JP2014095007A - 新規シアニン色素化合物、樹脂組成物及び近赤外線カットフィルタ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は新規シアニン色素化合物、これを含有する樹脂組成物、及びこれらを用いた近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)に関する。
近赤外線吸収色素、これを用いた樹脂組成物及びそれらを用いた近赤外線カットフィルタの用途としては、プラズマディスプレイパネルや、CCDやCMOS等の撮像素子用のものが挙げられる。大型薄型テレビやディスプレイとして注目されているプラズマディスプレイパネルには、その機構上必然的に発生する近赤外線を遮断するための近赤外線カットフィルタ等を必要とし、それに関して例えば、特許文献1〜3のものが知られており、中でも、対イオンが六フッ化アンチモン酸イオンであるシアニン色素やジイモニウム色素が耐熱性に優れているため主に使用されていた。
しかし、これらの色素では加工性(塗工溶媒に対する溶解性)、耐熱性、耐光性、分光特性及び可視光透過率等の点で満足するものがなく、またアンチモンを含む化合物は劇物に該当する為、近年、重金属等の使用が規制を受ける産業分野、特に電気材料分野では重金属を含まない化合物が望まれていた。特許文献4には重金属を含有しない化合物が記載されているが、これらは耐熱性、及び塗工等に使用するメチルエチルケトン等の溶媒に対する溶解性が不十分であり、この問題を改善した、加工性と耐熱性の良い化合物が特許文献5に記載されているが、可視域に吸収を持っており、このため赤外線吸収用色素化合物としては、耐熱性が良く、さらに可視光透過率の良い色素化合物の開発が強く望まれている。
またデジタルカメラなどに使用されているCCDやCMOS等の撮像素子は、可視域〜1100nm付近の近赤外域に渡る分光感度を有しており、これに対して人間の目は400nm〜700nm付近の波長の光を感じることができる。よって撮像素子と人間の目では分光感度に大きな差があるため、撮像素子の前面に近赤外域を吸収する近赤外線カットフィルタを備えて、人間の目の視感度に補正することが必要であることが知られている。
このようなフィルタとしては、近赤外波長を選択的に吸収するように、例えば特公昭62−128943にあるようにリン酸塩系ガラスにCuOを添加したガラスフィルタが知られている。このガラスフィルタは多量のP2O5を必須成分としてCuO を含有しており、酸化性の溶融雰囲気中で、多数の酸素イオンに配位されたCu2+イオンを形成させることによって青緑色を呈し、近赤外線カット特性を有するものである。
しかしながら、特許文献6の記載にもあるように、上記のガラスフィルタは、近赤外線カット効果を促進するためにCuOの含有量を増加させると、一般に400nm〜500nmの波長域における分光透過性が低下して緑色化の傾向を示すが知られている。
また、前述したPDP用の近赤外線カットフィルタをCCDやCMOS等の撮像素子のフィルタに適用しようとした場合、特許文献7にあるように多くの場合ジイモニウム色素を用いているため、700nm〜1050nm付近での波長域の遮蔽は十分でなく、そのままでは適用することは難しいという問題があることが知られている。
これらの問題を解決するために、特許文献5の記載にもあるように、400nm〜1100nmの領域を吸収する色素、及び該色素を含有することを特徴とする近赤外線吸収組成物が提案されているが、特に900nm〜1000nm付近に極大吸収波長をもつ近赤外線吸収色素に関しては、まだ十分であるとは言えない。
このような背景から近年、耐熱性が良く可視光吸収が少ない近赤外線吸収色素化合物や該化合物を用いた樹脂組成物、及び近赤外線カットフィルタ、特に400nm〜500nmの吸収がより少なく900nm〜1000nm付近に吸収のあるCCDやCMOSなどの撮像素子用の近赤外線吸収色素、及び該色素を用いた近赤外線カットフィルタの開発が強く求められている。
本発明は、900nm〜1000nmの赤外光に対する可視光吸収が少なく、400nm〜500nmの可視域にも吸収の少ないシアニン色素化合物とそれを用いた樹脂組成物、及び可視域吸収の少ない近赤外線カットフィルタの提供を目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するべく、鋭意検討の結果、下記式(1)で表される特定のシアニン色素化合物及び、その樹脂組成物及び近赤外線カットフィルタが前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)下記式(1)で表されるシアニン色素化合物、
(式中、基Aは下記式(2)〜(5)のいずれかの置換基を表す。)
(式(2)中、nは0〜3の整数を表す。)
(式(5)中、mは0〜3の整数を表す。)
(2)式(1)において、基Aが式(2)〜(4)である(1)に記載のシアニン色素化合物、
(3)式(1)において、基Aが式(2)である(1)に記載のシアニン色素化合物、
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のシアニン色素化合物並びに樹脂、樹脂モノマー及び樹脂モノマーの予備重合体からなる群から選ばれる一種以上を含有する樹脂組成物、
(5)(4)に記載の樹脂組成物を用いた近赤外線カットフィルタ、
(6)(5)に記載の近赤外線フィルタを用いた撮像素子、
に関する。
(1)下記式(1)で表されるシアニン色素化合物、
(2)式(1)において、基Aが式(2)〜(4)である(1)に記載のシアニン色素化合物、
(3)式(1)において、基Aが式(2)である(1)に記載のシアニン色素化合物、
