JP2014143338A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】窒化物半導体発光素子の動作電圧を低減すること。
【解決手段】窒化物半導体発光素子では、活性層は、下部窒化物半導体コンタクト層と上部窒化物半導体コンタクト層との間に設けられている。下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうちの少なくとも一方は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有する。下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、導電型不純物が変調ドープされて構成されており、周期構造における積層方向に対して垂直でない面において電極と接している。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体発光素子に関する。
AlN、GaNおよびInNは、それぞれ、約6.0eV、約3.4eVおよび約0.6eVのバンドギャップエネルギーを有している。そのため、これらの混晶を活性層の材料として用いた窒化物半導体発光素子では、紫外域から赤外域までの発光が可能である。このような材料を用いた発光ダイオードは、液晶テレビもしくは携帯電話などのディスプレイのバックライトまたは照明用光源など、様々な用途に応用されている。
活性層の材料として窒化物半導体材料を用いた発光ダイオードには、順方向電圧および閾値電圧を低下させてダイオードの信頼性を向上させることが検討されている。たとえば特許文献1には、基板と活性層との間に、基板側から順に、アンドープ若しくはn型不純物濃度が第2の窒化物半導体層よりも少ない第1の窒化物半導体層と、n型不純物を含み超格子構造よりなるn導電型の第2の窒化物半導体層と、アンドープ若しくはn型不純物濃度が第2の窒化物半導体層よりも少ない第3の窒化物半導体層とを備えた窒化物半導体素子が記載されている。特許文献1に記載された窒化物半導体素子では、第2の窒化物半導体層にn電極が形成されている。
特開平11−191639号公報
特許文献1には、第2の窒化物半導体層の抵抗率が小さいため、n電極と第2の窒化物半導体層とで容易にオーミック接触が得られ、よって、Vf(順方向電圧)などが低下することが記載されている。しかし、動作電圧の更なる低減が要求されている。LEDなどの発光素子の動作電圧が低減すれば、消費電力の減少、定格駆動電流における出力向上および発光素子の発熱量の低減などにつながる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、窒化物半導体発光素子の動作電圧を低減することにある。
本発明に係る窒化物半導体発光素子は窒化物半導体材料を含む活性層を備え、活性層は下部窒化物半導体コンタクト層と上部窒化物半導体コンタクト層との間に設けられている。下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうちの少なくとも一方は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有する。下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、導電型不純物が変調ドープされて構成されており、周期構造における積層方向に対して垂直でない面において電極と接している。
周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成は、周期構造における積層方向に周期的に変化していることが好ましい。
周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体コンタクト層の組成は、周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成の変化に従属して変化していても良いし当該変化に独立して変化していても良い。
下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、導電型不純物としてn型不純物を含むことが好ましい。周期構造の1周期は、n型不純物の濃度が1×1017/cm3以下である窒化物半導体層と、n型不純物の濃度が1×1018/cm3以上である窒化物半導体層とを有することが好ましい。
下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、導電型不純物としてp型不純物を含んでも良い。周期構造の1周期は、p型不純物の濃度が5×1017/cm3以下である窒化物半導体層と、p型不純物の濃度が5×1019/cm3以上である窒化物半導体層とを有することが好ましい。
周期構造の1周期は、Inx1Ga1-x1N(0<x1≦1)層とInx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)層とを有しても良く、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)層とAly2Ga1-y2N(0≦y2<1、y2>y1)層とを有しても良い。
本発明に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有するとともに導電型不純物が変調ドープされた、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうちの少なくとも一方を形成する工程と、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造における積層方向に対して垂直ではない面を露出させる工程と、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層の露出された面上に電極を形成する工程とを備える。
本発明では、窒化物半導体発光素子の動作電圧を低減することができる。
本発明の窒化物半導体発光素子の構成の一例を示す断面図である。 本発明の窒化物半導体発光素子の構成の別の一例を示す断面図である。 本発明の窒化物半導体発光素子の構成のまた別の一例を示す断面図である。 (a)は実施例1の窒化物半導体発光素子の要部断面図であり、(b)は比較例1の窒化物半導体発光素子の要部断面図である。 実施例6の下部窒化物半導体層における組成比の変化を示したグラフである。
以下、本発明の窒化物半導体発光素子およびその製造方法について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
≪第1の実施形態≫
[窒化物半導体発光素子の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を示す断面図である。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、図1に示すように、基板11と、基板11上に設けられた低温バッファ層12と、低温バッファ層12上に設けられたアンドープGaN層13と、アンドープGaN層13上に設けられた下部窒化物半導体コンタクト層14と、下部窒化物半導体コンタクト層14上に設けられた活性層15と、活性層15上に設けられたキャリアバリア層16と、キャリアバリア層16上に設けられたp型GaN層17と、p型GaN層17上に設けられた上部窒化物半導体コンタクト層18と、下部窒化物半導体コンタクト層14に接するn型電極10と、上部窒化物半導体コンタクト層18に接するp型電極19とを備えている。
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子では、下部窒化物半導体コンタクト層14は、バンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体層(以下では「第1の障壁層」と記す)とバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体層(以下では「第1の量子井戸層」と記す)とが交互に積層されてなる周期構造を有する。この下部窒化物半導体コンタクト層14では、導電型不純物が変調ドープされている。別の言い方をすると、第1の障壁層における導電型不純物の濃度は、第1の量子井戸層における導電型不純物の濃度よりも高い。このような状態では、導電型不純物の一部は室温付近において活性化している。そのため、第1の障壁層では自由キャリアが生成され、第1の障壁層の結晶中にはイオン化不純物が存在する。第1の障壁層で生成した自由キャリアは、当該第1の障壁層から第1の量子井戸層へ落ち込む。第1の量子井戸層では、キャリアの散乱を引き起こすイオン化不純物の濃度が非常に低いため、キャリア移動度が高い。よって、第1の量子井戸層は、第1の障壁層に比べて低抵抗である。つまり、下部窒化物半導体コンタクト層14での電気伝導は、第1の障壁層から第1の量子井戸層へ落ち込んだ自由キャリアが担う。
下部窒化物半導体コンタクト層が当該下部窒化物半導体コンタクト層を構成する周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接している場合には、n型電極から注入された電子は第1の障壁層を通過しなければ第1の量子井戸層に注入されない。よって、下部窒化物半導体コンタクト層での抵抗が高くなる。しかし、本実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14は、当該下部窒化物半導体コンタクト層14を構成する周期構造における積層方向に対して垂直ではない面においてn型電極10と接している。よって、下部窒化物半導体コンタクト層14の第1の量子井戸層はn型電極10に確実に接触することとなる。したがって、n型電極10から注入された電子は第1の量子井戸層に効率良く注入されることとなるので、窒化物半導体発光素子の動作電圧の低減を図ることができる。
