JP2014084990A - 波動歯車装置、駆動装置及びロボット装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】捩じり剛性を向上させた波動歯車装置及びこの波動歯車装置を備えたロボット装置を提供する。
【解決手段】波動歯車装置150は、剛性内歯車20と、可撓性外歯車30と、波動発生器40とを備えている。可撓性外歯車30は、外歯33が形成された円筒状の胴部31と、胴部31の基端31aに接続された取付部32とを有する。剛性内歯車20は、内歯22が外歯33に噛合うように、胴部31の外側に配置されている。波動発生器40は、胴部31を楕円状に撓めて内歯22に対して外歯33を部分的に噛合わせると共に、回転軸を中心に回転することで噛合い位置を周方向に移動させる。剛性内歯車20の内歯22は、第1端22aよりも第2端22bのピッチ円が小さくなり、かつ第1端22aよりも第2端22bの圧力角が大きくなるように形成されている。
【選択図】図4
【解決手段】波動歯車装置150は、剛性内歯車20と、可撓性外歯車30と、波動発生器40とを備えている。可撓性外歯車30は、外歯33が形成された円筒状の胴部31と、胴部31の基端31aに接続された取付部32とを有する。剛性内歯車20は、内歯22が外歯33に噛合うように、胴部31の外側に配置されている。波動発生器40は、胴部31を楕円状に撓めて内歯22に対して外歯33を部分的に噛合わせると共に、回転軸を中心に回転することで噛合い位置を周方向に移動させる。剛性内歯車20の内歯22は、第1端22aよりも第2端22bのピッチ円が小さくなり、かつ第1端22aよりも第2端22bの圧力角が大きくなるように形成されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、剛性内歯車と可撓性外歯車と波動発生器とを備えた波動歯車装置、この波動歯車装置を備えた駆動装置、及びこの駆動装置を備えたロボット装置に関するものである。
一般に、波動歯車装置は、内歯が形成された環状の剛性内歯車と、その内歯と歯数が異なりかつ内歯と噛合い可能な外歯を有する可撓性外歯車と、それらの歯の噛合い位置を円周方向に移動させる波動発生器とを有して構成される。
波動発生器は、可撓性外歯車の内側に配置され、可撓性外歯車を撓めて楕円状とする。楕円状に撓められた可撓性外歯車は、その長軸部において剛性内歯車の内歯と噛合う。
この種の波動歯車装置は、剛性内歯車を固定した状態で波動発生器を入力側とし、波動発生器の回転に伴って減速して回転する可撓性外歯車を出力側とする構成となっていることが多い。例えば、剛性内歯車の内歯数を102歯とし、可撓性外歯車の外歯数を100歯とした場合、入力側の波動発生器を1回転したときの出力側の可撓性外歯車の回転は、内歯数2歯分となり、50:1の減速比となる。
可撓性外歯車は、外歯が形成された胴部の基端から半径方向の内側または外側に延びて形成された、被取付部材に取り付け可能な取付部を有する、いわゆるカップ状又はシルクハット状に形成されているのが一般的である。
このようなカップ状又はシルクハット状の可撓性外歯車を用いた場合、可撓性外歯車の外歯は、その長軸部において、剛性内歯車の軸方向に対して傾斜して剛性内歯車の内歯と噛合いを成す。つまり、胴部の基端には取付部が接続されているので、胴部の基端側は撓みが規制されており、胴部の先端側が波動発生器により撓められることで、外歯が軸方向に対して傾斜する。この傾斜のため、楕円状の長軸部における外歯は、歯筋方向に沿って波動発生器の回転中心からの距離が小さくなるように変化する。すなわち、可撓性外歯車において、外歯の胴部先端側の端部は、回転中心からの距離が最も長く、胴部先端から胴部先端に向かうに従って、その距離が漸減する。
この波動発生器の回転中心に対する可撓性外歯車の外歯の歯筋方向の各位置の距離の差により、噛合い位置が円周方向に移動するときの可撓性外歯車の外歯の移動軌跡が、外歯の歯筋方向の位置により異なる。
このような可撓性外歯車の外歯の噛合い位置の移動時の軌跡に対し、内歯に対する外歯の干渉がなく、より多くの噛合いを得る、可撓性外歯車の外歯と剛性内歯車の内歯との形状に関する提案が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1では、歯筋全体に亘って一定の形状の歯形であって、可撓性外歯車の外歯の回転中心に対する傾きをも考慮したラック近似の歯形が提案されている。
また、内歯車の内歯を、楕円状に撓められたときの可撓性外歯車の長軸上で傾斜した外歯の形状に添わせた形状にすることで、長軸上の外歯において歯筋全体に亘って内歯との噛合い接触を得る構造も提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記特許文献1の構成では、剛性内歯車の内歯の外形は、歯筋方向で一定であるので、剛性内歯車の内歯と、内歯に対して傾斜する可撓性外歯車の外歯との接触範囲の増加にも限界があった。このため、出力側である可撓性外歯車の取付部を回転方向に捩じったときの剛性、即ち捩じり剛性を大きくするのにも限界があり、更なる捩じり剛性の向上が望まれていた。
また、上記特許文献2の構成では、楕円の長軸上において歯筋全体に亘って外歯と内歯との噛合いを得ることができる。しかし、外歯と内歯との噛合いは、楕円の長軸上のみならず、長軸から離れた位置においても生じる。具体的に説明すると、楕円の長軸上では、可撓性外歯車の胴部は、基端から先端に向かって広がるように撓められるが、楕円の短軸上では、胴部は、基端から先端に向かって狭まるように撓められる。このため、長軸から離れた位置での内歯に対する外歯の噛合いは、歯筋全体のうち可撓性外歯車の胴部の基端側の部分においても生じる。従って、この部分の可撓性外歯車の外歯の移動軌跡も考慮しなければ、外歯が内歯に干渉して剛性内歯車に対する可撓性外歯車の円滑な回転移動が困難となる。
