JP2014155349A - 自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のモータを備えるものにおいて、特定のモータの絶縁劣化の更なる促進を抑制する。
【解決手段】第1モータの絶縁劣化程度が第2モータの絶縁劣化程度より大きい第1モータ絶縁劣化時には、第2モータの絶縁劣化程度が第1モータの絶縁劣化程度より大きい第2モータ絶縁劣化時に比して、エンジンや第1モータのトルクの大きさを小さくする(S290,S330,S340)。また、第2モータ絶縁劣化時には、第1モータ絶縁劣化時に比して小さなトルクを第2モータの上限トルクTm2limに設定してこれ以下のトルクを第2モータから出力する(S300,S350〜S370)。これらより、第1,第2モータのうち絶縁劣化程度が大きいモータの絶縁劣化の促進を抑制することができる。即ち、特定のモータの絶縁劣化の更なる促進を抑制することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、自動車に関する。
従来、この種の自動車としては、エンジンと電動モータとを備え、走行モードとして、電動モータによって駆動し且つエンジンを停止状態にする第1走行モードと、エンジンによって駆動し且つ電動モータを駆動または停止状態にする第2走行モードと、を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、電動モータの経年劣化を推定すると共に推定した経年劣化を用いて電動モータの効率を推定し、電動モータの効率の低下に応じて、低車速且つ低アクセル開度の第1走行モード領域と第1走行モード領域以外の第2走行モード領域との境界ラインを低アクセル開度側に変更している。
特開2009−143263号公報
複数の電動モータを備える自動車では、走行に要求される要求トルクによって走行するよう複数の電動モータを制御するが、この場合に、各電動モータの駆動状態によっては、特定の電動モータの絶縁劣化程度(絶縁材の劣化程度)がより促進されてしまう、という課題があった。
本発明の自動車は、複数のモータを備えるものにおいて、特定のモータの絶縁劣化の更なる促進を抑制することを主目的とする。
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の自動車は、
走行用の複数のモータと、前記複数のモータを駆動するための複数のインバータと、前記複数のインバータを介して前記複数のモータと電力をやりとりするバッテリと、を備える自動車であって、
前記複数のモータのそれぞれの絶縁劣化程度を検出する複数の絶縁劣化程度検出手段と、
前記複数のモータのうち前記検出された絶縁劣化程度が最大のモータである絶縁劣化モータのトルクが制限されると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記複数のモータを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の自動車では、複数のモータのうち絶縁劣化程度が最大のモータである絶縁劣化モータのトルクが制限されると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう複数のモータを制御する。したがって、絶縁劣化モータのトルクを制限するから、このモータに流れる電流を制限して熱負荷を制限することができ、このモータの絶縁劣化の促進を抑制することができる。即ち、特定のモータの絶縁劣化の更なる促進を抑制することができる。もとより、絶縁劣化モータ以外のモータのトルクを調整することにより、要求トルクによって走行することができる。
こうした本発明の自動車において、エンジンと、車軸に連結された駆動軸と前記エンジンの出力軸と第3の軸とに3つの回転要素が接続されたプラネタリギヤと、を備え、前記複数のモータは、前記第3の軸に動力を入出力可能な第1モータと、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2モータとを有し、前記制御手段は、前記第1モータと前記第2モータとのうち前記絶縁劣化モータのトルクが制限されると共に前記要求トルクによって走行するよう前記エンジンと前記第1モータと前記第2モータとを制御する手段である、ものとすることもできる。
このエンジンと第1モータと第2モータとを備える態様の本発明の自動車において、前記制御手段は、前記第1モータの絶縁劣化程度が前記第2モータの絶縁劣化程度より大きいときには、前記第2モータの絶縁劣化程度が前記第1モータの絶縁劣化程度より大きいときに比して、前記エンジンおよび前記第1モータのトルクが制限されると共に前記要求トルクによって走行するよう制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、第1モータの絶縁劣化の促進を抑制することができる。この態様の本発明の自動車において、前記制御手段は、前記第1モータの絶縁劣化程度が前記第2モータの絶縁劣化程度より大きいときには、前記第2モータの絶縁劣化程度が前記第1モータの絶縁劣化程度より大きいときに比して、前記エンジンが高回転数低トルク側の運転ポイントで運転されると共に前記要求トルクによって走行するよう制御する手段である、ものとすることもできる。
また、エンジンと第1モータと第2モータとを備える態様の本発明の自動車において、前記制御手段は、前記第1モータの絶縁劣化程度が前記第2モータの絶縁劣化程度より大きいときには前記第2モータの定格最大トルクを該第2モータの上限トルクとして設定し、前記第2モータの絶縁劣化程度が前記第1モータの絶縁劣化程度より大きいときには前記定格最大トルクに対して制限を施したトルクを前記上限トルクとして設定し、前記上限トルク以下のトルクが前記第2モータから出力されると共に前記要求トルクによって走行するよう制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、第2モータの絶縁劣化の促進を抑制することができる。
本発明の自動車において、前記絶縁劣化程度検出手段は、前記モータを収容するモータケースおよび前記モータのコイルの導体に対して絶縁体を介して配置された電極と、前記コイルの導体と、によって形成されるコンデンサを含むブリッジ回路を有する手段である、ものとすることもできる。この場合、モータの絶縁劣化程度を検出(診断)する際には、ブリッジ回路に周期的に変化する電圧が印加されるようインバータを制御し、このときのブリッジ回路の様子を検出することにより、電極とコイルの導体とによって形成されるコンデンサの静電容量を求めたり、その静電容量に基づいていわゆる誘電正接を求めたり、その誘電正接に基づいてコイルの余寿命を求めたりすることができる。即ち、専用設備を設けずに、モータの絶縁劣化程度を検出(診断)することができるのである。ここで、「周期的に変化する電圧」は、例えば、正弦波電圧やPWM電圧などとすることができる。また、「ブリッジ回路」は、電極とコイルの導体とによって形成されるコンデンサおよび抵抗がコイルの端子と第1点とに直列接続された第1部位と、コイルの端子と第2点とに直列接続されたコンデンサおよび抵抗からなる第2部位と、第1点と接地とに接続された抵抗からなる第3部位と、第2点と接地とに並列接続されたコンデンサおよび抵抗からなる第4部位と、第1点と第2点とに直列接続された抵抗および電流センサからなる第5部位と、を備えるシェーリングブリッジ回路である、ものとすることもできる。
