JP2014144998A - 固体状セルロースの製造方法及びセルロースエステルの製造方法 - Google Patents

固体状セルロースの製造方法及びセルロースエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロースの溶液から、多量の廃液を排出したり多大なエネルギーを消費する等の環境上の問題を生じさせることなく、セルロース固化物又は成形品等の固体状セルロースを得る方法を提供する。
【解決手段】本発明の固体状セルロースの製造方法は、第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる工程(B)、及び前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する工程(C)を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の含水第四級オニウム水酸化物に溶解させたセルロース溶液からセルロース固化物、セルロース成形品等の固体状セルロースを製造する方法に関する。本発明は、また、前記方法で得られた固体状のセルロースからセルロースエステルを製造する方法に関する。
従来、セルロースの繊維状体を得る方法としては、ビスコース法が知られている。ビスコース(Viscose)とは、再生セルロースの一種類としてのレーヨンを製造する技法のひとつの中間生成物、あるいはそれを経るレーヨン製造技術の総称である。ビスコースからはレーヨンのような繊維の他、フィルム状のものとしては、セロファンを製造することができた。ビスコース法は1892年E.J.ベバンらがセルロースを水酸化ナトリウムと二硫化炭素で処理することにより粘液化、これを酸処理することによってセルロースが再生することを見出したことにより発明された。ビスコース法の概略は、天然のセルロース繊維を化学修飾することで分子間の水素結合を解離していったんコロイド溶液とし、それを再びセルロース分子に戻すことによって高分子を再集合させて繊維を再生し、自在の長さ、形状のセルロース繊維としたものである。それによって天然繊維では得られない長繊維(モノフィラメント)にすることができた。
ビスコース法は以下の反応式で行われていると考えられている。セルロースを水酸化ナトリウムで処理すると、セルロースの6位のヒドロキシル基がナトリウム塩となったアルカリセルロースとなる。
[C6H7O2(OH)3]n + nNaOH → [C6H7O2(OH)2(ONa)]n + nH2O
それを二硫化炭素と混合して放置すると、セルロースキサントゲン酸ナトリウムになって分子間の水素結合を失い、溶解してコロイド溶液となる。
[C6H7O2(OH)2(ONa)]n + nCS2 → [C6H7O2(OH)2(OCSSNa)]n
これは名前の通り黄色(キサントxanthoはギリシャ語で『黄色』の意)の粘い液体である。これをビスコースと称する。最終的に赤褐色の粘性のあるコロイドとなる。ビスコースを細い穴から希硫酸中に噴出させて湿式紡糸すればセルロースキサントゲン酸ナトリウムはセルロースに戻って分子間の水素結合により繊維として再生する。
2 [C6H7O2(OH)2(OCSSNa)]n + nH2SO4 → 2[C6H7O2(OH)3]n + 2nCS2 + nNa2SO4
これがビスコースレーヨンであり、細い隙間から押し出してフィルム状の製品にするとセロファンになる。
このようなセルロースの溶解に二硫化炭素を用いるいわゆるビスコース法では、二硫化炭素による引火の危険性が問題となり、また多量の廃液が生成する(問題点1)。
また、ビスコース法にはもう一つの重要な問題として、得られる再生セルロースの分子量の低下の問題がある。すなわち、パルプなどのセルロースは濃アルカリ液に浸漬されてアルカリセルロースとなり、圧搾粉砕せられ老成工程に送られる。老成工程でアルカリセルロースは酸化崩壊せられ、平均重合度は低下する。普通300〜400程度まで下げる。この間重合度分布は、高重合度部分が減少し、低重合度部分が累積して均一化する。この現象は特に結晶領域と非晶領域とがはっきりしているセルロース源においては顕著であり、酸化によるグルコシド結合の切断はまず非晶領域に起こる。すなわちランダムな崩壊でない。その結果として重合度の分布が生じてしまう(問題点2)。
上記のように化学修飾することなくセルロースを溶解する方法としては、ビスコース法のほかに、リヨセル (Lyocell) に代表されるセルロースそのものを溶剤に溶解させた溶液を紡糸して得られる技術も知られている。リヨセルは1988年イギリスのコートルズ (Courtaulds) 社が試験生産を始めた。リヨセルはセルロース源をN−メチルモルホリン N−オキシドの水溶液に溶解させて紡糸原液(ドープ)とし、これをN−メチルモルホリン N−オキシドの希薄溶液中に押出、繊維とすることで製造される。
リヨセルは、誘導体化などのプロセスを経ないため、セルロース分子の重合度の低下が少なく、上記の問題点2を回避することができ、かつ強度面で優れている。しかし、紡糸時に液晶状態を経由することから、繊維長軸方向に分子が高度に配列させられているため、繊維軸方向に繊維が裂ける(フィブリル化)という欠点が生じ易い(問題点3)。また、粗剛な感触や染色性が多少劣るなどの欠点があるため、そのままで使用することは通常できない。リヨセルのフィブリル化を防止するために様々な技術が提案されているが本質的な改良とはなっていない。また、N−メチルモルホリン N−オキサイド(NMMO)を用いるため、上記の問題点1と同様、環境上の問題がある。
セルロースは直線状のグルコースのユニットの連なりから成っている。そして準結晶構造(semi-crystalline straucture)を形成しており、高い疎水結合の網目状構造を有している。セルロースは水やほとんどの一般的な溶媒には不溶である。セルロースとセルロース誘導体は木やコットンから得られ、そして生物再生可能な化学物質として用いられる。セルロース誘導体を得る化学プロセスとしては、酸化、分解、加水分解、エステル化、アルキル化、共重合化などがある。また、アセチル化、アセチルプロピオニル化、アセチルブチリル化、ニトリル化、カルボキシメチル化、エチル化、ヒドロキシエチル化などがセルロースに対して施される。誘導体化されていないセルロースを溶解するのはアルキルピロリドンのハロゲン化物などの限られた溶媒のみである。
近年、セルロースの溶解にイオン液体を用いる方法が提案された。非特許文献1には、イオン液体として1−アルキル−3−メチルイミダゾールをカチオンとした塩を用い、これにセルロースを溶解する技術が報告されている。より具体的には、1−アルキル−3−メチルイミダゾール塩化物とセルロースを100℃で加熱することにより10%のセルロース溶液を得ている。この溶液はクロスニコル下で非均等な光学的な性質を示す。これは液晶相であることを示している。そして液晶相であるので、上記の問題点3と同様の問題を生じる。また、イオン液体はコストが高い上、イオン液体で塩化物を使用するものは、塩素が回収した溶液、セルロースに混入するので、製造設備を腐食させるという問題がある。さらに、セルロースのイオン液体に溶解した後に該セルロースをエステル化する場合は、不可避的に水が副生するため、イオン液体からこの水を分離するのに大きなエネルギーが必要となり、環境負荷となる(問題点4)。しかも、この加熱により得られるセルロースは変色するという問題もある(問題点5)。
