JP2015029949A - 油水分離処理システム、油水分離処理方法及びスパイラル型分離膜エレメント - Google Patents

油水分離処理システム、油水分離処理方法及びスパイラル型分離膜エレメント Download PDF

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Abstract

【課題】様々な粒径の油滴や濁質を含有する油水混合液を省スペースで効率的に処理できる油水分離処理システムを提供することを目的とする。【解決手段】本発明の油水分離処理システムは、吸着塔モジュールとスパイラル型膜分離モジュールとをこの順に備え、吸着塔モジュールが、略鉛直に設置される筒状の本体と、この本体内に多段に配設される複数の処理層とを有し、本体の上方から油水混合液を供給し、下方から第1処理液を排出するものであり、スパイラル型膜分離モジュールが、略円筒状のケーシングと、ケーシングの中心軸部分に配設される集液管と、ケーシング内に配設され、集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の分離膜と、この分離膜内に収容される透過液流路材と、分離膜間に積層される複数の原液流路材とを有し、ケーシングの端部から第1処理液を供給し、集液管の端部から第2処理液を排出するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、油水分離処理システム、油水分離処理方法及びスパイラル型分離膜エレメントに関する。
油田等で発生する油や濁質を含んだ油水混合液(随伴水)は、環境保全の観点から油や濁質の混合量を一定値以下まで低減してから廃棄する必要がある。油や濁質を油水混合液から分離除去する方法としては、重力分離、蒸留分離、薬品分離等があるが、低コストで油や濁質を分離除去する方法として粒子を充填した水処理層を用いる方法がある。
上記水処理層を用いた処理装置は、粒子によって油水混合液の油分及び濁質を分離し、これらを除去した水を排出するものである(特開平5−154309号公報参照)。
また、油や濁質を分離除去する水処理装置として、スパイラル型分離膜モジュールが公知である(特開2000−437号公報参照)。
特開平5−154309号公報 特開2000−437号公報
上記従来の水処理層による処理装置は、油等の不純物の粒子の大きさが一定範囲内にある油水混合液には好適に用いることができる。しかし、処理層の数が1層であるため、様々な大きさの濁質や油のエマルジョン等をも含有している油水混合液の場合は、複数回に分けて多段的に処理を繰り返す必要があり、装置の大型化が避けられない。また、この処理層のみでは微細な油滴等を十分に除去することができない場合がある。
また、上記従来のスパイラル型分離膜モジュールは、分離膜の微細孔により油等を分離するものであるが、分離する油の粘度が高い場合やエマルジョン化している場合には微細孔が油によって閉塞され易い。その結果、油水混合液の油水分離開始後、微細孔の閉塞によってフィルタの圧力損失が高くなり、比較的短時間で処理能力が低下するという不都合を有している。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、様々な粒径の油滴や濁質を含有する油水混合液を省スペースでかつ効率的に処理できる油水分離処理システム、油水分離処理方法及びスパイラル型分離膜エレメントを提供することを目的とする。本発明は、油田等で発生する石油随伴水に好適に用いることができるが、このような石油随伴水に限らず、工場などからの油を含む排水の油分除去浄化処理などに幅広く適用できる。
上記課題を解決するためになされた発明は、油水混合液から非水溶性油分を分離する油水分離処理システムであって、吸着塔モジュールとスパイラル型膜分離モジュールとをこの順に備え、上記吸着塔モジュールが、略鉛直に設置される筒状の本体と、この本体内に多段に配設される複数の処理層とを有し、上記本体の上方から油水混合液を供給し、下方から第1処理液を排出するものであり、上記スパイラル型膜分離モジュールが、略円筒状のケーシングと、このケーシングの中心軸部分に配設される集液管と、上記ケーシング内に配設され、集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有し、上記ケーシングの端部から第1処理液を供給し、上記集液管の端部から第2処理液を排出するものである。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、油水混合液から非水溶性油分を分離する油水分離処理方法であって、略鉛直に設置される筒状の本体と、この本体内に多段に配設される複数の処理層とを有する吸着塔モジュールを用い、上記本体の上方から油水混合液を供給し、下方から第1処理液を排出する工程と、略円筒状のケーシングと、このケーシングの中心軸部分に配設される集液管と、上記ケーシング内に配設され、集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有するスパイラル型膜分離モジュールを用い、上記ケーシングの端部から第1処理液を供給し、集液管の端部から第2処理液を排出する工程とをこの順に備える油水分離処理方法である。
さらに、上記課題を解決するためになされた別の発明は、集液管と、この集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有するスパイラル型分離膜エレメントであって、上記分離膜が不織布であり、この不織布が有する繊維の平均径が1μm以下である。
本発明の油水分離処理システム、油水分離処理方法及びスパイラル型分離膜エレメントは、様々な粒径の油滴や濁質を含有する油水混合液を省スペースでかつ効率的に処理できる。従って、本発明の油水分離処理システム、油水分離処理方法及びスパイラル型分離膜エレメントは、油に加えて種々の濁質を含む油水混合液を大量に分離処理することができる。
図1は、本発明の一実施形態の油水分離処理システムを示す模式的概念図である。 図2は、図1の吸着塔モジュールを示す模式的端面図である。 図3は、図2の実施形態とは異なる実施形態の吸着塔モジュールの一部分を示す模式的端面図である。 図4は、図2及び図3の実施形態とは異なる実施形態の吸着塔モジュールの一部分を示す模式的端面図である。 図5は、図1のスパイラル型分離膜モジュールの模式的断面図である。 図6は、図5のスパイラル型分離膜モジュールの膜エレメントを、一部を破断して示す模式的斜視図である。 図7は、図6の膜エレメントを展開した状態での模式的断面図である。 図8は、図6の膜エレメントの分離膜を示す模式的斜視図である。 図9は、図6の膜エレメント要部を示す模式的断面図である。 図10は、図6の膜エレメントの原液流路材(メッシュスペーサ)の一部を示す模式的平面図である。 図11は、図10のX1−X1線に沿う模式的断面図である。 図12は、従来の膜エレメントの原液流路材(メッシュスペーサ)の一部を示す模式的断面図である。
[本願発明の実施形態の説明]
本願発明は、油水混合液から非水溶性油分を分離する油水分離処理システムであって、吸着塔モジュールとスパイラル型膜分離モジュールとをこの順に備え、上記吸着塔モジュールが、略鉛直に設置される筒状の本体と、この本体内に多段に配設される複数の処理層とを有し、上記本体の上方から油水混合液を供給し、下方から第1処理液を排出するものであり、上記スパイラル型膜分離モジュールが、略円筒状のケーシングと、このケーシングの中心軸部分に配設される集液管と、上記ケーシング内に配設され、集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有し、上記ケーシングの端部から第1処理液を供給し、上記集液管の端部から第2処理液を排出するものである油水分離処理システムである。
当該油水分離処理システムは、油水混合液の供給方向に多段に配設される複数の処理層を有する吸着塔モジュールを備えるため、油や種々の濁質を含む油水混合液を段階的に効率よく処理することができ、特に比較的大きな油分や濁質を効果的に除去することができる。加えて、この吸着塔モジュールは、処理層を複数備えるため、装置の小型化を図ることができる。また、当該油水分離処理システムは、この吸着塔モジュールから排出された第1処理液をさらに処理するスパイラル型分離膜モジュールを備えるため、より微細な油や濁質を効率よく分離できる。その結果、当該油水分離処理システムは、省スペースで高い水処理効率を発揮することができる。
上記吸着塔モジュールが、上流側から順に、複数の第1粒子を封入する第1処理層と、この第1粒子の降下を防止する第1仕切板と、この第1粒子より平均径が小さい複数の第2粒子を封入する第2処理層と、この第2粒子の降下を防止する第2仕切板とを備え、定常状態において上記第2処理層の上方に空間部を備えるとよい。吸着塔モジュールをこのような構成とすることで、第1処理層で粒径の比較的大きい油滴や濁質を分離し、その後エマルジョン化した油滴や微細な濁質を第2処理層で分離することができる。これにより複数の水処理装置を組み合わせることなく、油や種々の濁質を含む油水混合液を処理することができるため、当該油水分離処理システムはさらなる装置の小型化を図ることができる。また、吸着塔モジュールが定常状態で第2処理層の上方に空間部を備えるため、この空間部に浮上分離した油滴や濁質を保持することで浄化処理能力を向上することができ、加えて逆洗によって空間部に保持した油滴や濁質を容易かつ確実に本体外へ排出することができる。また、逆洗時に第2処理層に封入された第2粒子がこの空間部内に舞い上がるため、第2粒子間に捕捉された油滴や濁質等も効果的に排出することができる。これにより当該油水分離処理システムは、吸着塔モジュールの逆洗時間及び逆洗水量を低減することができ、ひいては高い水処理効率を発揮することができる。さらに、吸着塔モジュールが第1粒子の降下を防止する第1仕切板を有するため、定常状態及び逆洗状態において第1粒子が第1処理層から第2処理層に流動することを防止することができる。
上記第1粒子の平均径としては100μm以上500μm以下が好ましく、上記第2粒子の平均径としては10μm以上300μm以下が好ましい。このように第1粒子及び第2粒子の平均径をそれぞれ上記範囲内とすることで、吸着塔モジュールにおいて、粒径の比較的大きい油滴及び濁質と、粒径の比較的小さい油滴及び濁質をそれぞれ効果的に分離することができる。なお、「粒子の平均径」とは、JI−Z8801−1(2006)に規定される篩を用い、目開きの大きい篩から順に粒子をかけて篩上の粒子数と各篩の目開きとから算出される値である。
