JP2014167948A - 発光ダイオード素子、発光ダイオード素子の製造方法および発光装置 - Google Patents

発光ダイオード素子、発光ダイオード素子の製造方法および発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】m面GaN基板の裏面に形成されたn側電極を有する、動作電圧の低いGaN系発光ダイオード素子を提供する。
【解決手段】キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板110と、m面GaN基板110のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造120と、m面GaN基板110の裏面に形成されたn側オーミック電極E100とを有し、素子に印加される順方向電流が20mAのときの順方向電圧が3.6V以下である、発光ダイオード素子。
【選択図】図1

Description

本発明は発光ダイオード素子、発光ダイオード素子の製造方法および発光装置に関し、とりわけ、GaN系半導体を用いて形成された発光構造を有するGaN系発光ダイオード素子、その製造方法、およびそれを用いた発光装置に関する。GaN系半導体は、一般式AlInGa1−a−bN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦a+b≦1)で表される化合物半導体であり、窒化物半導体、III族窒化物系化合物半導体などとも呼ばれる。
GaN系半導体を用いて形成されたダブルヘテロpn接合型の発光構造をm面GaN基板上に有する半導体発光素子が公知である(非特許文献1〜4)。
m面GaN基板という場合、ジャスト基板(基板主面の法線とm軸[10−10]とが平行な基板)だけではなく、オフ角が付与された基板も含まれる(特許文献1)。
非特許文献1〜3に開示されているのは発光ダイオード素子であり、いずれの素子においても、m面GaN基板上にエピタキシャル成長により形成されたn型のSiドープGaN層上にn側オーミック電極が形成されている。非特許文献4に開示されているのはレーザダイオード素子であり、m面GaN基板の裏面にn側オーミック電極が形成されている。このレーザダイオード素子の閾値電流はCW駆動時で36mA、パルス駆動時で28mAであり、閾値電圧は約7〜8Vとなっている。
GaN基板上に発光構造を形成した発光素子においては、GaN基板の裏面に良好なn側オーミック電極を形成することが難しいといわれている(特許文献2〜7)。そこで、特許文献3に記載された方法では、GaN基板の裏面を粒径10μm以上の研磨剤で研磨して粗くすることにより、該裏面上に形成するn側オーミック電極の接触抵抗の低減が図られている。また、特許文献4に記載された方法では、同じ目的のために、GaN基板の裏面をウェットエッチングまたはドライエッチングで粗くしている。
一方、特許文献5によれば、GaN基板の厚さを落とすためにその裏面をグラインディング、ラッピングまたはポリッシングしたときにダメージ層が形成され、これが良好なオーミック電極の形成を阻害するとのことである。そこで、該特許文献5に記載の方法では、研磨加工後のGaN基板の裏面をドライエッチングまたはウェットエッチングで削っている。しかし、特許文献6には、ウェットエッチングではこの目的は達成できなかったと記載されている。特許文献7に記載された方法では、GaN基板の裏面をドライエッチングして、機械研磨により発生した結晶欠陥を含む部分を削り取ることにより、GaN基板とn側オーミック電極との接触抵抗の低減が図られている。なお、これら特許文献2〜7に記載された知見や発明は、基本的にはc面GaN基板に関するものである。
特開2010−245444号公報 特開平11−340571号公報 特開2002−16312号公報 特開2004−71657号公報 特開2003−51614号公報 特開2003−347660号公報 特開2004−6718号公報
Kuniyoshi Okamoto et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 45, No. 45, 2006, pp. L1197-L1199 Mathew C. Schmidt et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 46, No. 7, 2007, pp. L126-L128 Shih-Pang Chang et al., Journal of The Electrochemical Society, 157 (5) H501-H503 (2010) Kuniyoshi Okamoto et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 46, No. 9, 2007, pp. L187-L189
m面GaN基板上に発光構造を形成したGaN系発光ダイオード素子は、QCSE(Quantum-confined Stark effect)が生じないので、印加電流の増加に伴う発光効率の低下
(いわゆるefficiency droop)が小さいものとなることが期待されている。しかし、発光ダイオード素子の動作電圧(順方向電圧)が高い場合には、当該発光ダイオード素子が放出する熱による発光効率の低下が生じるために、期待通りの効果が得られなくなる。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その主たる目的は、m面GaN基板の裏面に形成されたn側電極を有する、動作電圧の低いGaN系発光ダイオード素子を提供することである。
本発明の他の目的は、かかるGaN系発光ダイオード素子を波長変換物質と組み合わせてなる発光装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、m面GaN基板の裏面に形成されたn側電極を有する動作電圧の低いGaN系発光ダイオード素子を製造する方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、n型GaN系半導体層の底面に設けられたn側電極を有する、動作電圧の低いGaN系発光ダイオード素子と、その製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば以下の発光ダイオード素子が提供される。
(a1)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が20mAのときの順方向電圧が3.6V以下である、発光ダイオード素子。
(a2)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が60mAのときの順方向電圧が4.1V以下である、発光ダイオード素子。
(a3)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が100mAのときの順方向電圧が4.3V以下である、発光ダイオード素子。
(a4)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が120mAのときの順方向電圧が4.4V以下である、発光ダイオード素子。
(a5)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が180mAのときの順方向電圧が4.6V以下である発光ダイオード素子。
(a6)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が200mAのときの順方向電圧が4.7V以下である、発光ダイオード素子。
(a7)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が240mAのときの順方向電圧が4.8V以下である発光ダイオード素子。
(a8)キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が350mAのときの順方向電圧が5.0V以下である、発光ダイオード素子。
(a9)前記発光構造が、GaN系半導体からなる活性層と、該活性層と前記m面GaN基板との間に配置されたn型GaN系半導体層と、該n型GaN系半導体層とで該活性層を挟むp型GaN系半導体層と、を含む、前記(a1)〜(a8)のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
(a10)前記m面GaN基板の裏面の面積が0.0012cm以上である、前記(a1)〜(a9)のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
(a11)前記n側オーミック電極の面積が0.0012cm以上、前記m面GaN基板の裏面の面積以下である、前記(a10)に記載の発光ダイオード素子。
(a12)前記m面GaN基板の裏面は、少なくとも前記n側オーミック電極と接触する部分における二乗平均粗さが0.1nm以下である、前記(a1)〜(a11)のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
(a13)前記n側オーミック電極がAl(アルミニウム)を含有する、前記(a1)〜(a12)のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
本発明の他の一態様によれば以下の発光装置が提供される。
(b1)前記(a1)〜(a12)のいずれかに記載の発光ダイオード素子と、該発光ダイオード素子が発する光の少なくとも一部を吸収して、より長波長の光に変換する波長変換物質と、を備える発光装置。
(b2)白色発光装置である、前記(b1)に記載の発光装置。
(b3) 前記発光ダイオード素子が青色発光素子または紫色発光素子である、前記(b
2)に記載の発光装置。
(b4)前記波長変換物質が黄色蛍光体および緑色蛍光体から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含む、前記(b3)に記載の発光装置。
(b5)前記波長変換物質がCe3+を付活剤としガーネット型酸化物結晶を母体とする蛍光体を含む、前記(b3)に記載の発光装置。
本発明の更に他の一態様によれば以下の発光ダイオード素子の製造方法が提供される。(c1)おもて面上にGaN系半導体からなる発光構造が設けられたキャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板の裏面を、二乗平均粗さが0.1nm以下となるようにポリッシュするステップと、該ポリッシュされた裏面に電極を形成するステップと、を有することを特徴とする発光ダイオード素子の製造方法。
(c2)前記ポリッシュするステップでは酸性のCMPスラリーを用いる、前記(c1)に記載の製造方法。
本発明の更に他の一態様によれば以下の発光ダイオード素子およびその製造方法が提供される。
(d1)活性層と該活性層を挟むn型層およびp型層とを含む複数のGaN系半導体層で構成された積層構造と、該n型層の該活性層が配置された側とは反対側の主面に設けられ
たn側オーミック電極と、を有するGaN系半導体発光素子において、前記積層構造の積層方向と前記積層構造を構成するGaN系半導体のm軸とがなす角度が10度以下であり、前記n型層のキャリア濃度が7×10cm−3以上であり、かつ、前記n型層の前記n側オーミック電極と接触する表面の二乗平均粗さが0.1nm以下である、ことを特徴とする発光ダイオード素子。
(d2)活性層と該活性層を挟むn型層およびp型層とを含む複数のGaN系半導体層で構成された積層構造と、該n型層の該活性層が配置された側とは反対側の主面に設けられたn側オーミック電極と、を有するGaN系半導体発光素子の製造方法において、前記積層構造の積層方向が前記積層構造を構成するGaN系半導体のm軸となす角度が10度以下であり、前記n型層のキャリア濃度が7×10cm−3以上であり、前記n側オーミック電極を形成する前に前記n型層の前記活性層が配置された側とは反対側の主面をポリッシュしてその二乗平均粗さを0.1nm以下とするステップを有する、ことを特徴とするGaN系発光ダイオード素子の製造方法。
(d3)前記ポリッシュするステップでは酸性のCMPスラリーを用いる、前記(d2)に記載の製造方法。
本発明によれば、m面GaN基板の裏面に形成されたn側電極を有する、動作電圧の低いGaN系発光ダイオード素子が提供される。
