JP2014101273A - 脂質構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂質チューブ部を有する脂質構造体を、簡易な方法で、効率及び制御性良く作製でき、用いる脂質の選択の幅が広い脂質構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】リポソームにナノ粒子12が内包されてなるナノ粒子内包リポソームを準備する工程と、前記ナノ粒子内包リポソーム中のナノ粒子12を外部場Fによって移動させることにより、前記ナノ粒子12によって前記リポソームの脂質膜の一部を押し出して脂質ナノチューブ部20を形成する脂質ナノチューブ部形成工程と、を有する脂質構造体の製造方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、脂質構造体の製造方法に関する。
脂質は、自己集合して安定な分子集合体を形成し、基礎生物学、医学、薬学、工学分野における基盤材料として用いられている。
天然由来のリン脂質をはじめとする脂質から形成される脂質分子集合体として、リポソームが知られている。リポソームは、超音波照射法、静置水和法等により調製される。
しかしながら、リポソームは球状であるため、その利用分野が制限される。
一方、ナノチューブ状の脂質分子集合体である脂質ナノチューブについては、三次元人工細胞アレイ、バイオチップ、マイクロリアクター、ドラッグキャリアー、無機ナノ構造作製のためのテンプレート等への応用や、神経細胞、免疫細胞等の細胞間コミュニケーションのメカニズム解明に期待が持てることから、近年、盛んに検討が行われている。
そこで、リポソームからナノチューブ状の脂質分子集合体(脂質ナノチューブ)を作製する方法について、種々の検討が行われている。
例えば、特定の構造を有する合成脂質を自己集合させて、脂質ナノチューブを作製する方法が知られている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
また、マイクロピペット吸引技術を利用して、リポソームの脂質膜の一部をマイクロピペットにて吸引し該一部を物理的に引き伸ばして一本ずつ脂質ナノチューブ部を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献3参照)。
また、リポソームに特定の生体分子を添加し、生体分子の動きを利用して脂質膜の一部を脂質ナノチューブ構造に成長させる技術(例えば、非特許文献4参照)や、リポソームにガングリオシド等の特定物質を添加して脂質膜の一部を脂質ナノチューブ構造に成長させる技術(例えば、非特許文献5及び6参照)が知られている。
特表2004−509778号公報
Chem.Mater.2008, 20, 625 Nature Commun.2010, 1, 20 Langmuir 2001, 17, 6754 EMBO J.2005, 24, 1537 FEBS Lett.2003, 534, 33 PNAS 2010, 107, 7781
しかしながら、非特許文献1及び2に記載の方法では、脂質ナノチューブの作製に用いる脂質の種類が限定される。
また、特許文献1及び非特許文献3に記載の方法は、熟練が要求される複雑な方法であり、しかも、一本ずつ脂質ナノチューブ部を作製するため、作製効率に乏しい。
また、非特許文献4〜6に記載の方法では、脂質ナノチューブ構造作製の制御性に乏しい。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、脂質ナノチューブ部のような脂質チューブ部を有する脂質構造体を、簡易な方法で、効率及び制御性良く作製でき、用いる脂質の選択の幅が広い脂質構造体の製造方法を提供することである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> リポソームに微粒子が内包されてなる微粒子内包リポソームを準備する工程と、前記微粒子内包リポソーム中の微粒子を外部場によって移動させることにより、前記微粒子によって前記リポソームの脂質膜の一部を押し出して脂質チューブ部を形成する脂質チューブ部形成工程と、を有する脂質構造体の製造方法。
<2> 前記外部場が、電場、磁場、又は慣性力である<1>に記載の脂質構造体の製造方法。
<3> 前記脂質チューブ部形成工程において、前記微粒子内包リポソームは、前記外部場中での移動が制限されている<1>又は<2>に記載の脂質構造体の製造方法。
<4> 前記脂質チューブ部形成工程において、前記微粒子内包リポソームは、基材上又はゲル中に保持されている<1>〜<3>のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
<5> 前記微粒子の体積平均粒子径が10nm〜300nmである<1>〜<4>のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
<6> 前記微粒子内包リポソームの体積平均粒子径が2μm〜100μmである<1>〜<5>のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
<7> 前記外部場が、2.0kV/m〜10.0kV/mの強さの電場である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
<8> 前記微粒子がカルボキシレート基で修飾されたポリスチレンナノ粒子である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
本発明によれば、脂質チューブ部を有する脂質構造体を、簡易な方法で、効率及び制御性よく作製でき、しかも用いる脂質の選択の幅が広い脂質構造体の製造方法を提供することができる。
