JP2014227444A - 食器洗い機用洗浄剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)成分:脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれ、かつ、HLBが8.5以上12.0未満の非イオン界面活性剤と、(B)成分:無機過酸化物又は過酸化水素と、を含有し、(B)成分/(A)成分で表される質量比が3〜400であることを特徴とする食器洗い機用洗浄剤。
【選択図】なし
Description
食器洗い機においては、洗浄対象物を収容する洗浄槽内で、洗浄剤を含有する洗浄液又はすすぎ水が循環することで洗浄又はすすぎが行われ、各操作の後、該洗浄槽の底部に設けられた排水口に接続する排水ホースを通して洗浄液又はすすぎ水が機外へ排出される。
食器洗い機では、一般に、専用の洗浄剤(食器洗い機用洗浄剤)が用いられ、55〜65℃程度の温水が利用されている。
また、食器洗い機では、洗浄液を、ポンプを用いて吐出させている。洗浄液が泡立つと、ポンプから洗浄液が吐出されず、運転停止などの不具合を生じやすくなる。このため、食器洗い機用洗浄剤においては、低泡性であること、が求められる。
これに対して、食器洗い機用洗浄剤には、低泡性の界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが汎用されている。
しかし、最近では、前記予備洗いが省略され、直接食器洗い機によって、汚れのひどい食器等の洗浄処理が行われるようになってきている。このため、食器洗い機の洗浄対象とする汚れ量が増加している。また、汚れ量の増加に伴い、特にポリプロピレン(PP)樹脂等からなる疎水性食器(たとえば、プラスチック製容器)の洗浄においては、洗浄中に油汚れが移汚又は再付着(再汚染)しやすい環境となってきている。これに対して、特許文献1などの従来の洗浄剤を用いて、予備洗いをせずに食器洗い機による洗浄処理を行った場合、特に疎水性食器において再汚染が顕著である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低泡性を確保しつつ、洗浄対象物に対する油汚れ等の再汚染が抑制され、かつ、排水ホース内面の汚れ除去効果、及び排水ホース内の臭い低減の効果に優れた食器洗い機用洗浄剤、を課題とする。
本発明の食器洗い機用洗浄剤の剤形は、(A)成分と(B)成分とを特定の混合比率で含有するものであれば特に限定されず、粉粒状やタブレット状等の固体でもよく、液体でもよい。
(A)成分は、脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれ、かつ、HLBが8.5以上12.0未満の非イオン界面活性剤である。
本発明において「脂肪酸アルカノールアミド」とは、たとえば、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸クロリド又は油脂等と、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)と、の反応によって生成するもの、すなわち、脂肪酸モノアルカノールアミド、及び/又は、脂肪酸ジアルカノールアミドを包含する。
「ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド」とは、前記脂肪酸アルカノールアミドにオキシエチレン基が導入されたものをいう。
有機概念図におけるIOBとは、該有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、即ち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。
該有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は“Pharmaceutical Bulletin”,1954,vol.2,2,pp.163−173;「化学の領域」,1957,vol.11,10,pp.719−725;「フレグランスジャーナル」,1981,vol.50,pp.79−82などで説明されている。即ち、全ての有機化合物の根源をメタン(CH4)とし、他の化合物は全てメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環などにそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値及び無機性値を求める。そして、これらの値を、有機性値をX軸、無機性値をY軸とした図上にプロットしていくものである。この有機概念図は、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等にも示されている。
(A)成分のHLBは8.5以上12.0未満であり、8.5〜11.0が好ましい。
(A)成分のHLBが8.5以上12.0未満であれば、油/スケール複合汚れに対する洗浄力が高まるとともに、洗浄対象物に対する油汚れ等の再汚染も抑制される。
