図1はこの発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す斜視図である。また、図2はこのパターン形成装置の制御系を示すブロック図である。なお、図1では、装置の内部構成を示すために外部カバーを除いた状態を示している。各図における方向を統一的に示すために、図1右下に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。ここでXY平面が水平面、Z軸が鉛直軸を表す。より詳しくは、(+Z)方向が鉛直上向き方向を表している。装置から見たときの正面方向は(−Y)方向であり、物品の搬入出を含む外部からの装置へのアクセスはY軸方向に沿ってなされる。
このパターン形成装置1は、メインフレーム2に上ステージブロック4および下ステージブロック6が取り付けられた構造を有している。図1では、各ブロックの区別を明示するために、上ステージブロック4には粗いピッチのドットを、また下ステージブロック6にはより細かいピッチのドットを付している。パターン形成装置1は上記以外に、予め記憶された処理プログラムに従い装置各部を制御して所定の動作を実行する制御ユニット8(図2)を有している。上ステージブロック4および下ステージブロック6の詳細な構成については後に説明することとし、まず装置1の全体構成を説明する。
パターン形成装置1は、下ステージブロック6により保持されたブランケットBLと、上ステージブロック4により保持された版PPまたは基板SBとを互いに当接させることでパターン形成を行う装置である。この装置1によるパターン形成プロセスは、より具体的には以下の通りである。まず、パターン形成材料が一様に塗布されたブランケットBLに対して、形成すべきパターンに対応して作成された版PPを当接させることにより、ブランケットBLに担持された塗布層をパターニングする(パターニング処理)。そして、こうしてパターニングされたブランケットBLと基板SBとを当接させることで、ブランケットBLに担持されたパターンを基板SBに転写する(転写処理)。これにより、基板SBに所望のパターンが形成される。
このように、このパターン形成装置1は基板SBに所定のパターンを形成するパターン形成プロセスにおけるパターニング処理および転写処理の両方に使用することが可能であるが、これらの処理の一方のみを受け持つ態様で用いられてもよい。
パターン形成装置1の下ステージブロック6は、メインフレーム2のベースフレーム21により支持されている。一方、上ステージブロック4は、下ステージブロック6をX方向から挟むようにベースフレーム21から立設されY方向に延びる1対の上ステージ支持フレーム22,23に取り付けられている。
また、メインフレーム2には、装置に搬入される基板SBとブランケットBLとの位置検出を行うためのプリアライメントカメラが取り付けられている。具体的には、Y軸方向に沿って装置に搬入される基板SBのエッジを異なる3か所で検出するための3基の基板用プリアライメントカメラ241,242,243が、上ステージ支持フレーム22,23から立設されたブームにそれぞれ取り付けられている。同様に、Y軸方向に沿って装置に搬入されるブランケットBLのエッジを異なる3か所で検出するための3基のブランケット用プリアライメントカメラ244,245,246が上ステージ支持フレーム22,23から立設されたブームにそれぞれ取り付けられている。なお図1では、上ステージブロック4の背後に位置する1基のブランケット用プリアライメントカメラ246が現れていない。また、図2では基板用プリアライメントカメラを「基板用PAカメラ」と、ブランケット用プリアライメントカメラを「ブランケット用PAカメラ」と、それぞれ略記している。
図3は下ステージブロックの構造を示す斜視図である。下ステージブロック6では、中央部が開口するプレート状のアライメントステージ601の四隅にそれぞれ支柱602が鉛直方向(Z方向)に立設されており、これらの支柱602により、ステージ支持プレート603が支持されている。図示を省略しているが、アライメントステージ601の下部には、鉛直方向Zに延びる回転軸を回転中心とする回転方向(以下、「θ方向」と称する)、X方向およびY方向の3自由度を有する例えばクロスローラベアリング等のアライメントステージ支持機構605(図2)が設けられており、該アライメントステージ支持機構605を介してアライメントステージ601はベースフレーム21に取り付けられている。したがって、アライメントステージ支持機構605の作動によって、アライメントステージ601はベースフレーム21に対してX方向、Y方向およびθ方向に所定の範囲で移動可能である。
ステージ支持プレート603の上部に、上面が略水平面と一致する平面となり中央部に開口窓611が形成された環状矩形の下ステージ61が配置されている。下ステージ61の上面にブランケットBLが載置され、下ステージ61がこれを保持する。
開口窓611の開口サイズについては、ブランケットBLの表面領域のうち、パターン形成領域として有効に機能する中央部の有効領域(図示せず)の平面サイズよりは大きいことが必要である。つまり、ブランケットBLが下ステージ61に載置されたとき、ブランケットBL下面のうち有効領域に対応する領域の全体が開口窓611に臨み、有効領域の下方が完全に開放された状態である必要がある。またパターン形成材料による塗布層は、少なくとも有効領域の全体を覆うように形成される。
下ステージ61の上面61aには、開口窓611の周縁各辺にそれぞれ沿うように複数の溝612が設けられており、各溝612は図示しない制御バルブを介して制御ユニット8の負圧供給部804に接続されている。各溝612は、ブランケットBLの平面サイズよりも小さい平面サイズの領域内に配置されている。そして、図において一点鎖線で示すように、ブランケットBLは、これらの溝612を全て覆うようにして下ステージ61に載置される。またこれを可能とするために、下ステージ上面61aにブランケットBLの位置規制用のストッパ部材613が適宜配置される。
各溝612に負圧が供給されることにより各溝612は真空吸着溝として機能し、こうしてブランケットBLの周縁部の四辺が下ステージ61の上面61aに吸着保持される。真空吸着溝を互いに独立した複数の溝612で構成することにより、何らかの原因で一部の溝において真空破壊が生じても他の溝によるブランケットBLの吸着が維持されるので、ブランケットBLを確実に保持することができる。また、単独の溝を設けた場合よりも強い吸着力でブランケットBLを吸着することができる。
下ステージ61の開口窓611の下方には、ブランケットBLをZ軸方向に上下動させるための昇降ハンドユニット62,63と、ブランケットBLに下方から当接して押し上げる転写ローラユニット64とが設けられている。
図4は昇降ハンドユニットの構造を示す図である。2つの昇降ハンドユニット62,63の構造は同一であるので、ここでは一方の昇降ハンドユニット62の構造について説明する。昇降ハンドユニット62は、ベースフレーム21からZ方向に立設された2本の支柱621,622を有しており、これらの支柱621,622に対してプレート状のスライドベース623が上下動可能に取り付けられている。より具体的には、2本の支柱621,622にはそれぞれ鉛直方向(Z方向)に延びるガイドレール6211,6221が取り付けられており、スライドベース623の背面、つまり(+Y)側主面に取り付けられた図示しないスライダがガイドレール6211,6221に摺動自在に取り付けられる。そして、例えばモータおよびボールねじ機構などの適宜の駆動機構を備える昇降機構624が、制御ユニット8からの制御指令に応じてスライドベース623を上下動させる。
