JP2014232706A - 非水電解液二次電池および該電池の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池および該電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルキンスルホン酸添加の効果が好適に発揮され、広範な環境下において高い電池特性を発揮し得る非水電解液二次電池および該電池用の組立体を提供する。【解決手段】正極活物質層を備えた正極と、負極活物質層を備えた負極と、アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液と、を電池ケース内に収容してなる非水電解液二次電池組立体を提供する。上記非水電解液は、上記負極活物質層中の空隙の体積1cm3あたり0.012g以上0.023g以下の量の上記アルキンスルホン酸化合物を含んでいる。好適な一態様では、アルキンスルホン酸化合物は2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート)である。【選択図】図6

Description

本発明は、非水電解液を備えた二次電池(非水電解液二次電池)に関する。詳しくは、電池構築時(組立体の状態)において、非水電解液中にアルキンスルホン酸化合物を含む該電池に関する。
リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等の非水電解液二次電池は、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の駆動用高出力電源として好ましく用いられている。
このような非水電解液二次電池では、初回充電の際に非水電解液の一部が分解されて、負極活物質の表面にその分解物からなる被膜が形成される。かかる被膜によって以後の充放電に伴う非水電解液の分解が抑制されるため、電池の耐久性(例えばサイクル特性)を向上させることができる。これに関連する技術として、特許文献1および2が挙げられる。例えば特許文献1には、非水電解液中に0.01重量%〜20重量%の割合でアルキンスルホン酸類を含む非水電解液二次電池が開示されている。
特開2000−195545号公報 特開2010−13369号公報
特許文献1には、充電時に負極表面で有機溶媒よりも先に該アルキンスルホン酸が還元分解されて負極表面に不動態被膜を形成することによって、非水電解液中の有機溶媒の還元分解を一層抑制し得る旨が記載されている(特許文献1の段落0015)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1の技術を広範な温度環境下(特には室温〜−30℃程度)で使用され得る電池(例えば車載用電池)に適用する場合に、更なる改善の余地が認められた。すなわち、アルキンスルホン酸の添加量を非水電解液全体に対して定めた場合、他の設計パラメータ(例えば負極活物質層の目付量や厚み、密度等)の変更に適切に対処することが難しく、ある時は負極表面の被膜が不足して耐久性が低下したり、またある時は被膜が過剰となって電池抵抗の増大を招いたりする場合があった。このような抵抗の増大は、とりわけ低温環境下において顕著にみられ、かかる低温環境下において高出力密度が要求される電池(例えば車載用電池)では、アルキンスルホン酸の添加量の一層の最適化が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルキンスルホン酸添加の効果がより好適に発揮され、例えば低温環境下においても、より高い電池特性を発揮し得る(例えば、高出力密度な)非水電解液二次電池および該電池用の組立体を提供することである。関連する他の目的は、負極活物質の性状等の設計パラメータを変更した場合であっても、好適な量のアルキンスルホン酸を簡便に決定、添加し得、生産性や再現性に優れた該電池の製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ね、これを解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。本発明により、非水電解液二次電池組立体が提供される。かかる組立体は、正極活物質層を備えた正極と、負極活物質層を備えた負極と、アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液と、を電池ケース内に収容して構成されている。そして、上記非水電解液は、上記負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上0.023g以下の量の上記アルキンスルホン酸化合物を含んでいる。
負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上のアルキンスルホン酸化合物を含む場合、後の充電処理によって負極活物質表面に十分な量の被膜を形成することができ、負極活物質(典型的には黒鉛粒子)と非水電解液との界面を安定化することができる。このため、以後の充放電における非水電解液の分解を好適に抑制することができる。とりわけアルキンスルホン酸化合物由来の硫黄原子を含む被膜は熱的安定性に優れるため、高温環境下においても分解や劣化等を生じ難く、高い耐久性(例えば、高温保存特性や高温充放電サイクル特性)を実現することができる。
また、アルキンスルホン酸化合物の添加量を、負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.023g以下とすることで、負極活物質表面に過剰な被膜が形成されることを防止することができる。このため、被膜の形成に伴う抵抗増大を抑制することができる。例えば低温環境下においても電荷担体の反応場を好適に確保することができ、高い入出力特性を実現することができる。
したがって、アルキンスルホン酸化合物の添加量が上記範囲にある組立体は、広範な温度環境下において高い電池特性(例えば入出力特性や耐久性)を発揮し得る非水電解液二次電池を好適に実現することができる。
上記「負極活物質層中の空隙の体積」は、見かけの体積から各構成材料の合計体積を差し引くことによって求めることができる。より具体的には、例えば負極活物質層中に構成材料として負極活物質とバインダと増粘剤を含む場合は、以下の式:負極活物質層中の空隙の体積(V)=負極活物質層の見かけの体積−{(負極活物質の重量/負極活物質の真密度)+(負極用バインダの重量/負極用バインダの真密度)+(負極用増粘剤の重量/負極用増粘剤の真密度)}により求めることができる。
上記「負極活物質層の見かけの体積」は、平面視での面積S(cm)と厚みT(cm)との積によって算出することができる。「平面視での面積S」は、例えば、負極活物質層を打ち抜き機やカッターなどで正方形や長方形に切り出すことにより得ることができる。「厚みT」は、例えばマイクロメータや厚み計(例えばロータリーキャリパー計)等により計測することができる。上記「真密度」は、一般的な定容積膨張法(気体置換型ピクノメータ法)等の密度測定装置によって測定することができる。
あるいは、上記「負極活物質層中の空隙の体積」は、一般的な水銀ポロシメータによって測定することもできる。具体的には、先ず電池を解体して取り出した負極活物質層を適当な溶媒(例えばEMC)に浸漬した後、測定用試料として適当な大きさに切り出して採取する。次に、真空引きした状態で測定用試料を水銀中に浸漬させ、この状態で水銀にかける圧力を高くしていく。すると、水銀は、より小さい空間(細孔)へ徐々に浸入していく。このため、水銀にかけられる圧力と浸入した水銀の量との関係に基づいて、該負極活物質層中の空隙の大きさ(細孔径)とその容積(細孔容積)の分布を測定することができる。例えば、株式会社島津製作所製の水銀ポロシメータ「オートポアIII9410」を用いた場合、4psi〜60000psiの圧力範囲で測定を行うことによって、50μm〜0.003μmの範囲の細孔径に相当する空隙の容積分布を把握することができる。かかる測定によって得られた細孔容積の総和(全細孔容積(cm))を、上記「負極活物質層中の空隙の体積」とすることができる。
