JP2014240895A - 光走査装置、画像形成装置および映像投射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁性を有する金属材料を用いた振動ミラーを安定的に駆動する。
【解決手段】振動ミラー10の減衰振動の振幅を検出コイル121によって検出する。制御回路204は、減衰振動の振幅が所定の閾値を下回ったとき(または減衰振動の振幅が所定の閾値が実質的に一致したとき)の振動周期に対応した駆動周波数を求める。制御回路204は、求めた駆動周波数の駆動信号を生成して出力し、振動ミラー10を再駆動する。
【選択図】図1
【解決手段】振動ミラー10の減衰振動の振幅を検出コイル121によって検出する。制御回路204は、減衰振動の振幅が所定の閾値を下回ったとき(または減衰振動の振幅が所定の閾値が実質的に一致したとき)の振動周期に対応した駆動周波数を求める。制御回路204は、求めた駆動周波数の駆動信号を生成して出力し、振動ミラー10を再駆動する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光走査装置、画像形成装置および映像投射装置に関する。
近年、プリンタや複写機などの画像形成装置や、プロジェクタなどの画像投射装置の光走査装置に振動ミラーが用いられている。振動ミラーは、質量体となるミラー部と、ばね部とを備え、それらに依存した共振周波数を有する。画像形成装置の感光体の劣化を抑制したり、レーザー光が所望の位置以外の場所を照射しないよう制御したりするためには、確実に所望の走査振幅が得られていなければならない。振動ミラーは共振周波数で駆動されるか、共振周波数の近傍の周波数で駆動されると、安定して振動する。しかし、振動ミラーの共振周波数には、製品個体ごと、または使用される環境温度に応じたバラつきが存在する。特許文献1によれば、コイルを配置した電磁駆動式の振動ミラーにおいて、駆動を一時停止したときの振動によりコイルに発生する逆起電力から共振周波数を検出して、駆動周波数を調整する方法が記載されている。
しかし、特許文献1に記載された方法は、ばねにシリコン材料(シリコン基板)を用いた振動ミラーを想定しており(段落0022)、金属材料を用いた振動ミラーでは共振周波数を適切に設定できないという課題がある。つまり、金属材料を用いた振動ミラーに特許文献1の発明を適用しても、振動ミラーの振動が不安定になったり、駆動周波数の調整時間が長くなったり、調整不能に陥ったりしてしまう。これらは、ばね性や疲労特性の面で振動ミラーに適している金属材料の多くが磁性を有していることに起因している。つまり、金属材料の磁性によって、振動ミラーに不要な振動が励起されてしまうことが、これらの原因である。そこで、本発明は、金属材料を用いた振動ミラーであっても安定して駆動できるようにすることを目的とする。
本発明は、たとえば、
振動ミラーにより光を走査する光走査装置であって、
金属材料を用いた振動ミラーと、
前記振動ミラーに駆動力を印加する駆動力印加手段と、
を有し、
前記振動ミラーは、
金属材料を用いた梁と、
前記梁に固定され、金属材料を用いたベースと、
前記ベースおよび前記梁から離間して配置され、前記梁に対してねじりトルクを付与する磁石と
を有することを特徴とする光走査装置を提供する。
振動ミラーにより光を走査する光走査装置であって、
金属材料を用いた振動ミラーと、
前記振動ミラーに駆動力を印加する駆動力印加手段と、
を有し、
前記振動ミラーは、
金属材料を用いた梁と、
前記梁に固定され、金属材料を用いたベースと、
前記ベースおよび前記梁から離間して配置され、前記梁に対してねじりトルクを付与する磁石と
を有することを特徴とする光走査装置を提供する。
本発明によれば、磁性を有する金属材料から離間して磁石を配置することで、磁石から金属材料への印加磁界が低減されるため、駆動周波数を調整するために振動ミラーの駆動停止と再駆動とを頻繁に繰り返しても、振動ミラーを安定して駆動できるようになる。なお、離間部分に非磁性材料を挿入すれば、さらに安定して振動ミラーを駆動できるようになろう。
本実施形態では、金属材料を用いた振動ミラーを減衰振動させ、減衰振動の振幅が所定の閾値を下回ったときの振動周波数を検出し、検出した振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号で振動ミラーを再駆動させることを特徴としている。とりわけ、本実施形態では、振動ミラーへの駆動力の供給を停止したときに検出された振動振幅が所定の閾値を超えるまで、駆動力の供給の停止、振動振幅の検出、振動周波数の検出、および、当該振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号による振動ミラーの再駆動を繰り返し実行する。この繰り返し工程を実行した結果、振動振幅が所定の閾値を超えると、そこからさらに振動ミラーを減衰振動させ、振動振幅が所定の閾値未満になったときに検出された減衰振動の振動周波数を検出する。このようにして得られた振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号で振動ミラーが駆動される。所定の閾値は、経験的に、または、シミュレーションを実行し、適切な閾値に決定しておくものとする。
図1に光走査装置1の一例を示す。振動ミラー10は、金属材料を用いた振動ミラーである。梁101は、金属材料により構成され、捩りばねとして機能する。ミラーベース部102の第1面にはミラー部材103が固定されており、第2面にはミラー部材104が固定されている。つまり、振動ミラー10は両面ミラーである。ミラー部材103は光を走査するための鏡面108を有している。ミラー部材104も同様に光を走査するための鏡面を有している。なお、鏡面は、ミラー部材103、104の一方のみが有していてもよい。ミラー部材103およびミラー部材104は、ミラーベース部102を挟むように接合されている。図1からわかるように、ミラー部材103およびミラー部材104は、梁101の捩り回転軸に対して対称性を保つように配置されている。また、ミラー部材103およびミラー部材104のサイズは、梁101の長手方向(図1の矢印A)において、ミラーベース部102のサイズよりも大きい。つまり、ミラーベース部102は磁石105から離間して配置されている。ミラー部材103およびミラー部材104は、たとえば、非磁性材料により構成してもよい。
図1が示すように、ミラー部材103およびミラー部材104の、梁101と反対側の端部には磁石105が配置されている。磁石105も、梁101の捩り回転軸に対して対称性を保つように配置されている。なお、ミラーベース部102と磁石105との間の空間109にも非磁性材料を配置してもよい。このようにミラーベース部102と磁石105との間には、ミラー部材103、空間109およびミラー部材104が介在している。
磁石105の近傍にヨーク110が配置されている。ヨーク110の一部には空隙が設けられている。図1が示すように、ヨーク110の断面形状は、略コの字形状である。この空隙の上方に振動ミラー10のミラー部が配置されている。ヨーク110も、梁101の捩り回転軸に対して対称性を保つように配置されている。ヨーク110や駆動コイル120、駆動回路243などは、振動ミラー10に駆動力を印加する駆動力印加手段として機能する。同様に、駆動回路243は,振動ミラー10に駆動力を印加するための駆動信号を生成する駆動信号生成手段として機能する。ヨーク110の中央には、駆動信号Drvに応じた磁界を発生する駆動コイル120と、駆動回路243が駆動信号の供給を停止したときに発生する逆起電力を検出する検出コイル121とがそれぞれ巻回されている。
制御回路204は、駆動周波数fや振幅(電圧または電流)が可変の駆動信号Drvを駆動コイル120に印加する。これにより、ヨーク110の空隙に駆動磁界が発生する。この駆動磁界が磁石105に作用し、磁石105に回転トルクが発生し、振動ミラー10に捩り振動が励起される。振動ミラー10の振動振幅Aは駆動信号Drvの駆動周波数fと振幅aとによって制御される。
検出コイル121は増幅回路201に接続されている。増幅回路201は、検出コイル121が出力する検出信号Vdを増幅する。制御回路204が駆動信号Drvを供給することで振動ミラー10が振動しているときに、駆動信号Drvの供給を停止すると、振動ミラー10が減衰振動を開始する。減衰振動に伴う磁石105の回転によって、検出コイル121には逆起電力が発生し、逆起電力に応じた検出信号Vdが検出コイル121から出力される。このように、制御回路204は、駆動力印加手段(駆動回路243など)を停止させて、振動ミラー10に減衰振動を開始させる制御手段として機能する。
