JP2014131503A - ベーカリー用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベーカリー製品の製造において生地に練り込んで使用する乳化組成物であって、乳化安定性が良好であり、食感と風味のいずれも良好でしかも焼き縮みの少ないベーカリー製品に仕上げることができる乳化組成物の提供、並びに当該乳化組成物の油相として好適な油脂組成物の提供。
【解決手段】
a:ジアシルグリセロール 0.1〜30質量%、
b:有機酸モノアシルグリセロール 1〜20質量%、
c:プロピレングリコール脂肪酸エステル 2〜10質量%、
d:飽和モノアシルグリセロール 5〜30質量%、
e:不飽和モノアシルグリセロール 1〜10質量%、及び
f:トリアシルグリセロール 10〜60質量%
を含有するベーカリー用油脂組成物、並びにこれを油相とするベーカリー用乳化組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ベーカリー用油脂組成物に関する。
パン類に代表されるベーカリー製品は、一般的に、仕込み−混捏−発酵−ベンチ−成形−ホイロ−焼成等の工程を経て製造される。市場に出回るパン類の大部分は、工場の製造ラインで大量生産されたものであるが、このような大量生産方式では、パン生地に対する機械的負荷が大きいために生地に損傷が生じやすく、パンの品質が制約される。通常、パン類の品質は食感や風味といった観点から評価される。このようなパンの品質には、特に、混捏、発酵、成形工程での生地物性が大きく影響する。そのため、パン生地の物性を改良するための生地改良剤が開発されてきている。
現在、上記の生地改良剤として、モノアシルグリセロール、有機酸モノアシルグリセロール、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン等を含有する乳化組成物が広く用いられている。
上記モノアシルグリセロールは、小麦粉の澱粉と複合体を形成することで生地の機械への付着を抑制してパン製造の効率化に寄与すると同時に、焼成後のパンにおいて澱粉の老化を防ぐことも知られている(特許文献1、2参照)。
また、コハク酸モノアシルグリセロールやジアセチル酒石酸モノアシルグリセロール等の有機酸モノアシルグリセロールは、小麦粉中のグルテンに作用してグルテンネットワークを緻密化し、生地の伸展性を向上させることが知られている(特許文献3、4参照)。
モノアシルグリセロールは、液晶状態(ニート相)で使用すると、よりソフトなパンが焼き上がることが知られている。しかし、パン製造の作業環境温度(20〜40℃程度)で容易に結晶化してしまう。結晶化したモノアシルグリセロールを含む製剤は生地に馴染みにくい。したがって、澱粉との複合体を形成しにくく、製造されるパンの品質の向上が制約される。
このような問題を回避するために、乳化組成物中にジアシルグリセロールを共存させることでモノアシルグリセロールのニート相を安定化して結晶化を抑制することが報告されている(特許文献1参照)。
また、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、有機酸モノアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びリン脂質を特定量含有する油相を有する乳化組成物をパン生地に添加することで、パン生地の発酵時や焼成後にボリュームが向上し、生地伸展性や機械耐性が良く、焼成後のパンの食感等が向上することも報告されている(特許文献5参照)。この特許文献5に記載の乳化組成物にはモノアシルグリセロールとして、飽和モノアシルグリセロールが用いられている。
また、特定組成のモノアシルグリセロールと、ジアシルグリセロールと、有機酸モノアシルグリセロールとを特定量含有する油脂組成物において、モノアシルグリセロールの結晶化が抑制され、この油脂組成物を含む乳化組成物をパン生地に練り込むと、生地の成形性が向上すると共に、食感と風味が良好で品質に優れたパン類が得られることも報告されている(特許文献6参照)。
特開平2−124052号公報 特開平4−197130号公報 特開平5−236919号公報 特開平7−79687号公報 特開2011−72270号公報 特開2012−24079号公報
ベーカリー製品は、食する前にしばしば加熱される。例えば食パンは、トースターで焼いてほどよい焼き色を付けた後、バターやマーガリンを塗って食するのが一般的である。しかし、この加熱により通常はベーカリー製品の体積が縮小し、当初のボリューム感が損なわれてしまう。
本発明は、ベーカリー製品の製造において生地に練り込んで使用する乳化組成物であって、乳化安定性が良好であり、食感と風味のいずれも良好で、しかも焼き縮みの少ないベーカリー製品に仕上げることができる乳化組成物の提供、並びに当該乳化組成物の油相として好適な油脂組成物の提供に関する。
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、飽和モノアシルグリセロールと不飽和モノアシルグリセロールの双方を特定量含有し、さらにジアシルグリセロール、有機酸モノアシルグリセロール及びプロピレングリコール脂肪酸エステルをそれぞれ特定量含有する油脂組成物を用いて調製した乳化組成物が、優れた乳化安定性を示すことを見い出した。
そして、この乳化組成物を練り込んだ生地を用いて焼き上げたベーカリー製品は、良好なサクミ感を有し、且つ風味にも優れていた。さらに、このベーカリー製品はトースター等で加熱しても縮みにくく、いわゆる焼き縮み現象が生じにくいものであった。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
本発明は、
a:ジアシルグリセロール 0.1〜30質量%、
b:有機酸モノアシルグリセロール 1〜20質量%、
c:プロピレングリコール脂肪酸エステル 2〜10質量%、
d:飽和モノアシルグリセロール 5〜30質量%、
e:不飽和モノアシルグリセロール 1〜10質量%、及び
f:トリアシルグリセロール 10〜60質量%
を含有するベーカリー用油脂組成物。
また、本発明は、前記油脂組成物を油相成分とするベーカリー用乳化組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記ベーカリー用乳化組成物を含有する生地から製造されるベーカリー製品を提供するものである。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、これを乳化分散させて得られる乳化組成物の性状が安定である。また、当該乳化組成物を生地に練りこむことで、サクミ感が良好で、かつ風味にも優れたベーカリー製品を焼き上げることができる。また、このベーカリー製品は、トースター等で加熱した際の体積の縮小率がより少なく、保形性に優れる。
本発明のベーカリー用油脂組成物について以下に詳細に説明する。
本発明のベーカリー用油脂組成物(以下、「本発明の油脂組成物」という。)は、ジアシルグリセロール(成分a)、有機酸モノアシルグリセロール(成分b)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(成分c)、飽和モノアシルグリセロール(成分d)、不飽和モノアシルグリセロール(成分e)、及びトリアシルグリセロール(成分f)を必須成分とする。本発明の油脂組成物は、乳化分散後に生地に練り込むことで、パン類等のベーカリー製品の製造に好適に用いられる。
本発明に用いるジアシルグリセロール(成分a)はグリセリンが有する3つのヒドロキシル基のうちいずれか2つに脂肪酸がエステル結合した構造を有する。本発明に用いるジアシルグリセロールに特に制限はないが、ベーカリー製品の風味の観点から、その全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合は90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは91質量%以上であり、さらに好ましくは92質量%以上である。本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合は100質量%であってもよいが、通常には98質量%以下である。
