JP2015004392A - 手動変速機 - Google Patents

Abstract

【課題】シフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重を打ち消して、シフトレバーのセレクト操作時の振動を抑制できるようにした手動変速機を提供する。
【解決手段】入力側アーム１９がシフトレバーに連結され、出力側アーム２０がシフト＆セレクトシャフト１２に連結され、シフトレバーのセレクト操作によって回動されてシフト＆セレクトシャフトを軸移動させるベルクランク１８を備え、ベルクランクに、エンジンおよび変速機ケースの振動によってシフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重を打ち消す方向のモーメント荷重を発生するバランスマス２４をバランスマスアーム２３を介して取付けた。
【選択図】図１

Description

本発明は、シフトレバーのセレクト操作時に、シフトレバーに伝達される振動を抑制できるようにした手動変速機に関するものである。

図６に示すように、シフト＆セレクトアッセンブリ１を備えた車両の手動変速機は、シフトレバー２のセレクト操作によりシフト＆セレクトシャフト３を上下方向に移動させ、シフトレバー２のシフト操作によりシフト＆セレクトシャフト３を軸回りに回動させ、シフト＆セレクト操作に応じた変速段を達成するようになっている。

シフト＆セレクトアッセンブリ１は、図略のエンジンに固定される変速機ケース４に取付けられ、シフト＆セレクトシャフト３を回転可能かつ軸方向移動に支持している。シフト＆セレクトシャフト３は、シフトレバー２のセレクト操作によりケーブル６を介してベルクランク７が回動されることにより、上下方向に移動され、シフトレバー２のシフト操作により図略のケーブルおよびアーム８を介して回動される。この種のシフト＆セレクトアッセンブリ１が、特許文献１に記載されている。

特開２０１２−７６７２号公報

図６に示す構成の手動変速機においては、エンジンおよび変速機ケース４の振動による振動加速度ａ（ｍ／ｓ^２）に対して反対の方向に同等の加速度がシフト＆セレクトアッセンブリ１に発生する。その結果、ベルクランク７の回動中心回りにモーメント荷重Ｍが発生し、これにより、ベルクランク７を回動方向に振動させ、この振動がケーブル６を介してシフトレバー２に伝達される。その結果、シフトレバー２をセレクト操作するドライバに不快な振動を与える。

振動の発生原因となるベルクランク７の回動中心回りのモーメント荷重Ｍは、下記式１で表わされる。
式１：Ｍ＝Ｆ×Ｌ＝Ｗ×ａ×Ｌ
ここで、Ｆは、シフト＆セレクトアッセンブリ１の振動による発生荷重（Ｎ）であり、Ｌは、ベルクランク７の出力側のアーム長さ（ｍ）である。また、発生荷重Ｆは、シフト＆セレクトアッセンブリ１の質量Ｗ（ｋｇ）と、変速機ケース４およびエンジンの振動加速度ａ（ｍ／ｓ^２）の積で表わされる。式１より、シフトレバー２のセレクト操作時の振動を防止するためには、シフト＆セレクトアッセンブリ１の質量Ｗ、変速機ケース４およびエンジンの振動加速度ａ、ベルクランク７の出力側のアーム長さＬのいずれかを「０」にすればよいことが分かる。しかしながら、いずれの項目も「０」にすることは実質上困難である。

本発明は、上記した従来の課題に鑑みてなされたもので、シフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重を打ち消して、シフトレバーのセレクト操作時の振動を抑制できるようにした手動変速機を提供することを目的とするものである。

上記の課題を解決するため、請求項１に係る発明の特徴は、エンジンに固定される変速機ケースに取付けられる固定部材と、該固定部材に上下方向に軸移動可能かつ鉛直軸線回りに回動可能に配設され、シフトレバーのセレクト操作に応じて前記固定部材に対して軸移動されるとともに、前記シフトレバーのシフト操作に応じて前記固定部材に対して回動され、前記変速機ケース内に配設されたシフトヘッドと係合可能なインナーレバーを径方向外方へ突出させたシフト＆セレクトシャフトとを備えた前記シフト＆セレクトアッセンブリを有する手動変速機にして、入力側アームが前記シフトレバーに連結され、出力側アームが前記シフト＆セレクトシャフトに連結され、前記シフトレバーのセレクト操作によって回動されて前記シフト＆セレクトシャフトを軸移動させるベルクランクを備え、該ベルクランクに、前記エンジンおよび変速機ケースの振動によって前記シフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重を打ち消す方向のモーメント荷重を発生するバランスマスをバランスマスアームを介して取付けた手動変速機である。

請求項２に係る発明の特徴は、前記シフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重と、前記バランスマスによって発生するモーメント荷重が等しくなるように、前記バランスマスの質量と、前記バランスマスアームのアーム長を設定した請求項１に記載の手動変速機である。