スライドベース623には複数(この例では4本)のハンド625が上下動自在に取り付けられている。各ハンド625の構造は、配設位置に応じてベース部分の形状が異なる点を除いて基本的に同一である。各ハンド625は、スライドベース623の正面、つまり(−Y)側主面に鉛直方向(Z方向)に沿って取り付けられたガイドレール626に対して摺動自在に係合されたスライダ627に固定されている。スライダ627はスライドベース623の背面に取り付けられた例えばロッドレスシリンダなどの適宜の駆動機構を備える昇降機構628に連結されており、該昇降機構628の作動によりスライドベース623に対して上下方向に移動する。各ハンド625にはそれぞれ独立の昇降機構628が設けられており、各ハンド625を個別に上下動させることができる。
つまり、昇降ハンドユニット62では、昇降機構624がスライドベース623を上下動させることで各ハンド625を一体的に昇降させることができるとともに、各昇降機構628が独立して作動することで各ハンド625を個別に昇降させることが可能となっている。
ハンド625の上面625aはY方向を長手方向とする細長い平面状に仕上げられており、該上面625aをブランケットBLの下面に当接させてブランケットBLを支持することができる。また上面625aには、図示しない配管および制御バルブを介して制御ユニット8に設けられた負圧供給部804と連通する吸着孔625bが設けられている。これにより、吸着孔625bには必要に応じて負圧供給部804からの負圧が供給されて、ハンド625の上面625aにブランケットBLを吸着保持することができる。そのため、ハンド625でブランケットBLを支持する際の滑りを防止することができる。
また、吸着孔625bに対しては、図示しない配管および制御バルブを介して制御ユニット8のガス供給部806から適宜の気体、例えば乾燥空気や不活性ガスなどが必要に応じて供給される。すなわち、制御ユニット8により制御される各制御バルブの開閉によって、吸着孔625bには、負圧供給部804からの負圧およびガス供給部806からの気体が選択的に供給される。
ガス供給部806からの気体が吸着孔625bに供給されるとき、吸着孔625bからは少量の気体が吐出される。これによりブランケットBLの下面とハンド上面625aとの間に微小な隙間が形成され、ハンド625はブランケットBLを下方から支持しつつ、ブランケットBL下面からは離間した状態となる。そのため、各ハンド625によりブランケットBLを支持しながら、ブランケットBLを各ハンド625に対して摺擦させることなく水平方向に移動させることができる。なお、気体吐出孔を吸着孔625bとは別にハンド上面625aに設けてもよい。
図3に戻って、下ステージブロック6では、上記のような構成を有する昇降ハンドユニット62,63がハンド625を内向きにしてY方向に向かい合うように対向配置されている。各ハンド625が最も下降した状態では、ハンド上面625aは下ステージ上面61aよりも下方、つまり(−Z)方向に大きく後退した位置にある。一方、各ハンド625が最も上昇した状態では、各ハンド625の先端は下ステージ61の開口窓611から上方へ突き出した状態となり、ハンド上面625aは下ステージ上面61aよりも上方、つまり(+Z)方向に突出した位置まで到達する。
また、上方から見たとき、両昇降ハンドユニット62,63の互いに向かい合うハンド625の先端同士の間には一定の間隔が設けられており、これらが接触することはない。また次に述べるように、この隙間を利用して、転写ローラユニット64がX方向に移動する。
図5は転写ローラユニットの構造を示す図である。転写ローラユニット64は、Y方向に延びる円筒状のローラ部材である転写ローラ641と、該転写ローラ641の下方に沿ってY方向に延びその両端部で転写ローラ641を回転自在に支持する支持フレーム642と、適宜の駆動機構を有し支持フレーム642をZ方向に上下動させる昇降機構644とを有している。転写ローラ641は回転駆動機構と接続されておらず、自由回転する。また、支持フレーム642には、転写ローラ641の表面に下方から当接して転写ローラ641の撓みを防止するバックアップローラ643が設けられている。
Y方向における転写ローラ641の長さは、下ステージ61の開口窓611の四辺のうちY方向に沿った辺の長さ、つまり開口窓611のY方向における開口寸法よりは短く、かつ、後述する上ステージに保持されたときの版PPまたは基板SBのY方向に沿った長さよりは長い。ブランケットBLのうちパターン形成領域として有効な有効領域の長さは当然に版PPまたは基板SBの長さ以下であるから、Y方向において転写ローラ641は有効領域よりも長い。
昇降機構644は、ベース部644aと、該ベース部644aから上方に延びて支持フレーム642のY方向における中央付近に連結された支持脚644bを有している。支持脚644bはモータまたはシリンダ等の適宜の駆動機構によりベース部644aに対して上下動可能となっている。ベース部644aは、X方向に延設されたガイドレール646に対して摺動自在に取り付けられており、さらに例えばモータおよびボールねじ機構などの適宜の駆動機構を備える移動機構647に連結されている。そして、X方向に延設されてベースフレーム21に固定された下部フレーム645の上面に、ガイドレール646が取り付けられている。移動機構647が作動することにより、転写ローラ641、支持フレーム642および昇降機構644が一体的にX方向に走行する。
詳しくは後述するが、このパターン形成装置1では、下ステージ61に保持されたブランケットBLに転写ローラ641を当接させてブランケットBLを部分的に押し上げることにより、上ステージに保持されてブランケットBLに近接対向配置された版PPまたは基板SBにブランケットBLを当接させる。
昇降機構644は、昇降ハンドユニット62,63の互いに向かい合うハンド625が作る隙間を通って走行する。また各ハンド625は、その上面625aが転写ローラユニット64の支持フレーム642の下面より下方まで(−Z)方向に後退可能となっている。したがってこの状態で昇降機構644が走行することで、転写ローラユニット64の支持フレーム642が各ハンド625の上面625aの上方を通過し、転写ローラユニット64とハンド625とが衝突することが回避される。
次に上ステージブロック4の構造について説明する。図1に示すように、上ステージブロック4は、X方向に延びる構造体である上ステージアセンブリ40と、上ステージ支持フレーム22,23からそれぞれ立設されて上ステージアセンブリ40のX方向両端部をそれぞれ支持する1対の支持柱45,46と、例えばモータおよびボールねじ機構などの適宜の駆動機構を備え上ステージアセンブリ40全体をZ方向に昇降移動させる昇降機構47とを備えている。
図6は上ステージアセンブリの構造を示す図である。上ステージアセンブリ40は、下面に版PPまたは基板SBを保持する上ステージ41と、上ステージ41の上部に設けられた補強フレーム42と、補強フレーム42に結合されてX方向に沿って水平に延びる梁状構造体43と、上ステージ41に装着される上部吸着ユニット44とを備えている。図6に示すように、上ステージアセンブリ40はその外形上の中心を含むXZ平面およびYZ平面に対してそれぞれ概ね対称な形状を有している。
上ステージ41は、保持すべき版PPまたは基板SBの平面サイズより少し小さい平板状部材であり、水平姿勢に保持されたその下面41aが版PPまたは基板SBを当接させて保持する保持平面となっている。保持平面は高い平面度が要求されるので、その材料としては石英ガラスまたはステンレス板が好適である。また保持平面には後述する上部吸着ユニット44の吸着パッドを装着するための貫通孔が設けられている。
補強フレーム42は、上ステージ41の上面にZ方向に延設された補強リブの組み合わせからなっており、図に示すように、上ステージ41の撓みを防止してその下面(保持平面)41aの平面度を維持するために、YZ平面と平行な補強リブ421と、XZ平面と平行な補強リブ422とがそれぞれ複数適宜組み合わされている。補強リブ421,422は例えば金属板により構成することができる。
