本明細書に開示する技術の一実施形態に係る部品装着装置は、部品を保持及び開放可能なノズルを有する装着ヘッドと、装着ヘッドをX方向に移動させるX方向移動機構と、装着ヘッドをY方向に移動させるY方向移動機構と、装着ヘッドに保持された部品を撮影可能な第1カメラと、較正用の部品冶具と、較正用の部品冶具が装着される載置体と、載置体に装着された冶具部品を撮影可能な第2カメラと、第1カメラ、第2カメラ、X方向移動機構及びY方向移動機構を制御する制御装置と、を有していてもよい。制御装置は、装着ヘッドのノズルに部品冶具を保持した状態で、X方向移動機構とY方向移動機構を駆動して装着ヘッドを第1カメラに対して位置決めし、ノズルに保持された冶具部品を第1カメラで撮影する第1ステップと、第1ステップ後に、装着ヘッドのノズルに部品治具を保持した状態で、X方向移動機構とY方向移動機構を駆動して装着ヘッドを載置体に対して位置決めしてノズルに保持された部品冶具を載置体に装着し、載置体に装着された部品冶具を第2カメラで撮影する第2ステップと、第2ステップ後に、少なくとも第2カメラで撮影された冶具部品の画像から、キャリブレーションデータを算出する第3ステップと、を実行可能となっていてもよい。制御装置は、さらに、装着ヘッドを第1カメラに対して位置決めする際のX方向移動機構の駆動方向と、装着ヘッドを載置体に対して位置決めする際のX方向移動機構の駆動方向とを同一とし、装着ヘッドを第1カメラに対して位置決めする際のY方向移動機構の駆動方向と、装着ヘッドを載置体に対して位置決めする際のY方向移動機構の駆動方向とを同一としてもよい。
この部品装着装置では、まず、装着ヘッドのノズルに部品治具を吸着し、その状態で各移動機構を駆動して装着ヘッドを第1カメラに対して位置決めし、部品治具を第1カメラで撮影する。これによって、装着ヘッドのノズルに対する部品治具の位置を特定することができる。次いで、部品治具を保持した状態で各移動機構を駆動して、装着ヘッドを載置体に対して位置決めし、ノズルに保持された部品冶具を載置体に装着する。そして、載置体に装着された部品冶具を第2カメラで撮影する。第2カメラの画像から載置体に対する部品治具の位置が分かるため、部品治具が実際に装着された位置を特定することができる。したがって、第1カメラでの部品治具の撮影と、第2カメラでの部品治具の撮影を行うことで、制御装置による位置決め位置と実際の位置決め位置とのずれ量を測定し、そのずれ量をキャリブレーションデータとすることができる。ここで、装着ヘッドを第1カメラに位置決めするときの各移動機構の駆動方向と、装着ヘッドを載置体に位置決めするときの各移動機構の駆動方向とが同一となるように、各移動機構が駆動される。このため、各移動機構が同一の方向にガタ寄せをされた状態で、第1カメラへの位置決め及び載置体への位置決めが行われる。したがって、各移動機構の誤差要素(バックラッシュ、ロストモーション等)がキャンセルされた状態でキャリブレーションデータを得るため、部品装着精度をより向上することができる。
上記の一実施形態に係る部品装着装置は、部品が実装される基板をX方向に搬送する基板搬送部をさらに有していてもよい。装着ヘッドは、部品供給位置で部品を吸着し、部品供給位置から基板搬送部に向かって移動し、前記基板上に部品を装着するものであってもよい。そして、部品供給位置は、前記基板搬送部に対してY方向が負となる方向に位置していてもよい。この場合に、制御装置は、装着ヘッドを第1カメラ及び載置体に対して位置決めする際のX方向移動機構の駆動方向が正となり、かつ、Y方向移動機構の駆動方向が正となる状態でキャリブレーション動作を実行することで得られた正方向キャリブレーションデータと、装着ヘッドを第1カメラ及び載置体に対して位置決めする際のX方向移動機構の駆動方向が負となり、かつ、Y方向移動機構の駆動方向が正となる状態でキャリブレーション動作を実行することで得られた負方向キャリブレーションデータと、を少なくとも取得するようにしてもよい。
このような構成によると、部品供給位置から部品を装着する位置までは、装着ヘッドをY方向については+方向(正方向)に駆動することとなる。したがって、装着ヘッドをX方向(+方向)で、かつ、Y方向(+方向)に駆動して位置決めする場合と、装着ヘッドをX方向(−方向(負方向))で、かつ、Y方向(+方向)に駆動して位置決めする場合の両者についてキャリブレーションデータを取得すれば、装着ヘッドの位置決め位置を適切に補正することができる。
また、上記の一実施形態に係る部品装着装置では、制御装置は、正方向キャリブレーションデータと負方向キャリブレーションデータの中間値を用いて、基板に部品を装着するときの装着ヘッドの位置決め位置を修正してもよい。このような構成によると、簡易にキャリブレーションデータに基づく補正を行うことができる。
あるいは、上記の一実施形態に係る部品供給装置では、制御装置は、基板に部品を装着する場合において、装着ヘッドを基板に対して位置決めする際のX方向移動機構の駆動方向が正となり、かつ、Y方向移動機構の駆動方向が正となるときは、正方向キャリブレーションデータを用いて位置決め位置を修正してもよい。また、制御装置は、基板に部品を装着する場合において、装着ヘッドを基板に対して位置決めする際のX方向移動機構の駆動方向が負となり、かつ、Y方向移動機構の駆動方向が正となるときは、負方向キャリブレーションデータを用いて位置決め位置を修正してもよい。このような構成によると、部品を基板に対して装着する際の駆動方向に応じて適切なキャリブレーションデータが用いられるため、装着ヘッドの位置決め精度を向上することができる。
また、本明細書に開示する技術の他の実施形態に係る部品装着装置は、部品を保持及び開放可能なノズルを有する装着ヘッドと、装着ヘッドをX方向に移動させるX方向移動機構と、装着ヘッドをY方向に移動させるY方向移動機構と、装着ヘッドに保持された前記部品を撮影可能な第1カメラと、較正用の部品冶具と、較正用の部品冶具が装着される載置体と、載置体に装着された冶具部品を撮影可能な第2カメラと、第1カメラ、第2カメラ、X方向移動機構及びY方向移動機構を制御する制御装置と、を有している。そして、制御装置は、X方向移動機構の駆動方向とY方向移動機構の駆動方向の少なくとも一方に関して、装着ヘッドを第1カメラに対して位置決めする際の駆動方向と装着ヘッドを載置体に対して位置決めする際の駆動方向とを同一とする。
この部品装着装置では、装着ヘッドを第1カメラに対して位置決めする場合(すなわち、装着ヘッドのノズルに対する部品治具の位置を特定する場合)と、装着ヘッドを載置体に対して位置決めする場合(すなわち、部品治具が載置体上に実際に装着された位置を特定する場合)とで、X方向移動機構の駆動方向とY方向移動機構の駆動方向の少なくとも一方が同一とされている。このため、X方向移動機構とY方向移動機構の少なくとも一方について、各移動機構の誤差要素(バックラッシュ、ロストモーション等)がキャンセルされた状態でキャリブレーションデータを得ることができるため、部品装着精度を向上することができる。なお、他方の移動機構については、誤差要素(バックラッシュ、ロストモーション等)の小さな機構(例えば、リニアモータ等)を採用することで、誤差要素の影響を問題のない程度とすることができる。