「周期構造における積層方向に対して垂直ではない面」とは、下部窒化物半導体コンタクト層14の周期構造における積層方向から0度よりも大きく90度未満傾斜した面を意味する。周期構造における積層方向からの傾斜角度は、n型電極10と下部窒化物半導体コンタクト層14との接触面積または自由キャリアの注入効率などを考慮して決定されることが好ましく、たとえば20度以上70度以下であることが好ましい。具体的には、「周期構造における積層方向に対して垂直ではない面」は、周期構造を構成する窒化物半導体層を形成してから当該窒化物半導体層の一部を意図的にエッチングなどにより除去することにより形成された面であっても良いし、周期構造を構成する窒化物半導体層の形成中に形成されたピットに起因して当該窒化物半導体層が周期構造における積層方向に対して所定の角度(例えば60度)をもった面で露出した面であっても良い。
下部窒化物半導体コンタクト層14の周期構造における積層方向に対して垂直ではない面とn型電極10との接触面積は、下部窒化物半導体コンタクト層14とn型電極10との全接触面積の60%以上であることが好ましく、下部窒化物半導体コンタクト層14とn型電極10との全接触面積の80%以上であることがより好ましい。これにより、n型電極10と下部窒化物半導体コンタクト層14との接触面積を確保することができるので、n型電極10から第1の量子井戸層へより効率的に自由キャリアが注入され、よって、窒化物半導体発光素子の動作電圧をさらに低減させることができる。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子の各構成を以下に示す。
<基板>
基板11としては、たとえば、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)、GaP、GaAs、NdGaO3、LiGaO2、Al23、MgAl24、ZnO、SiC、SiGeまたはZrB2などからなる基板を用いることができる。低温バッファ層12などが形成される基板11の面(基板11の上面)は、極性面、半極性面または無極性面のいずれであっても良い。窒化物半導体発光素子の発光効率を向上させるためには、周期的な凹凸が基板11の上面に設けられていても良い。基板11の厚さはたとえば100μm以上4000μm以下であることが好ましい。
<低温バッファ層>
低温バッファ層12は、GaN、AlNまたはAlGaNなどからなることが好ましく、アモルファス状態であっても良いし多結晶であっても良い。低温バッファ層12の厚さは、30nm以上100nm以下であることが好ましい。
<アンドープGaN層>
アンドープGaN層13の厚さは、4μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。アンドープGaN層13の成長初期においては、低温バッファ層12とアンドープGaN層13との界面近傍に、基板11と低温バッファ層12との格子不整合に起因する転位が高密度に発生する。そして、その転位がアンドープGaN層13の厚さ方向に伝播することがある。螺旋転位と刃状転位とを合成したバーガースベクトルを持つ混合転位は、厚さの増加に伴って消滅するという性質を有する。アンドープGaN層13の厚さが4μm以上であれば、上記混合転位の消滅を図ることができる。また、アンドープGaN層13の厚さが10μm以上であれば、上記混合転位の消滅をさらに図ることができる。
<下部窒化物半導体コンタクト層>
上述のように、本実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14は、第1の障壁層と第1の量子井戸層とが交互に積層されてなる周期構造を有する。第1の量子井戸層の材料は特に限定されず、AlN、GaNまたはInNなどであっても良いし、AlN、GaNおよびInNのうちの少なくとも2つを含む混晶であっても良い。第1の障壁層の材料についても同様のことが言える。一例としては、第1の量子井戸層がInx1Ga1-x1N(0<x1≦1)層であり、第1の障壁層がInx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)層である場合が挙げられる。別の一例としては、第1の量子井戸層がAly1Ga1-y1N(0<y1≦1)層であり、第1の障壁層がAly2Ga1-y2N(0≦y2<1、y2>y1)層である場合が挙げられる。
上述のように、本実施形態では、第1の障壁層における導電型不純物の濃度は、第1の量子井戸層における導電型不純物の濃度よりも高い。導電型不純物がn型不純物である場合、好ましくは、第1の障壁層における導電型不純物の濃度は1×1018/cm3以上であり、第1の量子井戸層における導電型不純物の濃度が1×1017/cm3以下である。より好ましくは、第1の障壁層における導電型不純物の濃度が1×1018/cm3以上1×1020/cm3以下であり、第1の量子井戸層における導電型不純物の濃度が5×1016cm3以上1×1017/cm3以下である。さらに好ましくは、第1の障壁層における導電型不純物の濃度が1×1018/cm3以上5×1019cm3以下であり、第1の量子井戸層がアンドープである。なお、Aly2Ga1-y2N層における導電型不純物の濃度が5×1016/cm3以上1×1021/cm3以下であれば窒化物半導体発光素子の特性が良好になり、Aly2Ga1-y2N層における導電型不純物の濃度が5×1017/cm3以上2×1019/cm3以下であれば窒化物半導体発光素子の特性がさらに良好になる。このことも考慮して、第1の障壁層および第1の量子井戸層における導電型不純物の濃度を決定することが好ましい。
ここで、「アンドープ」とは、導電型不純物を意図的に供給しないで半導体層を成長させることを意味する。たとえば、n型窒化物半導体層とアンドープ窒化物半導体層とを互いに接触させて結晶成長させた後にn型不純物がn型窒化物半導体層からアンドープ窒化物半導体層へ拡散した場合、n型不純物が拡散したアンドープ窒化物半導体層は「アンドープ」層とみなす。また、アンドープ窒化物半導体層の結晶成長中に反応管の材料または汚れ等が離脱することにより意図せずに不純物が当該アンドープ窒化物半導体層に混入した場合、不純物が混入したアンドープ窒化物半導体層も「アンドープ」層とみなす。さらには、結晶欠陥などを有することによって導電性を有するアンドープ窒化物半導体層も「アンドープ」層とみなす。
第1の量子井戸層および第1の障壁層のそれぞれの厚さは10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。これにより、自由キャリアが第1の障壁層から第1の量子井戸層へ伝導し易くなる。第1の量子井戸層および第1の障壁層のそれぞれの厚さは1分子の大きさ以上であることがさらに好ましい。これにより、周期構造を構成する窒化物半導体層が面内でつながることとなる。なお、第1の量子井戸層および第1の障壁層のそれぞれの厚さが10nm以下であれば、周期構造は超格子構造となる。
本実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14は2層以上の第1の量子井戸層を含むが、2層以上の第1の量子井戸層の組成は同一であっても良いし異なっても良い。たとえば、2層以上の第1の量子井戸層の組成は、周期構造における積層方向において、周期的に変化しても良いし、不規則に変化しても良い。また、第1の量子井戸層を構成する元素の組成比(たとえばIn組成比またはAl組成比)が、基板11から上部窒化物半導体コンタクト層18へ向かうにつれて、単調増加しても良いし、単調減少しても良い。好ましくは、2層以上の第1の量子井戸層の組成が周期構造における積層方向において周期的に変化することである。これにより、以下に示すように内部電界の低減と転位密度低減との効果が得られる。In組成比またはAl組成比などの高い部分では格子緩和が促進され、In組成比またはAl組成比などの低い部分では結晶性が回復する傾向がある。格子緩和が促されると、(0001)InGaN/GaN量子井戸層で従来存在する圧電分極由来の内部電界が低減する。また、組成比を変化させると成長界面の応力が変化するので、成長方向に伝搬する転位の伝搬方向が変わる。これにより、転位ループが形成されて対消滅などが起こるので、積層するにしたがって積層面内の転位密度が低下する。ここで、「2層以上の第1の量子井戸層の組成が周期構造における積層方向において周期的に変化する」の一例としては、後述の実施例5の下部窒化物半導体コンタクト層における第1の量子井戸層を挙げることができる。
本実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14は2層以上の第1の障壁層を含むが、2層以上の第1の障壁層の組成は同一であっても良いし異なっても良い。たとえば、2層以上の第1の障壁層の組成は、第1の量子井戸層の組成の変化に従属して変化することが好ましい。これにより、第1の量子井戸層と第1の障壁層との間の格子不整合を低減して新たな転位の発生を抑制しつつ良好な界面が得られるという効果を得ることができる。ここで、「2層以上の第1の障壁層の組成が第1の量子井戸層の組成の変化に従属して変化する」は、第1の障壁層の組成の変化の仕方と第1の量子井戸層の組成の変化の仕方とが同一であることを意味する。たとえば、第1の量子井戸層を構成する元素の組成比(たとえばIn組成比またはAl組成比)が基板11から上部窒化物半導体コンタクト層18へ向かうにつれて単調増加するときには、第1の障壁層を構成する元素の組成比(たとえばIn組成比またはAl組成比)も基板11から上部窒化物半導体コンタクト層18へ向かうにつれて単調増加する。その一例としては、後述の実施例6の下部窒化物半導体コンタクト層を挙げることができる。また、2層以上の第1の障壁層の組成は、第1の量子井戸層の組成の変化に独立して変化しても良い。これにより、第1の障壁層の組成が第1の量子井戸層の組成の変化に従属して変化する場合よりも、第1の量子井戸層と第1の障壁層との間の格子不整合を抑制しつつ、より良好な界面が得られるという効果を得ることができる。ここで、「2層以上の第1の障壁層の組成が第1の量子井戸層の組成の変化に独立して変化する」は、第1の障壁層の組成の変化の仕方と第1の量子井戸層の組成の変化の仕方とが異なることを意味する。たとえば、第1の量子井戸層を構成する元素の組成比(たとえばIn組成比またはAl組成比)が基板11から上部窒化物半導体コンタクト層18へ向かうにつれて単調増加するときには、第1の障壁層を構成する元素の組成比(たとえばIn組成比またはAl組成比)は変化しない。その一例としては後述の実施例7の下部窒化物半導体コンタクト層を挙げることができる。
