JP2014162962A - 室温時効後の特性に優れたアルミニウム合金板 - Google Patents

室温時効後の特性に優れたアルミニウム合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】室温時効後の特性として、優れたヘム加工性やBH性を兼備する6000系アルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】Mg、Siが特定の組成である6000系アルミニウム合金板に微量のSnを含有させて、この板に特定の熱処理を施した際の組織を基準として制御し、長時間の室温時効硬化後であっても、この室温時効後の特性として、ヘム加工性を向上させ、かつ、成形された自動車パネルの焼付け塗装による硬化量(BH性)を高くする。
【選択図】なし

Description

本発明はAl−Mg−Si系アルミニウム合金板に関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、熱間圧延板や冷間圧延板などの圧延板であって、溶体化処理および焼入れ処理などの調質が施された後で、プレス成形や焼付け塗装硬化処理などの人工時効硬化処理前のアルミニウム合金板を言う。また、以下の記載では、アルミニウムをAlとも言う。
近年、地球環境などへの配慮から、自動車等の車両の軽量化の社会的要求はますます高まってきている。かかる要求に答えるべく、自動車パネル、特にフード、ドア、ルーフなどの大型ボディパネル(アウタパネル、インナパネル)の材料として、鋼板等の鉄鋼材料にかえて、成形性や焼付け塗装硬化性に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル(内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度アルミニウム合金板として、Al−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系とも言う) アルミニウム合金板の使用が検討されている。
この6000系アルミニウム合金板は、Si、Mgを必須として含み、特に過剰Si型の6000系アルミニウム合金は、これらSi/Mgが質量比で1以上である組成を有し、優れた時効硬化能を有している。このため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、人工時効(硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、パネルとしての必要な強度を確保できる焼付け塗装硬化性(以下、ベークハード性=BH性、焼付硬化性とも言う) がある。
一方、自動車のアウタパネルは、周知の通り、アルミニウム合金板に対し、プレス成形における張出成形時や曲げ成形などの成形加工が複合して行われて製作される。例えば、フードやドアなどの大型のアウタパネルでは、張出などのプレス成形によって、アウタパネルとしての成形品形状となされ、次いで、このアウタパネル周縁部のフラットヘムなどのヘム (ヘミング) 加工によって、インナパネルとの接合が行われ、パネル構造体とされる。
ここで、6000系アルミニウム合金は、優れたBH性を有するという利点がある反面で、室温時効性を有し、溶体化焼入れ処理後、数ヶ月間の室温保持で時効硬化して強度が増加することにより、パネルへの成形性、特に曲げ加工性が低下する課題があった。例えば、6000系アルミニウム合金板を自動車パネル用途に用いる場合、アルミメーカーで溶体化焼入れ処理された後(製造後)、自動車メーカーでパネルに成形加工されるまでに、通常は1〜4ヶ月間程度室温におかれ(室温放置され)、この間で、かなり時効硬化(室温時効)することとなる。特に、厳しい曲げ加工が入るアウタパネルにおいては、製造直後は問題無く成形可能であっても、時効硬化(室温時効)後にはヘム加工時に割れが生じるなどの問題が有った。
更に、このような室温時効が大きい場合には、BH性が低下して、前記した成形後のパネルの塗装焼付処理などの人工時効(硬化) 処理時の加熱によっても、パネルとしての必要な強度までに、耐力が向上しなくなるという問題も生じる。
このため、従来から、6000系アルミニウム合金のBH性の向上および室温時効の抑制については、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、溶体化および焼入れ処理時に、冷却速度を段階的に変化させることにより、製造後の室温での経過7日後から90日後の強度変化を抑制する提案がなされている。また、特許文献2では、溶体化および焼入れ処理後、60分以内に、50〜150℃の温度に10〜300分保持することにより、BH性と形状凍結性を得る提案がなされている。また、特許文献3には、溶体化および焼入れ処理の際に、1段目の冷却温度とその後の冷却速度を規定することで、BH性と形状凍結性を得る提案がなされている。また、特許文献4では溶体化焼入れ後の熱処理でBH性を向上させることが提案されている。
