以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の一例を示す図である。
半導体装置1は、回路部2、スイッチ回路3、制御回路4を有している。
回路部2は、スイッチ回路3を介して電源電圧が供給される回路であり、たとえば、SoC(System on a Chip)などである。なお、回路部2は、半導体装置1の外部に設けられているものであってもよい。
スイッチ回路3は、トランジスタ3aを有し、回路部2への電源の供給を制御する。以下、スイッチ回路3をパワースイッチ3と呼ぶ。なお、トランジスタ3aは、nチャネル型MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であっても、pチャネル型MOSFETであってもよい。また、パワースイッチ3は、制御回路4内に設けられていてもよい。
制御回路4は、パワースイッチ3を制御するとともに、パワースイッチ3が正常か否かを判定する。
制御回路4は、電源電圧生成部10、ゲート制御部11,12、スイッチ回路13、駆動電荷検出部14、積分部15、決定部16、判定部17、電源供給管理部18を有している。たとえば、制御回路4は、1チップの半導体集積回路で実現され、パワースイッチ3に、電源電圧を供給する端子Pa、ゲート電圧を供給する端子Pbを有している。
電源電圧生成部10は、回路部2に対応した電源電圧を生成する。電源電圧生成部10は、たとえば、チップ外の外部電源(バッテリー、USB(Universal Serial Bus)、AC(Alternating Current)電源)から供給される電源電圧を、降圧または昇圧して、回路部2に適した電圧とする。
ゲート制御部11は、パワースイッチ3のトランジスタ3aのゲートに供給するゲート電圧を生成する。
ゲート制御部12は、スイッチ回路13のトランジスタ13aのゲートに供給するゲート電圧を生成する。
スイッチ回路13は、パワースイッチ3の動作を模擬する回路である。つまり、パワースイッチ3と同じタイミングでゲート電圧が与えられ、パワースイッチ3と同じ電源電圧が供給される。以下、スイッチ回路13を、レプリカ回路13と呼ぶ。レプリカ回路13は、トランジスタ13aを有している。トランジスタ13aは、たとえば、予め規定されているトランジスタ3aの大きさ(推奨値)と同じものか、小さいものが用いられる。
駆動電荷検出部14は、パワースイッチ3を駆動する際に、パワースイッチ3のゲート容量にチャージまたはゲート容量からディスチャージされる電荷を検出する。これにより、パワースイッチ3のゲート容量に基づく電流(以下ゲート電流という)が検出される。なお、パワースイッチ3のゲート容量は、トランジスタ3aのゲート−ソース間容量とゲート−ドレイン間容量がある。
積分部15は、ゲート電流を積分する。これにより、パワースイッチ3のゲート容量に応じた積分値が得られる。
決定部16は、レプリカ回路13の出力信号に基づいて、基準となる積分期間を決定する。決定部16は、たとえば、レプリカ回路13の出力信号の立ち上がりタイミングから、ある値に達するまでの時間を積分期間とする。ここでの値は、たとえば、レプリカ回路の出力信号の最大値の90%、95%などである。
判定部17は、上記積分期間での積分部15での積分値または、上記積分期間で積分が完了しているか否かの情報に基づき、パワースイッチ3が正常か否かを判定する。
たとえば、判定部17は、上記積分期間での積分値と閾値との比較結果に応じて、パワースイッチ3が正常か否かを判定する。閾値は、たとえば、正常または推奨されているパワースイッチ3を用いたときに得られる積分値に基づいて予め決められている。
電源供給管理部18は、ゲート制御部11,12にイネーブル信号を送出する。また、電源供給管理部18は、判定部17での判定結果を受けて、たとえば、イネーブル信号の送出を停止したり、判定結果を外部に通知する。
以下、第1の実施の形態の半導体装置1の動作の一例を説明する。
ここでは、パワースイッチ3として、推奨されているものよりもトランジスタサイズが大きいものが用いられている場合について説明する。この場合、電源電圧がパワースイッチ3に供給されると、トランジスタ3aのゲート容量が大きいため、図1に示すように、パワースイッチ3の出力は、なだらかに立ち上がる。このようなトランジスタ3aのゲート電流をそのまま積分対象として積分して、積分値と閾値との比較判定を行うと、ゲート容量にチャージまたはゲート容量からディスチャージされる期間が長いため判定結果を得るまでの時間が長くなる。
そこで、第1の実施の形態の半導体装置1では、決定部16が、レプリカ回路13の出力信号に基づいて、基準の積分期間を決定する。そのため、図1に示すように、積分期間は、パワースイッチ3に依存せず、短くすることができる。この積分期間におけるゲート電流(図1の積分対象のゲート電流)の積分値は、図1の例では、閾値を下回っている。そのため、判定部17は、パワースイッチ3が異常である旨の判定結果を出力する。
このように、第1の実施の形態の半導体装置1及び制御回路(半導体集積回路)4によれば、パワースイッチ3のゲート電流を積分する際、パワースイッチ3の動作を模擬するレプリカ回路13の出力信号に基づき積分期間が決定される。これにより、積分期間がパワースイッチ3のサイズによらず一定となり、高速に正常/異常を判定できる。
また、パワースイッチ3のゲート電流に基づき、パワースイッチ3の正常/異常を判定するため、パワースイッチ3の出力信号を検出する端子を、制御回路4に設けなくてもよくなり、半導体集積回路の端子数を削減できる。
なお、上記の説明では、1つの回路部2に対して電源を供給するパワースイッチ3と、制御回路4を説明したがこれに限定されない。回路部2が複数ある場合には、それに対応してパワースイッチ3を設け、制御回路4において、電源供給管理部18以外の要素を複数設ければよい。また、各回路部2で共通化できる制御回路4の要素については、共通化するようにしてもよい。その一例については後述する。
また、判定部17は、基準となる積分期間で、パワースイッチ3のゲート電流の積分が完了しているか否かの情報に基づき、パワースイッチ3が正常か否かを判定するようにしても同様の効果が得られる。この点についても、後述する。
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の一例を示す図である。
半導体装置50は、回路部51、パワースイッチ52、半導体集積回路53を有している。
回路部51は、パワースイッチ52を介して電源電圧が供給される回路であり、たとえば、SoCなどである。なお、回路部51は、半導体装置50の外部に設けられているものであってもよい。
パワースイッチ52は、トランジスタ52aとダイオード52bを有している。なお、以下の説明では、トランジスタ52aは、pチャネル型MOSFETであるものとして説明する。トランジスタ52aのドレインは回路部51に接続されており、ソースは半導体集積回路53の端子P1に、ゲートは半導体集積回路53の端子P2に接続されている。また、ダイオード52bのアノードは、トランジスタ52aのドレインに接続されており、カソードは、トランジスタ52aのソースに接続されている。
なお、トランジスタ52aは、ゲート−ソース間容量Cgsと、ゲート−ドレイン間容量Cgdを有している。これらはトランジスタ52aの寄生容量であるため、点線で図示されている。また、パワースイッチ52は、半導体集積回路53内に設けられていてもよい。
半導体集積回路53は、パワースイッチ52を制御するとともに、パワースイッチ52が正常か否かを検出する。
半導体集積回路53は、電源電圧生成部60、ゲート制御/出力モニタ回路61、バイアス回路62、電源供給管理部63を有している。
電源電圧生成部60は、回路部51に対応した電源電圧PVOUTを生成し、端子P1を介してパワースイッチ52に供給する。電源電圧生成部60は、たとえば、チップ外の外部電源(バッテリー、USB、AC電源)から供給される電源電圧を、降圧または昇圧して、回路部51に適した電源電圧PVOUTとする。
ゲート制御/出力モニタ回路61は、端子P2を介して、パワースイッチ52にゲート電圧を供給するとともに、ゲート電流の積分値に基づき、パワースイッチ52が正常であるか否かを判定する。
バイアス回路62は、ゲート制御/出力モニタ回路61にバイアス電圧Vbを供給する。バイアス回路62は、電流源62aと、ドレインに電流源62a及び自身のゲートを接続しソースを接地したnチャネル型MOSFETであるトランジスタ62bを有している。
