JP2014176890A - 溶接トーチおよびアーク溶接システム - Google Patents

溶接トーチおよびアーク溶接システム Download PDF

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Abstract

【課題】 ワイヤの突き出し長さを長くする必要のない溶接トーチを提供すること。
【解決手段】 送給されているワイヤ8に各々が接触する第1接触電極21および第2接触電極22、を備え、第1接触電極21は、第2接触電極22と絶縁され、且つ、第2接触電極22に対し、ワイヤ8の送給方向Fx1の上流側に配置されており、第1接触電極21は、第2接触電極22に対し相対的に固定された第1状態S1と、第2接触電極22に対し相対的に固定された第2状態S2と、をとり、第1状態S1においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第1距離D11であり、第2状態S2においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第2距離D12であり、第2距離D12は、第1距離D11よりも大きい。
【選択図】 図3

Description

本発明は、溶接トーチおよびアーク溶接システムに関する。
従来から、ワイヤ(消耗電極)と母材との間にアークを発生させることにより溶接を行う方法が知られている(たとえば特許文献1参照)。このような溶接においては、アークによってワイヤを溶融させ、母材へ溶融金属を溶着させる。
一般に、ワイヤの種類によって、ワイヤの直径等が異なる。そのため、単位長さ当たりのワイヤの溶融量が、ワイヤの種類によって異なることがある。単位長さ当たりのワイヤの溶融量が異なると、同一条件で電流を流した場合であっても、ワイヤの種類によって、母材への溶着量が少ない場合が生じる。このような場合には、溶着量を増加させるために、ワイヤの突き出し長さを長くする。しかしながら、ワイヤの突き出し長さを長くした場合、手振れ等で長期の短絡状態になるとワイヤが一気にはじけ飛んだり、アーク切れを起こしたり、あるいは、ワイヤの曲がりぐせのためワイヤの先端を所望の位置に位置させにくい、といった不具合が生じうる。
また、ワイヤの中には、ソリッドワイヤおよびフラックス入りのワイヤがある。風の強い場所で溶接を行う場合には、これらのワイヤのうちフラックス入りのワイヤ(たとえば特許文献2参照)が用いられることがある。フラックス入りのワイヤは、フラックスと、フラックスを内包した外皮とを有する。フラックス入りのワイヤを用いるとき、ワイヤの先端に形成された溶滴が、フラックスが気化したガスによって吹き飛ばされることがある。溶滴がフラックス由来のガスによって吹き飛ばされると、溶滴がスパッタとして飛散したり、アークの長さが乱れたりするおそれがある。
特開2008−246539号公報 特開2011−140064号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ワイヤの突き出し長さを長くする必要のない溶接トーチを提供することを、課題の一つとする。
さらに、本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、フラックス入りのワイヤを用いた場合に、ワイヤの先端に形成された溶滴がガスによって吹き飛ばされることを防止できるアーク溶接方法を提供することを、課題の一つとする。
本発明の第1の側面によると、送給されているワイヤに各々が接触する第1接触電極および第2接触電極、を備え、前記第1接触電極は、前記第2接触電極と絶縁され、且つ、前記第2接触電極に対し、前記ワイヤの送給方向の上流側に配置されており、前記第1接触電極は、前記第2接触電極に対し相対的に固定された第1状態と、前記第2接触電極に対し相対的に固定された第2状態と、をとり、前記第1状態においては、前記ワイヤの送給軸線の延びる方向における、前記第1接触電極と前記第2接触電極との距離は、第1距離であり、前記第2状態においては、前記送給軸線の延びる方向における、前記第1接触電極と前記第2接触電極との距離は、第2距離であり、前記第2距離は、前記第1距離よりも大きい、溶接トーチが提供される。
好ましくは、各々が前記ワイヤを挿通させる第1コイルライナおよび第2コイルライナを更に備え、前記第1接触電極は、前記送給方向において、前記第1コイルライナと前記第2コイルライナとの間に配置されており、前記第2コイルライナは、前記送給方向において、前記第1接触電極と前記第2接触電極との間に配置されている。
好ましくは、前記ワイヤを挿通させるトーチボディ挿通孔が形成されたトーチボディを更に備え、前記第1接触電極は、前記トーチボディ挿通孔内にて、前記トーチボディに支持されている。
好ましくは、前記トーチボディに対し前記送給方向の下流側に配置され、且つ、前記ワイヤを挿通させるチップボディを更に備え、前記第2接触電極は、前記チップボディに固定されている。
好ましくは、前記第1接触電極の状態を、前記第1状態と前記第2状態との間で変化させる電極移動機構を更に備える。
好ましくは、前記電極移動機構は、前記トーチボディに対し、前記送給軸線の延びる方向に沿って、前記第1接触電極を移動させる機構である。
好ましくは、前記第1接触電極および前記第2接触電極はいずれも、筒状であり、且つ、前記ワイヤを挿通させる。
好ましくは、前記ワイヤは、フラックスよりなるコア部と、前記コア部を包囲し金属よりなる外皮と、を含む。
好ましくは、送給されている前記ワイヤに接触するコンタクトチップを更に備え、前記コンタクトチップは、前記第2接触電極に対し、前記ワイヤの送給方向の下流側に配置されている。
好ましくは、前記第2接触電極は、コンタクトチップである。
本発明の第2の側面によると、本発明の第1の側面によって提供される溶接トーチと、前記第1接触電極および前記第2接触電極に電気的に接続している電源部と、を備え、前記電源部と母材との間には、アーク用電流が流され、前記電源部と前記第1接触電極との間には、加熱用電流が流される、アーク溶接システムが提供される。
本発明の第3の側面によると、本発明の第1の側面によって提供される溶接トーチと、前記第1接触電極および前記第2接触電極に電気的に接続している電源部と、を備え、前記電源部と母材との間には、アーク用電流が流され、前記電源部と前記第1接触電極との間には、加熱用電流が流され、前記電源部は、アーク用電源回路と、加熱用電源回路と、を含み、前記アーク用電源回路は、前記コンタクトチップと前記母材との間に、前記アーク用電流を流し、前記加熱用電源回路は、前記第1接触電極と前記第2接触電極との間に、前記加熱用電流を流す、アーク溶接システムが提供される。
本発明の第4の側面によると、本発明の第1の側面によって提供される溶接トーチと、前記第1接触電極および前記第2接触電極に電気的に接続している電源部と、を備え、前記電源部と母材との間には、アーク用電流が流され、前記電源部と前記第1接触電極との間には、加熱用電流が流され、前記電源部は、前記コンタクトチップと前記母材との間に前記アーク用電流を流し、且つ、前記第1接触電極と前記母材との間に前記加熱用電流を流す、アーク溶接システムが提供される。
好ましくは、前記電源部は、前記アーク用電流が流れている間に、前記加熱用電流を流す。
本発明の第5の側面によると、フラックスよりなるコア部と、前記コア部を包囲し金属よりなる外皮と、を含むフラックス入りのワイヤを用意する工程と、コンタクトチップに向けて前記ワイヤを送給する工程と、前記ワイヤおよび母材の間にアークが発生している状態を継続する工程と、を備え、前記コンタクトチップから前記ワイヤが出た地点において、前記ワイヤにおける前記外皮には、傷が形成されている、アーク溶接方法が提供される。
好ましくは、送給されている前記ワイヤにおける前記外皮に、前記傷を形成する工程を更に備える。
好ましくは、前記ワイヤを用意する工程は、前記ワイヤが巻かれたワイヤリールを用意する工程を含み、前記傷は、前記ワイヤリールに巻かれた状態の前記ワイヤに形成されている。
好ましくは、前記傷は、前記外皮を貫通しており、且つ、前記コア部に達している。
好ましくは、前記傷は、前記ワイヤの延びる方向に沿って互いに離間した複数の部分を含む。
好ましくは、前記複数の部分はそれぞれ、スリット状あるいはスポット状である。
本発明の第6の側面によると、フラックスよりなるコア部と、前記コア部を包囲し金属よりなる外皮と、を含むフラックス入りのワイヤを用いてアーク溶接を行うためのアーク溶接システムであって、送給されている前記ワイヤにおける前記外皮に傷を形成する傷形成機構を備える、アーク溶接システムが提供される。
好ましくは、前記傷は、前記外皮を貫通しており、且つ、前記コア部に達している。
好ましくは、前記傷は、前記ワイヤの延びる方向に沿って互いに離間した複数の部分を含む。
好ましくは、前記複数の部分はそれぞれ、スリット状あるいはスポット状である。
好ましくは、前記傷形成機構は、周期的に、前記ワイヤに前記傷を形成する。
本発明の第7の側面によると、フラックスよりなるコア部と、前記コア部を包囲し金属よりなる外皮と、を含み、前記外皮には、傷が形成されており、前記傷は、前記外皮を貫通しており、且つ、前記コア部に達している、フラックス入りのワイヤが提供される。
好ましくは、前記傷を塞ぐ保護膜を更に備え、前記保護膜は、前記外皮を構成する材料の融点よりも低い融点の材料よりなる。
好ましくは、前記外皮は、外表面を有し、前記傷は、前記外表面につながる内側面を有し、前記保護膜は、前記外表面と、前記内側面と、前記コア部と、に直接形成されている。
好ましくは、前記保護膜は、金属あるいは樹脂よりなる。
好ましくは、前記傷は、前記ワイヤの延びる方向に沿って互いに離間した複数の部分を含む。
