JP2014204925A - 歯科用インスツルメント - Google Patents
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Abstract
【課題】希ガス等の特別なガスを用いることなく、発熱の少ないプラズマ発生を可能にし、かつ、切削や根管拡大等の歯科治療のための作業と同時に、殺菌を行えるようにしたインスツルメントを提供する。
【解決手段】ハンドピース本体部10とヘッド部3には、エアー通路6とこのエアー通路6に連通するエアー通路61が設けられており、外部から供給されたエアー(大気)が、エアー通路6、61を介してヘッド部3に設けたエアー噴出口6aから、切削バー4の先端方向に噴出するようになっている。ハンドピース本体部10のエアー通路6には、プラズマ発生部8が設けられており、プラズマ発生部8に設けた対向する電極間に高周波電圧を印加することにより、エアー中の酸素及び水蒸気を電離してプラズマを発生させ、エアー噴出口6aから噴出するようになっている。
【選択図】図1
【解決手段】ハンドピース本体部10とヘッド部3には、エアー通路6とこのエアー通路6に連通するエアー通路61が設けられており、外部から供給されたエアー(大気)が、エアー通路6、61を介してヘッド部3に設けたエアー噴出口6aから、切削バー4の先端方向に噴出するようになっている。ハンドピース本体部10のエアー通路6には、プラズマ発生部8が設けられており、プラズマ発生部8に設けた対向する電極間に高周波電圧を印加することにより、エアー中の酸素及び水蒸気を電離してプラズマを発生させ、エアー噴出口6aから噴出するようになっている。
【選択図】図1
Description
本発明は歯科用インスツルメントに関し、特に、先端部からプラズマ照射を可能とした歯科用インスツルメントに関する。
図8は、本発明が適用されるインスツルメントを有する歯科治療ユニットの一例を示す全体構成図で、歯科治療ユニット100は、治療椅子101,ワークテーブル102,スピットン103,無影灯104,インスツルメントホルダ105,無線式フットスイッチ106,アシスタントインスツルメントホルダ107,ハンドピース(インスツルメント)108,インスツルメントホース109等から成り、インスツルメントホルダ105には、歯科治療において術者が使用する種々のハンドピース、例えば、エアータービン、マイクロエンジン、超音波スケーラ、マルチシリンジ等のハンドピース108が収納されており、周知のように、歯科治療に当り、患者は椅子1に座り、頭を安頭台に固定して治療を受ける。治療中、術者は治療椅子1を上下動,倒起動,傾斜動等させて、患者を治療しやすい姿勢にして治療を行っている。
そして、歯科治療においても、オートクレーブ等種々の殺菌装置が提案されているが、これら殺菌装置は、主として、歯科治療に用いる器材に関するもので、歯科治療中の患部を殺菌して、患部の拡大を防止しようとする技術はあまり提案されていない。
例えば、特許文献1においては、歯科治療を行う流体放出系を備えたシリンジに、大気圧下で絶縁破壊電圧が低い希ガスを流した希ガス管路の外周上の電極間に、低周波高圧電源から低周波高電圧を印加して放電を行うことによりプラズマジェットを生成し、前記希ガス管路の先端からプラズマジェットを照射して、治療患部の濡れ性改善や、治療部位の滅菌を行うことが提案されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のプラズマジェット照射装置は、プラズマの発生に絶縁破壊電圧の低い希ガスを用い、この希ガスに低周波高電圧を印加するものであることから、使用に当って、希ガスを準備しなければならず、装置自体が大掛かりなものとなっていた。また、低周波高電圧(交番電圧)を使用するため、発生したプラズマが熱くなってしまう等の問題があった。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、希ガス等の特別なガスを用いることなく、発熱の少ないプラズマ発生を可能にし、かつ、切削や根管拡大等の歯科治療のための作業と同時に、殺菌を行えるようにしたインスツルメントを提供することをその目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、先端部からエアーを噴出するためのエアー通路を有する歯科用インスツルメントであって、前記エアー通路に、プラズマ発生部を設けたことを特徴としたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記プラズマ発生部は、高周波電圧が印加される放電電極からなることを特徴としたものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、操作スイッチをさらに有し、該操作スイッチを切り換えることによって、前記先端部からエアーの噴出とプラズマの噴出との切換えを可能にしたことを特徴としたものである。