JP2014077470A - 無段変速機 - Google Patents

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Hiroyuki Ogawa
裕之 小川
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Abstract

【課題】適切な潤滑性能を確保することができる無段変速機を提供することを目的とする。
【解決手段】無段変速機1は、変速機軸60、第1回転要素10、第2回転要素20、転動部材50、環状貯留部90を備える。環状貯留部90は、筒状部材91と、一対の環状部材92、93とを有し、筒状部材91と一対の環状部材92、93とによって当該筒状部材91の内側に形成される環状の貯留空間部97に潤滑媒体を貯留可能である。一対の環状部材92、93は、第1回転中心軸線R1と直交する方向に対して、内側端部が第1回転要素10と転動部材50との接触点P1、及び、第2回転要素20と転動部材50との接触点P2より第1回転中心軸線R1側に位置する。したがって、無段変速機1は、適切な潤滑性能を確保することができる、という効果を奏する。
【選択図】図1

Description

本発明は、無段変速機に関する。
いわゆるトラクションドライブ方式の従来の変速機として、例えば、特許文献1には回転中心となる変速機軸と、この変速機軸の中心軸線を第1回転中心軸線とする相対回転可能な複数の回転要素と、第1回転中心軸線を中心にして放射状に複数配置した転動部材としての遊星ボールとを含んで構成される無段変速機(CONTINUOUSLY VARIABLE TRANSMISSIONS)が開示されている。この無段変速機は、複数の回転要素として、遊星ボールを挟持する入出力リング、遊星ボールを傾転可能に支持するキャリア、外周面が遊星ボールと接触するサンローラ等を含んで構成され、遊星ボールを傾転させることで変速比を無段階に変化させる。そして、この無段変速機は、遊星ボールの支持軸(スピンドル)に軸心油路を設け、支持軸端部に潤滑油を供給する油孔を設けており、オイルポンプによって圧送される潤滑油を油孔、軸心油路を介して遊星ボールの軸心部等の摺動部に供給している。
米国特許出願公開第2010/0093479号明細書
ところで、上述のような特許文献1に記載されている無段変速機は、例えば、より適切な潤滑の点で更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適切な潤滑性能を確保することができる無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る無段変速機は、回転中心となる変速機軸と、前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、筒状に形成され内側に前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び、前記転動部材を収容すると共に前記第1回転中心軸線を回転中心として回転可能である筒状部材と、前記筒状部材の両端にそれぞれ設けられ当該筒状部材と一体回転可能である一対の環状部材とを有し、前記筒状部材と前記一対の環状部材とによって前記筒状部材の内側に形成される環状の貯留空間部に潤滑媒体を貯留可能である環状貯留部とを備え、前記一対の環状部材は、前記第1回転中心軸線と直交する方向に対して、内側端部が前記第1回転要素と前記転動部材との接触点、及び、前記第2回転要素と前記転動部材との接触点より前記第1回転中心軸線側に位置することを特徴とする。
また、上記無段変速機では、前記第1回転要素と前記転動部材との接触点、及び、前記第2回転要素と前記転動部材との接触点は、前記貯留空間部内に位置するものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記環状貯留部は、前記第1回転要素及び前記第2回転要素の回転に伴って前記筒状部材、及び、前記一対の環状部材が回転し、当該筒状部材、及び、当該一対の環状部材の回転に伴った遠心力によって、前記貯留空間部内に前記潤滑媒体を貯留可能であるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記筒状部材は、前記第2回転要素と一体回転可能であり当該第2回転要素から動力が伝達される出力フランジの筒状の部分を構成し、前記一対の環状部材の一方は、前記筒状部材の一方の端面に一体形成される前記出力フランジの円盤状の部分を構成し、前記一対の環状部材の他方は、前記筒状部材の他方の端面にシール部材を介して組み付けられる蓋状の部材を構成し、前記第2回転要素は、リング状の円環部材であり、前記一対の環状部材の他方側から前記出力フランジの前記筒状部材に動力を伝達するものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記一対の環状部材の他方は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に突起した突起部を有するものとすることができる。
本発明に係る無段変速機は、適切な潤滑性能を確保することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る無段変速機の概略断面図である。 図2は、実施形態に係る無段変速機の部分断面図である。 図3は、実施形態に係る無段変速機の固定キャリアについて説明する平面図である。 図4は、実施形態に係る無段変速機の可動キャリアについて説明する平面図である。 図5は、実施形態に係る無段変速機のカバープレートについて説明する平面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る無段変速機の概略断面図、図2は、実施形態に係る無段変速機の部分断面図、図3は、実施形態に係る無段変速機の固定キャリアについて説明する平面図、図4は、実施形態に係る無段変速機の可動キャリアについて説明する平面図、図5は、実施形態に係る無段変速機のカバープレートについて説明する平面図である。
本実施形態の無段変速機は、車両に搭載され、内燃機関などの動力源が発生する動力(トルク)を車両の駆動輪に伝達するものである。この無段変速機は、接触させた回転要素間に介在させた流体例えばトラクション油(伝達油)によってこの回転要素間で動力を伝達可能ないわゆるトラクションドライブ方式の無段変速機である。無段変速機は、一方の回転要素と他方の回転要素との接触面に介在するトラクション油をせん断するときに生ずる抵抗力(トラクション力、トラクション油膜のせん断力)を利用して動力(トルク)を伝達する。本実施形態の無段変速機は、いわゆるボールプラネタリ式無段変速機(CVP:Continuously Variable Planetary)である。この無段変速機は、例えば、アクチュエータ等によってキャリアの一部を回転させることにより、ボールの回転軸を傾斜(傾転)させる機構を備えたCVPである。
具体的には、図1、図2に示すように、本実施形態の無段変速機1の主要部を成す無段変速機構は、共通の第1回転中心軸線R1を有し相互間での相対回転が可能な第1回転要素としての第1回転部材10、第2回転要素としての第2回転部材20、第3回転要素としてのサンローラ30、及び、第4回転要素であり支持回転要素としてのキャリア40とを備える。さらに、無段変速機1は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を各々有する複数の転動部材としての遊星ボール50と、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30等の回転中心となる変速機軸60とを備える。無段変速機1は、第2回転中心軸線R2を第1回転中心軸線R1に対して傾斜させ、キャリア40によって傾転自在に保持される遊星ボール50を傾転させることによって、入出力間の変速比を変えるものである。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、第1回転中心軸線R1や第2回転中心軸線R2に沿う方向を軸方向、第1回転中心軸線R1周りの方向を周方向という。また、第1回転中心軸線R1に直交する方向を径方向といい、その中でも、内方に向けた側を径方向内側、外方に向けた側を径方向外側という。
無段変速機1は、典型的には、第1回転部材10と第2回転部材20とサンローラ30とキャリア40との間で各遊星ボール50を介したトルクの伝達が行われる。例えば、無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30及びキャリア40のうちの1つがトルク(動力)の入力部となり、残りの回転要素の内の少なくとも1つがトルクの出力部となる。そして、無段変速機1は、入力部となる何れかの回転要素と出力部となる何れかの回転要素との間の回転速度(回転数)の比が変速比となる。ここでは、無段変速機1は、第1回転部材10が入力部、第2回転部材20が出力部となる場合を説明する。