なお、本明細書において「非水電解液二次電池」とは、常温(例えば25℃)において液状を呈する非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解液)を備えた電池をいう。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。
負極活物質層は、少なくとも負極活物質が含んでいる。好適な一態様では、負極活物質層は、負極活物質として天然黒鉛を含んでいる。天然黒鉛は、他の負極活物質材料に比べて結晶性が高いため、エネルギー密度や導電性に優れる。その一方、非水電解液(例えばカーボネート系の非水溶媒)との界面が不安定になりがちで、これによって電池の耐久性が低下する虞がある。したがって、ここで開示される技術を適用することが特に好ましい。
好適な一態様では、負極活物質層の片面あたりの厚みは、30μm以上100μm以下である。好適な他の一態様では、負極活物質層の密度は、1g/cm以上1.5g/cm以下である。上記のうち少なくとも一方(好ましくは両方)の性状を満たす負極活物質層は、非水電解液との界面をより好適に保つことができ、エネルギー密度と耐久性と出力特性とをより高いレベルで両立することができる。
好適な一態様では、上記非水電解液を構成する非水溶媒として、高誘電率の溶媒と低粘性の溶媒とを混合して用いる。かかる混合溶媒を用いることで、高い電気伝導率や広範な温度域での使用を実現することができる。高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)が例示される。低粘性溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)やエチルメチルカーボネート(EMC)が例示される。また、好適な他の一態様では、エチレンカーボネートが非水溶媒全体の20体積%以上40体積%以下を占める。これによって、非水溶媒の還元電位(vs. Li/Li+)を十分低く保つことができ、後の充電処理によって負極活物質の表面により良質な(低抵抗な)被膜を形成することができる。
好適な一態様では、上記アルキンスルホン酸化合物は、下式(I)で表される化合物である。アルキンスルホン酸化合物として、分子構造の中間位置に三重結合を有する化合物を含むことで、負極活物質の表面に良質な被膜をより安定的に形成することができる。
Figure 2014232706
式(I)において、Rは、炭素原子数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、または炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキル基である。また、R,R,R,Rは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基である。
好適な一態様では、上記式(I)におけるRがメチル基(CH)である。また、好適な他の一態様では、上記式(I)におけるR〜Rがいずれも水素原子である。このようなアルキンスルホン酸化合物の例として、下記式(II)で表される2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート)が挙げられる。
Figure 2014232706
また、本発明により非水電解液二次電池の製造方法が提供される。かかる製造方法は、以下の工程:
(1)負極活物質層を備えた負極を準備すること;
(2)上記負極活物質層中の空隙の体積(cm)を求めること;
(3)アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液を調製すること、
ここで、上記非水電解液中には、上記求めた上記負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上0.023g以下の量の上記アルキンスルホン酸化合物を含ませる;
(4)上記負極活物質層を備えた負極と、正極活物質層を備えた正極と、上記アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液と、を電池ケース内に収容すること;
(5)上記正極と上記負極の間で充電処理を行うこと;
を包含する。なお、上記(1)〜(4)は、上述のような非水電解液二次電池組立体の製造方法としても把握し得る。
このような製造方法によれば、負極活物質の表面にアルキンスルホン酸化合物由来の低抵抗且つ良質な(例えば熱安定性の高い)被膜を好適に形成することができる。このため、例えば耐久性と入出力特性とを高いレベルで両立可能な非水電解液二次電池を好適に製造することができる。また、アルキンスルホン酸化合物の添加量を決定する際に負極活物質層中の空隙の体積を指標とすることで、例えば負極活物質層の目付量や密度等の設計パラメータを変更した場合であっても、かかる変更に柔軟に対処することができる。換言すれば、かかる指標を用いることで、より迅速かつ精度よく最適な添加量を決定することができる。したがって、非水電解液に対して添加量を規定する従来の指標に比べ、最適な量の被膜を負極活物質の表面により安定的に形成することができる。このことは、生産性や作業性の観点からも好ましい。
好適な一態様では、上記非水電解液には、非水溶媒として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含ませ、且つ、上記エチレンカーボネートの上記非水溶媒全体に占める割合が、20体積%以上40体積%以下となるよう調製する。また、好適な他の一態様では、上記負極活物質層には、負極活物質として天然黒鉛を含ませる。
上述のような組立体を充電処理して得られる非水電解液二次電池、あるいは、上記製造方法によって製造された非水電解液二次電池は、アルキンスルホン酸化合物添加の効果が好適に発揮され、広範な温度域において高い電池特性を発揮し得る(例えば、耐久性と入出力特性とを高いレベルで両立可能な)ことを特徴とする。すなわち、ここで開示される電池は、低温環境下においても高い出力特性を発揮し得、高温環境下で長期間使用した場合であっても電池容量の低下を生じ難いものであり得る。したがって、かかる特徴を活かして、高エネルギー密度や高出力密度、あるいは広範な温度域において使用され得る用途(例えば車両駆動用電源)で、好適に使用することができる。換言すれば、ここで開示される他の側面として上記非水電解液二次電池を備えた車両が提供される。車両に搭載される電池は、該電池が複数個相互に電気的に接続されてなる組電池の形態であり得る。
一実施形態に係る非水電解液二次電池組立体の外形を模式的に示す斜視図である。 図1中のII−II線に沿う縦断面図である。 一実施形態に係る捲回電極体の構成を示す模式図である。 非水電解液中のアルキンスルホン酸化合物の添加量(質量%)と、25℃におけるIV抵抗(mΩ)の測定結果との関係を示すグラフである。 非水電解液中のアルキンスルホン酸化合物の添加量(質量%)と、−15℃におけるIV抵抗(mΩ)の測定結果との関係を示すグラフである。 負極活物質層中の空隙の体積に対するアルキンスルホン酸化合物の添加量(g/cm)と、−15℃におけるIV抵抗(mΩ)の測定結果との関係を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
≪非水電解液二次電池組立体≫
本発明により、非水電解液二次電池組立体が提供される。かかる組立体は、正極活物質層を備えた正極と、負極活物質層を備えた負極と、アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液とを電池ケース内に収容してなる。そして、上記非水電解液には、上記負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上0.023g以下の量の上記アルキンスルホン酸化合物が含まれている。
