JP2015024792A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Shinji Otsuka
深志 大塚
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Abstract

【課題】雪路上の加速時または制動時に、より高い雪柱せん断力が作用して走行運動性能を向上させることができる空気入りタイヤを供する。【解決手段】複数の周方向溝によりトレッド(4)が、タイヤ赤道を含むトレッドセンタ領域(Tc)とトレッドセカンド領域(Tm)とトレッドショルダ領域(Ts)とに区画され、タイヤ幅方向両側のトレッドセカンド領域(Tm)における幅方向溝である複数のセカンド幅方向溝(8)は、タイヤ赤道線に直交するラジアル方向線に対して所定の傾斜角度をもって斜めに指向して形成され、トレッドセンタ領域(Tc)における幅方向溝である複数のセンタ幅方向溝(7)は、ラジアル方向線に略平行であり、タイヤ赤道線上に階段状の段差(7a)が形成される空気入りタイヤ。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、特に雪路面を走行するのに適した空気入りタイヤに関する。
雪路面における走行運動性能を向上させる空気入りタイヤについては、種々の提案がなされており、特に、雪路面上の走行運動性能に最も影響を与えるタイヤトレッド部の構造については多く提案されている。
雪路用の空気入りタイヤは、周方向溝と幅方向溝とによって複数のブロック状陸部が区画形成されたトレッドパターンを共通して有している(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、タイヤが雪上を転動するとき、トレッドの溝に入って押圧された雪に働く雪柱せん断力およびパターンエッジ(溝壁)やサイプ(細溝)に働くエッジ効果(掘り起こし摩擦力)が作用することから、雪路での運動性能を向上するパターン手法として、ネガティブ比率(溝面積比率)を大きくとるとともに、雪柱せん断力を上げることが既に知見されている。
特許第4751070号公報
特許文献1に開示された空気入りタイヤのトレッドは、タイヤ赤道線に沿って周方向に6本の周方向溝が延び、内側の4本の周方向溝の互いに隣合う周方向溝間を連結するように複数の幅方向溝が、タイヤ赤道線に直交するラジアル方向線に対して略傾斜角度0度の平行に延びて形成され、周方向溝と幅方向溝により複数の矩形状をしたブロック状陸部が区画形成されている。
陸部にはトレッド幅方向に向けてサイプが複数形成されている。
該タイヤが雪路面を転動するとき、トレッドの周方向溝および幅方向溝に入った雪が押し固められて雪柱を形成し、その雪柱せん断力により、またパターンエッジやサイプに働くエッジ効果により、雪路面を捉えて走行運動性能を高めるようにしている。
車両の加速時および制動時には、特に高い走行運動性能が要求され、より高い雪柱せん断力が求められる。
車両の加速時および制動時には、トレッドの溝に入った雪は、溝内を前後に相対移動するが、特許文献1の空気入りタイヤのトレッドは、幅方向溝がラジアル方向線に略平行に指向しているので、周方向溝と幅方向溝との間で雪の移動は殆どなく、溝内に形成される雪柱の雪の量に変化はあまりなく、よって雪柱せん断力は定速走行時とそれ程変わりはない。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、雪路上の加速時または制動時に、より高い雪柱せん断力が作用して走行運動性能を向上させることができる空気入りタイヤを供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
トレッドにタイヤ赤道線に沿って周方向に延びる複数の周方向溝とトレッド幅方向に延びる複数の幅方向溝とによって複数のブロック状陸部が区画形成された空気入りタイヤにおいて、