電源供給管理部63は、ゲート制御/出力モニタ回路61にイネーブル信号XENAを送出する。なお、イネーブル信号XENAは、パワースイッチ52をオンするときには、L(Low)レベルとなり、パワースイッチ52をオフするときには、H(High)レベルとなる信号である。また、電源供給管理部63は、ゲート制御/出力モニタ回路61での判定結果を受けて、たとえば、イネーブル信号XENAの送出を停止したり、判定結果を外部に通知する。
ゲート制御/出力モニタ回路61は、ゲート制御部70,71、レプリカ回路72、駆動電荷検出部73、積分部74、決定部75、判定部76、容量C1,C2を有している。容量C1は、一方の端子をパワースイッチ52のゲートに接続しており、ゲート電圧が急に変化して回路部51へ突入電流が流れ込むことを防止するために設けられている。容量C2は、容量C1に対応して設けられているもので、一方の端子をレプリカ回路72のゲートに接続している。容量C1,C2の他方の端子は接地電位AGNDとなっている。仮に、1μAの定電流で、容量値が1pFの容量C1をチャージまたはディスチャージする場合、1μ/1p(V/s)の傾きでゲート電圧は制御される。
ゲート制御部70は、レプリカ回路72のトランジスタ72aのゲートに供給するゲート電圧を生成する。ゲート制御部70は、インバータ回路70a、pチャネル型MOSFETであるトランジスタ70b、nチャネル型MOSFETであるトランジスタ70c,70dを有している。
インバータ回路70aは、電源供給管理部63からイネーブル信号XENAを入力して、論理レベルを反転してトランジスタ70b,70cのゲートに供給する。トランジスタ70bのソースには、電源電圧AVDDが印加される。また、トランジスタ70bのドレインは、トランジスタ70cのドレイン、容量C2及びレプリカ回路72のトランジスタ72aのゲートに接続されている。トランジスタ70cのソースは、トランジスタ70dのドレインに接続されている。トランジスタ70dのソースは接地電位AGNDとなっており、トランジスタ70dのゲートには、バイアス回路62からのバイアス電圧Vbが印加されている。
ゲート制御部71は、パワースイッチ52のトランジスタ52aのゲートに供給するゲート電圧を生成する。ゲート制御部71は、インバータ回路71a、pチャネル型MOSFETであるトランジスタ71b、nチャネル型MOSFETであるトランジスタ71c,71d,71eを有している。
インバータ回路71aは、電源供給管理部63からイネーブル信号XENAを入力して、論理レベルを反転してトランジスタ71b,71cのゲートに供給する。トランジスタ71bのソースには、電源電圧AVDDが印加される。また、トランジスタ71bのドレインは、トランジスタ71cのドレイン、容量C1及び端子P2を介して、パワースイッチ52のトランジスタ52aのゲートに接続されている。トランジスタ71cのソースは、トランジスタ71dのドレインに接続されている。トランジスタ71dのソースはトランジスタ71eのドレインに接続されている。トランジスタ71dのゲートは、自身のドレインに接続されているとともに、駆動電荷検出部73の後述するトランジスタ73bのゲートに接続されている。トランジスタ71eのソースは、接地電位AGNDとなっており、トランジスタ71eのゲートには、バイアス回路62からのバイアス電圧Vbが印加されている。
トランジスタ71eとバイアス回路62のトランジスタ62bとにより、カレントミラー回路が実現されている。これにより、トランジスタ71eは、定電流源として機能する。
レプリカ回路72は、パワースイッチ52の動作を模擬する回路であり、パワースイッチ52と同じタイミングでゲート電圧が与えられ、パワースイッチ52と同じ電源電圧PVOUTが電源電圧生成部60から供給される。
レプリカ回路72は、トランジスタ72aとダイオード72bを有している。なお、トランジスタ72aは、パワースイッチ52のトランジスタ52aと同様にpチャネル型MOSFETである。トランジスタ72aのソースは、電源電圧生成部60に接続されており、トランジスタ72aのドレインは、決定部75の後述する比較器75aの非反転入力端子に入力される。トランジスタ72aのゲートは、ゲート制御部70のトランジスタ70b,70cのドレイン及び容量C2に接続されている。また、ダイオード72bのアノードは、トランジスタ72aのドレインに接続されており、カソードは、トランジスタ72aのソースに接続されている。
なお、トランジスタ72aは、ゲート−ソース間容量Cgsdと、ゲート−ドレイン間容量Cgddを含むゲート容量を有している。これらはトランジスタ72aの寄生容量であるため、点線で図示されている。
トランジスタ72aの大きさは、パワースイッチ52のトランジスタ52aのサイズの推奨値または、その推奨値の1/N(N>1)の大きさとなっている。トランジスタ72aのゲート容量とトランジスタ52aのゲート容量の大きさの比は、トランジスタ72aとトランジスタ52aのサイズの比によって決まる。たとえば、トランジスタ52aのオン抵抗が、10Ω、出力容量が1μFであった場合には、それに対応したRC時定数を、レプリカ回路72で生成させることが望ましい。仮にレプリカ回路72のトランジスタ72aのオン抵抗を100Ω(トランジスタサイズがパワースイッチ52の1/10)とした際には、トランジスタ72aの出力には、10μFの容量成分を接続すればよい。
駆動電荷検出部73は、パワースイッチ52を駆動する際に、パワースイッチ52のゲート容量(ゲート−ソース間容量Cgsとゲート−ドレイン間容量Cgd)にチャージされる電荷、またはゲート容量からディスチャージされる電荷を検出する。これにより、パワースイッチ52のゲート容量に基づくゲート電流が検出される。
駆動電荷検出部73は、pチャネル型MOSFETであるトランジスタ73a、nチャネル型MOSFETであるトランジスタ73b,73cを有している。
トランジスタ73aのソースには、電源電圧AVDDが印加され、トランジスタ73aのドレインはトランジスタ73bのドレイン及び自身のゲートに接続されている。また、トランジスタ73aのドレイン及びゲートは、積分部74の後述するトランジスタ74aのゲートに接続されている。トランジスタ73bのソースはトランジスタ73cのドレインに接続されており、トランジスタ73bのゲートは、ゲート制御部71のトランジスタ71dのドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタ73cのソースは、接地電位AGNDとなっており、トランジスタ73dのゲートには、バイアス回路62からのバイアス電圧Vbが印加されている。
トランジスタ73bと、ゲート制御部71のトランジスタ71dにより、カレントミラー回路が実現されており、トランジスタ73bのドレインには、ゲート制御部71のノードNaと同じ電流が流れる。
積分部74は、ゲート電流を積分する機能を有する。これにより、パワースイッチ52のゲート容量に応じた積分値が得られる。
積分部74は、pチャネル型MOSFETであるトランジスタ74a,74b、nチャネル型MOSFETであるトランジスタ74c、容量C3を有している。
トランジスタ74aのソースには、電源電圧AVDDが印加され、トランジスタ74aのドレインはトランジスタ74bのソースに接続されている。トランジスタ74aのゲートは、駆動電荷検出部73のトランジスタ73aのドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタ74bのドレインは、トランジスタ74cのドレイン、容量C3の一方の端子及び判定部76の後述する比較器76aの反転入力端子と比較器76bの非反転入力端子に接続されている。トランジスタ74b,74cのゲートは、電源供給管理部63に接続されており、イネーブル信号XENAが入力される。トランジスタ74cのソースと、容量C3の他方の端子は、接地電位AGNDとなる。この容量C3に印加される電圧が、ゲート電流の積分値に相当する。
決定部75は、レプリカ回路72の出力信号がある値(図2の例では、電圧Vth)に達するまでの時間に基づいて基準の積分期間の終了を示す信号を出力する。
決定部75は、比較器75aを有している。比較器75aの非反転入力端子(図2では“+”と表記されている)は、レプリカ回路72のトランジスタ72aのドレインに接続されている。比較器75aの反転入力端子(図2では“−”と表記されている)には、電圧Vthが印加されている。電圧Vthは、たとえば、電源電圧PVOUT、または電源電圧PVOUTよりもわずかに小さい値(たとえば、電源電圧PVOUTの90%、95%などの値)である。比較器75aの出力端子は、判定部76の後述するフリップフロップ76d,76eのクロック端子CKに接続されている。