また、無段変速機1は、変速機軸60の中心軸(第1回転中心軸線R1)を中心にして放射状に複数個の遊星ボール50が配置される。遊星ボール50は、第2回転中心軸線R2を回転中心として回転(自転)可能である。遊星ボール50は、変速機軸60にこの変速機軸60の軸方向に対向して配置させた第1回転部材10と第2回転部材20とに挟持される。また、遊星ボール50は、キャリア40に自転可能に支持される。無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20のうちの少なくとも一方を遊星ボール50に押し付けることによって、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30と遊星ボール50との間に適切な摩擦力(トラクション力)を発生させ、その間におけるトルクの伝達を可能にする。また、無段変速機1は、遊星ボール50を第2回転中心軸線R2と第1回転中心軸線R1とを含む傾転平面上で傾転させ、第1回転部材10と第2回転部材20との間の回転速度(回転数)の比を変化させることによって、入出力間の回転速度(回転数)の比を変える。
なお、無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40の全てが変速機軸60に対して相対回転可能なものもあれば、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40のうちの何れか1つを変速機軸60に対して相対回転できない構成とするものもある。以下においては、キャリア40の一部が変速機軸60に対して固定される例について説明するがこれに限られない。ここでは、変速機軸60は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円柱状に形成され、不図示の筐体や車体等における無段変速機1の固定部に固定し当該固定部に対して相対回転させぬよう構成した固定軸である。
以下、無段変速機1の各構成について詳細に説明する。
第1回転部材10、第2回転部材20は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円盤部材(ディスク)や円環部材(リング)である。第1回転部材10、第2回転部材20は、第1回転中心軸線R1の軸方向で対向させて各遊星ボール50を挟み込むように配設する。この例示においては、双方ともリング状の円環部材とする。第1回転部材10、第2回転部材20は、共通の第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。
第1回転部材10と第2回転部材20とは、内周面に各遊星ボール50の径方向外側の外周曲面と接触する接触面10a、20aを有している。第1回転部材10、第2回転部材20の各接触面10a、20aは、例えば、遊星ボール50の外周曲面の曲率と同等の曲率の凹円弧面、外周曲面の曲率とは異なる曲率の凹円弧面、凸円弧面又は平面等の形状を成している。ここでは、各接触面10a、20aは、後述する基準位置の状態(第1回転中心軸線R1と第2回転中心軸線R2とが平行である状態)で、第1回転中心軸線R1から当該遊星ボール50との接触部分までの距離が同等の長さになるように形成され、第1回転部材10、第2回転部材20の各遊星ボール50に対する各接触角θが同等の角度になるようにしている。
ここで、接触角θとは、基準から遊星ボール50と各接触面10a、20aとの接触部分までの角度のことである。ここでは、径方向を基準にしている。第1回転部材10、第2回転部材20の遊星ボール50との接触面10a、20aは、遊星ボール50の外周曲面に対して点接触又は面接触している。また、第1回転部材10、第2回転部材20の遊星ボール50との接触面10a、20aは、第1回転部材10、第2回転部材20から遊星ボール50に向けて軸方向の力が加わった際に、遊星ボール50に対して径方向内側でかつ斜め方向の力(法線力Fn)が加わるように形成されている。
この無段変速機1は、第1回転部材10を無段変速機1の正駆動時(入力部としての回転要素にトルクが入力される場合)におけるトルク入力部(入力リング)として機能させる。また、無段変速機1は、第2回転部材20を無段変速機1の正駆動時におけるトルク出力部(出力リング)として機能させる。無段変速機1は、第1回転部材10にトルクカム70を介して入力フランジ11が連結される。また、無段変速機1は、第2回転部材20にトルクカム71を介して出力フランジ21が連結される。入力フランジ11、出力フランジ21は、第1回転中心軸線R1を回転中心として変速機軸60と相対回転可能に設けられる。
入力フランジ11は、トルクカム70を介して第1回転部材10と一体回転可能であり、正駆動時に第1回転部材10に動力を伝達する。入力フランジ11は、筒状部11a、円盤部11b等を含んで構成される。入力フランジ11は、円盤部11b側がトルクカム70を介して第1回転部材10に連結される。入力フランジ11は、筒状部11a側が車両の動力源側に連結される。筒状部11aは、円筒状又は円柱状の回転軸12を径方向外側から覆い、かつ、この回転軸12に固定される円筒状のものである。筒状部11aは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この例示では、筒状部11aの内周面と回転軸12の外周面との間にスプライン軸受が形成されており、筒状部11aと回転軸12とがスプライン嵌合によって固定される。ここで、回転軸12とは、変速機軸60の一端に同心上に配置された入力用の回転軸である。回転軸12は、軸受(例えばころ軸受やニードル軸受等)B1を介して変速機軸60に対する周方向の相対回転を行うことができる。したがって、この入力フランジ11は、筒状部11aが固定された回転軸12と軸受B1を介して変速機軸60に対する周方向の相対回転を行うことになる。円盤部11bは、筒状部11aの一端から径方向外側に向けて延設した円盤状のものである。円盤部11bは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この円盤部11bは、その外径が第1回転部材10の外径と略同等の大きさになるよう成形する。この円盤部11bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、後述の固定キャリア41と隣接し対向する。円盤部11bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、後述の固定キャリア41と、出力フランジ21の円盤部21bとの間に配置される。
出力フランジ21は、トルクカム71を介して第2回転部材20と一体回転可能であり、正駆動時にこの第2回転部材20から動力が伝達される。出力フランジ21は、第1筒状部21a、円盤部21b、第2筒状部21c等を含んで構成される。出力フランジ21は、第1筒状部21a側が円環部材72、トルクカム71を介して第2回転部材20に連結される。出力フランジ21は、第2筒状部21c側が車両の駆動輪側に連結される。第1筒状部21aは、第1回転部材10及び第2回転部材20を径方向外側から覆う円筒状のものである。第1筒状部21aは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。さらに、この第1筒状部21aは、トルクカム70、トルクカム71や入力フランジ11の円盤部11bについても径方向外側から覆うよう軸線方向に延設されている。円盤部21bは、その第1筒状部21aの延設端部から径方向内側でかつ入力フランジ11の筒状部11aの外周面に向けて延設した円盤状のものである。円盤部21bは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この円盤部21bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、入力フランジ11の円盤部11bと隣接し対向させて配置されている。第2筒状部21cは、入力フランジ11の筒状部11aを径方向外側から覆った円筒状のものである。第2筒状部21cは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させて円盤部21bの内径側から軸線方向に延設されている。
