以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
[基本構成]
図1は、本発明の一実施形態による基本構成例のレイヤ2接続装置10(以下、「レイヤ2」を「L2」と記載する。)を用いた通信システムを示す図である。
同図に示すように、L2接続装置10は、第一ネットワークのL2スイッチ3a(第一レイヤ2スイッチ)と一つのリンクで接続し、第二ネットワークのL2スイッチ3b(第二レイヤ2スイッチ)と複数のリンクで接続する。以下では、L2スイッチ3a側(第一ネットワーク側)をLAN(Local Area Network)側、L2スイッチ3b側(第二ネットワーク側)をバルク(BULK)側と呼ぶ。なお、本実施形態では、個別リンク側であるL2スイッチ3a側をLAN側と呼ぶが、第一ネットワークをローカルネットワーク(LAN)に限定するものではなく、レイヤ2ネットワークであれば、例えば、WAN(Wide Area Network)でもかまわない。
L2スイッチ3a、及びL2スイッチ3bは、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおけるレイヤ2の物理アドレスであるMACアドレスによりパケットの転送先を判断して中継を行う送受信部(図示せず)を備えた通常のレイヤ2スイッチである。L2スイッチ3aは、第一ネットワークによりLAN側装置である装置1a(第一装置)と接続しており、L2スイッチ3bは、第二ネットワークによりバルク側装置である装置1b(第二装置)と接続している。なお、同図においては、装置1aを1台のみ示しているが、複数台が接続されていてもよい。同様に、装置1bを2台示しているが、1台または3台以上が接続されていてもよい。以下では、1台目の装置1bを装置1b−1と記載し、2台目の装置1bを装置1b−2と記載する。L2スイッチ3aの送受信部は、装置1aから受信したパケットをL2接続装置10に送信するとともに、L2接続装置10から受信したパケットを装置1aに送信する。また、L2スイッチ3bの送受信部は、装置1bから受信したパケットをL2接続装置10に送信するとともに、L2接続装置10から受信したパケットを装置1bに送信する。
本実施形態の通信システムは、帯域の増加および対障害に対する冗長を目的として、L2接続装置10が備えるバルク側の複数のリンクを有効に利用する。L2スイッチ3bには、LAGポートの設定は行なわない。
同図に示すL2接続装置10は、LANポート101(個別ポート)、バルク(bulk)ポート102−1〜102−n(nは2以上の整数)、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104(送信元物理アドレス書き換え部)、パケット識別部106、MACアドレス解決部107(第二ネットワーク発側物理アドレス解決部)、パケット転送部108、及び記憶部109を備えて構成される。以下では、n=2の場合を例にして説明する。また、バルクポート102−1〜102−nのいずれかを指してバルクポート102とも記載する。
LANポート101は、LAN側のL2スイッチ3aとの間でパケットを送受信する。各バルクポート102は、バルク側のL2スイッチ3bとの間でパケットを送受信する。なお、帯域増加の目的では、(LANポート101の通信速度)>(各バルクポート102の通信速度)である。記憶部109は、装置1aのレイヤ2よりも上位層のアドレスと、当該装置1aのMACアドレスとの対応付けを示すMACアドレステーブルを記憶する。
トラフィック分散部103は、LANポート101から入力されたパケットに設定されている情報に基づいてバルクポート102−1〜102−nの中から使用するバルクポート102を決定する。トラフィック分散部103は、SA−MAC書き換え部104に決定したバルクポート102を通知するとともに、パケットを出力する。SA−MAC書き換え部104は、パケットに設定されているL2の送信元のアドレスであるSA−MACアドレスを、トラフィック分散部103から通知されたバルクポート102のMACアドレスで書き換え、この通知されたバルクポート102に出力し、L2スイッチ3bに送信させる。
パケット識別部106は、バルクポート102から入力されたパケットの種類を識別する。パケット識別部106は、パケットの種類がMACアドレス要求パケット(物理アドレス要求パケット)であると判断した場合、MACアドレス解決部107にパケットを出力し、MACアドレス要求パケット以外であると判断した場合、パケット転送部108にパケットを出力する。MACアドレス要求パケットとは、上位層アドレスを手がかりにして、その上位層アドレスが割り当てられている装置のMACアドレスを問い合わせるためのパケットである。
MACアドレス解決部107は、MACアドレス要求パケットに、MACアドレスの問合せ対象としてLAN側の装置1aの上位層アドレスが設定されている場合、そのMACアドレス要求パケット内に設定されている情報に基づいて使用するバルクポート102を決定する。MACアドレス解決部107は、決定したバルクポート102のMACアドレスを、MACアドレス要求パケットを用いた問い合わせに対する応答のMACアドレスとして通知するためのMACアドレス応答パケット(物理アドレス応答パケット)を生成する。MACアドレス解決部107は、生成したMACアドレス応答パケットを決定したバルクポート102に出力し、L2スイッチ3bに送信させる。
パケット転送部108は、パケットに設定されている宛先の上位層アドレスに対応したMACアドレスを記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルから読み出す。装置1bには、MACアドレス解決部107が生成したMACアドレス応答パケットにより、装置1aのMACアドレスとしてバルクポート102のMACアドレスが通知されている。そのため、装置1a宛のパケットには、L2の宛先の物理アドレスであるDA−MACアドレスとして、バルクポート102のMACアドレスが設定される。そこで、パケット転送部108は、MACアドレステーブルから読み出した装置1aのMACアドレスにより、パケットのDA−MACアドレスを書き換えてLANポート101に出力し、L2スイッチ3aに送信させる。
ここでは、装置1aの上位層アドレスを「上位層A」、MACアドレスを「A」とし、装置1b−1の上位層アドレスを「上位層B1」、MACアドレスを「B1」とし、装置1b−2の上位層アドレスを「上位層B2」、MACアドレスを「B2」とする。また、バルクポート102−1のMACアドレスを「X」、バルクポート102−2のMACアドレスを「Y」とする。
図2は、図1に示すL2接続装置10のハードウエア構成例を示す図である。同図に示すように、L2接続装置10は、CPU51、DRAM(Dynamic Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)53、LANインタフェース(LAN I/F)54、及びバルクインタフェース(bulk I/F)55−1〜55−n(同図においては、n=2)をバス56で接続した構成からなる。
CPU51は、DRAM52やROM53からプログラムを読み出して各部を制御し、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104、パケット識別部106、MACアドレス解決部107、及びパケット転送部108を実現する。DRAM52は、LAN側へ送受信するパケット及びバルク側へ送受信するパケットの送信バッファ及び受信バッファを実現する。また、DRAM52は、プログラムを格納するとともに、テーブルデータなどを格納しており、記憶部109を実現する。ROM53は、起動プログラムや、処理プログラム、各種設定情報を記憶する。LANインタフェース54は、LANポート101を実現する。バルクインタフェース55−i(iは1以上n以下の整数)は、バルクポート102−iを実現する。バス56は、CPU51、DRAM52などの各モジュール間のデータのやりとりをする。
なお、本基本構成例では、CPU51がプログラムを読み出して実行することにより、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104、パケット識別部106、MACアドレス解決部107、パケット転送部108を実現しているが、これらの機能部をFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウエアにより実現してもよい。
続いて、パケットのフィールド構成について説明する。
図3は、MACアドレス要求パケットのフィールド構成を示す図である。同図に示すように、MACアドレス要求パケットは、DA−MACアドレス、SA−MACアドレス、目的上位層アドレス、目的MACアドレス、送信元上位層アドレス、及び送信元MACアドレスのフィールドを含む。
DA−MACアドレスは、L2の宛先MACアドレスであり、MACアドレス要求パケットでは、ブロードキャストを示すMACアドレスが設定される。SA−MACアドレスは、L2の送信元MACアドレスであり、MACアドレス要求パケットを送信した装置のMACアドレスが設定される。目的MACアドレスは、MACアドレス要求パケットの宛先となる装置のMACアドレスであり、何も設定されないかデフォルトの値が設定される。目的上位層アドレスは、MACアドレス要求パケットの宛先の装置の上位層アドレスが設定される。送信元上位層アドレス、送信元MACアドレスにはそれぞれ、MACアドレス要求パケットを送信した装置の上位層アドレス、MACアドレスが設定される。
MACアドレス応答パケットのフィールド構成も、MACアドレス要求パケットのフィールド構成と同じである。ただし、DA−MACアドレス及び目的MACアドレスには、MACアドレス応答パケットの宛先の装置のMACアドレスが設定され、目的上位層アドレスには、MACアドレス応答パケットの宛先の装置の上位層アドレスが設定される。また、SA−MACアドレス及び送信元MACアドレスには、MACアドレス応答パケットの送信元の装置のMACアドレスが設定され、送信元上位層アドレスには、MACアドレス応答パケットの送信元の装置の上位層アドレスが設定される。
図4は、MACアドレス要求パケット及びMACアドレス応答パケット以外のパケットである通信パケットのフィールド構成例を示す図である。同図に示すように、通信パケットは、DA−MACアドレス、SA−MACアドレス、DA−上位層アドレス、SA−上位層アドレス、プロトコル(PROTOCOL)、DA−PORT(宛先ポート)、SA−PORT(送信元ポート)、及びデータ(DATA)のフィールドを含む。
DA−MACアドレス、DA−上位層アドレスにはそれぞれ、宛先の装置のMACアドレス、上位層アドレスが設定される。SA−MACアドレス、SA−上位層アドレスにはそれぞれ、送信元の装置のMACアドレス、上位層アドレスが設定される。プロトコルは、上位層のプロトコルのタイプを示す。DA−PORTには、宛先の装置の受信ポートが設定され、SA−PORTには、送信元の装置の送信ポートが設定される。データのフィールドには、アプリケーションが使用するデータなど、上位層のデータが設定される。
次に、通信システムの動作について説明する。
図5は、L2接続装置10によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。
装置1aが、いずれかの装置1b宛にパケットを送信する。L2スイッチ3aは、装置1aから受信したパケットをL2接続装置10に出力する。L2接続装置10のLANポート101は、受信したパケットをトラフィック分散部103に出力する(ステップS1005)。トラフィック分散部103は、受信したパケットに設定されている情報(例えば、DA−MACアドレス、DA−上位層アドレス、SA−MACアドレス、SA−上位層アドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上)を用いた所定の規則により、出力先のバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する(ステップS1010)。
トラフィック分散部103は、SA−MAC書き換え部104に決定した出力先のバルクポート102を通知するとともに、パケットを出力する。SA−MAC書き換え部104は、パケットのSA−MACアドレスに設定されている装置1aのMACアドレスを、決定されたバルクポート102に割り当てられているMACアドレスに書き換え(ステップS1015)、この決定されたバルクポート102に出力する(ステップS1020)。SA−MAC書き換え部104からパケットが入力されたバルクポート102は、この入力されたパケットをL2スイッチ3bに送信する。L2スイッチ3bは、L2接続装置10から受信したパケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
図6は、L2接続装置10によるバルク側発パケットの受信処理フローを示す図である。
装置1bが、装置1aのMACアドレスを問い合わせるために、目的上位層アドレスに装置1aの上位層アドレスを設定したMACアドレス要求パケットを送信する。L2スイッチ3bは、装置1bから受信したMACアドレス要求パケットをL2接続装置10に出力する。L2接続装置10のバルクポート102は、L2スイッチ3bからMACアドレス要求パケットを受信し、受信したMACアドレス要求パケットをパケット識別部106に出力する。パケット識別部106は、バルクポート102から入力されたパケットの種類を識別する(ステップS1110)。
パケット識別部106は、パケットの種類がMACアドレス要求パケットであると判断すると(ステップS1110:MACアドレス要求パケット)、MACアドレス解決部107にこのMACアドレス要求パケットを出力する。MACアドレス解決部107は、MACアドレス要求パケットからMACアドレスの問合せ対象の目的上位層アドレスを取得し、取得した目的上位層アドレスにより記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルを検索する(ステップS1115)。
MACアドレス解決部107は、目的上位層アドレスがMACアドレステーブルに登録されていると判断した場合(ステップS1120:YES)、MACアドレス要求パケットに設定されている目的上位層アドレスと送信元上位層アドレスとに基づき、所定の規則に従って、代理応答によりMACアドレス応答パケットを返送するバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する(ステップS1125)。所定の規則は、例えば、目的上位層アドレスと送信元上位層アドレスの組み合わせに対応して予め使用するバルクポート102を決定しておくものでもよく、目的上位層アドレスと送信元上位層アドレスの組み合わせに所定の演算を行った結果から使用するバルクポート102を決定するものでもよい。なお、これらの例に限定されず、目的上位層アドレスと送信元上位層アドレスとを用いた任意の規則を使用することができる。
MACアドレス解決部107は、SA−MACアドレス及び送信元MACアドレスに、決定したバルクポート102のMACアドレスを設定したMACアドレス応答パケットを生成する(ステップS1130)。なお、MACアドレス応答パケットのDA−MACアドレスには、MACアドレス要求パケットのSA−MACアドレスが設定され、目的上位層アドレス、目的MACアドレス、及び送信元上位層アドレスにはそれぞれ、MACアドレス要求パケットの送信元上位層アドレス、送信元MACアドレス、及び目的上位層アドレスが設定される。
MACアドレス解決部107は、ステップS1125で決定したバルクポート102に、生成したMACアドレス応答パケットを出力する。MACアドレス応答パケットの入力を受けたバルクポート102は、この入力されたMACアドレス応答パケットをL2スイッチ3bに送信する(ステップS1135)。L2スイッチ3bは、L2接続装置10から受信したMACアドレス応答パケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
なお、ステップS1120において、MACアドレス解決部107は、目的上位層アドレスがMACアドレステーブルに登録されていないと判断した場合(ステップS1120:NO)、処理を終了する。
続いて、装置1bが、装置1a宛に通信パケットを送信する。通信パケットのDA−MACアドレスには、MACアドレス応答パケットにより通知されたバルクポート102のMACアドレスが設定される。L2スイッチ3bは、装置1bから受信した通信パケットをL2接続装置10に出力する。L2接続装置10のバルクポート102は、L2スイッチ3bから通信パケットを受信し、パケット識別部106に出力する(ステップS1105)。パケット識別部106は、パケットの種類がMACアドレス要求パケット以外であると判断すると(ステップS1110:MACアドレス要求パケット以外)、パケット転送部108に通信パケットを出力する。パケット転送部108は、通信パケットからDA−上位層アドレスを取得し、取得したDA−上位層アドレスで記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルを検索する(ステップS1140)。
パケット転送部108は、DA−上位層アドレスがMACアドレステーブルに登録されていると判断した場合(ステップS1145:YES)、DA−上位層アドレスに対応した装置1aのMACアドレスをMACアドレステーブルから読み出す。パケット転送部108は、受信した通信パケットのDA−MACアドレスを、MACアドレステーブルから読み出した装置1aのMACアドレスに書き換えて(ステップS1150)、LANポート101に出力する(ステップS1155)。LANポート101は、パケット転送部108から入力された通信パケットをL2スイッチ3aに出力する。L2スイッチ3aは、L2接続装置10から受信した通信パケットを装置1a(第一ネットワーク)に送信する。