また、本発明に用いるジアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸の好ましい炭素数は、ベーカリー製品の風味の観点から14〜24であることが好ましく、より好ましくは16〜22である。また、本発明に用いるジアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸は、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から少なくともオレイン酸を含むことが好ましい。本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上である。また、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から、本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合は90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。さらに、本発明の油脂組成物はジアシルグリセロールとして2分子のオレイン酸がエステル結合したオレイン−オレインジアシルグリセロールを含有することが好ましい。オレイン−オレインジアシルグリセロールの含有量は、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から、本発明の油脂組成物中のジアシルグリセロールの総量に対して50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。また、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から、オレイン−オレインジアシルグリセロールの含有量は、本発明の油脂組成物中のジアシルグリセロールの総量に対して98質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いるジアシルグリセロールは、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から、その構成脂肪酸にリノール酸を含むことが好ましい。本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノール酸の割合は、15質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上である。また、同様の観点から、本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノール酸の割合は65質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。
本発明に用いるジアシルグリセロールは、酸化安定性とベーカリー製品の良好な風味とを得る観点からその構成脂肪酸にリノレン酸を含有することが好ましい。本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノレン酸の割合は、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上である。また、同様の観点から、本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノレン酸の割合は15質量%未満であることが好ましく、より好ましくは13質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以下である。前記リノレン酸はα−リノレン酸であることが好ましい。
本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合は、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上である。また、酸化安定性とベーカリー製品の風味の観点から、本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合は10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下である。本発明に用いるジアシルグリセロールを構成する飽和脂肪酸の炭素数は通常には14〜24であるが、16〜22であることが好ましい。当該飽和脂肪酸には、パルミチン酸やステアリン酸が含まれることが好ましい。
本発明に用いるジアシルグリセロールは、その構成脂肪酸中に炭素数12以下の脂肪酸を含んでもよいが、その割合が多すぎるとベーカリー製品の風味が悪化する。したがって、本発明に用いるジアシルグリセロールの全構成脂肪酸中、炭素数12以下の脂肪酸の割合は5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いられるジアシルグリセロールには、ベーカリー製品の良好な風味を得る観点から、グリセリンの1位及び3位のヒドロキシル基に脂肪酸がエステル結合した構造をもつ1,3−ジアシルグリセロールが含まれることが好ましい。本発明の油脂組成物中の全ジアシルグリセロールに占める1,3−ジアシルグリセロールの割合は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは52質量%以上であり、さらに好ましくは54質量%以上であり、さらに好ましくは56質量%以上である。また、同様の観点から、本発明の油脂組成物中の全ジアシルグリセロールに占める1,3−ジアシルグリセロールの割合は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
本発明の油脂組成物中のジアシルグリセロールの含有量は0.1〜30質量%であり、乳化安定性、ベーカリー製品の風味及び保形性の観点から、0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましく、さらに好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは9質量%以上である。また、製パン作業性、ベーカリー製品の食感及び保形性の観点から、本発明の油脂組成物中のジアシルグリセロールの含有量は25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。
本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロール(成分b)は、モノアシルグリセロールを構成するグリセリンのヒドロキシル基と有機酸とがエステル結合した構造を有する化合物である。すなわち、上記有機酸モノアシルグリセロールは、グリセリンが有するヒドロキシル基のいずれか1つに脂肪酸がエステル結合し、残りのヒドロキシル基のいずれかに有機酸がカルボキシル基を介してエステル結合した構造を有する化合物である。
本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールは、モノアシルグリセロールを構成するグリセリンの3位のヒドロキシル基と有機酸とがエステル結合した構造を有する化合物であることが好ましい。すなわち、上記有機酸モノアシルグリセロールは、グリセリンが有する1位及び2位のヒドロキシル基のいずれか1つに脂肪酸がエステル結合し、3位のヒドロキシル基に有機酸がカルボキシル基を介してエステル結合した構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールを構成する有機酸は、分子内にカルボキシル基を少なくとも2つ有するポリカルボン酸であることが好ましく、より好ましくはジカルボン酸である。当該ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアシル酒石酸が挙げられる。本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールとしては、コハク酸モノアシルグリセロール、クエン酸モノアシルグリセロール、酒石酸モノアシルグリセロール、ジアシル酒石酸モノアシルグリセロール等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができるが、なかでもコハク酸モノアシルグリセロールもしくはジアシル酒石酸モノアシルグリセロール又はこれらの組み合わせが好適に用いられる。より好ましくは、コハク酸モノアシルグリセロールもしくはジアセチル酒石酸モノアシルグリセロール又はこれらの組み合わせを用いるのが好ましい。
本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールには、塩の形態のものも含まれる。
下記に、コハク酸モノアシルグリセロール(式(1))、クエン酸モノアシルグリセロール(式(2))及びジアセチル酒石酸モノアシルグリセロール(式(3))の一般的な構造を示す。
Figure 2014131503
また、本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールを構成するモノアシルグリセロールの構成脂肪酸は炭素数12〜22であることが好ましく、炭素数14〜22であることがより好ましく、炭素数16〜20であることがさらに好ましい。
また、本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールを構成するモノアシルグリセロールの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸を含むことが好ましい。本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールを構成するモノアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合は、製パン作業性とベーカリー製品の保形成の観点から50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。本発明に用いる有機酸モノアシルグリセロールを構成するモノアシルグリセロールの構成脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
