JP2014534297A - 熱成形品、大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品を製造するためのポリプロピレン、変性ポリプロピレンを大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品に熱成形するプロセス、ならびに該ポリプロピレンの使用 - Google Patents
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Abstract
Description
提供するものである。同様の問題が、冷蔵庫の断熱を担うポリウレタンの発泡ガスからの攻撃によっても見られ、このガスがポリスチレンおよびHIPS層を攻撃する。ポリプロピレンはその代替品と比較して化学的に不活性であるという点は、ポリプロピレンに大きな競合優位性をもたらす。その理由は、それにより内張りに適用するシートの厚さを低減することができ、また、それはより低い密度を有するからである。
- 反応押出:過酸化物を添加することによってフリーラジカルが生じ、それがポリプロピレン中で主鎖の分岐の形で再結合する。ラジカル発生剤は、こうしたラジカルを発生することができるアゾペルオキシド化合物、例えばジセチルペルオキシドジカーボネートなどであってもよい;
- 電離放射線:電子線衝撃またはガンマ線照射がラジカルを発生し、それがポリプロピレンの分岐の形で再結合する;および
- 架橋:シランなどの架橋剤がポリプロピレン鎖中にグラフト化され、それらが制御された架橋プロセスにかけられることによって、分岐構造である最終状態が生じる。
- 本発明の変性ポリプロピレンのシートを成形するステップ;
- 特定の用具または技法/方法を利用してまたは利用せずに、成形品に真空を施すステップ;ならびに
- 大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品を得るステップ
を含む方法に関する。
ポリプロピレンの調製
ポリプロピレンをパイロットプラントで調製し、Table 1(表1)およびTable 2(表2)に列挙する工業製品と比較した。「H」はポリプロピレンホモポリマーを表し、「CP」はコポリマーを表す。続く数は、試料のMFRに関連する。
変性は、ラボ用押出機ZSK-26中で、高ポリプロピレン反応性を有する過酸化物を添加し、160と250℃の間の温度での適切な温度および不活性化プロファイルで押出すことによって行った。過酸化物とポリプロピレンの両方を強力ミキサー中で予混合し、N2不活性化状態で重量測定により投入した。使用した過酸化物レベルはMOD IおよびMOD IIと表し、ここでは後者の方が前者より高濃度であり、濃度は0.01から5%の範囲内である。
レオロジー解析を、応力制御型回転式レオメーター中200℃で、プレート/プレートジオメトリーを使用し、予め200℃で5分間プレスした円盤で行い、Antoon Paar製のMCR-501装置中200℃で、線形粘弾性レジーム内の応力で評価した。200℃で5分間プレスし、20℃/分に冷却した厚さ1.3mm、幅100cm、長さ160mmのプレートを、190℃の温度で、特殊な下部目盛付き(bottom-graduated)支持台上に置く方法に従って、垂れ下り試験(自重に対する抵抗)を行った。使用したオーブンは、電子制御および対流加熱を備えたInstron引張機のものであった。プレートが10から100mmの変形に至るのに必要な時間を収集し、結果を図1に示すようにプロットする。シートの表面が190℃の温度に達したことが測定された時間は120秒であった。曲線の最初のフェーズはポリプロピレンの融解に関連しており、次の領域はポリプロピレンの垂れ下り抵抗を表している。時間に伴うポリプロピレンの弱化が小さくなればなるほどその熱成形性は良くなり、すなわち、曲線の傾斜が小さくなればなるほど特性が良くなる。溶融強度試験を、Haake押出機をつないだGottfert、Rheotens 71.97レオメーターを使用して、190℃の温度で、太さ2mmのキャピラリー、および20のL/Dで行った。引出プーリーに加えた加速度は60mm/s2であり、キャピラリーの出口からの距離は60mmであった。
ηはポリプロピレンの粘度であり、
η0はゼロせん断速度のポリプロピレンの粘度であり、
λe、aおよびnは設定パラメータであり、
実施例1から実施例4では、異なるモル質量およびモル質量分布を有するポリプロピレンホモポリマーを使用した。非変性ポリプロピレンの説明をTable 1(表1)に、それらの熱成形上の重要な性質をTable 2(表2)に示す。
図2により、ポリプロピレンは、分子量が減少すると破局的な変形を呈する傾向があることが示される。この場合、材料が加熱され、熱成形用型に移送される時間がほとんどないこととなりやすいので、工業的に実現可能ではない。当業者には公知である通り、ポリプロピレンは熱成形において小型の物品に適用され、使用される場合、それらは、5g/10分未満のMFRを有する製品である。この場合、ポリプロピレンの溶融強度、Eta(0)、およびモル質量の間に、ポリプロピレンのMFRを含めて、直接的な相関性を見出すことができる。
