JP2014162885A - 半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物及びそれを用いたケイ素含有硬化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状シロキサン化合物(a1)とビニルオキシ基又はアリルオキシ基を有する脂環式不飽和化合物(a2)とをヒドロシリル化して得られるシリコーン化合物(A)、ビニル基を有する環状シロキサン化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)からなる樹脂成分と、無機フィラー(D)、およびシランカップリング剤(E)を含有する半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物であって、シリコーン化合物(A)は、重量平均分子量が50,000〜250,000であり、無機フィラー(D)の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜40重量部で、シランカップリング剤(E)の含有量が0.01〜30重量部であることを特徴とする半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物により提供する。
【選択図】なし
Description
このように従来のLED用非導電性接着剤においては、接着力や耐熱性試験や耐光性試験による透過率を十分満足させるに至っていないのが現状である。
シリコーン化合物(A)は、重量平均分子量が50,000〜250,000であり、無機フィラー(D)の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜40重量部で、シランカップリング剤(E)の含有量が0.01〜30重量部であることを特徴とする半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、シリコーン化合物(A)は、重量平均分子量が100,000〜200,000であることを特徴とする半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記ヒドロシリル化触媒(C)は、白金系触媒であることを特徴とする半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記無機フィラー(D)は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上であり,屈折率が1.2〜1.8の無機粒子であることを特徴とする半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、シランカップリング剤(E)は、炭素数1〜3の加水分解性基を2個または3個含有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とする半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物が提供される。
この組成物は、透明性が高いので、LED素子を接着すると、下面に発光した光が透明接着剤を透過しリードフレーム面で反射させ、その光も外部に出力でき外部量子効率の上昇を図ることができる。また、同時にLEDの封止樹脂として使用すれば、熱膨張係数なども同じなので接着剤と封止樹脂の界面で剥離を防止することができる。
本発明の半導体素子接着剤用シリコーン樹脂組成物(以下、シリコーン樹脂組成物、あるいは単に樹脂組成物ともいう)は、環状シロキサン化合物(a1)とビニルオキシ基又はアリルオキシ基を有する脂環式不飽和化合物(a2)とをヒドロシリル化して得られるシリコーン化合物(A)、ビニル基を有する環状シロキサン化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)からなる樹脂成分と、無機フィラー(D)、およびシランカップリング剤(E)を含有する半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物であって、
シリコーン化合物(A)は、重量平均分子量が50,000〜250,000であり、無機フィラー(D)の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜40重量部で、シランカップリング剤(E)の含有量が0.01〜30重量部であることを特徴とする。
本発明におけるシリコーン化合物(A)は、環状シロキサン化合物(a1)とビニルオキシ基又はアリルオキシ基を有する脂環式不飽和化合物(a2)とをヒドロシリル化して得られるものである。
フェニル基は、二重結合により光劣化が起こることから、分子あたり3個以下、好ましくは1個以下とすることが好ましい。
中でも、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2,4−シクロヘキサントリメタノールトリビニルエーテルが好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルがより好ましい。
ヒドロシリル化反応される(a1)成分と(a2)成分は、(A)成分のシリコーン化合物1分子中に、2個以上のSi−H基を含有するような比率で配合される。例えば、(a1)成分中のSi−H基の数をX、(a2)成分中のSi−H基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の数をYとしたとき、X:Yが10:1〜8:1となるのが好ましい。シリコーン化合物の粘度の点から、7:1〜5:1が更に好ましく、4:1から2:1が最も好ましい。