特許文献1には、イミダゾリウムカルボキシレート等のイオン液体と特定量の水を含むセルロース用の溶解溶剤が開示されている。しかし、この溶解溶剤においても、セルロースの溶解には加熱が必要である。
セルロースを加熱することなくイオン液体に溶解する技術も知られている。非特許文献2には、イオン液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアルキルリン酸塩を用いると、45℃で30分の撹拌でセルロースを分解することなく10重量%溶解したことが報告されている。70℃に加熱すると溶解は加速される。このイオン液体は250℃まで揮発、熱分解せず、100℃での長時間加熱にも耐えられる。
また、セルロースをイオン液体に溶解した上で、アセチル化などの誘導体化する方法も提案されている。例えば、特許文献2では、イオン液体にセルロースを溶解した上でアセチル化する技術が開示されている。しかしながら、このような方法では、上記の問題点4が依然として解決できない問題としてある。
一方、機能性高分子材料として、コア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物が注目されている。このコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物を製造する方法として、セルロースアセテートの固体物を得た上で、硫酸触媒などの存在下でこのセルロースアセテート固体物を加水分解する技術が知られている。この技術はセルロースエステルの成形物の表面を加水分解する技術であり、得られる複合物は、表面がセルロース、中心部がセルロースエステルであるコアーシェル構造のセルロース・セルロースエステル複合物となる。
セルロースエステル、特にセルロースアセテートを得る方法として、叩解パルプなどのセルロース源をエステル化触媒の存在下でエステル化を行い、1次セルロースを得ることなく、所望する置換度のセルロースアセテートを製造する技術も開示されている(不均一酢化法)。この方法では、表面がセルロースエステルで、内部がセルロースの複合物が得られ場合があるが、固体物は叩解パルプなどのセルロース源であり、自然界に存在する木材などを加工したものしか得ることができず、例えばモノフィラメントのコア−シェル構造のセルロース・セルロースエステル複合物を得ることはできない。
さらに、従来、セルロースからセルロースエステルを製造するに際し、得られたセルロースエステルから硫酸エステルを完全に除去することはできないという問題がある。周知のセルロース源としては木材パルプ、コットンリンターなどである。これらのセルロースは結晶構造I型をとる。この結晶構造I型のセルロースを原料としてエステル化する方法は周知である。結晶構造I型のセルロースをアセチル化する場合(最もエステル化が容易である)でも、結晶部のセルロースをアセチル化するためには、アセチル化剤は、通常のアセチル化剤ではなく触媒の硫酸と無水酢酸が反応したアセチル硫酸である必要がある。このため、エステル化の容易なアセチル化においても、結晶部のセルロースをアセチル化するためには、触媒の硫酸が不可欠である。まして、プロピオニル化においては、分子の大きい無水プロピオン酸のみでは反応することができず、アセチル硫酸が必要となり、セルロースアセテートプロピオネートという混合脂肪酸エステルとなるのが従来技術であった。
そして、このようなセルロースからセルロースエステルを製造する工程において、硫酸触媒を用いることにより、セルロースエステルの分子の一部が硫酸エステル化することが知られている。このような硫酸エステルはセルロースエステルの保管中に加水分解触媒として作用することが知られている。このため、セルロースエステルの製造においては、この硫酸エステル(結合硫酸)を除去するために様々な試みがされているが、セルロースエステル中から硫酸エステルを完全に除去することはできない(問題点6)。非特許文献3には、セルロースアセテート中の硫酸エステル基を、その含有量が0.1重量%を大きく下回るように加水分解することは著しく困難か、又は不可能であることが示されている。
特開2008−50595号公報 米国特許第8188267号
Electrochemical Society Proceedings Volume 2002-19, 155-164 Green Chem., 2010, 12, 1274-1280 工業化学雑誌、1941, 44, 16-22
従って、本発明の目的は、セルロースの溶液から、多量の廃液を排出したり多大なエネルギーを消費する等の環境上の問題を生じさせることなく、セルロース固化物又は成形品等の固体状セルロースを得る方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、セルロースの溶液から、分子量の低下や分解等を起こしたり引裂強度等の機械的強度を低下させることなく、また着色を生じさせることなく、固体状セルロースを得る方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、セルロースの溶液を低温、短時間で調製できると共に、調製したセルロース溶液から、エステル化等の誘導化が容易となる、主に非晶質のセルロースからなる固体状セルロースを得る方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、セルロースから、大きな環境上の問題を生じさせることなく、品質の良好なセルロースエステルを工業的に効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、セルロースから、結合硫酸を含まないか或いは含んでいても極めて微量なセルロースエステルを工業的に効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、表面がセルロースエステルであり中心部がセルロースである品質の良好なコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の水含有オニウム水酸化物を用いると、セルロースが温和な条件で速やかに溶解すること、得られたセルロース溶液から、分子量の低下や分解等を起こすることなく、良好な品質のセルロース固化物又は成形品等の固体状セルロースが得られること、該固体状セルロースは主に非晶質(結晶構造II型の結晶を少量含む場合もある)であるため、セルロースの誘導体化が極めて容易であり、例えば、セルロースのエステル化においては硫酸触媒を特に必要とせず、結合硫酸を含まないセルロースエステルを得ることができること、さらに、表面がセルロースエステルであり中心部がセルロースであるコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物の高品質品を容易に製造できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき、さらに研究を進めて完成されたものである。なお、第四級ホスホニウム水酸化物又は第四級アンモニウム水酸化物からなる溶媒がセルロースを溶解することは、本発明の発明者により開示されている(Chem. Commun., 2012, 48, 1808-1810)。