そこで、本発明は、捩じり剛性を向上させた波動歯車装置、この波動歯車装置を備えた駆動装置、及びこの駆動装置を備えたロボット装置を提供するものである。
本発明の波動歯車装置は、外歯が形成された円筒状の胴部、及び前記胴部の基端に接続され、被取付部材に取り付け可能な取付部を有する可撓性外歯車と、前記胴部の外側に配置され、前記外歯に噛合う内歯が形成された剛性内歯車と、前記胴部を楕円状に撓めて前記内歯に対して前記外歯を部分的に噛合わせると共に、回転軸を中心に回転することで噛合い位置を周方向に移動させる波動発生器と、を備え、前記内歯は、前記胴部の先端側の第1端のピッチ円よりも前記胴部の基端側の第2端のピッチ円が小さくなり、かつ前記第1端の圧力角よりも前記第2端の圧力角が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、波動発生器の回転に伴う剛性内歯車に対する可撓性外歯車の相対的な回転移動が円滑に行われると共に、内歯と外歯との噛合い範囲が従来よりも広がり、捩じり剛性が向上する。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボット装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すロボット装置500は、例えば組立作業等を行う産業ロボットである。ロボット装置500は、垂直多関節(6つ関節)のロボットアーム100と、ロボットアーム100の先端に設けられ、ワークWに対して把持等の作業を行うエンドエフェクタとしてのロボットハンド200とを備えている。
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボット装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すロボット装置500は、例えば組立作業等を行う産業ロボットである。ロボット装置500は、垂直多関節(6つ関節)のロボットアーム100と、ロボットアーム100の先端に設けられ、ワークWに対して把持等の作業を行うエンドエフェクタとしてのロボットハンド200とを備えている。
ロボットアーム100は、ロボット本体として、関節J1〜J6で連結されたベース111及び複数のリンク101〜106を有している。また、ロボットアーム100は、各関節J1〜J6に設けられ、対応する関節J1〜J6を駆動する駆動装置120を複数(6つ)備えている。
以下、各関節J1〜J6を代表して、関節J2を例に説明する。図2は、図1に示す関節J2近傍のロボットアーム100の断面図である。
駆動装置120は、回転モータである電磁モータとしてのサーボモータ130と、サーボモータ130の出力、つまりサーボモータ130の回転軸132の回転速度を減速する波動歯車装置150と、を有している。波動歯車装置150は、剛性内歯車20、可撓性外歯車30及び波動発生器40を備えている。可撓性外歯車30は、リンク101に固定され、剛性内歯車20は、リンク102に固定されている。サーボモータ130の本体131は、剛性内歯車20に固定されており、サーボモータ130の回転軸132は、波動発生器40に固定されている。
図3は、本発明の第1実施形態に係る波動歯車装置の概略構成を示す説明図であり、図3(a)は波動歯車装置の正面図、図3(b)は波動歯車装置の側面図である。図4は、図3(a)の切断面X−Xに沿う波動歯車装置の断面図である。
剛性内歯車20は、円環状の剛性部材で形成された歯車本体21と、歯車本体21の内周に、周方向に互いに間隔をあけて形成された複数の内歯22とを有している。
可撓性外歯車30は、円筒状の薄肉の胴部31と、胴部31の基端31aに接続された取付部32と、を有している。可撓性外歯車30は、取付部32に対して反対側が開口するカップ形状に形成された、いわゆるカップ状の可撓性外歯車である。
取付部32は、胴部31の基端31aから半径方向内側に延びて形成されている。そして、この取付部32には、固定ボルト用孔32aが形成されており、不図示のボルトにより被取付部材である図2に示すリンク101に取り付けられる。
また、可撓性外歯車30は、胴部31の外周面31cであって、胴部31の先端31b近傍に形成された、剛性内歯車20の内歯22よりも歯数が少ない複数の外歯33を有している。例えば、可撓性外歯車30の外歯33の歯数は、100枚であり、剛性内歯車20の内歯22の歯数(102枚)よりも2枚少なく設定されている。外歯33は、歯筋方向が胴部31の外周面31cに沿う方向と平行となるように形成されている。剛性内歯車20は、内歯22が可撓性外歯車30の外歯33に対向するように、可撓性外歯車30の胴部31の外側に配置されている。
波動発生器40は、可撓性外歯車30の内側、即ち胴部31の内側に嵌め込まれ、胴部31の先端31b近傍における胴部31の内周面31dに接触して、胴部31を半径方向に撓めて楕円状に弾性変形させるものである。
波動発生器40は、楕円状のカム41と、カム41の外周に設けられ、弾性変形が可能な薄肉の軸受42とを有しており、カム41には、図2のサーボモータ130の回転軸132が取り付けられる回転軸取付孔43が形成されている。
可撓性外歯車30の胴部31が楕円状に弾性変形することで、剛性内歯車20と可撓性外歯車30とは、楕円状の長軸上の2箇所の噛合い位置P,Q(図3(a))において、それぞれ複数の歯22,33による部分的な噛合いを生じている。そして、波動発生器40が回転軸132(回転中心線L)を中心に回転することで、剛性内歯車20の内歯22と可撓性外歯車30の外歯33との噛合い位置P,Qが周方向に移動する。そして、可撓性外歯車30は、剛性内歯車20と可撓性外歯車30との歯数差に基づく減速比で、波動発生器40の回転速度、即ち回転軸132の回転速度に対して減速した回転速度で回転する。これにより、図2に示すリンク102は、リンク101に対して相対的に回転する。