この絶縁劣化程度検出手段がブリッジ回路を有する態様の本発明の自動車において、前記インバータと前記コイルの端子とを直接接続する第1接続状態と、前記インバータと前記コイルの端子とをローパスフィルタを介して接続する第2接続状態と、を切り替え可能なリレーを備える、ものとすることもできる。この場合、モータの絶縁劣化程度を検出(診断)する際に、第2接続状態となるようリレーを制御して、その状態で、ブリッジ回路に周期的に変化する電圧が印加されるようインバータを制御することにより、高周波数成分をカットして、より正弦波に近い電圧をブリッジ回路に印加することができる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 モータMG1の絶縁劣化程度を検出する劣化程度検出装置の構成の概略を示す構成図である。 モータMG1の絶縁劣化程度を検出する劣化程度検出装置の構成の概略を示す構成図である。 シェーリングブリッジ回路90Aの構成の概略を示す構成図である。 実施例のモータECU40により実行される絶縁劣化程度検出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータMG1の使用期間と三相コイル63の導体−電極92間の誘電正接tanδとの関係の一例を示す説明図である。 実施例のHVECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 モータMG2の回転数Nm2と定格最大トルクTm2rat(上限トルクTm2lim)との関係の一例を示す説明図である。 燃費動作ラインの一例と回転数Ne1およびトルクTe1を設定する様子とを示す説明図である。 絶縁非劣化時のプラネタリギヤ30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 低トルク動作ラインの一例と回転数Ne2およびトルクTe2を設定する様子とを示す説明図である。 第2モータ絶縁劣化時のモータMG2の回転数Nm2と上限トルクTm2limとの関係の一例を示す説明図である。 変形例の低トルク動作ラインの一例を示す説明図である。 変形例のモータMG2の回転数Nm2と上限トルクTm2limとの関係の一例を示す説明図である。 変形例のモータMG2の回転数Nm2と上限トルクTm2limとの関係の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。 変形例の電気自動車320の構成の概略を示す構成図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2および図3は、モータMG1の絶縁劣化程度を検出する劣化程度検出装置の構成の概略を示す構成図であり、図4は、シェーリングブリッジ回路90Aの構成の概略を示す構成図である。
実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたシングルピニオン式のプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されてプラネタリギヤ30のサンギヤに動力を入出力可能なモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて駆動軸36に動力を入出力可能なモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、モータMG1,MG2とインバータ41,42との電力ラインに設けられたリレー45,46と、モータMG1,MG2の三相コイルの導体を一部として構成されるシェーリングブリッジ回路90A,90B(図2参照)と、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御したりシェーリングブリッジ回路90A,90Bからの出力を用いてモータMG1,MG2の絶縁劣化程度を誘電正接tanδ1,tanδ2として検出したりするモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランクポジションθcrやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Tw,燃焼室内に取り付けられた圧力センサからの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブや排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサからのカムポジションθca,スロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットルポジションTP,吸気管に取り付けられたエアフローメータからの吸入空気量Qa,同じく吸気管に取り付けられた温度センサからの吸気温Ta,排気系に取り付けられた空燃比センサからの空燃比AF,同じく排気系に取り付けられた酸素センサからの酸素信号O2などが入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁への駆動信号やスロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号,吸気バルブの開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
モータMG1とモータMG2とは同様に構成されており、インバータ41とインバータ42とは同様に構成されており、リレー45とリレー46とは同様に構成されており、シェーリングブリッジ回路90Aとシェーリングブリッジ回路90Bとは同様に構成されている。したがって、以下、モータMG1,インバータ41,リレー45,シェーリングブリッジ回路90Aの構成について説明し、モータMG2,インバータ42,リレー46,シェーリングブリッジ回路90Bの構成については説明を省略する。
モータMG1は、図2に示すように、プラネタリギヤ30のサンギヤに接続された回転子61と、三相コイル63が巻回された固定子62と、を備える。三相コイル63は、銅などによる導体がエナメルなどによる絶縁材によって被覆されて形成された各相の導線が固定子62のティースに巻回されて構成されており、各相の一方の端部(図示せず)が中性点として結線されると共に、各相の他方の端部(端子64U,64V,64W)が端子台69に取り付けられている。
インバータ41は、図3に示すように、6つのトランジスタT11〜T16と、トランジスタT11〜T16に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16と、を備える。トランジスタT11〜T16は、それぞれバッテリの正極側と負極側とに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されている。以下、トランジスタT11,T14の接続点,トランジスタT12,T15の接続点,トランジスタT13,T16の接続点をそれぞれ接続点Pa1,Pa2,Pa3という。
リレー45は、モータMG1のU相,V相,W相用の切替部45U,45V、45Wが一体に作動するよう形成されており、インバータ41の接続点Pa1,Pa2,Pa3とモータMG1の三相コイル63のU相,V相,W相の端子64U,64V,64Wとを接続する第1接続状態と、インバータ41の接続点Pa1とモータMG1の三相コイル63のU相の端子64Uとをローパスフィルタ47を介して接続すると共にインバータ41の接続点Pa2,Pa3とモータMG1の三相コイル63のV相,W相の端子64V,64Wとの接続を解除する第2接続状態と、を切り替えることができるようになっている。ここで、ローパスフィルタ47は、カットオフ周波数より大きな周波数の成分を減衰させるために用いられるものであり、実施例では、電圧指令と搬送波(三角波)電圧との比較によってインバータ41のトランジスタT11〜T16のオン時間の割合を調節する周知のパルス幅変調(PWM)制御によってトランジスタT11,T14をスイッチング制御するときの接続点Pa1のPWM電圧を正弦波電圧に変換してU相の端子64Uに印加できるようカットオフ周波数を設定するものとした。