なお、周期構造の周期数は特に限定されない。下部窒化物半導体コンタクト層14の厚さが5μm以上500μm以下となるように周期構造の周期数を決定すれば良い。また、周期構造の1周期は、2種以上の第1の障壁層を有していても良いし、2種以上の第1の量子井戸層を有していても良いし、2種以上の第1の障壁層および2種以上の第1の量子井戸層を有していても良いし、第1の障壁層および第1の量子井戸層のいずれとしても機能しえない層を有していても良い。周期構造の1周期が有する2種以上の第1の障壁層では、第1の障壁層を構成する窒化物半導体材料が異なっても良いし、当該窒化物半導体材料における組成比が異なっても良いし、導電型不純物の濃度が異なっても良いし、厚み方向における導電型不純物の濃度分布が異なっても良い。このことは、周期構造の1周期が有する2種以上の第1の量子井戸層においても言える。
また、第1の障壁層の厚さは、周期構造の周期ごとに異なっても良い。このことは、第1の量子井戸層についても言える。
また、第1の障壁層における導電型不純物濃度は、周期構造の周期ごとに異なっても良い。第1の障壁層にドープされる不純物は一種に限定されず、第1の障壁層のそれぞれの導電型がn型となれば良い。好ましくは、n型不純物が第1の障壁層にドープされることであり、n型不純物としては、たとえば、Si、GeまたはCなどが挙げられる。これらのことは、導電型不純物を有する第1の量子井戸層においても言える。
また、第1の障壁層のそれぞれにおける導電型不純物の分布は特に限定されない。たとえば、導電型不純物は、第1の障壁層のそれぞれにおいて均一に分布していても良いし、第1の障壁層の厚み方向の一部分において存在していなくても良い。
また、本発明の窒化物半導体発光素子は、電極が当該素子の表裏に形成されて構成された縦型の発光素子であっても良い。
また、基板として導電性窒化物半導体基板を用いた場合、基板の裏面側にコンタクト層を形成することができる。基板の裏面側にコンタクト層を形成した場合には、導電性窒化物半導体基板が下部窒化物半導体コンタクト層として機能する。
<活性層>
活性層15は、単一量子井戸構造(SQW)を有していても良いし、多重量子井戸構造(MQW)を有していても良い。活性層15がMQWを有している場合には、活性層15は、バンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体層(以下では「第2の障壁層」と記す)とバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体層(以下では「第2の量子井戸層」と記す)とが積層されて構成されている。以下では、活性層15がMQWを有している場合について示す。
第2の障壁層の材料は特に限定されず、たとえばAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)であることが好ましい。第2の障壁層の厚さは特に限定されず、1nm以上10nm以下であることが好ましい。
第2の量子井戸層の材料は特に限定されず、AlN、GaNまたはInNなどであっても良いし、AlN、GaNおよびInNのうちの少なくとも2つを含む混晶であっても良いし、たとえばAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)であることが好ましい。第2の量子井戸層の厚さは特に限定されず、1nm以上7nm以下であることが好ましい。
第2の量子井戸層がInを含む場合、第2の量子井戸層のIn組成比は、活性層15における積層方向において同一であっても良いし異なっても良い。第2の量子井戸層のIn組成比が活性層15ごとに異なる場合には、窒化物半導体発光素子の発光スペクトルはブロードになる。第2の量子井戸層のIn組成比の変化によっては、窒化物半導体発光素子の発光スペクトルに複数のピークが表われることがあり、よって、多色発光となることがある。そのため、窒化物半導体発光素子の発光スペクトルに単色性と半値幅の狭さ(シャープ性)とが要求される場合には、第2の量子井戸層のIn組成比は活性層15において同一であることが好ましい。
<キャリアバリア層>
キャリアバリア層16の材料は特に限定されない。しかし、キャリアバリア層16は、半導体発光素子への電流の注入時に、電子がp型層側へオーバーフローすることを防止するという機能を有する。そのため、キャリアバリア層は、比較的高いAl組成比を有することが好ましく、10原子%以上30原子%以下のAlを有することが好ましい。キャリアバリア層16はp型不純物を含んでいることが好ましく、p型不純物としてはBe、C、MgまたはZnなどを挙げることができる。キャリアバリア層16におけるp型不純物の濃度は特に限定されないが、5×1018/cm3以上1×1021/cm3以下であることが好ましい。
キャリアバリア層16の厚さは特に限定されないが、10nm以上30nm以下であることが好ましい。電子がp型層側へオーバーフローすることを効果的に抑制するという機能を効果的に発揮させるためには、キャリアバリア層16のAl組成比が高い場合には当該キャリアバリア層16の厚さを薄くし、キャリアバリア層16のAl組成比が低い場合には当該キャリアバリア層16の厚さを厚くすることが好ましい。
<p型GaN層>
p型GaN層17におけるp型不純物の濃度は特に限定されないが、5×1018/cm3以上1×1021/cm3以下であることが好ましい。また、p型GaN層17の厚さは、活性層15への均一な電流の注入を考慮して、注入された正孔が活性層15の面内に十分に拡散するために必要な厚さであることが好ましい。たとえば、p型GaN層17の厚さは、30nm以上100nm以下であることが好ましい。p型GaN層17の厚さが30nm以上である場合には、p型GaN層17の面内方向の抵抗が高くなるので、p型GaN層17の面内に正孔が十分に拡散し、よって、活性層15に均一に電流を注入することができる傾向にある。p型GaN層17の厚さが100nm以下である場合には、p型GaN層17の厚さ方向に流れる電流に対する直列抵抗が小さくなるので、駆動電圧が低下し、よって、電力変換効率が向上する傾向にある。
<上部窒化物半導体コンタクト層>
本実施形態における上部窒化物半導体コンタクト層18は、たとえば、p型GaNからなることが好ましい。上部窒化物半導体コンタクト層18におけるp型不純物の濃度は、特に限定されないが、上部窒化物半導体コンタクト層18とp電極19との間でオーミックコンタクトを得るためには高い方が好ましい。たとえば、上部窒化物半導体コンタクト層18におけるp型不純物の濃度は、p型GaN層17におけるp型不純物濃度の2倍程度であることが好ましく、たとえば1×1019/cm3以上2×1021/cm3以下であることが好ましい。
<n型電極、p型電極>
n型電極10は透明電極であっても良いし、非透明電極であっても良い。透明電極の材料としては、たとえば、In、Ga、Zn、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する金属酸化物を挙げることができる。非透明電極の材料としては、たとえば、AlまたはAgなどの金属を挙げることができる。n型電極10の厚さは特に限定されず、たとえば1nm以上10000nm以下であることが好ましい。なお、n型電極10の材料は、上記材料に限定されない。
p型電極19は透明電極であっても良いし、非透明電極であっても良い。透明電極の材料としては、たとえば、In、Ga、Zn、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する金属酸化物を挙げることができる。非透明電極の材料としては、たとえば、AlまたはAgなどの金属を挙げることができる。p型電極19の厚さは特に限定されず、たとえば1nm以上10000nm以下であることが好ましい。なお、p型電極19の材料は、上記材料に限定されない。
以上、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成について説明したが、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は以下に示す構成を備えていても良い。
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、活性層15が下部窒化物半導体コンタクト層14と上部窒化物半導体コンタクト層18との間に設けられている構成を有していれば良い。そのため、窒化物半導体発光素子のそれ以外の構成要素については上記記載に限定されない。たとえば、p型窒化物半導体層が基板11側に設けられており、n型窒化物半導体層が表層側に設けられていても良い。1層以上の窒化物半導体層が、アンドープGaN層13と下部窒化物半導体コンタクト層14との間、下部窒化物半導体コンタクト層14と活性層15との間、p型GaN層17と上部窒化物半導体コンタクト層18との間、または、上部窒化物半導体コンタクト層18とp型電極19との間に設けられていても良い。基板11、キャリアバリア層16またはp型GaN層17が設けられていなくても良い。
活性層15で発生した光が下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18で吸収されることを防ぐために、下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のそれぞれの実効的なバンドギャップ(下部窒化物半導体コンタクト層14に関しては、各量子井戸層の結合を考慮した伝導帯および価電子帯のそれぞれの基底量子準位による)は活性層15の実効的なバンドギャップよりも大きいことが好ましい。たとえば、活性層15の実効的なバンドギャップが450nmの発光波長に相当する2.8eVである場合、下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のそれぞれの実効的なバンドギャップは3eV以上あれば良い。厚さおよび組成などを考慮して、下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のそれぞれの実効的なバンドギャップを調整することが好ましい。