なお、ステップS1145において、パケット転送部108は、通信パケットに設定されているDA−上位層アドレスがMACアドレステーブルに登録されていないと判断した場合(ステップS1145:NO)、通信パケットを破棄する。
図7は、装置1a(LAN側)が装置1b−1(バルク側)宛に送信した通信パケットP11と、L2接続装置10において書き換えられた通信パケットP12の設定例を示す図である。
装置1aが装置1b−1宛てに送信した通信パケットP11のDA−MACアドレスには装置1b−1のMACアドレス「B1」が設定され、SA−MACアドレスには装置1aのMACアドレス「A」が設定される。また、DA−上位層アドレスには装置1b−1の上位層アドレス「上位層B1」が設定され、SA−上位層アドレスには装置1aの上位層アドレス「上位層A」が設定される。
L2接続装置10は、L2スイッチ3aから受信した通信パケット内の情報を用いて出力先のバルクポート102を決定する(図5、ステップS1010)。L2接続装置10は、決定したバルクポート102−1に割り当てられたMACアドレス「X」(またはバルクポート102−2に割り当てられたMACアドレス「Y」)により、通信パケットP11のSA−MACアドレスを書き換え(図5、ステップS1015)、決定されたバルクポート102−1(またはバルクポート102−2)から通信パケットP12を出力する(図5、ステップS1020)。以降、装置1b−1などが装置1a宛に送信する通信パケットのDA−MACアドレスには、MACアドレス「X」(または「Y」)が設定される。
図8は、装置1b−1(バルク側)が装置1a(LAN側)のMACアドレスを問い合わせるために送信したMACアドレス要求パケットP13と、L2接続装置が代理応答するMACアドレス応答パケットP14の設定例を示す図である。
装置1b−1が送信したMACアドレス要求パケットP13のSA−MACアドレス及び送信元MACアドレスには装置1b−1のMACアドレス「B1」が設定され、送信元上位層アドレスには装置1b−1の上位層アドレス「上位層B1」が設定され、目的上位層アドレスには装置1aの上位層アドレス「上位層A」が設定される。
L2接続装置10は、L2スイッチ3bから受信したMACアドレス要求パケットP13の目的上位層アドレス「上位層A」によりMACアドレステーブルを検索する(図6、ステップS1115)。目的上位層アドレス「上位層A」がMACアドレステーブルに登録されており、装置1aがLAN側に存在する場合(図6、ステップS1120:YES)、L2接続装置10は、装置1aのMACアドレス「A」の代わりに、バルクポート102のMACアドレスによりMACアドレス応答を行う(図6、ステップS1130〜S1135)。つまり、MACアドレス応答パケットのSA−MACアドレス、及び、送信元MACアドレスには、MACアドレス要求パケットの目的上位層アドレスと送信元上位層アドレスの組に基づいて決定されたバルクポート102−1のMACアドレス「X」(またはバルクポート102−2のMACアドレス「Y」)が設定される。これにより、MACアドレス要求パケットP13を受信したバルク側の各装置は、装置1aのMACアドレスを「X」(または「Y」)として認識する。以降、装置1b−1などが装置1a宛に送信する通信パケットのDA−MACアドレスには、MACアドレス「X」(または「Y」)が設定される。
図9は、装置1b−1(バルク側)が装置1a(LAN側)宛に送信した通信パケットP15と、L2接続装置10において書き換えられた通信パケットP16の設定例を示す図である。
上述したように、装置1b−1には、MACアドレス要求パケットP13によって装置1aのMACアドレスを問い合わせた際に、MACアドレス応答パケットP14によりバルクポート102のMACアドレス「X」(または「Y」)が通知されている。そのため、装置1b−1が装置1a宛てに送信した通信パケットP15のDA−MACアドレスには、バルクポート102のMACアドレス「X」(または「Y」)が設定され、DA−上位層アドレスには装置1aの上位層アドレス「上位層A」が設定される。
L2接続装置10は、L2スイッチ3bから受信した通信パケットP15のDA−上位層アドレス「上位層A」によりMACアドレステーブルを検索する(図6、ステップS1140)。L2接続装置10は、DA−上位層アドレス「上位層A」がMACアドレステーブルに登録されている場合(図6、ステップS1145:YES)、対応するMACアドレス「A」を読み出す。L2接続装置10は、DA−MACアドレスを、現在設定されているバルクポート102のMACアドレス「X」(または「Y」)から、読み出したMACアドレス「A」に書き換えた通信パケットP16を、LANポート101から送信する(図6、ステップS1150〜S1155)。
以上説明したように、L2接続装置10は、LAN側装置からバルク側装置宛の通信パケットを受信した場合、使用するバルクポート102を決定する。L2接続装置10は、決定したバルクポート102のMACアドレスにより、LAN側装置のMACアドレスが設定されているSA−MACアドレスを書き換え、決定したバルクポート102から通信パケットを送信する。
一方、L2接続装置10は、バルク側からLAN側装置に対するMACアドレス要求パケットを受信した場合、MACアドレス応答パケットを返送するバルクポート102を決定する。L2接続装置10は、決定したバルクポート102に割り当てられたMACアドレスを用いてMACアドレス応答パケットを返送する代理応答を行う。
また、L2接続装置10は、バルク側からLAN側装置宛の通信パケットを受信した場合、DA−MACアドレスに設定されているバルクポート102のMACアドレスを、宛先のLAN側装置のMACアドレスに書き換え、LANポート101から送信する。
図10は、上述したL2接続装置10を用いた通信システムの他のネットワーク構成例を示す図である。同図に示すように、L2スイッチ3bとの間に、他のL2スイッチ3cを経由した構成とすることが可能である。
また、図11は、上述したL2接続装置10を用いた通信システムのさらに他のネットワーク構成例を示す図である。同図に示すように、L2接続装置10のバルク側の複数のリンクと接続されるL2スイッチを、相互に接続された複数台のL2スイッチ3b−1〜3b−m(mは2以上n以下の整数、同図においてはm=2)とすることも可能である。また、バルク側のリンクの品質は、均一でなくともよい。
上述したように本基本構成例においては、複数のリンク(バルク側)に接続された一方をL2接続装置10とし、もう一方を通常のL2スイッチにより構成することができ、L2接続装置10と接続されるL2スイッチにおいて、LAGポートを設定する必要がない。また、L2接続装置10は、バルク側と複数のL2スイッチと接続することができる。なお、L2接続装置10と、バルク側のL2スイッチは直結とすることもでき、他のL2スイッチを経由して接続することも可能となる。そして、L2接続装置10と、バルク側に接続された通常のL2スイッチとの間の複数のリンクは、速度やディレイなどの品質が異なっていてもよい。
以下、上述した基本構成に基づいた各実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
本実施形態では、上位層をIPv4(Internet Protocol version4)とする。また、本実施形態では、L2接続装置は代理応答を行なわない。
図12は、本実施形態によるL2接続装置11を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図1に示す基本構成のL2接続装置10と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置11は、LANポート101、バルクポート102−1〜102−n(同図においてはn=2)、LAN発側パケット識別部111、LAN発側MACアドレス解決部112(第一ネットワーク発側物理アドレス解決部)、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104、バルク(bulk)発側パケット識別部116、バルク発側MACアドレス解決部117、パケット転送部108、及び記憶部109を備えて構成される。
LAN発側パケット識別部111は、LANポート101から受信したパケットの種類を識別する。LAN発側パケット識別部111は、パケットの種類がARP(Address Resolution Protocol)パケットの場合、LAN発側MACアドレス解決部112に当該パケットを出力する。ARPパケットには、IPv4においてMACアドレス要求パケットとして使用されるARP要求パケット、IPv4においてMACアドレス応答パケットとして使用されるARP応答パケットがある。パケットの種類がIPv4において通信パケットとして使用されるIPv4パケットである場合、LAN発側パケット識別部111は、トラフィック分散部103に当該パケットを出力する。
LAN発側MACアドレス解決部112は、LAN発側パケット識別部111から入力されたARPパケットに設定されている情報に基づいて、使用するバルクポート102を決定する。LAN発側MACアドレス解決部112は、決定したバルクポート102のMACアドレスにより、ARPパケットに設定されている装置1aのMACアドレスを書き換えて決定したバルクポート102に出力し、L2スイッチ3bに送信させる。
バルク発側パケット識別部116は、バルクポート102から受信したパケットの種類を識別する。パケットの種類がARPパケットである場合、バルク発側パケット識別部116はバルク発側MACアドレス解決部117に当該パケットを出力する。パケットの種類がIPv4パケットである場合、バルク発側パケット識別部116は、当該パケットをパケット転送部108に出力する。
バルク発側MACアドレス解決部117は、入力されたパケットがARP要求パケットである場合、そのままLANポート101に出力し、L2スイッチ3aに送信させる。一方、入力されたパケットがARP応答パケットである場合、バルク発側MACアドレス解決部117は、ARP応答パケットに設定されている装置1aのIPアドレスを取得する。バルク発側MACアドレス解決部117は、取得したIPアドレスにより、記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルから装置1aのMACアドレスを読み出す。バルク発側MACアドレス解決部117は、ARP応答パケットに設定されているバルクポート102のMACアドレスを、読み出した装置1aのMACアドレスに書き換えてLANポート101に出力し、L2スイッチ3aに送信させる。
ここでは、装置1aのIPアドレスを「IP−A」、装置1b−1のIPアドレスを「IP−B1」、装置1b−2のIPアドレスを「IP−B2」とする。
L2接続装置11のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部111、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104、バルク発側パケット識別部116、バルク発側MACアドレス解決部117、及びパケット転送部108を実現する。
続いて、パケットのフィールド構成について説明する。
ARP要求パケットは、図3に示すMACアドレス要求パケットと同様のフィールド構成である。また、IPv4においてMACアドレス応答パケットとして使用されるARP応答パケットも、ARP要求パケットと同様のフィールド構成である。ただし、目的上位層アドレス、目的MACアドレス、送信元上位層アドレス、送信元MACアドレスはそれぞれ、ターゲットIPアドレス(targetIP)、ターゲットMACアドレス(targetMAC)、センダIPアドレス(senderIP)、センダMACアドレス(senderMAC)となる。
また、IPv4の通信パケットであるIPv4パケットは、図4に示す通信パケットと同様のフィールド構成である。ただし、DA−上位層アドレス、SA−上位層アドレスはそれぞれ、宛先の装置のIPアドレスを示すDA−IPアドレス、送信元の装置のIPアドレスを示すSA−IPアドレスとなる。
次に、本実施形態の通信システムの動作について説明する。
図13は、L2接続装置11によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。
装置1aが、装置1bのMACアドレスを問い合わせるARP要求パケットを送信した場合、L2スイッチ3aは、装置1aから受信したARP要求パケットをL2接続装置11に出力する。L2接続装置11のLANポート101は、受信したARP要求パケットをLAN発側パケット識別部111に出力する(ステップS1205)。LAN発側パケット識別部111は、LANポート101から入力されたパケットの種類を識別する(ステップS1210)。
LAN発側パケット識別部111は、パケットの種類がARPパケットであると判断すると(ステップS1210:ARPパケット)、LAN発側MACアドレス解決部112に受信したARP要求パケットを出力する。LAN発側MACアドレス解決部112は、ARP要求パケットに設定されている装置1aのセンダIPアドレス及びセンダMACアドレスの組が、記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルに未登録であれば、登録する(ステップS1215)。なお、登録済みであっても、LAN発側MACアドレス解決部112は、センダIPアドレスに対応してMACアドレステーブルに現在登録されているMACアドレスをセンダMACアドレスによって更新してもよい。
続いてLAN発側MACアドレス解決部112は、ARP要求パケットに設定されているセンダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組を用いた所定の規則に基づいて、ARP要求パケットの出力先となるバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する(ステップS1220)。
LAN発側MACアドレス解決部112は、装置1aのMACアドレスが設定されているARP要求パケットのSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスを、決定したバルクポート102のMACアドレスに書き換え(ステップS1225)、決定したバルクポート102に出力する(ステップS1230)。LAN発側MACアドレス解決部112からARP要求パケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたARP要求パケットをL2スイッチ3bに送信する。L2スイッチ3bは、ARP要求パケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
一方、装置1aが、装置1b宛のARP応答パケットを送信した場合、L2スイッチ3aは、装置1aから受信したARP応答パケットをL2接続装置11に出力する。L2スイッチ3aは、装置1aから受信したARP応答パケットをL2接続装置11に出力する。L2接続装置11は、L2スイッチ3aから受信したARP応答パケットについて、上述したARP要求パケットの受信時と同様の処理を行う。
ARP応答パケットの受信時のステップS1220におけるポート決定方法は、ARP要求パケットの受信時の場合と同一とする。これは、ARP要求パケットとARP応答パケットで同じバルクポート102が決定されないと、一つのIPアドレスに対してMACアドレスが異なってしまい、バルク側の各装置においてアドレステーブル更新が頻発する問題が発生してしまうためである。
なお、ステップS1215におけるMACアドレステーブルの登録処理は、ARP応答パケット受信時のみ、あるいは、ARP要求パケット受信時のみ行なってもよく、ARP応答パケット受信時とARP要求パケット受信時の両方で行ってもよい。また、手動により、装置1aのIPアドレスとMACアドレスの組をMACアドレステーブルに登録してもよい。
装置1aが、装置1b宛にIPv4パケットを送信した場合、L2スイッチ3aは、装置1aから受信したIPv4パケットをL2接続装置11に出力する。L2接続装置11のLANポート101は、受信したIPv4パケットをLAN発側パケット識別部111に出力する(ステップS1205)。LAN発側パケット識別部111は、パケットの種類がIPv4パケットであると判断すると(ステップS1210:IPv4パケット)、トラフィック分散部103にIPv4パケットを出力する。トラフィック分散部103は、入力されたIPv4パケットに設定されている情報、例えば、DA−MACアドレス、DA−IPアドレス、SA−MACアドレス、SA−IPアドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上を用いた所定の規則により、出力先のバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する(ステップS1235)。
トラフィック分散部103は、SA−MAC書き換え部104にIPv4パケットを出力するとともに、決定した出力先のバルクポート102を通知する。SA−MAC書き換え部104は、装置1aのMACアドレスが設定されているIPv4パケットのSA−MACアドレスを、決定されたバルクポート102のMACアドレスに書き換え(ステップS1240)、この決定されたバルクポート102に出力する(ステップS1230)。SA−MAC書き換え部104からIPv4パケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたIPv4パケットをL2スイッチ3bに送信する。L2スイッチ3bは、L2接続装置11から受信したIPv4パケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