また、本発明によれば、かかるGaN系発光ダイオード素子を波長変換物質と組み合わせてなる発光装置が提供される。
また、本発明によれば、m面GaN基板の裏面に形成されたn側電極を有する動作電圧の低いGaN系発光ダイオード素子を製造する方法が提供される。
また、本発明によれば、n型GaN系半導体層の底面に設けられたn側電極を有する、動作電圧の低いGaN系発光ダイオード素子が提供される。
本発明の実施形態に係るGaN発光ダイオード素子の構造を模式的に示す図面であり、図1(a)はエピ層側から見た平面図、図1(b)は図1(a)のX−X線の位置における断面図である。 図1に示すGaN系発光ダイオード素子を基板側から見た平面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造を模式的に示す断面図である。 図4(a)および(b)は、それぞれ、本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造を模式的に示す断面図である。 図5(a)および(b)は、それぞれ、基板の裏面上でn側オーミック電極が呈するパターンを例示する平面図である。 本発明の実施形態に係るGaN発光ダイオード素子の構造を模式的に示す図面であり、図6(a)は基板側から見た平面図、図6(b)は図6(a)のX−X線の位置における断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN発光ダイオード素子の構造を模式的に示す図面であり、図7(a)は基板側から見た平面図、図7(b)は図7(a)のP−Q線の位置における断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN発光ダイオード素子の構造を模式的に示す図面であり、図8(a)は基板側から見た平面図、図8(b)は図8(a)のP−Q線の位置における断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN発光ダイオード素子の構造を模式的に示す図面であり、図9(a)は基板側から見た平面図、図9(b)は図9(a)のX−X線の位置における断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN発光ダイオード素子の構造を模式的に示す図面であり、図10(a)は基板側から見た平面図、図10(b)は図10(a)のP−Q線の位置における断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造を模式的に示す図面であり、図15(a)はn側電極を設けた側から見た平面図、図15(b)は図15(a)のP−Q線の位置における断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた白色LEDの構造例を示す断面図である。 xy色度図(CIE 1931)である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた、リモートフォスファ型白色発光ユニットの構造例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた、リモートフォスファ型白色発光ユニットの構造例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた、リモートフォスファ型白色発光ユニットの構造例を示す断面図である。 実験1で試作したGaN系発光ダイオード素子の構造を示す模式図であり、図21(a)は上面図、図21(b)は図21(a)のX−X線の位置における断面図である。 マスクパターンの平面図である。 マスクパターンの向きを説明するための平面図である。 加工eを施したm面GaN基板の裏面のSEM像である。(図面代用写真) 実験2で試作したGaN系発光ダイオード素子の構造を模式的に示す断面図である。 実験2で試作したスモールサイズ(340μm×350μm)のGaN系発光ダイオード素子における、第2のn側メタルパッド、透光性電極およびp側メタルパッドのパターンを示す平面図である。 実験2で試作したラージサイズ(1050μm×1050μm)のGaN系発光ダイオード素子における、第2のn側メタルパッド、透光性電極およびp側メタルパッドのパターンを示す平面図である。 実験3で使用したテストピースの構造を模式的に示す図面であり、図28(a)は平面図、図28(b)は図28(a)のX−X線の位置における断面図である。 テストピースの電流−電圧特性を示すグラフである。 テストピースの電流−電圧特性を示すグラフである。
[1]好適な実施形態
(実施形態1)
図1(a)は、基板110とその上にエピタキシャル成長したGaN系半導体からなるエピ層120とを有するGaN系発光ダイオード素子101Aを、エピ層120側から見た平面図である。図1(b)は図1(a)のX−X線の位置における断面図である。図2は、GaN系発光ダイオード素子101Aを基板110側から見た平面図を示す。
基板110はn型導電性のm面GaN基板である。基板110はジャスト基板であってもよいし、オフ角が付与された基板であってもよい。基板110はキャリア濃度が7×1017cm−3以上、好ましくは4×1018cm−3以上となるように、ケイ素、酸素などの不純物でドープされている。基板110のキャリア濃度は、通常5×1019cm−3以下、好ましくは1×1019cm−3以下である。
エピ層120はpn接合を構成するn型層121とp型層123を含んでいる。ダブルヘテロ構造が形成されるように、n型層121とp型層123との間には活性層122が設けられている。
基板110の裏面はポリッシュされており、どの部分においても10μm×10μmの範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下である。そのポリッシュされた面上に、オーミック電極と電極パッドを兼用するn側電極E100が形成されている。エピ層120上には、透光性電極であるp側オーミック電極E201が形成されている。p側オーミック電極E201上の一部にはp側電極パッドE202が形成されている。n側電極E100とp側電極パッドE202とを通してエピ層120に順方向電圧を印加することにより、活性層122で発光が生じる。この光は、p側オーミック電極E201の表面、エピ層120の端面、基板110の端面などから、GaN系発光ダイオード素子101Aの外部に放出される。
n側電極E100は、少なくとも基板110と接触する部分がAl、Ti、Cr、V、W、ITOのような、n型GaN系半導体とオーミック接触を形成する材料で形成される。好ましい実施形態において、n側電極E100は、基板110と接触する部分がAl、Ti、Cr、V、W、ITOなどで形成され、その上にAu、Al、Cu、Agのような導電性の高い金属からなる層が積層された、多層構造とされる。かかる多層構造において、基板110と接触する最下層の厚さは例えば0.05〜1μmであり、Au、Al、Cu、Agなどからなる高導電性層の厚さは例えば0.5〜10μmである。最下層と高導電性層との間にはTa、Mo、Nb、Hf、白金族などの高融点金属を含むバリア層を挿入することができる。
p側オーミック電極E201は、好ましくは、ITOのような透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conductive Oxide)で形成される。p側オーミック電極E201は、通常、p型層123の上面全体を覆うように設けられる。p側電極パッドE202は金属を用いて形成される。好ましい実施形態において、p側電極パッドE202は、p側オーミック電極E201と接する部分がCr、Ti、Ni、Pt、Rhのような、TCOとの密着性に優れた金属で形成され、その上にAu、Al、Cu、Agのような導電性の高い金属からなる層が積層された、多層構造とされる。TCOからなるp側オーミック電極E201の厚さは例えば0.1μm〜0.5μmであり、p側電極パッドE202の厚さは例えば0.5μm〜10μmである。
n側電極E100は、基板110の裏面へのp側電極パッドE202の正射影と重なる位置に、円形の開口部を有している。この開口部があるために、p側電極パッドE202からエピ層120に流れる電流はp側電極パッドE202の真下に集中することがない。つまり、電流が図1(b)中に矢印で示す経路に集中することがない。その結果として、この経路に電流が集中した場合と比べて、活性層122で発生する光がp側電極パッドE202により受ける遮蔽および吸収が低減される。加えて、活性層122を横切って流れる電流の密度がより均一となるので、efficiency droopによる発光効率低下が抑制される。
GaN系発光ダイオード素子101Aに対して、n側電極E100とp側電極パッドE
202を通して順方向電流を印加するのに必要な電圧(順方向電圧;Vf)は、基板110のキャリア濃度、n側電極E100を形成に先立ち行う基板110の裏面処理、n側電極E100の面積等の影響を受ける。基板のキャリア濃度が高いときやn側電極の面積が大きいとき、Vfは低くなる傾向を有する。
順方向電流20mAの印加に必要なVfは3.6V以下、更には3.2V以下にまで低くし得る。順方向電流60mAの印加に必要なVfは4.1V以下、更には3.4V以下にまで低くし得る。順方向電流120mAの印加に必要なVfは4.4V以下、更には3.6V以下にまで低くし得る。順方向電流180mAの印加に必要なVfは4.6V以下、更には3.8V以下にまで低くし得る。順方向電流240mAの印加に必要なVfは4.8V以下、更には3.9V以下にまで低くし得る。順方向電流350mAの印加に必要なVfは5.0V以下、更には4.0V以下にまで低くし得る。
GaN系発光ダイオード素子101Aの構造を一部変更したGaN系発光ダイオード素子101Bの断面図を図3に示す。図3においては、GaN系発光ダイオード素子101Aと共通する構成要素に同一の符号を付している(他の図面においても同様である)。
GaN系発光ダイオード素子101Bにおいて、基板110の裏面のうちn側電極E100と接する領域は、どの部分においても二乗平均粗さ0.1nm以下の平坦面であるが、n側電極E100に覆われていない部分には、凹凸パターンが設けられている。この凹凸パターンは、例えば、ドット状の凹部または凸部が周期的に配列されたパターンであり、フォトリソグラフィとドライエッチングによって形成することができる。凹凸パターンは、凹部の深さまたは凸部の高さとパターンの周期とがそれぞれ1μm〜10μmの範囲内とされており、活性層122で生じる近紫外〜可視波長の光を乱反射させる。その結果として多重反射が抑制され、光取出し効率が改善される。周期性を有する凹凸パターンの形成に代えて、ランダムエッチングマスクを用いたドライエッチングあるいはサンドブラストによって、同様の効果を奏する、周期性を有さない粗面を形成することもできる。
(実施形態2)
図4(a)および図4(b)にそれぞれ断面構造を示すGaN系発光ダイオード素子102Aおよび102Bでは、基板110の裏面上に設けられたn側電極が、パターニングされたn側オーミック電極E101と、それを覆うn側電極パッドE102とから構成されている。
基板110の裏面はポリッシュされており、どの部分でも10μm×10μmの範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下という平坦面である。
基板110の裏面上でn側オーミック電極E101が呈するパターンは、図5(a)に一例を示すドットパターンや、図5(b)に一例を示すネットパターンなどとすることができる。
図4(b)のGaN系発光ダイオード素子102Bの基板110の裏面には、n側オーミック電極E101に加えて誘電体反射膜R100が形成されている。誘電体反射膜R100は、n側オーミック電極と相補的な形状となるようにパターニングされている。n側電極パッドE102は、n側オーミック電極E101と誘電体反射膜R100の両方を一括して覆っている。誘電体反射膜R100の好適例はブラッグ反射膜(DBR)であるが、限定されるものではなく、基板110より屈折率の低い誘電体からなる単層膜であってもよい。
GaN系発光ダイオード素子102A、102Bにおいて、n側オーミック電極E101は、Al、Ti、Cr、V、W、ITOのような、n型GaN系半導体とオーミック接触を形成する材料を用いて、蒸着、スパッタ、CVDのような気相法により、例えば0.