請求項３に係る発明の特徴は、前記ベルクランクと前記バランスマスアームとを歯数の異なる歯車を介して噛合させ、前記歯車の歯数差によるギヤ比により前記バランスマスの質量を低減させた請求項２に記載の手動変速機である。

請求項１に係る発明によれば、シフトレバーのセレクト操作によって回動されてシフト＆セレクトシャフトを軸移動させるベルクランクに、エンジンおよび変速機ケースの振動によってシフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重を打ち消す方向のモーメント荷重を発生するバランスマスをバランスマスアームを介して取付けたので、シフトレバーのセレクト操作時に、シフトレバーに伝達される振動を抑制することができる。

請求項２に係る発明によれば、シフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重と、バランスマスによって発生するモーメント荷重が等しくなるように、バランスマスの質量と、バランスマスアームのアーム長を設定したので、シフトレバーのセレクト操作時に、シフトレバーに伝達される振動を０にすることができる。

請求項３に係る発明によれば、ベルクランクとバランスマスアームとを歯数の異なる歯車を介して噛合させ、歯車の歯数差によるギヤ比によりバランスマスの質量を低減させたので、バランスマスアームのアーム長さを確保することが難しい場合でも、バランスマスの質量を必要以上に大きくする必要がなく、限られたスペースにバランスマスアームおよびバランスマスを設けることができる。

本発明の第１の実施の形態に係る手動変速機のシフト＆セレクトアッセンブリを示す斜視図である。 第１の実施の形態に係る手動変速機のシフト＆セレクトアッセンブリを模式的に示す図である。 シフトレバーのシフトパターンの一例を示す図である。 本発明の第２の実施の形態に係る手動変速機のシフト＆セレクトアッセンブリを示す斜視図である。 図４におけるベルクランク部の断面図である。 従来のシフト＆セレクトアッセンブリを模式的に示す図である。

以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。第１の実施の形態に係る手動変速機は、図１および図２に示すように、シフト＆セレクトアッセンブリ１０を有し、シフト＆セレクトアッセンブリ１０は、固定部材１１と、シフト＆セレクトシャフト１２と、図略のインターロックプレートを備えている。固定部材１１は、車両のエンジンに固定される手動変速機のケース１４に取付けられ、この固定部材１１にシフト＆セレクトシャフト１２が鉛直方向（上下方向）に移動可能に、かつ鉛直軸線の回りに回動可能に支持されている。また、固定部材１１には、インターロックプレートが上下方向にのみ移動可能に案内されている。

シフト＆セレクトシャフト１２の上端には、径方向に延びたアーム１５が一体的に取付けられ、アーム１５の先端に係合突部１５ａが形成されている。係合突部１５ａは、図略の動力伝達用ケーブルを介して、ドライバによって操作されるシフトレバー１７に連結され、シフトレバー１７のシフト操作により動力伝達用ケーブルを介してアーム１５とともにシフト＆セレクトシャフト１２が回動される。

変速機ケース１４には、Ｌ字形状のベルクランク１８が中央部１８ａを水平軸線の回りに回動可能に支持されている。ベルクランク１８の入力側アーム１９は、中央部１８ａより上方に延在され、その先端に係合突部１９ａが形成されている。係合突部１９ａは、動力伝達用ケーブル２１を介してシフトレバー１７に連結され、シフトレバー１７のセレクト操作により、ベルクランク１８が水平軸線の回りに回動されるようになっている。

ベルクランク１８には、アーム長さがＬ１（ｍ）の出力側アーム２０が、中央部１８ａより水平方向に延在され、その先端はシフト＆セレクトシャフト１２の上部に形成された係合凹部１２ａに係合されている。これにより、ベルクランク１８が回動されると、シフト＆セレクトシャフト１２が上下方向に移動されるようになる。

また、ベルクランク１８には、アーム長さがＬ２（ｍ）のバランスマスアーム２３が、出力側アーム２０と反対の水平方向に延在され、このバランスマスアーム２３の先端に、質量がＷ２（ｋｇ）のバランスマス２４が設けられている。

図２において、シフト＆セレクトアッセンブリ１０の振動による発生荷重（Ｆ１）は、シフト＆セレクトアッセンブリ１０の質量Ｗ１（ｋｇ）と、ケース１４およびエンジンの振動加速度ａ（ｍ／ｓ^２）の積で表わされる。これにより、シフト＆セレクトアッセンブリ１０に起因するモーメント荷重Ｍ１は、シフト＆セレクトアッセンブリ１０の質量Ｗ１と、エンジンの振動加速度ａと、ベルクランク１８の出力側アーム２０のアーム長さＬ１の積（Ｗ１×ａ×Ｌ１）によって求められる。