活性層15は、基板11に対して平行であることが好ましいが、基板11に対して平行でなくても良い。
[窒化物半導体発光素子の製造方法]
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、基板11上に低温バッファ層12とアンドープGaN層13と下部窒化物半導体コンタクト層14と活性層15とキャリアバリア層16とp型GaN層17と上部窒化物半導体コンタクト層18とを順に形成する工程と、下部窒化物半導体コンタクト層14のうち周期構造における積層方向に対して垂直ではない面を露出させる工程と、下部窒化物半導体コンタクト層14の露出された面上に電極を形成する工程とを備えることが好ましい。これにより、図1に示す窒化物半導体発光素子を得ることができるので、上記[窒化物半導体発光素子の構成]で記載された効果を得ることができる。以下では、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法の一例を記す。
<低温バッファ層の成長>
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、基板11の極性面上に低温バッファ層12を成長させる。具体的には、まず、基板11をMOCVD装置の反応炉内に設置し、反応炉内を水素雰囲気として水素雰囲気中で基板11を1000℃以上に昇温する。
基板11を10分〜20分で1000℃以上の温度に昇温することが好ましい。これにより、熱衝撃により基板11が割れる(急速昇温すると基板11の表面と裏面とで熱膨張による応力差が発生し破損する)ことを防止しつつ、基板11を効率的に昇温することができる。
また、還元性の水素雰囲気中で基板11を1000℃以上の温度に昇温することによって、基板11の表面の付着物および酸化膜などを好適に除去することができる。なお、水素による還元効果を十分に発揮させるためには、基板11を1100℃以上1200℃以下の温度に昇温させることが好ましい。より好ましくは、基板11の温度が1100℃以上1200℃以下の温度に到達した後に、10分〜20分程度、基板11をその温度を保持することである。
次に、MOCVD装置の反応炉内を水素雰囲気に維持しつつ、基板11を低温バッファ層12の成長温度まで降温させる。
低温バッファ層12の成長時の基板11の温度は、500℃以上600℃以下であることが好ましい。その理由は、低温バッファ層12の品質は次工程以降の工程において形成される窒化物半導体層の結晶品質に大きく影響されるからであり、低温バッファ層12は成長段階ではアモルファス状態または多結晶状態であることが好ましいからである。
基板11の降温速度は、基板11の昇温速度と同じく、熱衝撃により基板11が割れない程度に設定することが好ましい。たとえば基板11を10分〜20分で500℃以上600℃以下にまで降温させることが好ましい。
基板11の温度が低温バッファ層12の成長温度に到達した後に、MOCVD装置の反応炉内に低温バッファ層12の原料ガスを供給する。これにより、基板11の極性面上にアモルファス状態の低温バッファ層12が形成される。ここで、III族原料ガスとしては、TMG(トリメチルガリウム)ガスまたはTEG(トリエチルガリウム)ガスなどを用いることができる。V族原料ガスとしては、アンモニアガスなどを用いることができる。キャリアガスとしては、水素ガスまたは窒素ガスなどを用いることができる。
なお、低温バッファ層12の成長前に、MOCVD装置の反応炉内にアンモニアガスを短時間供給して基板11の表面に対して窒化処理を行なってもよい。また、多結晶状態の低温バッファ層12を形成しても良い。
<アンドープGaN層の成長>
MOCVD法によって、低温バッファ層12上にアンドープGaN層13を成長させる。具体的には、まず、MOCVD装置の反応炉内へのIII族原料の供給を停止して、V族原料ガスとキャリアガスとの混合雰囲気中で基板11をアンドープGaN層13の成長温度にまで昇温させる。
一般に、成長温度が高くなるにつれて成長される結晶の品質は向上する傾向を示す。アンドープGaN層13を単結晶として成長させるためには基板11を1000℃以上に昇温させることが好ましい。しかし、アンドープGaN層13の成長温度が高すぎると、再蒸発によりアンドープGaN層13の表面が荒れる等の悪影響が出ることがある。以上のことから、基板11を1000℃近傍(たとえば1000℃〜1100℃)に昇温させることが好ましい。
基板11の昇温速度は、熱衝撃と低温バッファ層12の結晶化とを考慮して設定されることが好ましく、たとえば基板11が20分以内で1000℃近傍まで昇温するように設定されることが好ましい。
基板11の温度がアンドープGaN層13の成長温度に到達した後に、MOCVD装置の反応炉内にIII族元素ガスを供給する。これにより、低温バッファ層12上にアンドープGaN層13が形成される。
<下部窒化物半導体コンタクト層の成長>
MOCVD法によって、アンドープGaN層13上に下部窒化物半導体コンタクト層14を成長させる。以下では、n型Al0.2Ga0.8Nからなる第1の障壁層とアンドープGaNからなる第1の量子井戸層とが交互に積層されてなる下部窒化物半導体コンタクト層14の成長方法を記す。
基板11の温度をアンドープGaN層13の成長温度に保ったまま、原料ガスの種類および供給量などを変更することなく成膜処理を行う。これにより、アンドープGaN層13上にアンドープGaNからなる第1の量子井戸層が形成される。
次に、MOCVD装置の反応炉内へAl原料ガスとn型不純物の原料ガスとを供給する。これにより、アンドープGaNからなる第1の量子井戸層上にn型Al0.2Ga0.8Nからなる第1の障壁層が形成される。Al原料ガスとしては、TMA(トリメチルアルミニウム)ガスを挙げることができる。n型不純物の原料ガスとしては、SiH4ガスを挙げることができる。そして、アンドープGaNからなる第1の量子井戸層の形成とn型Al0.2Ga0.8Nからなる第1の障壁層の形成とを繰り返して下部窒化物半導体コンタクト層14を形成する。
下部窒化物半導体コンタクト層14の成長時における基板11の温度は、結晶品質と組成の制御性とを考慮して設定することが好ましい。一般的には、下部窒化物半導体コンタクト層14の成長時における基板11の温度が高いほど、下部窒化物半導体コンタクト層14の結晶品質が向上する傾向にある。したがって、所望の組成と結晶品質とを制御性良く両立するという観点から、下部窒化物半導体コンタクト層14の成長時における基板11の温度を設定することが好ましい。
n型Al0.2Ga0.8Nからなる第1の障壁層では、アンドープGaNからなる第1の量子井戸層との界面から所定の距離だけ離れた領域においてアンドープとしても良い。
GaN層とn型Al0.2Ga0.8N層との周期構造を形成してから、GaN層とAl0.25Ga0.75N層との周期構造を形成しても良い。または、Al0.25Ga0.75N層とGaN層とAl0.2Ga0.8N層とIn0.08Ga0.92N層とを順に積層して周期構造を形成しても良い。この場合には、GaN層とIn0.08Ga0.92N層とが第1の量子井戸層となるため、n型不純物のドーピングには注意が必要である。
<活性層の成長>
MOCVD法によって、下部窒化物半導体コンタクト層14上に活性層15を形成する。以下では、GaNからなる第2の障壁層とInGaNからなる第2の量子井戸層とが交互に積層されてなる活性層15の成長方法を記す。
まず、MOCVD装置の反応炉内へのIII族原料ガスの供給を停止し、V族原料ガスとキャリアガスとの混合雰囲気中で基板11を活性層15の成長温度まで降温させる。
活性層15の成長温度は特に限定されないが、たとえば700℃以上900℃以下であることが好ましい。なお、GaNからなる第2の障壁層を形成した後には、InGaNからなる第2の量子井戸層を形成する。活性層15の成長温度を高く設定すると、Inが取り込まれ難くなることがある。そのため、基板11を約700℃にまで降温させても良い。しかし、活性層15の成長温度を低く設定すると、形成されるInGaN層の結晶品質の悪化を招くことがある。また、キャリアガスとして水素ガスを用いると、InGaN層がエッチングされるおそれがある。よって、InGaNからなる第2の量子井戸層を形成することを考慮すれば、キャリアガスとして窒素ガスを用い、活性層15の成長温度を700℃以上900℃以下に設定して、基板11を速く降温させることが好ましい。
基板11の降温速度は、下部窒化物半導体コンタクト層14の表面平坦性を維持できる時間内に基板11を所望の温度に到達できる程度の速度であることが好ましく、たとえば基板11を10分以内に約700℃〜900℃まで降温可能な速度であれば良い。
次に、基板11の温度を保持したままで、MOCVD装置の反応炉内にIII族原料ガスを供給する。これにより、下部窒化物半導体コンタクト層14上にGaNからなる第2の障壁層が形成される。
次に、MOCVD装置の反応炉内にIn原料ガスを供給して、InGaNからなる第2の量子井戸層を成長させる。In原料ガスとしては、たとえば、TMIガスを用いることができる。そして、GaNからなる第2の障壁層の形成とInGaNからなる第2の量子井戸層の形成とを繰り返して活性層15を形成する。その後、最表層であるInGaNからなる第2の量子井戸層の劣化を抑制することを目的として、当該最表層上にGaNからなる第2の障壁層を形成する。このとき形成される第2の障壁層の厚さはそれ以外の第2の障壁層の厚さの2倍程度であることが好ましい。
活性層15の成長後には、MOCVD装置の反応炉内にV族原料ガスとキャリアガスとを供給して基板11を昇温させる。昇温後の基板11の温度は特に限定されず、たとえば900℃以上1100℃以下の温度であれば良い。しかし、活性層15への熱ダメージを考慮すれば、活性層15の結晶品質が維持できる範囲内で基板11の温度をできるだけ低温にすることが好ましい。