実施例に係る部品装着システム10について、図面を参照して説明する。図1に示すように、部品装着システム10は、部品供給装置(60,160)と、部品供給装置(60,160)に隣接して配置された実装機20と、部品供給装置(60,160)と実装機20とを制御する制御装置200を有している。まず、図1に基づいて、部品装着システム10の全体の概略構成について説明する。
部品供給装置(60,160)は、ウエハシート補給部160と、ウエハシート搬送部60を有している。ウエハシート補給部160には、オペレータによってウエハシートW2が補給される。ウエハシートW2の補給は、ウエハシート搬送部60が設けられた方向と反対側の側面162bから行われる。ウエハシート搬送部60は、オペレータによって補給されたウエハシートW2をウエハシート補給部160から搬出する。
図17に示すように、ウエハシートW2は、シート192上に配置された複数の部品W1を備えている。複数の部品W1は、特定のパターン、すなわち、本実施例では、x方向及びy方向に互いに間隔を空けて配置されている。したがって、y方向に配列された複数の部品W1の中心(例えば、C1,C3)を結ぶ直線L1はy方向に伸び、また、x方向に配列された複数の部品W1の中心(例えば、C1,C2)を結ぶ直線L2はx方向に伸びている。これらの直線L1,L2は、ウエハシートW2の傾きを算出する際に利用される。
図1に戻って、ウエハシート搬送部60は、ウエハシート補給部160の実装機側の側面162aに隣接して配置されている。後述するように、ウエハシート補給部160は、ウエハシート搬送部60の側面62bに対してスライド可能に取付けられている。ウエハシート搬送部60は、ウエハシート補給部160から搬出されるウエハシートW2を、実装機20の近傍の部品供給位置(実装機20の近傍の位置)に搬送する。
実装機20は、ウエハシート搬送部60の側面62a(すなわち、ウエハシート補給部160側と反対側の側面)に隣接して配置される。具体的には、実装機20のウエハシート搬送部60側の面には凹部26が設けられ、この凹部26内にウエハシート搬送部60が収容される。そして、ウエハシート搬送部60の側面62aが実装機20の凹部26の底面に当接するように、ウエハシート搬送部60に対して実装機20が配置される。なお、ウエハシート搬送部60に対して実装機20が配置されると、ウエハシート搬送部60の右側方にスペースが形成される。このスペースには、図示しない他の部品供給装置(例えば、フィーダ)等を載置する載置台(例えば、フィーダデバイス台)が設置される。実装機20は、基板を搬送する基板搬送部22a,22bを有している。実装機20の左側面24aには、上流側の部品装着システムが配置される。実装機20の右側面24bには、下流側の部品装着システムが配置される。基板搬送部22a,22bには、上流側の部品装着システムで部品が装着された基板が供給される。基板搬送部22a,22bに供給された基板は、実装機20の中央に送られる。実装機20の装着ヘッド30は、ウエハシート搬送部60によって部品供給位置に搬送されたウエハシートW2上の部品W1を吸着し、吸着した部品W1を基板搬送部22a,22b上の基板に装着する。部品W1が装着された基板は、基板搬送部22a,22bによって下流側の部品装着システムに送られる。基板が複数の部品装着システムを通過することで、基板に必要な部品が取付けられてゆく。なお、実装機20の右側面24bに上流側の部品装着システムが配置され、実装機20の左側面24aに下流側の部品装着システムが配置されてもよい。この場合は、実装機20の右側面24b側から左側面24a側に基板が搬送される。
(ウエハシート補給部160)
次に、部品装着システム10の各部について詳細に説明する。まず、ウエハシート補給部160について説明する。図2に示すように、ウエハシート補給部160は、ハウジング162と、マガジン170と、昇降機構168を備えている。
ハウジング162は、マガジン170と昇降機構168を収容する。ハウジング162のウエハ搬送部60側の側面162aには、ウエハシートW2を搬出する搬出口174が形成されている。また、ハウジング162の側面162aとウエハシート搬送部60の側面62bの間には、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160をスライドさせるためのスライド機構(後述)が設けられている。
マガジン170は、ウエハシートW2を収容する複数のウエハシート収容部172を備えている。複数のウエハシート収容部172は、高さ方向(z方向)に積層されている。各ウエハシート収容部172には、ウエハシートW2が収容されている。マガジン170は、x−z断面が矩形となる筒状に形成されている。すなわち、マガジン170の後端(ウエハシート搬送部60と反対側の端部)と、マガジン170の前端(ウエハシート搬送部60側の端部)は開放されている。このため、オペレータはマガジン170の後端よりウエハシート収容部172にウエハシートW2を補給することができる。一方、ウエハシート収容部172に収容されているウエハシートW2は、マガジン170の前端よりウエハシート搬送部60に搬出することができる。
昇降機構168は、ボールねじ166と、ボールねじ166を回転させるモータ164を有している。ボールねじ166と係合するナット(図示しない)は、マガジン170に固定されている。このため、モータ164によりボールねじ166を回転させると、マガジン170がハウジング162内を上下方向に移動する。マガジン170を上下方向に移動させることで、マガジン170の任意のウエハシート収容部172を、ハウジング162の搬出口174の高さに一致させることができる。これによって、ウエハシート収容部172から搬出口174を通ってウエハ搬送部60にウエハシートW2を搬出することができる。なお、ウエハシート収容部172からウエハ搬送部60へのウエハシートW2の搬送は、図示しないロボットによって行われる。
ここで、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160をスライドさせるためのスライド機構について説明する。スライド機構は、ウエハシート補給部160の側面162aに設けられたスライドブロック178,186等と、ウエハシート搬送部60の側面62bに形成された係合溝138a、138b等を有している。
図3に示すように、ウエハシート補給部160の側面162a(すなわち、ハウジング162の側面162a)には、x方向に伸びる第1スライドブロック178と、第1スライドブロック188に対してz方向に間隔を空けて配置された複数の第2スライドブロック178が設けられている。
第1スライドブロック178には、ガイドローラ182を収容する複数の凹部178aと、ガイドローラ184を収容する複数の凹部178bが形成されている。ガイドローラ182は、y軸(紙面に直交する軸)と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。ガイドローラ184は、z軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。第1スライドブロック178は、ベースブロック180(図5参照)を介してハウジング162の側面162aに固定されている。