複数の前記周方向溝により、トレッドが、タイヤ幅方向中央のタイヤ赤道線を含むトレッドセンタ領域と、同トレッドセンタ領域のタイヤ幅方向外側のトレッドセカンド領域と、同トレッドセカンド領域のタイヤ幅方向外側のトレッドショルダ領域とに区画され、
前記トレッドセカンド領域における前記幅方向溝である複数のセカンド幅方向溝は、タイヤ赤道線に直交するラジアル方向線に対して所定の傾斜角度をもって斜めに指向して形成され、
前記トレッドセンタ領域における前記幅方向溝である複数のセンタ幅方向溝は、ラジアル方向線に略平行であり、タイヤ赤道線上に階段状の段差が形成されることを特徴とする空気入りタイヤである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の空気入りタイヤにおいて、
前記セカンド幅方向溝は、両端がそれぞれタイヤ幅方向の内側周方向溝および外側周方向溝と連結しており、
前記外側周方向溝には、前記セカンド幅方向溝ごとにトレッド幅方向外側に膨出する凸部が、前記セカンド幅方向溝との連結部に形成されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の空気入りタイヤにおいて、
前記トレッドショルダ領域における前記幅方向溝である複数のショルダ幅方向溝は、前記外側周方向溝における前記凸部に連結することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3記載の空気入りタイヤにおいて、
前記セカンド幅方向溝は、前記内側周方向溝と連結する一端の溝幅より前記外側周方向溝と連結する他端の溝幅が広いことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれか1項記載の空気入りタイヤにおいて、
前記セカンド幅方向溝は、前記内側周方向溝と連結する一端から前記外側周方向溝と連結する他端にかけて徐々に溝の深さが増すことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項2ないし請求項5のいずれか1項記載の空気入りタイヤにおいて、
前記内側周方向溝は、タイヤ幅方向に階段状の段差を持つ段差部を複数有しながら周方向に延びることを特徴とする。
請求項1記載の空気入りタイヤによれば、タイヤ幅方向両側のトレッドセカンド領域における複数のセカンド幅方向溝がタイヤ赤道線に直交するラジアル方向線に対して所定の傾斜角度をもって斜めに指向して形成されるので、周方向溝と幅方向溝により従来でも得られた雪柱せん断力およびエッジ効果は維持された上で、加速時または制動時には、タイヤ赤道線を境に両側のトレッドのうち一方のトレッドにおけるセカンド幅方向溝に入った雪は、セカンド幅方向溝がラジアル方向線に対して所定の傾斜角度をもって斜めに指向しているため、セカンド幅方向溝内をトレッド幅方向外側に容易に移動して外側周方向溝に浸入することで、もともと外側周方向溝に入った雪とセカンド幅方向溝から浸入する雪とが連結部で合流して、互いに干渉し合うことによって、溝内の雪の密度がより高められ、雪柱せん断力が一層増大し、走行運動性能を向上させることができる。
トレッドセンタ領域における幅方向溝である複数のセンタ幅方向溝は、ラジアル方向線に略平行であり、タイヤ赤道線上に階段状の段差が形成されるので、タイヤトレッドの中でも路面との接触により最も大きな圧力を受けるタイヤ赤道線付近に段差を有することで、センタ幅方向溝に入った雪はタイヤ赤道線で確実に分かれて両側の内側周方向溝に浸入することで、さらにセカンド幅方向溝の内端連結部を経てセカンド幅方向溝に入る雪も増えて、加速時には左半部(制動時には右半部の)セカンド幅方向溝の外端連結部でより多量の雪が押し固められて密度の高い雪柱が形成され、雪柱せん断力を益々増大することができる。