また、梁状構造体43は、複数の金属板を組み合わせて形成されたX方向を長手方向とする構造体であり、その両端部が支持柱45,46に支持されて上下動可能となっている。具体的には、支持柱45,46にはZ方向に延びるガイドレール451,461がそれぞれ設けられる一方、これと対向する梁状構造体43の(+Y)側主面に図示しないスライダが取り付けられており、これらが摺動自在に係合されている。そして、図1に示すように、梁状構造体43と支持柱46とは昇降機構47によって連結されており、昇降機構47が作動することにより、梁状構造体43が水平姿勢を維持したまま鉛直方向(Z方向)に移動する。上ステージ41は補強フレーム42を介して梁状構造体43と一体的に結合されているので、昇降機構47の作動により、上ステージ41が保持平面41aを水平に保ったまま上下動する。
なお、補強フレーム42および梁状構造体43の構造は図示したものに限定されない。ここではYZ平面と平行な板状部材とXZ平面と平行な板状部材とを組み合わせて必要な強度を得ているが、これ以外の形状に板金やアングル部材等を適宜組み合わせてもよい。このような構造とするのは上ステージアセンブリ40を軽量に構成するためである。各部の撓みを低減させるために、上ステージ41の厚みを増したり梁状構造体43を中実体とすることも考えられるが、そのようにすると上ステージアセンブリ40全体の質量が大きくなってしまう。
装置の上部に配置される構造物の重量が大きくなることは、これを支持したり移動させたりするための機構にさらなる強度および耐久性が必要となり、装置全体も非常に大きく重くなってしまう。板材等の組み合わせにより必要な強度を得つつ、構造物全体の軽量化を図ることがより現実的である。
また、補強フレーム42により囲まれた上ステージ41の上部には、1対の上部吸着ユニット44が装着される。一方の上部吸着ユニット44が上方へ取り出された状態が図6上部に示されている。上部吸着ユニット44では、支持フレーム441から下方へ延びる複数のパイプ442の下端に例えばゴム製の吸着パッド443がそれぞれ装着されている。各パイプ442の上端側は図示しない配管および制御バルブを介して制御ユニット8の負圧供給部804に接続されている。支持フレーム441は、補強フレーム42を構成するリブ421,422と干渉しない形状とされる。
支持フレーム441は、1対のスライダ444とこれに係合する1対のガイドレール445を介して、ベースプレート446に対し鉛直方向に移動自在に支持されている。また、ベースプレート446と支持フレーム441とは、例えばモータおよびボールねじ機構などの適宜の駆動機構を有する昇降機構447により結合されている。昇降機構447の作動により、ベースプレート446に対して支持フレーム441が昇降し、これと一体的にパイプ442および吸着パッド443が昇降する。
ベースプレート446が梁状構造体43の側面に固定されることで、上部吸着ユニット44が上ステージ41と一体化される。この状態では、各パイプ442の下端および吸着パッド443は、上ステージ41に設けられた図示しない貫通孔に挿通されている。そして、昇降機構447の作動により、吸着パッド443は、その下面が上ステージ41の下面(保持平面)41aよりも下方まで吐出した吸着位置と、下面が上ステージ41の貫通孔の内部(上方)に退避した退避位置との間で昇降移動する。また吸着パッド443の下面が上ステージ41の保持平面41aとほぼ同一高さに位置決めされたとき、上ステージ41と吸着パッド443とが協働して、版PPまたは基板SBを保持平面41aに保持することができる。
図1に戻って、上記のように構成された上ステージアセンブリ40はベースプレート481上に設けられている。より詳しくは、支持柱45,46がそれぞれベースプレート481に立設されており、該支持柱45,46に対して上ステージアセンブリ40が昇降可能に取り付けられている。ベースプレート481は、上ステージ支持フレーム22,23に取り付けられ例えばクロスローラベアリング等の適宜の可動機構を備える上ステージブロック支持機構482により支持されている。
このため、上ステージアセンブリ40全体が、メインフレーム2に対して水平移動可能となっている。具体的には、ベースプレート481が上ステージブロック支持機構482の作動により水平面、すなわちXY平面内で水平移動する。支持柱45,46のそれぞれに対応して設けられた1対のベースプレート481は互いに独立して移動可能となっており、これらの移動に伴って、上ステージアセンブリ40はメインフレーム2に対してX方向、Y方向およびθ方向に所定の範囲で移動可能である。
上記のように構成されたパターン形成装置1の各部は、制御ユニット8により制御される。図2に示すように、制御ユニット8は、装置全体の動作を司るCPU801と、各部に設けられたモータを制御するモータ制御部802と、各部に設けられた制御バルブ類を制御するバルブ制御部803と、各部に供給する負圧を発生する負圧供給部804とを備えている。なお、外部から供給される負圧を利用可能である場合には制御ユニット8が負圧供給部を備えていなくてもよい。
モータ制御部802は、各機能ブロックに設けられたモータ群を制御することで、装置各部の位置決めや移動を司る。また、バルブ制御部803は、負圧供給部804から各機能ブロックに接続される負圧の配管経路上およびガス供給部806からハンド625に接続される配管経路上に設けられたバルブ群を制御することで、負圧供給による真空吸着の実行およびその解除と、ハンド上面625aからのガス吐出とを司る。
また、この制御ユニット8は、カメラにより撮像された画像に対し画像処理を施す画像処理部805を備えている。画像処理部805は、メインフレーム2に取り付けられた基板用プリアライメントカメラ241〜243およびブランケット用プリアライメントカメラ244〜246により撮像された画像に対して所定の画像処理を行うことで、基板SBおよびブランケットBLの概略位置を検出する。また、後述する精密アライメント用のアライメントカメラ27により撮像された画像に対して所定の画像処理を行うことで、基板SBとブランケットBLとの位置関係をより精密に検出する。CPU801は、これらの位置検出結果に基づいて上ステージブロック支持機構482およびアライメント支持機構605を制御し、上ステージ41に保持された版PPまたは基板SBと下ステージ61に保持されたブランケットBLとの位置合わせ(プリアライメント処理および精密アライメント処理)を行う。
次に、上記のように構成されたパターン形成装置1におけるパターン形成処理について説明する。このパターン形成処理では、上ステージ41に保持された版PPまたは基板SBと、下ステージ61に保持されたブランケットBLとが微小なギャップを隔てて近接対向配置される。そして、転写ローラ641がブランケットBLの下面に当接してブランケットBLを局所的に上方へ押し上げながらブランケットBL下面に沿って移動する。押し上げられたブランケットBLは版PPまたは基板SBとまず局所的に当接し、ローラ移動に伴って当接部分が次第に拡大して最終的には版PPまたは基板SBの全体と当接する。これにより、版PPからブランケットBLへのパターニング、またはブランケットBLから基板SBへのパターン転写が行われる。
図7はパターン形成処理を示すフローチャートである。また、図8ないし図15は処理の各段階における装置各部の位置関係を模式的に示す図である。以下、パターン形成処理における各部の動作を図8ないし図15を参照しつつ説明する。なお、処理の各段階における各部の関係をわかりやすく示すために、当該段階の処理に直接に関係しない構成またはそれに付すべき符号の図示を省略することがある。また、上ステージ41に保持される処理対象物が版PPであるときと基板SBであるときとの間では一部を除いて動作が同じであるため、図を共通として版PPと基板SBとを適宜読み替えることとする。
このパターン形成処理では、初期化されたパターン形成装置1に対して、まず形成すべきパターンに対応する版PPを搬入して上ステージ41にセットし(ステップS101)、次いで、パターン形成材料による一様な塗布層が形成されたブランケットBLを搬入して下ステージ61にセットする(ステップS102)。版PPはパターンに対応する有効面を下向きにして、またブランケットBLは塗布層を上向きにして搬入される。