この無段変速機1は、出力フランジ21の第2筒状部21cの内周面と入力フランジ11の筒状部11aの外周面との間に軸受(例えばころ軸受やニードル軸受等)B2が配設されている。また、無段変速機1は、入力フランジ11と出力フランジ21それぞれの円盤部11b、21bの間にスラスト軸受(ここではスラストころ軸受やスラストニードル軸受、スラスト玉軸受等)TBが配設されている。したがって、入力フランジ11と出力フランジ21とは、その相互間においても軸受B2やスラスト軸受TBを介して相対回転可能である。
トルクカム70、71は、回転トルクを第1回転中心軸線R1に沿った軸力に変換するトルク軸力変換機構であり、押圧力発生機構である。このトルクカム70、71が発生させる軸力とは、第1回転部材10、第2回転部材20を各遊星ボール50に押し付けるための押圧力である。トルクカム70は、第1回転部材10と入力フランジ11との間に配設される。トルクカム71は、第2回転部材20と出力フランジ21との間に配設される。トルクカム70は、入力フランジ11と第1回転部材10との間で回転トルクを伝達する際に、伝達されるトルクの大きさに応じて第1回転部材10に対して軸方向に沿った各遊星ボール50側への推力(軸力)を発生させる。トルクカム71は、出力フランジ21と第2回転部材20との間で回転トルクを伝達する際に、伝達されるトルクの大きさに応じて第2回転部材20に対して軸方向に沿った各遊星ボール50側への推力(軸力)を発生させる。
なお、この無段変速機1においては、第1回転部材10をトルク出力部とし、かつ、第2回転部材20をトルク入力部とすることも可能であり、その場合、入力フランジ11として設けているものを出力軸として利用し、出力フランジ21として設けているものを入力軸として利用する。また、無段変速機1においては、サンローラ30やキャリア40をトルク入力部やトルク出力部として用いる場合には、後述のサンローラ30やキャリア40に対して別途構成した入力軸や出力軸を連結する。
サンローラ30は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円筒状のものである。サンローラ30は、軸受RB、アンギュラ軸受ABによって変速機軸60に対する周方向への相対回転を行えるよう支持される。つまり、サンローラ30は、変速機軸60、第1回転部材10、第2回転部材20、後述のキャリア40に対して第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能に変速機軸60に配置される。さらに、サンローラ30は、変速機軸60の軸方向に対して、軸受RBの外輪、アンギュラ軸受ABの外輪等によって位置決めされており、変速機軸60の軸方向に対して相対移動不能に固定される。
サンローラ30は、外周面31が複数個の遊星ボール50と接触する。サンローラ30の外周面31には、複数個の遊星ボール50が放射状に略等間隔で配置される。したがって、サンローラ30は、外周面31が遊星ボール50の自転の際の転動面となる。サンローラ30は、自らの回転動作によって各遊星ボール50を転動(自転)させることもできれば、各遊星ボール50の転動動作(自転動作)に伴って回転することもできる。
なお、本実施形態のサンローラ30は、アンギュラ軸受ABによって支持される第1分割構造体32、軸受RBによって支持される第2分割構造体33の2つの部位からなる分割構造となっている。ここでは、第1分割構造体32は、アンギュラ軸受ABと共に第1回転部材10側に配置され、第2分割構造体33は、軸受RBと共に第2回転部材20側に配置される。第1分割構造体32と第2分割構造体33とは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して互いに近接して対向している。これにより、この無段変速機1は、サンローラ30と遊星ボール50との間のスピン損失を低減させ、動力伝達効率の低下を抑えることができる。この場合、サンローラ30の外周面31は、第1分割構造体32の外周面、及び、第2分割構造体33の外周面によって構成される。なお、このサンローラ30は、このような分割構造でなくてもよい。
キャリア40は、変速機軸60に配置され、第1回転中心軸線R1を回転中心として第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30等と相対回転可能である。キャリア40は、遊星ボール50の支持軸(スピンドル、あるいはピニオンピンともいう。)51を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持するものである。キャリア40は、支持軸51の端部が挿入されこの支持軸51の端部を、遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持するガイド部として、第1ガイド部44及び第2ガイド部45を有する。第1ガイド部44及び第2ガイド部45は、それぞれ、支持軸51の端部であり円筒状又は円柱状に形成されるガイド端部としての第1ガイド端部52、第2ガイド端部53が挿入される。第1ガイド部44及び第2ガイド部45は、この第1ガイド端部52、第2ガイド端部53を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持する。
ここで、遊星ボール50は、支持軸51を介してキャリア40によって傾転自在に保持されるものである。遊星ボール50は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を回転中心として回転可能である。遊星ボール50は、第1回転部材10と第2回転部材20とに挟持され当該第1回転部材10及び当該第2回転部材20との間でトルクを伝達可能である。遊星ボール50は、後述するように、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。遊星ボール50は、サンローラ30の外周面31上を転がる転動部材である。遊星ボール50は、完全な球状体であることが好ましいが、少なくとも転動方向にて球形を成すもの、例えばラグビーボールの様な断面が楕円形状のものであってもよい。遊星ボール50は、その中心を通って貫通させた支持軸51によって回転自在に支持される。支持軸51は、第2回転中心軸線R2を回転中心として遊星ボール50を支持し両端部が遊星ボール50から突出している。例えば、遊星ボール50は、支持軸51の外周面との間に配設したラジアル軸受RB3、RB4によって、第2回転中心軸線R2を回転軸とした支持軸51に対する相対回転(つまり自転)ができるようにしている。ここでは、遊星ボール50は、貫通孔50aが形成されている。貫通孔50aは、支持軸51が挿入される。遊星ボール50は、貫通孔50a内に設けられるラジアル軸受RB3、RB4によって回転可能に支持される。したがって、遊星ボール50は、支持軸51の第2回転中心軸線R2を中心にしてサンローラ30の外周面31上を転動することができる。
支持軸51の基準となる位置は、図1に示すように、第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1と平行になる位置である。支持軸51は、基準位置で形成される自身の回転中心軸(第2回転中心軸線R2)と第1回転中心軸線R1とを含む傾転平面内において、基準位置とそこから傾斜させた位置との間を遊星ボール50と共に揺動(傾転)することができる。この傾転は、傾転平面内で遊星ボール50の中心を支点にして行われる。そして、遊星ボール50から突出した支持軸51の両端は、次に説明するようにキャリア40に各遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持される。
キャリア40は、各遊星ボール50の傾転動作を妨げないように、遊星ボール50を支持する支持軸51の端部を支持する。本実施形態のキャリア40は、固定要素としての固定キャリア41と、可動要素としての可動キャリア42と、プレート43とを有する。固定キャリア41、可動キャリア42、プレート43は、いずれも中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円環板状のものであり、変速機軸60上に設けられる。ここでは、固定キャリア41は、第1回転部材10、トルクカム70等の径方向内側に配置される。可動キャリア42、プレート43は、第2回転部材20、トルクカム71等の径方向内側に配置される。キャリア40は、固定キャリア41と可動キャリア42とによって支持軸51の両端部を各遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持する。そして、キャリア40は、固定キャリア41と可動キャリア42との相対回転によって支持軸51と共に各遊星ボール50を傾転させ各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。