また、成分としてSnを積極的に添加し、室温時効を抑制と焼付け塗装硬化を向上させる方法が特許文献5〜11などで多数提案されている。例えば、特許文献5ではMgとSiの成分関係を-2.0>4Mg-7Siと限定し、経時変化抑制効果を有するSnを適量添加し、また溶体化処理後に予備時効を施すことで、室温時効抑制と焼付け塗装硬化を兼備する方法が兼備されている。また、特許文献6ではMgとSiの成分関係を-2.0≦4Mg-7Si≦1.0と限定し、経時変化抑制効果を有するSnと成形性を向上させるCuを添加し、かつ亜鉛系めっきを施すことで成形性、焼付け塗装性、耐食性を向上させる方法が提案されている。
特開2000−160310号公報 特許第3207413号公報 特許第2614686号公報 特開平4-210456号公報 特開平09-249950号公報 特開平10-226894号公報 特開平7−207396号公報 特開平8−109428号公報 特開平9−53161号公報 特開平10−219382号公報 特開2002−301249号公報
近年は、デザイン性の観点で、自動車パネルにおけるひずみのない美しい曲面構成とキャラクターラインを実現させるため、従来以上に成形性に優れたアルミニウム合金板が求められている。この要求に対しては、前記した従来技術では成形性が不十分であった。
本発明は上記の従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、より難しい自動車パネルの成形加工に対応するために、室温時効後の特性として、特にヘム加工性と焼付け硬化性とを向上させた6000系アルミニウム合金板を提供することを目的とする。より具体的には、室温経時100日後の耐力を100MPa以下とし、焼付け塗装による硬化量(BH性)が90MPa以上である6000系アルミニウム合金板を提供する。
この目的を達成するために、本発明の焼付け塗装硬化性に優れたアルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Mg:0.3〜0.6%、Si:0.4〜1.4%、Sn:0.01〜0.3%を含み、かつMgとSiの成分バランスが、8×(Mg含有量)−(Si含有量)≦3.0を満たし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板を170℃で20分の熱処理を施した後の板の圧延方向に直角な断面中央部の組織を、倍率300000倍の透過型電子顕微鏡で300nm×300nm×100nmの範囲で測定した際の、結晶粒内の2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度が平均で5.0×1021個/μm以上であることとする。
本発明では、Al―Si―Mg系アルミニウム合金板に微量のSnを含有させて、長時間の経過後であっても室温時効硬化を抑制して、ヘム加工性(成形性)を向上させ、かつ、成形された自動車パネルの焼付け塗装による硬化量(BH性)を高くする。
Snは室温において空孔をトラップすることで、室温での拡散を抑制し、室温での強度変化を抑制する効果がある。また、焼付け塗装の高温時にはトラップしていた空孔を放出するため、逆に拡散を促進し、焼付け塗装硬化を高くすることができる。
この点、前記した特許文献5、6でも、Snを積極的に添加して、室温時効を抑制するとともに、焼付け塗装硬化を向上させていた。しかし、これらのSnを添加する方法では、Snの添加による合金組織の変化を検討するまでには至っていなかった。
Snを添加したAl―Si―Mg系アルミニウム合金板の組織は、Snを添加しないものと比較して大きく異なり、また板のつくり方によっても大きく異なる。ただ、これら互いの組織の区別は、製造後の素材板の段階では、SEMやTEMあるいはX線回折などでの通常の組織の測定手段では区別できない。
これらの組織的な変化を区別しうる、本発明で規定する微細析出物は、焼付け塗装硬化に相当する特定の熱処理を施した後の板の組織でないと生じない。すなわち、請求項1で規定する通り、板を焼付け塗装硬化に相当する特定の熱処理を施した後の組織でないと、本発明を満たすか否かは区別できない。しかも、この微細析出物の測定には、高い倍率の透過型電子顕微鏡での組織観察を必要とする。また、この組織的な変化は、板の製造条件とも大きく関わり(大きく影響を受け)、同じようにSnを添加しても、製造条件が違えば、本発明の高いレベルで、室温時効を抑制するとともに焼付け塗装硬化を向上させる効果のある組織が得られるとは限らない。これらが、前記したSnを添加する従来技術では、Snの添加による合金組織の変化を検討するまでに至らなかった理由でもある。
本発明では、このようなSnの添加を前提とした組織の制御を始めて可能としたことによって、室温経時100日後の耐力を100MPa以下とするとともに、焼付け塗装による硬化量(BH性)が90MPa以上とすることができる、室温時効硬化後の特性が優れたアルミニウム合金板を提供できる。
以下に、本発明の実施の形態につき、要件ごとに具体的に説明する。
(化学成分組成)