可撓性外歯車30の楕円状の長軸上においては、胴部31は、基端31aから先端(開口端)31bに向かうに連れて半径方向外側への撓み量が増加し、胴部31の先端31bで半径方向外側への撓み量が最大となっている。逆に、可撓性外歯車30の楕円状の短軸上においては、胴部31は、基端31aから先端(開口端)31bに向かうに連れて半径方向内側への撓み量が増加し、胴部31の先端31bで半径方向内側への撓み量が最大となっている。この可撓性外歯車30の胴部31の撓み量が取付部32の側からの距離に応じて変化する現象をコーニングと呼ぶ。
ところで、図12は、比較例の波動歯車装置を示す部分断面図である。この図12では、楕円状に撓められた可撓性外歯車の長軸の部分の断面を示している。
比較例の波動歯車装置1000は、カップ状(又はシルクハット状)の可撓性外歯車1と、環状の剛性内歯車2と、楕円状のカム4の外周に軸受5を嵌合して構成された波動発生器3と、を備えている。楕円状の波動発生器3は、可撓性外歯車1の胴部に挿入され、可撓性外歯車1の胴部を楕円状に撓めている。そのため、可撓性外歯車1の外歯7と剛性内歯車2の内歯6とは、図12に示す長軸上において、外歯7が角度θ’傾斜した状態で噛合いを成している。そして、外歯7の歯筋方向の開口端に近い垂直断面Aでは、回転中心線Lからの距離が最も長く、歯筋方向の中央近傍の垂直断面B、そして歯筋方向の奥側の垂直断面Cへと、外歯7の回転中心線Lからの距離が漸減している。垂直断面A,B,Cは、回転中心線Lに対して垂直な仮想的な面である。即ち、図12に示した可撓性外歯車1の長軸上においては、可撓性外歯車1は、開口端が広がる形状を成している。なお、図示はしていないが、短軸上においては、それとは逆に、可撓性外歯車1の開口端が狭まる形状を形成している。
図13は、図12の矢印T’方向から見た、垂直断面A,B,Cにおける、長軸上の内歯6と外歯7との位置関係、及び内歯6と外歯7との噛合い位置を移動したときの外歯7の移動軌跡を示す模式図である。図13(a)は、図12の垂直断面A,B,Cにおける、長軸上に位置する内歯6と外歯7との位置関係を表している図である。図13(a)には、内歯6の外形を示す内歯形状線9を図示している。また、図13(a)には、外歯7の垂直断面Aの位置での外形を示す外歯形状線10、外歯7の垂直断面Bの位置での外形を示す外歯形状線11、及び外歯7の垂直断面Cの位置での外形を示す外歯形状線12を図示している。
内歯6は、歯筋全体に亘ってピッチ円及び圧力角が一定に形成されており、内歯形状線9は、一つの連続線で示されている。外歯形状線10は、内歯形状線9に接触している。これに対し、歯筋方向奥側(取付部側)に向かうに連れて、外歯形状線11,12は、内歯形状線9から離れる。即ち、可撓性外歯車1の外歯7がコーニングにより傾斜するため、開口端近傍以外の垂直断面B,Cにおいては、内歯形状線9との噛合い接触を得ることができない状態となっている。
図13(b)、図13(c)及び図13(d)は、図13(a)の状態から内歯6と外歯7との噛合い位置の移動に伴う、各垂直断面A,B,Cでの外歯形状線10,11,12の移動軌跡を示す図である。各外歯形状線10,11,12の移動軌跡は、波動発生器3の回転に伴う、楕円状の長軸の回転移動による外歯7の外周面の位置である。具体的に説明すると、図13(b)において、楕円状の長軸が図13(b)の縦方向中心軸に位置する場合の外歯形状線10を、移動軌跡10aとして示している。そして、波動発生器3の楕円状の長軸が、図13(b)の右側方向に外歯7の歯1つ分回転移動したときには、同箇所における波動発生器3の回転中心線Lからの距離が小さくなるので、移動軌跡10bとなる。同様に、楕円状長軸が外歯2つ分、3つ分、4つ分、5つ分、6つ分、7つ分、8つ分、9つ分回転移動したときは、移動軌跡10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i,10jとなる。
移動軌跡10a〜10jは、楕円状の長軸の近傍に位置する外歯7の位置でもある。即ち、移動軌跡10bは、長軸上の外歯7を1歯目とし、この1歯目の外歯7の左隣の外歯の位置を示している。移動軌跡10cは、更にその左隣の位置、そして移動軌跡10jは、1歯目の外歯7に対して左側に10歯目の外歯7の位置を示している。
図13(c)及び図13(d)に図示した移動軌跡11a〜11j及び移動軌跡12a〜12jも同様である。なお、これら図13(b)〜図13(d)において、移動軌跡10a〜10j,11a〜11j,12a〜12jは、左側部分のみ図示している。
図13(b)に示すように、長軸上の位置において内歯形状線9の斜状線9aに接する外歯形状線10は、噛合い位置が移動するに従い、斜状線9aから離れる方向に移動し、移動軌跡10a〜10jとなる。
また、図13(c)に示すように、垂直断面Bでの外歯形状線11は、斜状線9aとの距離をほぼ維持した状態で重なった状態で滑るように移動し、移動軌跡11a〜11jとなる。
それらに対し、図13(d)に示すように、垂直断面Cでの外歯形状線12は、移動軌跡10a〜10j,11a〜11jとは異なった移動軌跡を示す。すなわち、長軸上に位置する外歯形状線12の移動軌跡12aは、斜状線9aから離れた位置に位置しているが、噛合い位置の移動に従って、斜状線9aに近づく方向に移動する。そして、9歯目の移動軌跡12iで斜状線9aと接触し、10歯目の移動軌跡12jにて斜状線9aから僅かに離間している。