なお、センタ幅方向溝に入った雪が内側周方向溝に浸入した連結部においても、干渉によって雪柱せん断力が増大する。
また、センタ幅方向溝の階段状の段差はトレッド幅方向のエッジ効果を有する。
請求項2記載の空気入りタイヤによれば、セカンド幅方向溝は、両端がそれぞれタイヤ幅方向の内側周方向溝および外側周方向溝と連結しており、外側周方向溝には、セカンド幅方向溝ごとにトレッド幅方向外側に膨出する凸部が、セカンド幅方向溝との連結部に形成されるので、加速時または制動時に、もともと外側周方向溝に入った雪とセカンド幅方向溝から浸入する雪とが連結部で合流したところに凸部が形成されていることで、凸部で互いに干渉し合いながら多量の雪が押し固められて雪柱が形成され、雪柱せん断力を益々高めることができる。
請求項3記載の空気入りタイヤによれば、トレッドショルダ領域における幅方向溝である複数のショルダ幅方向溝が、外側周方向溝における前記凸部に連結するので、外側周方向溝の凸部はショルダ幅方向溝への分岐部でもあり、凸部に形成された雪柱は、転動するタイヤのトレッドが路面から離れるときに、ショルダ幅方向溝と外側周方向溝とに分岐して容易に排出され、溝内の目詰まりを解消し、エッジ効果を保ち、高い走行運動性能を維持することができる。
請求項4記載の空気入りタイヤによれば、セカンド幅方向溝は、内側周方向溝と連結する一端の溝幅より外側周方向溝と連結する他端の溝幅が広いので、加速時または制動時にセカンド幅方向溝に入った雪は、セカンド幅方向溝内を溝幅の広い外側周方向溝との連結部に向けて容易に相対移動することができ、連結部の凸部で互いに干渉し合いながら多量の雪が押し固められて雪柱が形成され、雪柱せん断力を益々高めることができる。
請求項5記載の空気入りタイヤによれば、セカンド幅方向溝は、内側周方向溝と連結する一端から外側周方向溝と連結する他端にかけて徐々に溝の深さが増すので、加速時または制動時にセカンド幅方向溝に入った雪は、セカンド幅方向溝内を溝の深さが増す外側周方向溝との連結部に向けて容易に相対移動することができ、連結部の凸部で互いに干渉し合いながら多量の雪が押し固められて雪柱が形成され、雪柱せん断力を益々高めることができる。
請求項6記載の空気入りタイヤによれば、内側周方向溝がタイヤ幅方向に階段状の段差を持つ段差部を複数有しながら周方向に延びるので、内側周方向溝に入った雪は段差部に移動して溜まり雪柱が形成され、雪柱せん断力をさらに高める。
本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤの部分外観図である。 同空気入りタイヤのトレッド部の一部展開図である。 加速時における同空気入りタイヤの雪路面に接したトレッド部を示した図である。 制動時における同空気入りタイヤの雪路面に接したトレッド部を示した図である。 図3のV−V線断面図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図5に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る空気入りタイヤ1の部分外観図である。
本空気入りタイヤ1は、トロイダル形状の外観を有し、内周縁のビード部2,2、両外側面のサイドウオール部3,3、外周面のトレッド部4からなる。
本空気入りタイヤ1は、スタッドレスタイヤであり、トレッド部4の展開図である図2を参照して、トレッド部4には、タイヤ赤道線Lcに沿って周方向に延びる4本の周方向溝5,5,6,6とトレッド幅方向に延びる複数の幅方向溝7,8,9とによって複数のブロック状陸部10が区画形成されてトレッドパターンを構成している。
空気入りタイヤ1のトレッドパターンは、タイヤ赤道線Lcに関して左右が非対称であるが、タイヤ赤道線Lc上の点に関して点対称であり、前後いずれの方角から視ても同じ形状をなす。