本発明に用いられるナノ粒子内包リポソームの一例を模式的に示す模式断面図である。 本発明における脂質チューブ部形成工程の一例を模式的に示す模式断面図である。 本発明の第1の実施形態を模式的に示す概略斜視図である。 本発明の第2の実施形態を模式的に示す概略斜視図である。 本発明の第3の実施形態を模式的に示す概略斜視図である。 本発明の第4の実施形態を模式的に示す概略斜視図である。 ガラス基板上にリンカーを介して保持されたナノ粒子内包リポソームの一例を示す概念図である。 本実施例1(電場による脂質ナノチューブ部の形成1)の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 本実施例1(電場による脂質ナノチューブ部の形成1)の結果を示す光学顕微鏡写真である。 本実施例2(電場による脂質ナノチューブ部の形成2)の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 本実施例3(電場による脂質ナノチューブ部の形成3)の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 本実施例4(電場による脂質ナノチューブ部の形成4)の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 本実施例5(磁場による脂質ナノチューブ部の形成)の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 本実施例6(慣性力による脂質ナノチューブ部の形成)の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の脂質構造体の製造方法は、リポソームに微粒子が内包されてなる微粒子内包リポソームを準備する工程(以下、「準備工程」ともいう)と、前記微粒子内包リポソーム中の微粒子を外部場によって移動させることにより、前記微粒子によって前記リポソームの脂質膜の一部を押し出して脂質チューブ部を形成する脂質チューブ部形成工程と、を有する。
本発明において、「脂質チューブ」には、両端が開口されている脂質チューブのみならず、少なくとも一端が閉塞されている脂質チューブも含まれるものとする。
以下、本発明の製造方法の一例について、図1及び図2を参照しながら説明する。
なお、以下の図面等において、ナノ粒子は微粒子の好適な一例であり、ナノ粒子内包リポソームは微粒子内包リポソームの好適な一例であり、脂質ナノチューブ部は脂質チューブ部の好適な一例である。また、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略することがある。
図1は、本発明の準備工程で準備するナノ粒子内包リポソームの一例を模式的に示す模式断面図である。
図1に示すように、ナノ粒子内包リポソーム10は、カプセル状の脂質膜14を備えたリポソームと、該リポソームに内包されたナノ粒子12と、を含んで構成されている。
脂質膜14はリン脂質の2分子膜として構成されている。
カプセル状の脂質膜14の内部は、内水相(水や緩衝液等の水系媒体)で満たされている。
ナノ粒子内包リポソーム10からナノ粒子12を除いたリポソームの構成は、公知のリポソームの構成と同様である。
本発明に用いられる微粒子内包リポソーム(例えば、ナノ粒子内包リポソーム10)を製造する方法としては、例えば、以下に示す方法を用いることができる。
即ち、リン脂質を有機溶媒に溶解させた溶液を準備し、該溶液から有機溶媒を蒸発させてリン脂質膜を作製する。作製されたリン脂質膜と、ナノ粒子及び水を含む液と、を接触させることにより、リン脂質の自己組織化により、リポソームにナノ粒子が取り込まれた構造のナノ粒子内包リポソームを得ることができる。
本発明における準備工程は、予め製造しておいたナノ粒子内包リポソームを準備する工程であってもよいし、ナノ粒子内包リポソームを製造する工程であってもよい。
図2は、本発明における脂質ナノチューブ部形成工程の一例を模式的に示す模式断面図である。
図2に示すように、上記ナノ粒子内包リポソーム10(図1)を外部場Fに配置すると、該外部場Fによってナノ粒子内包リポソーム10内のナノ粒子12が前記リポソーム内から前記リポソーム外に向かう方向に移動する。
すると、図2中の実線の矢印で示すように、ナノ粒子12によって脂質膜14の一部が押し出されて脂質ナノチューブ部20が形成される。これにより、脂質ナノチューブ部20を有する脂質構造体10Aが得られる。図2では、脂質ナノチューブ部が形成された後の脂質膜(図1中の脂質膜14)を、脂質膜14Aとした。
本発明では、脂質構造体(例えば脂質構造体10A)のうち、脂質チューブ部(例えば脂質ナノチューブ部20)以外の部分をリポソーム部ということがある。
即ち、本発明における脂質構造体は、脂質チューブ部とリポソーム部とを有する構成ということができる。ここで、脂質チューブ部の内部とリポソーム部の内部とは連通されており、これらの内部は内水相で満たされている。
図2に示すように、本発明の製造方法は、外部場による微(ナノ)粒子の移動、微(ナノ)粒子の移動による脂質膜の押し出し、及び脂質膜の伸縮性を利用して、脂質膜の一部を押し出して脂質(ナノ)チューブ部を形成する方法である。
本発明の製造方法は、リポソームの一部をマイクロピペットにて吸引し物理的に引き延ばして一本ずつ脂質ナノチューブ部を形成する従来の方法と比較して、簡易であり、かつ、効率の良い(生産性に優れた)製造方法である。
また、本製造方法では、外部場の強さや外部場を与える時間などを制御することにより、脂質(ナノ)チューブ部のサイズ(長さ)を容易に制御できる。
