JP2014180972A - 電動パワーユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】伝動ケースに支持される電動モータと、伝動ケースに軸支される駆動輪の車軸および電動モータ間に設けられて伝動ケースに収容される動力伝達装置とを備えて車両に搭載される電動パワーユニットにおいて、遊星ギヤ機構の変速段を変速クラッチで切り換えるようにして減速比を大きく確保しつつ、車幅方向での大型化を防止する。
【解決手段】動力伝達装置32Aが、電動モータ31からの回転動力を伝えるようにして電動モータ31と同軸に配置される伝動軸33と、車両前後方向で伝動軸33および車軸13間に配置される中間軸34と、中間軸34に同軸に配置される遊星ギヤ機構35と、該遊星ギヤ機構35の変速段を切換えるようにして伝動軸33と同軸に配置される変速クラッチ36とを備える。
【選択図】 図3
【解決手段】動力伝達装置32Aが、電動モータ31からの回転動力を伝えるようにして電動モータ31と同軸に配置される伝動軸33と、車両前後方向で伝動軸33および車軸13間に配置される中間軸34と、中間軸34に同軸に配置される遊星ギヤ機構35と、該遊星ギヤ機構35の変速段を切換えるようにして伝動軸33と同軸に配置される変速クラッチ36とを備える。
【選択図】 図3
Description
本発明は、伝動ケースに支持される電動モータと、前記伝動ケースに軸支される駆動輪の車軸および前記電動モータ間に設けられて前記伝動ケースに収容される動力伝達装置とを備えて車両に搭載される電動パワーユニットに関する。
エンジンが搭載される自動二輪車において、遊星ギヤ機構の変速段を変速クラッチで切り換えるようにして、減速比を大きく確保するようにしたものが特許文献1で既に知られている。
ところが、特許文献1で開示されたものでは、遊星ギヤ機構および変速クラッチが、同軸にかつ車幅方向に並んで配置されており、電動モータを動力源とする電動車両では、パワーユニットが車幅方向で大型化するのを避けつつ電動モータを配置するスペースを確保することが難しい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、遊星ギヤ機構の変速段を変速クラッチで切り換えるようにして減速比を大きく確保しつつ、車幅方向での大型化を防止し得るようにした電動パワーユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、伝動ケースに支持される電動モータと、前記伝動ケースに軸支される駆動輪の車軸および前記電動モータ間に設けられて前記伝動ケースに収容される動力伝達装置とを備えて車両に搭載される電動パワーユニットにおいて、前記動力伝達装置が、前記電動モータからの回転動力を伝えるようにして前記電動モータと同軸に配置される伝動軸と、車両前後方向で前記伝動軸および前記車軸間に配置される中間軸と、前記中間軸に同軸に配置される遊星ギヤ機構と、該遊星ギヤ機構の変速段を切換えるようにして前記伝動軸と同軸に配置される変速クラッチとを備えることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記変速クラッチが遠心式の自動クラッチであり、左右一対の駆動輪のうち一方の駆動輪の内側面に前記電動モータを近接させて、左右一対の駆動輪間に前記伝動ケースの少なくとも一部が配置されることを第2の特徴とする。
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記動力伝達装置が、左右一対の前記駆動輪の車軸に動力を分配する差動装置を備え、前記遊星ギヤ機構および前記差動装置が左右に振り分けて配置されることを第3の特徴とする。
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記車両が前記駆動輪である単一の後輪を有する自動二輪車であり、前記後輪の一側方に、前記後輪との間に前記遊星ギヤ機構ならびに遠心式の自動クラッチである前記変速クラッチが位置するようにして前記電動モータが配置され、前記伝動ケースの一部を収容する凹部が前記後輪のホイールの前記電動モータ側の側面に形成されることを第4の特徴とする。