判定部76は、決定部75から積分期間の終了を示す信号を受けて、その時点での積分部74の積分値(容量C3の電圧)に基づいて、パワースイッチ52が正常か否かを判定する。
判定部76は、比較器76a,76b、AND回路76c、フリップフロップ76d,76e、インバータ回路76fを有している。
比較器76aの非反転入力端子には、基準電圧VrHが印加され、比較器76bの反転入力端子には、基準電圧VrLが印加される。基準電圧VrHは、基準電圧VrLよりも大きい電圧である。基準電圧VrH,VrLは、たとえば、推奨されているパワースイッチを用いたときに取り得るゲート電流の積分値の範囲に基づいて、予め決められている。
比較器76aの反転入力端子と比較器76bの非反転入力端子は、容量C3の一方の端子に入力されており、容量C3にチャージされる電荷量(前述の積分値)に応じた電圧が印加される。
比較器76a,76bの出力端子は、AND回路76cの2つの入力端子に接続されている。AND回路76cの出力端子は、フリップフロップ76dのデータ入力端子Dに接続されているとともに、インバータ回路76fを介して、フリップフロップ76eのデータ入力端子Dに接続されている。
フリップフロップ76d,76eのクロック端子CKは前述したように、決定部75の比較器75aの出力端子に接続されている。フリップフロップ76d,76eの出力端子Qは、電源供給管理部63に接続されている。
フリップフロップ76dの出力端子Qからは、POG(Power On Good)信号が出力され、フリップフロップ76eの出力端子Qからは、アラート信号が出力される。POG信号は、電源が正常に立ち上がったことを示すフラグであり、電源が正常に立ち上がったと判定されたときには、Hレベルとなる。アラート信号は、電源が正常に立ち上がらなかったことを示すフラグであり、電源が正常に立ち上がらなかったと判定されたときには、Hレベルとなる。
以下、第2の実施の形態の半導体装置50の動作を説明する。
図3は、パワースイッチが正常と判定される場合の第2の実施の形態の半導体装置の一例の動作を示すタイミングチャートである。
図3には、電源供給管理部63から出力されるイネーブル信号XENA、端子P2からパワースイッチ52に供給されるゲート電圧PGATE、レプリカ回路72に供給されるゲート電圧RGATEの様子が示されている。また、パワースイッチ52の出力信号、ゲート制御部71のノードNaにおける電流、積分部74の容量C3の電圧Vc3(積分値を示す)、レプリカ回路72の出力信号の様子が示されている。さらに、POG信号、アラート信号、電源供給管理部63が検出するステートの様子が示されている。
電源供給管理部63は、パワースイッチ52をオフしておく(回路部51への電源供給を休止する)場合、イネーブル信号XENAをHレベルにしておく。
電源供給管理部63は、パワースイッチ52をオンして回路部51に電源電圧PVOUTを供給する際、イネーブル信号XENAをLレベルに立ち下げる(タイミングt1)。これにより、ゲート制御部71は、図3に示すような傾きでゲート電圧PGATEを立ち下げていく。ゲート制御部70も同じタイミングでレプリカ回路72のゲート電圧RGATEを立ち下げていく。ゲート電圧が立ち下がるにしたがって、パワースイッチ52の出力信号及びレプリカ回路72の出力信号が立ち上がっていく。
ところで、パワースイッチ52がオフ状態からオン状態となるときに、トランジスタ52aのゲート容量がディスチャージするための電荷総量は、ノードNaに流れる電流に着目すると、以下の式で近似できる。
式(1)で、Ibは、ノードNaに流れる電流である。C1は容量C1の容量値であり、Cgdは、パワースイッチ52のトランジスタ52aのゲート−ドレイン間容量Cgdの容量値である。
したがって、式(1)の左辺の積分値を得ることにより、パワースイッチ52のゲート容量や電源電圧PVOUTの状態を検知することが可能となる。
ノードNaの電流は、図3に示されているようにタイミングt1で立ち上がる。ノードNaの電流は、前述したカレントミラー回路で、駆動電荷検出部73で検出され、さらに、積分部74の容量C3に流れ込む。これにより、容量C3の電圧Vc3も、図3に示すように上昇する。この電圧Vc3が、式(1)の左辺の積分値に相当する。
一方、パワースイッチ52の動作を模擬するレプリカ回路72の出力信号も、タイミングt1から立ち上がっていく。パワースイッチ52の出力信号は、比較器75aにて、電圧Vthと比較される。タイミングt2では、パワースイッチ52の出力信号が、電圧Vthに達している。
このとき、比較器75aは、判定部76のフリップフロップ76d,76eのクロック端子CKに入力されるクロック信号をHレベルとする。これにより、フリップフロップ76dは、タイミングt2での、AND回路76cの出力信号を取り込む。また、フリップフロップ76eは、インバータ回路76fで反転された、タイミングt2でのAND回路76cの出力信号を取り込む。
タイミングt2では、積分値である電圧Vc3は、図3に示されているように、VrL<Vc3<VrHである。そのため、判定部76において、比較器76a,76bの出力信号は両方ともHレベルとなる。したがってAND回路76cの出力信号は、Hレベル(“1”)となる。これによって、フリップフロップ76dの出力端子Qからは、POG信号として“1”が出力され、フリップフロップ76eの出力端子Qからは、“0”が出力される。
これにより、電源供給管理部63は、パワースイッチ52のステートが“正常”であることを検出する。
なお、タイミングt3にて、イネーブル信号XENAがHレベルに戻ると、ゲート電圧PGATE,RGATEもHレベルに立ち上がり、パワースイッチ52の出力信号は負荷(回路部51)に応じた傾きで立ち下がっていく。また、電圧Vc3についてもLレベルとなり、レプリカ回路76の信号も立ち下がっていく。
図4は、パワースイッチが異常と判定される場合の第2の実施の形態の半導体装置の一例の動作を示すタイミングチャートである。イネーブル信号XENA、ゲート電圧PGATE,RGATE、パワースイッチ52の出力信号、ゲート制御部71のノードNaにおける電流、電圧Vc3、レプリカ回路72の出力信号、POG信号、アラート信号、ステートの様子が示されている。
タイミングt5までは、図3に示した動作と同じ動作が行われる。すなわち、タイミングt5において、電源供給管理部63は、イネーブル信号XENAをLレベルに立ち下げる。これにより、ゲート制御部71は、図4に示すような傾きでゲート電圧PGATEを立ち下げていく。ゲート制御部70も同様にレプリカ回路72のゲート電圧RGATEを立ち下げていく。ゲート電圧PGATE,RGATEが立ち下がるにしたがって、パワースイッチ52の出力信号及びレプリカ回路72の出力信号が立ち上がっていく。
ただ、パワースイッチ52として推奨されているものよりも大きいものが用いられている場合、ゲート容量が大きくなり、図4に示されているように、出力信号の立ち上がり速度が、レプリカ回路72の出力信号よりも遅くなっている。
しかしながら、図3に示した場合と同様に、判定部76のフリップフロップ76d,76eで、AND回路76cの出力を取り込むタイミングは同じである。すなわち、レプリカ回路72の出力信号が電圧Vthに達したタイミングt6で、AND回路76cの出力がフリップフロップ76d,76eに取り込まれる。すなわち、タイミングt5〜t6の基準の積分期間の積分値に基づいた値が、フリップフロップ76d,76eに取り込まれる。
タイミングt6では、積分値であるVc3は、Vc3<VrL<VrHである。そのため、判定部76において、比較器76aの出力信号はHレベルとなり、比較器76bの出力信号はLレベルとなる。したがってAND回路76cの出力信号は、Lレベル(“0”)となる。これによって、フリップフロップ76eの出力端子からは、アラート信号として“1”が出力される。
これにより、電源供給管理部63は、パワースイッチ52のステートが“異常”であることを検出する。
なお、タイミングt7にて、イネーブル信号XENAがHレベルに戻ると、ゲート電圧PGATE,RGATEもHレベルに立ち上がり、パワースイッチ52の出力信号は負荷に応じた傾きで立ち下がっていく。また、電圧Vc3についてもLレベルとなり、レプリカ回路76の信号も立ち下がっていく。
