JP2014143338A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化物半導体発光素子では、活性層は、下部窒化物半導体コンタクト層と上部窒化物半導体コンタクト層との間に設けられている。下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうちの少なくとも一方は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有する。下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、導電型不純物が変調ドープされて構成されており、周期構造における積層方向に対して垂直でない面において電極と接している。
【選択図】図1
Description
[窒化物半導体発光素子の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を示す断面図である。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、図1に示すように、基板11と、基板11上に設けられた低温バッファ層12と、低温バッファ層12上に設けられたアンドープGaN層13と、アンドープGaN層13上に設けられた下部窒化物半導体コンタクト層14と、下部窒化物半導体コンタクト層14上に設けられた活性層15と、活性層15上に設けられたキャリアバリア層16と、キャリアバリア層16上に設けられたp型GaN層17と、p型GaN層17上に設けられた上部窒化物半導体コンタクト層18と、下部窒化物半導体コンタクト層14に接するn型電極10と、上部窒化物半導体コンタクト層18に接するp型電極19とを備えている。
基板11としては、たとえば、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)、GaP、GaAs、NdGaO3、LiGaO2、Al2O3、MgAl2O4、ZnO、SiC、SiGeまたはZrB2などからなる基板を用いることができる。低温バッファ層12などが形成される基板11の面(基板11の上面)は、極性面、半極性面または無極性面のいずれであっても良い。窒化物半導体発光素子の発光効率を向上させるためには、周期的な凹凸が基板11の上面に設けられていても良い。基板11の厚さはたとえば100μm以上4000μm以下であることが好ましい。
低温バッファ層12は、GaN、AlNまたはAlGaNなどからなることが好ましく、アモルファス状態であっても良いし多結晶であっても良い。低温バッファ層12の厚さは、30nm以上100nm以下であることが好ましい。
アンドープGaN層13の厚さは、4μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。アンドープGaN層13の成長初期においては、低温バッファ層12とアンドープGaN層13との界面近傍に、基板11と低温バッファ層12との格子不整合に起因する転位が高密度に発生する。そして、その転位がアンドープGaN層13の厚さ方向に伝播することがある。螺旋転位と刃状転位とを合成したバーガースベクトルを持つ混合転位は、厚さの増加に伴って消滅するという性質を有する。アンドープGaN層13の厚さが4μm以上であれば、上記混合転位の消滅を図ることができる。また、アンドープGaN層13の厚さが10μm以上であれば、上記混合転位の消滅をさらに図ることができる。
上述のように、本実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14は、第1の障壁層と第1の量子井戸層とが交互に積層されてなる周期構造を有する。第1の量子井戸層の材料は特に限定されず、AlN、GaNまたはInNなどであっても良いし、AlN、GaNおよびInNのうちの少なくとも2つを含む混晶であっても良い。第1の障壁層の材料についても同様のことが言える。一例としては、第1の量子井戸層がInx1Ga1-x1N(0<x1≦1)層であり、第1の障壁層がInx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)層である場合が挙げられる。別の一例としては、第1の量子井戸層がAly1Ga1-y1N(0<y1≦1)層であり、第1の障壁層がAly2Ga1-y2N(0≦y2<1、y2>y1)層である場合が挙げられる。
活性層15は、単一量子井戸構造(SQW)を有していても良いし、多重量子井戸構造(MQW)を有していても良い。活性層15がMQWを有している場合には、活性層15は、バンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体層(以下では「第2の障壁層」と記す)とバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体層(以下では「第2の量子井戸層」と記す)とが積層されて構成されている。以下では、活性層15がMQWを有している場合について示す。