実施例では、リレー45を第1接続状態としたときには、モータMG1の回転子61の回転位置に応じた電圧指令を用いたPWM制御によってインバータ41のトランジスタT11〜T16をスイッチング制御して、インバータ41からモータMG1の三相コイル63に回転子61の回転位置に応じたPWM電圧を供給するものとした。また、リレー45を第2接続状態としたときには、時間の経過に従って周期的(正弦波状)に変化する電圧指令を用いたPWM制御によってインバータ41のトランジスタT11,T14をスイッチング制御して、そのスイッチングによるPWM電圧をローパスフィルタ47で時間の経過に従って周期的に変化する正弦波電圧に変換してモータMG1の三相コイル63のU相の端子64Uに印加するものとした。
シェーリングブリッジ回路90Aは、図2や図3に示すように、モータMG1を収容するモータケース66の内周面に樹脂などの絶縁体91を介して取り付けられた電極92と、モータMG1の三相コイル63(U相コイル)の導体と、電極92やU相の端子64Uに接続された診断用モジュール93と、によって構成されている。ここで、電極92は、円環状に形成されており、モータMG1の三相コイル63のコイルエンドに対してモータMG1の軸方向の図2中左側で対向するよう配置されている。この電極92と三相コイル63の導体とには、三相コイル63の絶縁材と空気とが絶縁体として介在するから、三相コイル63の導体−電極92間(三相コイル63側から順に、三相コイル63の導体,三相コイル63の絶縁材,空気,電極92)の等価回路を考えたときには、コンデンサおよび抵抗が存在するものとして考えることができる。
このシェーリングブリッジ回路90Aは、図4に示すように、U相の端子64Uと点Aとに直列接続されたコンデンサ96および抵抗97からなる第1部位95と、U相の端子と点Bとに直列接続されたコンデンサ101および抵抗102からなる第2部位100と、点Aと接地(モータケース66)とに接続された可変抵抗106からなる第3部位105と、点Bと接地とに並列接続された可変コンデンサ111および抵抗112からなる第4部位110と、点Aと点Bとに直列接続された抵抗116および電流センサ117からなる第5部位115と、を備える。
ここで、シェーリングブリッジ回路90Aのうち、第1部位95は、三相コイル63の導体と電極92とによって形成されるもの(三相コイル63の導体−電極92間を等価回路で表現したもの)であり、第2部位100〜第5部位115は、上述の診断用モジュール93に相当する。第2部位100において、コンデンサ101は、シェーリングブリッジ回路90Aで一般に用いられる基準コンデンサであり、抵抗102は、コンデンサ101の内部抵抗である。第3部位105や第4部位110において、可変抵抗106や可変コンデンサ111,抵抗112は、ブリッジ回路の平衡調整用の素子である。第5部位115において、抵抗116は、シェーリングブリッジ回路90Aで一般に用いられる基準抵抗である。
以下の説明では、シェーリングブリッジ回路90Aにおいて、第1部位95のコンデンサ96の静電容量,抵抗97の抵抗値,電流をCx,Rx,I1とし、第2部位100のコンデンサ101の静電容量,抵抗102の抵抗値,電流をCn,Rs,I2とし、第3部位105の可変抵抗106の抵抗値,電流をR3,I3とし、第4部位110の可変コンデンサ111の静電容量,抵抗112の抵抗値,電流をC4,R4,I4とし、第5部位115の抵抗116の抵抗値,電流をR5,I5,U相の端子64Uの接地に対する電位(U相の端子64U−接地間の電圧)をVとして説明する。なお、第1部位95の抵抗97の抵抗値Rx,第2部位100のコンデンサ101の静電容量Cnや抵抗102の抵抗値Rs,第4部位の抵抗112の抵抗値R4,第5部位115の抵抗値R5は、第1部位95のコンデンサ96の静電容量Cxの変化(モータMG1の三相コイル63の絶縁材の経年変化)に比して変化が十分に小さい、即ち、コンデンサ96の静電容量Cxの変化に拘わらず予め定められた固定値を用いてよいものとした。
このシェーリングブリッジ回路90Aでは、第1部位95〜第5部位115のインピーダンスZ1〜Z5は、次式(1)〜(5)により表わすことができる。なお、式(1),(2),(4)における「j」は虚数単位であり、「ω」は入力の角周波数である。
Figure 2014155349
また、このシェーリングブリッジ回路90Aでは、製造時に平衡調整を行なう。シェーリングブリッジ回路90Aの平衡条件は式(6)により表わすことができ、これを整理すると式(7)が得られるから、式(7)の実部,虚部については式(8),(9)が成立する。したがって、平衡調整としては、この式(8),(9)が成立するよう第3部位105の可変抵抗106の抵抗値R3や第4部位110の可変コンデンサ111の静電容量C4を調整すればよい。なお、一般に、第2部位100の抵抗102の抵抗値Rsは十分に小さいことから、この抵抗値Rsを値0とみなすものとしてもよい。この場合、式(7)の実部,虚部については式(10),(11)が成立するから、平衡調整としては、式(10),(11)が成立するよう第3部位105の可変抵抗106の抵抗値R3や第4部位110の可変コンデンサ111の静電容量C4を調整すればよい。
Figure 2014155349
Figure 2014155349
さらに、このシェーリングブリッジ回路90Aでは、第1部位95〜第5部位115の電流I1〜I5やインピーダンスZ1〜Z5,U相の端子64U−接地間の電圧Vは、式(12)〜(16)を満たす。この式(12),(14)をまとめて整理すると式(17)が得られ、式(13),(15)をまとめて整理すると式(18)が得られる。そして、式(16),(17)をまとめて整理すると式(19)が得られ、式(18),(19)をまとめてインピーダンスZ1について解くと、式(20)が得られる。したがって、式(2)〜(5)により得られる第2部位100〜第5部位115のインピーダンスZ2〜Z5と、第5部位115の電流I5と、U相の端子64U−接地間の電圧Vと、が分かれば、この式(20)により、第1部位95のインピーダンスZ1を計算することができる。そして、この第1部位95のインピーダンスZ1と、第1部位95の抵抗97の抵抗値Rxと、入力の角周波数ωと、が分かれば、上述の式(1)により、第1部位95のコンデンサ96(三相コイル63と電極92とによって形成されるコンデンサ)の静電容量Cxを計算することができる。
Figure 2014155349
Figure 2014155349
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流,シェーリングブリッジ回路90A,90Bの電流センサ117からの電流Idet1,Idet2などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42のスイッチング素子へのスイッチング制御信号やリレー45,46への制御信号,シェーリングブリッジ回路90A,90Bへの制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転角速度ωm1,ωm2や回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vbやバッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりHVECU70に送信する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい許容入出力電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号やシフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。HVECU70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2との運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード,エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードとは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようエンジン22とモータMG1とモータMG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。なお、エンジン運転モードやモータ運転モードで走行する際には、リレー45,46は共に第1接続状態となっている。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、前回にシステム停止してから所定時間(例えば、数時間など)が経過した後にシステム起動したときなどに、モータMG1,MG2の絶縁劣化程度を検出する絶縁劣化程度検出処理を実行する。図5は、モータMG1の絶縁劣化程度を検出するために実施例のモータECU40により実行される絶縁劣化程度検出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、モータMG2の絶縁劣化程度は、モータMG1の絶縁劣化程度と同様に検出することができる。