複数の第2スライドブロック186は、互いにx方向に間隔を空けて配置されている。複数の第2スライドブロック186が配置される方向は、第1スライドブロック178が伸びる方向と平行となっている。複数の第2スライドブロック186も、図示しないベースブロックによってハウジング162の側面162aに固定されている。第2スライドブロック186のそれぞれには、ガイドローラ188を収容する凹部186aが形成されている。ガイドローラ188は、z軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。隣接する第2スライドブロック186の間にはガイドローラ190が配置されている。ガイドローラ190は、y軸(紙面に直交する軸)と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。
第1スライドブロック178と第2スライドブロック群186の高さ方向の中間位置には、係合ブロック176が配置されている。係合ブロック176は、ハウジング162の側面162aに固定されている。係合ブロック176は、その中央部に凹溝176aが形成されている(図6参照)。凹溝176aは、ウエハシート搬送部60側からウエハシート補給部160側に凹となっている。
図4に示すように、ウエハシート搬送部60の側面62bには、第1スライドブロック178が収容される第1係合溝138bと、第2スライドブロック群186が収容される第2係合溝138aが形成されている。第1係合溝138b及び第2係合溝138aは、x方向に伸びている。図5に示すように、第1係合溝138bは、第1フレーム部材148と、第1フレーム部材148の上端に取付けられた第2フレーム部材150によって構成されている。第1フレーム部材148と第2フレーム部材150によって囲まれた空間内に、第1スライドブロック178及びガイドローラ182,184が収容される。ガイドローラ182は、第1フレーム部材148のy方向に伸びる面148bに接触している。このため、ガイドローラ182と第1フレーム部材148の間にはz方向の力が作用する。上述したようにガイドローラ182は、y軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。このため、ウエハシート補給部160は、ガイドローラ182によって、ウエハシート搬送部60に対してx方向(紙面に直交する方向)のスライド移動を可能としながら、z方向に支持される。ガイドローラ184は、第1フレーム部材148のz方向に伸びる面148aに接触すると共に、第2フレーム部材150の突片150aに接触する。このため、ガイドローラ184とフレーム部材148,150の間には、y方向の力が作用する。上述したようにガイドローラ184は、z軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。このため、ウエハシート補給部160は、ガイドローラ184によって、ウエハシート搬送部60に対してx方向のスライド移動を可能としながら、y方向に支持される。なお、図5において、ガイドローラ182とガイドローラ184を図示しているが、実際には、図3に示すように、ガイドローラ182とガイドローラ184のx方向の位置は同一とはならない。図5では、説明の便宜上、ガイドローラ182とガイドローラ184を同一図面に図示していることに留意されたい。
第2係合溝138aも、第1係合溝138bと同様に構成されている。すなわち、第2係合溝138a内に第2スライドブロック群186及びガイドローラ188,190が収容され、ガイドローラ188,190が第2係合溝138aの内面に接触している。ガイドローラ188,190によって、ウエハシート補給部160は、ウエハシート搬送部60に対してy方向及びz方向に支持される。
図4に示すように、ウエハシート搬送部60の側面62bには、案内溝142が形成されている。案内溝142は、第1係合溝138bと第2係合溝138aの間に位置し、x方向に伸びている。案内溝142内には、ロックピン146が配置されている。ロックピン146は、リンク部材144の一端に連結されている。リンク部材144の他端は、解除ボタン140に連結されている。ロックピン146は、図示しない付勢手段(例えば、ばね)によって図6の実線で示す位置に付勢されている。オペレータが解除ボタン140を操作すると、ロックピン146は図6の点線で示す位置に後退する。
上述した案内溝142内には、ウエハシート補給部160の係合ブロック176が配置される。係合ブロック176が案内溝142内に配置されることで、ウエハシート搬送部60に対するウエハシート補給部160のスライド可能な範囲が規制される。これによって、ウエハシート補給部160側の機器とウエハシート搬送部60側の機器とを接続する配線が外れてしまうことが防止される。
また、案内溝142内に配置された係合ブロック176の凹溝176aには、ロックピン146が係合可能となっている。係合ブロック176の凹溝176aにロックピン146が係合することで、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160がスライド不能な状態となる。本実施例では、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160がスライド不能な状態とされたときにのみ、ウエハシート補給部160からウエハシート搬送部60にウエハシートW2の搬出が可能となっている。これによって、誤った位置でウエハシート補給部160からウエハ搬送部60にウエハシートW2が搬出されることを防止することができる。
一方、オペレータが解除ボタン140を操作すると、係合ブロック176の凹溝176aからロックピン146が外れる(ロックピン146が図6の点線で示す位置に後退する)。これによって、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160がスライド可能となる。したがって、ウエハシート補給部160をスライドさせるときは、オペレータは、解除ボタン140を操作し、ウエハシート補給部160をスライド方向に押せばよい。
なお、図1に示すように、ウエハシート補給部160は、ウエハシート搬送部60に対してx方向(すなわち、ウエハシートW2を供給する方向(y方向)に直交する方向)にスライド可能となる。そして、本実施例においてウエハシート補給部160がスライド移動できる範囲は、図1の実線に示す位置から一点鎖線で示す位置までの範囲とされ、実装機20のx方向の幅内とされている。このため、ウエハシート補給部160をスライド移動させても、ウエハシート補給部160が上流側の部品装着システムと干渉することはなく、また、下流側の部品装着システムと干渉することはない。また、図1より明らかなように、ウエハシート補給部160を左方向にスライドさせた一点鎖線で示す位置では、ウエハ搬送部60の側面62bが大きく開放される。このため、実装機20に不具合等が発生した場合は、オペレータは解除ボタン140を操作してウエハシート補給部160をスライドさせ、実装機20へのアクセスするための空間を充分に確保することができる。実装機20にアクセスするためのスペースを事前に設けておく必要がないため、部品装着システム10のコンパクト化を図ることができる。
