JP2014183848A - Dna分子、細菌を操作する方法、組換え細菌、スフィンガン産生を高める方法、スフィンガンを生産するための方法及び生物学的に純粋な培養物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、スフィンゴモナス属種から分離され、そして操作された微生物において多糖の産生を増加させるスフィンガン多糖類の生合成生産に関与するDNAセグメントに関する。本発明はまた、スフィンガンの過剰産生株である細菌を生産するためにスフィンゴモナスの菌株の操作方法、細菌および過剰産生株細菌においてスフィンガンの産生を高めるために有用なDNAフラグメントを確認し、利用する方法に関する。
【選択図】なし
Description
pRK311−S88cl△3
pRK311−S88c2
pRK311−S88c3
pRK311−S88c4
pRK311−S88c5
pSEB24−S88H15. 6
pSEB24−S88B8. 6
pSEB24−S88E4. 5
pSEB24−S88E6. 6
菌株 S60
pRK311−S60c2
菌株 NW11
pRK311−NW11c2. 2
スフィンゴモナスのDNAセグメントライブラリーの構成
スフィンゴモナス菌株から、スフィンガン類の合成に不可欠なDNAセグメントのクローンを形成した。次のようにして、DNAセグメントの完全なライブラリーを調製した。YM液体培地25ml中に菌株(この実施例ではS88)を置き、30℃で一晩振盪して、多量の細胞を含有する粘液性ブロスを作成した。
YM培地には、水1リットルあたり、バクト(Bacto)酵母エキス3g、バクト麦芽エキス3g、バクトペプトン(Difco)5g、及びD−グルコース( Difco)10gが含有されていた。アジ化ナトリウムを0. 01%まで加え、さらにスフィンガナーゼ(sphinganase)酵素(1994, Mikolajczak,et al.,Appl. Environ. Microbiol.,60,402)を37℃で8時間添加し、スフィンガンエクソポリサッカライドを消化して、粘度を部分的に低下させて細胞の増量を図った。細胞を遠心分離し、Birnboim and Doly,Nucl. Acids Res.,7,1513(1979)の方法によりDNAを抽出するために再懸濁した。ライセート(分離物)に等量のフェノール:CHC13:イソアミルアルコール(24:24:1)混液を加え、25℃で16時間緩やかに振とうし、その後、1容量のCHC13:イソアミルアルコール(24:1)混液を加え、25℃で3時間緩やかに振とうした。このようにして澄明としたライセートからタンパクを除いた。3Mの酢酸ナトリウム(pH5. 2)1/10容量を加え、高分子量のDNAを2容量のエタノールで沈澱させた後、乾燥して、さらにTE(10mMのトリス・HCl(pH8)、1mMのEDTA)0. 5ml中に再懸濁した。
スフィンガンS−88生合成用DNAフラグメントの単離
プラスミド中にクローニングしたDNAのフラグメントのスクリーニングを行い、スフィンガン陰性変異菌がスフィンガン合成を復活するか、否かを観察することにより、スフィンガンS−88の合成に不可欠な遺伝子が存在するか、否かを判定した。かねて本発明者らは、バシトラシン500〜800μg/mlを含有するYM皿上で増殖できるスフィンゴモナスS88菌株の自然バシトラシン耐性変異菌のほとんどが、スフィンガン多糖類を生産できないことを見いだしていた(Pollock, et al.,1994, J. Bacteriol.,176, pp. 6229〜6237)。この所見に基づいてこの特別クラスの変異菌の簡便スクリーニング法を完成した。
spsB遺伝子のDNA配列とSpsBタンパクの推定アミノ酸配列
プラスミドpSEB24−S88E4. 5::Tn#72からサブクローニングした3300bpのフラグメントのうち、spsB領域の1950bpの二本鎖ヌクレオチド配列を得た。コード鎖の配列を配列(出願時の図4)に示す。1つの長い読み取り枠(open reading frame、ORF)があり、これをspsBと名付けた。コード領域はヌクレオチド361の位置のATGに始まり、1771の位置のTGA終止コドンまで続いていた。このORFはアミノ酸470個をコードし、ORFの先には推定リボソーム結合部位があった。標準三文字略記法による推定アミノ酸配列を配列(出願時の図5)に示す。
S88セグメントのクローンと、S88及びS60の染色体DNAとのDNA−DNAハイブリッド形成
プラスミドpRK311−S88cl△3のDNAクローンは、隣接するS88DNA配列から派生したものであることを立証するため、プラスミドS88cl△3DNAに標識を付け、スフィンゴモナス菌株S88、変異菌S88m260、及び野生型ジェラン生産菌であるS60から分離したDNA制限フラグメントとハイブリッド形成をおこなった。約1. 5、2. 4、4. 5、5. 9及び12kbpのEcoRIフラグメント中にハイブリッドを形成すると、野生型DNA及び変異菌S88DNA両方のDNAクローンの連続体と一致する。EcoRI部位の一つはベクターのマルチクローニング部位から始まっているので、重なり合っているクローンであるS88c2、S88c3、及びS88c4をEcoRIで消化すると、S88cl△3であることが証明されている最も左の6. 6kbpフラグメントは、実際には12. 8kbpとなる。S88DNAとジェランを生産するS60DNAとでハイブリッドを形成できることから、似ている遺伝子配列が存在しているが、遺伝子の組成が異なっている可能性があることが示唆された。これら二つのスフィンゴモナス菌株が分泌するエクソポリサッカライドの構造が似ているので、類似したトランスフェラーゼ遺伝子を持っていると考えられる。S88−S60の相同領域を図2に示す。別個のDNA相同性解析で、図3で示すように菌株NW11とS88の間の相同領域の位置を確定した。
菌株S60、NW11、S198、S7及びS194のスフィンガン生合成遺伝子クラスターのクローニング
