図8に示す従来の段ボール製ダクトは、所定形状の段ボール材の辺縁部同士を接合することによって形成されたものであるが、接合部分における辺縁部同士の位置出しが正確に行われなかった場合、ダクトとして形成した際に開口端面が不均一となり、他のダクトと長手方向に接続したときに、ダクトの開口端面同士の接続部分に隙間が生じて、接続不良となり、空気の漏れが発生するおそれがある。また、前記接続部分に隙間が生じると、ダクトとしての強度が低下することがある。
一方、特許文献1記載の段ボール製ダクトは、段ボール材同士の接合部分が段ボール材の側面と段ボール材の折り曲げ部とを締結ピンで接合する構造であるため、強度不足が生じたり、気密性が不十分となったりする可能性がある。
また、特許文献2記載の板材組立ダクトは、接合部分である端縁に凹凸が連続的に設けられているが、これらの凹凸を連続的に形成する加工が煩雑であり、多大な労力と時間とを要し、コストアップを招来している。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ダクト組立時の位置出しや接続が容易であり、強度が高く、気密性にも優れた段ボール製ダクトを提供することにある。
本発明に係る第1の段ボール製ダクトは、不燃性の金属箔を両面に貼着した段ボール材で形成された多角筒形状の段ボール製ダクトであって、平板状をした複数の段ボール材を組み合わせ(前記多角筒の軸心と平行をなす)前記段ボール材の辺縁部同士を少なくとも1組の凹凸嵌合機構で接合して形成され、前記多角筒の鉛直壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部に前記凹凸嵌合機構の凸部を設け、前記多角筒の水平壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部に前記凹凸嵌合機構の凹部を設けたことを特徴とする。
このような構成とすれば、段ボール材を組み立ててダクトを形成したときに段ボール材の辺縁部同士の位置出しを確実に行うことができるので、段ボール材の接合時のずれがなくなり、ダクト開口端部を面一に仕上げることができる。従って、当該段ボール製ダクトは、組立や接続が容易であり、ダクト開口端部同士の接続部分に隙間が生じないので、強度が高く、気密性にも優れている。
また、多角筒の鉛直壁面(側板)に凸部を設け、多角筒の水平壁面(天板、底板)に凹部を設けることにより、側板の上方辺縁部が天板の下面を支え、また、底板上面が側板の下方辺縁部を支える構造となるため、鉛直方向の耐荷重性が向上する。
側板の上方辺縁部において凸部が占める割合が低く、天板の荷重を受ける部分が多く、天板を確実にサポートする。また、底板の上面に側板の下方辺縁端が載置された状態となるため、底板が側板を確実にサポートする。凹凸嵌合機構を構成する凹部・凸部の加工部位が必要最小限となり、加工コストが低減する。
なお、平板状の段ボール材1枚の最大製作サイズは限られているが、段ボール製ダクトを構成するにあたり、平板状の段ボール材を複数枚用いることにより、大型ダクトの製作も可能となる。
次に、本発明に係る第2の段ボール製ダクトは、不燃性の金属箔を両面に貼着した段ボール材で形成された多角筒形状の段ボール製ダクトであって、前記多角筒の軸心と平行をなす方向の折り目を有する複数の段ボール材を組み合わせ前記段ボール材の辺縁部同士を少なくとも1組の凹凸嵌合機構で接合することによって形成され、前記多角筒の鉛直壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部に前記凹凸嵌合機構の凸部を設け、前記多角筒の水平壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部に前記凹凸嵌合機構の凹部を設けたことを特徴とする。
このような構成とすれば、組立や接続が容易であり、ダクト開口端部同士の接続部分に隙間が生じないので、強度が高く、優れた気密性を得ることができる。また、前記多角筒の軸心と平行をなす方向の折り目を有する複数の段ボール材を組み合わせて前記多角筒を形成することにより、前記多角筒の外周面を構成する平面の個数より少ない枚数の段ボール材で当該多角筒を形成することが可能となり、段ボール材同士の接合個所が減るとともに、前記折り目部分は曲げ強度が高いので、高い強度を得ることができる。