(ウエハシート搬送部60)
次に、ウエハシート搬送部60について説明する。図2に示すように、ウエハシート搬送部60は、移動テーブル62と、移動テーブル62を昇降するテーブル昇降機構110と、移動テーブル62に対してxy方向に移動可能とされた吸着ヘッド100と、移動テーブル62に載置されたウエハシートW2を撮影するカメラ104を有している。
図7に示すように、移動テーブル62は、ベース64と、ベース64に対してスライド移動するスライダ78と、スライダ78に対して回転移動するウエハテーブル88を有している。ベース64は、テーブル昇降機構110によって上下方向に移動可能となっている。すなわち、図2に示すように、テーブル昇降機構110は、ボールねじ106と、ボールねじ106を回転させるモータ108を有している。ボールねじ108と係合するナット(図示しない)は、ベース64に固定されている。このため、モータ108によりボールねじ106を回転させると、ベース64が上下方向に移動する。ベース64が上下方向に移動することで、ウエハテーブル88も上下方向に移動する。
スライダ78は、ベース64に対してy方向にスライド可能に支持されている。具体的には、ベース64の上面にはガイド72が設けられている。ガイド72にはスライダ78の案内部74が係合している。このため、スライダ78は、ベース64に対してy方向に移動可能に支持されている。スライダ78の移動は、図示しないボールねじ機構と、ボールねじ機構を回転駆動するモータによって行われる。
図7,8に示すように、スライダ78には、z方向に伸びる回転軸(以下、θ軸(具体的には、図9に示すC点を通過してz方向に伸びる軸)という)の周りに回動可能にウエハテーブル88が支持されている。具体的には、スライダ78の実装機20側の辺縁にはRガイド82が設けられている。ウエハテーブル88の下面にはスライダ84が取付けられ、スライダ84はRガイド82によって案内されている。また、スライダ78の左右の辺縁にはクロスガイド80a,80bが設けられている。ウエハテーブル88の下面に設定された支持点86a、86bは、クロスガイド80a,80b(詳細には、クロスガイド80a,80bの玉軸受)によって支持される。したがって、ウエハテーブル88は、スライダ84が設けられる位置と、支持点86a,86bの3点で、スライダ78に支持されている。
ここで、スライダ84と支持点86a,86bが設けられる3点は、図9に示すC点を中心とする同一の円の円周上となるように設定されている。すなわち、ウエハテーブル88は、C点(θ軸)を中心とする同一円周上の3点で支持されている。また、このC点(θ軸)を中心とする同一の円の円周上をスライダ84が移動するように、Rガイド82の曲率が設定されている。このため、スライダ84がRガイド82に案内されてθ軸周りに円弧運動をすると、支持点86a,86bもクロスガイド80a,80bに案内されてθ軸周りに円弧運動する。その結果、ウエハテーブル88がθ軸周りに回転することとなる。
本実施例では、ウエハテーブル88をθ軸周りに回転させるために、ボールねじ機構(94,85)が採用されている。すなわち、図8に示すように、ボールねじ94は、スライダ78の実装機20側の辺縁に回転可能に支持されている。ボールねじ94の一端にはモータ92の出力軸が固定され、モータ92によってボールねじ94は回転駆動される。ボールねじ94は、x方向に伸びており、ナット部材85が係合している。ナット部材85とスライダ84とは、x方向については一体で移動し、y方向については相対変位可能に連結されている。したがって、モータ92によってボールねじ94を回転駆動すると、ナット部材85がボールねじ94に沿ってx方向に移動する。ナット部材85のx方向の移動に応じて、スライダ84がRガイド82に案内されながらx方向に移動する。これによって、図9に示すように、ウエハテーブル88がθ軸周りに回転する。
上記ウエハテーブル88には、ウエハシートW2が載置される載置面が形成されている。図8に示すように、ウエハテーブル88の載置面の中央には開口88aが形成されている。載置面の中央に開口88aを形成することで、ウエハシートW2の下面側にウエハシートW2を突き上げる機構を配置することができる。ウエハシートW2を下面から突き上げることで、ウエハシートW2から部品W1を容易に吸着することができる。なお、ウエハテーブル88に載置されたウエハシートW2は、移動機構102に固定されたカメラ104で撮影することができる。
また、図7,8に示すように、ウエハテーブル88の左右の辺縁にはy方向に伸びるクランプ取付部89a,89bが設けられている。クランプ取付部89a,89bには、ウエハクランプ90a,90bが取付けられる。ウエハクランプ90a,90bによって、ウエハシートW2がクランプされ、ウエハテーブル88にウエハシートW2が保持される。
次に、吸着ヘッド100について説明する。図11,12に示すように、吸着ヘッド100は、第1ハウジング111と、第1ハウジング111に対して回転可能に支持された回転軸116と、回転軸116に固定された第2ハウジング112を有している。第2ハウジング112には、複数の吸着ノズル114a,114bが取付けられている。複数の吸着ノズル114a,114bの配置は、実装機20の装着ヘッド30に装備される複数の吸着ノズル32の配置と対応している。複数の吸着ノズル114a,114bが第2ハウジング112に取付けられているため、第2ハウジング112が回転軸116と共に回転すると、吸着ノズル114a、114bは、吸着ノズル114a,114bの先端が下方を向く吸着位置(図11の状態)と、吸着ノズル114a,114bの先端が上方を向く受渡し位置(図12の状態)とに移動する。
図13,14に示すように、吸着ヘッド100は、吸着ノズル114a,114bを吸着位置と受渡し位置に切り換える機構(118,120等)を備えている。すなわち、第1ハウジング110には、上下方向に移動可能にラック118が取付けられている。ラック118には、ピニオンギア120が噛合っている。ピニオンギア120は回転軸116に固定されている。したがって、ラック118が上下方向に移動することで、ピニオンギア120及び回転軸116が回転し、吸着ノズル114a,114bも吸着位置と受渡し位置の間を移動する。
上記ラック118の上下方向の移動は、回動部材126が支持軸128周りに回転することで実施される。すなわち、ラック118の上端には、カムフォロワ122が取付けられている。カムフォロワ122には、案内溝124が形成されている。カムフォロワ122の案内溝124にはピン130が係合しており、ピン130は回動部材(カム部材)126の一端に固定されている。このため、図示しないアクチュエータ(例えば、エアシリンダ)で回動部材126を支持軸128周りに回転させると、回動部材126の回転に応じてピン130も回転する。これによって、ピン130と係合するカムフォロワ122も上下方向に移動し、ラック118が上下方向に移動する。