更に、本製造方法では、Chem.Mater.2008, 20, 625やNature Commun.2010, 1, 20に記載された方法とは異なり、用いる脂質の種類が限定されることもなく、脂質の選択の幅が広い。また、上記文献に記載された、特定の脂質を用いて作製された脂質ナノチューブ部では、脂質ナノチューブとして要求される柔軟性が損なわれる場合があるが、本製造方法では、上記文献に記載された方法と比較して、柔軟性が損なわれにくい。
更に、本発明の製造方法により製造された脂質構造体をゲル(アガロースゲル等)中に含ませ、得られた脂質構造体含有ゲルを凍結させ、凍結された脂質構造体含有ゲルから、脂質(ナノ)チューブ部を含む部分を切り出すことにより、容易に脂質(ナノ)チューブを得ることができる。
また、本発明の製造方法により、微(ナノ)粒子内包リポソームの脂質膜の一部を、別のリポソームに到達するまで押し出すことにより、2つのリポソームが脂質(ナノ)チューブで結合され、該2つのリポソームの内部が連通された構造の脂質構造体を作製することもできる。
さらには、2つ以上のリポソームが、脂質(ナノ)チューブによって三次元ネットワーク状に結合された構造の脂質構造体を作製することもできる。
このようにして作製された三次元ネットワーク状の脂質構造体は、三次元人工細胞アレイやバイオチップとして利用することができる。
なお、図1及び図2では、模式的に、ナノ粒子内包リポソーム10及び脂質構造体10Aが5個のナノ粒子12を内包し、このうちの1個のナノ粒子が移動する例を示しているが、本発明においては微(ナノ)粒子内包リポソームに内包される微(ナノ)粒子の個数及び移動する微(ナノ)粒子の個数には特に限定はない。微(ナノ)粒子内包リポソームに複数の微(ナノ)粒子が含まれている場合には、該複数の微(ナノ)粒子のうちの少なくとも一部が移動すればよい。
また、図1及び図2では、一部のナノ粒子のみに符号「12」を付している。
また、本発明において、微(ナノ)粒子の移動による脂質(ナノ)チューブ部の形成性をより向上させる観点からは、前記脂質(ナノ)チューブ部形成工程において、前記微(ナノ)粒子内包リポソームは、前記外部場中での移動が制限されていることが好ましい。
これにより、微(ナノ)粒子内包リポソームの移動が制限された状態で、微(ナノ)粒子内包リポソームの内部の微(ナノ)粒子が移動するので、脂質(ナノ)チューブ部の形成性をより向上させることができる。
前記微(ナノ)粒子内包リポソームの移動が制限されている具体的な形態としては、前記微(ナノ)粒子内包リポソームが、基材上又はゲル中に保持されている形態が挙げられる。これらのより具体的な形態については、第1〜第4の実施形態として後述する。
<リポソーム>
本発明におけるリポソーム(即ち、本発明における微(ナノ)粒子内包リポソームのうちナノ粒子を除いた部分)の構成には特に限定はなく、公知のリポソームを用いることができる。
例えば、リン脂質の2分子膜を主体として構成されたカプセル状の脂質膜と、該カプセル状の脂質膜内に存在する内水相とを有する構成の公知のリポソームを特に制限無く用いることができる。
本発明におけるリポソームは、図1及び図2に示したような一枚膜のリポソームであってもよいし、多重層リポソームであってもよい。
リポソームの体積平均粒子径としては、脂質ナノチューブ部の形成性の観点からは、2μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、5μm〜20μmが特に好ましい。
前記リン脂質としては特に限定はなく、グリセロリン脂質であってもスフィンゴリン脂質であってもよい。
前記リン脂質の具体例としては、レシチン(ホスファチジルコリン)、セファリン(ホスファチジルエタノールアミン)、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等が挙げられる。
また、リン脂質には、ビオチン、ローダミン等のその他の物質が結合されていてもよい。
本発明におけるリポソームの内水相及び外水相については、水や各種緩衝液(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(「HEPES」)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(「TRIS」)、ホウ酸、リン酸等の緩衝水溶液)等の水系媒体を特に制限なく用いることができる。
<外部場>
本発明において「外部場」は、微(ナノ)粒子を移動させることができる場であれば特に限定はないが、例えば、電場、磁場、又は慣性力であることが好ましい。
前記電場の強さは、脂質ナノチューブ部の形成性の観点から、2.0kV/m〜10.0kV/mが好ましく、4.0kV/m〜7.0kV/mがより好ましい。
即ち、前記電場の強さが2.0kV/m以上であることにより、ナノ粒子の移動による脂質膜の押し出し性をより向上させることができる。
また、前記電場の強さが10.0kV/m以下であることにより、温度上昇をより抑制できることに加え、ナノ粒子が脂質膜を突き破る現象(即ち、脂質ナノチューブ部の形成性が損なわれる現象)をより抑制できる。
前記磁場の強さは、脂質ナノチューブ部の形成性の観点から、100KA/m〜1000KA/mが好ましく、200KA/m〜500KA/mがより好ましい。
即ち、前記磁場の強さが100KA以上であることにより、ナノ粒子の移動による脂質膜の押し出し性をより向上させることができる。
また、前記電場の強さが1000KA/m以下であることにより、ナノ粒子が脂質膜を突き破る現象(即ち、脂質ナノチューブ部の形成性が損なわれる現象)をより抑制できる。
前記慣性力は、例えば、遠心力によって得ることができる。
前記慣性力の強さは、脂質ナノチューブ部の形成性の観点から、10km/s〜100km/sが好ましく、30km/s〜100km/sがより好ましい。