増幅回路201の後段にはパルス化回路202とピークホールド回路203とが接続されている。パルス化回路202は、増幅回路201により増幅された検出信号Vdを2値化してパルス信号Pdを生成する。このパルス信号Pdの周期は検出信号Vdの周期に一致している。パルス信号Pdの周期は振動ミラー10の減衰振動の周期に相当するため、周期測定回路241でパルス信号Pdの周期を測定すれば、振動ミラー10の減衰振動の周期が判明する。このように、検出コイル121、パルス化回路202や周期測定回路241などは、周期検出手段として機能する。
ピークホールド回路203は、検出信号Vdの振幅のピーク値Vphをホールドして制御回路204に出力する。なお、検出信号Vdの振幅のピーク値Vphは振動ミラー10の振動振幅に対応している。よって、ピークホールド回路203は、振動ミラーの減衰振動の振動振幅を検出する振幅検出手段として機能する。制御回路204は、CPUとメモリを有し、入力されたパルス信号Pdおよび検出信号Vdの振幅のピーク値Vphに基づいて駆動信号Drvの駆動周波数を設定する。制御回路204は、たとえば、周期測定回路241、比較回路242、駆動回路243を有していてもよい。周期測定回路241、比較回路242および駆動回路243はメモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することで実現されてもよいし、論理回路などによって実現されてもよい。
周期測定回路241は、パルス信号Pdの周期Tを測定する。比較回路242は、検出信号Vdの振幅のピーク値Vphと閾値Asとを比較する。たとえば、比較回路242は、振幅のピーク値Vphを閾値Asと比較し、振幅のピーク値Vphが閾値As未満となるとハイレベルのトリガ信号Trを出力する。なお、振幅のピーク値Vphが閾値Asに一致したときにハイレベルの信号Trを出力するように、ハイレベルのトリガ信号Trの出力条件を設定してもよい。また、比較回路242は、振幅のピーク値Vphを閾値Asと比較し、振幅のピーク値Vphが閾値As未満でなければ、ローレベルの信号Trを出力する。周期測定回路241は、トリガ信号Trを監視しており、トリガ信号Trがローレベルからハイレベルに切り替わると、パルス信号Pdの周期Tを測定する。このように、周期測定回路241は、振動ミラー10の減衰振動の振幅が所定の閾値Asを下回ったときの振動周期Tを検出する周期検出手段として機能している。周期Tの逆数は、振動ミラー10の共振周波数である。よって、周期測定回路241は、振動ミラー10の減衰振動の振動周波数を検出する周波数検出手段としても機能する。制御回路204は、周期検出手段が検出した振動周期Tに対応した駆動周波数の駆動信号を駆動回路243に設定する。
駆動回路243は、周期Tに対応した駆動周波数の駆動信号Drvを生成して出力することで、振動ミラー10を再駆動してもよい。駆動コイル120に印加される駆動信号Drvは、正弦波、三角波や方形波など周期的に振幅が変動する信号であればよい。
図1では、ヨーク110に駆動コイル120と検出コイル121の2つのコイルが巻回されているが、1つの共通のコイルで実現してもよい。図2が示すように、駆動コイル120と検出コイル121とを一体化した共通コイル122をスイッチ210に接続する。制御回路204がハイレベルのスイッチ切り替え信号SWをスイッチ210に出力しているときは、共通コイル122が増幅回路201に接続される。つまり、共通コイル122は検出コイル121として機能する。一方、制御回路204がローレベルのスイッチ切り替え信号SWをスイッチ210に出力しているときは、共通コイル122が駆動回路243に接続される。つまり、共通コイル122は駆動コイル120として機能する。
(各部の材料)
梁101の金属材料には、高弾性で、繰り返し応力に対して疲労限の高い高疲労特性を有する材料を採用可能である。材料の一例としては、SUS301やSUS631などのステンレス材や銅合金、Co−Ni基合金などが好適に用いられる。梁101の一端は固定部材106によって固定されており、他端はミラーベース部102に結合している。なお、梁101とミラーベース部102は一体成型されてもよい。
梁101の金属材料には、高弾性で、繰り返し応力に対して疲労限の高い高疲労特性を有する材料を採用可能である。材料の一例としては、SUS301やSUS631などのステンレス材や銅合金、Co−Ni基合金などが好適に用いられる。梁101の一端は固定部材106によって固定されており、他端はミラーベース部102に結合している。なお、梁101とミラーベース部102は一体成型されてもよい。
ミラーベース部102の材料は特に限定されないが、高ヤング率の材料とすることで、振動ミラー10が振動しているときに撓みを生じにくくなる。梁101とミラーベース部102は一体に成形されてもよい。この場合、プレス加工やレーザー加工、ワイヤ放電加工またはエッチングなどの加工処理が使用されてもよい。
ミラー部材103およびミラー部材104の材料は、非磁性材料であれば特に限定されないが、たとえば、シリコンウエハなど、剛性が高く軽い材料を採用することで、振動ミラー10の振動特性を良好にすることができる。ミラー部材103およびミラー部材104は特に限定されるものではなく、図1に示したような矩形の他、空気抵抗低減のために角を切った形状などであってもよい。ミラー部材103およびミラー部材104の形状加工としては、たとえば、ダイシングが採用される。ミラーベース部102、ミラー部材103およびミラー部材104の接合方法としては、接着剤を用いた接着の他、表面の活性化や金属膜を形成して原子拡散を利用した常温接合が採用されてもよい。
磁石105の材料は、特に限定されるものではないが、たとえば、フェライト磁石、NdFeB磁石、FeCrCo磁石等を用いることができる。磁石105の磁化方向は、たとえば、ヨーク110の空隙の面に並行である。磁石105とミラー部材103との接合および磁石105とミラー部材104との接合はそれぞれ、接着剤による接着や溶接などで実現されてもよい。図1には示していないが、磁石105とミラーベース部102との間は、接着剤等の非磁性材料が埋められてもよい。これにより接合強度が向上しよう。
ヨーク110の材料としては、フェライトやパーマロイ等、高透磁率で保磁力の小さいものが採用される。これにより、少ない消費電力で大きな磁界を空隙部に生じさせることができる。
ところで、振動ミラー10の起動時や停止時、振幅の調整時などには駆動トルク変化が大きくなることがある。図1に示した振動ミラー10は、全ての部材が梁101の捩り回転軸に対して対称に配置されている。よって、駆動トルク変化が大きくなるときでも、振動ミラー10には異常な振動が発生しにくく、正確な制御が可能となる。なお、振動ミラー10を振動させながら駆動周波数を変えた場合も駆動トルク変化が大きくなるが、図1に示した構造の振動ミラー10であれば異常な振動は発生しにくくなる。
図3は、金属材料を用いた振動ミラー10の周波数特性の一例を示している。縦軸は振幅を示し、横軸は振幅がゼロのときの共振周波数foで規格化した周波数を示している。W1は、駆動力をある値F1に固定して駆動周波数を変化させた場合の振幅変化を示している。同様に、W2は、駆動力をそれより大きい値F2に固定して駆動周波数を変化させた場合の振幅変化を示している。W3、W4、W5は、駆動力をそれより大きい値F3、F4、F5(F2<F3<F4<F5)に固定して駆動周波数を変化させた場合の振幅変化を示している。
図3において、振動ミラー10の共振周波数fは点線R1により示されており、振動ミラー10の振幅の大きさに依存して変化することがわかる。また、点線R1が示すように、共振周波数fは、振動ミラー10の振幅の2乗にほぼ比例して変化する。このため、金属材料からなる振動ミラー10の制御は、駆動周波数だけでなく振幅を考慮して行う必要がある。また、駆動信号Drvを停止した際の振動ミラー10の減衰振動に関しても、振幅に依存して共振周波数fが変化することを考慮する必要がある。共振周波数fの振幅依存特性を考慮しない場合、共振周波数fの検出を実行する毎に検出結果にばらつきが発生する。よって、この検出結果を基に駆動周波数を決定しても、安定した性能が得られなくなることがある。
共振周波数fの変化に伴って周波数特性の対称性も崩れることがわかる。特に、W3からW5では、低周波側に振幅が急峻に変化する周波数が存在し、この近傍の周波数では振幅が不安定になり振動ミラー10を制御できなくなる。振幅制御が可能な範囲、すなわち、共振周波数fを示す点線R1よりも高周波側で、できるだけ共振周波数fに近い駆動周波数の駆動信号で振動ミラー10を駆動することが必要となる。