すなわち、本発明は、第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる工程(B)、及び前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する工程(C)を含む固体状セルロースの製造方法を提供する。
前記工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と撹拌混合してフレーク状のセルロースを沈殿させてもよい。
また、前記工程(B)の後、水と分液可能で水よりも比重が大きく且つセルロースよりも比重が小さい有機溶媒(s3)を加え、水を主とする上層液と、前記有機溶媒(s3)を主とし且つフレーク状のセルロースが底部に沈殿している下層液とを分液する工程(B′)を含むとともに、工程(C)において、前記フレーク状のセルロースを前記下層液と共に又は前記下層液とは別個に分離回収してもよい。
本発明は、また、第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、及び前記工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて貧溶媒(s2)中に導入し、セルロースを凝固させてセルロース成形品を得る工程(D)を含む固体状セルロースの製造方法を提供する。
前記固体状セルロースの製造方法において、繊維状、フィルム状又は粒状の成形品を得てもよい。
前記各固体状セルロースの製造方法においては、前記溶媒(s1)が、前記オニウム水酸化物の含有量が50〜80重量%、水の含有量が20〜50重量%の溶媒であるのが好ましい。また、前記溶媒(s1)が、前記オニウム水酸化物の含有量が50〜70重量%、水の含有量が30〜50重量%の溶媒であるのがさらに好ましい。
前記オニウム水酸化物は、水酸化テトラブチルホスホニウム及び水酸化テトラブチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
前記貧溶媒(s2)は、水より沸点が低い有機溶媒であるのが好ましい。
水より沸点が低い有機溶媒は、メタノール、エタノール、2−プロパノール及びアセトンからなる群より選択された少なくとも1種であるのが好ましい。
本発明は、さらに、第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる工程(B)、前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する工程(C)、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物を溶媒中でエステル化剤と接触させる工程(E)、工程(E)において生成したセルロースエステルを分離回収する工程(F)を含むセルロースエステルの製造方法を提供する。
前記セルロースエステルの製造方法においては、前記工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と撹拌混合してフレーク状のセルロースを沈殿させてもよい。
また、前記工程(B)の後、水と分液可能で水よりも比重が大きく且つセルロースよりも比重が小さい有機溶媒(s3)を加え、水を主とする上層液と、前記有機溶媒(s3)を主とし且つフレーク状のセルロースが底部に沈殿している下層液とを分液する工程(B′)を含むとともに、工程(C)において、前記フレーク状のセルロースを前記下層液と共に又は前記下層液とは別個に分離回収してもよい。
さらに、前記工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて貧溶媒(s2)中に導入し、モノフィラメント状のセルロースを沈殿させてもよい。
さらにまた、前記工程(B)において、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて液滴状で貧溶媒(s2)中に滴下し、粒状のセルロースを沈殿させてもよい。
前記工程(E)で用いるエステル化剤はカルボン酸無水物であるのが好ましい。
また、工程(E)において、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物を目的物であるセルロースエステルの貧溶媒中でエステル化剤と接触させてもよい。
本発明は、また、上記のセルロースエステルの製造方法[前記工程(E)において、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物を目的物であるセルロースエステルの貧溶媒中でエステル化剤と接触させる方法]により得られる、表面がセルロースエステル、中心部がセルロースであるコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物を提供する。
本発明では、セルロースの溶解に特定の水含有オニウム水酸化物を用いるため、二硫化炭素を用いるビスコース法のような引火の危険性がない。また、セルロースの溶解に用いる溶媒は回収が容易であるため、ビスコース法やN−メチルモルホリン N−オキサイド(HMMO)法で生じる多量の廃液の生成、多大なエネルギーの消費といった環境上の問題が解消される。また、セルロースの溶解を温和な条件下極めて短時間で行うことができるので、着色のないセルロース固化物又は成形品等の固体状セルロースを工業的に効率よく製造できる。さらに、セルロース溶液の調製及びセルロースの成形中に、セルロースの分子量の低下や分解等が起こらないので、高品質でしかも品質のそろったセルロース固化物又は成形品等の固体状セルロースを製造することができる。また、N−メチルモルホリン N−オキサイド(HMMO)法のように紡糸時に液晶状態を経由することがないので、成形品が裂けやすいという問題もない。