キャリアバリア層16の材料は特に限定されない。しかし、キャリアバリア層16は、半導体発光素子への電流の注入時に、電子がp型層側へオーバーフローすることを防止するという機能を有する。そのため、キャリアバリア層は、比較的高いAl組成比を有することが好ましく、10原子%以上30原子%以下のAlを有することが好ましい。キャリアバリア層16はp型不純物を含んでいることが好ましく、p型不純物としてはBe、C、MgまたはZnなどを挙げることができる。キャリアバリア層16におけるp型不純物の濃度は特に限定されないが、5×1018/cm3以上1×1021/cm3以下であることが好ましい。
p型GaN層17におけるp型不純物の濃度は特に限定されないが、5×1018/cm3以上1×1021/cm3以下であることが好ましい。また、p型GaN層17の厚さは、活性層15への均一な電流の注入を考慮して、注入された正孔が活性層15の面内に十分に拡散するために必要な厚さであることが好ましい。たとえば、p型GaN層17の厚さは、30nm以上100nm以下であることが好ましい。p型GaN層17の厚さが30nm以上である場合には、p型GaN層17の面内方向の抵抗が高くなるので、p型GaN層17の面内に正孔が十分に拡散し、よって、活性層15に均一に電流を注入することができる傾向にある。p型GaN層17の厚さが100nm以下である場合には、p型GaN層17の厚さ方向に流れる電流に対する直列抵抗が小さくなるので、駆動電圧が低下し、よって、電力変換効率が向上する傾向にある。
本実施形態における上部窒化物半導体コンタクト層18は、たとえば、p型GaNからなることが好ましい。上部窒化物半導体コンタクト層18におけるp型不純物の濃度は、特に限定されないが、上部窒化物半導体コンタクト層18とp電極19との間でオーミックコンタクトを得るためには高い方が好ましい。たとえば、上部窒化物半導体コンタクト層18におけるp型不純物の濃度は、p型GaN層17におけるp型不純物濃度の2倍程度であることが好ましく、たとえば1×1019/cm3以上2×1021/cm3以下であることが好ましい。
n型電極10は透明電極であっても良いし、非透明電極であっても良い。透明電極の材料としては、たとえば、In、Ga、Zn、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する金属酸化物を挙げることができる。非透明電極の材料としては、たとえば、AlまたはAgなどの金属を挙げることができる。n型電極10の厚さは特に限定されず、たとえば1nm以上10000nm以下であることが好ましい。なお、n型電極10の材料は、上記材料に限定されない。
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、基板11上に低温バッファ層12とアンドープGaN層13と下部窒化物半導体コンタクト層14と活性層15とキャリアバリア層16とp型GaN層17と上部窒化物半導体コンタクト層18とを順に形成する工程と、下部窒化物半導体コンタクト層14のうち周期構造における積層方向に対して垂直ではない面を露出させる工程と、下部窒化物半導体コンタクト層14の露出された面上に電極を形成する工程とを備えることが好ましい。これにより、図1に示す窒化物半導体発光素子を得ることができるので、上記[窒化物半導体発光素子の構成]で記載された効果を得ることができる。以下では、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法の一例を記す。
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、基板11の極性面上に低温バッファ層12を成長させる。具体的には、まず、基板11をMOCVD装置の反応炉内に設置し、反応炉内を水素雰囲気として水素雰囲気中で基板11を1000℃以上に昇温する。
MOCVD法によって、低温バッファ層12上にアンドープGaN層13を成長させる。具体的には、まず、MOCVD装置の反応炉内へのIII族原料の供給を停止して、V族原料ガスとキャリアガスとの混合雰囲気中で基板11をアンドープGaN層13の成長温度にまで昇温させる。
MOCVD法によって、アンドープGaN層13上に下部窒化物半導体コンタクト層14を成長させる。以下では、n型Al0.2Ga0.8Nからなる第1の障壁層とアンドープGaNからなる第1の量子井戸層とが交互に積層されてなる下部窒化物半導体コンタクト層14の成長方法を記す。
MOCVD法によって、下部窒化物半導体コンタクト層14上に活性層15を形成する。以下では、GaNからなる第2の障壁層とInGaNからなる第2の量子井戸層とが交互に積層されてなる活性層15の成長方法を記す。
MOCVD法によって、活性層15上にキャリアバリア層16を形成する。具体的には、基板11の温度が900℃以上1100℃以下の温度に到達した後、MOCVD装置の反応炉内にIII族原料ガスとp型不純物の原料ガスとを供給する。III族原料ガスはAl原料ガス(たとえばTMA)を含んでいることが好ましい。p型不純物の原料ガスとしては、Mg、Be、ZnまたはCなどの有機化合物を用いることができ、たとえばCp2MgガスまたはEtCp2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)を用いることができる。Alを含むキャリアバリア層を形成する場合には、キャリアガスとして水素ガスを用いることができる。再蒸発によりAlGaN層の表面が荒れるなどの不具合が発生することを防止できるからである。