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかの発明において、前記操作スイッチは、無線式のフットスイッチであることを特徴としたものである。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかの発明において、前記歯科用インスツルメントが、歯科用タービン、歯科用マイクロモータ、シリンジ、超音波スケーラ、口腔内スコープ、あるいは、レーザ照射装置のいずれかであることを特徴としたものである。
本発明によれば、先端部からエアーを噴出するためのエアー通路を有するインスツルメントに対して、歯周や根管の殺菌を行うことのできるプラズマ発生部をエアー通路に設けたため、切削や根管拡大等の歯科治療と同時に患部の殺菌を行うことができる。このため、う蝕や歯周病等のインスツルメントによる機械的除去だけの治療で起こりえる削り残しによる再発や二次感染の予防ができる。なお、動物分野においても、骨切削や口腔内治療時の削り残しや二次感染の予防ができる。さらに、インスツルメントにプラズマ殺菌器を組み込んだ形式であるため、術者は個々の機能を有するハンドピースを持ち替える手間を省くことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の歯科用インスツルメントに係る好適な実施の形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る歯科用インスツルメントを説明するための図である。図1に示した歯科用インスツルメント1は、歯科用タービンを有するハンドピース本体部10に本発明を適用した場合を示している。ハンドピース本体部10の内部には圧縮エアー通路2が設けられており、ヘッド部3には圧縮エアー通路2と連通する圧縮エアー通路21が設けられている。そして、外部から供給された圧縮エアーによってヘッド部3に設けた羽根(図示なし)を回転させことによって、羽根とともに回転する切削バー4を回転させるようになっている。
また、ハンドピース本体部10には、液体通路5およびエアー通路6が設けられており、ヘッド部3には、液体通路5およびエアー通路6とそれぞれ連通する液体通路51およびエアー通路61が設けられている。そして、外部から供給された水、薬液等が、液体通路5,51を介して、ヘッド部3に設けた液体噴出口5aから、切削バー4の先端方向に噴出するようになっている。また、治療器本体部11の送風源12に内蔵されたエアーポンプからエアー(大気)がそのまま送風チューブ14を通じてエアー通路6、61に供給され、供給されたエアーがヘッド部3に設けたエアー噴出口6aから、切削バー4の先端方向に噴出するようになっている。
また、エアー通路6には、プラズマ発生部8が設けられている。図2は、図1に示した歯科用インスツルメントのプラズマ発生部の例を説明するための図である。プラズマ発生部8は、エアー通路6内に設けた、例えば、管状のマイナス電極81と針状のプラス電極82を有しており、治療器本体部11のパルス電源13から、リード線7を介して高圧の高周波電圧を印加することにより、マイナス電極81とプラス電極82との間でプラズマ放電を発生させ、エアー中の酸素及び水蒸気を電離してプラズマを発生させている。そして、発生したプラズマはヘッド部3に設けたエアー噴出口6aから、切削バー4の先端方向に噴出するようになっている。
ここで、パルス電源13は、例えば、AC100Vの商用電源から高電圧の高周波パルス電圧を発生させ、この高周波パルス電圧を間欠的(周期的)にマイナス電極81とプラス電極82間に印加することにより低温プラズマを発生させている。この低温プラズマは、非平衡プラズマとして中性ラジカルの強い化学的反応性によって、殺菌などに用いることができる。なお、マイナス電極81は患者の身体部とともに接地されることが望ましい。