好ましくは、前記複数の部分はそれぞれ、スリット状あるいはスポット状である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の第1実施形態にかかるアーク溶接システムを模式的に示す図である。 図1に示したアーク溶接システムにおける溶接トーチを主に示す断面図である。 本発明の第1実施形態にかかるアーク溶接システムの一部を模式的に示す図である。 図2のIV−IV線に沿う断面図である。 本発明の第1実施形態におけるアーク溶接に用いるワイヤの断面図である。 (a)は、傷形成機構およびワイヤを示す、ワイヤの延びる方向に直交する平面による断面図である。(b)は、(a)の右側から見た図(一部断面図)である。 (a)は、傷が形成されたワイヤを示す、ワイヤの延びる方向に直交する平面による断面図である。(b)は、(a)のB−B線に沿う断面図である。(c)は、(b)に示したワイヤを上から見た平面図である。 ワイヤに形成される傷の他の例を示す平面図である。 (a)は、図1に示したアーク溶接システムによって行うアーク溶接に用いるワイヤの他の例を示す断面図である。(b)は、(a)に示したワイヤに傷が形成された状態を示す断面図である。 (a)は、図1に示したアーク溶接システムによって行うアーク溶接に用いるワイヤの他の例を示す断面図である。(b)は、(a)に示したワイヤに傷が形成された状態を示す断面図である。 図1に示したアーク溶接システムを用いてアーク溶接を行う際の、コンタクトチップの先端における状態を示す図(一部断面図)である。 本発明の第2実施形態にかかるアーク溶接システムを模式的に示す図である。 図12に示したアーク溶接システムにおける溶接トーチを主に示す断面図である。 本発明の第2実施形態にかかるアーク溶接システムの一部を模式的に示す図である。 本発明の第3実施形態にかかるアーク溶接システムを模式的に示す図である。 (a)は、本発明の第3実施形態におけるアーク溶接に用いるワイヤの断面図である。(b)は、(a)のB−B線に沿う断面図である。(c)は、(b)に示したワイヤを上から見た平面図である。 本発明の第3実施形態におけるアーク溶接に用いるワイヤの他の例を示す平面図である。 本発明の第3実施形態におけるアーク溶接に用いるワイヤの他の例を示す断面図である。 本発明の第3実施形態におけるアーク溶接に用いるワイヤの他の例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
<第1実施形態>
図1〜図11を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるアーク溶接システムを模式的に示す図である。
同図に示すアーク溶接システムA1は、母材W1に対してアーク溶接を行うためのものである。本実施形態においては、アーク溶接システムA1は、ワイヤ8を用いて、母材W1に対し、セルフシールドアーク溶接を行う。母材W1は、金属よりなり、たとえば軟鋼またはステンレスよりなる。
本実施形態では、ワイヤ8として、フラックス入りのワイヤを用いる。
図5を用いて、フラックス入りのワイヤ8について説明する。図5は、ワイヤ8の断面図である。
同図に示すように、フラックス入りのワイヤ8は、コア部81と、外皮82と、を含む。
コア部81は、フラックスよりなる。コア部81におけるフラックスは、たとえば、スラグ形成剤、脱酸剤、アーク安定剤、合金剤、および金属粉末を含む。スラグ形成剤は、TiO2等よりなる。脱酸剤は、溶融金属中に含まれる酸素を低減する。アーク安定剤は、ソフトなアークを発生させる。合金剤は、鋼の機械的性能を調整する。金属粉末は、たとえば鉄粉である。スラグ形成剤の量や性質等によって、フラックス入りのワイヤ8は、スラグ系のものとメタル系のものとに大別される。スラグ系のフラックス入りのワイヤ8では、コア部81のフラックスは、スラグ形成剤を主原料としている。一方、メタル系のフラックス入りのワイヤ8では、コア部81のフラックスは、金属粉末を主原料としている。
外皮82は、コア部81を包囲しており、金属よりなる。外皮82を構成する金属としては、たとえば、鉄、ステンレス、軟鋼、あるいは、高張力鋼が挙げられる。外皮82は、外表面821を有している。外表面821は、ワイヤ8の外方を向いている。
ワイヤ8の直径は、たとえば、0.8〜3.2mmである。図5に示す、ワイヤ8の延びる方向に直交する平面によるワイヤ8の断面において、ワイヤ8の全体の面積に対するコア部81の面積の割合は、たとえば、10〜40%である。この面積の割合、および、ワイヤ8の直径は、ワイヤ8の種類によりそれぞれ異なることがある。
図1に示すアーク溶接システムA1は、溶接トーチ1と、電源部4と、送給装置5と、傷形成機構7と、第1接触電極21と、第2接触電極22と、電極移動機構25(図2、図4参照)と、を備える。
図2は、図1に示したアーク溶接システムA1における溶接トーチ1を示す断面図である。なお、図2では、ワイヤ8を点線で示している。
溶接トーチ1は、送給装置5から送給されたワイヤ8を、母材W1に案内するためのものである。溶接トーチ1は、チップボディ11と、コンタクトチップ12と、オリフィス14と、ノズル15と、絶縁ブッシュ16と、トーチボディ17と、複数のコイルライナ18と、を含む。
図2では、ワイヤ8は、上から下に向かって送給される。同図に示すように、ワイヤ8が送給される方向を、送給方向Fx1としている。また、図2に示すように、送給されているワイヤ8の軸線を、ワイヤ8の送給軸線Oxとしている。
チップボディ11は筒状を呈している。チップボディ11は導電性の材料よりなる。チップボディ11を構成する導電性の材料としては、たとえば、銅が挙げられる。
チップボディ11にはチップボディ挿通孔111が形成されている。チップボディ挿通孔111はワイヤ8を挿通するためのものである。チップボディ挿通孔111の延びる方向は、ワイヤ8の送給方向Fx1に一致する。チップボディ挿通孔111はチップボディ内面113を有する。チップボディ内面113は、チップボディ挿通孔111の内側を向いている。チップボディ11には、図2の上側に開放する開口が形成されている。
コンタクトチップ12は筒状を呈している。コンタクトチップ12はチップボディ11に固定されている。コンタクトチップ12は導電性の材料よりなる。コンタクトチップ12を構成する導電性の材料としては、たとえば、銅タングステン等の硬度の高い焼結材や、クローム銅、ベリリウム銅等の銅合金、および、導電性のセラミックが挙げられる。コンタクトチップ12は、送給されているワイヤ8に接触する。コンタクトチップ12は、送給されているワイヤ8に接触することにより、ワイヤ8に電力を供給する。
コンタクトチップ12にはチップ挿通孔121が形成されている。チップ挿通孔121は、ワイヤ8を挿通するためのものである。チップ挿通孔121の延びる方向は、ワイヤ8の送給方向Fx1に一致する。チップ挿通孔121はチップ内面123を有する。チップ内面123は、チップ挿通孔121の内側を向いている。チップ内面123は送給されているワイヤ8に接触する。これにより、チップ内面123からワイヤ8に電力が供給される。
なお、アーク溶接の定常状態においては、コンタクトチップ12の先端からワイヤ8が送り出される。そして、コンタクトチップ12から送り出されたワイヤ8の先端と、母材W1との間には、アークa1が発生した状態が継続する。
オリフィス14は筒状を呈している。オリフィス14はチップボディ11を囲んでいる。オリフィス14は、絶縁性の材料よりなる。このような絶縁性の材料としては、たとえば、セラミックが挙げられる。
ノズル15は筒状を呈している。ノズル15は、たとえば絶縁性の材料よりなる。このような絶縁性の材料としては、たとえば、セラミックが挙げられる。ノズル15は、チップボディ11と、コンタクトチップ12と、オリフィス14と、を囲んでいる。ノズル15には、図2の下側に開放する開口が形成されている。
絶縁ブッシュ16は筒状を呈している。絶縁ブッシュ16は絶縁性の材料よりなる。絶縁ブッシュ16はチップボディ11とノズル15とに固定されている。絶縁ブッシュ16はチップボディ11を囲んでいる。
トーチボディ17は筒状を呈している。トーチボディ17はチップボディ11に連結されている。本実施形態においては、トーチボディ17はチップボディ11に対し直接固定されている。具体的には、トーチボディ17は、チップボディ11における開口(図2の上側に開放している)にはめ込まれることにより、チップボディ11に対し直接固定されている。本実施形態とは異なり、トーチボディ17をチップボディ11に直接固定する方法はこれに限定されない。たとえば、ねじによって、トーチボディ17とチップボディ11とが直接固定されていてもよい。
トーチボディ17とチップボディ11とが連結していることは、トーチボディ17がチップボディ11に直接固定されていることに限定されない。本実施形態とは異なり、トーチボディ17とチップボディ11とが直接固定されずに、トーチボディ17が、アタッチメントを介して、チップボディ11に固定されることにより、トーチボディ17がチップボディ11に連結されていてもよい。
トーチボディ17は、フレキシブルなものであってもよいし、フレキシブルではなく変形しないものであってもよい。本実施形態において、トーチボディ17は、湾曲している部分を有する。トーチボディ17は、導電性の材料よりなる。トーチボディ17を構成する導電性の材料としては、たとえば、銅が挙げられる。