次に、6000系アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明の6000系アルミニウム合金板は、前記した自動車の外板用の板などとして、優れた成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。そして、本発明の6000系アルミニウム合金板は、室温時効硬化後の特性として、特に、室温経時100日後の耐力を100MPa以下とし、焼付け塗装による硬化量(BH性)が90MPa以上である特性を有することを課題とする。
このような室温時効を抑制した上でBH性に優れさせるための前提としてのアルミニウム合金板の化学成分組成は、質量%で、Mg:0.3〜0.6%、Si:0.4〜1.4%、Sn:0.01〜0.3%を含み、かつMgとSiの成分バランスが、8×(Mg含有量)−(Si含有量)≦3.0を満たし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板とする。
本発明では、これらMg、Si、Sn以外のその他の元素は基本的に不可避的不純物であり、AA乃至JIS 規格などに沿った各元素レベルの含有量 (許容量) とする(但し規格にAgの規定は無い)。すなわち、資源リサイクルの観点から、本発明でも、合金の溶解原料として、高純度Al地金だけではなく、Mg、Si、Sn以外のその他の元素を添加元素(合金元素)として多く含む6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを多量に使用した場合には、下記のような他の元素が必然的に実質量混入される。そして、これらの元素を敢えて低減する精錬自体がコストアップとなり、ある程度含有する許容が必要となる。また、これらの元素には、実質量含有しても、本発明目的や効果を阻害しない含有範囲がある。
この点、Mg、Si、Sn以外の元素を許容量を下記の通り例示する。Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cu:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.1%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)。これらの元素の1種または2種以上をこの範囲で、上記した基本組成に加えて、更に含んでも良い。上記6000系アルミニウム合金における、各元素の含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.4〜1.4%
SiはMgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車のアウタパネルとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。更に、本発明6000系アルミニウム合金板にあって、プレス成形性に影響する全伸びなどの諸特性を兼備させるための最重要元素である。
Si含有量が少なすぎると、Siの絶対量が不足するため、塗装焼付け硬化性が著しく低下する。更には、各用途に要求される全伸びなどの諸特性を兼備することができない。一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性や全伸び等が著しく低下する。更に、溶接性も著しく阻害される。したがって、Siは0.4〜1.4%の範囲とする。
Mg:0.3〜0.6%
Mgも、Siとともに固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。
Mg含有量が少なすぎると、Mgの絶対量が不足するため、塗装焼付け硬化性が著しく低下する。このためパネルとして必要な耐力が得られない。一方、Mg含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性や全伸び等が著しく低下する。したがって、Mgの含有量は0.3〜0.6%の範囲とする。
MgとSiとの成分バランス:
ここで、MgとSiとは前記各含有量範囲ととともに、互いの成分バランスの関係式として、8×(Mg含有量)−(Si含有量)≦3.0を満たすものとする。一般的にMgとSiとのバランスとして、平衡析出相のMgSiのバランスよりも、Siが過剰であると焼付け塗装硬化性(BH性)が高くなることが報告されている。本発明では、成形性の向上のための低耐力化させる目的で、Mgを0.6%以下と含有量を少なくした場合、前記バランス式を満足させることで、低耐力化と高いBH性とを兼備できる。前記成分バランス関係式が3を超えて大きくとなると、低耐力化させた中では十分なBH性を得にくい。
Sn:0.01〜0.3%
Snは、室温において空孔をトラップすることで、室温での拡散を抑制し、室温での強度変化を抑制する効果がある。また焼付け塗装された際の高温時にはトラップしていた空孔を放出するため、逆に拡散を促進し、BH性を高くすることができる。Snを添加したAl―Si―Mg系アルミニウム合金板は、後述する通り、組織的にSnを添加しないものと比較して異なる。ただ、同じようにSnを添加しても、製造条件が違えば、この組織は異なるため、本発明の高いレベルで室温時効を抑制するとともに焼付け塗装硬化を向上させる効果のある組織が得られるとは限らない。