特に限定することを意図したものではないが、以下では本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池組立体の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と非水電解液とを扁平な直方体形状(箱型)の容器(電池ケース)に収容した形態の非水電解液二次電池組立体を例として、本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池組立体の概略構成を図1、図2に示す。図1は、非水電解液二次電池組立体100の外形を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示した非水電解液二次電池組立体100のII−II線に沿う断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図1および図2に示すように、非水電解液二次電池組立体100は、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20とが長尺状のセパレータシート40を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、図示しない非水電解液とともに扁平な箱型形状の電池ケース50内に収容された構成を有する。
≪電池ケース50≫
電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(箱型)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備えている。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極と電気的に接続する外部接続用の正極端子70、および捲回電極体80の負極と電気的に接続する負極端子72が設けられている。蓋体54にはまた、従来の非水電解液二次電池の電池ケースと同様に、電池ケース50の内部で発生したガスをケース50の外部に排出するための安全弁55が備えられている。
電池ケース50の材質としては、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が例示される。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。また、該ケースの形状(容器の外形)は、ここでは直方体形状であるが、例えば円形状(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形状(直方体形、立方体形)、袋体形状、およびそれらを加工し変形させた形状等を採用し得る。
≪捲回電極体80≫
図3は、図2に示す捲回電極体80の構成を示す模式図である。図3に示すように、本実施形態に係る捲回電極体80は、組み立てる前段階において長尺シート状の正極(正極シート)10と、長尺シート状の負極(負極シート)20とを備えている。正極シート10は、長尺状の正極集電体12と、その少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された正極活物質層14とを備えている。負極シート20は、長尺状の負極集電体22と、その少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された負極活物質層24とを備えている。また、正極活物質層14と負極活物質層24との間には、両者の直接接触を防ぐ絶縁層が配置されている。ここでは、上記絶縁層として2枚の長尺シート状のセパレータ40を使用している。
このような捲回電極体80は、例えば、正極シート10、セパレータシート40、負極シート20、セパレータシート40の順に重ね合わせた積層体を長手方向に捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形することにより作製することができる。
捲回電極体80の捲回軸方向の一の端部から他の一の端部に向かう方向として規定される幅方向において、その中央部分には、正極集電体12の表面に形成された正極活物質層14と負極集電体22の表面に形成された負極活物質層24とが重なり合って密に積層された捲回コア部分が形成されている。また、捲回電極体80の捲回軸方向の両端部では、正極シート10の正極活物質層非形成部および負極シート20の負極活物質層非形成部が、それぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。そして、正極側はみ出し部分には正極集電板が、負極側はみ出し部分には負極集電板が、それぞれ付設され、正極端子70(図2)および上記負極端子72(図2)とそれぞれ電気的に接続されている。
≪正極シート10≫
正極シート10は、正極集電体12と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層14とを備えている。
正極集電体12には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を好適に採用し得る。
<正極活物質層14>
正極活物質層14は、少なくとも正極活物質を含んでいる。正極活物質としては、非水電解液二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の1種または2種以上を、特に限定なく採用し得る。好適例として、層状系、スピネル系等のリチウム複合金属酸化物(例えば、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO、LiFePO等)が挙げられる。なかでも、構成元素としてLi,Ni,CoおよびMnを含む、層状構造(典型的には、六方晶系に属する層状岩塩型構造)のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)は、熱安定性に優れ、且つ他の化合物に比べて高いエネルギー密度を実現し得るため好ましい。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、Li,Ni,CoおよびMnのみを構成金属元素とする酸化物のほか、Li,Ni,CoおよびMn以外に他の少なくとも1種の金属元素(すなわち、Li,Ni,CoおよびMn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの1種または2種以上の元素であり得る。これらの金属元素の添加量(配合量)は特に限定されないが、通常0.01質量%〜5質量%(例えば0.05質量%〜2質量%、典型的には0.1質量%〜0.8質量%)であり得る。上記添加量の範囲とすることで、優れた電池特性(例えば、高エネルギー密度)を実現し得る。
正極活物質層14には、上記正極活物質に加え、一般的な非水電解液二次電池において正極活物質層14の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、導電材やバインダが挙げられる。導電材としては、例えば、種々のカーボンブラック(典型的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の炭素材料を好適に用いることができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等を好適に用いることができる。
正極活物質層14全体に占める正極活物質の割合は、凡そ60質量%以上(典型的には60質量%〜99質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層14全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ3質量%〜10質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層14全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