トーチボディ17にはトーチボディ挿通孔171が形成されている。トーチボディ挿通孔171はワイヤ8を挿通するためのものである。トーチボディ挿通孔171の延びる方向は、ワイヤ8の送給方向Fx1に一致する。トーチボディ挿通孔171はチップボディ11におけるチップボディ挿通孔111につながっている。トーチボディ挿通孔171は、トーチボディ内面173を有する。トーチボディ内面173は、トーチボディ挿通孔171の内側を向いている。トーチボディ17には、図2の下側に開放する開口が形成されている。
コイルライナ18は、安定してワイヤ8を送給するためのものである。コイルライナ18は、送給方向Fx1に沿って延びる筒状である。コイルライナ18内にはワイヤ8が挿通させられる。コイルライナ18は、チップボディ11内と、トーチボディ17内と、に配置されている。本実施形態においては、コイルライナ18は複数(3つ)配置されている。これらのコイルライナ18のうちの一つ目のものを、第1コイルライナ181とし、これらのコイルライナ18のうちの二つ目のものを第2コイルライナ182とし、これらのコイルライナ18のうちの三つ目のものを第3コイルライナ183とする。
第1コイルライナ181はトーチボディ17内に配置されている。具体的には、第1コイルライナ181はトーチボディ挿通孔171に配置されている。第1コイルライナ181は、トーチボディ挿通孔171におけるトーチボディ内面173に囲まれている。本実施形態においては、第1コイルライナ181のうち、送給方向Fx1の最も下流側の部位は、トーチボディ17における図2の下側に開放する開口よりも、送給方向Fx1の上流側に位置している。
第2コイルライナ182は、第1コイルライナ181よりも、送給方向Fx1の下流側に配置されている。第2コイルライナ182は、トーチボディ17内およびチップボディ11内に配置されている。具体的には、第2コイルライナ182は、トーチボディ挿通孔171とチップボディ挿通孔111とに配置されている。第2コイルライナ182は、トーチボディ挿通孔171におけるトーチボディ内面173と、チップボディ挿通孔111におけるチップボディ内面113とに囲まれている。本実施形態においては、第2コイルライナ182のうち、送給方向Fx1の最も上流側の部位は、トーチボディ17における図2の下側に開放する開口よりも、送給方向Fx1の上流側に位置している。一方、第2コイルライナ182のうち、送給方向Fx1の最も下流側の部位は、チップボディ11における図2の上側に開放する開口よりも、送給方向Fx1の下流側に位置している。
第3コイルライナ183は、第2コイルライナ182よりも、送給方向Fx1の下流側に配置されている。第3コイルライナ183はチップボディ11内に配置されている。具体的には、第3コイルライナ183はチップボディ挿通孔111に配置されている。第3コイルライナ183は、チップボディ挿通孔111におけるチップボディ内面113に囲まれている。本実施形態においては、第3コイルライナ183のうち、送給方向Fx1の最も上流側の部位は、チップボディ11における図2の上側に開放する開口よりも、送給方向Fx1の下流側に位置している。
第1接触電極21は、送給されているワイヤ8に接触する。本実施形態では、第1接触電極21は、筒状であり、且つ、ワイヤ8を挿通させる。筒状の第1接触電極21には挿通孔が形成されている。第1接触電極21における挿通孔の内面が、送給されているワイヤ8に接触する。本実施形態では、第1接触電極21は、トーチボディ17に支持されている。第1接触電極21は、トーチボディ17におけるトーチボディ挿通孔171内に配置されている。第1接触電極21はトーチボディ17に対し絶縁されている。第1接触電極21は、ワイヤ8の送給方向Fx1において、第1コイルライナ181と、第2コイルライナ182との間に配置されている。具体的には、第1接触電極21に対して、ワイヤ8の送給方向Fx1の上流側に第1コイルライナ181が配置されている。一方、第1接触電極21に対して、ワイヤ8の送給方向Fx1の下流側に第2コイルライナ182が配置されている。
第2接触電極22は、第1接触電極21よりも、送給方向Fx1の下流側に配置されている。すなわち、第1接触電極21は、第2接触電極22よりも、送給方向Fx1の上流側に配置されている。第2接触電極22と第1接触電極21とは、距離D1だけ離間している。第2接触電極22は、送給されているワイヤ8に接触する。本実施形態では、第2接触電極22は、筒状であり、且つ、ワイヤ8を挿通させる。筒状の第2接触電極22には挿通孔が形成されている。第2接触電極22における挿通孔の内面が、送給されているワイヤ8に接触する。本実施形態では、第2接触電極22はチップボディ11に固定されている。第2接触電極22は、チップボディ11におけるチップボディ挿通孔111内に配置されている。たとえば、第2接触電極22は、絶縁性の接合部材を介して、チップボディ内面113に固定されている。そのため、第2接触電極22は、第1接触電極21とは絶縁されている。第2接触電極22は、ワイヤ8の送給方向Fx1において、第2コイルライナ182と、第3コイルライナ183との間に配置されている。具体的には、第2接触電極22に対して、ワイヤ8の送給方向Fx1の上流側に第2コイルライナ182が配置されている。一方、第2接触電極22に対して、ワイヤ8の送給方向Fx1の下流側に第3コイルライナ183が配置されている。
図3は、アーク溶接システムA1の一部を更に模式的に示す図である。
図3に示すように、本実施形態においては、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は変更可能である。具体的には、第1接触電極21は、第1状態S1と、第2状態S2とをとる。第1状態S1および第2状態S2のいずれの状態においても、第1接触電極21は、第2接触電極22に対して相対的に固定されている。すなわち、第1状態S1および第2状態S2のいずれの状態においても、第1接触電極21は、第2接触電極22に対して送給軸線Oxにおいて移動しないように固定される。
図3に示すように、第1状態S1においては、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第1距離D11である。一方、第2状態S2においては、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第2距離D12である。第2距離D12は、第1距離D11よりも大きい。第2距離D12と第1距離D11との差は、たとえば、20〜50mmである。そして、本実施形態においては、第1接触電極21の状態を第1状態S1と第2状態S2との間で変化させるために、電極移動機構25(図2、図4参照)が設けられている。
図2、図4に示すように、電極移動機構25は、第1接触電極21を第2接触電極22に対して、送給軸線Oxの延びる方向に沿って相対移動させる機構である。本実施形態では、電極移動機構25は、たとえば、トーチボディ17に対し第1接触電極21を移動させる機構である。本実施形態では、電極移動機構25はトーチボディ17に配置されている。電極移動機構25によって、送給軸線Oxの延びる方向に沿って、トーチボディ17に対し第1接触電極21が直線状にスライドさせられる。一方、第2接触電極22は、チップボディ11に対し移動しないように、チップボディ11に固定されている。電極移動機構25が第1接触電極21を移動させることにより、第1接触電極21が、送給軸線Oxの延びる方向において、第2接触電極22に対し移動する。第1接触電極21の移動は、手動や電動で行うとよい。これにより、送給軸線Oxの延びる方向における第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1が変化する。
なお、第1接触電極21は、第1状態S1と第2状態S2の間の状態にある場合(すなわち、第1距離D11<距離D1<第2距離D12である場合)においても、第1接触電極21が第2接触電極22に対し相対的に固定できるように構成されていてもよい。
第1接触電極21の状態を第1状態S1と第2状態S2との間で変化させるため電極移動機構25は、第1接触電極21を直線状にスライドさせるものには限定されない。たとえば、電極移動機構25は、第1接触電極21の外周に形成された雄ねじと、当該雄ねじに羅合する雌ねじと、によって構成されていてもよい。
本実施形態では、第2接触電極22がチップボディ11に相対移動しないようにチップボディ11に固定されており、且つ、第1接触電極21がトーチボディ17に対して相対移動する例を示した。しかしながら、第1接触電極21の状態を第1状態S1と第2状態S2との間で変化させる方法は、これに限定されない。たとえば、本実施形態とは異なり、第1接触電極21がトーチボディ17に相対移動しないようにトーチボディ17に固定されており、且つ、第2接触電極22がチップボディ11に対して相対移動してもよい。この場合、チップボディ11に電極移動機構25を配置するとよい。
本実施形態とは異なり、第1接触電極21がトーチボディ17に対し移動しないように固定され、第2接触電極22がチップボディ11に対し移動しないように固定されていてもよい。そして、電極移動機構25が、トーチボディ17とチップボディ11との間に設けられた、トーチボディ17をチップボディ11に対し移動させるためのアタッチメントであってもよい。この場合、トーチボディ17がチップボディ11に対して移動することに伴い、第1接触電極21が第2接触電極22に対して送給軸線Oxの延びる方向に沿って相対移動する。これにより、送給軸線Oxの延びる方向における第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1が変化し、第1接触電極21の状態が、第1状態S1と第2状態S2との間で変化する。
