JP2014051694A - 焼結原料への凝結材添加方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度を有する粉鉱石から構成される焼結原料に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを、生石灰換算で前記焼結原料の全量に対して外掛けで0.5質量%以上6質量%以下の量加えて撹拌機10で撹拌した後、ドラム式造粒機11に装入して造粒するに際し、凝結材の一部又は全部をドラム式造粒機11で添加する。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2では、石灰石系粉原料及び固体燃料系粉原料(凝結材)を除く焼結原料をドラムミキサーの装入口から装入して造粒すると共に、該焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜90秒範囲となる下流側途中に設定した領域で石灰石系粉原料及び固体燃料系粉原料を添加することで、冷間強度と被還元性の高い焼結鉱を製造できることが開示されている。
転動造粒により生成される擬似粒子は、核となる鉱石や凝結材に微粉が付着して形成される。しかし、微粉の付着成長は、微粉の付着が、ある程度進んだ段階で飽和する。そして、その後は、微粉の剥離と再付着がドラムミキサー内で繰り返される状態となる。微粉の剥離と再付着の程度は、微粉の付着力に影響される。難造粒性の粉鉱石から構成される焼結原料の場合、微粉の付着力が弱いため、微粉が造粒物中に多く内包されており、焼成中の通気が悪化する。加えて、難造粒性の粉鉱石から構成される焼結原料を使用すると、造粒過程における微粉の剥離と再付着が激しく、ドラムミキサー後段の造粒完了近くで凝結材添加を実施したとしても、剥離と再付着を繰り返す微粉に凝結材が埋没して、凝結材の燃焼性が悪化し、焼結鉱の生産改善効果が減殺されることとなる。
なお、撹拌羽根の周速は、撹拌羽根の先端部の周速である。
本発明の第1の実施の形態に係る焼結原料への凝結材添加方法の手順を示したフロー図を図1に示す。本実施の形態に係る焼結原料への凝結材添加方法では、先ず、難造粒性の微粉原料に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを加えて撹拌機10で撹拌する。その際、撹拌機10の撹拌羽根の周速は2m/秒以上とすることが好ましい。
撹拌機10で撹拌した焼結原料は、ドラム式造粒機11(「ドラムミキサー」と呼ばれることもある。)に装入され、造粒処理が行われる。その際、凝結材の一部又は全部をドラム式造粒機11で添加する。ドラム式造粒機11における凝結材の添加位置は、ドラム式造粒機11の全長に対してドラム式造粒機11の装入口の位置を0.0、排出口の位置を1.0とすると、0.8以上1.0以下とすることが好ましい。
また、凝結材は、粉コークスなどの固体燃料系粉原料である。凝結材の添加量は、難造粒性の微粉原料の全量に対して外掛けで3質量%〜6質量%程度である。
本発明の第2の実施の形態に係る焼結原料への凝結材添加方法の手順を示したフロー図を図2に示す。本実施の形態に係る焼結原料への凝結材添加方法では、難造粒性の微粉原料に生石灰及び/又は消石灰からなるバインダーを加えて撹拌機10で撹拌したものに、その他原料を加えてドラム式造粒機11に装入する点が第1実施の形態と異なっている。
本発明が造粒の対象とする焼結原料は、篩目10μmアンダーの粒子(微粒子)が5質量%以下と極めて少なく、500μmアンダーの粒子が50質量%以上と非常に多い、難造粒性の粉鉱石から構成される焼結原料である。この難造粒性の微粉原料が通常の鉄鉱石と異なる点は、10μmアンダーの微粒子が極めて少ない点であり、例えば、鉄鉱石の粉砕処理と水による比重選鉱処理を繰り返すことで、このような粒度特性となることを本発明者等は突き止めている。
従って、上記微粉原料の造粒に用いるバインダーには、10μmアンダーの微粒子を供給でき、粒子間隙を充填できるものが望ましいことに本発明者等は想到した。