上記の説明から明らかなように、カムフォロワ122(すなわち、ラック118)の上下方向の移動速度は、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の近傍にあるときは遅く、吸着位置と受渡し位置の中間にあるときは速い。すなわち、図15に示すように、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の近傍にあるときは、ピン130の回転角度の変化に対して上下方向の移動量S1は小さい。一方、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の中間にあるときは、ピン130の回転角度の変化に対して上下方向の移動量S2は大きい。このため、上記のカム機構(122,126,130)を用いることで、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の近傍にあるときの第2ハウジング112の回転速度を低くすることができる。これによって、第2ハウジング112の回転が停止する際の衝撃を抑制することができる。
なお、吸着ヘッド100の回転軸116には、図16に示すように、吸気通路132が形成されている。回転軸116の外周面には溝116aが形成され、溝116aの底面に吸気通路132の一端が接続している。また、回転軸116の溝116aには、吸着ノズル114a,114bの吸気通路が連通している。したがって、吸着ノズル114a,114bは、溝116a及び吸気通路132を介して吸引装置に接続されている。回転軸116内に吸気通路132を設けることで、吸着ノズル114a,114bへの吸気配管を不要とすることができる。
また、吸着ヘッド100及びカメラ104は、移動テーブル62に取付けられた移動機構102によって、移動テーブル62に対してxy方向に移動可能となっている。これによって、ウエハシートW2上の任意の位置に載置されている部品W1を吸着ヘッド100で吸着し、また、カメラ104で撮影することができる。移動機構102には、公知の機構(例えば、ボールねじ機構等)を用いることができる。なお、上述の説明から明らかなように、吸着ヘッド100及びカメラ104は、移動機構102を介して移動テーブル62に取付けられている。このため、移動テーブル62がテーブル昇降機構110によって上下方向に移動すると、それに応じて吸着ヘッド100及びカメラ104も上下方向に移動する。
(実装機20)
次に、実装機20について説明する。なお、本実施例の実装機20は、キャリブレーション動作に特徴があり、その他の点については従来公知の実装機と同様の構成とすることができる。このため、実装機20については、キャリブレーション動作に関連する構成について主に説明し、その他の点については適宜説明を省略する。
図2に示すように、実装機20は、基板搬送部22a,22bと、装着ヘッド30と、部品カメラ28を有している。基板搬送部22a,22bは、コンベアベルトを回転させることで、コンベアベルト上に載置された基板を搬送する。装着ヘッド30は、部品W1を吸着するための複数の吸着ノズル32と、ウエハシートW2のフィデューシャルマーク等を読み取るためのマークカメラ34を備えている。上述したように、装着ヘッド30の吸着ノズル32の配置は、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bの配置に対応している。すなわち、装着ヘッド30は、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bに保持された複数の部品W1を同時に受取ることができる。部品カメラ28は、装着ヘッド30に吸着された部品W1の読み取り等を行う。
図17に示すように、装着ヘッド30は、y方向スライダ42に対して、x方向にスライド可能に取り付けられている。具体的には、y方向スライダ42には、x方向に伸びるx方向ガイド44が設けられている。装着ヘッド30は、x方向ガイド44に係合する係合部(図示省略)を有しており、x方向ガイド44に案内されてx方向にスライド可能となっている。装着ヘッド30のx方向への移動は、図示しないボールねじ機構と、ボールねじ機構を駆動するモータ45(図21に図示)によって行われる。装着ヘッド30のx方向への移動にボールねじ機構を用いるため、装着ヘッド30のx方向への位置決めには、ボールねじ機構のバックラッシュやロストモーション等の誤差要素が含まれる。また、y方向スライダ42は、y方向ガイド38にスライド可能に取り付けられている。y方向スライダ42のy方向への移動は、装着ヘッド30のx方向への移動と同様、図示しないボールねじ機構と、ボールねじ機構を駆動するモータ35(図21に図示)によって行われる。y方向スライダ42のy方向への移動にボールねじ機構を用いるため、y方向スライダ42のy方向への位置決めには、ボールねじ機構のバックラッシュやロストモーション等の誤差要素が含まれる。なお、装着ヘッド30の吸着ノズル32は、装着ヘッド本体に対してz方向に移動可能となっている。ただし、吸着ノズル32のz方向の移動は、基板に対する部品の位置精度への影響が少ないため、本実施例では、装着ヘッド30のx方向及びy方向の誤差のみを考慮している。
また、実装機20では、部品カメラ28の近傍に冶具台46が配置されている。冶具台46には部品冶具48が載置されている。部品冶具48は、後述するキャリブレーション動作時に使用される、また、冶具台46には、キャリブレーション動作時に部品冶具48を装着するための載置面50(図18,19に図示)が設けられている。
実装機20のキャリブレーション動作は、制御装置200が実装機20の各部を制御することで実行される。すなわち、図21に示すように、制御装置200には、装着ヘッド20をx方向に移動させるモータ45と、y方向スライダ42をy方向に移動させるモータ35と、部品カメラ28と、マークカメラ34が接続されている。また、制御装置200には、モータ45の回転角を検出するエンコーダ47と、モータ35の回転角を検出するエンコーダ37が接続されている。制御装置200は、エンコーダ47,37から入力される信号に基づいてモータ45,35を駆動することで装着ヘッド30をxy方向に位置決めし、また、部品カメラ28やマークカメラ34で撮影された画像から部品冶具48の位置を算出する。
まず、上述の部品装着システム10において、部品を基板に装着する際の動作について、図22を参照して説明する。図22に示すように、まず、ウエハシート補給部160からウエハシートW2を搬送する(S10)。具体的には、制御装置200は、昇降機構168を駆動して、ウエハシート収容部172の1つを搬出口174の高さに位置決めする。また、制御装置200は、移動テーブル62を駆動して、ウエハテーブル88をウエハシート載置位置(ウエハシート補給部160の近傍)に位置決めする。ウエハシート載置位置とは、ウエハシート補給部160の搬出口174からウエハシートW2が搬出される位置であり、ウエハシート補給部160の搬出口174の近傍に設定される。次に、制御装置200は、ロボットを駆動してウエハ収容部172に収容されたウエハシートW2を、ウエハテーブル88の載置面に載置する。