さらに、本発明に係る第3の段ボール製ダクトは、不燃性の金属箔を両面に貼着した段ボール材で形成された多角筒形状の段ボール製ダクトであって、前記多角筒の軸心と交差する方向の折り目を有する複数の段ボール材と複数の平板状の段ボール材とを組み合わせ前記段ボール材の辺縁部同士を少なくとも1組の凹凸嵌合機構で接合することによって形成され、前記多角筒の鉛直壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部に前記凹凸嵌合機構の凸部を設け、前記多角筒の水平壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部に前記凹凸嵌合機構の凹部を設けたことを特徴とする。
このような構成とすれば、エルボ管のコーナー部分、レジューサ、ホッパー、分岐管などの異形筒体形状の段ボール製ダクトを形成することができる。この場合においても、組立や接続が容易であり、ダクト開口端部同士の接続部分に隙間が生じないので、高い強度と優れた気密性を得ることができるほか、施工現場でのダクト配置に柔軟に対応することができる。また、前記多角筒の軸心と交差する方向の折り目を有する複数の段ボール材と平板状の段ボール材とを組み合わせて前記多角筒を形成すれば、前記折り目部分は曲げ強度が大であるので、高い強度を得ることができる。
なお、前記異形筒形状の段ボール製ダクトにおいて、段ボール材に前記軸心方向と交差する方向の折り目が形成されている部分(即ち、エルボ管のコーナー部分、ホッパー、レジューサの拡大・縮小が始まる部分などの曲がり部分)の辺縁部、及び、これに接合される平板状の段ボール材の辺縁部には、前記凹凸嵌合機構を設けないこととしている。即ち、前記凹凸嵌合機構は、段ボール材の辺縁部同士が互いに直線状態で接合される部分に設けることが望ましい。
次に、本発明に係る第4の段ボール製ダクトは、不燃性の金属箔を両面に貼着した段ボール材で形成された多角筒形状の段ボール製ダクトであって、平板状の段ボール材を前記多角筒の軸心と平行をなす方向の複数の折り目で折り曲げ当該段ボール材の辺縁部同士を接合することによって形成され、前記多角筒の鉛直壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部上に、前記多角筒の水平壁面を形成する前記段ボール材の辺縁部を載置して形成したことを特徴とする。
このような構成とすれば、組立や接続が容易であり、強度が高く、気密性にも優れた段ボール製ダクトを提供することができる。
次に、本発明に係る第5の段ボール製ダクトは、不燃性の金属箔を両面に貼着した段ボール材で形成された多角筒形状の段ボール製ダクトであって、前記多角筒の軸心と平行をなす方向の折り目を有する複数の段ボール材を組み合わせ前記段ボール材の辺縁部同士を接合することによって形成され、前記辺縁部同士の接合部分において、上方に位置する前記段ボール材の辺縁部を、下方に位置する段ボール材の辺縁部上に載置して形成したことを特徴とする。
このような構成とすれば、組立や接続が容易であり、強度が高く、気密性にも優れた段ボール製ダクトを提供することができるほか、複数のダンボール材を組み合わせて形成するため、第4の段ボール製ダクトよりも大型のダクトを製作することができる。
ここで、前述した段ボール製ダクトを構成する前記多角筒の横断面形状を四角形状とすることができる。
また、前記凹凸嵌合機構を有する段ボール製ダクトにおいては、前記凹凸嵌合機構を前記多角筒の軸心方向に沿って500mm以内の距離を隔てて設けることができる。
このような構成とすれば、段ボール材の辺縁部に連続的に凹凸嵌合機構を設ける場合に比べ、加工の煩雑さが減少し加工コストが減少する。また、必要最小限の個数の凹凸嵌合機構によってダクト強度を担保することができる。
さらに、前記第4,5の段ボール製ダクトにおいては、互いに接合される前記段ボール材の辺縁部同士の一方の辺縁部側から当該段ボール材に貼着された金属箔を延出させ、他方の辺縁部と接合する際に延出した前記金属箔で当該他方の辺縁部を被覆することもできる。