固定キャリア41は、支持軸51の一端部である第1ガイド端部52側に変速機軸60と相対回転不能に設けられる。固定キャリア41は、内周面側にてボルト等を介して変速機軸60のフランジ部に固定される。可動キャリア42は、支持軸51の他端部である第2ガイド端部53側に固定キャリア41と対向して配置され変速機軸60と相対回転可能に設けられる。すなわち、固定キャリア41と可動キャリア42とは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、遊星ボール50を挟んで対向するようにして配置される。可動キャリア42は、所定の回転角の範囲で変速機軸60と相対回転可能である。可動キャリア42は、内周面側にて軸受等を介して変速機軸60の外周面上に第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能に支持される。したがって、可動キャリア42と固定キャリア41とは、第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。プレート43は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して遊星ボール50と可動キャリア42との間に配置される。プレート43は、固定キャリア41と相対回転不能に設けられる。プレート43は、第1回転中心軸線R1の軸方向に沿った複数の連結軸等を介して固定キャリア41に対して固定される。固定キャリア41とプレート43とは、連結軸等を介して連結されることで全体として籠状の構造となっている。したがって、可動キャリア42とプレート43とは、第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。そして、固定キャリア41は、第1ガイド部44を有する。可動キャリア42は、第2ガイド部45を有する。プレート43は、スリット部46を有する。
ここで、本実施形態の支持軸51は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53のうちの一方と中間部54(支持軸51の本体部)とを分割構造としている。この支持軸51は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53の外径が中間部54の外径より大きく形成されている。そして、支持軸51は、第2ガイド端部53が中間部54と一体に形成され、第1ガイド端部52が中間部54とは別体に形成されて中間部54に組み付けられる。これにより、無段変速機1は、遊星ボール50と支持軸51との間にラジアル軸受RB3、RB4等を設ける場合に、当該ラジアル軸受RB3、RB4の組み付け性を向上することができる。
第1ガイド部44は、図1、図2、図3に示すように、固定キャリア41に設けられる。第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に延在しかつ遊星ボール50に向かって開口して形成される。第1ガイド部44は、有底のガイド溝部として形成される。すなわち、第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して固定キャリア41を貫通していない構成となっている。ここでは、第1ガイド部44は、直線状に形成される。第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1側とは反対側の端部、すなわち、径方向外側の端部が開放されている。第1ガイド部44は、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(ここでは8つ)設けられる。複数の第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。第1ガイド部44は、第1ガイド端部52が挿入されこの第1ガイド端部52の移動を案内可能である。ここでは、第1ガイド端部52は、第1ガイド部44によって径方向への移動が案内されるガイド端部として機能する。
第2ガイド部45は、図1、図2、図4に示すように、可動キャリア42に設けられる。第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して傾斜した方向に延在しかつ遊星ボール50に向かって開口して形成される。第2ガイド部45は、有底のガイド溝部として形成される。すなわち、第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して可動キャリア42を貫通していない構成となっている。ここでは、第2ガイド部45は、直線状に形成されると共に、第1回転中心軸線R1を通る径方向に沿った直線に対して略平行にオフセットされた位置に形成される。また、第2ガイド部45は、径方向外側の端部が開放されている。第2ガイド部45は、第1ガイド部44と同様に、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して複数(ここでは8つ)設けられる。各第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合(図1中、矢印A方向に見た場合)に、それぞれ対応する第1ガイド部44と一部が重なって交差する位置に形成される。この第1ガイド部44と第2ガイド部45との交差部位は、固定キャリア41と可動キャリア42とが第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転することで、径方向に沿って移動することとなる。そして、第2ガイド部45は、第2ガイド端部53が挿入されこの第2ガイド端部53の移動を案内可能である。ここでは、第2ガイド端部53は、第2ガイド部45によって移動が案内されるガイド端部として機能する。第2ガイド部45は、内側壁面と第2ガイド端部53の外周面とが当接することで、第2ガイド端部53を支持し所定の径方向位置で位置決めする。
なお、第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して傾斜した方向に延在する円弧状に形成され、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合に、第1ガイド部44と一部が重なって交差する位置に形成されてもよい。
スリット部46は、図1、図2、図5に示すように、プレート43に設けられる。スリット部46は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に延在しかつ第1回転中心軸線R1の軸方向に貫通して形成される。すなわち、スリット部46は、プレート43を第1回転中心軸線R1の軸方向に貫通したスリット孔として形成される。ここでは、スリット部46は、直線状に形成され径方向外側の端部が開放されている。スリット部46は、第1ガイド部44と同様に、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(ここでは8つ)設けられる。複数のスリット部46は、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。各スリット部46は、固定キャリア41とプレート43とが固定された状態で、対応する第1ガイド部44と第1回転中心軸線R1の軸方向に対して対向する。したがって、各スリット部46は、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合(図1中、矢印A方向に見た場合)に、それぞれ対応する第2ガイド部45と一部が重なって交差する位置に形成される。このスリット部46と第2ガイド部45との交差部位は、第1ガイド部44と第2ガイド部45との交差部位と同様に、固定キャリア41と可動キャリア42とが第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転することで、径方向に沿って移動することとなる。そして、スリット部46は、支持軸51の中間部54が挿入されこの中間部54の移動を許容する。
上記のように構成されるキャリア40は、第1ガイド部44と第2ガイド部45とスリット部46とによって、支持軸51を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持する。そして、キャリア40は、固定キャリア41と可動キャリア42との相対回転に伴った第1ガイド部44と第2ガイド部45との相対変位によって支持軸51と共に遊星ボール50を傾転させ各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。なお、このキャリア40は、プレート43を備えない構成としてもよい。