ステップS1235におけるポート決定方法は、DA−MACアドレス、DA−上位層アドレス、SA−MACアドレス、SA−上位層アドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上から決まる一つの装置間通信路であるカンバセーションごとに、出力先のバルクポート102を決定することが望ましい。これは、一つのカンバセーションの出力先ポートを複数にした場合、帯域を有効に利用できる半面、カンバセーション内のパケットの順序が入れ替わるという問題が発生するためである。なお、このステップS1235におけるポート決定方法では、パケットのデータ部もさらに含めて分散を行うように出力先のバルクポート102を決定してもよい。これにより、パケットの順序が問題にならないときに限り、例えば、カンバセーションが一つしか存在しない場合や、複数のうち一つのカンバセーションで帯域を多く使用したい場合などに、帯域を有効に利用できる可能性が高まる。
図14は、L2接続装置11によるバルク側発パケットの受信処理フローを示す図である。
図13のLAN側発パケットの受信処理フローによって、装置1aが送信したARP要求パケットを受信した装置1bは、ARP応答パケットを送信する。このARP応答パケットのターゲットMACアドレス及びDA−MACアドレスには、ARP要求パケットのセンダMACアドレス及びSA−MACアドレスが設定される。L2スイッチ3bは、装置1bから受信したARP応答パケットをL2接続装置11に出力する。
L2接続装置11のバルクポート102は、L2スイッチ3bからARP応答パケットを受信し、受信したARP応答パケットをバルク発側パケット識別部116に出力する(ステップS1305)。バルク発側パケット識別部116は、バルクポート102から入力されたパケットの種類を識別する(ステップS1310)。
バルク発側パケット識別部116は、パケットの種類がARPパケットであると判断すると(ステップS1310:ARPパケット)、バルク発側MACアドレス解決部117にARP応答パケットを出力する。バルク発側MACアドレス解決部117は、入力されたパケットがARP応答パケットである場合(ステップS1315:YES)、ARP応答パケットから取得したターゲットIPアドレスで記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルを検索する(ステップS1320)。
バルク発側MACアドレス解決部117は、ターゲットIPアドレスがMACアドレステーブルに登録されていると判断した場合(ステップS1325:YES)、ターゲットIPアドレスに対応した装置1aのMACアドレスをMACアドレステーブルから読み出す。バルク発側MACアドレス解決部117は、ARP応答パケットのターゲットMACアドレス及びDA−MACアドレスを、読み出したMACアドレスに書き換えて(ステップS1330)、LANポート101に出力する(ステップS1335)。LANポート101は、バルク発側MACアドレス解決部117から入力されたARP応答パケットをL2スイッチ3aに出力する。L2スイッチ3aは、ARP応答パケットを装置1a(第一ネットワーク)に送信する。
なお、ステップS1325において、バルク発側MACアドレス解決部117が、ターゲットIPアドレスがMACアドレステーブルに登録されていないと判断した場合(ステップS1325:NO)、処理を終了する。
また、装置1bが、装置1aのMACアドレスを問い合わせるためのARP要求パケットを送信した場合、L2スイッチ3bは、装置1bからARP要求パケットを受信してL2接続装置11に出力する。このとき、L2スイッチ3bは、全てのバルクポート102にARP要求パケットをブロードキャストにより送信するため、L2接続装置11は、ブロードキャストによって送信されたパケットを受信するバルクポート102を予め1つのみ決めておく。
L2接続装置11のバルクポート102は、L2スイッチ3bから受信したARP要求パケットをバルク発側パケット識別部116に出力する。バルク発側パケット識別部116は、パケットの種類がARPパケットであると判断すると(ステップS1310:ARPパケット)、バルク発側MACアドレス解決部117に当該ARP要求パケットを出力する。バルク発側MACアドレス解決部117は、パケットの種類がARP要求パケットであると判断すると(ステップS1315:NO)、ARP要求パケットをそのままLANポート101に出力する(ステップS1335)。LANポート101は、バルク発側MACアドレス解決部117から入力されたARP要求パケットをL2スイッチ3aに出力する。L2スイッチ3aは、ARP要求パケットを装置1a(第一ネットワーク)に送信する。
上記によりARP要求パケットを受信した装置1aは、ARP応答パケットを返送する。図13に示すLAN側発パケットの受信処理フローにより、装置1aが送信したARP応答パケットが装置1bに送信される。続いて装置1bは、装置1a宛にIPv4パケットを送信する。IPv4パケットのDA−MACアドレスには、ARP応答パケットにより通知されたバルクポート102のMACアドレスが設定される。
L2接続装置11のバルクポート102は、L2スイッチ3bからIPv4パケットを受信し、受信したIPv4パケットをバルク発側パケット識別部116に出力する(ステップS1305)。バルク発側パケット識別部116は、入力されたパケットの種類がIPv4パケットであると判断すると(ステップS1310:IPv4パケット)、当該IPv4パケットをパケット転送部108に出力する。
パケット転送部108は、IPv4パケットから取得した宛先IPアドレスで記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルを検索する(ステップS1340)。パケット転送部108は、宛先IPアドレスがMACアドレステーブルに登録されていると判断した場合(ステップS1345:YES)、宛先IPアドレスに対応した装置1aのMACアドレスをMACアドレステーブルから読み出す。パケット転送部108は、受信したIPv4パケットのDA−MACアドレスを、読み出した装置1aのMACアドレスに書き換えて(ステップS1350)、LANポート101に出力する(ステップS1355)。LANポート101は、パケット転送部108から入力されたIPv4パケットをL2スイッチ3aに出力する。L2スイッチ3aは、IPv4パケットを装置1a(第一ネットワーク)に送信する。
なお、ステップS1345において、パケット転送部108が、宛先IPアドレスがMACアドレステーブルに登録されていないと判断した場合(ステップS1345:NO)、処理を終了する。
図15は、装置1aが装置1bのアドレスを問い合わせるために送信したARP要求パケットP21と、L2接続装置11において書き換えられたARP要求パケットP22を示す図である。
装置1aが送信したARP要求パケットP21のDA−MACアドレスにはブロードキャストが設定され、SA−MACアドレス及びセンダMACアドレスには装置1aのMACアドレス「A」が設定される。また、ターゲットIPアドレスには装置1bのIPアドレスが設定され、センダIPアドレスには装置1aのIPアドレス「IP−A」が設定される。
L2接続装置11は、L2スイッチ3aからARP要求パケットP21を受信すると、センダIPアドレス「IP−A」及びセンダMACアドレス「A」の組をMACアドレステーブルに登録する(図13、ステップS1215)。さらに、L2接続装置11は、ARP要求パケットの出力先となるバルクポート102を決定する(図13、ステップS1220)。L2接続装置11は、決定したバルクポート102に割り当てられたMACアドレス(「X」または「Y」)により、ARP要求パケットP21のSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスを書き換えたARP要求パケットP22を、決定されたバルクポート102から出力する(図13、ステップS1225、ステップS1230)。
図16は、装置1bが装置1a宛に送信したARP応答パケットP23と、L2接続装置11において書き換えられたARP応答パケットP24を示す図である。
装置1bは、図15に示すARP要求パケットP22を受信すると、ARP応答パケットP23を送信する。このARP応答パケットP23のDA−MACアドレス及びターゲットMACアドレスにはARP要求パケットP22で通知されたSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスであるMACアドレス(「X」または「Y」)が設定され、SA−MACアドレス及びセンダMACアドレスには装置1bのMACアドレスが設定される。また、ターゲットIPアドレスには装置1aのIPアドレス「IP−A」が設定され、センダIPアドレスには装置1bのIPアドレスが設定される。
L2接続装置11は、L2スイッチ3bから受信したARP応答パケットP23のターゲットIPアドレス「IP−A」によりMACアドレステーブルを検索し、対応するMACアドレス「A」を読み出す。L2接続装置11は、DA−MACアドレス及びターゲットMACアドレスに現在設定されているバルクポート102のMACアドレス(「X」または「Y」)を、読み出したMACアドレス「A」に書き換えたARP応答パケットP24をLANポート101から送信する(図14、ステップS1330〜S1335)。
図17は、装置1aが装置1bに送信したIPv4パケットP25と、L2接続装置11において書き換えられたIPv4パケットP26を示す図である。
装置1aが装置1b宛てに送信したIPv4パケットP25のDA−MACアドレスには装置1bのMACアドレスが設定され、SA−MACアドレスには装置1aのMACアドレス「A」が設定される。また、DA−IPアドレスには装置1bのIPアドレスが設定され、SA−IPアドレスには装置1aのIPアドレス「IP−A」が設定される。
L2接続装置11は、L2スイッチ3aから受信したIPv4パケットP25内の情報から、使用するバルクポート102を決定する(図13、ステップS1235)。L2接続装置11は、決定したバルクポート102に割り当てられたMACアドレス(「X」または「Y」)によりIPv4パケットP25のSA−MACアドレスを書き換えたIPv4パケットP26を、決定されたバルクポート102から出力する(図13、ステップS1240、ステップS1230)。
図18は、装置1aが装置1b宛に送信したARP応答パケットP27と、L2接続装置11において書き換えられたARP応答パケットP28を示す図である。
装置1aは、装置1bからARP要求パケットを受信すると、同図に示すARP応答パケットP27を送信する。ARP応答パケットP27のDA−MACアドレス及びターゲットMACアドレスには、装置1bのMACアドレスが設定され、SA−MACアドレス及びセンダMACアドレスには装置1aのMACアドレス「A」が設定される。また、ターゲットIPアドレスには装置1bのIPアドレスが設定され、センダIPアドレスには装置1aのIPアドレス「IP−A」が設定される。
L2接続装置11は、L2スイッチ3aから受信したARP応答パケットP27のセンダIPアドレス「IP−A」及びセンダMACアドレス「A」の組をMACアドレステーブルに登録する(図13、ステップS1215)。続いて、L2接続装置11は、ARP応答パケットの出力先となるバルクポート102を決定する(図13、ステップS1220)。L2接続装置11は、決定したバルクポート102に割り当てられたMACアドレス(「X」または「Y」)により、ARP応答パケットP27のSA−MACアドレス及びセンダMACアドレス(送信元MACアドレス)を書き換え、決定されたバルクポート102からARP応答パケットP28を出力する(図13、ステップS1230)。
図19は、装置1bが装置1a宛に送信したIPv4パケットP29と、L2接続装置11において書き換えられたIPv4パケットP30を示す図である。同図では、装置1b−1がIPv4パケットP29を送信した場合について示している。
装置1b−1には、MACアドレス要求パケットによって装置1aのMACアドレスを問い合わせた際に、ARP応答パケットP28によりバルクポート102のMACアドレスが通知されている。そのため、装置1b−1が装置1a宛てに送信したIPv4パケットP29のDA−MACアドレスには、その通知されたバルクポート102のMACアドレス(「X」または「Y」)が設定され、DA−IPアドレスには装置1aのIPアドレス「IP−A」が設定される。また、SA−MACアドレス、SA−IPアドレスにはそれぞれ、装置1b−1のMACアドレス「B1」、IPアドレス「IP−B1」が設定される。
L2接続装置11は、L2スイッチ3bから受信したIPv4パケットP29のDA−IPアドレス「IP−A」によりMACアドレステーブルを検索し、対応するMACアドレス「A」を読み出す。L2接続装置11は、DA−MACアドレスを、現在設定されているバルクポート102のMACアドレス(「X」または「Y」)から、読み出したMACアドレス「A」に書き換えたIPv4パケットP30をLANポート101から送信する(図14、ステップS1350、S1335)。
上述したように、本実施形態では、装置1aと装置1bがIPv4により通信しているが、L2ネットワークがイーサネット(登録商標)の場合、10Mbps(メガビット毎秒)、100Mbps、1Gbps(ギガビット毎秒)、10Gbpsのように、速度は10倍刻みになっている。そのため、利用したい速度がこれらの速度の間の中間速度、例えば、200Mbpsの場合、100Mbpsでは不足である一方、1Gbpsでは速度は十分であるが回線費用が多くかかりすぎるという問題がある。この場合、100Mbps回線を2本使用すれば、費用を抑えて必要な速度を得ることができる。
しかし、ユーザ側のL2スイッチ3aと、ネットワークサービスプロバイダ(NSP)側のL2スイッチ3bに2本の100Mbps回線を引いて接続すると、パケットのループやフラッディングが発生し正常な通信が行えない。これを回避するためには、NSP側のL2スイッチ3bとユーザ側のL2スイッチ3aの間でLAGを組む必要がある。ところが、NSP側でLAGを使用したサービスを提供していない、L2スイッチ3bがLAGをサポートしていない、あるいは、L2スイッチ3bとL2スイッチ3aとの相互接続性が問題になる、など理由から、LAGを利用できない場合が多くある。
このような場合に、NSP側のL2スイッチ3bではLAGを使用せずに通常ポートの2回線を利用し、本実施形態のL2接続装置11と接続することにより、装置1aと装置1b間の帯域を200Mbpsに増強することができる。
また、バルク側からLAN側方向のパケットについては、IPアドレスのペア(LAN側の装置1aとバルク側の装置1bのIPアドレスの組)によって、バルクポートの選択が行われる。よって、IPアドレスペアの数が多ければ、きめ細かくバルクポート102への割り当てを制御することで、複数リンクを有効に利用できる。
一方、LAN側からバルク側方向のパケットについては、MACアドレス、IPアドレス、プロトコル、ポート番号などによりバルクポート102の振り分けを行う。これにより、IPアドレスペアの数によらず複数のバルクポートを有効に利用することができる。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態ではL2接続装置が代理応答を行わない場合について説明したが、本実施形態では代理応答を行なう。以下、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
図20は、本実施形態によるL2接続装置12を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図12に示す第1の実施形態のL2接続装置11と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置12が、図12に示すL2接続装置11と異なる点は、バルク発側MACアドレス解決部117に代えて、バルク発側MACアドレス解決部127を備える点である。
バルク発側MACアドレス解決部127は、入力されたパケットがARP応答パケットである場合、第1の実施形態のバルク発側MACアドレス解決部117と同様に処理する。一方、LAN側の装置1aのIPアドレスを問い合わせるARP要求パケットを受信した場合、バルク発側MACアドレス解決部127は、使用するバルクポート102を決定し、決定したバルクポート102のMACアドレスを通知するARP応答パケットを生成する。バルク発側MACアドレス解決部127は、決定したバルクポート102に生成したARP応答パケットを出力し、L2スイッチ3bに送信させる。
L2接続装置12のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部111、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104、バルク発側パケット識別部116、バルク発側MACアドレス解決部127、及びパケット転送部108を実現する。
本実施形態のL2接続装置12によるLAN側発パケットの受信処理フローは、図13に示す第1の実施形態のLAN側発パケットの受信処理フローと同様である。
図21は、本実施形態のL2接続装置12によるバルク側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図14に示す第1の実施形態のバルク側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
装置1bが、装置1aのMACアドレスを問い合わせるためのARP要求パケットを送信すると、L2スイッチ3bは、装置1bから受信したARP要求パケットをL2接続装置12に出力する。L2接続装置12のバルクポート102は、L2スイッチ3bからARP要求パケットを受信し、バルク発側パケット識別部116に出力する。バルク発側パケット識別部116は、パケットの種類がARPパケットであると判断すると(ステップS1310:ARPパケット)、バルク発側MACアドレス解決部127にARP要求パケットを出力する。バルク発側MACアドレス解決部127は、入力されたパケットがARP要求パケットであると判断すると(ステップS1315:NO)、ARP要求パケットから取得したターゲットIPアドレスで記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルを検索する(ステップS1405)。