図1〜図3に示す電源部4は、第1接触電極21と、第2接触電極22と、コンタクトチップ12と、母材W1とに電気的に接続している。そして、電源部4と母材W1との間には、アーク用電流Iw1が流される。一方、電源部4と第1接触電極21との間には、加熱用電流Iw2が流される。
具体的には、電源部4は、アーク用電源回路41と、加熱用電源回路42と、を含む。
アーク用電源回路41は、コンタクトチップ12と、母材W1とに電気的に接続している。アーク用電源回路41は、コンタクトチップ12と、母材W1との間に、アーク用電流Iw1を流す。アーク用電源回路41は、コンタクトチップ12と母材W1との間に、アーク用電圧Vw1を印加する。なお、図2、図3では、理解の便宜上、アーク用電源回路41がコンタクトチップ12に電気的に直接接続しているように示しているが、本実施形態においては、アーク用電源回路41は、トーチボディ17とチップボディ11とを経由して、コンタクトチップ12に電気的に接続している。アーク用電源回路41は、たとえば3相200V等の商用電源を入力として、インバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行う。
アーク溶接システムA1を用いたアーク溶接方法における定常状態におけるアーク用電流Iw1の値は、たとえば、30〜500Aである。アーク溶接システムA1を用いたアーク溶接方法における定常状態におけるアーク用電圧Vw1の値は、たとえば、10〜30Vである。
加熱用電源回路42は、第1接触電極21と、第2接触電極22とに電気的に接続している。加熱用電源回路42は、第1接触電極21と、第2接触電極22との間に、加熱用電流Iw2を流す。加熱用電源回路42は、アーク用電流Iw1が流れている間(アークa1が発生している間)に、加熱用電流Iw2を流す。加熱用電源回路42は、第1接触電極21と第2接触電極22との間に、加熱用電圧Vw2を印加する。加熱用電源回路42は、たとえば3相200V等の商用電源を入力として、インバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行う。
アーク溶接システムA1を用いたアーク溶接方法における定常状態における加熱用電流Iw2の値は、たとえば、30〜200Aである。アーク溶接システムA1を用いたアーク溶接方法における定常状態における加熱用電圧Vw2の値は、たとえば、5〜10Vである。
加熱用電流Iw2、アーク用電流Iw1、加熱用電圧Vw2、およびアーク用電圧Vw1はそれぞれ、パルスであってもよく、あるいは、パルスでなくてもよい。また、加熱用電流Iw2、アーク用電流Iw1、加熱用電圧Vw2、およびアーク用電圧Vw1はそれぞれ、交流であってもよく、あるいは、直流であってもよい。また、加熱用電流Iw2、アーク用電流Iw1、加熱用電圧Vw2、およびアーク用電圧Vw1の値はそれぞれ、各々の絶対値の時間平均値を意味する。以下で述べる場合も同様である。
なお、アーク用電源回路41および加熱用電源回路42は同一の筐体内に配置されていてもよいし、あるいは、アーク用電源回路41および加熱用電源回路42は別個の筐体内に配置されていてもよい。
図1に示す送給装置5は、ワイヤ8を母材W1の側に送り出すためのものである。送給装置5にはワイヤ8が巻かれたワイヤリールWLが取り付けられる。送給装置5は、モータ(図示略)と、ローラ51を含む。当該モータを駆動源として、ローラ51が回転し、ワイヤリールWLに巻かれたワイヤ8を、母材W1へと送り出す。
図6(a)は、傷形成機構7およびワイヤ8を示す、ワイヤ8の延びる方向に直交する平面による断面図である。同図(b)は、(a)の右側から見た図(一部断面図)である。
図6に示す傷形成機構7は、送給されているワイヤ8の外皮82に傷823(図6(b)参照、詳細は後述)を形成するためのものである。本実施形態においては、傷形成機構7は、溶接トーチ1に配置されている。図6では、傷形成機構7は2つ配置されているが、傷形成機構7の個数は2つに限定されず、1つや、3つ以上であってもよい。
図6に示すように、傷形成機構7は、モータ71と、回転体72と、を含む。
モータ71の回転駆動が、回転体72の回転軸を介して回転体72に伝わる。これにより、回転体72が回転する。本実施形態においては、回転体72は少なくとも1つの刃721を有する。刃721は回転体72の外側に配置されている。ワイヤ8が送給されているときに回転体72が回転することにより、刃721が、周期的にワイヤ8の外皮82に傷823を形成する。
図7を用いて、傷形成機構7によって形成される傷823について説明する。
図7(a)は、傷823が形成されたワイヤ8を示す、ワイヤ8の延びる方向に直交する平面による断面図である。図7(b)は、(a)のB−B線に沿う断面図である。図7(c)は、(b)に示したワイヤ8を上から見た平面図である。
図7に示すように、傷823は、外皮82における外表面821に形成されている。本実施形態においては、傷823は外皮82を貫通しており、且つ、コア部81に到達している。傷823は、内側面824を有している。内側面824は、外表面821につながっている。
上述のように、回転体72の刃721が、送給されているワイヤ8に周期的に傷を形成するから、図7(b)、(c)に示すように、傷形成機構7によってワイヤ8に形成される傷823は、ワイヤ8の延びる方向(本実施形態では、送給軸線Oxの延びる方向に一致する)に互いに離間した複数の部分823Aを有する。複数の部分823Aどうしの間隔は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。図7(c)に示すように、複数の部分823Aは、たとえばスポット状である。本実施形態においては、複数の部分823Aはそれぞれ、外皮82を貫通しており、且つ、コア部81に達している。
複数の部分823Aの形状は、スポット状に限定されず、図8に示すように、スリット状であってもよい。
なお、フラックス入りのワイヤ8としては、図9(a)に示したものや、図10(a)に示したものを用いてもよい。図9(a)、図10(a)に示したワイヤ8は、いずれも、コア部81および外皮82を含んでいる。図9(a)に示したワイヤ8を用いた場合、同図(b)に示すように、傷823が形成される。同様に、図10(a)に示したワイヤ8を用いた場合、同図(b)に示すように、傷823が形成される。
また、傷形成機構7は溶接トーチ1に配置されている必要はなく、本実施形態とは異なり、送給装置5に配置されていてもよい。たとえば、図1に示した送給装置5のローラ51の直後に、傷形成機構7を配置してもよい。
図11は、図1に示したアーク溶接システムA1を用いてアーク溶接を行う際の、コンタクトチップ12の先端における状態を示す図(一部断面図)である。
傷形成機構7によって傷823が形成されたワイヤ8は、コンタクトチップ12へと送られる。そのため、図11に示すように、コンタクトチップ12からワイヤ8が出た地点において、ワイヤ8の外皮82には傷823が形成されている。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、アーク溶接を行なっている際、送給されているワイヤ8のうち、図2、図3に示した第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位には、加熱用電流Iw2が流れる。これにより、ワイヤ8のうち、第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位にて、ジュール熱が発生する。そのため、ワイヤ8の先端の温度を上昇させることができ、アーク用電流Iw1が同一である場合のワイヤ8の溶着量(単位時間当たりの母材W1への溶着量を意味する、以下同様)を増加させることが可能となる。ワイヤ8の溶着量を増加できると、ワイヤ8の突き出し長さL1(図3参照)を長くする必要がない。その結果、ワイヤ8の突き出し長さが長いことに起因する不具合(ワイヤ8が一気にはじけ飛ぶこと、アーク切れを起こすこと、および、ワイヤ8の曲がりぐせのためワイヤ8の先端を所望の位置に位置させにくいこと)を回避できる。したがって、本実施形態によると、より適切な溶接を行うことができる。
特に、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、従来では、突き出し長さを長くする傾向にあった。ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、同一の直径のソリッドワイヤに比べて、ワイヤ8の単位長さ当たりの溶融金属が少ないことにより溶着量が少なくなるからである。そのため、ワイヤ8のうち、第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位に加熱用電流Iw2を流す本実施形態の構成は、溶着量が少なくなりがちな、フラックス入りのワイヤ8を用いる場合に特に有用である。
また、本実施形態においては、第1接触電極21は、第2接触電極22に対し相対的に固定された第1状態S1と、第2接触電極22に対し相対的に固定された第2状態S2と、をとる。第1状態S1においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第1距離D11である。第2状態S2においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第2距離D12である。第2距離D12は、第1距離D11よりも大きい。このような構成によると、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離を調整することにより、ワイヤ8のうち、第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位にて発生する熱量を、調整することができる。これにより、ワイヤ8のうち、第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位にて発生する熱量を、ワイヤ8の種類に応じて、調整することができる。その結果、コンタクトチップ12から出た地点におけるワイヤ8の温度を調整することができる。これにより、適切な溶接を行うことができる。