正極集電体12の単位面積当たりに設けられる正極活物質層14の質量(目付量)は、充分な電池容量を確保する観点から、正極集電体12の片面当たり3mg/cm以上(例えば5mg/cm以上、典型的には7mg/cm以上)とすることができる。また、電池特性(例えば入出力特性)を確保する観点から、正極集電体の片面当たり100mg/cm以下(例えば70mg/cm以下、典型的には50mg/cm以下)とすることができる。なお、この実施形態のように正極集電体12の両面に正極活物質層14を有する構成では、正極集電体12の各々の面に設けられる正極活物質層14の質量は、概ね同程度とすることが好ましい。
正極活物質層14の片面あたりの平均厚みは、例えば20μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。また、正極活物質層14の密度は、例えば1g/cm〜4g/cm(例えば1.5g/cm〜3.5g/cm)とすることができる。また、正極活物質層14の空隙率は、例えば10体積%〜50体積%(典型的には20体積%〜40体積%)とすることができる。上記性状のうち1つまたは2つ以上を満たす場合、正極活物質層14内に適度な空隙を保つことができ、非水電解液を十分に浸潤させることができる。このため、電荷担体との反応場を広く確保することができ、高い入出力特性を発揮することができる。また、正極活物質層14内の導電性を良好に保つことができ、抵抗の増大を抑制し得る。さらに、正極活物質層の機械的強度(形状保持性)を確保することができ、良好なサイクル特性を発揮することができる。
なお、本明細書において「空隙率」とは、上述の水銀ポロシメータの測定によって得られた全細孔容積(cm)を活物質層の見かけの体積(cm)で除して100を掛けた値をいう。見かけの体積は、平面視での面積(cm)と厚み(cm)との積によって算出することができる。
このような正極シート10を作製する方法は特に限定されないが、例えば、先ず、正極活物質と必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒に分散させ、ペースト状またはスラリー状の組成物(正極活物質層形成用スラリー)を調製する。次に、調製した正極活物質層形成用スラリーを長尺状の正極集電体12に付与し、該スラリーに含まれる溶媒を除去する。これによって、正極集電体12上に正極活物質層14を備えた正極シート10を作製することができる。上記溶媒としては水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることができる。また、上記スラリーを付与する操作は、例えば、グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、ディップコーター等の適当な塗付装置を使用して行うことができる。また、上記溶媒の除去も、従来の一般的な手段(例えば加熱乾燥や真空乾燥)により行うことができる。
なお、上述のような正極活物質層14の性状(すなわち平均厚み、密度、空隙率)は、例えば、上記正極活物質層14の形成後に、正極シート10に対して適当なプレス処理を施すことによって調整し得る。プレス処理には、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。また、かかる処理は1回でもよく、2回以上の複数回行うこともできる。
≪負極シート20≫
負極シート20は、負極集電体22と、該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層24とを備えている。
負極集電体22には、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料を好適に採用し得る。
<負極活物質層24>
負極活物質層24は、少なくとも負極活物質を含んでいる。負極活物質としては、非水電解液二次電池の負極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の1種または2種以上を、特に限定なく使用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。なかでも、導電性に優れ、高いエネルギー密度が得られることから、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛系材料(特には天然黒鉛)を好ましく用いることができる。一般に黒鉛系材料を負極に備えた電池では、例えば厳しい条件で充放電を繰り返した場合等に、非水電解液に含まれる成分(例えば非水溶媒や支持塩)が徐々に分解され、エネルギー密度が低下することがあり得る。しかしながら、ここで開示される組立体には好適な量のアルキンスルホン酸化合物が含まれているため、後の充電処理によって、負極活物質の表面に該アルキンスルホン酸化合物由来の被膜を必要十分に形成することができる。このため、ここで開示される技術によれば、高い耐久性を有する非水電解液二次電池を実現することができる。
負極活物質の性状は特に限定されないが、例えば粒子状や粉末状であり得る。かかる粒子状負極活物質の平均粒径は、例えば50μm以下(典型的には20μm以下、例えば1μm〜20μm、好ましくは5μm〜15μm)であり得る。また、比表面積は1m/g以上(典型的には2.5m/g以上、例えば2.8m/g以上)であって、10m/g以下(典型的には3.5m/g以下、例えば3.4m/g以下)であり得る。上記性状のうち1つまたは2つを満たす負極活物質は、後の充電処理によって表面に被膜が形成された場合であっても電荷担体の反応場を広く確保することができ、高い電池特性(例えば高い入出力特性)を実現することができる。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布おいて、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。また、本明細書において「BET比表面積(m/g)」とは、吸着質として窒素(N)ガスを用いたガス吸着法(定容量式吸着法)によって測定されたガス吸着量を、BET法(例えば、BET1点法)で解析することによって算出した値をいう。
負極活物質層24には、上記負極活物質に加え、一般的な非水電解液二次電池において負極活物質層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、バインダや各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリマー材料を好適に用いることができる。その他、増粘剤、分散剤、導電材等の各種添加剤を適宜使用することもでき、例えば増粘剤としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)を好適に用いることができる。
負極活物質層24全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、負極活物質層24全体に占めるバインダの割合は例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。増粘剤を使用する場合には、負極活物質層24全体に占める増粘剤の割合は例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
負極集電体22の単位面積当たりに設けられる負極活物質層24の質量(目付量)は、負極集電体22の片面当たり5mg/cm〜20mg/cm(典型的には7mg/cm〜15mg/cm)程度とすることができる。なお、この実施形態のように負極集電体22の両面に負極活物質層24を有する構成では、負極集電体22の各々の面に設けられる負極活物質層24の質量を概ね同程度とすることが好ましい。
