JP2014144882A - シリカ複合粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリカ粒子の表面が、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物、及び疎水化処理剤により順次表面処理されたシリカ複合粒子において、蛍光X線による該シリカ複合粒子中のチタン含有率が0.001質量%以上10質量%以下であり、該シリカ複合粒子の表層部のチタン含有率が下記式(1):0.6<Y/X<1.8((式(1)中、Xは蛍光X線によるシリカ複合粒子中のチタン含有率(質量%)を示す。YはXPS測定によるシリカ複合粒子表面のチタン含有率(atom%)を示す。))を満し、該シリカ複合粒子の平均粒径が30nm以上500nm以下で、且つ粒度分布指標が1.1以上1.5以下であるシリカ複合粒子。
【選択図】なし
Description
また、突起物を化学結合により母体粒子に結着する等して、表面を突起状にすることにより非球状としたシリカ粒子が提案されている(例えば、特許文献5乃至11参照)。
さらに、特許文献12又は13に、球状のシリカ粒子を合一させた、繭型ないし落花生様双子型のシリカ粒子が開示されている。
特許文献15には、少なくともSiを含む2種類以上の金属原子を含有する比表面積300m2/g以下の複合酸化物微粒子が開示されている。
特許文献16には、無機酸化物膜で被覆されてなる複合酸化物粒子の作成方法が開示されている。
特許文献17には、アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランを供給すると共に、前記テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して0.1mol以上0.4mol以下でアルカリ触媒を供給する工程と、を有するシリカ粒子の製造方法が開示されている。
特許文献18には、平均粒径が100nm以上500nm以下、粒度分布指標が1.40以上1.80以下、かつ、平均円形度が0.5以上0.85以下である一次粒子の95個数%以上が、円形度と粒子径(nm)とについて、下記式(1):円形度=α×粒径/1000+β(但し、−2.5≦α≦−0.9、0.8≦β≦1.2)を満たすシリカ粒子が開示されている。
シリカ粒子の表面が、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物、及び疎水化処理剤により順次表面処理されたシリカ複合粒子において、蛍光X線による該シリカ複合粒子中のチタン含有率が0.001質量%以上10質量%以下であり、該シリカ複合粒子の表層部のチタン含有率が下記式(1)を満し、該シリカ複合粒子の平均粒径が30nm以上500nm以下で、且つ粒度分布指標が1.1以上1.5以下であるシリカ複合粒子。
・式(1)0.6<Y/X<1.8
(式(1)中、Xは蛍光X線によるシリカ複合粒子中のチタン含有率(質量%)を示す。YはXPS測定によるシリカ複合粒子表面のチタン含有率(atom%)を示す。)
前記シリカ複合粒子の平均円形度が0.5以上0.85以下である請求項1に記載のシリカ複合粒子。
アルコールを含む溶媒中にアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒中に、テトラアルコキシシラン、及びアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物とアルコールとの混合液を添加して、前記有機チタン化合物により前記シリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
疎水化処理剤により、前記有機チタン化合物で表面処理されたシリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。
アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下の供給量で、テトラアルコキシシランを供給すると共に、前記テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して、0.1mol以上0.4mol以下でアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物とアルコールとの混合液を供給して、前記有機チタン化合物により前記シリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
疎水化処理剤により、前記有機チタン化合物で表面処理されたシリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。
請求項2に係る発明によれば、シリカ複合粒子の円形度が上記範囲を満たさない場合に比べ、付着対象物に対する分散性及び付着対象物の流動維持性を改善する異形状のシリカ複合粒子を提供できる。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、シリカ粒子の表面が、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物、及び疎水化処理剤により順次表面処理されたシリカ複合粒子である。
そして、蛍光X線によるシリカ複合粒子中のチタン含有率は0.001質量%以上10質量%以下であり、シリカ複合粒子の表層部のチタン含有率は下記式(1)を満し、シリカ複合粒子の平均粒径は30nm以上500nm以下で、且つ粒度分布指標は1.1以上1.5以下である。
