JP2014228323A - 検査方法、センサ - Google Patents

検査方法、センサ Download PDF

Info

Publication number
JP2014228323A
JP2014228323A JP2013106652A JP2013106652A JP2014228323A JP 2014228323 A JP2014228323 A JP 2014228323A JP 2013106652 A JP2013106652 A JP 2013106652A JP 2013106652 A JP2013106652 A JP 2013106652A JP 2014228323 A JP2014228323 A JP 2014228323A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
protective layer
test piece
substrate
electromagnetic field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013106652A
Other languages
English (en)
Inventor
三津夫 川▲崎▼
Mitsuo Kawasaki
三津夫 川▲崎▼
哲郎 高松
Tetsuo Takamatsu
哲郎 高松
義規 原田
Yoshinori Harada
義規 原田
丈夫 南川
Takeo Minamikawa
丈夫 南川
昂司 竹田
Takashi Takeda
昂司 竹田
祐 山崎
Yu Yamazaki
祐 山崎
昌博 川▲崎▼
Masahiro Kawasaki
昌博 川▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ushio Denki KK
Kyoto Prefectural PUC
Ushio Inc
Kyoto University NUC
Original Assignee
Ushio Denki KK
Kyoto Prefectural PUC
Ushio Inc
Kyoto University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ushio Denki KK, Kyoto Prefectural PUC, Ushio Inc, Kyoto University NUC filed Critical Ushio Denki KK
Priority to JP2013106652A priority Critical patent/JP2014228323A/ja
Priority to PCT/JP2013/081663 priority patent/WO2014188621A1/ja
Publication of JP2014228323A publication Critical patent/JP2014228323A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/65Raman scattering
    • G01N21/658Raman scattering enhancement Raman, e.g. surface plasmons
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/645Specially adapted constructive features of fluorimeters
    • G01N21/648Specially adapted constructive features of fluorimeters using evanescent coupling or surface plasmon coupling for the excitation of fluorescence

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Abstract

【課題】厳密な精度設計の不要な光学系の下で、生体物質の細胞膜の検査が可能な検査方法を提供する。【解決手段】 本発明の検査方法は、細胞膜を含む試験片の検査方法であって、基板と、基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、基板及び増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、保護層の上面に検査対象となる試験片を載置する工程(b)、光増強素子に励起光を照射する工程(c)、及び、試験片からの発光を受光して発光スペクトルを測定する工程(d)を有する。【選択図】 図2