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のシアニン色素化合物並びに樹脂、樹脂モノマー及び樹脂モノマーの予備重合体からなる群から選ばれる一種以上を含有する樹脂組成物、
(5)(4)に記載の樹脂組成物を用いた近赤外線カットフィルタ、
(6)(5)に記載の近赤外線フィルタを用いた撮像素子、
に関する。
本発明により、900nm〜1000nmの赤外光に対する可視光吸収が少なく、400nm〜500nmの可視域に吸収の少ないシアニン色素化合物、及び樹脂組成物、それらを用いた可視域吸収の少ないことを特徴とする近赤外線カットフィルタ、特にCCDやCMOSなどの撮像素子用の近赤外線カットフィルタを提供することができた。
本発明を詳細に説明する。
式(1)中、基Aは式(2)〜(5)を表し、好ましくは式(2)〜(4)、より好ましくは、式(2)である。
式(1)中、基Aは式(2)〜(5)を表し、好ましくは式(2)〜(4)、より好ましくは、式(2)である。
式(2)中、nは0〜3の整数を表し、好ましくは0〜1、より好ましくは1である。また、式(5)中、mは0〜3の整数を表し、好ましくは3である。
前記の基A、n、mのうち、好ましいものを組み合せた化合物はより好ましく、より好ましいものを組み合せた化合物はさらに好ましい。好ましいものと、より好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
上記式(1)で表される本発明のシアニン色素化合物は種々の方法で製造されるが、例えば、特許第2807682号に記載の方法を参考に次の方法で製造することができる。なお下記式(AA)から(H)において適宜使用される基A、n、及びmは、それぞれ上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
市販品として入手可能な下記式(AA)で表されるレピジンを基Aに対応する有機ハロゲン化物やジアルキル硫酸、置換アルキル p−トルエンスルホニルに代表されるアルキル化剤である下記式(B)〜(E)と反応させることにより下記式(F)で表される誘導体に変換する。
ただし、I:ヨウ素原子、Br:臭素原子、Cl:塩素原子、Ts:p−トルエンスルホニル基、Ms:メタンスルホニル基、Tf:トリフルオロメタンスルホニル基、であり、Yは一般的な置換可能な脱離基を持つアルキル化剤を例として示すが、この限りではない。
ただし、I:ヨウ素原子、Br:臭素原子、Cl:塩素原子、Ts:p−トルエンスルホニル基、Ms:メタンスルホニル基、Tf:トリフルオロメタンスルホニル基、であり、Yは一般的な置換可能な脱離基を持つアルキル化剤を例として示すが、この限りではない。
上記式(1)で表される色素の具体例を下表1に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
本発明のシアニン色素化合物は、後記の実施例でその特性を示すように、フィルタ用近赤外線吸収色素として使用することができ、該色素化合物を用いた樹脂組成物も本発明に含まれる。他にも光情報記録媒体に用いることもできる。
本発明のシアニン色素化合物を用いた樹脂組成物を使用した赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)も本発明に含まれる。赤外線カットフィルタは、本発明のシアニン色素化合物を含有する樹脂層を基材上に設けたものでも、又、基材自体が本発明のシアニン色素化合物を含有する樹脂組成物(又はその硬化物)からなる層であってもよい。基材としては、一般に光学フィルタに使用し得るものであれば特に制限されないが、通常、樹脂製の基材が使用される。層の厚みは通常0.1μm〜10mm程度であるが、近赤外線カット率等の目的に応じて適宜、決定できる。
本発明の樹脂組成物は、本発明のシアニン色素化合物と樹脂を含有する。樹脂としては、下記する本発明の樹脂組成物の使用方法により異なり、樹脂組成物を基材に用いる場合、例えば、ポリエチレン、ポリシクロアルカン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物、及びそれらのビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/ 酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらの樹脂は、基材上に本発明の樹脂組成物からなる樹脂層を設ける場合の基材としても使用できる。
本発明の赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)を作製する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、下記の公知の方法が利用できる。1)樹脂に本発明のシアニン色素化合物を混練し、樹脂組成物とし、加熱成形して樹脂板又はフィルムを作製する方法、2)本発明のシアニン色素化合物と樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下にキャスト重合し、樹脂板又はフィルムを作製する方法、3)本発明のシアニン色素化合物を含有する塗料を作製し、透明樹脂板、透明フィルム、又は透明ガラス板にコーティングする方法、4)本発明のシアニン色素化合物及び樹脂(接着剤)を含有させた組成物を用いて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製する方法、等である。