活性層15の成長後の昇温工程は、できるだけ短時間で行なうことが好ましい。その主たる理由は次のとおりである。InGaNからなる第2の量子井戸層が熱に対して不安定であるので、長時間にわたる熱エネルギーの流入によってInGaNからなる第2の量子井戸層のIn組成比およびその厚さが不均一となる傾向にある。よって、GaNからなる第2の障壁層とInGaNからなる第2の量子井戸層との界面の急峻性が悪化する。その結果、窒化物半導体発光素子の発光スペクトルの半値幅の増大および発光強度の低下を招くからである。また、活性層15の品質低下は、窒化物半導体発光素子の内部量子効率の低下およびその電流注入効率の低下にも直結するからである。
キャリアガスとしては窒素ガスを用いることが好ましい。キャリアガスとして水素ガスを用いると、InGaNからなる第2の量子井戸層がエッチングされるおそれがあるからである。
<キャリアバリア層の成長>
MOCVD法によって、活性層15上にキャリアバリア層16を形成する。具体的には、基板11の温度が900℃以上1100℃以下の温度に到達した後、MOCVD装置の反応炉内にIII族原料ガスとp型不純物の原料ガスとを供給する。III族原料ガスはAl原料ガス(たとえばTMA)を含んでいることが好ましい。p型不純物の原料ガスとしては、Mg、Be、ZnまたはCなどの有機化合物を用いることができ、たとえばCp2MgガスまたはEtCp2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)を用いることができる。Alを含むキャリアバリア層を形成する場合には、キャリアガスとして水素ガスを用いることができる。再蒸発によりAlGaN層の表面が荒れるなどの不具合が発生することを防止できるからである。
なお、本実施形態においては、活性層15の成長後の昇温工程後にキャリアバリア層16を成長させたが、活性層15の成長後の昇温工程中にキャリアバリア層16を成長させることも可能である。なお、活性層15の成長後の昇温工程中にキャリアバリア層16を成長させると、基板11の温度がキャリアバリア層16の成長中に刻々と変化するので、基板11の温度に応じてキャリアバリア層16におけるAl組成比が変化する。そのため、キャリアバリア層16の成長条件に注意を払う必要がある。
<p型GaN層17の成長>
MOCVD装置の反応炉内へのAl原料ガスの供給を停止してから、MOCVD法によってキャリアバリア層16上にp型GaN層17を形成する。
<上部窒化物半導体コンタクト層18の成長>
MOCVD装置の反応炉内へのp型不純物の原料ガスの供給量を増やして(たとえば2倍)、MOCVD法によってp型GaN層17上に上部窒化物半導体コンタクト層18を形成する。
<降温>
III族原料ガスおよびp型不純物の原料ガスの供給を停止する。その後、MOCVD装置の反応炉内のV族原料ガスとキャリアガスとの混合ガス雰囲気中において、上部窒化物半導体コンタクト層18の成長後の基板11を室温まで降温する。
基板11の降温速度は、基板11の破損を防止するという観点で設定されることが好ましい。たとえば、基板11を30分で900℃以上1100℃以下の温度から室温まで降温させることが好ましい。
基板11の降温の際、V族原料ガスの供給量を低下しても良い。しかし、V族原料ガスの供給を停止すると、成長した窒化物半導体結晶の熱分解を招くことがある。そのため、基板11の温度が400℃以下になるまで、適正な量のV族原料ガスを供給し続けることが好ましい。また、基板11の降温中に水素ガスを供給すると、再蒸発により成長した窒化物半導体結晶がダメージを受けるおそれがある。
<活性化処理>
上部窒化物半導体コンタクト層18の成長後の基板11をMOCVD装置から取り出した後には、p型不純物を活性化するための熱処理(活性化処理)を行なうことが好ましい。窒化物半導体結晶中にドーピングされたp型不純物は、III族サイトに置換されているが、水素により不活性化されている。そのため、MOCVD装置から取り出した直後は、p型窒化物半導体層が高抵抗化している。よって、適切な温度と雰囲気でp型不純物と水素とを分離して、p型不純物を活性化することが好ましい。
活性化処理では、基板11上に形成された窒化物半導体層への不要なダメージ(たとえば、高温かつ長時間の熱処理による表面荒れ)を避けるため、上部窒化物半導体コンタクト層18の形成後の基板11を800℃以上900℃以下の温度で短時間加熱することが好ましい。
活性化処理は、窒素ガス雰囲気中または窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で行なうことが好ましいが、Ar等の希ガス雰囲気中または希ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で行っても良い。活性化処理が行なわれる雰囲気に酸素ガスを混合することによって、基板11上に積層された窒化物半導体層から水素を脱離させる効果が顕著になる。しかし、雰囲気中の酸素濃度が高くなった場合には、表面酸化膜の形成等の悪影響を生じることがある。そのため、雰囲気中の酸素濃度を50ppm以下とすることが好ましい。
活性化処理における熱処理時間は、10分以下であることが好ましい。また、活性化処理は、抵抗加熱またはハロゲンランプ加熱などを用いた急速で昇降温可能な熱処理炉を用いて行なうことが好ましい。
<電極形成とフォトリソグラフィを用いた加工>
活性化処理がなされた基板11上の窒化物半導体層に対して通常のフォトリソグラフィによって電極パターンおよびエッチングパターンを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)によってエッチングを行なう。これにより、上部窒化物半導体コンタクト層18とp型GaN層17とキャリアバリア層16と活性層15と下部窒化物半導体コンタクト層14の一部とがエッチングされ、メサ形状が形成される。このような状態を「下部窒化物半導体コンタクト層14において周期構造における積層方向に対して垂直な面が露出している」という。
次に、通常のフォトリソグラフィにより、下部窒化物半導体コンタクト層14上に円形ウィンドウの配列用マスクを設け、RIEによりエッチングを行う。このエッチングにより、下部窒化物半導体コンタクト層14において周期構造における積層方向に対して垂直ではない面が露出する。エッチングの深さは、特に限定されないが、5μm以下であることが好ましく、1μm程度であることがより好ましい。露出面の傾斜角度はRIEでのエッチングイオンの状態などに依存するため一概に言えないが、周期構造における積層方向に対して20〜70度であることが好ましく、たとえば30度である。使用するマスクのウィンドウの形状は、円形に限られず、線形であっても良いし、それ以外の形状であっても良い。窒化物半導体発光素子の形状と電流パスなどとを考慮して最適な形状を選択することが好ましい。
続いて、下部窒化物半導体コンタクト層14上にn型電極10を形成し、上部窒化物半導体コンタクト層18上にp型電極19を形成する。これにより、下部窒化物半導体コンタクト層14の露出された面上にn型電極10が設けられることとなり、よって、下部窒化物半導体コンタクト層14は周期構造における積層方向に対して垂直でない面においてn型電極10と接することとなる。その後、合金化のための熱処理を行なうことが好ましい。そして、必要に応じて、基板11を研削研磨してから通常のダイシング工程を経てチップに分割する。これにより、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子が製造される。
≪第2の実施形態≫
図2は、本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を示す断面図である。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、図2に示すように、基板11と、基板11上に設けられた低温バッファ層12と、低温バッファ層12上に設けられたアンドープGaN層13と、アンドープGaN層13上に設けられた下部窒化物半導体コンタクト層24と、下部窒化物半導体コンタクト層24上に設けられた活性層15と、活性層15上に設けられたキャリアバリア層16と、キャリアバリア層16上に設けられた上部窒化物半導体コンタクト層27と、下部窒化物半導体コンタクト層24に接するn型電極20と、上部窒化物半導体コンタクト層27に接するp型電極29とを備えている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる点を主に示す。
下部窒化物半導体コンタクト層24は、不純物の導電型が異なることを除いては上記第1の実施形態における上部窒化物半導体コンタクト層18と同一の構成を有している。つまり、下部窒化物半導体コンタクト層24は、n型不純物を含む窒化物半導体層(1層)であり、たとえばn型GaN層である。
上部窒化物半導体コンタクト層27は、不純物の導電型が異なることを除いては上記第1の実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14と同一の構成を有している。つまり、上部窒化物半導体コンタクト層27は、第3の障壁層と第3の量子井戸層とが交互に積層されてなる周期構造を有し、上部窒化物半導体コンタクト層27では、導電型不純物が変調ドープされている。ここで、第3の障壁層は不純物の導電型が異なることを除いては第1の障壁層と同様に構成されており、第3の量子井戸層は不純物の導電型が異なることを除いては第1の量子井戸層と同様に構成されている。これにより、上記第1の実施形態で説明したように、上部窒化物半導体コンタクト層27での電気伝導は第3の障壁層から第3の量子井戸層へ落ち込んだ自由キャリアが担う。
上部窒化物半導体コンタクト層27は、当該上部窒化物半導体コンタクト層27を構成する周期構造における積層方向に対して垂直ではない面において、p型電極29と接している。これにより、上記第1の実施形態で説明したように窒化物半導体発光素子の動作電圧の低減を図ることができる。
以上説明したように、上部窒化物半導体コンタクト層27が周期構造を有している場合であっても上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