低周波側では周波数特性上にヒステリシスが現れる。このため、図3の動作点P1から動作点P2のように、ヒステリシスのある範囲の駆動周波数で振動ミラー10を起動しようとしても振動ミラー10の振幅が増大せず、制御不能に陥ってしまう。このような状態も避ける必要がある。
図4は、本実施形態の振動ミラーの制御方法を説明するための図である。図5は、図4に示した制御方法を示すフローチャートである。縦軸は、ピークホールド回路203によって検出されたピーク値(振動振幅)を示している。横軸は、周期測定回路241によって計測された振動周期Tに対応して駆動周波数を示している。ここでは、振幅振動がゼロのときのおおよその共振周波数は既知としている。
S501で、制御回路204は、その共振周波数よりも高い任意または所定の駆動周波数f1で駆動信号を生成するよう駆動回路243を制御する。駆動回路243は指定された駆動周波数f1の駆動信号Drvを生成して駆動コイル120に印加する。これにより、振動ミラー10には駆動力が付与される。その結果、図4が示すように、振動ミラー10の動作点はP1からP2へ移動する。P2は、周波数f1に対応した周波数特性W1上の振幅を示す動作点である。上述したように、周波数特性W1は、駆動信号の振幅(電圧や電流)に依存して変化する。また、環境温度の変化によっても周波数特性W1は変化する。
S502で、制御回路204は、振動ミラー10の振幅が安定したころ(動作点がP2に到達したころ)に、駆動回路243を制御して駆動信号Drvの供給を停止させる。その結果、図4が示すように、振動ミラー10の動作点はP3に移動し、そこから減衰振動を介して、動作点はP4に向かう。
S503で、制御回路204は、周期測定回路241によって振動周期を測定することで共振周波数を求めるとともに、ピークホールド回路203によって振動振幅(Vph)を測定する。この共振周波数の測定と振動振幅の測定は、駆動回路243を制御して駆動信号Drvの供給を停止させたときに実行される。たとえば、動作点P3における振動周波数(共振周波数)f2と振動振幅が検出される。検出された共振周波数はメモリなどに記憶され、再駆動時の駆動周波数として使用される。なお、共振周波数の測定と振動振幅の測定はリアルタイムで随時実行されてもよい。
S504で、制御回路204は、比較回路242を用いて測定された振幅が閾値Asを超えているかどうかを判定する。たとえば、動作点P3、P6の振幅は閾値Asを超えていないと判定され、S505に進む。動作点P10の振幅は閾値Asを超えていると判定され、S507に進む。上述したように減衰振動の共振周波数は振幅に依存しているため、動作点は曲線R1に沿って移動する。動作点P3から開始された減衰振動の振幅は、動作点P4においてゼロとなる。
S505で、制御回路204は、振動ミラー10の振動が停止したかどうかを判定する。たとえば、制御回路204は、ピーク値Vphがゼロになったかどうかを判定する。振動ミラー10が停止したことが確認されると、S506に進む。
S506で、制御回路204は、メモリから共振周波数(駆動周波数)を読み出して駆動回路243に設定し、駆動回路243に駆動信号の供給を再開させる。これにより、振動ミラー10が再駆動される。たとえば、図4において、動作点はP5からP6へ遷移する。その後、S502に戻る。つまり、駆動回路243を停止させたときに検出された振幅が所定の閾値Asを超えるまで、駆動信号Drvの供給の停止(S502)、振動振幅および振動周期Tの検出(S503)、および、当該振動周期に対応した駆動周波数の駆動信号による振動ミラー10の再駆動(S506)を繰り返し実行することになる。たとえば、図4では、動作点P6において、駆動信号DrvがOFFにされる。これにより、P7からP4に向かって減衰振動が開始される。また、動作点P7において振動振幅と共振周波数f3が検出される。P7では振幅が閾値Asを超えていない。そのため、振動が停止すると、駆動周波数f3で駆動信号の供給が再開される。その結果、動作点はP8からP9に移動する。S502で駆動信号が停止されると、減衰振動が開始される。つまり、動作点はP9からP10に遷移する。S503で振幅と共振周波数が測定される。今度は、振幅が閾値Asを超えていることが確認されるため(S504)、S507に遷移する。
S507で、制御回路204は、振動振幅が閾値As未満になったかどうかを判定する。減衰振動によって振動振幅が減衰し、振動振幅が閾値As未満になると、S508に進む。図4においては、動作点P11が、振動振幅が閾値As未満になったときの動作点である。
S508で、制御回路204は、振動周期に基づき共振周波数を測定する。図4では動作点P11での共振周波数fsが得られる。
S509で、制御回路204は、共振周波数fsと一致した駆動周波数を駆動回路243に設定し、駆動周波数fsの駆動信号Drvの生成と出力とを実行させる。
なお、上記の繰り返し処理を所定の回数にわたり実行しても振動振幅が閾値Asを超えないこともある。その場合、制御回路204は、駆動信号Drvの振幅(電圧または電流)を増加させて、上記の繰り返し処理を再度実行してもよい。
図6は、検出信号Vd、ピークホールドされた振幅のピーク値Vph、パルス信号Pdおよびトリガ信号Trの関係を説明するための図である。横軸は経過時間を示す。振動ミラー10が減衰振動を開始すると、検出コイル121が出力する検出信号Vdの振幅は徐々に減少し、周期Tも変化する。ピークホールド回路203は、検出信号Vdをピークホールドして振幅検出信号であるピーク値Vphを生成する。パルス化回路202は、振動周期信号であるパルス信号Pdを生成する。ピーク値Vphが閾値As未満になると、比較回路242はトリガ信号TrのレベルをLからHに切り替える。ハイレベルのトリガ信号Trが入力されると、周期測定回路241は、パルス信号Pdの周期(パルス間隔/パルス幅)Tを検出する。周期Tの逆数が共振周波数fs’であることから、制御回路204は、振幅が閾値Asを横切ったときの共振周波数(駆動周波数)fs’を検出することができる。
図7は、振動ミラー10の制御方法の他の例を説明するための図である。図8は、図7に示した制御方法についての工程を示すフローチャートである。図4および図5を用いて説明した制御方法では再駆動の前に振動ミラー10を完全に停止させていた。一方で、図7および図8に示す制御方法では、S503で共振周波数を検出すると、減衰振動の振幅をゼロまで減衰させずに、直ちに振動ミラー10を再駆動する。図8では、駆動停止を判定するステップS505が省略されている。
図4と比較すると、図7ではP4、P5およびP8を通過せずに動作点がP11に遷移する。振動ミラー10を構成する金属材料のQ値が低すぎる場合は、図4および図5を用いて説明した制御方法を適用する必要があるが、金属材料のQ値が十分に高ければ、図7および図8を用いて説明した制御方法を適用できる。この場合、制御の開始から制御の終了までの時間を短縮できる利点がある。また、スムーズに振幅を増大することができる。
図9は、振動ミラー10の制御方法のさらに他の例を説明するための図である。ばねの非線形性が大きい場合、図9が示すように、周波数特性W1に大きなヒステリシスが現れることがある。ヒステリシス領域で検出された共振周波数で再駆動を試みても振動ミラー10は制御不能に陥りやすい。
たとえば、駆動周波数f1で振動ミラー10を起動したと仮定する。動作点がP1からP2へ移動したところで、制御回路204は、駆動信号DrvをOFFにする。その結果、P3からP5に向かって減衰振動が開始される。また、周期測定回路241によってP3での共振周波数f2が検出される。共振周波数f2が駆動周波数として駆動回路243に設定される。しかし、駆動周波数f2は、ヒステリシス領域内の周波数である。そのため、振幅ゼロの状態であるP6から振動ミラー10を再起動しようとしても、振動ミラー10の振幅が増大しない。つまり、振動ミラー10は制御不能に陥ってしまう。
図10は、振動ミラー10の制御方法を示すフローチャートである。ここでは、最終的な駆動周波数を決定するための第1の閾値As1よりも小さい第2の閾値As2を設けることで、ヒステリシス領域外の駆動周波数f0を決定し、振動ミラー10を再駆動する。そして、振動ミラー10の振幅が第1の閾値As1を超えるまで駆動周波数f0を低下させ、最終的な駆動周波数(共振周波数fs)を決定する。第1の閾値As1は、所望の振動振幅かそれよりやや小さい値である。画像形成装置であれば、第1の閾値As1は、感光体の両端の少なくとも一方の端の近傍に配置されるフォトセンサに光が到達する走査角に対応している。第2の閾値As2は、検出可能な範囲でできるだけゼロに近い値である。