ウエハテーブル88上にウエハシートW2が載置されると、制御装置200は、移動テーブル62を駆動して、ウエハテーブル88を部品供給位置(実装機20の近傍の位置)に位置決めする(S12)。部品供給位置は、実装機20の近傍に設定され、ウエハシートW2から装着ヘッド30へ部品W1の供給を行う位置である。
次に、制御装置200は、カメラ104によってウエハテーブル88上に載置されたウエハシートW2を撮影する(S14)。ウエハシートW2の画像が撮影されると、制御装置200は、その撮影された画像から、ウエハシートW2のθ方向のずれ量を算出する。すなわち、ウエハシート収容部172へのウエハシートW2の補給はオペレータによって行われ、ウエハシート収容部172からウエハテーブル88へのウエハシートW2の載置はロボットによって行われる。したがって、ウエハシートW2がウエハテーブル88上に予め定められた設定角度で載置されていないことが生じ得る。このため、カメラ104によって、ウエハテーブル88上のウエハシートW2を撮影し、ウエハシートW2のずれ量(θ方向のずれ(角度ずれ))を算出する。なお、ウエハシートW2のθ方向のずれは、例えば、下記の手順で算出することができる。すなわち、カメラ104で撮影された画像から、図17に示すように、複数の部品W1の中心点C1〜C3を算出する。そして、中心点C1と中心点C2を結んだ直線L2と、中心点C1と中心点C3を結んだ直線L1の傾きから、ウエハシートW2のθ方向のずれ(角度ずれ)を算出する。
ウエハシートW2のずれ量が算出されると、制御装置200は、移動テーブル62を駆動して、θ軸周りの位置ずれを補正する(S18)。これによって、ウエハシートW1が予め定められた姿勢(角度)で位置決めされる。
次に、制御装置200は、ウエハシートW2上の部品W1を装着ヘッド30で直接吸着するか否かを判断する(S20)。すなわち、制御装置200は、ウエハシートW2の部品W1をフェイスアップ供給するか、フェイスダウン供給するかを判断する。装着ヘッド30で直接吸着する場合(S20でYES)は、ステップS22,24をスキップして、ステップS26に進む。
一方、ウエハシートW2上の部品W1を装着ヘッド30で直接吸着しない場合(S20でNO)は、制御装置200は、吸着ヘッド100を駆動して、ウエハシートW2上の部品W1を吸着ヘッド100に吸着する(S22)。吸着ヘッド100は複数の吸着ノズル114a,114bを有しているため、吸着ヘッド100には複数の部品W1が吸着される。次いで、制御装置200は、第2ハウジング112を回転させることで、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a、114bを吸着位置から受渡し位置に移動させる。また、制御装置200は、テーブル昇降機構110を駆動して、移動テーブル62を下降させる。すなわち、図2,10から明らかなように、吸着ヘッド100は、移動テーブル62(詳細には、ウエハテーブル88)よりも上方に位置している。このため、吸着ノズル114a,114bの先端が基準面A(図10に示す)の高さとなるように、移動テーブル62を下降させる。移動テーブル62と吸着ヘッド100は移動機構102を介して接続されているため、移動テーブル62を下降させれば、吸着ヘッド100も下降させることができる。ここで、基準面Aは、装着ヘッド30でウエハシートW2上の部品W1を直接吸着するときのウエハテーブル88の位置(高さ)である。本実施例では、吸着ノズル114a,114bが基準面Aに位置決めされるため、装着ヘッド30が部品W1を吸着する高さは、フェイスアップ供給でもフェイスダウン供給でも変わらないこととなる。このため、装着ヘッド30への部品W1の吸着を容易に行うことができる。
次に、制御装置200は、装着ヘッド30に部品W2を吸着する(S26)。すなわち、ウエハシートW2上の部品W1を装着ヘッド30に直接吸着する場合は、ウエハテーブル88上のウエハシートW2から部品W1を吸着する。一方、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bから部品W1を吸着する場合は、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bから部品W1を吸着する。この際、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bの配置と、装着ヘッド30の吸着ノズル32の配置とが対応するため、吸着ヘッド100から装着ヘッド30に複数の部品W1を同時に受け渡すことができる。なお、吸着ヘッド100に設けられた吸着ノズルと、装着ヘッド30に設けられた吸着ノズルとは、その一部が対応し、複数の部品W1が同時に受渡し可能となっていればよい。例えば、吸着ヘッド100の吸着ノズルが2行×2列に配置(すなわち、x方向に2個、y方向に2個並んだ配置)され、装着ヘッド30の吸着ノズルが1行×2列に配置され、吸着ヘッド100から装着ヘッドに2個の部品W1が同時に受渡されるものであってもよい。あるいは、吸着ヘッド100の吸着ノズルが1行×2列に配置され、装着ヘッド30の吸着ノズルが2行×2列に配置され、吸着ヘッド100から装着ヘッドに2個の部品W1が同時に受渡されるものであってもよい。さらには、吸着ヘッド100の吸着ノズルが4行×2列に配置され、装着ヘッド30の吸着ノズルが2行×4列に配置され、吸着ヘッド100から装着ヘッドに4個の部品W1が同時に受渡されるものであってもよい。
装着ヘッド30に部品W1が吸着されると、制御装置200は、モータ35,45を駆動して装着ヘッド30を所定の位置に位置決めし、装着ヘッド30に吸着した部品W1を、基板搬送部22a,22b上の基板に装着する(S28)。具体的には、まず、装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めし、部品カメラ28で吸着ノズル32に吸着された部品W1を撮影する。次いで、撮影した画像から特定される吸着ノズル32に対する部品W1の位置と、後述するキャリブレーションデータを用いて部品装着位置を補正し、その補正した部品装着位置に部品W1を装着する。これによって、基板上の所望の位置に部品W1が装着される。なお、上述した説明から明らかなように、装着ヘッド30の吸着ノズル32に部品W1を吸着する位置はウエハシート搬送部60内となるため、部品W1を基板に向かって搬送する方向は常にy方向(正)となる。
次に、制御装置200によるキャリブレーション動作について、図23を参照して説明する。図23に示すように、制御装置200は、まず、モータ35,45を駆動して装着ヘッド30を冶具台46上の部品冶具48の上方に位置決めし、装着ヘッド30の吸着ノズル32で部品冶具48を吸着する(S30)。通常、冶具台46上の予め定められた位置に部品冶具48は載置されているが、部品冶具48を冶具台46にオペレータが載置する際の誤差等によって部品冶具48の位置がずれる場合がある。かかる場合は、吸着ノズル32の軸線からずれた位置に部品冶具48が吸着されることとなる。