以上説明したように、可撓性外歯車1の外歯7は、開口端側の端部である垂直断面Aの位置においては、楕円状の長軸上近傍にて剛性内歯車2の内歯6との噛合いを得るものの、その後の噛合い位置の移動により、内歯6の歯面から離れる方向に移動する。
外歯7は、垂直断面Aの位置から垂直断面Bの位置に向かうに連れ、楕円状の長軸上での内歯6との接触を失うと共に、噛合い位置の移動に伴う内歯6の歯面との離間距離変化が緩やかになる。そして、外歯7は、歯筋中央近傍の垂直断面Bの位置にてほぼ重なった状態で滑る移動軌跡となる。
外歯7は、垂直断面Bの位置から垂直断面Cの位置に向かうに連れ、楕円状の長軸上では内歯6から離れた位置にいるものの、噛合い位置の移動に伴い斜状線9aに近づく方向へ移動する移動軌跡となる。
外歯7は、垂直断面Cの位置に至っては、噛合い位置の移動による内歯6との歯の噛合いが終了する直前の位置において、内歯6との接触を得る移動軌跡となる。
図14は、比較例の可撓性外歯車を示す斜視図である。楕円状に撓められた可撓性外歯車1の外歯7の噛合い接触位置について説明する。図14には、楕円の長軸上の外歯7の中央線L1、及びその外歯7を1歯目とした場合の10歯目の外歯7の中央線L10を図示している。
図14において、前述した噛合いは、可撓性外歯車1の外歯7における歯筋方向開口端近傍では、楕円の長軸上の1歯目の外歯7の範囲RA1のみが接触し、歯筋方向奥側では、9歯目の外歯7の範囲RC9のみが接触する。その他はそれらの近傍の外歯7の範囲RA2と範囲RC8が接触しかけ状態にあるのみで、他の範囲は噛合い接触を得ることが困難となっている。
外歯7の噛合い位置の移動に伴う、歯筋方向の各断面の位置における外歯形状線の移動軌跡は、波動発生器3の形状を純粋の楕円にするか、又は長短軸の寸法差をそれから変更した楕円状にするか等によって有意差がある。しかし、可撓性外歯車1の長軸部において開口端が広がり、短軸部において開口端が狭まる形状を成す構成である限り、上述した外歯7の歯筋方向が傾いて移動することは避けられない。そのため、どのような波動発生器の形状であっても、可撓性外歯車1を楕円状にする限り、上述した歯筋方向開口端、中央部近傍、歯筋方向奥側の移動軌跡は、基本的には変わらない。
そのような基本的な移動軌跡に対し、特許文献1の提案による内歯及び外歯の歯形改善により、噛合い歯数を増加させ、接することができなかった歯の接触を得ることが可能となっている。
しかしながら、それらによる噛合い接触の増加は、特許文献1にも示されているように、図14における外歯7の長軸上近傍の歯筋開口端では範囲RA、歯筋奥側近傍では範囲RC、そして歯筋中央近傍においては範囲RBの範囲が増加の限界である。
すなわち、長軸近傍の外歯7は開口端でのみ噛合い接触が可能であるが、範囲R1で示したそれより歯筋奥方向の範囲は、特許文献1での提案でも、噛合いを得ることが困難である。範囲R2についても同様である。
そのため、静的状態において可撓性外歯車1の底面側で回転方向に捩じったときの剛性、即ち捩じり剛性に関し、それら範囲R1及び範囲R2の噛合いがないことに起因する可撓性外歯車1の変形が防げていない。なお、捩じり剛性とは、可撓性外歯車1の外歯7が楕円状の長軸部において剛性内歯車2の内歯6と噛合った状態にて、入力側の波動発生器3を回転不動に固定保持し、出力側の可撓性外歯車1の底面側を保持してそれを回転方向に捩じったときの剛性である。即ち、この状態にて捩じったときの可撓性外歯車1の底面部の回転方向の捩れ角度が大きいときは、捩じり剛性が弱く、捩れ角度が小さいときは、捩じり剛性が強いことになる。
そこで、本第1実施形態では、図4に示す内歯22は、胴部31の先端側の第1端22aのピッチ円よりも胴部31の基端側の第2端22bのピッチ円が小さくなり、かつ第1端22aの圧力角よりも第2端22bの圧力角が大きくなるように形成されている。
図5は、図4における剛性内歯車の一部を示す拡大断面図である。図5において、可撓性外歯車30の外歯33は、コーニングにより角度θ傾斜している。剛性内歯車20の内歯22は、第1端22aから第2端22bに向かって、ピッチ円が漸次小さくなり、かつ圧力角が漸次大きくなるように形成されている。具体的には、剛性内歯車20の内歯22は、第1端22aから第2端22bに向かって、ピッチ円が段階的に小さくなり、かつ圧力角が段階的に大きくなるように形成されている。本第1実施形態では、ピッチ円は3段階に変化し、圧力角は2段階に変化する。
ピッチ円が3段階に変化するので、内歯22をピッチ円が一定の部分、即ち第1端22a近傍の部分221、第1端22aと第2端22bとの間の中央部の部分222、及び第2端22b近傍の部分223に3つに区分する。そして、図5では、回転中心線Lに対して垂直な、第1端22a近傍の垂直断面D、第1端22aと第2端22bとの間の中央部の垂直断面E、第2端22b近傍の垂直断面Fを規定している。
内歯22の部分221は垂直断面D、内歯22の部分222は垂直断面E、内歯22の部分223は垂直断面Fの位置において、外歯33が噛合い位置を移動するときに形成する外歯33の移動軌跡に対応した形状としている。
図6は、図5の矢印T方向から見た、垂直断面D,E,Fにおける、内歯22と外歯33との噛合い位置を移動したときの外歯33の移動軌跡を示す模式図である。
図6(a)には、外歯33の垂直断面Dの位置での外形(外周面の形状)を示す外歯形状線の複数の移動軌跡331a〜331jを図示している。図6(b)には、外歯33の垂直断面Eの位置での外形(外周面の形状)を示す外歯形状線の複数の移動軌跡332a〜332jを図示している。図6(c)には、外歯33の垂直断面Fの位置での外形(外周面の形状)を示す外歯形状線の複数の移動軌跡333a〜333mを図示している。なお、図6において、移動軌跡の左側半分を図示し、右側半分は図示を省略している。