本発明の油脂組成物中の有機酸モノアシルグリセロール含有量は、1〜20質量%である。製パン作業性とベーカリー製品の保形性の観点から、本発明のベーカリー用油脂組成物中の有機酸モノアシルグリセロール含有量は、2質量%以上であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは6質量%以上である。また、ベーカリー製品の風味の観点から、本発明の油脂組成物中の有機酸モノアシルグリセロール含有量は18質量%以下であることが好ましく、より好ましくは16質量%以下であり、さらに好ましくは14質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
本発明に用いるプロピレングリコール脂肪酸エステル(成分c)は、プロピレングリコールと脂肪酸とのモノエステルである。脂肪酸は、プロピレングリコールのα位のヒドロキシル基と縮合した形態であってもよく、β位のヒドロキシル基と縮合した形態であってもよいが、プロピレングリコールのα位のヒドロキシル基と縮合した形態が好ましい。
本発明に用いるプロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、乳化安定性の観点から炭素数12〜22の脂肪酸が好ましく、当該炭素数は16〜22であることがより好ましい。炭素数16〜22の脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、ベーカリー製品の保形性及び乳化安定性の観点から、ステアリン酸、ベヘン酸及びオレイン酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ベヘン酸であることがより好ましい。
本発明の油脂組成物中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量は2〜10質量%である。本発明の油脂組成物中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量は乳化安定性、ベーカリー製品の食感及び保形性の観点から、2.2質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2.4質量%以上である。また、製パン作業性及びベーカリー製品の風味の観点から、本発明の油脂組成物中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量は8質量%以下であることが好ましく、より好ましくは6質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下である。
本発明の油脂組成物は、モノアシルグリセロールとして、飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルである飽和モノアシルグリセロール(成分d)と、不飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルである不飽和モノアシルグリセロール(成分e)とをそれぞれ特定量含有する。なお、本発明において、「モノアシルグリセロール」には、上述の有機酸モノアシルグリセロールは含まれない。本発明に用いるモノアシルグリセロールにおいて、その構成脂肪酸の縮合形態に特に制限はないが、1位のヒドロキシル基と縮合した形態であることが好ましい。
本発明に用いる飽和モノアシルグリセロールの構成脂肪酸は、その炭素数が14〜24であることが好ましく、16〜22であることがより好ましい。当該構成脂肪酸として、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
本発明の油脂組成物中、飽和モノアシルグリセロールの含有量は5〜30質量%である。乳化安定性、製パン作業性、ベーカリー製品の食感及び老化防止の観点から、本発明の油脂組成物中の飽和モノアシルグリセロールの含有量は10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは18質量%以上である。また、乳化安定性、製パン作業性、ベーカリー製品の風味の観点から、本発明の油脂組成物中の飽和モノアシルグリセロールの含有量は28質量%以下であることが好ましく、より好ましくは26質量%以下であり、さらに好ましくは24質量%以下である。
本発明に用いる不飽和モノアシルグリセロールの構成脂肪酸は、その炭素数が14〜22であることが好ましく、16〜22であることがより好ましい。当該構成脂肪酸として、例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
本発明の油脂組成物中、不飽和モノアシルグリセロールの含有量は1〜10質量%である。乳化安定性、製パン作業性、ベーカリー製品の食感及び保形成の観点から、本発明の油脂組成物中の不飽和モノアシルグリセロールの含有量は1.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1.2質量%以上である。また、ベーカリー製品の風味及び保形性の観点から、本発明の油脂組成物中の飽和モノアシルグリセロールの含有量は6質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である。
本発明の油脂組成物中、トリアシルグリセロール(成分f)の含有量は10〜60質量%である。本発明の油脂組成物のトリアシルグリセロールの含有量は、ベーカリー製品の風味及び食感の観点から、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。また、ベーカリー製品の風味及び食感の観点から、本発明の油脂組成物のトリアシルグリセロールの含有量は、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。本発明の油脂組成物に含まれうるトリアシルグリセロールに特に制限はないが、通常には、大豆油、オリーブ油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、綿実油等の食用油脂の配合により含有される。
本発明の油脂組成物は、リン脂質を含有してもよい。本発明の油脂組成物には、当該リン脂質として、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジン酸等又はこれらの酵素処理物から選ばれる1種又は2種以上を含有させることができる。また、上記リン脂質として、大豆レシチンや卵黄レシチン等の天然レシチン又はその酵素分解物を用いることもできる。
本発明の油脂組成物中のリン脂質含有量に特に制限はないが、乳化安定性、ベーカリー製品の風味の観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から、本発明の油脂組成物中のリン脂質含有量は10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。なお、レシチンにはリン脂質以外の成分を含むものが多いが、このようなレシチンを用いる場合には、リン脂質としての含有量が上記濃度範囲内となるように前記油脂組成物中に含有させる。
モノアシルグリセロール及びジアシルグリセロールは、例えば、植物油、動物油等の原料油脂とグリセリンとのエステル交換反応、又は当該原料油脂由来の脂肪酸組成物とグリセリンとのエステル化反応等の方法により反応液中に生成させることができる。すなわち、当該エステル交換反応ないしエステル化反応後の反応生成物又はその処理物を配合することで、本発明の油脂組成物中に所望のモノアシルグリセロールないしジアシルグリセロールを特定量含有せしめることができる。
上記エステル交換反応は、通常には、アルカリ又は酸性触媒等を用いた化学反応法やリパーゼ等の油脂加水分解酵素を用いた生化学反応法等により行うことができる。また、上記エステル化反応は、例えば上記原料油脂由来の脂肪酸組成物とグリセリンとを酵素の存在下で反応させることで行うことができる。
上記原料油脂として、例えば、ナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、米油、ひまわり油、ごま油、ラード、牛脂、魚油、並びに、これらの分別油、エステル交換油及び硬化油から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
油脂のアシルグリセロール組成は後述する方法で測定することができる。
また、上記のジアシルグリセロール、有機酸モノアシルグリセロール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、飽和モノアシルグリセロール、不飽和モノアシルグリセロール、リン脂質、及びポリグリセリン脂肪酸エステルとして、市販の製剤を用いることができる。
本発明の油脂組成物は、本発明のベーカリー用乳化組成物(以下、単に「本発明の乳化組成物」という。)の油相成分として好適に用いられる。