即ち、前記慣性力の強さが10km/s以上であることにより、ナノ粒子の移動による脂質膜の押し出し性をより向上させることができる。
また、前記慣性力の強さが100km/s以下であることにより、ナノ粒子が脂質膜を突き破る現象(即ち、脂質ナノチューブ部の形成性が損なわれる現象)をより抑制できる。
<微粒子>
本発明において微粒子は、例えば体積平均粒子径5μm以下の粒子を指す。
微粒子の体積平均粒子径としては、脂質ナノチューブ部の形成性の観点からは、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは10nm〜90nmであり、特に好ましくは20nm〜80nmである。
前記微粒子としては、有機微粒子(樹脂微粒子等)でも無機微粒子(金属微粒子、金属酸化物微粒子、半導体微粒子等)でもよい。
また、前記微粒子は、後述のアニオン性基やカチオン性基によって表面修飾されていてもよい。
前記無機微粒子としては、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、磁気ナノ粒子(酸化鉄ナノ粒子等)が好ましい。
前記樹脂微粒子としては、ポリスチレンナノ粒子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)ナノ粒子、ヒドロゲルナノ粒子が好ましい。
前記樹脂微粒子は、懸濁液の形態で用いることが好適である。
前記外部場として電場を用いる場合、前記微粒子は電荷を有することが好ましい。
前記電荷は、正電荷であっても負電荷であってもよい。
電荷を有する微粒子の具体的な形態としては、アニオン性基(又はカチオン性基)で修飾された形態や、帯電性を有する微粒子を正又は負に帯電させた形態が挙げられる
アニオン性基(又はカチオン性基)を有する樹脂微粒子としては、例えば、(1)アニオン性基(又はカチオン性基)を有するモノマーを、単独重合させて、又は、他のモノマーとともに共重合させて得られた樹脂ナノ粒子や、(2)アニオン性基(又はカチオン性基)を有しない樹脂ナノ粒子に対し、アニオン性基(又はカチオン性基)を有するモノマーを付加重合させて得られた樹脂ナノ粒子、(3)アニオン性基(又はカチオン性基)を有しないナノ粒子をアニオン性基(又はカチオン性基)を有する高分子化合物で表面修飾して得られたナノ粒子、などが挙げられる。
前記アニオン性基としては、カルボキシレート基(−COO基)、スルホネート基(−SO 基)、ホスフェート基(−PO 2−基)、シラノール基などが挙げられる。
前記カチオン性基としては、無置換のアンモニウム基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)で置換されたアンモニウム基、グアニジニウム基)などが挙げられる。
アニオン性基を有する微粒子の具体例としては、カルボキシレート基(COO基)で修飾されたポリスチレンナノ粒子、シラノール基を有するシリカナノ粒子が挙げられる。
中でも、入手容易性などの観点からは、カルボキシレート基で修飾されたポリスチレンナノ粒子が好ましい。
カチオン性基を有する微粒子の具体例としては、アンモニウム基で修飾されたポリスチレンナノ粒子などが挙げられる。
電荷を有する微粒子としては、電場による脂質ナノチューブ部の形成性の観点から、pH7.4におけるゼータ電位が、アニオン性基を有する微粒子の場合には−60mV〜−5mV(より好ましくは−50mV〜−10mV)、カチオン性基を有する微粒子の場合には+60mV〜+5mV(より好ましくは+50mV〜+10mV)であることが好ましい。
また、電荷を有する微粒子としては、市販品を用いることもできる。
電荷を有する微粒子の市販品としては、ポリサイエンス社製粒子、Thermo Fisher社製粒子、Micromod 社製粒子などが挙げられる。
前記外部場として磁場を用いる場合、前記微粒子は磁性(磁気)を有することが好ましい。
微粒子に磁性(磁気)を持たせる方法としては、酸化鉄からなる微粒子を用いることなどが挙げられる。
また、磁性(磁気)を有する微粒子としては、市販品を用いることもできる。
磁性(磁気)を有する微粒子の市販品としては、Merck社製粒子、Micromod 社製粒子などが挙げられる。
<脂質チューブ部>
本発明における脂質チューブ部は、前記脂質膜の一部がチューブ状に変形して得られた部位である。
脂質チューブ部の内径は、前記微粒子の体積平均粒子径と同程度(即ち、好ましくは10nm〜5μm、より好ましくは10nm〜1μm、特に好ましくは20nm〜100nmである形態が好適である。
以下、本発明の製造方法の具体的な実施形態について説明する。
各実施形態を示す図3〜図6では、複数のナノ粒子内包リポソームのうち、一部のみに符号を付している。
<第1の実施形態>
図3は、本発明の第1の実施形態として、本発明の製造方法に好適な脂質構造体製造装置30を模式的に示す概略斜視図である。
図3に示すように、脂質構造体製造装置30は、カバーガラス32(基材)と、カバーガラス32上に配置されたゲル34(例えば、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル等)と、ゲル34中に含まれるナノ粒子内包リポソーム31と、ゲル34中に挿入された陽極36A及び陰極36Bと、陽極36A−陰極36B間に直流電圧を印加するための電圧印加手段(電源)と、を備えている。
ナノ粒子内包リポソーム31は、電荷を有するナノ粒子がリポソームに内包された構成となっている。ナノ粒子やリポソームの好ましい形態は前述のとおりである。
なお、図3では、複数のナノ粒子内包リポソームのうち、一部のナノ粒子内包リポソームのみに符号(31)を付している。後述の図4〜6についても同様である。
この脂質構造体製造装置30において、ナノ粒子内包リポソーム31は、ゲル34によって保持されるとともに、陽極36A及び陰極36Bにより生じた電場の中に配置されている。