トレッド部4は、トレッド幅方向の内側2本の内側周方向溝5,5と外側2本の外側周方向溝6,6により、タイヤ幅方向中央のタイヤ赤道線Lcを含むトレッドセンタ領域Tcと、同トレッドセンタ領域Tcのタイヤ幅方向外側の一対のトレッドセカンド領域Tm,Tmと、同一対のトレッドセカンド領域Tm,Tmのタイヤ幅方向各外側の一対のトレッドショルダ領域Ts,Tsとに区画される。
トレッドセンタ領域Tcは、両側の内側周方向溝5i,5iを連結する複数のセンタ幅方向溝7がタイヤ赤道線Lcに直交するラジアル方向線Lrに略平行に指向して周方向に等間隔に形成されて、内側周方向溝5,5と複数のセンタ幅方向溝7により複数のセンタ陸部10cが区画形成されている。
なお、センタ幅方向溝7は、中央のタイヤ赤道線Lc上で階段状の段差部7aを有して両側が周方向に互いにずれている。
トレッドセカンド領域Tmは、内側周方向溝5と外側周方向溝6を連結する複数のセカンド幅方向溝8がラジアル方向線Lrに対して約30度の角度をもって斜めに指向して周方向に等間隔に形成されて、内側周方向溝5と外側周方向溝6と複数のセカンド幅方向溝8により複数のセカンド陸部10mが区画形成されている。
トレッドセカンド領域Tm,Tmは、タイヤ赤道線Lcの両側にあり、各トレッドセカンド領域Tmのセカンド幅方向溝8は、ラジアル方向線Lrに対して約30度の傾斜角度の斜め方向に指向して、すべてのセカンド幅方向溝8は、同一方向に延びている。
トレッドショルダ領域Tsは、外側周方向溝6からトレッド端縁にかけて複数のショルダ幅方向溝9がラジアル方向線Lrに平行に指向して周方向に等間隔に形成され、外側周方向溝6と複数のショルダ幅方向溝9により複数のショルダ陸部10sが区画形成されている。
ショルダ幅方向溝9は、トレッド端縁で開放されるとともに屈曲してトレッド側面に沿って幾らか延びている。
すべてのブロック状陸部10の表面には、ラジアル方向線Lrに平行に細溝である波状のサイプ11が多数形成されている。
図3および図4を参照して、周方向溝5および幅方向溝6をさらに詳しく考察してみる。
内側周方向溝5は、タイヤ赤道線Lcに対して僅かに傾斜した長尺溝片5lとラジアル方向線Lrに略平行な短尺溝片5sとが交互に順次周方向に配されて連続したジグザグ溝を形成している。
すなわち、内側周方向溝5は、タイヤ幅方向に階段状の段差を持つ段差部を複数有しながら周方向に延びており、複数の階段状の段差(短尺溝片5s)が周方向に順次形成されている。
外側周方向溝6は、タイヤ赤道線Lcに平行な溝片であるトレッド幅方向の内側(タイヤ赤道線Lc側)にずれた内寄り溝片6iと外側にずれた外寄り溝片6oとが交互に順次周方向に配されて連続したジグザグ溝を形成している。
そして、トレッドセンタ領域Tcのラジアル方向線Lrに略平行なセンタ幅方向溝7は、両側の内側周方向溝5,5の長尺溝片5l,5lの各中央部間を連結し、段差部7aから長尺溝片5lとの連結部7bに向かって溝幅が徐々に広くなっている。
トレッドセカンド領域Tmのラジアル方向線Lrに対して約30度の傾斜角度をもって傾斜したセカンド幅方向溝8は、その一端の内側周方向溝5との内端連結部8aが長尺溝片5lと短尺溝片5sの連結する部分にあり、他端の外側周方向溝6との外端連結部8bが外寄り溝片6oと内寄り溝片6iの連結する部分にある。
傾斜したセカンド幅方向溝8の外端連結部8b側開口は、外側周方向溝6の外寄り溝片6oがトレッド幅方向外側に膨出して形成された凸部6Uに臨んでいる。
セカンド幅方向溝8は、内側周方向溝5と連結する内端連結部8a側開口より外側周方向溝6と連結する外端連結部8b側開口の方が、溝幅が広く、セカンド幅方向溝8に入った雪は内端連結部8aから外端連結部8bへ移動し易い。
また、図3のV−V線断面図である図5に示すように、内側周方向溝5の溝の深さDと外側周方向溝6の溝の深さDは同じであるが、セカンド幅方向溝8の内端連結部8a側開口の溝の深さD58が深さD,Dの半分程で、セカンド幅方向溝8は、内端連結部8a側開口の溝の深さD58から外端連結部8b側開口へ徐々に深くなって深さDに至っている。