05μm〜1μmの厚さに形成される。n側電極パッドE102は、Au、Al、Cu、Agのような導電性の高い金属を含む厚さ0.5μm〜10μmの高導電性層を含むことが望ましい。また、n側電極パッドE102は基板110側に、Ag、Al、Rh、Ptのような近紫外〜可視波長域における反射率の高い金属からなる高反射部を含むことが望ましい。
(実施形態3)
図6は、基板110の裏面を主たる光取出し面としたGaN系発光ダイオード素子103Aの構造を示しており、図6(a)は基板110側から見た平面図、図6(b)は図6(a)のX−X線の位置における断面図である。
GaN系発光ダイオード素子103Aでは、基板110の裏面から光を取り出せるように、n側電極E100の面積が基板110の裏面の面積の4分の1以下とされている。他方、オーミック電極と電極パッドを兼用するp側電極E200は、p型層123の上面を略全面的に覆っている。
基板110の裏面はポリッシュされており、どの部分でも10μm×10μmの範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下という平坦面である。
好ましい実施形態において、p側電極E200は、p型層123と接触する部分がp型GaN系半導体とオーミック接触を形成する材料で形成され、その上にAu、Al、Cu、Agのような導電性の高い金属からなる高導電性層が積層された、多層構造とされる。
p型GaN系半導体とオーミック接触を形成する材料としては、Ni、Au、Pd、Rh、Pt、Coなどの金属が挙げられる他、ITO、亜鉛添加酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化ガリウムなどの透明導電性酸化物が挙げられる。高導電性層は、例えば0.5μm〜10μmの厚さに形成される。
GaN系発光ダイオード素子103Aの構造を一部変更したGaN系発光ダイオード素子103Bの構造を図7に示す。図7(a)は素子を基板110側から見た平面図であり、図7(b)は図7(a)のPQ線の位置における断面図である。
GaN系発光ダイオード素子103Bでは、n側電極E100が、ボンディングワイヤ等が接続される部分である接続部E100aと、電流を横方向(基板110の厚さ方向と直交する方向)に拡げるための延長部E100bとから構成されている。
基板110の裏面は、n側電極E100と接している領域では平坦で、該領域内ではどの部分でも10μm×10μmの範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下である。それに対し、基板110の裏面の露出した部分は粗く加工されている。この粗く加工された部分には、光を乱反射させ得るミクロンサイズの突起または窪み、あるいは、光を回折させ得るサブミクロンサイズの周期的凹凸パターンが形成されている。他の例として、光の全反射を抑制する効果を持つ、サブミクロンサイズの微細な突起または窪みが密集したパターンを形成してもよい。かかるパターンは、加工しようとする面上に密に並べたポリマー微粒子やシリカ微粒子をマスクに用いてエッチング加工する方法を用いて形成することができる。
(実施形態4)
図8に示すGaN系発光ダイオード素子104Aでは、ITOのような透明導電性酸化物で形成された透光性のn側オーミック電極E101が、基板110の裏面の略全体を覆っており、その一部上にn側電極パッドE102が形成されている。図8(a)はGaN系発光ダイオード素子104Aを基板110側から見た平面図、図8(b)は図8(a)のP−Q線の位置における断面図である。
基板110の裏面はポリッシュされており、どの部分でも10μm×10μmの範囲の
二乗平均粗さが0.1nm以下という平坦面である。
n側電極パッドE102は、ボンディングワイヤ等が接続される部分である接続部E102aと、電流を横方向に拡げるための延長部E102bとから構成されている。透光性のn側オーミック電極E101はパターニングされており、n側電極パッドの接続部E102aの直下の部分に円形の開口部を有している。
GaN系発光ダイオード素子104Aの構造を一部変更したGaN系発光ダイオード素子104Bの構造を図9に示す。図9(a)は素子を基板110側から見た平面図、図9(b)は図9(a)のX−X線の位置における断面図である。
GaN系発光ダイオード素子104Bでは、基板110の裏面上の一部に、ITOのような透明導電性酸化物で透光性のn側オーミック電極E101が形成され、更にそのn側オーミック電極上の一部にn側電極パッドE102が形成されている。n側オーミック電極E101の面積はn側電極パッドE102よりも僅かに大きいだけである。基板110の裏面のうちn側オーミック電極E101に覆われていない部分は粗面とされている。
GaN系発光ダイオード素子104Bの構造を一部変更したGaN系発光ダイオード素子104Cの構造を図10に示す。図10(a)は素子を基板110側から見た平面図、図10(b)は図10(a)のP−Q線の位置における断面図である。
GaN系発光ダイオード素子104Cでは、基板110の裏面上に配置されたn側電極パッドE102が、ボンディングワイヤ等が接続される部分である接続部E102aと、電流を横方向(基板110の厚さ方向と直交する方向)に拡げるための、グリッド状の延長部E102bとから構成されている。n側電極パッドE102と基板110との間に介在されたn側オーミック電極E101は、n側電極パッドE102と略同じ形状だが少し幅広にパターニングされている。
基板110の裏面のうちn側オーミック電極E101と接している領域は平坦で、該領域内ではどの部分でも10μm×10μmの範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下である。
(GaN系発光ダイオード素子101Aの製造方法)
前述の実施形態1に係るGaN系発光ダイオード素子101Aは、次に記す(A)〜(G)のステップを順次実行することにより製造することができる。
(A)エピウェハの準備
最初のステップでは、図11(a)に示すように、n型導電性のm面GaN基板110上に、GaN系半導体からなるn型層121、活性層122およびp型層123を含むエピ層120が形成されたエピウェハを準備する。この段階における基板110の厚さは、典型的には300μm〜1mmである。
(B)エピ層の加工
このステップでは、図11(b)に示すように、エピ層120をドライエッチング加工して素子分離溝G100を形成する。そして、素子分離溝G100によって区画される各発光ダイオード部のp型層123上に、p側オーミック電極E201とp側電極パッドE202を順次形成する。素子分離溝G100とp側オーミック電極E201の形成の順序に限定はなく、素子分離溝G100を形成する前にp側オーミック電極E201を形成してもよい。また、この例では、素子分離溝G100の底がn型層121内に位置しているが、素子分離溝は基板110の表面または内部に達する深さに形成することもできる。通常は、素子分離溝G100、p側オーミック電極E201およびp側電極パッドE202を形成した後、p側オーミック電極E201の表面とエピ層120の露出面をSiO、SiNのような透明材料からなる絶縁性の保護膜(図示せず)で被覆する。
(C)基板の薄肉化
このステップでは、図11(c)に示すように基板110の厚さを減じるために、その裏面をグラインディングまたはラッピングする。グラインディングを行った場合には、続けてラッピングを行って、加工された面の粗さを減じる。このラッピングの際には、使用するダイヤモンド砥粒の粒径を段階的に小さくしていくことが好ましい。
このステップ(C)は、必要に応じて行えばよく、省略することも可能である。
(D)基板の裏面のポリッシング
このステップではCMPスラリーを用いて基板110の裏面をポリッシングし、AFMを用いて測定される10μm角の範囲の二乗平均粗さを好ましくは0.1nm以下とする。CMPスラリーは砥粒として粒径20nm〜100nmのコロイダルシリカを含有し、そのpHは好ましくは2未満であり、また、0.8以上である。pHの調整は無機酸を用いて行うことができる。CMPスラリーへの酸化剤の添加は好ましく行うことができる。ポリッシングレートは、例えば0.5〜7μm/hとすることができる。
ポリッシング前の基板110の裏面がグラインドされたままの表面のような荒れた面である場合は、予備加工としてラッピングを行って粗さを減じてから、ポリッシングを行う。このラッピングの際には、使用するダイヤモンド砥粒の粒径を段階的に小さくしていくことが望ましい。ポリッシング後は基板110に付着したスラリーを水で洗い流し、乾燥させる。砥粒の残留を防ぐために、界面活性剤を用いた洗浄処理を行ってもよい。水洗の後に、有機洗浄や紫外線オゾン洗浄を行ってもよい。
(E)n側電極の形成
このステップでは、図12(d)に示すように、基板110の裏面全体にn側電極E100を、蒸着、スパッタ、CVDなどの気相法を用いて薄膜状に形成する。
(F)n側電極のパターニング
このステップでは、必要な部分をマスクで保護したうえで不要部分をエッチングにより除去する方法、すなわちサブトラクティブ法によって、図12(e)に示すようにn側電極E100を所定形状にパターニングする。マスクのパターニングは、よく知られたフォトリソグラフィ技法を用いて行うことができる。エッチング方法は、ウェットエッチングとドライエッチングのいずれでもよい。ウェットエッチングで用いるエッチャント、ドライエッチングで用いるエッチングガスについては、公知技術を適宜参照して選択すればよい。好ましい実施形態においては、n側電極E100のパターニング後、基板110の露出面をSiO、SiNのような透明材料からなる絶縁性の保護膜(図示せず)で被覆する。
(G)ダイシング
最後のステップとして、図12(f)に示すように、エピ層120に形成した素子分離溝G100の位置でエピウェハを切断し、チップ状のGaN系発光ダイオード素子101Aを得る。
(GaN系発光ダイオード素子101Bの製造方法)
GaN系発光ダイオード素子101B(図3参照)を製造する場合、基板110の裏面を凹凸状に加工するステップが必要となる。このステップは、n側電極E100をパターニングするステップの後に行う。
(GaN系発光ダイオード素子102Bの製造方法)
GaN系発光ダイオード素子102B(図4(b)参照)を製造する場合、基板110の裏面に誘電体反射膜R100を形成するステップが必要となる。このステップは、n側オーミック電極E101をパターニングするステップの後に行う。
(GaN系発光ダイオード素子104Bの製造方法)