生石灰は、混練(撹拌)や造粒中に水と接触することで一部が吸湿、消化(消石灰化)して微粒化し、水とともに難造粒性の微粉原料に均一に混ざり易くなると考えられる。
生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、難造粒性の微粉原料に均一に混ざり易くなる。生石灰の代わりに、あるいは生石灰と共に、消石灰を難造粒性の微粉原料に添加する場合も同様であり、一部の消石灰が水に溶解して、難造粒性の微粉原料中に均一に混ざり易くなる。
従って、極力多くの生石灰を消化させること、生成する消石灰の粒径を小さくすること、極力多くの消石灰を造粒水に溶解させること等により、造粒に寄与する消石灰を多量に生成させて、生成した消石灰を難造粒性の微粉原料全体に分散させ(マクロに分散させ)、各微粉原料の粒子表面に極力付着させる(ミクロに分散させる)ことが重要となる。
なお、炭酸カルシウム(分子式:CaCO3)も、生石灰や消石灰と同様、CaOを含んでおり(炭酸カルシウムのCaO含有率は56質量%程度)、石灰石あるいは単に石灰と称される場合がある。しかし、炭酸カルシウムは、化学的に安定な物質であって、吸湿による消化や水への溶解は起こりにくい。従って、本発明における生石灰や消石灰には、炭酸カルシウムは含まない。
本試験では、4質量%以上の結晶水を含む高結晶水鉱石を0〜10質量%配合した難造粒性(500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度)の粉鉱石から構成される焼結原料に、バインダー(炭酸カルシウム、消石灰、生石灰)を外掛けで2質量%(ドライベースの焼結原料である粉鉱石を100質量%とした値。以下同様)添加し、これを万能ミキサー(撹拌機の一例)で撹拌した後、ドラム式造粒機で造粒処理した。
また、バインダー添加効果を評価する基準として使用するため、バインダーを添加していない難造粒性の微粉原料のみのものについても万能ミキサーで撹拌した後、ドラム式造粒機で造粒処理した。
なお、上記周速は、撹拌機、造粒機において、回転するもの(撹拌羽根、ドラム等)で最も速い部位の速度である。
一方、難造粒性の微粉原料として、4質量%以上の結晶水を含む高結晶水鉱石を30質量%〜60質量%配合したものを使用した場合は、粉率が全体的に悪化(増加)した。具体的には、バインダーとして炭酸カルシウムを使用した場合は、概ね2〜3割程度のばらつきとなり、バインダーとして生石灰や消石灰を使用した場合は、炭酸カルシウムの粉率値のばらつきよりも小さく1割程度であった。
これは、造粒時や造粒後に気孔に水が吸収され得る高結晶水鉱石では、炭酸カルシウムを用いた場合、固体架橋が安定しないが、生石灰や消石灰を用いた場合、吸湿による消化や水への溶解が起きることにより、気孔への吸水が生じても固体架橋が比較的安定しているためであると考えられる。
次に、凝結材の微粉への埋没を抑制するために実施した、ドラム式造粒機での凝結材の添加試験について説明する。図4及び図5に試験結果を示す。なお、本発明者等は、本試験に使用した生石灰に代えて、消石灰を用いた場合も同様の結果となることを確認している。
試験には、4質量%以上の結晶水を含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した難造粒性の微粉原料(500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度を有する粉鉱石から構成される焼結原料)を使用した。
一方、実施例及び参考例については、ドラム式造粒機に装入する前に、アイリッヒミキサー(撹拌機の一例)を用いて難造粒性の微粉原料を撹拌した。具体的には、難造粒性の微粉原料に対して外掛けで生石灰を2質量%添加し、アイリッヒミキサーで撹拌処理する原料の水分が7質量%となるように加水して、アイリッヒミキサーの撹拌羽根の周速を2m/秒として2分間撹拌した。その後、ドラム式造粒機に装入し、従来例と同様、100回転造粒した。