Description

本発明は検査方法に関し、より詳細には、細胞膜を含む試験片の検査方法であって、細胞膜表面のスペクトルを高感度で分析できる検査方法に関する。また、本発明は、このような検査方法に利用されるセンサに関する。
細胞膜は様々なリン脂質、タンパク質、又は糖鎖などから構成されており、単なる細胞内部と外部の隔壁としての機能のみならず、受容体を介した細胞内外とのシグナリング、チャネルによる特定分子の選択的透過、細胞外部のセンシングやエンドサイトーシスによる外部物質の取り込みなど、細胞にとって重要な機能を担っている。そのため、細胞膜に存在するリン脂質、タンパク質、又は糖鎖などの分子局在や機能などを可視化することができれば、これら細胞にとって重要な機能の解明につながる可能性が広がる(非特許文献1参照)。
従来の細胞膜を観察する方法としては、蛍光色素を標識として利用する方法、電子顕微鏡による観察方法、TIRF(Total Internal Reflection Fluorescence)法、構造化照明顕微鏡、光活性化局在顕微鏡、又は誘導放出蛍光顕微鏡などの超解像顕微鏡による観察方法などが挙げられる。
電子顕微鏡は、高い空間分解能(nmオーダー)を有するため、細胞膜(厚み10nm程度)のような微細構造の観察が可能である。
TIRF法は、分析深さが100nm程度と浅いため、表面とその近傍の状態を観察することが可能であり、細胞膜のみを観察することが可能である(特許文献1参照)。
超解像顕微鏡は、光の干渉、単分子励起・計測と高精度位置計測、誘導放出などの光に特異的な現象などを利用することで、従来の回折限界を超える分解能を実現しており、細胞膜のような微細な構造の観察が可能である。
特表2010−525313号公報
岩本 他、「リン脂質を見る−酵母におけるホスファチジルエタノールアミンの動態と細胞極性」、蛋白質核酸酵素、共立出版、平成16年、第49巻、第10号
蛍光色素を標識として用いる方法は、観察するタンパク質や糖鎖の成分に合わせて外因的に蛍光色素を導入し、抗体を準備し、又は蛍光性タンパク質を発現させるように細胞へ遺伝子を導入する必要があった。従来、このような用途に利用できる蛍光色素は、発光量子収率が非常に高い色素のみであるため、利用可能な色素の種類に制約があった。
また、蛍光色素の導入、抗体の結合、又は蛍光タンパク質の発現などの過程で細胞の状態が変化する場合があり、観測される情報が必ずしも正常な状態ではない可能性があった。更に、上記過程を行う必要があることから、臨床目的では使用することができなかった。
TIRF法は、蛍光の検出効率が非常に低いため,この手法は極めて高い発光量子収率を示す蛍光色素を用いた観察の用途に限定されてしまう。
超解像顕微鏡を用いる観察方法では、構造化照明を実現するための煩雑な干渉光学系や、光活性化し且つ単分子計測が可能なほどの高輝度で発光する蛍光色素や、誘導放出を行う際に強いレーザ光強度下においても退色しない蛍光色素などが必要となる。このため、上記2つの方法と同様に色素の選択性が極めて狭い上、検査用装置として複雑な光学系を必要とする。
また、上記の方法とは別に、従来、局在表面プラズモン効果を用いて最表面のラマンスペクトルや蛍光スペクトルを測定する方法が存在する。この方法は、局在表面プラズモン効果を実現させるための素子を準備し、この素子上に検査対象となる試験片を載置した状態で光を照射し、試験片からの発光をスペクトル分析する方法である。局在表面プラズモン効果による光増強作用により、試験片からの発光が増強される。
しかし、この方法によれば、局在表面プラズモン効果を実現させるための素子は、表面に銀微粒子などが塗布されている。従って、生体物質を検査対象とする場合、この生体物質を素子上に載置すると、生体物質に含まれるハロゲン化物イオンと銀微粒子などが化学反応して変質し、銀微粒子の脱離や溶解などが生じて、光増強効果が得られなくなるという問題がある。つまり、従来は局在表面プラズモン効果を利用して、生体物質の検査は行えないと考えられていた。
本発明は、上記の課題に鑑み、厳密な精度設計の不要な光学系の下で、生体物質の細胞膜の検査が可能な検査方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような検査方法に利用されるセンサを提供することを目的とする。
本発明の検査方法は、細胞膜を含む試験片の検査方法であって、
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
前記保護層の上面に検査対象となる前記試験片を載置する工程(b)、
前記光増強素子に励起光を照射する工程(c)、
及び、前記試験片からの発光を受光して発光スペクトルを測定する工程(d)を有することを特徴とする。
本発明の方法では、基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層を備える構成であるため、局在表面プラズモン効果を利用することができる。このため、エバネッセント波を利用した表面プラズモン効果とは異なり、基板に対する光の入射角度に関する厳しい制限がなく、自由度が担保される。
また、本発明の方法では、増強電磁場形成層の上層に形成された保護層の上面に検査対象となる試験片が載置される。このため、試験片として生体物質を含む場合においても、この試験片は保護層に直接接触するのみであり、金属微粒子が直接試験片と長時間接触し続けるということがない。このため、金属微粒子がハロゲン化物イオンに直接長時間晒され続けることにより、ハロゲン化物イオンと金属微粒子などが化学反応して変質するということがない。この結果、金属微粒子として光の増強効果の高いAgを用いることが可能となる。なお、本発明の構成においては、金属微粒子としてAgを用いるのが好適であるが、他の金属材料(例えばAu)を用いても構わない。
本発明のように局在表面プラズモン効果を利用する場合、増強電磁場形成層を構成する多数の金属微粒子の近傍箇所にのみ、その光の増強効果が作用する。試験片は、増強電磁場形成層の上層に形成された保護層の上面に載置されるが、増強電磁場形成層の上層に形成された保護層を介してその表面まで強い増強効果が及ぶため、金属微粒子から遠く離れた保護層の上面に載置された試験片、特に、試験片の表層部分に対して光増強作用を及ぼすことができる。よって、試験片としての生体物質の表層部、すなわち細胞膜由来の強い発光を得ることができる。
つまり、照射する励起光の出力を低く抑えても、光増強作用によって試験片からの高いラマン散乱光を受光することができ、スペクトル分析に利用できる。そして、検査時に強い励起光を照射する必要がなくなる結果、生体物質の光(熱)分解を防止できる。また、電子回路に時定数をかけずに応答時間を速くできるので、細胞分化、細胞膜の形態的な変化、細胞膜中の生化学的な変化など急激な変化を観測することが可能になる。その具体例として、細胞膜タンパク質のターンオーバーや細胞膜のプリップフロップ、細胞膜中の受容体によるシグナリングなどの現象観測がある。
また、ラマン散乱光を利用したスペクトル分析が行えるため、観察するタンパク質や糖鎖の成分に合わせた抗体の準備や、特定の蛍光タンパク質を発現するような遺伝子導入の必要がなくなり、タンパク質や糖鎖のラベル(標識)フリー観察が可能になる。また、従来選択的に検出する色素が存在しなかった脂質についても選択的な観察が可能となる。
そして、この場合、標識色素として蛍光物質の導入を行う前処理操作がなくなるので、採取と同時に生きたままの細胞膜、生体組織表面のラマンスペクトルを計測し組成を特定することができる。
また、本発明の手法は、試験片からのラマン散乱光だけでなく、蛍光のスペクトル分析にも利用できる。
この場合、局在表面プラズモン効果を利用できるため、試験片を標識する色素として、通常状態で光らない非発光性(発光量子収率が0.01程度以下)の色素を利用することが可能となる。つまり、試験片が載置された光増強素子に光を入射すると、保護層を介して増強電磁場形成層による光の増強効果が及ぶため、試験片に標識された非発光性色素が発光する。この発光を受光部で受光し、スペクトル分析をすることで、試験片の検査を行うことができる。そして、この方法によれば、通常状態で光らない非発光性の色素を標識色素として利用することが可能となるため、色素の選択性が極めて広がる。
非発光性の色素で標識する場合には、例えばカロテノイド系、フラボノイド系、又はキノイド系の色素が利用できる。また、自家発光性の物質としては、例えばコラーゲン、リボフラビン、NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、FDH(フラビンアデニンジヌクレオチド)、有色タンパク質などが利用できる。また、自家発光性物質(例えば自家発光性タンパク質)で標識するものとしても構わない。
更に、試験片自体が自家発光性を有する場合には、標識自体が不要になる。本方法によれば、光増強効果が高いため、試験片が有する自家発光性を利用した発光を受光部にて検知することが可能である。
また、前記工程(c)を、前記試験片が載置された側とは反対側から前記光増強素子に励起光を照射する工程とすることができる。これにより、細胞を培養した状態のままin-situで細胞膜が観察可能である。また、光が透過しない程の厚みをもった生体組織試料についても、細胞膜の観察が可能となる。
前記保護層は、前記多数の金属微粒子に関連して配向性を有する無機物質、又は配向性を有する有機物の重合体で構成されているものとしても構わない。
この構成により、増強電磁場形成層における局在表面プラズモン効果に起因した増強電磁場を、高効率で保護層の表面に伝達させることが可能となり、保護層の表面に載置された試験片を高効率で発光させることができる。
また、前記保護層は、ハロゲン元素を含有するものとしても構わない。
この構成により、増強電磁場形成層における局在表面プラズモン効果に起因した増強電磁場を、更に高効率で保護層の表面に伝達させることが可能となる。なお、この構成は、保護層を有しない構成において露出した金属微粒子にハロゲン化物イオンを含む生体物質(生体試料)を直接接触させる場合とは異なり、保護層としてハロゲン元素を含有した材料を用いるというものであるので、上記の構成と同様に、ハロゲン化物イオンによる金属微粒子へのダメージを防御する機能は担保される。
また、本発明のセンサは、細胞膜を含む試験片の検査に利用されるセンサであって、
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を構成しており、
前記光増強素子は、前記基板上に前記増強電磁場形成層が形成され、当該増強電磁場形成層の上層に前記保護層が形成されている第1領域と、前記基板上に前記増強電磁場形成層が形成されておらず、前記保護層が形成されている第2領域とを有することを特徴とする。