スフィンゴモナスS60、NW11、S198、S7及びS194からDNAフラグメントを単離した。方法としては、菌株S88に関する上記実施例と同様にした。菌株S60、NW11、S198、S7及びS194のDNAフラグメントの制限部位地図は、それぞれ図2、図3、図9及び図10に示す。1種又は多種の制限酵素によるDNAの消化によって生じた制限酵素フラグメントの大きさを、2つの独立に単離されたクローンであるpRK311−S194c1及びpRK311−S194c2についてここで挙げる。この大きさは、そのフラグメントのアガロースゲル電気泳動の移動度を、大きさが既知のフラグメント、つまり、HindIIIで消化後のバクテリオファージラムダDNA、及びストラタジーンの「KbDNALadder」と比較して決定した。フラグメントの大きさは、上記の2つのクローンに含まれるDNA配列と一致する。
プラスミドpSEB26の構成
特異的な複製機能と接合交配機能、並びに、スフィンゴモナス属に好適で、かつ、mini−Tn10kanと和合性がある薬剤耐性遺伝子を含有し、マルチクローニング部位を有する、プラスミドpSEB24とpSEB26(図5)を組み立てた。プラスミドpSEB24が広範囲宿主域を持つ反面、pSEB26は大腸菌では複製できるが、スフィンゴモナス属やキサントモナス属のどちらでも複製することができない。まず、スタフィロコッカス・アウレウスのプラスミドpC194(1982,Horinouchi and Weisblum,J.Bacteriol.,150,815)から取られた1031bpのHpaII−Sau3Aフラグメント上のCamr を、平滑末端に加工して、プラスミドpUC13(1982,Vieira and Messing,Gene,259)のXbaI平滑末端にライゲーションした。BamHI−SalIセグメント上のこのプラスミドからCamr カセットを取り除き、平滑末端にした後、pUC12中の独特なSspI部位と、二つあるPvuII部位のうちの最も近い部位(これも平滑末端)との間に挿入した。このようして、Ampr かつCamr であり、X−GalとIPTGとを添加すると青いコロニーを形成するプラスミドpSEB23を得て、pSEB24を構成するため、pSEB23から約2130bpのScaI−PvuIIフラグメントをとり、pMMB66EH(1986,Fuerste,et al.,Gene,48,119)のScaI−PvuII部分とライゲーションさせ、oriV(RSF1010からの広範囲宿主複製開始点)を保持させ、Ampr 遺伝子を再生した。プラスミドpNH−Kan/oriT(Hengen and Iyer,1992,Bio Techniques,13:57−62)のoriT配列を含む2700bpのHindIII−BamHIフラグメントは、3200bpのPvuIIで直鎖状にしたpSEB23プラスミドと、平滑末端同志で結合してpSEB26を形成した。BamHI−PvuIIのライゲーションにより再生したBamHI部位は、制限酵素処理に引き続き、付着末端にキャッピングを施し、再びライゲーションすることにより取り除かれた。
S88DNAフラグメントのコピーを菌株S88に導入したことによる多糖類S−88の増産
菌株S88から単離した図1に示すDNAセグメントの特異的な制限フラグメントを、DNAライゲーションによりマルチコピープラスミドベクター中に挿入した後、上記の実施例2で説明した三元交配により野生型菌株S88とS88の子である非ムコイド性変異菌に転移した。DNAクローンを変異菌に転移すると、多糖類合成が復活する。細菌を液体培地で培養した後、組換えプラスミド含有菌株とプラスミド遺伝子を付加しなかった菌株が生産したスフィンガン多糖類の累積量を測定した。じゃま板付きフラスコ(baffled flasks)中で振盪しながら30℃で24時間増殖した後、2容量のイソプロピルアルコールを加えて、エクソポリサッカライドを沈澱させた。各菌株ごとに2〜3回づつ独立に培養して、実験を行った。沈澱物をフィルターに集め、80℃で乾燥して、計量した。菌株毎の沈澱物の平均重量と標準偏差値を表3に示す。遺伝子のクローンのコピーを付加した組換え菌株のスフィンガンS−88生産量は、通常セットの生合成遺伝子しか持たなかった野生型菌株のそれよりも大きかった。
組換えS88菌株が生産したエクソポリサッカライドがスフィンガンS−88であることの同定
操作された菌株によって生産されたエクソポリサッカライドが受容菌の型と同一であることを確認するため、薄層クロマトグラフィーによって酸水解物中のモノサッカライド類を同定した。
スフィンガンS−88、S−60、NW−11及びS−130の生産に対する、菌株S88、S60及びNW11から得たDNAフラグメントの刺激効果
上記の実施例5、6及び7で述べた一般法に従って菌株S88、S60及びNW11から得たDNAフラグメントを使用することにより、スフィンゴモナス菌株がスフィンガンS−88、ジェラン(S60)及びNW11を増産した。結果を次の表4に示す。
X. カンペストリスの染色体へのラクトース消費遺伝子(lactose−utilization gene)の挿入
制限酵素とDNAライゲーションを用いる標準クローニング法により、X. カンペストリス中で複製できないプラスミドに担持させた、X. カンペストリスの予めクローニングしたDNAセグメントに隣接して、トランスポゾンTn951から得られたラクトース消費遺伝子を挿入した(Thorne, et al.,J. Indust. Microbiol.,3, 321,1988)。その後、この組換えプラスミドを接合によりX. カンペストリス中に転移した。受容菌内では、ラクトース消費遺伝子の隣に位置するX. カンペストリスから得られた相同DNAが、通常の相同組換えによって細胞DNAと組換えられ、ラクトース消費遺伝子が細菌染色体と隣合わせに結合した。この結果、クローニングされたセグメントが細菌染色体に安定して挿入されることになった。このことは、上記の論文中で図を用いてより完全に説明されている。本発明以外でも、この方法によって遺伝子を細菌に挿入している例が数多く存在している。
任意に選択された数個の異なる位置において、カナマイシン耐性をコードする遺伝子を、スフィンゴモナスS88菌DNAへ部位特異性挿入する