本発明の乳化組成物は、水相成分として、糖類(成分g)、水(成分h)及び特定の乳化剤(成分i)を特定量含有することが好ましい。
上記糖類としては、グルコース、マルトース、フルクトース、シュークロース、ラクトース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、澱粉加水分解物、及びこれらを還元した糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。水相成分中の糖類の含有量は30〜70質量%であることが好ましい。乳化安定性と防腐性等の保存性が得られる観点から、水相成分中の糖類の含有量は35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、乳化安定性と防腐性等の保存性の観点から、水相成分中の糖類の含有量は65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましい。
水相成分中の水の含有量は、20〜60質量%であることが好ましい。乳化安定性と保存性の観点から、水相成分中の水の含有量は25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、35質量%以上であることがさらに好ましい。また、乳化安定性と保存性の観点から、水相成分中の水の含有量は58質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
水相成分中の乳化剤は、HLBが10以上の乳化剤であることが好ましい。乳化安定性の観点から、当該HLBは11以上であることがより好ましい。本発明において、HLBは下記の数式で表されるGriffin法(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic.Chemists.,1,311(1949))により計算した値である。

HLB=20×(乳化剤の親水基部分の分子量)/(乳化剤の分子量)

このような乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びリゾレシチン等のレシチン誘導体等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができるが、水への分散性と乳化安定性の観点からショ糖脂肪酸エステルが好適に用いられる。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、及びエルカ酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。水相成分中の上記乳化剤の含有量は好ましくは1〜10質量%である。乳化安定性の観点から、水相成分中の上記乳化剤の含有量は1.5質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは2質量%以上である。また、ベーカリー製品の風味の観点から、水相成分中の上記乳化剤の含有量は8質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは6質量%以下である。
本発明の乳化組成物は、水中油型乳化組成物であることが好ましい。
本発明のベーカリー用乳化組成物は、上記油相成分と、上記水相成分とを通常の方法で乳化混合することで得ることができる。例えば、80℃程度まで加熱した本発明の油脂組成物をホモミキサーを用いて攪拌し、ここに40℃程度まで加熱した上記水相成分からなる水溶液を加えて攪拌乳化することで得られうる。本発明の乳化組成物を安定した水中油型の乳化組成物とするために、本発明の乳化組成物において、水相成分は、上記油相成分に対して質量比(水相質量/油相質量)で1.5以上であることが好ましく、1.5〜4であることがより好ましい。このようにして調製した乳化組成物では、モノアシルグリセロールのニート相が安定化し、油滴の界面にモノアシルグリセロールが液晶状態で存在しうる。モノアシルグリセロールが結晶化せずに液晶の状態で存在することで、乳化組成物が生地に馴染みやすくなってパン等のベーカリー製品の品質が向上する。油滴の界面に液晶の層が存在することは、X線回析により確認することができる。
本明細書において、「ベーカリー製品」に特に制限はないが、典型的にはパンである。パンとしては例えば、食パン、菓子パン、特殊パン、調理パン等が挙げられる。食パンとしては、白パン、黒パン、フランスパン、バラエティーブレッド、テーブルロール、バンズ、バターロール等のロール類等が挙げられ、特殊パンとしてはマフィン等が挙げられる。調理パンとしては、ホットドック、ハンバーガー等が挙げられ、菓子パンとしてはジャムパン、あんパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、スイートロール、クロワッサン、ブリオッシュ、デニッシュ、ペストリー等のリッチグッズ等が挙げられる。
本発明の乳化組成物をパン類等のベーカリー製品の製造に使用する場合には、小麦粉100質量部に対して、本発明の乳化組成物を1〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは1〜6質量部、さらに好ましくは1〜4質量部配合して練りこむことで生地を製造することが好ましい。このような配合比率とすることで、生地の発酵時や焼成後のボリュームが向上し、生地伸展性(機械耐性)と食感(パンの老化防止)向上の両立を図ることができる点から好ましい。
本発明の乳化組成物を配合した生地を焼成することで、本発明のベーカリー製品が得られる。本発明のベーカリー製品は、食感と風味が良好で、しかも、トースター等で加熱した際の焼き縮みがより少ない。
上述した実施形態に関し、本発明は以下のベーカリー用油脂組成物、ベーカリー用乳化組成物、ベーカリー製品あるいはベーカリー製品の製造方法を開示する。
<1>
a:ジアシルグリセロール 0.1〜30質量%、
b:有機酸モノアシルグリセロール 1〜20質量%、
c:プロピレングリコール脂肪酸エステル 2〜10質量%、
d:飽和モノアシルグリセロール 5〜30質量%、
e:不飽和モノアシルグリセロール 1〜10質量%、及び
f:トリアシルグリセロール 10〜60質量%
を含有するベーカリー用油脂組成物。
<2>
前記ジアシルグリセロールの含有量が好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは9質量%以上である、前記<1>に記載のベーカリー用油脂組成物。
<3>
前記ジアシルグリセロールの含有量が好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である、前記<1>又は<2>に記載のベーカリー用油脂組成物。
<4>
前記ジアシルグリセロールの含有量が好ましくは0.2〜25質量%であり、より好ましくは0.4〜25質量%であり、さらに好ましくは1〜25質量%であり、さらに好ましくは2〜25質量%であり、さらに好ましくは5〜25質量%であり、さらに好ましくは7〜25質量%であり、さらに好ましくは8〜20質量%であり、さらに好ましくは9〜15質量%である、前記<1>に記載のベーカリー用油脂組成物。
<5>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは91質量%以上であり、さらに好ましくは92質量%以上である、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<6>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下である、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<7>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が好ましくは90〜100質量%であり、より好ましくは91〜98質量%であり、さらに好ましくは92〜98質量%である、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<8>
前記ジアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜24であり、より好ましくは16〜22である、前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<9>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合が好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上である、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<10>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合が好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である、前記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<11>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合が好ましくは20〜90質量%であり、より好ましくは25〜80質量%であり、さらに好ましくは30〜70質量%であり、さらに好ましくは35〜70質量%である、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<12>
