JP2014527425A - 医療機器用の連結システム - Google Patents

Abstract

置換弁を患者内の標的位置まで送達する技術が記載されている。一例では、医療機器システムは、拡張型アンカーと、アンカーの第１端に係合した係止部材と、係止部材と係合するように構成された２つのポストであって、ポストの各々がアンカーの一部に係合し、各ポストがポストの先端部において穴を画定するポストと、それぞれのポストの各穴を通って延在し、かつ、アンカーの第２端に係合している締結要素とを備え、係止形態で、ポストが係止部材に固定される、植込み型医療機器を含む。

Description

本開示は、医療機器に関し、より具体的には弁置換装置に関する。

心臓弁手術は、罹患した心臓弁を修復するかまたは置換するために使用される。弁手術は、全身麻酔下で行われる心臓切開処置である。患者の胸骨に切開を形成し（胸骨切開術）、血流が人工心肺装置を通して別の経路で送られている間に、患者の心臓を停止させる。

弁置換は、一般に狭窄症と呼ばれる本来の心臓弁の狭窄がある場合、または本来の弁が漏れるかあるいは逆流する場合に、指示されることがある。弁を置換する際、本来の弁は摘出され、生体弁または機械弁のいずれかに置換される。機械弁の場合、血餅形成を防止するために一生抗凝血薬を投薬する必要があり、胸郭を通して弁のクリック音が頻繁に聞こえることがある。

生体組織弁は、一般に、こうした投薬が不要である。組織弁は、死体から取得される場合も、ブタあるいはウシである場合もあり、一般に人工弁輪に取り付けられる。

本発明の目的は、上記した事項を踏まえより向上させた弁置換装置を提供することにある。

概して、本開示は、患者の標的部位に置換弁を送達する技術を記載する。弁を、植込み型とすることも、患者内に一時的に配置されるように適合させることもできる。いくつかの例では、本開示は、ポストアセンブリのポストを、植込み型医療機器、たとえば置換弁の拡張型アンカーに取り付ける技術と、これらの技術を利用するシステムとに関する。本開示に記載されているさまざまな技術は、医療機器の送達中に係止荷重（ｌｏｃｋｉｎｇ ｌｏａｄ）をポストアセンブリからアンカーまで伝達することができる。さらに、本開示に記載されているさまざまな技術は、ポストアセンブリの非対称荷重を防止し、それによりたとえば弁尖に対する応力を低減することができる。

一例では、本開示は、拡張型アンカーを備える植込み型医療機器と、アンカーの第１端に係合した係止部材と、係止部材に係合するように構成された２つのポストであって、各ポストがアンカーの一部に係合し、各ポストがポストの先端部に穴を画定している、ポストと、それぞれのポストの穴を通って延在し、かつ、アンカーの第２端に係合している締結要素とを備え、係止形態で、ポストが係止部材に固定される、医療機器システムに関する。

別の例では、本開示は、医療機器の送達システムと拡張型アンカーとの間の連結システムに関する。本連結システムは、アンカーの第１端に係合した係止部材と、係止部材と係合するように構成された２つのポストであって、各ポストがアンカーの一部に係合し、各ポストがポストの先端部において穴を画定する、ポストと、それぞれのポストの穴を通って延在し、かつ、アンカーの第２端に係合している締結要素とを備え、係止形態では、ポストは係止部材に固定される。

本開示の１つまたは複数の態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に示されている。説明および図面からかつ特許請求の範囲から、他の特徴、目的および利点も明らかとなろう。