上述のように、本発明においては、エアー通路を有するインスツルメントに対して、プラズマ発生部を設けているため、通常のエアーの噴出のみならず、プラズマを噴出することができる。そして、通常のエアー噴出とプラズマの噴出との切換えは、ハンドピース本体部10に設けた図示しないスイッチ、あるいは、図8で示す無線式のフットスイッチによって切換えることができる。
なお、図1においては、ヘッド部3に液体噴出口5aあるいはエアー噴出口6aがそれぞれ1か所設けた例を示しているが、切削バー4の周りを取り囲むように複数の液体噴出口5aあるいはエアー噴出口6aを設けるようにしてもよい。また、プラズマ発生部8として、管状のマイナス電極81と針状のプラス電極82を有するものとしたが、対向するプラス電極とマイナス電極との間で放電可能な電極であれば、図2に示したものに限らない。
図3は、本発明の他の実施形態に係る歯科用インスツルメントとして、歯科用マイクロモータを備えたハンドピースに本発明を適用した場合を説明するための図である。図1に示した歯科用インスツルメント1では、ハンドピース本体部10およびヘッド部3が、それぞれ圧縮エアー通路2および圧縮エアー通路21を有していたが、図3に示すハンドピース本体部20およびヘッド部23では、図示しないマイクロモータからの回転を切削バー4に伝えるためのスピンドル21を備えている点が、図1に示した歯科用インスツルメント1と異なっている。また、液体通路5とエアー通路6とが、ヘッド部23で1本の通路にまとめられ、液体噴出口とエアー噴出口とが兼用の液体・エアー吐出口22となっている。この液体・エアー吐出口22は、切削バー4の周囲に複数設けるようにしてもよい。図3に示すハンドピース本体部20は、リード線等の図示は省略しているほか、その他の構成については、図1に示したハンドピース本体部10と同様であるので、説明を省略する。
そして、エアー通路6aに外部からエアーを供給することにより、エアー噴出口6aから切削バー4の先端方向に向けてエアーを噴出したり、さらにプラズマ発生部8に高周波電圧を印加することにより、エアー噴出口6aから切削バー4の先端方向に向けてプラズマを噴出したりすることを可能にしている。
図4は、本発明のさらに他の実施形態に係る歯科用インスツルメントとして、シリンジに本発明を適用した場合を説明するための図である。歯科用シリンジ本体を構成するハンドピース本体部30には、液体通路5およびエアー通路6が設けられており、ハンドピースのエアー通路6には、プラズマ発生部8が設けられている。また、ハンドピース本体部30の先端には、液体通路5およびエアー通路6にそれぞれ通じる液体通路51およびエアー通路61を有するノズルチップ33が設けられている。また、ノズルチップ33の先端には、液体噴出口5aおよびエアー噴出口6aが設けられている。なお、ノズルチップ33の形状、太さは種々変更可能となっている。
そして、ハンドピース本体部30に設けた液体噴射用操作レバー31を操作することにより、液体噴出口5aから所定の液体を噴出させ、エアー噴射用操作レバー32を操作することにより、エアー噴出口6aからエアーを噴出するようになっている。ここで、エアー噴出用操作レバー32を2段階で押下できるようにしておき、1段階目でエアー噴出口6aからエアーを噴出させ、さらに、2段階目にエアー噴出用操作レバー32を押下した際に、プラズマ発生部8に高周波電圧を印加するようにしてもよい。これにより、エアー噴出用操作レバー32を2段階目まで押下した際に、エアー噴出口6aからプラズマを噴出することが可能となる。なお、プラズマ発生部8への高周波電圧の印加については、図示しないフットペダルによってオンオフするようにしてもよい。
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る歯科用インスツルメントとして、超音波スケーラに本発明を適用した場合を説明するための図である。超音波スケーラ本体を構成するハンドピース本体部40の内部には、超音波駆動(発信)回路41、超音波伝達部42が設けられており、先端には、スケーラチップ43が取り付けられている。ハンドピース本体部40内には、エアー通路6が設けられており、このエアー通路6には、プラズマ発生部8が設けられている。また、スケーラチップ43の内部には、ハンドピース本体部40のエアー通路6に通じるエアー通路61が設けられており、スケーラチップ43の中央部には、スケーラチップの先端方向に向けて開口するエアー噴出口6aが設けられている。