前述の実施形態4に係るGaN系発光ダイオード素子104B(図9参照)を製造するには、まず、n型導電性のm面GaN基板110上に、GaN系半導体からなるn型層121、活性層122およびp型層123を含むエピ層120が形成されたエピウェハを準備する。そして、エピ層120をドライエッチング加工して素子分離溝G100を形成するとともに、素子分離溝G100によって区画される各発光ダイオード部のp型層123上に、p側電極E200を形成する。
p側電極E200の形成後、基板110の裏面をグラインディングまたはラッピングして、基板110の厚さを減じる。グラインディングを行った場合には、続けてラッピングを行って、加工された面の粗さを減じる。その後、基板110の裏面をポリッシュし、AFMを用いて測定される10μm角の範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下となるように平坦化する。ポリッシングに用いる好ましいCMPスラリーおよび好ましいポリッシングレートは、GaN系発光ダイオード素子101Aを製造する場合と同様である。
ポリッシング後は基板110に付着したスラリーを水で洗い流し、乾燥させる。水洗の際には界面活性剤を用いることができる。水洗の後に、有機洗浄や紫外線オゾン洗浄を行ってもよい。
次に、ポリッシュされたままの基板110の裏面全体にITOからなるn側オーミック電極E101を、蒸着、スパッタ、CVDなどの気相法を用いて薄膜状に形成する。このステップまで完了したエピウェハの断面図が図13(a)である。
次のステップでは、必要な部分をレジストマスクで保護したうえで不要部分をエッチングにより除去する方法、すなわちサブトラクティブ法によって、図13(b)に示すようにn側オーミック電極E101を所定形状にパターニングする。レジストマスクのパターニングは、通常のフォトリソグラフィ技法を用いて行うことができる。ITOのエッチングは、好ましくは、エッチャントに塩化鉄水溶液または塩酸を用いて、ウェット法により行う。このウェットエッチングの際には、ITOの不要部分を完全に取り除かないで、その残渣が基板110上に残るようにエッチング時間などを調節する。
ITOのような多結晶質のTCO薄膜は、成膜後にアニールして結晶部分の結晶性を向上させることによって、ウェットエッチング時の結晶部分と粒界部分とのエッチングレート差を大きくすることができる。従って、n側オーミック電極E101をITOのような多結晶質のTCO膜とする場合には、これを熱処理することによって、ウェットエッチング後にTCOの残渣が基板110上に残留し易くすることができる。
次のステップでは、前のステップでn側オーミック電極E101の保護に用いたレジストマスクを引き続きマスクとして残したまま、露出した基板110の裏面を塩素ガスをエッチングガスに用いてドライエッチングする。このとき、残留したITOの残渣が微細マスクとして働くことによって、図13(c)に示すように、基板110のドライエッチされた部分には微細な凹凸が形成される。
ドライエッチング後、図14(d)に示すようにn側オーミック電極E101上にn側電極パッドE102を形成する。好ましい実施形態においては、この後、基板110の露出面をSiO、SiNのような透明材料からなる絶縁性の保護膜(図示せず)で被覆する。そして、最後のステップとして、図14(e)に示すように、エピ層120に形成した素子分離溝G100の位置でエピウェハを切断し、チップ状のGaN系発光ダイオード素子104Bを得る。
(実施形態5)
図15に示すGaN系発光ダイオード素子105では、エピ層120の成長に使用され
たm面GaN基板が除去されており、また、エピ層120に対してp側電極E200を挟んで保持基板S100が接合されている。図15(a)は素子をn側電極E100が設けられた側から見た平面図、図15(b)は図15(a)のP−Q線の位置における断面図である。
n側電極E100は、n型層121の底面(活性層122が配置された側とは反対側の主面)に形成されており、接続部E100aと延長部E100bとから構成されている。
n型層121の底面は、n側電極E100と接している領域では平坦で、該領域内ではどの部分でも10μm×10μmの範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下である。n型層121の底面の他の領域は粗く加工されており、ミクロンサイズの突起または窪み、サブミクロンサイズの周期的凹凸パターン、あるいは、サブミクロンサイズの微細な突起または窪みが密集したパターンが形成されている。
GaN系発光ダイオード素子105を製造するには、まず、m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体からなるn型層121、活性層122およびp型層123を含むエピ層120が形成されたエピウェハを準備する。
次いで、該p型層の上面にp側電極E200を形成した後、該p側電極を間に挟むようにして、該エピ層120に支持基板S100を接合する。
次いで、m面GaN基板を裏面側からグラインディングとラッピングにより磨滅させ、エピ層120に含まれるn型層121の底面を露出させる。
次いで、露出させたn型層121の底面をポリッシュし、AFMを用いて測定される10μm角の範囲の二乗平均粗さが0.1nm以下となるように平坦化する。ポリッシングに用いる好ましいCMPスラリーおよび好ましいポリッシングレートは、GaN系発光ダイオード素子101Aの製造時にm面GaN基板の裏面をポリッシュする場合と同様である。
ポリッシング後、ポリッシュされたn型層表面に付着したスラリーを水で洗い流し、乾燥させる。水洗の際には界面活性剤を用いることができる。水洗の後に、有機洗浄や紫外線オゾン洗浄を行ってもよい。
次いで、ポリッシュしたn型層121の底面上へのn側電極E100の形成およびパターニングを行い、更に、該底面がn側電極に覆われずに露出した領域の粗化処理を行う。
n型層121の底面にn側電極E100を形成した後の適切な段階で、エピ層120に素子分離溝を形成する。
最後に、素子分離溝の位置で保持基板S100を切断し、チップ状のGaN系発光ダイオード素子105を得る。
(発光装置)
本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた発光装置の用途は、照明、ディスプレイ、液晶表示装置のバックライト、インジケータ等を含むが、これらに限定されるものではない。
本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子は、砲弾型パッケージやSMD型パッケージに収容したうえで、回路基板に実装することができる。照明用の発光装置では、本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を回路基板に直接実装するチップオンボード方式を好ましく採用することができる。
本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた発光装置の一形態として、GaN系発光ダイオード素子と、当該発光ダイオード素子が発する光の少なくとも一部を吸収して、より長波長の光に変換する波長変換物質とを組み合わせた発光装置が挙げられる。かかる発光装置の一例が白色LEDである。
図16は、本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた白色LEDの構造例を示す断面図である。白色LEDは、本発明のGaN系発光ダイオード素子1000、該LED素子を収容するSMD型パッケージ2000、および波長変換部3000を備えている。
GaN系発光ダイオード素子1000は、例えば発光ピーク波長を420〜470nmの範囲内、好ましくは445〜465nmの範囲内に有する青色発光ダイオード素子である。
SMD型パッケージ2000は公知のSMD型パッケージであり、典型例としてはポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の耐熱性樹脂をリードフレームと一体成形したタイプのものが挙げられるが、限定されるものではない。例えば、積層セラミック基板上にセラミック製または金属製のリフレクタを接合したタイプのSMD型パッケージであってもよい。
GaN系発光ダイオード素子1000が発する青色光は波長変換部3000に入射し、その一部は、波長変換部3000が含有する黄色蛍光体により黄色光に変換される。波長変換部3000の表面からは、青色光と黄色光が混成して生じる白色光が外部に向けて放出される。
波長変換部3000に含まれる黄色蛍光体の濃度は、白色LEDが放出する光の色の黒体輻射軌跡からの偏差Duv(=1000duv)が−20〜+20の範囲内となるように調節する。照明用では、Duvを通常−6.0〜+6.0の範囲内、好ましくは−6.0〜+2.0の範囲内、特に好ましくは−6.0〜0.0の範囲内とする。
黄色蛍光体に加えて赤色蛍光体を波長変換部3000に加えることにより、低い色温度の白色光を発生させることができる。白色LEDの相関色温度は、照明用では通常2000〜7000Kの範囲内とする。
照明用の白色LEDでは、黄色蛍光体に加えて赤色蛍光体を波長変換部3000に加えることにより演色性を改善することができる。黄色蛍光体の一部または全部を緑色蛍光体に置換することも、白色LEDの演色性の改善に寄与し得る。
GaN系発光ダイオード素子1000は、発光ピーク波長を390〜420nmの範囲内に有する紫色発光ダイオード素子であってもよい。その場合には、波長変換部3000に青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体を含有させる。緑色蛍光体の一部または全部を黄色蛍光体に置き換えてもよい。
青色蛍光体とは、その発光色が、図17に示すxy色度図(CIE 1931)における「PURPULISH BLUE」、「BLUE」または「GREENISH BLU
E」に区分される蛍光体である。
好適な青色蛍光体には、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類アルミン酸塩またはアルカリ土類ハロリン酸塩からなる結晶を母体とするもの、例えば、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)5(PO43Cl:Euなどがある。照明用の
白色LEDには、発光効率が高く、かつ、半値全幅が50nm以上の比較的ブロードな発光スペクトルを有する、BaMgAl1017:EuおよびSr5-xBax(PO43Cl:Eu(0<x<5)が好適である。
緑色蛍光体とは、その発光色が、図17に示すxy色度図(CIE 1931)における「GREEN」または「YELLOWISH GREEN」に区分される蛍光体である。
好適な緑色蛍光体にはEu2+を付活剤とするものと、Ce3+を付活剤とするものとがある。