バルク発側MACアドレス解決部127は、ターゲットIPアドレスがMACアドレステーブルに登録されていると判断した場合(ステップS1410:YES)、ARP要求パケットに設定されているセンダIPアドレスとターゲットIPアドレスとを用いた所定の規則に従って、ARP応答パケットを返送するバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する。バルク発側MACアドレス解決部127は、SA−MACアドレス及びセンダMACアドレスに、決定したバルクポート102のMACアドレスを設定したMACアドレス応答パケットを生成する(ステップS1415)。なお、ARP応答パケットのDA−MACアドレス、ターゲットIPアドレス、ターゲットMACアドレス、及びセンダIPアドレスにはそれぞれ、ARP要求パケットのSA−MACアドレス、センダIPアドレス、センダMACアドレス、及びターゲットIPアドレスが設定される。
バルク発側MACアドレス解決部127は、ステップS1415で決定したバルクポート102に、生成したARP応答パケットを出力する。MACアドレス応答パケットの入力を受けたバルクポート102は、当該ARP応答パケットをL2スイッチ3bに送信する(ステップS1420)。L2スイッチ3bは、L2接続装置12から受信したMACアドレス応答パケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
なお、ステップS1410において、ターゲットIPアドレスがMACアドレステーブルに登録されていないと判断した場合(ステップS1410:NO)、バルク発側MACアドレス解決部127は、ARP要求パケットをLANポート101に出力する(ステップS1335)。LANポート101は、バルク発側MACアドレス解決部127から入力されたARP要求パケットをL2スイッチ3aに出力し、L2スイッチ3aは、ARP要求パケットを装置1a(第一ネットワーク)に送信する。
L2接続装置12が、装置1bが送信したARP応答パケット、IPv4パケットを受信したときの処理は、図13に示す第1の実施形態の処理と同様である。
図22は、装置1b−1が装置1aのアドレスを問い合わせるために送信したARP要求パケットP41と、L2接続装置12において返送されたARP応答パケットP42を示す図である。
装置1b−1が送信したARP要求パケットP41のDA−MACアドレスにはブロードキャストが設定され、SA−MACアドレス及びセンダMACアドレスには装置1b−1のMACアドレス「B1」が設定され、センダIPアドレスには装置1b−1のIPアドレス「IP−B1」が設定される。また、ターゲットIPアドレスには装置1aのIPアドレス「IP−A」が設定される。
L2接続装置12は、装置1b−1からARP要求パケットを受信すると、記憶部109に記憶されているMACアドレステーブルを検索し(図21、ステップS1405)、装置1aがLAN側に存在するときには(図21、ステップS1410:YES)、装置1aのMACアドレス「A」の代わりに、バルクポート102のMACアドレスによりMACアドレス応答を行う(図21、ステップS1415〜S1420)。つまり、ARP応答パケットP42のSA−MACアドレス、及び、センダMACアドレスには、ARP要求パケットP41のセンダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組から決定されたバルクポート102のMACアドレス(「X」または「Y」)が設定される。これにより、装置1b−1は、装置1aのMACアドレスを「X」または「Y」として認識する。以降、装置1bが装置1a宛に送信する通信パケットのDA−MACアドレスは、MACアドレス応答により通知されたMACアドレス(「X」または「Y」)となる。
[第3の実施形態]
本実施形態は、上述した実施形態に、IPv4以外のパケットの処理を追加したものである。ここでは、第2の実施形態にIPv4以外のパケットの処理を追加した場合について、第2の実施形態との差分を中心に説明するが、第1の実施形態と組み合わせることも可能である。
図23は、本実施形態によるL2接続装置13を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図20に示す第2の実施形態のL2接続装置12と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置13が、図20に示すL2接続装置12と異なる点は、LAN発側パケット識別部111、バルク発側パケット識別部116に代えて、LAN発側パケット識別部131、バルク発側パケット識別部136を備える点、LAN発側otherパケット処理部135(第一ネットワーク発側パケット処理部)及びバルク発側otherパケット処理部139(第二ネットワーク発側パケット処理部)をさらに備える点である。
LAN発側パケット識別部131は、LANポート101から受信したパケットの種類を識別する。LAN発側パケット識別部131は、パケットの種類がARP応答パケットの場合、LAN発側MACアドレス解決部112に当該パケットを出力し、IPv4パケットである場合、トラフィック分散部103に当該パケットを出力し、IPv4以外のパケットであるotherパケットの場合、LAN発側otherパケット処理部135に当該パケットを出力する。
LAN発側otherパケット処理部135は、otherパケットのSA−MACアドレスによりバルク側への出力先となるバルクポート102を決定し、決定したバルクポート102にのみotherパケットを出力する。
バルク発側パケット識別部136は、バルクポート102から受信したパケットの種類を識別する。バルク発側パケット識別部136は、パケットの種類がARPパケットである場合、バルク発側MACアドレス解決部127に当該パケットを出力し、IPv4パケットである場合、パケット転送部108に当該パケットを出力し、otherパケットの場合、バルク発側otherパケット処理部139に当該パケットを出力する。
バルク発側otherパケット処理部139は、パケットのDA−MACアドレスにより、バルク側からのotherパケットの受信ポートとなるバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する。バルク発側otherパケット処理部139は、受信ポートとして決定したバルクポート102が受信したパケットであれば当該パケットをLANポート101に出力し、受信ポート以外のバルクポート102が受信したパケットであれば当該パケットを廃棄する。
L2接続装置13のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部131、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104、LAN発側otherパケット処理部135、バルク発側パケット識別部136、バルク発側MACアドレス解決部127、パケット転送部108、及びバルク発側otherパケット処理部139を実現する。
図24は、otherパケットのフィールド構成例を示す図である。同図に示すように、otherパケットは、DA−MACアドレス及びSA−MACアドレスを含む。装置1aが装置1bにotherパケットを送信する場合、DA−MACに装置1bのMACアドレスが設定され、SA−MACに装置1aのMACアドレス「A」が設定される。装置1bが装置1aにotherパケットを送信する場合、DA−MACに装置1aのMACアドレス「A」が設定され、SA−MACに装置1bのMACアドレスが設定される。
図25は、本実施形態のL2接続装置13によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図13に示す第1の実施形態のバルク側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
装置1aが、装置1b宛にotherパケットを送信する。L2スイッチ3aは、装置1aから受信したotherパケットをL2接続装置13に出力する。L2接続装置13のLANポート101は、受信したotherパケットをLAN発側パケット識別部131に出力する(ステップS1205)。LAN発側パケット識別部131は、LANポート101から入力されたパケットの種類を識別する(ステップS1510)。
LAN発側パケット識別部131は、パケットの種類がotherパケットであると判断すると(ステップS1510:otherパケット)、このotherパケットをLAN発側otherパケット処理部135に出力する。LAN発側otherパケット処理部135は、所定の規則に基づいて、SA−MACアドレスから出力先のバルクポート102を決定する。所定の規則は、例えば、SA−MACアドレスの全部または一部に対応して予め出力先のバルクポート102を決定するものでもよく、SA−MACアドレスに所定の演算を行った結果から出力先のバルクポート102を決定するものでもよいが、これに限定されず、SA−MACアドレスを用いた任意の規則を使用することができる。
LAN発側otherパケット処理部135は、決定したバルクポート102に、otherパケットを出力する(ステップS1545)。otherパケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたotherパケットをL2スイッチ3bに送信する。L2スイッチ3bは、L2接続装置13から受信したotherパケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
L2接続装置13が、装置1aが送信したARPパケット、IPv4パケットを受信したときの処理は、図13に示す第1の実施形態の処理と同様である。
上述したように、L2接続装置13は、LAN側から受信したotherパケットの書き換えは行なわない。L2接続装置13は、SA−MACアドレスで出力先のバルクポート102を決定するので、L2スイッチ3bにおいて、ループ障害によるリンクの切り離しは発生しないためである。また、SA−MACアドレスごとに、LAN側からバルク側方向のトラフィックが分散されるという効果がある。さらには、L2スイッチ3bのアドレス学習により、SA−MACアドレスごとに、バルク側からLAN側方向のトラフィックが分散される。
図26は、本実施形態のL2接続装置13によるバルク側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図21に示す第2の実施形態のL2接続装置12によるバルク側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
装置1bが、装置1aにotherパケットを送信すると、L2スイッチ3bは、装置1bから受信したotherパケットをL2接続装置13に出力する。L2スイッチ3bからotherパケットを受信したL2接続装置13のバルクポート102は、バルク発側パケット識別部136にotherパケットを出力する。バルク発側パケット識別部136は、パケットの種類がotherパケットであると判断すると(ステップS1610:otherパケット)、バルク発側otherパケット処理部139にotherパケットを出力する。バルク発側otherパケット処理部139は、所定の規則に基づいて、otherパケットのDA−MACアドレスから入力ポートとするバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する(ステップS1655)。ここで用いられる所定の規則は、図25のステップS1545と同じとする。バルク発側otherパケット処理部139は、otherパケットが、決定したバルクポート102で受信したパケットである場合(ステップS1660:YES)、当該otherパケットをLANポート101に出力する(ステップS1335)。LANポート101は、otherパケットをL2スイッチ3aに送信し、L2スイッチ3aは、L2接続装置13から受信したotherパケットを装置1a(第一ネットワーク)に送信する。
一方、otherパケットが、決定したバルクポート102で受信したパケットではない場合(ステップS1660:NO)、バルク発側otherパケット処理部139は、受信したパケットを廃棄する。
L2接続装置13が、装置1bが送信したARPパケット、IPv4パケットを受信したときの処理は、図21に示す第2の実施形態の処理と同様である。
L2接続装置13は、L2スイッチ3bのフラッディングにより、決定したバルクポート102以外のバルクポート102においても同じパケットを受信する場合がある。そこで、上記のように、決定したバルクポート102以外が受信したotherパケットを破棄することによって、同じパケットが複数個、LAN側に送信されるのを防ぐ。
上記実施形態によれば、L2接続装置13は、MACアドレスの書き換えによる影響が懸念されるプロトコルについては、LAN側からバルク側へのパケットのアドレス書き換えを行わずに送信しながら、バルクポートを分散して使用する。よって、本実施形態は、IPv4だけでなく、それ以外のSNA(Systems Network Architecture)などのプロトコルが混在している通信システムで有効である。
[第4の実施形態]
本実施形態は、上述した実施形態にバルク側のループパケット処理を追加したものである。ループパケットとは、本実施形態のL2接続装置のバルクポートから送信されたパケットがL2スイッチによって折り返され、再びバルクポートによって受信されるパケットである。以下では、第3の実施形態との差分を中心に説明するが、上述した他の実施形態と組み合わせることも可能である。
図27は、本実施形態によるL2接続装置14を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図23に示す第3の実施形態のL2接続装置13と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置14が、図23に示すL2接続装置13と異なる点は、LAN発側パケット識別部131、バルク発側パケット識別部136に代えて、LAN発側パケット識別部141(第二ネットワーク発側パケット識別部)、バルク発側パケット識別部146を備える点、学習テーブル記憶部142をさらに備える点である。
学習テーブル記憶部142は、MAC学習テーブルを記憶する。MAC学習テーブルは、LAN側からバルク側に送信されたパケットに送信元として設定されたMACアドレスを示す。
LAN発側パケット識別部141は、装置1aから送信されたパケットに設定されているSA−MACアドレスをMAC学習テーブルに登録する。MAC学習テーブルへの登録後、LAN発側パケット識別部141は、第3の実施形態のLAN発側パケット識別部131と同様の処理を行う。
バルク発側パケット識別部146は、バルクポート102において受信したパケットのSA−MACアドレスが、バルクポート102のMACアドレスである場合、あるいは、MAC学習テーブルに登録されているMACアドレスである場合、ループパケットであると判断する。バルク発側パケット識別部146は、ループパケットであると判断したパケットを破棄し、ループパケットではないと判断したパケットについては、第3の実施形態のバルク発側パケット識別部136と同様の処理を行う。
L2接続装置14のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部141、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104、LAN発側otherパケット処理部135、バルク発側パケット識別部146、バルク発側MACアドレス解決部127、パケット転送部108、及びバルク発側otherパケット処理部139を実現する。また、DRAM52は、さらに学習テーブル記憶部142を実現する。
図28は、本実施形態のL2接続装置14によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図25に示す第3の実施形態のLAN側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
装置1aが、装置1b宛にパケットを送信すると、L2スイッチ3aは、装置1aから受信したパケットをL2接続装置14に出力する。L2接続装置14のLANポート101は、受信したパケットをLAN発側パケット識別部141に出力する(ステップS1205)。LAN発側パケット識別部141は、LANポート101から入力されたパケットのSA−MACアドレスを読み出し、MAC学習テーブルに登録する(ステップS1707)。そして、L2接続装置14は、図25に示すLAN側発パケットの受信処理フローのステップS1510以降と同様の処理を行う。
図29は、本実施形態のL2接続装置14によるバルク側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図26に示す第3の実施形態のバルク側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
装置1bが、装置1a宛にパケットを送信すると、L2スイッチ3bは、装置1bから受信したパケットをL2接続装置14に出力する。L2接続装置14のバルクポート102は、受信したパケットをバルク発側パケット識別部146に出力する(ステップS1305)。バルク発側パケット識別部146は、受信したパケットのSA−MACアドレスが、いずれかのバルクポート102のMACアドレスである場合、あるいは、MAC学習テーブルに登録されているいずれかのMACアドレスであるである場合、ループパケットであると判断する(ステップS1807)。バルク発側パケット識別部146は、ループパケットであると判断した場合(ステップS1807:YES)、受信したパケットを破棄する。