特に、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、ワイヤ8の径が同一であっても、フラックスの充填率(ワイヤ8の延びる方向に直交する平面によるワイヤ8の断面において、ワイヤ8の全体の面積に対するコア部81の面積の割合)が異なることがある。そのため、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合には、ワイヤ8の溶着量が、ワイヤ8の直径のみならず、フラックスの充填率によって、異なる。このようなフラックス入りのワイヤ8を用いる場合、ワイヤ8の溶着量を調整することは、非常に煩わしい。しかしながら、本実施形態の構成によると、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤ8であっても、溶着量を調整するための煩わしい作業を、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離を調整することにより、行うことができる。これは、作業者にとって非常に便利である。
本実施形態においては、溶接トーチ1は、各々がワイヤ8を挿通させる第1コイルライナ181および第2コイルライナ182を備える。第1接触電極21は、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向において、第1コイルライナ181と第2コイルライナ182との間に配置されている。第2コイルライナ182は、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向において、第1接触電極21と第2接触電極22との間に配置されている。このような構成によると、第1コイルライナ181および第2コイルライナ182によって、安定してワイヤ8を送給することが可能となる。同様に、第3コイルライナ183によっても、安定してワイヤ8を送給することが可能となる。
本実施形態においては、第1接触電極21は、トーチボディ挿通孔171内にて、トーチボディ17に支持されている。このような構成によると、チップボディ11よりも送給方向Fx1の上流側において、ワイヤ8にてジュール熱を発生させることができる。これにより、ワイヤ8にて発生したジュール熱が、チップボディ11に過度に伝わることを防止できる。その結果、アークa1にあぶられ比較的高温となっているコンタクトチップ12から、チップボディ11へと、適切に熱を伝えることができる。したがって、本実施形態によると、コンタクトチップ12が高温となり損傷する不具合を防止できる。
一般に、図11に示したように、ワイヤ8としてフラックス入りのワイヤを用いた場合、ワイヤ8における外皮82と母材W1との間に、アークa1が発生する。また、ワイヤ8の先端において、コア部81のフラックスが気化し、ガスGs1が発生する。ガスGs1は、アークa1を大気から保護する役割を果たす。そして、本実施形態においては、コンタクトチップ12からワイヤ8が出た地点において、ワイヤ8における外皮82には、傷823が形成されている。このような構成によると、ワイヤ8の先端よりも、送給方向Fx1の上流側において、コア部81のフラックスが気化したガスGs2が、傷823を通って、外皮82の外側に放出される。これにより、ワイヤ8の先端に至るまでに、コア部81の一部をガスGs2として気化させることができる。その結果、ワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができる。ワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができると、ワイヤ8の先端に形成された溶滴がガスGs1によって吹き飛ばされることを防止できる。その結果、スパッタの発生を抑制でき、また、アークa1の長さの乱れを抑制できる。
本実施形態においては、アーク溶接システムA1は、送給されているワイヤ8の外皮82に傷823を形成する傷形成機構7を備える。このような構成によると、傷823が形成されていないワイヤ8(図5参照)を用いた場合であっても、傷形成機構7によって、コンタクトチップ12からワイヤ8が出る時点までに、傷823を形成することができる。したがって、傷823が形成されていないワイヤ8を用いつつ、ワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができる。そうすると、傷823が形成されていないワイヤ8を用いた場合であっても、上述のように、ワイヤ8の先端に形成された溶滴がガスGs1によって吹き飛ばされることを防止できる。その結果、傷823が形成されていないワイヤ8を用いた場合であっても、スパッタの発生を抑制でき、また、アークa1の長さの乱れを抑制できる。
本実施形態においては、傷823は、外皮82を貫通しており、且つ、コア部81に達している。このような構成によると、ガスGs2を、傷823から外皮82の外部へとより確実に放出させることができる。これにより、より確実に、ワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができる。より確実にワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができると、ワイヤ8の先端におけるスパッタの発生をより確実に抑制でき、また、アークa1の長さの乱れをより確実に抑制できる。
なお、傷形成機構7の駆動がオンである状態と、オフである状態とを選択できる構成を採用してもよい。このような構成によると、耐風性が必要である場合には、傷形成機構7の駆動をオフにすることにより、ワイヤ8に傷823を形成させないようにできる。
<第2実施形態>
図12〜図14を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態にかかるアーク溶接システムを模式的に示す図である。
同図に示すように、アーク溶接システムA2は、溶接トーチ1と、電源部4と、送給装置5と、傷形成機構7と、を備える。溶接トーチ1および電源部4を除き、アーク溶接システムA2における、送給装置5および傷形成機構7はアーク溶接システムA1における各構成と同様であるから、説明を省略する。以下、溶接トーチ1および電源部4について説明する。
図13は、図12に示したアーク溶接システムA2における溶接トーチ1を主に示す断面図である。図14は、図12に示したアーク溶接システムA2を更に模式的に示す図である。
図13に示すように、溶接トーチ1は、チップボディ11と、コンタクトチップ12と、オリフィス14と、ノズル15と、絶縁ブッシュ16と、トーチボディ17と、複数のコイルライナ18と、第1接触電極21と、電極移動機構25(図4も参照)と、を含む。本実施形態においては、溶接トーチ1は、アーク溶接システムA1における第2接触電極22を含んでいない。
コイルライナ18を除き、アーク溶接システムA2における、チップボディ11と、コンタクトチップ12と、オリフィス14と、ノズル15と、絶縁ブッシュ16と、トーチボディ17と、第1接触電極21と、は、アーク溶接システムA1におけるものと同様であるから、説明を省略する。なお、本実施形態においては、コンタクトチップ12が、第2接触電極にも相当する。
コイルライナ18は、安定してワイヤ8を送給するためのものである。コイルライナ18は、送給方向Fx1に沿って延びる筒状である。コイルライナ18内にワイヤ8が挿通させられる。コイルライナ18は、チップボディ11内と、トーチボディ17内と、に配置されている。本実施形態においては、コイルライナ18は複数(本実施形態では2つ)配置されている。これらのコイルライナ18のうちの一つ目を、第1コイルライナ181とし、これらのコイルライナ18のうちの2つ目を第2コイルライナ182とする。アーク溶接システムA2における第1コイルライナ181および第2コイルライナ182については、アーク溶接システムA1における第1コイルライナ181および第2コイルライナ182の説明を適用できるから、本実施形態では、説明を省略する。
図13に示すように、第1接触電極21とコンタクトチップ12とは、距離D2だけ離間している。図14に示すように、本実施形態においては、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離は変更可能である。具体的には、第1接触電極21は、第1状態S1と、第2状態S2とをとる。第1状態S1および第2状態S2のいずれの状態においても、第1接触電極21は、コンタクトチップ12に対して相対的に固定されている。すなわち、第1状態S1および第2状態S2のいずれの状態においても、第1接触電極21は、コンタクトチップ12に対して送給軸線Oxにおいて移動しないように固定される。
図14に示すように、第1状態S1においては、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離D2は、第1距離D21である。一方、第2状態S2においては、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離D2は、第2距離D22である。第2距離D22は、第1距離D21よりも大きい。第2距離D22と第1距離D21との差は、たとえば、20〜50mmである。そして、本実施形態においては、第1接触電極21の状態を第1状態S1と第2状態S2との間で変化させるために、電極移動機構25(図4も参照)が設けられている。