Eu2+を付活剤とする緑色蛍光体は、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類ケイ酸窒化物またはサイアロンからなる結晶を母体とする緑色蛍光体である。アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とするものの具体例には、(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si27:Euなどがある。アルカリ土類ケイ酸窒化
物結晶を母体とするものの具体例には、(Ba,Ca,Sr)3Si6122:Eu、(
Ba,Ca,Sr)3Si694:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si222:Euなど
がある。サイアロン結晶を母体とするものの具体例には、βサイアロン:Eu、Sr3
13Al3221:Eu、Sr5Al5Si21235:Euなどがある。
Ce3+を付活剤とする緑色蛍光体としては、ガーネット型酸化物結晶を母体とする緑色蛍光体、例えば(Y,Gd)3Al512:Ce、Y(Al,Ga)12:Ce、Lu(Al,Ga)12:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ceや、アルカ
リ土類金属スカンジウム酸塩結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCaSc24:Ceがある。
黄色蛍光体とは、その発光色が、図17に示すxy色度図(CIE 1931)における「YELLOW GREEN」、「GREENISH YELLOW」、「YELLOW」または「YELLOWISH ORANGE」に区分される蛍光体である。
黄色蛍光体の好適例としては、Ce3+を付活剤とし、ガーネット型酸化物結晶を母体とするもの、例えば、(Y,Gd)3Al512:Ce、Tb3Al512:Ce、Lu3Al512:Ceなどがある。その他には、Ce3+を付活剤とし、ランタンケイ素窒化物結晶を母体とするもの、例えば、La3Si611:Ce、Ca1.5xLa3-xSi611:Ceなどがある。また、Eu2+を付活剤とする黄色蛍光体として、(Ba,Sr)2SiO4:Eu(BOSEまたはBOSと呼ばれる)、αサイアロン:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Euなどがある。
赤色蛍光体とは、その発光色が、図17に示すxy色度図(CIE 1931)における「RED」、「REDDISH ORANGE」または「ORANGE」に区分される蛍光体である。
赤色蛍光体の好適例としては、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物、αサイアロンまたはアルカリ土類ケイ酸塩からなる結晶を母体とする蛍光体が挙げられる。アルカリ土類ケイ窒化物結晶を母体とするものの具体例には、(Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu、(CaAlSiN31-x(Si(3n+2)/4nO)x:Eu、(Ca,Sr,B
a)2Si58:Eu、SrAlSi47:Euなどがある。アルカリ土類ケイ酸塩結晶
を母体とするものの具体例には、(Sr,Ba)3SiO5:Euなどがある。
赤色蛍光体の他の好適例はMn4+付活フルオロ錯体蛍光体である。MXF:Mnで表されるヘキサフルオロ錯体塩型が好ましいが、限定されるものではなく、配位中心となる金属元素に対し5個ないし7個のフッ素イオンが配位した錯イオンを含むものも使用し得る。最も好ましいMn4+付活フルオロ錯体蛍光体は、ヘキサフルオロケイ酸カリウムを母体とするKSiF:Mnである。KSiF:MnのSiの一部はAlで置換することができ、Kの一部はNaで置換することができる。
波長変換部3000において蛍光体を保持するマトリックス材料は、可視波長域において透明な樹脂またはガラスである。樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、PMMA樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが好ましく例示される。ガラスとしては、リン酸系、ホウリン酸系、バナジウムホウ酸系、アルカリ珪酸系、ビスマス系などの低融点ガラスが好ましく例示される。
波長変換部3000には、蛍光体以外の微粒子、例えば、光拡散材を分散させることができる。
波長変換部3000は、また、蛍光体相を含有するセラミック板であってもよい。
波長変換部3000は任意の態様で蛍光体を含有することができる。例えば、波長変換部3000の内部における蛍光体の分布は一様であってもよいし、不均一であってもよい。また、波長変換部3000は含有する蛍光体の種類および/または濃度がそれぞれ異なる2以上の蛍光体層を含む積層体であってもよい。この積層体は蛍光体を含有しない層を含むものであってもよい。また、波長変換部3000は、透明な支持体の表面にコーティングされた薄層であり得る。
GaN系発光ダイオード素子1000と波長変換部3000との間の空間Sは、空洞であってもよいし、その一部または全部がシリコーン樹脂やガラスなどの透光性材料で充填されていてもよい。
蛍光体を含有する樹脂で形成する波長変換部を板状とすることは必須ではない。一例では、GaN系発光ダイオード素子1000を保護する封止樹脂に蛍光体を添加してもよい。他の一例では、蛍光体を含有する樹脂層をGaN系発光ダイオード素子1000の表面にコンフォーマルに形成したうえで、該樹脂層もろとも該発光ダイオード素子を透光性樹脂で封止してもよい。
図18〜20は、それぞれ、本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子を用いた、リモートフォスファ型白色発光ユニットの構造例を示す断面図である。これらの白色発光ユニットでは、フィン付きのヒートシンク上にPCB(プリント配線板)が設置され、そのPCBの導電パターン(図示せず)上にGaN系発光ダイオード素子が直接実装されている。PCBは、好ましくは、メタルコアPCBまたはセラミックPCBである。蛍光体を含有する波長変換層を備えた波長変換コンポーネントは、GaN系発光ダイオード素子から離して設置されている。
図18の白色発光ユニットでは、GaN系発光ダイオード素子が、波長変換層と透光性層とを有するドーム形状の波長変換コンポーネントで覆われている。この波長変換コンポーネントは、例えば、ポリカーボネート樹脂、PMMA樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等をモールドして透明な中空ドーム(透光性層)を作製した後、該中空ドームの内壁面上に波長変換層を形成することにより製造することができる。波長変換層は、例えば、蛍光体を含むシリコーン樹脂ペーストを塗布し硬化させる方法で形成することができる。
図19の白色発光ユニットでは、GaN系発光ダイオード素子が、凸レンズ状に成形された透明樹脂(例えば、シリコーン樹脂)で封止されるとともに、環状のリフレクタに取り囲まれている。リフレクタの上部には、波長変換層と透光性層とを有する平板形の波長変換コンポーネントが取り付けられ、GaN系発光ダイオード素子の上方の空間を塞いでいる。リフレクタの内壁は、GaN系発光ダイオード素子から入射する光が波長変換コンポーネントに向かって反射されるように、傾斜している。
図20の白色発光ユニットでは、波長変換コンポーネントが、凸レンズと、その裏面に設けられた波長変換層とを有している。凸レンズは透明な樹脂またはガラスで形成されており、当該白色発光ユニットの出力光に指向性を付与する働きを有している。
図18〜20のいずれの例においても、波長変換コンポーネントの表面の少なくとも一部に、モスアイ(moth−eye)構造を付与することができる。すなわち、図18および図19の例では透光性層の表面を、また、図20の例では凸レンズの表面を、モスアイ構造とすることができる。また、図18〜20のいずれの例においても、波長変換層の表面をモスアイ構造とすることができる。
モスアイ構造の付与によって表面での全反射が発生しなくなるので、波長変換コンポーネントの光透過性が高くなり、ひいては白色発光ユニットの発光効率が高くなる。
図19の白色発光ユニットにおいては、透光性層の表面にマイクロレンズ・アレイを形成することも光取出し効率を高めるうえで有用である。
図18〜20の各例において、GaN系発光ダイオード素子および各蛍光体が発する光を十分に混合させるために、波長変換層に光拡散材を分散させることができる。図18および図19の例では、同じ目的のために、透光性層に光拡散材を分散させることができる他、透光性層の表面を粗く加工することによって光拡散性を付与することができる。
図18〜20に例示したリモートフォスファ型白色発光ユニットは、シーリングライト、レトロフィット電球(白熱電球型、ハロゲンランプ型)、スポットライト、ヘッドライトなど、各種固体照明器具の光源ユニットとして好適に使用することができる。
白色発光装置の構成例を以上に説明したが、本発明の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子と、当該発光ダイオード素子が発する光の少なくとも一部を吸収して、より長波長の光に変換する波長変換物質とを組み合わせて構成される発光装置は、白色発光装置に限定されるものではなく、緑、黄、赤などの原色光を発する発光装置や、パステルカラーの光を発する発光装置であり得る。
[2]実験結果
本発明者等によるGaN系発光ダイオード素子(以下では「LED素子」ともいう)の試作および評価の結果を以下に記す。
1.実験1(参考実験)
1.1.試作したLED素子の基本構造
図21に、実験1で試作したLED素子の基本構造を模式的に示す。図21(a)は上面図、図21(b)は図1(a)のX−X線の位置における断面図である。図21(a)に示すように、LED素子1の平面形状は矩形であり、サイズは350μm×340μmである。
図21(b)に示すように、LED素子1は、基板10の上にGaN系半導体からなる半導体積層体20を有している。基板10はm面GaN基板であり、半導体積層体20は該基板10のおもて面11上に配置されている。半導体積層体20は基板10側から順に、第1のアンドープGaN層21、Siドープされたn型GaNコンタクト層22、第2のアンドープGaN層23、Siドープされたn型GaNクラッド層24、MQW活性層25、Mgドープされたp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層26、Mgドープされたp型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層27を有している。