また、本発明では、水含有オニウム水酸化物がセルロースの水素結合ネットワークを壊し、セルロース鎖を分子レベルにまで解きほぐす作用をし、このような状態のセルロース溶液を貧溶媒で凝固させるので、セルロースは凝固により急速にクエンチングされ、大部分が非晶相となる(一部分は結晶化する場合があるが、セルロースII型の結晶形態をとる)。このため、得られた固体状セルロースをエステル化反応等により誘導体化することが極めて容易となる。例えば、汎用のセルロース源である木材パルプやコットンリンター(これらのセルロースは結晶構造I型をとる)を用いてアセチル化等のアシル化をする場合には、触媒として硫酸が必須であるが、前記のように、本発明の方法で得られた固体状セルロースは大部分が非晶質であるため(結晶があってもII型である)、硫酸がなくても、所望のアセチル置換度を有するセルロースアセテート等を得ることができる。そのため、結合硫酸を含有しないか、又は含有していても0.1重量%を大きく下回るセルロースアシレートの製造が可能となる。結合硫酸を含有しないセルロースアシレートは、長期間保管しても加水分解等が生じず、所望の品質を長期間安定に保持できる。また、アセチル化以外のアシル化においては、混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートプロピオネート等)ではない単独の脂肪酸エステル(例えばセルロースプロピオネート等)を製造することもできる。
さらに、本発明によれば、任意の形状を付与したセルロース固化物又は成形品等の固体状セルロースを表面からエステル化することができる。エステル化反応を完全に行わず、所望する段階で(例えば所望する置換度で)エステル化を停止することにより、表面がセルロースエステルであり、中心部がセルロースであるコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物を容易に短時間で製造することができる。前記のように、本発明では反応に供する固体状セルロースは大部分が非晶質であり結晶があってもII型であるため、汎用のセルロース源の結晶構造I型のセルロースを用いる場合と異なり、反応が内部に向かって均等に且つ速やかに進行することから、極めて整った構造を有する(例えば、対称性に優れた)コア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物を得ることができる。
実施例及び比較例で用いた紡糸、製膜装置を示す概略図である。
[固体状セルロースの製造−1(セルロース固化物)]
本発明の第1の固体状セルロースの製造方法は、第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる工程(B)、及び前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する工程(C)を含んでいる。
前記第四級ホスホニウム水酸化物、第四級アンモニウム水酸化物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。なお、これらのオニウム水酸化物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
Figure 2014144998
式(1)中、Aはリン原子又は窒素原子であり、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、それぞれ、置換基を有していてもよい、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数6〜18のヒドロキシアリール基を示す。
前記炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基などが挙げられる。炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。炭素数2〜10のアルコキシアルキル基としては、例えば、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、5−メトキシペンチル、6−メトキシヘキシル基などが挙げられる。炭素数7〜19のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル基などが挙げられる。炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられる。炭素数6〜18のヒドロキシアリール基としては、例えば、ヒドロキシフェニル、ヒドロキシナフチル基などが挙げられる。
上記の中でも、炭素数2〜8(特に、炭素数2〜6)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8(特に、炭素数2〜6)のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜8(特に、炭素数2〜6)のアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のヒドロキシアリール基が好ましい。
前記置換基としては、例えば、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、モノ又はジC1-4アルキルアミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
第四級ホスホニウム水酸化物の代表的な例として、水酸化テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラプロピルホスホニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム、水酸化テトラペンチルホスホニウム、水酸化テトラヘキシルホスホニウム等の炭素数2〜8のアルキル基を有する水酸化テトラアルキルホスホニウム;水酸化テトラフェニルホスホニウム;水酸化エチルトリフェニルホスホニウム、水酸化ブチルトリフェニルホスホニウム、水酸化ペンチルトリフェニルホスホニウム、水酸化2−ジメチルアミノエチルトリフェニルホスホニウム、水酸化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム等の、置換基を有していてもよい水酸化アルキルトリフェニルホスホニウムなどが挙げられる。これらの中でも、水酸化テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラプロピルホスホニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム及び水酸化テトラペンチルホスホニウムから選ばれる1種以上が特に好ましく、とりわけ、水酸化テトラブチルホスホニウムが好ましい。
第四級アンモニウム水酸化物の代表的な例として、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム等の炭素数2〜6のアルキル基を有する水酸化テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられる。これらの中でも、水酸化テトラブチルアンモニウムが特に好ましい。
溶媒(s1)においては、前記オニウム水酸化物の含有量は45〜85重量%、水の含有量は15〜55重量%である。オニウム水酸化物及び水の含有量がこの範囲を外れると、セルロースの溶解性が低下し、セルロース濃度がある程度高く且つ均一な溶液を得ることが困難になる。溶媒(s1)は、前記オニウム水酸化物の含有量が50〜80重量%、水の含有量が20〜50重量%であることが好ましく、前記オニウム水酸化物の含有量が50〜70重量%、水の含有量が30〜50重量%であることがさらに好ましい。