パワースイッチ52のゲート容量が大きいと、式(1)の関係から積分値も大きくなり、積分が完了するまでに時間がかかる。しかし、上記のように、本実施の形態の半導体装置50及び半導体集積回路53によれば、レプリカ回路72の出力信号に基づき基準の積分期間が決定され、積分値と基準電圧VrH,VrLとの比較に基づいた判定結果が出力されるようになる。つまり、レプリカ回路72の出力信号が電圧Vthに達したタイミング(基準の積分期間が終了したタイミング)で、判定結果が得られる。そのため、高速にパワースイッチ52の正常/異常を判定できる。
また、検出されたゲート電流(ノードNaに流れる電流に相当する)を、カレントミラー回路を用いて積分部74に移すことで、精度よく積分値が得られる。
また、パワースイッチ52のゲート電流に基づき、パワースイッチ52の正常/異常を判定するため、パワースイッチ52の出力信号を検出する端子を、半導体集積回路53に設けなくてもよくなり、半導体集積回路53の端子数を削減できる。
なお、上記の説明では、1つの回路部51に対して電源を供給するパワースイッチ52と、半導体集積回路53を説明したがこれに限定されない。回路部51が複数ある場合には、それに対応してパワースイッチ52を設け、半導体集積回路53において、電源供給管理部63以外の要素を複数設ければよい。また、各回路部51で共通化できる半導体集積回路53の要素については、共通化するようにしてもよい。その一例については後述する。
(第3の実施の形態)
図5は、第3の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の一例を示す図である。図1に示した第1の実施の形態の半導体装置1及び半導体集積回路4と同様の要素については、同じ符号が付されている。
第3の実施の形態の半導体装置1aでは、半導体集積回路4aの判定部17aが、図1に示した判定部17と異なっている。
半導体集積回路4aの判定部17aは、積分期間判定部17−1、積分結果判定部17−2、判定結果出力部17−3を有している。
積分期間判定部17−1は、レプリカ回路13の出力信号に基づき決定部16で決定された基準の積分期間で、積分部15での積分が完了しているか否かを判定する。基準の積分期間で積分部15での積分が完了しない場合、積分期間判定部17−1は、パワースイッチ3に異常がある旨を通知する信号を出力する。
積分結果判定部17−2は、積分部15での積分値が、推奨されているパワースイッチを用いたときに取り得るゲート電流の積分値の範囲内に入っているか否かを判定する。積分部15での積分値が、推奨されているパワースイッチを用いたときに取り得るゲート電流の積分値の範囲内に入っていない場合、積分結果判定部17−2は、パワースイッチ3に異常がある旨を通知する信号を出力する。
判定結果出力部17−3は、積分期間判定部17−1と積分結果判定部17−2の結果を受けて、パワースイッチ3に異常があるか否かを通知する信号(判定結果)を、電源供給管理部18に出力する。
以下、pチャネル型MOSFETを用いたパワースイッチのゲートを制御またはパワースイッチの正常/異常を検出する場合を例にして、第3の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の一例を説明する。
図6は、pチャネル型MOSFETを用いたパワースイッチを有する第3の実施の形態の半導体装置、及び半導体集積回路の一例を示す図である。図2に示した第2の実施の形態の半導体装置50と同様の要素については、同じ符号が付されている。
半導体装置50aにおいて、半導体集積回路53aのゲート制御/出力モニタ回路61aは、積分期間判定部76−1、積分結果判定部76−2、判定結果出力部76−3を有している。これらは、前述した図5の積分期間判定部17−1、積分結果判定部17−2、判定結果出力部17−3と同様の機能を有する。さらに、半導体集積回路53aは、pチャネル型MOSFETであるトランジスタ77と、nチャネル型MOSFETであるトランジスタ78を有している。
トランジスタ77のゲートは、駆動電荷検出部73のトランジスタ73aのゲート及びドレインに接続されており、トランジスタ77のソースには電源電圧AVDDが印加されている。トランジスタ77のドレインは、トランジスタ78のドレインに接続されている。トランジスタ78のゲートには、バイアス電圧Vbが印加され、ソースは接地電位AGNDとなっている。なお、図6では、トランジスタ77のソースとトランジスタ78のドレインとの間のノードが、Nbと表記されている。
積分期間判定部76−1は、フリップフロップ76kとインバータ回路76lを有している。フリップフロップ76kのクロック端子CKには、決定部75の比較器75aの出力端子が接続されている。データ入力端子Dは、インバータ回路76lの出力端子に接続されている。また、リセット端子は、電源供給管理部63に接続されており、イネーブル信号XENAが入力される。また、出力端子Qは、判定結果出力部76−3の後述するOR回路76iの一方の入力端子と、AND回路76jの3つの入力端子のうちの1つに接続されている。インバータ回路76lの入力端子は、積分期間判定部76−2の後述するインバータ回路76gの出力端子に接続されている。なお、図6では、インバータ回路76lの入力端子と、インバータ回路76gの出力端子との間のノードが、Ncと表記されている。
積分結果判定部76−2は、図2に示した判定部76と同様に、比較器76a,76b、AND回路76c、フリップフロップ76d,76e、インバータ回路76fを有しており、ほぼ同様の回路となっている。ただ、フリップフロップ76d,76eのクロック端子CKには、比較器75aの出力端子ではなく、ノードNbを入力端子に接続したインバータ回路76gの出力端子(及びノードNc)が接続されている。このための、ノードNbの電位がLレベルになり、ノードNcの電位がHレベルになると、積分結果に基づくAND回路76cの出力信号が、フリップフロップ76eに取り込まれることになる。
判定結果出力部76−3は、2入力のAND回路76h、OR回路76i、3入力のAND回路76jを有している。
2入力のAND回路76hの一方の入力端子は、インバータ回路71aの出力端子に接続されており、他の入力端子は、OR回路76iの出力端子に接続されている。AND回路76hは、2つの入力端子に入力される信号が全て“1”のときにアラート信号として“1”を出力し、電源供給管理部63に、パワースイッチ52に異常があった旨を通知する。
OR回路76iの一方の入力端子は、前述したように、フリップフロップ76kの出力端子Qに接続されており、他方の出力端子は、フリップフロップ76eの出力端子Qに接続されている。これにより、フリップフロップ76k,76eの少なくとも一方の出力信号が“1”であれば、OR回路76iは“1”を出力する。
3入力のAND回路76jの第1の入力端子は、前述したように、フリップフロップ76kの出力端子Qに接続されており、第2の入力端子は、フリップフロップ76dの出力端子Qに接続されており、第3の入力端子は電源供給管理部63に接続されている。なお、第1の入力端子と第3の入力端子に入力される信号は、論理レベルが反転されて入力される。AND回路76jは、イネーブル信号XENAがLレベルのとき、フリップフロップ76dの出力信号が“1”でかつ、フリップフロップ76kの出力信号が“0”のとき、POG信号として“1”を出力し、電源供給管理部63に、電源が正常に立ち上がったことを通知する。
以下、第3の実施の形態の半導体装置50aの動作を説明する。
図7は、パワースイッチが正常と判定される場合の第3の実施の形態の半導体装置の一例の動作を示すタイミングチャートである。
図7には、電源供給管理部63から出力されるイネーブル信号XENA、端子P2からパワースイッチ52に供給されるゲート電圧PGATE、パワースイッチ52の出力信号、ゲート制御部71のノードNaにおける電流の様子が示されている。さらに、ノードNcにおける電圧、積分部74の容量C3の電圧Vc3、レプリカ回路72の出力信号、フリップフロップ76e,76kの出力信号、POG信号、アラート信号及び電源供給管理部63が検出するステートの様子が示されている。
タイミングt10までは、図3に示した動作と同じ動作が行われる。すなわち、タイミングt10において、電源供給管理部63は、イネーブル信号XENAをLレベルに立ち下げる。これにより、ゲート制御部71は、図7に示すような傾きでゲート電圧PGATEを立ち下げていく。図7では図示されていないが、ゲート制御部70も同様にレプリカ回路72のゲート電圧を立ち下げていく。ゲート電圧が立ち下がるにしたがって、パワースイッチ52の出力信号及びレプリカ回路72の出力信号が立ち上がっていく。
また、タイミングt10では、ノードNaにおける電流も立ち上がる。ノードNaの電流は、前述したカレントミラー回路で、駆動電荷検出部73で検出され、さらに、積分部74の容量C3に流れ込む。これにより、容量C3の電圧Vc3も、図7に示すように上昇する。この電圧Vc3が、式(1)に左辺の積分値に相当する。