・式(1)0.6<Y/X<1.8
(式(1)中、Xは蛍光X線によるシリカ複合粒子中のチタン含有率(質量%)を示す。YはXPS測定によるシリカ複合粒子表面のチタン含有率(atom%)を示す。)
この理由は、定かではないか以下に示す理由によるものと考えられる。
このシリカ複合粒子は、適度な大きさで、粒度分布が揃っていることにより、粒度分布が広い粒子群よりも粒子同士の密着性が少なくなるため、粒子同士の摩擦が生じ難くなると考えられる。その結果、シリカ複合粒子自体の流動性に優れると考えられる。
また、このシリカ複合粒子は、適度な大きさで、上記式(1)を満たすことにより、付着対象物に対してシリカよりも親和性が高いチタンが中央部部に比べ表面に多く存在している。これにより、付着対象物に付着した際、付着対象物への埋まり込み、離脱が生じ難くなると考えられる。
このため、本実施形態に係るシリカ複合粒子付着対象物に対する分散性及び付着対象物の流動維持性を改善すると考えられる。
具体的には、蛍光X線によるシリカ複合粒子中のチタン含有率が0.001質量%以上10質量%以下であり、シリカ複合粒子の表層部のチタン含有率が下記式(1)を満たす
・式(1)0.6<Y/X<1.8
(式(1)中、Xは蛍光X線によるシリカ複合粒子中のチタン含有率(質量%)を示す。YはXPS測定によるシリカ複合粒子表面のチタン含有率(atom%)を示す。)
一方、チタンの含有率が上記範囲を超えると、シリカ複合粒子を作製する際、有機チタン化合物(特にテトラアルコキシチタン)の反応が激しいことに起因して、過大な粗粉の発生や、粒度分布、形状の悪化とつながり、目的とする粒度が得られず、特に、シリカ複合粒子に機械的負荷がかかった場合に欠損しやすく、流動維持性を向上させ難い。
XPS測定によるシリカ複合粒子表面のチタン含有率は、X線光電子分光分析装置によって求める。具体的には、測定装置として日本電子製JPS9000MXを用い、MgKα線で、10kV、20mmAの条件にて測定し、各元素のピークの強度からチタン含有率を求める、
本実施形態のシリカ複合粒子は、平均粒径が30nm以上500nm以下(望ましくは60nm以上500nm以下、より望ましくは100nm以上350nm以下、さらに望ましくは100nm以上250nm以下)である。
なお、平均粒径は、シリカ複合粒子の一次粒子の平均粒径である。
一方、シリカ複合粒子の平均粒径が500nmを超えると、シリカ複合粒子に機械的負荷が加わった場合に欠損しやすく、付着対象物の流動維持性が実現され難くなる。
本実施形態のシリカ複合粒子は、粒度分布指標が1.1以上1.5以下(望ましくは1.25以上1.40以下)である。
なお、粒度分布指数は、シリカ複合粒子の一次粒子の粒度分布指数である。
一方、シリカ複合粒子の粒度分布が1.5を超えると、粗大粒子の発生や、粒径のばらつきにより付着対象物への分散性が悪化し、また、粗大粒子の存在が増えるに伴い、その機械的負荷による欠損粒子が増えるため、付着対象物の流動維持性が実現され難くなる。
本実施形態のシリカ複合粒子は、例えば、平均円形度が0.5以上0.85以下(望ましくは0.6以上0.8以下)がよい。
なお、平均円形度は、シリカ複合粒子の一次粒子の平均円形度である。
一方、シリカ複合粒子の平均円形度が0.85を超えると、シリカ複合粒子は球形に近づく。そのため、付着対象物との混合する際の撹拌の機械的負荷などによってシリカ複合粒子が偏って付着したり、経時保存後にシリカ複合粒子が偏って付着したりして付着対象物への分散性が悪化し、また、シリカ複合粒子が付着対象物からの脱離が生じやすくなることがある。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I2) 式(2)
〔式(2)中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を示し、Aは一次粒子の投影面積を表す。
そして、シリカ複合粒子の平均円形度は、上記画像解析によって得られた一次粒子100個の円相当径の累積頻度における50%円形度として得られる。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、上記本実施形態に係るシリカ複合粒子を得るための製造方法であり、具体的には、以下の通りである。
一方で、特に、上記本実施形態に係るシリカ複合粒子のうち、異形状のシリカ複合粒子を得るためには、以下に示す方法を採用することがよい。
以下、この異形状のシリカ複合粒子の製造方法を、「本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法」と称して説明する。
そして、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給をそれぞれ続けていくと、テトラアルコキシシランの反応により、生成した核粒子が成長し、シリカ複合粒子が得られる。
このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給を、その供給量を上記関係で維持しつつ行うことで、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、異形状の核粒子がその異形状を保ったまま粒子成長し、結果、異形状のシリカ複合粒子が生成されると考えられる。これは、このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給量を上記関係とすることで、核粒子の分散を保持しつつも、核粒子表面における張力と化学的親和性の部分的な偏りが保持されることから、異形状を保ちながらの核粒子の粒子成長が生じると考えられるためである。