一方、バルク発側パケット識別部146が、ループパケットではないと判断した場合(ステップS1807:NO)、L2接続装置14は、図26に示すバルク側発パケットの受信処理フローのステップS1610以降と同様の処理を行う。
[第5の実施形態]
上述した実施形態では、L2接続装置は、使用するバルクポートをパケットに設定されている情報から決定していた。本実施形態では、L2接続装置は、バルクポートのパケット流量(トラフィック)を監視し、監視の結果得られたトラフィックに基づいて使用するバルクポートを動的に分散する。以下では、第3の実施形態との差分を中心に説明するが、上述した他の実施形態と組み合わせることも可能である。
図30は、本実施形態によるL2接続装置15を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図23に示す第3の実施形態のL2接続装置13と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置15が、図23に示すL2接続装置13と異なる点は、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、LAN発側otherパケット処理部135、バルク発側MACアドレス解決部127に代えて、LAN発側MACアドレス解決部152、トラフィック分散部153、LAN発側otherパケット処理部155、バルク発側MACアドレス解決部157を備える点、トラフィック監視部150をさらに備える点である。
トラフィック監視部150は、各バルクポート102のトラフィックを監視してパケット流量を観測し、観測した結果を示す流量情報を内部に備える流量情報記憶部151に記憶する。パケット流量は、バルクポート102全体で観測する、あるいは、各バルクポート102、パケットの種別、通信アドレス(宛先または送信元のMACアドレス、IPアドレスあるいはそれらの組み合わせ)、パケット内に設定されている情報から特定されるカンバセーション毎、または、これらのうち2以上の組み合わせ毎に観測するなど、様々な方法がある。
LAN発側MACアドレス解決部152、トラフィック分散部153、LAN発側otherパケット処理部155、バルク発側MACアドレス解決部157はそれぞれ、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、LAN発側otherパケット処理部135、バルク発側MACアドレス解決部127と同様に動作するが、パケット出力先のバルクポート102を決定する際に、トラフィック監視部150が生成した流量情報をさらに利用する点が異なる。
L2接続装置15のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部131、LAN発側MACアドレス解決部152、トラフィック分散部153、SA−MAC書き換え部104、LAN発側otherパケット処理部155、バルク発側パケット識別部136、バルク発側MACアドレス解決部157、パケット転送部108、バルク発側otherパケット処理部139、及びトラフィック監視部150を実現する。
図31は、本実施形態のL2接続装置15によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図25に示す第3の実施形態のLAN側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
L2接続装置15のLAN発側MACアドレス解決部152は、装置1aから装置1b宛に送信されたARPパケット(ARP要求パケットまたはARP応答パケット)のセンダIPアドレス及びセンダMACアドレスの組をMACアドレステーブルに登録すると(ステップS1215)、ARPパケットの出力先となるバルクポート102を決定する(ステップS1920)。このとき、LAN発側MACアドレス解決部152は、ARPパケットに設定されているセンダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組と、流量情報記憶部151に記憶に記憶されている流量情報を用い、所定の規則に従って出力先のバルクポート102を決定する。例えば、センダIPアドレスとターゲットIPアドレスとの組についての各バルクポート102のトラフィックを流量情報から取得し、トラフィックの最も少ないバルクポート102を選択してもよい。あるいは、例えば、センダIPアドレスとターゲットIPアドレスとの組について優先するバルクポート102を決めておき、優先するバルクポート102の流量が上限を超えている場合に、他のバルクポート102を選択するようにしてもよい。なお、センダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組と流量情報とを用いたバルクポート102の決定方法は、これに限定されず任意の規則を使用することができる。LAN発側MACアドレス解決部152が出力先のバルクポート102を決定した後、L2接続装置15は、図25に示すLAN側発パケットの受信処理フローのステップS1225以降の処理を行う。
また、トラフィック分散部153は、装置1aが装置1b宛に送信したIPv4パケットをLAN発側パケット識別部131から受信すると(ステップS1205、ステップS1510:IPv4パケット)、IPv4パケットの出力先となるバルクポート102を決定する(ステップS1935)。このとき、トラフィック分散部153は、入力されたIPv4パケットに設定されている情報(例えば、DA−MACアドレス、DA−IPアドレス、SA−MACアドレス、SA−IPアドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上)と、流量情報記憶部151に記憶に記憶されている流量情報を用い、所定の規則に従って出力先のバルクポート102を決定する。例えば、DA−MACアドレス、DA−IPアドレス、SA−MACアドレス、SA−IPアドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上から決まるカンバセーション毎の各バルクポート102のトラフィックを流量情報から取得し、トラフィックの最も少ないバルクポート102を選択してもよい。あるいは、例えば、カンバセーションについて優先するバルクポート102を決めておき、優先するバルクポート102の流量が上限を超えている場合は、他のバルクポート102を選択するようにしてもよい。なお、IPv4パケット内の情報と流量情報とを用いたバルクポート102の決定方法は、これに限定されず任意の規則を使用することができる。トラフィック分散部153が出力先のバルクポート102を決定した後、L2接続装置15は、図25に示すLAN側発パケットの受信処理フローのステップS1240以降の処理を行う。
また、LAN発側otherパケット処理部155は、装置1aが装置1b宛に送信したotherパケットをLAN発側パケット識別部131から受信すると(ステップS1510:otherパケット)、otherパケットの出力先となるバルクポート102を決定する(ステップS1945)。このとき、LAN発側otherパケット処理部155は、otherパケットに設定されているSA−MACアドレスと、流量情報記憶部151に記憶に記憶されている流量情報を用い、所定の規則に従って出力先のバルクポート102を決定する。例えば、SA−MACアドレスが示す装置1aのMACアドレスについての各バルクポート102のトラフィックを流量情報から取得し、トラフィックの最も少ないバルクポート102を選択してもよい。あるいは、例えば、装置1aのMACアドレスについて優先するバルクポート102を決めておき、優先するバルクポート102のトラフィックが上限を超えている場合は、他のバルクポート102を選択するようにしてもよい。なお、SA−MACアドレスと流量情報とを用いたバルクポート102の決定方法は、これに限定されず任意の規則を使用することができる。LAN発側otherパケット処理部155が出力先のバルクポート102を決定した後、L2接続装置15は、図25に示すLAN側発パケットの受信処理フローのステップS1230の処理を行う。
図32は、本実施形態のL2接続装置15によるバルク側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図26に示す第3の実施形態のバルク側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
L2接続装置15のバルク発側MACアドレス解決部157は、装置1bから装置1a宛に送信されたARP要求のターゲットIPアドレスがMACアドレステーブルに登録されていると判断した場合(ステップS1410:YES)、ARP応答パケットを返送するバルクポート102を決定する。このとき、バルク発側MACアドレス解決部157は、ARP要求パケットに設定されているターゲットIPアドレス及びセンダIPアドレスの組と、流量情報記憶部151に記憶に記憶されている流量情報を用い、所定の規則に従ってバルクポート102を決定する。例えば、センダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組についての各バルクポート102のトラフィックを流量情報から取得し、トラフィックの最も少ないバルクポート102を選択してもよい。あるいは、例えば、センダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組について優先するバルクポート102を決めておき、優先するバルクポート102の流量が上限を超えている場合は、他のバルクポート102を選択するようにしてもよい。なお、センダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組と流量情報とを用いたバルクポート102の決定方法は、これに限定されず任意の規則を使用することができる。バルク発側MACアドレス解決部157は、SA−MACアドレス及びセンダMACアドレスに、決定したバルクポート102のMACアドレスを設定したMACアドレス応答パケットを生成する(ステップS2015)。L2接続装置15は、図26に示すバルク側発パケットの受信処理フローのステップS1420以降の処理を行う。
本実施形態によれば、例えば、各バルクポート102の課金が同等である場合、各バルクポート102においてオーバーフローが発生しないように、流量の平準化を行うことができる。また、一つのバルクポート102がオーバーフローしそうになった場合に、流量に余裕のあるバルクポート102へ割り当て変更を行うことにより、オーバーフローによるパケット損失を防ぐことができる。
一方、バルクポート102−1と接続される回線が固定課金であり、バルクポート102−2と接続される回線が従量課金のような場合、バルクポート102−1を優先して使用し、あふれた分についてはバルクポート102−2を使用するように制御すると課金が少なくて済む。このような制御をしたい場合に、本実施形態のようにパケット流量を監視し、バルクポート102−1の帯域の空きができるだけ少なくなるよう、動的にバルクポート102の割り当てを変更することにより、有効にバルクポート102を使用できる。
[第6の実施形態]
上述した実施形態では、各バルクポートにはそれぞれ1つのMACアドレスが付与されていたが、本実施形態は、各バルクポートに複数のMACアドレスを付与する。ここでは、第1の実施形態との差分を中心に説明するが、他の実施形態と組み合わせることも可能である。
図33は、本実施形態によるL2接続装置16を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図12に示す第1の実施形態のL2接続装置11と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置16が、図12に示すL2接続装置11と異なる点は、各バルクポート102に複数のMACアドレスが割り当てられている点、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104に代えてLAN発側MACアドレス解決部162、トラフィック分散部163、SA−MAC書き換え部164を備える点である。
LAN発側MACアドレス解決部162は、ARPパケットに設定されている情報に基づいて、使用するバルクポート102と、そのバルクポート102に割り当てられているMACアドレスのうち使用するMACアドレスを決定する。LAN発側MACアドレス解決部162は、決定したバルクポート102のMACアドレスにより、ARPパケットに設定されている装置1aのMACアドレスを書き換え、決定したバルクポート102に出力する。
トラフィック分散部163は、LANポート101から入力されたパケットに設定されている情報に基づいて、使用するバルクポート102と、そのバルクポート102に割り当てられているMACアドレスのうち使用するMACアドレスを決定する。
SA−MAC書き換え部164は、トラフィック分散部163から使用するバルクポート102とMACアドレスの通知を受け、通知されたMACアドレスによりパケットのSA−MACアドレスを書き換え、通知されたバルクポート102に出力する。
なお、各バルクポート102に割り当てるMACアドレスは重複してはならない。また、各バルクポート102に割り宛てるMACアドレスの数は同一でなくともよく、1つのMACアドレスが割り当てられるバルクポート102が含まれていてもよい。
本実施形態においては、バルクポート102−1には、MACアドレス「X1」、「X2」、…、「X9」が割り当てられており、バルクポート102−2には、MACアドレス「Y1」、「Y2」、…、「Y9」が割り当てられている。
L2接続装置16のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部111、LAN発側MACアドレス解決部162、トラフィック分散部163、SA−MAC書き換え部164、バルク発側パケット識別部116、バルク発側MACアドレス解決部117、及びパケット転送部108を実現する。
図34は、本実施形態のL2接続装置16によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図13に示す第1の実施形態のLAN側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
L2接続装置16が装置1aから装置1b宛に送信したARPパケット(ARP要求パケットまたはARP応答パケット)をL2スイッチ3aから受信した場合、LAN発側パケット識別部111は、受信したARPパケットをLAN発側MACアドレス解決部162に出力する(ステップS1205、ステップS1210:ARPパケット)。LAN発側MACアドレス解決部162は、ARPパケットに設定されている装置1aのセンダIPアドレス及びセンダMACアドレスの組をMACアドレステーブルに登録する(ステップS1215)。
続いて、LAN発側MACアドレス解決部162は、ARPパケットに設定されているセンダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組を用いた所定の規則に基づいて、ARPパケットの出力先となるバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)とそのバルクポート102に割り当てられたMACアドレスのうち利用するMACアドレスを決定する(ステップS2120)。LAN発側MACアドレス解決部162は、装置1aのMACアドレスが設定されているARPパケットのSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスを、ステップS2120で決定したMACアドレスに書き換え(ステップS2125)、決定したMACアドレスが割り当てられているバルクポート102に出力する(ステップS1230)。LAN発側MACアドレス解決部162からARPパケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたARPパケットをL2スイッチ3bに送信し、L2スイッチ3bは、ARPパケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
一方、L2接続装置16が装置1aから装置1b宛に送信したIPv4パケットをL2スイッチ3aから受信した場合、LAN発側パケット識別部111は、受信したIPv4パケットをトラフィック分散部163に出力する(ステップS1205、ステップS1210:IPv4パケット)。トラフィック分散部163は、入力されたIPv4パケットに設定されている情報(例えば、DA−MACアドレス、DA−IPアドレス、SA−MACアドレス、SA−IPアドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上)を用いた所定の規則により、出力先となるバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)とそのバルクポート102に割り当てられたMACアドレスのうち利用するMACアドレスを決定する(ステップS2135)。
トラフィック分散部163は、SA−MAC書き換え部164にIPv4パケットを出力するとともに、決定した出力先のバルクポート102と利用するMACアドレスを通知する。SA−MAC書き換え部164は、装置1aのMACアドレスが設定されているIPv4パケットのSA−MACアドレスを、通知されたMACアドレスに書き換え(ステップS2140)、通知されたバルクポート102に出力する(ステップS1230)。SA−MAC書き換え部164からIPv4パケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたIPv4パケットをL2スイッチ3bに送信し、L2スイッチ3bは、L2接続装置16から受信したIPv4パケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