絶縁劣化程度検出処理ルーチンが実行されると、モータECU40は、まず、リレー45を、インバータ41の接続点Pa1とモータMG1の三相コイル63のU相の端子64Uとをローパスフィルタ47を介して接続すると共にインバータ41の接続点Pa2,Pa3とモータMG1の三相コイル63のV相,W相の端子64V,64Wとの接続を解除する第2接続状態とする(ステップS100)。そして、その状態でU相の端子64Uに所定周波数(例えば、50Hzや60Hzなど)の交流電圧が数周期分だけ印加されるようインバータ41のトランジスタT11,T14をスイッチング制御する(ステップS110)。そして、図示しない電圧センサによりU相の端子64U−接地間の電圧Vdetを検出すると共に電流センサ117により第5部位115の電流Idet1を検出し、U相の端子64U−接地間の電圧実効値Vを求めると共に第5部位115の電流実効値I5を求める。なお、U相の端子64U−接地間の電圧実効値Vについては、トランジスタT11,T14のスイッチング制御に用いる電圧指令とローパスフィルタ47の特性とから求めるものとしてもよい。
こうしてU相の端子64U−接地間の電圧実効値Vと第5部位115の電流実効値I5とを求めると、これらと、第2部位100のコンデンサ101の静電容量Cnおよび抵抗102の抵抗値Rsを用いて式(2)により得られる第2部位100のインピーダンスZ2と、第3部位105の可変抵抗106の抵抗値R3を用いて式(3)により得られる第3部位105のインピーダンスZ3と、第4部位110の可変コンデンサ111の静電容量C4および抵抗112の抵抗値R4を用いて式(4)により得られる第4部位110のインピーダンスZ4と、第5部位115の抵抗116の抵抗値R5を用いて式(5)により得られる第5部位115のインピーダンスZ5と、を用いて式(20)により第1部位95のインピーダンスZ1を計算し、計算したインピーダンスZ1と第1部位95の抵抗97の抵抗値Rxと入力の角周波数ωとを用いて式(1)により第1部位95のコンデンサ96(三相コイル63の導体と電極92とによって形成されるコンデンサ)の静電容量Cxを計算する(ステップS120)。
こうしてコンデンサ96の静電容量Cxを計算すると、計算したコンデンサ96の静電容量Cxと、抵抗97の抵抗値Rxと、三相コイル63の導体−電極92間の製造時の誘電正接tanδとしての初期誘電正接tanδ0とを用いて次式(21)により現在の誘電正接tanδxを計算し(ステップS130)、計算した現在の誘電正接tanδxとモータMG1の三相コイル63の絶縁材が寿命に到達したときの誘電正接tanδとしての寿命誘電正接tanδliとを用いて、三相コイル63の絶縁材の余寿命を推定して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。図6は、モータMG1の使用期間と三相コイル63の導体−電極92間の誘電正接tanδとの関係の一例を示す説明図である。図示するように、誘電正接tanδは、モータMG1の使用期間が長くなるのに従って増加することが分かっている。したがって、図6を用いて、現在の誘電正接tanδxに対応する使用期間と寿命誘電正接tanδliに対応する使用期間とを求めれば、その差分をモータMG1の三相コイル63の余寿命として推定することができる。以下、こうして推定したモータMG1の現在の誘電正接tanδxを誘電正接tanδ1と表記し、同様の手法により推定したモータMG2の現在の誘電正接tanδxを誘電正接tanδ2と表記する。
Figure 2014155349
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図7は、実施例のHVECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン運転モードで走行するときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Wout,モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の蓄電割合SOCとに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。さらに、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2は、上述の絶縁劣化程度検出処理により演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される(駆動軸36に出力すべき)要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数kを乗じて得られる回転数など)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrv*を計算し、計算した走行用パワーPdrv*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じて車両に要求される(エンジン22から出力すべき)要求パワーPe*を計算する(ステップS210)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。要求トルク設定用マップの一例を図8に示す。
続いて、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2に基づいて、モータMG1,MG2が共に絶縁劣化していない(絶縁劣化程度が閾値未満である)絶縁非劣化時であるか、モータMG1,MG2の一方または両方が絶縁劣化しており(絶縁劣化程度が閾値以上であり)モータMG1の絶縁劣化程度がモータMG2の絶縁劣化程度より大きい第1モータ絶縁劣化時であるか、モータMG1,MG2の一方または両方が絶縁劣化しておりモータMG2の絶縁劣化程度がモータMG1の絶縁劣化程度より大きい第2モータ絶縁劣化時であるか、を判定する(ステップS220)。ここで、モータMG1,MG2が絶縁劣化しているか否かは、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2をこの判定用の閾値tanδrefと比較することによって行なうものとし、モータMG1,MG2のいずれの絶縁劣化程度が大きいかは、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2を比較することによって行なうものとした。即ち、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2が共に閾値tanδref未満のときには絶縁非劣化時であると判定し、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2の一方または両方が閾値tanδref以上で誘電正接tanδ1が誘電正接tanδ2より大きいときには第1モータ絶縁劣化時であると判定し、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2の一方または両方が閾値tanδref以上で誘電正接tanδ2が誘電正接tanδ1より大きいときには第2モータ絶縁劣化時であると判定するものとした。なお、実施例では、簡単のために、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2が同一のときについては考慮しないものとした。