したがって、セカンド幅方向溝8は、内端連結部8a側から外端連結部8b側に溝断面積を徐々に拡大しているため、セカンド幅方向溝8に入った雪は内端連結部8aから外端連結部8bへ移動し易い。
トレッドショルダ領域Tsのラジアル方向線Lrに平行なショルダ幅方向溝9は、外側周方向溝6の外寄り溝片6oが形成する凸部6Uに内端が連結している。
このショルダ幅方向溝9の内端連結部9aは、外側周方向溝6からショルダ幅方向溝9が分岐する分岐部である。
したがって、外寄り溝片6oの凸部6Uは、セカンド幅方向溝8の外端連結部8bを有するとともに、外側周方向溝6からショルダ幅方向溝9が分岐する分岐部を有する。
図3および図4は、空気入りタイヤ1が雪路面S上を転動しているときの雪路面に接したトレッド部4を示したもので、矢印Rが示す方向がタイヤの回転方向である。
トレッド部4の周方向溝5,6や幅方向溝7,8,9に入って押圧された雪に働く雪柱せん断力およびパターンエッジやサイプ11に働くエッジ効果が発揮されるのは、従来と同様であり、その上で車両の加速時および制動時には、以下に述べるように、雪柱せん断力およびエッジ効果をさらに増大させることができる。
図3においては、加速時に特に効果的に作用する雪の動きを太線矢印で示している。
加速時には周方向溝5,6や幅方向溝7,8,9に入った雪は、図3に太線矢印で示すように、溝内をトレッドパターンが移動する矢印Rの方向とは相対的に反対方向に移動する。
図3において、トレッド部4のタイヤ赤道線Lcより左半部のセカンド幅方向溝8に入った雪は、路面に接したトレッド部4のタイヤ赤道線Lcの中央部を最大として左右側方に押圧力が低下する圧力分布からタイヤ赤道線Lcより左方向に力Frを受けるとともに、加速時の矢印Rと反対方向に相対的に力Fsを受けることになるので、その合成された力Fはセカンド幅方向溝8が指向する斜め傾斜する方向と大体一致し、そのためセカンド幅方向溝8内の雪は、太線矢印で示す方向に容易に移動することができる。
なお、タイヤ赤道線Lcより右半部のセカンド幅方向溝8については、溝内の雪のトレッド部4の圧力分布から受ける力Frが右方向となって、加速時の矢印Rと反対方向に相対的に受ける力Fsとの合成力Fの方向が、セカンド幅方向溝8の傾斜する方向と全く一致しないので、右半部のセカンド幅方向溝8内の雪は移動し難い。
さらに、タイヤ赤道線Lcより左半部のセカンド幅方向溝8は、内端連結部8a側開口より外端連結部8b側開口の方が、溝幅が広く、かつ内端連結部8a側から外端連結部8b側に溝の深さが大きくなり溝断面積を徐々に拡大しているので、セカンド幅方向溝8に入った雪は内端連結部8aから外端連結部8bへ移動し易い構造となっている。
以上のように、タイヤ赤道線Lcより左半部のセカンド幅方向溝8は、溝内に入った雪を太線矢印方向(略合成力Fの方向)に極めて容易に移動できるので、図3を参照して、内側周方向溝5内の雪が太線矢印方向に移動して内側周方向溝5の階段状の段差部(短尺溝片5s)に至り、この段差部にあるセカンド幅方向溝8の内端連結部8aにおいて分流して外側周方向溝6に流入する割合が大きく、セカンド幅方向溝8内を比較的多量の雪が外側周方向溝6に浸入する。
なお、タイヤ幅方向に階段状の段差を持つ段差部を複数有しながら周方向に延びる内側周方向溝5の階段状の段差部(短尺溝片5s)においては、内側周方向溝5内の雪が太線矢印方向に移動して溜まり雪柱を形成する所でもあり、雪柱せん断力をさらに高める。
もともと外側周方向溝6に入って太線矢印方向(周方向)に移動する雪とセカンド幅方向溝8から浸入する比較的多量の雪とが、セカンド幅方向溝8の外端連結部8bで合流し、合流したところに形成された凸部6Uで互いに干渉し合いながら多量の雪が押し固められて密度の高い雪柱が形成され、雪柱せん断力を益々増大することができる。