なお、本実施形態のL2接続装置16によるバルク側発パケットの受信処理フローは、図14に示す第1の実施形態のバルク側発パケットの受信処理フローと同様である。
図35は、装置1aが装置1bのアドレスを問い合わせるために送信したARP要求パケットP51と、L2接続装置16において書き換えられたARP要求パケットP52を示す図である。
装置1aが送信したARP要求パケットP51は、図15に示すARP要求パケットP21と同様である。
L2接続装置16は、装置1aからARP要求パケットP51を受信すると、センダIPアドレス「IP−A」及びセンダMACアドレス「A」の組をMACアドレステーブルに登録する(図34、ステップS1215)。さらに、L2接続装置16は、ARP要求パケットの出力先となるバルクポート102とMACアドレス(バルクポート102−1であれば「X1」、「X2」、…、「X9」のいずれか、バルクポート102−2であれば「Y1」、「Y2」、…、「Y9」のいずれか)を決定する(図34、ステップS2120)。同図では、バルクポート102−1、MACアドレス「X1」が決定された場合を示している。L2接続装置16は、決定したMACアドレスによりARP要求パケットP51のSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスを書き換えたARP要求パケットP52を、決定されたバルクポート102から出力する(図34、ステップS2125、ステップS1230)。
図36は、装置1bが装置1a宛に送信したARP応答パケットP53と、L2接続装置16において書き換えられたARP応答パケットP54を示す図である。
装置1bは、図35に示すARP要求パケットP52を受信すると、ARP応答パケットP53を送信する。このARP応答パケットP53のDA−MACアドレス及びターゲットMACアドレスには、ARP要求パケットP52で通知されたSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスであるMACアドレス「X1」が設定される。他の設定は、図16に示すARP応答パケットP23と同様である。
L2接続装置16は、L2スイッチ3bからARP応答パケットP53を受信すると、第1の実施形態と同様の処理により、ターゲットIPアドレス「IP−A」に基づいてMACアドレステーブルから読み出したMACアドレス「A」で、DA−MACアドレス及びターゲットMACアドレスを書き換えたARP応答パケットP54をLANポート101から送信する。
図37は、装置1aが装置1bに送信したIPv4パケットP55と、L2接続装置16において書き換えられたIPv4パケットP56を示す図である。
装置1aが装置1b宛てに送信したIPv4パケットP55は、図17に示すIPv4パケットP25と同様である。
L2接続装置16は、L2スイッチ3aからIPv4パケットP55を受信すると、IPv4パケットP55内の情報から、出力先となるバルクポート102とMACアドレス(バルクポート102−1であれば「X1」、「X2」、…、「X9」のいずれか、バルクポート102−2であれば「Y1」、「Y2」、…、「Y9」のいずれか)を決定する(図34、ステップS2135)。同図では、バルクポート102−1、MACアドレス「X1」が決定された場合を示している。L2接続装置16は、決定したMACアドレスにより、IPv4パケットP55のSA−MACアドレスを書き換えたIPv4パケットP56を、決定されたバルクポート102から出力する(図34、ステップS2140、ステップS1230)。
図38は、装置1aが装置1b宛に送信したARP応答パケットP57と、L2接続装置16において書き換えられたARP応答パケットP58を示す図である。
装置1bからARP要求パケットを受信した装置1aが送信したARP応答パケットP57は、図18に示すARP応答パケットP27と同様である。
L2接続装置16は、装置1aからARP応答パケットP57を受信すると、センダIPアドレス「IP−A」及びセンダMACアドレス「A」の組をMACアドレステーブルに登録する(図34、ステップS1215)。さらに、L2接続装置16は、ARP応答パケットの出力先となるバルクポート102と使用するMACアドレス(バルクポート102−1であれば「X1」、「X2」、…、「X9」のいずれか、バルクポート102−2であれば「Y1」、「Y2」、…、「Y9」のいずれか)を決定する(図34、ステップS2120)。同図では、バルクポート102−1、MACアドレス「X1」が決定された場合を示している。L2接続装置16は、決定したMACアドレスにより、ARP応答パケットP57のSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスを書き換えたARP応答パケットP58を、決定されたバルクポート102から出力する(図34、ステップS2125、ステップS1230)。
図39は、装置1bが装置1a宛に送信したIPv4パケットP59と、L2接続装置16において書き換えられたIPv4パケットP60を示す図である。同図では、装置1b−1がIPv4パケットP59を送信した場合について示している。
装置1b−1には、ARP応答パケットP58によりバルクポート102のMACアドレスが通知されている。そのため、装置1b−1が装置1a宛てに送信したIPv4パケットP59のDA−MACアドレスには、この通知されたバルクポート102のMACアドレス(「X1」、「X2」、…「X9」、「Y1」、「Y2」、…、「Y9」のいずれか)が設定される。他の設定は、図19に示すIPv4パケットP29と同様である。
L2接続装置16は、L2スイッチ3bからIPv4パケットP59を受信すると、DA−IPアドレス「IP−A」に基づいてMACアドレステーブルから読み出したMACアドレス「A」により、DA−MACアドレスを書き換えたIPv4パケットP60をLANポート101から送信する。
[第7の実施形態]
上述した第6の実施形態では、複数のLAN側の装置でバルクポート内の同じMACアドレスを使用することがあった。本実施形態では、1つのLAN側の装置については、各バルクポート内の1つのMACアドレスを使用し、異なるLAN側の装置には各バルクポート内で異なるMACアドレスを割り当てる。
図40は、本実施形態によるL2接続装置17を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図12に示す第1の実施形態のL2接続装置11、図33に示す第6の実施形態のL2接続装置16と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図においては、L2スイッチ3aに複数の装置1aが接続されている。各装置1aを、装置1a−1、1a−2、…とする。
同図に示すL2接続装置17は、LANポート101、バルクポート102−1〜102−n(nは2以上の整数)、トラフィック分散部173、SA−MAC書き換え部174、バルク発側パケット識別部176、パケット転送部178、及び記憶部179を備えて構成される。
記憶部179は、アドレス対応テーブルを記憶する。アドレス対応テーブルは、LAN側の装置1aのMACアドレス、利用MACアドレス、及びバルクポート102の識別情報の対応付けを示す。利用MACアドレスとは、バルクポート102の識別情報で特定されるバルクポート102に割り当てられたMACアドレスのうち、装置1aが利用するMACアドレスである。バルクポート102の識別情報には、例えば、バルクポート名が用いられる。
トラフィック分散部173は、LAN側から受信したパケット内の情報に基づいて出力先のバルクポート102を決定する。トラフィック分散部173は、パケットのSA−MACアドレスと、決定した出力先のバルクポート102の組を用いてアドレス対応テーブルを検索し、パケットの送信元の装置1aに対応する利用MACアドレスを読み出す。トラフィック分散部173は、SA−MAC書き換え部174に決定したバルクポート102と、アドレス対応テーブルから読み出した利用MACアドレスを通知する。SA−MAC書き換え部174は、トラフィック分散部173から決定したバルクポート102と利用MACアドレスの通知を受け、通知された利用MACアドレスによりパケットのSA−MACアドレスを書き換え、決定されたバルクポート102に出力する。
バルク発側パケット識別部176は、パケットのDA−MACアドレスとパケットを受信したバルクポート102の組により、アドレス対応テーブルを検索する。バルク発側パケット識別部176は、パケットのDA−MACアドレスとパケットを受信したバルクポート102の識別情報の組が、アドレス対応テーブルに登録されている利用MACアドレスとバルクポート102の識別情報の組に一致した場合、受信したパケットをパケット転送部178に出力し、一致しない場合、パケットを廃棄する。また、ブロードキャストパケットについては、ブロードキャスト受信用のバルクポート102から受信したものはパケット転送部178に渡し、それ以外のバルクポート102から受信したものは廃棄する。
パケット転送部178は、パケットのDA−MACアドレスを用いてアドレス対応テーブルを検索し、対応するLAN側の装置1aのMACアドレスを取得する。パケット転送部178は、取得したLAN側の装置1aのMACアドレスでパケットのDA−MACアドレスを書き換え、LANポート101に出力する。ただし、ブロードキャストパケットの場合、パケット転送部178は、書き換えを行わずにそのままLANポート101にパケットを出力する。
各バルクポート102には、第6の実施形態と同様、複数のMACアドレスが割り当てられている。各バルクポート102に割り当てるMACアドレスは重複してはならない。また、各バルクポート102に割り宛てるMACアドレスの数は同一でなくともよく、1つのMACアドレスが割り当てられるバルクポート102が含まれていてもよい。
本実施形態においては、バルクポート102−1には、MACアドレス「X1」、「X2」、…、「X9」が割り当てられており、バルクポート102−2には、MACアドレス「Y1」、「Y2」、…、「Y9」が割り当てられている。また、装置1a−1は、IPアドレス「IP−A1」、MACアドレス「A1」、装置1a−2は、IPアドレス「IP−A2」、MACアドレス「A2」、…とする。
L2接続装置17のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、トラフィック分散部173、SA−MAC書き換え部174、バルク発側パケット識別部176、及びパケット転送部178を実現する。また、DRAM52は、記憶部179を実現する。
図41は、本実施形態のL2接続装置17によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。
L2接続装置17のLANポート101が装置1aから装置1b宛に送信したパケットをL2スイッチ3aから受信すると、受信したパケットをトラフィック分散部173に出力する(ステップS2205)。
トラフィック分散部173は、受信したパケットに設定されている情報(例えば、DA−MACアドレス、DA−上位層アドレス、SA−MACアドレス、SA−上位層アドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上)を用いた所定の規則により、出力先のバルクポート102(バルクポート102−1〜102−nのいずれか)を決定する。トラフィック分散部173は、パケットに設定されているSA−MACアドレスと、決定したバルクポート102の組に対応した利用MACアドレスを、記憶部179に記憶されているアドレス対応テーブルから読み出す。トラフィック分散部173は、SA−MAC書き換え部174に決定したバルクポート102と、アドレス対応テーブルから読み出した利用MACアドレスを通知するとともに、パケットを出力する(ステップS2210)。
SA−MAC書き換え部174は、装置1aのMACアドレスが設定されているパケットのSA−MACアドレスを、通知された利用MACアドレスに書き換え(ステップS2215)、通知されたバルクポート102に出力する(ステップS2220)。SA−MAC書き換え部174からパケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたパケットをL2スイッチ3bに送信し、L2スイッチ3bは、L2接続装置17から受信したパケットを第二ネットワーク(装置1b)に送信する。
図42は、本実施形態のL2接続装置17によるバルク側発パケットの受信処理フローを示す図である。
L2接続装置17のバルクポート102は、L2スイッチ3bからパケットを受信し、受信したパケットをバルク発側パケット識別部176に出力する(ステップS2305)。バルク発側パケット識別部176は、パケットに設定されているDA−MACアドレスと、パケットを受信したバルクポート102の組により、記憶部179に記憶されているアドレス対応テーブルを検索する(ステップS2310)。パケットのDA−MACアドレスとパケットを受信したバルクポート102の識別情報の組が、アドレス対応テーブルに登録されている利用MACアドレスとバルクポート102の識別情報の組に一致した場合(ステップS2315:YES)、受信したパケットをパケット転送部178に出力する。
パケット転送部178は、パケットのDA−MACアドレスを用いてアドレス対応テーブルを検索し、対応するLAN側装置MACアドレスを読み出す。パケット転送部178は、読み出したLAN側装置MACアドレスにより、受信したパケットのDA−MACアドレスを書き換えてLANポート101に出力する(ステップS2320)。LANポート101は、パケット転送部178から入力されたパケットをL2スイッチ3aに出力し、L2スイッチ3aは、L2接続装置17から受信したパケットを装置1a(第一ネットワーク)に送信する(ステップS2325)。
図43は、装置1a−1が装置1bに送信したIPv4パケットP71と、L2接続装置17において書き換えられたIPv4パケットP72を示す図である。
装置1a−1が装置1b宛てに送信したIPv4パケットP71のSA−MACアドレスには、装置1aのMACアドレス「A1」が、SA−IPには、装置1a−1のIPアドレス「IP−A1」が設定される。
L2接続装置17は、L2スイッチ3aからIPv4パケットP71を受信すると(図41、ステップS2205)、IPv4パケットP71内の情報から、出力先となるバルクポート102を決定する(図41、ステップS2210)。ここでは、バルクポート102−1が決定されたとする。L2接続装置17は、IPv4パケットP71のSA−MACアドレス「A1」と、決定したバルクポート102−1のバルクポート名「BULK1」との組によってアドレス対応テーブルを検索し、利用MACアドレス「X1」を読み出す。
L2接続装置17は、IPv4パケットP71のSA−MACアドレス「A1」を、読み出した利用MACアドレス「X1」に書き換えたIPv4パケットP72を、決定されたバルクポート102−1から出力する(図41、ステップS2215、ステップS2220)。
図44は、装置1bが装置1a−1宛に送信したIPv4パケットP73と、L2接続装置17において書き換えられたIPv4パケットP74を示す図である。
装置1bが装置1a−1宛てに送信したIPv4パケットP73のDA−MACアドレスには、装置1aが使用するバルクポート102のMACアドレス「X1」が、DA−IPには、装置1a−1のIPアドレス「IP−A1」が設定される。
L2接続装置17のバルクポート102−1が、装置1bからIPv4パケットP73を受信する(図42、ステップS2305)。L2接続装置17は、受信したIPv4パケットP73のDA−MACアドレス「X1」と、IPv4パケットP73を受信したバルクポート102−1のバルクポート名「BULK1」との組によりアドレス対応テーブルを検索する(図42、ステップS2310)。L2接続装置17は、DA−MACアドレス「X1」とバルクポート名「BULK1」の組がアドレス対応テーブルに登録されている場合(図42、ステップS2315:YES)、アドレス対応テーブルからこの組に一致する行の装置1a−1のLAN側装置MACアドレス「A1」を読み出す。L2接続装置17は、IPv4パケットP73のDA−MACアドレス「X1」を、読み出したLAN側装置MACアドレス「A1」に書き換えたIPv4パケットP74を、LANポート101から出力する(図42、ステップS2320、ステップS2325)。
なお、上述した本実施形態においては、トラフィック分散部173は、受信したパケットに設定されている情報を用いた所定の規則により出力先のバルクポート102を決定しているが、アドレス対応テーブルからSA−MACアドレスに対応した利用MACアドレス及びバルクポート名を読み出すことを契機として、出力先のバルクポート102を決定してもよい。この場合、アドレス対応テーブルには、1つのSA−MACアドレスに対応して、1つのバルクポート102のバルクポート名と当該バルクポート102のMACアドレスのみが記述される。
IP以外のプロトコルでLAN側の装置1aとバルク側の装置1bが通信している場合、第3の実施形態では、otherパケットのMACアドレスの書き換えは行わずに、一つのバルクポート102に対応させて中継している。しかし、otherパケットが、MACアドレスを書き換えても問題が無いような場合であれば、本実施形態のように、装置1aと各バルクポート102のMACアドレスを1対1に対応させたMACアドレス変換を用いて、バルク側の複数リンクを使用することができる。従って、LAN側の装置1aに対応して割り当てMACアドレスを持つ必要が生じる。