さらに本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記電動モータを前記変速クラッチとの間に挟む位置に、前記電動モータの回転数が所定回転数以上となるのに応じて前記電動モータおよび前記伝動軸間を接続する遠心式の自動クラッチである発進クラッチが配置されることを第5の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、変速クラッチおよび遊星ギヤ機構が、車両前後方向にずれた伝動軸および中間軸に同軸に配置されるので、動力伝達装置を車幅方向でコンパクト化することができ、電動パワーユニットが車幅方向で大型化するのを避けつつ電動モータを配置するスペースを確保することが容易となる。
また本発明の第2の特徴によれば、左右一対の駆動輪のうち一方の駆動輪の内側面に電動モータが近接するようにしながら、伝動ケースの少なくとも一部が左右一対の駆動輪間に配置されるので、左右一対の駆動輪間の間隔が広がらないようにして電動パワーユニットを配置することができ、構造の簡素化を図りつつ左右一対の駆動輪を有する電動車両の車幅の小型化を図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば、左右一対の駆動輪の車軸に動力を分配する差動装置と、遊星ギヤ機構とが左右に振り分けて配置されるので、伝動軸および車軸間の間隔を短くするのに差動装置が邪魔になることがなく、前後方向での小型化が可能となる。
本発明の第4の特徴によれば、後輪の一側方に、後輪との間に遊星ギヤ機構および変速クラッチが位置するようにして電動モータが配置され、後輪のホイールの電動モータ側の側面に形成される凹部に伝動ケースの一部が収容されるので、構造の簡素化を図るとともに、後輪から側方への電動パワーユニットの張出しを抑え、自動二輪車の車幅を低減することができるとともに、充分なバンク角を確保することができる。
さらに本発明の第5の特徴によれば、電動モータおよび発進クラッチを近づけて配置することができ、電動モータの回転数が所定回転数以上となるのに応じて電動モータおよび伝動軸間が発進クラッチを介して接続されるので、電動モータの初期回転をスムーズに行うことができ、電動モータの大型化を回避して電動パワーユニットの小型化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
本発明の第1の実施の形態について図1〜図3を参照しながら説明すると、先ず図1において、この自動二輪車は低床フロア11を有する電動スクータであり、駆動輪である後輪WRは、電動モータ31を有する電動パワーユニットPAによって回転駆動される。
この電動スクータの車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク12ならびに該フロントフォーク12の上部に連結された操向ハンドル13を操向可能に支承するヘッドパイプ14と、該ヘッドパイプ14から後下がりに延びるダウンフレーム15と、該ダウンフレーム15の下部に連結されて後方に延びる左右一対のサイドフレーム16…と、それらのサイドフレーム16…の後端に一体に連なって後上がりに延びる左右一対のリヤフレーム17…とを備える。
前記車体フレームFにおける両リヤフレーム17…の前部に設けられたピボットプレート18…には、スイングアーム20Aの前部が支軸19を介して揺動可能に支承され、前記両リヤフレーム17…のうち左側のリヤフレーム17の後部および前記スイングアーム20の後部間にはリヤクッションユニット21が設けられる。
前記両サイドフレーム16…間には、前記電動モータ31に電力を供給するための高電圧バッテリを内蔵せしめたバッテリケース22が両サイドフレーム16…で支持されるようにして配置され、前記両リヤフレーム17…間には、収納ボックス23が両リヤフレーム17…で支持されるようにして配置され、この収納ボックス23は、開閉可能な乗車用シート24で上方から覆われる。しかも収納ボックス23の後側下部には、低電圧バッテリを収納するバッテリ収納部23aが下方に突出するようにして一体に形成される。