絶縁非劣化時であると判定されたときには、モータMG2の回転数Nm2に基づくモータMG2の定格最大トルクTm2ratをモータMG2の上限トルクTm2limに設定する(ステップS240)。図9は、モータMG2の回転数Nm2と定格最大トルクTm2rat(上限トルクTm2lim)との関係の一例を示す説明図である。モータMG2の定格最大トルクTm2ratは、図示するように、モータMG2の回転数Nm2が大きいほど小さくなる傾向に設定される。
こうしてモータMG2の上限トルクTm2limを設定すると、設定した上限トルクTm2limと要求トルクTr*とプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて次式(22)によりエンジン22の下限トルクTelimを設定する(ステップS250)。ここで、下限トルクTelimは、モータMG2から上限トルクTm2limのトルクを出力すれば要求トルクTr*を駆動軸36に出力することができるエンジン22のトルクを意味する。
Telim=(Tr*-Tm2lim)・(1+ρ) (22)
続いて、要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる燃費動作ラインとに基づく回転数Ne1およびトルクTe1を、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*の仮の値としての仮回転数Netmpおよび仮トルクTetmpに設定する(ステップS260)。燃費動作ラインの一例と回転数Ne1およびトルクTe1を設定する様子とを図10に示す。図示するように、回転数Ne1およびトルクTe1は、燃費動作ラインと要求パワーPe*が一定の曲線との交点として求めることができる。以下、回転数Ne1およびトルクTe1からなるエンジン22の運転ポイントを燃費運転ポイントという。
こうしてエンジン22の仮回転数Netmpおよび仮トルクTetmpを設定すると、設定した仮回転数Netmpをエンジン22の目標回転数Ne*に設定すると共に、式(23)に示すように、設定した仮トルクTetmpを下限トルクTelimで制限してエンジン22の目標トルクTe*を設定する(ステップS330)。
Te*=max(Tetmp,Telim) (23)
次に、エンジン22の目標回転数Ne*と駆動軸36の回転数Nr(モータMG2の回転数Nm2)とプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて次式(24)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算したモータMG1の目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とエンジン22の目標トルクTe*とプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて式(25)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS340)。ここで、式(24)は、プラネタリギヤ30の回転要素に対する力学的な関係式である。図11は、絶縁非劣化時のプラネタリギヤ30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤの回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリアの回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2であるリングギヤの回転数Nrを示す。また、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されてプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクと、モータMG2から出力されて駆動軸36に作用するトルクとを示す。式(24)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。また、式(25)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(25)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/ρ (24)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (25)
続いて、次式(26)に示すように、要求トルクTr*にモータMG1のトルク指令Tm1*をプラネタリギヤ30のギヤ比ρで除したものを加えてモータMG2のトルク指令Tm2*の仮の値としての仮トルクTm2tmpを計算すると共に(ステップS350)、式(27)および式(28)に示すように、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと設定したトルク指令Tm1*にモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との差分をモータMG2の回転数Nm2で除してモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを計算し(ステップS360)、式(29)に示すように、設定した仮トルクTm2tmpをトルク制限Tm2min,Tm2max,上限トルクTm2limで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS370)。ここで、式(26)は、図11の共線図から容易に導くことができる。
Tm2tmp=Tr*+Tm1*/ρ (26)
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (27)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (28)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max,Tm2lim),Tm2min) (29)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS380)、本ルーチンを終了する。エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる目標運転ポイントで運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。また、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子(トランジスタ)のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、燃費優先動作ラインと要求パワーPe*とに応じた運転ポイントでエンジン22を運転しながらバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*(走行用パワーPdrv*)を駆動軸36に出力して走行することができる。