したがって、車両の加速時には、タイヤ赤道線Lcより左半部の雪柱せん断力がさらに一層増大して、加速運動性能を向上させることができる。
外側周方向溝6の凸部6Uは、外側周方向溝6からショルダ幅方向溝9が分岐する分岐部を有し、凸部6Uで形成された雪柱は、転動するタイヤのトレッドが路面から離れるときに、ショルダ幅方向溝9の内端連結部9aの分岐部でショルダ幅方向溝9と外側周方向溝6とに分岐して(図3に太線破線矢印)、双方から容易に排出される。
したがって、外側周方向溝6の溝内の目詰まりを解消し、エッジ効果を保ち、高い走行運動性能を維持することができる。
以上は、加速時における走行運動性能を考察したが、加速時とは逆に制動時には、図4に示すように、タイヤ赤道線Lcより右半部において、加速時と略同じ現象が生じる。
すなわち、図4において、制動時には、タイヤ赤道線Lcより右半部のセカンド幅方向溝8の溝内の雪は、路面に接したトレッド部4の圧力分布からタイヤ赤道線Lcより右方向に力Frを受けるとともに、トレッドパターンが移動する矢印Rの方向と相対的に同じ方向(加速時と反対方向)に相対的に力Fsを受けることになるので、その合成された力Fはセカンド幅方向溝8が指向する斜め傾斜する方向と大体一致し、そのためセカンド幅方向溝8内の雪は、太線矢印で示す方向に容易に移動することができる。
そして、タイヤ赤道線Lcより右半部のセカンド幅方向溝8は、左半部のセカンド幅方向溝8と同様に、内端連結部8aから外端連結部8bへ移動し易い構造となっている。
したがって、もともと外側周方向溝6に入って太線矢印方向(周方向)に移動する雪とセカンド幅方向溝8から浸入する比較的多量の雪とが、セカンド幅方向溝8の外端連結部8bで合流し、合流したところに形成された凸部6Uで互いに干渉し合いながら多量の雪が押し固められて密度の高い雪柱が形成され、雪柱せん断力を益々増大することができ、車両の制動時には、タイヤ赤道線Lcより右半部の雪柱せん断力がさらに一層増大して、制動運動性能を向上させることができる。
凸部6Uで形成された雪柱は、転動するタイヤのトレッドが路面から離れるときに、ショルダ幅方向溝9の内端連結部9aの分岐部でショルダ幅方向溝9と外側周方向溝6とに分岐して(図4に太線破線矢印)、双方から容易に排出される。
したがって、制動時にも、外側周方向溝6の溝内の目詰まりを解消し、エッジ効果を保ち、高い走行運動性能を維持することができる。
トレッドセンタ領域Tcのラジアル方向線Lrに略平行なセンタ幅方向溝7は、タイヤ赤道線Lc上の段差部7aから内側周方向溝5の長尺溝片5lとの連結部7bに向かって溝幅が徐々に広くなっているので、タイヤトレッド部4の中でも路面との接触により最も大きな圧力を受けるタイヤ赤道線付近に段差を有することで、センタ幅方向溝7に入った雪はタイヤ赤道線で確実に左右に分かれて左右の内側周方向溝5との連結部7bに向かって容易に移動し、合流する連結部7bにおける干渉によって、雪柱せん断力が増大する。
同時に、内側周方向溝5の雪が増えることで、さらにセカンド幅方向溝8の内端連結部8aを経てセカンド幅方向溝8に入る雪も増えて、加速時には左半部(制動時には右半部の)セカンド幅方向溝8の外端連結部8bでより多量の雪が押し固められて密度の高い雪柱が形成され、雪柱せん断力を益々増大することができる。
なお、センタ幅方向溝7の階段状の段差7aはトレッド幅方向のエッジ効果を有する。
以上のように、本空気入りタイヤ1は、周方向溝5,5,6,6と幅方向溝7,8,9により従来でも得られた雪柱せん断力およびエッジ効果は維持された上で、加速時にはタイヤ赤道線Lcより左半部のセカンド幅方向溝8により形成される雪柱せん断力が、制動時にはタイヤ赤道線Lcより右半部のセカンド幅方向溝8により形成される雪柱せん断力が、より一層増大して走行運動性能を向上させることができる。