図4に示される通り、観察された別の効果は、ポリプロピレンの多分散性(DPM)であった。DPMが上がるにつれて、線状ポリプロピレンの終端領域の傾斜が下がる。
ポリプロピレンにベータ核剤を添加することによって、製品の融解温度が最大10℃低下することが観察され、それによって材料をより低い温度で加工することができるようになるが、ポリプロピレンの垂れ下り抵抗は変化せず、時間が低い値にシフトした同一の現象を示すだけである。以上から、ベータ核形成で得られるものは、ある程度まで加工期間を下げることだけであるが、製品のレオロジー性は変化しないので、大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品に用途を広げることはできない。図5に確認される通り、溶融状態のポリプロピレンの挙動には変化がない。
図6において、同一のMFRを有するポリプロピレンであって、それらのうち一方は線状であり、他方は反応押出によって変性されているポリプロピレンを比較すると、性質の顕著な変性が注目される。
コポリマー
図7は、2つの変形領域と同様にホモポリマーを示す。ゴム相があるので、終端フェーズは平らになる傾向があるが、依然として破局的な変形を呈する。極めて低いMFRの場合、熱成形しやすい製品を得ることができるが、粘度が高いという制約がある。
ゴム含有量
図8でわかる通り、ゴム含有量に応じた依存関係があるが、CP 6-3のポリプロピレンがより破局的でないようであり、一方CP 6-1のポリプロピレンがより緩徐に変形することが明らかである。二相系に言及しているので、コポリマーのMFRまたは最終粘度のみを評価すると、破局的変形はゴム相に依存すること、および、ポリプロピレンの有するゴムが少なくなり、同じMFRを有するようにするために結果的にマトリックスの粘度が高くなると動作時間が長くなることが注目される。よって、粘度が高く、少なくとも中程度のゴム含有量を有するマトリックスがあるときのみ、プロセスに適したポリプロピレンを有することができる。CP 0.8のポリプロピレンの熱成形における挙動およびその可能な用途は、このように説明される。
高MFRのCPの変性
マトリックスのMFRを変性によって増加させると、図9でわかる通り、垂れ下りに対する製品の応答は、MFRがはるかに低い製品より垂れ下り抵抗が大きくなるくらいまで改善され、また、9g/10分のMFRを有する変性度IIの製品は、MFRが6である製品と同様の挙動を示す。この有意な変化は、ポリプロピレンマトリックスが長鎖の分岐を含有するように変化し、そしてプレートの重量によって生じる伸長変形を支えるように変化したことに起因する。単に線状ポリプロピレンを進化させれば、それが、大きい、厚い、深いおよび/または複雑な物品を熱成形するのに適切になることを意味しているのではないことは明らかである。
中間的なMFRの変性
より高いMFRのポリプロピレンを変性することにより、挙動は完全に異なるものとなり、ポリプロピレンをはるかに熱成形しやすいものとする。
熱成形に通常採用されるポリプロピレンとの比較:
図11は、熱成形に通常採用されるポリプロピレンの垂れ下り抵抗の特徴を、熱成形用途のために本明細書において変性されるポリプロピレンとともに示す。
【0001】
図10において、破局的レジーム(CP4)は、解析時間が長くても(15分)、もはや変形したポリプロピレン(CP mod I および CP mod II)に観察されない。変性により、ポリプロピレンは、CP 0.8の例のような当初使用可能であったポリプロピレンのものよりはるかにMFR特性が高くても、「丈夫な」ものとなると結論付けることができる。
Claims (22)
- 炭素原子1,000個当り0.3から2個の長鎖分岐を含有し、前記長鎖分岐が、1,000個より多い炭素原子、ならびに0から6%のエテンおよび/または炭素原子数3から18のアルファ-オレフィンコモノマーを有することを特徴とする、熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 前記分岐が、反応押出、電離放射線または架橋、これらの方法内および方法間での可能な混合法および変法、の1つまたは複数によってポリプロピレン中に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 前記マトリックスが、0.4から3重量%のコモノマーを有することを特徴とする、請求項1に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 前記マトリックスが、0.6から1.8重量%のコモノマーを有することを特徴とする、請求項1に記載の、熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- ホモポリマー、ランダムコポリマーまたは異相コポリマーであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- アミノシラン、シラン、アクリレート、メタクリレート、アルファ-ベータ不飽和酸などの他のモノマーが添加されてもよいことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- ポリプロピレンと少なくとも1種のアルファ-オレフィンまたはエテンとを、アルファ-オレフィンまたはエテンが3から70%である割合で含むゴム相、および炭素数3から18のアルファ-オレフィンコモノマーを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 