上記スパイラル型分離膜モジュールにおいて、分離膜が有機繊維により形成される不織布であることが好ましく、この有機繊維の平均径としては1μm以下が好ましい。分離膜をこのような不織布とすることで、従来の油水分離膜と異なり、油分の有機繊維への吸着により油水を効率よく分離することができる。従って、繊維間に形成される空孔を微細化する必要がなく孔径を大きくすることができるため、高粘度油によって空孔が閉塞されることを抑制できる。その結果、当該油水分離処理システムは、スパイラル型分離膜モジュールにおいて圧力損失の上昇を抑制して油水分離処理量の低減を防止することができる。これにより、当該油水分離処理システムはより高い水処理能力を発揮できる。また、有機繊維の平均径を上記下限以下とすることで、繊維の体積に対する表面積比を大きくできるため、不織布の空孔の大きさ及び空隙率を維持したまま、分離膜の油吸着能力をさらに向上させることができる。なお、有機繊維の平均径とは、走査型電子顕微鏡を用いて100本の繊維について測定した繊維径の平均値を意味する。
上記スパイラル型分離膜モジュールにおいて、上記原液流路材が複数の第1構成糸とこれらの第1構成糸に交差する複数の第2構成糸とを有し、これらが複数の交差部分で一体化されており、上記第1構成糸における上記交差部分の間に位置する線状部分の平均最小径が上記交差部分の平均最大厚みよりも小さく、上記第1構成糸の線状部分の軸芯の上記交差部分の厚み方向の中心に対する上記厚み方向の偏倚量が上記交差部分の平均最大厚みと上記線状部分の平均最小径との差の半分以下であるとよい。原液流炉材をこのような構成とすることで、交差部分において分離膜に接触し、第1構成糸の線状部分が分離膜とは接触しない構成とすることが可能となる。そのため、第1構成糸の線状部分と分離膜との接触面積が小さくなる結果、原液供給時の原液流れの乱れに起因する分離膜表面での濃度分極を抑制し、圧力損失を低減できる。これにより、当該油水分離処理システムは、スパイラル型分離膜モジュールにおいて、性能低下を効果的に抑制できる。
ここで、「厚み方向」とは、第1構成糸と第2構成糸との重ね方向をいう。「交点部分の平均最大厚み」とは、任意に選択された複数の交点部分における厚み方向の最大寸法の平均値であり、10点の平均値とする。「線状部分の平均最小径」とは、各構成糸の軸方向に隣接する2つの交点部分間に位置する部分の厚み方向の最小径を、任意に選択された複数の部分で測定した値の平均値であり、10点の平均値とする。「第1構成糸」及び「第2構成糸」は、これらの構成糸の線状部分の上記平均最小径が小さいほうが「第1構成糸」、上記平均最小径が大きいほうが「第2構成糸」として定義される。なお、2つの構成糸の平均最小径が同じである場合には、「第1構成糸」及び「第2構成糸」は任意に定義される。
上記油水混合液が石油随伴水であるとよい。石油の採掘現場等で発生する石油随伴水に含まれる油分は2000ppm以下程度であり、当該油水分離処理システムは、このような石油随伴水の分離用途に特に好適に用いることができる。
当該油水分離処理システムは、1又は複数の上記吸着塔モジュールを有する吸着塔ユニットと、直列又は並列に連結される複数の上記スパイラル型膜分離モジュールを有する膜分離ユニットと、上記吸着塔モジュール及びスパイラル型分離膜モジュールを逆洗する制御ユニットとを備えるとよい。このようなユニット群を備えることで、当該油水分離処理システムの処理能力を容易かつ確実に維持することができる。
当該油水分離処理システムは、上記吸着塔ユニット、膜分離ユニット及び制御ユニットが載置される移動体をさらに備えるとよい。このような移動体を備えることで、当該油水分離処理システムの油田等への搬送を容易にすることができ、当該油水分離処理システムの搬送及び設置のコストを低減することができる。
当該油水分離処理システムは、採掘流体から油水混合液を分離するセパレータをさらに備えるとよい。このようにセパレータを備えることで、採掘流体から油やガス等を有効に回収することができると共に、当該油水分離処理システムの油水分離効率をより高めることができる。
また、本願発明は、油水混合液から非水溶性油分を分離する油水分離処理方法であって、略鉛直に設置される筒状の本体と、この本体内に多段に配設される複数の処理層とを有する吸着塔モジュールを用い、上記本体の上方から油水混合液を供給し、下方から第1処理液を排出する工程と、略円筒状のケーシングと、このケーシングの中心軸部分に配設される集液管と、上記ケーシング内に配設され、集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有するスパイラル型膜分離モジュールを用い、上記ケーシングの端部から第1処理液を供給し、集液管の端部から第2処理液を排出する工程とをこの順に備える油水分離処理方法を含む。
当該油水分離処理方法は、油水混合液の供給方向に多段に配設される複数の処理層を有する吸着塔モジュールで第1処理液を排出する工程を有するため、油や種々の濁質を含む油水混合液を段階的に効率よく処理することができる。また、当該油水分離処理方法は、この吸着塔モジュールから排出された第1処理液をさらにスパイラル型分離膜モジュールを用いて処理するため、より微細な油や濁質を効率よく分離できる。その結果、当該油水分離処理方法は、省スペースで高い水処理効率を発揮することができる。
上記油水混合液の吸着塔モジュールにおける処理速度としては200m/m・day以上が好ましい。油水混合液の処理速度を上記下限以上とすることで、油田等の大量に油水混合液が発生する施設において当該油水分離処理方法を好適に用いることができる。
また、本願発明は、集液管と、この集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有するスパイラル型分離膜エレメントであって、上記分離膜が不織布であり、この不織布が有する繊維の平均径が1μm以下であるスパイラル型分離膜エレメントを含む。
当該スパイラル型分離膜エレメントは、従来の油水分離膜と異なり、油分の有機繊維への吸着により油水を効率よく分離することができる。従って、繊維間に形成される空孔を微細化する必要がなく孔径を大きくすることができるため、高粘度油によって空孔が閉塞されることを抑制できる。その結果、当該スパイラル型分離膜エレメントは、スパイラル型分離膜モジュールにおける圧力損失の上昇を抑制して油水分離処理量の低減を防止することができる。これにより、当該スパイラル型分離膜エレメントを用いたスパイラル型分離膜モジュールは高い水処理能力を発揮できる。また、有機繊維の平均径を上記下限以下とすることで、繊維の体積に対する表面積比を大きくできるため、不織布の空孔の大きさ及び空隙率を維持したまま、分離膜の油吸着能力をさらに向上させることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る油水分離処理システム、油水分離処理方法、及びスパイラル型分離膜エレメントの実施形態について詳説する。
[油水分離処理システム]
図1に示す油水分離処理システムは、セパレータ201と吸着塔モジュール1と複数のスパイラル型膜分離モジュール101とをこの順に主に備える。
当該油水分離処理システムは、油と濁質とを含有する石油随伴水に対し、非水溶性油分を好適に分離することができる。この濁質とは、例えば砂、シリカや炭酸カルシウムなどの粒子、鉄粉、微生物、木片等を含む。
<セパレータ>
セパレータ201は、油田等の採掘流体をガス、油及び随伴水に分離する装置である。当該油水分離処理システムのセパレータ201としては、公知のセパレータを用いることができ、例えばガスと液体とを分離するセパレータと油水分離セパレータとを組み合わせて用いてもよいし、採掘流体をガス、油及び随伴水に一度に分離するセパレータを用いてもよい。
<吸着塔モジュール>
上記吸着塔モジュール1は、図2に示すように、略鉛直方向に配設される筒状の本体2と、この本体2内に配設される複数の処理層とを備える。この複数の処理層は、上流側から順に、複数の第1粒子3aを封入する第1処理層3と、この第1粒子3aより平均径が小さい複数の第2粒子4aを封入する第2処理層4と、油を吸着する吸着剤を封入する第3処理層5とからなる。また、吸着塔モジュール1は、第1処理層3と第2処理層4との間に配設され、第1粒子3aの降下を防止する第1仕切板6と、第2処理層4と第3処理層5との間に配設され、第2粒子4aの降下を防止する第2仕切板7と、第3処理層5の下流側に配設され、吸着剤の降下を防止する第3仕切板8とを備える。さらに、吸着塔モジュール1は、定常状態において第1処理層3及び第2処理層4の上方にそれぞれ第1空間部9及び第2空間部10を備え、第3処理層5の下方にヘッダ部11を備える。吸着塔モジュール1は、本体2内に配設される上記複数の処理層により上方から供給される随伴水Xを浄化し、下方から第1処理液Yを回収する。
さらに上記吸着塔モジュール1は、本体2の下方から逆洗水を供給する逆洗水供給部(図示せず)と、本体2の上方から逆洗水を回収する逆洗水回収部(図示せず)と、上記第2空間部10に側方から逆洗水を噴射するジェット水流発生部(図示せず)とをさらに備える。
(本体)
上記本体2は筒状体であり、その中心軸が鉛直方向と略一致するように配置される。また本体2は、天面部に接続され、随伴水Xを供給する供給管12と、底面部に接続され、第1処理液Yを回収する回収管13と、側面部の上方に接続され、逆洗時に逆洗水Bが排出される排出管14と、後述する第2空間部10の側面に接続され、ジェット水流Aを供給するジェット水流供給管15とを有する。
上記回収管13は、第1処理液Yを回収すると共に、後述の逆洗水供給部に接続され、逆洗状態において逆洗水を本体2内部に供給する管である。上記排出管14は、後述の逆洗水回収部に接続され、本体2内部から逆洗水を排出する管である。上記ジェット水流供給管15は、後述のジェット水流発生部に接続され、逆洗状態においてジェット水流Aを本体2内部に供給する管である。なお、定常状態において被処理水が排出管14側及びジェット水流供給管15側に流入しないよう、排出管14及びジェット水流供給管15にはバルブ等の開閉手段(図示せず)が設けられる。