ナノ粒子内包リポソーム31がゲル34によって保持されているので、ナノ粒子内包リポソーム31のうち、脂質ナノチューブ部となる一部を除いた部分については電場による移動が制限される。これに対し、脂質ナノチューブ部となる一部は、電場によるナノ粒子の移動によって押し出されて脂質ナノチューブ部となる。
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態として、本発明の製造方法に好適な脂質構造体製造装置40を模式的に示す概略斜視図である。
図4に示すように、脂質構造体製造装置40は、カバーガラスチャンバー42(第1の基材)と、カバーガラス49(第2の基材)と、カバーガラスチャンバー42とカバーガラス49との間に挟持されたナノ粒子内包リポソーム含有ゲル44と、ナノ粒子内包リポソーム含有ゲル44の一端の外側に配置された陽極46Aと、ナノ粒子内包リポソーム含有ゲル44の他端の外側に配置された陰極46Bと、陽極46A−陰極46B間に直流電圧を印加するための電圧印加手段と、を備えて構成されている。カバーガラスチャンバー42とカバーガラス49とは、封止剤48(例えば、シリコーンシール)によって固定されている。
ナノ粒子内包リポソーム含有ゲル44は、本発明におけるナノ粒子内包リポソームを含んだゲルである。ゲルとしては、第1の実施形態におけるゲル34として例示したゲルと同様のものを用いることができる。
ナノ粒子内包リポソームとしては、第1の実施形態におけるナノ粒子内包リポソーム31と同様のものを用いることができる。
この脂質構造体製造装置40において、ナノ粒子内包リポソームは、ゲルによって保持されるとともに、陽極46A及び陰極46Bにより生じた電場の中に配置されている。
これにより、ナノ粒子内包リポソームのうち、脂質ナノチューブ部となる一部を除いた部分が電場による移動が制限される一方で、脂質ナノチューブ部となる一部が、ナノ粒子の移動によって押し出されて脂質ナノチューブ部となる。
<第3の実施形態>
図5は、本発明の第3の実施形態として、本発明の製造方法に好適な脂質構造体製造装置50を模式的に示す概略斜視図である。
図5に示すように、脂質構造体製造装置50は、互いに連通された陽極槽と陰極槽とを有するセル52と、前記セル52の陽極槽と陰極槽との連通部に配置されたゲル54(例えばアガロースゲル)と、陽極槽に収容された陽極液55A(例えば、水、緩衝液などの水系媒体)と、陰極槽に収容された陰極液55B(例えば、水、緩衝液などの水系媒体)と、陰極液55B中に存在する(例えば分散されている)ナノ粒子内包リポソーム51と、陽極液55Aに浸漬された陽極56Aと、陰極液55Bに浸漬された陰極56Bと、陽極56A−陰極56B間に直流電圧を印加するための電圧印加手段(電源)と、を備えて構成されている。
ここで、ゲル54としては、第1の実施形態におけるゲル34と同様のものを用いることができる。
ナノ粒子内包リポソーム51としては、リポソームに負電荷を有するナノ粒子が内包された構造のナノ粒子内包リポソームを用いる。
この脂質構造体製造装置50においては、陽極56A→陽極液55A→ゲル54→陰極液55B→陰極56Bの経路で電場が生じる。
また、この脂質構造体製造装置50においては、ナノ粒子内包リポソーム51は陰極液55B中を自由に移動できるが、ゲル54中を移動することはできない。一方、ナノ粒子単体は、ゲル54中を移動できることが実験的に確認されている。この違いは、ナノ粒子内包リポソームとナノ粒子とのサイズの違いによるものと推測される。
従って、脂質構造体製造装置50では、以下のようにして、脂質ナノチューブ部が形成される。
まず、前記電場により、ナノ粒子内包リポソーム51が陰極液55B中を移動して、ゲル54との界面まで移動する。
次に、界面に到達したナノ粒子内包リポソーム51の脂質膜の一部が、ナノ粒子によってゲル54中に押し出され、ゲル54中に脂質ナノチューブ部が形成される。
この第3の実施形態の変形例としては、正電荷を有するナノ粒子が内包された構造のナノ粒子内包リポソームを陽極液55Aに添加する例が挙げられる。
この場合においても、脂質構造体製造装置50と同様の原理により、陽極液55Aとゲル54との界面に到達したナノ粒子内包リポソームの脂質膜の一部が、ナノ粒子によってゲル54中に押し出され、ゲル54中に脂質ナノチューブ部が形成される。
<第4の実施形態>
図6は、本発明の第4の実施形態として、本発明の製造方法に好適な脂質構造体製造装置60を模式的に示す概略斜視図である。
図6に示すように、脂質構造体製造装置60は、スライドガラス62(基材)と、スライドガラス62にリンカー65を介して保持されたナノ粒子内包リポソーム61と、ナノ粒子内包リポソーム61に電場を与えるための陽極66A及び陰極66Bと、陽極66A−陰極66B間に直流電圧を印加するための電圧印加手段(電源)と、を備えている。
図6中の破線は、スライドガラス62のナノ粒子内包リポソーム61を保持する側の面及びナノ粒子内包リポソーム61を浸漬する水系媒体(水や緩衝液等)である。図6では、ナノ粒子内包リポソーム61を保持する側の面を見やすくするために、当該水系媒体を破線で表している。
ナノ粒子内包リポソーム61は、電荷を有するナノ粒子がリポソームに内包された構成となっている。
ナノ粒子内包リポソーム61としては、第1の実施形態におけるナノ粒子内包リポソーム31と同様のものを用いることができる。
この脂質構造体製造装置60において、ナノ粒子内包リポソーム61は、リンカー65によってスライドガラス62(基材)に保持されるとともに、陽極66A及び陰極66Bにより生じた電場の中に配置されている。