このような構成とすれば、前記凹凸嵌合機構を互いに組み合わせて辺縁部同士を接合した後、一方の前記辺縁部から延出した金属箔(フラップ)で他方の辺縁部を固定することができるので、組立作業の容易化に有効である。この場合、金属箔(フラップ)の裏面に両面テープなどの接着手段を適宜設けることにより貼着作用を持たせることができるが、接着手段は限定されない。なお、従来は平板状の段ボール材表面に金属箔(アルミ箔)を貼着した後、当該段ボール材の辺縁部から延出した金属箔(アルミ箔)をカット処分していたが、前述したように、辺縁部から延出した金属箔(アルミ箔)をフラップとして残すことにより、段ボール材の辺縁部同士の接合手段として利用することができる。また、段ボール材の辺縁部から延出した金属箔(アルミ箔)をカット処分する必要がなくなるので、資源の再利用を図ることができ、環境保護の観点からも有益である。
また、前記凹凸嵌合機構を有する段ボール製ダクトにおいては、前記凹凸嵌合機構を形成する前記凸部の先端部分の不燃性の金属箔を除去した構造とすることもできる。
このような構成とすれば、前記凸部と前記凹部との接触領域において両者間に冷熱の導体となる金属箔が介在しない状態となるので、ダクト内の冷熱がダクトの表面に伝達するのを防止することができ、冷房時におけるダクト表面(特に、ダクト外表面のコーナー部分)の結露現象を抑制することができる。
本発明により、ダクト組立時の位置出しや接続が容易であり、強度が高く、気密性にも優れた段ボール製ダクトを提供することができる。
以下、図1〜図7に基づいて、本発明の第1〜第6実施形態である段ボール製ダクト10,20,30,40,50,60について説明する。
図1(c)に示すように、本発明の第1実施形態である段ボール製ダクト10は、平板状の4枚の段ボール材(天板1,底板2及び側板3,4)で形成された、多角筒形状の1種である四角筒形状のダクトであり、天板1,底板2及び側板3,4を組み合わせ、四角筒の軸心10cと平行をなす天板1の辺縁部1a,底板2の辺縁部2a及び側板3,4の辺縁部3a,4a同士をそれぞれ凹凸嵌合機構Mで接合して形成され、四角筒の鉛直壁面を形成する側板3,4の辺縁部3a,4aに凹凸嵌合機構Mの凸部3c,4cが設けられ、四角筒の水平壁面を形成する天板1及び底板2の辺縁部1a,2aに凹凸嵌合機構Mの凹部1c,2cが設けられている。
ここで、段ボール製ダクト10を形成する材料となる平板状の段ボール材(天板1,底板2及び側板3,4)について説明する。当該段ボール材は、単層または複数層の段ボール材の両面に不燃性の金属箔(本実施形態ではアルミ箔)を貼着し、不燃性材料としたものである。本実施形態においては、厚さが5mm,3mm及び5mmの段ボール材からなる3層構造の段ボール材の両面に30μmのアルミニウム箔を貼り付けたものを使用している。
図1に示すように、段ボール材の波目Lの方向(表面に波目の山、谷の頂部が現れる方向)は平板状の段ボール材の短手方向に平行となる方向(軸心10cと交差する方向)とすることにより、ダクトとしての強度を保つことができるので、段ボール製ダクト10の外周面に外力が加わったときの変形を抑制することができる。なお、段ボール材の波目Lの方向が長手方向(軸心10cの方向)に沿った状態にすると、外力が働いたときに波目Lに沿ってダクト10が変形することがある。
本実施形態の段ボール製ダクト10においては、天板1の両方の辺縁部1aが側板3,4の辺縁部3a,4aに載った状態で固定され、これにより、天板1の波目L方向と側板3,4の面方向とが垂直となるため、天板1が波目L方向に沿って折れ曲がることがなくダクトとしての優れた強度を発揮する。
また、段ボール材を折り曲げるときは、予め罫線を入れた後、折り曲げるが、罫線に沿って折り曲げようとしても、段ボール材の場所によっては罫線付近の波目Lに沿って曲がってしまい、曲げ寸法が不正確となることがあるので、軸心10cと平行をなす天板1、底板2の辺縁部1a,2aであって、軸心10c方向の端縁部1b,2b寄りの位置に、それぞれ凹部1c,2cを設け、これに対応する側板3,4の辺縁部3a,4aに凸部3c,4cを設けている。