ステップS220で第1モータ絶縁劣化時であると判定されたときには、ステップS240,S250と同様に、モータMG2の上限トルクTm2lim,エンジン22の下限トルクTelimを設定し(ステップS270,S280)、要求パワーPe*と燃費動作ラインより低トルク側の低トルク動作ラインとに基づく回転数Ne2およびトルクTe2をエンジン22の仮回転数Netmpおよび仮トルクTetmpに設定し(ステップS290)、上述のステップS330〜S380の処理により、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してこれらをエンジンECU24やモータECU40に送信して、本ルーチンを終了する。
低トルク動作ラインの一例と回転数Ne2およびトルクTe2を設定する様子とを図12に示す。なお、図12では、参考のために、燃費動作ラインや燃費運転ポイント(回転数Ne1,トルクTe1)についても図示した。以下、回転数Ne2およびトルクTe2からなるエンジン22の運転ポイントを低トルク側運転ポイントという。こうして設定した低トルク側運転ポイント(回転数Ne2,トルクTe2)は燃費運転ポイント(回転数Ne1,トルクTe1)より高回転数低トルク側の運転ポイントとなる。したがって、第1モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時に比して、通常、モータMG1のトルク(エンジン22の回転数Neを小さくする方向のトルク)の大きさは小さくなる(式(25)参照)。
一般に、モータMG1,MG2の絶縁劣化の促進要因としては熱負荷が大きな割合を占めており、この熱負荷は、モータMG1,MG2の抵抗値と電流の二乗との積に依存する。そして、モータMG1,MG2に流れる電流は、出力すべきトルクが大きいほど大きくなる。したがって、第1モータ絶縁劣化時に、絶縁非劣化時に比してエンジン22の目標トルクTe*を小さくしてモータMG1のトルク指令Tm1*の大きさを小さくすることにより、モータMG1の熱負荷を低減して、モータMG1の絶縁劣化の促進を抑制することができる。また、エンジン22の目標トルクTe*やモータMG1のトルク指令Tm1*の絶対値を小さくした分については、モータMG2のトルク指令Tm2*が大きくなる(式(26)参照)から、要求トルクTr*により対応することができる。
ステップS220で第2モータ絶縁劣化時であると判定されたときには、モータMG2の回転数Nm2に基づいて、定格最大トルクTm2ratより小さなトルクをモータMG2の上限トルクTm2limに設定し(ステップS300)、上述のステップS250,S280と同様にエンジン22の下限トルクTelimを設定し(ステップS310)、ステップS260と同様にエンジン22の仮回転数Netmpおよび仮トルクTetmpを設定し(ステップS320)、上述のステップS330〜S380の処理により、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してこれらをエンジンECU24やモータECU40に送信して、本ルーチンを終了する。図12は、この場合のモータMG2の回転数Nm2と上限トルクTm2limとの関係の一例を示す説明図である。なお、図13では、参考のために、定格最大トルクTm2ratについても一点鎖線で図示した。この場合の上限トルクTm2limは、モータMG2の回転数Nm2に拘わらず(全回転数領域で)定格最大トルクTm2ratよりある程度小さなトルクを設定するものとした。
この場合、絶縁非劣化時や第1モータ絶縁劣化時に比して、モータMG2の上限トルクTm2limを小さくすることにより、モータMG2のトルク指令Tm2*がより制限されるから、モータMG2の熱負荷を低減して、モータMG2の絶縁劣化の促進を抑制することができる。また、モータMG2の上限トルクTm2limを小さくすることにより、エンジン22の下限トルクTelimが大きくなる(式(22)参照)から、エンジン22の目標トルクTe*が大きくなりやすく(式(23)参照)、それに応じて、モータMG1のトルク指令Tm1*の大きさが大きくなりやすくなる。これにより、モータMG2のトルク指令Tm2*が小さくなる分については、エンジン22の目標トルクTe*やモータMG1のトルク指令Tm1*の大きさの増加により、要求トルクTr*により対応することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、第1モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時や第2モータ絶縁劣化時に比して、エンジン22の目標トルクTe*やモータMG1のトルク指令Tm1*の大きさを小さくするから、モータMG1の絶縁劣化の促進を抑制することができ、第2モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時や第1モータ絶縁劣化時に比して小さなトルクをモータMG2の上限トルクTm2limに設定してこれ以下のトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定するから、モータMG2の絶縁劣化の促進を抑制することができる。もとより、第1モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時や第2モータ絶縁劣化時に比してモータMG2のトルク指令Tm2*を大きくし、第2モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時や第1モータ絶縁劣化時に比して大きなトルクをエンジン22の下限トルクTelimに設定してこれ以上のトルクをエンジン22の目標トルクTe*に設定するから、要求トルクTr*により対応することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2を用いて絶縁非劣化時であるか第1モータ絶縁劣化時であるか第2モータ絶縁劣化時であるかを判定するものとしたが、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2の演算に用いるコンデンサ96の静電容量Cx1,Cx2(ステップS120参照)を用いて絶縁非劣化時であるか第1モータ絶縁劣化時であるか第2モータ絶縁劣化時であるかを判定するものとしてもよいし、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2に基づく余寿命RL1,RL2(ステップS140参照)を用いて絶縁非劣化時であるか第1モータ絶縁劣化時であるか第2モータ絶縁劣化時であるかを判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2が共に閾値tanδref未満のときには、誘電正接tanδ1と誘電正接tanδ2との大小関係に拘わらず、絶縁非劣化時であると判定するものとしたが、誘電正接tanδ1が誘電正接tanδ2より大きいときには第1モータ絶縁劣化時であると判定し、誘電正接tanδ2が誘電正接tanδ1より大きいときには第2モータ絶縁劣化時であると判定するものとしてもよい。即ち、モータMG1,MG2の誘電正接tanδ1,tanδ2が共に閾値tanδref未満であるか否かに拘わらず、誘電正接tanδ1,tanδ2に基づいて第1モータ絶縁劣化時であるか第2モータ絶縁劣化時であるかを判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、第1モータ絶縁劣化時には、要求パワーPe*と燃費動作ラインより低トルク側の低トルク動作ラインとに基づく回転数Ne2およびトルクTe2をエンジン22の仮回転数Netmpおよび仮トルクTetmpに設定するものとしたが、低トルク動作ラインは、1つだけ設けるものに限定されるものではなく、図14に示すように、モータMG1の絶縁劣化程度(例えば誘電正接tanδ1)が大きいほど高回転数低トルク側となる傾向に複数設けるものとしてもよい。