これにより、ナノ粒子内包リポソーム61のうち、脂質ナノチューブ部となる一部を除いた部分は電場による移動が制限される一方で、脂質ナノチューブ部となる一部は、ナノ粒子の移動によって水系媒体中に押し出されて脂質ナノチューブ部となる。
図7は、ガラス基板上にリンカーを介して保持されたナノ粒子内包リポソームの一例を示す概念図である。
図7に示す一例では、DOPE−ビオチン(DOPE-Biotin)によって修飾されたナノ粒子内包リポソーム10のDOPE−ビオチンと、BSA−ビオチン(BSA-Biotin)によって修飾されたガラス基板(Glass substrate)のBSA−ビオチンと、がストレプトアビジン(streptavidin)を介して結合されている。換言すれば、ナノ粒子内包リポソーム10が、DOPE−ビオチン、ストレプトアビジン、及びBSA−ビオチンからなるリンカーを介して、ガラス基板に保持されている。
このように、本発明におけるリンカーとしては、ビオチン及びアビジンを含むリンカーを用いることができる。
但し、本発明におけるリンカーはビオチン及びアビジンに限定されることはなく、生体分子と基材とを接続する公知のリンカー(例えば、リンカーDNA、ジスルフィド結合、等)を特に制限なく利用できる。
以上、本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されることはない。
例えば、上記第1〜第4の実施形態において、磁性を有する微(ナノ)粒子を含む微(ナノ)粒子内包リポソームを用い、陽極、陰極、及び電圧印加手段に変えて、磁石等の磁場付与手段を用いて微(ナノ)粒子内包リポソームに磁場を付与することで、磁場を利用した脂質構造体の製造を行うことができる。
また、上記第1、第2、及び第4の実施形態に係る脂質構造体製造装置に対し、遠心分離機によって慣性力(遠心力)を付与することで、慣性力(遠心力)を利用した脂質構造体の製造を行うことができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下において、「室温」は25℃を指す。また、HEPES緩衝液は、特に断りのない限り、10mM、pH7.4のHEPES緩衝液である。
〔実施例1〕
<電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成1>
図3に示す脂質構造体製造装置30と同様の構成の脂質構造体製造装置を用い、電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成を行った。
具体的な操作を以下に示す。
(ナノ粒子含有リポソーム分散液Aの調製)
まず、1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(リン脂質)およびRhodamine-DMPE(蛍光色素)を、クロロホルムに溶解させて溶液Aを調製した。次に、溶液Aからクロロホルムを乾燥させて除去し、蛍光色素含有リン脂質薄膜を得た。
次に、カルボキシレート基で修飾されたポリスチレンナノ粒子(ポリサイエンス社製Fluoresbrite Carboxylate Microspheres;体積平均粒子径50nm)を、HEPES緩衝液に添加してナノ粒子含有液Bを調製した。
ここで、上記ポリスチレンナノ粒子のpH7.4におけるゼータ電位は、−40mVである。
得られたナノ粒子含有液Bを上記リン脂質薄膜に添加し、27℃で1時間以上静置し、薄膜を水和することにより、ナノ粒子含有リポソーム分散液A(ナノ粒子含有リポソームの濃度1.0mM)を得た。
光学顕微鏡による観察の結果、粒径10μm〜20μm程度の、ナノ粒子を含有したリポソームが形成されたことが確認された。
(アガロースゲルAの調製)
上記分散液Aと、アガロース水溶液と、を45℃で混合し、室温下で除冷してゲル化させ、ナノ粒子含有リポソームを含むアガロースゲル(ここでは、「アガロースゲルA」とする)を調製した。
ここで、各成分の量は、アガロースゲルAにおける組成が、2.0質量%アガロースゲル中に、リポソーム0.05mM、Rhodamine-DMPE0.25μMと、ナノ粒子0.32mg/mL(4.62×1012個/mL)と、が含まれる組成となるように調整した。
(脂質構造体製造装置の作製)
図3に示す脂質構造体製造装置30と同様の構成の脂質構造体製造装置を作製した。
各部材としては、以下のものを用いた。
ここで、陽極36A−陰極36B間の距離は、10mmとした。
−脂質構造体製造装置の部材−
・カバーガラス32 … 24mm×60mm×0.12mmtのカバーガラス
・ゲル34及びナノ粒子内包リポソーム31 … 上記アガロースゲルA(5.0g)
・陽極36A及び陰極36B … 1mmφの白金(Pt)電極
(脂質構造体の作製(脂質ナノチューブ部の形成))
上記脂質構造体製造装置30において、ゲル34の温度を25℃に調温し、かつ、ゲルに浸漬した陽極36A−陰極36B間に3.0kV/mの電界強度(電流0.1mA)となる電圧を印加した状態で、蛍光顕微鏡及び光学顕微鏡による観察を行った。
蛍光顕微鏡写真(電圧印加開始から60秒後)を図8に、光学顕微鏡写真を図9にそれぞれ示す。
図8に示すように、電圧の印加によって脂質ナノチューブ部が形成されたことが確認された。
図8において、筋状に見える部分が脂質ナノチューブ部である。また、脂質ナノチューブの屈曲又は湾曲は、アガロースゲルが不均一であることにより、脂質ナノチューブが屈曲又は湾曲しながら成長したために生じたものと考えられる。
また、図9に示すように、光学顕微鏡写真による観察の結果、電圧印加時においても、ナノ粒子含有リポソーム(のリポソーム部)自体は球形を保っており、ゲル中に保持されていることが確認された。
なお、脂質ナノチューブの外形は光学顕微鏡の分解能よりも小さいため、光学顕微鏡写真では脂質ナノチューブは観察されない。
〔実施例2〕