前記ジアシルグリセロールに占めるオレイン−オレインジアシルグリセロールの割合が好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上である、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<13>
前記ジアシルグリセロールに占めるオレイン−オレインジアシルグリセロールの割合が好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である、前記<1>〜<12>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<14>
前記ジアシルグリセロールに占めるオレイン−オレインジアシルグリセロールの割合が好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは55〜90質量%である、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<15>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノール酸の割合が好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上である、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<16>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノール酸の割合が好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である、前記<1>〜<15>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<17>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノール酸の割合が好ましくは15〜65質量%であり、より好ましくは20〜60質量%であり、さらに好ましくは30〜55質量%であり、さらに好ましくは35〜50質量%である、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<18>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノレン酸の割合が好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である、前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<19>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノレン酸の割合が好ましくは15質量%未満であり、より好ましくは13質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以下である、前記<1>〜<18>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<20>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占めるリノレン酸の割合が好ましくは1質量%以上15質量%未満であり、より好ましくは1〜13質量%であり、さらに好ましくは2〜10質量%であり、さらに好ましくは2〜9質量%である、前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<21>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合が好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である、前記<1>〜<20>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<22>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合が好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下である、前記<1>〜<21>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<23>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合が好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは1〜7質量%であり、さらに好ましくは2〜6質量%である、前記<1>〜<20>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<24>
前記ジアシルグリセロールを構成する飽和脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜24であり、より好ましくは16〜22である、前記<1>〜<23>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<25>
前記ジアシルグリセロールの全構成脂肪酸中、炭素数12以下の脂肪酸の割合が好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である、前記<1>〜<24>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<26>
前記ジアシルグリセロールに占める1,3−ジアシルグリセロールの割合が好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは52質量%以上であり、さらに好ましくは54質量%以上であり、さらに好ましくは56質量%である、前記<1>〜<25>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<27>
前記ジアシルグリセロールに占める1,3−ジアシルグリセロールの割合が好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である、前記<1>〜<26>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<28>
前記ジアシルグリセロールに占める1,3−ジアシルグリセロールの割合が好ましくは50〜90質量%であり、より好ましくは52〜90質量%であり、さらに好ましくは54〜90質量%であり、さらに好ましくは56〜80質量%である、前記<1>〜<25>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<29>
前記有機酸モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは6質量%以上である、前記<1>〜<28>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<30>
前記有機酸モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは18質量%以下であり、より好ましくは16質量%以下であり、さらに好ましくは14質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である、前記<1>〜<29>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<31>
前記有機酸モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは2〜18質量%であり、より好ましくは3〜16質量%であり、さらに好ましくは5〜14質量%であり、さらに好ましくは6〜12質量%であり、さらに好ましくは6〜10質量%である、前記<1>〜<28>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<32>
前記有機酸モノアシルグリセロールを構成する有機酸が好ましくはポリカルボン酸であり、より好ましくはジカルボン酸である、前記<1>〜<31>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<33>