図8は、版PPまたは基板SBが装置に搬入され上ステージ41にセットされるまでの過程を示している。図8(a)に示すように、初期状態では、上ステージ41が上方に退避して下ステージ61との間隔が大きくなっており、両ステージの間に広い処理空間SPが形成されている。また、各ハンド625は下ステージ61の上面よりも下方に退避している。転写ローラ641は下ステージ61の開口窓611に臨む位置のうち最も(−X)方向に寄った位置で、かつ鉛直方向(Z方向)には下ステージ61の上面よりも下方に退避した位置にある。負圧供給部804に接続される各制御バルブは閉じられている。
この状態で、装置の正面側から、つまり(−Y)方向から(+Y)方向に向かって、外部の版用ハンドHPに載置された版PPが、予めその厚みが計測された上で処理空間SPに搬入される。版用ハンドHPは、オペレータにより手動操作される操作治具であってもよく、また外部の搬送ロボットのハンドであってもよい。このときハンド625および転写ローラ641が下方に退避していることで、搬入作業を容易にすることができる。版PPが所定の位置に位置決めされると、矢印で示すように上ステージ41が降下してくる。
上ステージ41が版PPに近接した所定の位置まで降下すると、図8(b)に示すように、上ステージ41に設けられた吸着パッド443が上ステージ41の下面、つまり保持平面41aよりも下方までせり出してきて、版PPの上面に当接する。吸着パッド443につながる制御バルブが開かれることで、吸着パッド443により版PPの上面が吸着されて版PPが保持される。そして、吸着を継続したまま吸着パッド443を上昇させることで、版PPは版用ハンドHPから持ち上げられる。この時点で版用ハンドHPは装置外へ移動する。
最終的には、図8(c)に示すように、吸着パッド443の下面が保持平面41aと同一高さあるいはそれより僅かに高い位置まで上昇し、これにより版PPの上面が上ステージ41の保持平面41aに密着した状態で保持される。上ステージ41の下面に吸着溝もしくは吸着孔を設け、これらにより、吸着パッド443から受け渡される版PPを吸着保持する構成であってもよい。このようにして版PPの保持が完了する。同様の手順により、基板用ハンドHSにより基板SBを搬入することができる。
図9および図10は、版PPの搬入後、ブランケットBLが搬入されて下ステージ61に保持されるまでの過程を示している。上ステージ41による版PPの保持が完了すると、図9(a)に示すように、上ステージ41を上昇させて再び広い処理空間SPを形成するとともに、各ハンド625を下ステージ61の上面61aよりも上方まで上昇させる。このとき、各ハンド625の上面625aが全て同一高さとなるようにする。
この状態で、図9(b)に示すように、上面にパターニング形成材料による塗布層PTが形成されたブランケットBLが外部のブランケット用ハンドHBに載置されて処理空間SPに搬入されるのを受け付ける。ブランケットBLは搬入に先立ってその厚みが計測される。ブランケット用ハンドHBは、ハンド625と干渉することなくそれらの隙間を通って進入することができるように、Y方向に延びるフィンガーを有するフォーク型のものであることが望ましい。
ブランケット用ハンドHBが進入後降下する、またはハンド625が上昇することによって、ハンド625の上面625aはブランケットBLの下面に当接し、図9(c)に示すように、それ以降ブランケットBLはハンド625により支持される。ハンド625に設けた吸着孔625b(図4)に負圧を供給することで、支持をより確実なものとすることができる。こうしてブランケットBLはブランケット用ハンドHBからハンド625に受け渡され、ブランケット用ハンドHBについては装置外へ排出することができる。
その後、図10(a)に示すように、各ハンド625の上面625aの高さを揃えたままハンド625を降下させ、最終的にはハンド上面625aを下ステージ61の上面61aと同じ高さとする。これにより、ブランケットBL四辺の周縁部が下ステージ61の上面61aに当接する。
このとき、図10(b)に示すように、下ステージ上面61aに設けた真空吸着溝612に負圧を供給して、ブランケットBLを吸着保持する。これに伴い、ハンド625での吸着は解除する。これにより、ブランケットBLは、その四辺の周縁部を下ステージ61により吸着保持された状態となる。図10(b)では、ハンド625による吸着保持を解除したことを明示するためにブランケットBLとハンド625とが離間しているが、実際にはブランケットBLの下面がハンド上面625aに当接した状態が維持される。
仮にこの状態でハンド625を離間させたとすると、ブランケットBLは自重によって中央部が下方へ撓み、全体として下に凸の形状になると考えられる。ハンド625を下ステージ上面61aと同じ高さに維持することによって、このような撓みを抑えてブランケットBLを平面状態に維持することができる。こうして、ブランケットBLはその周縁部が下ステージ61により吸着保持されつつ、中央部についてはハンド625により補助的に支持された状態となって、ブランケットBLの保持が完了する。
版PPとブランケットBLとの搬入順序は上記と逆であっても構わない。ただし、ブランケットBLを搬入した後に版PPを搬入する場合、版PPの搬入時にブランケットBL上に異物が落下してパターン形成材料による塗布層PTを汚染したり欠陥を発生させるおそれがある。上記のように版PPを上ステージ41にセットした後に下ステージ61にブランケットBLをセットすることで、そのような問題を未然に回避することが可能である。
図7に戻って、こうして上下ステージに版PPおよびブランケットBLがそれぞれセットされると、続いて版PPおよびブランケットBLのプリアライメント処理が行われる(ステップS103)。さらに、両者が予め設定されたギャップを隔てて対向するように、ギャップ調整が行われる(ステップS104)。
図11はギャップ調整処理およびアライメント処理の過程を示す図である。このうち図11(c)に示す精密アライメント処理は後述する転写処理のみにおいて必要な処理であるので、これについては後の転写処理の説明において述べる。上記のように版PP、基板SBまたはブランケットBLが外部から搬入されるが、その受け渡しの際に位置ずれが起こり得る。プリアライメント処理は、上ステージ41に保持された版PPまたは基板SBと、下ステージ61に保持されたブランケットBLとのそれぞれを、以後の処理に適した位置に概略位置決めするための処理である。
図11(a)はプリアライメントを実行するための構成の配置を模式的に示す側面図である。前述したように、この実施形態では、装置上部に全部で6基のプリアライメントカメラ241〜246が設けられている。このうち3基のカメラ241〜243は、上ステージ41に保持された版PP(または基板SB)の外縁を検出するための基板用プリアライメントカメラである。また、他の3基のカメラ244〜246は、ブランケットBLの外縁を検出するためのブランケット用プリアライメントカメラである。なお、ここではプリアライメントカメラ241〜243を便宜的に「基板用プリアライメントカメラ」と称しているが、これらは版PPの位置合わせおよび基板SBの位置合わせのいずれにも使用可能なものであり、またその処理内容も同じである。
図1および図11(a)に示すように、基板用プリアライメントカメラ241,242はX方向には略同位置でY方向に互いに位置を異ならせて設置されており、版PPまたは基板SBの(−X)側外縁部を上方からそれぞれ撮像する。上ステージ41は基板SBより少し小さい平面サイズに形成されているため、上ステージ41の端部よりも外側まで延びた版PP(または基板SB)の(−X)側外縁部を上方から撮像することができる。また、図には現れないが、図11(a)紙面の手前側にはもう1基の基板用プリアライメントカメラ243が設けられており、該カメラ243は版PP(または基板SB)の(−Y)側外縁部を上方から撮像する。