負極活物質層24の空隙率は、例えば5体積%〜50体積%(好ましくは35体積%〜50体積%)程度とすることができる。また、負極活物質層24の片面あたりの厚みは、例えば30μm以上(典型的には40μm以上、好ましくは50μm以上)であって、100μm以下(好ましくは80μm以下)とすることができる。また、負極活物質層24の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(好ましくは1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。上記性状のうち1つまたは2つ以上を満たす場合、高いエネルギー密度を実現することができる。また、負極活物質層24内に適度な空隙を保つことができ、非水電解液を十分に浸潤させることができる。このため、電荷担体との反応場を広く確保することができ、高い入出力特性を発揮することができる。さらに、非水電解液との界面を好適に保つことができ、高い耐久性(例えばサイクル特性)を発揮することができる。
このような負極シート20を作製する方法は特に限定されないが、例えば以下のように行うことができる。まず、負極活物質と必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒に分散させ、ペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質層形成用スラリー)を調製する。そして、調製した負極活物質層形成用スラリーを長尺状の負極集電体22に付与し、該スラリーに含まれる溶媒を除去することによって、負極集電体22上に負極活物質層24を備えた負極シート20を作製することができる。上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。上記スラリーの付与や溶媒の除去、プレス処理等は、正極シート10の場合と同様に行うことができる。また、負極活物質層24の空隙率や厚み、密度は、上述した正極活物質層14と同様に、適当なプレス処理を施すこと等によって調整することができる。
≪セパレータシート40≫
正負極シート10、20間に介在されるセパレータシート40としては、正極活物質層14と負極活物質層24とを絶縁するとともに非水電解液の保持機能やシャットダウン機能を有するものであればよい。好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。多孔性樹脂シートの平均厚みは、例えば10μm〜40μm程度とすることができる。また、セパレータシート40は上記多孔性樹脂シートの片面または両面(典型的には片面)に多孔質の耐熱層を備える構成であってもよい。かかる多孔質耐熱層は、例えば無機材料(アルミナ粒子等の無機フィラー類を好ましく採用し得る。)とバインダとを含む層であり得る。あるいは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の粒子)を含む層であり得る。
≪非水電解液≫
非水電解液は、非水溶媒中に、少なくとも支持塩とアルキンスルホン酸化合物とを含んでいる。非水電解液は常温(例えば25℃)で液状を呈し、好ましい一態様では、電池の使用環境下(例えば−30℃〜60℃の温度環境下)で常に液状を呈する。
非水溶媒としては、一般的な非水電解液二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を用いることができる。具体例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。好適な一態様では、高誘電率の溶媒と低粘性の溶媒とを混合して用いる。かかる混合溶媒を用いることで、高い電気伝導率や広範な温度域での使用を実現することができる。高誘電率溶媒としてはECが、低粘性溶媒としてはDMCやEMCが、それぞれ例示される。例えば、非水溶媒として1種または2種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水溶媒を好適に用いることができる。また、好適な他の一態様では、エチレンカーボネートが非水溶媒全体の20体積%以上40体積%以下を占める。
支持塩としては、電荷担体(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン等。リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン。)を含むものであれば、一般的な非水電解液二次電池と同様のものを適宜選択して使用することができる。例えば電荷担体がリチウムイオンの場合は、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等のリチウム塩が例示される。このような支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPFが挙げられる。また、非水電解液は上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
アルキンスルホン酸化合物は、少なくとも1つのスルホニルオキシ基(R−S(=O)−O−)と、三重結合を有する炭素骨格とを備える。アルキンスルホン酸化合物としては、アルキンスルホン酸およびその誘導体を用いることができ、公知の方法により作製したもの、あるいは市販品の購入等により入手したものを特に限定せず1種または2種以上用いることができる。好適な一態様として、例えば、上記式(I)で表されるような分子構造の中間位置に三重結合を有するアルキンスルホン酸化合物が挙げられる。かかる化合物を用いることで、負極活物質の表面に良質な被膜をより安定的に形成することができる。
式(I)において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、またはペンチル基等の炭素原子数1〜12(好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3)の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜6(典型的には6)のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、ベンジルフェニル基、ビフェニル基等の炭素原子数6〜12のアリール基;または炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキル基;である。好適な一態様では、上記式(I)におけるRが、炭素数1のアルキル基(メチル基)である。すなわち、上記式(I)で表される化合物がメタンスルホン酸基(CH−S(=O)−O−)を有することが好ましい。
また、R,R,R,Rは、それぞれ独立して、水素原子、あるいは、炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基である。好適な一態様では、上記式(I)におけるR〜Rがいずれも水素原子である。かかる場合、被膜形成における反応抵抗を低減することができる。
このようなアルキンスルホン酸化合物の具体例として、2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート)、2−ブチン−1,4−ジオールジ(エタンスルホナート)、3−ヘキシン−2,5−ジオールジ(メタンスルホナート)、3−ヘキシン−2,5−ジオールジ(エタンスルホナート)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールジ(メタンスルホナート)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールジ(エタンスルホナート)等が挙げられる。なかでも、上記式(II)で表される2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート)を好適に用いることができる。
また、アルキンスルホン酸誘導体の典型例としては、種々の塩が挙げられる。例えば、脂肪族スルホン酸類あるいは芳香族スルホン酸類のリチウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、メチルエステル等が挙げられる。
好ましい一態様では、非水電解液に含まれる成分の中で、上記アルキンスルホン酸化合物が最も高い還元電位(vs.