前記有機酸モノアシルグリセロールが好ましくはコハク酸モノアシルグリセロール、クエン酸モノアシルグリセロール、酒石酸モノアシルグリセロール、及びジアシル酒石酸モノアシルグリセロールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはコハク酸モノアシルグリセロールもしくはジアシル酒石酸モノアシルグリセロール又はこれらの組み合わせであり、さらに好ましくはコハク酸モノアシルグリセロールもしくはジアセチル酒石酸モノアシルグリセロール又はこれらの組み合わせである、前記<1>〜<32>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<34>
前記有機酸モノアシルグリセロールを構成するモノアシルグリセロールの構成脂肪酸の炭素数が好ましくは12〜22であり、より好ましくは14〜22であり、さらに好ましくは16〜20である、前記<1>〜<33>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<35>
前記有機酸モノアシルグリセロールを構成するモノアシルグリセロールの全構成脂肪酸中、飽和脂肪酸の割合が好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である、前記<1>〜<34>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<36>
前記有機酸モノアシルグリセロールを構成するモノアシルグリセロールの構成脂肪酸が好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<35>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<37>
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量が好ましくは2.2質量%以上であり、より好ましくは2.4質量%以上である、前記<1>〜<36>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<38>
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量が好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<37>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<39>
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量が好ましくは2.2〜8質量%であり、より好ましくは2.4〜6質量%であり、さらに好ましくは2.4〜4質量%である、前記<1>〜<36>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<40>
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数が好ましくは12〜22であり、より好ましくは16〜22である、前記<1>〜<39>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<41>
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸が好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはステアリン酸、ベヘン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはベヘン酸である、前記<1>〜<40>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<42>
前記飽和モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは18質量%以上である、前記<1>〜<41>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<43>
前記飽和モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは28質量%以下であり、より好ましくは26質量%以下であり、さらに好ましくは24質量%以下である、前記<1>〜<42>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<44>
前記飽和モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは10〜28質量%であり、より好ましくは15〜26質量%であり、さらに好ましくは18〜24質量%である、前記<1>〜<41>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<45>
前記飽和モノアシルグリセロールの構成脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜24であり、より好ましくは16〜22である、前記<1>〜<44>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<46>
前記飽和モノアシルグリセロールの構成脂肪酸が好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<45>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<47>
前記不飽和モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは1.1質量%以上であり、より好ましくは1.2質量%以上である、前記<1>〜<46>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<48>
前記不飽和モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは6質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である、前記<1>〜<47>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<49>
前記不飽和モノアシルグリセロールの含有量が好ましくは1.1〜6質量%であり、より好ましくは1.1〜4質量%であり、さらに好ましくは1.2〜2質量%である、前記<1>〜<46>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<50>
前記不飽和モノアシルグリセロールの構成脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜22であり、より好ましくは16〜22である、前記<1>〜<49>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<51>
前記不飽和モノアシルグリセロールの構成脂肪酸が好ましくはパルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<50>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<52>
前記トリアシルグリセロールの含有量が好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上である、前記<1>〜<51>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<53>
前記トリアシルグリセロールの含有量が好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である、前記<1>〜<52>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<54>
前記トリアシルグリセロールの含有量が好ましくは20〜55質量%であり、より好ましくは25〜50質量%である、前記<1>〜<51>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<55>
好ましくはリン脂質を含有する、前記<1>〜<54>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<56>
前記リン脂質が好ましくはフォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジン酸及びこれらの酵素処理物から選ばれる1種又は2種以上である、前記<55>に記載のベーカリー用油脂組成物。
<57>
前記リン脂質が好ましくは天然レシチン又はその酵素分解物である、前記<55>に記載のベーカリー用油脂組成物。
<58>
前記天然レシチンが好ましくは大豆レシチンもしくは卵黄レシチン又はこれらの組み合わせである、前記<57>に記載のベーカリー用油脂組成物。
<59>