本発明において、引き続き(A)成分のシリコーン化合物に、他の成分(B)、さらには成分(D)(E)を配合する場合、ここでのヒドロシリル化触媒の使用量を(a1)成分と(a2)成分との反応必要量以上とすることができ、これにより後述する(C)成分:ヒドロシリル化触媒の追加量を節減するようにしてもよい。
なお、本発明における(A)成分としては、前記特許文献5の記載に基づく市販品を利用することができるが、Si−H基の濃度が1〜100mmol/gを外れたものでは、硬化性が不十分となるか保存安定性が低下することがあり好ましくない。
なお、(A)成分として前記特許文献5の記載に基づく市販品を利用することができるが、重量平均分子量が50,000〜250,000を外れたものでは、耐熱性が不十分となるかハンドリング性が低下することがあり好ましくない。
本発明における(B)成分は、前記(A)成分がもつSi−H基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有する環状シロキサン化合物である。
この環状シロキサン化合物の二重結合の数は、3〜15個が好ましく、硬化物の架橋密度を高める点から3〜8個がより好ましい。このSi−H基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は、ビニル基を必須とし、アルケニル基等も含んでよい。ケイ素原子に結合したビニル基(Si−CH=CH2基)であると反応性が高いのでより好ましい。
この(B)成分は、前記環状シロキサン化合物(a1)と基本骨格が同様であるが、側鎖に反応性の二重結合を有する点に特徴がある。
反応性などから、2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6,8,10,12−ヘキサメチル−2,4,6,8,10,12−ヘキサビニルシクロヘキサシロキサンが更に好ましく、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンが最も好ましい。
本発明における(C)成分としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性を有するものであれば特に限定されない。このような触媒としては、例えば、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びインジウム等の第VIII族の金属からなる錯体、又は化合物等が挙げられる。前記環状シロキサン化合物(a1)とビニルオキシ基又はアリルオキシ基を有する脂環式不飽和化合物(a2)とのヒドロシリル化に用いた白金、パラジウム、ロジウム系触媒の使用が好ましい。
パラジウム系触媒又はロジウム系触媒としては、例えば上記白金系触媒の白金原子の代わりにパラジウム原子又はロジウム原子を含有する化合物が挙げられる。これらは1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ヒドロシリル化触媒としては、反応性が高いという点で白金系触媒が好ましく、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、または白金−カルボニルビニルメチル錯体が更に好ましく、白金−カルボニルビニルメチル錯体が最も好ましい。
本発明においては、(A)成分のシリコーン化合物を合成する際にヒドロシリル化触媒を使用しているので、ここでの添加量は、不足分を(C)成分として追加すれば良い。言い換えれば、(A)成分のシリコーン化合物の合成時に過剰量のヒドロシリル化触媒を使用しており、その過剰量が(B)成分のヒドロシリル化に十分な量であれば、新たに追加する必要はない。
本発明では、(D)成分の無機フィラーとして、光透過性の無機粒子を使用する。この無機フィラーは、シリコーン樹脂組成物の粘性を調整するチクソ調整剤として機能し、シリコーン樹脂組成物が硬化した際に硬化物の強度を向上し、さらに半導体素子であるLED等を接着した場合は、発光した光を吸収しないという特徴がある。
一方、このバンドギャップエネルギーが2.8eV未満であると、その粒子のもつ波長吸収域が440nm以上となり、発光したLEDなどで光の吸収を招く。本発明で用いるシリコーン化合物(A)は、屈折率が1.4〜1.6付近を示すものである。従って、その屈折率に近い、屈折率が1.2〜1.8の無機粒子を使用すると光透過性を得ることができる。特に、シリコーン化合物(A)の屈折率と同等な1.4〜1.6程度の無機粒子を使用することが好ましい。屈折率が1.2〜1.8の範囲から外れていると、光透過性が得られない場合がある。
組成物中で無機フィラーの1次粒子は、それぞれ分散して存在していることが望ましい。それらが凝集しあって2次粒子を形成しうる場合は、分散剤などを配合するなどの手段をとることが好ましい。本発明においては、次に詳述するシランカップリング剤(E)が分散剤として機能する場合がある。
このような無機粒子としては、フッ化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素などが挙げられ、これらを有機変性処理等により改質したものでもよい。このうち特に好ましいものは、二酸化珪素である。これらの粒子(粉末)は、単独で用いることができるが、2種以上を混合して使用しても差し支えない.