1)の方法は、用いる樹脂によって加工温度、フィルム化(樹脂板化)条件等が多少異なるが、通常、本発明のシアニン色素化合物を例えば上記の基材樹脂の粉体又はペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して樹脂板を作製する方法あるいは押し出し機によりフィルム化(樹脂板化)する方法等が挙げられる。該シアニン色素化合物添加量は、作製する樹脂板又はフィルムの厚み、吸収強度、可視光透過率等によって異なるが、通常、基材樹脂の質量に対して0.01〜30質量%程度、好ましくは0.03〜15質量%程度使用される。
2)の方法は、本発明のシアニン色素化合物と、樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下に型内に注入し、本発明の樹脂組成物とし、反応させて硬化させるか、又は、金型に流し込んで型内で硬い製品となるまで固化させて成形する方法が挙げられる。多くの樹脂がこの方法で成形可能であり、その様な樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール− ホルムアルデヒド樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。その中でも、硬度、耐熱性、耐薬品性に優れたアクリルシートが得られるメタクリル酸メチルの塊状重合によるキャスティング法が好ましい。重合触媒としては公知のラジカル熱重合開始剤が利用でき、例えば、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。その使用量は混合物の総量に対して、一般的に0.01〜5質量% である。熱重合における加熱温度は、通常40〜200℃であり、重合時間は通常30分〜8時間程度である。又、熱重合以外に、光重合開始剤や増感剤を添加して光重合する方法も採用できる。
3)の方法は、本発明のシアニン色素化合物をバインダー樹脂及び溶媒に溶解し塗料(本発明の樹脂組成物)化する方法、シアニン色素化合物を樹脂の存在下に微粒子化して分散し、水系塗料とする方法等がある。前者の方法では、例えば、脂肪族エステル樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル変性樹脂等、又は、それらの共重合樹脂を用いる事ができる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系の溶媒、又は、それらの混合溶媒を用いることができる。シアニン色素化合物の濃度は、作製するコーティングの厚み、吸収強度、可視光透過率によって異なるが、バインダー樹脂に対して一般的に0.1〜30質量%程度である。このようにして得られた塗料を透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明ガラス等の上にスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、スプレー等でコーティングして近赤外線吸収フィルタを得ることができる。
4)の方法は、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用、ポリビニルブチラール接着剤、エチレン− 酢酸ビニル系接着剤等の合わせガラス用の公知の透明接着剤に、本発明のシアニン色素化合物を0.1〜30質量%程度添加した樹脂を用い、透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を接着することにより光学フィルタを作製する。 尚、それぞれの方法で混練・混合の際、紫外線吸収剤、可塑剤等の樹脂成形に用いる通常の添加剤を加えてもよい。
本発明の近赤外線カットフィルタは近赤外線吸収化合物として本発明のシアニン化合物のみを1種又は2種以上使用してもよいが、吸収波長域を広くするために、更にこれらの化合物以外の近赤外線吸収化合物を併用してもよい。併用できる他の近赤外線吸収化合物としては、例えば、ジイモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ニッケルジチオール錯体等の金属錯体化合物が挙げられる。これらの併用できる他の近赤外線吸収化合物がカチオン系である場合、対アニオンは本発明のシアニン化合物と同じトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンであってもよい。 他の近赤外線吸収化合物としては、特にジイモニウム系化合物が好ましく、更に、このジイモニウム系化合物の対アニオンがトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンであるものが好ましい。
又、併用できる無機金属の近赤外線吸収化合物としては、例えば、金属銅又は硫化銅、酸化銅等の銅化合物、酸化亜鉛を主成分とする混合物、タングステン化合物、酸化チタンを主成分とする混合物等が挙げられる。
近赤外線吸収用の本発明の光学フィルタは、撮像素子用途やディスプレイの前面板に限らず、近赤外線をカットする必要があるフィルタフィルム、例えば、断熱フィルム、光学製品、サングラス等にも使用することが出来る。
以下に本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準であり、また反応温度は内温である。合成した化合物のうち、λmax(最大吸収波長)を測定したものについては、クロロホルム中、紫外可視分光光度計UV−3150(島津製作所社製)での測定値を記載した。
[実施例1]
(工程1)
レピジン7.2部にヨードエタン9.4部を添加し、室温で3時間撹拌した。析出固体をろ過分取、乾燥することにより、下記式(6)で表される黄色化合物14.6部を得た。
(工程1)
レピジン7.2部にヨードエタン9.4部を添加し、室温で3時間撹拌した。析出固体をろ過分取、乾燥することにより、下記式(6)で表される黄色化合物14.6部を得た。
(工程2)