MQW活性層25は、交互に積層されたアンドープIn0.04Ga0.96Nバリア層とアンドープIn0.16Ga0.84Nウェル層とを有している。アンドープInGaNバリア層の数は4層、アンドープInGaNウェル層の数は3層であり、ゆえに、MQW活性層25の最下層と最上層はいずれもバリア層である。ウェル層の組成は発光ピーク波長が445〜465nmの範囲内に入るように調整されたものである。
LED素子1は2つのn側電極と1つのp側電極を有している。n側電極のひとつは第1のn側メタルパッドE11であり、基板10の裏面12全体を覆うように設けられている。もうひとつは第2のn側メタルパッドE12であり、半導体積層体20を一部除去することにより露出したn型GaNコンタクト層22の表面上に形成されている。第1のn側メタルパッドE11と第2のn側メタルパッドE12は、どちらもオーミック電極を兼用している。p側電極を構成するのは、p型AlGaNコンタクト層27の上面に形成されたオーミック性の透光性電極E21と、該透光性電極E21上の一部に形成されたp側メタルパッドE22である。MQW活性層25への電流印加は、第1のn側メタルパッド
E11とp側メタルパッドE22を通して行うこともできるし、第2のn側メタルパッドE12とp側メタルパッドE22を通して行うこともできる。
第1のn側メタルパッドE11は多層膜であり、基板10側から順にTiW層、Au層、Pt層、Au層、Pt層、Au層、Pt層、Au層を有している。第2のn側メタルパッドE12も同様の積層構造を備える多層膜であり、n型GaNコンタクト層22側から順にTiW層、Au層、Pt層、Au層、Pt層、Au層、Pt層、Au層を有している。透光性電極E21はITO(インジウム錫酸化物)膜である。p側メタルパッドE12は第1のn側メタルパッドE11および第2のn側メタルパッドE12と同様の積層構造を備える多層膜であり、透光性電極E21側から順にTiW層、Au層、Pt層、Au層、Pt層、Au層、Pt層、Au層を有している。
1.2.LED素子の試作
LED素子1を次の手順により作製した。
1.2.1.エピタキシャル成長
サイズが7mm(c軸方向)×15mm(a軸方向)×330μm(厚さ)、おもて面(半導体積層体を設ける側の主面)のオフ角が0±0.5°の範囲内で、n型不純物としてSiが添加されたn型導電性のm面GaN基板を準備した。ホール測定により調べた該m面GaN基板のキャリア濃度は1.3×1017cm−3であった。
このm面GaN基板のおもて面上に、常圧MOVPE法を用いて複数のGaN系半導体層をエピタキシャル成長させて半導体積層体を形成した。III族原料にはTMG(トリメチルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)およびTMA(トリメチルアルミニウム)、V族原料にはアンモニア、Si原料にはシラン、Mg原料にはビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム((EtCp)Mg)を用いた。
各層の成長温度および膜厚を表1に示す。
n型GaNコンタクト層、n型GaNクラッド層、p型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNコンタクト層に添加した不純物の濃度は表2に示す通りである。
p型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNコンタクト層に添加したMgの活性化は、p型AlGaNコンタクト層を所定時間成長させた後、MOVPE装置の成長炉内で基板温度が室温まで降下する間に、該成長炉内に流す窒素ガスおよびアンモニアガスの流量を制御する方法を用いて行った。
1.2.2.p側電極および第2のn側メタルパッドの形成
上記エピタキシャル成長により形成した半導体積層体の表面(p型AlGaNコンタクト層の表面)に、電子ビーム蒸着法によりITO膜を210nmの厚さに形成した。続いて、フォトリソグラフィとエッチングの技法を用いて、このITO膜を所定の形状にパターニングして、透光性電極を形成した。パターニング後、反応性イオンエッチング(RIE)加工により半導体積層体の一部を除去して、第2のn側メタルパッドを形成すべき部位にn型GaNコンタクト層を露出させるとともに、メサ形成を行った。RIE加工においては、エッチングガスとしてClを用い、アンテナ/バイアスを100W/20W、チャンバー内圧力を0.3Paと設定した。
RIE加工に続いて、上記作製したITO膜に対し、大気雰囲気中、520℃で20分間の熱処理を施した。更に続けて、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いて、
このITO膜に対し、窒素ガス雰囲気中、500℃で1分間の熱処理を施した。
ITO膜の熱処理後、リフトオフ法を用いて、第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを同時に所定のパターンに形成した。第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを構成するメタル多層膜に含まれる全ての層(TiW層、Au層およびPt層)は、スパッタリング法で形成した。TiW膜を形成する際は、ターゲットにTi含有量が10wt%のTi−Wターゲット、スパッタガスにAr(アルゴン)を使用し、スパッタ条件はRF電力800W、Ar流量50sccm、スパッタガス圧2.2×10−1Paとした。最
下層であるTiW層とその直上に積層するAu層の厚さは108nmとし、それ以外のPt層およびAu層の厚さはいずれも89nmとした。
第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを形成した後、露出した半導体積層体の表面および透光性電極の表面に、SiOからなるパッシベーション膜を213nmの厚さに形成した。
1.2.3.m面GaN基板の裏面の加工
上記パッシベーション膜の形成後、m面GaN基板の裏面に対し、以下に加工a〜加工fとして記す6通りの異なる加工を行った。
加工a:m面GaN基板の裏面にラッピングおよびポリッシングをこの順に施すことにより、該基板の厚さを200μmに減じた。
ラッピング工程では、定法に従い、使用するダイヤモンド砥粒の粒径を段階的に小さくしていった。
ポリッシング工程では、酸性コロイダルシリカ(粒径70〜100nm)に酸を添加してpHを2未満に調整したCMPスラリーを用い、ポリッシングレートが0.5μm/hとなるように荷重を調整し、ポリッシング加工時間は約14時間とした。この条件でポリッシュされたm面GaN基板の表面は、AFM(例えばDIGITALINSTRUMENTS社製 DIMENSION 5000)を用いて測定される10μm角の範囲の算術平均粗さRaが0.1nm以下と
なる。
ポリッシングされた面(m面GaN基板の裏面)は水で洗った後、更に室温のIPAおよびアセトンを用いて洗浄し、乾燥後に5分間の紫外線オゾン洗浄(110℃、酸素流量5L/分)を施した。
加工b:加工aを行った後、更に、RIEによってm面GaN基板の裏面から表層部分を削り取った。RIE条件は上記1.2.2.で半導体積層体に対してRIE加工を施したときの条件と同じとし、エッチング深さが0.1μmとなるよう、エッチング時間を60秒に設定した。RIE加工後の表面の粗さを触針式段差計(株式会社小坂研究所製ET3000)で測定したところ、算術平均粗さRaは0.02μm、最大高さRzは0.04μmであった。
加工c:加工aを行った後、更に、RIEによってm面GaN基板の裏面から表層部分を削り取った。RIE条件は上記1.2.2.で半導体積層体に対してRIE加工を施したときの条件と同じとし、エッチング深さが1.0μmとなるよう、エッチング時間を610秒に設定した。RIE加工後の表面の粗さを触針式段差計で測定したところ、算術平均粗さRaは0.06μm、最大高さRzは0.55μmであった。
加工d:加工aを行った後、更に、RIEによってm面GaN基板の裏面から表層部分を削り取った。RIE条件は上記1.2.2.で半導体積層体に対してRIE加工を施したときの条件と同じとし、エッチング深さが2.0μmとなるよう、エッチング時間を1220秒に設定した。RIE加工後の表面の粗さを触針式段差計で測定したところ、算術平均粗さRaは0.07〜0.12μm、最大高さRzは1.30μmであった。
加工e:加工aを行った後のm面GaN基板の裏面に、ノボラック樹脂を用いたポジ型フォトレジスト(住友化学株式会社製 スミレジストPFI−34AL)を1.6μmの厚さにコーティングし、フォトリソグラフィ技法を用いて該フォトレジストをパターニングすることによって、図22に示すマスクパターンを形成した。すなわち、複数の円形エッチングマスクが三角格子の格子位置に配置されたマスクパターンである。各円形マスクの直径(図22中のR)は2μm、隣り合う円形マスク間のスペース(図22中のS)は2.5μmとした。マスクパターンの方向は、図23に示すように、三角格子の6つの格子位置を頂点とする正六角形ABCDEFの2つの辺BC、EFが、m面GaN基板のc軸と直交するように定めた。
上記のように形成したマスクパターンをエッチングマスクに用いてRIEを行うことにより、m面GaN基板の裏面を凹凸状に加工した。エッチングガスとしてClを用い、アンテナ/バイアスを100W/20W、チャンバー内圧力を0.3Paと設定して、エッチング選択比が約1となるようにした。なお、ここでいうエッチング選択比は、エッチング時間が約800秒以下であるときの、〔GaNのエッチングレート〕/〔マスクのエッチングレート〕である。この条件で、1500秒間、RIE加工を行った。マスクパターンは、エッチング時間が約800秒に達したところで殆ど消失した。RIE加工後、有機溶剤を用いてウェハを洗浄し、続けて、RIE加工された面に5分間の紫外線オゾン洗浄(110℃、酸素流量5L/分)を施した。
加工eを施したm面GaN基板の裏面のSEM像を図24に示す。図24において(a)は平面図、(b)は断面方向から見た図、(c)は斜視図である。 図24(a)〜(c)のいずれにおいても紙面内で右から左に向かう方向が、GaNの[0001]方向(c+方向)であり、左から右に向かう方向がGaNの[000−1]方向(c−方向)である。m面GaN基板の裏面に形成された突起の高さは1.5μmであった。