図1(a)に示すように、4枚の段ボール材(天板1,底板2及び側板3,4)を配置し、図1(b)に示すように、天板1,底板2の凹部1c,2cに2枚の側板3、4の凸部3c,4cをそれぞれ隙間無く差し込むことにより、横断面形状が矩形状をした四角筒10aを形成することができる。
この後、図1(c)に示すように、四角筒10aのコーナー部分となる4箇所にそれぞれアルミテープ5を貼着して固定すれば、段ボール製ダクト10が完成する。このとき、ダクト10の開口端10bとなる各段ボール材(天板1,底板2及び側板3,4)の端縁部1b,2b,3b,4bは同一平面となすことができるので、ダクト10に接続する他のダクト10との間に隙間が生じることがなくなり、気密性が向上し、ダクトの接続部分の強度も高まる。
なお、段ボール材(天板1,底板2及び側板3,4)については、当該段ボール材の製造装置が製造可能な寸法によって最大サイズが決まってくるが、本実施形態においては、4枚の段ボール材(天板1,底板2及び側板3,4)を使用して四角筒10aを形成しているため、特に断面寸法が大型となるダクト(ダクト横断面の内周長が合計3200mm以内となるようなサイズのダクト、例えば、ダクト横断面のサイズが縦1000mm×横600mmあるいは縦800mm×横800mmなどのサイズのダクト)においても好適に使用することができる。
次に、図2に基づいて本発明の第2実施形態である段ボール製ダクト20について説明する。なお、第2実施形態の段ボール製ダクト20を形成する段ボール材は、第1実施形態の段ボール製ダクト10を形成する段ボール材と同じであり、後述する第3〜第6実施形態の段ボール製ダクト30,40,50,60においても同様である。また、第2〜第6実施形態の段ボール製ダクト20,30,40,50,60において、段ボール製ダクト10の構成部分と共通する構造、機能を有する部分については、図1中の符号と同符号を付して説明を省略する。
図2に示す段ボール製ダクト20は、図1に示す第1実施形態の段ボール製ダクト10の場合よりも四角筒20aの軸心20c方向のサイズが長く、側板13の辺縁部13aに複数の凸部13cが設けられている。複数の凸部13cは、辺縁部13aのダクト20の軸心20c方向の中央部分と、ダクト20の開口端20b寄りの部分に設けられている。ダクト20の軸心20c方向の中央部分の凸部13cと、ダクト20の開口端20b寄り部分の凸部13cとの距離はそれぞれ500mm以内に設定されている。
なお、本実施形態の段ボール製ダクト20においては、ダクト長(軸心20c方向の長さ)が1000mm、凹凸嵌合機構Mの間隔が400mm、ダクト20の開口端20bから当該開口端20b寄りの凹凸嵌合機構Mの芯(凹凸嵌合機構Mの軸心20c方向の長さの中心)までの距離を100mmとしている。なお、凹凸嵌合機構Mの間隔とは、隣り合う凹凸嵌合機構Mの芯の間の距離をいう。
図2(a)に示すように、側板13,14の凸部13c,14cをそれぞれ天板11,底板12の凹部11c,12cに差し込んで接合した後、図2(b)に示すように、天板11,底板12及び側板13,14の側縁部同士の接合部分及び凹凸嵌合機構Mを覆うようにアルミテープ5を貼着して固定すると、図1の段ボール製ダクト10より長尺の段ボール製ダクト20を形成することができる。
段ボール製ダクト20においては、天板11,底板12並びに側板13,14の接合にあたり、凹凸嵌合機構Mの間隔を500mm以内となるように配置したことにより、軸心20c方向が比較的長尺となる段ボール製ダクトの場合であっても、ダクト20の開口端20bが同一平面をなすように接合することができる。
また、ダクト20の軸心20c方向の中央部分も凹凸嵌合機構Mとアルミテープ5により強固に接合されているため、実際に空調用ダクトとして使用した場合に、ダクト20の内部を流通する空調空気によりダクト20の内圧が上昇することがあっても、ダクト20の中央部分に接合不良(アルミテープのはがれ)が発生することがなくなる。