なお、シリカ複合粒子の平均粒径は、テトラアルコキシシランの総供給量に依存すると考えられる。
また、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、生成した異形状の核粒子が異形状を保ったまま粒子成長され、シリカ複合粒子が得られると考えられることから、機械的負荷に強く、壊れ難いシリカ複合粒子が得られると考えられる。
また、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、アルカリ触媒溶液中に、アルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給し、アルコキシシランの反応を生じさせることで、粒子生成を行っていることから、従来のゾルゲル法により異形状のシリカ複合粒子を製造する場合に比べ、総使用アルカリ触媒量が少なくなり、その結果、アルカリ触媒の除去工程の省略も実現される。これは、特に、高純度が求められる製品にシリカ複合粒子を適用する場合に有利である。
アルカリ触媒溶液準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
アルカリ触媒の濃度が、0.6mol/Lより少ないと、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の濃度が、0.85mol/Lより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、真球状の核粒子が生成され、平均円形度が0.85以下の異形状の核粒子が得られず、その結果、異形状のシリカ複合粒子が得られない。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
粒子生成工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給し、当該アルカリ触媒溶液中で、テトラアルコキシシランを各々反応(加水分解反応、縮合反応)させて、シリカ粒子を生成する工程である。
この粒子生成工程では、テトラアルコキシシランの供給初期に、テトラアルコキシシランの反応により、核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、この核粒子の成長を経て(核粒子成長段階)、シリカ粒子が生成する。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.001mol以上0.01mol以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給することを意味する。
なお、シリカ複合粒子の粒径については、テトラアルコキシシランの種類や、反応条件にもよるが、粒子生成の反応に用いるテトラアルコキシシランの総供給量を、例えばシリカ複合粒子分散液1Lに対し1.08mol以上とすることで、粒径が100nm以上の一次粒子が得られ、シリカ複合粒子分散液1Lに対し5.49mol以下とすることで、粒径が500nm以下の一次粒子が得られる。
テトラアルコキシシランの供給量が0.01mol/(mol・min)以上であると、滴下されたテトラアルコキシシランと核粒子とが反応する前に、テトラアルコキシシラン同士の反応を生じさせることになると考えられる。そのため、核粒子へのテトラアルコキシシラン供給の偏在化を助長し、核粒子形成のバラツキをもたらすことから、平均粒径、形状分布の分布幅が拡大することとなる。
アルカリ触媒の供給量が、0.1molより少ないと、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成さたり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の供給量が、0.4molより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、核粒子生成段階で異形状の核粒子が生成されても、その核粒子成長段階で核粒子が球状に成長し、異形状のシリカ複合粒子が得られない。
表面処理工程は、上記工程を経てシリカ粒子が生成したアルカリ触媒溶液中に、有機チタン化合物とアルコールとの混合液を供給し、有機チタン化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する工程である。
具体的には、例えば、有機チタン化合物の有機基(例えばアルコシキ基)とシリカ粒子の表面のシラノール基を反応させて、有機チタン化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する。
但し、有機チタン化合物は、反応速度の制御性や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、アルコキシ基を1個以上(望ましくは2個以上)有する有機チタン化合物であることがよい。つまり、有機チタン化合物は、アルコキシ基(酸素を介してチタン原子に結合するアルキル基)がチタン原子に1個以上(望ましくは2個以上)結合している有機チタン化合物であることがよい。
なお、アルコキシ基の炭素数は、反応速度の制御性や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、8以下がよく、望ましくは1以上4以下である。