複数の外歯33のうちの1つの外歯33を1歯目とし、この1歯目の外歯33に楕円状の長軸が一致したときの1歯目の外歯33の各垂直断面D,E,Fの位置での外歯形状線が移動軌跡331a,332a,333aである。波動発生器40を図3(a)中時計回りに回転させ、1歯目の隣の2歯目の外歯33に楕円状の長軸が移動したときの1歯目の外歯33の各垂直断面D,E,Fの位置での外歯形状線が移動軌跡331b,332b,333bである。同様に、10歯目の外歯33に楕円状の長軸が移動したときの1歯目の外歯33の各垂直断面D,E,Fの位置での外歯形状線が移動軌跡331j,332j,333jである。このように、図6(a)〜図6(c)には、各外歯形状線の移動軌跡を段階的に示している。
図6(a)〜図6(c)に示すように、剛性内歯車20の内歯22は、ピッチ円が小さくなるように、即ちピッチ円の半径が段階的にr1からr2、r3となるように形成されている。ここで、r1>r2>r3である。
更に、剛性内歯車20の内歯22は、圧力角が大きくなるように、即ち圧力角が段階的にα1からα2となるように形成されている。ここで、α1<α2である。
本第1実施形態では、第1端22aから第1端22aと第2端22bとの間の所定位置までは、圧力角が一定である。この所定位置は、第1端22aと第2端22bとの間の中央位置である。
図6(a)に示すように、垂直断面Dでの外歯33の外歯形状線の移動軌跡331aが、図6(a)中、一番左側に突出した状態にある。その後、噛合い位置P,Qが図3(a)の時計回りに移動するに従い、外歯33の垂直断面Dの位置での外歯形状線は、移動軌跡331aの位置から左側に突出しない方向に順次移動して、移動軌跡332jに至っている。つまり、内歯22の部分221は、外歯33が長軸上の位置では外歯33と噛合い接触が可能であるが、噛合い位置P,Qが移動するに従い、外歯33との噛合いを失う。
外歯33の垂直断面Dの位置での移動軌跡331a〜331jを合成して得られる輪郭線(最外周線)は、移動軌跡331aそのものとなる。本第1実施形態では、歯筋方向の垂直断面Dの位置での内歯22の歯面は、移動軌跡331a〜331jを合成して得られる輪郭線に沿った形状に形成されている。即ち、内歯22は、歯面の接線(斜状線)221aが輪郭線に沿うように形成されている。
次に、図6(b)に示すように、第1端22aと第2端22bとの間の中央位置である垂直断面Eの位置での外歯33の外歯形状線の移動軌跡332aは、破線で示した内歯22の部分221よりも、図6(b)中、下側の位置している。そして、噛合い位置P,Qの移動に伴い、移動軌跡332b〜332jは、移動軌跡332aにほぼ重なった状態で滑るように斜め下側へ移動している。したがって、内歯22の圧力角は、第1端22aから中央位置(垂直断面Eの位置)までは、変更する必要がなく、本第1実施形態では、一定とし、内歯22のピッチ円のみが小さくなるように変化させている。
そして、本第1実施形態では、歯筋方向の垂直断面Eの位置での内歯22の歯面は、移動軌跡332a〜332jを合成して得られる輪郭線に沿った形状に形成されている。即ち、内歯22は、歯面の接線(斜状線)222aが輪郭線に沿うように形成されている。
これにより、内歯22の部分222は、外歯33の歯筋方向の中央部において、長軸上の位置を1歯目の外歯33とし、この1歯目の外歯33から5歯目の外歯33までの全てにおいて、噛合い接触を得ることができる。つまり、従来よりも内歯22と外歯33との接触範囲を増大させることができる。
そして、6歯目の外歯33から11歯目の外歯33までは、可撓性外歯車30に捩じれ負荷を掛けたときに噛合い接触を得ることが可能な、互いの歯22,33がほぼ隣接した状態となっている。
次に、図6(c)に示すように、垂直断面Fの位置での外歯33の外歯形状線の移動軌跡333aは、図6(b)の移動軌跡332aよりも、図6(c)中、下側に位置している。そして、噛合い位置P,Qの移動に伴い、移動軌跡333b〜333jは、図6(c)中、下側に下がりながら左側に突出する方向へ移動していく。したがって、垂直断面Eから第2端22bまでの間で、内歯22のピッチ円が小さくなり、且つ内歯22の圧力角が大きくなるように変化させている。
そして、本第1実施形態では、歯筋方向の垂直断面Fの位置での内歯22の歯面は、移動軌跡333a〜333jを合成して得られる輪郭線に沿った形状に形成されている。即ち、内歯22は、歯面の接線(斜状線)223aが輪郭線に沿うように形成されている。
なお、より多くの歯数の噛合いを求める場合は、内歯22の部分223を、12歯目の外歯33の移動軌跡333mをも含めた輪郭線(最外周線)にすることにより可能となる。
これにより、内歯22の部分223は、外歯33の歯筋方向奥側において、長軸上の位置を1歯目の外歯33とし、この1歯目の外歯33から12歯目の外歯33までの全てにおいて、噛合い接触を得ることができる。つまり、従来よりも内歯22と外歯33との接触範囲を増大させることができる。
図7は、剛性内歯車20の内歯22の歯筋方向における各位置での外形形状を示す模式図である。この図7では、歯筋方向の3つ位置の内歯形状を比較するために、各外形形状を重ねて図示している。内歯22の部分221と、内歯22の部分222とは、同一形状でそれらの圧力角は同じくα1である。そして内歯22の部分221のピッチ円の半径はr1であるのに対し、内歯22の部分222のピッチ円の半径はr2と小さくなっている。そして、内歯22の部分223のピッチ円の半径はr2からr3へと更に小さくなると共に、圧力角は、α1からα2へと大きくなっている。