本発明において使用するシランカップリング剤とは、加水分解によってシラノール基を生じることができる基を含有した化合物をいう。また、ここでシラノール基とはケイ素原子に直接結合した水酸基を意味する。
これらのうち、アルコキシシラン化合物が好ましく、炭素数1〜3の加水分解性基を2個または3個含有するアルコキシシラン化合物がより好ましい。炭素数4以上の加水分解性基を含有するアルコキシシラン化合物、あるいはこれらの低縮合物では、接着強度の向上が期待できないことがある。
また、これらの珪素原子に直接結合した加水分解性基を含有するシランカップリング剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
無機フィラー(D)も半導体素子基板に対して、樹脂成分との密着性を向上させる機能を有するが、シランカップリング剤は、加水分解によりシラノール基になり、それが無機粒子や樹脂成分や被着面などと繋がるので、硬化後の密着性をさらに上昇させることができる。このような効果は、樹脂成分に対してシランカップリング剤(E)を無機フィラー(D)と別々に配合するほうが高くなることが多い。
シランカップリング剤(E)の添加量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分を含む樹脂成分100重量部に対して0.01〜30重量部とする。これは添加量が少なくて0.01重量部未満であると、シランカップリング剤が本組成物に与える接着強度の向上機能が充分に得られず、一方、30重量部より多いと粘度が低くなり過ぎるために、染み出しなどが発生し塗布し難くなり、作業性を低下させるためである。好ましい含有量は0.1〜25重量部であり、さらには0.5〜20重量部の範囲である。
上記各成分を所定量含有した本発明のシリコーン樹脂組成物は、室温(25℃)で良好な流動性、すなわち塗布性を有しており、ハンドリング性に優れている。しかも、以下の実施例に示すように、大気中150℃で120分経過後の熱重量減少が小さく、高温での保存安定性に優れている。
本発明のケイ素含有硬化物は、上記のシリコーン樹脂組成物を加熱することにより硬化させた硬化物である。
シリコーン樹脂組成物の硬化反応は、本発明のシリコーン樹脂組成物の配合成分を別々に用意して使用直前に混合する方法、あらかじめ配合成分の全部を混合しておき硬化反応を行うときに加熱などにより硬化する方法があり、いずれの方法で行ってもよい。
加熱硬化温度は、配合成分の種類や量によっても異なるが、35〜350℃が好ましく、50〜250℃がより好ましい。また、硬化時間も配合成分の種類や量によっても異なるが、0.01〜10時間が好ましく、0.05〜6時間がより好ましい。
また、本発明では(a2)成分が脂環構造であるので硬化収縮が小さく、エーテル基を有するので可撓性があることから、高温での耐熱性に優れる硬化物となる。さらに、本発明に係る(a1)成分が環状シロキサン化合物であるため、鎖状化合物の場合に比べて硬化物の物理的強度(剛直性)、耐クラック性等が向上する。
さらに、本発明では、シランカップリング剤(E)を含有しているので、硬化時に一部が無機フィラーの表面に結合するとともに、シリコーン化合物(A)、ビニル基を有する環状シロキサン化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)からなる樹脂成分が、半導体素子基板に対して、密着性を向上させる作用をより高めている。
それは、以下の実施例に示されており、室温での接着強度だけでなく、250℃に加熱した状態で測定される熱間接着強度も高く、硬化物を150℃のオーブンに1500時間放置したときの透過率の低下が小さく耐熱性にも優れている。また、硬化物に340nmを超える波長の光を照射したとき、400nmの透過率の低下率が小さく耐光性にも優れている。
本発明の半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物は、青色や白色発光ダイオード(LED)チップなどの接着剤として使用でき、半導体素子の封止樹脂としても使用することができる。
現在、一般的な青色や白色LEDでは基板がサファイアであり、その基板の上にGaN層などを堆積させている。一般的にサファイアは絶縁体なので上下導通できず、上面のGaN層から2つの電極を取っている。
LEDチップは、リードフレームに接着させる必要があるが、上記理由により接着剤に導電性は必要ない。透明であれば、下面に発光した光が透明接着剤を透過しリードフレーム面で反射させ、その光も外部に出力でき外部量子効率の上昇を図ることができる。同時にLEDの封止樹脂としてシリコーン樹脂組成物を使用すれば、熱膨張係数なども同じなので接着剤と封止樹脂の界面で剥離することを抑制することが期待できる。
シリコーン化合物(A):ヒドロシリル基の濃度が5.0mmol/g、重量平均分子量が150,000、重量平均分子量とSi−H基の含有量から得られた1分子あたりのSi−H基の数は750であった。
シリコーン化合物(B):ヒドロシリル基の濃度が0.5mmol/g、重量平均分子量が150,000、重量平均分子量とSi−H基の含有量から得られた1分子あたりのSi−H基の数は75であった。
シリコーン化合物(C):ヒドロシリル基の濃度が15mmol/g、重量平均分子量が150,000、重量平均分子量とSi−H基の含有量から得られた1分子あたりのSi−H基の数は2250であった。
シリコーン化合物(D):ヒドロシリル基の濃度が5mmol/g、重量平均分子量が50,000、重量平均分子量とSi−H基の含有量から得られた1分子あたりのSi−H基の数は250であった。