特に(A)成分のHLBが8.5以上であれば、洗浄対象物に対する油汚れ等の再汚染を抑制する効果が高い。一方、(A)成分のHLBが12.0未満であれば、洗浄時の低泡性を確保することができる。
尚、2種以上の(A)成分を用いる場合、これらの混合物のHLBは、各(A)成分のHLBの加重平均の値が8.5以上12.0未満の範囲内にあることを要するものとする。
(A)成分の融点が好ましい下限値以上であれば、洗浄時の低泡性を確保しやすくなる。一方、(A)成分の融点が好ましい上限値以下であれば、食器洗い機用洗浄剤の溶解性が高まり、洗浄後に、該洗浄剤の溶け残りが生じにくくなる。
本発明において「(A)成分の融点」は、混合比率を(A)成分/精製水=9/1(質量比)に設定した(A)成分と精製水とを、乳鉢内で混合したものを試料とし、該試料を約4mg採取し、示差走査熱量計(DSC8230D、株式会社リガク製)を用い、昇温速度3K/minの条件で測定したときに観測される吸熱ピークの最小値を示す温度とする。
モノアルカノールアミド構造を有するものとしては、たとえば、下記の一般式(a−1)で表される化合物、又は、一般式(a−2)で表される化合物が好適に挙げられる。
R1におけるアルキル基、アルケニル基の炭素数は7〜19であり、油汚れ等に対する洗浄力の点から、好ましくは炭素数が9〜17であり、より好ましくは炭素数が11〜15である。
前記式(a−2)中、nは平均繰返し数であり、油汚れ等に対する洗浄力、及び再汚染抑制の効果の点から、好ましくは3以下の数であり、より好ましくは2以下の数であり、さらに好ましくは1以下の数であり、特に好ましくは1である。
尚、一般式(a−2)で表される化合物は、nが平均繰返し数を示すことからも分かるように、(CH2CH2O)の繰返し数が異なる分子の混合物である。
これらの中でも、油汚れ等に対する洗浄力、及び、プラスチック製容器などの特に疎水性食器に対する油汚れ等の再汚染抑制の効果の点から、脂肪酸モノアルカノールアミドが好ましく、そのなかでも、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミドがより好ましく、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドが特に好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドの中では、油汚れ等に対する洗浄力、及び、プラスチック製容器などの特に疎水性食器に対する油汚れ等の再汚染抑制の効果の点から、ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミドが好ましく、そのなかでも、オキシエチレン基の平均繰返し数が1のものが特に好ましい。
(A)成分の中でも、油汚れ等に対する洗浄力、及び、(B)成分との併用による効果(排水ホース内面の汚れ除去、排水ホース内の臭い低減)の点から、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド及びポリオキシエチレン(平均繰返し数1)ミリスチン酸モノエタノールアミドからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドが特に好ましい。
食器洗い機用洗浄剤中、(A)成分の含有量は、該洗浄剤の全質量に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.5〜3質量%がさらに好ましい。
(A)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、油汚れ等に対する洗浄力が高まるとともに、洗浄対象物(特に疎水性食器)に対する油汚れ等の再汚染も抑制されやすくなる。一方、(A)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、洗浄時の泡立ちが抑えられやすくなる。
通常、アルカノールアミンを反応容器に投入した後、常温のもしくは加温した脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルを1〜5時間かけて滴下し、反応させる。反応温度は、生成する脂肪酸アルカノールアミドの融点以上で行う。反応圧力は、常圧から減圧の範囲であり、減圧に設定することにより、副生するアルキルアルコールを効率的に留去できるため好ましい。脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルの滴下終了後から、1.2kPa以下まで徐々に減圧し、0.1〜4時間程度保持することで反応を完結させる。
(B)成分は、無機過酸化物又は過酸化水素である。
本発明の食器洗い機用洗浄剤は、(B)成分を含有することで漂白効果を発揮し、排水ホース内面の汚れ除去効果、排水ホース内の臭い低減効果を奏する。
(B)成分における無機過酸化物としては、水中で過酸化水素を発生する化合物が挙げられ、たとえば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩などを用いることができる。無機過酸化物のなかでは、より高い漂白効果が得られやすいことから、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩が好ましく、過炭酸塩、過硫酸塩がより好ましく、これらのアルカリ金属塩がさらに好ましい。