ノードNaにおける電流は次第に減少し、タイミングt11で値Ith以下になると、トランジスタ77から供給される電流値がトランジスタ78から引き抜かれる電流値よりも下回ることで、ノードNbにおける電圧は接地電位AGNDレベルまで低下する。そしてそれを反転させた論理をとるノードNcの電圧はHレベルとなる。ノードNcの電圧は、イネーブル信号XENAがLレベルのときは、積分が完了しているか否かを示す。
この時、積分結果判定部76−2のフリップフロップ76d,76eのクロック端子CKの電位がHレベルに立ち上がる。そのため、フリップフロップ76dには、完了した積分結果に基づくAND回路76cの出力信号が取り込まれ、フリップフロップ76eには、インバータ回路76fで論理レベルが反転されたAND回路76cの出力信号が、取り込まれる。
タイミングt11では、積分値である電圧Vc3は、図7に示されているように、VrL<Vc3<VrHである。そのため、積分結果判定部76−2において、比較器76a,76bの出力信号は両方ともHレベルとなる。したがってAND回路76cの出力信号は、Hレベル(“1”)となる。これによって、フリップフロップ76dの出力端子Qからは、“1”、フリップフロップ76eの出力端子Qからは“0”が出力される。そのため、AND回路76hから出力されるアラート信号は“0”のままである。
タイミングt12において、レプリカ回路76の出力信号が電圧Vthに達すると、そのときのフリップフロップ76kのデータ入力端子Dに入力される値が、フリップフロップ76kに取り込まれる。フリップフロップ76kのデータ入力端子Dは、インバータ回路76lを介してノードNcに接続されており、タイミングt12では、積分が完了しておりノードNcにおける電圧はHレベルになっているため、フリップフロップ76kには“0”が取り込まれる。したがって、フリップフロップ76kからは“0”が出力され、AND回路76jは、POG信号として“1”を出力する。これにより、電源供給管理部63は、パワースイッチ52のステートが“正常”であることを検出する。
なお、タイミングt13にて、イネーブル信号XENAがHレベルに戻ると、ゲート電圧PGATEもHレベルに立ち上がり、パワースイッチ52の出力信号は負荷に応じた傾きで立ち下がっていく。また、ノードNcにおける電圧、電圧Vc3についてもLレベルとなる。また、レプリカ回路76の信号も立ち下がっていく。
図8は、パワースイッチが異常と判定される場合の第3の実施の形態の半導体装置の一例の動作を示すタイミングチャートである。
図8には、図7と同様に、イネーブル信号XENA、ゲート電圧PGATE、パワースイッチ52の出力信号、ノードNaにおける電流、ノードNcにおける電圧、電圧Vc3、レプリカ回路72の出力信号の様子が示されている。さらに、フリップフロップ76e,76kの出力信号、POG信号、アラート信号及びステートの様子が示されている。
タイミングt20までは、図7に示した動作と同じ動作が行われる。すなわち、タイミングt20において、電源供給管理部63は、イネーブル信号XENAをLレベルに立ち下げる。これにより、ゲート制御部71は、図8に示すような傾きでゲート電圧PGATEを立ち下げていく。図8では図示されていないが、ゲート制御部70も同様にレプリカ回路72のゲート電圧を立ち下げていく。ゲート電圧が立ち下がるにしたがって、パワースイッチ52の出力信号及びレプリカ回路72の出力信号が立ち上がっていく。
ただ、パワースイッチ52として推奨されているものよりも大きいものが用いられている場合、ゲート容量が大きくなり、図8に示されているように、出力信号の立ち上がり速度が、レプリカ回路72の出力信号よりも遅くなっている。
図8に示される例では、ノードNaにおける電流が値Ith以下に減少して、ノードNcにおける電圧がHレベルになるタイミングt22よりも早いタイミングt21で、レプリカ回路72の出力信号が、電圧Vthに達している。タイミングt20〜t21の間が基準の積分期間となる。このような基準の積分期間が経過すると、比較器75aは、積分期間判定部76−1のフリップフロップ76kのクロック端子CKに入力されるクロック信号をHレベルとする。これにより、フリップフロップ76eは、タイミングt21での、インバータ回路76lの出力信号の値を取り込む。タイミングt21では積分が完了していないので、ノードNcの電圧はLレベルである。したがって、フリップフロップ76kは、“1”を出力する。フリップフロップ76kの出力が“1”であるときには、積分期間が推奨されるパワースイッチを用いたときよりも長くなっていることを意味する。
これにより、OR回路76iの出力信号は“1”となり、AND回路76hからは、アラート信号として“1”が出力され、AND回路76jから出力されるPOG信号は“0”のままである。そのため、電源供給管理部63は、パワースイッチ52のステートが“異常”であることを検出する。
タイミングt22にて積分が完了したとき、積分値である電圧Vc3は、図7に示されているように、VrL<VrH<Vc3である。そのため、積分結果判定部76−2において、比較器76aの出力信号はLレベル、比較器76bの出力信号はHレベルとなる。したがってAND回路76cの出力信号は、“0”となる。これによって、フリップフロップ76dの出力端子Qからは、“0”、フリップフロップ76eの出力端子Qからは“1”が出力される。フリップフロップ76eの出力が“1”であるときには、積分結果にエラーが生じていることを意味する。そのため、AND回路76hから出力されるアラート信号は“1”のままである。AND回路76jから出力されるPOG信号は“0”のままである。
なお、タイミングt23にて、イネーブル信号XENAがHレベルに戻ると、ゲート電圧PGATEもHレベルに立ち上がり、パワースイッチ52の出力信号は負荷に応じた傾きで立ち下がっていく。また、ノードNcにおける電圧、電圧Vc3についてもLレベルとなる。また、レプリカ回路76の信号も立ち下がっていく。
上記のような第3の実施の形態の半導体装置1a,50aでは、積分期間判定部17−1,76−1を設けたことで、レプリカ回路13,72の出力信号が閾値に達するタイミングで、積分が完了していない場合には異常であると判定できる。つまり、積分途中であっても積分時間から異常/正常の判定が可能となり、判定結果が高速に得られる。このように、第3の実施の形態の半導体装置1a,50a及び半導体集積回路4a,53aでも、第1及び第2の実施の形態の半導体装置1,50及び半導体集積回路4,53と同様の効果が得られる。
(第4の実施の形態)
以下、第4の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路を説明する。第4の実施の形態の半導体集積回路は、積分部をロジック制御にて実現するものである。
図9は、第4の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の一例を示す図である。図2に示した第2の実施の形態の半導体装置50と同様の要素については、同じ符号が付されている。
第4の実施の形態の半導体装置50bにおいて、半導体集積回路53bは、クロック信号clkを生成するクロック信号生成部80を有している。
また、ゲート制御/出力モニタ回路61bにおいて、駆動電荷検出部81は、パワースイッチ52を駆動する際に、パワースイッチ52のトランジスタ52aのゲート容量にチャージされる電荷、またはゲート容量からディスチャージされる電荷を検出する。これにより、トランジスタ52aのゲート容量に基づくゲート電流が検出される。なお、図9では、パワースイッチ52において、図2に示したダイオード52bなどと、パワースイッチ52に接続される回路部51の図示を省略している。
駆動電荷検出部81は、pチャネル型MOSFETであるトランジスタ81a,81b、nチャネル型MOSFETであるトランジスタ81c,81d,81eを有している。
トランジスタ81a,81bのソースには、電源電圧AVDDが印加され、ゲートは互いに接続されている。トランジスタ81aのドレインはトランジスタ81cのドレイン及び自身のゲートに接続されている。トランジスタ81bのドレインは、トランジスタ81eのドレイン及び積分部82の後述するインバータ回路83hの入力端子に接続されている。