シリコーン化合物(E):ヒドロシリル基の濃度が5mmol/g、重量平均分子量が250,000、重量平均分子量とSi−H基の含有量から得られた1分子あたりのSi−H基の数は1250であった。
ビニル基を有する環状シロキサン化合物(B):2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンを用いた。
ヒドロシリル化触媒(C):白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を使用した。なお、シリコーン化合物(A)にヒドロシリル化触媒(C)が0.003%含有している。
無機フィラー:市販の二酸化珪素粉末(トクヤマ製シリカ粉)であり、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上、平均粒径0.05μmの白色粉末を使用した。
シランカップリング剤:ジフェニルジメトキシシラン(信越シリコーン社製)を用いた。
<接着強度>
アルミナ基板上にシリコーン樹脂組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、150℃のオーブン中に120分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、上記アルミナ基板に対し水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を接着強度として測定した。接着強度は50N以上であれば合格とした。
<熱間強度>
Cu基板の上にシリコーン樹脂組成物を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、150℃のオーブン中に120分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、250℃に加熱してあるホットプレート上に上記Cu基板を20秒間放置し、加熱したまま、該Cu基板に対して水平方向から上記シリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を熱間強度として測定した。熱間強度は5N以上であれば合格とした。
厚さ1mmの硬化物を試料として、波長400nmの光の透過率を分光光度計で測定した。その際、初期透過率が90%以上の場合:◎、80%以上の場合:○、60%以上の場合:△、60%未満の場合:×とした。
<耐熱性>
厚さ1mmの硬化物を試料として、150℃のオーブンに1500時間放置し、波長400nmの光の透過率を分光光度計で測定した。その際、初期からの透過率の低下率が5%未満の場合:◎、10%未満の場合:○、10〜20%未満の場合:△、20%以上の場合:×とした。
<耐光性>
厚さ1mmの硬化物を試料として、高圧水銀ランプに波長340nm以下をカットするフィルターを装着し、100mW/cm2で24時間光を照射し、波長400nmの透過率を分光光度計で測定した。その際、初期からの低下率が5%未満の場合:◎、10%未満の場合:○、10〜40%未満の場合:△、40%以上の場合:×とした。
シリンジ中に充填した樹脂組成物を、シリンジ吐出口に取り付けた内径0.2mmのニードルから25点連続で吐出した。その際、吐出物が円錐状もしくは半球形状になっているものは「○」、糸を引いて隣の点と触れたり、隣の点に線状で伸びてしまったり、また円錐状の角が高くなって2mm以上になるものが3点以上あった場合は「×」とした。
<熱重量減少>
樹脂組成物をアルミ容器に0.01g入れ、大気中で150℃で120分経過させたときの熱重量減少をTG−DTA装置で測定した。重量減少が3.5%以下であれば合格とした。
得られた樹脂組成物や硬化物のサンプルについて、接着強度、熱間強度、初期透過率、耐光性、耐熱性、塗布性、熱重量減少の結果を調べ、接着強度は50N以上、熱間強度は6N以上、初期透過率、耐光性、および耐熱性がいずれも「◎」、塗布性は「○」、熱重量減少は3.5%以下となったもののみ総合評価を「○」とし、どれか一つでも満たさない特性があった場合は「×」とした。
表1の重量割合に従って各原料を配合し、3本ロール型混練機で混練することにより、本発明のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。このシリコーン樹脂組成物のサンプルを用い、前記の要領で硬化物を作製し、性能を評価した。得られた結果を表1に併記した。
なお、実施例1は、特許文献4(特開2009−280747)に記載の要領で製造したシリコーン化合物(A)、環状シロキサン化合物(B)、およびヒドロシリル化触媒(C)を使用し、シリコーン化合物(A)100重量部に対して、環状シロキサン化合物を10重量部、無機フィラーを5重量部、シランカップリング剤を1重量部配合した。表3に、参考までに無機フィラーとシランカップリング剤の含有比率の関係を示した。
また、実施例2は、無機フィラーを本発明の範囲内で増やし、40重量部とした以外は実施例1と同様にして本発明のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。実施例3は、無機フィラーを本発明の範囲内で減らし、0.1重量部とした以外は実施例1と同様にして本発明のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。
また、実施例4は、シランカップリング剤を本発明の範囲内で増やし、30重量部とした以外は実施例1と同様にして本発明のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。実施例5は、シランカップリング剤を本発明の範囲内で減らし、0.01重量部とした以外は実施例1と同様にして本発明のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。