Sn含有量が少なすぎると、後述する好ましい製造方法で素材板を製造したとしても、十分に空孔をトラップしきれずにその効果を発揮できないとともに、本発明で規定する組織(微細析出物)ができない。一方、Sn含有量が多すぎると、後述する好ましい製造方法で素材板を製造したとしても、却って本発明で規定する組織(微細析出物)ができにくくなり、また、Snが粒界に偏析して、粒界割れの原因となりやすい。
(組織)
本発明では、以上の6000系のアルミニウム合金組成を前提に、6000系アルミニウム合金板組織を、この素材板が自動車パネルへのプレス成形後に焼付け塗装硬化処理されることを想定した熱処理後の組織で規定する。すなわち、170℃で20分の熱処理が施された後の板の圧延方向に直角な断面中央部の組織として、倍率300000倍の透過型電子顕微鏡で測定された2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度が、結晶粒内に平均で5.0×1021個/μm以上であると規定する。
この析出物とは、前記熱処理あるいは、実際の前記焼付け塗装硬化処理時に結晶粒内に始めて生成する、MgとSiを含む金属間化合物であり、勿論、前記熱処理前の素材板の組織(前組織)では、例え高倍率のTEMであっても観察できない。言い換えると、素材板の前組織では、例え高倍率のTEMであっても、このような効果がある析出物を、前記熱処理や実際の焼付け塗装硬化処理時に結晶粒内に生成できる組織か否かの判別、組織的な区別ができない。
したがって、本発明では、板の前組織ではなく、前記熱処理後の組織で、この前組織となっているか否かを判別する。なお、本発明で言う析出物のサイズとは、不定形である析出物の円相当直径(平均直径)を言う。
このように、板の組織を、前記焼付け塗装硬化処理時に結晶粒内に生成する2.0〜20nmの微細なサイズの析出物が結晶粒内に前記規定の一定量の数密度で存在するような前組織とすることによって、長期の室温時効した後でも、プレス成形時には低耐力でヘム加工性(成形性)を確保するとともに、前記焼付け塗装硬化処理時には高いBH性によって高強度化できる。すなわち、室温経時100日後の耐力を100MPa以下とし、焼付け塗装による硬化量(BH性)が90MPa以上とできる。
この板の前組織が、前記焼付け塗装硬化処理時に結晶粒内に生成する2.0〜20nmの微細なサイズの析出物が少なすぎる組織であれば、プレス成形時には低耐力で成形性を確保できるが、前記焼付け塗装硬化処理時には高いBH性によって高強度化できなくなる。すなわち、倍率300000倍の透過型電子顕微鏡で測定された2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度が、結晶粒内に平均で5.0×1021個/μm未満では、前記焼付け塗装硬化処理時のBH性が不足して高強度化が達成できない。
ちなみに、この2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度の上限は、前記Snなどの組成や製造限界によっても制限され、結晶粒内に上限としては平均で5.0×1023個/μm程度までしか結晶粒内に析出させることができない。また、本発明の2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度は、前記従来技術で用いている400倍程度の光学顕微鏡などでは、微細すぎて観察や測定ができず、規定している倍率300000倍の高倍率の透過型電子顕微鏡によって始めて観察しうる。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
但し、これらの製造工程中で、BH性を向上させるために本発明の組織を制御するためには、後述する通り、溶体化および焼入れ処理および適正な焼入れ(冷却)停止温度と、その温度範囲での保持をより適正に制御する必要がある。また、他の工程においても、本発明の規定範囲内に組織を制御するための好ましい条件もある。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで、本発明の規定範囲内に組織を制御するために、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを30℃/分以上と、できるだけ大きく(速く)することが好ましい。
このような、鋳造時の高温領域での温度(冷却速度)制御を行わない場合、この高温領域での冷却速度は必然的に小さくなる。このように高温領域での平均冷却速度が遅くなった場合、この高温領域での温度範囲で粗大に生成する晶出物の量が多くなって、鋳塊の板幅方向,厚さ方向での晶出物のサイズや量のばらつきも大きくなる。この結果、本発明の範囲に組織を制御することができなくなる可能性が高くなる。
(均質化熱処理)