これに対して、バランスマス２４による発生荷重（Ｆ２）は、バランスマス２４の質量Ｗ２（ｋｇ）と変速機ケース１４およびエンジンの振動加速度ａ（ｍ／ｓ^２）の積で表わされる。これにより、バランスマス２４に起因するモーメント荷重Ｍ２は、バランスマス２４の質量Ｗ２と、エンジンの振動加速度ａと、バランスマスアーム２３のアーム長さＬ２の積（Ｗ１×ａ×Ｌ１）によって求められ、かかるモーメント荷重Ｍ２が上記のモーメント荷重Ｍ１を打ち消す方向に発生する。

この際、両モーメント荷重Ｍ１、Ｍ２が等しくなるように、バランスマス２４の質量Ｗ２およびバランスマスアーム２３のアーム長さＬ２を設定すれば、シフト＆セレクトアッセンブリ１０によって発生するモーメント荷重Ｍ１を打ち消すことができ、理論上、シフトレバー１７のセレクト操作時に、シフトレバー１７に伝達される振動をなくすることができる。

第１の実施の形態に係る手動変速機は、図３に示すように、前進用に６つの変速段、後進用に１つの変速段を備えた例で示しており、図３に示すパターンにおいて、点Ｏが「ニュートラル位置」であり、点Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆ、Ｇがそれぞれ「１速シフト位置」、「２速シフト位置」、「３速シフト位置」、「４速シフト位置」、「５速シフト位置」、「６速シフト位置」、「リバースシフト位置」である。また、点Ｈ、Ｉ、Ｊがそれぞれ「ＬＯＷセレクト位置」、「ＨＩＧＨセレクト位置」、「リバースセレクト位置」である。すなわち、図３における横方向の操作が「セレクト操作」となり、図３における縦方向の操作が「シフト操作」となる。なお、図３においては、シフトレバー１７が「ニュートラル位置」にある状態を示している。

シフト＆セレクトシャフト１２には、図示してないが、径方向外方に突出する２つのインナーレバーが上下方向に所定の間隔を有して設けられ、これらインナーレバーに係合可能なインターロックプレートが、固定部材１１およびシフト＆セレクトシャフト１２に、シフト＆セレクトシャフト１２と一体に軸方向移動可能に、かつシフト＆セレクトシャフト１２の軸回りに回動不能に支持されている。

シフトレバー１７がニュートラル位置にある状態においては、図略のフォークシャフトにそれぞれ固定された１速−２速シフトヘッド、３速−４速シフトヘッド、５速−６速シフトヘッドおよびリバースシフトヘッドが、セレクト方向に沿って並列に配置される。

そして、シフトレバー１７の操作によって、所定のフォークシャフトが移動されると、シフトフォークを介して変速段切換用のスリーブが移動され、その結果、対応する変速段のギヤ列からなる動力伝達経路が形成され、シフトレバー１７のシフト操作に応じた変速段が達成される。かかる構成は、周知のものを利用できる。

第１の実施の形態に係る手動変速機は上記したように構成されているので、アーム長さがＬ２のバランスマスアーム２３と、質量がＷ２のバランスマス２４により、シフト＆セレクトアッセンブリ１０によって発生するモーメント荷重Ｍ１（Ｍ１＝Ｗ１×ａ×Ｌ１）を打ち消すモーメント荷重Ｍ２が（Ｍ２＝Ｗ２×ａ×Ｌ２）が発生される。

ここで、Ｍ１＝Ｍ２となるように、バランスマス２４の質量Ｗ２およびバランスマスアーム２３のアーム長さＬ２を適切に設定することにより、シフトレバー１７のセレクト操作時においても、シフトレバー１７に振動が伝達されることがなくなり、ドライバに不快感を与えることがない。

次に、本発明の第２の実施の形態を図４および図５に基づいて説明する。第１の実施の形態と異なる点は、歯車のギヤ比を利用してバランスマス２４の質量Ｗ２を軽減できるようにしたものである。従って、以下においては、主に第１の実施の形態と異なる点を説明し、第１の実施の形態で述べたと同一の構成部品については同一の参照番号を付し、説明を省略する。

図４および図５において、ベルクランク１８は、中央部を変速機ケース１４に固定された支持部材５０に水平軸線の回りに回動可能に支持された回動軸５１と一体の回動部材５２上に取付けられている。支持部材５０には、歯数がＮ２のカウンター歯車５３を形成した支持軸５４が回動軸５１の中心と所定量ε偏心した軸心の回りに回転可能に支持されている。カウンター歯車５３は、回動部材５２に形成した歯数がＮ１（Ｎ１＞Ｎ２）の内歯歯車５２ａに噛合されている。支持軸５４には、バランスマスアーム１２３の一端が取付けられ、バランスマスアーム１２３の先端にバランスマス１２４が取付けられている。