こうすれば、第1モータ絶縁劣化時には、モータMG1の絶縁劣化程度が大きいほどエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*が高回転数低トルク側の傾向となるから、モータMG1の絶縁劣化程度が大きいほどモータMG1のトルク指令Tm1*の大きさが小さくなる傾向となり、モータMG1の絶縁劣化の促進をより適正に抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、第2モータ絶縁劣化時には、モータMG2の回転数Nm2に拘わらず(全回転数領域で)定格最大トルクTm2ratよりある程度小さなトルクを上限トルクTm2limに設定するものとしたが、図15に示すように、モータMG2の回転数Nm2に拘わらず(全回転数領域で)定格最大トルクTm2ratよりある程度小さな範囲で、モータMG2の絶縁劣化程度(例えば誘電正接tanδ2)が大きいほど小さくなる傾向のトルクを上限トルクTm2limに設定するものとしてもよい。こうすれば、モータMG2の絶縁劣化の促進をより適正に抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、第2モータ絶縁劣化時には、モータMG2の回転数Nm2に拘わらず(全回転数領域で)定格最大トルクTm2ratよりある程度小さなトルクを上限トルクTm2limに設定するものとしたが、図16に示すように、定格最大トルクTm2ratと所定値Tm2refとのうち小さい方をモータMG2の上限トルクTm2limに設定するものとしてもよい。ここで、所定値Tm2refは、モータMG2の絶縁劣化がある程度進行しているときでもモータMG2の熱負荷が絶縁劣化を促進させる程度には大きくならないと想定されるモータMG2のトルク範囲の上限などを用いることができる。なお、所定値Tm2refは、固定値を用いるものとしてもよいし、モータMG2の絶縁劣化程度(例えば誘電正接tanδ2)が大きいほど小さくなる傾向の値を用いるものとしてもよい。このように上限トルクTm2limを設定してよいのは、モータMG2の回転数Nm2がある程度高い領域では、定格最大トルクTm2rat自体が比較的小さいことから、定格最大トルクTm2ratをそのまま上限トルクTm2limに設定してその範囲でモータMG2のトルク指令Tm2*を設定したとしてもモータMG2の熱負荷がそれほど大きくならないと考えられる、との理由に基づく。また、第2モータ絶縁劣化時において、アクセル開度Accが閾値Aref(例えば、50%や60%,70%など)以下のときには、定格最大トルクTm2ratと所定値Tm2refとのうち小さい方をモータMG2の上限トルクTm2limに設定し、アクセル開度Accが閾値Arefより大きいときには、定格最大トルクTm2ratから所定値αを減じた値をモータMG2の上限トルクTm2limに設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン運転モードで走行するときの動作について説明したが、モータ運転モードで走行するときには、HVECU70は、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に上述の式(26)〜式(29)によりモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信し、これらを受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子(トランジスタ)のスイッチング制御を行なえばよい。そして、モータ運転モードでの走行中に、要求トルクTr*が始動用閾値Tstart以上である条件や要求パワーPe*が始動用閾値Pstart以上である条件などの少なくとも一つが成立したときにエンジン22を始動してエンジン運転モードに移行するものにおいて、絶縁非劣化時や第1モータ絶縁劣化時には、定格最大トルクTm2rat以下の所定値Tref1を始動用閾値Tstartに設定し、第2モータ絶縁劣化時には、所定値Tref1より小さな所定値Tref2を始動用閾値Tstartに設定するものとしてもよい。こうすれば、第2モータ絶縁劣化時には、モータMG2の絶縁劣化の促進を抑制することができると共に動力性能が低下するのを抑制することができる。
実施例や変形例のハイブリッド自動車20では、エンジン運転モードやモータ運転モードでアクセルオンで走行するときの動作について説明したが、アクセルオフでブレーキオンのとき(減速時)には、絶縁非劣化時や第1モータ絶縁劣化時には、モータMG2の回生駆動によって駆動軸36に作用する制動力(いわゆる回生ブレーキ)や燃料噴射を停止したエンジン22をモータMG1によりモータリングすることによって駆動軸36に作用する制動力(いわゆるエンジンブレーキ),図示しない油圧制動装置によって駆動輪38a,38bや車輪に作用する制動力(いわゆる油圧ブレーキ)のうち回生ブレーキの割合が比較的高くなるよう制御し、第2モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時や第1モータ絶縁劣化時に比して、回生ブレーキの割合が低くなると共にエンジンブレーキや油圧ブレーキの割合が比較的高くなるよう制御するものとしてもよい。こうすれば、第2モータ絶縁劣化時に、第2モータによる発電電力を低減することによって第2モータの熱負荷を低減して、モータMG2の絶縁劣化の促進を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、ローパスフィルタ47を備えると共にリレー45がU相,V相,W相用の切替部45U,45V、45Wを備えるものとしたが、ローパスフィルタ47を備えないと共にリレー45がU相用の切替部45Uを備えないものとしてもよい。この場合、絶縁劣化程度検出処理を実行する際には、正弦波電圧ではなく、通常の駆動制御を実行する際と同様にPWM電圧をU相の端子64Uに印加することになる。
実施例のハイブリッド自動車20では、シェーリングブリッジ回路90A,90Bを設けるものとしたが、これ以外のブリッジ回路を設けるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からの動力を駆動輪38a,38bに接続された駆動軸36に出力するものとしたが、図17の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2からの動力を駆動軸36が接続された車軸(駆動輪38a,38bに接続された車軸)とは異なる車軸(図17における車輪39a,39bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪38a,38bに接続された駆動軸36に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動軸36に出力するものとしたが、図18の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、実施例のハイブリッド自動車20のハード構成に加えて、駆動軸36が接続された車軸(駆動輪38a,38bに接続された車軸)とは異なる車軸(図18における車輪39a,39bに接続された車軸)に動力を入出力すると共にバッテリ50と電力をやりとりするモータMG3を備えるものとしてもよい。
実施例では、本発明をエンジン22とモータMG1,MG2とを備えるハイブリッド自動車20に適用するものとしたが、エンジンを備えずに走行用の複数のモータを備える電気自動車、例えば、図19の変形例の電気自動車320に例示するように、駆動輪38a,38bに動力を入出力可能なモータMGFと、車輪39a、39bに動力を入出力可能なモータMGRと、を備える電気自動車320に適用するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG1,MG2が「複数のモータ」に相当し、インバータ41,42が「複数のインバータ」に相当し、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、シェーリングブリッジ回路90A,90Bと図5の絶縁劣化程度検出処理ルーチンなどを実行するモータECU40とが「複数の絶縁劣化程度検出手段」に相当し、図7の駆動制御ルーチンを実行するHVECU70とHVECU70からのトルク指令Tm1*,Tm2*を受信してモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。