次に、制御装置200は、モータ35,45を駆動して装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めし、部品カメラ28で吸着ノズル32に吸着された部品冶具48を撮影する(S32)。装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めする位置は既知である。このため、吸着ノズル32に対して正しい位置に部品冶具48が吸着されているときは、画像内の所定の位置に部品冶具48が撮影される。一方、吸着ノズル32に対して正しい位置に部品冶具48が吸着されていないときは、画像内の所定の位置からずれた位置に部品冶具48が撮影されることとなる。
なお、S32で部品カメラ28に対して装着ヘッド30を位置決めする際は、装着ヘッド30を位置決め位置に停止させる直前の装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負が予め定められた状態となるように装着ヘッド30が駆動される。例えば、図18に示すように、装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めする際の装着ヘッド30のx方向の移動が正(+)で、かつ、y方向の移動が正(+)となる場合は、まず、装着ヘッド30を部品カメラ28の位置よりもx方向に小さな座標値となり、かつ、y方向に小さな座標値となる位置まで移動させ(矢印a)、次いで、部品カメラ28に対して装着ヘッド30を位置決めする(矢印b)。これによって、位置決め時の装着ヘッド30のx方向の移動が正(+)で、かつ、y方向の移動が正(+)となる。一方、装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めする際の装着ヘッド30のx方向の移動が負(−)で、かつ、y方向の移動が正(+)の場合は、まず、装着ヘッド30を部品カメラ28の位置よりもx方向に大きな座標値となり、かつ、y方向に小さな座標値となる位置まで移動させ(矢印a’)、次いで、部品カメラ28に対して装着ヘッド30を位置決めする(矢印b’)。これによって、装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めする際の移動方向が、x方向が負(−)で、かつ、y方向が正(+)となる。
次いで、制御装置200は、部品カメラ28で撮影した画像を処理し、吸着ノズル32に対する部品冶具48のずれ量を算出する(S34)。上述したように、吸着ノズル32の正しい位置に部品冶具48が吸着されていないときは、画像内の所定の位置からずれた位置に部品冶具48が撮影される。このため、制御装置200は、画像内の部品冶具48の位置から、部品冶具48の正規の位置からのずれ量を算出する。
次いで、制御装置200は、モータ35,45を駆動して装着ヘッド30を冶具台46に対して位置決めし、冶具台46の載置面50に吸着ノズル32に吸着された部品冶具48を装着する(S36)。ここで、部品カメラ28と冶具台46の位置関係は既知であるため、装着ヘッド30を予め定められた位置に移動させれば、装着ヘッド30を冶具部品46の載置面50に対して正しい位置に位置決めすることができるはずである。したがって、吸着ノズル32に対して部品冶具48が正しく吸着されていれば、部品冶具48を載置面50の正しい位置に載置することができる。一方、吸着ノズル32に対する部品冶具48の位置が正規の位置からずれている場合は、部品冶具48は載置面50に対して正規の位置からずれた位置に装着される。このため、制御装置200は、S34でずれ量が算出されている場合、そのずれ量によりモータ35,45の駆動量を補正する。これによって、部品冶具48を載置面50の正しい位置に装着されることとなる。
また、S36で冶具台46に対して装着ヘッド30を位置決めする際は、着ヘッド30を位置決め位置に停止させる直前の装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負が、S32の装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負と一致するように駆動する。例えば、図18に示すように、装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めする際のx方向の移動が正(+)で、かつ、y方向の移動が正(+)の場合(S32で矢印a→bと駆動した場合)は、装着ヘッド30を冶具台46の載置面50に対してそのまま位置決めする(矢印c)。これによって、S32における装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負が、S36における装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負と一致する。一方、装着ヘッド30を部品カメラ28に対して位置決めする際のx方向の移動が負(−)で、かつ、y方向の移動が正(+)の場合(S32で矢印a’→b’と駆動した場合)は、冶具台46の位置よりもx方向に大きな座標値となり、かつ、y方向に小さな座標値となる位置まで移動させ(矢印c’)、次いで、冶具台46に対して装着ヘッド30を位置決めする(矢印d’)。これによって、S32における装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負が、S36における装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負と一致する。
次に、制御装置200は、装着ヘッド30のマークカメラ34により載置面50に装着された部品冶具48を撮影し、部品冶具48の位置を測定(算出)する(S38)。そして、制御装置200は、S38で測定された部品冶具48の位置から、キャリブレーションデータを作成する(S40)。すなわち、装着ヘッド30の位置決め機構(移動機構)は誤差要素(バックラッシュ等)を含んでいる。このため、S38で測定された部品冶具48の位置と正規の位置とのずれは誤差要素によるずれであり、このずれ量の分だけモータ35,45の駆動量を補正すれば、基板に対する部品W1の装着位置精度を向上することができる。したがって、制御装置200は、S38で測定された部品冶具48の位置からキャリブレーションデータを作成する。なお、冶具台46に基準マークを設け、マークカメラ34によって部品治具48と基準マークを同一視野内に映るように撮影してもよい。このように構成すれば、装着ヘッド30の移動方向に関わらず、位置決め機構(移動機構)の誤差要素(バックラッシュ等)をキャンセルした状態で、治具台46に対する部品治具48の装着位置を測定することができる。すなわち、基準マーク撮影時の装着ヘッド30の駆動方向と、部品撮影時の装着ヘッドの駆動方向が同一となるため、位置決め機構(移動機構)の誤差要素をキャンセルすることができる。