展開した係止形態での置換心臓弁例を示す図。 折り畳まれた送達形態にある置換心臓弁例。 医療機器に可逆的に連結されている医療機器送達システム例を示し、医療機器が折畳み形態にある図。 医療機器に可逆的に連結されている医療機器送達システム例を示し、医療機器が展開した係止形態にある図。 医療機器展開および係止手続き例を示す図。 医療機器展開および係止手続き例を示す図。 医療機器展開および係止手続き例を示す図。 医療機器展開および係止手続き例を示す図。 医療機器展開および係止手続き例を示す図。 医療機器展開および係止手続き例を示す図。 医療機器展開および係止手続き例を示す図。 本開示のさまざまな技術による置換心臓弁の一構成例の一部を示す正面図。 本開示のさまざまな技術による、図４Ａに示す置換心臓弁の一部の側面図。 本開示のさまざまな技術による、展開した係止形態にある置換心臓弁例を示す図。 本開示のさまざまな技術による、置換心臓弁の別の構成例の一部を示す正面図。 本開示のさまざまな技術による、置換心臓弁の別の構成例の一部を示す正面図。 本開示のさまざまな技術による、丸い先端穴を有するポスト例を示す図。 図８Ａの一部の拡大図。 締結要素をアンカーの先端部に係合させるために使用することができる結び目例を示す図。

本開示は、置換弁を患者内の標的位置に送達する技術について記載する。本弁は、植込み型とすることも、患者内に一時的に配置されるように適合させることもできる。いくつかの例では、本開示は、ポストアセンブリのポストを植込み型医療機器の拡張型アンカーに取り付ける技術と、これらの技術を利用するシステムとに関する。例示的一実装形態では、植込み型医療機器は弁であり、弁を、係止しかつその弁の位置を変えるために係止解除することができる。特に、弁は、拡張型アンカーと、弁を位置決めする必要に応じて係止しかつ係止解除することができるポストアセンブリおよびバックルとを備えている。

本開示に記載されており、かつ、後により詳細に記載されるような技術を使用して、ポストアセンブリおよびアンカーに係合された可撓性締結要素は、医療機器の送達中に、係止荷重（静荷重）をポストアセンブリからアンカーに伝達することができる。さらに、本開示に記載されている技術は、ポストアセンブリの非対称荷重を防止し、それにより、たとえば弁尖に対する応力を低減することができる。さらに、後述する技術は、編組（ブレード）取付箇所においてアンカー材料、たとえばワイヤにおける被覆（ｓｈｅａｔｈｉｎｇ）歪みを低減する。被覆歪みは、弁が外側シース（たとえば図２Ａのシース１１０）内に折り畳まれる結果としてアンカー材料に引き起こされる歪みである。ワイヤが交差部分で正しく切断されるのを制約するかまたは妨げるようなアンカー材料への任意の取付により、ワイヤが屈曲する結果となる可能性がある。本開示に記載されているさまざまな技術によれば、ポストとアンカーとの間の取付は、先端取付箇所における被覆時のアンカーワイヤの屈曲を最小限にするように構成されている。

図１Ａおよび図１Ｂは、アンカー材料１３（たとえば編組ワイヤ）を備えるように示されている、本開示において係留要素１２とも呼ぶ拡張型アンカー１２と、置換弁尖１４（明確にするために図１Ｂには示さず）とを備える、置換心臓弁１０を示す。弁尖１４は、たとえば処理された動物の心膜組織、たとえばウシあるいはブタの組織か、または人工材料を含むことができる。アンカー１２を、（レーザ切断されたまたは化学切削された）自己拡張パターンと、ワイヤブレードと、ステンレス鋼、ニッケル−チタン（「ニチノール（Ｎｉｔｉｎｏｌ）」）またはコバルトクロム等の材料を使用して製造することができるが、別法として、アンカーがバルーン拡張によってその最終形状まで塑性的に変形するように設計されている、バルーン拡張型パターンを使用して製造することができる。置換心臓弁１０はまた、本明細書ではポストとも呼ぶ第１係止部材１６と、本開示においてバックルとも呼ぶ第２係止部材１８とを備えている。

以下により詳細に示しかつ記載するように、本開示によれば、各ポストアセンブリは、各バックルに関連する２つのポストを含み、各バックルは、アンカー１２の第１端、たとえば基端部に係合する。各ポストはポストの先端部に穴を画定し、可撓性締結要素、たとえば縫合糸は、それぞれのポストの各穴を通って延在し、アンカーの第２端、たとえば先端部に係合する。弁尖１４の組織は、各ポストアセンブリの２つのポスト脚部の間で圧搾される。本開示に記載されているポストアセンブリおよび締結要素を利用することにより、係止解除状態から係止状態への圧縮中に、たとえばアンカーが石灰化した弁輪において開放される際、アンカーに加えられる力（「係止荷重」とも呼ぶ）を、ポストアセンブリからアンカー、たとえばアンカー１２の第２端に伝達することができる。このように、締結要素はまた、弁尖を係止荷重から解放する。ポストアセンブリおよび弁尖からアンカーおよび締結要素に係止荷重を伝達することにより、たとえば弁尖に対する応力を低減することができ、それにより弁の寿命が延びる。