本体2の材質としては特に限定されず、金属や合成樹脂等を用いることができる。特に、強度、耐熱性、耐薬品性等の観点からステンレス又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)が好ましい。
本体2の平面形状(底面形状)としては特に限定されず、円形、矩形等とすることができるが、円形が好ましい。本体2の平面形状を円形とすることで、本体2内部の角部を無くすことができ、粒子等が角部に詰まることを防止できる。また、本体2の強度設計がし易いというメリットも発生する。
本体2のサイズは、随伴水の処理量によって適宜設計することができる。本体2の直径としては例えば0.5m以上5m以下とすることができる。本体2の高さとしては例えば0.5m以上10m以下とすることができる。
(第1処理層)
上記第1処理層3は、本体2内部の最も上流側に配設され、複数の第1粒子3aを封入する。この複数の第1粒子3aは、後述する第1仕切板6によって降下が防止されており、この第1仕切板6の上面側に堆積し、層を形成している。この第1処理層3は、随伴水に含まれる粒径の比較的大きい油滴や濁質粒子を主に除去する。
第1粒子3aとしては、公知の濾過処理用の粒子を用いることができ、例えば粒子径の比較的大きい砂、高分子化合物、天然素材等を主成分とする粒子を用いることができる。上記砂としては、例えばアンスラサイト、ガーネット、マンガン砂等を挙げることができ、これらを1種で又は2種以上混合して用いることができる。
上記高分子化合物としては、例えばビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でも耐水性、耐油性等に優れるビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、吸着性に優れるポリオレフィン樹脂がより好ましい。さらにポリオレフィン樹脂の中でも特に油分吸着能力に優れるポリプロピレン樹脂が好ましい。また、高分子化合物の場合、不定形の粉砕粒子を用いることが好ましい。不定形の粉砕粒子を用いることで、粒子を緻密に堆積させることができ、濾過効率を向上させると共に、定常状態における粒子の浮き上がりを防止することができる。
上記天然素材としては、篩い分けして粒子サイズを整えたものを使用することができ、例えばクルミの殻、おがくず、麻などの天然繊維等を挙げることができる。
第1粒子3aとしては、上述した高分子化合物を主成分とする粒子を用いることが好ましい。このように高分子化合物を主成分とする粒子を第1粒子3aとして用いることで、吸着塔モジュール1のコスト及び重量を低減することができる。また、第1粒子3aの比重を小さくできるため、逆洗時の撹拌効果を高めることができる。
第1粒子3aの平均径の下限としては、100μmが好ましく、150μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。第1粒子3aの平均径が上記下限未満の場合、第1処理層3に封入される粒子の密度が大きくなり、吸着塔モジュール1の圧損が大きくなるおそれや、吸着塔モジュール1のコスト及び重量が増加するおそれがある。一方、第1粒子3aの平均径の上限としては、500μmが好ましく、400μmがより好ましく、300μmがさらに好ましい。第1粒子3aの平均径が上記上限を超える場合、粒径の比較的大きい油滴や濁質粒子の除去性能が不十分となるおそれがある。
第1粒子3aの均等係数の下限としては、1.1が好ましく、1.3がより好ましい。第1粒子3aの均等係数が上記下限未満の場合、粒子のバラツキが小さくなり粒子を緻密に堆積させることができないおそれがある。一方、第1粒子3aの均等係数の上限としては、1.8が好ましく、1.6がより好ましい。第1粒子3aの均等係数が上記上限を超える場合、第1処理層3内部で油滴や濁質の分離能力が不均一となるおそれがある。なお、均等係数とは、質量で60%の粒子が通過した篩の目開き(粒径)をD60、質量で10%の粒子が通過した篩の目開き(粒径)をD10としたときに、D60/D10で得られる値である。
上記複数の第1粒子3aは、定常状態(随伴水の処理時)に後述の第1仕切板6の上面に堆積している。定常状態におけるこの複数の第1粒子3aの堆積層の平均厚さは特に限定されないが、逆洗時の撹拌効果を高めるために後述する第1空間部9の平均高さ以下が好ましい。定常状態における複数の第1粒子3aの堆積層の平均厚さとしては、例えば10cm以上1m以下とすることができる。
(第1仕切板)
上記第1仕切板6は、第1処理層3と第2処理層4との間に配設され、第1粒子3aの降下を防止する板である。つまり、第1仕切板6は、第1粒子3aを通さずに液体を流通可能とする構成を有している。具体的には、第1仕切板6は、メッシュ(網)構造を有している。
第1仕切板6の材質としては特に限定されず、金属や合成樹脂等を用いることができる。金属を用いる場合、防食の観点からステンレス(特にSUS316L)を用いることが好ましい。合成樹脂を用いる場合、水圧や粒子の重量によって目開きが変化しないよう補強ワイヤー等の支持材を併用することが好ましい。
第1仕切板6のメッシュの公称目開きは、複数の第1粒子3aの最小径(第1粒子3aが通過しない篩の最大目開き)以下となるよう設計される。また、第1仕切板6のメッシュの公称目開きは、後述の第2粒子4aが逆洗時に第1処理層3に侵入しないように第2粒子4aの最小径よりも小さくすることが好ましいが、第2粒子4aの最小径が微小である場合、メッシュの公称目開きがさらに微小となり差圧が高くなる。そのため、第1仕切板6のメッシュの公称目開きは、第2粒子4aの平均径から第2粒子4aの粒子径の標準偏差を引いた値以下とすることが好ましい。この第1仕切板6のメッシュの公称目開きの上限としては、100μmが好ましく、80μm以下がより好ましい。上記公称目開きが上記上限を超える場合、第1粒子3a又は第2粒子4aが第1仕切板6を通過するおそれがある。一方、上記公称目開きの下限としては、10μmが好ましく、40μmがより好ましい。上記公称目開きが上記下限未満の場合、吸着塔モジュール1の圧損が大きくなるおそれがある。
(第1空間部)
上記第1空間部9は、定常状態で上記第1処理層3の上方に形成され、第1処理層3と上記本体2の天面との間に設けられる空間である。第1処理層3で分離された油や濁質の粒子の一部はこの第1空間部9に滞留(浮上分離)し、逆洗時に上記排出管14から逆洗水Bと共に排出される。また、逆洗時に第1粒子3aがこの第1空間部9内に舞い上がり撹拌されることで、効果的に第1処理層3を逆洗することができる。また、上記排出管14は、この第1空間部9の側方に接続されている。なお、排出管14の第1空間部9との接続部分(開口部)には、第1粒子3aが排出管14側に流入しないよう第1仕切板6と同程度の公称目開きを有するメッシュ部材等を設けることが好ましい。
定常状態における第1空間部9の平均高さは特に限定されないが、逆洗時の撹拌効果を高めるために上記複数の第1粒子3aの堆積層の平均厚さ以上が好ましい。また、定常状態における第1空間部9の平均高さとしては、例えば10cm以上2m以下とすることができる。
また、定常状態における第1空間部9の平均高さの上記複数の第1粒子3aの堆積層の平均厚さに対する比の下限としては、1倍が好ましく、2倍がより好ましい。上記比が上記下限未満の場合、第1処理層3の逆洗効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記比の上限としては、10倍が好ましい。上記比が上記上限を超える場合、吸着塔モジュール1の高さが不要に大きくなるおそれがある。
(第2処理層)
上記第2処理層4は、上記第1処理層3の下流側に配設され、複数の第2粒子4aを封入する。この複数の第2粒子4aは、後述する第2仕切板7によって降下が防止されており、この第2仕切板7の上面側に堆積し、層を形成している。この第2処理層4は、随伴水に含まれる微細な油滴や濁質を主に除去する。
第2粒子4aとしては、公知の濾過処理用の粒子を用いることができ、例えば粒子径の比較的小さい砂、高分子化合物等を主成分とする粒子を用いることができる。上記砂としては、例えば珪藻土等を挙げることができる。上記高分子化合物としては、例えばビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でも耐水性、耐油性等に優れるビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、吸着性に優れるポリオレフィン樹脂がより好ましい。さらにポリオレフィン樹脂の中でも特に油分吸着能力に優れるポリプロピレン樹脂が好ましい。また、高分子化合物の場合、不定形の粉砕粒子を用いることが好ましい。不定形の粉砕粒子を用いることで、粒子を緻密に堆積させることができ、濾過効率を向上させると共に、定常状態における粒子の浮き上がりを防止することができる。
第2粒子4aとしては、上述した高分子化合物を主成分とする粒子を用いることが好ましい。このように高分子化合物を主成分とする粒子を第2粒子4aとして用いることで、吸着塔モジュール1のコスト及び重量を低減することができる。また、第2粒子4aの比重を小さくできるため、逆洗時の撹拌効果を高めることができる。
第2粒子4aの平均径は、上記第1粒子3aの平均径よりも小さい。第2粒子4aの平均径の下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。第2粒子4aの平均径が上記下限未満の場合、第2処理層4に封入される粒子の密度が大きくなり、吸着塔モジュール1の圧損が大きくなるおそれや、コスト及び重量が増加するおそれがある。一方、第2粒子4aの平均径の上限としては、300μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。第2粒子4aの平均径が上記上限を超える場合、微細な油滴や濁質の除去性能が不十分となるおそれがある。なお、この第2粒子4aの均等係数については、上記第1粒子3aと同様とすることができる。
上記複数の第2粒子4aは、定常状態(随伴水の処理時)に後述の第2仕切板7の上面に堆積している。定常状態におけるこの複数の第2粒子4aの堆積層の平均厚さは特に限定されないが、逆洗時の撹拌効果を高めるために後述する第2空間部10の平均高さ以下が好ましい。定常状態における複数の第2粒子4aの堆積層の平均厚さとしては、例えば1cm以上50cm以下とすることができる。