なお、S40で作成されたキャリブレーションデータは、基板に部品W1を装着する際に用いられる。すなわち、制御装置200は、作成したキャリブレーションデータで部品装着位置を補正し、補正した部品装着位置に部品W1が装着されるようモータ35,45を駆動し、装着ヘッド30を位置決めする。これによって、装着ヘッド30が誤差要素が考慮された位置に位置決めされ、基板への部品W1の装着位置精度を向上することができる。
上述した説明から明らかなように、本実施例のキャリブレーション動作では、S32の装着ヘッド30の部品カメラ28に対する位置決めと、S36の装着ヘッド30の冶具台46に対する位置決めは、装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負が同一の状態(いわゆる、がた寄せした状態が同一の状態)で行われる。このため、装着ヘッド30を移動させる移動機構が有する誤差要素(バックラッシュやロストモーション等)の影響が相殺された状態で、S32とS36の装着ヘッド30の位置決めとが行われる。したがって、正確なキャリブレーションデータを作成することができる。
なお、装着ヘッド30を移動させる移動機構が有する誤差要素(バックラッシュやロストモーション等)は、装着ヘッド30を駆動する際のx方向及びy方向の移動の正負によって変化する。このため、本実施例のキャリブレーション動作は、装着ヘッド30のx方向及びy方向への移動の正負を種々に変えて(例えば、図19に示すa→b→c等)、複数のキャリブレーションデータを作成する。そして、これら複数のキャリブレーションデータを用いて、基板に対する部品W1の部品装着位置を補正する。例えば、装着ヘッド30をx方向が正で、かつ、y方向が正となるように移動させてキャリブレーションデータを作成し、また、装着ヘッド30をx方向が負で、かつ、y方向が負となるように移動させてキャリブレーションデータを作成し、これら2つのキャリブレーションデータの中間値(平均値)を用いて、部品装着位置を補正する。あるいは、(1)装着ヘッド30をx方向が正で、かつ、y方向が正となるときのキャリブレーションデータと、(2)装着ヘッド30をx方向が正で、かつ、y方向が負となるときのキャリブレーションデータと、(3)装着ヘッド30をx方向が負で、かつ、y方向が正となるときのキャリブレーションデータと、(4)装着ヘッド30をx方向が負で、かつ、y方向が負となるときのキャリブレーションデータと、を取得し、これら4つのデータの中間値(平均値)を用いてもよい。中間値を用いることで、簡易に部品装着位置を補正することができる。
あるいは、装着ヘッド30を位置決めする際のx方向及びy方向への移動の正負と同一の状態で得られたキャリブレーションデータを補正に使用してもよい。例えば、位置決め時の装着ヘッド30のx方向の移動が正(+)で、かつ、y方向の移動が正(+)の場合、位置決め時の装着ヘッド30のx方向の移動が正(+)で、かつ、y方向の移動が負(+)としたときに得られたキャリブレーションデータを用いて部品装着位置を補正する。このような構成によると、装着ヘッド30の駆動態様に対応するキャリブレーションデータが用いられるため、基板に対する部品の装着位置精度をより向上することができる。
なお、このような構成を採る場合は、図18に示すように、装着ヘッド30のx方向の移動が正(+)で、かつ、y方向の移動が正(+)の場合(矢印a→b→cと駆動した場合)のキャリブレーションデータと、装着ヘッド30のx方向の移動が負(−)で、かつ、y方向の移動が正(+)の場合(矢印a’→b’→c’→d’と駆動した場合)のキャリブレーションデータを少なくとも取得することが好ましい。本実施例では、ウエハシート搬送部60から部品W1を吸着し、基板搬送部22a,22b上の基板に部品W1を装着する。このため、基板へ部品W1を装着する際の装着ヘッド30の動きは、y方向については必ず正(+)となる。したがって、上述した2つのキャリブレーションデータを取得すれば、基板へ部品を装着する際の部品装着位置の補正を適切に行うことができる。
最後に、上述した実施例と請求項との対応関係を説明しておく。実装機20が請求項でいう「部品装着装置」の一例であり、モータ45によって駆動されるボールねじ機構が請求項でいう「X方向移動機構」の一例であり、モータ35によって駆動されるボールねじ機構が請求項でいう「Y方向移動機構」の一例であり、部品カメラ28が請求項でいう「第1カメラ」の一例であり、冶具台46が「載置体」の一例であり、マークカメラ34が「第2カメラ」の一例である。
以上、本実施例について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記の実施例では、実装機20に設けられた冶具台46に部品冶具48を装着するようにしたが、冶具台ではなく基板搬送部22a又は22bに載置した検査用基板を利用してキャリブレーションデータを作成してもよい。検査用基板を用いる場合は、まず、装着ヘッド30のマークカメラ34で検査用基板のフィデューシャルマークを読取り、検査用基板の位置を測定する。そして、その測定した位置に基づいて、部品カメラによる部品冶具の撮影と、検査用基板への部品冶具の装着、検査用基板に装着した部品冶具の撮影を行えばよい。なお、検査用基板を用いる場合は、フィデューシャルマークを読み取る際の装着ヘッド30の駆動方向を、部品カメラに対する装着ヘッド30の位置決め時の駆動方向と一致させることが好ましい。フィデューシャルマークの読取り時の駆動方向を一致させることで、キャリブレーションデータを適切に取得することができる。
また、上述した実施例では、装着ヘッド30を駆動するためにボールねじ機構を用いたが、装着ヘッドを駆動する機構には、公知の他の機構を用いて駆動してもよい。いずれの機構を用いても、移動機構にはガタやロストモーションや剛性不足等によって誤差要素が存在するため、本明細書に開示の技術を用いることで、適切にキャリブレーションデータを取得することができる。
なお、バックラッシュ等を考慮してキャリブレーションを行う方法としては、上述した実施例の方法に限られず、例えば、装着ヘッドを所定の位置に位置決めする際に複数方向から位置決めし、各方向について位置決めしたときの装着ヘッドの位置を固定カメラで測定するようにしてもよい。このような方法によっても、バックラッシュ等を考慮したキャリブレーションデータを得ることができる。あるいは、装着ヘッドを複数の方向から所定の位置に位置決めし、各方向について装着ヘッドのマークカメラで装置内の固定マークを撮影することで、装着ヘッドの位置を測定するようにしてもよい。
また、上述した実施例では、S32で得られた部品冶具のずれ量から冶具台へ移動する際のモータ駆動量を補正したが、キャリブレーションデータの算出は、このような例に限らない。例えば、S32で得られたずれ量でモータ駆動量を補正することなく、装着ヘッドを冶具台に位置決めし、冶具台の載置面に部品冶具を装着してもよい。この場合、冶具台に対する部品冶具の装着位置は、ノズルに対する部品冶具のずれ量と、バックラッシュ等によるずれ量が重畳したものとなっている。このため、S32で得られる画像から算出したずれ量と、S38で得られる画像から算出したずれ量の両者から、キャリブレーションデータを作成してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。