この構成によれば、センサ上の第1領域と第2領域にまたがるように試験片を載置して光を照射すると、第1領域上に載置された試験片の箇所には、増強電磁場形成層による光増強作用が及ぶ一方、第2領域上に載置された試験片の箇所には、増強電磁場形成層による光増強作用が及ばない。光の増強効果は、増強電磁場形成層を構成する多数の金属微粒子の近傍箇所、及びその上層の保護層の表面近傍にのみ及ぶため、第1領域上に載置された試験片の表層部分に対して光の増強効果が及ぶことになる。このため、第1領域上に載置された試験片の部分からは、試験片の表層部分の構成物質由来のスペクトルを有した光が得られる。
一方、第2領域上には増強電磁場形成層が存在しないため、当該第2領域上に載置された試験片の部分に対しては、増強電磁場形成層の光増強作用が及ばない。このため、第2領域上に載置された試験片の部分からは、試験片の表層のみならず表層の内側を構成する物質由来のスペクトルを有した発光が生じる。試験片を生体物質とした場合、表層を構成する細胞膜と比べて、表層の内側を構成する細胞質の体積が極めて大きいため、細胞質由来のスペクトルを有した発光が得られる。
よって、このセンサによれば、光を照射することで、試験片の表層を構成する物質と表層の内側を構成する物質のスペクトルを、一の試験片から得ることが可能となる。例えば、試験片を生体物質由来の脂肪細胞とした場合、表層を構成する細胞膜と、当該細胞膜に覆われた脂肪細胞のスペクトルデータの両者を容易に得ることが可能となる。
本発明によれば、厳密な精度設計の不要な光学系の下で、生体物質の検査も可能な検査方法が実現できる。また、本発明のセンサによれば、上記のような検査方法を用いた検査に適したセンサが実現できる。
本発明のセンサの構造を模式的に示す図面である。 本発明の検査方法を説明するための概念図である。 本発明のセンサの性能を検証するための測定装置の概念図である。 センサに対してローダミン6G色素を担持させたときの、保護層の厚みと光増強度の関係をプロットした結果を示すグラフである。 センサに対してフクシン色素を担持させたときの、保護層の厚みと光増強度の関係をプロットした結果を示すグラフである。 実施例2と比較例1の受光部で受光された光のスペクトル分布を比較したグラフである。 実施例3と実施例1の各センサに励起光を照射した際に受光部で受光されたラマンスペクトルを示すグラフである。 脂肪組織をセンサ上(又は基板上)に載置して光を照射した際に受光部で受光されたラマンスペクトルを示すグラフである。 試験片としての脂肪組織などの細胞試料を光増強素子上(センサ上)に載置した際の模式図である。 実施例5及び比較例3において受光された蛍光強度を比較したグラフである。 本発明の第2実施形態のセンサの構造を模式的に示す図面である。 実施例6と比較例4の各センサに励起光を照射した際に受光部で受光された光のスペクトル分布を比較したグラフである。 実施例7と比較例5の各センサに励起光を照射した際に受光部で受光された光のスペクトル分布を比較したグラフである。 実施例8と実施例9の各センサに励起光を照射した際に受光部で受光されたラマンスペクトルを示すグラフである。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
〈センサ構造〉
図1は、本発明の検査方法に利用されるセンサの構造を模式的に示す図面である。センサ1は、基板7、増強電磁場形成層9及び保護層11を備えて光増強素子を構成している。そして、検査対象となる試験片5を保護層11の上面に載置して、検査を行う。
基板7の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂などを用いることができる。なお、後述するように、センサ1の作製工程において加熱処理(例えば100℃以上の加熱)が行われる場合には、例えばガラス、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有するものであることが好ましい。
増強電磁場形成層9は、基板7の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子10が分散配置されて構成されている。基板7の表面上における金属微粒子10の配列方法については、二次元的にランダムに配列された構成であっても、規則的に配列された構成であっても構わない。
増強電磁場形成層9を構成する金属微粒子10としては、例えばAgを好適に用いることができるが、励起光の照射により励起されて局在表面プラズモン効果を実現し得るものであれば、Au、Al、Cuなどの他の材料を利用することもできる。また、この金属微粒子10の形状としては、例えば扁平な半球形状、平板状の形状など、形状異方性を有するものを好適に用いることができる。なお、多数の金属微粒子10は、いずれも均一の大きさ及び形状を備えていることが望ましいが、大きさや形状に多少のばらつきがあっても構わない。
また、金属微粒子10の粒径としては、励起光の波長以下の大きさであることが好ましい。ここで、本明細書において「粒径」とは、顕微鏡法による投影面積円相当径をいう。具体的には、次のようにして求められる。センサ1の表面における任意に選ばれる領域について、長さ2μmの線分が長さ6cmに拡大(倍率30000倍)されるよう観察される走査型電子顕微鏡の視野領域(例えば1.5μm×2μm)を撮像領域として、センサ1における当該領域の二次電子像を得る。このとき、明るさの指標(256段階)が100程度以上の金属微粒子の各々について、金属微粒子10の面積と同一面積の真円の直径が当該金属微粒子10の粒径として得られる。
なお、金属微粒子10の粒径は、例えば5〜300nmの範囲内であり、厚みは例えば5〜70nmの範囲内である。また、増強電磁場形成層9を構成する金属微粒子10の密度は、例えば10〜1011個/cm程度とすることができる。
このような増強電磁場形成層9の形成方法の一例としては、基板7の表面に金属微粒子10の前駆体が適宜の溶媒に分散された分散液をスピンコート法により塗布して加熱する方法を用いることができる。また、別の方法としては、基板7の表面に金属微粒子10の前駆体をディッピングして加熱する方法、基板7の表面に金属微粒子10を真空蒸着する方法、基板7の表面に金属微粒子10をスパッタ蒸着する方法などを用いることができる。
そして、センサ1において、隣接する金属微粒子10間において露出される基板7の表面を含む増強電磁場形成層9の上層には保護層11が形成されている。保護層11を構成する材料としては、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ボロン、酸化リン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛などを用いることができる。
保護層11の平均厚さは、例えば50〜250nmであることが好ましい。特に、保護層11の厚さが85nm以上であることにより、試験片5が生体物質のようなハロゲン化物イオン(例えばCl)を含有する場合であっても、金属微粒子10に対する十分な耐性(保護機能)が得られる。
このようなセンサ1は、例えば以下の方法により作製される。まず、基板7の表面上に金属ナノ粒子膜を形成し、これを加熱処理することにより粒状性を変化させ、これにより、粒径が所定範囲内にある金属微粒子10による増強電磁場形成層9を形成する。このとき、形成すべき金属微粒子10の粒径は、加熱処理条件を適宜変更することにより調整できる。
次に、隣接する金属微粒子10間において露出される基板7の表面部分を含む増強電磁場形成層9の表面上に、蒸着法により、金属微粒子10を起点として保護層を厚さ方向に成長させることにより柱状組織構造を有する保護層11を形成する。保護層11の厚さは、成長条件、時間を適宜変更することにより調整できる。また、保護層11の形成方法としては、高周波(RF)スパッタ蒸着法、電子線蒸着法、又は電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ蒸着法などの方法を適宜選択して利用できる。
〈センサ1の使用方法〉
次に、本実施形態のセンサ1を用いて試験片5の検査を行う方法について説明する。図2は、検査方法を説明するための概念図である。なお、ここでは、試験片5が載置されたセンサ1に対して励起光を照射し、試験片5から放射されるラマン散乱光を受光してスペクトル分析を行う方法について説明する。
本実施形態では、検査に際し、センサ1の基板7の裏側(試験片5が載置された側とは反対側)から励起光を照射するための光源部41及び、試験片5からの発光を受光するための受光部43を利用する。光源部41は、励起光源50、フィルタ51、ミラー61を備える。受光部43は、フィルタ53、分光器55及び光検出器56を備える。また、図2においては、光源部41からの励起光を透過し、試験片5からの発光を反射するハーフミラー62を備える構成としている。また、集光レンズ52は、光源部41からの励起光の集光や試験片5からの発光の集光の目的で設置されている。図2に示す装置構成は、あくまで一例であって、この構成に限定されるものではない。
試験片5を保護層11上に載置した状態で、光源部41から励起光をセンサ1に向けて入射させる。入射された光により、センサ1の増強電磁場形成層9において生成したプラズモン電場が、保護層11の上面に載置された試験片5に伝搬する。これにより、試験片5に対して強い励起光が及ぼされ、試験片5から高い出力のラマン散乱光が放射される。このラマン散乱光は、ハーフミラー62で反射されて受光部43にて受光される。受光部43の分光器55によって波長分解されて、光検出器56によって受光した光のスペクトル分布が得られる。
試験片5として細胞膜を含む生体物質を想定する。このとき、多数の金属微粒子10によって形成される増強電磁場形成層9は、試験片5の内部、すなわち細胞膜の内側への励起光の侵入を抑制し、また部分的に細胞内部まで侵入した励起光による非増強ラマン散乱光のフィルタとしても働くため、非増強ラマン信号を二重に防ぐ重要な役割を同時に果たす。
また、増強電磁場形成層9によって形成された増強電磁場は、電磁場伝搬性を有する保護層11を介して、生体物質の表層、すなわち細胞膜近傍の分子種を選択的に励起し、これにより細胞表面(細胞膜)のラマン信号が選択的に得られる。このようにして生じる増強ラマン散乱光は増強電磁場形成層9と光学的に強く結合しているため、増強電磁場形成層9はこの散乱光を試験片5の裏側に配置された受光部43に効率よく導き、もってこれらの相乗効果により強いラマン信号を与える。