(第2仕切板)
上記第2仕切板7は、第2処理層4と第3処理層5との間に配設され、第2粒子4aの降下を防止する板である。つまり、第2仕切板7は、上記第1仕切板6と同様、第2粒子4aを通さずに液体を流通可能とする構成を有しており、具体的にはメッシュ(網)構造を有している。
第2仕切板7の材質は、上記第1仕切板6と同様とすることができる。
第2仕切板7のメッシュの公称目開きは、複数の第2粒子4aの最小径(第2粒子4aが通過しない篩の最大目開き)以下となるよう設計することが好ましいが、第2粒子4aの最小径が微小である場合、メッシュの公称目開きがさらに微小となり差圧が高くなる。そのため、第2仕切板7のメッシュの公称目開きは、第2粒子4aの平均径から第2粒子4aの粒子径の標準偏差を引いた値以下とする。この第2仕切板7のメッシュの公称目開きの上限としては、80μmが好ましく、50μm以下がより好ましい。上記公称目開きが上記上限を超える場合、第2粒子4aが第2仕切板7を通過するおそれがある。一方、上記公称目開きの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。上記公称目開きが上記下限未満の場合、吸着塔モジュール1の圧損が大きくなるおそれがある。
(第2空間部)
上記第2空間部10は、定常状態で上記第2処理層4の上方に形成され、第2処理層4と上記第1仕切板6との間に設けられる空間である。第2処理層4で分離された油や濁質の粒子の一部はこの第2空間部10に滞留(浮上分離)し、逆洗時に第1処理層3を定常状態とは逆方向に通過し上記第1空間部9を経由して上記排出管14から逆洗水Bと共に排出される。また、逆洗時に第2粒子4aがこの第2空間部10内に舞い上がり撹拌されることで、効果的に第2処理層4を逆洗することができる。この第2空間部10においては、滞留した油滴等の粒子が成長し粒径が大きくなることで逆洗時の除去効果を高める効果も奏される。また、上記ジェット水流供給管15は、この第2空間部10の側方に接続されている。なお、ジェット水流供給管15の第2空間部10との接続部分(開口部)には、第2粒子4aがジェット水流供給管15側に流入しないよう第2仕切板7と同程度の公称目開きを有するメッシュ部材等を設けることが好ましい。
定常状態における第2空間部10の平均高さは特に限定されないが、逆洗時の撹拌効果を高めるために上記複数の第2粒子4aの堆積層の平均厚さ以上が好ましい。定常状態における第2空間部10の平均高さとしては、例えば、2cm以上1m以下とすることができる。
また、定常状態における第2空間部10の平均高さの上記複数の第2粒子4aの堆積層の平均厚さに対する比の下限としては、0.3倍が好ましく、1倍がより好ましく、2倍がさらに好ましい。上記比が上記下限未満の場合、第2処理層4の逆洗効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記比の上限としては、10倍が好ましい。上記比が上記上限を超える場合、吸着塔モジュール1の高さが不要に大きくなるおそれがある。
上記複数の第2粒子4aの堆積層表面からジェット水流供給管15の本体2内部の開口中心までの距離の上限としては、定常状態における第2空間部10の平均高さの0.8倍が好ましく、0.6倍がより好ましい。一方、上記距離の下限としては、上記第2空間部10の平均高さの0.2倍が好ましく、0.3倍がより好ましい。上記距離を上記範囲内とすることで、ジェット水流Aによる第2粒子4aの撹拌効果を顕著に高めることができる。
(第3処理層)
上記第3処理層5は、上記第2処理層4の下流側に配設され、油を吸着する吸着剤を封入する。この吸着剤は、後述する第3仕切板8によって降下が防止されており、この第3仕切板8と上記第2仕切板7との間に充填され、層を形成している。この第3処理層5は、第1処理層3及び第2処理層4で除去できなかったさらに微細な油滴を主に吸着除去する。
上記吸着剤としては、公知の油用吸着剤を用いることができ、例えば多孔セラミックス、不織布、織布、繊維、活性炭等を挙げることができる。これらの中でも、複数の有機繊維により形成された不織布が好ましい。この複数の有機繊維により形成される不織布は、油分を有機繊維で吸着することで油水を分離する。従って、この不織布は繊維間に形成される空孔を微細化する必要がなく孔径を大きくすることができるため、高粘度油によって空孔が閉塞されることを抑制し、圧力損失の上昇を抑制することができる。
上記不織布を形成する有機繊維の主成分としては、油を吸着可能な有機樹脂であれば特に限定されず、例えばセルロース樹脂、レーヨン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ポリアミド樹脂(脂肪族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等)、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、フッ素樹脂又はポリオレフィン樹脂が好ましい。フッ素樹脂を主成分とする有機繊維を用いることで、不織布の耐熱性及び耐薬品性を高めることができる。さらにフッ素樹脂の中でも特に耐熱性等に優れるポリテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン樹脂を主成分とする有機繊維を用いることで、不織布の油分吸着能力を高めることができる。さらにポリオレフィン樹脂の中でも特に油分吸着能力に優れるポリプロピレン樹脂が好ましい。なお、有機繊維の形成材料には、他のポリマー、潤滑剤などの添加剤等が適宜配合されていてもよい。
上記有機繊維の平均径の上限としては、1μmが好ましく、0.9μmがより好ましく、0.1μmがより好ましい。有機繊維の平均径が上記上限を超えると、有機繊維の単位体積あたりの表面積が小さくなるため一定の油吸着能力を確保するために繊維密度を大きくする必要が生じる。その結果、不織布の孔径及び空隙率が小さくなって油による閉塞が発生し易くなる。特に、随伴水XがC重油を含有する場合、水中に分散含有されるC重油の粒径は0.1〜1.0μm程度になりやすいため、有機繊維の平均径を上記上限以下とすることで、より確実にC重油を吸着することができる。一方、有機繊維の平均径の下限としては、10nmが好ましい。有機繊維の平均径が上記下限未満の場合、不織布の形成が困難になるおそれや、強度が不足するおそれがある。
上記不織布の空隙率の下限としては、80%が好ましく、85%がより好ましく、88%がさらに好ましい。不織布の空隙率が上記下限未満の場合、被処理液の通過量(処理量)が低下するおそれや、油分によって不織布の空孔が閉塞され易くなるおそれがある。一方、不織布の空隙率の上限としては、99%が好ましく、95%がより好ましい。不織布の空隙率が上記上限を超える場合、不織布の強度が維持できないおそれがある。
上記不織布の平均孔径の下限としては、1μmが好ましく、2μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。不織布の平均孔径が上記下限未満の場合、被処理液の通過量(処理量)が低下するおそれや、油分によって不織布の空孔が閉塞され易くなるおそれがある。一方、不織布の平均孔径の上限としては、20μmが好ましく、8μmがより好ましい。不織布の平均孔径が上記上限を超える場合、不織布の油吸着機能が低下するおそれや、不織布の強度が維持できないおそれがある。
上記不織布の製造方法としては特に限定されず、公知の不織布の製造方法を用いることができる。具体的には、例えば乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等で製造されたフリースを、スパンレース法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、ステッチボンド法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等で結合させる方法、又はメルトブローで接着性を有する繊維体を高速噴出することでウエブを形成する方法を挙げることができる。これらの結合方法の中でも、繊維径の小さい不織布を比較的容易に形成することが可能なメルトブローによるウエブ形成方法が好ましい。
また、第3処理層5は、複数の繊維を本体2内に充填することで形成することもできる。この繊維としては、平均径が1μm以下の長繊維を用いることが好ましい。
第3処理層5の平均厚さは、吸着剤の種類によって適宜設計することができるが、例えば1cm以上1m以下とすることができる。
(第3仕切板)
上記第3仕切板8は、第3処理層5の下流側に配設され、吸着剤の降下を防止する板である。つまり、第3仕切板8は、吸着剤を通さずに液体を流通可能とする構成を有しており、具体的にはメッシュ(網)構造を有している。
第3仕切板8の材質は、上記第1仕切板6と同様とすることができる。また、第3仕切板8のメッシュの公称目開きは、吸着剤の降下(流出)を防止できる大きさであればよく、吸着剤の種類によって適宜設計することができる。
(ヘッダ部)
上記ヘッダ部11は、上記第3処理層5の下方、つまり第3仕切板8と上記本体2の底面との間に形成される空間である。このヘッダ部11の下部には第1処理液Yを回収する回収管13が接続され、第1処理層3、第2処理層4、及び第3処理層5を通過した第1処理液Yがこのヘッダ部11で収集された後に後述するスパイラル型分離膜モジュール101へ排出される。
(逆洗水供給部)
上記逆洗水供給部(図示せず)は、上記回収管13を介して逆洗水を吸着塔モジュール1の下方から上方へ供給する。
逆洗水供給部は、例えばポンプによって第1処理液Y等を圧送することで逆洗水を供給する。この逆洗水の上昇流によって、複数の第1粒子3a及び第2粒子4aが上方に舞い上がり撹拌されることで、各粒子間に捕捉されていた油滴や濁質等が分離され、これらが吸着塔モジュール1の上方に流動する。上方に流動した油滴や濁質は、排出管14を介して逆洗水Bと共に後述の逆洗水回収部で回収される。なお、第2処理層4の逆洗水回収をよりスムーズに行う目的で、排出管14に加えて第2処理層4のジェット水流供給管15の近傍にも別途排出管を設けて逆洗水回収を行ってもよい。
(ジェット水流発生部)
