JP2014122052A

JP2014122052A - 濃厚臭素用耐食性容器

Info

Publication number: JP2014122052A
Application number: JP2012278664A
Authority: JP
Inventors: Daigo Naito; 大伍内藤; Akihito Mizui; 哲人水井; Kazuhisa Haraguchi; 和久原口
Original assignee: Tosoh Corp
Current assignee: Tosoh Corp
Priority date: 2012-12-20
Filing date: 2012-12-20
Publication date: 2014-07-03

Abstract

【課題】金属のみで濃厚臭素に対して十分な耐食性を有する容器を提供する。
【解決手段】純度９９．５％以上の高純度金属ニオブ板を用いて溶接された、注入口１がねじ付きのクランプ６締め構造である濃厚臭素用耐食性容器を用いる。
【選択図】図４

Description

本発明は、濃厚臭素を充填する耐食性容器に関する。

濃厚臭素液は、金属に対する腐食性が非常に大きく、濃厚臭素に耐える物質はガラス、磁器・タンタル・鉛など数えるほどしかなく、一般に濃厚臭素は磁器製の臭素ビンに充填されて貯蔵または輸送されている。また、臭素は蒸発しやすい液体であり、体に付着すると激しい薬傷を起こし、さらにこのガスを吸うと呼吸困難となる劇物である。そのため、臭素ビンの輸送、取り扱い及び保存を安全に行なうことが必要であるが、磁器製の臭素ビンでは、途中で割れる等の危険が伴っていた。

この問題を解決する方法として、磁器製ビンの代わりに用いられる材料として、耐食性の高いチタン等の金属薄板の一面にチタン等の金属性のラスを点溶接し、その表面にガラス繊維強化プラスチックを加工してなる複合材料が提案されている（例えば、特許文献１参照）。しかしながら、このような点溶接やプラスチック加工のため、各層の境界領域で均一な被覆が難しく、臭素が浸漬して内部まで達し、金属性のラスやガラス繊維強化プラスチックの剥離が起きて、これらの物質が臭素に混入し、製品純度を悪化させるという問題があった。

以上の理由により、上記複合材料のような臭素ビン用の新材料は未だ実用化されず、従来の磁器製の臭素ビンを使用し、臭素ビン用容器として箱型の木枠に収められて輸送・取り扱い及び保存がされていた。

しかしながら、これらの箱型の枠は、
１）落下した場合、その重みで板が割れて衝撃が直接磁器製の臭素ビンに加わり、ビンが割れるという危険性がある。

２）板や板を止めている釘が腐って箱型の木枠が破損し、臭素ビンが割れる恐れがある。

３）磁器製のビンが割れると臭素が直接外部に漏れて、有毒なガスを発生する。

４）箱型の枠は、使用ごとに点検・修理が必要であるため手間がかかる。
等の問題点がある。

特開平８−１０３９８１号公報

本発明は、臭素容器の輸送・取り扱い時に、事故等での破損・漏洩リスクの低減を図ることができる金属製の濃厚臭素に対する耐食性容器を提供するものである。

本発明の容器に充填する濃厚臭素の濃度は特に制限されないが、その濃度は製品規格９９．８重量％以上であることが通常は要求される。

本発明の濃厚臭素に対して耐食性を有する容器とは、その材質が純度９９．５％以上の高純度金属ニオブであり、注入口がねじ付きのクランプ締め構造である耐食性容器である。

本発明の耐食性容器の材質である純度９９．５％以上の高純度ニオブとは、それに含まれる不純物、例えば炭素、窒素、鉄、チタン、酸素、水素、珪素、ニッケル等の不純物の合計が０．５％以下であることを意味する。

また、その耐食性容器の厚さは、臭素の設定温度や設計圧力を考慮すれば、最低０．１ｍｍが必要であり、溶接加工性を考慮すれば、０．５〜２ｍｍ程度、特に０．７〜１．５ｍｍ程度が好ましい。

耐食性容器の形状については、図１にその典型的な形状を示すが、濃厚臭素を入れるための上部に注入口（１）を設けた注入部（２）を有し、頭頂部（３）及び容器部（４）を有するものであり、底部の外周はストレートな形状でも丸みをもった形状でも構わない。

上部の注入口（１）の直径（Φ_１）は、下部の容器部（４）の直径（Φ_２）よりも狭い方が、臭素の漏洩の防止の観点から好ましいが、狭すぎると臭素の注入が困難となるため、Φ_１＝（０．０５〜０．２０）×Φ_２の関係式を成立させる範囲が好ましい。