図2において、前記スイングアーム20Aは、前記後輪WRの前方に配置されるとともに左右両端部が前記ピボットプレート18,18に支軸19を介して揺動可能に連結される揺動支持部25aならびに該揺動支持部25aの左端部から前記後輪WRの左側方まで延出されるアーム部25bを有するスイングアーム主体25と、前記アーム部25bに外側方から結合される左側カバー部材26と、前記アーム部25bの後部に後輪WR側から結合される右側カバー部材27とで構成される。
前記揺動支持部25aには、前記電動モータ31の作動を制御するパワードライブユニット28が複数のねじ部材29…で取付けられる。
前記電動パワーユニットPAは、伝動ケース30Aに支持される前記電動モータ31と、前記後輪WRの車軸31および前記電動モータ31間に設けられて前記伝動ケース30Aに収容される動力伝達装置32Aとで構成される。
前記動力伝達装置32Aは、前記電動モータ31からの回転動力を伝えるようにして前記電動モータ31と同軸に配置される伝動軸33と、車両前後方向で前記伝動軸33および前記車軸31間に配置される中間軸34と、前記中間軸34に同軸に配置される遊星ギヤ機構35と、該遊星ギヤ機構35の変速段を切換えるようにして前記伝動軸33と同軸に配置される遠心式の自動クラッチである変速クラッチ36と、該変速クラッチ36のクラッチアウタ74の回転方向を規制するワンウエイクラッチ37と、前記電動モータ31の回転数が所定回転数以上となるのに応じて前記電動モータ31および前記伝動軸33間を接続する遠心式の自動クラッチである発進クラッチ38とを備える。
前記伝動ケース30Aは、前記スイングアーム主体25の後部、前記左側カバー部材26の後部および前記右側カバー部材27で構成されるものであり、スイングアーム20Aの後端部すなわち伝動ケース30Aの後端部に後輪WRの車軸31が軸支される。
図3を併せて参照して、前記電動モータ31は、前記伝動ケース30Aにおいて前記アーム部25bの後部と、前記アーム部25bの後部に結合されるモータカバー41との間に収容される。この電動モータ31は、アーム部25bに固定されるステータ42と、前記後輪WRの車軸31と平行な軸線を有して筒状に形成されるモータ軸44に固定されて前記ステータ42内に同軸に配置されるロータ43とを有し、モータ軸44の一端側は前記モータカバー41を回転自在に貫通し、モータ軸44およびモータカバー41間にはボールベアリング45が介装される。またモータ軸44は、前記アーム部25bの後部を回転自在に貫通するとともに軸方向両端部が前記左側カバー部材26および前記右側カバー部材27で回転自在に支承される前記伝動軸33を囲繞するように配置されており、前記モータ軸44および前記伝動軸33間にはボールベアリング46およびニードルベアリング47が介装される。すなわちモータ軸44は、前記モータカバー41で回転自在に支承されるとともに前記伝動軸33で相対回転自在に支承されることになる。
前記発進クラッチ38は、前記電動モータ31を前記変速クラッチ36との間に挟む位置で前記モータ軸44と同軸に配置されて前記左側カバー部材26で外側方から覆われるものであり、前記モータ軸44に固定されるクラッチインナ48と、該クラッチインナ48の複数箇所に支持される複数の遠心ウエイト49…と、それらの遠心ウエイト49…が摩擦、係合される椀状のクラッチアウタ50と、各遠心ウエイト49…および前記クラッチインナ48間に設けられるクラッチばね51…とを備え、前記クラッチアウタ50は、前記モータ軸44を同軸に貫通する前記伝動軸33に同軸に固定される。
この発進クラッチ38は、前記モータ軸44および前記クラッチインナ48の回転に応じて各遠心ウエイト…49に作用する遠心力が各クラッチばね51…のばね付勢力を上回ったときに遠心ウエイト49…がクラッチアウタ50の内周に摩擦係合することで、前記モータ軸44および前記伝動軸33間を動力伝達状態とする。
前記伝動軸33の一端部は前記左側カバー部材26にボールベアリング52を介して回転自在に支承され、該伝動軸33の中間部およびアーム部25bの後部間には環状のシール部材53およびボールベアリング54が介装され、前記伝動軸33の他端部および前記右側カバー部材27間にはボールベアリング55が介装される。また前記後輪WRの車軸31は、前記右側カバー部材27の後部を回転自在に貫通するものであり、前記右側カバー部材27および前記車軸31間には環状のシール部材56およびボールベアリング57が介装され、前記アーム部25bの後部および前記車軸31の一端部間にはボールベアリング58が介装される。