図2に示す段ボール製ダクト20はダクト長が1000mmであり、凹凸嵌合機構Mの間隔が400mmに設定されているが、これに限定するものではなく、ダクト20の開口端20bから当該開口端20b寄りの凹凸嵌合機構Mの芯(凹凸嵌合機構Mの軸心20c方向の長さの中心)までの距離を100mm、凹凸嵌合機構Mの間隔が500mm以内となるように設定すれば良い。例えば、ダクト長が1500mmの場合は凹凸嵌合機構Mを等間隔に4つ配置し、ダクト長が2000mmの場合は凹凸嵌合機構Mを等間隔に5つ配置することができる。
次に、図3に基づいて、本発明の第3実施形態である段ボール製ダクト30について説明する。図3(a)〜(c)に示すように、段ボール製ダクト30は2枚の段ボール材21,22で形成された四角筒30a形状のダクトであって、四角筒30aの軸心30cと平行をなす方向の折り目21x,22xを有する複数の段ボール材21,22を組み合わせ、段ボール材21,22の辺縁部21a,22c同士及び辺縁部21c,22a同士をそれぞれ2組の凹凸嵌合機構Mで接合することによって形成されている。
図3(a)に示すように、段ボール製ダクト30では、折り目21x,22xにて、横断面形状がL字状をなすように折り曲げた複数の段ボール材21,22を用いて形成されており、図1に示す段ボール製ダクト10よりも横断面形状が小さい場合(ダクト横断面の内周長が2500mm以内となる場合、例えば、ダクト横断面が縦700mm×横400mmあるいは縦600mm×横600mmなどの場合)に好適な構造である。
以下、図3を参照して、段ボール製ダクト30の製造工程について説明する。段ボール材21,22は、段ボールの波目L方向と直交する折り目21x,22xにて折り曲げ、横断面形状がL字状をなすように形成されている。段ボール材21,22の辺縁部21a,22aには凹部21b,22bが形成され、同じく辺縁部21c,22cには凸部21d,22dが形成されている。
前述したように、段ボール材を折り曲げるときは、通常、予め罫線を入れた後、折り曲げられるが、罫線に沿って折り曲げようとしても段ボール材の場所によっては罫線付近の波目Lに沿って曲がってしまい、曲げ寸法が不正確となることがあるので、本実施形態では、段ボール材21,22を、段ボールの波目L方向と交差(本実施形態では直交)する折り目21x,22xにて折り曲げている。
図3(b)に示すように、段ボール材21,22の凸部21d,22dをそれぞれ凹部22b,21bに差し込み、断面矩形状の四角筒30aとした後、辺縁部21a,22c同士の接合部分及び辺縁部21c,22a同士の接合部分を覆うようにアルミテープ5を貼着して固定すると、図3(c)に示すような段ボール製ダクト30が完成する。
段ボール製ダクト30においては、段ボール材21の辺縁部21aが、段ボール材22の辺縁部22cに載った状態で固定され、これにより、段ボール材21,22の波目L方向と、段ボール材21,22において四角筒30aの側板となる部分の面方向とが垂直となるため、段ボール材21において天板となる部分が波目L方向に沿って折れ曲がることがなく優れた強度を発揮する。
また、横断面形状がL字状をなすように折り曲げて形成された段ボール材21,22を用いたことにより、段ボール材21,22同士の接合部分を2ヵ所にすることができるため、ダクト強度、気密性も向上する。
次に、図4に基づいて、本発明の第4実施形態である段ボール製ダクト40について説明する。段ボール製ダクト40は、前述した段ボール製ダクト10,20,30の様に直管形状ではなく、開口端40b,40dが互いに90度をなすように折れ曲がった形状をなしている。具体的には、一方の開口端40bから45度に曲がり、さらに45度曲がった状態で他方の開口端40dが形成されており、一方の開口端40bから流入した調和空気流などの流動方向を90度転換して開口端40dから流出させる機能を有する。
段ボール製ダクト40は、図4に示すように、複数の段ボール材(天板31,底板32,側板33,34)で形成された四角筒40a形状のダクトであって、四角筒40aの軸心40cと交差する方向(本実施形態では直交する方向)の複数の折り目33x,34xを有する複数の段ボール材(側板33,34)と平面形状が滑らかなL字状をなす複数の段ボール材(天板31、底板32)とを用いて形成されている。側板33,34の辺縁部33a、34aにはそれぞれ複数の凸部33b,34bが形成され、これらに対応するように、天板31,底板32の辺縁部31a,32aにはそれぞれ複数の凹部31b,32bが形成されている。