加工f:加工aを行った後のm面GaN基板の裏面に、加工eと同じ手順でマスクパターンを形成した。しかし、RIEチャンバー内に設置した後、薄いサファイア板でm面GaN基板の裏面を覆うことにより、該裏面がRIE加工を受けないように保護した。このことを除いて、加工fで行った処理は、加工eと同じである。すなわち、加工fを施したm面GaN基板の裏面には、フォトレジストを用いてマスクパターンを形成する処理、該マスクパターンを有機溶剤を用いて取り除く処理、及び、該マスクパターン除去後の紫外線オゾン洗浄処理が行われている。
1.2.4.第1のn側メタルパッドの形成
上記加工a〜fのいずれかを行ったm面GaN基板の裏面に、第1のn側メタルパッドとなるメタル多層膜を形成した。このメタル多層膜に含まれる全ての層(TiW層、Au層およびPt層)は、スパッタリング法で形成した。TiW膜を形成する際は、ターゲットにTi含有量が10wt%のTi−Wターゲット、スパッタガスにAr(アルゴン)を使用し、スパッタ条件はRF電力800W、Ar流量50sccm、スパッタガス圧2.2×10−1Paとした。最下層であるTiW層とその直上に積層するAu層の厚さは1
08nmとし、それ以外のPt層およびAu層の厚さはいずれも89nmとした。
上記メタル多層膜の形成後、スクライブおよびブレーキングを行うことによりウェハを分断し、LED素子をチップにした。上記メタル多層膜はこの工程でGaN基板と共に分断した。従って、第1のn側メタルパッドの平面形状はm面GaN基板の裏面の形状と同じとなった。また、第1のn側メタルパッドのサイズはチップサイズと略同じ350μm×340μmとなった。
1.3.LED素子の順方向電圧の評価
上記手順にて得たLEDチップに対して、第1のn側メタルパッドとp側メタルパッドを通して電流を印加したときの順方向電圧(Vf)と、第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを通して電流を印加したときの順方向電圧(Vf)を比較した。印加電流はパルス幅1msec、パルス周期100msecのパルス電流とし、電流値は20mAおよび60mAの2通りとした。結果を表3に示す。
表3に示すように、m面GaN基板の裏面に加工aのみを行ったLEDチップではVfとVfは一致したのに対し、加工b〜fを行ったLEDチップではいずれもVfがVfよりも大きくなった。特に、RIE加工を含む加工b〜eを行ったLEDチップでは、その差は数V以上にもなった。
また、m面GaN基板の裏面に加工aのみを行ったLEDチップに、パルス幅1msec、パルス周期100msecの順方向電流を20mA、60mA、100mA、120mA、180mA、240mAおよび350mA印加したときのVfを表4に示す。表4には、それぞれの場合の、第1のn側メタルパッドにおける平均電流密度を併せて示している。この平均電流密度は順方向電流をn側メタルパッドの面積(350μm×340μm)で除した値であり、n側メタルパッドとm面GaN基板の裏面との界面を横切って流れる電流の平均的な密度を表している。
2.実験2
2.1.試作したLED素子の基本構造
図25に、実験2で試作したLED素子の断面構造を模式的に示す。LED素子2は、基板10の上にGaN系半導体からなる半導体積層体20を有している。基板10はm面GaN基板であり、半導体積層体20は該基板10のおもて面11上に配置されている。半導体積層体20は基板10側から順に、第1のアンドープGaN層21、Siドープされたn型GaNコンタクト層22、第2のアンドープGaN層23、Siドープされたn型GaNクラッド層24、MQW活性層25、Mgドープされたp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層26、Mgドープされたp型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層27を有している。
MQW活性層25は、4層のアンドープInGaNバリア層と3層のアンドープInG
aNウェル層とを最下層および最上層がいずれもバリア層となるように交互に積層した構造を有している。InGaNバリア層のInN混晶比は約4%、InGaNウェル層の組成はLED素子2の発光色が紫〜青となるように調整されている。
LED素子2は2つのn側電極と1つのp側電極を有している。n側電極のひとつは第1のn側メタルパッドE11であり、基板10の裏面12全体を覆うように設けられている。もうひとつは第2のn側メタルパッドE12であり、半導体積層体20を一部除去することにより露出したn型GaNコンタクト層22の表面上に形成されている。第1のn側メタルパッドE11と第2のn側メタルパッドE12は、どちらもオーミック電極を兼用している。p側電極を構成するのは、p型AlGaNコンタクト層27の上面に形成されたオーミック性の透光性電極E21と、該透光性電極E21上の一部に形成されたp側メタルパッドE22である。MQW活性層25への電流印加は、第1のn側メタルパッドE11とp側メタルパッドE22を通して行うこともできるし、第2のn側メタルパッドE12とp側メタルパッドE22を通して行うこともできる。
後述するように、LED素子2の試作ではチップサイズを340μm×350μm(スモールサイズ)と1050μm×1050μm(ラージサイズ)の2通りとした。
スモールサイズのLED素子2において、第2のn側メタルパッドE12、透光性電極E21およびp側メタルパッドE22が呈するパターンを図26に示す。ラージサイズのLED素子2において、第2のn側メタルパッドE12、透光性電極E21およびp側メタルパッドE22が呈するパターンを図27に示す。
第1のn側メタルパッドE11は、基板10側から順にTiW層(108nm)、Au層(108nm)、Pt層(89nm)、Au層(89nm)、Pt層(89nm)、Au層(89nm)、Pt層(89nm)、Au層(89nm)を有する総膜厚約750nmのメタル多層膜である。
第2のn側メタルパッドE12およびp側メタルパッドE12は、スモールサイズのLED素子2では、第1のn側メタルパッドE11と同じ積層構造(最下層が108nmのTiW層)を備えるメタル多層膜である。
ラージサイズのLED素子2では、第2のn側メタルパッドE12およびp側メタルパッドE12は、下層から表層に向かってTiW層(108nm)、Au層(スパッタ膜:108nm)、Au層(蒸着膜:1300nm)をこの順に含む総膜厚約1516nmのメタル多層膜である。
透光性電極E21はITO(インジウム錫酸化物)膜である。
2.2.LED素子の試作
LED素子2を次の手順により作製した。
2.2.1.エピタキシャル成長
下記表5に示す2種類のm面GaN基板(基板A、基板B)を準備した。基板A、Bのサイズは、いずれも、7mm(c軸方向)×15mm(a軸方向)×330μm(厚さ)であり、おもて面(エピタキシャル成長用の主面)にポリッシングが施されたものである。
基板Aまたは基板Bのおもて面上に、常圧MOVPE法を用いて複数のGaN系半導体層をエピタキシャル成長させて半導体積層体を形成した。III族原料にはTMG(トリメチルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)およびTMA(トリメチルアルミニウム)、V族原料にはアンモニア、Si原料にはシラン、Mg原料にはビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム((EtCp)Mg)を用いた。
各層の成長温度および膜厚を表6に示す。
n型GaNコンタクト層、n型GaNクラッド層、p型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNコンタクト層に添加した不純物の濃度は表7に示す通りである。
p型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNコンタクト層に添加したMgの活性化は、p型AlGaNコンタクト層を所定時間成長させた後、MOVPE装置の成長炉内で基板温度が室温まで降下する間に、該成長炉内に流す窒素ガスおよびアンモニアガスの流量を制御する方法を用いて行った。
詳しくいうと、p型AlGaNコンタクト層は、成長炉内に窒素ガスを流量30SLM、水素ガスを流量30SLM、アンモニアガスを流量10SLMで供給しながら成長させた。そのp型AlGaNコンタクト層の成長完了と同時に、基板の加熱と水素ガスの供給を停止するとともに、アンモニア流量を0.05SLMに下げた。基板温度が900℃に下がるまでは、成長炉内に窒素ガスを20SLMで、アンモニアを0.05SLMで供給した。基板温度が900℃に達した時点でアンモニアの供給を停止し、その後は窒素ガスのみを成長炉内に供給しながら基板温度を低下させた。
2.2.2.p側電極および第2のn側メタルパッドの形成
上記エピタキシャル成長により形成した半導体積層体の表面(p型AlGaNコンタクト層の表面)に、電子ビーム蒸着法によりITO膜を210nmの厚さに形成した。続いて、フォトリソグラフィとエッチングの技法を用いて、このITO膜を所定の形状にパターニングして、透光性電極を形成した。パターニング後、反応性イオンエッチング(RIE)加工により半導体積層体の一部を除去して、第2のn側メタルパッドを形成すべき部位にn型GaNコンタクト層を露出させるとともに、メサ形成を行った。RIE加工においては、エッチングガスとしてClを用い、アンテナ/バイアスを100W/20W、チャンバー内圧力を0.3Paと設定した。
RIE加工に続いて、上記作製したITO膜に対し、大気雰囲気中、520℃で20分間の熱処理を施した。更に続けて、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いて、
このITO膜に対し、窒素ガス雰囲気中、500℃で1分間の熱処理を施した。
ITO膜の熱処理後、リフトオフ法を用いて、第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを同時に所定のパターンに形成した。
スモールサイズのLED素子では、第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを構成する全ての金属層(TiW層、Au層およびPt層)をスパッタリング法で形成した。TiW膜を形成する際は、ターゲットにTi含有量が10wt%のTi−Wターゲット、スパッタガスにAr(アルゴン)を使用し、スパッタ条件はRF電力800W、Ar流量50sccm、スパッタガス圧2.2×10−1Paとした。
ラージサイズのLED素子では、第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを構成する金属層のうち、最下層であるTiW層とその次のAu層(108nm)をスパッタリング法で形成し、厚さ1300nmのAu層は電子ビーム蒸着法で形成した。TiW膜形