この実施例においては、クローニングされたDNAのセグメントをスフィンゴモナスの細胞DNAに挿入することは、容易に実施できるものであることを証明する。まず、S88E12. 8フラグメント(図1参照)を、プラスミドベクターpSEB26のマルチクローニング部位内のEcoRI部位にライゲーションした(図7)。プラスミドpSEB26は、図5で示すpSEB24のように、アンピシリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、マルチクローニング部位、Lacセグメント及びoriTを持っている(図5参照)。しかしながら、プラスミドpSEB24が広範囲宿主域のoriV配列を持つが、プラスミドpSEB26は狭い宿主域の複製開始点を持つということで、プラスミドpBR322とは異なる。pBR322の複製開始点は、大腸菌内におけるプラスミドの複製はできるが、スフィンゴモナス内では複製できない。したがって、プラスミドpSEB26内にクローニングされたDNA配列がスフィンゴモナス内で存続する唯一の方法は、プラスミドpSEB26が細胞あるいは培養物から消失する前に、プラスミドpSEB26を染色体や、内因性プラスミドなどの細菌DNAに組み込むことである。次に、このようにして得たpSEB26−S88E12. 8プラスミドを、常法によりトランスポゾンmini−Tn10kan(1991, Kleckner, et al.,204, pp. 139〜180)との突然変異生成にさらした。非抑制的な宿主HMS174における転位による突然変異誘発は、ラムダバクテリオファージNK1316によって担持されるTn10派生物103(mini−Tn10kan/Ptac−ATStransposase)による。その結果、カナマイシン耐性遺伝子がプラスミドに挿入された。また、S88E12. 8セグメント内のそれぞれ異なる位置にあるカナマイシン耐性遺伝子の数個の別個の挿入断片を単離した。次に、このようにして得た組換えプラスミドおのおのを、三元交配法によりスフィンゴモナスS88内に別個に転移して、カナマイシン耐性の子孫を選択した。事実上すべての場合、カナマイシン耐性遺伝子の両側に位置するS88DNA配列が受容細胞の染色体と組換えられ、カナマイシン耐性遺伝子が細菌染色体に組み込まれた。細菌染色体に組み込まれることにより、ベクタープラスミドがスフィンゴモナス内で複製することができないにも拘らず、カナマイシン遺伝子は存続することができた。
DNAの配列決定の追加実験とその解析
図6に示すようにDNAの両鎖について、BamHI部位の1bpから28.804bpまでの間の配列を決定した。サンガー(Sanger)のジデオキシヌクレオチド鎖停止法(Sanger,et al.,1977,Proc.Nat.Acad.Sci.,74:5463−5467)が、エクソヌクレアーゼIIIとSIヌクレアーゼを用いてpBluescriptIIKS(+)上にクローニングされたDNAの配列決定に用いられた。内部シーケンシングプライマーも使用した。さらに、CoralSoftware社(San Diego)のSuperClone及びSuperSeeプログラム、並びにKyteand Doolittleの方法(Kyte and Doolittle,J.Mol.Biol.,157:105−132)により、膜貫通タンパク質領域の配列を解析した。また、「blastp」プログラム(Altschul,et al.,1990,J.Mol.Biol.,215:403−410)により、NCBIの膨大なデーターライブラリーから相同タンパク質セグメントを同定した。ナイロン膜とGeniusTM1キット(BoehringerMannheim)を用いる標準法により、DNAハイブリダイゼーションを行った。
スフィンガンS−88生合成に関与する遺伝子のクローニング
本実施例は一部を実施例2と同様にして行った。本発明者らは、かねてから、スフィンゴモナス菌株S88のスフィンガン多糖陰性(Sps- )変異株のほとんどは、バシトラシンを含有するYMプレートでも増殖できることを見いだしていた(Pollock,et al.,1994,J.Bacteriol.,176:6229−6237)。マッピング実験(後述)の結果、これらの変異株をすべてspsBと名付ける遺伝子に分類した。図9及び図10に列記した代表的なSpsB- 変異株(260、265及び102w)は、バシトラシン耐性(Bacr )でもあった。反対に、bac8菌株は、始めBacr として選択された代表的な菌株であったが、同時にSps- でもあることが示された。実施例2で述べたように、Sps- Bacr 変異株でスフィンガンS−88を形成しようとする試みは失敗に終り、代わりに野生型コロニーよりも平坦で、表面が粗く、半透明の外観を持つコロニーが得られ、いずれのコロニーも下から光にかざして見ると、光を屈折する狭いハローによって囲まれていた。アルコールに沈澱するエクソポリサッカライド類が出現しなかったので、Sps- 変異株はスフィンガン類を液体YM培地中に分泌できないものと判断した。Sps- Bacr 変異株の小さいフラクションは、第二の突然変異を持っていた。例えば、変異株102wのコロニーは黄色ではなく白色であった。変異株134ではspsBばかりでなく、rhsDでも変異があった。変異株54と302では、spsBのみでなくspsKもが欠損していた。図9の遺伝子地図の真上に示しているSps-変異には、自然発生のものと、紫外線又はエチルメタンスルホン酸にさらして変異させたものとがある。本実施例で実験したこの他の突然変異は、すべて(接頭字「Y」又は「B」を付けて、図9、10に示している)、トランポゾンmini−Tn101kanの無作意挿入により形成したものである。
機能的相補によるsps遺伝子のマッピング
Sps- 点変異株を接合の受容菌として用いる相補性検定により、spsG、spsK、spsF、spsD、spsC、spsE、spsB及びrhsD遺伝子の境界を決定した。結果を要約して図9に示す。サブクローニングされた小さいセグメント又はそれより大きいDNAセグメントのを持つ組替えプラスミドを、大腸菌の中でmini−Tn10kanによる挿入突然変異にさらし、菌株S88のSps- 変異株との交配によって転移した。これには交配可能な広範囲宿主プラスミドベクターであるpRK311及びpSEB24(図5)を使用した。担持しているプラスミドの耐薬性遺伝マーカーを受け取ったプラスミドを受容した株は、コロニーの外観によって、Sps+ 又はSps- と記録した。Bacr Sps- S88変異株は始めE4.5サブクローンとして位置づけ、その後、E4.5セグメントをmini−Tn10kanの無作意挿入変異にさらした。位置B231及びB230(図9及び図10)に挿入した時には、変異株260がスフィンガン合成を回復するのに影響しなかったが、B233、B239及びB238に挿入した時には相補が阻止された。変異株134は、セグメントB8.6によって相補されたが、E4.5又はE5.9のいずれによっても相補されなかった。