該無機過酸化物として具体的には、過硫酸水素カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム等が挙げられ、過炭酸ナトリウムが特に好ましい。
過硫酸水素カリウムを用いる場合、たとえば、過硫酸水素カリウムと硫酸水素カリウムと硫酸カリウムとからなる複塩(2KHSO5・KHSO4・K2SO4)を配合してもよい。
該無機過酸化物は、粒子状の形態で用いることが好ましい。その粒子径は、特に限定されるものではなく、ケーキングを防止する観点から、平均粒子径が200〜1200μmのものが好ましく、200〜700μmのものがより好ましい。本発明において「無機過酸化物の平均粒子径」とは、後述の式(1)により算出される平均粒子径(50質量%粒径)をいう。
(B)成分として無機過酸化物を用いる場合、漂白効果の持続性や、酸化性固体の貯蔵安定性の観点から、該無機過酸素化合物を、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム等の無機塩によって被覆したものを配合してもよい。
食器洗い機用洗浄剤の剤形が液体である場合、(B)成分として過酸化水素を用いることが好ましい。
食器洗い機用洗浄剤中、(B)成分の含有量は、該洗浄剤の全質量に対して10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
(B)成分の含有量が好ましい下限値未満では、充分な漂白効果が得られない場合があり、一方、(B)成分の含有量が好ましい上限値を超えると、(B)成分の配合効果が頭打ちとなる場合がある。
本発明の食器洗い機用洗浄剤において、(A)成分と(B)成分との混合比率は、(B)成分/(A)成分で表される質量比(以下「B/A比」ともいう。)が3〜400であり、好ましくは5〜50であり、より好ましくは6〜40である。
B/A比が3以上であれば、漂白効果が充分に発揮され、排水ホース内面の汚れ除去効果、及び、排水ホース内の臭い低減の効果に優れる。一方、B/A比が400以下であれば、油汚れ等に対する洗浄力が高まるとともに、洗浄対象物(特に疎水性食器)に対する油汚れ等の再汚染も抑制されやすくなる。
本発明の食器洗い機用洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した(A)成分及び(B)成分以外の成分を任意に配合してもよい。
かかる任意に配合してもよい成分としては、特に限定されず、これまで食器を洗浄するための洗浄剤に用いられているものが挙げられる。
たとえば、(A)成分以外の界面活性剤、酵素、キレート剤、(B)成分以外の漂白剤、漂白活性化剤、アルカリ剤、植物抽出エキス、香料、吸油剤、消泡剤、分散剤、食器保護剤、増粘剤、着色剤、防腐剤、後述のpH調整剤、粉末化剤(無水珪酸など)、工程剤(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウムなど)等を用いることができる。
但し、食器洗い機においては、洗浄中の泡立ちを抑える必要がある。このため、本発明では、食器洗い機用洗浄剤中、(A)成分とこれ以外の界面活性剤との合計の含有量(すなわち、全界面活性剤の含有量)を、該洗浄剤の全質量に対して11質量%以下とすることが好ましく、0.2〜11質量%とすることがより好ましく、0.3〜5質量%とすることがさらに好ましく、0.5〜3質量%とすることが特に好ましい。
加えて、全界面活性剤中の(A)成分の含有量は、全界面活性剤の合計の質量に対し、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。(A)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、食器洗い機により食器等の洗浄処理を行う際、泡立ちが低く保たれる。加えて、油汚れ等に対する洗浄力が高まるとともに、洗浄対象物(特に疎水性食器)に対する油汚れ等の再汚染も抑制されやすくなる。
本発明の食器洗い機用洗浄剤は、従来公知の方法により製造できる。
液体状の食器洗い機用洗浄剤の製造方法としては、溶媒と、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて任意成分とを混合することにより調製される。
溶媒としては、水が好ましく、水以外に水混和性有機溶媒を用いてもよい。
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒としては、水と混合した際に均一な溶液となるものであればよく、そのなかでも、炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール、グリコールエーテル等が挙げられる。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
