用手段として血餅を通過した位置にガイドワイヤを配置するという上述の利点と共に、先行技術より有意に進歩したものである。
本発明の注入ガイドワイヤ920の実施例は図25A,25Bに概略的に示されている。注入ガイドワイヤ920は、内側ワイヤ部材922と外側ワイヤ部材924とを備えている。ガイドワイヤ920は、長さLの基端領域と、長さLのテーパー中間領域と、長さLの先端領域とを有するマイクロカテーテル926に挿入された状態で示されている。これらの長さは、例えば、L=100センチメートル、L=20センチメートル、L=20センチメートルであってよく、軸方向長さは概略的に示されている。
ワイヤ部材922は約0.01778センチメートル(約0.007インチ)の外径を有する。スリーブ部材924は、ワイヤ部材の外径よりわずかに大きい内径を有し、好ましくは約0.02032センチメートル(約0.008インチ)である。スリーブ部材924の外径は好適には約0.0254センチメートル(約0.010インチ)である。マイクロカテーテル926の先端領域Lの内径は、スリーブ部材924の周囲にぴったり合っているが、基端領域Lでは、マイクロカテーテル926のスリーブ部材924と内側管腔930との間に環状空間928が形成されている。
ワイヤ部材922は、そのスリーブ部材924よりわずかに小さい寸法のおかげで、図25Bの矢印932で示されているように、スリーブ部材内を縦方向に移動し得る。マイクロカテーテル926の中間領域Lでスリーブ部材924に複数のサイドポート934が設けられている。したがって、ワイヤ部材922が図25Bに示されている位置に引っ込められた後で、環状空間928内に注入された流体は、サイドポート934を通ってスリーブ部材924の管腔936内に流れ、そこから先端チップ938の外に流出し得る。
本発明の注入ガイドワイヤは、使用時には、図26Aに示されているように、血管内を
血餅に向かって進められる。ワイヤ部材922とスリーブ部材924は、血餅950とは無関係に、又は血餅と近接するところまでマイクロカテーテル926内を進め得る。図26Bは、血餅950を下流側まで貫通しているワイヤ部材922とスリーブ部材924を備えた注入ガイドワイヤを例示している。その後、図26Cに示されているように、スリーブ部材924を血餅950の下流側の適所に残して、ワイヤ部材922を矢印952で示されているように引っ込める。次いで、図26Dの954で示されているように、スリーブ部材924を介して流体を注入し得る。そのような流体は、例えば、薬剤、血餅分解化学物質又は造影剤であってよい。
血餅の下流側に流体を注入し得るという利点は先に説明したが、1つの特別な利点は、血餅950のサイズや位置をより良く視覚化する造影剤を注入し得る能力である。それゆえ、1つの本発明血餅除去装置を使用することを予期して、図26Dに示されているように、例えば造影剤を954で注入し得る。
本発明の塞栓摘出用カテーテルを導入する前に、図27Aに示されているように、ワイヤ部材922をスリーブ部材924内に再挿入して、適当な剛性を得るのが望ましい。その後で、図27Bに示されているように、塞栓摘出用カテーテル960を、矢印962で示されているように注入ガイドワイヤに沿って、血餅を通過して進める。その後、図27Cに964で示されているように、塞栓摘出用カテーテル960の伸縮自在要素を引っ込めて、図18及び図19に関して上述したらせんワイヤなどの血餅除去装置966を解放する。本発明の塞栓摘出用カテーテルはいずれも置き換え可能である。最後に、図27Dに示されているように、塞栓摘出用カテーテル960を矢印970で示されているように引っ込めて、血餅除去装置966に血餅950を絡めた状態にして血餅950を除去する。
本明細書では本発明を特定の典型的な実施形態のみに関して説明してきたが、本発明のすべての実現可能な実施形態を余すことなく説明しようとしたわけではないものと理解されたい。例えば、本明細書に示されている特定の寸法は制限的と解釈されるべきではない。当業者には分るであろうが、上述の実施形態には、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の付加、削除、改良及び/又は変更を加え得ることは勿論である。そのようなすべての付加、削除、変更及び改良は、以下のクレームの範囲内に包含されるものとする