図１Ａは、完全展開形態にあるアンカー１２を示し、その形態では、アンカー１２は、第１係止部材１６、たとえばポストと、第２係止部材１８、たとえばバックルとの間の係止相互作用によって、係止されかつ展開形態で維持される。図１Ｂは、折畳み送達形態にある置換心臓弁１０を示し、その形態では、置換心臓弁は、送達システム内で患者内の標的位置まで送達される（送達システムは図示せず）。

この実施形態では、弁尖１４は、弁の３つの交連、たとえば交連１９Ａ〜１９Ｃにおいてポスト１６に取り付けられている。したがって、ポスト１６は、係留要素内で弁を支持する。ポストおよびバックル（または他の好適な第１係止部材および第２係止部材）はともにアンカーに連結される。係留要素１２が、図１Ｂに示すように折畳み形態にあるとき、バックル１８の対応する係止要素と係止するように構成されているポスト１６の各係止要素は、それが係止されるように適合されているバックルの係止要素に対して先端側に位置している。言い換えれば、ポストの係止要素に係止するように構成されているバックルの係止要素は、送達形態ではポストの係止要素に対して基端側に位置している。

図２Ａおよび図２Ｂは、患者内の標的位置に医療機器を送達し展開するために使用することができる、送達システム１００およびその構成要素の例示的な実施形態を示す。送達システム１００は、ハンドル１２０と、シース１１０と、シース１１０内に配置されたカテーテル１０８と、置換心臓弁１０に可逆的に連結されている作動要素１０６Ａ，１０６Ｂとを備えている。図２Ａにおいて、心臓弁１０は、シース１１０内で（図１Ｂにも示す）折畳み送達形態にある。送達システム１００はまた、ガイドワイヤＧおよびノーズコーン１０２も備えている。いくつかの実施形態では、カテーテル１０８は、中心内腔１０９および複数の円周方向に配置された内腔Ｌｕを有している。

図２Ａおよび図２Ｂにおいて、複数の作動要素１０６Ａが、係留要素１２の基端領域に可逆的に連結されるように示されている。特に、作動要素１０６Ａは、可逆連結機構を介して係留要素１２の基端部に可逆的に連結されている。作動要素１０６Ｂは、係留要素の基端部に対して先端側の置換心臓弁の領域に可逆的に連結されている。特に、作動要素１０６Ｂは、可逆連結機構を介してポスト１６に可逆的に連結されるように示されている。この実施形態および同様の実施形態の詳細を、米国特許出願公開第２００５／０１３７６８６号明細書および米国特許第７，９５９，６６６号明細書に見ることができ、これら各々の開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。

図１Ａ〜図２Ｂに示す実施形態では、係留要素１２は、ニチノール等の編組材料を含み、材料の１つまたは複数のより線から形成されている。一実施形態では、係留要素１２は、形状記憶材料から形成され、自己拡張形態で熱固定され、それにより、係留要素が送達システムのシースから展開されるとき、編組が、自然に、折畳み送達形態から記憶自己拡張形態まで短縮し拡張し始める。自己拡張形態を、停止形態または部分展開形態と考えることができ、それは、米国特許出願公開第２００５／０１３７６８６号明細書および米国特許第７，９５９，６６６号明細書により詳細に記載されている。係留要素が部分展開形態まで拡張すると、アクチュエータ１０６Ａ，１０６Ｂのうちの少なくとも一方が、患者の外部に配置されたハンドルのアクチュエータを介して駆動される。米国特許出願公開第２００５／０１３７６８６号明細書および米国特許第７，９５９，６６６号明細書により詳細に記載されているように、アクチュエータ１０６Ｂを、作動要素１０６Ａに対して基端方向に作動させることができ、それによりポストに対して基端方向に向けられた力が加えられて、係留要素の先端領域に基端方向に向けられた力が加えられる。アクチュエータ１０６Ａを、別法として、または基端方向に向けられた力に加えて、係留要素の基端領域に先端方向に向けられた力を加えるように、先端方向に作動させることができる。軸方向に向けられた力は、係留要素を能動的に短縮し、ポストおよびバックルが互いに係止して係留要素を完全に展開した係止形態で係止するまで、ポストをバックルの近くに移動させる。したがって、係止形態は部分展開形態より短い。