該pH(25℃)が好ましい下限値以上であれば、洗浄剤の貯蔵安定性がより向上する。
本発明において、食器洗い機用洗浄剤のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠し、25℃に調整した液体状の洗浄剤のpHを、pHメーター(HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)等を用いて測定した値を示す。
液体状の食器洗い機用洗浄剤のpHを調整するためのpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン等の有機塩基;塩酸、硫酸等の無機酸;クエン酸、シュウ酸等の有機酸などが挙げられる。
洗浄剤の貯蔵安定性とコスト面から、無機塩基のなかでも水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましく、有機塩基のなかでもモノエタノールアミンが好ましい。
pH調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
固体状の食器洗い機用洗浄剤の水分含量は、特に限定されず、8質量%以下であることが好ましい。
粉粒状の食器洗い機用洗浄剤の嵩密度は、0.3g/cm3以上が好ましく、0.5〜1.2g/cm3がより好ましく、0.6〜1.1g/cm3がより好ましい。
嵩密度は、JIS−K3362により測定される値である。
粉粒状の食器洗い機用洗浄剤の平均粒子径は、200〜1500μmが好ましく、300〜1200μmがより好ましい。該平均粒子径が好ましい下限値未満では、粉塵が発生しやすく、一方、好ましい上限値を超えると、水に溶解又は分散しにくくなる。
該分級操作では、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩を順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させる。その後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。そして、受け皿と各篩との質量頻度を積算し、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とする。また、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」とし、aμmの篩上の質量頻度を「d%」とする。そして、下式(1)により平均粒子径(50質量%粒径)を求め、これを試料の平均粒子径とする。
本発明の食器洗い機用洗浄剤の使用方法は、食器洗い機の機種や、食器等の汚れの程度によって異なるが、たとえば、食器洗い機用洗浄剤の1回の使用量を、水道水約3リットルに対して3〜9gとすることが好ましい。
また、食器洗い機における洗浄液は、(A)成分を2〜300ppm(質量基準)含有することが好ましく、3〜200ppm(質量基準)含有することがより好ましく、10〜100ppm(質量基準)含有することが特に好ましい。
洗浄液中の(A)成分濃度を前記範囲に制御することで、油汚れ等に対する洗浄力が高まり、プラスチック製容器などの特に疎水性食器に対する油汚れ等の再汚染も抑制されやすくなる。加えて、(B)成分との併用による効果(排水ホース内面の汚れ除去効果、排水ホース内の臭い低減の効果)も得られやすくなる。
洗浄液中の(A)成分濃度が2ppm(質量基準)未満では、該洗浄力が不充分な場合があり、一方、300ppm(質量基準)を超えると、洗浄中に泡立ちが過剰となる傾向があり、好ましくない。
加えて、(A)成分と(B)成分とを特定の割合で併用することによって、排水ホース内面に付着している油/カビ複合汚れに対する洗浄力が相乗的に高まり、汚れ除去効果に優れるとともに、排水ホース内の臭い低減の効果にも優れる。
表1、2に示す配合組成に従い、後述の製造方法(未配合の成分がある場合、その成分は配合しない。)により、各例の洗浄剤をそれぞれ調製した。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
「バランス」は、各例の洗浄剤に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるようにその成分(硫酸ナトリウム)が配合されていることを意味する。
「B/A比」は、(B)成分/(A)成分で表される質量比と同義であり、洗浄剤中の(A)成分の含有質量に対する、(B)成分の含有質量の割合を意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
A−1:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(川研ファインケミカル製、アミゾールCME)、HLB10.3、融点43.7℃。
A−2:ラウリン酸モノエタノールアミド(合成品)、HLB10.7、融点61.2℃。
A−3:ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミド(ミリスチン酸モノエタノールアミドのエチレンオキシド平均1モル付加物、合成品)、HLB8.9、融点50.3℃。