〈センサ1の性能についての説明〉
以下、本発明のセンサ1が備える増強電磁場形成層9によって、光増強効果が実現できる点につき、実施例を参照しながら説明する。
(実施例1)
まず、実施例1のセンサ1の作製方法につき説明する。基板7として数cm角の大きさのスライドガラスを用い、このスライドガラスの表面上に、Agを10nm程度の厚みで蒸着させて金属微粒子10を形成するためのAg膜を形成した。その後、約100℃のホットプレート上で、Ag膜が形成された基板7を数分間加熱処理することにより、Ag膜の粒状性を変化させて増強電磁場形成層9としての多数の金属(Ag)微粒子10によるAg微粒子単層膜を形成した。得られたAg微粒子単層膜における金属微粒子10の粒径は、50〜150nmの範囲内にあり、厚さは平均で約20nmであり、金属微粒子10の密度はおおよそ5×10個/cmであった。
その後、RFスパッタ装置「RFS−200型」(Ulvac社製)を用いて、酸化ケイ素(SiO)をターゲットとして下記条件でスパッタを行うことにより、隣接する金属微粒子10間において露出される基板7の表面部分を含む増強電磁場形成層9の表面上に保護層11を形成することでセンサ1を作製した。なお、保護層11の厚さは、スパッタ時間を適宜に変更することにより調整した。
スパッタ条件は以下のとおりである。
・ターゲットから増強電磁場形成層9の表面までの離間距離:45mm
・雰囲気:Ar 3.0Pa(放電時)
・放電出力:100W
・RF周波数:13.6MHz
・保護層11の成長速度:8.5nm/分
次に、実施例1として作製されたセンサ1に対する性能検証方法について説明する。ここでは、センサ1が光増強効果を有することを示す目的で、蛍光の増強効果の検証を行う。すなわち、センサ1に対し、保護層11の表面上にローダミン6G色素(Rh6G:発光量子収率およそ1)の希薄エタノール溶液を3000回転でスピンコートすることにより、色素分子を保護層11の表面上に担持させた。センサ1の表面に担持される色素分子の密度とスピンコートに用いた溶液の色素濃度との関係は、ローダミン6G色素の濃度が1μMである場合に、色素分子の担持量が3×1011個/cmである。
なお、発光量子収率Φとは、分子に吸収された光子数と蛍光により放出された光子数の比で定義される(数1参照)。ここでkが電子励起状態にある分子の蛍光遷移速度定数であり、knrが無輻射遷移速度定数(単位時間当たりに消光を起こす速さ)である。
(数1)
Φ=k/(k+knr
励起された分子のすべてが蛍光によって基底状態に戻れば、発光量子収率は1となり、この値に近い発光量子収率を持つ物質を「発光量子収率の高い物質」と呼ぶ。しかし、実際には、無輻射遷移によって1とはならない。無輻射遷移とは、蛍光を発しないで基底状態に戻る遷移である。発光量子収率が低い色素とはk<knrである色素のことである。なお、k<<knrの条件ではほとんど発光せず、このような条件を満たす色素を非発光性色素と呼ぶ。
センサ1に対して励起光を照射して試料(色素分子)から発せられる光の強度を図3に示す測定装置により測定した。図3は、センサ1の性能を検証するための測定装置の概念図である。励起光源50としてのダイオードレーザ及びフィルタ51によって光源部41を構成し、光源部41からセンサ1に対して光を入射させ、保護層11の表面上に担持させた色素分子からの光を受光部43によって受光する。受光部43は、集光レンズ52、フィルタ53、受光ヘッド54及び光検出器55(電子冷却型ダイオードアレイ検出器)によって構成した。
より詳細には、励起光源50としては、出力1mW未満の緑色ダイオードレーザ(波長532nm)を用い、この励起光源50からの射出光を、フィルタ51を介して非集光(エネルギー密度約30mW/cm)又は反集光(エネルギー密度約10mW/cm以下)励起光としてセンサ1に対して、約45°の角度で入射させる。そして、センサ1に担持された色素分子による90°の角度方向に散乱される光を、集光レンズ52によって、光検出器55の受光ヘッド54にフィルタ53を介して集光した。
図3に示す測定装置による測定結果を図4に示す。図4において、縦軸は発光の増強度(単位:倍)を示しており、増強効果がないガラス基板上に担持された同じ量の色素について同じ方法で測定された発光強度に対する相対比率に対応する。
また、試料としてローダミン6G色素に代えて非発光性のフクシン色素(発光量子収率<<0.01)を用い、保護層11の表面上に3×1012個/cmの密度で担持させ、上記と同様の方法により発光強度を測定した。この測定結果を図5に示す。
図4及び図5によれば、色素自体の発光量子収率とは関係なく、保護層11の膜厚を200nm以上としても高い発光増強率が維持されていることが分かる。特に、発光量子収率が0.01未満、すなわち非発光性の色素に対しては、数千倍以上の光増強率が確保されていることが分かる。これにより、金属微粒子10の上層に、所定の膜厚の保護層11を形成しても、その上面にまで発光増強効果を伝搬できることが分かる。
すなわち、センサ1によれば、分子発光双極子と双極子型表面プラズモン(局在表面プラズモン)の相互作用により、結果的に色素の輻射遷移速度k(上記数1参照)が大きくなる。これにより、k>>knrとなるため、上式の発光量子収率が大きくなり、もともとは発光量子収率が0.01以下の非発光性物質(k<<knr)である色素でも光を強く発するようになることが分かる。
なお、別の検証として、励起光源50として、ダイオードレーザに代えて出力1mW未満のHe−Neレーザ(波長632.8nm)を用いた他は、図3と同じ配置でローダミン6G色素のラマン散乱強度を保護層11の厚さの関数として測定した。この結果、保護層11の膜厚が200nmを超えても、色素分子が直接に金属微粒子10に表面に吸着した場合に得られた信号と変わらない大きさの増強ラマン信号(増強度は約10倍)が得られた。
このように増強効果が保護層11の膜厚程度分程度を伝搬する理由の一つとしては、以下の点が考えられる。蒸着により配向性を持った誘電体で形成された柱状の保護層11中では、プラズモン電場が乱されず、損失を受けずに保護層11の表面にまで達する。従って、保護層11の厚さをある程度大きくした場合であっても、金属微粒子10に生ずる電磁場(局在表面プラズモン)が保護層11の表面に伝達される。
つまり、図2に示すように、保護層11の表面に生体物質からなる試験片5を載置して励起光を照射することで、試験片5の表層部に対して増強電磁場の影響が及び、これにより、試験片5の表層部を構成する物質、すなわち細胞膜由来のスペクトルを強く含む光が放射される。受光部43でこの発光を受光してスペクトル分布を得ることで、細胞膜の分析が行える。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により作製されたセンサ1に対し、フクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。より詳細には、保護層11の上面にフクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。
(比較例1)
基板7に対し、実施例2と同様にフクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。
そして、実施例2及び比較例1のそれぞれの素子に対し、図3に示す測定装置によって励起光を入射させて、受光部43で得られた光のスペクトル分布を調べた結果を図6に示す。なお、図6において、横軸は光の波長、縦軸は発光強度を表している。
図6を参照すると、実施例2の構成によれば、非発光性の標識物質であるフクシン色素は、増強電磁場形成層9によって生じる局在プラズモンとの保護層11を介した相互作用で発光量子収率が向上し、それに伴ってフクシン色素が発する光の光量が著しく増加していることが分かる。これに対し、比較例1の構成によれば、発光の増強効果はない。これにより、本発明のセンサ1が極めて高い発光増強効果を有していることが分かる。
〈別構成のセンサ1の性能についての説明〉
センサ1が有する保護層11に予めハロゲン元素を含有させても構わない。保護層11に対してハロゲン元素を含有させる方法としては、保護層11が形成されたセンサ1に対してハロゲン化物塩の水溶液に浸漬する方法を用いることができる。例えば、ハロゲン化物塩水溶液の濃度が0.1〜0.3mol/Lの場合には、5〜30分間程度の室温浸漬により最大の効果を得ることができるが、水溶液の濃度がそれより高い場合、あるいは逆に低い場合には、その濃度に応じて浸漬時間を調整することにより同等の効果を得ることができる。なお、保護層11におけるハロゲン元素の含有割合は、0.002質量%〜0.05質量%であることが好ましい。
なお、上記ハロゲン化物塩の具体例としては、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、臭化ナトリウム(NaBr)、ヨウ化カリウム(KI)などのアルカリ金属塩や、塩化カルシウム(CaCl)などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
このように予めハロゲン化物塩水溶液にセンサ1を浸漬させた場合においても、多数の金属微粒子10はその周囲及び上方を保護層11で覆われているため、ハロゲン化物イオンが直接金属微粒子10に接触して、金属微粒子10がハロゲン化物イオンと反応して基板7から離脱してしまうということがない。そして、このように保護層11に予めハロゲン元素を含有させることで、後述の実施例に示すように、光増強効果を更に高めることができる。
(実施例3)
実施例1と同様の方法を用い、RFスパッタ装置による処理時間を調整して、厚さが100nmの保護層11を有するセンサ1を作製した。その後、塩化物イオンの濃度が0.2〜0.3mol/Lである塩化ナトリウム水溶液中に、増強電磁場形成層9及び保護層11が形成された基板7を約30分間浸漬させ、その後、純水で洗浄して乾燥することにより、保護層11中にハロゲン化物イオンを含有させて、本実施例のセンサ1とした。この方法で得られた光増強素子における保護層に含有されたハロゲン元素の含有割合は正確には決定することが難しいが、およそ0.01質量%のオーダーと推定される。そして、このセンサ1の保護層11の上面に、ローダミン6G色素の希薄エタノール溶液を3000回転でスピンコートすることにより、色素分子を保護層11の表面上に3×1011個/cmの密度で担持させた。
なお、比較のために、塩化ナトリウム水溶液に浸漬させなかった以外は同様の方法でセンサ1についても作製した。なお、このセンサ1は実施例1の素子に対応する。