上記ジェット水流発生部は、上記ジェット水流供給管15を介してジェット水流A(逆洗水)を第2空間部10に向けて噴射する。
ジェット水流発生部は、ジェット水流Aを第2空間部10に向けて噴射する。このジェット水流発生部としては、例えばバブリングジェット装置や、エダクタ等を用いることができる。
上記バブリングジェット装置は、上記ジェット水流供給管15にバブリングジェットノズルを配設し、このバブリングジェットノズルに気体及び逆洗水を供給することでジェット水を噴射する装置である。上記気体としては例えば空気を用いることができ、吸着塔モジュール1の外気を吸入して使用することができる。また、ジェット水において逆洗水に対する気体の体積比を大きくすることが好ましく、逆洗水の体積に対する気体の体積の比としては、例えば2倍以上5倍以下が好ましい。また、この気体によって形成される泡の平均径としては、1mm以上4mm以下が好ましい。さらに、逆洗水の送水圧としては、0.2MPa以上が好ましく、バブリングジェットノズルの吐出口でのジェット水の流束としては20m/d以上が好ましい。
上記エダクタは、周囲の水を引き込んで強力な水流を発生する装置であり、例えばジェット水を吐出するノズルとこのノズルに流体(逆洗水)を供給する管との間の咽部に吸引口を設け、この咽部を通過する流体の流れによって上記吸引口からさらに流体を吸引することで、ジェット水を上記ノズルから噴射する装置を用いることができる。
ジェット水流発生部によって発生するジェット水流Aは、ジェット水流供給管15から第2空間部10内に側方から噴射される。上記逆洗水供給部から供給される逆洗水による上昇流に加えて、側方からのジェット水流Aによって、第2粒子4aがより大きく撹拌され、捕捉されていた油滴や濁質等をより確実に分離除去することができる。
なお、逆洗水の流量(逆洗水供給部とジェット水流発生部との合計流量)としては、例えば濾過時における随伴水の供給量の倍とすることができる。また、逆洗時間としては例えば30秒以上10分以下とすることができ、逆洗間隔としては例えば1時間以上12時間以下とすることができる。
(逆洗水回収部)
上記逆洗水回収部(図示せず)は、排出管14を介して油滴や濁質を含む逆洗水Bを回収する。この回収した逆洗水は、例えば吸着塔モジュール1に随伴水Xとして再度供給することができる。
(吸着塔モジュールの利点)
吸着塔モジュール1は、第1処理層3で粒径の比較的大きい油滴や濁質を分離し、その後エマルジョン化した油滴や微細な濁質を第2処理層4で分離することができる。そのため、吸着塔モジュール1は、複数の吸着塔モジュールを組み合わせることなく、油や種々の濁質を含む随伴水を処理することができ、特に比較的大きな油分や濁質を効果的に除去することができる。加えて、吸着塔モジュール1は、処理層を複数備えるため、装置の小型化を図ることができる。また、吸着塔モジュール1は、定常状態で第1処理層3及び第2処理層4の上方にそれぞれ第1空間部9及び第2空間部10を備えるため、これらの空間部に浮上分離した油滴や濁質を保持することで浄化処理能力を向上することができ、加えて逆洗によって空間部に保持した油滴や濁質を容易かつ確実に本体2外へ排出することができる。また、逆洗時に第1処理層3及び第2処理層4に封入された粒子がこの空間部内に舞い上がるため、粒子間に捕捉された油滴や濁質等の粒子等も効果的に排出することができる。これにより吸着塔モジュール1は、逆洗時間及び逆洗水量を低減することができ、ひいては高い水処理効率を発揮することができる。
また、吸着塔モジュール1は、第1粒子3a及び第2粒子4aの降下を防止する第1仕切板6及び第2仕切板7を有するため、定常状態及び逆洗状態において第1粒子3a及び第2粒子4aが他の処理層に流動することを防止することができる。
さらに、吸着塔モジュール1は、油を吸着する吸着剤を封入する第3処理層5を備えるため、第2処理層4を通過したより微細な油滴をさらに分離することができ、高い油分分離能力を有する。
また、吸着塔モジュール1は、上記本体2の下方及び側方から逆洗水を供給する逆洗水供給部及びジェット水流発生部と、本体2の上方から逆洗水を回収する逆洗水回収部とを備えるため、第1処理層3及び第2処理層4が封入する粒子を撹拌して効果的に油滴や濁質等を排出させることができる。また、上記逆洗水供給部により第1処理層3と第2処理層4とを同時に逆洗することができる。
<スパイラル型分離膜モジュール>
当該油水分離処理システムが有する複数のスパイラル型分離膜モジュール101は、図5及び図6に示すように略円筒状のケーシング102と、このケーシング102の中心軸部分に配設される集液管106と、上記ケーシング102内に配設され、集液管106に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の複数の分離膜140と、この複数の分離膜140内に収容される複数の透過液流路材141と、複数の分離膜140間に積層される複数の原液流路材105とを主に有する。この複数のスパイラル型分離膜モジュール101は、図1に示すように直列に接続してもよいし、並列に接続してもよく、要求される処理能力等に合わせて適宜設計することができる。
なお、スパイラル型分離膜モジュール101の集液管106、分離膜140、透過液流路材141、及び原液流路材105は、膜エレメント(スパイラル型分離膜エレメント)103を構成する。
(ケーシング)
ケーシング102は、両端が開口した円筒体120と、この円筒体120の開口を塞ぐ閉塞部材121,122を備えている。
円筒体120の直径及び長さとしては、膜エレメント103を適切に収容できる限りは特に制限はなく、用途等に応じて適宜選択すればよい。円筒体120は、耐圧性の高い材料により形成することが好ましい。耐圧性の高い材料としては、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリイミド、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の樹脂材料、繊維強化プラスチック、ステンレス、真鍮、銅、鉄等の金属材料、セラミック材料などが挙げられる。
閉塞部材121は、ヘッダ部123及び原液ポート124を有している。ヘッダ部123は、端板121A及び側壁121Bにより形成されている。原液ポート124の内部は、ヘッダ部123に連通している。一方、閉塞部材122は、ヘッダ部125及び濃縮液ポート126を有している。ヘッダ部125は、端板122A及び側壁122Bにより形成されている。濃縮液ポート126の内部は、ヘッダ部125に連通している。これらの閉塞部材121,122の材質としては、円筒体120と同様なものが挙げられる。
(膜エレメント)
図6及び図7に示すように、膜エレメント103は、膜リーフ104、原液流路材105、集液管106及びテレスコープ防止板107A,107Bを備えている。この膜エレメント103は、膜リーフ104の間に原液流路材105に挟み込まれるように集液管106に巻き付けられた巻回体130の端面131,132にテレスコープ防止板107A,107Bを固定したものである。
膜リーフ104は、原液流路材105と共に集液管106に巻き付けられるものである。この膜リーフ104は、分離膜140及び透過液流路材141を有している。
分離膜140は、原液中の不要成分を分離するものである。この分離膜140は、図8に示すように一対の分離膜要素142,143によって開口部144が形成された三方シール袋状である。このような分離膜140は、例えばシート状の分離膜を折り返し、折り返し縁に連続する両側縁部を接着することで袋状に形成される。分離膜140は、一対の分離膜を重ね合せ、3つの側縁部を接着することで三方シール袋状に形成してもよい。
分離膜140は、スパイラル型分離膜モジュール101の用途等に応じて、公知のものから選択すればよい。分離膜140としては、例えば逆浸透膜、ナノ濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等が挙げられる。分離膜140としては、不織布を使用することもできる。
分離膜140として不織布を用いる場合、複数の有機繊維により形成された不織布が好ましい。この複数の有機繊維により形成される不織布は、油分を有機繊維で吸着することで油水を分離する。従って、この不織布は繊維間に形成される空孔を微細化する必要がなく孔径を大きくすることができるため、高粘度油によって空孔が閉塞されることを抑制し、圧力損失の上昇を抑制することができる。
上記不織布を形成する有機繊維の主成分としては、油を吸着可能な有機樹脂であれば特に限定されず、例えばセルロース樹脂、レーヨン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ポリアミド樹脂(脂肪族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等)、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、フッ素樹脂又はポリオレフィン樹脂が好ましい。フッ素樹脂を主成分とする有機繊維を用いることで、不織布の耐熱性及び耐薬品性を高めることができる。さらにフッ素樹脂の中でも特に耐熱性等に優れるポリテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン樹脂を主成分とする有機繊維を用いることで、不織布の油分吸着能力を高めることができる。さらにポリオレフィン樹脂の中でも特に油分吸着能力に優れるポリプロピレン樹脂が好ましい。なお、有機繊維の形成材料には、他のポリマー、潤滑剤などの添加剤等が適宜配合されていてもよい。
上記有機繊維の平均径の上限としては、1μmが好ましく、0.9μmがより好ましく、0.1μmがより好ましい。有機繊維の平均径が上記上限を超えると、有機繊維の単位体積あたりの表面積が小さくなるため一定の油吸着能力を確保するために繊維密度を大きくする必要が生じる。その結果、不織布の孔径及び空隙率が小さくなって油による閉塞が発生し易くなる。特に、第1処理液YがC重油を含有する場合、水中に分散含有されるC重油の粒径は0.1〜1.0μm程度になりやすいため、有機繊維の平均径を上記上限以下とすることで、より確実にC重油を吸着することができる。一方、有機繊維の平均径の下限としては、10nmが好ましい。有機繊維の平均径が上記下限未満の場合、不織布の形成が困難になるおそれや、強度が不足するおそれがある。