MOCVD装置の反応炉内へのAl原料ガスの供給を停止してから、MOCVD法によってキャリアバリア層16上にp型GaN層17を形成する。
MOCVD装置の反応炉内へのp型不純物の原料ガスの供給量を増やして(たとえば2倍)、MOCVD法によってp型GaN層17上に上部窒化物半導体コンタクト層18を形成する。
III族原料ガスおよびp型不純物の原料ガスの供給を停止する。その後、MOCVD装置の反応炉内のV族原料ガスとキャリアガスとの混合ガス雰囲気中において、上部窒化物半導体コンタクト層18の成長後の基板11を室温まで降温する。
上部窒化物半導体コンタクト層18の成長後の基板11をMOCVD装置から取り出した後には、p型不純物を活性化するための熱処理(活性化処理)を行なうことが好ましい。窒化物半導体結晶中にドーピングされたp型不純物は、III族サイトに置換されているが、水素により不活性化されている。そのため、MOCVD装置から取り出した直後は、p型窒化物半導体層が高抵抗化している。よって、適切な温度と雰囲気でp型不純物と水素とを分離して、p型不純物を活性化することが好ましい。
活性化処理がなされた基板11上の窒化物半導体層に対して通常のフォトリソグラフィによって電極パターンおよびエッチングパターンを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)によってエッチングを行なう。これにより、上部窒化物半導体コンタクト層18とp型GaN層17とキャリアバリア層16と活性層15と下部窒化物半導体コンタクト層14の一部とがエッチングされ、メサ形状が形成される。このような状態を「下部窒化物半導体コンタクト層14において周期構造における積層方向に対して垂直な面が露出している」という。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を示す断面図である。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、図2に示すように、基板11と、基板11上に設けられた低温バッファ層12と、低温バッファ層12上に設けられたアンドープGaN層13と、アンドープGaN層13上に設けられた下部窒化物半導体コンタクト層24と、下部窒化物半導体コンタクト層24上に設けられた活性層15と、活性層15上に設けられたキャリアバリア層16と、キャリアバリア層16上に設けられた上部窒化物半導体コンタクト層27と、下部窒化物半導体コンタクト層24に接するn型電極20と、上部窒化物半導体コンタクト層27に接するp型電極29とを備えている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる点を主に示す。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を示す断面図である。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、下部窒化物半導体コンタクト層として上記第1の実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14を備え、上部窒化物半導体コンタクト層として上記第2の実施形態における上部窒化物半導体コンタクト層27を備える。よって、窒化物半導体発光素子の動作電圧のさらなる低減を図ることができる。
<低温バッファ層の形成>
実施例1では、図1に示す窒化物半導体発光素子を製造して、それを評価した。具体的には、まず、サファイア基板(基板)をMOCVD装置の反応炉内に設置し、反応炉内を水素雰囲気としてサファイア基板を20分で1000℃以上の温度に昇温させた。次に、MOCVD装置の反応炉内を水素雰囲気に維持しつつ、サファイア基板を20分で約500℃まで降温させた。サファイア基板の温度が500℃に到達した後に、MOCVD装置の反応炉内に、10μmol/minの供給量でTMGガス(III族原料ガス)を供給し、200mmol/minの供給量でアンモニアガス(V族原料ガス)を供給し、キャリアガスとして水素ガスを供給した。これにより、サファイア基板のC面上に、アモルファス状態のGaN層(低温バッファ層)が形成された。
MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスの供給を停止してから、サファイア基板を10分で1100℃まで昇温させた。サファイア基板の温度が1100℃に到達した後に、MOCVD装置の反応炉内に100μmol/minの供給量でTMGガスを供給した。これにより、GaN層上にアンドープGaN層(厚みが10μm)が形成された。
サファイア基板の温度を1100℃に保ったまま、また、TMGガス、アンモニアガスおよび水素ガスのそれぞれの供給量を変更することなく、アンドープGaN層上にアンドープGaN層(第1の量子井戸層、厚みが3nm)を形成した。その後、MOCVD装置の反応炉内に、40μmol/minの供給量でTMAガスを追加で供給し、さらに、0.5μmol/minの供給量でSiH4ガスを供給して、厚みが3nmのn型Al0.2Ga0.8N層(第1の障壁層)を形成した。形成されたn型Al0.2Ga0.8N層には、Siが1×1018/cm3ドープされていた。そして、総膜厚が約1.2μmとなるまで、アンドープGaN層の形成とn型Al0.2Ga0.8N層の形成とを交互に繰り返し行った。形成された下部窒化物半導体コンタクト層には、1層のアンドープGaN層と1層のn型Al0.2Ga0.8N層とが積層されてなる構造が200周期、形成されていた。
MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスおよびTMAガスの供給を停止して、アンモニアガスと水素ガス(キャリアガス)との混合雰囲気中でサファイア基板を10分以内で800℃にまで降温させた。サファイア基板の温度を800℃に保持したまま、MOCVD装置の反応炉内に20μmol/minの供給量でTMGガスを供給した。これにより、GaN障壁層(第2の障壁層、厚みが約8nm)が形成された。その後、MOCVD装置の反応炉内に550μmol/minの流量でTMIガスを追加で供給して、InGaN量子井戸層(第2の量子井戸層、厚みが約4nm)が形成された。ここで、InGaN量子井戸層におけるIn組成の設計値は約0.16であった。そして、GaN障壁層の形成とInGaN量子井戸層の形成とを交互に繰り返し行って、1層のGaN障壁層と1層のInGaN量子井戸層とが積層されてなる構造を6周期、形成した。その後、最表層であるInGaN量子井戸層上に、GaN障壁層(厚みが16nm)を形成した。MOCVD装置の反応炉内へのTMGガス、TMAガス、TMIガスおよび水素ガスの供給を停止してから、キャリアガスとして窒素ガスを供給した。その後、サファイア基板を3分で800℃から1000℃にまで昇温させた。
サファイア基板の温度が1000℃に到達してから、MOCVD装置の反応炉内に、30μmol/minの供給量でTMGガスを供給し、20μmol/minの供給量でTMAガスを供給した。また、1μmol/minの供給量でCp2Mgガスを供給した。これにより、Alを20原子%含むキャリアバリア層(厚みが20nm)が形成された。その後、MOCVD装置の反応炉内へのTMAガスのみの供給を停止して、厚さが60nmのp型GaN層を形成した。その後、MOCVD装置の反応炉内へのCp2Mgガスの供給量を2μmol/minに増加してから、上部窒化物半導体コンタクト層(厚さが30nm)を形成した。このようにして、積層体が得られた。
MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスおよびCp2Mgガスの供給を停止してから、積層体におけるサファイア基板を30分で1000℃から室温まで降温させた。その後、窒素ガスと濃度が5ppmの酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で850℃で2分間の熱処理を行なった。これにより、p型不純物が活性化された。このようにして得られた積層体に対してX線回折法による結晶構造解析、SIMS(二次イオン質量分析)およびC−V測定をそれぞれ行なったところ、下部窒化物半導体コンタクト層のn型Al0.2Ga0.8N層におけるSi濃度は5×1018/cm3であり、キャリアバリア層および上部窒化物半導体コンタクト層におけるMg濃度はどちらも1×1020/cm3であり、p型GaN層におけるMg濃度は1×1019/cm3であった。また、LED素子を構成する各窒化物半導体層の組成、下部窒化物半導体コンタクト層を構成する窒化物半導体層の厚み、および、活性層を構成する窒化物半導体層の厚みは、いずれも、設計通りであることを確認した。
通常のフォトリソグラフィによって電極パターンおよびエッチングパターンを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)によってエッチングを行なった。これにより、上部窒化物半導体コンタクト層とp型GaN層とキャリアバリア層と活性層と下部窒化物半導体コンタクト層の一部とがエッチングされてメサ形状が形成された。
比較例1では、図4(b)に示すように下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接していることを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。
実施例1のLED素子と比較例1のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例1は比較例1よりも0.3V低下した。光出力については、実施例1は比較例1に対して20%向上した。
実施例2では、図2に示す窒化物半導体発光素子を製造して、それを評価した。以下では、上記実施例1とは異なる点を主に示す。具体的には、下部窒化物半導体コンタクト層は、厚さが1.2μmのn型GaN層であり、1×1018/cm3のSiドープ量を有していた。また、上部窒化物半導体コンタクト層は、p型不純物がドープされたAl0.2Ga0.8N層(厚さ3nm)とアンドープGaN層(厚さ3nm)とが交互に積層されて構成されており、その総膜厚は約100nmであった。Al0.2Ga0.8N層を形成するときには、30μmol/minの供給量でTMGガスを供給し、20μmol/minの供給量でTMAガスを供給し、2μmol/minの供給量でCp2Mgガスを供給した。アンドープGaN層を形成するときには、30μmol/minの供給量でTMGガスを供給した。