凹部31b,32bと凸部33b,34bとの組み合わせで形成される複数の凹凸嵌合機構Mのうち、ダクト40の開口端40b,40d寄りに位置する凹凸嵌合機構Mは、前述した実施形態の場合と同様に、開口端40b,40dからそれぞれ所定距離の位置に設けられている。
一方、ダクト40の45度曲がり部を構成する部分における凹凸嵌合機構Mは辺縁部31a,32a,33a,34aのコーナー部31a1,32a1,33a1,34a1を避けて、隣り合うコーナー部31a1,32a1,33a1,34a1で挟まれた領域に設けられている。これは、凹凸嵌合機構Mをコーナー部31a1,32a1,33a1,34a1に設けると、段ボール材が波目Lに沿って折れ曲がってしまうことにより、凸部33b,34bの位置がずれてしまうこと、及び、凸部33b,34bの潰れなどが発生して接合不良となり、強度不足や気密不足といった不都合が発生するおそれがあるためである。
図4(b)に示すように、凹部31b,32bに凸部33b,34bを差し込んで接合すると、開口端40b,40dがそれぞれ同一平面を形成する。また、天板31が側板33,34の上側の辺縁部33a、34aに載置された状態となり、側板33,34の下側の辺縁部33a,34aが底板32上に載置された状態となるため、ダクトとしての強度(耐荷重性)を確保することができる。
この後、図4(c)に示すように、天板31,底板32及び側板33,34の辺縁部31a,32a,33a,34aの各接合部分及び凹凸嵌合機構Mを覆うようにアルミテープ5を貼着して固定する。このとき、四角筒40aの内周側であって、辺縁部31a,32a,33a,34aの接合部分である角隅部分には、強度ならびに気密性を高めるために、さらにシーリング材6で接着することが望ましい。なお、側板33,34においては、折り目33x,34xが段ボール材の波目Lと平行に形成されているので、場所によっては波目Lに沿って折り目が生じ、折り目の位置が不正確となる可能性があるが、凹凸嵌合機構Mを設けたことにより、折り目の位置のずれを矯正することができるので、組立性及び組立精度の悪化を回避することができる。
次に、本発明の第5実施形態について、図5に基づいて説明する。段ボール製ダクト50は、第4実施形態と同様、全体的にL字状に折れ曲がった形状のダクトであるが、中間の45度曲がり部を省略した90度曲がり管である。
図5に示すように、段ボール製ダクト50を構成する四角筒50aは、天板51、底板52、側板53,54の4枚の段ボール材からなり、側板53、54の辺縁部53a,54aには凸部53b,54bを設け、これに対応するように天板51、底板52の辺縁部51a,52aには凹部51b,52bが設けられている。
凹部51b,52bと凸部53b,54bとの組み合わせによる複数の凹凸嵌合機構Mは、前述した実施形態の場合と同様に、ダクト50の開口端50dから所定距離の位置に設けられているが、ダクト50の曲がり部を形成するコーナー部50eには凹凸嵌合機構Mが設けられていない。これは、第4実施形態の場合と同様の理由に基づくものである。
図5(b)に示すように、凹部51b,52bに凸部53b,54bを差し込んで接合すると、ダクト50の開口端50dは同一平面となる。また、天板51が側板53,54の上側の辺縁部53a,54a上に載置された状態となり、底板52上に側板53,54の下側の辺縁部53a,54aが載置された状態となるため、ダクトとしての強度(耐荷重性)を高めることができる。
この後、図5(c)に示すように、天板51、底板52、側板53,54の各接合部分にアルミテープ5を貼着して固定すると段ボール製ダクト50が完成する。このとき、ダクト50の内周側であって、天板51、底板52、側板53,54の接合部分である角隅部分の強度及び気密性を高めるためにさらにシーリング材6などで接着することが好ましい。