図３Ａ〜図３Ｇは、置換大動脈心臓弁を送達形態で送達し、それを送達シースから完全に展開した係止形態まで展開させる例示的な方法を示す。この実施形態では、作動要素１０６Ｂは、置換弁のポストに可逆的に連結されているが、本明細書では「フィンガ」とも呼ぶことができる作動要素１０６Ａは、バックルに可逆的に連結される。３つのバックルに可逆的に連結された３つの作動要素１０６Ａがあり、ポストの各組に可逆的に連結された３つの作動要素１０６Ｂがある。図３Ａに示すように、置換弁１０は、ガイドワイヤＧの上を、シース１１０内において折畳み送達形態で大動脈Ａを通して逆行するように送達され、既知の経皮的技術を用いて患者の大動脈弁を横切って配置される。

図３Ａに示すようにシース１１０が本来の弁を横切って配置されると、シース１１０は、患者の外側に配置される送達システムハンドルのアクチュエータを用いて、置換弁に対して基端方向に後退する（その例を後に詳細に説明する）。シースが引き抜かれると、図３Ｂに示すように、係留要素１２の先端部分が、係留要素の材料特性のために自己拡張し始める。係留要素は、記憶自己拡張形態を有することができ、それにより、シースが引き抜かれると、アンカーは自己拡張し始めるか、またはその記憶形態に戻る。シースが基端方向に後退し続けると、図３Ｃおよび図３Ｄに示すように、係留要素は自己拡張し続ける。図３Ｅでは、シースは基端方向に後退しており、それにより、シースの先端部は、フィンガ１０６Ａの先端部に対して基端側に配置されている。図３Ｅにおいて、シースは、フィンガを自己拡張させるのに十分基端方向に後退していない。したがって、係留要素は完全にシースから出ているが、アンカーの基端部は、その記憶形態に向かって拡張していない。図３Ｆに示すように、シースがカテーテル１０８の先端部を越えて後退した後にのみ、フィンガは完全に自己拡張することができる。これにより、係留要素の基端部が拡張することができる。

次に、係留要素は、軸方向に向けられた（基端方向かつ先端方向に向けられた）力が加えられることにより、図３Ｇに示す完全に展開した係止形態まで能動的に短縮される（かつ完全に拡張する可能性がある）。係留要素を能動的に短縮するために、（図３Ａ〜図３Ｇには示さないがポストに連結されている）作動要素１０６Ｂを介して、基端方向に向けられた力がポストに加えられ、かつ／または、作動要素１０６Ａを介して、先端方向に向けられた力がバックルに加えられる。一実施形態では、作動要素１０６Ｂを介して、基端方向に向けられた力がポストに加えられ、先端方向に向けられた力をバックルに加えるために、フィンガ１０６Ａが適所に保持される。この能動的な短縮により、ポストおよびバックルは互いに係止するまで互いに対して軸方向に近づくように移動し、それにより、係留要素が、図３Ｇの完全に展開した係止形態で維持される。そして、作動要素１０６Ａ，１０６Ｂは、それぞれバックルおよびポストから解放されるように分離され、その後、患者から送達システムが除去される。例示的な係止プロセスおよび解放プロセスの詳細は後に詳細に説明する。この実施形態および他の実施形態に組み込むことができる送達プロセス、展開プロセス、係止プロセスおよび解放プロセスのさらなる詳細を、２００４年１１月５日に出願された米国特許出願公開第２００５／０１３７６９９号明細書、２００７年２月１４日に出願された米国特許出願公開第２００７／０２０３５０３号明細書、および２００４年１１月２１日に出願された米国特許出願公開第２００５／０１３７６９７号明細書に見ることができ、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。