なお、図5において、部分221と部分222との境界に垂直断面Gを規定し、部分222と部分223との境界に垂直断面Hを規定する。内歯22において、第1端22aから垂直断面Gの位置までは、ピッチ円の半径はr1で一定であり、圧力角もα1で一定である。垂直断面Gの位置では、ピッチ円の半径がr1からr2に変化する一方、圧力角はα1で一定である。内歯22において、垂直断面Gの位置から垂直断面Hの位置までは、ピッチ円の半径はr2で一定であり、圧力角もα1で一定である。そして、垂直断面Hの位置では、ピッチ円の半径がr2からr3に変化すると共に、圧力角がα1からα2に変化する。内歯22において、垂直断面Hの位置から第2端22bまでは、ピッチ円の半径はr3で一定であり、圧力角もα2で一定である。このように、本第1実施形態では、第1端22aから第2端22bに向かうに連れ、ピッチ円及び圧力角が段階的に変化する。
図8は、本第1実施形態の可撓性外歯車30を示す斜視図である。図8に示す外歯33において、塗りつぶした領域が噛合いにより内歯22が接触する接触範囲を示している。そして、点線内無地領域が接触しかけ、即ち負荷を掛けた状態では噛合い接触を得ることができる、互いの歯22,33がほぼ隣接した状態の範囲、つまり外歯33において、内歯22が接触し得る範囲を示す。
図8において、図14の比較例と比較すると、噛合いによる内歯22と外歯33との接触範囲が格段と多くなっており、特に図14では非接触であった範囲R1,R2の領域において噛合いによる内歯22と外歯33との接触を可能としている。
即ち、可撓性外歯車30の外歯33における歯筋方向開口端近傍では、楕円の長軸上の1歯目の外歯33の範囲RA1又はその近傍の外歯33の範囲RA2で噛合いにより内歯22と接触する。
また、可撓性外歯車30の外歯33における歯筋方向中央部では、1歯目から5歯目までの外歯33の範囲RB1〜RB5で噛合いにより内歯22と接触する。更には、6歯目から11歯目までの外歯33の範囲RB6〜RB11も、内歯22に隣接した状態となっており、可撓性外歯車30に負荷が作用して可撓性外歯車30に捩じれが発生した場合に接触する。
また、可撓性外歯車30の外歯33における歯筋方向奥側では、図14の比較例では範囲RC9のみの噛合いによる接触であったが、本第1実施形態では、噛合い位置P,Qにおけるほぼ全域に亘って噛合い接触を得ることが可能である。
以上、本第1実施形態によれば、内歯22において、第1端22aよりも第2端22bの圧力角を大きくしたので、内歯22と外歯33との干渉が低減される。これにより、波動発生器40の回転に伴う剛性内歯車20に対する可撓性外歯車30の相対的な回転移動が円滑に行われる。また、内歯22において、更に第1端22aよりも第2端22bのピッチ円を小さくしたので、内歯22と外歯33との噛合いの接触範囲が従来よりも増加し、捩じり剛性が従来よりも向上する。つまり、第2端22bにおいて、第1端22aよりもピッチ円を小さくし、かつ圧力角を大きくしたので、噛合いによる内歯22と外歯33との接触範囲が従来よりも増加し、従来では噛合い接触を得ることができなかった範囲の噛合いが得られる。これにより、捩じり剛性が従来よりも向上する。
更に、本第1実施形態によれば、内歯22の歯筋方向の第1端22aから所定位置までは圧力角が一定であり、この所定位置から第2端22bまでの間で圧力角が大きくなるように内歯22が形成されている。これにより、内歯22の歯筋方向の第1端22aから所定位置までの外歯33との噛合いについては、より効果的に接触範囲を増加させることができる。内歯22の所定位置から第2端22bまでの外歯33との噛合いについては、接触範囲を増加させつつ、内歯22と外歯33との干渉を効果的に低減することができる。
更に、本第1実施形態によれば、所定位置が、第1端22aと第2端22bとの間の中間位置であるので、より効果的に歯22,33同士の噛合いによる接触範囲を増加させることができ、内歯22と外歯33との干渉をより効果的に低減することができる。
また、内歯22の歯面は、歯筋方向の各々の位置において、波動発生器40によって噛合い位置P,Qが移動するときの外歯33の外周面の移動軌跡を合成して得られる輪郭線(最外周線)に沿った形状となっている。これにより、より多くの噛合いによる接触面積を確実に得ることが可能となり、より効果的に捩じり剛性が向上する。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る波動歯車装置について説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る波動歯車装置の剛性内歯車の一部を示す拡大断面図である。なお、本第2実施形態の波動歯車装置は、剛性内歯車が上記第1実施形態と異なるものであり、それ以外の構成は同一であるので、剛性内歯車について説明し、その他の構成については同一符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の第2実施形態に係る波動歯車装置について説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る波動歯車装置の剛性内歯車の一部を示す拡大断面図である。なお、本第2実施形態の波動歯車装置は、剛性内歯車が上記第1実施形態と異なるものであり、それ以外の構成は同一であるので、剛性内歯車について説明し、その他の構成については同一符号を付して説明を省略する。
本第2実施形態の波動歯車装置150Aは、上記第1実施形態とは異なる構成の剛性内歯車50を備えている。
剛性内歯車50は、円環状の剛性部材で形成された歯車本体51と、歯車本体51の内周に、周方向に互いに間隔をあけて形成された複数の内歯52とを有している。
内歯52は、胴部31の先端側の第1端52aよりも胴部31の基端側の第2端52bのピッチ円が小さくなり、かつ第1端52aよりも第2端52bの圧力角が大きくなるように形成されている。