工程(A)では、上記溶媒(s1)にセルロースを溶解する。原料セルロースとしては、特に限定されず、結晶セルロース(微結晶セルロース)のほか、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、リンターパルプ(コットンリンターパルプなど)などの種々のセルロース源を用いることができる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本明細書において、用語「セルロース」は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる。木材パルプとしては、広葉樹パルプ及び針葉樹パルプから選択された少なくとも一種が使用でき、広葉樹パルプと針葉樹パルプとを併用してもよい。また、リンターパルプ(精製綿リンターなど)と木材パルプとを併用してもよい。重合度も特に限定されず、例えば、重合度200〜10000程度のセルロースを使用できる。また、セルロースの結晶化度の指標となるα−セルロース含有量(重量基準)も特に限定されず、任意の含有量のものを使用でき、例えば、90%以上、特に98%以上の高結晶度のセルロースであっても用いることができる。セルロースは、通常、セルロース分子及び/又はヘミセルロース分子に結合した状態などで多少のカルボキシル基を含有しているものであってもよい。
本発明では、溶媒(s1)が上記特定の組成を有するので、セルロースを温和な温度条件、例えば、5〜60℃、好ましくは10〜45℃、特に好ましくは常温(25℃)付近(例えば15〜40℃)で撹拌することで、速やかに溶解させることができる。溶解に要する時間は、原料セルロースの種類等によって異なる。例えば、微結晶セルロースでは、0.5〜30分程度、針葉樹サルファイトパルプ、広葉樹前加水分解クラフトパルプ、コットンリンターなどでは、5〜15時間程度で溶解する。
こうして調製されるセルロース溶液中のセルロース濃度は、例えば1〜25重量%程度、好ましくは3〜23重量%である。セルロース濃度が25重量%を超えるものは、粘度が高くなり調製が困難となる。
上記セルロース溶液の1H−NMRを測定すると、セルロース含有量が増えるにしたがってヒドロキシドアニオン/水のピークは低磁場側にシフトする。このことから、上記セルロース溶液において、前記オニウム水酸化物のヒドロキシドアニオン(OH-)がセルロースの水酸基のプロトンと相互作用していることが示唆される。
工程(B)では、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる。貧溶媒(s2)としては、セルロースの貧溶媒であれば特に限定されず、周知の種々の有機溶媒を使用できる。これらの中でも、使用後、前記溶媒(s1)と蒸留により容易に分離除去できるという点から、水より沸点(常圧)が低い有機溶媒が好ましい。また、前記溶媒(s1)との混和性等の点から、親水性有機溶媒(例えば、20℃における水100gに対する溶解度が3g以上である溶媒)が好ましい。
貧溶媒(s2)としては、特に、メタノール、エタノール、2−プロパノール等の炭素数1〜4程度のアルコール;アセトン等のケトンなどが好ましい。貧溶媒(s2)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記溶媒(s1)(水含有オニウム水酸化物)でセルロースを溶かした後、貧溶媒(s2)と接触させると、貧溶媒中には、前記オニウム水酸化物、水が溶出して、オニウム水酸化物、水、貧溶媒の混合物となる。この混合物から貧溶媒を蒸留により分離除去することは容易であり、貧溶媒を除去した後のオニウム水酸化物及び水は、再びセルロースを溶解する溶媒として使用することができる。この際、前記のように貧溶媒(s2)として水より沸点が低い有機溶媒を用いる場合には、水を蒸発させることなく該貧溶媒のみを留去できるため、エネルギー低減の観点から特に好ましい。
工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させる際の温度は、例えば、0〜95℃、好ましくは5〜70℃、さらに好ましくは10〜60℃、特に好ましくは10〜40℃である。
工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させて沈殿したセルロース固化物を濾過して回収し、X線回折すると非晶質であることが分かる(部分的に結晶構造II型の結晶を有する場合もある)。平均分子量9万の微結晶セルロースを原料セルロースとして用いた場合、沈殿したセルロース固化物の分解温度は260℃であった。これに対し、原料として用いた平均分子量9万の微結晶セルロースの結晶構造はI型であり、分解温度は320℃である。このことから、本発明で用いる溶媒(s1)(水含有オニウム水酸化物)は、セルロースの水素結合ネットワークを壊し、セルロース鎖を分子レベルにまで解きほぐす作用を有する(溶解中にセルロースのミクロフィブリル配列を破壊する)と考えられる。また、FT−IRスペクトル分析により、上記沈殿したセルロース固化物は上記の工程中に誘導体化されないことが確認されている。さらに、HPILCによる分析で、沈殿したセルロース固化物の分子量及び分子量分布は原料セルロースと同じであり、上記の工程中に変化しないことが確認されている。
なお、前記工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と撹拌混合してフレーク状のセルロースを沈殿させることができる。このようなフレーク状のセルロースは、セルロースエステル等のセルロース誘導体の出発原料として特に有用である。すなわち、このフレーク状のセルロースは非晶質か、又は結晶部分を有していたとしてもII型の結晶構造であるため、汎用のセルロース源の結晶構造I型のセルロースを用いる場合と比べてはるかに容易にエステル化等の誘導化をすることができる。例えば、エステル化温度、エステル化時間を調整することで、触媒の硫酸の量を著しく低減できる。あるいは硫酸を全く使用しなくてもエステル化(アシル化)が円滑に進行する。そのため、セルロースアセテートであれば、硫酸を使用しなくてもエステル化反応がスムーズに進行するため、セルロースアセテート中の結合硫酸をゼロとすることも可能である。また、セルロースアセテート以外では、セルロースプロピオネート等の混合脂肪酸エステルでないセルロースエステルを容易に製造できる。
また、前記工程(B)の後、水と分液可能で水よりも比重が大きく且つセルロースよりも比重が小さい有機溶媒(s3)(疎水性有機溶媒)を加え、水を主とする上層液と、前記有機溶媒(s3)を主とし且つフレーク状のセルロースが底部に沈殿している下層液とを分液する工程(B′)を設け、工程(C)において、前記フレーク状のセルロースを前記下層液と共に又は前記下層液とは別個に分離回収することもできる。この場合、後の工程での分液性を考慮すると、貧溶媒(s2)としては親水性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン等)が好ましい。