上記不織布の空隙率の下限としては、80%が好ましく、85%がより好ましく、88%がさらに好ましい。不織布の空隙率が上記下限未満の場合、被処理液の通過量(処理量)が低下するおそれや、油分によって不織布の空孔が閉塞され易くなるおそれがある。一方、不織布の空隙率の上限としては、99%が好ましく、95%がより好ましい。不織布の空隙率が上記上限を超える場合、不織布の強度が維持できないおそれがある。
上記不織布の平均孔径の下限としては、1μmが好ましく、2μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。不織布の平均孔径が上記下限未満の場合、被処理液の通過量(処理量)が低下するおそれや、油分によって不織布の空孔が閉塞され易くなるおそれがある。一方、不織布の平均孔径の上限としては、20μmが好ましく、8μmがより好ましい。不織布の平均孔径が上記上限を超える場合、不織布の油吸着機能が低下するおそれや、不織布の強度が維持できないおそれがある。
上記不織布の製造方法としては特に限定されず、公知の不織布の製造方法を用いることができる。具体的には、例えば乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等で製造されたフリースを、スパンレース法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、ステッチボンド法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等で結合させる方法、又はメルトブローで接着性を有する繊維体を高速噴出することでウエブを形成する方法を挙げることができる。これらの結合方法の中でも、繊維径の小さい不織布を比較的容易に形成することが可能なメルトブローによるウエブ形成方法が好ましい。
図9に示すように、透過液流路材141は、分離膜140の内部に収容されることで、分離膜要素142,143の間のスペーサとして機能するものである。すなわち、透過液流路材141は、膜リーフ104において分離膜要素142,143の間に透過液流路を規定する。この透過液流路材141としては、多孔質体を使用することができる。多孔質体としては、例えばトリコット等の編地が挙げられる。
原液流路材105は、膜リーフ104と共に集液管106に巻き付けたときに、2つの膜リーフ104の間に位置し、これらの膜リーフ104(分離膜要素142,143)の間のスペーサとして機能するものである。すなわち、原液流路材105は、膜リーフ104に積層されることで膜リーフ104(分離膜要素142,143)の間に原液流路を規定する。
図10及び図11に示すように、原液流路材105は、複数の第1構成糸151とこれらの第1構成糸151に交差する複数の第2構成糸152とを有し、これらが複数の交差部分153で一体化されている。この原液流路材105(メッシュスペーサ)は、第1構成糸151及び第2構成糸152において交差部分153の間に位置する線状部分154,155を有している。
交差部分153は、線状部分154,155に対して厚み方向に膨出しており、その頂点部分において膜リーフ104(分離膜要素142,143)に接触している。この交差部分153は、第1構成糸151と第2構成糸152とが融和されることで一体化されていることが好ましい。交差部分153が融和されていることで、交差部分153の強度を高めることができる。
線状部分154,155は、膜リーフ104(分離膜要素142,143)とは接触せずに膜リーフ104(分離膜要素142,143)から離間している。これらの線状部分154,155の断面形状としては、円形、楕円形、半円形、多角形等が挙げられる。
上記第1構成糸151及び第2構成糸152の線状部分154,155の各平均最小径T1は、それぞれ交差部分153の平均最大厚みT2よりも小さくされている。第1構成糸151及び第2構成糸152の線状部分154,155の軸芯L1,L2の交差部分153の厚み方向の中心O1に対する厚み方向の偏倚量dTは、それぞれ上記交差部分153の平均最大厚みT2と上記線状部分154,155の平均最小径T1との差の半分以下である。上記第1構成糸151及び第2構成糸152のそれぞれの偏倚量dTの上限としては、交差部分153の平均最大厚みT2の30%が好ましく、10%がより好ましい。上記偏倚量dTが上記上限を超えると、線状部分154,155と分離膜140との距離が小さくなり、原液供給時に原液流れに乱れが生じやすくなり、分離膜140の表面での濃度分極や圧力損失の増大等による膜エレメント103の性能低下を十分に抑制できないおそれがある。
上記第1構成糸151及び第2構成糸152の線状部分154,155の平均最小径T1の下限としては、それぞれ交差部分153の平均最大厚みT2の20%が好ましく、30%がより好ましい。一方、平均最小径T1の上限としては、それぞれ平均最大厚みT2の60%が好ましく、50%がより好ましい。上記線状部分154,155の各平均最小径T1が交差部分153の平均最大厚みT2に対して上記下限未満であると、線状部分154,155の強度を十分に確保できないおそれがある。一方、上記線状部分154,155の各平均最小径T1が交差部分153の平均最大厚みT2に対して上記上限を超えると、線状部分154,155と分離膜140との距離が小さくなり、原液の乱れが生じやすくなり、分離膜140の表面での濃度分極や圧力損失の増大等による膜エレメント103の性能低下を十分に抑制できないおそれがある。
膜エレメント103の性能低下を十分に抑制するためには、線状部分154,155の平均最小径T1及び交差部分153の平均最大厚みT2は、下記の範囲とすることが好ましい。すなわち、線状部分154,155の平均最小径T1の下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。上記平均最小径T1の上限としては、0.4mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。交差部分153の平均最大厚みT2の下限としては0.2mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。平均最大厚みT2の上限としては1.2mmが好ましく、1.0mmがより好ましい。
複数の交差部分153のうちの第1構成糸151又は第2構成糸152の軸方向A1,A2に隣接する2つの交差部分153の平均中心間距離Dの下限としては、2mmが好ましく、3mmがより好ましい。一方、平均中心間距離Dの上限としては、6mmが好ましく、5mmがより好ましい。交差部分153の平均中心間距離Dが上記下限未満であると、分離膜要素142,143の間における交差部分153が占める容積が大きくなって原液流れに乱れが生じやすく、圧力損失が大きくなるおそれがある。一方、交差部分153の平均中心間距離Dが上記上限を超えると、原液流路材105がスペーサとして十分に機能しないおそれがある。
第1構成糸151又は第2構成糸152の線状部分154,155は、第1構成糸151又は第2構成糸152の軸方向A1,A2に延伸されているとよい。線状部分154,155が延伸されることで、各構成糸151,152の線状部分154,155の軸芯L1,L2を交差部分153の厚み方向の中心O1に近づけることができると共に線状部分154,155の厚さを小さくすることができる。そのため、当該膜エレメント103によれば、線状部分154,155を分離膜140から離間させることができるため原液流れの乱れを抑制し、濃度分極、圧力損失等による膜エレメント103の性能低下をより効果的に抑制できる。
第1構成糸151及び第2構成糸152としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン又は架橋ポリエチレンを主成分とするものが挙げられる。このような樹脂を主成分とする構成糸は比較的安価に入手可能であると共に融点も比較的に低く加工が容易であるため、原液流路材105の材料コストを抑制することが可能となる。
このような原液流路材105は、例えば第1構成糸151と第2構成糸152とを交差状態で融着することで形成することができる。第1構成糸151と第2構成糸152との融着は、公知の方法、例えば押出成形機を用いて第1構成糸151及び第2構成糸152をこれらの構成糸151,152が交差するように同時に押出形成することで行うことができる。融着後は、必要に応じて、加熱により交差部分153を融和させてもよく、また必要に応じて第1構成糸又は第2構成糸を延伸してもよい。原液流路材105はまた、第1構成糸151及び第2構成糸152を平織、綾織等した後に加熱することで交差部分153を融着させてもよい。このような融着方法は、第1構成糸151及び第2構成糸152として低融点樹脂を主成分とするものを用いる場合に有用である。
図6及び図7に示すように、集液管106は、分離膜140を透過した膜リーフ104の内部の透過液を集めるためのものである。この集液管106は、一端部が閉じた中空状である。集液管106には、集液管106の軸方向に列状に並ぶと共に複数の貫通孔160からなる貫通孔群が形成されている。膜リーフ104は、分離膜140の開口部144が貫通孔群に位置合わせされた状態で集液管106に固定され、開口部144と貫通孔160が連通している。そのため、貫通孔群の貫通孔160には、分離膜140を透過した透過液のみが供給される。
図5及び図6に示すように、テレスコープ防止板107A,107Bは、スポーク型として構成されたものである。このテレスコープ防止板107A,107Bは、内周環部170A,170B、外周環部171A,171B、及びスポーク部172A,172Bを備えている。内周環部170A,170Bは、集液管106が嵌合される部分である。外周環部171A,171Bの外周面には、溝173A,173Bが設けられる。この溝173A,173Bは、ブラインシール174A,174Bが嵌め込まれる部分である。ブラインシール174A,174Bは、円筒体120と膜エレメント103との隙間に原液が流入することを防ぐためのものである。スポーク部172A,172Bは、内周環部170A,170Bと外周環部171A,171Bとを繋ぐものである。内周環部170A,170B、外周環部171A,171B及びスポーク部172A,172Bによって囲まれる空間は、原液の通過を許容するものである。