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを目的とする。この目的を達成する条件であれば、特に限定されるものではなく、通常の1回または1段の処理でも良い。
均質化熱処理温度は、500℃以上で融点未満、均質化時間は4時間以上の範囲から適宜選択される。この均質化温度が低いと結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、プレス成形時の伸びフランジ性や、ヘム加工性などの曲げ加工性が低下する。この後、直ちに熱間圧延を開始又は、適当な温度まで冷却保持した後に熱間圧延を開始しても、本発明で規定する微細析出物の数密度に制御することはできる。
この均質化熱処理を行った後、300℃〜500℃の間を20〜100℃/hの平均冷却速度で室温まで冷却し、次いで20〜100℃/hの平均加熱速度で350℃〜450℃まで再加熱し、この温度域で熱間圧延を開始することもできる。この均質化熱処理後の平均冷却速度および、その後の再加熱速度の条件を外れると、粗大なMg−Si化合物が形成される可能性が高くなる。
(熱間圧延)
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
この際、熱延(粗圧延)開始温度が固相線温度を超える条件では、バーニングが起こるため熱延自体が困難となる。また、熱延開始温度が350℃未満では熱延時の荷重が高くなりすぎ、熱延自体が困難となる。したがって、熱延開始温度は350℃〜固相線温度、更に好ましくは400℃〜固相線温度の範囲とする。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必ずしも必要ではないが、結晶粒の微細化や集合組織の適正化によって、成形性などの特性を更に向上させる為に実施しても良い。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。但し、結晶粒をより微細化させるためには、冷間圧延率は60%以上であることが望ましく、また前記荒鈍と同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
(溶体化および焼入れ処理)
冷間圧延後、溶体化焼入れ処理を行う。溶体化処理や焼入れ処理については、通常の連続熱処理ラインによる加熱,冷却でよく、特に限定はされない。ただ、各元素の十分な固溶量を得ること、および前記した通り、結晶粒はより微細であることが望ましいことから、520℃以上、溶融温度以下の溶体化処理温度に、加熱速度5℃/秒以上で加熱して、0〜10秒保持する条件で行うことが望ましい。
また、成形性やヘム加工性を低下させる粗大な粒界化合物形成を抑制する観点から、溶体化温度から焼入れ停止温度までの平均冷却速度が3℃/s以上とすることが望ましい。溶体化の冷却速度が小さいと、後述する予備時効処理を行っても、板の組織を、焼付け塗装硬化処理時に結晶粒内に生成する2.0〜20nmの微細なサイズの析出物が結晶粒内に一定量の数密度で存在するような前組織とすることができない。また、冷却中に粗大なMgSiおよび単体Siが生成してしまい、成形性が劣化してしまう。更に、溶体化後の固溶量が低下し、BH性も低下してしまう。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用いる。
(予備時効処理)
また、BH性をより高くするために、溶体化および焼入れ処理終了後から、予備時効処理(再加熱処理)を開始するまでの室温保持時間を60分以内とすることが望ましい。この室温保持時間が長すぎると、室温時効硬化が進みすぎて、予備時効処理を行っても、板の組織を、焼付け塗装硬化処理時に結晶粒内に生成する2.0〜20nmの微細なサイズの析出物が結晶粒内に一定量の数密度で存在するような前組織とすることができない。したがって、この室温保持時間は短いほど良く、溶体化および焼入れ処理と再加熱処理とが、時間差が殆ど無いように連続していても良く、下限の時間は特に設定しない。
予備時効処理(再加熱処理)の板の到達温度(実体温度)は80〜150℃の温度範囲かつ、保持時間は3〜50hrの範囲であることが望ましい。再加熱の到達温度が80℃以下または保持時間が3hr未満であると、BH時(焼付け塗装硬化処理時)の強度の増加量(硬化量)が100MPa以下となりやすい。一方、予備時効条件が150℃を超えるか、または、保持時間が50時間以上では、焼付け塗装硬化処理前の耐力が100MPa を超えて大きくなりやすく、成形性が低下する。
予備時効処理後の室温までの冷却は、放冷でも、生産の効率化のために前記焼入れ時の冷却手段を用いて強制急冷しても良い。すなわち、本発明で規定するサイズが均等あるいは類似のクラスタを前記温度保持処理によって出尽くさせているため、従来の予備時効処理あるいは再加熱処理のような強制急冷や、数段にわたる複雑な平均冷却速度の制御は不要である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に本発明の実施例を説明する。本発明で規定する組成や組織条件が異なる6000系アルミニウム合金板を、溶体化処理後の焼入れ処理の冷却速度、溶体化および焼入れ処理終了後から予備時効処理開始までの室温保持時間と、予備時効処理の温度と保持時間などを変えて作り分けた。そして、これらの各例の室温に100日間保持後のBH性(塗装焼付け硬化性)を各々評価した。合わせて曲げ加工性としてのヘム加工性も評価した。