ここで、無段変速機1は、遊星ボール50の傾転角が基準位置、すなわち、0度のときに、第1回転部材10と第2回転部材20とが同一回転速度(同一回転数)で回転する。つまり、このときには、第1回転部材10と第2回転部材20との回転比(回転速度又は回転数の比)が1となり、変速比γが1になっている。例えば、第1回転部材10及び第2回転部材20の回転速度を各々「V1」、「V2」とすると、その回転比は、「V1/V2」になる。一方、図2に一点鎖線で示すように、支持軸51と共に遊星ボール50を基準位置から傾転させた際には、支持軸51の中心軸から第1回転部材10との接触部分までの距離が変化すると共に、支持軸51の中心軸から第2回転部材20との接触部分までの距離が変化する。これにより、無段変速機1は、第1回転部材10又は第2回転部材20のうちのいずれか一方が基準位置のときよりも高速で回転し、他方が低速で回転するようになる。例えば第2回転部材20は、遊星ボール50を一方へと傾転させたとき(例えば、図2に一点鎖線で示す変速比γmax位置参照)に第1回転部材10よりも低回転になり(減速)、他方へと傾転させたとき(例えば、図2に一点鎖線で示す変速比γmin位置参照)に第1回転部材10よりも高回転になる(増速)。したがって、この無段変速機1においては、その傾転角を変えることによって、各回転要素間の回転比(変速比γ)を無段階に変化させることができる。なおここでの増速時(γ<1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させかつ下側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させる。また、減速時(γ>1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させかつ下側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させる。
本実施形態の無段変速機1は、キャリア40が変速比γを変える機構として機能する。無段変速機1は、キャリア40によって各遊星ボール50の第2回転中心軸線R2を傾斜させて当該各遊星ボール50を傾転させることにより、遊星ボール50の傾転角が変わり、変速比γが変更される。
ここでは、キャリア40は、可動キャリア42と固定キャリア41との相対回転に応じて支持軸51に対して傾転させる力、すなわち、傾転力を付与し支持軸51と共に遊星ボール50を傾転させる。キャリア40は、例えば、不図示のECU等の制御に応じてモータなどの駆動装置からウォームギア等の伝達部材を介して可動キャリア42に回転動力が伝達されることで、可動キャリア42が固定キャリア41に対して相対回転する。これにより、第2ガイド部45と第1ガイド部44、スリット部46との交差部位は、第1ガイド部44、スリット部46と第2ガイド部45とが相対変位によって位相がずれることで、径方向に沿って移動することとなる。このとき、支持軸51は、可動キャリア42と固定キャリア41との相対回転に応じて発生する傾転力によって、第2ガイド端部53が第2ガイド部45に沿って案内されながら押し上げられる又は押し下げられるように移動し、第1ガイド端部52が第1ガイド部44に沿って案内されながら移動する。つまり、支持軸51は、第1ガイド端部52が径方向外側、第2ガイド端部53が径方向内側に移動し、あるいは、第2ガイド端部53が径方向外側、第1ガイド端部52が径方向内側に移動することで、第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1に対して揺動する。
このようにして、キャリア40は、各遊星ボール50の第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1を含む平面内に位置し、かつその平面内で第1回転中心軸線R1と平行な状態、すなわち、基準位置にある状態と、その平行状態から傾斜する状態とに傾転させることができる。この結果、支持軸51は、第1ガイド端部52の径方向位置と第2ガイド端部53の径方向位置とのずれに応じて、第1回転中心軸線R1に対する第2回転中心軸線R2の傾斜角度にも相当する傾転角が変更され、これに伴って遊星ボール50が傾転する。キャリア40は、このようにして支持軸51に傾転力を付与し、この支持軸51を傾斜させることで第2回転中心軸線R2を傾斜させ、遊星ボール50を傾転させることができる。したがって、この無段変速機1は、遊星ボール50の傾転によって、支持軸51の中心軸から第1回転部材10と遊星ボール50との接触部分までの距離が変化すると共に、支持軸51の中心軸から遊星ボール50と第2回転部材20との接触部分までの距離が変化し、変速比が変更される。このとき、キャリア40は、プレート43においてスリット部46によって支持軸51の中間部54の径方向への揺動が許容される。なお、本実施形態の無段変速機1は、可動キャリア42が図4中の紙面反時計回り方向に回転することで、第2ガイド端部53が中心側(第1回転中心軸線R1)に移動し、変速比が所定の変速幅の範囲内で増速側に変更される。また、無段変速機1は、可動キャリア42が図4中の紙面時計回り方向に回転することで、第2ガイド端部53が外側(第1回転中心軸線R1とは反対側)に移動し、変速比が所定の変速幅の範囲内で減速側に変更される。
上記のように構成される無段変速機1は、例えば、入力フランジ11にトルクが伝達されると、当該トルクをトルクカム70、第1回転部材10、遊星ボール50、第2回転部材20、トルクカム71等を介して出力フランジ21に伝達することができる。このとき、無段変速機1は、例えば、入力フランジ11から第1回転部材10にトルクが伝達されると、トルクカム70、トルクカム71等の作用によって、伝達されるトルクの大きさに応じて、第1回転部材10と各遊星ボール50、第2回転部材20と各遊星ボール50とを相対的に接近させ互いに押し付ける方向への押圧力(押圧荷重)が発生する。これにより、無段変速機1は、押圧力に応じた伝達トルク容量が確保され、この伝達トルク容量に応じて第1回転部材10と各遊星ボール50との間、各遊星ボール50と第2回転部材20との間にトラクション力(摩擦力)が発生する。この結果、無段変速機1は、第1回転部材10と各遊星ボール50との間、各遊星ボール50と第2回転部材20との間で相互に動力(トルク)を伝達することができる。
また、このトルクカム70、トルクカム71による押圧力は、第1回転部材10、第2回転部材20の接触面10a、20aと各遊星ボール50の外面の形状及び位置関係に応じた作用によって、各遊星ボール50を介してサンローラ30にも伝わる。これにより、無段変速機1は、トルクカム70、トルクカム71による押圧力に応じて各遊星ボール50とサンローラ30との間にトラクション力(摩擦力)が発生して、各遊星ボール50とサンローラ30との間でも相互に動力(トルク)を伝達することができる。
したがって、無段変速機1は、第1回転部材10の回転に伴い第1回転部材10と各遊星ボール50との間に摩擦力(トラクション力)が発生し、各遊星ボール50が自転を始める。そして、無段変速機1は、各遊星ボール50の回転によって、各遊星ボール50と第2回転部材20との間、各遊星ボール50とサンローラ30との間にも摩擦力が発生し、第2回転部材20とサンローラ30も回転を始める。そして、無段変速機1は、上記のようにして駆動装置からの動力によってキャリア40が各遊星ボール50を傾転させ各遊星ボール50の傾転角を変更することで変速比γを無段階に変更することができる。
また、本実施形態の無段変速機1は、図1、図2に示すように、各部の摺動部に対して潤滑媒体としてのオイル(トラクション油と兼用でも良い。)を供給するための機構として、オイルポンプ80、変速機軸供給路81等を含んで構成される。オイルポンプ80は、例えば、この無段変速機1を搭載する車両の走行用動力源が発生させる動力によって駆動することにより、オイルを所定の油圧に加圧し吐出する。無段変速機1は、オイルポンプ80が吐出したオイルを、変速機軸供給路81等を介して各部の摺動部に供給し、これらを潤滑している。
変速機軸供給路81は、変速機軸60に形成されるオイル(潤滑媒体)供給路である。変速機軸供給路81は、変速機軸60内に設けられ、オイルが供給される。変速機軸供給路81は、軸方向供給路81a、サンローラ側径方向供給路81b(以下、「ローラ側径方向供給路81b」という場合がある。)等を含んで構成される。