一方、ブランケット用プリアライメントカメラ244,246はX方向には略同位置でY方向に互いに位置を異ならせて設置されており、下ステージ61に載置されるブランケットBLの(+X)側外縁部を上方からそれぞれ撮像する。また、図11(a)紙面の手前側にもう1基のブランケット用プリアライメントカメラ245が設けられており、該カメラ245はブランケットBLの(−Y)側外縁部を上方から撮像する。
これらのプリアライメントカメラ241〜246による撮像結果から版PP(または基板SB)およびブランケットBLの位置がそれぞれ把握される。そして、必要に応じて上ステージブロック支持機構482およびアライメントステージ支持機構605が作動することにより、版PP(または基板SB)およびブランケットBLがそれぞれ予め設定された目標位置に位置決めされる。
なお、下ステージ61とともにブランケットBLを水平移動させるとき、図11(a)に示すように、各ハンド625の上面625aとブランケットBLの下面とは僅かに離間させておくことが好ましい。この目的のために、ガス供給部806から供給されるガスをハンド625の吸着孔625bから吐出させておくことができる。これは後述する精密アライメント処理においても同様である。
また、薄型あるいは大型で撓みが生じやすい基板SBについては、取り扱いを容易にするために例えば背面に板状の支持部材を当接させた状態で基板SBが処理に供する場合がある。このような場合、たとえ支持部材が基板SBよりも大型のものであっても、例えば支持部材を透明材料で構成したり、支持部材に部分的に透明な窓または貫通孔を設けるなど、基板SBの外縁部の位置を検出容易な構成としておけば、上記と同様のプリアライメント処理が可能である。
次いで、図11(b)に示すように、ブランケットBLを保持する下ステージ61に対して、版PPを保持する上ステージ41を降下させて、版PPとブランケットBLとの間隔Gを予め定められた設定値に合わせる。このとき、事前に計測された版PPおよびブランケットBLの厚みが考慮される。すなわち、版PPおよびブランケットBLの厚みを加味した上で両者のギャップが所定値になるように、上ステージ41と下ステージ61との間隔が調整される。ここでのギャップ値Gとしては、例えば300μm程度とすることができる。
版PPおよびブランケットBLの厚みについては、製造上の寸法ばらつきによる個体差があるほか、同一部品であっても例えば膨潤による厚みの変化が考えられるので、使用の都度計測されることが望ましい。また、ギャップGについては、版PPの下面とブランケットBLの上面との間で定義されてもよく、また版PPの下面と、ブランケットBLに担持されたパターン形成材料の塗布層PTの上面との間で定義されてもよい。塗布層PTの厚みが塗布段階で厳密に管理されている限り、技術的には等価である。
図7に戻って、こうして版PPとブランケットBLとがギャップGを隔てて対向配置されると、続いて転写ローラ641をブランケットBLの下面に当接させつつX方向に走行させることで、版PPとブランケットBLとを当接させる。これによりブランケットBL上のパターン形成材料の塗布層PTを版PPによりパターニングする(パターニング処理;ステップS105)。
図12はパターニング処理の過程を示している。具体的には、図12(a)に示すように、転写ローラ641をブランケットBLの直下位置まで上昇させるとともに、X方向には転写ローラ641の中心線が版PPの端部と略同じ位置、またはこれよりも(−X)方向に僅かに外れた位置に、転写ローラ641を配置する。この状態で、図12(b)に示すように、転写ローラ641をさらに上昇させてブランケットBLの下面に当接させ、該当接された位置のブランケットBLを局所的に上方に押し上げる。これにより、ブランケットBL(より厳密にはブランケットBLに担持されたパターン形成材料の塗布層PT)が所定の押圧力で版PPの下面に押圧される。転写ローラ641はY方向において版PP(および有効領域)より長いので、版PPの下面のうちY方向における一方端から他方端に至るY方向に沿った細長い領域がブランケットBLと当接する。
こうして転写ローラ641がブランケットBLを押圧した状態のまま昇降機構644が(+X)方向に向けて走行することで、ブランケットBLの押し上げ位置を(+X)方向に移動させる。このときハンド625が転写ローラ641と接触するのを防止するため、図12(c)に示すように、転写ローラ641とのX方向距離が所定値以下となったハンド625については少なくとも当該ハンド625の上面625aが支持フレーム642の下面より低い位置となるまで下方に退避させる。
ハンド625による吸着は既に解除されているので、ハンド625の降下とともにブランケットBLが下方へ引き下げられることはない。また、降下を開始するタイミングを転写ローラ641の走行に同期して適宜に管理することで、ハンド625による支持を失ったブランケットBLが自重で下方へ垂れ下がることも防止することが可能である。
図13は転写ローラ641の走行過程を示している。いったん当接した版PPとブランケットBLとはパターン形成材料の塗布層PTを介して密着した状態が維持されるので、図13(a)に示すように、転写ローラ641の走行に伴って版PPとブランケットBLとが密着した領域が次第に(+X)方向に拡大してゆく。この際、同図に示すように、転写ローラ641が接近するにつれてハンド625を順次降下させる。
こうして最終的には、図13(b)に示すように、全てのハンド625が降下し、転写ローラ641が下ステージ61下方の(+X)側端部近傍まで到達する。この時点で転写ローラ641は版PPの(+X)側端部の略直下またはこれより僅かに(+X)側の位置に到達しており、版PPの下面全てがブランケットBL上の塗布層PTに当接される。
転写ローラ641が一定の高さを維持して走行する間、ブランケットBL下面のうち転写ローラ641により押圧される領域の面積は一定である。したがって、昇降機構644が一定の荷重を与えながら転写ローラ641をブランケットBLに押し付けることによって、版PPとブランケットBLとは間にパターン形成材料の塗布層PTを挟みながら一定の押圧力で互いに押圧されることになる。これにより、版PPからブランケットBLへのパターニングを良好に行うことができる。
なお、パターニングに際しては、版PPの表面領域の全体が有効に利用できることが理想的であるが、版PPの周縁部には傷や搬送時のハンドとの接触等により有効利用できない領域が不可避的に生じる。図13(b)に示すように、版PPの端部領域を除外した中央部分を版として有効に機能する有効領域ARとしたとき、少なくとも有効領域AR内では転写ローラ641の押圧力および走行速度が一定であることが望ましい。このためには、転写ローラ641のY方向長さが同方向における有効領域ARの長さよりも長い必要がある。またX方向においては、(−X)方向における有効領域ARの端部よりも(−X)側位置から転写ローラ641の走行を開始し、少なくとも(+X)方向における有効領域ARの端部に到達するまでは一定速度を維持することが望ましい。版PPの有効領域ARと対向するブランケットBLの表面領域が、ブランケットBL側の有効領域となる。
図14は版または基板とブランケットとの位置関係を示している。より具体的には、この図は版PPまたは基板SBがブランケットBLに当接するときの位置関係を上方から見た平面図である。図に示すように、ブランケットBLは版PPまたは基板SBよりも大きな平面サイズを有している。ブランケットBLのうち図においてドットを付した周縁部に近い領域R1は、下ステージ61に保持されるときに下ステージ上面61aに当接する領域である。これより内側の領域については下面が開放された状態で、ブランケットBLは下ステージ61に保持される。
版PPと基板SBとはほぼ同じサイズであり、これらは下ステージ61の開口窓サイズよりも小さい。また、実際のパターン形成に有効に使用される有効領域ARは、版PPまたは基板SBのサイズよりも小さい。したがって、ブランケットBLのうち有効領域ARに対応する領域は下面が開放されて下ステージ61の開口窓611に臨んだ状態である。