塩化メチレン30部に、前工程1で得られた式(6)の化合物2.9部、グルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩1.9部、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドカリウム4.1部、トリエチルアミン1.0部、N,N−ジメチルホルムアミド5.0部を添加し、室温で3時間撹拌した。得られた液を室温まで冷却した後、水200部に注ぎ、30分間撹拌した後、析出固体をろ過分取、乾燥することにより、下記式(7)で表される本発明の近赤外吸収色素11.4部(λmax:952nm)を得た。
塩化メチレン30部に、前工程1で得られた式(6)の化合物2.9部、グルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩1.9部、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドカリウム4.1部、トリエチルアミン1.0部、N,N−ジメチルホルムアミド5.0部を添加し、室温で3時間撹拌した。得られた液を室温まで冷却した後、水200部に注ぎ、30分間撹拌した後、析出固体をろ過分取、乾燥することにより、下記式(7)で表される本発明の近赤外吸収色素11.4部(λmax:952nm)を得た。
[実施例2]
[光学フィルムの作製]
ジアリルフタレート樹脂(ダイソー株式会社製、商品名「ダイソーダップS」)を、クロロホルムに25質量% になるように溶解して、主剤溶液を得た。この主剤溶液の全質量に対して、実施例1で得られた上記式(7)で表される本発明のシアニン色素化合物を 0.1質量% を主剤溶液に添加し、これらを溶解させた塗工液を得た。この塗工液をスピンコーター上に配置したガラス基板上に滴下し、その基板を1000rpmで10秒間回転させることで基板表面をコーティングし、その後80℃で10分間乾燥させて光学フィルタを得た。
[光学フィルムの作製]
ジアリルフタレート樹脂(ダイソー株式会社製、商品名「ダイソーダップS」)を、クロロホルムに25質量% になるように溶解して、主剤溶液を得た。この主剤溶液の全質量に対して、実施例1で得られた上記式(7)で表される本発明のシアニン色素化合物を 0.1質量% を主剤溶液に添加し、これらを溶解させた塗工液を得た。この塗工液をスピンコーター上に配置したガラス基板上に滴下し、その基板を1000rpmで10秒間回転させることで基板表面をコーティングし、その後80℃で10分間乾燥させて光学フィルタを得た。
[比較例1]
実施例1で得られた上記式(7)で表される本発明のシアニン色素化合物のかわりに、下記式(8)で表される特許文献5の化合物37のシアニン色素化合物を用いる以外は、実施例2と同様にして比較用の光学フィルタを作製した。この光学フィルタを比較例1とする。
実施例1で得られた上記式(7)で表される本発明のシアニン色素化合物のかわりに、下記式(8)で表される特許文献5の化合物37のシアニン色素化合物を用いる以外は、実施例2と同様にして比較用の光学フィルタを作製した。この光学フィルタを比較例1とする。
実施例2および比較例1で得た光学フィルタの光学特性を下記方法で評価した。
[光学特性]
分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)を用い、実施例2、及び比較例1の各光学フィルタの吸光度を300nm〜1100nmの範囲で測定した。実施例2及び比較例1の光学フィルタの900nm〜1000nmの波長領域における平均透過率をA2、400nm〜500nmの波長領域における平均透過率をA1とし、A1とA2の比R(A2/A1)を求めた。それぞれの値を表2に示す。
分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)を用い、実施例2、及び比較例1の各光学フィルタの吸光度を300nm〜1100nmの範囲で測定した。実施例2及び比較例1の光学フィルタの900nm〜1000nmの波長領域における平均透過率をA2、400nm〜500nmの波長領域における平均透過率をA1とし、A1とA2の比R(A2/A1)を求めた。それぞれの値を表2に示す。
Rの値が大きいほど、900nm〜1000nmの赤外光に対する可視光吸収が少なく、可視光域の透過性に優れた近赤外線カットフィルタと言える。表2の結果から比較例1のRは実施例2のRより小さい値を示し、近赤外カットフィルタとして劣る結果を示した。
本発明の前記式(1)で表わされるシアニン色素化合物、樹脂組成物及びこれらによって得られる近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)は可視光域の透過性、特に400nm〜500nmの透過性において極めて優れるため、各種用途の光学フィルタ、特にCCDやCMOSなどの撮像素子用の近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)として非常に有用である。
Claims (6)
- 式(1)において、基Aが式(2)〜(4)である請求項1に記載のシアニン色素化合物。
- 式(1)において、基Aが式(2)である請求項1に記載のシアニン色素化合物。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシアニン色素化合物並びに樹脂、樹脂モノマー及び樹脂モノマーの予備重合体からなる群から選ばれる一種以上を含有する樹脂組成物。
- 請求項4に記載の樹脂組成物を用いた近赤外線カットフィルタ。
- 請求項5に記載の近赤外線カットフィルタを用いた撮像素子。
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