本実施形態における電極移動機構25の機能は、アーク溶接システムA1における機能と略同様であるが、以下説明する。
電極移動機構25は、第1接触電極21をコンタクトチップ12に対して、送給軸線Oxの延びる方向に沿って相対移動させる機構である。本実施形態では、電極移動機構25は、たとえば、トーチボディ17に対し第1接触電極21を移動させる機構である。本実施形態では、電極移動機構25はトーチボディ17に配置されている。電極移動機構25によって、送給軸線Oxの延びる方向に沿って、トーチボディ17に対し第1接触電極21が直線状にスライドさせられる。一方、コンタクトチップ12は、チップボディ11に対し移動しないように、チップボディ11に固定されている。電極移動機構25が第1接触電極21を移動させることにより、第1接触電極21が、送給軸線Oxの延びる方向において、コンタクトチップ12に対し移動する。第1接触電極21の移動は、手動や電動で行うとよい。これにより、送給軸線Oxの延びる方向における第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離D2が変化する。
なお、第1接触電極21は、第1状態S1と第2状態S2の間の状態にある場合(すなわち、第1距離D21<距離D2<第2距離D22である場合)においても、第1接触電極21がコンタクトチップ12に対し相対的に固定できるように構成されていてもよい。
第1接触電極21の状態を第1状態S1と第2状態S2との間で変化させるため電極移動機構25は、第1接触電極21をスライドさせるものには限定されない。たとえば、電極移動機構25は、第1接触電極21の外周に形成された雄ねじと、当該雄ねじに羅合する雌ねじと、によって構成されていてもよい。
本実施形態とは異なり、第1接触電極21がトーチボディ17に対し移動しないように固定され、コンタクトチップ12がチップボディ11に対し移動しないように固定されていてもよい。そして、電極移動機構25が、トーチボディ17とチップボディ11との間に設けられた、トーチボディ17をチップボディ11に対し移動させるためのアタッチメントであってもよい。この場合、トーチボディ17がチップボディ11に対して移動することに伴い、第1接触電極21がコンタクトチップ12に対して送給軸線Oxの延びる方向に沿って相対移動する。これにより、送給軸線Oxの延びる方向における第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離D2が変化し、第1接触電極21の状態が、第1状態S1と第2状態S2との間で変化する。
図13、図14に示すように、電源部4は、第1接触電極21と、コンタクトチップ12(第2接触電極)と、母材W1とに電気的に接続している。そして、電源部4と母材W1との間には、アーク用電流Iw1が流される。一方、電源部4と第1接触電極21との間には、加熱用電流Iw2が流される。
本実施形態では、電源部4は、コンタクトチップ12と、母材W1との間に、アーク用電流Iw1を流す。そして、電源部4は、コンタクトチップ12と母材W1との間に、アーク用電圧Vw1を印加する。なお、図13、図14では、理解の便宜上、電源部4がコンタクトチップ12に電気的に直接接続しているように示しているが、本実施形態では、電源部4は、トーチボディ17とチップボディ11とを経由して、コンタクトチップ12に電気的に接続している。
アーク溶接システムA2を用いたアーク溶接方法における定常状態におけるアーク用電流Iw1の値は、たとえば、30〜500Aである。アーク溶接システムA2を用いたアーク溶接方法における定常状態におけるアーク用電圧Vw1の値は、たとえば、10〜30Vである。
本実施形態では、電源部4は、第1接触電極21と、母材W1との間に、加熱用電流Iw2を流す。電源部4は、アーク用電流Iw1が流れている間(アークa1が発生している間)に、加熱用電流Iw2を流す。そして、電源部4は、第1接触電極21と母材W1との間に、加熱用電圧Vw2を印加する。
アーク溶接システムA2を用いたアーク溶接方法における定常状態における加熱用電流Iw2の値は、たとえば、30〜200Aである。アーク溶接システムA2を用いたアーク溶接方法における定常状態における加熱用電圧Vw2の値は、たとえば、15〜40Vである。
アーク用電流Iw1および加熱用電流Iw2の合計は、たとえば、100〜650Aであることが好ましい。そして、アーク用電流Iw1と加熱用電流Iw2の合計の30〜40%が、アーク用電流Iw1であり、アーク用電流Iw1と加熱用電流Iw2の合計の70〜60%が、加熱用電流Iw2であるように、アーク用電流Iw1および加熱用電流Iw2の値を定めるとよい。
なお、本実施形態においても、送給装置5によってワイヤ8が送られ、ワイヤ8の先端と母材W1との間にアークa1を発生させつつ、溶接を行う。本実施形態においても、送給装置5によって送給されたワイヤ8に、傷形成機構7によって、傷823が形成される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、アーク溶接を行なっている際、送給されているワイヤ8のうち、第1接触電極21とコンタクトチップ12との間の部位には、加熱用電流Iw2が流れる。これにより、ワイヤ8のうち第1接触電極21とコンタクトチップ12との間の部位にて、ジュール熱が発生する。そのため、ワイヤ8の先端の温度を上昇させることができ、アーク用電流Iw1が同一である場合のワイヤ8の溶着量を増加させることが可能となる。ワイヤ8の溶着量を増加できると、ワイヤ8の突き出し長さL1を長くする必要がない。その結果、ワイヤ8の突き出し長さが長いことに起因する不具合(ワイヤ8が一気にはじけ飛ぶこと、アーク切れを起こすこと、および、ワイヤ8の曲がりぐせのためワイヤ8の先端を所望の位置に位置させにくいこと)を回避できる。したがって、本実施形態によると、より適切な溶接を行うことができる。
特に、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、従来では、突き出し長さを長くする傾向にあった。ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、同一の直径のソリッドワイヤに比べて、ワイヤ8の単位長さ当たりの溶着量が少ないからである。そのため、本実施形態の構成は、溶着量が少なくなりがちな、フラックス入りのワイヤ8である場合に特に有用である。
また、本実施形態においては、第1接触電極21は、コンタクトチップ12(第2接触電極)に対し相対的に固定された第1状態S1と、コンタクトチップ12に対し相対的に固定された第2状態S2と、をとる。第1状態S1においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離D2は、第1距離D21である。第2状態S2においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離D2は、第2距離D22である。第2距離D22は、第1距離D21よりも大きい。このような構成によると、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離を調整することにより、ワイヤ8のうち、第1接触電極21とコンタクトチップ12との間の部位にて発生する熱量を、調整することができる。これにより、ワイヤ8のうち、第1接触電極21とコンタクトチップ12との間の部位にて発生する熱量を、ワイヤ8の種類に応じて、調整することができる。その結果、コンタクトチップ12から出た地点におけるワイヤ8の温度を調整することができる。これにより、適切な溶接を行うことができる。
特に、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、ワイヤ8の径が同一であっても、フラックスの充填率(ワイヤ8の延びる方向に直交する平面によるワイヤ8の断面において、ワイヤ8の全体の面積に対するコア部81の面積の割合)が異なることがある。そのため、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合には、ワイヤ8の溶着量が、ワイヤ8の直径のみならず、フラックスの充填率によって、異なる。このようなフラックス入りのワイヤ8を用いる場合、ワイヤ8の溶着量を調整することは、非常に煩わしい。しかしながら、本実施形態の構成によると、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤ8であっても、溶着量を調整するための煩わしい作業を、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21とコンタクトチップ12との距離を調整することにより、行うことができる。これは、作業者にとって非常に便利である。