変異株134では、spsB遺伝子と、さらに隣接のrhsD遺伝子の両方が欠損していた。B8.6セグメントをmini−Tn10kanによる突然変異にさらし、B441、B440、B438、B437及びB435に挿入することによる相補性のパターンを分析して、rhsD突然変異のより正確な位置を測定した。変異株54及び302も、spsKとspsB遺伝子が欠損している二重変異株であると考えられた。spsF変異株(図9の62、68及び94)は局在し、かつ、セグメントB12.6及びc1△3によって相補されず、またクローンc3とc5によってスフィンガンS−88の合成が回復されるため、隣接のspsDCEと分けた。E6.6フラグメントの挿入突然変異に続いて、連続しているspsD、spsC及びspsE遺伝子が相補された結果も併せて図9及び図10に示す。この相補結果から変異株76と78を含むグループと、変異株69、72、b104、3、9及び41を含むグループの二つのグループがあることが示唆された。その後、DNA配列の分析によって、後者のグループは連続している二つの別個の遺伝子、spsCとspsEとに分けられた。spsG突然変異(図9の11、43、71、81及び104)は、c6クローンとフラグメントB12.6のB4.5サブフラグメントとによって相補された(図9及び図10を参照されたい)。B12.6セグメントの挿入突然変異によって、プラスミドY652、Y635、Y636、Y653、Y640及びY641が産生された。このうち、Y652とY641のみがspsG変異株を相補することができた。
mini−Tn10kanを染色体とプラスミドに挿入したことによる表現型
S88DNAクローンのセグメントを交配可能な狭域宿主Camr プラスミドpSEB26(図9及び図10)にライゲーションし、大腸菌内でmini−Tn10kanによる挿入突然変異にさらした後、接合によって野生型(Sps+)スフィンゴモナス菌株S88に転移した。これらのプラスミドはスフィンゴモナス属では複製できないため、Kanr遺伝子を維持するためには、細菌の染色体との組み替えが必要である。Kanr及びCams である組み替え体はプラスミド配列を保持しないため、この群のみを選択した。これらのDNA置換の物理的構造の確認は行っていないが、常に同一のプラスミド、菌株及び選択方法を使用することによって、部位特異性な染色体欠失を生じさせ、制限地図作製とDNAハイブリダイゼーションによってこれらの二重組替えを確認した。Kanr Cams 染色体の組み替え体のコロニーは、Sps+又はSps- と判定した(挿入体には接頭字「c」を付けて図9に示している)。Sps-表現型を示す変異株(cY776、cY757、cY771、cY770、cY676、cB589、cB583、cB580、cB579、cB300、cY726、cY725、cY676、cY673、cY721及びcY602)については、二重組替えが実際に発生したと信じることが、合理的である。しかしながら、相同領域の一個所にて組換えの行われたSps+ 組み替え体は、プラスミド全体が染色体に組み込まれたため、その染色体では、ある遺伝子は欠損し、ある遺伝子は正常のままである可能性がある。
DNA配列:G+C含量、希少コドンの使用及び翻訳開始配列
28、804bpのDNA配列について、両鎖を測定した(出願時の図14を参照されたい)。このクラスター中の典型的なスフィンゴモナス遺伝子の平均プロフィル(及び標準偏差)を、G+C含量のゆがみ、希少コドンの頻度、及び「シャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)」配列又は翻訳開始配列によって決定した。(表5)。各遺伝子とも第三コドンの位置でGあるいはCの頻度が高いことが特色となっていた。この研究の初期において、rhsACBDオペロンのコドン、及びspsB、D、C及びE遺伝子のコドン2500個を解析して、一群のスフィンゴモナス属のまれにしか使われないコドンを同定した。希少コドン各々が、この群に存在する比率は全体に対して0.2%以下で、群の構成はAGA、AGG、CGA、TGT、GGA、ATA、CTA、TTA、TTG、AAA、TTT、CCA、CCT、AGT、TCA、TCT、ACA及びACTを含んでいた。大腸菌においては、通常、16SrRNAの3’末端を相補する配列に連続する下流から翻訳が開始される(Shaine and Dalgarno,2974,Proc.Natl.,Acad.Sci.USA,71:134)。S.ポウシモビリスDSM1098の16SrRNAを相補する「シャイン−ダルガノ」の相同配列は、TAAGGAGGTGである(Moore,et al.,1993,Lett.Appli.Microbiol.,17:115−118)。
グリコシルーIPトランスフェラーゼをspsB遺伝子として同定
紫外線放射又は化学的変異原にさらした後に単離されたSps- 突然変異のほとんどは、spsB遺伝子上のものであった。グリコシル−IPトランスフェラーゼをコードすると信じられている他の遺伝子産物とSpsBの推定アミノ酸は非常に似ているので、このSpsBタンパク質はスフィンガンS−88を組み立てる第一工程を触媒すると信じられている。図11は、グリコシル−IPトランスフェラーゼとガラクトシル−IPトランスフェラーゼと推定されるアミノ酸配列のアラインメントである。これらのタンパク質のC末端半分は、お互いにかなり相同性がある。N末端領域ではこれほど大きな相同性はないが、SpsBタンパク質には膜貫通ドメインであると示唆されている数個の疎水性の領域があるので(図11のアンダーライン部分)、SpsBタンパク質はS.エンテリカのRfbPタンパク質(Jiang,et al.,1991,MolecularMicrobiology,5,695−713)と相似している。SpsBの疎水性ドメインはアミノ酸35〜59(+2.2平均ハイドロパシー)、68〜86(+1.7)、105〜123(+2.3)及び282〜303(+2.9)を含んでいる。また、SpsBタンパク質の最後の疎水性セグメントの位置は、これらの関連遺伝子産物に共通していて、相同性が最大である領域に続いているタンパク質の中央部分に所在している。
スフィンゴモナスS88のラムノース生合成オペロン