また、実施例6〜9は、シリコーン化合物の合成時にヒドロシリル基の濃度や重量平均分子量を変えたものを選択した以外は実施例1と同様にして本発明のシリコーン樹脂組成物を作製した。
実施例1で用いたと同じシリコーン化合物(A)、環状シロキサン化合物、およびヒドロシリル化触媒からなる樹脂成分に対して、比較例1は、無機フィラーを本発明の範囲外となるよう増やし、45重量部とした以外は実施例1と同様にして、比較用のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。比較例2は、無機フィラーを本発明の範囲外となるよう減らし、0.05重量部とした以外は実施例1と同様にして、表2に記した比較用のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。
また、比較例3は、シランカップリング剤を本発明の範囲外となるよう増やし、35重量部とした以外は実施例1と同様にして、比較用のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製し、比較例4は、シランカップリング剤を本発明の範囲外となるよう配合せず、比較例5は、無機フィラーおよびシランカップリング剤を配合せず、比較用のシリコーン樹脂組成物のサンプルを作製した。
そして、これらシリコーン樹脂組成物のサンプルを用い、前記の要領で硬化物を作製し、性能を評価した。得られた結果を表2に併記した。表3に、参考までに無機フィラーとシランカップリング剤の含有比率の関係を示した。
表2に記したように、実施例1のシリコーン樹脂組成物に代えて、比較例6は、汎用エポキシ樹脂接着剤として住友金属鉱山社製T−3925を用いた。この汎用エポキシ樹脂接着剤には、樹脂成分100重量部に対して、無機フィラーおよびシランカップリング剤がそれぞれ13重量部、4.3重量部相当含まれているが、シリコーン樹脂は含まれていない。
また、比較例7は、汎用シリコーン樹脂接着剤として信越化学社製の汎用品(KER−3000M2)を用いた。この汎用シリコーン樹脂接着剤には、無機フィラーおよびシランカップリング剤を添加していない。さらに、比較例8は汎用シリコーン樹脂接着剤に無機フィラーを5重量部添加したサンプルを作製し、比較例9は比較例8にシランカップリング剤を1重量部添加したサンプルを作製した。これらの汎用シリコーン樹脂接着剤は、本発明のシリコーン化合物(A)とは異なる構造である。実施例と同一の上記評価条件で評価し、得られた評価結果は、表2に併記した。
上記結果を示す表1から、実施例は本発明のシリコーン樹脂組成物を用いており、シリコーン樹脂成分に対して、無機フィラーとシランカップリング剤を特定量配合しているので、全ての性能評価が優れており、総合評価が合格となっている。
これに対して、表2から分かるように、比較例では本発明のシリコーン樹脂組成物とは、無機フィラーとシランカップリング剤の配合量が異なるか、本発明に係るシリコーン樹脂成分を用いていないので、いずれかの性能評価が悪くなり、総合評価が不合格となっている。
Claims (7)
- 環状シロキサン化合物(a1)とビニルオキシ基又はアリルオキシ基を有する脂環式不飽和化合物(a2)とをヒドロシリル化して得られるシリコーン化合物(A)、ビニル基を有する環状シロキサン化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)からなる樹脂成分と、無機フィラー(D)、およびシランカップリング剤(E)を含有する半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物であって、
シリコーン化合物(A)は、重量平均分子量が50,000〜250,000であり、無機フィラー(D)の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜40重量部で、シランカップリング剤(E)の含有量が0.01〜30重量部であることを特徴とする半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物。 - 前記シリコーン化合物(A)は、ヒドロシリル基の濃度が1〜10mmol/gであることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物。
- 前記シリコーン化合物(A)は、重量平均分子量が100,000〜200,000であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物。
- 前記ヒドロシリル化触媒(C)は、白金系触媒であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物。
- 前記無機フィラー(D)は、バンドギャップエネルギーが2.8eV以上であり,屈折率が1.2〜1.8の無機粒子であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物。
- 前記シランカップリング剤(E)は、炭素数1〜3の加水分解性基を2個または3個含有するアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子接着用シリコーン樹脂組成物。
- 請求項1〜6の何れかに記載のシリコーン樹脂組成物を加熱硬化させてなるケイ素含有硬化物。
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