そして、本第2実施形態では、剛性内歯車50の内歯52は、第1端52aから第2端52bに向かって、ピッチ円が漸次小さくなり、かつ圧力角が漸次大きくなるように形成されている。具体的には、剛性内歯車50の内歯52は、第1端52aから第2端52bに向かって、ピッチ円が段階的に小さくなり、かつ圧力角が段階的に大きくなるように形成されている。本第2実施形態では、ピッチ円は5段階に変化し、圧力角は3段階に変化する。
ピッチ円が5段階に変化するので、内歯52をピッチ円が一定の部分、即ち第1端52aから第2端52bに向かって5つの部分521〜525に区分する。部分523が第1端52aと第2端52bとの間の部分である。内歯52のピッチ円は、内歯52の部分521から部分525に向かって、段階的に小さくなる。内歯52の圧力角は、第1端52aと第2端52bとの間の所定位置、具体的には、部分521から部分523までは一定であり、部分524から段階的に大きくなる。
以上、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態よりもピッチ円及び圧力角を変化させる段数を増やしたので、より多くのそしてより精密な噛合いによる接触を得ることが可能となる。このように、段数を更に多くすれば、例えば宇宙で使用されるロボットアームに内蔵する等、性能をより重視するロボット装置において、高剛性化の実現に大きく寄与することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る波動歯車装置について説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る波動歯車装置の剛性内歯車の一部を示す拡大断面図である。なお、本第3実施形態の波動歯車装置は、剛性内歯車が上記第1及び第2実施形態と異なるものであり、それ以外の構成は同一であるので、剛性内歯車について説明し、その他の構成については同一符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態に係る波動歯車装置について説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る波動歯車装置の剛性内歯車の一部を示す拡大断面図である。なお、本第3実施形態の波動歯車装置は、剛性内歯車が上記第1及び第2実施形態と異なるものであり、それ以外の構成は同一であるので、剛性内歯車について説明し、その他の構成については同一符号を付して説明を省略する。
本第3実施形態の波動歯車装置150Bは、上記第1実施形態とは異なる構成の剛性内歯車60を備えている。
剛性内歯車60は、周方向に互いに間隔をあけて形成された複数の内歯62を有している。そして、上記第2実施形態と同様、内歯62は、第1端62aから第2端62bに向かって、ピッチ円が段階的に小さくなり、かつ圧力角が段階的に大きくなるように形成されている。本第3実施形態では、ピッチ円は5段階に変化し、圧力角は3段階に変化する。
そして、剛性内歯車60は、内歯62の歯筋方向に積層された複数(5つ)の内歯車601〜605で構成されている。各内歯車は、601〜605は、平板状に形成されている。そして、内歯車601〜605同士は、接着剤等で固定されている。
これら内歯車601〜605の数は、ピッチ円及び圧力角を段階的に変化させるのに必要な数としている。内歯車601〜605は、各々ピッチ円及び圧力角が一定に加工形成されている。
このように、剛性内歯車60は、複数の内歯車601〜605に層状に分割して形成されているので、各層の厚さが薄くなる。したがって、プレス加工が可能となり、加工時間が短縮化し、多量生産が可能となり、低コスト化が可能となる。
そして、剛性内歯車60は、各層を積層化して合体した構成とすることで、上記第1及び第2実施形態の一体物の剛性内歯車20,50を適用した場合と同様の機能及び効果を得ることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る波動歯車装置について説明する。図11は、本発明の第4実施形態に係る波動歯車装置の剛性内歯車の一部を示す拡大断面図である。なお、本第4実施形態の波動歯車装置は、剛性内歯車が上記第3実施形態に対して、更に部材を追加してものであり、それ以外の構成は上記第3実施形態と同一であるので、他の構成については同一符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態に係る波動歯車装置について説明する。図11は、本発明の第4実施形態に係る波動歯車装置の剛性内歯車の一部を示す拡大断面図である。なお、本第4実施形態の波動歯車装置は、剛性内歯車が上記第3実施形態に対して、更に部材を追加してものであり、それ以外の構成は上記第3実施形態と同一であるので、他の構成については同一符号を付して説明を省略する。
本第4実施形態では、波動歯車装置150Cは、5つの内歯車601〜605の外周面に当接して、これら5つの内歯車601〜605の位置決めをする位置決め部材71を備えている。更に、波動歯車装置150Cは、位置決め部材71の両側に配置され、5つの内歯車601〜605を挟んで支持する一対の支持部材72,73を備えている。
位置決め部材71は、円環状に形成されている。そして、位置決め部材71の内側に内歯車601〜605が嵌め込まれることで、内歯車601〜605の外周面同士が合致し、図11中、直線Mに揃えられる。この状態で、位置決め部材71は、各内歯車601〜605を外周面側から支持している。この位置決め部材71により、各内歯車601〜605の回転中心軸を合わせることができる。
更に、一対の支持部材72,73は、位置決め部材71の両端から半径方向内側に延びて形成された板状の部材である。一方の支持部材72は、剛性内歯車60の一方の外側面、即ち外側に位置する内歯車601の側面に当接して、図11中、直線N1の位置に剛性内歯車60を規制している。他方の支持部材73は、剛性内歯車60の他方の外側面、即ち外側に位置する内歯車605の側面に当接して、図11中、直線N2の位置に剛性内歯車60を規制している。