前記有機溶媒(s3)(疎水性有機溶媒)としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。
上記の態様では、セルロース固体物(フレーク状のセルロース)は下層液の底部に沈殿しており、上層液は、オニウム水酸化物、水、貧溶媒(s2)(親水性有機溶媒)の混合液となり、下層液は、前記有機溶媒(s3)(疎水性有機溶媒)と、溶解度の限度内で溶解した微量の水、貧溶媒(s2)(親水性有機溶媒)の混合液となる。このような下層液からフレーク状のセルロースを分離して例えばエステル化工程に供することができる。また、フレーク状のセルロースを分離することなく下層液と一緒に例えばエステル化工程に供してもよい。後者の場合、下層液中の溶媒をそのままエステル化溶媒として用いることができる。
具体的操作としては、例えば、前記工程(B)の後、沈殿したセルロースを含む貧溶媒(s2)(親水性有機溶媒が好ましい)に、前記疎水性の有機溶媒(s3)を添加し、強く撹拌し、必要に応じて遠心分離に付すことにより、フレーク状のセルロースを疎水性の有機溶媒(s3)の底部に沈降させることができる。
工程(C)では、前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する。セルロース固化物の分離回収は、例えば、濾過、遠心分離、乾燥等公知乃至慣用の方法で行うことができる。
[固体状セルロースの製造−2(セルロース成形品)]
本発明の第2の固体状のセルロースの製造方法は、第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、及び前記工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて貧溶媒(s2)中に導入し、セルロースを凝固させてセルロース成形品を得る工程(D)を含んでいる。
工程(A)は前記と同様である。工程(D)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を、吐出手段を用いて貧溶媒(s2)中に導入し、貧溶媒中でセルロースを凝固させることで、さらに良質なセルロース固体物を得ることができる。すなわち、工程(A)で得られたセルロース溶液を、貧溶媒(s2)中に、ノズル等の口金を用いて押し出すことにより、分子量の低下や、着色のないセルロース成形品を得ることができる。また、吐出手段、例えば、口金の形状等を適宜変更することにより、所望する形状のセルロース成形品、例えば、繊維状(糸状)、フィルム状等のセルロース成形品を製造できる。本発明によれば、特にモノフィラメント状のセルロースを容易に製造できる。また、セルロース溶液を液滴状で貧溶媒(s2)中に滴下することにより、粒状のセルロースを得ることができる。
前記貧溶媒(s2)が、水より沸点が低い有機溶媒(揮発性有機溶媒)である場合には、前記のようにリサイクルが容易であり、廃液の量を著しく低減できる。
また、本発明では、前述したように、前記溶媒(s1)によりセルロース鎖が分子レベルまでほぐされた状態のセルロース溶液を貧溶媒中に導入して凝固させるので、セルロースは凝固により急速にクエンチングされ、大部分が非晶相となる(一部分は結晶化する場合があるが、セルロースII型の結晶形態をとる)ため、得られたセルロース成形品をエステル化反応等により誘導体化することも容易である。
[セルロースエステルの製造]
本発明のセルロースエステルの製造方法は、第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる工程(B)、前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する工程(C)、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物を溶媒中でエステル化剤と接触させる工程(E)、工程(E)において生成したセルロースエステルを分離回収する工程(F)を含んでいる。
工程(A)、工程(B)、工程(C)は前記と同様である。
本発明のセルロースエステルの製造方法では、工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて貧溶媒(s2)中に導入し、モノフィラメント状のセルロースを沈殿させてもよい。また、工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて液滴状で貧溶媒(s2)中に滴下し、粒状のセルロースを沈殿させてもよい。さらに、工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と撹拌混合してフレーク状のセルロースを沈殿させてもよい。こうして得られるモノフィラメント状のセルロース、粒状のセルロース、フレーク状のセルロースは、エステル化に供する原料セルロースとして好適である。
また、前記固体状セルロースの製造方法で記載したように、工程(B)の後、水と分液可能で水よりも比重が大きく且つセルロースよりも比重が小さい有機溶媒(s3)を加え、水を主とする上層液と前記有機溶媒(s3)を主とし且つフレーク状のセルロースが底部に沈殿している下層液とを分液する工程(B′)を設けるとともに、工程(C)において、前記フレーク状のセルロースを前記下層液と共に又は前記下層液とは別個に分離回収することもできる。こうして得られるフレーク状のセルロースもエステル化に供する原料セルロースとして有用である。
工程(E)はセルロースのエステル化工程(アシル化工程)であり、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物(成形品を含む)(例えば、フレーク状のセルロース、繊維状のセルロース、粒状のセルロース等)を溶媒中でエステル化剤(アシル化剤)と接触させる。
エステル化反応(アシル化反応)の溶媒としては、セルロースのエステル化反応で一般に用いられる溶媒であればよく、例えば、酢酸等のカルボン酸、塩化メチレン、クロロホルムなどが挙げられる。これらの溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エステル化剤としては、目的とするセルロースエステルに対応するエステル化剤を使用でき、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等のカルボン酸無水物(無水カルボン酸)のほか、塩化アセチル、塩化プロピオニル等のカルボン酸ハライドなどの公知のエステル化剤を使用できる。エステル化剤としては、反応性、取扱性等の点で、カルボン酸無水物(無水カルボン酸)が特に好ましい。