Li/Li+)を示す。例えば、2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート)の還元電位は凡そ2.25V(vs. Li/Li+)であるため、非水電解液に含まれる他の成分(典型的には、後述するビニレンカーボネート化合物および非水溶媒)の還元電位は2.25V(vs. Li/Li+)と概ね同等かそれよりも低い(典型的には0.1V以上低い、例えば0.3V以上低い、特に0.5V以上低い)ことが好ましい。これにより、負極活物質の表面にアルキンスルホン酸化合物由来の被膜を好適に形成することができる。
本発明において、非水電解液には上記負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上0.023g以下の量のアルキンスルホン酸化合物が含まれている。非水電解液中に含まれるアルキンスルホン酸化合物は、後の充電処理(典型的には初回充電処理)によって分解され、負極活物質の表面に良質な皮膜となって結合(付着)し得る。したがって、アルキンスルホン酸化合物の添加量が0.012gより少ない場合は、負極活物質表面に形成される被膜が薄くなり電池の耐久性(保存特性や急速充放電特性)が低下する虞がある。一方、添加量が0.023gより多い場合は、負極活物質の表面に形成される被膜が厚くなり、充放電に伴う抵抗が増大する虞がある。アルキンスルホン酸化合物の添加量が上記範囲にある場合、広範な温度環境下において、高い電池特性(例えば入出力特性や耐久性)を発揮し得る非水電解液二次電池を実現することができる。
このような非水電解液は、典型的には、支持塩とアルキンスルホン酸化合物とを非水溶媒中に溶解させることによって調製することができる。あるいは、例えば上述のような電極体(典型的には、負極活物質層やセパレータ)にアルキンスルホン酸化合物を直接添加、含浸させておき、かかる電極体と支持塩を含んだ非水溶媒とを電池ケース内に収容することによって、該アルキンスルホン酸化合物を非水電解液中に溶出させることもできる。
なお、電池の構築に用いられたアルキンスルホン酸化合物の量(換言すれば、電池ケース内に供給されたアルキンスルホン酸化合物の量)は、例えば、後述するイオン交換クロマトグラフィーの手法によって正負極活物質層に含まれるSO 2−、SO 2−の量を定量すること;電池ケース内に溜まった非水電解液をイオン交換クロマトグラフィーにより分析してアルキンスルホン酸化合物およびそれらの分解物に起因する化学種を定量すること;等の方法により、概ね把握することができる。
≪非水電解液二次電池≫
上述のような非水電解液二次電池組立体を充電処理して得られる非水電解液二次電池では、負極活物質の表面に好適な量のアルキンスルホン酸化合物由来の被膜が形成されている。かかる被膜は、典型的には、S元素含有基(例えばスルホニル基やスルホニルオキシ基)と、電荷担体とを含んでいる。より具体的には、SO 2−、SO 2−等を含み得る。これによって、負極活物質(典型的には黒鉛材料)と非水電解液との界面が安定化されるため、それ以降の充放電における非水電解液の分解を好適に抑制することができ、高い耐久性(例えば、サイクル特性や高温保存特性)を発揮することができる。また、負極活物質表面の被膜は、充放電に伴う電荷担体の移動を妨げない程度に薄いものであるため、被膜の形成に伴う抵抗増大が低く抑えられている。このため、広範な温度環境下(特には低温環境下)において、高い入出力特性を実現することができる。したがって、かかる非水電解液二次電池は耐久性(サイクル特性)と入出力特性とを高いレベルで両立することができる。
なお、負極活物質の表面に形成されているアルキンスルホン酸化合物由来の被膜の量は、例えば一般的なイオン交換クロマトグラフィーの手法によって測定することができる。具体的には、先ず電池を解体して取り出した負極活物質層を適当な溶媒(例えばEMC)に浸漬、洗浄した後、適当な大きさに切り出して測定試料とする。次に、かかる測定試料を50%アセトニトリル(CHCN)水溶液中に所定の時間(例えば1分〜30分程度)浸漬することで、測定対象となる被膜成分(硫化物イオン)を溶媒中に抽出する。この溶液をICの測定に供し、得られた結果からSO 2−、SO 2−の量(μM)をそれぞれ定量する。そして、かかる値を合計して、測定に供した負極活物質層の面積(cm)で除すことにより、測定試料中のアルキンスルホン酸化合物由来の被膜量(μM/cm)を求めることができる。かかる分析によると、例えば支持塩としてS原子を含む非水電解液を用いた電池であっても、該支持塩に由来するS原子とは区別して、アルキンスルホン酸化合物(例えば、2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート))に由来する被膜の存在を認識することができる。
なお、被膜の量を測定する手法として、上記にはイオン交換クロマトグラフィーを用いる場合を具体的に示したが、これに限定されず、例えば従来公知の誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP‐AES:Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)、X線吸収微細構造解析法(XAFS:X-ray Absorption Fine Structure)等によっても被膜量を把握することができる。
≪非水電解液二次電池の製造方法≫
上述のような非水電解液二次電池は、以下の工程を包含する製造方法によって好適に製造することができる。
(1)負極準備工程;負極を準備すること。
(2)体積算定工程;負極活物質層中の空隙の体積(cm)を求めること。
(3)電解液調製工程;アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液を調製すること。
(4)組立体構築工程;上記負極と、正極と、上記アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液とを電池ケース内に収容すること。
(5)充電処理工程;上記正極と上記負極の間で充電処理を行うこと。
かかる製造方法によれば、最適な量の被膜を負極活物質の表面により安定的に形成することができる。以下、各工程を順に説明する。
<(1)負極準備工程>
先ず、負極を準備する。負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された負極活物質層とを備えている。このような負極としては、既に上述ししたようなものを用いることができる。
<(2)体積算定工程>
次に、負極活物質層中の空隙の体積(cm)を求める。負極活物質層中の空隙の体積は、上述の通り、計算で(すなわち、見かけの体積から各構成材料の合計体積を差し引くことによって)、あるいは、測定によって(例えば、一般的な水銀ポロシメータによって上述のような条件で測定することで)、求めることができる。なお、電池の構成要素やパラメータ(例えば負極活物質層の性状)を変更した場合は、原則として、都度、本工程を行うことが好ましいが、例えば構成要素等を何ら変更しない場合には、2回目以降本工程を省略することもできる。
<(3)電解液調製工程>
次に、アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液を調製する。その際、上記非水電解液中には、上記求めた上記負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上0.023g以下の量の上記アルキンスルホン酸化合物を含ませる。アルキンスルホン酸化合物の添加量を決定する際に、負極活物質層中の空隙の体積を指標とすることで、例えば負極活物質層の目付量や密度等の設計パラメータを変更した場合であっても、かかる変更に柔軟に対処することができる。換言すれば、ここで開示される指標を用いることで、より迅速かつ精度よく最適な添加量を決定することができる。なお、上述の通り、非水電解液にはアルキンスルホン酸化合物以外に、非水溶媒と支持塩とを含んでいる。これらは、既に上述したようなものを用いることができる。