上記した構成により、シフトレバー１７のセレクト操作により、ベルクランク１８が回動されると、バランスマス１２４は、内歯歯車５５ａとカウンター歯車５３との歯数差によるギヤ比λ（λ＝Ｎ１／Ｎ２）に応じて回動される。これにより、上記式２の関係にカウンター歯車５３と内歯歯車５５ａとのギヤ比λがかかることで、モーメント荷重Ｍ１とＭ２の関係式が、下記式４となり、Ｍ１を打ち消すに必要なバランスマス１２４の質量を、第１の実施の形態に比してカウンター歯車５３によるギヤ比λ分だけ軽減することが可能となる。
Ｍ１＝Ｍ２×λ

上記した第２の実施の形態によれば、ギヤ比によってバランスマス２４の質量Ｗ２を軽減することができるので、スペース上バランスマスアーム２３のアーム長さを大きくすることが難しい場合であっても、小さな質量Ｗ２のバランスマス２４を用いて、シフト＆セレクトアッセンブリ１０によって発生するモーメント荷重Ｍ１を打ち消すに必要なモーメント荷重Ｍ２を発生させることが可能となる。

上記した実施の形態によれば、シフトレバー１７のセレクト操作によって回動されてシフト＆セレクトシャフト１２を軸移動させるベルクランク１８に、エンジンおよび変速機ケース１４の振動によってシフト＆セレクトアッセンブリ１０に発生するモーメント荷重Ｍ１を打ち消す方向のモーメント荷重Ｍ２を発生するバランスマス２４をバランスマスアーム２３を介して取付けたので、シフトレバー１７のセレクト操作時に、シフトレバー１７に伝達される振動を０ないしは抑制することができ、ドライバのフィーリングを向上することができる。

また、上記した実施の形態によれば、ベルクランク１８とバランスマスアーム１２３とを歯数の異なる歯車５２ａ、５３を介して噛合させ、これら歯車５２ａ、５３のギヤ比によりバランスマス１２４の質量を低減させたので、バランスマスアーム１２３のアーム長さを大きくできない場合も、バランスマス２４の質量Ｗ２を大きくすることなく、シフト＆セレクトアッセンブリ１０によって発生するモーメント荷重Ｍ１を打ち消すに必要なモーメント荷重Ｍ２を発生させることができる。

上記した実施の形態によれば、モーメント荷重Ｍ１とＭ２を等しくなるように、バランスマスアーム２３のアーム長さＬ２およびバランスマス２４の質量Ｗ２を設定する例について述べたが、モーメント荷重Ｍ２をモーメント荷重Ｍ１に近づけることにより、シフトレバー１７のセレクト操作時の振動を低減できる効果があり、モーメント荷重Ｍ１とＭ２を等しくするものに限定されるものではない。

以上、本発明を実施の形態に即して説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得るものである。

１０…シフト＆セレクトアッセンブリ、１１…固定部材、１２…シフト＆セレクトシャフト、１４…変速機ケース、１７…シフトレバー、１８…ベルクランク、１９…入力側アーム、２０…出力側アーム、２３、１２３…バランスマスアーム、２４、１２４…バランスマス、５３…カウンター歯車、５２ａ…内歯歯車。

Claims (3)

1. エンジンに固定される変速機ケースに取付けられる固定部材と、
   該固定部材に上下方向に軸移動可能かつ鉛直軸線回りに回動可能に配設され、シフトレバーのセレクト操作に応じて前記固定部材に対して軸移動されるとともに、前記シフトレバーのシフト操作に応じて前記固定部材に対して回動され、前記変速機ケース内に配設されたシフトヘッドと係合可能なインナーレバーを径方向外方へ突出させたシフト＆セレクトシャフトと、
   を備えた前記シフト＆セレクトアッセンブリを有する手動変速機にして、
   入力側アームが前記シフトレバーに連結され、出力側アームが前記シフト＆セレクトシャフトに連結され、前記シフトレバーのセレクト操作によって回動されて前記シフト＆セレクトシャフトを軸移動させるベルクランクを備え、
   該ベルクランクに、前記エンジンおよび変速機ケースの振動によって前記シフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重を打ち消す方向のモーメント荷重を発生するバランスマスをバランスマスアームを介して取付けた、
   ことを特徴とする手動変速機。
2. 前記シフト＆セレクトアッセンブリに発生するモーメント荷重と、前記バランスマスによって発生するモーメント荷重が等しくなるように、前記バランスマスの質量と、前記バランスマスアームのアーム長を設定した請求項１に記載の手動変速機。
3. 前記ベルクランクと前記バランスマスアームとを歯数の異なる歯車を介して噛合させ、前記歯車の歯数差によるギヤ比により前記バランスマスの質量を低減させた請求項２に記載の手動変速機。

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