Claims (18)

  1. 外部シースと、該外部シースの先端から先端を指向して拡張するための拡張可能容器と、
    前記外部シースの管腔を貫通して摺動可能な注入カテーテルとを備えるカテーテルにおいて、前記注入カテーテルは、
    注入口と、
    拡張可能な血餅トラップであって、付勢力により自動的にらせん形状のコイルに巻回するワイヤからなる拡張可能な血餅トラップと、
    ガイドワイヤの管腔であって、前記注入カテーテル及び前記拡張可能な血餅トラップを貫通して伸びることにより、前記拡張可能な血餅トラップがつぶれた形状のときには、予め血管の閉塞物を貫通して進ませておいたガイドワイヤの上を伝って前記注入カテーテル及び前記拡張可能な血餅トラップを進ませることができる、ガイドワイヤ管腔とを備える、カテーテル。
  2. 前記拡張可能な血餅トラップは複数のスプリング部材からなる、請求項1に記載のカテーテル。
  3. 前記拡張可能な血餅トラップは、複数の湾曲したスプリングワイヤからなる、請求項1に記載のカテーテル。
  4. 前記注入カテーテルは前記ガイドワイヤの管腔とは別個の注入用管腔を有する、請求項1に記載のカテーテル。
  5. 前記注入カテーテルは複数の注入用管腔を有する、請求項1に記載のカテーテル。
  6. 前記注入カテーテルは複数の注入口を有する、請求項1に記載のカテーテル。
  7. 前記複数の注入口は前記注入カテーテルの長さ方向に沿って様々な間隔をおいて設けられる、請求項6に記載のカテーテル。
  8. 前記注入カテーテルは前記拡張可能な要素を倒壊するためにカラーを備えている、請求項1に記載のカテーテル。
  9. 前記カテーテルを貫通して先端側に引き込む吸引をさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
  10. ガイドワイヤの上を越えて送達されるための注入カテーテルと、
    前記注入カテーテルの長さ方向に離間して配置される複数の注入口と、
    前記注入カテーテルの先端に取り付けられる、拡張可能な血餅トラップであって、付勢力により自動的にらせん形状のコイルに巻回するワイヤからなる拡張可能な血餅トラップと、
    ガイドワイヤの管腔であって、前記注入カテーテル及び前記拡張可能な血餅トラップを貫通して伸びることにより、前記拡張可能な血餅トラップがつぶれた形状のときには、予め血管の閉塞物を貫通して進ませておいたガイドワイヤの上を伝って前記注入カテーテル及び前記拡張可能な血餅トラップを進ませることができる、ガイドワイヤ管腔と、
    前記注入カテーテルを摺動可能に貫通させる管腔を有した外部シースと、血餅を捕獲するために前記外部シースの先端から先端を指向して拡張する拡張可能容器とを備える、血餅除去装置。
  11. 前記注入口を通る注入液の注入は、血餅を前記血餅除去装置の先端に向かって押し出す圧力勾配を生じる、請求項10に記載の血餅除去装置。
  12. 前記カテーテルを貫通して先端側に引き込む吸引をさらに備える、請求項10に記載の血餅除去装置。
  13. 前記拡張可能な血餅トラップは複数のスプリング部材からなる、請求項10に記載の血餅除去装置。
  14. 前記拡張可能な血餅トラップは、複数の湾曲したスプリングワイヤからなる、請求項10に記載の血餅除去装置。
  15. 前記注入カテーテルは前記ガイドワイヤの管腔とは別個の注入用管腔を有する、請求項10に記載の血餅除去装置。
  16. 前記注入カテーテルは複数の注入用管腔を有する、請求項10に記載の血餅除去装置。
  17. 前記複数の注入口は前記注入カテーテルの長さ方向に沿って様々な間隔をおいて設けられる、請求項10に記載の血餅除去装置。
  18. 前記注入カテーテルは前記拡張可能な要素を倒壊するためにカラーを備えている、請求項10に記載の血餅除去装置。
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