また、注入口は、濃厚臭素を輸送する際には当然蓋等で封じなくてはならないが、図２に示されるような、１本のねじ（５）付きのクランプ（６）と蓋（７）により注入口を締める構造とする。

１本のねじ（５）付きのクランプ（６）締めとすると、図３に示される従来の数本のボルト（８）で締める構造では問題であった、場所により締め付け圧力にバラツキが生じ、充填した濃厚臭素が漏洩するような事故を防ぐことができる。

本発明では、図４に示したように、注入口（１）の円周部（９）と蓋（７）をクランプ（６）で締める構造とすることにより、容器からの濃厚臭素の漏洩を防ぐことが可能となる。

本発明の耐食性容器は、濃厚臭素に対して耐食性に優れており、長期間の保存中に腐食して濃厚臭素が漏洩することはない。

また、注入口がねじ付きのクランプ締め構造であるため、図３に示されるような従来の数本のボルト（８）で締める構造では問題であった、充填した濃厚臭素が漏洩するような事故を防ぐことができる。

さらに、本発明の耐食性容器をポリエチレン製外装材等で包装した貯蔵容器は、輸送・取り扱い時の衝撃に対して破損・漏洩等のリスクの低減が図れるため、濃厚臭素を長期間貯蔵すること、及び長時間輸送することが可能となる。

容器の形状を示す図である。１本ねじのクランプで注入口を封じる構造を示す図である。従来の注入口を複数のボルト締めによる封じ方を示す図である。容器の注入口をクランプ締めする方法を示す図である。

本発明を以下詳細に実施例により説明する。

実施例１
純度９９．５％の高純度ニオブの板（厚さ：１ｍｍ）を使用し、溶接により、容器部（４）の直径＝２２０ｍｍ、高さ＝２３０ｍｍ、内装容積＝８Ｌ、入口（１）の直径＝３５ｍｍ、頭頂部（３）の高さ＝５５ｍｍ、注入部（２）の高さ３７ｍｍの高純度ニオブからなる耐食性容器を作製した。

尚、注入口は、先に図２に示した１本ねじを使用するクランプ締めで塞いである。

また、１年間、耐食性容器に充填した濃厚臭素からは、ニオブ、鉄、その他の重金属などが検出限界以下であり、これらの金属の溶解は観測されなかった（ＩＣＰ法、原子吸光法）。

この耐食性容器に、濃度９９．８重量％の濃厚臭素を充填率９１％で充填し、厚さ３０ｍｍのポリエチレン製外装容器で包装した後、９メートルの高さからコンクリート製の下地に鉄板を敷いた上に落下させる落下耐久試験を実施した。

なお、容器破損の有無は目視にて確認し、気密検査は容器を昇圧後５分以上水中に浸漬し、漏れの有無を目視にて確認する方法で実施した。

比較例１
容器を従来の磁器製容器とした以外は、実施例１と同じ方法で落下耐久試験を実施した。

表１に実施例１及び比較例１の落下耐久試験の結果を示す。

＊１：ＰＴ検査：ＪＩＳＺ２３４３−１（２００１）に準拠して行った。

容器の表面を溶剤湿潤布で拭いて綺麗にしてから、溶剤除去性染色浸透液をはけで塗り、６０分以下浸透させ、室温で自然に乾燥させて１０〜３０分間現像し、５００ルックス以上の照明で、表面から上記浸透液の浸透による傷を検出する。
＊２：磁器製容器は、既に表面に多数の小さい傷があり、ＰＴ検査での傷の判別が不可能であった。
＊３：気密検査：容器を昇圧後５分以上水中に浸漬し、漏れの有無を目視にて確認した。

表１の結果から、本発明の高純度ニオブ容器は、９ｍ落下しても破損せず、小さな穴も開かず、気密も保たれることが明らかである。

本発明の高純度ニオブ容器は、濃厚臭素の貯蔵・輸送に好適に使用することができ、長期間の保存または長距離・長時間の輸送において濃厚臭素の漏洩が防止可能である。従って、有毒な臭素の漏洩による人的被害や物的被害を防ぐことができる。

１：注入口
２：注入部
３：頭頂部
４：容器部
５：ねじ
６：クランプ
７：蓋
８：ボルト
９：円周部

Claims

注入口がねじ付きのクランプ締め構造であり、純度９９．５％以上の高純度金属ニオブからなる濃厚臭素用耐食性容器。
濃厚臭素の濃度が９９．０重量％以上であることを特徴とする請求項１に記載の濃厚臭素用耐食性容器。