A−4:ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(川研ファインケミカル製、アミゾールPLME−A)、HLB10.3、融点50.6℃。
A’−1:デカン酸モノエタノールアミド(合成品)、HLB12.5、融点53.2℃。
A’−2:ステアリン酸モノエタノールアミド(合成品)、HLB7.5、融点94℃。
A’−3:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(川研ファインケミカル製、アミゾールCDE)、HLB12.0、融点5.0℃。
A’−4:C12,13ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(炭素数12のアルコールと炭素数13のアルコールとの混合物に、エチレンオキシド平均3モル及びプロピレンオキシド平均3モルがそれぞれ付加したもの)(ライオン化学製、NNAEP−3030)、HLB4.5。
A’−5:ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、エチレンオキシド平均5モル付加物(日本エマルジョン製、エマレックス705)、HLB9.5、融点8.4℃。
A−2、A’−1、A’−2の合成例:
各脂肪酸メチルエステルとモノエタノールアミンとの反応により合成した。
容量2Lの4つ口フラスコに撹拌器と冷却管とを据え付け、脂肪酸メチルエステルに対してモル比1.05倍量のモノエタノールアミンを仕込み、更に触媒としてナトリウムメチラート(28質量%溶液)を脂肪酸メチルエステル100質量部に対して0.25質量部(純分換算)仕込んだ。
ここに、反応温度100℃、圧力40kPa(減圧下)において、脂肪酸メチルエステルを3時間かけて滴下し、アミド化反応を行った。滴下終了後、1.3kPaに減圧して4時間熟成することにより、脂肪酸モノエタノールアミドA−2、A’−1、A’−2をそれぞれ得た。
かかる脂肪酸メチルエステルとしては、A−2を合成する場合にラウリン酸メチルエステル、A’−1を合成する場合にデカン酸メチルエステル、A’−2を合成する場合にステアリン酸メチルエステルをそれぞれ用いた。
A−3については、前記合成例で得られたA’−2の脂肪酸モノエタノールアミド(触媒のナトリウムメチラートをそのまま含む)を2Lオートクレーブに仕込み、反応温度100℃、反応圧力として常圧から0.4MPaまでの条件下で、エチレンオキシドガスを、該脂肪酸モノエタノールアミドに対して1.0モル当量分を1時間かけて吹き込むことで反応を行い、更に系内の圧力が変化しなくなるまで30分間熟成を行うことにより得た。
B−1:過炭酸ナトリウム(日本パーオキサイド製、PC−A、平均粒子径400μm、過炭酸ナトリウム純分85質量%)。
B−2:過硫酸水素カリウム(デュポン社製、オキソン(登録商標)化学構造2KHSO5・KHSO4・K2SO4、過硫酸水素カリウム純分49.5質量%)。
硫酸ナトリウム(日本化学株式会社製、中性無水芒硝K2)。
分散剤:マレイン酸/アクリル酸共重合体のNa塩(BASF社製、Sokalan CP7)、重量平均分子量50000。
消泡剤:シリコーンコンパウンド(東レ・ダウコーニング社製、2−4248S)。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
洗剤粒子表面改質剤(吸油剤):無水珪酸(トクヤマ社製、トクシールNP)。
プロテアーゼ(ノボザイムズ社製、エバラーゼ8T)。
アミラーゼ(ノボザイムズ社製、デュラミル120T)。
共通組成(洗浄剤中に合計16.5質量%):
分散剤 14質量%、消泡剤 0.3質量%、香料 0.1質量%、洗剤粒子表面改質剤 0.1質量%、プロテアーゼ 1質量%、アミラーゼ 1質量%。
(粉粒状洗浄剤:実施例1〜11、比較例1〜9)
表1、2に示す組成に従い、各例の粉粒状洗浄剤6kgを以下のようにして調製した。
まず、粉体成分である硫酸ナトリウムと消泡剤とをリボンミキサー(株式会社吉田製作所製、リボンミキサー1102−1500型、巾900mm×長さ1800mm×深さ1100mm)に入れ、25rpmで撹拌した。
次に、撹拌しながら、液体成分である香料を、ノズルJPX020(株式会社いけうち製)で噴霧(0.4MPa)して液体−粉体混合物を調製した。
液体成分の噴霧終了後、該液体−粉体混合物に洗剤粒子表面改質剤を添加し、25rpmで10分間混合した。次いで、(A)成分又は(A’)成分と、(B)成分と、分散剤と、プロテアーゼと、アミラーゼとを添加し、25rpmで10分間混合することにより粉粒状洗浄剤を得た。
各例の洗浄剤について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表1、2に併記した。
食器洗い機として、自動食器洗い乾燥機(パナソニック株式会社製、機種NP−40SX2)を用いた。各評価において、洗浄処理は、該自動食器洗い乾燥機に設定されている標準コースで運転することにより行った。該標準コースの内容を以下に示す。
標準コース:
該自動食器洗い乾燥機に洗浄剤6g(水道水3Lに対し)を投入した後、水道水が庫内に導入されて洗浄液が調製され、常温から55℃まで2〜3℃/minで昇温しながら20分間洗浄が行われ、排水される。その後、新たな水道水が導入され、常温の水道水によるすすぎ(2分間/回)と排水との繰返し3回が行われ、次いで、新たな水道水が導入され、常温から70℃まで2〜3℃/minで昇温しながらすすぎ1回(最終すすぎ)20分間が行われ、排水後、温風を循環させながら食器等の乾燥が行われる。
表中に、洗浄剤が水道水に溶解してなる洗浄液中の(A)成分濃度(ppm,質量基準)を示した。
前記自動食器洗い乾燥機に洗浄剤6gを投入し、前記標準コースにて運転を行った。
洗浄開始から水温が55℃に達した時点で運転を止めると同時に扉を開け、その15秒後に庫内の泡立ちを測定した。
その際、庫内の3箇所をランダムに選択し、物さしで該箇所の泡高(mm)をそれぞれ測定し、これらの平均値を求めた。この泡高が10mm以下であれば合格とした。
牛脂8gを載せた直径21cm陶器皿2枚と、レトルトカレー(ボンカレーゴールド21辛口)8gを載せた直径15cm陶器皿2枚とを用意し、これらをモデル汚垢とした(尚、該モデル汚垢の汚れ量は、予備洗いをした場合に残留する汚れ量の8倍の量である)。
また、洗浄処理前に油付着の無いことを確認した、紺色のポリプロピレン(PP)製弁当箱(縦110mm、横170mm、高さ35mm)1個を用意した。
そして、前記自動食器洗い乾燥機に、前記モデル汚垢(各陶器皿2枚ずつ)と、前記PP製弁当箱1個とを収納し、該乾燥機の標準コースにて運転を行い、洗浄処理を施した。かかる洗浄処理を3回行った。
洗浄処理後(乾燥後)のPP製弁当箱を、目視及び手で触れることにより油付着の程度を観察し、下記の評価基準に基づいて、再汚染防止性について評価した。該評価3回の評価点を平均し、平均値が3.0点以上であれば合格とした。
(評価基準)
4点:目視で油の付着が認められず、指で触ったときにも油の付着した感触が全くない。
3点:目視で油の付着は認められないが、指で触ったときに油の付着した感触が極僅かに感じられる。
2点:目視で油の付着が極僅かに認められ、指で触ったときにも油の付着した感触が感じられる。
1点:目視で油の付着が明らかに認められ、指で触ったときにも明らかに油の付着が感じられる。
洗浄対象物として、カビ/油複合汚れがホース内面に付着した排水ホース、を以下のようにして調製した。
前記共通組成に硫酸ナトリウム(バランス)を加え、(A)成分及び(B)成分を含まない前処理用洗浄剤を製造した。
別途、財団法人ベターリビング協会認定基準性能試験方法(1995年11月6日施行:食器洗い機)に準拠し、箸、ガラスコップ、湯飲み、皿(大、中、小)、汁椀などの食器に対してトマトジュース、牛乳、味噌汁、緑茶、米飯、生卵、カレー、市販トンカツソース、ハムエッグなどを付着させて汚垢食器を調製した。
次いで、該汚垢食器を、前記自動食器洗い乾燥機に収納し、前記の前処理用洗浄剤6gを投入し、前記標準コースにて運転を行う、という洗浄処理(洗浄、すすぎ、乾燥)を施した。
かかる操作(汚垢食器の調製、洗浄処理)を1日3回、90日間繰り返した。この時点で、該自動食器洗い乾燥機に接続されている排水ホース(該排水ホース内面にはカビ/油複合汚れが付着している)を洗浄対象物とした。
(評価基準)
4点:視覚的にカビ/油複合汚れの残留が認められず、指で触ったときにも油の付着した感触が全くない。
3点:視覚的にカビ/油複合汚れの残留は認められないが、指で触ったときに油の付着した感触が極僅かに感じられる。
2点:視覚的にカビ/油複合汚れの残留が極僅かに認められ、指で触ったときにも油の付着した感触が感じられる。
1点:視覚的にカビ/油複合汚れの残留が明らかに認められ、指で触ったときにも明らかに油の付着が感じられる。
本評価は、前記[排水ホース内面の汚れ除去効果についての評価]と同時に行った。
具体的には、縦方向に切り裂かれた排水ホース内の臭いを、専門パネル5名により、下記6段階の臭気強度表示法に基づいて官能評価した。
(6段階の臭気強度表示法)
5:無臭、4:わずかに臭いを感じる、3:弱いが臭いがわかる程度に感じる、2:充分に臭いがわかる、1:臭いを強く感じる、0:臭いを非常に強く感じる。
そして、専門パネル5名の評価点を平均し、平均値が3.0点以上であれば合格とした。
尚、比較例9の洗浄剤を用いた場合、洗浄中に泡立ちが過剰となり、食器洗い機の運転が停止した。このため、再汚染防止性の評価、排水ホース内面の汚れ除去効果についての評価、及び、排水ホース内の臭い低減の効果についての評価を行うことができなかった。
Claims (1)
- (A)成分:脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれ、かつ、HLBが8.5以上12.0未満の非イオン界面活性剤と、
(B)成分:無機過酸化物又は過酸化水素と、
を含有し、
(B)成分/(A)成分で表される質量比が3〜400であることを特徴とする食器洗い機用洗浄剤。
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