前記リン脂質の含有量が好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である、前記<55>〜<58>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<60>
前記リン脂質の含有量が好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である、前記<55>〜<59>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<61>
前記リン脂質の含有量が好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜8質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%である、前記<55>〜<60>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物。
<62>
前記<1>〜<61>のいずれか1つに記載のベーカリー用油脂組成物を油相成分とするベーカリー用乳化組成物。
<63>
g:糖類 30〜70質量%、
h:水 20〜60質量%、及び
i:HLB値が10以上の乳化剤 1〜10質量%
を含む水相成分を含有し、
油相成分の含有量に対する水相成分の含有量が、質量比で1.5〜4である、前記<62>に記載のベーカリー用乳化組成物。
<64>
前記糖類が好ましくは単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、澱粉加水分解物、及びこれらを還元した糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<63>に記載のベーカリー用乳化組成物。
<65>
前記水相成分中、前記糖類の含有量が好ましくは40質量%以上である、前記<63>又は<64>に記載のベーカリー用乳化組成物。
<66>
前記水相成分中、前記糖類の含有量が好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下である、前記<63>〜<65>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<67>
前記水相成分中、前記糖類の含有量が好ましくは40〜65質量%であり、より好ましくは40〜55質量%である、前記<63>又は<64>に記載のベーカリー用乳化組成物。
<68>
前記水相成分中の水の含有量が好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上である、前記<63>〜<67>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<69>
前記水相成分中の水の含有量が好ましくは58質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である、前記<63>〜<68>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<70>
前記水相成分中の水の含有量が好ましくは25〜58質量%であり、より好ましくは30〜55質量%であり、さらに好ましくは35〜50質量%である、前記<63>〜<67>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<71>
前記のHLB値が10以上の乳化剤のHLB値が好ましくは11以上である、前記<63>〜<70>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<72>
前記のHLB値が10以上の乳化剤が好ましくはショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチン誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、前記<63>〜<71>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<73>
前記ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸が好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、及びエルカ酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、前記<72>に記載のベーカリー用乳化組成物。
<74>
前記水相成分中、HLB値が10以上の乳化剤の含有量が好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である、前記<63>〜<73>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<75>
前記水相成分中、HLB値が10以上の乳化剤の含有量が好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下である、前記<63>〜<74>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<76>
前記水相成分中、HLB値が10以上の乳化剤の含有量が好ましくは1.5〜8質量%であり、より好ましくは2〜6質量%である、前記<63>〜<73>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<77>
好ましくは水中油型である、前記<62>〜<76>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物。
<78>
前記<62>〜<77>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物を含有する生地から製造されるベーカリー製品。
<79>
前記<62>〜<77>のいずれか1つに記載のベーカリー用乳化組成物を含有する生地を焼成することを含む、ベーカリー製品の製造方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、下記実施例において、表中の「TAG」はトリアシルグリセロールを、「DAG」はジアシルグリセロールを、「MAG」はモノアシルグリセロールを意味する。
[分析方法]
アシルグリセロール組成:
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
構成脂肪酸組成:
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの01調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
[ジアシルグリセロール含有油脂の調製]
ウインタリングにより飽和脂肪酸を低減させた大豆油脂肪酸455質量部と、菜種油脂肪酸195質量部と、グリセリン107質量部とを、リポザイムIM(ノボザイムス社)を使用して40℃、0.07hPaで5時間エステル化反応を行った。次いで酵素を濾別し、235℃で分子蒸留して未反応の脂肪酸とモノアシルグリセロールとを留去し、更に脱色、水洗した。こうして得られた油脂150質量部に10%クエン酸水溶液7.5質量部を加え、60℃で20分間攪拌した後、110℃で脱水した。これを235℃で2時間脱臭することで油脂Aを得た。なお、大豆油脂肪酸及び菜種油脂肪酸は、大豆白絞油(昭和産業社製)及び菜種白絞油(昭和産業社製)をそれぞれ酵素(商品名:リパーゼAYアマノ、天野エンザイム社製)で加水分解することで調製した。
ヘキサンに含浸しスラリー化したワコーゲルC−200(和光純薬製)をカラムに充填した。カラム上層から油脂A/ヘキサン混合液を滴下し、60ml/分で通液させた。溶出溶媒は、ヘキサン/酢酸エチル比率を80/20に調整した混合系を用い、油脂を溶出させ、回収した。画分をそれぞれトッピングし、油脂を回収し、ジアシルグリセロール高含有油脂Bを得た。
[調製例1 ベーカリー用油脂組成物の調製]
菜種白絞油(日清オイリオ製)、ジアシルグリセロール高含有油脂(上記油脂A又はB)、不飽和モノアシルグリセロール(商品名:エキセルO−95R、花王社製)、コハク酸モノアシルグリセロール(商品名:ステップSS、花王社製)、飽和モノアシルグリセロール(商品名:エキセルT−95、花王社製)、大豆レシチン(商品名:イェルキンTS、ADM社製)、プロピレングリコールモノステアレート(商品名:カオーホモテックスPS−200V、花王社製)、プロピレングリコールモノオレート(商品名:リケマールPO−100V、理研ビタミン社製)、プロピレングリコールモノベヘネート(商品名:リケマールPB−100、理研ビタミン社製)を下記表1に示す割合で混合し、80℃に加熱して攪拌溶解することで調製した。
[調製例2 ベーカリー用乳化組成物の調製]
ソルビトール(商品名:ソルビトール70W、花王社製)、マルトテトラオース(商品名:フジオリゴ#450、日本食品化工社製)、ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−1170、HLB:11、三菱化学社製)及び水を下記表1に示す割合で混合し、40℃に加熱して攪拌溶解することで水相成分を得た。