図４Ａおよび図４Ｂは、本開示のさまざまな技術による、置換心臓弁の一形態例の一部のそれぞれ正面図および側面図を示す。図４Ａおよび図４Ｂを、簡潔にする目的で合わせて説明する。図４Ａは、アンカー１２の一部に係合する２つの第１係止部材、すなわちポストアセンブリのポスト１６Ａ，１６Ｂと、アンカー１２の第１端に係合する第２係止部材、すなわちバックル１８とを示す。図４Ａは、各それぞれのポスト１６Ａ，１６Ｂ（まとめて「ポスト１６」と呼ぶ）の穴（図４Ｂの穴２０２）内を延在し、全体として２０４で示すアンカー１２の先端部に係合している、可撓性締結要素２００をさらに示す。一例では、締結要素２００は、各ポスト１６Ａ，１６Ｂの先端部２０３において穴（図４Ｂにおいて２０２で示す）の先端部を通って輪にされ、アンカー１２の先端部において（交連における弁１０の流入側の近くで）、結び目２０６を介して編組交差部分に係合する。アンカー１２の編組交差部分例を２０８で示す。結び目２０６が取り付けられる編組交差部分を、編組取付箇所と呼ぶものとする。図４Ａに示す構成例では、締結要素２００は、第１端２０９Ａおよび第２端２０９Ｂを備えており、第１端および第２端は、アンカーの先端部において編組交差部分のうちの１つの周囲で互いに固定され、たとえば結び目で互いに結び付けられている。

図４Ａに示すように、ポスト１６Ａ，１６Ｂは独立した部品であり、ポスト最上部２１２のレール２１０上を摺動する。ポスト最上部２１２は、バックル１８と係合するように構成されており、それにより、図４Ｂに示すように、ポスト１６を弁１０の係止形態でバックル１８に固定する。ポスト１６Ａ，１６Ｂ，バックル１８および締結要素は、弁１０用の送達システム（図５において全体として２１８で示す）と拡張型アンカー１２との間に連結システムを形成する。

２つのポスト１６Ａ，１６Ｂは、交連において弁尖１４同士を圧搾する。本開示の特定の技術によれば、図４Ａにおけるような２ポスト構成は、弁１０の開放および閉鎖中に生成される弁尖閉鎖荷重（動荷重）を、各ポスト１６Ａ，１６Ｂの長さに沿って分散させる。

上述したように、締結要素２００をポストアセンブリおよびアンカー１２の先端部２０４に係合させることにより、医療機器、たとえば弁１０の送達中に、ポストアセンブリからアンカー１２に係止荷重を伝達することができる。さらに、本開示に記載する技術は、ポストアセンブリの両側に対する張力を均等化させることができ、たとえば、張力がポストアセンブリのいずれの側においても自動均等化し、それにより、ポストアセンブリの非対称荷重が防止される。張力を均等化させることにより、たとえば弁尖に対する応力を低減することができ、それにより弁尖の寿命が延びる。さらに、弁が体内で開放し閉鎖しているとき、締結要素２００は荷重の成分を共有し、それによってもまた、弁尖に対する応力が低減し装置の寿命が延びる。

図５は、本開示のさまざまな技術による、展開した係止形態にある置換心臓弁例を示す。図５の構成例に示すように、ポスト１６Ａ，１６Ｂはアンカー１２の一部に係合し、第２係止部材、すなわちバックル１８は、アンカー１２の第１端に係合する。ポスト１６Ａ，１６Ｂは、アンカー１２の長手方向長さＬに沿って部分的にのみ延在し、締結要素２００は、それぞれのポストの先端部の穴から延在して、全体として２１６で示す弁１０の流入端に取り付けられる。すなわち、各ポストをアンカー１２の全長Ｌにわたって弁１０の流入端２１６まで延在させるのではなく、図５の構成例におけるポスト１６は途中まで延在し、可撓性締結要素２００は、ポスト１６と弁１０の流入端２１６との間に延在して、結び目２０６を介してアンカー１２の先端部に結び付けられている。こうした構成は、弁が位置決め中に形状を変化させる際に、ポストアセンブリ、特に締結要素２００が移動するのを可能にすることにより、ポストアセンブリのより大きい可撓性を可能にする。さらに、可撓性締結要素２００を使用することにより、締結要素の長さを調整することによって編組長を設定することができる。