本空気入りタイヤ1を試験車両に装着して、テストドライバーが雪上テストコースを走行したときのフィーリング試験の評価結果は、前記特許文献1に開示された空気入りタイヤを比較例として、比較例の空気入りタイヤの評価を“100”としたときに、雪上制動性能は“116”に、雪上加速性能は“111”に向上し、雪上操縦安定性は“105”に向上した。
なお、比較例の空気入りタイヤは、本空気入りタイヤ1とタイヤサイズは同じで、同じ試験車両に装着してテストしたものである。
本実施の形態では、空気入りタイヤ1のトレッド部4のセカンド幅方向溝8は、ラジアル方向線Lrに対して約30度の角度をもって斜めに指向して形成されているが、このセカンド幅方向溝8のラジアル方向線Lrに対する角度は、あまり小さいとセカンド幅方向溝8内の雪の移動が円滑でなくなり、また大き過ぎると周方向のエッジ効果が低下するので、ラジアル方向線Lrに対して概ね15度〜45度の傾斜角度が好ましい。
Lc…タイヤ赤道線、Lr…ラジアル方向線、Tc…トレッドセンタ領域、Tm…トレッドセカンド領域、Ts…トレッドショルダ領域、
1…空気入りタイヤ、2…ビード部、3…サイドウオール部、4…トレッド部、5…内側周方向溝、6…外側周方向溝、7…センタ幅方向溝、7a…段差部、8…セカンド幅方向溝、9…ショルダ幅方向溝、10…陸部、11…サイプ。

Claims (6)

  1. トレッドにタイヤ赤道線に沿って周方向に延びる複数の周方向溝とトレッド幅方向に延びる複数の幅方向溝とによって複数のブロック状陸部が区画形成された空気入りタイヤにおいて、
    複数の前記周方向溝により、トレッドが、タイヤ幅方向中央のタイヤ赤道線を含むトレッドセンタ領域と、同トレッドセンタ領域のタイヤ幅方向外側のトレッドセカンド領域と、同トレッドセカンド領域のタイヤ幅方向外側のトレッドショルダ領域とに区画され、
    前記トレッドセカンド領域における前記幅方向溝である複数のセカンド幅方向溝は、タイヤ赤道線に直交するラジアル方向線に対して所定の傾斜角度をもって斜めに指向して形成され、
    前記トレッドセンタ領域における前記幅方向溝である複数のセンタ幅方向溝は、ラジアル方向線に略平行であり、タイヤ赤道線上に階段状の段差が形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記セカンド幅方向溝は、両端がそれぞれタイヤ幅方向の内側周方向溝および外側周方向溝と連結しており、
    前記外側周方向溝には、前記セカンド幅方向溝ごとにトレッド幅方向外側に膨出する凸部が、前記セカンド幅方向溝との連結部に形成されることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッドショルダ領域における前記幅方向溝である複数のショルダ幅方向溝は、前記外側周方向溝における前記凸部に連結することを特徴とする請求項2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記セカンド幅方向溝は、前記内側周方向溝と連結する一端の溝幅より前記外側周方向溝と連結する他端の溝幅が広いことを特徴とする請求項2または請求項3記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記セカンド幅方向溝は、前記内側周方向溝と連結する一端から前記外側周方向溝と連結する他端にかけて徐々に溝の深さが増すことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記内側周方向溝は、タイヤ幅方向に階段状の段差を持つ段差部を複数有しながら周方向に延びることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項記載の空気入りタイヤ。
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