S1001で、制御回路204は、ヒステリシス領域外の駆動周波数f1を駆動回路243に設定して駆動信号Drvを出力させ、振動ミラー10を起動する。駆動周波数f1は予め求められているものとする。
S1002で、制御回路204は、駆動回路243を停止させ、駆動信号DrvをOFFにする。駆動信号Drvの停止タイミングは、振動ミラー10の振動振幅が安定したタイミングである。ここで、動作点がP2に遷移したタイミングである。駆動信号を停止することで、振動ミラー10は減衰振動を開始する。動作点はP2からP3に遷移し、さらに曲線R1に沿ってP5に向かう。
S1003で、制御回路204は、検出信号Vdに基づき振動振幅を測定する。ここでは、振動振幅を間接的に示すパラメータとしてピーク値Vprが得られる。
S1004で、制御回路204は、比較回路242を用いて振動振幅が第2の閾値As2未満になったかどうかを判定する。振動振幅が第2の閾値As2未満でなければ、S1003に戻る。振動振幅が第2の閾値As2未満になればS1005に進む。振動振幅が第2の閾値As2未満になった瞬間の動作点が図9に示したP4である。
S1005で、制御回路204は、共振周波数f0を測定する。
S1006で、制御回路204は、測定された共振周波数f0を駆動周波数に設定して駆動回路243に駆動周波数f0の駆動信号Drvを出力させ、振動ミラー10を再駆動する。図9によれば、動作点がP5からP6’に遷移する。
S1007で、制御回路204は、駆動周波数を徐々に低下させる。これにより、動作点は、周波数特性W1に沿ってP6’からP7に向かって遷移する。
S1008で、制御回路204は、振動振幅(ピーク値Vph)を測定し、測定した振動振幅が第1の閾値As1を超えたかどうかを判定する。振動振幅が第1の閾値As1を超えていなければ、S1007に戻り、さらに駆動周波数を低下させる。一方、振動振幅が第1の閾値As1を超えていれば、S1009に進む。図9では、動作点がP7に到達すると、振動振幅が第1の閾値As1を超えている。
S1009で、制御回路204は、駆動回路243に駆動信号Drvの出力を停止させる。これにより、動作点は周波数特性W1上のP7から曲線R1上のP8に遷移し、さらに曲線R1に沿ってP9に向かう。
S1010で、制御回路204は、振動振幅(ピーク値Vph)を測定し、測定した振動振幅が第1の閾値As1未満になったかどうかを判定する。測定した振動振幅が第1の閾値As1未満になると、S1011に進む。
S1011で、制御回路204は、振動振幅が第1の閾値As1未満になった瞬間の共振周波数fsを測定する。
S1012で、制御回路204は、共振周波数fsを駆動周波数に設定し、駆動信号Drvの出力を駆動回路243に再開させる。
このように、2つの閾値を設けることで、振動振幅がゼロに近いときの共振周波数f0から振動ミラー10を駆動することで、振動ミラー10が制御不能に陥りにくくなる。特に、非線形性の強く現れた周波数特性を有する振動ミラーであっても、制御不能に陥りにくくなる。また、目標振幅を達成可能な共振周波数に近い駆動周波数を適切に設定できるようになる。
図11ないし図13は、振動振幅を調整するための駆動信号の振幅調整方法を説明するための図である。図11ないし図13は、図4の周波数特性の共振点付近を拡大したものである。とりわけ、図11は、目標となる振動振幅(目標振幅Adrv)が閾値Asよりも大きい場合の例を示している。上述したように、画像形成装置などでは、画像の書き出しタイミングを決定するためのフォトセンサ(ビームディテクト(BD)センサと呼ばれることもある。)が配置される所定の走査角に相当する振動振幅が閾値Asに設定される。今、周波数特性がW2であり、動作点P11において共振周波数fsが検出され、それが駆動周波数に設定されたと仮定する。なお、共振周波数fsを検出するために使用された駆動信号Drvの振幅(電圧または電流)をV1とする。駆動回路243は、振幅をV1とし、駆動周波数fsとした駆動信号Drvを生成して駆動コイル120に供給することで、振動ミラー10の動作点はP12に遷移する。図11からわかるように、動作点P12での振動ミラー10の振動振幅は目標振幅Adrvを超えている。
そこで、制御回路204は、駆動信号Drvの振幅を低下させることで、周波数特性をW2からW1に変更し、振動ミラー10の振動振幅を目標振幅Adrvに調整してもよい。つまり、動作点は、周波数特性W2上のP12から周波数特性W1上のPdrvに遷移する。
振動振幅の閾値AsがBDセンサの配置された走査角に相当する場合には、動作点P12の状態で確実に走査光を検出できるようになろう。また、BDセンサが走査光を検出したときに出力するBD信号の間隔などに基づいて制御回路204は駆動信号の振幅や周波数を調整してもよい。
図12は、閾値Asを目標振幅Adrvに一致させた例を示す図である。この場合、画像形成装置などでは、BDセンサの配置された走査角に相当する振動振幅が、閾値Asよりも低い位置に相当する走査角に設定される。この場合、P11で共振周波数の特性を示す曲線R1と目標振幅Adrv(=閾値As)が交差しており、P11で検出された周波数fsは共振周波数そのものである。しかし、P11は、非線形性の大きい周波数特性では非常に不安定な位置である。そこで、制御回路204は、周波数fsから所定の周波数Δfだけ高周波側(安定側)にシフトした駆動周波数(fs+Δf)を駆動回路243に設定する。Δfについては、振動ミラー10が安定的に動作可能なように、実験やシミュレーションによって予め求めておくものとする。さらに、制御回路204は、周波数fsを検出したときに使用していた振幅と同じ大きさの振幅の駆動信号を駆動回路243から駆動コイル120に印加させる。その結果、動作点は、周波数特性W2上のP12に移動する。さらに、制御回路204は、振動ミラー10の振動振幅を監視しながら、駆動回路243を制御して駆動信号Drvの振幅を徐々に小さくして行く。振動ミラー10の振動振幅(ピーク値Vph)が目標振幅Adrv(=閾値As)に一致したら、制御回路204は、駆動信号Drvの振幅の調整を終了する。
図13は、目標振幅Adrvが閾値Asよりも大きい場合の他の例を示す図である。図13では図11と比較して共振周波数に近い位置に動作点を正確に設定することができる。
図4を用いて説明したように、繰り返し周期測定回路241により周波数測定を行った際に、制御回路204は、振動振幅(Vph)と共振周波数とについて2つ以上のセットをメモリに記憶する。図4では、P3、P7について共振周波数f2、f3とそれぞれ振動振幅を検出し、さらに閾値Asでの共振周波数fsを検出する。制御回路204は、これらのデータから目標振幅Adrvに相当する共振周波数fs’を推定する。たとえば、メモリに記憶した振動振幅と共振周波数とのセットから曲線R1や曲線R1に近似した直線の方程式(関数)を求め、目標振幅Adrvを代入することで、共振周波数fs’を求めてもよい。一般に、曲線R1は2次関数となるため、曲線R1上の2点の座標がわかれば、曲線R1を表す方程式(2次関数)が得られる。
上述したように共振周波数fs’で駆動すると振動ミラー10が制御不能に陥る場合がある。そこで、制御回路204は、所定の周波数Δfだけ高周波側にシフトした周波数fs’+Δfを駆動回路243に設定することで振動ミラー10を駆動し、その後、動作点P12からPdrvに向かうように駆動信号Drvの振幅を調整してもよい。
図14は、振動ミラー10の制御方法を説明するための図である。縦軸は振動ミラー10の振幅を示し、横軸は振動ミラー10の駆動周波数を示している。制御回路204は、振動ミラー10の目標振幅Adrvよりも小さい振動振幅を所定の閾値Asに設定する。そして、制御回路204は、振動振幅が閾値Asに一致するとき(つまり振動振幅が閾値Asを下回ったとき)の共振周波数fs’を求めて、それを駆動周波数に設定する。図4によれば曲線R1が閾値Asを横切るときの共振周波数fs’が駆動周波数に設定される。
図14において、当初の周波数特性はW1であり、温度が上昇したときの周波数特性はW2である。光走査装置1に電力が投入されて起動すると、制御回路204は、駆動信号Drvを調整することで、振動ミラー10の振動振幅を目標振幅Adrvに近づけて行く。ここでは、駆動信号Drvの当初の駆動周波数はfsである。また、動作点はP1である。