いくつかの例では、締結要素２００は縫合材料から構成されている。一例では、締結要素２００はモノフィラメント縫合糸を含むことができる。別の例では、締結要素２００は編組縫合糸を含むことができる。いくつかの例では、締結要素２００は、ポリエチレン材料、たとえば高分子量ポリエチレン材料を含むことができる。本開示の特定の技術を実施するために使用することができる締結要素２００の一例は、編組、超高分子量ポリエチレン縫合糸である、テレフレックスメディカル（Ｔｅｌｅｆｌｅｘ Ｍｅｄｉｃａｌ）ＯＥＭから入手可能なフォースファイバー（Ｆｏｒｃｅ Ｆｉｂｅｒ）（登録商標）縫合糸である。こうした締結要素は、強力かつ耐摩耗性であり、約６６．７２３３ニュートン（Ｎ）（約１５重量ポンド（ｌｂｆ））の最小引張強度を提供することができる。当然ながら、他の材料を含む締結要素、たとえばポリエステル等のポリマー、または他の合成材料を使用することができる。

図５は、置換弁１０と組み合わされた送達システムをさらに示す。全体として２１８で示す送達システムは、カテーテル２２０、アクチュエータ保持要素２２２、作動要素２２４およびカラー２２６を備えている。いくつかの例では、この開示は、送達システム２１８をアンカー１２に連結する連結システムに関する。一構成では、ポスト１６Ａ，１６Ｂ、バックル１８および締結要素は、送達システム２１８とアンカー１２との間に連結システムを形成する。

簡潔にする目的で、図５の送達システム２１８の特徴のうちのいくつかのみを説明していない。図５の送達システム２１８に関するさらなる特徴は、米国特許出願公開第２０１０／０２８０４９５号明細書の図４に関してより詳細に示されかつ記載されており、その出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、弁１０の他の特徴例は、国際公開第２００５／０６２９８０号パンフレットに示されかつ記載されており、その出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。

本開示によれば、締結要素２００をアンカー１２の第２端にさまざまな方法で係合させることができる。図５に示す構成例では、締結要素２００は第１端および第２端を備え、そこでは、第１端および第２端は、アンカーの先端部における編組交差部分のうちの１つの周囲で互いに固定され、たとえば結び目で互いに結び付けられている。しかしながら、他の構成が可能であり、図６および図７について後述する。

図６は、本開示のさまざまな技術による、置換心臓弁の別の構成例の一部の正面図を示す。図６において、締結要素２００は第１端２０９Ａおよび第２端２０９Ｂを備え、そこでは、第１端２０９Ａおよび第２端２０９Ｂは、ポスト１６Ａとポスト１６Ｂとの間で互いに固定され、たとえば結び目２０６で互いに結び付けられている。締結要素２００は、アンカー１２の先端部２０４において編組交差部分を中心に輪になっている。

図７は、本開示のさまざまな技術による、置換心臓弁の別の構成例の一部の正面図を示す。図７において、締結要素２００は第１端２０９Ａおよび第２端２０９Ｂを備え、そこでは、第１端２０９Ａは、第１交差部分の周囲でアンカー１２の先端部２０４に固定され、たとえば結び目２０６Ａで結び付けられ、第２端２０９Ｂは、アンカー１２の先端部２０４において、第２交差部分の周囲でアンカー１２の先端部２０４に固定され、たとえば結び目２０６Ｂで互いに結び付けられている。摩耗を最小限にするために、締結要素２００を、アンカー１２の中間部分、たとえばアンカー１２の先端部とポストの先端部との間の交差部分ではなく、アンカー１２の先端部２０４に固定することができる。