トランジスタ81cのソースはトランジスタ81dのドレインに接続されており、トランジスタ81cのゲートは、ゲート制御部71のトランジスタ71dのドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタ81d,81eのソースは、接地電位AGNDとなっており、トランジスタ81d,81eのゲートには、バイアス回路62からのバイアス電圧Vbが印加されている。
トランジスタ81cと、ゲート制御部71のトランジスタ71dにより、カレントミラー回路が実現されており、トランジスタ81a,81bによってもカレントミラー回路が実現されている。これにより、トランジスタ81bのドレインには、ゲート制御部71のノードNaと同じ電流が流れる。
積分部82は、pチャネル型MOSFETであるトランジスタ82a,82b、nチャネル型MOSFETであるトランジスタ82cを有している。また、積分部82は、AND回路82d、スイッチ82e、比較器82f、AND回路82g、カウンタ/レジスタ回路82h,82i、インバータ回路82j、容量C4を有している。なお、容量C4は、容量C2と同じ容量値を有する。
トランジスタ82a,82bのソースには、電源電圧AVDDが印加されており、ゲートは互いに接続されている。また、トランジスタ82aのゲートは自身のドレインに接続されている。また、トランジスタ82aのドレインは、トランジスタ82cのドレインに接続されている。トランジスタ82bのドレインは、スイッチ82e及び比較器82fの非反転入力端子に接続されている。トランジスタ82cのソースは接地電位AGNDとなっており、トランジスタ82cのゲートには、バイアス回路62からのバイアス電圧Vbが印加されている。トランジスタ82aは、トランジスタ82bとの間でカレントミラー回路を実現している。
AND回路82dの一方の入力端子には、インバータ回路83jの出力信号が、論理レベルが反転されて入力される。AND回路82dの他方の入力端子は、接地電位AGNDとなっている。AND回路82dの出力端子は、カウンタ/レジスタ回路82iのイネーブル端子ENに接続されている。
スイッチ82eは、容量C4の一方の端子を、トランジスタ82bのドレイン及び比較器82fの非反転入力端子に接続するか、トランジスタ71b,71cのドレイン及びパワースイッチ52のトランジスタ52aのゲートに接続するか切り替える。
スイッチ82eは、イネーブル信号XENAがLレベルのとき、容量C4の一方の端子を、トランジスタ81b,81cのドレイン及びトランジスタ52aのゲートに接続する。スイッチ82eは、イネーブル信号XENAがHレベルのとき、容量C4の一方の端子を、トランジスタ82bのドレイン及び比較器82fの非反転入力端子に接続する。なお、スイッチ82eは、MOSFETなどによって実現可能である。容量C4の他方の端子は、接地電位AGNDとなっている。
比較器82fにおいて、反転入力端子には電源電圧AVDDとオフセット用の電圧Vaが印加されており、非反転入力端子はトランジスタ82bのドレイン及びスイッチ82eに接続されている。比較器82fは、イネーブル信号XENAがHレベルのとき、容量C4に印加される電圧がAVDDに達したときに、出力信号をHレベルとする。なお、オフセット用の電圧Vaは、電源電圧AVDDの電圧降下分を補償するものであるが、なくてもよい。
比較器82fの出力信号は、論理レベルが反転されてAND回路82gの一方の入力端子に接続される。AND回路82gの他方の入力端子には、電源供給管理部63が接続されており、イネーブル信号XENAが入力される。AND回路82gの出力端子は、カウンタ/レジスタ回路82hのイネーブル端子ENに接続されている。
カウンタ/レジスタ回路82h,82iのクロック端子CKには、クロック信号生成部80が接続され、クロック信号clkが入力される。また、カウンタ/レジスタ回路82hのリセット端子RSTには、電源供給管理部63が接続され、イネーブル信号XENAが入力される。また、カウンタ/レジスタ回路82iのリセット端子RSTには、ゲート制御部81のインバータ回路81aの出力端子が接続され、イネーブル信号XENAが、論理レベルが反転されて入力される。
カウンタ/レジスタ回路82h,82iは、イネーブル端子ENに入力される信号が“1”のときに、クロック端子CKに入力されるクロック信号clkに同期してカウント動作を行う。イネーブル端子ENに入力される信号が“0”のとき、カウンタ/レジスタ回路82h,82iは、カウントした値を保持し、リセット端子RSTの電位がHレベルに立ち上がるタイミングで、保持した値をクリアする。
インバータ回路82jの入力端子は、トランジスタ81b及びトランジスタ81eのドレインに接続されている。インバータ回路82jの出力端子は、AND回路82dの一方の入力端子及び、判定部83の後述するインバータ回路83hの入力端子及び、フリップフロップ83jのデータ入力端子Dに接続されている。
このような積分部82では、イネーブル信号XENAがHレベルのとき、カウンタ/レジスタ回路82hは、イネーブル端子ENの電位がHレベルになるため、カウント動作を行う。カウンタ/レジスタ回路82hのカウント動作は、比較器82fの出力信号がHレベルになるまで行われる。
イネーブル信号XENAがHレベルのとき、スイッチ82eは、容量C4の一方の端子と、トランジスタ82bのドレインとを接続している。そのため、容量C4には、定電流源として機能しているトランジスタ81dのドレイン電流(バイアス電流)が、前述したカレントミラー回路によって移されてチャージされる。容量C4の電圧が、電源電圧AVDDに達し、充電が完了すると、比較器82fの出力信号がHレベルとなり、カウンタ/レジスタ回路82hのカウント動作が停止し、カウントした値が積分結果として保持される。これにより、カウンタ/レジスタ回路82hのカウント値(積分値)は、容量C4の充電が完了するまでの時間に応じた値となる。
なお、イネーブル信号XENAがHレベルのとき、カウンタ/レジスタ回路82hは、イネーブル端子ENの電位がLレベルになるため、カウント動作を停止している。
一方、イネーブル信号XENAがHレベルからLレベルに遷移すると、カウンタ/レジスタ回路82iのリセット端子RSTの電位はHレベルに立ち上がるため、保持しているカウント値をリセットする。また、遷移直後は、前述したようなノードNaに流れる電流が、駆動電荷検出部81のトランジスタ81bのドレインにも流れ、ドレイン電圧はHレベルとなる。これにより、インバータ回路82jの出力信号はLレベルとなり、AND回路82dの出力信号はHレベルとなる。
AND回路82dの出力信号がHレベルとなると、カウンタ/レジスタ回路82iは、クロック信号clkに同期してカウント動作を行う。ノードNaにおける電流が次第に減少し、トランジスタ81bから供給される電流値がトランジスタ81eから引き抜かれる電流値よりも下回ることで、インバータ82jの入力端子はLレベルとなり、AND回路82dの出力信号はLレベルとなる。AND回路82dの出力信号がLレベルとなると、カウンタ/レジスタ回路82iはカウント動作を停止し、カウントした値を保持する。
これにより、カウンタ/レジスタ回路82iには、ノードNaの電流がある値以下になるまでの時間に応じたカウント値が保持される。つまり、カウンタ/レジスタ回路82iに保持されるカウント値(積分値)は、パワースイッチ52のゲート容量(寄生容量)+容量C4の充電が完了されるまでの時間に応じた値となる。
また、イネーブル信号XENAがLレベルのときは、スイッチ82eにより、容量C4と、パワースイッチ52のトランジスタ52aのゲートが接続される。これにより、ゲート電圧の変化スピードを遅くすることができ、回路部51(図6など参照)へ突入電流が流れ込むことが抑制される。
判定部83は、レジスタ83a,83b、加算器83c,83d、デジタル比較器83e,83f、AND回路83g、インバータ回路83h、フリップフロップ83i,83j、AND回路83k,83lを有している。
レジスタ83aには、デジタル値+dが格納されており、レジスタ83bには、デジタル値−dが格納されている。デジタル値+d,−dは、パワースイッチ52のゲート容量から正常/異常判定の閾値を決める値であり、予め決められている。
加算器83cは、カウンタ/レジスタ回路82hに格納されているカウント値に、デジタル値+dを加算する。加算器83dは、カウンタ/レジスタ回路82hに格納されているカウント値に、デジタル値−dを加算する。
デジタル比較器83eは、加算器83cの出力値と、カウンタ/レジスタ回路82iのカウント値とを比較し、カウント値が加算器83cの出力値よりも大きければ、異常を示す“0”を出力する。カウント値が加算器83cの出力値以下であれば、デジタル比較器83eは、正常を示す“1”を出力する。