そして、実施例3及び実施例1のセンサ1に対し、励起光を照射して試料(色素分子)から発せられるラマン散乱光の強度を、ダイオードレーザ50に代えて出力1mW未満のHe−Neレーザ(波長632.8nm)を励起光源として用いた他は、図3と同じ測定装置により測定した。この結果を図7に示す。なお、図7のグラフでは、縦軸はラマン散乱強度(cps)を示し、横軸はラマンシフト(cm−1)を示す。
図7では、実施例3と実施例1のそれぞれのセンサ1に対して、ラマン散乱光の強度を比較した。これは、ラマン散乱光自体の強度が蛍光の強度よりも小さいため、両者の光増強効果を比較する上での比較のしやすさを考慮して行われたものである。ハロゲン化物イオンを浸漬した実施例3の方が、ハロゲン化物イオンを浸漬しなかった実施例1よりも顕著なラマン信号が観測されており、光の増強効果が更に高いことが示唆される。
図7における、ハロゲン化物イオンを浸漬しなかった実施例1のセンサ1においても、図4及び図5を参照して上述したように、発光の強度を極めて高くする効果は得られている。またハロゲン化物イオンを浸漬した実施例3では、実施例1よりも更に発光増強効果が高くなっていることが示唆される。
なお、実施例3では、塩化物イオンの濃度が0.2〜0.3mol/Lである塩化ナトリウム水溶液を浸漬させたが、これに代えて、塩化物イオンの濃度が0.2mol/Lである塩化カリウム水溶液を浸漬させて形成した素子、臭化物イオンの濃度が0.2mol/Lである臭化ナトリウム水溶液を浸漬させて形成した素子、ヨウ化物イオンの濃度が0.2mol/Lであるヨウ化カリウム水溶液を浸漬させて形成した素子、塩化物イオンの濃度が0.2mol/Lである塩化カルシウム水溶液を浸漬させて形成した素子についても、同様の測定を行った結果、実施例3と同様に高いラマン散乱光を受光できた。一方、塩化ナトリウム水溶液の代わりに硫酸イオンの濃度が0.2mol/Lである硫酸ナトリウム水溶液を浸漬させて形成した素子について同様の測定を行ったところ、受光したラマン散乱光の強度は低いものであった。このことから、保護層11にハロゲン元素を添加した場合に、光増強効果を更に高められることが分かる。
〈センサ1を用いた検査例〉
以下、上述したセンサ1の使用方法に基づいて行った試験片5の検査結果について説明する。
(実施例4)
本発明のセンサ1を用い、この保護層11の上面に試験片5としてのWistarラット(8週齢、雌)の脂肪組織を載置し、図2と同様の方法によって、光源部41より励起光を照射して試験片5からのラマンスペクトルを測定した。
計測条件は以下のとおりである.
・計測装置:DXR−Smart Raman
・励起光波長:632.8 nm
・励起光強度:4mW
・励起光径:φ10μm
・励起光照度:50μW/μm = 5KW/cm
・計測条件:毎回2秒間の露光を間欠的に16回行う。
(比較例2)
基板7の上面に試験片5としてのWistarラット(8週齢、雌)の脂肪組織を載置し、実施例4と同様に、光源部41より励起光を照射して試験片5からのラマンスペクトルを測定した。
実施例4及び比較例2におけるラマンスペクトル計測結果を、図8に示す。図8のグラフでは、縦軸はラマン散乱強度(cps)を示し、横軸はラマンシフト(cm−1)を示す。なお、脂肪組織の切片試料を、顕微ラマン分光器により計測したスペクトルを「文献値」として併せて載せている。この計測条件等は、例えばT. Minamikawa et al., Histochem Cell Biol. 139 (1), 181-93(2013)に記載されている。
基板7の上に直接試験片5を載置させた比較例2におけるスペクトルは、文献に記載のスペクトルとピークの位置が比較的よく一致している。これに対し、本発明のセンサ1上、より詳細には保護層11上に試験片5を載置させた実施例4におけるスペクトルは、比較例2及び文献値と比較して、異なる位置にラマンシフトのピークが見られた。つまり、同じように脂肪組織の切片試料を載置して励起光を照射し、ラマン散乱光のスペクトルを計測したにも関わらず、センサ1の保護層11の上面に脂肪組織を載置した実施例4と、基板7の上面に脂肪組織を載置した比較例2では、スペクトルのピークの位置に違いが生じている。このことより、以下の内容が推察される。
図9は、試験片5としての脂肪組織などの細胞試料を光増強素子上(センサ1上)に載置した際の模式図である。脂肪組織を構成する脂肪細胞71は、10nm程度の細胞膜73を有している。そして、脂肪細胞71は、この細胞膜73の内側に脂肪滴を含む細胞質74を有する。なお、実際には細胞膜73の内側には細胞質74の他に細胞核等も含まれるが、細胞質74よりも占有領域が小さいので、ここでは便宜上細胞質74のみを採り上げて説明する。なお、細胞質74は径がφ100μm程度であり、細胞質74を覆う細胞膜73は、厚みが10nm程度である。
増強電磁場形成層9による発光増強効果は、保護層11を介して保護層11の表面近傍領域に対して伝搬されるが、保護層11の表面から大きく離れた箇所には伝搬しない。図9に示すように、脂肪細胞71は、保護層11の表面近傍に10nm程度の厚みの細胞膜73を有している。このため、実施例4では、図8に示すように、細胞膜73由来のラマン散乱光がその内側の細胞質74由来のラマン散乱光に比べて、著しく高く増強された結果、ほぼ同じピーク位置を示しているものと考えられる。
これに対し、基板7上に試験片5を直接載置した比較例2の場合、細胞膜73由来のラマン散乱光とその内側の細胞由来のラマン散乱光が得られることになる。ここで、集光レンズ52による励起光の集光程度、試験片5内での光の拡散程度、又はラマン散乱光の集光レンズ52による集光程度などを考慮すると、基板7上に載置された細胞試料では、約10μmの光路からのラマン散乱光を計測していると考えられる。
上述したように、細胞膜73の内側には細胞質74が大半を占有していることから、細胞試料内の10μm分の光路を考えると、10nmが細胞膜73に対応し、残りの9990nmは細胞質74に対応すると考えることができる。よって、細胞膜73のラマン散乱光強度は、細胞質74のラマン散乱光強度に対して約1/10000程度となる。これにより、比較例2で得られたラマン散乱光は、細胞質74のラマン散乱光が主成分であると考えられる。このことは、図8において、比較例2のピーク値が異なっている上、そのピーク値と文献値がほぼ等しくなっていることとも整合する。
なお、図8において、実施例4のピークレベルと比較例2のピークレベルが同等の値を示しているのは、以下の理由によるものと考えられる。
増強電磁場形成層9による発光増強効果が伝搬するのは、保護層11の表面から約10nm程度の位置であると考えられる。このことは、実施例4において、図8において、いずれも細胞膜73由来のラマンスペクトルが強く確認されていることからも理解される。その際の、ラマン散乱光の増強度は約10〜10倍である。
図2を参照して上述したように、光源部41より基板7の裏側より励起光(波長:632.8nm)を照射している。そして、本発明のセンサ1は、基板7の上に増強電磁場形成層9及び保護層11を有しているため、基板7のみで構成される場合よりも光透過率が低下する。本発明のセンサ1の、波長600〜800nmにおける光の透過率は、基板7の同透過率の約10%である。
そして、比較例2の場合、上述したように分析深さが約10μmである。このことから、比較例2に対する実施例4で得られるラマン散乱光の増強度は、(分析深さの違い)×(増強度)×(透過率)=(10nm/10000nm)×(10〜10倍)×(1/10)=10倍程度となる。
更に、実際の実験では、センサ1の上面と試験片5が完全には密着せず、保護層11の上面と細胞膜73の距離が数nm程度離れてしまっているなどの問題により、上記「10倍」よりも小さい値となる。この結果、センサ1の上面に載置した試験片5のラマンスペクトルの強度が、基板7の上面に載置した試験片5のラマンスペクトルの強度と同程度になったものと推測される。
ただし、このことは、増強電磁場形成層9を含む本発明のセンサ1が、基板7に直接試験片5を載置した場合と比較して発光増強効果を有していないことを示すものではない。本発明のセンサ1は、特に保護層11の表面近傍でのラマン散乱光を極めて高く増強させる効果を有しており、これによって、ラマン散乱光のスペクトル分析を行うことで、試験片5の表層部の検査に利用できるというものである。
(実施例5)
本発明のセンサ1を用い、この保護層11の上面に試験片5としてのMCF−7細胞株(ヒト乳癌由来)を載置し、DiI(Molecular probes、Cell Tracker(登録商標)CM−DiI)色素で標識した。そして、図3において、光検出器56として正立型共焦点レーザ顕微鏡(FV1000、Olympus社)を用い、水浸型対物レンズ(Olympus社、LUMFL N、60倍、NA1.10)を通して光源部41からHe−Neレーザ光(543nm)を試験片5に照射して、試験片5に標識された色素からの発光を受光した。
より詳細には、MCF−7細胞を培養ディッシュ上でDME培養液(ダルベッコ変法イーグル培地)を用いサブコンフレントになるまで培養した。その後、プラスチック培養ディッシュ(BD Falcon(登録商標)、353001、直径35nm)上に設置したセンサ1へ細胞総数2×10個継代した。
48時間後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で培養液を洗浄後、2mLのPBSで満たした培養ディッシュに対してDiI色素を1μmolの濃度になるよう滴下し、15分間インキュベート(37度、5%CO)した。
その後、5分間冷蔵庫内(4℃下)に静置した後、上記方法によって励起光を照射して、試験片5の標識色素からの発光を測定した。測定には、正立型共焦点レーザ顕微鏡を用い、水浸型対物レンズを通して励起光を照射し、高さ方向に走査した。発生した蛍光のうち、共焦点ピンホール(開口径110μm)を透過し、フィルタ53により560nm以上660nm以下の波長範囲を検出対象とした。
(比較例3)
基板7の上面に試験片5を載置した点を除けば、実施例5と同様である。