rhsACBD遺伝子によってコードされているタンパク質の推定アミノ酸配列は、dTTP及びグルコース−1−リン酸から4工程でdTDP−L−ラムノースを合成する、S.エンテリカのグループBの酵素及びX.カンペストリスの酵素とよく似ている(図12から図15)。本発明者らは、グルコース−1−リン酸、rhsA遺伝子によってコードされているチミジリルトランスフェラーゼ(thymidylyltransferase)及びrhsB、C及びD遺伝子によってコードされている連続した触媒工程には、従来からの命名法を用いた。しかしながら、スフィンゴモナス属のオペロンは次の4点で独特である。第一に、遺伝子の順序ACBD→が、S.エンテリカ(BDAC→)や、X.カンペストリス(BACD→)のいずれとも異なる。第二に、シストロン間領域がほとんど存在していない。開始コドンと終止コドンとが重なり合っているか、間隔が狭く、rhsA−ATGA−rhsC−TGATCCATG−rhsB−TGATG−rhsDとなっている。第三に、rhsACBDの平均G+C含量が比較的高く(66%)、三番目のコドンの位置では特に高く(89%)、しかもオペロンを通じて一様である。第四に、このクラスター中の周囲の遺伝子でも、またスフィンゴモナス属において関係がない他の種の遺伝子でも同様にG+C含量が高い。
スフィンゴモナスS88のグリコシルトランスフェラーゼ
spsQ、spsK及びspsLの3遺伝子がグリコシルトランスフェラーゼをコードしているように見受けられる。しかしながら、タンパク質がこれ以外のグルコシルトランスフェラーゼ及びラムノシルトランスフェラーゼ類に対して限られた局所的な相同性しか示さなかったため、グリコシルトランスフェラーゼ類の糖特異性は、配列解析のみで決定することはできなかった。他の研究者らも着目しているように、グリコシルトランスフェラーゼは、同一の結合における同一の糖に付着する、単一の細菌由来の酵素でも全く互いに異なる(Glucksman,et al.,1993,J.Bacteriol.,175:7045−7055)。推定spsQ遺伝子産物は、ラムノシルトランスフェラーゼをコードすると信じられている大腸菌K−12のgndに隣接するorf11(Stevenson,et al.,1994,J.Bacteriol., 174:4144−4156)に類似し、さらに、R.メリロチのExoO及びExoUグルコシルトランスフェラーゼ(Reuber and Walker,1993,Cell,74:269−280)とも類似していた。spsQ遺伝子はスフィンガンS−88合成に必須である。S88c2セグメントを有するプラスミド内のspsQ遺伝子に(図9のZ206)、mini−Tn10kanを挿入して、突然変異を起こしたプラスミドをspsGSRQI遺伝子の染色体を欠失しているS88細胞に導入した。受容細胞は生存可能であったが、多糖の合成は阻止された。推定spsL遺伝子産物は、ドッドマトリックス分析による比較では、spsQ産物と類似し、さらにS.エンテリカのラムノシルトランスフェラーゼ(RtbN)及びYersinia pseudotuberculosisの推定アベクオシルトランスフェラーゼ(abequosyl transferase)ともいくらか局所的に類似していた(Liu,et al.,1995.J.Bacteriol.,177:4084−4088)。spsK類似タンパク質の検索を行ったが、圧倒的多数が共通して推定UDP結合部位を含有するグリコシルトランスフェラーゼであるという僅かな類似性を認めたに過ぎなかった。これには、UDPが関与している可能性があるので、グルコシル又はグルクロノシルトランスフェラーゼであることが示唆されている。トランスポゾン挿入によらない変異株54と302同様、spsK遺伝子に特異的な挿入を行った変異株(図9のpY882)は、生存可能ではあったが、多糖を作ることはできなかった。
細菌による多糖の分泌
必須遺伝子産物の配列が類似していることから、各種細菌によって多糖類を分泌させる共通の機構が考えらる。この配列の比較(表6)では、spsD、spsC、spsE、spsJ、及びspsSの五つものsps遺伝子がスフィンガン類の分泌に関与しうることを示していた。R.メリロチの「エクソ」タンパク質など、かなりの情報が蓄積しているタンパク質の配列関係を要約して表6に示す。しかしながら、機能的に関係のあるタンパク質類は、この表が示しているものよりも大きい集団である。51、29及び22個のアミノ酸からなるSpsDタンパク質の各々異なる三つセグメントは、それぞれExoFと29%、31%及び36%の同一性があった。開始と終止コドンが重なり合い(TGATG)、しかも互いに連続するspsCとspsE遺伝子は、ExoP内の二つの異なるドメインに似たタンパク質をコードしている。類似するSpsC−ExoP配列には、最近、細菌性O−抗原の鎖長測定で示されたモチーフ(PX2PX4 SPKXIIGXMXG)が含まれていた(Becker,et al.,1995,Mol.Microbiol.,16:l91−203)。92、30及び19個のアミノ酸からなるSpsCの三つのセグメントは、ExoPのN末端半分から取った同様な順序の配列に、それぞれ22%、30%及び42%同一であり、75及び98個のアミノ酸からなるSpsEの二つのセグメントは、ExoPのC末端半分に32%及び29%同一であった。37、20及び44個のアミノ酸からなるSpsSの三つのセグメントは、ExoTにそれぞれ38%、55%及び23%同一であった。推定SpsJタンパク質は、KpsT、BexA及びABC担体と推定ヌクレオチド結合ドメインを共有していて、お互いにある程度の類似性を持っていた。spsR遺伝子は、スフィンガン合成に必要ではないが、その遺伝子産物は、細菌性及び真菌性多糖リアーゼに僅かに類似していた。したがって、spsR遺伝子は、細胞あるいは基質の表面のいずれかからグルクロン酸含有スフィンガン類を放出したり、あるいはポリマーを炭素源として再使用することに重要であるかもしれない。
ExoF,ExoP,ExoT(Becker et al.,1995,Mol.Microbiol.,16:191、Horinouchi andWeisblum,1982,J.Bacteriol.,150,815、及び、Reuber and Walker,1993,Cell,74:269)
GumB,GumC,GumJ(Glucksmann,et al.,1993,J.Bacteriol.,175:7033、Becker et al.,1995,Mol.Microbiol.,16:191、及び、Glucksmann,et al.,1993,J.Bacteriol.,175:7045)