比較例2では、上部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみp型電極と接していることを除いては上記実施例2に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。
実施例2のLED素子と比較例2のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例2は比較例2よりも0.1V低下した。光出力については、実施例2は比較例2に対して10%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
実施例3では、図3に示す窒化物半導体発光素子を製造して、それを評価した。具体的には、上記実施例2に記載の方法にしたがって上部窒化物半導体コンタクト層を形成するとともに上部窒化物半導体コンタクト層に凹部を形成したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、LED素子を製造した。
比較例3では、下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接しており、上部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみp型電極と接していることを除いては上記実施例3に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。
実施例3のLED素子と比較例3のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例3は比較例3よりも0.4V低下した。光出力については、実施例3は比較例3に対して35%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
実施例4では、下部窒化物半導体コンタクト層の構成が異なることを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。具体的には、アンドープGaN層を成長した後、MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスの供給を停止して、アンモニアガスと水素ガスとの混合雰囲気中でサファイア基板を10分で800℃にまで降温させた。これにより、アンドープGaN層の表面平坦性を維持しながらサファイア基板を降温させることができた。
比較例4では、下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接していることを除いては上記実施例4に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。
実施例4のLED素子と比較例4のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例4は比較例4よりも0.2V低下した。光出力については、実施例4は比較例4に対して10%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
実施例5では、アンドープIn0.05Ga0.95N層の組成を周期構造における積層方向において変化させたことを除いては上記実施例4に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。具体的には、アンドープIn0.05Ga0.95N層のIn組成比を周期構造の積層順に2周期ずつ0.02、0.08、0.18および0.08とした。ただし、アンドープIn0.05Ga0.95N層のそれぞれにおけるIn組成比は一定であった。
比較例5では、下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接していることを除いては上記実施例5に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。
実施例5のLED素子と比較例5のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例5は比較例5よりも0.2V低下した。光出力については、実施例5は比較例5に対して10%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
実施例6では、n型Al0.2Ga0.8N層の組成をアンドープIn0.05Ga0.95N層のIn組成比の変化に従属して変更させたことを除いては上記実施例5に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。具体的には、図5に示すように、n型Al0.2Ga0.8N層のAl組成比を周期構造の積層順に2周期ずつ0.10、0.15、0.20および0.15とした。ただし、n型Al0.2Ga0.8N層のそれぞれにおけるAl組成比は一定であった。本実施例のLED素子について駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定したところ、上記実施例5と同様の結果が得られた。