各例の6000系アルミニウム合金板の組成を示す表1中の各元素の含有量の表示において、各元素における数値をブランクとしている表示は、その含有量が検出限界以下であり、その元素の含有量が実質的に0%であることを示す。
アルミニウム合金板の具体的な製造条件は以下の通りとした。表1に示す各組成のアルミニウム合金鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。この際、各例とも共通して、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを50℃/分とした。続いて、鋳塊を、各例とも共通して、540℃×4時間均熱処理した後、熱間粗圧延を開始した。そして、各例とも共通して、続く仕上げ圧延にて、厚さ3.5mmまで熱延し、熱間圧延板とした。熱間圧延後のアルミニウム合金板を、各例とも共通して、500℃×1分の荒焼鈍を施した後、冷延パス途中の中間焼鈍無しで加工率70%の冷間圧延を行い、各例とも共通して、厚さ1.0mmの冷延板とした。
更に、この各冷延板を、各例とも共通して、連続式の熱処理炉で560℃の溶体化処理を行い、目標温度に到達後10秒保持した後に、直ちにガス空冷または水冷を行うことで、表2、3に示す種々の冷却速度にて室温まで冷却した。その後、表2、3に示すように、室温にて5〜80分保持した後に、大気炉にて種々の温度、保持条件にて予備時効を行った後に水冷した。ここで本実施例では再加熱処理の後に、水冷にて冷却を行っているが、この冷却は放冷であっても同様の組織が得られる。
これら調質処理後100日間室温放置した後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、各供試板の特性を測定、評価した。また、3DAPを用いた組織観察は調質処理後100日後の試料についてのみ実施した。これらの結果を表2、3に示す。ここで表1と表2、3との合金番号は各々対応している。
(微細析出物)
各例とも、前記供試板を170℃で20分の熱処理を施した後、この供試板の板の圧延方向に直角な断面中央部から採取した薄膜試料を作製し、倍率300000倍の透過型電子顕微鏡倍率300000倍の透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧200kVにて、膜厚0.1μmの箇所を300nm×300nm×100nmの範囲で測定し、結晶粒内の2.0〜20nmのサイズの析出物の平均数密度(個/μm)を測定した。この観察を試験片5個について行い、結晶粒内の2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度を各々求めて、平均化(平均数密度と)した。ここで、析出物のサイズは、前記した通り、面積が等価な円の直径に換算して測定した。
(塗装焼付硬化性)
前記調質処理後、100日間室温放置した後の各供試板の機械的特性として、0.2%耐力(As耐力)を引張試験により求めた。また、これらの各供試板を各々共通して、100日間の室温時効させた後に、170℃×20分の人工時効硬化処理した後(BH後)の、供試板の0.2%耐力(BH後耐力)を引張試験により求めた。そして、これら0.2%耐力同士の差(耐力の増加量)から各供試板のBH性を評価した。
前記引張試験は、前記各供試板から、各々JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温にて引張り試験を行った。このときの試験片の引張り方向を圧延方向の直角方向とした。引張り速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。機械的特性測定のN数は5とし、各々平均値で算出した。なお、前記BH後の耐力測定用の試験片には、この試験片に、板のプレス成形を模擬した2%の予歪をこの引張試験機により与えた後に、前記BH処理を行った。
(ヘム加工性)
ヘム加工性は、前記調質処理後100日間放置後の各供試板について行った。試験は、30mm幅の短冊状試験片を用い、ダウンフランジによる内曲げR1.0mmの90°曲げ加工後、1.0mm厚のインナを挟み、折り曲げ部を更に内側に、順に約130度に折り曲げるプリヘム加工、180度折り曲げて端部をインナに密着させるフラットヘム加工を行った。
このフラットヘムの曲げ部(縁曲部)の、肌荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を目視観察し、以下の基準にて目視評価した。
0;割れ、肌荒れ無し、1;軽度の肌荒れ、2;深い肌荒れ、3;微小表面割れ、4;線状に連続した表面割れ、5;破断