特に、有機チタン化合物の反応速度の制御や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、アルコールは、有機チタン化合物のアルコキシ基の炭素数よりも小さい炭素数(具体的には、例えば、炭素数差が0以上2以下(望ましくは0以上1以下)の炭素数)のアルコールであることがよい。
なお、アルコールは、上記アルカリ触媒溶液に含まれるアルコールと同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
そして、有機チタン化合物とアルコールとの混合液の供給は、例えば、シリカ粒子に対する有機チタン化合物の比率が0.001質量%以上10質量%以下となるように行うことがよい。
本混合液の供給量を上記範囲とすると、有機チタン化合物の反応速度が制御され、ゲル化を抑制し易くなり、上記目的とするシリカ複合粒子のチタン含有率、形状、粒径、粒度分布が得られ易くなる。
この状態で、得られるシリカ複合粒子は、分散液の状態で得られるが、そのままシリカ複合粒子分散液として用いてもよいし、溶媒を除去してシリカ複合粒子の粉体として取り出して用いてもよい。
乾燥されたシリカ複合粒子は、必要に応じて解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミルなどの乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機など公知のものにより行う。
疎水化処理工程は、上記工程を経て得られたシリカ複合粒子の表面を疎水化処理剤により疎水化処理する。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。
ここで、粉体のシリカ複合粒子を疎水化処理する方法としては、ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体の親水性シリカ複合粒子を攪拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を加熱することで疎水化処理剤をガス化して粉体のシリカ複合粒子の表面のシラノール基と反応させる方法が挙げられる。処理温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは120℃以上200℃以下である。
−アルカリ触媒溶液準備工程〔アルカリ触媒溶液の調製〕−
攪拌翼、滴下ノズル、温度計を有した容積2.5Lのガラス製反応容器にメタノール400部、10%アンモニア水(NH4OH)70部を入れ、攪拌混合して、アルカリ触媒溶液を得た。このときのアルカリ触媒溶液のアンモニア触媒量:NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、0.71mol/Lであった。
次に、アルカリ触媒溶液の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液を120rpmで撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)200部と、触媒(NH3)濃度3.8%アンモニア水(NH4OH)158部とを、下記供給量で、同時に滴下を開始し、60分かけて滴下を行い、シリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液)を得た。
また、3.8%アンモニア水の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1molに対して0.27mol/minとなるように調整した。
ブタノールによりオルトチタン酸テトラブチル(テトラ−n−ブトキシチタニウム)が1.0質量%となるように希釈したアルコール希釈液を作製した。
シリカ粒子が生成した溶液に、アルコール希釈液を添加し、シリカ粒子の表面に反応させて、表面処理を行い、シリカ複合粒子を得た。なお、アルコール希釈液の添加は、シリカ粒子100部に対して有機チタン化合物としてのオルトチタン酸テトラブチルが1.75部と成るように行った。
その後、得られたシリカ複合粒子懸濁液の溶媒を加熱蒸留により500部留去し、純水を500部加えた後、凍結乾燥機により乾燥を行い、異形状の親水性シリカ複合粒子を得た。
さらに、親水性シリカ複合粒子35部にヘキサメチルジシラザン7部を添加し、150℃で2時間反応させ、粒子表面が疎水化処理された異形状の疎水性シリカ複合粒子を得た。
表1〜表2に従って、アルカリ触媒溶液準備工程、粒子生成工程、シリカ粒子の表面処理工程での各種条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、異形状の疎水性シリカ複合粒子を得た。
但し、実施例9において、有機チタン化合物として、オルトチタン酸テトラブチルに代えて、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)を用いた。
また、実施例10において、有機チタン化合物として、オルトチタン酸テトラブチルに代えて、チタンイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を用いた。
なお、表1〜表2中、「TMOS供給量」は、アルカリ触媒溶液のアルコールのモル数に対するTMOSの供給量である。
また、「NH3供給量」は、有機金属化合物1min当たりの供給される総供給量の1mol当たりに対するmol数で示す。