テレスコープ防止板107A,107Bの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ポリイミド、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、アクリル樹脂、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルケトン等の樹脂材料、ステンレススチール等の金属材料などが挙げられる。
(スパイラル型分離膜モジュールの原液の分離方法)
次に、スパイラル型分離膜モジュール101による原液の分離方法を説明する。なお、図5における矢印は、液体の移動方向を示している。
図5に示すように、スパイラル型分離膜モジュール101には、原液ポート124から吸着塔モジュール1から排出された第1処理液Y(原液)が供給される。スパイラル型分離膜モジュール101への原液供給圧力は、膜リーフ104の分離膜140の種類に応じて決定すればよい。例えば、分離膜140として不織布等の油水分離膜を使用する場合には、原液供給圧力としては1MPa以下が好ましい。
原液ポート124から供給された第1処理液Yは、閉塞部材121のヘッダ部123及びテレスコープ防止板107Aを通過し、巻回体130の端面131から巻回体130に供給される。巻回体130に供給された第1処理液Yは、原液流路材105によって膜リーフ104(分離膜要素142,143)の間に規定される原液流路を巻回体130の端面132に向けて移動する。
原液流路を移動する第1処理液Yは、その移動過程において分離膜140により分離される。分離膜140を透過した第2処理液Zは、分離膜140(膜エレメント103)の内部に移動する。分離膜140の内部の第2処理液Zは、透過液流路材141によって規定される透過液流路に移動し、貫通孔160を通過して集液管106の内部に移動する。集液管106の第2処理液Zは、集液管106の内部を移動して集液管106の端部から回収される。
一方、分離膜140を透過しなかった第1処理液Yは、膜エレメント103の端面132から排出され、最終的にテレスコープ防止板107B及び閉塞部材122のヘッダ部125を通過して濃縮液ポート126を介してスパイラル型分離膜モジュール101の外部に濃縮液Cとして排出される。
なお、複数のスパイラル型分離膜モジュール101は、例えば集液管106の排出口から逆洗水を供給し、集液管106から各膜エレメント103に逆洗水を供給し、原液ポート124から排出することで逆洗を行うことができる。
(スパイラル型分離膜モジュールの利点)
従来のスパイラル型分離膜モジュールでは、図12に示すように原液流路材108が分離膜190,191の間に位置しているが、縦糸180及び横糸181が全長にわたって分離膜190,191に密着する。そのため、縦糸180及び横糸181と分離膜190,191との接触面積が大きく、原液供給時の原液流れの乱れを十分に抑制することができない。その結果、原液流れの乱れに起因する分離膜表面での濃度分極の発生、圧力損失の増加等による膜エレメントの性能低下を十分に抑制することができない。
これに対し、当該膜エレメント103によれば、原液流路材(メッシュスペーサ)105の第1構成糸151と第2構成糸152とが交差部分153で一体化され、隣接する交差部分153の間の線状部分154,155の平均最小径T1が交差部分153の平均最大厚みT2よりも小さく、厚み方向における第1構成糸151及び第2構成糸152の線状部分154,155の軸芯L1,L2の交差部分153の中心に対する偏倚量dTが交差部分153の平均最大厚みT2と線状部分154,155の平均最小径T1との差の半分以下とされている。そのため、原液流路材105は、交差部分153において分離膜140に接触し、第1構成糸151及び第2構成糸152の線状部分154,155が分離膜140とは接触しない構成とすることが可能となる。そのため、第1構成糸151及び第2構成糸152の線状部分154,155と分離膜140との接触面積が小さくなる結果、原液供給時の原液流れの乱れに起因する分離膜140の表面での濃度分極を抑制し、圧力損失を低減できる。これにより、スパイラル型分離膜モジュール101では、性能低下を効果的に抑制できる。
<油水分離処理システムの利点>
当該油水分離処理システムは、吸着塔モジュール1から排出された第1処理液をさらに処理する複数のスパイラル型分離膜モジュール101を備えるため、種々の大きさの油や濁質を効率よく分離できる。その結果、当該油水分離処理システムは、省スペースで高い水処理効率を発揮することができる。なお、当該油水分離処理システムは、石油随伴水に限らず、工場などからの油を含む排水の油分除去浄化処理などに幅広く適用できる。
[油水分離処理方法]
当該油水分離処理方法は、図1の吸着塔モジュール1を用い、この吸着塔モジュール1の本体2の上方から随伴水Xを供給し、下方から第1処理液Yを排出する工程と、図1のスパイラル型膜分離モジュール101を用い、このスパイラル型分離膜モジュール101のケーシング102の端部から第1処理液Yを供給し、集液管106の端部から第2処理液Z(処理済液)を排出する工程とをこの順に備える。
随伴水の供給方法は特に限定されず、例えばポンプ又は水頭で吸着塔モジュール1に随伴水を圧送する方法を用いることができる。
当該油水分離処理方法における吸着塔モジュール1での随伴水の充填面積あたりの処理速度の下限としては、200m/m・dayが好ましく、300m/m・dayがより好ましく、400m/m・dayがさらに好ましい。随伴水の油分濃度、濁質濃度及び粘度が高い場合には、上記下限未満の処理速度でも高水質が得られ十分安価な処理を行うことができるが、随伴水の濃度が低くコストの点で高速処理が望まれる場合には、随伴水の処理速度が上記下限未満の場合、大量に随伴水が発生する環境下で当該油水分離処理方法が使用に適さなくなるおそれがある。なお、随伴水の処理速度の上限は特に限定されないが、例えば1000m/m・dayとすることができる。
また、当該油水分離処理方法におけるスパイラル型分離膜モジュール101の1つの膜エレメント103での随伴水の膜面積当たりの処理速度の下限としては、1m/m・dayが好ましく、2m/m・dayがより好ましく、5m/m・dayがさらに好ましい。
当該油水分離処理方法における第1処理液Yの濁質濃度の上限としては、10ppmが好ましく、5ppmがより好ましく、3ppmがさらに好ましく、1ppmが特に好ましい。第1処理液Yの濁質濃度を上記上限以下とすることで、より効率よくスパイラル型分離膜モジュール101で分離処理を行うことができる。なお、濁質濃度とは、浮遊物質(SS)の濃度を意味し、JIS−K0102(2008)の「14.1 懸濁物質」に準拠して測定される値である。
当該油水分離処理方法で回収した処理済液(第2処理液Z)の濁質濃度の上限としては、1ppmが好ましく、0.5ppmがより好ましく、0.1ppmが特に好ましい。処理済液の濁質濃度を上記上限以下とすることで、当該油水分離処理方法で処理した処理済液を環境に負荷を与えず廃棄することや産業用水として利用することが可能となる。
当該油水分離処理方法における第1処理液Yの油濃度の上限としては、100ppmが好ましく、50ppmがより好ましく、10ppmがさらに好ましく、1ppmが特に好ましい。第1処理液Yの油濃度を上記上限以下とすることで、より効率よくスパイラル型分離膜モジュール101で油水分離を行うことができる。
当該油水分離処理方法で回収した処理済液(第2処理液Z)の油濃度の上限としては、10ppmが好ましく、5ppmがより好ましく、1ppmがさらに好ましく、0.1ppmが特に好ましい。処理済液の油濃度を上記上限以下とすることで、当該油水分離処理方法の後で行う油水分離処理の負荷を低減することや、条件によっては他の油水分離処理を行なわずとも当該油水分離処理方法で油水分離した処理済液を環境に負荷を与えず廃棄することができる。
<油水分離処理方法の利点>
当該油水分離処理方法は、油及び濁質を含む随伴水の浄化処理能力に優れ、随伴水を省スペースでかつ効率的に処理することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該油水分離処理システムは、並列に接続された複数の吸着塔モジュールを有する吸着塔ユニットと、並列に接続された複数のスパイラル型分離膜モジュールを有する膜分離ユニットとを備えてもよい。このような吸着塔ユニット及び膜分離ユニットを備える場合、当該油水分離処理システムは吸着塔モジュール及びスパイラル型分離膜モジュールを逆洗する制御ユニットをさらに備えることが好ましい。これにより、当該油水分離処理システムの処理能力を容易かつ確実に維持することができる。また、この制御ユニットによって、例えば一つの吸着塔モジュール又はスパイラル型分離膜モジュールを順に逆洗することで、当該油水分離処理システム全体での単位時間当たりの処理量を常に一定に保つことができる。なお、複数のモジュールを同時に停止し、停止した複数のモジュールに対し逆洗を同時に行ってもよい。
また、当該油水分離処理システムは、上記吸着塔ユニット、膜分離ユニット及び制御ユニットが載置される移動体を備えることができる。この移動体としては、例えばコンテナを用いることができ、このコンテナ内に上記各ユニットを格納し、トレーラー等で牽引することで、当該油水分離処理システムを任意の個所に容易に移送及び設置することができる。
さらに、上記実施形態の吸着塔モジュールは第2処理層の下流側に第3処理層を備えていたが、随伴水の油含有量が少ない場合、第3処理層を省略することも可能である。また、第3処理層を設ける場合において、ヘッダ部を設けずに第3仕切板と本体の底面とを当接させてもよい。この場合、第3仕切板は、回収管の開口部分にのみ設けてもよい。さらに、第3処理層として上述のような吸着剤層を設ける代わりに第2処理層と同様の充填剤層を設けてもよく、また、その場合にさらに第4処理層として吸着剤層を設けてもよい。さらに充填剤層と吸着剤層とを複数段にして設けることもでき、吸着塔モジュールの構成は3段に限られるものではない。
また、吸着塔モジュールにおいて、定常状態において第1処理層及び第2処理層の上方にそれぞれ形成される空間部は必須の構成要素ではなく、省略が可能である。ただし、第1処理層及び第2処理層の逆洗効果及び逆洗水の回収を効果的にするためには第1空間部及び第2空間部を設けることが好ましい。