各発明例は、表1の0〜9の合金番号や、表2の番号0、1、7、13、表3の番号19〜24に各々示す通り、本発明成分組成範囲内で、かつ好ましい板の条件範囲で製造を行なっている。このため、これら各発明例は、表2、3に各々示す通り、本発明で規定する熱処理後の組織規定を満たしている。すなわち、製造した板を170℃で20分の熱処理を施した後の組織を前記TEMの測定条件で測定した際の、結晶粒内の2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度が平均で5.0×1021個/μm以上である。
この結果、各発明例は、表2、3に各々示す通り、室温に100日保持した長期室温時効後であっても、耐力を100MPa以下とすることができ、焼付け塗装による耐力増加量(硬化量、BH性)が90MPa以上である。したがって、室温時効後の特性として、優れたBH性とヘム加工性(成形性)とを兼備できている。
表2の比較例2〜6、8〜12、14〜18は、表1の発明合金例1、2、5を用いている。しかし、これら各比較例は、表2に示す通り、溶体化処理後の冷却速度や、再加熱(予備時効処理)までの室温保持時間、再加熱条件(予備時効処理条件)が好ましい範囲から外れている。このため、製造した板を170℃で20分の熱処理を施した後の組織を前記TEMの測定条件で測定した際の、結晶粒内の2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度が平均で5.0×1021個/μm未満と少なすぎる。この結果、同じ合金組成である発明例1、2、5に比して、BH性やヘム加工性が劣っている。
表3の比較例25〜28は、表1の合金番号10〜13の通り、主元素のMg、Siが好ましい範囲を外れている。このためBH性が低すぎるか、または耐力(強度)が高すぎ、ヘム加工性も劣っている。
表3の比較例29は、表1の合金番号14の通り、MgとSiとが、本発明で規定する前記互いのバランス式の関係から外れている。このため。100日の室温保持後のAs耐力が高くなりすぎ、ヘム加工性が劣っている。
表3の比較例30、31は、表1の合金番号15、16の通り、Snを含有していない。このため室温時効を十分に抑制できず、100日の室温保持後のAs耐力が高くなりすぎ、ヘム加工性が劣っている。
表3の比較例32は、表1の合金番号17の通り、Sn含有量が多すぎるため、熱間加工で著しい割れが発生してしまった。このため、その後の調査を行っていない。
表3の比較例33〜38は、表1の合金番号18〜23の通り、その他の元素である、Fe、Mn、Cr、Zr、V、Ti、Cu、Znの含有量が、前記した許容量を超えて多すぎるため、ヘム加工性が劣る。
以上の実施例の結果から、室温時効後の特性としてのヘム加工性とBH性の向上に対して、本発明で規定する組成、組織の各条件を全て満たす必要性があることが裏付けられる。また、このような室温時効後のヘム加工性とBH性を得るための、本発明における好ましい製造条件の臨界的な意義乃至効果も裏付けられる。
Figure 2014162962
Figure 2014162962
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本発明によれば、室温時効後の特性として、優れたヘム加工性やBH性を兼備する6000系アルミニウム合金板を提供できる。この結果、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、また、特に、自動車などの輸送機の部材に6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。

Claims (2)

  1. 質量%で、Mg:0.3〜0.6%、Si:0.4〜1.4%、Sn:0.01〜0.3%を各々含み、かつMgとSiの成分バランスが、8×(Mg含有量)−(Si含有量)≦3.0を満たし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板を170℃で20分の熱処理を施した後の板の圧延方向に直角な断面中央部の組織を、倍率300000倍の透過型電子顕微鏡で300nm×300nm×100nmの範囲で測定した際の、結晶粒内の2.0〜20nmのサイズの析出物の数密度が平均で5.0×1021個/μm以上であることを特徴とする室温時効後の特性に優れたアルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板が、更に、Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cu:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.1%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)の1種または2種以上を含む請求項1に記載の室温時効後の特性に優れたアルミニウム合金板。
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