ハッチングを付した領域R2は、ブランケットBL下面のうち転写ローラ641によって同時に押圧を受ける領域(押圧領域)を示している。押圧領域R2は、ローラ延設方向、つまりY方向に延びる細長い領域であり、そのY方向における両端部は版PPまたは基板SBの端部よりも外側までそれぞれ延びている。したがって、ブランケットBL下面と平行な状態で転写ローラ641がブランケットBLを押圧するとき、その押圧力は、Y方向における有効領域ARの一方端部から他方端部までの間でY方向に一様である。
こうしてY方向に一様な押圧力を有効領域ARに与えながら転写ローラ641がX方向に移動することで、有効領域AR内の全体で、版PPまたは基板SBとブランケットBLとが一様な押圧力で互いに押圧されることになる。これにより、不均一な押圧に起因するパターン損傷を防止して良質なパターンを形成することが可能となる。
こうして転写ローラ641が(+X)側端部まで到達すると、転写ローラ641の走行を停止するとともに、図13(c)に示すように転写ローラ641を下方へ退避させる。これにより、転写ローラ641はブランケットBL下面から離間してパターニング処理が終了する。
図7に戻って、こうしてパターニング処理が終了すると版PPおよびブランケットBLの搬出が行われる(ステップS106)。図15は版およびブランケットの搬出の過程を示している。まず、図15(a)に示すように、パターニング処理時に降下していた各ハンド625を再び上昇させて、上面625aが下ステージ61の上面61aと同一高さとなる位置に位置決めする。この状態で、上ステージ41の吸着パッド443による版PPの吸着(吸着溝または吸着孔による吸着保持の場合は、それらによる吸着)を解除する。これにより上ステージ41による版PPの保持が解除され、版PPとブランケットBLとがパターン形成材料の塗布層PTを介して一体化された積層体が下ステージ61上に残される。積層体の中央部についてはハンド625により支持される。
続いて、図15(b)に示すように、上ステージ41を上昇させて広い処理空間SPを形成し、下ステージ61の溝612による吸着を解除するとともに、ハンド625をさらに上昇させて下ステージ61よりも上方へ移動させる。このときハンド625により積層体を吸着保持することが好ましい。
こうすることで外部からのアクセスが可能となる。そこで、図15(c)に示すように、ブランケット用ハンドHBを外部から受け入れて、搬入時とは逆の動作をすることで、版PPを密着させた状態のブランケットBLが外部へ搬出される。こうして密着した版PPをブランケットBLから適宜の剥離手段によって剥離すれば、ブランケットBL上に所定のパターンが形成される。
次に、ブランケットBLに形成されたパターンをその最終的な目的物である基板SBに転写する場合について説明する。その工程は基本的にパターニング処理の場合と同じである。すなわち、図7に示すように、まず基板SBを上ステージ41にセットし(ステップS107)、次いでパターン形成済みのブランケットBLを下ステージ61にセットする(ステップS108)。そして、基板SBとブランケットBLとのプリアライメント処理およびギャップ調整を行った後(ステップS109、S110)、ブランケットBL下部で転写ローラ641を走行させることで、ブランケットBL上のパターンを基板SBに転写する(転写処理;ステップS112)。転写終了後は、一体化されたブランケットBLと基板SBとを搬出して処理は終了する(ステップS113)。これら一連の動作も、図8ないし図15に示したものと同じである。なお、これらの図において版PPを基板SBと読み替えるとき、符号PTはパターニング処理後のパターンを意味するものとする。
ただし、転写処理においては、基板SBの所定位置にパターンを適正に転写するために、基板SBとブランケットBLとを当接させる前に両者のより精密な位置合わせ(精密アライメント処理)を実行する(ステップS111)。図11(c)がその過程を示している。
図1では記載を省略したが、このパターン形成装置1には、ベースフレーム21から(+Z)方向に立設された支持柱に支持された精密アライメントカメラ27が設けられている。精密アライメントカメラ27は、下ステージ61の開口窓611を通して基板SBの四隅をそれぞれ撮像するように、その光軸を鉛直上向きにして計4基設けられている。
基板SBの四隅には予め位置基準となるアライメントマーク(基板側アライメントマーク)が形成される一方、ブランケットBLのこれと対応する位置には、版PPによりパターニングされるパターンの一部としてブランケット側アライメントマークが形成されている。これらを精密アライメントカメラ27の同一視野で撮像し、それらの位置関係を検出することで両者の位置ずれ量を求め、これを補正するようなブランケットBLの移動量を求める。アライメントステージ支持機構605により、求められた移動量だけアライメントステージ601を移動させることで、下ステージ61が水平面内で移動し、基板SBとブランケットBLとの位置ずれが補正される。
基板SBとブランケットBLとを微小なギャップGを隔てて対向させた状態で、かつそれぞれに形成されたアライメントマークを同一カメラで撮像することで、基板SBとブランケットBLとの高精度な位置合わせを行うことができる。この意味において、上記アライメント処理は、基板SBおよびブランケットBLを個別に撮像して位置調整を行う場合に比べてより高精度な精密アライメント処理ということができる。その状態から両者を当接させることで、この実施形態では、基板SBの所定位置に高精度に位置合わせされたパターンを形成することが可能である。そして、基板SBおよびブランケットBLのプリアライメント処理を予め行っておくことにより、基板SBおよびブランケットBLにそれぞれ形成されたアライメントマークを精密アライメントカメラ27の視野内に位置決めすることができる。
なお、版PPによるブランケットBLへのパターン形成の際には、必ずしもそのように精密なアライメント処理を要しない。というのは、ブランケット側アライメントマークがパターンと一緒に予め版PPに作り込まれることで、ブランケットBL上に形成されるパターンとブランケット側アライメントマークとの間での位置ずれが生じることはなく、ブランケット側アライメントマークと基板側アライメントマークとで精密アライメントがなされる限り、版PPとブランケットBLとの多少の位置ずれはパターン形成に影響しないからである。この点から、パターニング処理においてはプリアライメント処理のみが実行される。
アライメント処理についてより詳しく説明する。上記したように、この実施形態では、基板SBとブランケットBLとを微小なギャップG(例えば、G=300μm)を隔てて対向させた状態で、両者間のアライメント調整、つまり相対的な位置合わせを行うことが可能である。このため、基板SBとブランケットBLとを極めて高い位置精度(例えば、±3μm程度)で位置合わせすることが可能である。
図16はアライメント処理の原理を説明するための図である。図16(a)に示すように、上ステージ41に保持された基板SBの下面、すなわちパターンの被転写面の四隅に近い位置には、位置基準となる適宜の形状のアライメントマーク(基板側アライメントマーク)AM1が予め形成されている。一方、下ステージ61に保持されたブランケットBLの上面、すなわちパターン担持面には、パターン形成材料により適宜の形状のアライメントマーク(ブランケット側アライメントマーク)AM2が形成されている。より詳しくは、予め版PPに、形成すべきパターンとともにアライメントマークAM2が作り込まれており、ブランケットBL上のパターン形成材料による塗布層PTを版PPによりパターニングした際に、パターンとともにアライメントマークAM2がブランケットBL上に形成される。
したがって、パターニング後のブランケットBL上では、基板SBに転写すべきパターンとアライメントマークAM2とが形成され、それらの間の位置関係は固定されている。そのため、基板側アライメントマークAM1とブランケット側アライメントマークAM2との位置合わせを行うことで、間接的に基板SBとこれに転写すべきパターンとの相対位置が正しく規定されることになる。