軸方向供給路81aは、変速機軸60の内部に軸方向に沿って形成され、一方の端部が開口し、他方の端部がオイルポンプ80の吐出口側に接続される。ローラ側径方向供給路81bは、変速機軸60の内部に径方向に沿って形成され、径方向内側端部が軸方向供給路81aと連通し、径方向外側端部が径方向外側に向かって開口している。ローラ側径方向供給路81bは、径方向外側の開口がサンローラ30の油溜り部34と対向する位置に形成される。ローラ側径方向供給路81bは、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(例えば、複数の遊星ボール50に対応して8つ)設けられる。複数のローラ側径方向供給路81bは、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。
ここで、サンローラ30の油溜り部34は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して第1分割構造体32と第2分割構造体33との間に形成される円環状の凹部である。油溜り部34は、ローラ側径方向供給路81bから供給されるオイルを一時的に溜めることができる空間部である。油溜り部34は、第1分割構造体32と第2分割構造体33との間に形成されたサンローラ供給路35が接続される。サンローラ供給路35は、径方向内側端部が油溜り部34と連通し、径方向外側端部が外周面31にて開口している。
したがって、無段変速機1は、例えば、図2に示すように、オイルポンプ80から吐出されたオイルが変速機軸供給路81の軸方向供給路81aに供給される。軸方向供給路81aに供給されたオイルは、ローラ側径方向供給路81bを介して油溜り部34に溜められる。油溜り部34に溜められたオイルは、オイルポンプ80からの吐出圧とサンローラ30の回転に伴った遠心力とによって、サンローラ供給路35を介して外周面31側の開口から遊星ボール50側に吹きかけられる。これにより、無段変速機1は、遊星ボール50に吹きかけられたオイルによって、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30と各遊星ボール50との接触点P1、P2、P3、P4等が潤滑され冷却される。ここで、接触点P1は、第1回転部材10の接触面10aと遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。接触点P2は、第2回転部材20の接触面20aと遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。接触点P3は、サンローラ30の第1分割構造体32(入力側)と遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。接触点P4は、サンローラ30の第2分割構造体33(出力側)と遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。
また、遊星ボール50に吹きかけられたオイルは、一部が各遊星ボール50の回転(自転)に伴って弾きとばされて第1ガイド端部52や第2ガイド端部53の転動面、各部の摺動部に供給されこれらを潤滑、冷却する。また、遊星ボール50に弾きとばされたオイルは、一部が貫通孔50a内に供給され、遊星ボール50の軸心部や支持軸51、ラジアル軸受RB3、RB4等の各部の摺動部を潤滑、冷却する。なお、このラジアル軸受RB3、RB4は、サンローラ30の内周側にオイルを積極的に受け入れるためにテーパローラベアリング等を採用してもよい。
なお、本実施形態の無段変速機1は、入力フランジ11、出力フランジ21、各回転要素(第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40)、各遊星ボール50、変速機軸60等の各部を収容するケース2を備えている。無段変速機1は、サンローラ30による遠心油送によって供給されたオイルを、このケース2の内側に貯留可能である。本実施形態の無段変速機1は、例えば、車両に搭載される際には、第1回転中心軸線R1が水平方向に対してほぼ平行になるようにして配置される。そして、無段変速機1は、ケース2の内部空間(収容空間)における鉛直方向下部、言い換えれば、鉛直方向底部の空間部に所定量のオイルを溜めることができる。ケース2の鉛直方向底部の空間部に溜められたオイルは、例えば、第1回転部材10や第2回転部材20の回転によって掻き上げられて各部に供給され潤滑、冷却する。ケース2内に供給された所定量を超える量のオイルは、不図示の排出通路を介してケース2の外側に排出される。
ところで、本実施形態のような無段変速機1は、例えば、第1回転部材10、第2回転部材20と遊星ボール50との転動部、すわわち、接触点P1、P2での発熱量が相対的に大きくなることから、これらの部位を適切に潤滑、冷却することで、動力の伝達効率を向上することができると共に耐久性を向上することができる。
ここで、このような無段変速機1は、遊星ボール50の外周上における接触点P1、P2に対応する位置が常に一定の位置であるわけではない。すなわち、上記のように構成される無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20と遊星ボール50との接触点P1、P2における遊星ボール50の外周上の転動面が、変速比γ、さらに言えば、傾転角に応じて移動する構成となっている。
例えば、図2中、二点鎖線T11は、変速比γが1である場合の接触点P1における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T12は、変速比γが1である場合の接触点P2における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T21は、変速比γが増速側の最小変速比γminである場合(例えば、図2の支持軸51(γmin)参照)の接触点P1における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T22は、変速比γが増速側の最小変速比γminである場合の接触点P2における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T31は、変速比γが減速側の最小変速比γmaxである場合(例えば、図2の支持軸51(γmax)参照)の接触点P1における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T32は、変速比γが減速側の最大変速比γmaxである場合の接触点P2における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。
このため、無段変速機1は、上記のようにサンローラ30の回転に伴った遠心力を利用して遊星ボール50側にオイルを供給した場合であっても、サンローラ30からのオイルの吹きかけ方向がほぼ一定の方向であるため、例えば、変速比γ(言い換えれば傾転角)によっては接触点P1、P2に対して性能向上に必要な適切な量のオイルを安定的に供給することができないおそれがある。
なお、無段変速機1は、遊星ボール50を増速側に傾転させた場合(例えば、図2の支持軸51(γmin)参照)、トルク入力部である第1回転部材10側の接触点P1における周速差に起因したスピン速度(あるいはスピン量)が相対的に大きくなる一方、トルク出力部である第2回転部材20側の接触点P2における周速差に起因したスピン速度が相対的に小さくなる傾向にある。逆に、無段変速機1は、遊星ボール50を減速側に傾転させた場合(例えば、図2の支持軸51(γmax)参照)、接触点P1におけるスピン速度が相対的に小さくなる一方、接触点P2におけるスピン速度が相対的に大きくなる傾向にある。そして、接触点P1、P2におけるスピン損失は、例えば、それぞれ接触点P1、P2におけるスピン速度が相対的に大きいほど相対的に大きくなる傾向にある。つまり、無段変速機1は、上記のように遊星ボール50を増速側に傾転させた場合、第1回転部材10側の接触点P1におけるスピン損失が相対的に大きくなる一方、第2回転部材20側の接触点P2におけるスピン損失が相対的に小さくなる傾向にある。逆に、無段変速機1は、上記のように遊星ボール50を減速側に傾転させた場合、第1回転部材10側の接触点P1におけるスピン損失が相対的に小さくなる一方、第2回転部材20側の接触点P2におけるスピン損失が相対的に大きくなる傾向にある。
そこで、本実施形態の無段変速機1は、図1、図2に示すように、接触点P1、P2等を適切に潤滑するためのオイルを貯留可能である環状貯留部90を備えることで、潤滑性能の向上を図っている。