前記伝動ケース30Aには、車両前後方向で前記伝動軸33および前記車軸31間に配置される中間軸34が回転自在に支承されており、この実施の形態では、前記中間軸34は、前記伝動軸33に対して車両前後方向の後方かつ下方に配置される。この中間軸34の一端部は、前記アーム部25bの後部にボールベアリング59を介して回転自在に支承され、該中間軸34の他端部は前記右側カバー部材27にボールベアリング60を介して回転自在に支承される。
前記変速クラッチ36は、前記電動モータ31からの動力が前記発進クラッチ38を介して伝達される前記伝動軸33と同軸に配設され、前記遊星ギヤ機構35は前記中間軸34と同軸に配置されており、前記変速クラッチ36のクラッチアウタ74が、前記遊星ギヤ機構35のサンギヤ64に連動、連結される。
前記遊星ギヤ機構35は、前記伝動軸33からの動力が伝達されるリングギヤ61と、該リングギヤ61に噛合する複数の遊星ギヤ62…と、それらの遊星ギヤ62…を回転自在に支持して後輪WRの車軸31に連動、連結される遊星キャリア63、前記中間軸34に相対回転自在に支承されて複数の前記遊星ギヤ62…に噛合するサンギヤ64とを備える。
前記中間軸34と同軸のリング部61aを有する前記リングギヤ61は、前記中間軸34を囲繞して該中間軸34に相対回転自在に支承される円筒状のボス部材67に固着されており、前記伝動軸33に一体に設けられるギヤ68に噛合する外側歯部65が前記リング部61aの外周に形成され、前記リング部61aの内周に前記遊星ギヤ62…に噛合する内側歯部66が形成される。
前記リングギヤ61が固着される前記ボス部材67と、前記右側カバー部材27および前記中間軸34間に介装されるボールベアリング60の内輪との間には、前記中間軸34を囲繞する伝動筒軸69が、該中間軸34に相対回転自在に支承されるようにして配置されており、前記サンギヤ64は前記伝動筒軸69の一端部に固着される。また前記伝動筒軸69には、該伝動筒軸69を囲繞する出力ギヤ70が相対回転自在に支承されており、前記遊星キャリア63は前記出力ギヤ70に固定され、前記出力ギヤ70に噛合する従動ギヤ71が前記車軸31に設けられる。
前記変速クラッチ36は、前記遊星ギヤ機構35の前記リングギヤ61に噛合するようにして前記伝動軸33に一体に設けられた前記ギヤ68を、アーム部25bとの間に挟む位置に配置されており、前記伝動軸33に相対回転不能に連結されるクラッチインナ73と、前記伝動軸33に相対回転可能に支持されるクラッチアウタ74と、前記クラッチインナ73の複数箇所に軸支される遠心ウエイト75…と、各遠心ウエイト75…および前記クラッチインナ73間に設けられるクラッチばね(図示せず)とを備える。
この変速クラッチ36では、前記伝動軸33とともに回転する前記クラッチインナ73の回転に応じて各遠心ウエイト75…に作用する遠心力が各クラッチばねのばね付勢力を上回ったときに遠心ウエイト75…がクラッチアウタ74の内周に摩擦係合することで、接続状態となってクラッチアウタ74が前記伝動軸33とともに回転する。
前記変速クラッチ36の前記クラッチアウタ74は、端板部74aを有して椀状に形成されており、その開放端を前記電動モータ31側に向けて配置される。このクラッチアウタ74における前記端板部74aの内周は、前記伝動軸33にニードルベアリング77を介して相対回転自在に支承される円筒状の筒体78に固定されており、この筒体78の外周の一部に第1の動力伝達ギヤ79が一体に形成される。一方、前記遊星ギヤ機構35における伝動筒軸69の他端部には、第1の動力伝達ギヤ79に噛合する第2の動力伝達ギヤ80が同軸に固定されており、遊星ギヤ機構35のサンギヤ64および変速クラッチ36のクラッチアウタ74は連動、連結される。
前記変速クラッチ36における前記クラッチアウタ74の回転方向は、ワンウエイクラッチ37で規制されるものであり、このワンウエイクラッチ37は、前記クラッチアウタ74における前記端板部74aの外面側に支持される複数の回り止め部材81…と、それらの回り止め部材81…を係合させることを可能として前記伝動ケース30Aにおける前記アーム部25bに取付けられる規制部材82とを備える。