具体的には、図16(a)に示すように、下ステージ61の開口部611の内側でブランケットBLの下方に配置したアライメントカメラ27により、ブランケットBLの上面に形成されたブランケット側アライメントマークAM2と、基板SBの下面に形成された基板側アライメントマークAM1とをブランケットBLを介して撮像する。ブランケットBLは例えば石英ガラスを主材料とするものであり光透過性を有する。このとき、図16(b)に示すように、同一の視野FV内に両アライメントマークAM1,AM2が含まれるようにする。
撮像された画像は制御ユニット8の画像処理部805で画像処理されて、両アライメントマークAM1,AM2の相対位置が検出される。図16(b)に示すように、両アライメントマークAM1,AM2の形状を互いに異なるものとしておくことでそれらの識別が容易となる。また両アライメントマークAM1,AM2を同一視野FVに収めた画像内で位置検出を行うことで、両アライメントマークAM1,AM2間の相対位置を高精度に求めることが可能となる。基板SBの四隅にそれぞれ設けられたアライメントマークについてこのような撮像および位置検出が行われることにより、基板SBとブランケットBLとの間の位置ずれ量が求められる。なお、原理的には基板SBおよびブランケットBLそれぞれ1箇所ずつのアライメントマークを用いて位置合わせは可能であるが、少なくともそれぞれ2箇所以上にアライメントマークを形成しそれを撮像して位置合わせを行うことで、より高精度な位置合わせが可能となる。
求められた位置ずれ量をキャンセルするように、アライメントステージ支持機構605がアライメントステージ601(図3)を水平面内で移動させる。これにより、下ステージ61がXYθ方向に必要量だけ水平移動し、基板SBとブランケットBL(より正確にはブランケットBL上のパターン)との精密な位置合わせが実現される。
このような精密アライメントを高精度に行うためにはアライメントマークの位置検出における分解能を高くする必要があり、そのためには比較的高倍率での撮像を行う必要がある。高倍率の撮像では視野FVが狭くなるので、基板側アライメントマークAM1とブランケット側アライメントマークAM2とを同一視野内に収めるためには、精密アライメントに先立って基板SBとブランケットBLとの相対位置をある程度(例えば数十μm程度の位置精度で)合わせておく必要が生じる。
しかしながら、装置外部からの基板SBおよびブランケットBLの受け渡し時点でそのような位置精度を実現することは容易ではなく、たとえ図3に示したようにストッパ部材613を設けて位置規制したとしても、例えば各部材の寸法ばらつきに起因して、必要な位置精度には達しないことがある。特に基板SBやブランケットBLが大型になるとこれらが撓みやすくなり寸法ばらつきも大きくなる一方で重量が増加するため、機械的な突き当てによる位置規制には精度の面で限界がある。
このような比較的粗い位置合わせに使用する目的でアライメントカメラ27の倍率および視野FVを可変とすることは、精密アライメント用の撮像時の撮像位置精度を却って低下させる原因となり得るため好ましくない。というのは、倍率可変とすることで、光学系の光軸ずれ、高倍率時の光量不足および画像歪み等が生じやすくなるからである。そこでこの実施形態では、精密アライメントに先立ってプリアライメントを実行することで、両アライメントマークAM1,AM2がアライメントカメラ27の同一視野に収まる程度まで基板SBとブランケットBLとの相対位置を合わせている。アライメントカメラ27の撮像光学系については、倍率および視野FVが一定とされる。
図17および図18はこの実施形態におけるプリアライメントの原理を説明するための図である。より詳しくは、図17はプリアライメントカメラによるブランケットBLの撮像範囲を示す図であり、図18はプリアライメントカメラにより撮像された画像に基づく位置合わせの原理を説明する図である。
前述したように、この実施形態では、装置上部に全部で6基のプリアライメントカメラ241〜246が設けられている。このうち3基のカメラ241〜243は、基板SBの外縁を検出するための基板用プリアライメントカメラである。また、他の3基のカメラ244〜246は、ブランケットBLの外縁を検出するためのブランケット用プリアライメントカメラである。これらのカメラは精密アライメント用のアライメントカメラ27よりも低倍率のものであってよく、こうすることで広い視野を確保することができる。また分解能についてもより低いものであってよく、これにより装置コストの上昇を抑えることができる。
基板用プリアライメントカメラ241〜243による基板SBの位置検出およびそれに基づく位置合わせと、ブランケット用プリアライメントカメラ244〜246によるブランケットBLの位置検出およびそれに基づく位置合わせとは原理的には同じである。以下では、ブランケット用プリアライメントカメラ244〜246の撮像結果に基づくブランケットBLの位置合わせを例に取ってその原理を説明する。
図17に示すように、ブランケット用プリアライメントカメラ244〜246は、ブランケットBLの四辺のうち(+X)側の外縁の2箇所と、(+Y)側の外縁の1箇所とをそれぞれ撮像する。図において、領域IR1、IR2およびIR3はそれぞれ、カメラ246、244および245による撮像範囲を示している。ブランケットBLの角部に近い外縁をそれぞれ撮像することで、位置合わせ精度を高めることが可能である。
ブランケットBLの外縁をなす四辺のうち、互いに平行でない2つの辺の一部をそれぞれ撮像することで、X方向およびY方向の2次元におけるブランケットBLの位置ずれ量を独立に求めることが可能である。また、同一辺または互いに平行な辺において2箇所以上を撮像することにより、θ方向におけるブランケットBLの傾き量を求めることができる。
図18(a)においては撮像範囲IR1,IR2のX方向位置が僅かに異なっている。これは部品の寸法精度等に起因して各カメラの取り付け位置ずれが生じる可能性があることを想定したものであり、このようなカメラ間の若干の位置ずれを含んだ状態でもブランケットの位置合わせが可能であることを示すために、このような図示としている。
撮像結果に基づく位置合わせの原理について、図18を参照して説明する。まず、位置ずれのない設計上の理想位置(目標位置)にあるブランケットBLiを仮定し、図18(a)に示すように、このようなブランケットBLiを各カメラ244〜246で撮像した場合のブランケット端部の位置を基準値として登録しておく。具体的には、カメラ246による撮像範囲IR1の端からブランケットBLiの(+X)側端部までのX方向距離X10と、カメラ244による撮像範囲IR2における該撮像範囲IR2の端からブランケットBLiの(+X)側端部までのX方向距離X20と、カメラ245による撮像範囲IR3の端からブランケットBLiの(+Y)側端部までのY方向距離Y30とを基準値として登録しておく。基準値の登録は、各カメラの位置が変更されない限り更新する必要はない。
次に、実際にブランケットBLが搬入された状態でブランケット用プリアライメントカメラ244〜246によりブランケットBLの端部をそれぞれ撮像する。図18(b)はその一例を示しており、一般的にはこのように理想位置からずれた状態でブランケットBLが下ステージ61に載置される。このときの、カメラ246による撮像範囲IR1の端からブランケットBLの(+X)側端部までのX方向距離X11と、カメラ244による撮像範囲IR2における該撮像範囲IR2の端からブランケットBLの(+X)側端部までのX方向距離X21と、カメラ245による撮像範囲IR3の端からブランケットBLの(+Y)側端部までのY方向距離Y31とを求めておく。