凝結材の添加位置は、ドラム式造粒機の全長を1.0として、ドラム式造粒機の装入口0.0で焼結原料の装入と同時に凝結材を添加した場合、ドラム式造粒機内の途中0.6、0.8の位置で凝結材を添加した場合、排出口1.0で焼結原料上に凝結材を添加した場合について比較した。また、従来より一般的に行われているドラム式造粒機の上流側のベルトコンベア上に焼結原料を投下すると同時に凝結材を添加する事前添加方法について併せて比較した。
なお、凝結材の添加量は、ドラム式造粒機に装入する焼結原料(水、生石灰を除くドライベース。以下同様)の4.5質量%とした。
また、ドラム式造粒機後方での凝結材添加(実施例)では、0.6まで生産性改善がさほど見られず、従来例と同程度の改善に留まるが、0.8の添加位置で大幅に向上し、更にドラム式造粒機排出口ではやや低下するものの、生産性の改善は維持される結果となった。
なお、ベルトコンベアは、ドラム式造粒機から排出した例えば造粒物を含む焼結原料を、次の装置(例えば焼結機)に搬送する際に常用されるもので、通常、焼結原料は概ね4回以上のベルトコンベア乗り継ぎを経て次の装置に搬送される。
上記追加装入する焼結原料は、ドラム型造粒機に装入する焼結原料総量の0質量%以上90質量%未満程度であると、本発明の効果が顕著となる。90質量%以上(混練撹拌処理した難造粒性の微粉原料が10質量%以下)では効果は認められるものの、造粒性の良い焼結原料の比率が多いため改善効果代が小さくなる。
生石灰添加、水分添加、凝結材添加総量は図4の試験と同条件、使用した難造粒性の微粉原料も同条件である。凝結材の添加位置は、ドラム式造粒機の全長に対して0.8の位置で一定とした。
図5の横軸の物理量は、凝結材の添加総量に対するドラム式造粒機で添加する凝結材の割合(0.1、0.6、1.0)である。なお、ドラム式造粒機で添加する以外の残部の凝結材は、アイリッヒミキサーの入側で焼結原料に添加した。
撹拌時における生石灰の添加割合は、焼結原料の全量に対して外掛けで0.5、1.0、2.0、6.0質量%とし、撹拌羽根の周速は1m/秒、2m/秒、3m/秒とした。
また、水分は、混練撹拌処理する原料との合計量に対して7質量%となるように加水した。
また、撹拌効果を評価する基準として使用するため、撹拌していない難造粒性の微粉原料に凝結材を事前添加し、ドラム式造粒機へ装入して100回転造粒した。
なお、凝結材の添加量は、ドラム式造粒機に装入する焼結原料の4.5質量%とした。
また、凝結材の事前添加(参考例)に比べて、ドラム式造粒機での凝結材添加(実施例)の効果が大きいことが確認された(参考例△と実施例▲、参考例□と実施例■、参考例○と実施例●の各比較)。
撹拌速度の影響については、周速1m/秒に対して、2m/秒での改善が大きく、更に3m/秒では改善効果が飽和する傾向が見られた(参考例同士△、□、○の比較、実施例同士▲、■、●の比較)。
Claims (3)
- 500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度を有する粉鉱石から構成される焼結原料に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを、生石灰換算で前記焼結原料の全量に対して外掛けで0.5質量%以上6質量%以下の量加えて撹拌機で撹拌した後、ドラム式造粒機に装入して造粒するに際し、凝結材の一部又は全部を該ドラム式造粒機で添加することを特徴とする焼結原料への凝結材添加方法。
- 請求項1記載の焼結原料への凝結材添加方法において、前記ドラム式造粒機の全長に対して該ドラム式造粒機の装入口の位置を0.0、排出口の位置を1.0とすると、前記ドラム式造粒機で前記凝結材を添加する位置を0.8以上1.0以下とすることを特徴とする焼結原料への凝結材添加方法。
- 請求項1又は2記載の焼結原料への凝結材添加方法において、前記撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上とすることを特徴とする焼結原料への凝結材添加方法。
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