流動補助剤、潤滑剤、帯電防止剤、透明化剤、核剤、ベータ核剤、滑剤、酸化防止剤、制酸剤、HALS、赤外線吸収剤、充填剤、例えばシリカ、二酸化チタン、二酸化ケイ素、有機および/または無機染料などが追加されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 3.5g/10分より大きいMFR、15cNと35cNの間の190℃における溶融強度、および11cm/秒より大きい伸長性を有するホモポリマーであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 2.0g/10分より大きいMFR、15cNより大きい190℃における溶融強度、および11cm/秒より大きい伸長性を有するランダムコポリマーであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 1.5g/10分より大きいMFR、12cNと40cNの間の190℃における溶融強度、11cm/秒より大きい伸長性、および室温における100J/mより大きい衝撃強さを有する異相コポリマーであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 再生可能資源から得られることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の熱成形品を作製するためのポリプロピレン。
- 請求項1から12に記載のポリプロピレンを熱成形することによって調製され、400cm2より大きい成形面積を有することを特徴とする、大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 0.8mmより厚いシートで、1.5より大きい線形熱成形比を有することを特徴とする、請求項13に記載の大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 0.9mmより厚いシートで、0.3より大きいH:D熱成形比、および1,600cm2より大きい最終物品を有することを特徴とする、請求項13に記載の大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 自動車両、例えば、バンパー、インストルメントパネル、シート、背もたれ、グローブボックスの扉、センターコンソール、ドアプロテクター、扉の支柱、液タンク、タイヤプロテクター、フェンダーなどに適用するためのものであることを特徴とする、請求項13に記載の大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 冷蔵庫および冷凍庫に、扉の裏側、内部ケース、液タンク、蒸発器などとして適用するためのものであることを特徴とする、請求項13に記載の大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 他の家庭電化製品、例えば、エアコン、食洗機、洗濯機、TV、電気掃除機などに使用するためのものであることを特徴とする、請求項13に記載の大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 家具、トラクター、ガーデントラクター、トラック、バスなどに適用するためのものであることを特徴とする、請求項13に記載の大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 電子機器、例えば、TV、DVD、音響システム、ホームシアター、ノート型パソコン、ネットブック、デスクトップなどに適用するためのものであることを特徴とする、請求項13に記載の大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品。
- 変性ポリプロピレンを、大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品に熱成形する方法であって、
- 請求項1から12のいずれか一項に記載の変性ポリプロピレンのシートを成形するステップ;
- 特定の用具または技法/方法を利用してまたは利用せずに、成形品に真空を施すステップ;ならびに
- 大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品を得るステップ
を含むことを特徴とする、方法。 - 大きい、深い、複雑なおよび/または厚い物品を調製するためであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリプロピレンの使用。
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