ここで、「複数のモータ」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1,MG2に限定されるものではなく、誘導電動機とするなど、また、モータの数を3つ以上とするなど、如何なるタイプ,2以上の如何なる数のモータであっても構わない。「複数のインバータ」としては、インバータ41,42に限定されるものではなく、複数のモータを駆動するためのものであれば如何なるタイプのインバータであっても構わない。「バッテリ」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、複数のインバータを介して複数のモータと電力をやりとりするものであれば如何なるタイプのバッテリであっても構わない。「複数の絶縁劣化検出手段」としては、シェーリングブリッジ回路90A,90Bに周期的に変化する電圧を印加してこのときのシェーリングブリッジ回路90A,90Bの様子(電流Idet1,Idet2)を検出することによって電極とコイルの導体とによって形成されるコイルの静電容量や誘電正接tanδ1,tanδ2,余寿命を求めるものに限定されるものではなく、複数のモータのそれぞれの絶縁劣化程度を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、HVECU70とモータECU40とからなる組み合わせによって構成されるものに限定されるものではなく、単一の電子制御ユニットによって構成されるものなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、第1モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時や第2モータ絶縁劣化時に比して、モータMG1から出力されるトルクの大きさが小さくなると共に要求トルクTr*によって走行するよう制御し、第2モータ絶縁劣化時には、絶縁非劣化時や第1モータ絶縁劣化時に比して小さなトルクをモータMG2の上限トルクTm2limに設定してこれ以下のトルクがモータMG2から出力されると共に要求トルクTr*によって走行するよう制御するものに限定されるものではなく、複数のモータのうち絶縁劣化程度が最大のモータである絶縁劣化モータのトルクが制限されると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう複数のモータを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20,120、220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、39a,39b 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45,46 リレー、45U,45V,45W 切替部、47 ローパスフィルタ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、61 回転子、62 固定子、63 三相コイル、64U,64V,64W 端子、66 モータケース、69 端子台、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90A,90B シェーリングブリッジ回路、91 絶縁体、92 電極、93 診断用モジュール、95 第1部位、96 コンデンサ、97 抵抗、100 第2部位、101 コンデンサ、102 抵抗、105 第3部位、106 可変抵抗、110 第4部位、111 可変コンデンサ、112 抵抗、115 第5部位、116 抵抗、117 電流センサ、320 電気自動車、D11〜D16 ダイオード、MG1,MG2,MG3,MGF,MGR モータ、T11〜T16 トランジスタ。

Claims (6)

  1. 走行用の複数のモータと、前記複数のモータを駆動するための複数のインバータと、前記複数のインバータを介して前記複数のモータと電力をやりとりするバッテリと、を備える自動車であって、
    前記複数のモータのそれぞれの絶縁劣化程度を検出する複数の絶縁劣化程度検出手段と、
    前記複数のモータのうち前記検出された絶縁劣化程度が最大のモータである絶縁劣化モータのトルクが制限されると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記複数のモータを制御する制御手段と、
    を備える自動車。
  2. 請求項1記載の自動車であって、
    エンジンと、車軸に連結された駆動軸と前記エンジンの出力軸と第3の軸とに3つの回転要素が接続されたプラネタリギヤと、を備え、
    前記複数のモータは、前記第3の軸に動力を入出力可能な第1モータと、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2モータとを有し、
    前記制御手段は、前記第1モータと前記第2モータとのうち前記絶縁劣化モータのトルクが制限されると共に前記要求トルクによって走行するよう前記エンジンと前記第1モータと前記第2モータとを制御する手段である、
    自動車。
  3. 請求項2記載の自動車であって、
    前記制御手段は、前記第1モータの絶縁劣化程度が前記第2モータの絶縁劣化程度より大きいときには、前記第2モータの絶縁劣化程度が前記第1モータの絶縁劣化程度より大きいときに比して、前記エンジンおよび前記第1モータのトルクが制限されると共に前記要求トルクによって走行するよう制御する手段である、
    自動車。
  4. 請求項3記載の自動車であって、
    前記制御手段は、前記第1モータの絶縁劣化程度が前記第2モータの絶縁劣化程度より大きいときには、前記第2モータの絶縁劣化程度が前記第1モータの絶縁劣化程度より大きいときに比して、前記エンジンが高回転数低トルク側の運転ポイントで運転されると共に前記要求トルクによって走行するよう制御する手段である、
    自動車。
  5. 請求項2ないし4のいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
    前記制御手段は、前記第1モータの絶縁劣化程度が前記第2モータの絶縁劣化程度より大きいときには前記第2モータの定格最大トルクを該第2モータの上限トルクとして設定し、前記第2モータの絶縁劣化程度が前記第1モータの絶縁劣化程度より大きいときには前記定格最大トルクに対して制限を施したトルクを前記上限トルクとして設定し、前記上限トルク以下のトルクが前記第2モータから出力されると共に前記要求トルクによって走行するよう制御する手段である、
    自動車。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
    前記絶縁劣化程度検出手段は、前記モータを収容するモータケースおよび前記モータのコイルの導体に対して絶縁体を介して配置された電極と、前記コイルの導体と、によって形成されるコンデンサを含むブリッジ回路を有する手段である、
    自動車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018117409A (ja) * 2017-01-16 2018-07-26 株式会社豊田中央研究所 電動車両の駆動装置

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