本実施形態においては、溶接トーチ1は、各々がワイヤ8を挿通させる第1コイルライナ181および第2コイルライナ182を備える。第1接触電極21は、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向において、第1コイルライナ181と第2コイルライナ182との間に配置されている。第2コイルライナ182は、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向において、第1接触電極21とコンタクトチップ12との間に配置されている。このような構成によると、第1コイルライナ181および第2コイルライナ182によって、安定してワイヤ8を送給することが可能となる。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、第1接触電極21は、トーチボディ挿通孔171内にて、トーチボディ17に支持されている。このような構成によると、アーク溶接システムA1に関して述べたのと同様の理由により、コンタクトチップ12が高温となり損傷する不具合を防止できる。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、コンタクトチップ12からワイヤ8が出た地点において、ワイヤ8における外皮82には、傷823が形成されている(図示略、図11参照)。このような構成によると、アーク溶接システムA1に関して述べたのと同様の理由により、ワイヤ8の先端に形成された溶滴がガスGs1によって吹き飛ばされることを防止できる。その結果、スパッタの発生を抑制でき、また、アークa1の長さの乱れを抑制できる。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、アーク溶接システムA2は、送給されているワイヤ8の外皮82に傷823を形成する傷形成機構7を備える。このような構成によると、アーク溶接システムA1に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、傷823は、外皮82を貫通しており、且つ、コア部81に達している。このような構成によると、ガスGs2を、傷823から外皮82の外部へとより確実に放出させることができる。これにより、より確実に、ワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができる。より確実にワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができると、ワイヤ8の先端におけるスパッタの発生をより確実に抑制でき、また、アークa1の長さの乱れをより確実に抑制できる。
<第3実施形態>
図15〜図19を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
図15は、本発明の第3実施形態にかかるアーク溶接システムを模式的に示す図である。
アーク溶接システムA3は、溶接トーチ1と、電源部4と、送給装置5と、第1接触電極21と、第2接触電極22と、電極移動機構25(本実施形態では、図示略。図2、図4参照)と、を備える。アーク溶接システムA3における、溶接トーチ1と、電源部4と、送給装置5と、第1接触電極21と、第2接触電極22と、電極移動機構25と、の各構成は、アーク溶接システムA1におけるものと同様であるから、説明を省略する。
アーク溶接システムA3は、アーク溶接システムA1における傷形成機構7を備えない。その代わりに、図16等を参照して説明するように、ワイヤリールWLに巻かれたワイヤ8には、既に傷823が形成されている。
図16(a)は、本発明の第3実施形態におけるアーク溶接に用いるワイヤ8の断面図である。(b)は、(a)のB−B線に沿う断面図である。(c)は、(b)に示したワイヤを上から見た平面図である。なお、図16は、ワイヤリールWLに巻かれたワイヤ8を示している。
同図(a)、(b)に示すように、フラックス入りのワイヤ8は、コア部81と、外皮82と、を含む。
コア部81は、フラックスよりなる。コア部81におけるフラックスは、たとえば、スラグ形成剤、脱酸剤、アーク安定剤、合金剤、および金属粉末を含む。スラグ形成剤は、TiO2等よりなる。脱酸剤は、溶融金属中に含まれる酸素を低減する。アーク安定剤は、ソフトなアークを発生させる。合金剤は、鋼の機械的性能を調整する。金属粉末は、たとえば鉄粉である。スラグ形成剤の量や性質等によって、フラックス入りのワイヤ8は、スラグ系のものとメタル系のものとに大別される。スラグ系のフラックス入りのワイヤ8では、コア部81のフラックスは、スラグ形成剤を主原料としている。一方、メタル系のフラックス入りのワイヤ8では、コア部81のフラックスは、金属粉末を主原料としている。
外皮82は、コア部81を包囲しており、金属よりなる。外皮82を構成する金属としては、たとえば、鉄、ステンレス、軟鋼、あるいは、高張力鋼が挙げられる。外皮82は、外表面821を有している。外表面821は、ワイヤ8の外方を向いている。
ワイヤ8の直径は、たとえば、0.8〜3.2mmである。図16に示す、ワイヤ8の延びる方向に直交する平面によるワイヤ8の断面において、ワイヤ8の全体の面積に対するコア部81の面積の割合は、たとえば、10〜40%である。この面積の割合、および、ワイヤ8の直径は、ワイヤ8の種類によりそれぞれ異なることがある。
上述のように、本実施形態においては、ワイヤリールWLに巻かれたワイヤ8には、既に傷823が形成されている。傷823は、外皮82における外表面821に形成されている。本実施形態においては、傷823は外皮82を貫通しており、且つ、コア部81に到達している。傷823は内側面824を有している。内側面824は、傷823につながっている。
傷823は、ワイヤ8の延びる方向に互いに離間した複数の部分823Aを有する。図16(c)に示すように、複数の部分823Aはそれぞれ、たとえばスポット状である。本実施形態においては更に、複数の部分823Aは、外皮82を貫通しており、且つ、コア部81に達している。
複数の部分823Aの形状は、スポット状に限定されず、図17に示すように、スリット状であってもよい。
更に、本実施形態では、ワイヤ8は、保護膜85を有する。保護膜85は、傷823を塞いでいる。保護膜85は、外皮82を構成する材料の融点よりも低い融点の材料よりなる。保護膜85を構成する材料としては、金属あるいは樹脂が挙げられる。保護膜85を構成する材料が金属である場合、保護膜85は、たとえばメッキにより形成するとよい。一方、保護膜85を構成する材料が樹脂である場合、保護膜85は、たとえば塗布により形成するとよい。保護膜85は、外表面821と、内側面824と、コア部81とに直接形成されている。
なお、フラックス入りのワイヤ8としては、図16(a)に示した断面形状のものに限定されず、図18に示したものや、図19に示したものを用いてもよい。図18、図19の符号は、図16の符号と同一の構成について示している。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、コンタクトチップ12からワイヤ8が出た地点において、ワイヤ8における外皮82には、傷823が形成されている。このような構成によると、アーク溶接システムA1に関して述べたのと同様の理由により、ワイヤ8の先端に形成された溶滴がガスGs1によって吹き飛ばされることを防止できる。その結果、スパッタの発生を抑制でき、また、アークa1の長さの乱れを抑制できる。
本実施形態によると、傷823は、ワイヤリールWLに巻かれた状態においてワイヤ8に形成されている。このような構成によると、アーク溶接システムA1における傷形成機構7を用意することなく、ワイヤ8に傷823が形成されていることに起因する上述の効果を奏することが可能である。
本実施形態においては、ワイヤ8は、傷823を塞ぐ保護膜85を備える。このような構成によると、ワイヤ8を運搬中等に、コア部81の一部が、傷823から溢れることを防止できる。また、本実施形態においては、保護膜85は、外皮82を構成する材料の融点よりも低い融点の材料よりなる。このような構成によると、アークa1の熱によって、保護膜85を傷823から除去させることができる。これにより、アーク溶接の際に、適切に、傷823からガスGs2を放出させることができる。
また、アーク溶接システムA3によると、上記の作用効果に加え、アーク溶接システムA1と同様の以下の作用効果も奏する。
本実施形態においては、アーク溶接を行なっている際、送給されているワイヤ8のうち、第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位には、加熱用電流Iw2が流れる。このような構成によると、アーク溶接システムA1に関して述べたのと同様の理由により、ワイヤ8の突き出し長さが長いことに起因する不具合(ワイヤ8が一気にはじけ飛ぶこと、アーク切れを起こすこと、および、ワイヤ8の曲がりぐせのためワイヤ8の先端を所望の位置に位置させにくいこと)を回避できる。したがって、本実施形態によると、より適切な溶接を行うことができる。
特に、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、従来では、突き出し長さを長くする傾向にあった。ワイヤ8がフラックス入りのワイヤである場合、同一の直径のソリッドワイヤに比べて、ワイヤ8の単位長さ当たりの溶融金属が少ないことにより溶着量が少なくなるからである。そのため、ワイヤ8のうち、第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位に加熱用電流Iw2を流す本実施形態の構成は、溶着量が少なくなりがちな、フラックス入りのワイヤ8を用いる場合に特に有用である。
また、本実施形態においては、第1接触電極21は、第2接触電極22に対し相対的に固定された第1状態S1と、第2接触電極22に対し相対的に固定された第2状態S2と、をとる。第1状態S1においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第1距離D11である。第2状態S2においては、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離D1は、第2距離D12である。第2距離D12は、第1距離D11よりも大きい。このような構成によると、アーク溶接システムA1に関して述べたのと同様の理由により、ワイヤ8のうち、第1接触電極21と第2接触電極22との間の部位にて発生する熱量を、ワイヤ8の種類に応じて、調整することができる。その結果、コンタクトチップ12から出た地点におけるワイヤ8の温度を調整することができる。これにより、適切な溶接を行うことができる。