図14に示すように、駆動周波数fsで振動ミラーを駆動しているときに、周波数特性が低周波側にシフトしたとする(W1=>W2)。このような周波数特性の変化は、振動ミラー10の温度上昇により、金属材料のヤング率が低下した場合に発生する。この場合、周波数特性W1上のP1にあった動作点は周波数特性W2上のP2に移動し、振幅が減少する。しかし、通常、制御回路204は、振動ミラー10の振幅をフォトセンサなどで検出し、振幅が目標振幅Adrvになるように駆動信号を制御している。そのため、制御回路204は、駆動信号の電流または電圧を増大させることで、動作点をP1に戻そうとする。このときの動作点P1は、本来の共振周波数の動作点P3から大きく離れているためにジッタなどの弊害が生じやすい。この状態で制御回路204が駆動信号Drvの供給を停止すると、振動ミラー10は、P3からP4に向かって動作点が移動するように減衰振動を開始する。振幅は目標振幅Adrvから徐々に減衰してゆき、ついには閾値Asに一致する。制御回路204は、振幅が閾値Asに一致したとき(または下回ったとき)の共振周波数fs’を検出する(動作点P4)。そして、制御回路204は、共振周波数fs’を駆動周波数とした駆動信号を生成して出力することで、振動ミラー10を再駆動する。これにより、周波数特性上の適切な位置に動作点Pdrvが再設定され、ジッタなどが低減される。
図15は、振動ミラー10の制御方法の他の例を説明するための図である。この例では制御回路204が、2つの閾値As1、As2(ただし、As1>As2)を使用して共振周波数を検出し、駆動周波数を決定する。図15では、周期測定回路241は、振動ミラー10の減衰振動の振幅が第1の閾値As1を下回ったときの第1の振動周期T1を検出するとともに、振動ミラー10の減衰振動の振幅が第1の閾値As1よりも小さな第2の閾値As2を下回ったときの第2の振動周期T2を検出する。制御回路204は、第1の振動周期T1と第2の振動周期T2とに基づき駆動周波数を決定する。
制御回路204は、当初の周波数特性W1において、駆動周波数f1で振動ミラー10を駆動している。当初の周波数特性W1から、より低周波側の周波数特性W2にシフトが発生すると、動作点はP2に遷移しようとするが、制御回路204の振幅制御によって、P1に留まろうとする。この状態で駆動信号を停止すると、動作点P3から減衰振動が開始され、閾値As1を切ったときの動作点P4の共振周波数f2が得られる。さらに振幅が減衰して行く。制御回路204は、比較回路242を用いて、閾値As2を下回ったときの動作点P5の共振周波数f3を検出する。検出信号Vdからの共振周波数(周期T1、T2)の検出と振幅の検出の方法は、図14を用いて説明したとおりである。制御回路204は、動作点P4と動作点P5の直線外挿により駆動周波数fを算出する。つまり、制御回路204は、動作点P4と動作点P5を通る直線Lと目標振幅Adrvとの交点(Pdrv)を求め、さらにそのときの周波数f4を求める。
制御回路204は、駆動周波数をf4に設定する。駆動回路243は、設定された駆動周波数をf4の駆動信号を生成する。これにより、振動ミラー10が再駆動される。図15が示すように、動作点はP7からPdrvに移動する。
共振周波数はほぼ振動振幅の2次関数である。そのため、共振周波数を示す曲線R1上の2点の直線外挿により求められる駆動周波数は、確実に曲線R1よりも高周波側の周波数になる。よって、振動ミラー10の特性の非線形性が大きくても、振幅変化が急峻な領域に入りにくくなる。
図16が示すように、制御回路204は、振幅がゼロのときの共振周波数f5を駆動周波数に設定してもよい。制御回路204は、第1の振動周期T1および第2の振動周期T2とから、振動ミラー10の減衰振動の振幅がゼロのときの共振周波数f5を推定する。この推定も動作点P4と動作点P5の直線外挿により実現されてもよい。制御回路204、推定した共振周波数f5と等しい駆動周波数を駆動回路243に設定する。駆動回路243は、設定された駆動周波数の駆動信号を駆動コイル120に供給することで、振動ミラー10を再駆動させる。図16によれば、動作点がP6からP8に移動する。
その後、駆動回路243は、駆動周波数を徐々に低下させて行くことで振動ミラー10の振動振幅を目標振幅Adrvに制御する。つまり、駆動周波数を調整することで、動作点がP8からPdrvへ移動する。
その後、駆動回路243は、駆動周波数を徐々に低下させて行くことで振動ミラー10の振動振幅を目標振幅Adrvに制御する。つまり、駆動周波数を調整することで、動作点がP8からPdrvへ移動する。
図15の制御手法では、減衰振動の終盤に残っている振動の周波数と異なる駆動周波数で駆動を開始するため、瞬間的に振動が不安定になる可能性があるが、一度の駆動周波数設定で簡単に駆動できるメリットがある。図16の制御手法では、再駆動後に駆動周波数を徐々にシフトしていくため、減衰振動の終盤の振動を利用してスムーズに再駆動を開始できるメリットがある。
以上説明したように、本実施形態によれば、振動ミラー10の減衰振動の振幅が所定の閾値を下回ったときの振動周期に対応した共振周波数を駆動信号の駆動周波数に設定するため、金属材料を用いた振動ミラー10に対しても適切に駆動周波数を設定することが可能となる。とりわけ、制御回路204は、駆動回路243を停止させたときに検出された振動振幅が所定の閾値Asを超えるまで、駆動回路243の停止(S502)、振動振幅および振動周波数の検出(S503)、および、当該振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号による振動ミラーの再駆動(S506)を繰り返し実行する。さらに、制御回路204は、振動振幅が所定の閾値Asを超えると、振動ミラー10に減衰振動を継続させ(S504でYES)、振動振幅が所定の閾値As未満になったとき(S507でYES)に検出された減衰振動の振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号で振動ミラーを駆動する(S508、S509)。これにより、金属材料を用いた振動ミラー10であっても安定して駆動できるようになる。
とりわけ、図5を用いて説明したように、制御回路204は、振幅が所定の閾値を超えるまで繰り返し実行される振動ミラーの再駆動を、振動ミラーの振動が停止してから実行してもよい。これは、振動ミラー10の非線形特性が大きい場合であっても振動ミラー10を安定して駆動しやすくする。
一方で、図7を用いて説明したように、制御回路204は、振幅が所定の閾値を超えるまで繰り返し実行される振動ミラー10の再駆動を、振動ミラー10の振動が停止するのを待たずに実行してもよい。これによれば、より短時間で制御を完了できるようになる。
図11を用いて説明したように、制御回路204は、振動ミラー10の振幅が所定の閾値As未満になったときに検出された振動周波数fsに対応した駆動周波数の駆動信号で振動ミラー10を駆動した後で、振動ミラー10の振動振幅が目標振幅Adrvに一致するまで、駆動信号の振幅を調整してもよい。
図12を用いて説明したように、目標振幅Adrvは所定の閾値Asと等しくてもよい。この場合、制御回路204は、振動ミラー10の振幅が所定の閾値As未満になったときに検出された振動周波数に対応した駆動周波数fsに所定のシフト値Δfを加算し、加算して得られた駆動周波数の駆動信号で振動ミラー10を駆動してもよい。目標振幅Adrvが所定の閾値Asに等しい場合であっても、安定して振動ミラー10を駆動することができる。
目標振幅Adrvは所定の閾値Asよりも大きくてもよい。この場合、振動ミラー10のヒステリシスの影響を受けることがある。図13を用いて説明したように、制御回路204は、振動ミラー10を減衰振動させることで得られた振動周波数と振動振幅との関係から、目標振幅Adrvに対応して共振周波数fs’を求める。さらに制御回路204は、当該共振周波数fs’に所定のシフト値Δfを加算し、加算して得られた駆動周波数の駆動信号を、検出された振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号として用いて振動ミラー10を駆動し、その後、振動ミラー10の振動振幅が目標振幅Adrvに一致するまで、駆動信号の振幅を調整してもよい。振動ミラー10のヒステリシスの影響を受けやすい場合であっても、本実施形態では、安定して振動ミラー10を駆動することができるようになる。
また、図9や図10を用いて説明したように2つの閾値を用いて駆動周波数を決定してもよい。制御回路204は、振動ミラー10を起動できない駆動周波数f2よりも高い第1の駆動周波数f1の駆動信号で振動ミラー10を駆動し(S1001)、当該駆動信号の生成を停止させて(S1002)、振動ミラー10に減衰振動を開始させ、振動ミラー10の振動の振幅が第1の閾値As1よりも小さい第2の閾値As2未満になったときの減衰振動の周波数f0を検出する(S1003,S1004、S005)。制御回路204は、周波数f0を駆動周波数とした駆動信号で振動ミラー10を駆動し(S1006)、当該駆動周波数を徐々に低下させながら振動ミラーの振動の振幅を検出させる。(S1007、S1008)。制御回路204は、当該振幅が第1の閾値As1を超えると当該駆動信号の生成を停止させて(S1009)、振動ミラー10に減衰振動を開始させる。さらに制御回路204は、振動ミラー10の振幅が第1の閾値As1未満になったときに検出された減衰振動の周波数に対応した駆動周波数の駆動信号で振動ミラーを駆動する(S1010〜S1012)。これにより、金属材料を用いた振動ミラーに対しても適切に駆動周波数を設定することが可能となる。