次に、図6に基づいて、本発明の第6実施形態である段ボール製ダクト60について説明する。段ボール製ダクト60は段ボール材61で形成された四角筒60a形状のダクトであって、図6(a)〜図6(d)に示すように、平板状の段ボール材61を四角筒60aの軸心60cと平行をなす方向の複数の折り目61xで折り曲げ、段ボール材61の辺縁部61a,61b同士を接合することによって形成されている。また、四角筒60aの一方の鉛直壁面62を形成する部分の辺縁部61b上に、四角筒60aの水平天面(水平壁面)63を形成する部分の辺縁部61aを載置して形成されている。なお、複数の折り目61xは段ボール材61の波目L方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に形成されている。
また、段ボール材61の両面にはアルミ箔64が貼着されており、段ボール材61の一方の辺縁部61bからアルミ箔64を延出させることによりフラップ64aが形成されている。互いに接合される段ボール材61の辺縁部61a,61b同士の一方の辺縁部61b側から延出したアルミ箔64のフラップ64aにより、他方の辺縁部61a及び水平壁面63において辺縁部61aに沿った部分が被覆されている。
従来、段ボール材の製造過程では、段ボール材の表面にアルミ箔を貼り付け、段ボール材の辺縁部分から延出するアルミ箔はカットしていたが、図6(a)に示すように、1つの辺縁部61bから延出するアルミ箔を、カットせずに残してフラップ64aとし、このフラップ64aの裏面に両面テープなどの接着手段を適宜設けることにより、前述したアルミテープ5(図1参照)を用いた固定と同様の貼着作用を持たせている。
なお、フラップ64aが貼着される辺縁部61a面に適宜パッキン(図示せず)を設ければ、接合部分の気密性を向上させることができる。また、フラップ64aを設けたことにより、辺縁部61bから延出するアルミ箔をカット処分する必要がなくなるので、資源の再利用を図ることができ、環境保護の観点からも有益である。
図6(b),(c)に示すように、段ボール材61を複数の折り目61xに沿って順次曲げていき、図6(d)に示すように、直管状の四角筒60aを形成する。この後、水平天面63の辺縁部61aを、垂直壁面62の辺縁部61b上に載置し、図6(e)に示すように、フラップ64aを折り曲げて水平天面63の辺縁部61a及び水平天面63の辺縁部61aに沿った部分を被覆するように貼着すると、直管状の段ボール製ダクト60が完成する。なお、段ボール製ダクト60のサイズは限定しないが、例えば、ダクト横断面の最大内周長が合計1250mm程度となるようなサイズのダクト(例えば、ダクト横断面が縦400mm×横200mmあるいは縦300mm×横300mmなどの場合)において好適である。
次に、図7に基づいて、凹凸嵌合機構に関するその他の実施形態について説明する。前述したように、凹凸嵌合機構M(図1,2参照)を用いて段ボール材を接合して形成した段ボール製ダクト10,20などを実際に空調設備に使用した場合、温度差や相対湿度などの条件により、ダクト表面の凹凸嵌合機構M付近に結露が発生する場合がある。これは、凹凸嵌合機構Mで接合した部分をアルミテープ5で固定したことにより、凹凸嵌合機構Mを構成する凸部のアルミ箔の先端辺縁部とアルミテープとが接触した状態となり、これを介してダクト内の冷熱がダクト表面のアルミテープにまで伝わったことによるものと考えられる。
そこで、前述した段ボール製ダクト10,20などよりも結露抑制機能を高めるため、図7に示すように、凹凸嵌合機構の片方を形成する凸部70の先端部分の表面のアルミ箔71の一部71aを除去することもできる。このような構成とすれば、凸部70と凹部(図示せず)との接触領域において両者間に冷熱の導体となる金属箔が介在しない状態となるので、ダクト内の冷熱がダクトの表面に伝達するのを防止することができ、冷房時におけるダクト表面(特に、ダクト外表面のコーナー部分)の結露現象を抑制することができる。なお、アルミテープの代わりに非金属製の不燃テープを用いれば、金属製のアルミテープよりも熱伝導性が低下するので、より一層の結露防止効果を期待することができる。
なお、図1〜図7に基づいて説明した段ボール製ダクト10,20,30,40,50,60は本発明を例示するものであり、本発明の段ボール製ダクトは前述した段ボール製ダクト10,20,30,40,50,60に限定されない。