なお、表1の上段に記載の各成分の数値は油相成分(油脂組成物)と水相成分の合計を100質量%としたときの配合量(質量%)を示す。
上記水相成分を調製例1で得た油脂組成物(油相成分)に徐々に添加しながらホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて50℃、7000rpmで攪拌乳化し、水中油型の乳化組成物である本発明品1〜16及び比較品1〜7を得た。得られた各乳化組成物を15℃まで冷却し、冷蔵庫(5℃)にて1日保存した後、下記の試験例に用いた。表1の中段には、各調製品の油相成分の組成(単位:質量%)を併せて示す。
Figure 2014131503
表1中、比較品1〜3及び6は、油相中の不飽和モノアシルグリセロールの含有量が本発明で規定するよりも少ない例であり、比較品2ではさらに、油相中のジアシルグリセロールの含有量が本発明で規定するよりも多く、逆にトリアシルグリセロールの含有量は少ない。
比較品4及び7は、油相中にプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有しない例であり、比較品5は逆に、油相中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量を本発明で規定するよりも高めた例である。
[試験例1 乳化組成物の安定性]
調製例2で調製した乳化組成物について乳化安定性を試験した。具体的には、各乳化組成物について、その80mLを硬質ガラス容器(胴径40mm、高さ120mm)に採取し、50℃で1時間経過した後の離水量を比較した。乳化安定性の評価基準を下記に示す。
<乳化安定性評価基準>
4:離水量が3mL未満である。
3:離水量が3mL以上5mL未満である。
2:離水量が5mL以上20mL未満である。
1:離水量が20mL以上である。
結果を表1に示す。
表1の結果から、比較品5の乳化安定性が顕著に劣っていた。すなわち、油相中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量が本発明で規定するよりも多いと、乳化分散の状態が不安定であることがわかる。
[調製例3 パンの調製]
乳化安定性に顕著に劣る比較品5を除き、上記各乳化組成物を用いて下記方法によりパンを製造した。
25℃において、強力小麦粉(日清製粉社製)70.0質量部、イースト(オリエンタル酵母社製)2.0質量部、イーストフード(オリエンタル酵母社製)0.1質量部、上記乳化組成物2.0質量部、水40.0質量部をボール(10コート)に入れ、縦型ミキサー(10コートミキサー、攪拌にフック使用、関東混合機工社製)を用い、25.0±0.5℃の温度下、低速で3分間、続いて高速で2分間混捏した。混捏した生地を28.0℃(湿度80%)で4時間30分発酵(中種発酵)させた(発酵終了温度29.0±0.5℃)。
続いて上記中種発酵生地に、強力小麦粉(日清製粉社製)30.0質量部、上白糖5.0質量部、食塩2.0質量部、脱脂粉乳2.0質量部、水25.0質量部を加えて、上記縦型ミキサーを用いて低速で3分間、続いて高速3分間混捏後、ショートニング5.0質量部を添加し、さらに低速で3分間続いて中速で2分間、さらに高速で3分間混捏して本捏生地を得た(捏上生地温度28.0±0.5℃)。
本捏生地を28.0℃(湿度80%)で30分間静置してフロアータイムをとり、混捏時の生地のダメージを回復させてから、約225gの生地に分割した。分割生地を28.0℃(湿度80%)で20分間静置してベンチタイムをとり、分割による生地ダメージを回復させてからモルダーで成形した。成形した生地6個を焼き型に充填し、38.0℃(湿度80%)で60分間発酵(ホイロ)させた後、205℃のオーブンで40分間焼成した。焼成後、室温(約20.0℃)で45分間静置して冷却し、ビニール袋に入れて密閉した上で20.0℃にて24時間保存し、試験用の食パンとした。本発明品1〜16及び比較品1〜4、6及び7の各乳化組成物を用いて得られたパンを、それぞれ本発明品1α〜16α及び比較品1α〜4α、6α及び7αとした。
[試験例2 パン品質の官能評価]
上記調製例3で製造したパンを厚さ2.2cmにスライス後、トースターで加熱した(1000W、2分)。得られたトーストについて、専門パネル10名にて、サクミ感、風味の各要素を指標にして品質を評価した。また、トースターによる加熱前後の形状に基づき、保形性を評価した。結果を上記表1に示す。
なお、表1には、上記調製例3において、パン生地のベタつきを指標にした製パン作業性の評価結果も併せて示す。
製パン作業性、サクミ感、風味及び保形性の評価基準は下記のとおりである。
−製パン作業性の評価−
4:ベタつきのない生地で、非常に扱いやすい。
3:ほとんどベタつきを感じない生地で、扱いやすい。
2:ややベタつきがある生地で、やや扱いにくい。
1:非常にベタつきのある生地で、扱いにくい。
−サクミ感の評価−
4:ヒキが無く、歯切れが非常に良い。
3:ヒキがほとんど無く、歯切れが良い。
2:ややヒキがあり、歯切れが悪い。
1:ヒキがあり噛み切りにくい。
−風味の評価−
4:乳化組成物の異味・異臭を感じない。
3:乳化組成物由来の異味・異臭をほとんど感じない。
2:乳化組成物由来の異味・異臭を感じる。
1:乳化組成物由来の異味・異臭が強い。
−保形性の評価−
5:トースターによる加熱後の体積縮小率が6.5%以下である。
4:トースターによる加熱後の体積縮小率が6.5%超7%以下である。
3:トースターによる加熱後の体積縮小率が7%超9%以下である。
2:トースターによる加熱後の体積縮小率が9%超11%以下である。
1:トースターによる加熱後の体積縮小率が11%超である。
ここで、体積縮小率は下記手法により算出した値である。
レーザー体積計VM−2000V(アステックス社)を用いて、スライスしたパンの体積をトースターによる加熱の前後で測定し、その値から体積縮小率を算出した。表1にはこの縮小率も併せて示した。
上記の結果から、不飽和モノアシルグリセロールの含有量が本発明で規定するよりも低い乳化組成物を用いると、得られるパンのサクミ感、風味及び保形性のいずれにも劣る結果となった(比較品1〜3及び6、1α〜3α及び6α)。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有しない乳化組成物を用いた場合にも、得られるパンはサクミ感に劣っていた。また、トースターによる加熱後の体積縮小率がより大きくなり、保形性がより悪化する結果となった(比較品4及び7、4α及び7α)。また、上述のように、プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量が過剰である乳化組成物は、乳化安定性が著しく損なわれることもわかった(比較品5)。さらに、比較品1〜4、6及び7の乳化組成物は、パン生地に練り込んでもパン生地にベタつきを感じ、製パン作業性に劣ることもわかった(比較品1α〜4α、6α及び7α)。
これに対し、本発明品1〜16の乳化組成物はいずれも乳化安定性が高く、パン生地に練り込めば生地のベトつきが抑えられ、扱いやすい生地となった。また、これらの生地を焼成して得られるパンはサクミ感、風味、及び保型性のいずれも良好であった(本発明品1α〜16α)。

Claims (7)

  1. a:ジアシルグリセロール 0.1〜30質量%、
    b:有機酸モノアシルグリセロール 1〜20質量%、
    c:プロピレングリコール脂肪酸エステル 2〜10質量%、
    d:飽和モノアシルグリセロール 5〜30質量%、
    e:不飽和モノアシルグリセロール 1〜10質量%、及び
    f:トリアシルグリセロール 10〜60質量%
    を含有するベーカリー用油脂組成物。
  2. 前記ジアシルグリセロールの含有量が5〜30質量%である、請求項1に記載のベーカリー用油脂組成物。
  3. リン脂質を含有する、請求項1又は2に記載のベーカリー用油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物を油相成分とするベーカリー用乳化組成物。
  5. g:糖類 30〜70質量%、
    h:水 20〜60質量%、及び
    i:HLB値が10以上の乳化剤 1〜10質量%
    を含む水相成分を含有し、
    油相成分の含有量に対する水相成分の含有量が、質量比で1.5〜4である、請求項4に記載のベーカリー用乳化組成物。
  6. 前記のHLB値が10以上の乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチン誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、請求項5に記載のベーカリー用乳化組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載のベーカリー用乳化組成物を含有する生地から製造されるベーカリー製品。
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