実施例7では、n型Al0.2Ga0.8N層の組成をアンドープIn0.05Ga0.95N層のIn組成比の変化に独立して変更させたことを除いては上記実施例5に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。具体的には、n型Al0.2Ga0.8N層のAl組成比を周期構造の積層順に2周期ずつ0.15および0.20とした。ただし、n型Al0.2Ga0.8N層のそれぞれにおけるAl組成比は一定であった。本実施例のLED素子について駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定したところ、上記実施例5と同様の結果が得られた。
実施例8では、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のそれぞれを構成する周期構造の組成が異なることを除いては上記実施例3と同様の方法にしたがって、LED素子を製造した。具体的には、下部窒化物半導体コンタクト層は次に示す方法にしたがって形成された。サファイア基板の温度を800℃としてから、MOCVD装置の反応炉へ、20μmol/minの供給量でTMGガスを供給するとともに350μmol/minの供給量でTMIガスを供給した。これにより、アンドープGaN層上にIn0.08Ga0.92N層(第1の量子井戸層、厚さが3nm)が形成された。その後、TMIガスの供給量を200μmol/minとした。また、MOCVD装置の反応炉へ20μmоl/minの供給量でSiH4ガスを供給した。これにより、In0.08Ga0.92N層上にIn0.02Ga0.98N層(第1の障壁層、厚さが3nm)が形成された。そして、総膜厚が約1.2μmとなるまで、In0.08Ga0.92N層の形成とIn0.02Ga0.98N層の形成とを交互に繰り返し行った。形成された下部窒化物半導体コンタクト層には、1層のIn0.08Ga0.92N層と1層のIn0.02Ga0.98N層とが積層されてなる構造が200周期、形成されていた。
実施例9では、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のそれぞれを構成するGaN層の代わりにAl0.05Ga0.95N層を形成したことを除いては上記実施例3に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。つまり、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層は、それぞれ、Al0.20Ga0.80N層とAl0.05Ga0.95N層とが交互に積層されてなる周期構造を有していた。本実施例のLED素子について駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定したところ、上記実施例3と同様の結果が得られた。
Claims (5)
- 窒化物半導体材料を含む活性層を備えた窒化物半導体発光素子であって、
前記活性層は、下部窒化物半導体コンタクト層と上部窒化物半導体コンタクト層との間に設けられ、
前記下部窒化物半導体コンタクト層および前記上部窒化物半導体コンタクト層のうちの少なくとも一方は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有し、
前記下部窒化物半導体コンタクト層および前記上部窒化物半導体コンタクト層のうち前記周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、
導電型不純物が変調ドープされて構成されており、
前記周期構造における積層方向に対して垂直でない面において電極と接している窒化物半導体発光素子。 - 前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成は、前記周期構造における積層方向に周期的に変化している請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体コンタクト層の組成は、前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成の変化に従属して変化している請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体コンタクト層の組成は、前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成の変化に独立して変化している請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記下部窒化物半導体コンタクト層および前記上部窒化物半導体コンタクト層のうち前記周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、前記導電型不純物としてn型不純物を含み、
前記周期構造の前記1周期は、n型不純物の濃度が1×1017/cm3以下である窒化物半導体層と、n型不純物の濃度が1×1018/cm3以上である窒化物半導体層とを有する請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
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