成時のスパッタ条件は上記と同じである。
第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを形成した後、露出した半導体積層体の表面および透光性電極の表面に、SiOからなるパッシベーション膜を213nmの厚さに形成した。
2.2.3.m面GaN基板の裏面の加工
上記手順にて得たLEDウェハのおもて面(エピ層がある側の面)に、電極等を保護するためのレジストコーティングを行った。そして、ワックスを用いて該ウェハをキャリアプレートに固定し、m面GaN基板の裏面にグラインディング、ラッピングおよびポリッシングをこの順に施した。
グラインディング工程ではm面GaN基板の厚さを330μmから225μmまで落とした。
次のラッピング工程では、粒径1μmのダイヤモンド砥粒を含むスラリーを用い、8.5〜10μm/hというレートでm面GaN基板の厚さを210μmまで落とした。
ポリッシング工程では、粒径20〜100nmのコロイダルシリカおよび酸化剤を含有する約pH1の酸性CMPスラリーを用い、ポリッシングレートが6〜7μm/hとなるように荷重を調整して、約1.5時間でm面GaN基板の厚さを200μmまで落とした。
この条件でポリッシュしたm面GaN基板の表面は、AFM(例えばDIGITALINSTRUMENTS社製 DIMENSION 5000)を用いて測定される10μm角の範囲の二乗平均粗さRaが0
.1nm(0.05〜0.15nmの範囲内)となる。
ポリッシュしたm面GaN基板の裏面は、界面活性剤を用いた超音波洗浄、次いで純水洗浄を行った後、Nブローにより乾燥させた。
次いで、キャリアプレートごとIPA(イソプロピルアルコール)に浸漬することにより、ウェハをキャリアプレートから取り外し、更に、ワックスを完全に除去するためにIPA中で煮沸洗浄を行った。
次いで、レジストリムーバー液を用いてウェハおもて面のレジストコーティングの除去を行い、その後、更に純水洗浄を行った。
2.2.4.第1のn側メタルパッドの形成
上記ポリッシュを行ったm面GaN基板の裏面に、第1のn側メタルパッドとなるメタル多層膜を形成した。このメタル多層膜を構成する全ての金属層(TiW層、Au層およびPt層)はスパッタリング法で形成した。TiW膜形成時のスパッタ条件は、第2のn側メタルパッドに含まれるTiW膜を形成する際に用いた条件と同じとした。
上記メタル多層膜の形成後、スクライブおよびブレーキングを行うことによりウェハを分断し、LED素子をチップにした。上記メタル多層膜はこの工程でGaN基板と共に分断した。従って、第1のn側メタルパッドの平面形状はm面GaN基板の裏面の形状と同じとなった。
すなわち、第1のn側メタルパッドのサイズは、スモールサイズのLED素子では、350μm×340μm(面積:0.0012cm)となり、ラージサイズのLED素子では1050μm×1050μm(面積:0.011cm)となった。
以上の手順により、表8に示す3種類のLEDチップ(LED A-S、LED A-L、LED B-L)
を作製した。
2.3.LED素子の順方向電圧の評価
上記手順にて得たLEDチップに対して、第1のn側メタルパッドとp側メタルパッドを通して電流を印加したときの順方向電圧(Vf)と、第2のn側メタルパッドとp側メタルパッドを通して電流を印加したときの順方向電圧(Vf)を比較した。印加電流はパルス幅1msec、パルス周期100msecのパルス電流とし、電流値は20mAおよび60mAの2通りとした。結果を表9に示す。
また、各LEDチップに、パルス幅1msec、パルス周期100msecの順方向電流を20mA、60mA、100mA、120mA、180mA、240mAおよび350mA印加したときのVfを表10に示す。表10には、それぞれの電流値における発光ピーク波長と、第1のn側メタルパッドにおける平均電流密度を併せて示した。この平均電流密度は順方向電流を第1のn側メタルパッドの面積で除した値であり、第1のn側メタルパッドとm面GaN基板の裏面との界面を横切って流れる電流の平均的な密度を表している。
3.実験3
3.1 テストピースの構成
本実験3で使用したテストピースの構造を図28に示す。図28(a)は平面図、図28(b)は図28(a)のX−X線の位置における断面図である。
テストピース1は、基板11と、その表面に形成された電極アレイ12とからなる。平面視においてアレイを構成する個々の電極片12a〜12jは1辺100μmの正方形で、アレイの一方側(12a側)から他方側(12j側)に向かって隣接する電極片同士の間隔は100μmから10μmまで徐々に減少している。
図28(b)に示すように、電極アレイ12は、0.7μmの段差により区画されたメサ上に設けられている。メサ上面の外縁から電極までの距離は10μmである。
基板11は前述の実験2で用いた基板Aと同じm面GaN基板であり、オフ角は±0.5°以内、ドーパント種は酸素、キャリア濃度は4.2×1018cm−3である。
作製した3種類のテストピースを表1に示す。テストピースA〜Cは、異なるメタル材料で形成された電極アレイ12を有している。
テストピースAの電極では、TiW層がm面GaN基板に接しており、その上にAuが積層されている。
テストピースBの電極はAlの単層膜である。
テストピースCの電極では、Cr層がm面GaN基板に接しており、その上にAuが積層されている。
3.2 テストピースの作製
各テストピースは次の手順により作製した。
1)m面GaN基板の表面に、上記実験2で基板の裏面に対して行った処理と全く同じ処理を行った。すなわち、グラインディング、ラッピングおよびポリッシングをこの順に行った後、所定の洗浄処理を行った。
2)上記1)の処理を施したm面GaN基板の表面に電極アレイを形成した。電極アレイのパターニングにはリフトオフ法を用いた。テストピースAの作製では、TiW層とAu層の両方をスパッタリングで形成した。テストピースBおよびCに含まれるメタル層は全て蒸着で形成した。
3)電極アレイの周囲をドライエッチングして0.7μmの段差を形成した。
3.3 評価
電極アレイを構成する複数の電極片のうち、100μ間隔で隣接する2つの電極片(図28の12aおよび12b)の間にニードルコンタクトを用いて電圧を印加し、電流−電圧特性を測定した。結果を図29に示す。
図29の電流−電圧特性は、m面GaN基板との接触抵抗はAlが最も低く、次いでTiWであり、CrはTiWよりも接触抵抗が高いことを示唆している。
Al電極を有するテストピースBを窒素ガス雰囲気下、500℃で1分間熱処理したところ、図30に示すように、電極間の抵抗は更に低くなった。
本発明は、以上に記した実験から得られた知見に基づき完成されたものである。ただし、いうまでもないことであるが、本発明は、試作されたLED素子や、試作で用いられた方法に限定されるものではない。また、本発明は、本明細書に明示的または黙示的に記載された実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
101A、101B、102A、102B、103A、103B、104A、104B、104C GaN系発光ダイオード素子
110 基板
120 エピ層
121 n型層
122 活性層
123 p型層
E100 n側電極
E101 n側オーミック電極
E102 n側電極パッド
E200 p側電極
E201 p側オーミック電極
E202 p側電極パッド
G100 素子分離溝
R100 誘電体反射膜
1000 GaN系発光ダイオード素子
2000 SMD型パッケージ
3000 波長変換部

Claims (13)

  1. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が20mAのときの順方向電圧が3.6V以下である、発光ダイオード素子。
  2. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が60mAのときの順方向電圧が4.1V以下である、発光ダイオード素子。
  3. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が100mAのときの順方向電圧が4.3V以下である、発光ダイオード素子。
  4. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が120mAのときの順方向電圧が4.4V以下である、発光ダイオード素子。
  5. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が180mAのときの順方向電圧が4.6V以下である発光ダイオード素子。
  6. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が200mAのときの順方向電圧が4.7V以下である、発光ダイオード素子。
  7. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が240mAのときの順方向電圧が4.8V以下である発光ダイオード素子。
  8. キャリア濃度7×1017cm−3以上でn型導電性のm面GaN基板と、該m面GaN基板のおもて面上にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、該m面GaN基板の裏面に形成されたn側オーミック電極とを有し、当該素子に印加される順方向電流が350mAのときの順方向電圧が5.0V以下である、発光ダイオード素子。
  9. 前記発光構造が、GaN系半導体からなる活性層と、該活性層と前記m面GaN基板との間に配置されたn型GaN系半導体層と、該n型GaN系半導体層とで該活性層を挟むp型GaN系半導体層と、を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
  10. 前記m面GaN基板の裏面の面積が0.0012cm以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
  11. 前記n側オーミック電極の面積が0.0012cm以上、前記m面GaN基板の裏面の面積以下である、請求項10に記載の発光ダイオード素子。
  12. 前記m面GaN基板の裏面は、少なくとも前記n側オーミック電極と接触する部分における二乗平均粗さが0.1nm以下である、請求項1〜11のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
  13. 前記n側オーミック電極がAl(アルミニウム)を含有する、請求項1〜12のいずれかに記載の発光ダイオード素子。
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