さらに、吸着塔モジュールのジェット水流供給管は、図2に示すジェット水流供給管25のように第2空間部10の上方から下方に向かってジェット水流Aを噴射するように形成されていてもよい。具体的に説明すると、ジェット水流供給管25は第1処理層3内を挿通し、第2空間部10内に形成された複数の開口部(ノズル)25aを有する。この開口部25aは、第2空間部10内で下方を向くように形成されている。このようなジェット水流供給管25によれば、下方からの逆洗水の上昇流とこのジェット水流供給管25から噴射されるジェット水流Aの下降流とによってより強力に第2粒子4aを撹拌し、より確実に油滴や濁質等を分離することができる。なお、上記開口部25aには、第2粒子4aがジェット水流供給管25側に流入しないよう第2仕切板7と同程度の公称目開きを有するメッシュ部材等を設けることが好ましい。
また、吸着塔モジュールのジェット水流供給管は、図3に示すジェット水流供給管35のように第3処理層5から上方(第2処理層4側)の第2空間部10に向かってジェット水流Aを噴射するように形成されていてもよい。具体的に説明すると、ジェット水流供給管35は第3処理層5内を挿通し、第3処理層5内に形成された複数の開口部(ノズル)35aを有する。この開口部35aは、第3処理層5内で上方を向くように形成されている。このようなジェット水流供給管35によれば、回収管13を介して逆洗水供給部から供給される逆洗水に加えて、さらにこのジェット水流供給管35から噴射されるジェット水流Aの噴流によってより強力に第2粒子4a及び第1粒子3aを撹拌し、より確実に油滴や濁質等を分離することができる。このジェット水流供給管35は、ヘッダ部11内に配設してもよい。なお、上記ジェット水流供給管35の開口部35aを有する部分(上方延伸部分)を第2仕切板7に貫通させ、上記開口部35aを第2処理層4内に形成するか又は第2仕切板7と一体化してもよい。この場合、第2粒子4aがジェット水流供給管35側に流入しないよう第2仕切板7と同程度の公称目開きを有するメッシュ部材等を開口部35aに設けることが好ましい。
なお、吸着塔モジュールのジェット水流供給管は省略が可能である。逆に、吸着塔モジュールの第1空間部に第1粒子を撹拌するためのジェット水流発生部をさらに設けてもよい。
また、スパイラル型分離膜モジュールの原液流路材としては、図12に示すような従来のものを用いてもよい。
さらに、スパイラル型分離膜モジュールの集液管に巻き付けられる膜リーフ及び原液硫路材の数は、図7に示すような4には限定されず、4以外であってよく、もちろん1であってよい。
また、スパイラル型分離膜モジュールの膜リーフ及び原液流路材は、集液管の軸方向一箇所に巻き付ける場合に限定されず、集液管の軸方向に並ぶように複数箇所に巻き付けてもよい。
さらに、上記実施の形態では、原液流路材において、一方の構成糸が集液管の周方向に沿い、他方の構成糸が集液管の軸方向に沿うように集液管に巻き付けられていたが、第1構成糸及び第2構成糸のそれぞれが集液管の周方向及び軸方向の双方に斜めに交差するように原液流路材を集液管に巻き付けてもよい。
以上のように、本発明の油水分離処理システム、油水分離処理方法及びスパイラル型分離膜エレメントは、様々な粒径の油滴や濁質を含有する油水混合液を省スペースで効率的に処理でき、工場や油田等の生産施設において好適に用いることができる。
1 吸着塔モジュール
2 本体
3 第1処理層
3a 第1粒子
4 第2処理層
4a 第2粒子
5 第3処理層
6 第1仕切板
7 第2仕切板
8 第3仕切板
9 第1空間部
10 第2空間部
11 ヘッダ部
12 供給管
13 回収管
14 排出管
15、25、35 ジェット水流供給管
25a、35a 開口部
101 スパイラル型分離膜モジュール
102 ケーシング
120 円筒体
121,122 閉塞部材
121A,122A 端板
121B,122B 側壁
123,125 ヘッダ部
124 原液ポート
126 濃縮液ポート
103 膜エレメント
130 巻回体
131,132 端面
104 膜リーフ
140 分離膜
141 透過液流路材
142,143 分離膜要素
144 開口部
105 原液流路材
151 第1構成糸
152 第2構成糸
153 交差部分
154,155 線状部分
106 集液管
160 貫通孔
107A,107B テレスコープ防止板
170A,170B 内周環部
171A,171B 外周環部
172A,172B スポーク部
173A,173B 溝
174A,174B ブラインシール
108 原液流路材
190,191 分離膜
201 セパレータ
A1,A2 構成糸の軸方向
T1 線状部分の平均最小径
T2 交差部分の平均最大厚み
L1,L2 線状部分の軸芯
O1 交差部分の厚み方向の中心
dT 偏倚量
D 交差部分の平均中心間距離

Claims (12)

  1. 油水混合液から非水溶性油分を分離する油水分離処理システムであって、
    吸着塔モジュールとスパイラル型膜分離モジュールとをこの順に備え、
    上記吸着塔モジュールが、略鉛直に設置される筒状の本体と、この本体内に多段に配設される複数の処理層とを有し、上記本体の上方から油水混合液を供給し、下方から第1処理液を排出するものであり、
    上記スパイラル型膜分離モジュールが、略円筒状のケーシングと、このケーシングの中心軸部分に配設される集液管と、上記ケーシング内に配設され、集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有し、上記ケーシングの端部から第1処理液を供給し、上記集液管の端部から第2処理液を排出するものである油水分離処理システム。
  2. 上記吸着塔モジュールが、上流側から順に、複数の第1粒子を封入する第1処理層と、この第1粒子の降下を防止する第1仕切板と、この第1粒子より平均径が小さい複数の第2粒子を封入する第2処理層と、この第2粒子の降下を防止する第2仕切板とを備え、定常状態において上記第2処理層の上方に空間部を備える請求項1に記載の油水分離処理システム。
  3. 上記第1粒子の平均径が100μm以上500μm以下、上記第2粒子の平均径が10μm以上300μm以下である請求項2に記載の油水分離処理システム。
  4. 上記分離膜が有機繊維により形成される不織布であり、この有機繊維の平均径が1μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の油水分離処理システム。
  5. 上記原液流路材が複数の第1構成糸とこれらの第1構成糸に交差する複数の第2構成糸とを有し、これらが複数の交差部分で一体化されており、
    上記第1構成糸における上記交差部分の間に位置する線状部分の平均最小径が上記交差部分の平均最大厚みよりも小さく、
    上記第1構成糸の線状部分の軸芯の上記交差部分の厚み方向の中心に対する上記厚み方向の偏倚量が、上記交差部分の平均最大厚みと上記線状部分の平均最小径との差の半分以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の油水分離処理システム。
  6. 上記油水混合液が石油随伴水である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の油水分離処理システム。
  7. 1又は複数の上記吸着塔モジュールを有する吸着塔ユニットと、
    直列又は並列に連結される複数の上記スパイラル型膜分離モジュールを有する膜分離ユニットと、
    上記吸着塔モジュール及びスパイラル型分離膜モジュールを逆洗する制御ユニットと
    を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の油水分離処理システム。
  8. 上記吸着塔ユニット、膜分離ユニット及び制御ユニットが載置される移動体をさらに備える請求項7に記載の油水分離処理システム。
  9. 採掘流体から油水混合液を分離するセパレータをさらに備える請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の油水分離処理システム。
  10. 油水混合液から非水溶性油分を分離する油水分離処理方法であって、
    略鉛直に設置される筒状の本体と、この本体内に多段に配設される複数の処理層とを有する吸着塔モジュールを用い、上記本体の上方から油水混合液を供給し、下方から第1処理液を排出する工程と、
    略円筒状のケーシングと、このケーシングの中心軸部分に配設される集液管と、上記ケーシング内に配設され、集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有するスパイラル型膜分離モジュールを用い、上記ケーシングの端部から第1処理液を供給し、集液管の端部から第2処理液を排出する工程と
    をこの順に備える油水分離処理方法。
  11. 上記油水混合液の吸着塔モジュールにおける処理速度が200m/m・day以上である請求項10に記載の油水分離処理方法。
  12. 集液管と、この集液管に開口部が連通され、かつスパイラル状に巻き付けられる三方シール袋状の1又は複数の分離膜と、この1又は複数の分離膜内に収容される1又は複数の透過液流路材と、上記1又は複数の分離膜間に積層される1又は複数の原液流路材とを有するスパイラル型分離膜エレメントであって、
    上記分離膜が不織布であり、この不織布が有する繊維の平均径が1μm以下であるスパイラル型分離膜エレメント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107337240A (zh) * 2017-07-11 2017-11-10 湘潭辉昇环保设备制造有限公司 水处理多级过滤装置
CN113735288A (zh) * 2020-05-28 2021-12-03 中国石油化工股份有限公司 一种水上危险化学品回收分离一体化处理系统
CN115531924A (zh) * 2022-09-19 2022-12-30 浙江吉宝智能装备股份有限公司 一种带分离膜模块的迂回通道油水分离系统及分离方法

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