図10に実施例5及び比較例3の結果を示す。図10において、横軸は走査変位(μm)であり、保護層11の表面(実施例5)又は基板7の表面(比較例3)からどれだけの距離離れているかを示している。また、縦軸は発光(蛍光)強度を示している。図10によれば、比較例3に比べて実施例5の蛍光強度は約2倍になっており、蛍光スペクトルの計測が容易になっていることが示唆される。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態のセンサ1aの構造を模式的に示す平面図である。なお、図11では、説明の都合上、保護層11の図示を省略している。このセンサ1aは、第1実施形態で上述したセンサ1と同様に、基板7、増強電磁場形成層9及び保護層11を備える構成である。ただし、基板7上に、増強電磁場形成層9が形成されている領域(第1領域20)と、増強電磁場形成層9が形成されていない領域(第2領域21)が存在する点が異なる。つまり、第1領域20上においては、第1実施形態で上述したセンサ1と同様に、基板7上に多数の金属微粒子10からなる増強電磁場形成層9が形成され、その上層に保護層11が形成されている。一方、第2領域21上においては、基板7上には増強電磁場形成層9が存在せず、単に保護層11が形成されているのみである。
このようなセンサ1aを用いて検査を行う場合も、図2と同様に、センサ1aの表面に試験片5を載置し、光源部41から励起光を照射して、受光部43によって試験片5からのラマン散乱光又は蛍光を受光して分析する。ここで、試験片5は、センサ1aの第1領域20と第2領域21にまたがるように保護層11の表面に載置される。
このように試験片5を載置したことで、上述したように、第1領域20上においては、保護層11の表面近傍の発光強度が増強される結果、主として試験片5の表層部由来の発光が受光部43によって受光される。一方、第2領域21上においては、発光強度の増強効果が存在しないため、主として試験片5の内部組織由来の発光が受光部43によって受光される。よって、このようなセンサ1aによれば、一の試験片5から、試験片5の表層部と内部組織の両者の検査が可能になる。具体的には、図9(a)のように、試験片5として脂肪細胞71を用いた場合には、第1領域20上に載置された部分からは主として細胞膜73由来の発光スペクトルが受光され、第2領域21上に載置された部分からは主として細胞質74由来の発光スペクトルが受光される。これにより、試験片5に対する検査対象を拡げることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。
本発明のセンサ1を用いて試験片5からの蛍光強度を得る場合において、上述した実施例1〜3、及び実施例5では標識色素を用いて、当該色素からの発光を受光することを想定して説明した。しかし、試験片5自体に自家発光性が存在する場合には、上記のような色素標識を行わなくても構わない。
(実施例6)
実施例1と同様の方法により作製されたセンサ1の保護層11の上面に、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンの水溶液をスピンコートした。
(比較例4)
基板7に対し、実施例6と同様に、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンの水溶液をスピンコートした。
(実施例7)
実施例1と同様の方法により作製されたセンサ1の保護層11の上面に、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンの水溶液をスピンコートした。
(比較例5)
基板7に対し、実施例7と同様に、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンの水溶液をスピンコートした。
実施例6及び比較例4のそれぞれの素子に対し、図3に示す測定装置によって励起光を入射させて、受光部43で得られた発光のスペクトル分布を調べた結果を図12に示す。同様に、実施例7及び比較例5のそれぞれの素子に対し、図3に示す測定装置によって励起光を入射させて、受光部43で得られた発光のスペクトル分布を調べた結果を図13に示す。なお、図12及び図13において、横軸は光の波長、縦軸は発光強度を表している。
図12を参照すると、実施例6の構成によれば、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンは、増強電磁場形成層9によって生じる局在プラズモンとの保護層11を介した相互作用で発光量子収率が向上し、それに伴って生体高分子コラーゲンが発する光の光量が著しく増加していることが分かる。これに対し、比較例4の構成によれば、発光の増強効果はなく、自家発光性の生体高分子コラーゲンからの発光を受光することによる分析が困難であることが示唆される。
同様に、図13を参照すると、実施例7の構成によれば、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンは、増強電磁場形成層9によって生じる局在プラズモンとの保護層11を介した相互作用で発光量子収率が向上し、それに伴ってリボフラビンが発する光の光量が著しく増加していることが分かる。これに対し、比較例5の構成によれば、発光の増強効果はなく、自家発光性のリボフラビンからの発光を受光することによる分析が困難であることが示唆される。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態におけるセンサは、上述した各実施形態のセンサ1が備える保護層11を、結晶性(配向性)を有する有機物の重合体で構成した点のみが異なり、他は共通である。
なお、この有機物の重合体としては、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系重合体、ポリビニルアルコールなどを利用することができる。この場合、保護層11の形成方法としては、保護層形成液をスピンコート法、デイップコート法、スプレーコート法、スリットコート法、バーコート法などを用いて基板7に滴下又は塗布することで実現できるが、スピンコート法は厚さが最も均一な保護層11を形成する方法として好適に用いることができる。
なお、この保護層11にハロゲン元素を含有させる場合、保護層形成液としては、溶媒中に所定の重合体およびハロゲンの金属塩を溶解させることにより、或いは溶媒中に所定の重合体が溶解されてなる重合体溶液と、溶媒中にハロゲンの金属塩が溶解されてなる金属塩溶液とを混合することにより、調製することができる。
保護層形成液を調製するための溶媒としては、用いられる重合体および金属塩に応じて適宜選択される。具体的には、用いられる重合体および金属塩を溶解し得るものであればよい。例えば、重合体としてポリビニルアルコール等の水溶性のものを用いる場合には、溶媒として水を用いることができる。また、重合体として水に不溶な重合体例えばポリメチルメタクリレートを用いる場合には、重合体溶液を調製するための溶媒として例えばシクロヘキサノンを用いると共に、金属塩溶液を調製するための溶媒として水とアセトンとの混合溶媒を用い、重合体溶液と金属塩溶液とを混合することによって、保護層形成液を調製することができる。
保護層形成液中における重合体の含有割合は、上記塗布方法と目的とする保護膜の厚さとの組合せによって決定される。例えばスピンコート法(3000rpm)を用いてポリビニルアルコール膜をその水溶液から形成する場合において、膜厚を100nmに調整するために必要な重合体の含有割合は約4.5質量%である。保護層形成液中における金属塩の割合は、目的とする保護層11中のハロゲン元素の含有割合や、保護層形成液中の重合体の含有割合に応じて設定される。
(実施例8)
実施例1と同様の方法で、基板7上に増強電磁場形成層9としての多数の金属(Ag)微粒子10によるAg微粒子単層膜を形成した。
また、純水中に、5質量%のポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製、重合度約500)、及び0.2mmol/Lの塩化ナトリウムが溶解されてなる保護層形成液を調製した。その後、スピンコート法によって、基板7の表面に、調製した保護層形成液を塗布して約60℃で乾燥すると共に結晶化を促すことにより、基板7の表面部分を含む増強電磁場形成層9の表面上に保護層11を形成することでセンサ1を作製した。なお、保護層11は、結晶度が50%以上で厚さが110nmであった。
そして、この保護層11の上面に、ローダミン6G色素の希薄エタノール溶液を3000回転でスピンコートすることにより、色素分子を保護層11の表面上に3×1011個/cmの密度で担持させた。
(実施例9)
保護層形成液を、以下のようにして調製されたものに変更したこと以外は、実施例6と同様にして光増強素子を製造した。すなわち、シクロヘキサノン(和光純薬工業(株)製)中に3質量%のポリメチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)が溶解されてなる重合体溶液を調製した。一方、純水とアセトンとが質量比で1:1の割合で混合されてなる混合溶媒中に、20mmol/Lの塩化ナトリウムが溶解されてなる金属塩溶液を調製した。そして、重合体溶液と金属塩溶液とを容量比9:1で混合することにより、保護層形成液を調製した。
そして、図7と同様の方法により、実施例8及び実施例9のセンサ1に対し、励起光を照射して試料(色素分子)から発せられるラマン散乱光の強度を測定した。この結果を図14に示す。図7と同様に、図14のグラフにおいても、縦軸はラマン散乱強度(cps)を示し、横軸はラマンシフト(cm−1)を示す。図14のグラフより、保護層11を有機物の重合体で構成した場合であっても、強いラマン散乱信号が確認できており、保護層11の上面に光増強効果が伝搬できていることが分かる。
つまり、本実施形態のように、センサ1を有機物の重合体で構成した保護層11を有する構成とし、この保護層11の上面に、試験片5として細胞膜を有する生体物質を載置して光源部41から励起光を照射して、試験片5からのラマン散乱光又は蛍光のスペクトルを分析することで、第1実施形態と同様に試験片5の細胞膜の検査を行うことが可能である。
なお、実施例8及び実施例9では、いずれも保護層11にハロゲン元素を含有した構成としたが、保護層11として、ハロゲン元素を含有せずに有機物の重合体で構成しても構わない。
[別実施形態]
上記の各実施形態において、センサ1を、高反射層および誘電体層を更に具えた多層構造を有する構成としてもよい。このような構造のものにおいては、基板7の表面上に高反射層および誘電体層がこの順で形成され、誘電体層の表面上に増強電磁場形成層9が形成される。
1,1a : センサ
5 : 試験片
7 : 基板
9 : 増強電磁場形成層
10 : 金属微粒子
11 : 保護層
20 : 第1領域
21 : 第2領域
41 : 光源部
43 : 受光部
50 : 励起光源
51 : フィルタ
52 : 集光レンズ
53 : フィルタ
54 : 受光ヘッド
55 : 分光器
56 : 光検出器
61 : ミラー
62 : ハーフミラー
71 : 脂肪細胞
73 : 細胞膜
74 : 細胞質