<電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成2>
図4に示す脂質構造体製造装置40と同様の構成の脂質構造体製造装置を用い、電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成を行った。
具体的な操作を以下に示す。
(アガロースゲルBの調製)
実施例1のアガロースゲルAの調製において、アガロースゲル中におけるアガロースの濃度が0.8質量%、リポソームの濃度が0.05mMとなるように、各成分の量をそれぞれ調整したこと以外は実施例1のアガロースゲルAの調製と同様にして、アガロースゲルBを得た。
(脂質構造体製造装置の作製)
図4に示す脂質構造体製造装置40と同様の構成の脂質構造体製造装置を作製した。
各部材としては、以下のものを用いた。
−脂質構造体製造装置の部材−
・カバーガラスチャンバー42 … 20mm×45mm×0.12mmtのスライドガラスを底面に有するカバーガラスチャンバー(IWAKIガラス社製、5202-001)
・カバーガラス49 … 10mm×10mm×0.12mmtのカバーガラス
・ナノ粒子内包リポソーム含有ゲル44 … 上記アガロースゲルB(0.01g)
・陽極46A及び陰極46B … 1mmφの白金(Pt)電極
(脂質構造体の作製(脂質ナノチューブ部の形成))
上記脂質構造体製造装置において、ナノ粒子内包リポソーム含有ゲル44をHEPES緩衝液に浸漬し、その温度を25℃に調温し、かつ、陽極46A−陰極46B間に3.0kV/mの電界強度(電流2〜3mA)となる電圧を印加した状態で、蛍光顕微鏡による観察を行った。
蛍光顕微鏡写真(電圧印加開始から60秒後)を図10に示す。
図10に示すように、実施例2においても実施例1と同様に、電圧の印加によって脂質ナノチューブ部が形成されたことが確認された。
〔実施例3〕
<電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成3>
図5に示す脂質構造体製造装置50と同様の構成の脂質構造体製造装置を用い、電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成を行った。
具体的な操作を以下に示す。
(陰極液Aの調製)
実施例1におけるナノ粒子含有リポソーム分散液Aの調製において、リポソーム濃度が0.1mM(Rhodamine-DMPEを5μM含む)、ナノ粒子の濃度が0.32mg/mL(4.62×1012個/mL)となるように各成分の量を調整したこと以外は実施例1と同様にして、ナノ粒子含有リポソーム分散液である陰極液Aを得た。
(アガロースゲルCの調製)
実施例1におけるアガロースゲルAの調製において、ナノ粒子含有リポソーム分散液Aを用いなかったこと以外はアガロースゲルAの調製と同様にして、2.0質量%アガロースゲルであるアガロースゲルCを得た。
(脂質構造体製造装置の作製)
図5に示す脂質構造体製造装置50と同様の構成の脂質構造体製造装置を作製した。
各部材としては、以下のものを用いた。
−脂質構造体製造装置の部材−
・セル52 … 容積0.1mLの陽極槽及び容積0.1mLの陰極槽を有し、陽極槽と陰極槽との連通部のサイズが、長さ17mm×幅4.8mm×高さ0.4mmであるプラスチックセルを用いた。ここで、連通部の長さは、陽極槽と陰極槽との最近接距離に相当する。
・ゲル54 … 上記連通部に収容された上記アガロースゲルC
・陽極液55A … 容積0.06mLのHEPES緩衝液
・陰極液55B … 容積0.06mLの上記陰極液A
・陽極56A及び陰極56B … 1mmφの白金(Pt)電極
(脂質構造体の作製(脂質ナノチューブ部の形成))
上記脂質構造体製造装置において、ゲル54の温度を25℃に調温し、かつ、陽極56A−陰極56B間に6.0kV/mの電界強度(電流2〜3mA)となる電圧を印加した状態で、蛍光顕微鏡による観察を行った。
蛍光顕微鏡写真(電圧印加開始から60秒後)を図11に示す。
図11において、右下の大面積の明るい部分はリポソームの集合体であり、リポソーム集合体から延びる筋状の部分が脂質ナノチューブ部である。暗い部分はゲル54である。
図11に示すように、実施例3では、電圧の印加により、ゲル54中に脂質ナノチューブ部が形成されていた。
次に、本実施例3の脂質構造体製造装置において、ナノ粒子含有リポソームを、カルボキシレート基で修飾されたナノ粒子を着色して得られたナノ粒子に置き換えた装置を作製し、上記と同様に電圧印加を行った。
すると、目視により、着色されたナノ粒子がゲル中に進出することが確認された。
この結果と上記の脂質ナノチューブ部の形成とから、マイクロサイズのリポソーム部はゲル中を移動できないが、ナノサイズの物質はゲル中を移動できることが確認され、実施例3における脂質ナノチューブ部形成のメカニズムが立証された。
〔実施例4〕
<電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成4>
図6に示す脂質構造体製造装置60と同様の構成の脂質構造体製造装置を用い、電場を利用した脂質ナノチューブ部の形成を行った。
(ナノ粒子含有リポソームを保持したスライドガラスの作製)
図7に示したビオチン−アビジンの相互作用を利用して、ナノ粒子含有リポソームを保持したスライドガラスを作製した。
具体的な操作は以下のとおりである。
エタノール、HEPES緩衝液により洗浄したスライドガラス上に、2mg/ml BSA-Biotin溶液を滴下し10分静置した。この滴下操作をもう一度繰り返した後、HEPES緩衝液で洗浄した。次に、200 mM NaCl/10 mM Tris-HCl(pH 7.5)溶液で当該濃度のCaseinを溶解(5mg./ml)した後、超遠心(55000rpm)をほどこした上澄みを滴下し、10分静置した。この滴下操作をもう一度繰り返した後、HEPES緩衝液で洗浄した。