≪第3の実施形態≫
図3は、本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を示す断面図である。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、下部窒化物半導体コンタクト層として上記第1の実施形態における下部窒化物半導体コンタクト層14を備え、上部窒化物半導体コンタクト層として上記第2の実施形態における上部窒化物半導体コンタクト層27を備える。よって、窒化物半導体発光素子の動作電圧のさらなる低減を図ることができる。
以上説明したように、図1などに示す窒化物半導体発光素子は窒化物半導体材料を含む活性層15を備え、活性層15は下部窒化物半導体コンタクト層14と上部窒化物半導体コンタクト層18との間に設けられている。下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のうちの少なくとも一方は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有する。下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のうち周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、導電型不純物が変調ドープされて構成されており、周期構造における積層方向に対して垂直でない面において電極と接している。これにより、下部窒化物半導体コンタクト層14の第1の量子井戸層はn型電極10に確実に接触することとなる。よって、n型電極10から注入された電子は第1の量子井戸層に効率良く注入されることとなるので、窒化物半導体発光素子の動作電圧の低減を図ることができる。
周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層14,18の組成は、周期構造における積層方向に周期的に変化していることが好ましい。これにより、格子緩和の促進と結晶性の回復とを両立しつつ、転位密度を下げるという効果を得ることができる。
周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体コンタクト層14,18の組成は、周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層14,18の組成の変化に従属して変化していても良い。これにより、量子井戸層と障壁層との間の格子不整合を低減して新たな転位の発生を抑制しつつ、良好な界面が得られるという効果を得ることができる。また、周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体コンタクト層14,18の組成は、周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層14,18の組成の変化に独立して変化していても良い。これにより、障壁層の組成が量子井戸層の組成の変化に従属して変化する場合よりも、量子井戸層と障壁層との間の格子不整合を抑制しつつ、より良好な界面が得られるという効果を得ることができる。
下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のうち周期構造を有するコンタクト層は、導電型不純物としてn型不純物を含むことが好ましい。周期構造の1周期は、n型不純物の濃度が1×1017/cm3以下である窒化物半導体層と、n型不純物の濃度が1×1018/cm3以上である窒化物半導体層とを有することが好ましい。
下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のうち周期構造を有するコンタクト層は、導電型不純物としてp型不純物を含むことが好ましい。周期構造の1周期は、p型不純物の濃度が5×1017/cm3以下である窒化物半導体層と、p型不純物の濃度が5×1019/cm3以上である窒化物半導体層とを有することが好ましい。
周期構造の1周期は、Inx1Ga1-x1N(0<x1≦1)層とInx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)層とを有しても良く、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)層とAly2Ga1-y2N(0≦y2<1、y2>y1)層とを有しても良い。
本発明に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有するとともに導電型不純物が変調ドープされた、下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のうちの少なくとも一方を形成する工程と、下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のうち周期構造を有するコンタクト層のうち周期構造における積層方向に対して垂直ではない面を露出させる工程と、下部窒化物半導体コンタクト層14および上部窒化物半導体コンタクト層18のうち周期構造を有するコンタクト層の露出された面上に電極10,10を形成する工程とを備える。これにより、下部窒化物半導体コンタクト層14の第1の量子井戸層をn型電極10に確実に接触させることができる。よって、n型電極10から注入された電子は第1の量子井戸層に効率良く注入されることとなるので、窒化物半導体発光素子の動作電圧の低減を図ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪実施例1≫
<低温バッファ層の形成>
実施例1では、図1に示す窒化物半導体発光素子を製造して、それを評価した。具体的には、まず、サファイア基板(基板)をMOCVD装置の反応炉内に設置し、反応炉内を水素雰囲気としてサファイア基板を20分で1000℃以上の温度に昇温させた。次に、MOCVD装置の反応炉内を水素雰囲気に維持しつつ、サファイア基板を20分で約500℃まで降温させた。サファイア基板の温度が500℃に到達した後に、MOCVD装置の反応炉内に、10μmol/minの供給量でTMGガス(III族原料ガス)を供給し、200mmol/minの供給量でアンモニアガス(V族原料ガス)を供給し、キャリアガスとして水素ガスを供給した。これにより、サファイア基板のC面上に、アモルファス状態のGaN層(低温バッファ層)が形成された。
<アンドープGaN層の形成>
MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスの供給を停止してから、サファイア基板を10分で1100℃まで昇温させた。サファイア基板の温度が1100℃に到達した後に、MOCVD装置の反応炉内に100μmol/minの供給量でTMGガスを供給した。これにより、GaN層上にアンドープGaN層(厚みが10μm)が形成された。
<下部窒化物半導体コンタクト層の形成>
サファイア基板の温度を1100℃に保ったまま、また、TMGガス、アンモニアガスおよび水素ガスのそれぞれの供給量を変更することなく、アンドープGaN層上にアンドープGaN層(第1の量子井戸層、厚みが3nm)を形成した。その後、MOCVD装置の反応炉内に、40μmol/minの供給量でTMAガスを追加で供給し、さらに、0.5μmol/minの供給量でSiH4ガスを供給して、厚みが3nmのn型Al0.2Ga0.8N層(第1の障壁層)を形成した。形成されたn型Al0.2Ga0.8N層には、Siが1×1018/cm3ドープされていた。そして、総膜厚が約1.2μmとなるまで、アンドープGaN層の形成とn型Al0.2Ga0.8N層の形成とを交互に繰り返し行った。形成された下部窒化物半導体コンタクト層には、1層のアンドープGaN層と1層のn型Al0.2Ga0.8N層とが積層されてなる構造が200周期、形成されていた。
<活性層の形成>
MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスおよびTMAガスの供給を停止して、アンモニアガスと水素ガス(キャリアガス)との混合雰囲気中でサファイア基板を10分以内で800℃にまで降温させた。サファイア基板の温度を800℃に保持したまま、MOCVD装置の反応炉内に20μmol/minの供給量でTMGガスを供給した。これにより、GaN障壁層(第2の障壁層、厚みが約8nm)が形成された。その後、MOCVD装置の反応炉内に550μmol/minの流量でTMIガスを追加で供給して、InGaN量子井戸層(第2の量子井戸層、厚みが約4nm)が形成された。ここで、InGaN量子井戸層におけるIn組成の設計値は約0.16であった。そして、GaN障壁層の形成とInGaN量子井戸層の形成とを交互に繰り返し行って、1層のGaN障壁層と1層のInGaN量子井戸層とが積層されてなる構造を6周期、形成した。その後、最表層であるInGaN量子井戸層上に、GaN障壁層(厚みが16nm)を形成した。MOCVD装置の反応炉内へのTMGガス、TMAガス、TMIガスおよび水素ガスの供給を停止してから、キャリアガスとして窒素ガスを供給した。その後、サファイア基板を3分で800℃から1000℃にまで昇温させた。
<キャリアバリア層、p型GaN層および上部窒化物半導体コンタクト層の形成>
サファイア基板の温度が1000℃に到達してから、MOCVD装置の反応炉内に、30μmol/minの供給量でTMGガスを供給し、20μmol/minの供給量でTMAガスを供給した。また、1μmol/minの供給量でCp2Mgガスを供給した。これにより、Alを20原子%含むキャリアバリア層(厚みが20nm)が形成された。その後、MOCVD装置の反応炉内へのTMAガスのみの供給を停止して、厚さが60nmのp型GaN層を形成した。その後、MOCVD装置の反応炉内へのCp2Mgガスの供給量を2μmol/minに増加してから、上部窒化物半導体コンタクト層(厚さが30nm)を形成した。このようにして、積層体が得られた。
<降温度、p型不純物の活性化>
MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスおよびCp2Mgガスの供給を停止してから、積層体におけるサファイア基板を30分で1000℃から室温まで降温させた。その後、窒素ガスと濃度が5ppmの酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で850℃で2分間の熱処理を行なった。これにより、p型不純物が活性化された。このようにして得られた積層体に対してX線回折法による結晶構造解析、SIMS(二次イオン質量分析)およびC−V測定をそれぞれ行なったところ、下部窒化物半導体コンタクト層のn型Al0.2Ga0.8N層におけるSi濃度は5×1018/cm3であり、キャリアバリア層および上部窒化物半導体コンタクト層におけるMg濃度はどちらも1×1020/cm3であり、p型GaN層におけるMg濃度は1×1019/cm3であった。また、LED素子を構成する各窒化物半導体層の組成、下部窒化物半導体コンタクト層を構成する窒化物半導体層の厚み、および、活性層を構成する窒化物半導体層の厚みは、いずれも、設計通りであることを確認した。
<電極形成とフォトリソグラフィを用いた加工>
通常のフォトリソグラフィによって電極パターンおよびエッチングパターンを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)によってエッチングを行なった。これにより、上部窒化物半導体コンタクト層とp型GaN層とキャリアバリア層と活性層と下部窒化物半導体コンタクト層の一部とがエッチングされてメサ形状が形成された。
その後、通常のフォトリソグラフィにより下部窒化物半導体コンタクト層上に円形ウィンドウの配列用マスクを設け、RIEにより下部窒化物半導体コンタクト層をエッチングした。これにより、下部窒化物半導体コンタクト層には、深さが1μm程度であり且つ周期構造における積層方向に対して約30度の傾斜面を有する凹部(断面V字形状)が形成された。
その後、下部窒化物半導体コンタクト層上にTi/Al/Ti/Au層(n型電極)を形成し、上部窒化物半導体コンタクト層上にNi/Au層(p型電極)を形成し、合金化のための熱処理を行なった。これにより、図4(a)に示すように、下部窒化物半導体コンタクト層は、その周期構造における積層方向に対して垂直でない面においてn型電極と接した。そして、厚さが100μmとなるまでサファイア基板を研削してから研磨し、ダイシングを行った。このようにしてチップ状の窒化物半導体発光素子が製造された。
Au−Sn半田を用いて、製造されたチップ状の窒化物半導体発光素子を通常のステムにマウントした。そして、Auワイヤーを用いて、n型電極とn側端子とを結線し、p型電極とp側端子とを結線した。そして、透明エポキシ樹脂によるモールドを経て、実施例1のLED素子を得た。
≪比較例1≫
比較例1では、図4(b)に示すように下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接していることを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。
≪実施例1と比較例1との評価≫
実施例1のLED素子と比較例1のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例1は比較例1よりも0.3V低下した。光出力については、実施例1は比較例1に対して20%向上した。
下部窒化物半導体コンタクト層では、Al0.2Ga0.8N層で発生した自由電子は、アンドープGaN層へ落ち込んで電気伝導に寄与する。アンドープGaN層では、電子の散乱中心が極端に少ないため、自由電子の移動度が高くなる。つまり、アンドープGaN層は、低抵抗である。
実施例1では、下部窒化物半導体コンタクト層は周期構造における積層方向に対して垂直ではない面でn型電極に接しているので、下部窒化物半導体コンタクト層のアンドープGaN層とn型電極とは確実に接触している(図4(a)参照)。よって、n型電極から注入された電子は低抵抗なアンドープGaN層に効率良く注入されることとなる。
しかし、比較例1では、下部窒化物半導体コンタクト層は、周期構造における積層方向に対して垂直な面でn型電極に接している(図4(b)参照)。そのため、n型電極から注入された電子は、Al0.2Ga0.8N層を通過しなければ、下部窒化物半導体コンタクト層における複数のアンドープGaN層に注入されない。よって、下部窒化物半導体コンタクト層での抵抗が高くなる。
≪実施例2≫
実施例2では、図2に示す窒化物半導体発光素子を製造して、それを評価した。以下では、上記実施例1とは異なる点を主に示す。具体的には、下部窒化物半導体コンタクト層は、厚さが1.2μmのn型GaN層であり、1×1018/cm3のSiドープ量を有していた。また、上部窒化物半導体コンタクト層は、p型不純物がドープされたAl0.2Ga0.8N層(厚さ3nm)とアンドープGaN層(厚さ3nm)とが交互に積層されて構成されており、その総膜厚は約100nmであった。Al0.2Ga0.8N層を形成するときには、30μmol/minの供給量でTMGガスを供給し、20μmol/minの供給量でTMAガスを供給し、2μmol/minの供給量でCp2Mgガスを供給した。アンドープGaN層を形成するときには、30μmol/minの供給量でTMGガスを供給した。
その後、上記実施例1に記載の方法にしたがって、メサ形状を形成してから、深さが1μm程度であり且つ周期構造における積層方向に対して約30度の傾斜面を有する凹部(断面V字形状)を上部窒化物半導体コンタクト層に形成した。
その後、上記実施例1に記載の方法にしたがってn型電極およびp型電極を形成した。これにより、図4(a)に示すように、上部窒化物半導体コンタクト層は、その周期構造における積層方向に対して垂直でない面においてp型電極と接した。そして、上記実施例1に記載の方法にしたがって、実施例2のLED素子を得た。
≪比較例2≫
比較例2では、上部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみp型電極と接していることを除いては上記実施例2に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。
≪実施例2と比較例2との評価≫
実施例2のLED素子と比較例2のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例2は比較例2よりも0.1V低下した。光出力については、実施例2は比較例2に対して10%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
≪実施例3≫
実施例3では、図3に示す窒化物半導体発光素子を製造して、それを評価した。具体的には、上記実施例2に記載の方法にしたがって上部窒化物半導体コンタクト層を形成するとともに上部窒化物半導体コンタクト層に凹部を形成したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、LED素子を製造した。
≪比較例3≫
比較例3では、下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接しており、上部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみp型電極と接していることを除いては上記実施例3に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。
≪実施例3と比較例3との評価≫
実施例3のLED素子と比較例3のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例3は比較例3よりも0.4V低下した。光出力については、実施例3は比較例3に対して35%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
実施例3のLED素子における下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のそれぞれを構成する窒化物半導体層への不純物ドープ量を測定した。具体的には、SIMS(二次イオン質量分析)によりLED素子の表面付近から深さ方向における二次イオンの濃度プロファイルを測定した。その結果、下部窒化物半導体コンタクト層を構成するAl0.2Ga0.8N層におけるSiの濃度は5×1018/cm3であった。アンドープGaN層におけるSiの濃度は検出限界以下(バックグラウンドレベル以下)であり、1×1016/cm3以下であることが確認できた。また、上部窒化物半導体コンタクト層を構成するAl0.2Ga0.8N層におけるMgの濃度は1×1020/cm3であった。アンドープGaN層におけるMgの濃度は検出限界以下(バックグラウンドレベル以下)であり、1×1016/cm3以下であることが確認できた。
≪実施例4≫
実施例4では、下部窒化物半導体コンタクト層の構成が異なることを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、LED素子を製造した。具体的には、アンドープGaN層を成長した後、MOCVD装置の反応炉内へのTMGガスの供給を停止して、アンモニアガスと水素ガスとの混合雰囲気中でサファイア基板を10分で800℃にまで降温させた。これにより、アンドープGaN層の表面平坦性を維持しながらサファイア基板を降温させることができた。
次に、MOCVD装置の反応炉内へ、20μmol/minの供給量でTMGガスを供給するとともに350μmol/minの供給量でTMIガスを供給した。これにより、アンドープGaN層上にアンドープIn0.05Ga0.95N層(第1の量子井戸層、厚みが3nm)が形成された。その後、TMIガスの供給を止め、MOCVD装置の反応炉内へ40μmol/minの供給量でTMAガスを供給するとともに0.5μmol/minの供給量でSiH4ガスを供給した。これにより、アンドープIn0.05Ga0.95N層上にn型Al0.2Ga0.8N層(第1の障壁層、厚みが3nm)が形成された。そして、総膜厚が約1.2μmとなるまで、アンドープIn0.05Ga0.95N層の形成とn型Al0.2Ga0.8N層の形成とを交互に繰り返し行った。形成された下部窒化物半導体コンタクト層には、1層のアンドープIn0.05Ga0.95N層と1層のn型Al0.2Ga0.8N層とが積層されてなる構造が200周期、形成されていた。その後、上記実施例1に記載の方法にしたがって、本実施例のLED素子を製造した。