KpsD and KpsT(Wunder,et al.,1994,J.Bacteriol.,176:4025、及び、Smith,et al.,1990,Mol.Microbiol.,4:1863)
BexD,BexC,and BexA(Kroll,et al.,1990.Mol.Microbiol.,4:1853)
溶菌性又は毒性タンパク質のABC輸送体
二つの連続した遺伝子であるatrBとatrDが、spsクラスター内に位置していた。この2つの遺伝子は、溶菌性又は毒素様タンパク質のABC輸送体や、輸送用補助タンパク質をコードしていると考えられる、これまでに、溶血素遺伝子(hlyA)が、現在ではスフィンゴモナス属として再分類されているシュードモナス ポーシモビリス(Pseudomonas paucimobilis)に同定された。本発明者らの菌株では、ヒツジ赤血球を含有する寒天プレート上で決定的な溶血現象を検出できなかったので、今回は「hly」なる略称を使用しなかった。atrB遺伝子のDNA配列から推定したアミノ酸の約48%は、百日咳菌(Bordetella pertussis)のシクロリシン(cyclolysin)ABC担体のアミノ酸と同一であった。atrB遺伝子産物は、それぞれ溶血素と白血球毒素を輸送する大腸菌のHlyBタンパク質及びパスツレラ ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)のLktBタンパク質と非常によく類似していた。また、atrBのC末端半分は、R.メリロチのNdvAタンパク質のC末端半分や、ヒト多剤耐性タンパク質Mdr1内の二つの繰り返しATP結合ドメインを含む、上記以外の多くのABC輸送体に類似していた。atrD遺伝子産物の配列は、大腸菌のHlyDタンパク質及びP.ヘモリチカのLktDタンパク質の配列と類似していた。他の属由来の関連輸送遺伝子とは違って、スフィンゴモナスatrB及びatrD遺伝子と隣接したり、あるいはspsクラスター内に存在する溶菌性又は毒性の類似遺伝子はなかった。
一つの属の細菌の多糖陰性変異株を第二の属のDNAで相互に遺伝的に相補することは、最初にキサントモナス属とリゾビウム属との間で立証された(Borthakur,et al.,1988,Mol.Gen.Genet.,213:155)。この初期の研究では、寒天プレート上で粘液性が回復したことが観察された。後年になって、X.カンペストリスのgumD遺伝子とスフィンゴモナス菌株S88のspsB遺伝子との間でお互に属間で相補がおこったことが報告され(Pollock,et al.,1994,J.Bacteriol.,176:6229)、本発明者らも組成分析によって、供与菌の相補遺伝子により、受容菌がエクソポリサッカライドの合成を回復したことを立証した。
下記に記す上から6番目までの微生物は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従い、メリーランド州20852 ロックビル、パークラウンドライブ 12301に所在する、アメリカン タイプ カルチャーコレクション(American type Culture Collection)に国際寄託されている。寄託物の利用可能性に対する制限は、寄託物についての特許の付与と同時に、取り消し不能条件を付してすべて撤廃される。下から3番目以降の微生物は、メリーランド州のロックビルのアメリカン タイプ カルチャー コレクションから公的に入手することができる。
Claims (74)
- スフィンガンを生産するスフィンゴモナス属菌のDNAから単離されたDNA配列であって、受容菌となるスフィンゴモナス属菌に該DNA配列の多数コピーを組み入れたとき、該受容菌に関連するスフィンガン多糖類の大量生産菌を産生する、上記受容菌となるスフィンゴモナス属菌がスフィンガンを生合成する際に有益又は不可欠な遺伝情報をコードする単離されたDNA配列。
- ATCC31554、ATCC31461、ATCC31853、ATCC21423、ATCC31555、ATCC31961、ATCC53159、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス属の細菌株から単離された請求項1に記載のDNA配列。
- ATCC31554、ATCC31461、ATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス属の細菌株から単離された請求項1に記載のDNA配列。
- スフィンゴモナス菌株ATCC31554から単離された請求項3に記載のDNA配列。
- S88cl△3、S88c2、及びS88c3から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項4に記載のDNA配列。
- 該セグメントの一部分である請求項5に記載のDNA配列。
- スフィンゴモナス菌株ATCC31461から単離された請求項3に記載のDNA配列。
- S60c1、S60c2、S60c3からなる群から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項7に記載のDNA配列。
- 該配列のフラグメントである請求項8に記載のDNA配列。
- スフィンゴモナス菌株ATCC53272から単離された請求項3に記載のDNA配列。
- NWc2.1及びNWc2.2からなる群から選ばれたセグメント制限酵素地図を持つ請求項1に記載のDNA配列。
- 該セグメントのフラグメントである請求項11に記載のDNA配列。
- 該スフィンガンが次の一般式で表される請求項1に記載のDNA配列。
式中Glcはグルコースであり、GlcAはグルクロン酸であり、Rhaはラムノースであり、Manはマンノースであり、Xはラムノース又はマンノースである。ZはGlc残基2に付着し、かつ、Zはα−L−Rha−(1−−6)−α−L−Rha、α−L−Man、又はα−L−Rhaである。WはGlc残基1に付着し、かつ、Wはβ−D−Glc−(1−−6)−α−D−Glc、又はα−L−Rhaである。下付き文字v及びyは0、0. 33、0. 5、0. 67、又は、1である。ポリマーの還元末端は、主鎖のX残基の側であり、vとyが0のときにはW及びZは主鎖の上に存在しない。 - グリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を含有する請求項1に記載のDNA配列。
- 該グリコシルトランスフェラーゼ酵素がグリコシルIP−トランスフェラーゼである請求項14に記載のDNA配列。