Claims (6)

  1. 細胞膜を含む試験片の検査方法であって、
    基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
    前記保護層の上面に検査対象となる前記試験片を載置する工程(b)、
    前記光増強素子に励起光を照射する工程(c)、
    及び、前記試験片からの発光を受光して発光スペクトルを測定する工程(d)を有することを特徴とする検査方法。
  2. 前記工程(c)が、前記試験片が載置された側とは反対側から前記光増強素子に励起光を照射する工程であることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記試験片からの発光が、ラマン散乱光又は蛍光であることを特徴とする請求項2に記載の検査方法。
  4. 前記保護層は、前記多数の金属微粒子に関連して配向性を有する無機物質、又は配向性を有する有機物の重合体で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査方法。
  5. 前記保護層は、ハロゲン元素を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査方法。
  6. 細胞膜を含む試験片の検査に利用されるセンサであって、
    基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を構成しており、
    前記光増強素子は、前記基板上に前記増強電磁場形成層が形成され、当該増強電磁場形成層の上層に前記保護層が形成されている第1領域と、前記基板上に前記増強電磁場形成層が形成されておらず、前記保護層が形成されている第2領域とを有することを特徴とするセンサ。
JP2013106652A 2013-05-20 2013-05-20 検査方法、センサ Pending JP2014228323A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013106652A JP2014228323A (ja) 2013-05-20 2013-05-20 検査方法、センサ
PCT/JP2013/081663 WO2014188621A1 (ja) 2013-05-20 2013-11-25 検査方法、センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013106652A JP2014228323A (ja) 2013-05-20 2013-05-20 検査方法、センサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014228323A true JP2014228323A (ja) 2014-12-08