このような動力伝達装置32Aでは、電動モータ31の回転数が所定回転数以上となって発進クラッチ38が接続状態となり、電動モータ31の回転動力が伝動軸33に伝達されると、変速クラッチ36のクラッチインナ73が回転し始めるともに、伝動軸33に設けられたギヤ68に噛合したリングギヤ61が回転し始める。この場合、伝動軸33の回転数が変速クラッチ36を接続させる回転速度に達するまでは変速クラッチ36は遮断状態である。前記リングギヤ61の回転によって、サンギヤ64には、遊星ギヤ62…を介して前記リングギヤ61とは反対方向に回転する側の力が作用することになる。このサンギヤ64は伝動筒軸69、第2の動力伝達ギヤ80、第1の動力伝達ギヤ79および前記筒体78を介して変速クラッチ36のクラッチアウタ74に連動、連結されており、前記サンギヤ64から前記変速クラッチ36の前記クラッチアウタ74には、前記伝動軸33の回転方向と同方向に回転させる力が作用することになり、該クラッチアウタ74の回転がワンウエイクラッチ37によって規制されるので、前記サンギヤ64も静止状態に保持される。したがって各遊星ギヤ62…が、静止したサンギヤ64のまわりを遊星キャリア63とともに回転することになり、伝動軸33の回転数よりも減速された回転数で回転する遊星キャリア63から出力ギヤ70および従動ギヤ71を介して後輪WRの車軸31に回転動力が伝達される。すなわち動力伝達装置32Aでの変速段は「LOW」である。
伝動軸33の回転速度がさらに増大して変速クラッチ36が接続すると、ワンウエイクラッチ37による規制が解除されて変速クラッチ36のクラッチアウタ74が伝動軸33とともに回転し、遊星ギヤ機構35では、サンギヤ64がリングギヤ61と同方向に回転することになり、遊星ギヤ機構35での各ギアの回転差がなくなって動力伝達装置32Aの変速段が「HIGH」となる。
ところで前記電動モータ31は、前記後輪WRの一側方(左側方)に、前記後輪WRとの間に前記遊星ギヤ機構35および前記変速クラッチ36が位置するようにして配置されており、前記後輪WRのホイール83の前記電動モータ31側の側面(左側面)には、前記伝動ケース30Aの一部、この実施の形態では右側カバー部材27の一部を収容する凹部88が形成される。
すなわち、前記伝動ケース30Aからの前記車軸31の突出部には、前記後輪WRのホイール83のハブ84が固定される。このホイール83は、前記ハブ84と、タイヤ87が装着されるリム85との間に複数のスポーク86…が設けられて成るものであるが、前記ハブ84および前記リム85間に前記電動モータ31側すなわち前記伝動ケース30A側に開放した凹部88を形成するようにして、前記ハブ84および前記リム85間を前記スポーク86…が連結する。
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、伝動ケース30Aに軸支される後輪WRの車軸31および電動モータ31間に設けられて伝動ケース30Aに収容される動力伝達装置32Aが、前記電動モータ31からの回転動力を伝えるようにして前記電動モータ31と同軸に配置される伝動軸33と、車両前後方向で前記伝動軸33および前記車軸31間に配置される中間軸34と、前記中間軸34に同軸に配置される遊星ギヤ機構35と、該遊星ギヤ機構35の変速段を切換えるようにして前記伝動軸33と同軸に配置される変速クラッチ36とを備えるので、遊星ギヤ機構35の変速段を変速クラッチ36で切り換えるようにして減速比を大きく確保しつつ、変速クラッチ36および遊星ギヤ機構35を車両前後方向にずらせて配置することで動力伝達装置32Aを車幅方向でコンパクト化することができ、電動パワーユニットPAが車幅方向で大型化するのを避けつつ電動モータ31を配置するスペースを確保することが容易となる。
また前記後輪WRの一側方(左側方)に、前記後輪WRとの間に前記遊星ギヤ機構35および前記変速クラッチ36が位置するようにして前記電動モータ31が配置され、前記伝動ケース30Aの一部を収容する凹部88が前記後輪のホイール83の前記電動モータ31側の側面に形成されるので、構造の簡素化を図るとともに、後輪WRから左側方への電動パワーユニットPAの張出しを抑え、自動二輪車の車幅を低減することができるとともに、充分なバンク角を確保することができる。