- ラムノースオペロン又はラムノース遺伝子を含有する請求項1に記載のDNA配列。
- 供与菌となるスフィンガンを生成するスフィンゴモナス属菌のDNAからDNA配列を単離すること、該配列は、供与菌となるスフィンガン生産菌がスフィンガンを生合成する際に有益又は不可欠な遺伝情報をコードすること、受容菌に該配列を挿入すること、該受容菌は、該配列の多数のコピーを組み入れること、該供与菌に関連するスフィンガン多糖類の生産量が同一の発酵条件下で高まっていることを含むスフィンゴモナス属菌の菌株から派生した細菌を操作して、スフィンガン多糖類の大量生産菌とする方法。
- 該DNA配列を挿入する該細菌が、ATCC31554、ATCC31461、ATCC31853、ATCC21423、ATCC31555、ATCC31961、ATCC53159、ATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株のメンバーである請求項17に記載の方法。
- 該DNA配列を挿入する該細菌が、ATCC31554、ATCC31461、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株のメンバーである請求項17に記載の方法。
- 該DNA配列が、ATCC31554、ATCC31461、ATCC31853、ATCC21423、ATCC31555、ATCC31961、ATCC53159、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株から単離された請求項17に記載の方法。
- 該DNA配列が、ATCC31554、ATCC31461、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株から単離された請求項17に記載の方法。
- 該DNA配列が、スフィンゴモナス菌株ATCC31554から単離された請求項18に記載の方法。
- 該DNA配列が、S88cl△3、S88c2、及びS88c3から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項22に記載の方法。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項23に記載の方法。
- 該DNA配列が、スフィンゴモナス菌株ATCC31461から単離された請求項18に記載の方法。
- 該DNA配列が、S60c1、S60c2、及びS60c3からなる群から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項25に記載の方法。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項22に記載の方法。
- 該DNA配列が、スフィンゴモナス菌株ATCC53272から単離された請求項18に記載の方法。
- 該DNA配列が、セグメントNWc2.1又はNWc2.2の制限酵素地図を持つ請求項28に記載の方法。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項29に記載の方法。
- 該スフィンガンが次の一般式で表される請求項17に記載の方法。
式中Glcはグルコースであり、GlcAはグルクロン酸であり、Rhaはラムノースであり、Manはマンノースであり、Xはラムノース又はマンノースである。ZはGlc残基2に付着し、かつ、Zはα−L−Rha−(1−−6)−α−L−Rha、α−L−Man、又はα−L−Rhaである。WはGlc残基1に付着し、かつ、Wはβ−D−Glc−(1−−6)−α−D−Glc、又はα−L−Rhaである。下付き文字v及びyは0、0. 33、0. 5、0. 67、又は、1である。ポリマーの還元末端は、主鎖のX残基の側であり、vとyが0のときにはW及びZは主鎖の上に存在しない。 - グリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を含有する請求項17に記載の方法。
- 該グリコシルトランスフェラーゼ酵素がグリコシルIP−トランスフェラーゼである請求項32に記載の方法。
- ラムノースオペロン又はラムノース遺伝子を含有する請求項17に記載の方法。
- スフィンゴモナス属菌の菌株から派生する細菌であって、該細菌がスフィンガン多糖類の生合成に有益又は不可欠の遺伝情報をコードしているDNA配列の多数のコピーを含有し、該DNA配列がスフィンガン生産菌であってその供与菌となるスフィンゴモナス属菌の染色体DNA又はプラスミドDNAから単離され、受容菌に挿入されることにより該受容菌がスフィンガン多糖類の大量生産菌となる細菌。
- ATCC31554、ATCC31461、ATCC31853、ATCC21423、ATCC31555、ATCC31961、ATCC53159、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株から派生する請求項35に記載の細菌。
- ATCC31554、ATCC31461、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株から派生する請求項35に記載の細菌。
- 該DNA配列が、ATCC31554、ATCC31461、ATCC31853、ATCC21423、ATCC31555、ATCC31961、ATCC53159、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株から単離された請求項35に記載の細菌。
- 該菌株が、ATCC31554、ATCC31461、及びATCC53272からなる群から選ばれる請求項35に記載の細菌。
- 該菌株が、スフィンゴモナス菌株ATCC31554である請求項35に記載の細菌。
- 該DNA配列が、S88cl△3、S88c2、及びS88c3から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項35に記載の細菌。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項35に記載の細菌。
- 該菌株が、ATCC31461である請求項35に記載の細菌。