これにより、一対の支持部材72,73は、剛性内歯車60を両側から挟み込んで、内歯車601〜605の積層方向の支持及び補強をしている。
このように、剛性内歯車60は、各層を積層化して合体した構成とすることで、上記第1及び第2実施形態の一体物の剛性内歯車20,50を適用した場合と同様の機能及び効果を得ることができる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
上記第1実施形態では、ピッチ円が3段階、上記第2〜第4実施形態では、5段階に変化する場合について説明したが、2段階以上であればよく、また、変化させる位置も、所望する減速機の特性に応じて適宜設定すればよい。特に、上記第3及び第4実施形態においては、各内歯車601〜605の厚みを、所望する減速機の特性に応じて適宜設定すればよい。圧力角についても同様である。
また、上記実施形態では、内歯が、ピッチ円が第1端から第2端に向かって段階的に小さくなり、かつ圧力角が第1端から第2端に向かって段階的に大きくなるように形成されている場合について説明したが、これに限定するものではない。ピッチ円が第1端から第2端に向かって連続的に小さくなるように形成してもよく、また、圧力角が第1端から第2端に向かって連続的に大きくなるように形成してもよい。その際、圧力角が、第1端と第2端との間の所定位置から大きくなるようにするのが好ましく、所定位置として中央位置から大きくなるようにすればより好ましい。
このように、ピッチ円や圧力角を連続的に変化させることで、なめらかに連続する三次元曲線での内歯形状が可能となり、効果的に噛合いの接触面積を増大させることができる。
なお、従来よりも捩じり剛性が向上し、可撓性外歯車が円滑に回転移動するのであれば、内歯の第1端から第2端までの間で、一部、ピッチ円が大きくなる部分があってもよく、また、一部、圧力角が小さくなる部分があっても構わない。つまり、第1端のピッチ円よりも第2端のピッチ円の径が小さく、かつ第1端の圧力角よりも第2端の圧力角が大きければ、一部、ピッチ円が大きくなる部分があってもよく、また、一部、圧力角が小さくなる部分があっても構わない。
また、上記実施形態では、可撓性外歯車がカップ状の場合について説明したが、図4の破線で示すように、取付部32が半径方向外側に延びて形成されたシルクハット状の可撓性外歯車であっても本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、垂直型のロボットアームの関節を駆動する関節駆動部に適用される波動歯車装置ついて説明したが、水平型のロボットアームや、パラレルリンクのロボット等の関節駆動部についても本発明の波動歯車装置は適用可能である。
20…剛性内歯車、22…内歯、22a…第1端、22b…第2端、30…可撓性外歯車、31…胴部、31a…基端、31b…先端、32…取付部、33…外歯、40…波動発生器、120…駆動装置(関節駆動部)、130…サーボモータ(回転モータ)、150…波動歯車装置、500…ロボット装置
Claims (10)
- 外歯が形成された円筒状の胴部、及び前記胴部の基端に接続され、被取付部材に取り付け可能な取付部を有する可撓性外歯車と、
前記胴部の外側に配置され、前記外歯に噛合う内歯が形成された剛性内歯車と、
前記胴部を楕円状に撓めて前記内歯に対して前記外歯を部分的に噛合わせると共に、回転軸を中心に回転することで噛合い位置を周方向に移動させる波動発生器と、を備え、
前記内歯は、前記胴部の先端側の第1端のピッチ円よりも前記胴部の基端側の第2端のピッチ円が小さくなり、かつ前記第1端の圧力角よりも前記第2端の圧力角が大きくなるように形成されていることを特徴とする波動歯車装置。 - 前記第1端から前記第1端と前記第2端との間の所定位置までは、前記圧力角は一定であることを特徴とする請求項1に記載の波動歯車装置。
- 前記所定位置は、前記第1端と前記第2端との間の中央位置であることを特徴とする請求項2に記載の波動歯車装置。
- 前記内歯の歯面は、歯筋方向の各々の位置において、前記波動発生器によって前記噛合い位置が移動するときの前記外歯の外周面の移動軌跡を合成して得られる輪郭線に沿った形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波動歯車装置。
- 前記内歯は、前記ピッチ円が前記第1端から前記第2端に向かって段階的に小さくなり、かつ前記圧力角が前記第1端から前記第2端に向かって段階的に大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の波動歯車装置。
- 前記剛性内歯車は、歯筋方向に積層された複数の内歯車で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の波動歯車装置。
- 前記複数の内歯車の外周面に当接して、前記複数の内歯車の位置決めをする位置決め部材を備えたことを特徴とする請求項6記載の波動歯車装置。
- 前記位置決め部材の両側に配置され、前記複数の内歯車を挟んで支持する一対の支持部材を備えたことを特徴とする請求項7に記載の波動歯車装置。
- 回転モータと、
前記回転モータの回転速度を減速する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の波動歯車装置と、を備えた駆動装置。 - 関節を有するロボット本体と、
前記関節を駆動する請求項9に記載の駆動装置と、を備えたロボット装置。
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