<(4)組立体構築工程>
次に、上記負極と、正極と、上記アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液とを電池ケース内に収容する。正極としては、既に上述ししたようなものを用いることができる。その後、電池ケースの開口部に蓋体を取り付け、該ケースと蓋体とを溶接等により接合することで、組立体を構築することができる。
<(5)充電処理工程>
そして、上記正極と上記負極の間で充電処理を行う。これによって、負極活物質表面にアルキンスルホン酸化合物由来の被膜を好適な量だけ形成することができる。かかる充電処理は、典型的には、負極の電位(vs. Li/Li+)が非水電解液に含まれる上記アルキンスルホン酸化合物の還元電位以下となるよう行う。好適な一態様では、上記電解液中に含まれる該化合物の還元電位より0.05V以上(典型的には0.1V以上、例えば0.3V以上、特に0.5V)低くなるまで、充電処理を行う。例えば、充電処理工程における正負極端子間の電圧(典型的には最高到達電圧)は、使用するアルキンスルホン酸化合物の種類等によっても若干異なるが、3.95V〜4.05V程度とすることができる。
充電処理は、例えば充電開始から負極の電位が所定の値に到達するまで(または負極端子間電圧が所定値に到達するまで)、定電流で充電する方式(CC充電)により行ってもよく、上記所定の電位(または電圧)になるまで定電流で充電した後、定電圧で充電する方式(CCCV充電)により行ってもよい。好適な一態様では、充電処理をCCCV充電方式で行う。CC充電における充電レートは特に限定されないが、あまりに低すぎると処理効率が低下しがちである。一方、あまりに高すぎると、形成される被膜の緻密性が不足したり、正極活物質が劣化したりすることがあり得る。このため、例えば0.1C〜2C(典型的には0.5C〜1.5C、例えば0.6C〜1C)とすることが好ましい。これによって、より短時間で、好適な緻密性の(すなわち、低抵抗で、且つ非水電解液との反応を十分抑制し得る)被膜を精度よく形成することができる。
なお、上記充電処理は一回でもよく、例えば放電処理工程を挟んで、二回以上繰り返し行うこともできる。さらに、電池特性に悪影響を与えない範囲で、上記化合物の還元分解を促進し得るようなその他の操作(例えば、圧力の負荷や超音波の照射)を適宜併用することもできる。
ここで開示される電池は各種用途に利用可能であるが、アルキンスルホン酸化合物添加の効果が好適に発揮され、従来に比べて広範な温度域において高い電池特性を実現し得る(例えば、耐久性と入出力特性とを高いレベルで両立可能な)ことを特徴とする。したがって、このような性質を活かして、例えば、車両に搭載される駆動用電源として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。このように、本発明によれば、ここで開示されるいずれかの非水電解液二次電池を、好ましくは動力源として備えた車両が提供される。車両に備えられる非水電解液二次電池は、複数個が接続された組電池の形態であり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
[非水電解液二次電池の構築]
まず、正極活物質としてのLiNi0.38Co0.32Mn0.30(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比率がLNCM:AB:PVdF=90:8:2となるよう混練機に投入し、N−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調整しながら混練して、正極活物質スラリーを調製した。このスラリーを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布して、乾燥後にプレスすることによって、正極集電体上に正極活物質層を有する正極シート(総厚み:170μm、電極密度:3g/cm、長さ4500mm)を作製した。
次に、負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となるよう混練機に投入し、イオン交換水で粘度を調整しながら混練して、負極活物質スラリーを調製した。このスラリーを、厚み10μmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に塗布して、乾燥後にプレスすることによって、負極集電体上に負極活物質層を有する負極シート(総厚み:150μm、電極密度:1.18g/cm、長さ4700mm)を作製した。
(例1)
上記で作製した正極シートと負極シートとを、2枚のセパレータシート(ここでは、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造であって、厚み:20μmのものを用いた。)とともに捲回し、扁平形状に成形して捲回電極体を作製した。次に、電池ケースの蓋体に正極端子および負極端子を取り付け、これらの端子を、捲回電極体端部に露出した正極集電体および負極集電体にそれぞれ溶接した。このようにして蓋体と連結された捲回電極体を、電池ケースの開口部からその内部に収容し、開口部と蓋体を溶接した。そして、蓋体に設けられた電解液注入孔から非水電解液(5g)を注入した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=30:40:30の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。このようにして、理論容量が285kWh/mのリチウムイオン二次電池(例1)を構築した。
(例2〜6)
本例では、上記非水電解液に、さらに、アルキンスルホン酸化合物としての2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート)(以下、「BDMS」と略称する場合がある。)を添加したこと以外は、上記例1と同様にしてリチウムイオン二次電池(例2〜6)を構築した。なお、BDMSの添加量は、非水電解液全体に対して、例2で0.125質量%、例3で0.25質量%、例4で0.375質量%、例5で0.5質量%、例6で0.75質量%とした。
(例7,例13)
本例では、使用する非水電解液の量を、例7で8g、例13で11gとしたこと以外は上記例1と同様に、リチウムイオン二次電池(例7,13)を構築した。
(例8〜12,例14〜18)
本例では、使用する非水電解液の量を、例8〜12で8g、例14〜18で11gとしたこと以外は上記例2〜6と同様に、リチウムイオン二次電池(例8〜12,14〜18)を構築した。
[充電処理(コンディショニング処理)]
上記構築した例1〜18の電池について、充電処理を行った。具体的には、25℃の環境下において、0.5Cの定電流によって正負極端子間の電圧が4.1Vに到達するまで定電流充電(CC充電)を行った後、電流値が0.02Cになるまで定電圧充電(CV充電)を行った。これによって、負極活物質の表面に被膜を形成した。
[初期容量の測定]
上記エージング処理後の電池について、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、以下の手順1〜3にしたがって定格容量を測定した。
(手順1)0.33Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10分間休止する。