そして、エアー通路6に外部からエアーを供給することにより、エアー噴出口6aからスケーラチップの先端に向けてエアーを噴出したり、さらにプラズマ発生部8に高周波電圧を印加することにより、エアー噴出口6aからスケーラチップの先端に向けてプラズマを照射したりすることを可能にしている。
図6は、本発明のさらに他の実施形態に係る歯科用インスツルメントとして、口腔内スコープに本発明を適用した場合を説明するための図である。口腔内スコープのハンドピース本体部50には、チップ51が装着されており、内部には、図示しないが、光源、ライトガイド、イメージガイド、光学素子、通信回路の他、液体通路、エアー通路が設けられている。また、エアー通路にはプラズマ発生部が設けられている。チップ51の先端には、光源からの光を患部に照射する光照射部52、患部からの画像を取り込むための対物レンズ部53、液体噴出口5aおよびエアー噴出口6aを有している。
そして、1ハンドピース本体部50内のエアー通路に外部からエアーを供給することにより、エアー噴出口6aからエアーを噴出したり、さらにハンドピース内50のプラズマ発生部に高周波電圧を印加することにより、エアー噴出口6aからプラズマを噴出したりすることを可能にしている。
図7は、本発明のさらに他の実施形態に係る歯科用インスツルメントとして、レーザ照射装置に本発明を適用した場合を説明するための図である。レーザ照射装置のハンドピース本体部60の内部には、図示しないが、レーザ光を伝搬させるための光ファイバ、レンズ等の光学素子とともに、エアー通路が設けられており、エアー通路にはプラズマ発生部が設けられている。ハンドピース本体部60のチップ61の先端には、レーザを照射するためのレーザ照射口62と、エアーを噴出するためのエアー噴出口6aが設けられている。そして、ハンドピース本体部60内のエアー通路に外部からエアーを供給することにより、チップ61に設けたエアー噴出口6aからエアーを噴出したり、さらにハンドピース内60のプラズマ発生部に高周波電圧を印加することにより、エアー噴出口6aからプラズマを噴出したりすることを可能にしている。
1…インスツルメント、2,21…圧縮エアー通路、3,23…ヘッド部、4…切削バー、5,51…液体通路、5a…液体噴出口、6,61…エアー通路、6a…エアー噴出口、7…リード線、8…プラズマ発生部、81,82…電極、10,20,30,40,50,60…ハンドピース本体部、11…治療器本体部、12…送風源、13…パルス電源、21…スピンドル、22…液体・エアー吐出口、31…液体噴射用操作レバー、32…エアー噴射用操作レバー、33…ノズルチップ、41…超音波駆動(発信)回路、42…超音波伝達部、43…スケーラチップ、51…チップ52…光照射部53…対物レンズ部61,62…チップ、100…歯科治療ユニット、101…治療椅子、102…ワークテーブル、103…スピットン、104…無影灯、105…インスツルメントホルダ、106…無線式フットスイッチ、107…アシスタントインスツルメントホルダ、108…ハンドピース(インスツルメント)、109…インスツルメントホース。
Claims (5)
- 先端部からエアーを噴出するためのエアー通路を有する歯科用インスツルメントであって、前記エアー通路に、プラズマ発生部を設けたことを特徴とする歯科用インスツルメント。
- 前記プラズマ発生部は、高周波電圧が印加される放電電極からなることを特徴とする請求項1に記載の歯科用インスツルメント。
- 操作スイッチをさらに有し、該操作スイッチを切り換えることによって、前記先端部からエアーの噴出とプラズマの噴出との切換えを可能にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の歯科用インスツルメント。
- 前記操作スイッチは、無線式のフットスイッチであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の歯科用インスツルメント。
- 前記歯科用インスツルメントが、歯科用タービン、歯科用マイクロモータ、シリンジ、超音波スケーラ、口腔内スコープ、あるいは、レーザ照射装置のいずれかであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の歯科用インスツルメント。
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