また、「アルコール希釈液の供給量」は、アルコール希釈液の添加により供給される有機チタン化合物の部数(シリカ粒子100部に対する部数)を示す。
・「TBT」=オルトチタン酸テトラブチル(テトラ−n−ブトキシチタニウム)
・「BuOH」=ブタノール
(シリカ複合粒子の物性)
各例で得られた疎水性シリカ複合粒子について、既述の方法に従って、シリカ複合粒子の表層部のチタンの含有率、平均粒径、粒度分布、平均円形度について調べた。
なお、実施例1〜12で得られた疎水性シリカ複合粒子について、蛍光X線測定機:XRF1500(島津製作所製)を用い、粒子中の構成元素のNET強度によりチタン含有率を定量し、SEM−EDX(株式会社日立製作所製、S−3400N)によりマッピング処理を行って調べたところ、チタンがシリカ複合粒子の表層部に偏在していることが確認された。
各例で得られた疎水性シリカ複合粒子を樹脂粒子へ分散した際、疎水性シリカ複合粒子の樹脂粒子に対する分散性について評価した。
具体的には、粒径50μmの樹脂粒子6gに疎水性シリカ複合粒子0.01gを添加し、高温高湿環境下(温度10℃、湿度15%RHの環境下)に17時間放置し、低温低湿環境下(温度10℃、湿度15%RHの環境下)に移動させた直後に、振とう機を用いて5分間振とうした後、SEM装置により樹脂粒子表面の観察を行い、下記評価基準に基づいて評価した(環境変動直後の分散性の評価)。
同様に、低温低湿環境下(温度10℃、湿度15%RHの環境下)に移動して17時間経過後も、同様にして、SEM装置により樹脂粒子表面の観察を行い、下記評価基準に基づいて評価した(環境変動経時後の分散性の評価)。
−評価基準(分散性)−
○:樹脂粒子表面にシリカ複合粒子が均一に分散しているもの
△:わずかにシリカ複合粒子の凝集体は見られるものの、樹脂粒子表面へのカバレッジ(被覆量)の低下は見られず、実用上問題ないもの
×:シリカ複合粒子の凝集体が散見され、かつ、明らかな樹脂粒子表面へのカバレッジ(被覆量)の低下が見られ、分散不良であるもの
各例で得られた疎水性シリカ複合粒子を樹脂粒子へ分散した際、樹脂粒子の流動維持性について評価した。
具体的には、粒径10μmの樹脂粒子2gに疎水性シリカ複合粒子0.1gを添加し、高温高湿環境下(温度10℃、湿度15%RHの環境下)に17時間放置し、低温低湿環境下(温度10℃、湿度15%RHの環境下)に移動させた直後に、振とう機を用いて25分間振とうした後、75μmの篩にのせ、振幅1mmで90秒間振動させて、樹脂粒子の落下の様子を観察し、下記評価基準に基づいて評価した(環境変動直後の流動維持性の評価)。
同様に、低温低湿環境下(温度10℃、湿度15%RHの環境下)に移動して17時間経過後も、同様にして、樹脂粒子の落下の様子を観察し、下記評価基準に基づいて評価した(環境変動経時後の流動維持性の評価)。
−評価基準(流動性)−
○:篩上に樹脂粒子が残らない。
△:篩上に樹脂粒子が若干残る。
×:篩上にかなりの樹脂粒子が残る。
Claims (4)
- シリカ粒子の表面が、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物、及び疎水化処理剤により順次表面処理されたシリカ複合粒子において、蛍光X線による該シリカ複合粒子中のチタン含有率が0.001質量%以上10質量%以下であり、該シリカ複合粒子の表層部のチタン含有率が下記式(1)を満し、該シリカ複合粒子の平均粒径が30nm以上500nm以下で、且つ粒度分布指標が1.1以上1.5以下であるシリカ複合粒子。
・式(1)0.6<Y/X<1.8
(式(1)中、Xは蛍光X線によるシリカ複合粒子中のチタン含有率(質量%)を示す。YはXPS測定によるシリカ複合粒子表面のチタン含有率(atom%)を示す。) - 前記シリカ複合粒子の平均円形度が0.5以上0.85以下である請求項1に記載のシリカ複合粒子。
- アルコールを含む溶媒中にアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒中に、テトラアルコキシシラン、及びアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物とアルコールとの混合液を添加して、前記有機チタン化合物により前記シリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
疎水化処理剤により、前記有機チタン化合物で表面処理されたシリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。 - アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下の供給量で、テトラアルコキシシランを供給すると共に、前記テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して、0.1mol以上0.4mol以下でアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、チタン原子に酸素原子を介して有機基が結合している有機チタン化合物とアルコールとの混合液を供給して、前記有機チタン化合物により前記シリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
疎水化処理剤により、前記有機チタン化合物で表面処理されたシリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。
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