デジタル比較器83fは、加算器83dの出力値と、カウンタ/レジスタ回路82iのカウント値とを比較し、カウント値が加算器83cの出力値よりも小さければ、異常を示す“0”を出力する。カウント値が加算器83cの出力値以上であれば、正常を示す“1”を出力する。
AND回路83gは、デジタル比較器83e,83fの出力値を入力し、これらのAND論理をとって出力する。デジタル比較器83e,83fの出力値の何れか一方でも“0”のとき、AND回路83gは、“0”を出力する。デジタル比較器83e,83fの出力値の何れも“1”のとき、AND回路83gは、“1”を出力する。
インバータ回路83hは、積分部82のインバータ回路82jの出力信号の論理レベルを反転して、フリップフロップ83iのデータ入力端子Dに供給する。
フリップフロップ83iにおいて、クロック端子CKは、決定部75の比較器75aの出力端子に接続されており、レプリカ回路72の出力信号が電圧Vthに達したときのデータ入力端子Dに入力される値を取り込む。
一方、フリップフロップ83jにおいて、データ入力端子Dは、積分部82のインバータ回路82jの出力端子に接続されており、クロック端子CKは、決定部75の比較器75aの出力端子に接続されている。そのため、フリップフロップ83iもレプリカ回路72の出力信号が電圧Vthに達したときのデータ入力端子Dに入力される値を取り込む。なお、フリップフロップ83i,83jのリセット端子Rは電源供給管理部63に接続されており、イネーブル信号XENAが入力される。
AND回路83kは、3つの入力端子を有しており、第1の入力端子には、AND回路83gの出力信号が、論理レベルが反転されて入力され、第2の入力端子には、イネーブル信号XENAが、論理レベルが反転されて入力される。また、AND回路83kの第3の入力端子はフリップフロップ83iの出力端子Qに接続されている。
AND回路83lも4つの入力端子を有しており、第1の入力端子には、AND回路83gの出力信号が入力され、第2の入力端子には、イネーブル信号XENAが、論理レベルが反転されて入力される。また、AND回路83lの第3の入力端子はフリップフロップ83jの出力端子Qに接続されている。
レプリカ回路72の出力信号が電圧Vthに達したとき、トランジスタ81bのドレイン電圧がLレベルになっていれば(積分が完了していることを意味する)、フリップフロップ83jの出力信号は“1”となる。積分値が正常である場合には、AND回路83gからは“1”が出力されるため、AND回路83lは、POG信号として“1”を出力し、電源供給管理部63に、パワースイッチ52が正常であることを通知する。なお、AND回路83kは、AND回路83gの出力信号が“1”のときには、アラート信号として“0”(異常がないことを示している)を出力している。
レプリカ回路72の出力信号が電圧Vthに達したとき、トランジスタ81bのドレイン電圧がHレベルのままのとき(積分が完了していないことを意味する)、フリップフロップ83iの出力信号は“1”となる。このとき、AND回路83gの出力信号は異常を示す“0”となるため、AND回路83kは、アラート信号として“1”を出力し、電源供給管理部63に、パワースイッチ52に異常があることを通知する。
このような判定部83では、容量C4の容量値に応じた積分値(カウント値)と、パワースイッチ52のゲート容量+容量C4の容量値に応じたカウント値が比較される。これにより、パワースイッチ52のゲート容量が適切な値か否かが判定可能となる。
また、レプリカ回路72の出力信号が電圧Vthに達しても積分が完了していなければ、パワースイッチ52の異常を通知することができる。
また、判定結果は、レプリカ回路76の出力信号が電圧Vthに達するまでの時間に行うことができるため、高速にパワースイッチ52の正常/異常を判定できる。さらに、図2に示したように、イネーブル信号XENAがHレベルからLレベルに遷移する際の、パワースイッチ52のゲート電圧の変化速度を抑制する容量C1と、積分用に使用する容量C3の2つを使用しなくてもよくなる。そのため、素子間の製造ばらつきにより、比較結果に誤差が生じることが抑制される。
(第5の実施の形態)
以下、第5の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路を説明する。第5の実施の形態の半導体集積回路は、図2、図6に示したような基準電圧VrH,VrLを調整可能とするものである。
図10は、第5の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の一例を示す図である。図2に示した第2の実施の形態の半導体装置50と同様の要素については、同じ符号が付されている。
半導体装置50cにおいて、半導体集積回路53cのゲート制御/出力モニタ回路61cは、基準電圧生成部90を有している。
基準電圧生成部90は、比較器90a、抵抗R1,R2,R3,R4を有している。抵抗R1〜R4は、比較器90aの出力端子と、接地電位AGNDとなっている接地線との間に直列に接続されている。比較器90aの非反転入力端子には、電源電圧生成部60が接続されており、電源電圧PVOUTが印加される。比較器90aの反転入力端子は抵抗R1と抵抗R2の間に接続されている。また、抵抗R2と抵抗R3の間には、判定部76の比較器76aの非反転入力端子が接続されている。また、抵抗R3と抵抗R4の間には、判定部76の比較器76bの反転入力端子が接続されている。
このような半導体集積回路53cでは、抵抗R2と抵抗R3の間の電圧が、前述した基準電圧VrHとして比較器76aの非反転入力端子に印加され、抵抗R3と抵抗R4の間の電圧が、基準電圧VrLとして比較器76bの反転入力端子に印加される。
このような基準電圧生成部90では、電源電圧PVOUTを抵抗分圧させた電圧で基準電圧VrH,VrLが生成される。
このような基準電圧生成部90を有することによって、半導体装置50c及び半導体集積回路53cは、電源電圧PVOUTの使用条件に応じて、異常検知用の閾値(基準電圧VrH,VrL)を調整することができる。なお、図10の例では、比較器90aの非反転入力端子に、電源電圧PVOUTを印加するようにしているが、電源電圧AVDDを印加するようにして、電源電圧AVDDの使用条件に応じて閾値を調整できるようにしてもよい。
なお、上記の説明では、基準電圧生成部90は、図2に示した半導体集積回路53に適用されているがこれに限定されず、たとえば、図6に示した半導体集積回路53aに適用するようにしてもよく、同様の効果が得られる。
(変形例)
図11は、第5の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の変形例を示す図である。図2に示した第2の実施の形態の半導体装置50と同様の要素については、同じ符号が付されている。
半導体装置50dにおいて、半導体集積回路53dのゲート制御/出力モニタ回路61dは、設定値記憶部91を有している。
設定値記憶部91は、基準電圧VrH,VrLを設定するための設定値を記憶している。設定値は、外部インターフェースからの制御信号や、トリミングなどによって変更可能である。これによって、素子ばらつきに対する調整だけでなく、アプリケーションによる推奨部品の違いにも対応できる。
なお、上記の説明では、基準電圧生成部90は、図2に示した半導体集積回路53に適用されているがこれに限定されず、たとえば、図6に示した第3の実施の形態の半導体集積回路53aに適用するようにしてもよく、同様の効果が得られる。図9に示した半導体集積回路53bに適用する場合には、レジスタ83a,83bに格納されているデジタル値+d,−dを、設定値に応じて調整すればよい。
(第6の実施の形態)
以下、第6の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路を説明する。第6の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路は、複数の回路部にパワースイッチを介して電源電圧を供給するものであり、回路面積を縮小するために特定の要素を共通化したものである。
図12は、第6の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の一例を示す図である。
半導体装置50eは、回路部51−1,51−2,51−3、パワースイッチ52−1,52−2,52−3、半導体集積回路53eを有している。