特にLAN側の装置1aの1台がotherパケットにより通信する場合、第3の実施形態の場合は、1つのバルクポート102しか利用できないが、本実施形態では、複数のバルクポート102を使用することが可能になる。
[第8の実施形態]
本実施形態は、上述した実施形態にチャネル割り当て方式を追加したものである。本実施形態では、LAN側からバルク側方向の各パケットに通信チャネル(以下、「チャネル」と記載する。)を割り当て、その割り当てたチャネル毎に使用するバルクポートを決定する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明するが、上述した他の実施形態と組み合わせることも可能である。
図45は、本実施形態によるL2接続装置18を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図12に示す第1の実施形態のL2接続装置11と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置18が、図12に示すL2接続装置11と異なる点は、LAN発側MACアドレス解決部112、トラフィック分散部103、SA−MAC書き換え部104に代えてLAN発側MACアドレス解決部182、トラフィック分散部183、SA−MAC書き換え部184を備える点、チャネル−ポート決定部187(ポート決定部)をさらに備える点である。
LAN発側MACアドレス解決部182は、ARPパケットに設定されているセンダIPアドレスとターゲットIPアドレスの組に基づいてチャネルを決定する。LAN発側MACアドレス解決部182は、このチャネルに基づいてチャネル−ポート決定部187が決定したバルクポート102のMACアドレスにより、ARPパケットに設定されている装置1aのMACアドレスを書き換え、そのMACアドレスが割り当てられているバルクポート102に出力し、L2スイッチ3bに送信させる。
トラフィック分散部183は、IPv4パケット内の情報からチャネルを決定する。
SA−MAC書き換え部184は、トラフィック分散部183が決定したチャネルに基づいてチャネル−ポート決定部187が決定したバルクポート102のMACアドレスによりIPv4パケットのSA−MACアドレスを書き換える。SA−MAC書き換え部184は、書き換えたパケットを決定されたMACアドレスが割り当てられているバルクポート102に出力し、L2スイッチ3bに送信させる。
チャネル−ポート決定部187は、割り当て表記憶部188を備える。割り当て表記憶部188は、チャネル毎に、使用するバルクポート102の識別情報と、そのバルクポート102のMACアドレスとを対応づけた割り当て表データを記憶する。チャネル−ポート決定部187は、割り当て表データを参照し、LAN発側MACアドレス解決部182、または、トラフィック分散部183が決定したチャネルに基づいて、利用するバルクポート102と、そのバルクポート102で使用するMACアドレスを決定する。
L2接続装置18のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部111、LAN発側MACアドレス解決部182、トラフィック分散部183、SA−MAC書き換え部184、バルク発側パケット識別部116、バルク発側MACアドレス解決部117、パケット転送部108、及びチャネル−ポート決定部187を実現する。
図46は、チャネルと使用するバルクポート102の関係を示す図である。
LAN側からバルク側方向のARPパケットの場合、LAN発側MACアドレス解決部182において、センダIPアドレスとターゲットIPアドレスの組によりチャネルが割り当てられる。同図においては、センダIPアドレス「IP−A」、ターゲットIPアドレス「IP−B1」の組の場合はチャネル4が割り当てられ、センダIPアドレス「IP−A」、ターゲットIPアドレス「IP−B2」の組の場合はチャネル5が割り当てられている。
一方、LAN側からバルク側方向のIPv4パケットは、トラフィック分散部183において、IPパケット内の情報によりカンバセーションの識別がされ、その識別されたカンバセーションごとにチャネルが割り当てられる。同図においては、カンバセーション1(conv1)、あるいは、カンバセーション2(conv2)と識別されたIPv4パケットにはチャネル1が割り当てられ、カンバセーション3(conv3)と識別されたIPv4パケットにはチャネル2が割り当てられている。
上記のようにLAN発側MACアドレス解決部182またはトラフィック分散部183によって割り当てられたチャネルに基づき、チャネル−ポート決定部187において、バルクポート102が割り当てられる。同図においては、チャネル2、4には、バルクポート名「bulk1」のバルクポート102−1が割り当てられ、チャネル1、3、5には、バルクポート名「bulk2」のバルクポート102−2が割り当てられることを示している。
図47は、割り当て表記憶部188が記憶する割り当て表データの設定例を示す図である。同図に示すように、割り当て表データは、チャネル番号と、そのチャネル番号で使用するバルクポート102のバルクポート名及びMACアドレスとを対応付けたデータである。
図48は、本実施形態のL2接続装置18によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図13に示す第1の実施形態のLAN側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
L2接続装置18のLANポート101が装置1aから送信されたARPパケット(ARP要求パケットまたはARP応答パケット)をL2スイッチ3aから受信した場合、LAN発側パケット識別部111は、受信したARPパケットをLAN発側MACアドレス解決部182に出力する(ステップS1205、ステップS1210:ARPパケット)。LAN発側MACアドレス解決部182は、ARPパケットに設定されている装置1aのセンダIPアドレス及びセンダMACアドレスの組をMACアドレステーブルに登録する(ステップS1215)。
続いて、LAN発側MACアドレス解決部182は、ARPパケットに設定されているセンダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組を用いた所定の規則に基づいてチャネル番号を決定し、決定したチャネル番号をチャネル−ポート決定部187に出力する。所定の規則は、例えば、センダIPアドレス及びターゲットIPアドレスの組に対応して予めチャネルを決定しておくものでもよく、センダIPアドレス及びターゲットIPアドレス組に所定の演算を行った結果からチャネルを決定するものでもよい。なお、これらの例に限定されず、センダIPアドレス及びターゲットIPアドレス組を用いた任意の規則を使用することができる。
チャネル−ポート決定部187は、入力されたチャネル番号に対応するバルクポート102(バルクポート102−1またはバルクポート102−2)のバルクポート名と、そのバルクポート102で使用するMACアドレス(「X」または「Y」)を割り当て表記憶部188に記憶されている割り当て表データから読み出してLAN発側MACアドレス解決部182に返送する(ステップS2420)。
LAN発側MACアドレス解決部182は、装置1aのMACアドレスが設定されているARP要求パケットのSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスを、チャネル−ポート決定部187から返送されたバルクポート102のMACアドレスに書き換え(ステップS2425)、チャネル−ポート決定部187から返送されたバルクポート名のバルクポート102に出力する(ステップS2430)。LAN発側MACアドレス解決部182からパケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたARPパケットをL2スイッチ3bに送信し、L2スイッチ3bは、L2接続装置18から受信したARPパケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
L2接続装置18が装置1aから装置1b宛に送信したIPv4パケットをL2スイッチ3aから受信した場合、LAN発側パケット識別部111は、受信したIPv4パケットをトラフィック分散部183に出力する(ステップS1205、ステップS1210:IPv4パケット)。トラフィック分散部183は、所定の規則に基づいて、IPv4に設定されている情報(例えば、DA−MACアドレス、DA−上位層アドレス、SA−MACアドレス、SA−上位層アドレス、プロトコル、DA−PORT、SA−PORTのうち1以上)からカンバセーションを決定する。トラフィック分散部183は、決定したカンバセーションからチャネル番号を決定してチャネル−ポート決定部187に出力する。
チャネル−ポート決定部187は、トラフィック分散部183から入力されたチャネル番号に対応するバルクポート102(バルクポート102−1またはバルクポート102−2)のバルクポート名と、そのバルクポート102で使用するMACアドレス(「X」または「Y」)を割り当て表記憶部188に記憶されている割り当て表データから読み出してトラフィック分散部183に返送する(ステップS2435)。トラフィック分散部183は、SA−MAC書き換え部184にチャネル−ポート決定部187から入力されたバルクポート名とMACアドレスを通知するとともに、IPv4パケットを出力する。
SA−MAC書き換え部184は、IPv4パケットのSA−MACアドレスに設定されている装置1aのMACアドレスを、通知されたMACアドレスに書き換え(ステップS2415)、通知されたバルクポート名のバルクポート102に出力する(ステップS2430)。SA−MAC書き換え部184からパケットの入力を受けたバルクポート102は、入力されたIPv4パケットをL2スイッチ3bに送信し、L2スイッチ3bは、L2接続装置18から受信したIPv4パケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
本実施形態のL2接続装置18によるバルク側発パケットの受信処理フローは、図14に示す第1の実施形態のバルク側発パケットの受信処理フローと同じである。
なお、上記においては、1つのバルクポート102に1つのMACアドレスが割り当てられている場合について示したが、1つのバルクポート102に複数のMACアドレスが割り当てられている場合も同様に動作する。
図49は、1つのバルクポート102に複数のMACアドレスが割り当てられている場合の割り当て表データの設定例を示す図である。同図に示す割り当て表データにおいては、同じバルクポート名のバルクポート102を使用するチャネルであっても、使用するMACアドレスが異なっている。
また、上記においては、チャネル−ポート決定部187は、割り当て表データを用いてチャネル番号からバルクポート102を決定しているが、割り当て表データを用いず、チャネル番号に所定の演算を行うことによっていずれのバルクポート102及びMACアドレスを使用するかを決めることもできる。
[第9の実施形態]
本実施形態は、上述した第8の実施形態に対し、第3の実施形態を組み合わせるとともに、チャネルに一度割り当てたバルクポートを動的に変更する機能を追加したものである。以下、第8の実施形態との差分を中心に説明する。
図50は、本実施形態によるL2接続装置19を用いた通信システムの構成例を示す図であり、図45に示す第8の実施形態のL2接続装置18と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すL2接続装置19が、図45に示すL2接続装置18と異なる点は、記憶部109、LAN発側パケット識別部111、バルク発側パケット識別部116、バルク発側MACアドレス解決部117、チャネル−ポート決定部187に代えて記憶部192、LAN発側パケット識別部191、バルク発側パケット識別部196、バルク発側MACアドレス解決部197、チャネル−ポート決定部207を備える点、トラフィック監視部150、LAN発側otherパケット処理部195、バルク発側otherパケット処理部139、及びチャネル−ポート移動部209(通知部)をさらに備える点である。
記憶部192は、MACアドレステーブルを記憶するとともに、バルク側MACアドレステーブルを記憶する。バルク側MACアドレステーブルは、バルク側の装置1bのIPアドレスと、当該装置1bのMACアドレスとの対応付けを示すデータである。例えば、バルク発側パケット識別部196が、バルクポート102からパケットを受信した場合、そのパケットに設定されているSA−MACとSA−IPの組をバルク側MACアドレステーブルに登録する。
LAN発側パケット識別部191は、LANポート101から受信したパケットの種類を識別する。LAN発側パケット識別部191は、ARP応答パケットの場合、LAN発側MACアドレス解決部182に当該パケットを出力し、IPv4パケットである場合、トラフィック分散部183に当該パケットを出力し、otherパケットの場合、LAN発側otherパケット処理部195に当該パケットを出力する。
LAN発側otherパケット処理部195は、otherパケットのSA−MACからチャネルを決定し、決定したチャネルをチャネル−ポート決定部207に出力する。LAN発側otherパケット処理部195は、チャネル−ポート決定部207がチャネルに基づいて決定したバルクポート102にotherパケットを出力する。
バルク発側バルクパケット識別部196は、バルクポート102から受信したパケットの種類を識別する。バルク発側パケット識別部196は、パケットの種類がARPパケットである場合、バルク発側MACアドレス解決部197に当該パケットを出力し、IPv4パケットである場合、パケット転送部108に当該パケットを出力し、otherパケットの場合、バルク発側otherパケット処理部139に当該パケットを出力する。
バルク発側MACアドレス解決部197は、入力されたパケットがARP応答パケットである場合、第1の実施形態のバルク発側MACアドレス解決部117と同様に処理する。一方、ARP要求パケットを受信した場合、バルク発側MACアドレス解決部197は、ARP要求パケットに設定されているセンダIPアドレスとターゲットIPアドレスの組みからチャネルを決定し、決定したチャネルをチャネル−ポート決定部207に出力する。バルク発側MACアドレス解決部197は、チャネル−ポート決定部207がチャネルに基づいて決定したバルクポート102のMACアドレスを通知するARP応答パケットを生成し、この決定したバルクポート102に出力して、L2スイッチ3bに送信させる。
バルク発側otherパケット処理部139は、図23に示す第3の実施形態のL2接続装置13が備えるバルク発側otherパケット処理部139と同様の機能を有する。
トラフィック監視部150は、図30に示す第5の実施形態のL2接続装置15が備えるトラフィック監視部150と同様の機能を有する。
チャネル−ポート決定部207は割り当て表記憶部208を備え、割り当て表記憶部208は、割り当て表データを記憶する。チャネル−ポート決定部207は、割り当て表データを参照し、LAN発側MACアドレス解決部182、トラフィック分散部183、LAN発側otherパケット処理部195、またはバルク発側MACアドレス解決部197が決定したチャネルに基づいて、利用するバルクポート102と、そのバルクポート102で使用するMACアドレスを決定する。さらに、チャネル−ポート決定部207は、トラフィック監視部150が生成した流量情報や、バルクポート102の障害情報、外部コマンドの指示などによりチャネル−ポート割り当て、すなわち、チャネルに対するバルクポート102の割り当てを変更する。これにより、チャネル−ポート決定部207は、割り当て表データを更新する。以降、チャネル−ポート決定部207は、変更後のチャネル−ポート割り当てに従って、他の機能部からのポートの問い合わせに対して、変更後のバルクポート102とそのMACアドレスを返送する。また、チャネル−ポート決定部207は、チャネル−ポート割り当てを変更した場合、チャネル−ポート移動部209にその変更内容を通知する。
チャネル−ポート移動部209は、チャネル−ポート決定部207からチャネル−ポート割り当ての変更が通知された場合、バルク側に対して、MACアドレスの変更を通知するためのパケットを送信する。このパケットとして、ARP要求パケットや、ARP応答パケットが用いられる。
L2接続装置19のハードウエア構成は、図2に示すL2接続装置10のハードウエア構成と同じである。ただし、CPU51は、LAN発側パケット識別部191、LAN発側MACアドレス解決部182、トラフィック分散部183、SA−MAC書き換え部184、LAN発側otherパケット処理部195、バルク発側パケット識別部196、バルク発側MACアドレス解決部197、パケット転送部108、バルク発側otherパケット処理部139、トラフィック監視部150、チャネル−ポート決定部207、及びチャネル−ポート移動部209を実現する。
図51は、本実施形態のチャネルとバルクポート102の関係を示す図である。
LAN側からバルク側方向のARPパケットの場合、図46に示す第8の実施形態と同様、LAN発側MACアドレス解決部182において、センダIPアドレス(LAN側の装置1aのIPアドレス)とターゲットIPアドレス(バルク側の装置1bのIPアドレス)の組(IPアドレスペア)によりチャネルが割り当てられる。バルク側からLAN側方向のARP要求パケットの場合、バルク発側MACアドレス解決部197において、センダIPアドレス(バルク側の装置1bのIPアドレス)とターゲットIPアドレス(LAN側の装置1aのIPアドレス)の組(IPアドレスペア)によりチャネルが割り当てられる。
また、LAN側からバルク側方向のIPパケットの場合、図46に示す第8の実施形態と同様、トラフィック分散部183において、IPパケット内の情報によりカンバセーションが識別され、その識別されたカンバセーションに対してチャネルが割り当てられる。