なお、図2を用いて説明したように検出コイル121と駆動コイル120とを共通コイル122としてもよい。この場合、コイルの巻き数を簡単に増やすことができる。振動の周期を検出する方法としては、コイルを使用することは必須ではない。振動ミラー10によって走査される光を検出するフォトセンサや、振動ミラー10が振動することで発生する梁101の歪みを検知する歪ゲージ、振動ミラー10が振動することで発生する静電容量の変化を検出するセンサ、振動ミラー10に取り付けられた圧電素子などのうち、いずれであってもよい。
本実施形態によれば、振動ミラー10の減衰振動の振幅が所定の閾値を下回ったときの振動周期に対応した共振周波数を駆動信号の駆動周波数に設定するため、金属材料を用いた振動ミラー10に対しても適切に駆動周波数を設定することが可能となる。また、図15や図16を用いて説明したように2つの閾値を用いて駆動周波数を決定してもよい。図15の制御手法では、制御回路204は駆動回路243に駆動周波数を1回設定するだけで、簡単に振動ミラー10を駆動できる。一方、図16の制御手法では、減衰振動の終盤の共振周波数により再駆動し、その後に駆動周波数を徐々にシフトして行くため、スムーズに再駆動を開始できる。
(実施例1)
図17は、光走査装置1を備えた画像形成装置2を示す。光源330から射出されたレーザー光は、射出光学系320を通過した後に振動ミラー10によって走査される。さらにレーザー光は、結像光学系321により感光体310上を主走査方向に走査する。感光体310が回転することで副走査が実行される。これにより、感光体310に静電潜像が形成される。静電潜像は、その後、現像装置によりトナーが付与されて、トナー像へと現像される。トナー像は転写装置によって記録材上に転写され、定着装置によって定着される。
図17は、光走査装置1を備えた画像形成装置2を示す。光源330から射出されたレーザー光は、射出光学系320を通過した後に振動ミラー10によって走査される。さらにレーザー光は、結像光学系321により感光体310上を主走査方向に走査する。感光体310が回転することで副走査が実行される。これにより、感光体310に静電潜像が形成される。静電潜像は、その後、現像装置によりトナーが付与されて、トナー像へと現像される。トナー像は転写装置によって記録材上に転写され、定着装置によって定着される。
制御回路205は、上述した制御回路204を内包しており、さらに、光源330の制御と、フォトセンサ300、301からの光検出信号に応じて振動ミラー10の振幅を一定の振幅となるように制御する。検出回路200には、上述した増幅回路201、パルス化回路202およびピークホールド回路203を内包している。制御回路205は、1枚の画像が形成される毎に、振動ミラー10の駆動周波数を調整する。制御回路205は、光源330にレーザー光の出力を停止させ、さらに振動ミラー10の駆動信号の出力も停止する。これにより、振動ミラー10は減衰振動を開始する。上述した方法にしたがって検出回路200は振動ミラー10の振動振幅に連動した検出信号Vdから、ピーク値Vphとパルス信号Pdを制御回路205に出力する。制御回路205は、ピーク値Vphとパルス信号Pdに基づき共振周波数fを求め、求めた共振周波数fを駆動回路243の駆動周波数として設定する。駆動回路243は、設定された駆動周波数fの駆動信号を生成して出力する。なお、制御回路205は、感光体310の回転速度などの画像形成速度に係わる画像形成装置2の本体クロックを駆動周波数fに合わせて調整する。その後、制御回路205は、光源330を駆動してレーザー走査を行い、フォトセンサ300、301の出力信号の時間間隔に基づいて、振動ミラー10の振動振幅が目標振幅となるように駆動信号Drvの振幅を微調整する。これにより、ジッタなどの振動状態の変動を抑えることができる。
本実施形態の光走査装置1を画像形成装置2に適用することで、温度などの環境変化に追従して駆動周波数を調整できるため安価で信頼性の高い画像形成装置2を提供できる。
(実施例2)
図18は、光走査装置1を用いた映像投射装置3を示す。光源装置331は、RGB3色のレーザー光源を有している。光源装置331から射出されたレーザー光は、振動ミラー10によって水平方向に20kHz近傍の周波数で走査される。レーザー光はさらに、垂直走査装置340によって60Hz程度の周波数で垂直走査される。これらによって2次元的走査が実現され、スクリーン350上に映像が投射される。
図18は、光走査装置1を用いた映像投射装置3を示す。光源装置331は、RGB3色のレーザー光源を有している。光源装置331から射出されたレーザー光は、振動ミラー10によって水平方向に20kHz近傍の周波数で走査される。レーザー光はさらに、垂直走査装置340によって60Hz程度の周波数で垂直走査される。これらによって2次元的走査が実現され、スクリーン350上に映像が投射される。
制御回路206は、上述した制御回路204を内包している。検出回路200には、上述した増幅回路201、パルス化回路202およびピークホールド回路203を内包している。制御回路206には映像信号源360から映像信号が入力される。制御回路206は、映像信号に応じて光源装置331を駆動する。また、制御回路206は、フォトセンサ303の出力信号に基づいて光源装置331の発光タイミングを調整する。
制御回路206に内包されている制御回路204は、上述した手順で駆動周波数を調整する。駆動周波数の調整タイミングは、定期的であってもよいし、映像信号源360から信号が入力されたタイミングであってもよい。制御回路206は、光源装置331のレーザー出力を停止させるとともに、振動ミラー10の駆動信号の供給を停止する。これにより、振動ミラー10は減衰振動を開始する。上述した方法にしたがって検出回路200は振動ミラー10の振動振幅に連動した検出信号Vdから、ピーク値Vphとパルス信号Pdを制御回路206に出力する。制御回路206は、ピーク値Vphとパルス信号Pdに基づき共振周波数fを求め、求めた共振周波数fを駆動回路243の駆動周波数として設定する。駆動回路243は、設定された駆動周波数fの駆動信号を生成して出力する。制御回路206は、振動ミラー10の駆動周波数に同期するように、垂直走査装置340の駆動周波数も調整する。駆動周波数の調整が終了すると、制御回路206は、光源装置331の駆動を再開するとともに、振動ミラー10および垂直走査装置340の駆動も再開する。
本実施形態の光走査装置1を映像投射装置3に適用することで、温度などの環境変化に追従して駆動周波数を調整できるため安価で信頼性の高い映像投射装置3を提供できる。
(その他)
図1を用いて、本実施形態の振動ミラー10の構造について説明したが、本発明は図1に示した構造にのみ限定されるわけではない。たとえば、ミラー部にコイルを形成し、振動ミラー10の外部に磁石を配置してもよい。この構造では、ミラー部に配置されたコイルによって振動ミラー10に駆動力を印加するとともに、検出信号Vdを生成できる。また、ミラー部に圧電素子を配置し、圧電素子の出力から減衰振動を検出してもよい。また、振動ミラーに静電駆動方式を採用する場合、静電容量の変化を検出してもよい。この場合は、静電容量の変化を検出するセンサが必要となる。さらに、ミラー部材103およびミラー部材104のうち一方を光の走査に利用し、他方を振動の検出に利用してもよい。この場合、他方のミラー部材に対して光源から光を照射し、ミラー部材からの反射光をフォトセンサで検出することで、検出信号Vdが得られる。さらに、駆動方法と検出方法の組み合わせも限定されるものではない。たとえば、電磁駆動方式の振動ミラー10に対して、歪ゲージを設け、歪ゲージによって梁の捩れを検出してもよい。この場合は、歪ゲージからの出力信号が検出信号Vdとして使用される。