回路部51−1〜51−3は、SoC、USBインターフェース回路、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)回路、などである。たとえば、SoCは、1.2V、3.3Vなどで動作し、USBインターフェース回路とHDMI回路は、5Vで動作する。
パワースイッチ52−1〜52−3は、トランジスタ52a−1,52a−2,52a−3を有し、半導体集積回路53eから供給される電源電圧を、回路部51−1〜51−3に供給する。パワースイッチ52−1〜52−3は、半導体集積回路53eから供給されるゲート電圧によってオンオフが制御される。
半導体集積回路53eは、電源電圧生成部60−1,60−2,60−3、電源供給管理部63e、ゲート制御部71−1,71−2,71−3、レジスタ101,102,103、セレクタ104,105、出力モニタ回路106、デコーダ107を有している。
電源電圧生成部60−1〜60−3は、回路部51−1〜51−3に対応した電源電圧を生成し、端子P1,P3,P5を介してパワースイッチ52−1〜52−3に電源電圧を供給する。電源電圧生成部60−1〜60−3は、たとえば、チップ外の外部電源(バッテリー、USB、AC電源)から供給される電源電圧を、降圧または昇圧して、回路部51−1〜51−3に適した電源電圧とする。
電源供給管理部63eは、ゲート制御部71−1〜71−3の何れかを選択的に有効または無効にするための、イネーブル信号ENB1,ENB2,ENB3を出力する。
ゲート制御部71−1〜71−3は、パワースイッチ52−1〜52−3に供給するゲート電圧を生成する。そして、ゲート制御部71−1〜71−3は、生成したゲート電圧を、端子P2,P4,P6を介して、パワースイッチ52−1〜52−3に供給する。
ゲート制御部71−1〜71−3は、たとえば、図2、図6などのゲート制御部71と同様の回路により実現される。ただし、本実施の形態では、イネーブル信号ENB1,ENB2,ENB3は、前述してきたイネーブル信号XENAとは異なり、Hレベルになったときにゲート制御部71−1〜71−3を有効にして、パワースイッチ52−1〜52−3をオンさせる。そのため、ゲート制御部71−1〜71〜3として、前述したゲート制御部71を用いる場合には、イネーブル信号ENB1〜ENB3の論理レベルを反転するインバータ回路が追加されることになる。
レジスタ101〜103は、パワースイッチ52−1〜52−3の正常/異常判定用の基準電圧の設定値ref1,ref2,ref3を格納している。これにより、前述した基準電圧VrH,VrLを、パワースイッチ52−1〜52−3ごとに設定することができる。
セレクタ104は、電源供給管理部63eから出力されるイネーブル信号ENB1〜ENB3に応じて、パワースイッチ52−1〜52−3のトランジスタ52a−1〜52a−3のゲートの何れかを、出力モニタ回路106に接続する。
セレクタ105は、電源供給管理部63eから出力されるイネーブル信号ENB1〜ENB3に応じて、レジスタ101〜103に格納されている設定値ref1〜ref3の何れかを、出力モニタ回路106に供給する。
出力モニタ回路106は、パワースイッチ52−1〜52−3のトランジスタ52a−1〜52a−3のゲートの何れかに接続して、パワースイッチ52−1〜52−3が正常か否かを判定する。出力モニタ回路106は、図2や図6などに示されているゲート制御/出力モニタ回路61、ゲート制御部71以外の要素を含む回路であり、前述したようなレプリカ回路72などを有している。そのため、本実施の形態の半導体装置50e及び半導体集積回路53eも、前述した各実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路と同様の効果が得られる。
デコーダ107は、イネーブル信号ENB1〜ENB3に応じて、出力モニタ回路106から出力される判定結果を、パワースイッチ52−1〜52−3が正常か否かを示す信号POG1,POG2,POG3として、電源供給管理部63eに供給する。なお、本実施の形態の半導体集積回路53eでは、信号POG1〜POG3は、パワースイッチ52−1〜52−3が正常のとき、Hレベルとなり、パワースイッチ52−1〜52−3が異常のとき、Lレベルとなる信号であるとする。
図13は、第6の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の試験時の動作の一例を示すタイミングチャートである。図13では、イネーブル信号ENB1〜ENB3、パワースイッチ52−1〜52−3の出力、信号POG1〜POG3の様子が示されている。
タイミングt20より前では、イネーブル信号ENB1〜ENB3がLレベルであり、パワースイッチ52−1〜52−3は何れもオフ状態となっている。タイミングt20において、電源供給管理部63eが、イネーブル信号ENB1をHレベルに立ち上げると、ゲート制御部71−1は、パワースイッチ52−1をオンする。これにより、パワースイッチ52−1の出力が、電源電圧生成部60−1で生成される電源電圧に立ち上がっていく。
出力モニタ回路106によって、パワースイッチ52−1が正常である旨の信号がデコーダ107に入力されると、デコーダ107は、信号POG1をHレベルに立ち上げる(タイミングt21)。信号POG1がHレベルになると、電源供給管理部63eは、イネーブル信号ENB2をHレベルに立ち上げる(タイミングt22)。これにより、パワースイッチ52−2の出力が、電源電圧生成部60−2で生成される電源電圧に立ち上がっていく。
出力モニタ回路106によって、パワースイッチ52−2が正常である旨の信号がデコーダ107に入力されると、デコーダ107は、信号POG2をHレベルに立ち上げる(タイミングt23)。信号POG2がHレベルになると、電源供給管理部63eは、イネーブル信号ENB3をHレベルに立ち上げる(タイミングt24)。これにより、パワースイッチ52−3の出力が、電源電圧生成部60−3で生成される電源電圧に立ち上がっていく。
出力モニタ回路106によって、パワースイッチ52−3が正常である旨の信号がデコーダ107に入力されると、デコーダ107は、信号POG3をHレベルに立ち上げる(タイミングt25)。
なお、たとえば、信号POG1がある期間内でHレベルとならない場合、電源供給管理部63eは、パワースイッチ52−1に異常があると判定する。そして、電源供給管理部63eは、イネーブル信号ENB2をHレベルにして、次のパワースイッチ52−2の検査を出力モニタ回路106に行わせる。
以上のような、半導体集積回路53eは、前述したレプリカ回路、積分部、決定部、判定部などを、パワースイッチ52−1〜52−3ごとに個々に設けるのではなく共通化できるため、回路面積の増大を抑えることができる。
次に、第6の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の変形例を説明する。
(変形例)
図14は、第6の実施の形態の半導体装置及び半導体集積回路の変形例を示す図である。図12に示した半導体装置50e及び半導体集積回路53eと同様の要素については同一符号を付している。
図14では、回路部51−1〜51−3が同じ電源電圧で動作する半導体装置50fが示されている。そのため、半導体集積回路53fは、1つの電源電圧生成部60−1を有しており、端子数も図12に示した半導体集積回路53eと比べて、2つ削減されている。また、パワースイッチ52−1の出力が、パワースイッチ52−2,52−3に供給されている。
このような半導体装置50fでは、パワースイッチ52−1〜52−3の出力の大きさが、電源電圧生成部60−1で生成される電源電圧で決まる。半導体装置50fの動作は、図13に示したタイミングチャートと同じであるので省略する。
以上のような、半導体集積回路53fでも半導体集積回路53eと同様の効果が得られるとともに、同じ電源電圧で動作する回路部が複数ある場合には、電源電圧生成部も共通化し、端子数も削減できるので、さらに回路面積を削減できる。
なお、上記の説明では、3つの回路部51−1〜51−3に電源電圧を供給する場合を例にして説明したが、回路部が2つまたは4つ以上であっても同様である。
また、パワースイッチ52−1〜52−3は、半導体集積回路53f内に設けられていてもよい。
以上、実施の形態に基づき、本発明の半導体装置及び半導体集積回路の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
たとえば、上記では、パワースイッチやレプリカ回路として主にpチャネル型MOSFETを用いた場合について説明したが、nチャネル型MOSFETを用いてもよい。その場合、上記の半導体集積回路内において、適宜、インバータ回路を挿入するなどの変更をすればよい。