具体的には、本実施形態の環状貯留部90は、筒状部材としての円筒部材91と、一対の環状部材としての円盤部材92及び円盤部材93とを有する。
円筒部材91は、円筒状に形成され、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。本実施形態の円筒部材91は、出力フランジ21の筒状の部分である第1筒状部21aを構成する。出力フランジ21は、上述のように、第2回転部材20と一体回転可能であり当該第2回転部材20から動力が伝達されるものである。この出力フランジ21は、第1回転部材10、第2回転部材20、これらに動力を伝える入力フランジ11、出力フランジ21等のうち最も径方向外側に位置するものである。本実施形態の出力フランジ21の第1筒状部21aは、環状貯留部90の円筒部材91としても兼用される。円筒部材91は、少なくとも第1回転部材10、第2回転部材20、及び、各遊星ボール50を径方向外側から覆い、内周面側(内側)にこれらを収容する。ここではさらに、円筒部材91は、サンローラ30、キャリア40、トルクカム70、トルクカム71や入力フランジ11の円盤部11bについても径方向外側から覆い、内周面側にこれらを収容する。第1筒状部21aとして兼用される円筒部材91は、上述したように、第2回転部材20等と共に第1回転中心軸線R1を回転中心として回転可能である。
円盤部材92、93は、円盤板状に形成され、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。円盤部材92、93は、円筒部材91の両端にそれぞれ設けられ、円筒部材91と一体回転可能である。円盤部材92は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、円筒部材91の端面の一方側に設けられ、円盤部材93は、円筒部材91の端面の他方側に設けられる。ここでは、円盤部材92は、第1回転部材10側に設けられ、円盤部材93は、第2回転部材20側に設けられる。
一対の円盤部材92、93の一方である円盤部材92は、出力フランジ21の円盤状の部分である円盤部21bを構成する。円盤部21bは、上述したように、出力フランジ21の第1筒状部21a(円筒部材91)の一方の端面、ここでは回転軸12側の端面に一体形成されるものである。本実施形態の出力フランジ21の円盤部21bは、環状貯留部90の円盤部材92としても兼用される。
一対の円盤部材92、93の他方である円盤部材93は、出力フランジ21とは別体に構成される。円盤部材93は、第1筒状部21a(円筒部材91)の他方の端面にシール部材94、95等を介して組み付けられる蓋状の部材を構成する。上述した第2回転部材20は、リング状の円環部材であり、一対の円盤部材92、93の他方側であるこの円盤部材93側から出力フランジ21の円筒部材91に動力を伝達する。ここでは、円盤部材93は、円筒部材91に対して、当該円筒部材91の端面との間にトルクカム71の円環部材72を介在させてボルト96等の締結部材によって共締めされる。シール部材94は、円盤部材93と円環部材72との間に介在し、円盤部材93と円環部材72との間を介したオイルの漏洩を防止する。シール部材95は、円環部材72と円筒部材91との間に介在し、円環部材72と円筒部材91との間を介したオイルの漏洩を防止する。シール部材94、95は、例えば、液体成型ガスケット(FIPG:Formed In Place Gasket)やOリング等を用いることができる。
ここでは、円盤部材93は、本体部93aと、突起部93bとを有する。円盤部材93は、後述するように円筒部材91の内周側に供給されたオイルのガイド部材として機能する。本体部93aは、径方向に沿って延在する円盤状の本体部分である。本体部93aは、ボルト96等によって円筒部材91に対して締結される部分である。突起部93bは、第1回転中心軸線R1に沿った方向に突起した円環状の突起部分である。突起部93bは、本体部93aの内径側端部(径方向内側端部)から軸方向に沿って遊星ボール50側に向けて突出する。この円盤部材93は、本体部93aの内径側端部に突起部93bが設けられることで、十分な強度を確保することができる。この結果、円盤部材93は、例えば、回転に伴った遠心力によって撓むことを抑制することができる。なお、円盤部材93は、円環部材72と一体に形成されるものであってもよい。
そして、環状貯留部90は、上記のように構成される円筒部材91と、一対の円盤部材92、93とによって形成される貯留空間部97にオイルを貯留可能である。貯留空間部97は、円筒部材91と一対の円盤部材92、93とによって区画される。言い換えれば、円筒部材91は、貯留空間部97の径方向外側の径方向区画壁として機能し、一対の円盤部材92、93は、貯留空間部97の軸方向両端部の軸方向区画壁として機能する。環状貯留部90は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して一方の端部が開口し、他方の端部が円盤部材92(円盤部21b)によって閉塞された円筒状の出力フランジ21の前記開口に、円盤部材93が蓋状部材として組み付けられる。これにより、環状貯留部90は、貯留空間部97が形成される。そして、貯留空間部97は、径方向外側にてシール部材94、95等によって液密に保持される。このようにして、貯留空間部97は、円筒部材91の内周面側に円環状の空間部として形成される。貯留空間部97は、径方向内側に向って開口している。
そして、円筒部材91、円盤部材92及び円盤部材93は、外径がほぼ同等に設定される。一方、円盤部材92、円盤部材93の内径は、円筒部材91の内径より小さく設定されており、接触点P1、P2の位置に応じた所定の寸法となるように設定されている。本実施形態の一対の円盤部材92、93は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して、内径側端部(径方向内側端部)が第1回転部材10と遊星ボール50との接触点P1、及び、第2回転部材20と遊星ボール50との接触点P2より第1回転中心軸線R1側に位置する。つまり、環状貯留部90は、円盤部材92、円盤部材93の内径側端部が接触点P1、P2より径方向内側に位置する。
ここでは、図2に示すように、円盤部材92の内径(直径)φAは、円盤部材93の内径(直径)φBより小さく設定されており、円盤部材92の内径側端部は、円盤部材93の内径端部より径方向内側に位置する。そして、円盤部材93の内径φBは、接触点P1、P2の直径φCより小さく設定されている。ここで、接触点P1、P2の直径φCは、典型的には、第1回転中心軸線R1から接触点P1、P2までの径方向に沿った距離の2倍に相当する。この環状貯留部90は、円盤部材92の内径φAと、円盤部材93の内径φBと、接触点P1、P2の直径φCとの関係が下記に示す数式(1)を満たすように構成されている。

φA<φB<φC ・・・ (1)
したがって、環状貯留部90では、第1回転部材10と遊星ボール50との接触点P1、及び、第2回転部材20と遊星ボール50との接触点P2は、環状貯留部90の貯留空間部97内に位置することとなる。そして、環状貯留部90は、第1回転部材10及び第2回転部材20の回転に伴って円筒部材91、円盤部材92及び円盤部材93が回転し、当該円筒部材91、円盤部材92及び円盤部材93の回転に伴った遠心力によって、貯留空間部97内にオイルを貯留可能である。
上記のように構成される無段変速機1は、サンローラ30による遠心油送によって供給されたオイルの一部が環状貯留部90の貯留空間部97内に貯留される。無段変速機1は、例えば、入力フランジ11にトルクが伝達され、第1回転部材10、遊星ボール50、第2回転部材20等が回転し動力の伝達が開始されると、出力フランジ21も回転を開始する。無段変速機1は、出力フランジ21が回転を開始すると、出力フランジ21の一部として兼用される円筒部材91、円盤部材92や円盤部材93が回転する。これにより、無段変速機1は、動力伝達時に円筒部材91、円盤部材92、93(出力フランジ21)が回転することでオイル自身に作用する遠心力によって、貯留空間部97内に貯留されているオイルが円筒部材91の内周面側に張り付いたようになってとどまった状態で保持される。
ここで、本実施形態の無段変速機1は、ケース2内には、サンローラ30による遠心油送によって供給されたオイル等により、貯留空間部97の容積より十分に大きい容積のオイルが保持されている。このため、無段変速機1は、上記のように円筒部材91、円盤部材92、93の回転による遠心力によって貯留空間部97内にオイルが保持される状態になると、円筒部材91の内周面から円盤部材93の内径側端部(内径φB位置)までの貯留空間部97内がほぼ隙間無くオイルで満たされることとなる。つまり、貯留空間部97は、遠心力の作用によって、内径φBに応じた深さの円環状のオイル溜りとなり、全周にわたって、内径φBに応じたほぼ均一の油面レベルとなる。