図1を用いて、本実施形態の振動ミラー10の構造について説明したが、本発明は図1に示した構造にのみ限定されるわけではない。たとえば、ミラー部にコイルを形成し、振動ミラー10の外部に磁石を配置してもよい。この構造では、ミラー部に配置されたコイルによって振動ミラー10に駆動力を印加するとともに、検出信号Vdを生成できる。また、ミラー部に圧電素子を配置し、圧電素子の出力から減衰振動を検出してもよい。また、振動ミラーに静電駆動方式を採用する場合、静電容量の変化を検出してもよい。この場合は、静電容量の変化を検出するセンサが必要となる。さらに、ミラー部材103およびミラー部材104のうち一方を光の走査に利用し、他方を振動の検出に利用してもよい。この場合、他方のミラー部材に対して光源から光を照射し、ミラー部材からの反射光をフォトセンサで検出することで、検出信号Vdが得られる。さらに、駆動方法と検出方法の組み合わせも限定されるものではない。たとえば、電磁駆動方式の振動ミラー10に対して、歪ゲージを設け、歪ゲージによって梁の捩れを検出してもよい。この場合は、歪ゲージからの出力信号が検出信号Vdとして使用される。
本実施形態では、ばねの非線形性による振動ミラーの特性として、振幅の増加に伴って共振周波数が低下するものを取り上げたが、振幅の増加に伴って共振周波数が上昇するものに本発明を適用してもよい。その場合、ヒステリシスが生じる急峻な特性は、図3のグラフと対称的に共振周波数に対して高周波数側に現れるため、本実施形態とは対称的に駆動周波数を制御して、動作点を低周波数側に設定するように制御される。
さらに、上述した実施形態では周期測定回路241によって求められた共振周波数を駆動周波数にそのまま設定したが、検出された共振周波数に駆動周波数を一致させなくてもよい。また、上述した実施形態では閾値未満や閾値以上を判定条件としたが、閾値以下や閾値を超えていることを判定条件としてもよい。
上述した実施形態では検出された共振周波数(振動周波数)をそのまま駆動周波数に設定したが、両者は完全に一致していなくてもよい。たとえば、得られた共振周波数fsの値から設定する駆動周波数を推定できれば十分である。たとえば、共振周波数fsから1Hz低い周波数を駆動周波数に設定してもよいし、共振周波数fsの99%となる周波数を駆動周波数として設定してもよい。共振周波数fsと既知の周波数特性の関数とから駆動周波数を決定してもよい。あるいは、共振周波数fsと駆動周波数とを関連付けたテーブルをメモリに格納しておき、共振周波数fsに基づきテーブルを参照して、駆動周波数を決定してもよい。
図19は、振動ミラー10の他の構成例を示す図である。図19に示した振動ミラー11は、図1や図2に示した振動ミラー10と置換可能であり、上述した実施形態は基本的に振動ミラー11にも適用可能である。なお、すでに説明した個所には同一の参照符号を付与することで、説明の簡潔化を図ることにする。振動ミラー11には、ミラーベース部102を挟んで両側に第1の梁101aと第2の梁101bが配置されている。ミラーベース部102に接合された非磁性部材107の上に磁石105が配置されている。その他の構成は、図1または図2に示した構成と同様である。
図19だけでなく、図1に関しても次のことが言える。ミラーベース部102に用いられる高弾性の材料としては、磁性を有するものが採用されうる。磁石105はミラーベース部102と接触していない。そのため、磁石105から延びる磁力線のうちミラーベース部102に引き込まれてしまう磁力線の量は、磁石105とミラーベース部102とが直接接合している場合の量に比べて、格段に少なくなる。磁石105の磁力線がミラーベース部102に引き込まれると、振動ミラー10の駆動に寄与する磁力が低下してしまう。そのため、同じ駆動トルクを与えるには、駆動磁界を大幅に増大させる必要が生じる。つまり、ミラーベース部102が磁性を有する場合、大きな駆動磁界が必要となる。大きな駆動磁界の影響でミラーベース部102とヨーク110との間に吸引力が働く。これは、振動ミラー10に撓み振動を誘起する原因となる。減衰振動の振動振幅や振動周波数(共振周波数)を検出する際にこの撓み振動が発生すると、これらのパラメータを正確に検出できなくなる。パラメータの検出精度が低下すれば、正確に振動ミラー10を制御することが困難となる。磁石105からの磁力線の量は磁石105から距離が離れるにしたがって急激に減少する。よって、磁石105をミラーベース部102に物理的に接触させず、非磁性材料を介してこれらを接合することで、撓み振動の発生を抑制できるようになる。
図1、図2においては磁石105がミラー部の端部に配置され、図19においては磁石105が非磁性部材の上に配置されている。この配置により、ミラーベース部102よりも、駆動磁界を発生するヨーク110に磁石105を接近させることができる。その結果、駆動効率が向上するとともに、ミラーベース部102には磁界が加わりにくくなる。また、駆動効率の向上に伴って、駆動磁界をより低減できる。その結果、さらに撓み振動の発生などの悪影響を削減できるようになる。また、磁石105をヨーク110に接近させることができるため、逆起電力の検出信号の振幅が増大し、共振周波数検出の精度も向上しよう。
以上説明したように、本実施形態によれば、磁性を有する金属材料を用いた梁101、101a、101bと、梁101、101a、101bに固定され、磁性を有する金属材料を用いたミラーベース部102とから、磁石105を離間して配置している。したがって、駆動周波数を調整するために振動ミラー10の駆動停止と再駆動とを頻繁に繰り返したとしても、振動ミラー10を安定して駆動できるようになる。なお、離間部分に非磁性材料を挿入すれば、さらに安定して振動ミラーを駆動できるようになろう。たとえば、図1、図2によれば、磁石105とミラーベース部102との間には、非磁性の接着剤などの非磁性部材が配置されてもよい。これにより、磁石105からミラーベース部102に向かう磁力線の量をさらに削減できるようになる。
図1、図2によれば、梁101の長手方向におけるミラーベース部102のサイズを、ミラー部材103およびミラー部材104のサイズよりも大きくすることで、磁石105はミラー部材103およびミラー部材104に接合しつつ、ミラーベース部102から離間して配置されることになる。ミラー部材103およびミラー部材104は、光を反射する鏡面を有するが、シリコン基板などの非磁性部材であってもよい。このような構造を採用することで、磁石105を、磁性を有する金属材料から離間して配置させてもよい。図1、図2によれば、磁石105は、ミラー部材103およびミラー部材104の表面のうち鏡面とは異なる面に接合されている。なお、磁石105をミラー部材103およびミラー部材104の鏡面に設けてもよいが、この場合は光を走査するために使用される鏡面領域を避けた位置に磁石105が配置されることになろう。図19によれば、非磁性部材107に磁石105が接合されている。
振動ミラー10(11)の質量体は、梁101(101a、101b)の捩り回転軸に対して対称となるように配置ないしは配分されうる。質量体としては、たとえば、ミラーベース部102、ミラー部材103、ミラー部材104、磁石105および非磁性部材107などである。このように質量体の質量を捩り回転軸に対して対称に配分されるよう、質量体を配置することで、さらに振動ミラーは安定して振動できるようになる。
上記のような振動ミラーの構造は、駆動周波数を調整するために振動ミラーの駆動停止と再駆動とを頻繁に繰り返したとしても、振動ミラーを安定駆動することに貢献するであろう。
Claims (26)
- 振動ミラーにより光を走査する光走査装置であって、
振動ミラーと、
前記振動ミラーに駆動力を印加する駆動力印加手段と、
を有し、
前記振動ミラーは、
磁性を有する金属材料を用いた梁と、
前記梁に固定され、磁性を有する金属材料を用いたベースと、
前記ベースおよび前記梁から離間して配置され、前記梁に対してねじりトルクを付与する磁石と
を有することを特徴とする光走査装置。 - 前記磁石と前記ベースとの間には非磁性部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 前記非磁性部材は、非磁性の接着剤であることを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
- 前記ベースには、光を反射する鏡面を有し、非磁性部材であるミラー部材が接合されており、
前記磁石は、前記ミラー部材の表面のうち前記鏡面または当該鏡面とは異なる面に接合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光走査装置。 - 前記梁の捩り回転軸に対して、前記非磁性部材の質量が対称となるように、前記非磁性部材が配置されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記梁の捩り回転軸に対して、前記ミラー部材の質量が対称となるように、前記ミラー部材が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