LAN側からバルク側方向のotherパケットの場合、LAN発側otherパケット処理部195において、otherパケット内のSA−MACが示す装置1aのMACアドレスに基づいてチャネルが割り当てられる。
そして、上記のようにLAN発側MACアドレス解決部182、トラフィック分散部183、LAN発側otherパケット処理部195、またはバルク発側MACアドレス解決部197によって割り当てられたチャネルに基づき、チャネル−ポート決定部207がバルクポート102を割り当てる。
一方、チャネル−ポート決定部207は、トラフィック監視部150が生成した流量情報や、バルクポート102の障害情報、外部コマンドの指示などにより、チャネル−ポート割り当てを変更する。例えば、同図においては、チャネル1が、バルクポート102−1からバルクポート102−2に変更されたことが示されている。この場合、チャネル−ポート決定部207は、割り当て表記憶部208が記憶する割り当て表データにチャネル1と対応づけて記憶されているバルクポート名及びMACアドレスを、バルクポート102−1のバルクポート名「bulk1」及びMACアドレス「X」から、バルクポート102−2のバルクポート名「bulk2」及びMACアドレス「Y」に書き換える。
図52は、本実施形態のL2接続装置19によるLAN側発パケットの受信処理フローを示す図である。同図において、図48に示す第8の実施形態のLAN側発パケットの受信処理フローと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
L2接続装置19のLANポート101が装置1aから送信されたARPパケット(ARP要求パケットまたはARP応答パケット)、または、IPv4パケットをL2スイッチ3aから受信した場合の処理は、第8の実施形態と同様である。
L2接続装置19のLANポート101が装置1aから装置1b宛に送信したotherパケットを受信した場合(ステップS2510)、LAN発側パケット識別部191は、受信したotherパケットをLAN発側otherパケット処理部195に出力する(ステップS2545:otherパケット)。
LAN発側otherパケット処理部195は、所定の規則に基づいて、SA−MACアドレスからチャネル番号を決定し、決定したチャネル番号をチャネル−ポート決定部207に出力する。チャネル−ポート決定部207は、入力されたチャネル番号に対応するバルクポート102(バルクポート102−1またはバルクポート102−2)のバルクポート名を割り当て表記憶部208に記憶されている割り当て表データから読み出してLAN発側otherパケット処理部195に返送する(ステップS2545)。LAN発側otherパケット処理部195は、チャネル−ポート決定部207から通知されたバルクポート名のバルクポート102を出力先として決定する。LAN発側otherパケット処理部195は、決定したバルクポート102に、otherパケットを出力する(ステップS2430)。otherパケットが入力されたバルクポート102は、入力されたotherパケットをL2スイッチ3bに送信し、L2スイッチ3bは、L2接続装置19から受信したotherパケットを装置1b(第二ネットワーク)に送信する。
なお、本実施形態のL2接続装置19によるバルク側発パケットの受信処理フローは、図26に示す第3の実施形態のバルク側発パケットの受信処理フローと同様である。
ただし、ステップS1415において、バルク発側MACアドレス解決部197は、ARP要求パケットに設定されているセンダIPアドレスとターゲットIPアドレスとを用いた所定の規則に従ってチャネル番号を決定し、決定したチャネル番号をチャネル−ポート決定部207に出力する。チャネル−ポート決定部207は、入力されたチャネル番号に対応するバルクポート102のバルクポート名を割り当て表データから読み出してバルク発側MACアドレス解決部197に返送する。バルク発側MACアドレス解決部197は、チャネル−ポート決定部207から通知されたバルクポート名のバルクポート102を、ARP応答パケットを返送するバルクポート102として決定する。
なお、ステップS1655において、バルク発側otherパケット処理部139は、LAN発側otherパケット処理部195と同様の所定の規則に基づいてDA−MACアドレスからチャネル番号を決定し、決定したチャネル番号に基づいてチャネル−ポート決定部207が割り当て表データから読み出したバルクポート名のバルクポート102を入力ポートとして決定するようにしてもよい。
続いて、チャネル−ポート割り当てが変更されたときの処理について説明する。
図53は、チャネル−ポート割り当て変更時の処理を説明するための図である。
例えば、同図に示すように、チャネル−ポート決定部207が、LAN側の装置1aのIPアドレス「IP−A」、バルク側の装置1bのIPアドレス「IP−B1」のIPアドレスペアから決まるチャネル4の割り当てを、バルクポート名「bulk1」のバルクポート102−1からバルクポート名「bulk2」のバルクポート102−2に変更したとする。チャネル−ポート決定部207は、この変更を示す変更情報をチャネル−ポート移動部209に出力する。
チャネル−ポート移動部209は、チャネル−ポート決定部207から受信した変更情報が、IPアドレスペアに対するチャネルについてのチャネル−ポート割り当ての変更である場合、ARP応答パケットP91を生成する。チャネル−ポート移動部209は、IPアドレスペアに含まれるLAN側の装置1aのIPアドレス「IP−A」を、ARP応答パケットP91のセンダIPアドレスに設定する(ステップS2605)。次に、チャネル−ポート移動部209は、変更後のバルクポート102−2のMACアドレス「Y」を、ARP応答パケットP91のSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスに設定する(ステップS2610)。
続いて、チャネル−ポート移動部209は、IPアドレスペアに含まれるバルク側の装置1bのIPアドレス「IP−B1」をARP応答パケットP91のターゲットIPアドレスに設定する(ステップS2615)。さらに、チャネル−ポート移動部209は、記憶部192に記憶されているバルク側MACアドレステーブルからバルク側の装置1bのIPアドレス「IP−B1」に対応したMACアドレス「B1」を読み出し、ARP応答パケットP91のDA−MACアドレス及びターゲットMACアドレスに設定する。
チャネル−ポート移動部209は、生成したARP応答パケットP91を、変更後のバルクポート102−2に出力し、バルクポート102−2は、ARP応答パケットP91をL2スイッチ3bに出力する。L2スイッチ3bは、ARP応答パケットP91を第2ネットワークに送信する。
これにより、ARP応答パケットを受信したバルク側の装置1bは、当該装置が備えるARPテーブルにIPアドレス「IP−A」と対応付けて記述されているMACアドレスを「Y」に書き換える。以降、装置1bは、IPアドレス「IP−A」の装置1aにパケットを送信する場合、変更後のバルクポート102−2のMACアドレスを宛先に設定する。
図54は、チャネル−ポート割り当て変更時の他の処理を説明するための図である。
チャネル−ポート移動部209は、チャネル−ポート決定部207からの通知されたチャネル−ポート割り当て変更情報が、IPアドレスペアに対するチャネルについてチャネル−ポート割り当ての変更であり、かつ、IPアドレスペアのLAN側の装置1aのIPアドレスが、移動対象チャネルのIPアドレスペアのみに含まれ、移動対象ではない他のIPアドレスペアに含まれていないときには、以下のように生成したARP要求パケットP92により、MACアドレスの変更を通知してもよい。
同図に示すように、チャネル−ポート決定部207が、LAN側の装置1aのIPアドレス「IP−A」、バルク側の装置1bのIPアドレス「IP−B1」のIPアドレスペアから決まるチャネル4の割り当てを、バルクポート名「bulk1」のバルクポート102−1からバルクポート名「bulk2」のバルクポート102−2に変更したとする。チャネル−ポート移動部209は、バルクポート102を変更したチャネルのIPアドレスペアをチャネル−ポート決定部207から受信した変更情報から取得する。チャネル−ポート移動部209は、取得したIPアドレスペアに含まれるLAN側の装置1aのIPアドレス「IP−A」が、使用するバルクポート102の変更がない他のチャネルに対応したIPアドレスペアに含まれないかを判断する。
チャネル−ポート移動部209は、含まれないと判断した場合、IPアドレスペアに含まれるLAN側の装置1aのIPアドレス「IP−A」を、ARP要求パケットP92のセンダIPアドレスに設定する(ステップS2705)。次に、チャネル−ポート移動部209は、変更後のバルクポート102−2のMACアドレス「Y」を、ARP要求パケットP92のSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスに設定する(ステップS2710)。なお、ターゲットIPアドレスには、任意のIPアドレスを設定する。
さらに、チャネル−ポート移動部209は、ARP要求パケットP92のDA−MACアドレスにブロードキャストを設定し(ステップS2715)、生成したARP要求パケットP92を、変更後のバルクポート102−2に出力する。バルクポート102−2は、ARP要求パケットP92をL2スイッチ3bに出力し、L2スイッチ3bは、ARP要求パケットP92をブロードキャストする。
これにより、ARP要求パケットP92を受信したバルク側の装置は、当該装置が備えるARPテーブルにIPアドレス「IP−A」と対応付けて記述されているMACアドレスを「Y」に書き換える。
図55は、チャネル−ポート割り当て変更時のさらに他の処理を説明するための図である。
チャネル−ポート移動部209は、チャネル−ポート決定部207からの通知されたチャネル−ポート割り当て変更情報が、IPアドレスペアに対するチャネルについてチャネル−ポート割り当ての変更であり、かつ、IPアドレスペアのLAN側の装置1aのIPアドレスが、移動対象チャネルのIPアドレスペアのみに含まれ、移動対象ではない他のIPアドレスペアに含まれていないときには、以下のように生成したARP要求パケットまたはARP応答パケットであるARPパケットP93により、MACアドレスの変更を通知してもよい。
チャネル−ポート移動部209は、IPアドレスペアに含まれるLAN側の装置1aのIPアドレス「IP−A」を、ARPパケットP93のターゲットIPアドレス及びセンダIPアドレスに設定する(ステップS2805)。次に、チャネル−ポート移動部209は、変更後のバルクポート102−2のMACアドレス「Y」を、ARPパケットP93のSA−MACアドレス及びセンダMACアドレスに設定する(ステップS2810)。
さらに、チャネル−ポート移動部209は、ARPパケットP93のDA−MACアドレスにブロードキャストを設定し(ステップS2815)、生成したARPパケットP93を、変更後のバルクポート102−2に出力する。バルクポート102−2は、ARPパケットP93をL2スイッチ3bに出力し、L2スイッチ3bは、ARPパケットP93をブロードキャストする。
これにより、ARPパケットP93を受信したバルク側の装置は、当該装置が備えるARPテーブルにIPアドレス「IP−A」と対応付けて記述されているMACアドレスを「Y」に書き換える。
図56は、1つのバルクポート102に複数のMACアドレスが割り当てられている場合のチャネル−ポート割り当て変更時のL2接続装置19の処理を説明するための図である。
例えば、第6の実施形態のように、バルクポート102に複数のMACアドレスが割り当てられている場合には、このMACアドレスごとにバルクポート102を移動することができる。
最初、バルクポート102−1には、MACアドレス「X1」、「X2」、「X3」が割り当てられ、バルクポート102−2には、MACアドレス「Y1」、「Y2」、「Y3」が割り当てられている。
そして、チャネル1、2、3及び5には、バルクポート名「bulk1」のバルクポート102−1が割り当てられ、チャネル1はMACアドレス「X1」を使用し、チャネル2及び3はMACアドレス「X2」を使用し、チャネル5はMACアドレス「X3」を使用する。また、チャネル4及び6には、バルクポート名「bulk2」のバルクポート102−2が割り当てられ、チャネル4はMACアドレス「Y1」を使用し、チャネル6はMACアドレス「Y2」を使用する。この場合、割り当て表記憶部208が記憶する割り当て表データには、チャネル5と対応づけてバルクポート名「bulk1」及びMACアドレス「X3」が記述されている。
チャネル−ポート決定部207は、トラフィック監視部150が生成した流量情報や、バルクポート102の障害情報、外部コマンドの指示などにより、チャネル−ポート割り当てを変更する。例えば、チャネル5が、バルクポート102−1からバルクポート102−2に変更される。この場合、チャネル−ポート決定部207は、チャネル5が使用するMACアドレス「X3」の割り当てを、バルクポート102−1からバルクポート102−2に変更する。
チャネル−ポート決定部207は、割り当て表記憶部208が記憶する割り当て表データにチャネル5と対応づけて記憶されているバルクポート名のみを、バルクポート102−1のバルクポート名「bulk1」から、バルクポート102−2のバルクポート名「bulk2」に書き換える。以降、チャネル−ポート決定部207は、変更後のチャネル−ポート割り当てに従って、他の機能部からのポートの問い合わせに対して、変更後のバルクポート102とそのMACアドレスを返送する。また、チャネル−ポート決定部207は、この変更を示す変更情報をチャネル−ポート移動部209に出力する。
チャネル−ポート移動部209は、チャネル−ポート決定部207から受信した変更情報から、バルクポート102−1に割り当てられたMACアドレス「X3」に対応する全てのチャネルについてバルクポート102−2への移動があったと判断した場合、移動後のバルクポート102−2のMACアドレス「X3」をSA−MACアドレスに設定した任意のパケットを、移動後のバルクポート102−2から出力する。バルクポート102−2は、チャネル−ポート移動部209から入力されたパケットをL2スイッチ3bに出力する。
これにより、L2スイッチ3bは、自装置が記憶しているアドレス学習テーブルを書き換える。以降、L2スイッチ3bは、MACアドレス「X3」宛のパケットをバルクポート102−2に送信する。
図53〜図55で説明したように、ARPを用いてバルクポートの割り当て変更を行う方法では、バルク側の装置1bにおいてARPテーブルの書き換えを行っている。よって、バルク側の装置1bごとに細かく、バルクポートの割り当てを変更する場合に有効である。
一方、図56で説明したように、バルクポートに複数MACアドレスを割り当て、そのMACアドレスをバルクポート間で移動することによってポート割り当てを変更する方法では、L2スイッチ3bの学習テーブルの書き換えを利用している。よって、高速に切り替えが可能である。また、バルク側の装置1bが保持するARPテーブルの書き換え負荷が発生しないため、バルク側の装置1bのARPテーブル管理方法の違いなどの影響を受けることがない。
本実施形態によれば、バルクポート102においてリンクダウンなどの障害が発生した場合、そのバルクポート102に関連付けされているチャネルについて、上記のチャネル−ポート割り当て変更を行うことで、バルクポート102を冗長する効果がある。
[両側バルク構成]
図57は、上述した実施形態のL2接続装置を対向で接続した通信システムのネットワーク構成を示す図である。
同図では、上述した第1の実施形態から第9の実施形態のいずれかのL2接続装置である2台のL2接続装置20をLANポート101同士で接続している。また、2台のL2接続装置20はそれぞれ、複数のバルクポート102により、L2スイッチ(L2SWITCH)3a、3bに接続されている。
同図に示す構成では、1つのLANポート101に対し、バルクポート102が2ポートであるため、LANポート101の方が、バルクポート102より高速であることが前提である。前述のように、イーサネット(登録商標)の場合には速度は10倍刻みであったり、回線費用が過剰となったりする。そこで、同図に示す両側バルク構成をとることで、安価な回線を複数利用して回線費用を抑える場合や、既存の低速回線を束ねて再利用する場合に有効となる。例えば、LAGをサポートしていない安価なL2スイッチ間を複数リンクで接続することで帯域増強したい場合に、本構成が有効に働く。
また、図58は、図57に示す2台のL2接続装置20を、1台のL2接続装置21で実現した場合の通信システムのネットワーク構成を示す図である。
これにより、バルクポートより高速なLANポートが不要となり、複数のバルクポートを使用して、装置1a側の第一ネットワークと装置1b側の第二ネットワークとを接続することができる。
なお、上記においては、バルクポート102が2である場合について説明したが、3以上であっても同様に動作する。
また、第1の実施形態から第9の実施形態では、IPv4プロトコルを用いた場合について説明したが、IPv4の代わりに他の上位層プロトコル、例えば、IPv6(Internet Protocol version6)を用いた場合についても同様に処理が可能である。ただし、IPv6の場合には、IPv4のARPプロトコルの代わりにNDP(Neighbour Discovery Protocol)プロトコルのパケットを利用する。
また、IPv4とIPv6の両方のプロトコルを処理することも可能である。
また、第1の実施形態から第9の実施形態において、L2接続装置が、上位層のIPアドレスをVLAN(仮想LAN)ごとに独立として扱い、ARPテーブルやIPアドレスペアなどをVLAN単位で処理することで、VLAN環境においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。