Family

ID=51933200

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013106652A Pending JP2014228323A (ja) 2013-05-20 2013-05-20 検査方法、センサ

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2014228323A (ja)
WO (1) WO2014188621A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190050856A (ko) * 2016-09-28 2019-05-13 케이엘에이-텐코 코포레이션 광학 근거리장 계측

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1606610A2 (en) * 2003-03-12 2005-12-21 Intel Corporation Chemical enhancement in surface enhanced raman scattering using lithium chloride
US20050148098A1 (en) * 2003-12-30 2005-07-07 Xing Su Methods for using raman spectroscopy to obtain a protein profile of a biological sample
JP4317989B2 (ja) * 2005-01-31 2009-08-19 独立行政法人産業技術総合研究所 分子センシング装置及びラマン散乱増強用チップ
JP5494954B2 (ja) * 2010-03-29 2014-05-21 学校法人 東洋大学 分析用基板及びその製造方法
JP5419775B2 (ja) * 2010-03-30 2014-02-19 日本電信電話株式会社 測定用基板、並びに、これを用いた生化学的結合形成および生化学的結合量の測定方法
JP5553717B2 (ja) * 2010-09-17 2014-07-16 富士フイルム株式会社 光電場増強デバイスを用いた光の測定方法および測定装置
JPWO2012086586A1 (ja) * 2010-12-22 2014-05-22 国立大学法人京都大学 ラマン散乱光増強素子

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190050856A (ko) * 2016-09-28 2019-05-13 케이엘에이-텐코 코포레이션 광학 근거리장 계측
JP2019535023A (ja) * 2016-09-28 2019-12-05 ケーエルエー コーポレイション 光近接場計測
JP7113829B2 (ja) 2016-09-28 2022-08-05 ケーエルエー コーポレイション 光近接場計測
TWI782924B (zh) * 2016-09-28 2022-11-11 美商克萊譚克公司 光學度量系統及方法
KR102488219B1 (ko) * 2016-09-28 2023-01-12 케이엘에이 코포레이션 광학 근거리장 계측
US11815347B2 (en) 2016-09-28 2023-11-14 Kla-Tencor Corporation Optical near-field metrology

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014188621A1 (ja) 2014-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11988604B2 (en) Optical microscopy with phototransformable optical labels
US20050186565A1 (en) Method and spectral/imaging device for optochemical sensing with plasmon-modified polarization
US9494779B2 (en) Optical analysis device, optical analysis method and computer program for optical analysis using single particle detection
Retolaza et al. Organic distributed feedback laser for label-free biosensing of ErbB2 protein biomarker
US20200333252A1 (en) Device and method for super-resolution fluorescence microscopy and fluorescence lifetime measurement
CN103837499A (zh) 一种基于宽带表面等离子体波的微区光谱测量装置
Yang et al. Time-gated fluorescence imaging: Advances in technology and biological applications
Oheim et al. Supercritical angle fluorescence microscopy and spectroscopy
Koenderink et al. Super-resolution imaging: when biophysics meets nanophotonics
Dey et al. Single-molecule photobleaching: instrumentation and applications
Mohsin et al. Probing the intracellular refractive index and molecular interaction of gold nanoparticles in HeLa cells using single particle spectroscopy
WO2014188620A1 (ja) センサ、検査方法
WO2014188621A1 (ja) 検査方法、センサ
WO2014188622A1 (ja) 検査方法
Zhai et al. Metallic nanofilm enhanced fluorescence cell imaging: a study of distance-dependent intensity and lifetime by optical sectioning microscopy
Chien et al. Single-molecule blinking fluorescence enhancement by surface plasmon-coupled emission-based substrates for single-molecule localization imaging
US20240094126A1 (en) Biomolecular inspection chip for fluorescence detection
Farcau et al. Surface-enhanced fluorescence imaging on linear arrays of plasmonic half-shells
US8581211B2 (en) Imaging method and system using substrate functionalization
Zhou Single upconversion nanoparticle optical characterizations for biophotonic applications
Karedla et al. Single-Molecule Metal-Induced Energy Transfer (smMIET)
Karedla et al. Discussion and Outlook
Szlazak et al. Plasmonic-based instrument response function for time-resolved fluorescence: toward proper lifetime analysis
Orrit Single‐Molecule Detection and Spectroscopy
JP2015219071A (ja) 表面増強ラマン散乱光検出を用いた単一粒子検出方法