≪比較例4≫
比較例4では、下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接していることを除いては上記実施例4に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。
≪実施例4と比較例4との評価≫
実施例4のLED素子と比較例4のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例4は比較例4よりも0.2V低下した。光出力については、実施例4は比較例4に対して10%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
≪実施例5≫
実施例5では、アンドープIn0.05Ga0.95N層の組成を周期構造における積層方向において変化させたことを除いては上記実施例4に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。具体的には、アンドープIn0.05Ga0.95N層のIn組成比を周期構造の積層順に2周期ずつ0.02、0.08、0.18および0.08とした。ただし、アンドープIn0.05Ga0.95N層のそれぞれにおけるIn組成比は一定であった。
≪比較例5≫
比較例5では、下部窒化物半導体コンタクト層が周期構造における積層方向に対して垂直な面においてのみn型電極と接していることを除いては上記実施例5に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。
≪実施例5と比較例5との評価≫
実施例5のLED素子と比較例5のLED素子とについて駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定した。駆動電流20mA時の動作電圧については、実施例5は比較例5よりも0.2V低下した。光出力については、実施例5は比較例5に対して10%向上した。その理由は、実施例1と比較例1との評価において記載したとおりである。
なお、下部窒化物半導体コンタクト層を構成するInx1Ga1-x1N(0<x1≦1)層のIn組成比が活性層のIn組成比よりも高いので、格子緩和が促される効果も得られる。しかし、In組成比が高くなるほど、ステップフロー成長から2次元核成長へ移行するため、ステップの直進性が悪くなり、そのため、結晶性の悪化が避けられない。しかし、In組成比が活性層のIn組成よりも低いInx1Ga1-x1N(0<x1≦1)層も設けられているため、結晶性の回復を図ることもできる。
≪実施例6≫
実施例6では、n型Al0.2Ga0.8N層の組成をアンドープIn0.05Ga0.95N層のIn組成比の変化に従属して変更させたことを除いては上記実施例5に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。具体的には、図5に示すように、n型Al0.2Ga0.8N層のAl組成比を周期構造の積層順に2周期ずつ0.10、0.15、0.20および0.15とした。ただし、n型Al0.2Ga0.8N層のそれぞれにおけるAl組成比は一定であった。本実施例のLED素子について駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定したところ、上記実施例5と同様の結果が得られた。
≪実施例7≫
実施例7では、n型Al0.2Ga0.8N層の組成をアンドープIn0.05Ga0.95N層のIn組成比の変化に独立して変更させたことを除いては上記実施例5に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。具体的には、n型Al0.2Ga0.8N層のAl組成比を周期構造の積層順に2周期ずつ0.15および0.20とした。ただし、n型Al0.2Ga0.8N層のそれぞれにおけるAl組成比は一定であった。本実施例のLED素子について駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定したところ、上記実施例5と同様の結果が得られた。
≪実施例8≫
実施例8では、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のそれぞれを構成する周期構造の組成が異なることを除いては上記実施例3と同様の方法にしたがって、LED素子を製造した。具体的には、下部窒化物半導体コンタクト層は次に示す方法にしたがって形成された。サファイア基板の温度を800℃としてから、MOCVD装置の反応炉へ、20μmol/minの供給量でTMGガスを供給するとともに350μmol/minの供給量でTMIガスを供給した。これにより、アンドープGaN層上にIn0.08Ga0.92N層(第1の量子井戸層、厚さが3nm)が形成された。その後、TMIガスの供給量を200μmol/minとした。また、MOCVD装置の反応炉へ20μmоl/minの供給量でSiH4ガスを供給した。これにより、In0.08Ga0.92N層上にIn0.02Ga0.98N層(第1の障壁層、厚さが3nm)が形成された。そして、総膜厚が約1.2μmとなるまで、In0.08Ga0.92N層の形成とIn0.02Ga0.98N層の形成とを交互に繰り返し行った。形成された下部窒化物半導体コンタクト層には、1層のIn0.08Ga0.92N層と1層のIn0.02Ga0.98N層とが積層されてなる構造が200周期、形成されていた。
上部窒化物半導体コンタクト層は次に示す方法にしたがって形成された。サファイア基板の温度を800℃としてから、下部窒化物半導体コンタクト層の形成方法と同様の方法にしたがって、In0.08Ga0.92N層(第3の量子井戸層、厚さが3nm)およびIn0.02Ga0.98N層(第3の障壁層、厚さが3nm)を形成した。そして、総膜厚が約100nmとなるまで、In0.08Ga0.92N層の形成とIn0.02Ga0.98N層の形成とを交互に繰り返し行った。形成された下部窒化物半導体コンタクト層には、1層のIn0.08Ga0.92N層と1層のIn0.02Ga0.98N層とが積層されてなる構造が17周期、形成されていた。本実施例のLED素子について駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定したところ、上記実施例3と同様の結果が得られた。
≪実施例9≫
実施例9では、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層のそれぞれを構成するGaN層の代わりにAl0.05Ga0.95N層を形成したことを除いては上記実施例3に記載の方法にしたがってLED素子を製造した。つまり、下部窒化物半導体コンタクト層および上部窒化物半導体コンタクト層は、それぞれ、Al0.20Ga0.80N層とAl0.05Ga0.95N層とが交互に積層されてなる周期構造を有していた。本実施例のLED素子について駆動電流20mA時の動作電圧と光出力とを測定したところ、上記実施例3と同様の結果が得られた。
10,20 n型電極、11 基板、12 低温バッファ層、13 アンドープGaN層、14,24 下部窒化物半導体コンタクト層、15 活性層、16 キャリアバリア層、17 p型GaN層、18,27 上部窒化物半導体コンタクト層、19 p型電極。

Claims (5)

  1. 窒化物半導体材料を含む活性層を備えた窒化物半導体発光素子であって、
    前記活性層は、下部窒化物半導体コンタクト層と上部窒化物半導体コンタクト層との間に設けられ、
    前記下部窒化物半導体コンタクト層および前記上部窒化物半導体コンタクト層のうちの少なくとも一方は、バンドギャップエネルギーが互いに異なる少なくとも2種類の窒化物半導体層を含む複数種の層が積層されてなる構造を1周期とする周期構造を有し、
    前記下部窒化物半導体コンタクト層および前記上部窒化物半導体コンタクト層のうち前記周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、
    導電型不純物が変調ドープされて構成されており、
    前記周期構造における積層方向に対して垂直でない面において電極と接している窒化物半導体発光素子。
  2. 前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成は、前記周期構造における積層方向に周期的に変化している請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体コンタクト層の組成は、前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成の変化に従属して変化している請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に大きな窒化物半導体コンタクト層の組成は、前記周期構造を構成し且つバンドギャップエネルギーが相対的に小さな窒化物半導体コンタクト層の組成の変化に独立して変化している請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記下部窒化物半導体コンタクト層および前記上部窒化物半導体コンタクト層のうち前記周期構造を有する窒化物半導体コンタクト層は、前記導電型不純物としてn型不純物を含み、
    前記周期構造の前記1周期は、n型不純物の濃度が1×1017/cm3以下である窒化物半導体層と、n型不純物の濃度が1×1018/cm3以上である窒化物半導体層とを有する請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
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