そして、無段変速機1は、円盤部材92、円盤部材93の内径側端部が接触点P1、P2より内径側に位置し、接触点P1、P2が貯留空間部97内に位置することから、少なくとも動力を伝達している状態では、変速比γ、言い換えれば、傾転角にかかわらず、接触点P1、P2が貯留空間部97内のオイルに浸かっている状態となる。つまり、無段変速機1は、接触点P1、P2における遊星ボール50の外周上の転動面が変速比γ(傾転角)に応じて移動しても、当該転動面の移動にかかわらず、接触点P1、P2が貯留空間部97内の油溜りオイルに浸かっている状態となる。
この結果、無段変速機1は、スピン損失等が相対的に大きくなる傾向にある変速状態、ここでは、少なくとも変速比γが実現可能な最小変速比γmin、実現可能な最大変速比γmaxとなっている場合等を含む実現可能な変速比の全域にわたって、貯留空間部97内のオイルによって接触点P1、P2を確実に潤滑、冷却することができる。これにより、無段変速機1は、適切な潤滑性能を確保することができる。つまり、無段変速機1は、変速比γに応じた各部のスピン損失の大小にかかわらず、各遊星ボール50が最小変速比γminに対応する傾転角から最大変速比γmaxに対応する傾転角まで傾転しても、接触点P1、P2等を常に安定的に潤滑、冷却することができる。したがって、無段変速機1は、接触点P1、P2等におけるスピン損失を抑制することができ、動力の伝達効率を向上することができると共に耐久性を向上することができる。
また、無段変速機1は、接触点P1、P2だけでなくトルクカム70、トルクカム71も貯留空間部97内のオイルに浸っている状態となっているので、これらトルクカム70、トルクカム71の摺動部も適正に潤滑することができる。この点でも、動力の伝達効率を向上することができると共に耐久性を向上することができる。
以上で説明した実施形態に係る無段変速機1によれば、変速機軸60と、第1回転部材10及び第2回転部材20と、遊星ボール50と、環状貯留部90とを備える。変速機軸60は、回転中心となる。第1回転部材10及び第2回転部材20は、変速機軸60に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。遊星ボール50は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を回転中心として回転可能であり第1回転部材10及び第2回転部材20とに挟持され当該第1回転部材10と当該第2回転部材20との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。環状貯留部90は、円筒部材91と、一対の円盤部材92及び円盤部材93とを有する。円筒部材91は、筒状に形成され内側に第1回転部材10、第2回転部材20、及び、遊星ボール50を収容すると共に第1回転中心軸線R1を回転中心として回転可能である。一対の円盤部材92及び円盤部材93は、円筒部材91の両端にそれぞれ設けられ当該円筒部材91と一体回転可能である。環状貯留部90は、円筒部材91と一対の円盤部材92及び円盤部材93とによって円筒部材91の内側に形成される環状の貯留空間部97にオイルを貯留可能である。そして、一対の円盤部材92及び円盤部材93は、第1回転中心軸線R1と直交する方向に対して、内側端部が第1回転部材10と遊星ボール50との接触点P1、及び、第2回転部材20と遊星ボール50との接触点P2より第1回転中心軸線R1側に位置する。
したがって、無段変速機1は、円筒部材91、円盤部材92及び円盤部材93の回転に伴った遠心力によって貯留空間部97内に保持されるオイルにより、変速比γにかかわらず、接触点P1、P2を安定的に潤滑、冷却することができるので、適切な潤滑性能を確保することができる。この結果、無段変速機1は、潤滑を適正に行い冷却性能を向上することができるので、動力の伝達効率を向上することができる。また、無段変速機1は、潤滑を適正に行うことができるので、遊星ボール50等の転動寿命の低下を抑制することもできる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、円筒部材91は、出力フランジ21の筒状の部分を構成し、円盤部材92は、出力フランジ21の円盤状の部分を構成し、円盤部材93は、円筒部材91の端面にシール部材94、95を介して組み付けられる蓋状の部材を構成するものとして説明したがこれに限らない。円筒部材91、円盤部材92、93は、第1回転要素、第2回転要素の回転に伴って回転するものであればよく、例えば、出力フランジ21とは別体に構成されるものであってもよい。
また、以上の説明では、無段変速機1は、このケース2の内面側に、サンローラ30による遠心油送によって供給されたオイルを貯留可能であるものとして説明したが、これに限らない。オイルの供給元は、サンローラ30でなくてもよく、円筒部材91の内周面の貯留空間部97側にオイルを供給可能である構成であれば、その形式は限定されない。
1 無段変速機
10 第1回転部材(第1回転要素)
11 入力フランジ
20 第2回転部材(第2回転要素)
21 出力フランジ
21a 第1筒状部
21b 円盤部
21c 第2筒状部
30 サンローラ
40 キャリア
41 固定キャリア
42 可動キャリア
50 遊星ボール(転動部材)
51 支持軸
60 変速機軸
70、71 トルクカム
72 円環部材
80 オイルポンプ
90 環状貯留部
91 円筒部材(筒状部材)
92、93 円盤部材(環状部材)
93a 本体部
93b 突起部
94、95 シール部材
96 ボルト
97 貯留空間部
P1、P2、P3、P4 接触点
R1 第1回転中心軸線
R2 第2回転中心軸線

Claims (5)

  1. 回転中心となる変速機軸と、
    前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、
    前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、
    筒状に形成され内側に前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び、前記転動部材を収容すると共に前記第1回転中心軸線を回転中心として回転可能である筒状部材と、前記筒状部材の両端にそれぞれ設けられ当該筒状部材と一体回転可能である一対の環状部材とを有し、前記筒状部材と前記一対の環状部材とによって前記筒状部材の内側に形成される環状の貯留空間部に潤滑媒体を貯留可能である環状貯留部とを備え、
    前記一対の環状部材は、前記第1回転中心軸線と直交する方向に対して、内側端部が前記第1回転要素と前記転動部材との接触点、及び、前記第2回転要素と前記転動部材との接触点より前記第1回転中心軸線側に位置することを特徴とする、
    無段変速機。
  2. 前記第1回転要素と前記転動部材との接触点、及び、前記第2回転要素と前記転動部材との接触点は、前記貯留空間部内に位置する、
    請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記環状貯留部は、前記第1回転要素及び前記第2回転要素の回転に伴って前記筒状部材、及び、前記一対の環状部材が回転し、当該筒状部材、及び、当該一対の環状部材の回転に伴った遠心力によって、前記貯留空間部内に前記潤滑媒体を貯留可能である、
    請求項1又は請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記筒状部材は、前記第2回転要素と一体回転可能であり当該第2回転要素から動力が伝達される出力フランジの筒状の部分を構成し、
    前記一対の環状部材の一方は、前記筒状部材の一方の端面に一体形成される前記出力フランジの円盤状の部分を構成し、
    前記一対の環状部材の他方は、前記筒状部材の他方の端面にシール部材を介して組み付けられる蓋状の部材を構成し、
    前記第2回転要素は、リング状の円環部材であり、前記一対の環状部材の他方側から前記出力フランジの前記筒状部材に動力を伝達する、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無段変速機。
  5. 前記一対の環状部材の他方は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に突起した突起部を有する、
    請求項4に記載の無段変速機。
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