ブランケットBLに位置ずれがなければ、これらの値X11,X21,Y31はそれぞれ基準値X10,X20,Y30と一致するが、一般的には異なる値となる。その値の基準値からの差が、ブランケットBLのずれ量の大きさを表す。すなわち、値Y31と値Y30との差はブランケットBLのY方向における位置ずれ量に対応する。また値X11と値X10との差、および値X21と値X20との差はいずれもブランケットBLのX方向における位置ずれ量に対応する。さらに、値(X20−X10)と値(X21−X11)との差は、Z軸周り、すなわちθ方向におけるブランケットBLの位置ずれ量(傾き)に対応する。このように理想状態におけるブランケット外縁位置を基準値として登録しておきそこからの相対的な位置ずれ量を求めることで、各カメラの絶対的な位置については精度が必要とされない。すなわち、カメラの取り付け位置が厳しく管理される必要はなく、搬入の都度位置がばらつくブランケットBLの外縁を安定的に視野に収めることができる程度の位置精度があればよい。
これらの値から、ブランケットBLの理想位置からの位置ずれ量がX方向、Y方向およびθ方向のそれぞれで求められ、この位置ずれを解消するようなブランケットBLの水平移動量を求めてブランケットBLを移動させることで、ブランケットBLの位置合わせを行うことができる。ブランケットBLが理想位置に位置決めされるまで、位置検出および移動を繰り返し行ってもよい。上ステージ41に保持される基板SBまたは版PPについても、同様にして位置決めを行うことができる。
プリアライメントカメラにより撮像される低倍率の画像に基づく位置合わせでは最終的に必要な位置精度を得ることはできないとしても、少なくとも基板側、ブランケット側両アライメントマークをアライメントカメラ27の同一視野FV内に収める程度の位置合わせは上記方法により十分実現可能である。言い換えれば、少なくとも基板側、ブランケット側両アライメントマークをアライメントカメラ27の同一視野FV内に収まるようにブランケットBLおよび基板SBの理想位置(目標位置)が予め設定された上で、上記したプリアライメント処理が行われる。
なお、プリアライメントカメラの撮像結果に基づく基板SBまたはブランケットBLの移動については、版PP(または基板SB)およびブランケットBLの搬入後で精密アライメントよりも前であれば任意のタイミングで実行することが可能である。この実施形態では、版PP(または基板SB)とブランケットBLとが搬入された後、ギャップ調整が行われる前にプリアライメント処理が実行される。これは、基板用プリアライメントカメラ241〜243により版PPまたは基板SBの端部を検出する際に、背後の近接位置にブランケットBLが存在することで外乱となることを防止するためである。一方、版PP(または基板SB)とブランケットBLとの間のギャップ調整を実行した後にプリアライメント処理を行うと、ギャップを変化させる際に生じ得る水平方向の位置ずれをより確実に防止することが可能である。
プリアライメントのための基板SBの移動については、上ステージブロック支持機構482が上ステージアセンブリ40を移動させて、基板SBを保持する上ステージ41を水平移動させることにより行う。一方、ブランケットBLの移動については、アライメントステージ支持機構605がアライメントステージ601を移動させて、ブランケットBLを保持する下ステージ61を水平移動させることにより行う。このとき、図11(a)に示したように、各ハンド625の上面625aがブランケットBLの下面から離間していることが好ましい。この実施形態では昇降ハンドユニット62,63がベースフレーム21に固定されており、アライメントステージ支持機構605の作動によりアライメントステージ601が水平移動する際、各ハンド625はこれと連動しないからである。
ただし、この目的のために各ハンド625を下降させると、ブランケットBLもこれに伴って下方へ撓んでしまうことがある。各ハンド625の鉛直方向位置を維持したままハンド上面625aの吸着孔625bから気体を吐出させるようにすれば、ブランケットBLの水平姿勢を維持しつつ、ブランケットBLとハンド上面625aとの間に微小な隙間を作ることができる。これにより、ブランケットBLの移動時にハンド625と摺擦することが回避される。ブランケットBLを下ステージ61に吸着保持した状態を維持することで、下ステージ61に対するブランケットBLの変位は防止される。図11(c)に示したように、精密アライメントにおけるブランケットBLの移動時にも同様にすることができる。
基板SBまたはブランケットBLを単体で移動させるのではなく、これらを上ステージ41または下ステージ61に保持した状態でステージとともに移動させることにより、これらの姿勢を維持したまま移動させることができ、撓みによる位置合わせ精度の低下を防止することが可能である。
以上説明したように、この実施形態では、ブランケットBLが本発明の「担持体」に相当し、基板SBが本発明の「被転写体」に相当している。そして、下ステージ61が本発明の「第1保持手段」として機能する一方、アライメントステージ支持機構605が本発明の「第1移動手段」として機能している。また、上ステージ41が本発明の「第2保持手段」として機能する一方、上ステージブロック支持機構482が本発明の「第2移動手段」として機能している。
また、この実施形態では、制御ユニット8と、プリアライメントカメラ241〜246と、上ステージブロック4および下ステージブロック6に設けられたモータ群とが一体として本発明の「予備アライメント手段」として機能する一方、制御ユニット8と、アライメントカメラ27と、下ステージブロック6に設けられたモータ群とが一体として本発明の「精密アライメント手段」として機能している。これらのうちプリアライメントカメラ241〜246、アライメントカメラ27がそれぞれ本発明の「予備アライメント用撮像部」、「精密アライメント用撮像部」として機能している。また、転写ローラユニット64が本発明の「押し上げ手段」として機能している。
また、上記実施形態では、図18(a)に示す理想的なブランケットBLiの位置が本発明の「第1目標位置」に相当している。図示していないが、同じ考えを基板SBに適用したときの理想的な基板の位置が、本発明の「第2目標位置」に相当する。
また、上記実施形態では、図7のステップステップS107〜S108が本発明の「配置工程」に相当しており、ステップS109が本発明の「予備アライメント工程」に相当している。また、ステップS111が本発明の「精密アライメント工程」に相当している。また、ステップS112が本発明の「転写工程」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では基板用プリアライメントカメラおよびブランケット用プリアライメントカメラをそれぞれ3基ずつ設けているが、これに限定されるものではなく、少なくともそれぞれ2基以上あればよい。また、同一のカメラが基板用プリアライメントカメラおよびブランケット用プリアライメントカメラとしての機能を兼ねてもよい。
また上記実施形態では、基板用およびブランケット用プリアライメントカメラがそれぞれ基板およびブランケットの角部に近い外縁を撮像しているが、撮像位置はこれに限定されない。例えば、互いに対向する2辺のそれぞれを撮像したり、互いに対角の関係にある2つの角部をそれぞれ撮像することで、基板あるいはブランケットの位置ずれ量を求めるようにしてもよい。また画像に現れる外縁の傾きからブランケットの傾き量を求めることも可能である。
また、上記実施形態では、ブランケットBL上にパターンとともにパターニングされた第1アライメントマークAM1を用いて精密アライメント処理を行っているが、予めブランケットBLに予め固定的に形成されたアライメントマークを用いてもよい。ただしこの場合、基板SBの適正位置にパターン形成を行うためには、版PPからブランケットBLへのパターニングの際にも精密アライメントが必要となる。
また上記実施形態の精密アライメント処理では、下ステージ61を水平移動させることでブランケットBLを基板SBに対して移動させて位置合わせを行っているが、上ステージ41とともに基板SBを移動させても技術的には等価である。
また、上記実施形態は、内部が開口する額縁状に形成された下ステージ61によりブランケットBLの周縁部を保持する構成を有するものであるが、本発明の思想に基づくアライメント技術は、これに限定されず、例えば平板状のステージにブランケットを載置する構成を有するパターン形成装置に対しても適用可能である。