エステル化反応において、溶媒の使用量としては、特に制限はないが、例えば、セルロース100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは50〜600重量部程度である。また、エステル化剤の使用量としては、例えば、セルロースの水酸基に対して1.1〜4当量、好ましくは1.1〜2当量程度である。また、エステル化剤の使用量は、セルロース100重量部当たり、例えば200〜400重量部、好ましくは230〜350重量部である。
エステル化反応においては、必要に応じて触媒を用いてもよい。触媒としては、強酸(特に硫酸)や、酢酸のアルカリ金属塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等)などが使用できる。触媒の使用量としては、例えば、セルロース100重量部に対して0.1〜20重量部程度、好ましくは1〜15重量部程度である。本発明では、前記のように、反応に供するセルロースが主に非晶質であり、結晶部分が存在してもII型であるため、特にアセチル化等においては、触媒を用いなくてもセルロースをエステル化することが可能である。
エステル化反応の反応温度は、例えば0〜55℃、好ましくは20〜50℃である。反応温度は一定であってもよく、また、徐々に上昇させたり、段階的に上昇させる等、反応温度を変化させてもよい。
なお、エステル化反応の前に、セルロースを活性化させる活性化工程(又は前処理工程)を設けてもよい。
エステル化反応の終了後、反応系に残存するエステル化剤を失活(クエンチ)させるため、反応系に反応停止剤を添加してもよい。前記反応停止剤は、エステル化剤を失活可能であればよく、通常、少なくとも水を含んでいる場合が多い。反応停止剤として、中和剤を用いることもできる。中和剤としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含む塩基性物質を使用できる。なお、中和剤により触媒(硫酸等)の全部又は一部が中和される。
また、エステル化反応の終了後、生成したセルロースエステルのアシル基置換度を調整するため、熟成工程(加水分解工程)を設けてもよい。熟成工程では、必要に応じて、熟成触媒(硫酸等)、カルボン酸等の溶媒、水などを添加してもよい。熟成反応は、例えば、前記中和剤を添加することにより停止できる。
なお、前記工程(E)において、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物(例えば、フレーク状のセルロース等)を目的物であるセルロースエステルの貧溶媒中でエステル化剤と接触させてもよい。貧溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、2-プロパノール等の炭素数1〜4程度のアルコール;アセトン等のケトンなどが挙げられる。貧溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。このような条件でエステル化反応を完全に行わず、所望する置換度でエステル化を停止することにより、表面がセルロースエステル、中心部がセルロースであるコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物を得ることができる。
前記のように、本発明では、エステル化に供する固体状セルロースは大部分が非晶質であり結晶があってもII型であるため、汎用の結晶構造I型のセルロースを用いる場合と異なり、反応が内部に向かって均等に且つ速やかに進行する。このため、極めて整った構造を有する(例えば、対称性に優れた)コア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物を得ることができる。
こうして得られるコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物は、例えば、薬剤の徐放化のための担体(徐放性薬剤の担体)等に用いることができる。
工程(E)において、反応生成物は、慣用の分離精製手段、例えば、液性調整、晶析、沈殿、濾過、遠心分離水洗、乾燥等により分離精製できる。
本発明のセルロースエステルの製造方法によれば、結合硫酸の無い、或いは極めて少ない(例えば、その含有量が0.1重量%を大きく下回る)セルロースエステル(セルロースアセテート等)を製造できる。また、セルロースアセテート以外のセルロースエステルでは、セルロースプロピオネートなど、混合脂肪酸エステルではない単一の脂肪酸エステルを製造することも可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた原材料を以下に示す。
<オニウム水酸化物>
A−1:水酸化テトラブチルホスホニウム
A−2:水酸化テトラブチルアンモニウム
<セルロース>
B−1:結晶セルロース(商品名「セオラス」、重合度560、旭化成ケミカルズ社製)
B−2:針葉樹サルファイトパルプ(αセルロース含量95%、重合度2500)
B−3:広葉樹前加水分解クラフトパルプ(αセルロース含量98.5%、重合度1800)
B−4:コットンリンター(重合度4000)
<貧溶媒>
C−1:エタノール
C−2:3重量%硫酸水溶液
C−3:メタノール
C−4:2−プロパノール
C−5:アセトン
実施例1〜21、比較例1〜4
下記表1及び2に示す条件で実験を行った。所定の溶媒に所定のセルロースを所定の濃度となるように添加し、所定温度で所定時間、300rpmで撹拌し、セルロース溶液を調製した。得られたセルロース溶液の外観を表1及び2に示す。
次いで、図1に示す紡糸、製膜装置を用いてセルロース成形品[フィラメント(糸)又はフィルム]を得た。すなわち、円筒状の容器内に、該容器の下部から貧溶媒供給ライン2より所定温度の貧溶媒を所定流量で供給し、該容器上部に設けられた溶媒類抜き取りライン7から溶媒類を連続的に排出させた。一方、容器内に満たされた貧溶媒中に、セルロース溶液供給ライン1から供給されるセルロース溶液を、成形品形状に応じた形状のノズル3(キャンドルフィルター付き)を用いて所定の流量で注入し、貧溶媒と接触させてセルロースを凝固させた。得られたセルロース成形品(フィラメント又はフィルム)4を巻き取りリール5で巻き取り、用いた貧溶媒と水で順次洗浄を行い、減圧下60℃で恒量となるまで乾燥を行うことで(洗浄、乾燥処理6)、セルロース成形品を得た。得られたセルロース成形品の形状及び寸法等を表1及び2に示す。なお、比較例1〜4では、セルロース溶液に未溶解片が散見され、この未溶解片によりノズルが詰まり、成形ができなかった。
Figure 2014144998
Figure 2014144998
実施例22
実施例2で得られたセルロースフィルムを粉砕し、有機溶媒のメタノール、アセトン及びヘキサンでこの順に溶媒置換して乾燥した。この粉末状のセルロースに、40倍量(重量)の塩化アセチルを加え、得られた混合物を20〜30℃に10時間保持することでアセチル化反応を行なった。その後、反応混合物を大量の水中に投じてアセチルセルロースを得た。これを中和後十分に水洗し、乾燥させた。乾燥後、アセチルセルロースをアセトンに溶解し、その溶液を平底ガラス容器に入れて風乾し、容器底面に生成したアセチルセルロース膜を回収した。アセチル置換度は2.4であった。このアセチルセルロース(セルロースアセテート)を原子吸光分析したところ、硫黄分は確認されなかった。