いくつかの構成例では、（図５に示すように）ポストアセンブリの各ポストの先端部の穴からアンカー１２の先端部まで延在する締結要素を使用するのではなく、１つまたは複数の締結要素、たとえばニチノールワイヤを、ポストアセンブリの各ポストの先端部の穴を通してアンカー１２内に織り込むことができる。一例では、締結要素は、アンカー１２とは別個の要素である。言い換えれば、締結要素は、アンカー１２が形成された後にポスト１６をアンカー１２に固定するために加えられる。別の例では、締結要素は、アンカー１２とは別個の要素ではない。締結要素は、たとえば、アンカー１２を形成するために用いられる編組ワイヤであり、ポスト１６は、アンカー１２が形成された後ではなく、アンカー１２を形成するプロセスの間にアンカー１２に固定される。

別の構成例では、締結要素２００として縫合糸を使用する代りに、締結要素２００として、ワイヤ、たとえばニチノールワイヤを使用することができる。たとえば、図４Ａの締結要素２００は、縫合糸の代りにワイヤであり得る。一例では、締結要素２００をポスト１６に固定するために、ワイヤ締結要素２００の端部２０９Ａ，２０９Ｂを、各それぞれのポスト１６Ａ，１６Ｂの先端穴に２回通すことにより、先端部２０３の周囲にループを形成することができる。

一構成例では、締結要素２００、たとえば縫合糸を、織布、たとえばポリエステルで覆うことができる。織布は、アンカー１２のワイヤに対する縫合糸の摩耗を低減することができる。

別の構成例では、締結要素２００はばねを含むことができる。ばねは、ポストの先端部とアンカー１２の先端部との間を途中まで延在することができる。アンカー１２に対する適切な長さおよび係止形態の適切な係止力を提供するために、締結要素およびばね、たとえば長さおよびばね定数を設計することができる。

図８Ａは、本開示のさまざまな技術による、丸い先端穴を画定するポスト例を示す。特に、図８Ａは、先端穴２０２を画定するポスト１６を示し、そこでは、先端穴２０２は、湾曲部分によって部分的に画定されている。

図８Ｂは、図８Ａに示すポストの一部の拡大図を示す。図８Ｂ（図８Ａにおけるポスト１６の拡大部分）に示すように、ポスト１６の外面２１８の一部は、先端穴２０２の周囲の湾曲部２２１を画定し、そこでは、湾曲部２２１および先端穴２０を、まとめて丸い先端穴と呼ぶ。湾曲部２２１の曲率を、曲率半径によって定義することができる。先端穴２０２に湾曲部２２１を設けることにより（湾曲部分を有していない図８Ｂの穴２２２に比較して）、（たとえば図４Ａおよび図４Ｂに示すような）締結要素２００とポスト１６との間の摩擦摩耗を低減することができ、それにより弁１０の寿命が延びる。

図９は、締結要素をアンカーの先端部に係合させるために使用することができる結び目例を示す。図９に示す結び目２０６を用いて、締結要素２００がアンカー１２の先端部からポスト１６まで通される際、結び目２０６は、締結要素２００をアンカー１２から離れるように押し、それにより、締結要素２００は、アンカー１２の編組交差部分に沿って伸びない。言い換えれば、結び目２０６の設計により、アンカー１２の材料、たとえば移動する編組交差部分と締結要素２００との間に幾分かの隙間が設けられ、それにより、締結要素２００に対する摩耗が低減し、装置の寿命が延びる。さらに、いくつかの構成例では、結び目２０６の構成により、被覆外形が低減する。たとえば、結び目２０６は、交差部分２０８の最上部ではなく、アンカー１２のワイヤ１３の間の間隙、たとえば間隙２３２内にある本結び２３０を含むことができる。こうした構成により、弁は、より小さい外側シース内に一貫して折り畳まれることを可能とすることができる。