しかも前記電動モータ31を前記変速クラッチ36との間に挟む位置に、前記電動モータ31の回転数が所定回転数以上となるのに応じて前記電動モータ31および前記伝動軸33間を接続する遠心式の発進クラッチ38が配置されるので、電動モータ31および発進クラッチ38を近づけて配置することができ、電動モータ31の初期回転をスムーズに行うことができ、電動モータ31の大型化を回避して電動パワーユニットPAの小型化を図ることができる。
本発明の第2の実施の形態について図4を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
小型の電動三輪車が備える左右一対の後輪WR,WRは、電動モータ31を有する電動パワーユニットPBによって回転駆動されるものであり、この電動パワーユニットPBは、伝動ケース30Bに支持される前記電動モータ31と、左右一対の前記後輪WR,WRの車軸31L,31Rおよび前記電動モータ31間に設けられて前記伝動ケース30Bに収容される動力伝達装置32Bとで構成され、前記伝動ケース30Bは、左右一対の前記後輪WR,WRの車軸13L,13Rを後端部で軸支して上下に揺動可能として図示しない車体フレームに支持されるスイングアーム20Bの後部で形成される。
前記動力伝達装置32Bは、前記電動モータ31からの回転動力を伝えるようにして前記電動モータ31と同軸に配置される伝動軸33と、車両前後方向で前記伝動軸33および前記車軸13L,13R間に配置される中間軸34と、前記中間軸34に同軸に配置される遊星ギヤ機構35と、該遊星ギヤ機構35の変速段を切換えるようにして前記伝動軸33と同軸に配置される遠心式の変速クラッチ36と、該変速クラッチ36のクラッチアウタ74の回転方向を規制するワンウエイクラッチ37と、前記電動モータ31の回転数が所定回転数以上となるのに応じて前記電動モータ31および前記伝動軸33間を接続する遠心式の発進クラッチ38と、左右一対の前記後輪WR,WRに動力を分配する差動装置90とを備える。
前記差動装置90には、前記遊星ギヤ機構35の遊星キャリア63から出力ギヤ70および従動ギヤ71を介して動力が入力されるものであり、この差動装置90および前記遊星ギヤ機構35は、左右に振り分けて前記伝動ケース30B内に配置されるものであり、この実施の形態では、前記遊星ギヤ機構35が左側に配置され、前記差動装置90が右側に配置される。
しかも前記伝動ケース30Bの少なくとも一部、この実施の形態では前記伝動ケース30Bの一部は、左右一対の後輪WR,WRのうち一方(この実施の形態では左側)の後輪WRの内側面に前記電動モータ31を近接させて、左右一対の前記後輪WR,WR間に配置される。
この第2の実施の形態によれば、前記伝動ケース30Bの少なくとも一部が、左右一対の後輪WR,WRのうち一方(この実施の形態では左側)の後輪WRの内側面に前記電動モータ31を近接させて、左右一対の前記後輪WR,WR間に配置されるので、左右一対の後輪WR,WR輪間の間隔が広がらないようにして電動パワーユニットPBを配置することができ、構造の簡素化を図りつつ左右一対の後輪WR,WRを有する電動三輪車の車幅の小型化を図ることができる。
また動力伝達装置32Bが、左右一対の前記後輪WR,WRの車軸13L,13Rに動力を分配する差動装置90を備え、前記遊星ギヤ機構35および前記差動装置90が左右に振り分けて配置されるので、伝動軸33および車軸13L,13R間の間隔を短くするのに差動装置90が邪魔になることがなく、前後方向での小型化が可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
13,13L,13R・・・車軸
30A,30B・・・ 伝動ケース
31・・・電動モータ
32A,32B・・・動力伝達装置
33・・・伝動軸
34・・・中間軸
35・・・遊星ギヤ機構
36・・・変速クラッチ
38・・・発進クラッチ
83・・・ホイール
88・・・凹部
90・・・差動装置
PA,PB・・・電動パワーユニット
WR・・・駆動輪である後輪
30A,30B・・・ 伝動ケース
31・・・電動モータ
32A,32B・・・動力伝達装置
33・・・伝動軸
34・・・中間軸
35・・・遊星ギヤ機構
36・・・変速クラッチ
38・・・発進クラッチ