実施例23
実施例22と同じ粉末状のセルロースに1倍量(重量)の酢酸カリウムを加え、これに40倍量(重量)の塩化アセチルを加えたことを除いては、実施例22と全く同様にしてアセチルセルロースを得た。アセチル置換度は2.5であった。
比較例5
粉末状のセルロースとして原材料B−1を用いたこと以外は実施例23と全く同様にしてアセチルセルロースを得た。アセチル置換度は1.3であった。
比較例6
原材料B−1の代わりに原材料B−2を用いたこと以外は比較例5と全く同様にしてアセチルセルロースを得た。アセチル置換度は1.1であった。
比較例7
原材料B−1の代わりに原材料B−3を用いたこと以外は比較例5と全く同様にしてアセチルセルロースを得た。アセチル置換度は1.4であった。
比較例8
原材料B−1の代わりに原材料B−4を用いたこと以外は比較例5と全く同様にしてアセチルセルロースを得た。アセチル置換度は0.9であった。
1 セルロース溶液供給ライン
2 貧溶媒供給ライン
3 ノズル(紡糸口金又は製膜口金)及びキャンドルフィルター
4 フィラメント又はフィルム
5 巻き取りリール
6 洗浄、乾燥処理
7 溶媒類抜き取りライン

Claims (18)

  1. 第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる工程(B)、及び前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する工程(C)を含む固体状セルロースの製造方法。
  2. 前記工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と撹拌混合してフレーク状のセルロースを沈殿させる請求項1記載の固体状セルロースの製造方法。
  3. 前記工程(B)の後、水と分液可能で水よりも比重が大きく且つセルロースよりも比重が小さい有機溶媒(s3)を加え、水を主とする上層液と、前記有機溶媒(s3)を主とし且つフレーク状のセルロースが底部に沈殿している下層液とを分液する工程(B′)を含むとともに、工程(C)において、前記フレーク状のセルロースを前記下層液と共に又は前記下層液とは別個に分離回収する請求項2記載の固体状セルロースの製造方法。
  4. 第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、及び前記工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて貧溶媒(s2)中に導入し、セルロースを凝固させてセルロース成形品を得る工程(D)を含む固体状セルロースの製造方法。
  5. 繊維状、フィルム状又は粒状の成形品を得る請求項4記載の固体状セルロースの製造方法。
  6. 前記溶媒(s1)が、前記オニウム水酸化物の含有量が50〜80重量%、水の含有量が20〜50重量%の溶媒である請求項1〜5の何れか1項に記載の固体状セルロースの製造方法。
  7. 前記溶媒(s1)が、前記オニウム水酸化物の含有量が50〜70重量%、水の含有量が30〜50重量%の溶媒である請求項6記載の固体状セルロースの製造方法。
  8. 前記オニウム水酸化物が、水酸化テトラブチルホスホニウム及び水酸化テトラブチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7の何れか1項に記載の固体状セルロースの製造方法。
  9. 前記貧溶媒(s2)が、水より沸点が低い有機溶媒である請求項1〜8の何れか1項に記載の固体状セルロースの製造方法。
  10. 水より沸点が低い有機溶媒が、メタノール、エタノール、2−プロパノール及びアセトンからなる群より選択された少なくとも1種である請求項9記載の固体状セルロースの製造方法。
  11. 第四級ホスホニウム水酸化物及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも1種のオニウム水酸化物と水とを含み、且つ前記オニウム水酸化物の含有量が45〜85重量%、水の含有量が15〜55重量%である溶媒(s1)にセルロースを溶解する工程(A)、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と接触させてセルロースを沈殿させる工程(B)、前記工程(B)で沈殿したセルロース固化物を分離回収する工程(C)、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物を溶媒中でエステル化剤と接触させる工程(E)、工程(E)において生成したセルロースエステルを分離回収する工程(F)を含むセルロースエステルの製造方法。
  12. 前記工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を貧溶媒(s2)と撹拌混合してフレーク状のセルロースを沈殿させる請求項11記載のセルロースエステルの製造方法。
  13. 前記工程(B)の後、水と分液可能で水よりも比重が大きく且つセルロースよりも比重が小さい有機溶媒(s3)を加え、水を主とする上層液と、前記有機溶媒(s3)を主とし且つフレーク状のセルロースが底部に沈殿している下層液とを分液する工程(B′)を含むとともに、工程(C)において、前記フレーク状のセルロースを前記下層液と共に又は前記下層液とは別個に分離回収する請求項12記載のセルロースエステルの製造方法。
  14. 前記工程(B)において、工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて貧溶媒(s2)中に導入し、モノフィラメント状のセルロースを沈殿させる請求項11記載のセルロースエステルの製造方法。
  15. 前記工程(B)において、前記工程(A)で得られたセルロース溶液を吐出手段を用いて液滴状で貧溶媒(s2)中に滴下し、粒状のセルロースを沈殿させる請求項11記載のセルロースエステルの製造方法。
  16. 前記工程(E)で用いるエステル化剤がカルボン酸無水物である請求項11〜15の何れか1項に記載のセルロースエステルの製造方法。
  17. 工程(E)において、前記工程(C)で分離回収したセルロース固化物を目的物であるセルロースエステルの貧溶媒中でエステル化剤と接触させる請求項11〜16の何れか1項に記載のセルロースエステルの製造方法。
  18. 請求項17記載のセルロースエステルの製造方法により得られる、表面がセルロースエステル、中心部がセルロースであるコア−シェル構造のセルロースエステル・セルロース複合物。
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