本実施形態の構成によると、ワイヤ8がフラックス入りのワイヤ8であっても、溶着量を調整するための煩わしい作業を、送給軸線Oxの延びる方向における、第1接触電極21と第2接触電極22との距離を調整することにより、行うことができる。これは、作業者にとって非常に便利である。
本実施形態においては、溶接トーチ1は、各々がワイヤ8を挿通させる第1コイルライナ181および第2コイルライナ182を備える。第1接触電極21は、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向において、第1コイルライナ181と第2コイルライナ182との間に配置されている。第2コイルライナ182は、ワイヤ8の送給軸線Oxに沿う方向において、第1接触電極21と第2接触電極22との間に配置されている。このような構成によると、第1コイルライナ181および第2コイルライナ182によって、安定してワイヤ8を送給することが可能となる。同様に、第3コイルライナ183によっても、安定してワイヤ8を送給することが可能となる。
本実施形態においては、第1接触電極21は、トーチボディ挿通孔171内にて、トーチボディ17に支持されている。このような構成によると、アーク溶接システムA1に関して述べたのと同様の理由により、本実施形態によると、コンタクトチップ12が高温となり損傷する不具合を防止できる。
本実施形態においては、傷823は、外皮82を貫通しており、且つ、コア部81に達している。このような構成によると、ガスGs2を、傷823から外皮82の外部へとより確実に放出させることができる。これにより、より確実に、ワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができる。より確実にワイヤ8の先端にて発生するガスGs1の発生量を減少させることができると、ワイヤ8の先端におけるスパッタの発生をより確実に抑制でき、また、アークa1の長さの乱れをより確実に抑制できる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
上述の説明では、第1接触電極および第2接触電極の配置位置は、上述の例には限定されない。たとえば、第1接触電極および第2接触電極のいずれもが、チップボディに配置されていてもよい。あるいは、第1接触電極および第2接触電極のいずれもが、トーチボディに配置されていてもよい。また、第1接触電極がチップボディに配置され、第2接触電極がコンタクトチップであってもよい。
上述の説明とは異なり、第1接触電極がトーチボディに対し移動しないように固定され、第2接触電極22がチップボディに対し移動しないように固定されていてもよい。そして、トーチボディが送給軸線の延びる方向に伸縮することにより、送給軸線の延びる方向における、第1接触電極と、第2接触電極との距離を変化させてもよい。
なお、傷形成機構7は、上述のような回転体72の外側に刃721が形成されたものには限定されない。たとえば、傷形成機構は、ワイヤの延びる方向に直交する方向に進退動するパンチ穴形成機構であってもよい。
上述の説明では、フラックス入りのワイヤ8を用いて溶接を行う例を示したが、フラックスが入っていない、いわゆるソリッドワイヤを用いて溶接を行なってもよい。そして、通常のガスシールドアーク溶接を行なってもよい。
1 溶接トーチ
11 チップボディ
111 チップボディ挿通孔
113 チップボディ内面
12 コンタクトチップ
121 チップ挿通孔
123 チップ内面
14 オリフィス
15 ノズル
16 絶縁ブッシュ
17 トーチボディ
171 トーチボディ挿通孔
173 トーチボディ内面
18 コイルライナ
181 第1コイルライナ
182 第2コイルライナ
183 第3コイルライナ
21 第1接触電極
22 第2接触電極
25 電極移動機構
4 電源部
41 アーク用電源回路
42 加熱用電源回路
5 送給装置
51 ローラ
7 傷形成機構
71 モータ
72 回転体
721 刃
8 ワイヤ
81 コア部
82 外皮
821 外表面
823 傷
823A 部分
824 内側面
85 保護膜
a1 アーク
A1,A2,A3 アーク溶接システム
D1,D2 距離
D11,D21 第1距離
D12,D22 第2距離
Fx1 送給方向
Gs1,Gs2 ガス
Iw1 アーク用電流
Iw2 加熱用電流
Ox 送給軸線
S1 第1状態
S2 第2状態
Vw1 アーク用電圧
Vw2 加熱用電圧
W1 母材
WL ワイヤリール

Claims (14)

  1. 送給されているワイヤに各々が接触する第1接触電極および第2接触電極、を備え、
    前記第1接触電極は、前記第2接触電極と絶縁され、且つ、前記第2接触電極に対し、前記ワイヤの送給方向の上流側に配置されており、
    前記第1接触電極は、前記第2接触電極に対し相対的に固定された第1状態と、前記第2接触電極に対し相対的に固定された第2状態と、をとり、
    前記第1状態においては、前記ワイヤの送給軸線の延びる方向における、前記第1接触電極と前記第2接触電極との距離は、第1距離であり、
    前記第2状態においては、前記送給軸線の延びる方向における、前記第1接触電極と前記第2接触電極との距離は、第2距離であり、
    前記第2距離は、前記第1距離よりも大きい、溶接トーチ。
  2. 各々が前記ワイヤを挿通させる第1コイルライナおよび第2コイルライナを更に備え、
    前記第1接触電極は、前記送給方向において、前記第1コイルライナと前記第2コイルライナとの間に配置されており、
    前記第2コイルライナは、前記送給方向において、前記第1接触電極と前記第2接触電極との間に配置されている、請求項1に記載の溶接トーチ。
  3. 前記ワイヤを挿通させるトーチボディ挿通孔が形成されたトーチボディを更に備え、
    前記第1接触電極は、前記トーチボディ挿通孔内にて、前記トーチボディに支持されている、請求項1または請求項2に記載の溶接トーチ。
  4. 前記トーチボディに対し前記送給方向の下流側に配置され、且つ、前記ワイヤを挿通させるチップボディを更に備え、
    前記第2接触電極は、前記チップボディに固定されている、請求項3に記載の溶接トーチ。
  5. 前記第1接触電極の状態を、前記第1状態と前記第2状態との間で変化させる電極移動機構を更に備える、請求項3または請求項4に記載の溶接トーチ。
  6. 前記電極移動機構は、前記トーチボディに対し、前記送給軸線の延びる方向に沿って、前記第1接触電極を移動させる機構である、請求項5に記載の溶接トーチ。
  7. 前記第1接触電極および前記第2接触電極はいずれも、筒状であり、且つ、前記ワイヤを挿通させる、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の溶接トーチ。
  8. 前記ワイヤは、フラックスよりなるコア部と、前記コア部を包囲し金属よりなる外皮と、を含む、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の溶接トーチ。
  9. 送給されている前記ワイヤに接触するコンタクトチップを更に備え、
    前記コンタクトチップは、前記第2接触電極に対し、前記ワイヤの送給方向の下流側に配置されている、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の溶接トーチ。
  10. 前記第2接触電極は、コンタクトチップである、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の溶接トーチ。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の溶接トーチと、
    前記第1接触電極および前記第2接触電極に電気的に接続している電源部と、を備え、
    前記電源部と母材との間には、アーク用電流が流され、
    前記電源部と前記第1接触電極との間には、加熱用電流が流される、アーク溶接システム。
  12. 請求項9に記載の溶接トーチと、
    前記第1接触電極および前記第2接触電極に電気的に接続している電源部と、を備え、
    前記電源部と母材との間には、アーク用電流が流され、
    前記電源部と前記第1接触電極との間には、加熱用電流が流され、
    前記電源部は、アーク用電源回路と、加熱用電源回路と、を含み、
    前記アーク用電源回路は、前記コンタクトチップと前記母材との間に、前記アーク用電流を流し、
    前記加熱用電源回路は、前記第1接触電極と前記第2接触電極との間に、前記加熱用電流を流す、アーク溶接システム。
  13. 請求項10に記載の溶接トーチと、
    前記第1接触電極および前記第2接触電極に電気的に接続している電源部と、を備え、
    前記電源部と母材との間には、アーク用電流が流され、
    前記電源部と前記第1接触電極との間には、加熱用電流が流され、
    前記電源部は、前記コンタクトチップと前記母材との間に前記アーク用電流を流し、且つ、前記第1接触電極と前記母材との間に前記加熱用電流を流す、アーク溶接システム。
  14. 前記電源部は、前記アーク用電流が流れている間に、前記加熱用電流を流す、請求項11ないし請求項13のいずれかに記載のアーク溶接システム。
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