83・・・ホイール
88・・・凹部
90・・・差動装置
PA,PB・・・電動パワーユニット
WR・・・駆動輪である後輪
Claims (5)
- 伝動ケース(30A,30B)に支持される電動モータ(31)と、前記伝動ケース(30A,30B)に軸支される駆動輪(WR)の車軸(13,13L,13R)および前記電動モータ(31)間に設けられて前記伝動ケース(30A,30B)に収容される動力伝達装置(32A,32B)とを備えて車両に搭載される電動パワーユニットにおいて、前記動力伝達装置(32A,32B)が、前記電動モータ(31)からの回転動力を伝えるようにして前記電動モータ(31)と同軸に配置される伝動軸(33)と、車両前後方向で前記伝動軸(33)および前記車軸(13,13L,13R)間に配置される中間軸(34)と、前記中間軸(34)に同軸に配置される遊星ギヤ機構(35)と、該遊星ギヤ機構(35)の変速段を切換えるようにして前記伝動軸(33)と同軸に配置される 変速クラッチ(36)とを備えることを特徴とする電動パワーユニット。
- 前記変速クラッチ(36)が遠心式の自動クラッチであり、左右一対の駆動輪(WR)のうち一方の駆動輪(WR)の内側面に前記電動モータ(31)を近接させて、左右一対の駆動輪(WR)間に前記伝動ケース(30B)の少なくとも一部が配置されることを特徴とする請求項1記載の電動パワーユニット。
- 前記動力伝達装置(32B)が、左右一対の前記駆動輪(WR)の車軸(13L,13R)に動力を分配する差動装置(90)を備え、前記遊星ギヤ機構(34)および前記差動装置(90)が左右に振り分けて配置されることを特徴とする請求項2記載の電動パワーユニット。
- 前記車両が前記駆動輪である単一の後輪(WR)を有する自動二輪車であり、前記後輪(WR)の一側方に、前記後輪(WR)との間に、前記遊星ギヤ機構(35)ならびに遠心式の自動クラッチである前記変速クラッチ(36)が位置するようにして前記電動モータ(31)が配置され、前記伝動ケース(30A)の一部を収容する凹部(88)が前記後輪(WR)のホイール(83)の前記電動モータ(31)側の側面に形成されることを特徴とする請求項1記載の電動パワーユニット。
- 前記電動モータ(31)を前記変速クラッチ(36)との間に挟む位置に、前記電動モータ(31)の回転数が所定回転数以上となるのに応じて前記電動モータ(31)および前記伝動軸(33)間を接続する遠心式の自動クラッチである発進クラッチ(38)が配置されることを特徴とする請求項4記載の電動パワーユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013057734A JP2014180972A (ja) | 2013-03-21 | 2013-03-21 | 電動パワーユニット |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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ID=51700082
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JP (1) | JP2014180972A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105836035A (zh) * | 2014-12-18 | 2016-08-10 | 株式会社万都 | 轮毂马达结构体 |
CN107531311A (zh) * | 2015-12-17 | 2018-01-02 | 深圳哥智行科技有限公司 | 电动自行车轮毂 |
CN110198887A (zh) * | 2016-12-01 | 2019-09-03 | 比亚乔公司 | 特别是用于摩托车的同步传动装置 |
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2013
- 2013-03-21 JP JP2013057734A patent/JP2014180972A/ja active Pending
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