(手順2)0.33Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、電流が0.02Cとなるまで定電圧充電し、その後、10分間休止する。
(手順3)0.33Cの定電流放電によって、3.0Vに到達後、電流が0.02Cとなるまで定電圧放電し、その後、10分間停止する。
そして、手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を初期容量とした。例1〜18の電池は、全て理論容量(285kWh/m)が得られていることを確認した。
[IV抵抗の測定(25℃)]
次に、温度25℃で、例1〜18の電池を1Cの充電レートでSOCが60%の状態まで定電流充電し、その後2時間の定電圧充電を行うことによって電位を調整した。この電池に対して、25℃の温度環境下において、下表1に示す充放電パターン(No.2〜14)で充放電を行い、0.33C、1C、3Cの放電レートにおいて10秒間のCC放電後の電圧を測定した。そして、このときの電流(I)−電圧(V)のプロットの一次近似直線の傾きをIV抵抗(mΩ)として求めた。
Figure 2014232706
結果を、図4に示す。図4において、■は例1〜6の電池(非水電解液の添加量が5gの電池)を、◆は例7〜12の電池(非水電解液の添加量が5gの電池)を、■は例13〜18の電池(非水電解液の添加量が5gの電池)を、それぞれ表している。
図4から明らかなように、25℃の温度環境下においては、電解液の注液量に依らず、アルキンスルホン酸化合物の添加量を0.125質量%とした場合にIV抵抗が最も低く抑えられることがわかった。
[IV抵抗の測定(−15℃)]
次に、温度25℃で、1Cの充電レートでSOCが60%の状態まで定電流充電し、その後1.5時間の定電圧充電を行うことによって電位を調整した。この電池に対して、−15℃の温度環境下において、下表2に示す充放電パターン(No.2〜50)で充放電を行い、上記と同様にIV抵抗(mΩ)を求めた。
Figure 2014232706
結果を、図5および図6に示す。図5は、非水電解液中のアルキンスルホン酸化合物の添加量(質量%)をX軸に、−15℃におけるIV抵抗(mΩ)の測定結果をY軸に示したグラフである。また、図6は、負極活物質層中の空隙の体積に対するアルキンスルホン酸化合物の添加量(g/cm)をX軸に、−15℃におけるIV抵抗(mΩ)の測定結果をY軸に示したグラフである。なお、図中の記号は、図4と同様である。
図5に示すように、−15℃の環境下においては、非水電解液量によってIV抵抗が最小となるBDMSの添加量が異なっていた。このため、最適添加量を定めるためには、各電池の使用に見合った最適添加量を都度検討、調整する必要があることがわかった。
これに対し、図6に示すように、負極活物質層中の空隙の体積を指標としてアルキンスルホン酸化合物の添加量を定めた場合には、電解液量に依らず、アルキンスルホン酸化合物の添加量を0.012g/cm〜0.023g/cmとした場合にIV抵抗が最も低く抑えられていた。したがって、アルキンスルホン酸化合物の添加量を上記範囲とすることで、高い電池特性(例えば入出力特性や耐久性)を発揮し得ることが示された。また、かかる指標を用いることで、例えば負極活物質層の性状等のパラメータを変更した場合であっても、アルキンスルホン酸化合物の最適な添加量を簡便に判断し得ることが示された。かかる結果は、本発明の技術的意義を示すものである。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 非水電解液二次電池組立体

Claims (11)

  1. 正極活物質層を備えた正極と、負極活物質層を備えた負極と、アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液と、を電池ケース内に収容してなる非水電解液二次電池組立体であって、
    前記非水電解液は、前記負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上0.023g以下の量の前記アルキンスルホン酸化合物を含んでいることを特徴とする、非水電解液二次電池組立体。
  2. 前記負極活物質層の片面あたりの厚みは、30μm以上100μm以下であって、
    前記負極活物質層の密度は、1g/cm以上1.5g/cm以下である、請求項1に記載の組立体。
  3. 前記非水電解液には、非水溶媒として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含み、且つ、
    前記エチレンカーボネートが前記非水溶媒全体に占める割合は、20体積%以上40体積%以下である、請求項1または2に記載の組立体。
  4. 前記アルキンスルホン酸化合物は、下式(I)で表される化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組立体。
    Figure 2014232706
    (ここで、Rは、炭素原子数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、または炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキル基である。また、R,R,R,Rは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基である。)
  5. 前記アルキンスルホン酸化合物は、2−ブチン−1,4−ジオールジ(メタンスルホナート)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組立体。
  6. 前記負極活物質層には天然黒鉛を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組立体。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の組立体を充電処理して得られる非水電解液二次電池。
  8. 複数個の電池を相互に電気的に接続してなる組電池であって、
    前記組電池を構成する前記電池は、いずれも請求項7に記載の非水電解液二次電池である、組電池。
  9. 非水電解液二次電池を製造する方法であって:
    負極活物質層を備えた負極を準備すること;
    前記負極活物質層中の空隙の体積(cm)を求めること;
    アルキンスルホン酸化合物を含む非水電解液を調製すること、
    ここで、前記非水電解液中には、前記求めた前記負極活物質層中の空隙の体積1cmあたり0.012g以上0.023g以下の量の前記アルキンスルホン酸化合物を含ませる;
    前記負極活物質層を備えた前記負極と、正極活物質層を備えた正極と、前記アルキンスルホン酸化合物を含む前記非水電解液と、を電池ケース内に収容すること;および、
    前記正極と前記負極の間で充電処理を行うこと;
    を包含する、非水電解液二次電池の製造方法。
  10. 前記負極として、片面あたりの厚みが30μm以上100μm以下であり、密度が1g/cm以上1.5g/cm以下である負極活物質層を備えるものを用いる、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記非水電解液には、非水溶媒として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含ませ、且つ、
    前記エチレンカーボネートの前記非水溶媒全体に占める割合が、20体積%以上40体積%以下となるよう調製する、請求項9または10に記載の製造方法。
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