上述したように、本開示の技術は、医療機器の送達中にポストアセンブリからアンカーに係止荷重を伝達することができる。さらに、本開示に記載した技術は、ポスト脚部の両側に対する張力を均等化させる。張力を均等化させることにより、ポストアセンブリの非対称荷重が防止され、それにより、弁尖に対する応力が低減し、装置の寿命が延びる。さらに、上述した技術は、編組交差箇所におけるアンカーのワイヤにおける被覆歪みを低減する。

上記開示は、網羅的ではなく例示的であるように意図されている。本明細書は、当業者に対して多くの変形形態および代替形態を提案する。これらの代替形態および変形形態のすべては、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるように意図されている。当業者は、本明細書に記載した特定の実施形態に対する他の均等物を理解することができ、これら均等物もまた、本明細書に添付されている特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。

Claims (15)

1. 医療機器システムであって、
   拡張型アンカーを備える植込み型医療機器と、
   前記アンカーの第１端に係合した係止部材と、
   ２つのポストであって、各ポストが前記アンカーの一部に係合し、各ポストが前記ポストの先端部に穴を画定している、ポストと、
   それぞれのポストの穴を通って延在し、かつ、前記アンカーの第２端に係合している締結要素と、
   を具備し、
   係止形態で、前記ポストが前記係止部材に固定される、医療機器システム。
2. 前記植込み型医療機器が置換弁であり、当該システムが、
   少なくとも２つの弁尖であって、前記少なくとも２つの弁尖の各々が前記２つのポストのそれぞれ１つに係合している、弁尖
   をさらに具備する、請求項１に記載のシステム。
3. 各穴が、曲率半径によってさらに定義されている、請求項１に記載のシステム。
4. 前記締結要素が編組縫合糸を含む、請求項１に記載のシステム。
5. 前記編組縫合糸がポリエチレンを含む、請求項４に記載のシステム。
6. 前記締結要素がばねを含む、請求項１に記載のシステム。
7. 前記拡張型アンカーが編組ワイヤを備え、前記編組ワイヤが複数の交差部分を備えている、請求項１に記載のシステム。
8. 前記締結要素が第１端および第２端を備え、前記第１端および第２端が、前記アンカーの先端部において前記複数の交差部分のうちの１つの周囲で互いに固定されている、請求項７に記載のシステム。
9. 前記第１端および第２端が、前記アンカーの先端部において前記複数の交差部分のうちの１つの周囲で結び目により互いに固定されている、請求項８に記載のシステム。
10. 前記締結要素が第１端および第２端を備え、前記第１端が前記複数の交差部分のうちの第１交差部分の周囲で前記アンカーの先端部に固定され、前記第２端が、前記アンカーの先端部において前記複数の交差部分のうちの第２交差部分の周囲で前記アンカーの先端部に固定されている、請求項７に記載のシステム。
11. 前記拡張型アンカーが、非拡張状態および拡張状態を有し、前記拡張状態では、前記拡張型アンカーは長さを有し、前記２つのポストが前記係止部材に係合し、そして、前記係止部材および前記２つのポストの組合せが、前記拡張型アンカーの長さの一部にのみ沿って延在する、請求項１に記載のシステム。
12. 医療機器の送達システムと拡張型アンカーとの間の連結システムであって、
    前記アンカーの第１端に係合した係止部材と、
    前記係止部材と係合するように構成された２つのポストであって、前記ポストの各々が前記アンカーの一部に係合し、各ポストが前記ポストの先端部において穴を画定する、ポストと、
    それぞれのポストの各穴を通って延在し、かつ、前記アンカーの第２端に係合している締結要素と、
    を具備し、
    係止形態で、前記ポストが前記係止部材に固定される、システム。
13. 前記拡張型アンカーが編組ワイヤを備え、前記編組ワイヤが複数の交差部分を備え、前記締結要素が第１端および第２端を備え、前記第１端および第２端が、前記アンカーの先端部において前記複数の交差部分のうちの１つの周囲で互いに固定されている、請求項１２に記載のシステム。
14. 各穴が曲率半径によってさらに定義されている、請求項１２に記載のシステム。
15. 前記締結要素が編組縫合糸を含み、前記編組縫合糸がポリエチレンを含む、請求項１２に記載のシステム。

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