以上のようにして、BSA-Biotin、Caseinにより基板表面をコーティングした後、1 mg/ml Streptavidin溶液を滴下し40分静置した。この滴下操作についてももう一度繰り返した後、HEPES緩衝液で洗浄した。ここに、DOPE−ビオチンを導入したナノ粒子含有リポソーム溶液を滴下し、10分静置の操作を2回繰り返した後、HEPES緩衝液で洗浄し、目的の基板(ナノ粒子含有リポソームを保持したスライドガラス)を得た。
(脂質構造体製造装置の作製)
図6に示す脂質構造体製造装置60と同様の構成の脂質構造体製造装置を作製した。
各部材としては、以下のものを用いた。
−脂質構造体製造装置の部材−
・スライドガラス62、リンカー65、及びナノ粒子内包リポソーム61 … 上記で作製したナノ粒子含有リポソームを保持したスライドガラスを用いた。
・陽極66A及び陰極66B … 1mmφの白金(Pt)電極。電極間の距離は10mmとした。
・水系媒体(図6中の破線部) … HEPES緩衝液
(脂質構造体の作製(脂質ナノチューブ部の形成))
上記脂質構造体製造装置において、25℃の環境下、陽極66A−陰極66B間に4.0kV/mの電界強度(電流3mA)となる電圧を印加した状態で、蛍光顕微鏡による観察を行った。
蛍光顕微鏡写真を図12に示す。
図12中、写真(a)は電圧無印加時の様子を撮影したものであり、写真(b)〜(h)は電圧を継続して印加し続けたときの様子を、0.1秒間隔で連続的に撮影したものである。即ち、写真(b)と(c)との間隔等、連続する2枚の写真の間隔は0.1秒である。撮影の順序は、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)の順である。
図12に示すように、電圧印加開始から時間が経過するにつれ、脂質ナノチューブ部が成長する様子が確認された。
この結果から、電圧印加時間を変化させることにより、脂質ナノチューブ部の長さを制御できることが示唆された。
〔実施例5〕
<磁場を利用した脂質ナノチューブ部の形成>
実施例4で作製した、ナノ粒子含有リポソームを保持したスライドガラスのナノ粒子含有リポソームに対し、電磁石(株式会社ギガテコ社製、TMN電磁石)を用いて200KA/m〜500KA/mの磁場を印加した。
磁場の印加開始から60秒後の様子を図13の写真(a)〜(d)に示す。
図13中の写真(a)〜(d)(破線で囲った部分)に示すように、磁場の印加によっても、電場を印加した場合と同様に、脂質ナノチューブ部が形成された。
〔実施例6〕
<慣性力を利用した脂質ナノチューブ部の形成>
実施例4で作製した、ナノ粒子含有リポソームを保持したスライドガラスのナノ粒子含有リポソームに対し、遠心分離機(Beckman社製GS-15R)を用い、20km/sの慣性力(遠心力)を印加した。
慣性力(遠心力)の印加開始から3分後の様子を図14に示す。
図14(破線で囲った部分)に示すように、慣性力(遠心力)の印加によっても、電場を印加した場合と同様に、脂質ナノチューブ部が形成された。
以上の実施例で示したように、ナノ粒子内包リポソームに対して、外部場(電場、磁場、及び慣性力)を印加することにより、脂質ナノチューブ部を有する脂質構造体を、簡易に、効率よく、制御性よく作製することができた。
10、31、51、61 ナノ粒子内包リポソーム
10A 脂質構造体
12 ナノ粒子
14 脂質膜
20 脂質ナノチューブ部
30、40、50、60 脂質構造体製造装置
32 カバーガラス
34、54 ゲル
36A、46A、56A、66A 陽極
36B、46B、56B、66B 陰極
42 カバーガラスチャンバー
44 ナノ粒子内包リポソーム含有ゲル
48 封止剤
49 カバーガラス
52 セル
55A 陽極液
55B 陰極液
62 スライドガラス
F 外部場

Claims (8)

  1. リポソームに微粒子が内包されてなる微粒子内包リポソームを準備する工程と、
    前記微粒子内包リポソーム中の微粒子を外部場によって移動させることにより、前記微粒子によって前記リポソームの脂質膜の一部を押し出して脂質チューブ部を形成する脂質チューブ部形成工程と、
    を有する脂質構造体の製造方法。
  2. 前記外部場が、電場、磁場、又は慣性力である請求項1に記載の脂質構造体の製造方法。
  3. 前記脂質チューブ部形成工程において、前記微粒子内包リポソームは、前記外部場中での移動が制限されている請求項1又は請求項2に記載の脂質構造体の製造方法。
  4. 前記脂質チューブ部形成工程において、前記微粒子内包リポソームは、基材上又はゲル中に保持されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
  5. 前記微粒子の体積平均粒子径が10nm〜300nmである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
  6. 前記微粒子内包リポソームの体積平均粒子径が2μm〜100μmである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
  7. 前記外部場が、2.0kV/m〜10.0kV/mの強さの電場である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
  8. 前記微粒子が、カルボキシレート基で修飾されたポリスチレンナノ粒子である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の脂質構造体の製造方法。
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