- 該DNA配列が、S60c1、S60c2、及びS60c3からなる群から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項35に記載の細菌。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項35に記載の細菌。
- 該菌株が、ATCC53272である請求項35に記載の細菌。
- 該DNA配列が、セグメントNWc2.1又はNWc2.2の制限酵素地図を持つ請求項35に記載の細菌。
- 該DNA配列が、S60c1、S60c2、及びS60c3からなる群から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項35に記載の細菌。
- 該スフィンガンが次の一般式で表される請求項35に記載の細菌。
式中Glcはグルコースであり、GlcAはグルクロン酸であり、Rhaはラムノースであり、Manはマンノースであり、Xはラムノース又はマンノースである。ZはGlc残基2に付着し、かつ、Zはα−L−Rha−(1−−6)−α−L−Rha、α−L−Man、又はα−L−Rhaである。WはGlc残基1に付着し、かつ、Wはβ−D−Glc−(1−−6)−α−D−Glc、又はα−L−Rhaである。下付き文字v及びyは0、0. 33、0. 5、0. 67、又は、1である。ポリマーの還元末端は、主鎖のX残基の側であり、vとyが0のときにはW及びZは主鎖の上に存在しない。 - グリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を含有する請求項35に記載の細菌。
- 該グリコシルトランスフェラーゼ酵素がグリコシルIP−トランスフェラーゼである請求項50に記載の細菌。
- ラムノースオペロン又はラムノース遺伝子を含有する請求項35に記載の細菌。
- スフィンゴモナス属菌によってスフィンガンを増産する方法において、
1) スフィンガン生産菌であって供与菌となるスフィンゴモナス菌株から供与菌となるスフィンゴモナス属菌に、該スフィンガン生合成に有益又は不可欠の遺伝情報をコードしているDNA配列の多数のコピーを組み込み、
2) 工程1で単離した該DNA配列の多数のコピーを受容菌となるスフィンゴモナス菌に組み入れること、
3) 工程2から得られた細菌を発酵ブロス中で培養してスフィンガンを生産すること、
及び
4) 工程3からスフィンガンを単離すること
を含む方法。 - 該DNA配列を挿入する該細菌が、ATCC31554、ATCC31461、ATCC31853、ATCC21423、ATCC31555、ATCC31961、ATCC53159、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株のメンバーである請求項53に記載の方法。
- 該DNA配列を挿入する該細菌が、ATCC31554、ATCC31461、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株のメンバーである請求項53に記載の方法。
- 該DNA配列が、ATCC31554、ATCC31461、ATCC31853、ATCC21423、ATCC31555、ATCC31961、ATCC53159、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株から単離された請求項53に記載の方法。
- 該DNA配列が、ATCC31554、ATCC31461、及びATCC53272からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌株から単離された請求項53に記載の方法。
- 該DNA配列が、スフィンゴモナス菌株ATCC31554から単離された請求項53に記載の方法。
- 該DNA配列が、S88cl△3、S88c2、及びS88c3から選ばれたセグメントの制限酵素地図を持つ請求項58に記載の方法。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項59に記載の方法。
- 該DNA配列が、スフィンゴモナス菌株ATCC31461から単離された請求項53に記載の方法。
- 該DNA配列が、セグメントS60c1、S60c2、又はS60c3の制限酵素地図を持つ請求項61に記載の方法。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項62に記載の方法。
- 該DNA配列が、スフィンゴモナス菌株ATCC53272から単離された請求項53に記載の方法。
- 該DNA配列が、セグメントNWc2.1又はNWc2.2の制限酵素地図を持つ請求項64に記載の方法。
- 該DNA配列が、該セグメントのフラグメントである請求項65に記載の方法。
- 該スフィンガンが次の一般式で表される請求項53に記載の方法。
式中Glcはグルコースであり、GlcAはグルクロン酸であり、Rhaはラムノースであり、Manはマンノースであり、Xはラムノース又はマンノースである。ZはGlc残基2に付着し、かつ、Zはα−L−Rha−(1−−6)−α−L−Rha、α−L−Man、又はα−L−Rhaである。WはGlc残基1に付着し、かつ、Wはβ−D−Glc−(1−−6)−α−D−Glc、又はα−L−Rhaである。下付き文字v及びyは0、0. 33、0. 5、0. 67、又は、1である。ポリマーの還元末端は、主鎖のX残基の側であり、vとyが0のときにはW及びZは主鎖の上に存在しない。 - 該DNA配列はグリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードしている請求項53に記載の方法。
- 該グリコシルトランスフェラーゼ酵素がグリコシルIP−トランスフェラーゼである請求項68に記載の方法。
- ラムノースオペロン又はラムノース遺伝子を含有する請求項53に記載の方法。
- 該組み込みの工程1の前に、該DNA配列を単離する工程を、該方法がさらに含む請求項53に記載の方法。
- ATCC69735、ATCC69744、ATCC31853、ATCC21423、及びATCC31961からなる群から選ばれたスフィンゴモナス菌の微生物の生物学的に純粋な培養物。
- 大腸菌であるATCC69732、ATCC69733、又はATCC69734の生物学的に純粋な培養物。
- 出願時の図14に示す配列と実質的に一致するDNA配列。
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