- 前記梁の捩り回転軸に対して、前記磁石の質量が対称となるように、前記磁石が配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記梁の捩り回転軸に対して、前記ベースの質量が対称となるように、前記ベースが配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記駆動力印加手段を停止させて、前記振動ミラーに減衰振動を開始させる制御手段と、
前記振動ミラーの減衰振動の振動周波数を検出する周波数検出手段と、
前記振動ミラーの減衰振動の振動振幅を検出する振幅検出手段と、
をさらに有し、
前記制御手段は、前記駆動力印加手段を停止させたときに検出された前記振動振幅が所定の閾値を超えるまで、前記駆動力印加手段の停止、前記振動振幅の検出、前記振動周波数の検出、および、当該振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号による前記振動ミラーの再駆動を繰り返し実行し、前記振動振幅が前記所定の閾値を超えると、前記振動ミラーに減衰振動を継続させ、前記振動振幅が前記所定の閾値未満になったときに検出された減衰振動の振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号で前記振動ミラーを駆動することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光走査装置。 - 前記制御手段は、前記振幅が前記所定の閾値を超えるまで繰り返し実行される前記振動ミラーの再駆動を、前記振動ミラーの振動が停止してから実行することを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
- 前記制御手段は、前記振幅が所定の閾値を超えるまで繰り返し実行される前記振動ミラーの再駆動を、前記振動ミラーの振動が停止するのを待たずに実行することを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
- 前記制御手段は、前記振動ミラーの振幅が前記所定の閾値未満になったときに検出された振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号で前記振動ミラーを駆動した後で、前記振動ミラーの振動振幅が目標振幅に一致するまで、前記駆動信号の振幅を調整することを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記目標振幅は前記所定の閾値と等しいことを特徴とする請求項12に記載の光走査装置。
- 前記制御手段は、前記振動ミラーの振幅が前記所定の閾値未満になったときに検出された振動周波数に対応した駆動周波数に所定のシフト値を加算し、加算して得られた駆動周波数の駆動信号で前記振動ミラーを駆動することを特徴とする請求項9ないし13のいずれいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記目標振幅は前記所定の閾値よりも大きいことを特徴とする請求項12に記載の光走査装置。
- 前記制御手段は、前記振動ミラーを減衰振動させることで得られた振動周波数と振動振幅との関係から、前記目標振幅に対応して共振周波数を求め、当該共振周波数に所定のシフト値を加算し、加算して得られた駆動周波数の駆動信号を、前記検出された振動周波数に対応した駆動周波数の駆動信号として用いて前記振動ミラーを駆動し、その後、前記振動ミラーの振動振幅が目標振幅に一致するまで、前記駆動信号の振幅を調整することを特徴とする請求項15に記載の光走査装置。
- 前記駆動力印加手段は、前記振動ミラーに取り付けられている磁石が発生する磁界と作用する磁界を発生する第1のコイルを有し、
前記周波数検出手段は、前記振動ミラーとともに前記磁石が振動することで発生する磁界の変化に応じた起電力を発生する第2のコイルを有していることを特徴とする請求項9ないし16のいずれか1項に記載の光走査装置。 - 前記第1のコイルと前記第2のコイルとが共通のコイルにより構成されていることを特徴とする請求項17に記載の光走査装置。
- 前記周波数検出手段は、
前記振動ミラーによって走査される光を検出するフォトセンサ、
前記振動ミラーが振動することで発生する当該振動ミラーの梁の歪みを検知する歪ゲージ、
前記振動ミラーが振動することで発生する静電容量の変化を検出するセンサ、
前記振動ミラーに取り付けられた圧電素子
のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項9ないし16のいずれか1項に記載の光走査装置。 - 前記制御手段は、前記振動ミラーを起動できない第1の駆動周波数f2よりも高い第2の駆動周波数f1の駆動信号で前記振動ミラーを駆動し、当該駆動信号の生成を停止させて前記振動ミラーに減衰振動を開始させ、前記振動ミラーの振動の振幅が第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満になったときの前記減衰振動の周波数f0を検出し、前記周波数f0を駆動周波数とした駆動信号で前記振動ミラーを駆動し、当該駆動周波数を徐々に変化させながら前記振動ミラーの振動の振幅を検出させ、当該振幅が前記第1の閾値を超えると当該駆動信号の生成を停止させて前記振動ミラーに減衰振動を開始させ、前記振動ミラーの振幅が前記第1の閾値未満になったときに検出された減衰振動の周波数に対応した駆動周波数の駆動信号で前記振動ミラーを駆動することを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
- 前記駆動力印加手段を停止させて、前記振動ミラーに減衰振動を開始させる制御手段と、
前記振動ミラーの減衰振動の振幅が所定の閾値を下回ったときの振動周期を検出する周期検出手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記周期検出手段が検出した振動周期に対応した駆動周波数の駆動信号を前記駆動力印加手段に供給することで、前記振動ミラーを再駆動させることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光走査装置。 - 前記周期検出手段は、前記振動ミラーの減衰振動の振幅が第1の閾値を下回ったときの第1の振動周期を検出し、前記振動ミラーの減衰振動の振幅が前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値を下回ったときの第2の振動周期を検出し、
前記制御手段は、前記第1の振動周期と前記第2の振動周期とに基づき直線外挿することで得られた振動周期に対応した駆動周波数の駆動信号を前記駆動力印加手段に供給することで、前記振動ミラーを再駆動させることを特徴とする請求項21に記載の光走査装置。 - 前記周期検出手段は、前記振動ミラーの減衰振動の振幅が第1の閾値を下回ったときの第1の振動周期を検出し、前記振動ミラーの減衰振動の振幅が前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値を下回ったときの第2の振動周期を検出し、
前記制御手段は、前記第1の振動周期および前記第2の振動周期とから、前記振動ミラーの減衰振動の振幅がゼロのときの共振周波数を推定し、推定した共振周波数と等しい駆動周波数の駆動信号を前記駆動力印加手段に供給することで、前記振動ミラーを再駆動させ、当該駆動周波数を徐々に変化させて行くことで前記振動ミラーの振動振幅を目標振幅に制御することを特徴とする請求項21に記載の光走査装置。 - 前記駆動力印加手段は、前記振動ミラーに取り付けられている磁石が発生する磁界と作用する磁界を発生する第1のコイルを有し、
前記周期検出手段は、前記振動ミラーとともに前記磁石が振動することで発生する磁界の変化に応じた起電力を発生する第2のコイルを有していることを特徴とする請求項21ないし23のいずれか1項に記載の光走査装置。 - 画像形成装置であって、
光源と、
前記光源からの光を走査する、請求項1ないし24のいずれか1項に記載の光走査装置と
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 映像投射装置であって、
光源と、
前記光源からの光を走査する、請求項1ないし24のいずれか1項に記載の光走査装置と
を有することを特徴とする映像投射装置。
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